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特許7126217ジアミン組成物、およびジイソシアネート組成物の調製方法
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  • 特許-ジアミン組成物、およびジイソシアネート組成物の調製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】ジアミン組成物、およびジイソシアネート組成物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 263/10 20060101AFI20220819BHJP
   C07C 265/14 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
C07C263/10
C07C265/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020199067
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2021091672
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】10-2019-0161450
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0162101
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0054128
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508148079
【氏名又は名称】エスケイシー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SKC CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】520471829
【氏名又は名称】ウリ ファイン ケム シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】WOORI FINE CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】179,Baekhaksandan-gil,Baekhak-myeon,Yeoncheon-gun,Gyeonggi-do 11049,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ベ、ジェヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョンム
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ヒョクヒ
(72)【発明者】
【氏名】ミョン、ジョンファン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジュヨン
(72)【発明者】
【氏名】キョン、ミョンオク
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-525303(JP,A)
【文献】特開2003-026639(JP,A)
【文献】国際公開第2006/001298(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/190290(WO,A1)
【文献】特開平05-246973(JP,A)
【文献】特開平08-034774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 211/
C07C 265/
C07C 263/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアミン組成物を塩酸水溶液と反応させてジアミン塩酸塩組成物を得る段階と、
前記ジアミン塩酸塩組成物およびトリホスゲンを用いてジイソシアネート組成物を得る段階とを含み、
前記ジアミンと塩酸水溶液との反応後に第1有機溶媒をさらに投入して、前記ジアミン塩酸塩組成物を固相で得る段階を更に含み、
前記ジアミン組成物が、ジアミン;および10ppm~2000ppmの含有量でメチル基を有するベンジルモノアミンを含む、ジイソシアネート組成物の調製方法。
【請求項2】
前記ジアミン塩酸塩組成物が、メチル基を有するベンジルモノアミン塩酸塩を含み、
前記メチル基を有するベンジルモノアミン塩酸塩が、前記トリホスゲンとの反応によりメチル基を有するベンジルイソシアネートが生成され、
前記メチル基を有するベンジルイソシアネートが、前記ジイソシアネート組成物内に5ppm~200ppmの量で含まれ、
前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量に対する、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートの生成比が0.05~0.9である、請求項1に記載のジイソシアネート組成物の調製方法。
【請求項3】
前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応後に得た反応結果物を蒸留する段階をさらに含み、
前記蒸留が、前記反応結果物を40℃~60℃にて2時間~8時間の1次蒸留と、
100℃~120℃にて2時間~10時間の2次蒸留とを含む、請求項2に記載のジイソシアネート組成物の調製方法。
【請求項4】
前記ジアミン塩酸塩組成物および前記トリホスゲンが1:1~5の当量比で反応に投入され、
前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応が110℃~160℃の温度にて行われる、請求項1に記載のジイソシアネート組成物の調製方法。
【請求項5】
前記ジアミン塩酸塩組成物を得た後、前記ジアミン塩酸塩組成物を処理する段階をさらに含み、
前記処理済みのジアミン塩酸塩組成物が前記トリホスゲンと反応して、前記ジイソシアネート組成物が調製される、請求項1に記載のジイソシアネート組成物の調製方法。
【請求項6】
ジアミン組成物を塩酸水溶液と反応させてジアミン塩酸塩組成物を得る段階と、
前記ジアミン塩酸塩組成物およびトリホスゲンを用いてジイソシアネート組成物を得る段階とを含み、
前記ジアミンと塩酸水溶液との反応後に第1有機溶媒をさらに投入して、前記ジアミン塩酸塩組成物を固相で得る段階を更に含み、
前記ジアミン組成物が、CIE色座標による0.01~3.0のb*値を有する、ジイソシアネート組成物の調製方法。
【請求項7】
前記ジイソシアネート組成物の調製方法は、前記ジアミン塩酸塩組成物を得る段階の前に、
前記ジアミン組成物のCIE色座標によるb*値を測定する段階と、
前記b*値を0.01~3.0に調節する段階とをさらに含む、請求項6に記載のジイソシアネート組成物の調製方法。
【請求項8】
前記b*値の調節は、前記ジアミン組成物を1回以上蒸留することを含み、
前記ジアミン組成物の蒸留は、100℃~130℃の温度および0.1tоrr~1tоrrの圧力条件で行われ、
前記ジアミン組成物がCIE色座標による0.01~1.0のb*値を有する、請求項7に記載のジイソシアネート組成物の調製方法。
【請求項9】
前記ジアミン塩酸塩組成物は、水に8重量%の濃度で溶解する際、CIE色座標による1.2以下のb*値を有し、
前記ジイソシアネート組成物は、CIE色座標による0.01~2.0のb*値を有する、請求項6に記載のジイソシアネート組成物の調製方法。
【請求項10】
前記ジイソシアネート組成物は、前記ジアミン塩酸塩組成物をトリホスゲンと反応させた後、蒸留して得られたものであり、前記蒸留は、100℃~130℃の温度および2tоrr以下の圧力条件におけるジイソシアネート蒸留を含む、請求項6に記載のジイソシアネート組成物の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、ジアミン組成物およびジイソシアネート組成物の調製方法に関するものである。具体的に、実現例はジアミン組成物、およびこれを用いてジイソシアネート組成物を調製する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック光学材料は、ガラスのような無機材料からなる光学材料に比べて、軽量でありながら簡単に割れなく染色性に優れているため、様々な樹脂のプラスチック材料が眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学材料として広く利用されている。最近では、より一層光学材料の高性能化が求められており、具体的に高透明性、高屈折率、低比重、高耐熱性、高耐衝撃性などが求められている。
【0003】
ポリチオウレタンは、その優れた光学的特性および機械的物性により、光学材料として広く使用されている。ポリチオウレタンは、チオールとイソシアネートとを反応させて調製することができ、ポリチオウレタンから製造されたレンズは、屈折率が高く軽量で比較的耐衝撃性が高いため、広く使用されている。
【0004】
ポリチオウレタンの原料として用いられるイソシアネートは、官能基の数と位置などによって、互いに異なる構造のポリチオウレタンとして合成されるので、これにより製造される製品の物性に大きな影響を与える。これによって、目的とする最終製品の物性が図れる特定種類のイソシアネートを利用している。
【0005】
特に、キシリレンジイソシアネート(XDI)は、脂環式イソシアネートの特性(耐黄変性、調節が容易な反応性など)と、脂肪族イソシアネートの特性(機械的物性、屈折率など)とを同時に有しているため、光学材料の用途で有用に使用されている。
【0006】
このようなキシリレンジイソシアネートは、ジイソシアネート基の相対的な位置により、オルトキシリレンジイソシアネート(o-XDI)、メタキシリレンジイソシアネート(m-XDI)、およびパラキシリレンジイソシアネート(p-XDI)に区分されるが、中でもm-XDIは、光学レンズの物性に適しており、市販品の購入が容易であるため、光学レンズの原料として最も広く使用されている。
【0007】
しかし、m-XDIを光学材料に用いる場合にも、光学材料において、脈理、白濁または黄変などが発生し、満足のいく光学的特性を実現するのには限界があり、脈理、白濁または黄色度などの光学的特性を満足したとしても、耐衝撃性が低下し、これを同時に満足するためには依然として困難がある。
【0008】
したがって、光学的特性と機械的特性とを同時に向上させ、高品質の光学材料を実現するために、特定範囲の組成を有するジイソシアネート組成物または調製方法の開発が切実に必要なのが実情である。
【0009】
また、プラスチック光学レンズの原料として用いられるイソシアネートは、ホスゲン法、非ホスゲン法、熱分解法などによって調製される。
【0010】
前記ホスゲン法は、原料アミンをホスゲン(COCl)ガスと反応させてイソシアネートを合成するものであり、また、非ホスゲン法は、キシリレンクロリドを触媒の存在下でシアン酸ナトリウムと反応させてイソシアネートに合成するものであり、前記熱分解法は、アミンをアルキルクロロホルメートと反応させてカルバメートを調製した後、触媒の存在下の高温にて熱分解してイソシアネートを合成するものである。
【0011】
これらのイソシアネートの調製法の中でホスゲン法が最も広く使用されており、特に、アミンにホスゲンガスを直接反応させる直接法が一般的に利用されてきたが、これはホスゲンガスの直接反応のための多数の装置を必要とする問題があった。一方、前記直接法を補完するために、特許文献1のように、アミンに塩化水素ガスを反応させ中間物質であるアミン塩酸塩を得て、これをホスゲンと反応させる塩酸塩法が開発された。
【0012】
しかし、従来のイソシアネートの合成のためのホスゲン法の中でアミンを塩化水素ガスと反応させて中間物質として塩酸塩を得る方法は、常圧で塩酸塩が微粒子として生成され、反応器内部の撹拌状態がスムーズではないので、反応器内部の圧力を高めるために温度を上昇させる追加工程が必要であり、最終製品の収率も低い問題があった。
【0013】
そこで、塩化水素ガスではなく、塩酸水溶液を用いて塩酸塩を得ようとする試みがあるが、塩酸水溶液中にアミンが溶解され収率が50%まで大きく落ちて、実際に適用するのが難しく、最終製品の純度を高めるために、原料として水分や不純物の含有量の低いアミンを利用しなければならない難しさがあった。また、従来のホスゲン法で用いられるホスゲンガスは、猛毒性により環境規制対象の物質であり、これを保管するために別途の冷却装置が必要なので保管および管理が難しい問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】韓国登録特許第10-1994-0001948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前記従来技術の問題を解決するために考案されたものであり、ジアミン組成物内でメチル基を有するベンジルモノアミンを特定の含有量で含むことにより、前記ジアミン組成物を用いて効果的に光学材料の物性を満たせることを明らかにした。
【0016】
したがって、実現例の目的は、ジアミン組成物内で前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量を調節して、光学材料の脈理および白濁の発生を防止するとともに、耐衝撃性を向上させ得る、ジアミン組成物を提供するものである。
【0017】
また、プラスチック光学レンズの原料として主に用いられるジイソシアネートをジアミン組成物から塩酸塩を経て調製する過程において、塩化水素ガスの代わりに塩酸水溶液と有機溶媒とを用い、ホスゲンガスの代わりに固相のトリホスゲンを用いて、反応条件を調節して、従来の環境、収率および品質問題を解決することができた。
【0018】
さらに、本発明者らは、ジアミン組成物の保管中にジアミンに二重結合が形成されるなどの酸化が起きるようになり、その結果、これを利用して得られたジイソシアネート組成物の純度と収率の低下、および最終的な光学レンズの白濁や黄変を発生させることに注目した。特に、本発明者らは、ジアミン組成物のCIE色座標によるb*値が、このようなジアミン組成物の酸化程度に関連性を有することに注目した。
【0019】
そこで、本発明者らが研究した結果、ジイソシアネート組成物の調製に用いられるジアミン組成物のCIE色座標によるb*値を特定範囲に調節して、ジイソシアネート組成物の収率と純度だけでなく、最終的な光学レンズの光学的特性を向上させ得ることを見出した。
【0020】
したがって、実現例の目的は、CIE色座標によるb*値が調節されたジアミン組成物を利用して、純度および収率が向上されたジイソシアネート組成物を調製する方法、および光学的特性が向上された光学レンズを製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
実現例によると、ジアミン;および10ppm~2000ppmの含有量でメチル基を有するベンジルモノアミンを含む、ジアミン組成物が提供される。
【0022】
他の具現例によると、ジアミン組成物を塩酸水溶液と反応させてジアミン塩酸塩組成物を得る段階と、前記ジアミン塩酸塩組成物およびトリホスゲンを用いてジイソシアネート組成物を得る段階とを含み、前記ジアミン組成物がジアミン、および10ppm~2000ppmの含有量でメチル基を有するベンジルモノアミンを含む、ジイソシアネート組成物の調製方法が提供される。
【0023】
また他の実現例によると、ジアミン組成物を塩酸水溶液と反応させてジアミン塩酸塩組成物を得る段階と、前記ジアミン塩酸塩組成物およびトリホスゲンを用いてジイソシアネート組成物を得る段階とを含み、前記ジアミン組成物がCIE色座標による0.01~3.0のb*値を有する、ジイソシアネート組成物の調製方法が提供される。
【発明の効果】
【0024】
実現例によると、メチル基を有するベンジルモノアミンを特定の含有量で含むジアミン組成物を用いることにより、ポリチオウレタン系光学材料の製造に用いられるジイソシアネート組成物の組成を調節することができ、これにより高品質の光学材料を製造し得る。
【0025】
すなわち、高品質の光学材料のためにメチル基を有するベンジルモノアミンを特定の含有量で含むジアミン組成物を利用することにより、黄色度、脈理および白濁の発生防止などの光学的特性を改善するとともに、耐衝撃性などの機械的物性を向上させ得る。
【0026】
また、ジイソシアネート組成物の調製に用いられるジアミン組成物のCIE色座標によるb*値を特定範囲に調節して、ジイソシアネート組成物の収率と純度だけでなく、最終的な光学レンズの光学的特性を向上させ得る。具体的には、前記b*値を特定範囲内に調節することにより、ジアミン組成物内に存在するジアミンの酸化程度が制御され得、その結果、ジイソシアネート組成物を調製する過程において副反応を抑制し得る。
【0027】
また、好ましい実現例によるジイソシアネート組成物の調製方法は、中間物質であるジアミン塩酸塩の調製に塩化水素ガスを使用せず塩酸水溶液を利用することにより、常圧においても反応が進行可能なので、高温加熱および冷却のための追加の装置が必要なく、収率も向上させ得る。
【0028】
また、前記ジイソシアネート組成物の調製方法は、塩酸水溶液と一緒に有機溶媒を用い反応条件を調節してジアミン塩酸塩組成物を調製することにより、塩酸水溶液内に塩酸塩が溶解されることを最小化して、最終収率をさらに高めることができ、原料ジアミン組成物内の水分および不純物の含有量に大きく影響を受けないので、原料選択の幅が大きくなる。また、保管および管理が難しく猛毒であるホスゲンガスを使用せず、常温にて固体状として別途の冷却保管装置を必要とせず、毒性の少ないトリホスゲンを使用するので、取扱性および工程性に優れる。
【0029】
したがって、前記実現例によるジイソシアネート組成物の調製方法は、高品質のプラスチック光学レンズの製造に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、一実現例によるジイソシアネート組成物の調製方法を概略的に示すものである。
図2図2は、ジアミン塩酸塩とトリホスゲンとの反応のための工程装置の例示を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除外することではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0032】
また、本明細書に記載された構成成分の物性値、含有量、寸法等を表すすべての数値範囲は、特に記載がない限り、すべての場合において「約」という用語で修飾されるものと理解するべきである。
【0033】
本明細書で、「アミン(amine)」は、末端にアミン基を1個以上有する化合物のことを意味し、「ジアミン(diamine)」は、末端にアミン基を2個有する化合物のことを意味し、脂肪族鎖、脂環式、芳香族環の骨格により非常に多様な構造を有し得る。前記ジアミンの具体的な例としては、キシリレンジアミン(XDA)、ヘキサメチレンジアミン(HDA)、2,2-ジメチルペンタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサンジアミン、ブテンジアミン、1,3-ブタジエン-1、4-ジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(アミノエチル)カーボネート、4,4'-メチレンジアミン(MDA)、ビス(アミノエチル)エーテル、ビス(アミノエチル)ベンゼン、ビス(アミノプロピル)ベンゼン、α,α,α',α'-テトラメチルキシリレンジアミン、ビス(アミノブチル)ベンゼン、ビス(アミノメチル)ナフタレン、ビス(アミノメチル)ジフェニルエーテル、フタル酸ビス(アミノエチル)、2,6-ジ(アミノメチル)フラン、水添キシリレンジアミン(H6XDA)、ジシクロヘキシルメタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン(IPDA)、ジシクロヘキシルジメチルメタンジアミン、2,2-ジメチルジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプタン、2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプタン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、3,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ノルボルネンジアミン(NBDA)、ビス(アミノメチル)スルフィド、ビス(アミノエチル)スルフィド、ビス(アミノプロピル)スルフィド、ビス(アミノヘキシル)スルフィド、ビス(アミノメチル)スルホン、ビス(アミノメチル)ジスルフィド、ビス(アミノエチル)ジスルフィド、ビス(アミノプロピル)ジスルフィド、ビス(アミノメチルチオ)メタン、ビス(アミノエチルチオ)メタン、ビス(アミノエチルチオ)エタン、ビス(アミノメチルチオ)エタンなどが挙げられる。より具体的に、前記ジアミンは、キシリレンジアミン(XDA)、ノルボルネンジアミン(NBDA)、水添キシリレンジアミン(H6XDA)、イソホロンジアミン(IPDA)、およびヘキサメチレンジアミン(HDA)からなる群より選択される1種以上であり得る。前記キシリレンジアミン(XDA)は、オルトキシリレンジアミン(o-XDA)、メタキシリレンジアミン(m-XDA)、およびパラキシリレンジアミン(p-XDA)を含む。
【0034】
本明細書で「イソシアネート(isocyanate)」は、NCO基を有する化合物のことを意味し、「ジイソシアネート(diisocyanate)」は、末端にNCO基を2個有する化合物のことを意味し、脂肪族鎖、脂環式、芳香族環の骨格により非常に多様な構造を有し得る。前記ジイソシアネートの具体的な例としては、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,5-ビス(イソシアネートメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6-ビス(イソシアネートメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,2-ジイソシアネートベンゼン、1,3-ジイソシアネートベンゼン、1,4-ジイソシアネートベンゼン、2,4-ジイソシアネートトルエン、エチルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)、1,2-ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン、1,2-ビス(イソシアネートエチル)ベンゼン、1,3-ビス(イソシアネートエチル)ベンゼン、1,4-ビス(イソシアネートエチル)ベンゼン、α,α,α',α'-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)ナフタレン、ビス(イソシアネートメチルフェニル)エーテル、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、ビス(イソシアネートメチル)スルフィド、ビス(イソシアネートエチル)スルフィド、ビス(イソシアネートプロピル)スルフィド、2,5-ジイソシアネートテトラヒドロチオフェン、2,5-ジイソシアネートメチルテトラヒドロチオフェン、3,4-ジイソシアネートメチルテトラヒドロチオフェン、2,5-ジイソシアネート-1,4-ジチアン、2,5-ジイソシアネートメチル-1,4-ジチアンなどが挙げられる。より具体的に、前記ジイソシアネートは、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)からなる群より選択される1種以上であり得る。前記キシリレンジイソシアネート(XDI)は、オルトキシリレンジイソシアネート(o-XDI)、メタキシリレンジイソシアネート(m-XDI)、およびパラキシリレンジイソシアネート(p-XDI)を含む。
【0035】
本明細書において「組成物」とは、公知の通り、2種以上の化学的成分が個々の固有の特性を概ね維持したままで固相、液相および/または気相で混合または複合された形態のことを意味し得る。
【0036】
前記実現例による各反応段階で用いられる化合物(例えば、トリホスゲン)や反応の結果得られる化合物(例えば、ジアミン塩酸塩、ジイソシアネート)は、通常、各反応段階で未反応試料の残留、副反応や水分との反応、または化合物の自然分解により生じる異種の成分と混合または結合された状態で存在し、これらの異種成分は数回の精製を経ても微量が残り、主成分とともに存在し得る。
【0037】
前記実現例によると、主化合物と混合または結合されたこのような異種成分に注目しているので、微量の異種成分であっても主化合物と混合または結合された状態を組成物として扱い、その成分および含有量を具体的に例示している。
【0038】
また、本明細書には、様々な組成物間において明確かつ容易に区分するために、組成物内の主成分の名称とともに複合して用語を記載することもあり、例えば「ジアミン塩酸塩組成物」は、ジアミン塩酸塩を主成分として含む組成物のことを指し、「ジイソシアネート組成物」は、ジイソシアネートを主成分として含む組成物のことを指す。この際、組成物内の主成分の含有量は、50重量%以上、80重量%以上、または90重量%以上であり得、例えば、90重量%~99.9重量%であり得る。
【0039】
本明細書においてppm単位は、重量を基準にしたppmを意味する。
【0040】
[ジアミン組成物]
実現例によるジアミン組成物は、ジアミン;および10ppm~2000ppmの含有量でメチル基を有するベンジルモノアミンを含む。
【0041】
本発明の一実現例によると、前記メチル基を有するベンジルモノアミンは、前記ジアミン組成物に人為的に添加され得る。
【0042】
また、前記メチル基を有するベンジルモノアミンは、ジアミン組成物の調製工程の中で発生し得る。
【0043】
具体的に、前記メチル基を有するベンジルモノアミンは、前記ジアミン組成物の調製工程の中で発生され得、一部は人為的に添加され得る。すなわち、前記メチル基を有するベンジルモノアミンは、前記ジアミン組成物の調製工程の中で発生され得、少ない量で発生する場合は、前記組成物内で10ppm~2000ppmの含有量となるよう組成物に人為的に添加し得る。
【0044】
本発明の実現例によると、メチル基を有するベンジルモノアミンを特定の含有量で含むジアミン組成物を利用して、ジイソシアネート組成物および光学材料に利用する際、光学材料の黄色度、脈理および白濁の発生防止などの光学的特性を改善するとともに、耐衝撃性などの機械的物性を同時に向上させ得る。
【0045】
具体的に、前記ジアミン組成物がメチル基を有するベンジルモノアミンを特定範囲で含む場合、これを利用して調製されたジイソシアネート組成物は、イソシアネート官能基が1個である特定の成分、すなわち、メチル基を有するベンジルイソシアネートを特定含有量で含み得る。
【0046】
また、前記特定含有量のメチル基を有するベンジルイソシアネートを含むジイソシアネート組成物を用いて、チオールまたはエピスルフィドと一緒にポリチオウレタン反応により光学材料を製造する際、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートによるポリチオウレタン反応進行時にイソシアネート官能基が1個であるため、架橋反応を中断させてポリチオウレタンの流動性(flexibility)の増加を促し得る。したがって、これを利用して光学レンズなどの光学材料を製造する場合、脈理および白濁の発生を防止することができると同時に耐衝撃性を向上させ得る。
【0047】
本発明の実現例によると、前記メチル基を有するベンジルモノアミンは、特定の芳香族構造を有するメチル基を有するベンジルモノアミンを含み、具体的にオルト(o)位にメチル基が置換された2-メチルベンジルアミン、メタ(m)位にメチル基が置換された3-メチルベンジルアミン、およびパラ(p)位にメチル基が置換された4-メチルベンジルアミンからなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0048】
例えば、前記メチル基を有するベンジルモノアミンは、メタ(m)位にメチル基が置換された3-メチルベンジルアミンおよびパラ(p)位にメチル基が置換された4-メチルベンジルアミンからなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0049】
また、前記メチル基を有するベンジルモノアミンは、メタ(m)位にメチル基が置換された3-メチルベンジルアミンおよびオルト(o)位にメチル基が置換された2-メチルベンジルアミンからなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0050】
より具体的に、前記メチル基を有するベンジルモノアミンは、メタ(m)位にメチル基が置換された下記化学式1の化合物を含み得る。
【0051】
[化1]

【0052】
本発明の実現例によると、前記ジアミン組成物内に含まれる前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量は、10ppm~2000ppm、100ppm~2000ppm、500ppm~2000ppm、500ppm~1000ppm、1000ppm~2000ppm、10ppm~1500ppm、10ppm~1000ppm、10ppm~800ppm、10ppm~500ppm、10ppm~300ppm、または10ppm~100ppmであり得る。前記組成物内に含まれるメチル基を有するベンジルモノアミンの含有量を前記範囲に制御することにより、これを用いて製造された光学材料は、耐衝撃性を向上させながらも脈理および白濁の発生を同時に防止し得る。
【0053】
前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量を制御できないと、前記光学材料は耐衝撃性が低下し、耐衝撃性を維持したとしても脈理および白濁が発生し得る。例えば、前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量が10ppm未満であると、前記ジアミン組成物を用いて製造された光学材料の耐衝撃性が低下し得る。一方、前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量が2000ppmを超えると、前記ジアミン組成物を用いて製造された光学材料の耐衝撃性は向上され得るが、脈理または白濁が発生し得る。
【0054】
なお、前記ジアミン組成物は、前記組成物の総重量を基準に、ジアミンを99重量%以上~100重量%未満の量で含み得る。例えば、前記ジアミン組成物内のジアミンの含有量は、90重量%以上、95重量%以上、99.5重量%以上、または99.9重量%以上であり得、具体的に90重量%~99.9重量%であり得る。
【0055】
前記ジアミンは、キシリレンジアミンを含み得、前記キシリレンジアミンはオルトキシリレンジアミン(о-XDA)、メタキシリレンジアミン(m-XDA)、およびパラキシリレンジアミン(p-XDA)からなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0056】
実現例によるジアミン組成物は、メタキシリレンジアミン(m-XDA)を99重量%以上~100重量%未満、例えば99.5重量%以上~100重量%未満、または99.7重量%以上~100重量%未満で含み得る。
【0057】
前記メタキシリレンジアミンが前記含有量未満で組成物に含まれると、これを用いてジイソシアネート組成物を調製する場合、前記メタキシリレンジアミンの含有量に応じて塩酸水溶液との反応によって生成され得るメタキシリレンジイソシアネートの含有量が減少し得る。この場合、重合反応性および硬化物の化学構造の不均一に起因して、最終製品の光学的特性(特に、脈理現象、透過度など)のみならず、機械的物性(耐衝撃性、引張強度など)が阻害され得、その他混入される成分により黄変現象が発生し得る。
【0058】
一実現例によると、ジアミン組成物内で前記化学式1の化合物を100ppm~2000ppm含み、前記メタキシリレンジジアミンを前記組成物の総重量を基準に99.5重量%以上~100重量%未満の量で含み得る。
【0059】
また、前記パラキシリレンジアミンは、前記組成物の総重量を基準に、0重量%超~0.5重量%以下、0重量%超~0.3重量%以下、0重量%超~0.15重量%以下、0重量%超~0.1重量%以下、0重量%超~0.05重量%以下、0重量%超~0.03重量%以下、または0重量%超~0.01重量%以下で含まれ得る。
【0060】
前記パラキシリレンジアミンが前記含有量を超えで組成物に含まれる場合、これを用いてジイソシアネート組成物を調製すると、前記パラキシリレンジアミンの含有量に応じて塩酸水溶液との反応により生成され得るパラキシリレンジイソシアネートの含有量が過剰に多く生成され得、この場合、反応性の差に起因する重合不均一または重合体の化学構造変化による結晶化により、脈理の発生や透過率が低くなるなどと、光学的特性が阻害され得る。
【0061】
したがって、前記のように組成が制御されたジアミン組成物を用いて製造された製品は、高い光学的特性を満たすのみならず、優れた機械的物性が実現できるので、光学材料、具体的にプラスチック光学レンズの製造において有用に使用され得る。
【0062】
特に、前記実現例によると、前記ジアミン組成物のCIE色座標によるb*値は、0.01~3.0の範囲内に調節される。
【0063】
このように、ジアミン組成物のCIE色座標によるb*値の範囲を調節して、ジイソシアネート組成物の収率と純度だけでなく、最終的な光学レンズの光学的特性を向上させ得る。具体的には、ジアミン組成物の保管中にジアミンに二重結合が形成されるなどの酸化が起きるようになり、その結果、これを利用して得られたジイソシアネート組成物の純度と収率低下、および最終的な光学レンズの白濁や黄変を発生させ得る。このようなジアミン組成物の酸化程度は、ジアミン組成物のCIE色座標によるb*値に関連性を持つので、前記b*値を特定範囲内に調節することにより、ジアミン組成物中に存在するジアミンの酸化程度が制御され得、その結果、ジイソシアネート組成物を調製する過程において副反応を抑制し得る。
【0064】
例えば、前記ジアミン組成物のCIE色座標によるb*値は、0.01以上、0.1以上、0.3以上、0.5以上、0.7以上、1.0以上、1.3以上、または1.5以上であり得る。また、前記b*値は、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、または1.0以下であり得る。例えば、前記ジアミン組成物は、CIE色座標による0.01~1.0のb*値を有し得る。具体的に、前記ジアミン組成物のCIE色座標によるb*値は、0.1~3.0、0.1~2.5、0.1~2.0、0.1~1.5、0.1~1.0、0.5~3.0、1.0~3.0、または1.5~3.0であり得る。
【0065】
前記ジアミン組成物のCIE色座標によるb*値は、ジアミン組成物を反応に投入する前に予め調節され得る。例えば、前記ジアミン組成物のCIE色座標によるb*値を予め測定し、もし測定されたb*値が3.0を超える場合はジアミン組成物のb*値を調節してから反応に投入し得る。
【0066】
つまり、また他の実現例によるジイソシアネート組成物の調製方法は、ジアミン組成物を得る段階の前に、前記ジアミン組成物のCIE色座標によるb*値を測定する段階と、前記b*値を0.01~3.0に調節する段階とをさらに含み得る。
【0067】
前記b*値の測定は、色差計などを利用して行うことができ、具体的に、液状サンプルの場合は厚さ10mmの石英セルに満たし、固体サンプルの場合は有機溶媒に溶解してから、b*値を測定し得る。
【0068】
前記b*値を調節する方法は特に限定されないが、例えば、前記ジアミン組成物を1回以上蒸留することを含み得る。
【0069】
このようなジアミン組成物の蒸留時の温度は、例えば100℃~130℃であり得る。具体的に、前記蒸留は蒸留器の底(bottom)の温度を100℃~130℃に設定して行われ得る。例えば、前記蒸留は、リボイラー(reboiler)の温度を100℃~130℃に設定して行われ得る。
【0070】
また、前記ジアミン組成物の蒸留時の圧力は、2.0torr以下、1.0torr以下、0.5torr以下、または0.1torr以下であり得る。
【0071】
具体的に、前記ジアミン組成物の蒸留は、例えば、100℃~130℃の温度および0.1torr~1torrの圧力条件で行われ得る。前記好ましい範囲内のとき、ジアミン組成物の保管中に二重結合が形成されたジアミンのような酸化物を効果的に除去し得る。
【0072】
また、前記蒸留時間は1時間以上、2時間以上、または3時間以上であり得、10時間以下、または5時間以下であり得る。
【0073】
このような蒸留の後に、ジアミン組成物のCIE色座標によるb*値を測定する段階をさらに行っても良く、その結果、測定されたb*値が3.0を超える場合、再度蒸留などによりジアミン組成物のb*値を調節し得る。
【0074】
その結果、前記ジアミン組成物のCIE色座標によるb*値が0.01~3.0に調節され得る。
【0075】
[ジイソシアネート組成物の調製方法]
本発明の実現例により、前記のように組成が制御されたジアミン組成物を用いて、ジイソシアネート組成物を調製し得る。
【0076】
他の実現例によるジイソシアネート組成物の調製方法は、ジアミン組成物を塩酸水溶液と反応させてジアミン塩酸塩組成物を得る段階と、前記ジアミン塩酸塩組成物およびトリホスゲンを用いてジイソシアネート組成物を得る段階とを含み、前記ジアミン組成物がジアミン、および10ppm~2000ppmの含有量でメチル基を有するベンジルモノアミンを含む。
【0077】
また他の実現例によると、ジアミン組成物を塩酸水溶液と反応させてジアミン塩酸塩組成物を得る段階と、前記ジアミン塩酸塩組成物およびトリホスゲンを用いてジイソシアネート組成物を得る段階とを含み、前記ジアミン組成物がCIE色座標による0.01~3.0のb*値を有する、ジイソシアネート組成物の調製方法が提供される。
【0078】
図1は、一実現例によるジイソシアネート組成物の調製方法を概略的に示すものである。図1の(a)および(b)において、Rは、芳香族環、脂環式、脂肪族鎖などを含み、具体的な例として、Rは、キシリレン、ノルボルネン、水添キシリレン、イソホロン、またはヘキサメチレンであり得るが、これに限定されない。
【0079】
図1(a)において(i)は、塩酸水溶液を添加することにより、ジアミンと塩酸水溶液とを反応させる段階を含み得る。図1の(a)において(ii)は、沈殿段階、ろ過段階、乾燥段階、および洗浄段階の中から選ばれた少なくとも1つの段階を含み得る。図1の(b)において(iii)は、トリホスゲンを添加することにより、ジアミン塩酸塩組成物をトリホスゲンと反応させる段階を含み得る。図1(b)において(iv)は、脱気段階、ろ過段階、および蒸留段階の中から選ばれた少なくとも1つの段階を含み得る。
【0080】
本発明の一実現例によると、前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量は、前述のように、ジアミン組成物の調製時、ジアミンにメチル基を有するベンジルモノアミンの投入により調節され得る。
【0081】
また、前記メチル基を有するベンジルモノアミンの投入により、前記ジイソシアネート組成物内にメチル基を有するベンジルイソシアネートが生成され得、前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量に応じて、前記ジイソシアネート組成物内に生成されるメチル基を有するベンジルイソシアネートの含有量が変わり得る。
【0082】
例えば、前記ジアミン組成物の調製時に、メチル基を有するベンジルモノアミンを10ppm~2000ppm含む場合、ジイソシアネート組成物内に生成され得るメチル基を有するベンジルイソシアネートの含有量は、5ppm~200ppmの量で制御し得る。前記メチル基を有するベンジルイソシアネートの含有量を前記範囲に制御することにより、光学材料に適用する際、耐衝撃性を向上させながらも脈理および白濁現象を同時に改善させ得る。
【0083】
また、本発明の実現例により、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートの含有量は、前記ジイソシアネート組成物に前記メチル基を有するベンジルイソシアネートを添加することにより制御し得る。例えば、本発明の一実現例によると、前記メチル基を有するベンジルイソシアネート含有量は、前記ジアミン塩酸塩組成物を得る段階、および/またはジイソシアネート組成物を得る段階において、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートの投入により調節され得る。
【0084】
また、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、前記ジイソシアネート組成物の調製工程の中で発生し得る。例えば、前記ジイソシアネート組成物の調製工程中、前記ジアミン塩酸塩組成物を得る段階および/またはジイソシアネート組成物を得る段階において、反応工程中に発生し得る。
【0085】
また、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、前記ジイソシアネート組成物の調製工程の中で発生し、一部は追加で添加し得る。すなわち、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、ジイソシアネート組成物の調製工程の中で少ない量で発生する場合、5ppm~200ppmの含有量となるように組成物にさらに添加し得る。
【0086】
さらに、本発明の実現例による前記調製方法は、プラスチック光学レンズの原料として主に用いられるジイソシアネートを、ジアミン組成物から塩酸塩を経て調製する過程において、塩化水素ガスの代わりに塩酸水溶液を用い、ホスゲンガスの代わりに固相のトリホスゲンを用いて反応条件を調節することにより、従来におけるホスゲン法で用いられるホスゲンガスは猛毒性であるため環境規制対象の物質であり、これを保管するために別途の冷却装置が必要となるなどと、保管および管理が難しい問題などを解決できることはもちろんのこと、生成物の収率および製品の品質問題を解決し得る。
【0087】
前記実現例によるジイソシアネート組成物の調製方法で出発物質として用いられるジアミンはキシリレンジアミンであり得る。または、前記ジアミンは、その他の光学材料の製造に用いられるジアミンであり得、具体的にオルトキシリレンジアミン(o-XDA)、メタキシリレンジアミン(m-XDA)、パラキシリレンジアミン(p-XDA)、ノルボルネンジアミン(NBDA)、水添キシリレンジアミン(H6XDA)、イソホロンジアミン(IPDA)、およびヘキサメチレンジアミン(HDA)からなる群より選択される1種以上であり得る。
【0088】
<ジアミン塩酸塩組成物の調製>
まず、ジアミン組成物を塩酸水溶液と反応させ、ジアミン塩酸塩組成物を得る(第1段階)。
【0089】
前述のように、前記ジアミン組成物は、前記組成物内にメチル基を有するベンジルモノアミンの含有量が10ppm~2000ppmの組成物である。
【0090】
また、前記ジアミンと塩酸水溶液との反応後に第1有機溶媒をさらに投入して、前記ジアミン塩酸塩組成物を固相で得られる。
【0091】
下記反応式1は、本段階の反応の一例を示したものである。
[反応式1]

【0092】
前記式においてRは、芳香族環、脂環式、脂肪族鎖などを含み、具体的な例としてRは、キシリレン、ノルボルネン、水添キシリレン、イソホロン、またはヘキサメチレンであり得るが、これに限定されない。
【0093】
従来、塩化水素ガスを用いる場合には、常圧反応時に塩酸塩が微粒子として生成され、反応器内部の撹拌状態がスムーズではないため、圧力を高めて反応器内部の温度を上昇させる追加工程が必要であり、最終工程製品の収率も低い問題があった。
【0094】
しかし、前記実現例によると、塩酸水溶液を使用するので、従来の塩化水素ガスを利用する際に発生する問題を解決し得る。具体的に、塩酸水溶液を使用すると、反応により調製される生成物がスラリー状ではなく固体状であるため収率が高く、常圧においても反応が進行可能なので、急冷のための別途の装置または工程を必要としない。
【0095】
前記塩酸水溶液の濃度は5重量%~50重量%であり得る。前記濃度範囲内のとき、塩酸水溶液内に塩酸塩が溶解されることを最小化して、最終的な収率を上げることができ、取扱性も向上させ得る。
【0096】
具体的に、前記塩酸水溶液の濃度は、10重量%~45重量%、20重量%~45重量%、または30重量%~40重量%であり得る。より具体的に、前記塩酸水溶液は20重量%~45重量%の濃度を有し得る。
【0097】
前記ジアミン組成物および前記塩酸水溶液は、1:2~5の当量比で反応に投入され得る。前記当量比の範囲内のとき、未反応物を減すとともに、水分発生による溶解に起因して収率が低くなることを防止し得る。具体的に、前記ジアミン組成物と前記塩酸水溶液とは、1:2~2.5の当量比で反応に投入され得る。
【0098】
また、前記塩酸水溶液の投入量は、前記ジアミンの投入量に対する相対的モル比で調節され得る。例えば、前記塩酸水溶液は、前記ジアミン組成物内のジアミン1モル当りのHClが、2モル以上、2.02モル以上、2.05モル以上、2.1モル以上、または2.2モル以上となるように投入され得る。また、前記塩酸水溶液は、前記ジアミン1モル当りのHClが、3モル以下、2.7モル以下、2.5モル以下、2.4モル以下、2.35モル以下、または2.25モル以下となるように投入され得る。具体的に、前記塩酸水溶液は、前記ジアミン1モル当りのHClが2.02モル~2.50モルとなるよう反応に投入され得る。前記範囲内のとき、一部のジアミンが塩酸水溶液と反応できなく残存して、自由アミン基が後続の反応でジイソシアネートと反応してウレアを形成することを防止するのにより有利であり得ると同時に、過量の塩酸水溶液に起因して残存する塩素イオンが後続のホスゲン化反応時に塩素濃度を高めて不純物を生成することを防止するのにより有利であり得る。
【0099】
前記ジアミン組成物および前記塩酸水溶液の投入は、反応器内部の温度を一定に維持しながら行われ得る。
【0100】
前記ジアミン組成物および前記塩酸水溶液の投入時の反応器内部の温度は、20℃~100℃であり得る。前記温度範囲内のとき、温度が沸点以上に高くなって反応に不適となるか、または温度が低くなり過ぎて反応効率が落ちることを防止し得る。
【0101】
具体的に、前記ジアミン組成物および前記塩酸水溶液の投入時の反応器内部の温度は、20℃~60℃、20℃~60℃未満、20℃~50℃、または20℃~40℃であり得る。
【0102】
より具体的に、前記ジアミン組成物および前記塩酸水溶液が、1:2~5の当量比で20℃~40℃の温度にて反応に投入され得る。
【0103】
従来の塩酸塩法においては、反応過程において熱が多く発生して、別途の冷却器による急冷を必要とするのに対し、前記実現例によると、低い温度を維持しながら反応物質を投入するので、別途の冷却器を必要としない。
【0104】
前記ジアミン組成物および前記塩酸水溶液の投入は、例えば、反応器に前記塩酸水溶液を先に投入した後、前記ジアミン組成物をゆっくり投入する順序で行われ得る。前記ジアミン組成物および/または前記塩酸水溶液の投入は、30分~1時間行われ得る。
【0105】
前記ジアミン組成物および前記塩酸水溶液の投入が完了した後には、反応器内部の温度を0℃~20℃、0℃~10℃、または10℃~20℃に冷却させ得る。
【0106】
前記ジアミン組成物と塩酸水溶液との反応は常圧において行われ、例えば、30分~2時間撹拌しながら行われ得る。
【0107】
前記ジアミン組成物と塩酸水溶液との反応により、ジアミン塩酸塩組成物が水に溶解された水溶液状の反応結果物を得られる。
【0108】
本発明の実現例によると、前記ジアミン塩酸塩組成物を得た後、前記ジアミン塩酸塩組成物を処理する段階をさらに含み得る。
【0109】
例えば、前記ジアミン塩酸塩組成物を処理する段階は、前記ジアミン塩酸塩組成物を沈殿させる段階と、前記ジアミン塩酸塩組成物をろ過する段階と、前記ジアミン塩酸塩組成物を乾燥させる段階と、前記ジアミン塩酸塩組成物を洗浄する段階とのうち少なくとも1つを含み得る。
【0110】
具体的に、前記反応結果物に第1有機溶媒を投入して、固相のジアミン塩酸塩組成物を沈殿させ得る。すなわち、前記第1有機溶媒は、結晶化による固相のジアミン塩酸塩組成物の析出を誘導し得る。より具体的に、第1有機溶媒を前記反応結果物に投入し、冷却後さらに撹拌しながら反応を進められる。
【0111】
前記第1有機溶媒は、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、n-ブタノール、イソブタノール、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、イソプロパノール、ヘキサン、クロロホルム、および酢酸メチルからなる群より選択された1種以上であり得る。
【0112】
前記第1有機溶媒の投入量(重量)は、前記ジアミン組成物の重量対比1倍~5倍であり得る。前記投入量範囲内のとき、最終的な塩酸塩の収率が高く、かつ、過剰な有機溶媒の使用を防止し得る。具体的に、前記第1有機溶媒は、前記ジアミン組成物の重量対比1倍~2倍、または1倍~1.5倍の量で反応に投入され得る。
【0113】
前記第1有機溶媒の投入以降の冷却温度は、-10℃~10℃または-5℃~5℃であり得る。また、前記冷却以降の追加反応時間は30分~2時間、または30分~1時間であり得る。
【0114】
具体的な一例によると、本段階の反応が、(1a)第1反応器に前記塩酸水溶液を投入する段階と、(1b)前記第1反応器に前記ジアミン組成物を投入および撹拌する段階と、(1c)前記第1反応器に前記第1有機溶媒を投入および撹拌する段階とを順次含み得る。
【0115】
より具体的に、本段階の反応が、前記段階(1b)において、前記ジアミン組成物の投入後で撹拌前に、前記反応器の内部を0℃~10℃の温度で冷却する段階と、前記段階(1c)において、前記第1有機溶媒の投入後で撹拌前に、前記反応器の内部を-5℃~5℃の温度で冷却する段階とをさらに含み得る。
【0116】
一方、本発明の実現例によると、前記ジアミン組成物内に含まれているメチル基を有するベンジルモノアミンは塩酸水溶液と反応することができ、この反応により前記ジアミン塩酸塩組成物は、メチル基を有するベンジルモノアミン塩酸塩を含み得る。
【0117】
前記第1有機溶媒の投入後に、分離、ろ過、洗浄、および乾燥をさらに経ても良い。例えば、前記第1有機溶媒の投入後に水層を分離し、ろ過、洗浄、および乾燥することにより、固相のジアミン塩酸塩組成物が得られる。前記洗浄は、例えば5.7以下の極性を有する溶媒を用いて1回以上行われ得る。また、前記乾燥は、真空乾燥を利用することができ、例えば、40℃~90℃の温度および2.0torr以下の圧力において行われ得る。
【0118】
その結果、前記ジアミン塩酸塩組成物を得る段階で発生する不純物が、前記第1有機溶媒と一緒に除去され得る。したがって、前記方法は、前記ジアミン塩酸塩組成物を得る段階で発生する不純物を、前記第1有機溶媒と一緒に除去する段階をさらに含み得る。前記ジアミン塩酸塩組成物を調製するための反応過程において不純物が発生して前記第1有機溶媒に含まれるが、前記第1有機溶媒の除去段階により、このような不純物を除去して製品の純度を高め得る。
【0119】
前記方法によると、ジアミンを塩酸水溶液と反応させ、沈殿、ろ過、乾燥、洗浄などの追加処理を経て、固相のジアミン塩酸塩組成物を高純度で得られる。一方、従来のようにジアミンを塩化水素ガスと有機溶媒中で反応させる場合、ジアミン塩酸塩のスラリーが得られ、精製が容易ではなかった。
【0120】
このように得られたジアミン塩酸塩組成物の収率は50%以上、65%以上、80%以上、85%以上、または90%以上であり得、具体的に85%~95%、または88%~92%であり得る。
【0121】
なお、反応物の中から有機層を分離して有機溶媒として再利用し得る。これにより、前記第1有機溶媒の回収率は80%以上、85%以上、または90%以上であり得、具体的に、80%~95%、または80%~82%であり得る。
【0122】
<ジアミン塩酸塩組成物>
前記実現例によると、出発物質としてCIE色座標によるb*値が調節されたジアミン組成物を利用するので、これにより得られたジアミン塩酸塩組成物のb*値も調節され得る。例えば、前記実現例による方法で調製されたジアミン塩酸塩組成物は、水に8重量%の濃度で溶解時にCIE色座標によるb*値が1.5以下、1.2以下、1.0以下、または0.8以下であり得る。具体的に、前記CIE色座標によるb*値は、0.01~1.2、0.1~1.2、0.1~1.0、0.1~0.8、または0.2~1.0であり得る。
【0123】
また、前記ジアミン塩酸塩組成物のb*値を調節するために、特定レベル以下のFeイオン含有量を有する塩酸水溶液を原料として使用し得る。例えば、前記ジアミン塩酸塩組成物の調製のために用いられる塩酸水溶液内のFeイオンの含有量は、0.5ppm以下であり得る。具体的に、前記塩酸水溶液内のFeイオンの含有量は、0.3ppm以下、または0.2ppm以下であり得る。より具体的に、前記塩酸水溶液内のFeイオンの含有量は、0.001ppm~0.5ppm、または0.1ppm~0.3ppmであり得る。
【0124】
または、前記ジアミン塩酸塩組成物のCIE色座標によるb*値は、5.7以下の極性を有する溶媒を用いる洗浄によって調節され得る。この際、前記5.7以下の極性を有する溶媒はジクロロメタンを含み得、その他の溶媒も可能である。また、前記5.7以下の極性を有する溶媒の温度は5℃以下、例えば0℃~5℃であり得る。
【0125】
すなわち、前記実現例による方法は、前記ジアミン塩酸塩組成物を5.7以下の極性を有する5℃以下の溶媒で洗浄する段階をさらに含み得る。
【0126】
また、前記実現例による方法は、前記ジアミン塩酸塩組成物のCIE色座標によるb*値を測定する段階をさらに含み得る。もし測定されたb*値が1.5を超える場合、前記のような洗浄を繰り返してジアミン塩酸塩組成物のb*値を調節し得る。その結果、前記ジアミン塩酸塩組成物が水に8重量%の濃度で溶解時に、CIE色座標によるb*値が1.5以下となるように調節され得る。
【0127】
以上の過程から得られたジアミン塩酸塩組成物は、ジアミン塩酸塩を主に含み、組成物の総重量を基準にしたジアミン塩酸塩の含有量が85重量%以上~99.9重量%であり得る。この際、前記ジアミン塩酸塩は、ジアミンの2個の末端アミン基と結合した2個のHClを含有し得る。
【0128】
また、前記ジアミン塩酸塩組成物はFeイオンを含み得、前記ジアミン塩酸塩組成物の総重量を基準にしたFeイオンの含有量が10ppm以下であり得る。
【0129】
また、前記ジアミン塩酸塩組成物の水分含有量は、5重量%以下、1重量%以下、0.1重量%以下、または0.01重量%以下であり得る。
【0130】
<ジイソシアネート組成物の調製>
前記ジアミン塩酸塩組成物およびトリホスゲンを用いてジイソシアネート組成物を得る(第2段階)。具体的に、前記ジアミン塩酸塩組成物からホスゲン化反応によりジイソシアネート組成物を得る。
【0131】
前記ジイソシアネート組成物を得る段階は、前記沈殿、ろ過、乾燥、および/または洗浄する段階のうち少なくとも一つを含む工程により処理されたジアミン塩酸塩組成物をトリホスゲンと反応させる段階を含み得る。
【0132】
この際、前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応は、第2有機溶媒の中で行われ得る。
【0133】
下記反応式2は、本段階の反応の一例を示したものである。
[反応式2]

【0134】
前記式においてRは、芳香族環、脂環式、脂肪族鎖などを含み、具体的な例としてRは、キシリレン、ノルボルネン、水添キシリレン、イソホロン、またはヘキサメチレンであり得るが、これに限定されない。
【0135】
具体的に、前記調製されたジアミン塩酸塩組成物を第2有機溶媒に投入し、トリホスゲン(triphosgene、BTMC、bis(trichloromethyl)carbonate)と反応させた後、精製によりジイソシアネート組成物を得る。
【0136】
本発明の実現例によると、前記第1段階で生成されたメチル基を有するベンジルモノアミン塩酸塩が、前記トリホスゲンとの反応によって、メチル基を有するベンジルイソシアネートが生成され得る。
【0137】
また、前記ジアミン組成物において、前記メチル基を有するベンジルモノアミンの投入量に応じて、前記ジイソシアネート組成物内に生成されるメチル基を有するベンジルイソシアネートの含有量が変わり得る。
【0138】
前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量に対する前記メチル基を有するベンジルイソシアネートの生成比は0.05~0.9であり得る。具体的に、前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量に対する前記メチル基を有するベンジルイソシアネートの生成比は、0.06~0.8、0.08~0.7、0.09~0.6、0.09~0.25、0.08~0.2、0.05~0.1、または0.1~0.6であり得る。
【0139】
例えば、前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量が10ppm~2000ppmである場合、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、前記ジイソシアネート組成物内に5ppm~200ppmの量で含まれ得る。
【0140】
または、前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量が10ppm~1000ppmである場合、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、前記ジイソシアネート組成物内に5ppm~150ppmの量で含まれ得る。
【0141】
または、前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量が100ppm~2000ppmである場合、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、前記ジイソシアネート組成物内に25ppm~200ppmの量で含まれ得る。
【0142】
または、前記メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量が500ppm~2000ppmである場合、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、前記ジイソシアネート組成物内に30ppm~200ppmの量で含まれ得る。
【0143】
また、必要に応じて、前記ジイソシアネート組成物に前記メチル基を有するベンジルイソシアネートが5ppm~200ppmの量になるように添加し得る。
【0144】
なお、前記第2有機溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、モノクロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、1-クロロ-n-ブタン、1-クロロ-n-ペンタン、1-クロロ-n-ヘキサン、クロロホルム、カーボンテトラクロリド、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン、およびメチルシクロヘキサンからなる群より選択された1種以上であり得る。
【0145】
前記第2有機溶媒の投入量(重量)は、前記ジアミン塩酸塩組成物の重量対比1倍~5倍であり得る。前記投入量の範囲内のとき、最終的なジイソシアネートの収率が高く、かつ、過剰な有機溶媒の使用を防止し得る。具体的に、前記第2有機溶媒は、前記ジアミン塩酸塩組成物の重量対比2倍~5倍、または3倍~5倍の量で反応に投入され得る。
【0146】
前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応温度は、110℃~160℃または115℃~160℃であり得る。前記反応温度の範囲内のとき、具体的に、110℃または115℃以上のとき、ジアミン塩酸塩とトリホスゲンとの間において反応がよりスムーズとなり、収率上昇と反応時間の短縮に有利となり、160℃以下のとき、最終的なジイソシアネートの生成時にタールのような不純物の生成を抑制し得る。具体的に、前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応温度は、115℃~160℃、115℃~140℃、115℃~130℃、115℃~120℃、130℃~160℃、または120℃~150℃であり得る。
【0147】
前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応は、5時間~100時間行われ得る。前記反応時間の範囲内のとき、反応時間が過度でなく、かつ、ホスゲン発生による未反応物質の生成を最小化し得る。具体的に、前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応は、15時間~40時間、20時間~35時間、または24時間~30時間行われ得る。
【0148】
具体的な例として、前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応が、110℃~160℃または115℃~160℃の温度にて5時間~100時間行われ得る。
【0149】
前記ジアミン塩酸塩組成物および前記トリホスゲンは、1:1~5の当量比で反応に投入され得る。前記当量比の範囲内のとき、反応効率が高く、かつ、過剰な投入により反応時間が増加することを防止し得る。具体的に、前記ジアミン塩酸塩組成物および前記トリホスゲンは1:1.5~4、または1:2~2.5の当量比で反応に投入され得る。
【0150】
または、前記ジアミン塩酸塩組成物および前記トリホスゲンは1:0.65~1のモル比で反応に投入され得る。具体的に、前記ジアミン塩酸塩組成物および前記トリホスゲンは、1:0.70超~0.95未満、または1:0.73~0.90のモル比で反応に投入され得る。前記モル比範囲内のとき、反応効率が高く、かつ、過剰な投入により反応時間が増加することを防止するために、より有利であり得る。
【0151】
前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応は、ジアミン塩酸塩組成物および前記第2有機溶媒を混合して第1溶液を得る段階と、トリホスゲンおよび前記第2有機溶媒を混合して第2溶液を得る段階と、前記第1溶液に前記第2溶液を投入および撹拌する段階とを順次含み得る。この際、前記第2溶液の投入および撹拌が、110℃~160℃または115℃~160℃の温度にて行われ得る。また、前記第2溶液の投入は、合計25時間~40時間の間に2回以上に分けて投入することであり得る。また、この際、各回別の投入時間は、5時間~25時間、または10時間~14時間であり得る。また、前記投入後撹拌して、さらに反応させる時間は、2時間~5時間または3時間~4時間であり得る。
【0152】
または、前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応は、(2a)第2反応器に前記第2有機溶媒を投入する段階と、(2b)前記第2反応器に前記ジアミン塩酸塩組成物をさらに投入して撹拌する段階と、(2c)前記第2反応器に前記トリホスゲンをさらに投入して撹拌する段階とを順次含み得る。
【0153】
また、前記段階(2c)において、前記トリホスゲンの投入は、前記第2有機溶媒と同じ溶媒中に前記トリホスゲンが溶解された溶液を、前記反応器に110℃~160℃または115℃~130℃の温度にて、合計25時間~40時間の間に2回以上に分けて投入することであり得る。
【0154】
この際、前記トリホスゲンの各回別の投入時間は5時間~25時間、または10時間~14時間であり得る。
【0155】
また、前記トリホスゲンの投入後に撹拌してさらに反応させる時間は、2時間~5時間または3時間~4時間であり得る。
【0156】
反応後は、90℃~110℃の温度にて反応物を冷却し得る。
前記反応により得られた反応結果物は、分離、脱気、ろ過、および蒸留をさらに経ても良い。
【0157】
例えば、前記反応後に反応の結果物を、窒素ガスでバブリングしながら80℃~150℃で脱気を行える。また、前記脱気後には、10℃~30℃まで冷却し、固形分をろ過して除去し得る。
【0158】
前記ジイソシアネート組成物は、前記ジアミン塩酸塩組成物と、前記ホスゲン化反応後に蒸留して得られたものであり得る。
【0159】
前記蒸留は、前記第2有機溶媒を除去するための蒸留を含み得る。例えば、前記反応の後、反応結果物を40℃~60℃にて2時間~8時間蒸留して、前記第2有機溶媒を除去し得る。前記蒸留する際の圧力は、2.0torr以下、1.0torr以下、0.5torr以下、または0.1torr以下であり得る。また、前記蒸留を介して前記第2有機溶媒を回収して再利用し得る。
【0160】
また、前記蒸留は、ジイソシアネートを蒸留することを含み得る。例えば、前記蒸留は、100℃~130℃におけるジイソシアネート蒸留を含み得る。前記蒸留温度の範囲内のとき、クロロメチルベンジルイソシアネート(CBI)や1,3-ビス(クロロメチル)ベンゼンのように、高温で生成される加水分解性塩素化合物を効果的に除去して、最終的な光学レンズにおいて脈理、白濁、黄変のような物性低下を防止するのにより有利であり得る。具体的に、前記蒸留は、蒸留器の底(bottom)の温度を100℃~130℃に設定して行われ得る。例えば、前記蒸留は、リボイラー(reboiler)の温度を100℃~130℃に設定して行われ得る。
【0161】
また、前記蒸留時の圧力は、2.0torr以下、1.0torr以下、0.5torr以下、または0.1torr以下であり得る。具体的に、前記蒸留は100℃~130℃の温度および2torr以下の圧力条件におけるジイソシアネート蒸留を含み得る。
【0162】
また、前記ジイソシアネート蒸留時間は、1時間以上、2時間以上、または3時間以上であり得、10時間以下、または5時間以下であり得る。具体的に、前記ジイソシアネート蒸留は2時間~10時間行われ得る。
【0163】
または、本発明の一実現例によると、前記第2段階の反応後、反応結果物を蒸留する段階をさらに含み得、前記蒸留は1次蒸留および2次蒸留を含み得る。
【0164】
例えば、前記ジイソシアネート組成物を得る段階は、前記ジアミン塩酸塩組成物、具体的に、前記処理済のジアミン塩酸塩組成物と前記トリホスゲンとを反応させて得られた反応結果物を蒸留する段階をさらに含み、前記蒸留は、前記反応結果物を40℃~60℃にて2時間~8時間の1次蒸留、および100℃~120℃にて2時間~10時間の2次蒸留を含み得る。前記1次蒸留および/または2次蒸留は0.5torr以下で行われ得る。
【0165】
前記1次蒸留を介して有機溶媒を回収して再利用することができ、前記2次蒸留を介して最終的なジイソシアネートが得られる。
【0166】
このようにして得られた前記ジイソシアネート蒸留の収率は80%以上であり、具体的に、85%以上、87%以上、または90%以上であり得る。この際、蒸留収率は、ホスゲン化反応に投入されたジアミン塩酸塩組成物の量から算出された理論的ジイソシアネート組成物の生成量に対する、蒸留後のジイソシアネート組成物の収得量を測定して計算し得る。
【0167】
前記実現例の方法によると、ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応温度の範囲を調節することにより、精製前の組(crude)ジイソシアネート組成物にも不純物が非常に少ない。具体的に、前記ジイソシアネート組成物は、前記ジイソシアネート蒸留前に、ジイソシアネートを99.0重量%以上で含み得る。また、前記ジイソシアネート組成物は、前記ジイソシアネート蒸留後に、ジイソシアネートを99.9重量%以上で含み得る。
【0168】
また、前記ジイソシアネート組成物内のハロゲン基を有する芳香族化合物の含有量が1000ppm以下であり得る。
【0169】
また、最終的に得られたジイソシアネート組成物の収率は、80%以上、85%以上、88%以上、または90%以上であり得る。
【0170】
[ジイソシアネート組成物]
実現例によると、ジイソシアネート組成物内でメチル基を有するベンジルイソシアネートの含有量は、5ppm~200ppmであり得る。
【0171】
本発明の実現例によると、メチル基を有するベンジルモノアミンの含有量によって、ジイソシアネート組成物内でメチル基を有するベンジルイソシアネートの含有量を最適な範囲に調節して光学材料を製造する場合、光学材料の物性をさらに向上させ得る。
【0172】
また、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、前記ジイソシアネート組成物の調製工程の中で発生し得る。
【0173】
また、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、前記ジイソシアネート組成物の調製工程の中で発生し、一部は人為的に添加され得る。すなわち、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、ジイソシアネート組成物の調製工程の中で発生し、少ない量で発生する場合、前記組成物内に5ppm~200ppmの含有量となるよう組成物に人為的に添加し得る。
【0174】
前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、特定の芳香族構造を有するメチル基を有するベンジルイソシアネートを含み得、具体的に、オルト(o)位にメチル基が置換された2-メチルベンジルイソシアネート、メタ(m)位にメチル基が置換された3-メチルベンジルイソシアネート、およびパラ(p)位にメチル基が置換された4-メチルベンジルイソシアネートからなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0175】
本発明の実現例によると、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、メタ(m)位にメチル基が置換された3-メチルベンジルイソシアネートおよびパラ(p)位にメチル基が置換された4-メチルベンジルイソシアネートからなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0176】
本発明の実現例により、メチル基を有するベンジルイソシアネート、特に前記3-メチルベンジルイソシアネートまたは4-メチルベンジルイソシアネートを特定範囲で含める場合、ポリチオウレタン反応の進行時にイソシアネート官能基が1個であるため、架橋反応を中断させてポリチオウレタンの流動性(flexibility)の増加を促し得るので、光学材料、例えば光学レンズの脈理および白濁の発生を防止できるとともに、耐衝撃性を向上させ得る。
【0177】
本発明のまた他の実現例によると、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、メタ(m)位にメチル基が置換された3-メチルベンジルイソシアネートおよびオルト(o)位にメチル基が置換された2-メチルベンジルイソシアネートからなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0178】
より具体的に、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートは、メタ(m)位にメチル基が置換された下記化学式2の化合物を含み得る。
【0179】
[化学式2]

【0180】
本発明の実現例によると、前記組成物内に含まれる前記メチル基を有するベンジルイソシアネートの含有量は、5ppm~200ppm、10ppm~200ppm、20ppm~150ppm、20ppm以上~100ppm未満、100ppm~200ppm、120ppm~200ppm、50ppm~200ppm、または50ppm~150ppmであり得る。本発明の実現例によると、前記組成物内に含まれるメチル基を有するベンジルイソシアネートの含有量を前記範囲に制御することにより、耐衝撃性を向上させながらも脈理および白濁の発生を防止し得る。
【0181】
前記メチル基を有するベンジルイソシアネートの含有量を制御できないと、耐衝撃性を低下させ、耐衝撃性を維持したとしても脈理および白濁を発生させ得る。例えば、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートの含有量が5ppm未満であると、前記組成物を用いた光学材料の耐衝撃性が低下し得る。一方、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートの含有量が200ppmを超えると、前記組成物を用いた光学材料の耐衝撃性は向上され得るが、脈理または白濁が発生し得る。
【0182】
なお、前記ジイソシアネート組成物は、前記組成物の総重量を基準に、ジイソシアネートを90重量%以上、95重量%以上、99.5重量%以上、99.9重量%以上、90重量%~99.9重量%、または99重量%以上~100重量%未満の量で含み得る。
【0183】
前記ジイソシアネートは、m-キシリレンジイソシアネート(m-XDI)、p-キシリレンジイソシアネート(p-XDI)、またはこれらの混合物を含み得る。
【0184】
実現例によるジイソシアネート組成物は、m-キシリレンジイソシアネート(m-XDI)を99重量%以上~100重量%未満、99.5重量%以上~100重量%未満、または99.7重量%以上~100重量%未満に含み得る。
【0185】
前記m-キシリレンジイソシアネートが前記含有量未満で組成物に含まれると、重合反応性および硬化物の化学構造の不均一に起因して最終製品の光学的特性(特に、脈理現象、透過度など)のみならず、機械的物性(耐衝撃性、引張強度など)が阻害され得、その他の混入される成分により黄変現象が発生し得る。
【0186】
一実現例によると、組成物内の前記化学式2の化合物を20ppm~150ppm含み、前記m-キシリレンジイソシアネートを前記組成物の総重量を基準に、99.5重量%以上~100重量%未満の量で含み得る。
【0187】
また、前記p-キシリレンジイソシアネートは、前記組成物の総重量を基準に0重量%超~0.5重量%以下、0重量%超~0.3重量%以下、0重量%超~0.15重量%以下、0重量%超~0.1重量%以下、0重量%超~0.05重量%以下、0重量%超~0.03重量%以下、または0重量%超~0.01重量%以下で含まれ得る。
【0188】
前記p-キシリレンジイソシアネートが前記含有量を超えて組成物に含まれると、反応性の差に起因する重合不均一または重合体の化学構造変化による結晶化による脈理の発生や透過率の低下などと、光学的特性が阻害され得る。
【0189】
また、前記ジイソシアネート組成物は、前記m-キシリレンジイソシアネートおよびp-キシリレンジイソシアネートの他にも、光学レンズの製造に用いられるイソシアネートを含み得、具体的にオルトキシリレンジイソシアネート(o-XDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)からなる群より選択される1種以上を含み得る。
【0190】
また、本発明のジイソシアネート組成物は、エチル基含有ベンジルイソシアネートおよびシアノベンジルイソシアネートからなる群より選択される1種以上をさらに含み得る。
【0191】
前記エチル基含有ベンジルイソシアネートおよびシアノベンジルイソシアネートからなる群より選択される1種以上は、例えば、0.5重量%以下、0.3重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.02重量%以下、または0.01重量%以下で含まれ得る。
【0192】
前記エチル基含有ベンジルイソシアネートおよびシアノベンジルイソシアネートからなる群より選択される1種以上が前記含有量を超えで組成物に含まれると、重合体の化学構造にも影響を及ぼすようになり、最終製品において機械的物性やガラス転移温度のような耐熱特性が低下し得る。また、シアノ基の影響により、レンズ製造のための加熱硬化時あるいは製造後の外部環境により、黄変が発生することがあり、これは長期的な信頼性に致命的な結果をもたらす。
【0193】
したがって、前記のように組成が制御されたジイソシアネート組成物を用いて製造された製品は、高い光学的特性を満たせるだけでなく、優れた機械的物性を実現できるので、光学材料、具体的にプラスチック光学レンズの製造において有用に使用され得る。
【0194】
また、このように調製されたジイソシアネート組成物は、色とヘイズが改善され得る。
【0195】
特に、前記実現例による方法によって調製されたジイソシアネート組成物は、CIE色座標による0.01~2.0のb*値を有し得る。前記範囲のb*値を有するジイソシアネート組成物を用いて製造された光学レンズは、脈理、透過率、黄色度、および屈折率が改善され得る。具体的に、前記ジイソシアネート組成物のCIE色座標によるb*値は、0.1~2.0、0.1~1.5、0.1~1.2、0.1~1.0、または0.1~0.8であり得る。
【0196】
また、前記ジイソシアネート組成物は、APHA(American Public Health Association)色数が20以下、または10以下であり得る。具体的に、前記ジイソシアネート組成物は、APHA色数が1~20、または1~10であり得る。
【0197】
また、前記ジイソシアネート組成物のヘイズは、10%以下、5%以下、または3%以下であり得る。
【0198】
また、前記ジイソシアネート組成物内のFeイオンの含有量は、10ppm以下、5ppm以下、または1ppm以下であり得る。具体的に、前記ジイソシアネート組成物内のFeイオンの含有量は0.2ppm以下であり得る。
【0199】
色とヘイズを改善するために、前記ジイソシアネート組成物は、キシリレンジイソシアネートまたはその他光学レンズの製造に用いられるジイソシアネートを含み得、具体的にオルトキシリレンジイソシアネート(o-XDI)、メタキシリレンジイソシアネート(m-XDI)、パラキシリレンジイソシアネート(p-XDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)からなる群より選択される1種以上を、90重量%以上、95重量%以上、99.5重量%以上、99.9重量%以上、または90重量%~99.9重量%で含み得、ベンジルイソシアネート、メチルベンジルイソシアネート、シアノベンジルイソシアネートなどを約1重量%以下の総含有量でさらに含み得る。
【0200】
<反応溶液の色および透明度の測定>
前記ジアミン塩酸塩組成物およびトリホスゲンからジイソシアネート組成物を得る段階は、(aa)反応器内で前記ジアミン塩酸塩組成物をトリホスゲンと反応させて反応溶液を得る段階と、(ab)前記反応溶液の色および透明度を測定する段階と、(ac)前記反応溶液からジイソシアネート組成物を得る段階とを含み得る。
【0201】
前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応において、前記反応溶液の色および透明度を測定して反応条件を調節し得る。
【0202】
例えば、メタキシリレンジアミン塩酸塩およびトリホスゲンからメタキシリレンジイソシアネートを得る反応において、反応初期の反応溶液は不透明な無色~白色であり得、反応が正常に完了した時点における反応溶液は、透明または透明に近く淡い茶系の色を有し得る。
【0203】
例えば、前記反応溶液の色および透明度を測定する段階において、前記反応溶液は透明な薄茶色を示し得る。
【0204】
具体的に、前記反応溶液がCIE-LAB色座標において、45~60のL*値、3~15のa*値、および15~30のb*値を有し得る。より具体的に、前記反応溶液は、CIE-LAB色座標において、50~55のL*値、5~10のa*値、および20~25のb*値を有し得る。
【0205】
また、前記反応溶液は、550nm波長の光に対する透過率が60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上であり得る。また、前記反応溶液は、ヘイズが20%以下、10%以下、5%以下、または3%以下であり得る。具体的に、前記反応溶液は、550nm波長の光に対して70%以上の透過率および10%以下のヘイズを有し得る。より具体的に、前記反応溶液が550nm波長の光に対して80%以上の透過率および5%以下のヘイズを有し得る。
【0206】
これとは別に、もし前記メタキシリレンジアミン塩酸塩とトリホスゲンとの反応が完了していない場合は、反応溶液が不透明であるか沈殿物を有し得、色がぼやけているか白または無色であり得る。また、もし副反応が多く発生した場合には、反応溶液が不透明かまたは薄茶色以外の色を示すことがあり、例えば、黒褐色~暗い色を示し得る。
【0207】
前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応段階は、前記反応溶液の色および透明度を測定する段階と同時に行われ得る。
【0208】
すなわち、前記ジアミン塩酸塩組成物およびトリホスゲンの反応が進行している中で、リアルタイムで前記反応溶液の色および透明度を測定し得る。
【0209】
また、より正確な測定のために、反応溶液の一部を採取して色および透明度を精密測定し得る。例えば、前記反応溶液の色および透明度の測定は、前記反応溶液の一部を採取し、採取された反応溶液の色および透明度を測定することにより行われ得る。
【0210】
この際、前記反応溶液の色および透明度に応じて、反応当量、反応温度、または反応時間を調節し得る。例えば、前記反応溶液の色および透明度に応じて、反応終了時点を決定し得る。具体的に、前記反応終了時点は、前記反応溶液が透明な薄茶色に変わった時点以降であり得る。
【0211】
一例として、前記反応器は透視窓を備え、前記反応溶液の色および透明度の測定が前記透視窓を介して行われ得る。
【0212】
前記反応器は1段以上のコンデンサと連結され、前記反応器内で発生したガスが前記1段以上のコンデンサに移送された後、前記ガス中に存在する前記第2有機溶媒が凝縮され、前記反応器に回収され得る。
【0213】
前記1段以上のコンデンサは、第1スクラバーおよび第2スクラバーと連結され、前記反応器から前記1段以上のコンデンサに移送されたガスが塩化水素ガスおよびホスゲンガスを含み、前記第1スクラバーが前記塩化水素ガスを水に溶解して水溶液を生成し、前記第2スクラバーが前記ホスゲンガスをNaOH水溶液により中和させ得る。
【0214】
また、前記反応器が1段以上の蒸留器と連結され、前記反応溶液が前記1段以上の蒸留器に移送され、前記1段以上の蒸留器が前記反応溶液からジイソシアネート組成物および第2有機溶媒を分離し得る。
【0215】
前記分離された第2有機溶媒は、前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応に再利用され得る。
【0216】
図2は、ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応のための工程装置の例を示したものである。
【0217】
まず、第1タンク(T-1)に第2有機溶媒およびトリホスゲンを満たして温水還流などにより一定温度を維持する。反応器(R-1)の内部を窒素で置換し、これに第2有機溶媒を投入して撹拌しながら、ジアミン塩酸塩組成物を徐々に投入し、反応器の内部を一定の温度に維持しながら撹拌する。
【0218】
その後、第1タンク(T-1)から第2有機溶媒中のトリホスゲンを反応器(R-1)に徐々に投入する。前記第2有機溶媒中のトリホスゲンの投入は、1回または2回以上に分けて行い、この際、反応器(R-1)の内部温度を一定に維持しながら撹拌を行う。投入が完了した後、一定時間さらに撹拌しながら追加の反応を行う。一例として、反応器(R-1)に備えられた透視窓(G-1)を介して目視で反応溶液の色および透明度を観察する。別の例として、反応器(R-1)に備えられた透視窓(G-1)を介して光学機器により反応溶液の色および透明度を測定する。前記光学機器は、デジタルカメラ、スペクトロメータ、光学分析機器などを含み得る。
【0219】
反応器(R-1)の内部に存在するガス(第2有機溶媒、塩化水素、ホスゲンなど)は第1コンデンサ(C-1)に移送される。第1コンデンサ(C-1)において、冷却により第2有機溶媒が1次凝縮され反応器(R-1)に回収され、残りのガスは第2コンデンサ(C-2)に移送される。第2コンデンサ(C-2)において、冷却により第2有機溶媒が2次凝縮され反応器(R-1)に回収され、残りのガスは第3コンデンサ(C-3)に移送される。第3コンデンサ(C-3)において、冷却により第2有機溶媒が3次凝縮され反応器(R-1)に回収される。
【0220】
このように多段のコンデンサを経て第2有機溶媒を除去した後、残りのガス(塩化水素、ホスゲンなど)は第1スクラバー(S-1)に移送される。第1スクラバー(S-2)において、塩化水素ガスを水に溶解させ塩酸水溶液を得て第2タンク(T-2)に保存し、残りのガスは第2スクラバー(S-2)に移送される。第2スクラバー(S-2)において、第3タンク(T-3)に保存されていた水酸化ナトリウム水溶液を用いてホスゲン(COCl)ガスを中和させ除去し得る。
【0221】
反応器(R-1)で得られた反応溶液は、第1蒸留器(D-1)および第2蒸留器(D-2)に順次移送され、1次蒸留および2次蒸留を経ながら、前記反応溶液からジイソシアネート組成物および第2有機溶媒を分離する。
【0222】
前記反応溶液から分離された第2有機溶媒は、溶媒回収器(V-1)に移送され保管され得、その後前記ジアミン塩酸塩組成物とトリホスゲンとの反応に再利用され得る。
【0223】
また、前記反応溶液から分離されたジイソシアネート組成物は、ろ過および乾燥等をさらに経て、最終製品として提供され得る。
【0224】
[光学材料の製造方法]
前記実現例で調製されたジイソシアネートを他の成分と組み合わせることにより、光学材料用重合性組成物を調製し得る。すなわち、前記光学材料用組成物は、前記実現例により調製されたジイソシアネート組成物、およびチオールまたはエピスルフィドを含む。前記光学材料用組成物を用いて光学材料、具体的には、光学レンズを製造し得る。例えば、前記光学材料用組成物を混合してモールドで加熱硬化することにより、光学レンズを製造し得る。以下で説明する光学レンズの製造方法や特性は、光学レンズの他にも、前記実現例によるジイソシアネート組成物を利用して実現し得る様々な光学材料の製造方法や特性として理解するべきである。
【0225】
他の実現例による光学材料の製造方法は、ジアミン組成物を塩酸水溶液と反応させてジアミン塩酸塩組成物を得る段階と、前記ジアミン塩酸塩組成物をトリホスゲンと反応させてジイソシアネート組成物を得る段階と、前記ジイソシアネート組成物をチオールまたはエピスルフィドと混合して、モールドで重合および硬化させる段階とを含み、前記ジアミン組成物がジアミン;および10ppm~2000ppmの含有量でメチル基を有するベンジルモノアミンを含む。
【0226】
また他の実現例による光学材料の製造方法は、ジアミン組成物からジアミン塩酸塩組成物を得る段階と、ジアミン塩酸塩組成物からホスゲン化反応によってジイソシアネート組成物を得る段階と、前記ジイソシアネート組成物をチオールまたはエピスルフィドと混合して、モールドで重合および硬化させる段階とを含み、前記ジアミン組成物がCIE色座標による0.01~3.0のb*値を有する。
【0227】
前記製造方法において、前記ジアミン塩酸塩組成物とジイソシアネート組成物との各成分および含有量、並びにその調製方法は前述の通りである。
【0228】
また、前記ジアミンがキシリレンジアミンであり、前記ジイソシアネート組成物がキシリレンジイソシアネートを含み得る。
【0229】
前記チオールは、2個以上のSH基を含むポリチオールであり得、脂肪族、脂環式、または芳香族の骨格を有し得る。前記エピスルフィドは、2個以上のチオエポキシ基を有し得、脂肪族、脂環式、または芳香族の骨格を有し得る。
【0230】
前記チオールの具体的な例は、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、2,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン-1-チオール、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、2-(2-メルカプトエチルチオ)プロパン-1,3-ジチオール、2-[2,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロピルチオ]エタンチオール、ビス(2,3-ジメルカプトプロパニール)スルフィド、ビス(2,3-ジメルカプトプロパニール)ジスルフィド、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、1,2-ビス(2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロピルチオ)エタン、ビス[2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロピル]スルフィド、ビス(2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロピル)ジスルフィド、2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-2-メルカプト-3-[3-メルカプト-2-(2-メルカプトエチルチオ)-プロピルチオ]プロピルチオ-プロパン-1-チオール、2,2-ビス-(3-メルカプト-プロピオニルオキシメチル)-ブチルエステル、2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-(2-{2-[3-メルカプト-2-(2-メルカプトエチルチオ)-プロピルチオ]エチルチオ}エチルチオ)プロパン-1-チオール、(4R,11S)-4,11-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9,12-テトラチアテトラデカン-1,14-ジチオール、(S)-3-[(R-2,3-ジメルカプトプロピル)チオ]プロパン-1,2-ジチオール、(4R,14R)-4,14-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9,12,15-ペンタチアヘプタン-1,17-ジチオール、(S)-3-({R-3-メルカプト-2-[(2-メルカプトエチル)チオ]プロピル}チオ)-2-[(2-メルカプトエチル)チオ]プロパン-1-チオール、3,3'-ジチオビス(プロパン-1,2-ジチオール)、(7R,11S)-7,11-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9,12,15-ペンタチアヘプタデカン-1,17-ジチオール、(7R,12S)-7,12-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9,10,13,16-ヘキサチアオクタデカン-1,18-ジチオール、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ビスペンタエリトリトール-エーテル-ヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、2-(2,2-ビス(メルカプトジメチルチオ)エチル)-1,3-ジチアン、2,5-ビスメルカプトメチル-1,4-ジチアン、ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール等を含む。
【0231】
例えば、前記チオールは、2-(2-メルカプトエチルチオ)プロパン-1,3-ジチオール、2,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン-1-チオール、2-(2,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロピルチオ)エタンチオール、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、1,2-ビス(2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロピルチオ)-エタン、ビス(2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロピル)スルフィド、2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-2-メルカプト-3-[3-メルカプト-2-(2-メルカプトエチルチオ)-プロピルチオ]プロピルチオ-プロパン-1-チオール、2,2'-チオジエタンチオール、4,14-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9,12,15-ペンタチアヘクタデカン-1,17-ジチオール、2-(2-メルカプトエチルチオ)-3-[4-(1-{4-[3-メルカプト-2-(2-メルカプトエチルチオ)-プロポキシ]-フェニル}-1-メチルエチル)-フェノキシ]-プロパン-1-チオール、ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールメルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリスメルカプトプロピオネート、グリセロールトリメルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールヘキサメルカプトプロピオネート、2,5-ビスメルカプトメチル-1,4-ジチアン等であり得る。前記チオールは、前記例示化合物のうちのいずれか1つまたは2つ以上であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0232】
また、前記エピスルフィドの具体的な例は、ビス(β-エピチオプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(β-エピチオプロピルチオ)エタン、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2-ビス(β-エピチオプロピルチオ)プロパン、1-(β-エピチオプロピルチオ)-2-(β-エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ブタン、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ブタン、1-(β-エピチオプロピルチオ)-3-(β-エピチオプロピルチオメチル)ブタン、1,5-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ペンタン、1-(β-エピチオプロピルチオ)-4-(β-エピチオプロピルチオメチル)ペンタン、1,6-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1-(β-エピチオプロピルチオ)-5-(β-エピチオプロピルチオメチル)ヘキサン、1-(β-エピチオプロピルチオ)-2-[(2-β-エピチオプロピルチオエチル)チオ]エタン、1-(β-エピチオプロピルチオ)-2-{[2-(2-β-エピチオプロピルチオエチル)チオエチル]チオ}エタン、テトラキス(β-エピチオプロピルチオメチル)メタン、1,1,1-トリス(β-エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,5-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-2-(β-エピチオプロピルチオメチル)-3-チアペンタン、1,5ビス(β-エピチオプロピルチオ)-2,4-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-3-チアペンタン、1-(β-エピチオプロピルチオ)-2,2-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-4-チアヘキサン、1,5,6-トリス(β-エピチオプロピルチオ)-4-(β-エピチオプロピルチオメチル)-3-チアヘキサン、1,8-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-4-(β-エピチオプロピルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-4,5-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-4,4-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-2,4,5-トリス(β-エピチオプロピルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-2,5-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,9-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-5-(β-エピチオプロピルチオメチル)-5-[(2-β-エピチオプロピルチオエチル)チオメチル]-3,7-ジチアノナン、1,10-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-5,6-ビス[(2-β-エピチオプロピルチオエチル)チオ]-3,6,9-トリチアデカン、1,11-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-4,8-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン、1,11-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-5,7-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン、1,11-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-5,7-[(2-β-エピチオプロピルチオエチル)チオメチル]-3,6,9-トリチアウンデカン、1,11-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-4,7-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル]メタン、2,2-ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル]プロパン、ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル]スルフィド、2,5-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ビス(β-エピチオプロピルチオエチルチオメチル)-1,4-ジチアン、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)フェニル]メタン、2,2-ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)フェニル]プロパン、ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(β-エピチオプロピルチオ)フェニル]スルホン、4,4'-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ビフェニル等を含む。
【0233】
前記エピスルフィドは、前記例示化合物のうちのいずれか1つまたは2つ以上であり得るが、これらに限定されるものではない。また、前記エピスルフィドは、そのチオエポキシ基の水素のうち少なくとも1つがメチル基で置換された化合物でもあり得る。
【0234】
前記光学材料用重合性組成物は、前記ジイソシアネート組成物および前記チオールまたはエピスルフィドを混合状態で含むか、または分離された状態で含み得る。すなわち、前記組成物内で、これらは互いに接触して配合された状態であるか、または互いに接触しないよう分離された状態であり得る。
【0235】
前記光学材料用重合性組成物は、前記チオールまたはエピスルフィドを前記ジイソシアネート組成物と2:8~8:2、3:7~7:3、または4:6~6:4の重量比で含み得る。
【0236】
前記光学材料用重合性組成物および光学材料の製造時に、目的に応じて触媒、鎖延長剤、架橋剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、染料、充填剤、離型剤などをさらに添加し得る。
【0237】
これらのチオールまたはエピスルフィドをジイソシアネート組成物およびその他の添加剤と混合し脱泡した後、モールドに注入して低温から高温に徐々に昇温しながら徐々に重合させ、これを加熱することにより樹脂を硬化して、光学レンズを製造し得る。
【0238】
前記重合反応の温度は、例えば20℃~150℃であり、具体的に25℃~120℃であり得る。また、反応速度を調節するために、ポリチオウレタンの調製に通常用いられる反応触媒が添加され得、その具体的な種類は、前記で例示した通りである。
【0239】
また、前記製造された光学レンズには、必要に応じて反射防止、高硬度付与、耐摩耗性の向上、耐薬品性の向上、曇り防止性付与、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理などの物理的または化学的処理がさらに施され得る。
【0240】
[光学材料]
本発明の一実現例による光学材料は、ジイソシアネート組成物、およびチオールまたはエピスルフィドが重合されたポリチオウレタンを含む光学材料として、前記ジイソシアネート組成物内でメチル基を有するベンジルイソシアネートの含有量が5ppm~200ppmである。
【0241】
前記光学材料は、透明性、屈折率、黄色度などに優れることは勿論のこと、耐衝撃性を向上させることができ、脈理および白濁の発生を防止し得る。
【0242】
例えば、前記光学材料は1.55以上または1.6以上の屈折率を有し得、具体的に1.55~1.77または1.6~1.7の屈折率を有し得る。また、前記光学材料は、アッベ数が30~50であり得、具体的に30~45または31~40であり得る。また、前記光学材料は、光透過率が80%以上、85%以上、または87%以上であり得、これは全光線透過率であり得る。また、前記光学材料は、黄色度(Y.I.)が30以下、25以下、22以下、または20以下であり得、例えば、1~25、10~22、または10~20であり得る。具体的に、前記光学材料は、85%以上の透過率および22以下の黄色度を有し得る。
【0243】
また、前記光学材料は、耐衝撃エネルギーが適正範囲で優れる。耐衝撃エネルギーは、米国FDAの試験基準に基づいて、常温20℃にて直径80mm、厚さ1.2mmの平板で製造された試験片に、127cmの高さにて軽い鋼球から重い鋼球まで順に落下させて破壊される重さの位置エネルギーで測定され得る。具体的に、16g、32g、65g、100g、200g、300gの鉄球を使用して、高さごとの落球試験(ball dropping test)により光学材料、具体的に、光学レンズの破損状況を観察して破損されたときの位置エネルギーを計算した。例えば、FDA基準16g、127cm基準のとき、位置エネルギー(Ep)は0.2(J)(Ep=mgh=0.016×9.8×1.27=0.2(J))であり、前記16gの鉄球の落球試験をパスすると、32gの鉄球を使用して位置エネルギー(Ep)を計算することができ、これをパスすると、65g、100g、200g、300gの鉄球を使用して順次測定し、最終的に破損された時の位置エネルギーを計算し得る。
【0244】
前記方法により計算された、本発明の実現例による光学材料は、耐衝撃エネルギー(E)が0.3J~3.0J、0.4J~3.0J、0.4J~2.5J、0.6J~3.0J、0.6J~2.8J、0.8J~2.8J、または0.8J~2.5Jと、優れている。
【0245】
したがって、前記メチル基を有するベンジルイソシアネートを特定含有量で添加したジイソシアネート組成物を光学材料に利用することにより、黄色度、脈理および白濁発生防止などの光学的特性を改善するとともに、耐衝撃性などの機械的物性を同時に向上させ得るので、これは、高品質のメガネレンズ、カメラレンズ等を製造するにおいて有用に活用され得る。
【0246】
(実施例)
以下において、より具体的な実施例を例示するが、これらに限定されない。
【0247】
(実施例1-1)
<第1段階:ジアミン塩酸塩組成物の調製>
メタキシリレンジアミン(m-XDA)600g(4.4mol)に3-メチルベンジルアミンを添加してジアミン組成物内で前記3-メチルベンジルアミンの濃度が10ppmに調節されたジアミン組成物を準備した。
【0248】
5L、4口反応器に35%塩酸水溶液1009.4g(9.46mol)を投入して撹拌しながら、反応器内部の温度を15℃に冷却した。これに、前記ジアミン組成物を、反応器の温度を60℃未満に維持しながら1時間投入した。投入完了後、反応器内部の温度を10℃に冷却して1時間撹拌した後、有機溶媒としてテトラヒドロフラン1320.0gを追加投入し、内部温度を-5℃に冷却して1時間さらに撹拌した。反応完了後、フィルターをもって真空ろ過を実施し、ろ過されたテトラヒドロフランは回収して再利用した。前記テトラヒドロフランの回収率は82%であった。真空ろ過後、メタキシリレンジアミン(m-XDA)塩酸塩組成物を得ることができ、残留した有機溶媒および水分除去のために反応器の外部温度90℃、真空ポンプ0.1Torrの条件で乾燥を行い、最終的なメタキシリレンジアミン(m-XDA)塩酸塩組成物を得た。
【0249】
<第2段階:ジイソシアネート組成物の調製>
反応器Aに、前記調製したm-XDA塩酸塩組成物800gおよびオルトジクロロベンゼン(ODCB)3550gを投入して撹拌しながら、反応器の内部温度を約125℃にて加熱した。反応器Bに、トリホスゲン(BTMC)950gおよびODCB800gを入れて約60℃にて撹拌溶解し、析出されないように125℃の温度を維持しながら、反応器Aに24時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間の撹拌を行った。反応終了後、125℃にて窒素ガスを溶媒内部に吹き込んでバブリングしながら脱気した。10℃まで冷却した後、セライトを用いて残存固形分をろ過した。その後、有機溶媒(ODCB)を除去して、m-XDIを下記蒸留条件で蒸留して精製した。前記有機溶媒の除去(1次蒸留)は、0.5torr以下の圧力、60℃の温度にて8時間行っており、m-XDIの蒸留(2次蒸留)は、0.1torr以下の圧力、120℃の温度にて10時間行い、m-XDI組成物を得た。
【0250】
<光学材料の製造>
4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール49.3重量部、前記調製したm-XDI組成物50.7重量部、ジブチルスズクロリド0.01重量部、リン酸エステル離型剤(Zelec UN(登録商標)、Stepan社)0.1重量部を均一に混合して、600Paで1時間脱泡した後、3μmテフロンフィルターにろ過して、ガラスモールドとテープにより製作されたモールドに注入した。前記モールドを25℃にて8時間維持した後、130℃まで8時間かけて一定の速度でゆっくり昇温し、130℃にて2時間重合した。成形物をモールドから離型した後、120℃にて2時間さらに硬化して光学レンズ(光学材料)を得た。
【0251】
(実施例1-2~1-5)
3-メチルベンジルアミンの投入濃度を下記表1のように調節したことを除いては、実施例1-1と同様の方法により、m-XDI組成物および光学レンズを得た。
【0252】
(比較例1-1~1-7)
3-メチルベンジルアミンの投入濃度を下記表1のように調節したことを除いては、実施例1-1と同様の方法により、m-XDI組成物および光学レンズを得た。
【0253】
<評価方法>
前記実施例および比較例を以下のように評価した。
【0254】
(1)ヘイズ(白濁)
硬化されたレンズを暗所にてプロジェクターに照射して、レンズの曇りや不透明物質の有無を目視で確認した。
白濁無し:レンズの曇りや不透明物質がない場合
白濁有り:レンズの曇りや不透明物質がある場合
【0255】
(2)耐衝撃性
米国FDAの試験基準に基づいて、常温20℃にて直径80mm、厚さ1.2mmの平板で製造された試験片に、127cmの高さにて軽い鋼球から重い鋼球まで順に落下させて破壊される重さの位置エネルギーで耐衝撃性を測定した。
【0256】
鉄球の重さ:16g、32g、65g、100g、200g、および300gの鉄球を使用して高さごとの落球試験(ball dropping test)によりレンズの破損状況を観察して、破損されたときの位置エネルギーを計算する。
【0257】
計算例-1)FDA基準16g、127cm基準のときの位置エネルギー(Ep)は、
Ep=mgh=0.016×9.8×1.27=0.2(J)
計算例-2)韓国産業安全基準67g、127cm基準のときの位置エネルギー(Ep)は、
Ep=mgh=0.067×9.8×1.27=0.83(J)
【0258】
【0259】
前記表から分かるように、ジアミン組成物にベンジルモノアミンを特定含有量で添加して製造された本発明の実施例1-1~1-5の光学レンズは、比較例1-1~1-7の光学レンズに比べて耐衝撃性に優れるとともに白濁の発生もないことを確認した。
【0260】
具体的に見てみると、ジアミン組成物に3-メチルベンジルアミンを10ppm~2000ppmで添加して製造された実施例1-1~1-5の光学レンズは、いずれも白濁の発生がなく、耐衝撃性が0.4J~2.5Jと、優れていた。
【0261】
これに対し、比較例1-1~1-4のようにジアミン組成物内に3-メチルベンジルアミンの含有量が5ppm以下で存在する場合、白濁の発生はなかったが、耐衝撃性が0.2Jと、非常に低かった。
【0262】
また、比較例1-5のように、ジアミン組成物内に3-メチルベンジルアミンの含有量が9ppmで存在する場合、その耐衝撃性は0.2Jと、依然として低く、白濁が発生することを確認した。
【0263】
一方、比較例1-5~1-7のように、ジアミン組成物内に3-メチルベンジルアミンの含有量が2000ppmを超え、その含有量が多すぎる場合、耐衝撃性は良好だったが、白濁が発生していることが分かった。
【0264】
したがって、本発明の実現例に従って添加剤が投入されたジアミン組成物を用いて光学レンズを製造すると、光学レンズの光学物性は勿論のこと、機械的物性もともに優れており、良質の光学レンズとして用いられるに好適であった。
【0265】
(実施例2-1~2-5並びに比較例1および2)
<段階1:ジアミン塩酸塩組成物の調製>
まず、m-XDAを含むジアミン組成物を準備し、そのCIE色座標によるb*値を測定して、b*値が3.0を超える場合、100℃~130℃および0.1torr~1torrの条件で蒸留して、b*値が0.01~3.0の範囲になるように調節した。反応器に35%塩酸水溶液1009.4g(9.46mol)を投入して撹拌しながら、反応器内部の温度を15℃に冷却した。反応器の温度を60℃に維持しながら、前記準備したジアミン組成物600.0g(4.4mol)を1時間かけて投入した。投入完了後、反応器内部の温度を10℃に冷却して1時間撹拌した後、テトラヒドロフラン(THF)1320.0gを追加投入し、反応器内部の温度を-5℃に冷却して1時間さらに撹拌した。反応完了後、フィルターを用いる真空ろ過により、m-XDA・2HClを含有するジアミン塩酸塩組成物を分離し、ろ過されたテトラヒドロフランは再利用するために回収した。残留溶媒および水分を除去するために、分離したジアミン塩酸塩組成物内の残留溶媒および水分を90℃にて除去し、0.1Torrで真空乾燥を行った。
【0266】
<段階2:ジイソシアネート組成物の調製>
前の段階で得たジアミン塩酸塩組成物800gおよびオルトジクロロベンゼン(ODCB)3550gを反応器Aに投入して撹拌しながら、約125℃にて加熱した。反応器Bに、トリホスゲン(BTMC)950gおよびODCB800gを入れて約60℃にて撹拌溶解し、析出されないように125℃の温度を維持して、反応器Aに24時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間の撹拌を行い、反応終了後、125℃にて窒素ガスを溶媒内部に吹き込んでバブリングしながら脱気した。その後、10℃まで冷却した後、セライトを用いて残存固形分をろ過し、有機溶媒(ODCB)の除去および蒸留工程を行い、m-XDIを含有するジイソシアネート組成物を得た。この際、有機溶媒の除去は、0.5torr以下の圧力、60℃の温度にて8時間行っており、また、蒸留は0.1torr以下の圧力、120℃の温度にて10時間行った。
【0267】
前記実施例および比較例で出発物質として使用したジアミン組成物、および段階1および2でそれぞれ得たジアミン塩酸塩組成物およびジイソシアネート組成物のCIE色座標によるb*値を下記表2にまとめた。b*値は、液状サンプルの場合は厚さ10mmの石英セルに満たし、固体サンプルの場合は有機溶媒(ODCB)に8重量%で溶かして色差計(Colormate、SCINCO社)を用いて測定した。
【0268】
【0269】
前記表から分かるように、ジアミン組成物のCIE色座標によるb*値を調節することにより、ジアミン塩酸塩組成物およびジイソシアネート組成物のb*値を変化させることができた。
【0270】
<光学レンズの製造>
4,8-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジチオール49.3重量部、前記実施例または比較例で調製したm-XDI組成物50.7重量部、ジブチルスズクロリド0.01重量部、リン酸エステル離型剤(Zelec UN、Stepan社)0.1重量部を均一に混合して、600Paで1時間脱泡した後、3μmテフロンフィルターにろ過して、ガラスモールドとテープにより製作されたモールドに注入した。前記モールドを25℃にて8時間維持した後、130℃まで8時間かけて一定の速度でゆっくり昇温し、130℃にて2時間重合した。成形物をモールドから離型した後、120℃にて2時間さらに硬化して、光学レンズを得た。
【0271】
<評価方法>
前記実施例および比較例に対する評価方法は以下の通りである。
【0272】
(1)蒸留収率
蒸留収率は、トリホスゲンとの反応に投入されたジアミン塩酸塩組成物の量から算出された理論的ジイソシアネート組成物の生成量に対する、蒸留後のジイソシアネート組成物の収得量を測定して算出した。
【0273】
(2)ジイソシアネート含有量
ジイソシアネート組成物内のジイソシアネート含有量を、ガスクロマトグラフィー(GC)により測定した(機器:Agilent社の6890/7890、キャリアガス:He、注入温度250℃、オーブン温度40℃~320℃、カラム:HP-1、Wax、30m、検出器:FID、300℃)
【0274】
(3)脈理
直径75mm、-2.00D、-8.00Dのレンズを製造してマーキュリーランプ光源を製造済みのレンズに透過させ、透過光を白色板に投影して明暗差の有無で脈理発生の有無を判断した。
【0275】
(4)白濁(ヘイズ)
光学レンズを暗所にてプロジェクターに照射して、光学レンズの曇りや不透明物質の有無を目視で確認した。
【0276】
(5)透過率および黄色度(Y.I.)
半径16mmおよび高さ45mmの円柱状に光学レンズを作製し、高さ方向に光を透過して、黄色度および透過率を測定した。黄色度は、測定結果のxとyの値に基づいて、下記数学式により算出した。
[数1]
Y.I=(234x+106y)/y
【0277】
【0278】
前記表2および3から分かるように、実施例2-1~2-5のように、好ましいb*範囲を有するジアミン組成物を用いて調製されたジイソシアネート組成物は、収率および純度に優れており、最終的な光学レンズの透過率が高く、脈理、白濁および黄変が発生しなかった。一方、比較例2-1および2-2のように、好ましいb*範囲から外れたジアミン組成物を用いて調製されたジイソシアネート組成物は、収率や純度が相対的に低調であり、最終的な光学レンズに白濁および黄変が発生した。
【符号の説明】
【0279】
T-1:第1タンク
T-2:第2タンク
T-3:第3タンク、
R-1:反応器
D-1:第1蒸留器
D-2:第2蒸留器
C-1:第1コンデンサ
C-2:第2コンデンサ
C-3:第3コンデンサ
S-1:第1スクラバー
S-2:第2スクラバー
G-1:透視窓
V-1:溶媒回収器
図1
図2