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特許7126159生体情報検出モジュールおよびそれを備えた生体情報検出装置、生体情報検出モジュールの製造方法、ならびに生体情報検出装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】生体情報検出モジュールおよびそれを備えた生体情報検出装置、生体情報検出モジュールの製造方法、ならびに生体情報検出装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20220819BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
A61B5/02 310B
A61B5/1455
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018141423
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020014772
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005038
【氏名又は名称】セイコーホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592019213
【氏名又は名称】学校法人昭和大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 俊二
(72)【発明者】
【氏名】槇 宏太郎
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0000563(US,A1)
【文献】特開2000-340264(JP,A)
【文献】特開平02-277157(JP,A)
【文献】特開2011-212117(JP,A)
【文献】特開2016-200895(JP,A)
【文献】特開2018-000930(JP,A)
【文献】特開2009-284985(JP,A)
【文献】特開2010-223743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/06-5/398
A61C 7/00-7/36
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内の生体部位における脈波、酸素飽和度、グルコース濃度、血流量、咬合力、頬の圧力または舌の圧力を検出するセンサと、
電極構造体と、2つのフィルムに前記電極構造体を挟む本体領域および前記本体領域からはみ出すように前記2つのフィルムが貼り合わされた溶着しろである封止領域を含み前記電極構造体が封入された外装部材と、を有する電池と、
前記外装部材の前記封止領域によって少なくとも一部が取り囲まれ、前記電池から前記センサへの電力供給がなされる通電状態と、前記電力供給が遮断される遮断状態との切り替えを行うメカスイッチと
を有し、
前記封止領域は、前記メカスイッチの一部を覆うように折り返されて前記本体領域と反対側に位置する庇部分を有し、
前記メカスイッチは、前記本体領域に設けられ、もしくは前記封止領域の前記庇部分以外の部分に設けられている
生体情報検出モジュール。
【請求項2】
前記メカスイッチは、自己保持型スイッチである
請求項1記載の生体情報検出モジュール。
【請求項3】
前記メカスイッチは、第1の導体と、第2の導体と、前記第1の導体と前記第2の導体とを接触させる接触動作および前記第1の導体と前記第2の導体とを離間させる離間動作を行う操作部とを有すると共に、前記外装部材の前記本体領域もしくは前記封止領域に設けられ、
前記外装部材の前記封止領域は、前記操作部から見て前記外装部材の前記本体領域と反対側に位置する庇部分を有し、
前記庇部分は、前記操作部に対応する位置に設けられた開口もしくは切り欠きを有する
請求項1または請求項2に記載の生体情報検出モジュール。
【請求項4】
前記センサ、前記電池および前記メカスイッチを全て密封する封止部材をさらに有する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の生体情報検出モジュール。
【請求項5】
前記センサは、光を発することのできる発光素子、および前記発光素子から発せられた前記光を受光可能な受光素子を含み、
前記封止部材は、前記発光素子を覆うと共に前記光を透過可能な第1の透光部分および前記受光素子を覆うと共に前記光を透過可能な第2の透光部分を含む
請求項4記載の生体情報検出モジュール。
【請求項6】
前記発光素子は、前記第1の透光部分を介して歯茎と対向するように配置され、
前記受光素子は、前記第2の透光部分を介して前記歯茎と対向するように配置されている
請求項5記載の生体情報検出モジュール。
【請求項7】
前記発光素子は、前記第1の透光部分を介して頬の内面と対向するように配置され、
前記受光素子は、前記第2の透光部分を介して前記頬の内面と対向するように配置されている
請求項5記載の生体情報検出モジュール。
【請求項8】
前記光は、400nm以上1000nm以下の波長を有する
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の生体情報検出モジュール。
【請求項9】
前記封止部材に封止され、前記電池からの電力供給を受けて前記センサからの出力信号に基づきデータ信号を生成する信号処理部と、
前記封止部材に封止され、前記電池からの電力供給を受けて前記信号処理部からの前記データ信号を外部装置に送信可能であると共に前記外部装置からの制御信号を受信可能である送受信部と
をさらに有する
請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の生体情報検出モジュール。
【請求項10】
前記信号処理部の少なくとも一部は、前記外装部材の前記封止領域によって取り囲まれている
請求項9記載の生体情報検出モジュール。
【請求項11】
前記第1の透光部分および前記第2の透光部分は、熱可塑性高分子化合物により形成されている
請求項5から請求項10のいずれか1項に記載の生体情報検出モジュール。
【請求項12】
前記センサは、脈波センサ、パルスオキシメータまたはグルコースセンサである
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の生体情報検出モジュール。
【請求項13】
歪センサおよび加速度センサのうちの少なくとも一方をさらに有する
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の生体情報検出モジュール。
【請求項14】
生体情報検出モジュールと、
生体内に前記生体情報検出モジュールを保持する保持部材と
を備え、
前記生体情報検出モジュールは、
口腔内の生体部位における脈波、酸素飽和度、グルコース濃度、血流量、咬合力、頬の圧力または舌の圧力を検出するセンサと、
電極構造体と、2つのフィルムに前記電極構造体を挟む本体領域および前記本体領域からはみ出すように前記2つのフィルムが貼り合わされた溶着しろである封止領域を含み前記電極構造体が封入された外装部材と、を有する電池と、
前記外装部材の前記封止領域によって少なくとも一部が取り囲まれ、前記電池から前記センサへの電力供給がなされる通電状態と、前記電力供給が遮断される遮断状態との切り替えを行うメカスイッチと
を有し、
前記封止領域は、前記メカスイッチの一部を覆うように折り返されて前記本体領域と反対側に位置する庇部分を有し、
前記メカスイッチは、前記本体領域に設けられ、もしくは前記封止領域の前記庇部分以外の部分に設けられている
生体情報検出装置。
【請求項15】
口腔内の生体部位における脈波、酸素飽和度、グルコース濃度、血流量、咬合力、頬の圧力または舌の圧力を検出するセンサを用意することと、
電極構造体と、2つのフィルムに前記電極構造体を挟む本体領域および前記本体領域からはみ出すように前記2つのフィルムが貼り合わされた溶着しろである封止領域を含み前記電極構造体が封入された外装部材とを有する電池、を用意することと、
前記電池から前記センサへの電力供給がなされる通電状態と、前記電力供給が遮断される遮断状態との切り替えを行うメカスイッチ、を用意することと、
前記メカスイッチを、前記電池の前記外装部材のうち、前記本体領域に載置し、もしくは前記封止領域のうち前記電池の長手方向における前記本体領域の近傍に載置したのち、前記外装部材の前記封止領域の一部を折り曲げることにより、前記本体領域と反対側に位置すると共に前記メカスイッチの少なくとも一部を取り囲む庇部分を形成することと
を含む
生体情報検出モジュールの製造方法。
【請求項16】
生体内に設置される生体情報検出装置の製造方法であって、
口腔内の生体部位における脈波、酸素飽和度、グルコース濃度、血流量、咬合力、頬の圧力または舌の圧力を検出するセンサを用意することと、
電極構造体と、2つのフィルムに前記電極構造体を挟む本体領域および前記本体領域からはみ出すように前記2つのフィルムが貼り合わされた溶着しろである封止領域を含み前記電極構造体が封入された外装部材とを有する電池、を用意することと、
前記電池から前記センサへの電力供給がなされる通電状態と、前記電力供給が遮断される遮断状態との切り替えを行うメカスイッチ、を用意することと、
前記メカスイッチを、前記電池の前記外装部材のうち、前記本体領域に載置し、もしくは前記封止領域のうち前記電池の長手方向における前記本体領域の近傍に載置したのち、前記外装部材の前記封止領域の一部を折り曲げることにより、前記本体領域と反対側に位置すると共に前記メカスイッチの少なくとも一部を取り囲む庇部分を形成することにより生体情報検出モジュールを形成することと、
前記生体情報検出モジュールを一対の封止フィルムの間に挟んだのち、前記一対の封止フィルムを加熱しつつモールド成型することにより、前記生体情報検出モジュールが密封された封止部材を形成することと
を含む生体情報検出装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被験者の生体情報を検出する生体情報検出モジュールおよびそれを備えた生体情報検出装置、ならびに生体情報検出モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、口腔内に設置して生体情報を得る生体モニタがいくつか提案されている(例えば特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-167120号公報
【文献】米国特許第8771149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような装置においては、長期に亘って正確な動作が維持されることが望まれる。よって、長期信頼性に優れた生体情報検出モジュールおよび生体情報検出装置、ならびに生体情報検出モジュールの製造方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係る生体情報検出モジュールは、センサと、電池と、メカスイッチとを有する。電池は、電極構造体と、2つのフィルムにその電極構造体を挟む本体領域およびその本体領域からはみ出すように2つのフィルムが貼り合わされた溶着しろである封止領域を含み電極構造体が封入された外装部材と、を有する。メカスイッチは、外装部材の封止領域によって少なくとも一部が取り囲まれ、電池からセンサへの電力供給がなされる通電状態と、電力供給が遮断される遮断状態との切り替えを行う。センサは、口腔内の生体部位における脈波、酸素飽和度、グルコース濃度、血流量、咬合力、頬の圧力または舌の圧力を検出する。封止領域は、メカスイッチの一部を覆うように折り返されて本体領域と反対側に位置する庇部分を有する。メカスイッチは、本体領域に設けられ、もしくは封止領域の庇部分以外の部分に設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施の形態に係る生体情報検出モジュールによれば、メカスイッチにより通電状態と遮断状態との切り替えを行うことができるので、電池の長寿命化に資する。さらに、メカスイッチの少なくとも一部が外装部材の封止領域によって取り囲まれているので、メカスイッチの誤操作を防止できる。よって、優れた長期信頼性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施の形態に係る生体情報検出装置の外観を表す斜視図である。
図2図1に示した生体情報検出装置の概略断面構成例を表す断面図である。
図3図1に示した生体情報検出装置の概略断面構成例を表す他の断面図である。
図4図3に示したメカスイッチの概略構成例を表す断面図である。
図5A図1に示した生体情報検出モジュールの概略構成例を表す斜視図である。
図5B図1に示した生体情報検出モジュールの概略構成例を表す他の斜視図である。
図6図5Aに示した電池の概略構成例を表す断面図である。
図7図1に示した生体情報検出装置の、口腔内での設置例を表す斜視図である。
図8図1に示した生体情報検出装置の全体構成例を表すブロック図である。
図9図1に示した光センサの受光素子へ適用可能な各デバイスの受光波長域を表す特性図である。
図10A図1に示した生体情報検出装置の製造方法の一工程を表す説明図である。
図10B図10Aに続く一工程を表す説明図である。
図10C図10Bに続く一工程を表す説明図である。
図10D図10Cに続く一工程を表す説明図である。
図11】本開示の変形例1としての生体情報検出装置の外観および装着例を表す斜視図である。
図12】本開示の変形例2としての生体情報検出装置の概略構成例を表す断面図である。
図13】本開示の変形例3としての生体情報検出装置の概略構成例を表す断面図である。
図14】本開示の変形例4としての生体情報検出装置の概略構成例を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(ラミネートフィルム型電池の封止領域を折り返すことでメカスイッチの操作部を保護するようにした生体情報検出モジュールを備えた生体情報検出装置の例。)
2.変形例
変形例1(封止部材と保持部材とを別部材により構成するようにした生体情報検出装置の例。)
変形例2(歯茎以外の部分からの反射光を受光する生体情報検出装置の例。)
変形例3(歪センサを有する生体情報検出装置の例。)
変形例4(加速度センサを有する生体情報検出装置の例。)
3.その他の変形例
【0009】
<1.実施の形態>
[生体情報検出装置1の全体構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る生体情報検出装置1の概略構成例を模式的に斜視図にて表したものである。また、図2および図3は、いずれも、生体情報検出装置1の概略構成例を模式的に断面図にて表したものである。但し、図2は、図1に示した光センサ5(後に詳述)を含む断面であり、図3は、図1に示したメカスイッチ12(後に詳述)を含む断面である。図2は、図1に示したII-II切断線に沿った矢視方向の断面を表し、図3は、図1に示したIII-III切断線に沿った矢視方向の断面を表している。また、図4は、メカスイッチ12を拡大して表す断面図である。また、図5Aは、生体情報検出装置1に設けられた生体情報検出モジュール2(後述)の外観を表す斜視図であり、図5Bは、生体情報検出モジュール2を図5Aと異なる方向から眺めた外観を表す他の斜視図である。また、図6は、生体情報検出モジュール2の断面構成を表している。また、図7は、生体情報検出装置1の使用状態の一例を表す斜視図である。さらに図8は、生体情報検出装置1に含まれる生体情報検出モジュール2の構成を表すブロック図である。
【0010】
図7に示したように、生体情報検出装置1は、生体内、例えば口腔内に設置されるものであって、より具体的には、一部の歯Tおよび一部の歯茎Gを覆うように設置される。
【0011】
図1に示したように、生体情報検出装置1は、歯Tおよび歯茎Gを覆うシェル10と、そのシェル10に内蔵された生体情報検出モジュール2とを備えている。
【0012】
シェル10は、図2および図3に示したように、歯Tを覆う上部10Aと、歯茎Gを覆う下部10Bとが一体化されたマウスピース状のものであり、例えば熱可塑性高分子化合物などにより構成されている。熱可塑性高分子化合物としては、例えばポリエチレン、ポリウレタンおよびアクリルなどを含有するものが適用できる。下部10Bには、外部から密封されるように生体情報検出モジュール2が埋め込まれている。したがって、シェル10の下部10Bは、本開示の「封止部材」に対応する一具体例である。このように、生体情報検出モジュール2はシェル10の下部10Bに埋め込まれているので、口腔内の唾液や飲料等の水分、および外気から確実に遮断される。また、シェル10の上部10Aは下部10Bと一体化されているので、封止部材としての下部10Bを口腔内において保持する本開示の「保持部材」の一具体例に対応する。なお、図1では、説明の都合上、視認性を向上させるため、シェル10のうち生体情報検出モジュール2を覆う部分を取り去った状態を表している。しかしながら、実際には生体情報検出モジュール2はシェル10により覆われることとなるので、シェル10が透明である場合を除き、外部から視認することはできない。
【0013】
図5Aおよび図5Bに示したように、生体情報検出モジュール2は、例えばメカスイッチ12、送受信モジュール8、および光センサ5が配置された実装基板11と、電池6とを有する。図5Aは、生体情報検出モジュール2を正面側から眺めた斜視図であり、図5Bは、生体情報検出モジュール2を背面側から眺めた斜視図である。
【0014】
実装基板11は、例えば配線がプリントされたシート状のフレキシブル基板である。
【0015】
電池6は、光センサ5および送受信モジュール8に対し、それら光センサ5および送受信モジュール8を駆動するための電力を供給する電源として機能する。電池6は、一次電池であってもよいし、非接触充電が可能な二次電池であってもよい。電池6の詳細な構成については後述する。
【0016】
メカスイッチ12は、例えば実装基板11上の、電池6と送受信モジュール8との間に配置されており、光センサ5および送受信モジュール8の各々に対する電池6からの電力供給のオン・オフを行うものである。メカスイッチ12は、いわゆるオルタネート式の自己保持型スイッチである。図4に示したように、メカスイッチ12は、第1の導体121および第2の導体122を収容する本体123と、操作部124とを有する。本体123は、第1の導体121および第2の導体122を収容する筐体であり、底部123Aと、底部123Aの周縁に沿って立設すると共に第1の導体121および第2の導体122を取り囲む壁部123Bとを有している。メカスイッチ12では、操作部124が操作されることにより、本体123の内部において、第1の導体121と第2の導体122との接触および離間が繰り返しなされるようになっている。操作部124は、例えば第1の導体121に固定されており、それら第1の導体121と第2の導体122とを接触させる接触動作、および第1の導体121と第2の導体122とを離間させる離間動作を行うものである。図3に示したように、ユーザが例えば操作棒RDなどを用いてシェル10の下部10Bを介して操作部124を一度押して離すと例えば第1の導体121と第2の導体122との接触操作がなされてオン状態となる。さらにユーザが操作棒RDなどを用いて操作部124をもう一度押して離すと第1の導体121と第2の導体122との離間操作がなされてオフ状態となる。なお、図4では、第2の導体122が本体123に固定されており、第1の導体121が第2の導体122に対し相対的に変位可能に構成された例を表している。図4では、オン状態における第1の導体121を破線で示し、オフ状態における第1の導体121を実線で示している。
【0017】
送受信モジュール8は、例えば図8に示したように、送受信部3と、信号処理部4とを有している。一般的には、送受信部3と信号処理部4とが一体化されたチップで流通している。送受信部3は、生体情報検出モジュール2の外部に設けられたネットワーク接続器7との無線方式でのデータ通信を行うアンテナである。なお、ネットワーク接続器7は、パーソナルコンピュータやタブレット端末、あるいはスマートフォンなどの、インターネット等のネットワークに接続可能な通信デバイスである。また、信号処理部4は、例えばメモリやマイクロプロセッサ、アナログ-デジタル(A/D)コンバータなどを含む信号処理回路である。信号処理部4には、光センサ5からの検出信号(出力信号)が入力されるようになっている。信号処理部4は、電池6からの電力供給を受けて駆動し、光センサ5からの出力信号に基づき、送受信部3において送信可能なデジタルデータ信号を生成する。送受信部3は、電池6からの電力供給を受けて駆動し、信号処理部4からのデジタルデータ信号を、ネットワーク接続器7を介して外部ネットワークに無線送信可能である。さらに、送受信部3は、外部ネットワークからの制御信号を、ネットワーク接続器7を介して無線受信可能である。なお、図1等では、実装基板11が矩形状の平面形状を有し、電池6と、送受信モジュール8と、光センサ5とが一列に並ぶように配置されているが、本開示はそれに限定されるものではなく、電池6、送受信モジュール8および光センサ5のレイアウトを任意に設定できる。
【0018】
光センサ5は、例えば反射型光電センサであり、光を発することのできる発光ダイオードなどの発光素子5Aと、その発光素子5Aから発せられた光を受光可能なフォトダイオードなどの受光素子5Bとを含むものである(図2参照)。発光素子5Aから発せられる光は、例えば400nm以上1000nm以下の波長を有する。生体情報検出モジュール2を覆うシェル10の下部10Bのうち、発光素子5Aを覆う部分は、発光素子5Aから発せされた光を透過可能な第1の透光部分10T1となっている(図2参照)。また、シェル10の下部10Bのうち、受光素子5Bを覆う部分は、発光素子5Aから発せされたのち歯茎Gの内部もしくは歯茎Gの表面近傍において反射した光を透過可能な第2の透光部分10T2となっている(図2参照)。第1の透光部分10T1および第2の透光部分10T2も熱可塑性高分子化合物により形成されているとよい。なお、第1の透光部分10T1の構成材料と第2の透光部分10T2の構成材料とが実質的に同じ材料、例えば上述した熱可塑性高分子化合物のうちの透明なものにより形成されているとよい。さらに、第1の透光部分10T1と第2の透光部分10T2とが分離されておらず、連続して形成されていてもよい。一括形成に有利だからである。また、下部10Bの全体が透明体であってもよいし、下部10Bに上部10Aをも含めたシェル10の全体が透明体であってもよい。すなわち、シェル10は、発光素子5Aを覆う第1の透光部分10T1および受光素子5Bを覆う第2の透光部分10T2(これらをまとめて透光部分10Tという。)が透光性を有していればよく、透光部分10T以外の部分は遮光性を有していても透光性を有していてもよい。
【0019】
発光素子5Aは、第1の透光部分10T1を介して歯茎Gと対向するように配置され、受光素子5Bは、第2の透光部分10T2を介して歯茎Gと対向するように、発光素子5Aに近接して配置されている。したがって、発光素子5Aから発せられた光は、シェル10の第1の透光部分10T1を透過して歯茎Gに到達して歯茎Gにおいて反射する。歯茎Gからの反射光は、シェル10の第2の透光部分10T2を透過して受光素子5Bに入射するようになっている。受光素子5Bに入射する反射光は、例えば血流量などの生体情報を含んでいる。光センサ5は、例えば、上述の生体情報を用いて脈波を検出する脈波センサであり、上述の生体情報を用いて経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)および脈拍数を検出するパルスオキシメータであり、あるいは、上述の生体情報を用いてグルコース濃度を検出するグルコースセンサである。なお、光センサ5の受光素子5Bは、取得を目的とする生体情報の種類により、受光波長域が異なる。図9は、各種生体情報の取得に適したデバイスにおける受光波長域を表している。図9に示したように、脈波センサの受光素子5Bとしては570nm前後の波長の光を受光可能なものが用いられ、経皮的動脈血酸素飽和度を測定するパルスオキシメータの受光素子5Bとしては約600nm~1000nm程度の波長の光を受光可能なものが用いられ、グルコース濃度を検出するグルコースセンサの受光素子5Bとしては750nm前後の波長の光を受光可能なものが用いられる。
【0020】
[電池6の詳細の構成]
電池6は可撓性に優れたものが好ましい。図5A図5Bおよび図6などに示したように、電池6は、電極構造体61と、この電極構造体61を封入する外装部材62とを有する。電極構造体61は、例えば正極と負極とが電解質を挟んで交互積層された積層体である。ただし、電極構造体61の構造は特に限定されるものではなく、正極と負極とが電解質を挟んで交互積層された積層体が巻回された巻回構造体であってもよい。
【0021】
外装部材62は、例えば金属箔とラミネートフィルムとが接着された積層フィルムを2枚溶着させたものであり、高い可撓性を有する。外装部材62は、電極構造体61を覆う本体領域62Aと、この本体領域62Aからはみ出した封止領域62Bとを含んでいる。封止領域62Bには、光センサ5、送受信モジュール8およびメカスイッチ12が配設された実装基板11が載置されている。なお、図5Bでは、実装基板11、光センサ5および送受信モジュール8の記載を省略している。また、実装基板11は本体領域62Aに設けられていてもよい。封止領域62Bは、2枚の積層フィルムを貼り合わせた際の溶着しろであり、メカスイッチ12の少なくとも一部を取り囲んでいる。より具体的には、外装部材62の封止領域62Bは、実装基板11の一部を覆うように折り返されており、操作部124から見て外装部材62の本体領域62Aと反対側に位置する庇部分62B1,62B2を有している。庇部分62B1,62B2は、操作部124に対応する位置にそれぞれ設けられた略半円状の切り欠き6H1,6H2を有する。なお、図5Aおよび図5Bでは、一対の切り欠き6H1,6H2が互いに離間しつつ対向することにより、略円形の開口を形成しているが、庇部分62B1と庇部分62B2とを互いに接着し、一対の切り欠き6H1,6H2が一体となって円形の開口を形成するようにしてもよい。
【0022】
また、図1および図5Aなどに示したように、送受信モジュール8の一部、例えば信号処理部4の少なくとも一部は、外装部材62の封止領域62Bによって取り囲まれている。
【0023】
[生体情報検出装置1の製造方法]
次に、生体情報検出装置1の製造方法について、上記図1図7に加えて図10A図10Dを参照して説明する。
【0024】
この生体情報検出装置1を製造するにあたっては、まず、上述の生体情報検出モジュール2を形成する。具体的には、光センサ5、送受信モジュール8およびメカスイッチ12が実装された実装基板11を用意する。また、図10Aに示したように、電極構造体61が封入された外装部材62を有する電池6を用意する。次に、光センサ5、送受信モジュール8およびメカスイッチ12が実装された実装基板11を、電池6の外装部材62のうち、本体領域62A、もしくは封止領域62Bのうち、電池6の長手方向(図10Aの紙面と直交する方向)における本体領域62Aの近傍に載置する。そののち、電池6の短手方向(図10Aの紙面左右方向)において本体領域62Aの両隣に位置する封止領域62Bを、図10Bに示したように上方、すなわち実装基板11が載置された側へ折り返すことにより、庇部分62B1,62B2を形成する。これにより、生体情報検出モジュール2が完成する。なお、図10Aは、電池6の電極構造体61を含む断面を表し、図10Bは、電池6の封止領域62Bおよびメカスイッチ12を含む断面を表している。
【0025】
次に、この生体情報検出モジュール2を、例えば図10Cに示したように、熱可塑性高分子化合物からなる2枚の封止フィルム9A,9Bの間に載置する。ここで、封止フィルム9Aは保持部材21に保持されており、封止フィルム9Bは保持部材21に保持されている。その一方で、この生体情報検出装置1を装着する予定のユーザの歯Tおよび歯茎Gに整合した歯型23を用意する。歯型23は、例えば型押しや3Dプリンタなどにより成形することができる。そののち、封止フィルム9A,9Bのうちの光センサ5の近傍部分を、ヒータ24により280℃程度の温度で加熱しつつ、図10Dに示したように、歯型23を封止フィルム9A,9Bに押し付けてモールド成形を行う。なお、ヒータ24による加熱温度は上述の280℃に限定されるものではなく、例えば100℃~300℃の範囲で任意に設定可能である。モールド成形の際には、歯型23の抜き穴23Hから歯型23と封止フィルム9A,9Bとの隙間の空気を排出することで、歯型23の表面23Sと封止フィルム9A,9Bとを密着させる。これにより、封止フィルム9A,9Bが歯型23の表面23Sに沿った形状に変形しつつ、溶着される。そののち、歯型23および溶着された封止フィルム9A,9Bを冷却することにより、上部10Aおよび下部10Bが一体となったマウスピース状のシェル10が得られる。シェル10を歯型23から剥離することにより、生体情報検出装置1が得られる。このように、封止部材としての下部10Bと保持部材としての上部10Aとが一体となったシェル10を、モールド成型により一括形成するようにしたので、効率的に生体情報検出装置1を製造することができる。
【0026】
[作用・効果]
このように、本実施の形態の生体情報検出装置1によれば、生体情報検出モジュール2にメカスイッチ12を設け、電池6から光センサ5および送受信モジュール8への電力供給がなされる通電状態と、その電力供給が遮断される遮断状態との切り替えを行うようにした。このため、生体情報の検出を実施したい場合のみメカスイッチ12をオン状態とし、光センサ5および送受信モジュール8への電力供給を行えばよいので、電力供給を常時行わなくて済む。したがって、消費電力の低減が可能であり、電池6が一次電池であれば電池6の長寿命化を図ることができ、電池6が二次電池であれば充電頻度を低下させることができる。あるいは、電池6の電池容量を低減できるので、電池6の小型化が可能であり、ひいては生体情報検出モジュール2および生体情報検出装置1自体の小型化を図ることができる。ところで、従来の技術においても、例えば上述の特許文献1および特許文献2などに開示されているように、口腔内にセンサを設置して生体情報を検出することは試みられていた。しかしながら、従来の生体情報検出モジュールは電源のオン・オフスイッチを有しないので、電池と送受信モジュールなどとの接続をした時点から電池の消耗が開始される。このため、例えば長期に亘って使用する場合や、製造後、長期間経過した場合など、実際に使用する段階において生体情報の検出ができないおそれがある。この点、本実施の形態の生体情報検出装置1によれば、上述したように生体情報検出モジュール2にメカスイッチ12を設け、使用時のみ通電することができるので、長期に亘って実使用が可能である。
【0027】
特に、生体情報検出モジュール2にメカスイッチ12を自己保持型スイッチとしたので、ユーザの意図に応じて、通電状態または遮断状態を容易に維持することができる。
【0028】
従来の技術においても、例えば上述の特許文献1および特許文献2などに開示されているように、口腔内にセンサを設置して生体情報を検出することは試みられていた。しかしながら、センサモジュールにおけるセンサの一部もしくはセンサ全体や、センサモジュールにおけるその他の構成部材の一部もしくはその他の構成部材の全部が口腔内に暴露されている。このため、生体への影響が懸念されるうえ、センサの劣化やセンサモジュールの劣化が生じやすいと考えられる。これに対し、生体情報検出モジュール2および生体情報検出装置1によれば、光センサ5は封止部材としてのシェル10により密封されているので、高い防水性および高い安全性が確保される。よって、生体情報検出モジュール2および生体情報検出装置1は、従来の生体情報検出モジュールに比べて長期信頼性に優れる。
【0029】
また、生体情報検出モジュール2では、操作棒RD(図3参照)を用い、生体情報検出モジュール2を覆うシェル10の下部10Bの上から一対の切り欠き6H1,6H2が形成する開口に対応する領域を押すことにより、メカスイッチ12の操作部124を操作することができる。また、そのような棒状の道具を用いなければ、メカスイッチ12の操作部124を操作することは事実上困難である。すなわち、庇部分62B1,62B2は、不用意な操作から保護する保護部材である。したがって、生体情報検出モジュール2によれば、誤動作の可能性を低減し、より高い動作信頼性を得ることができる。
【0030】
また、生体情報検出モジュール2では、送受信モジュール8の一部、例えば信号処理部4の少なくとも一部を、外装部材62の封止領域62Bによって取り囲むようにした。封止領域62Bにはアルミニウムなどの金属が含まれるので、封止領域62Bは信号処理部4に対するシールドとなる。その結果、信号処理部4の回路に及ぶノイズが遮蔽され、結果として光センサ5の検出精度が向上する。
【0031】
また、生体情報検出モジュール2では、電池6の外装部材62の封止領域62Bを、本体領域62Aと重ね合わせるように折り返す構造としたので、全体の寸法を縮小することができる。一般に、ラミネートフィルムの外装部材を用いた電池では、その外装部材に封入される電極構造体の寸法に関わらず所定の溶着しろ(封止領域)が必要となる。したがって、電極構造体が小型化するほど、電池全体の体積に占める溶着しろ(封止領域)の体積の割合が大きくなり、電池全体の小型化の妨げとなる。その点、この生体情報検出モジュール2では、本体領域62Aと重ね合わせるように封止領域62Bを折り返すようにしたので、省スペース化に有利となる。
【0032】
また、生体情報検出装置1によれば、光センサ5により生体情報を含む出力信号を取得し、その出力信号を、信号処理部4を介して送受信部3からネットワーク接続器7へ送信し、さらには外部のネットワークへ送信することができる。この出力信号を解析することにより、生体情報検出装置1が装着されるユーザである患者の、疾患に起因する特異的な生体情報を得ることができる。また、健康なユーザにおける日常の健康状態の変化を把握して、その健康状態の維持管理を行うこともできる。これらの情報はユーザ本人や担当医にとって非常に有益な情報となりうる。
【0033】
また、シェル10の下部10Bには第1の透光部分10T1および第2の透光部分10T2が設けられており、それらを介してシェル10の下部10Bの外界へ光を放出すると共に、その光を外界から取り込むようにしている。このため、例えば歯Tおよび歯茎Gなどから、光センサ5が生体情報を精度よく得ることができる。
【0034】
光センサ5は、下部10Bを介して上部10Aにより保持されることから、光センサ5と、歯Tおよび歯茎Gとの相対位置が安定し、検出精度の向上が見込める。
【0035】
また、光センサ5では、歯茎Gと対向配置された発光素子5Aから光を歯茎Gへ照射し、歯茎Gからの反射光を、歯茎Gと対向配置された受光素子5Bにより検出するようにした。このため、例えば口腔外の皮膚に光を照射し、その反射光を検出するようにした場合と比較して、より高精度の生体情報が得られる。また、比較的安定した温度環境にある口腔内に生体情報検出モジュール2が常時配置されるので、生体情報検出モジュール2が口腔外、例えば腕や指に装着するようにした場合と比べ、より高精度の生体情報が得られる。
【0036】
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1~4)について説明する。なお、実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0037】
[変形例1]
上記実施の形態では、保持部材としての上部10Aと封止部材としての下部10Bとを歯型23を用いたモールド成型により一括形成するようにしたが、例えば図11に示した本開示の第1の変形例(変形例1)としての生体情報検出装置1Aのような構成としてもよい。生体情報検出装置1Aは、生体情報検出モジュール2が埋設されたシェル10Cに、歯Tと係合する金具などの保持部材25を接合するようにしたものである。シェル10Cには、口腔内に装着される際に歯Tが挿通される穴2Hが設けられている。この生体情報検出装置1Aは、例えば上述の真空成形によりシェル10Cを作製すると共に、保持部材25をシェル10Cと接合することにより製造される。なお、生体情報検出装置1Aは、例えば熱硬化型のシリコーン樹脂を用いて、保持部材25の一部と生体情報検出モジュール2とをモールドすることによりシェル10Cを形成したものであってもよい。さらに、透明性の高いシリコーン樹脂を選択してシェル10Cを形成すれば、光センサ5による検出感度に有利となる。また、歯茎Gの色に近い色のシリコーン樹脂を選択してシェル10Cを形成すれば、生体情報検出装置1Aが目立たなくなり、審美性が向上する。
【0038】
[変形例2]
上記実施の形態の生体情報検出装置1は、歯茎Gに光を照射し、歯茎Gからの反射光を受光することにより、生体情報を検出するようにしたものである。これに対し、図12に示した本開示の第2の変形例(変形例2)の生体情報検出装置1Bは、口腔内の頬CHの内面に光を照射し、頬CHの内面からの反射光を受光することにより、生体情報を検出するものである。生体情報検出装置1Bでは、発光素子5Aは、第1の透光部分10T1を介して頬CHと対向するように配置され、受光素子5Bは、第2の透光部分10T2を介して頬CHと対向するように、発光素子5Aに近接して配置されている。したがって、生体情報検出モジュール2を覆うシェル10の下部10Bのうちの透光部分10Tは、生体情報検出モジュール2を挟んで歯茎Gと反対側に設けられている。生体情報検出装置1Bは、これらの点を除き、他は上記実施の形態の生体情報検出装置1と実質的に同じ構成を有する。この生体情報検出装置1Bにおいても、上記実施の形態の生体情報検出装置1と同様の効果が得られる。例えば被験者の歯茎Gの表面組織が良好ではなく安定した生体情報が得られにくいと判断される場合などに本変形例の生体情報検出装置1Cは有用である。
【0039】
[変形例3]
図13は、本開示の第3の変形例(変形例3)としての生体情報検出装置1Cの概略構成を表す断面図である。この生体情報検出装置1Cは、シェル10のうち歯Tの歯冠部TAを覆う部分に歪センサ31を埋設するようにしたものである。歪センサ31は、電池6と電力線により接続されると共に、信号処理部4と通信線により接続されている。歪センサ31は、電池6からの電力供給を受け、信号処理部4に対し検出信号を送信するようになっている。生体情報検出装置1Cは、この点を除き、他は上記実施の形態の生体情報検出装置1と実質的に同じ構成を有する。したがって、この生体情報検出装置1Cにおいても、上記実施の形態の生体情報検出装置1と同様の効果が得られる。そのうえ、歪センサ31を設けることにより、被験者が上顎の歯と下顎の歯とを咬み合せた際の咬合力や、歪センサ31に触れる被験者の頬や舌の圧力を測定することができる。咬合力や頬および舌の圧力などの情報を用いることで、例えば義歯やインプラントなどの人工の歯に必要とされる構造物強度の情報や歯列情報を得ることができる。なお、歪センサ31としては、例えば磁気歪みを利用した磁歪センサが適用可能である。また、歪センサ31の代わりに圧電素子などを用いた圧力センサの適用可能性もある。
【0040】
[変形例4]
図14は、本開示の第4の変形例(変形例4)としての生体情報検出装置1Dの概略構成を表す斜視図である。この生体情報検出装置1Dは、例えば生体情報検出モジュール2に、加速度センサ32をさらに設けるようにしたものである。加速度センサ32は、電池6と電力線により接続されると共に、信号処理部4と通信線により接続されている。加速度センサ32は、電池6からの電力供給を受け、信号処理部4に対し検出信号を送信するようになっている。生体情報検出装置1Dは、この点を除き、他は上記実施の形態の生体情報検出装置1と実質的に同じ構成を有する。したがって、この生体情報検出装置1Dにおいても、上記実施の形態の生体情報検出装置1と同様の効果が得られる。そのうえ、加速度センサ32を設けることにより、被験者の例えば上顎に対する下顎の動きを検出することができる。上顎と下顎との相対的な動きを検出することにより、例えば義歯やインプラントなどの人工の歯に必要とされる構造物強度の情報や、顎関節異常の有無などの診断に活用できる可能性がある。また、加速度センサ32の代わりにジャイロセンサを用いてもよい。
【0041】
<3.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例をいくつか挙げて本開示を説明したが、本開示はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0042】
例えば、上記実施の形態等では、連続する2つの歯冠部を覆うように装着されるシェル10を有する生体情報検出装置1を例示したが、本開示の生体情報検出装置はこれに限定されるものではない。本開示の生体情報検出装置は、例えば1つの歯冠部のみを覆うように装着されるシェルを有するものであってもよいし、3以上の歯冠部を覆うように装着されるシェルを有するものであってもよい。但し、誤飲防止を考慮すると、できる限り大きなシェルを有することが望ましく、例えば下顎の全ての歯もしくは上顎の全ての歯を覆うサイズのシェルを有することがより望ましい。
【0043】
また、上記実施の形態では、生体情報検出装置が1つのセンサを有する場合について説明したが、本開示の生体情報検出装置は2以上のセンサを有するようにしてもよい。さらに、上顎および下顎の双方に生体情報検出装置を装着するようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、生体情報検出モジュールおよび生体情報検出装置を口腔内に設置する場合を例示して説明するようにしたが、本開示の生体情報検出モジュールおよび生体情報検出装置は、これに限定されるものではない。口腔以外の生体内、例えば腹腔内に設置してもよい。あるいは、生体の内部ではなく、皮膚表面など、生体の外部に装着するようにしてもよい。
【0045】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0046】
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
センサと、
電極構造体と、前記電極構造体を覆う本体領域および前記本体領域からはみ出した封止領域を含み前記電極構造体が封入された外装部材と、を有する電池と、
前記外装部材の前記封止領域によって少なくとも一部が取り囲まれ、前記電池から前記センサへの電力供給がなされる通電状態と、前記電力供給が遮断される遮断状態との切り替えを行うメカスイッチと
を有する
生体情報検出モジュール。
(2)
前記メカスイッチは、自己保持型スイッチである
上記(1)記載の生体情報検出モジュール。
(3)
前記メカスイッチは、第1の導体と、第2の導体と、前記第1の導体と前記第2の導体とを接触させる接触動作および前記第1の導体と前記第2の導体とを離間させる離間動作を行う操作部とを有すると共に、前記外装部材の前記本体領域もしくは前記封止領域に設けられ、
前記外装部材の前記封止領域は、前記操作部から見て前記外装部材の前記本体領域と反対側に位置する庇部分を有し、
前記庇部分は、前記操作部に対応する位置に設けられた開口もしくは切り欠きを有する
上記(1)または(2)に記載の生体情報検出モジュール。
(4)
前記センサ、前記電池および前記メカスイッチを全て密封する封止部材をさらに有する
上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の生体情報検出モジュール。
(5)
前記センサは、光を発することのできる発光素子、および前記発光素子から発せられた前記光を受光可能な受光素子を含み、
前記封止部材は、前記発光素子を覆うと共に前記光を透過可能な第1の透光部分および前記受光素子を覆うと共に前記光を透過可能な第2の透光部分を含む
上記(4)記載の生体情報検出モジュール。
(6)
前記発光素子は、前記第1の透光部分を介して歯茎と対向するように配置され、
前記受光素子は、前記第2の透光部分を介して前記歯茎と対向するように配置されている
上記(4)記載の生体情報検出モジュール。
(7)
前記発光素子は、前記第1の透光部分を介して頬の内面と対向するように配置され、
前記受光素子は、前記第2の透光部分を介して前記頬の内面と対向するように配置されている
上記(5)記載の生体情報検出モジュール。
(8)
前記光は、400nm以上1000nm以下の波長を有する
上記(5)から(7)のいずれか1つに記載の生体情報検出モジュール。
(9)
前記封止部材に封止され、前記電池からの電力供給を受けて前記センサからの出力信号に基づきデータ信号を生成する信号処理部と、
前記封止部材に封止され、前記電池からの電力供給を受けて前記信号処理部からの前記データ信号を外部装置に送信可能であると共に前記外部装置からの制御信号を受信可能である送受信部と
をさらに有する
上記(5)から(8)のいずれか1つに記載の生体情報検出モジュール。
(10)
前記信号処理部の少なくとも一部は、前記外装部材の前記封止領域によって取り囲まれている
上記(9)記載の生体情報検出モジュール。
(11)
前記第1の透光部分および前記第2の透光部分は、熱可塑性高分子化合物により形成されている
上記(5)から(10)のいずれか1つに記載の生体情報検出モジュール。
(12)
前記センサは、脈波センサ、パルスオキシメータまたはグルコースセンサである
上記(1)から(11)のいずれか1つに記載の生体情報検出モジュール。
(13)
物理量を測定する他のセンサをさらに有する
上記(1)から(12)のいずれか1つに記載の生体情報検出モジュール。
(14)
生体情報検出モジュールと、
生体内に前記生体情報検出モジュールを保持する保持部材と
を備え、
前記生体情報検出モジュールは、
センサと、
電極構造体と、前記電極構造体を覆う本体領域および前記本体領域からはみ出した封止領域を含み前記電極構造体が封入された外装部材と、を有する電池と、
前記外装部材の前記封止領域によって少なくとも一部が取り囲まれ、前記電池から前記センサへの電力供給がなされる通電状態と、前記電力供給が遮断される遮断状態との切り替えを行うメカスイッチと
を有する
生体情報検出装置。
(15)
センサを用意することと、
電極構造体と、前記電極構造体を覆う本体領域および前記本体領域からはみ出した封止領域を含み前記電極構造体が封入された外装部材とを有する電池、を用意することと、
前記電池から前記センサへの電力供給がなされる通電状態と、前記電力供給が遮断される遮断状態との切り替えを行うメカスイッチ、を用意することと、
前記メカスイッチを前記電池に載置したのち、前記外装部材の前記封止領域を折り曲げることにより、前記メカスイッチの少なくとも一部を前記封止領域によって取り囲むことと
を含む生体情報検出モジュールの製造方法。
(16)
生体内に設置される生体情報検出装置の製造方法であって、
センサを用意することと、
電極構造体と、前記電極構造体を覆う本体領域および前記本体領域からはみ出した封止領域を含み前記電極構造体が封入された外装部材とを有する電池、を用意することと、
前記電池から前記センサへの電力供給がなされる通電状態と、前記電力供給が遮断される遮断状態との切り替えを行うメカスイッチ、を用意することと、
前記メカスイッチを前記電池に載置したのち、前記外装部材の前記封止領域を折り曲げることにより、前記メカスイッチの少なくとも一部を前記封止領域によって取り囲むことにより生体情報検出モジュールを形成することと、
前記生体情報検出モジュールを一対の封止フィルムの間に挟んだのち、前記一対の封止フィルムを加熱しつつモールド成型することにより、前記生体情報検出モジュールが密封された封止部材を形成することと
を含む生体情報検出装置の製造方法。
【符号の説明】
【0047】
1,1A~1C…生体情報検出装置、2…生体情報検出モジュール、2H…穴、3…送受信部、4…信号処理部、5…光センサ、6…電池、61…電極構造体、62…外装部材、62A…本体領域、62B…封止領域、62B1,62B2…庇部分、7…ネットワーク接続器、8…送受信モジュール、9A,9B…封止フィルム、10…シェル、11…実装基板、12,12A…メカスイッチ、121…第1の導体、122…第2の導体、123…本体、123A…底部、123B…壁部、123G…保護部、124…操作部、23…歯型、24…ヒータ、31…歪センサ、32…加速度センサ、G…歯茎、T…歯、RD…操作棒。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14