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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/24 20060101AFI20220819BHJP
【FI】
B65D43/24 100
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018071351
(22)【出願日】2018-04-03
(65)【公開番号】P2019182436
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 文勇
(72)【発明者】
【氏名】北林 貴知
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-030854(JP,U)
【文献】実開昭56-084951(JP,U)
【文献】実開平04-091854(JP,U)
【文献】特開2004-099126(JP,A)
【文献】実開昭58-194155(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0041482(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、
該容器本体にヒンジにより開閉自在に付設される蓋体と、
該蓋体が開く際、該容器本体の後側板の外面部と当接し、該蓋体を所定の開き角度に保持する、該蓋体に付設される薄板状片と、を有し、
該薄板状片は、側面視において、該蓋体の後側板の該ヒンジの軸芯より上方位置から該ヒンジの軸芯より外側に延びる水平部と、更に下方に屈曲する鉛直部を有し、且つヒンジの軸芯を内側に有する略J字断面形状であり、
蓋体の所定開き角度の保持は、該鉛直部の先端角と該後側板の外面部の当接によることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
該所定の開き角度が、該容器本体の開口面と該蓋体で形成される内角度で、90度~120度であることを特徴とする請求項1記載の蓋付き容器。
【請求項3】
該薄板状片が当接する該後側板の外面部は、鉛直面又は小突起であることを特徴とする請求項1又は2記載の蓋付き容器。
【請求項4】
該後側板の外面部は、鉛直面であって、蓋体の所定開き角度の保持は、該薄板状片の該鉛直部の外側面側の先端角と該後側板の鉛直面の当接によることを特徴とする請求項に記載の蓋付き容器。
【請求項5】
該後側板の外面部は、小突起であって、蓋体の所定開き角度の保持は、該薄板状片の該鉛直部の内側面側の先端角と該後側板の小突起の当接によることを特徴とする請求項に記載の蓋付き容器。
【請求項6】
該薄板状片と該後側板の外面部の当接は、所定の保持状態から蓋体を開く方向に更に手で回動させると、該当接が解除される当接強さであり、所定の開き角度以上である全開状態の蓋体を閉じる際、該薄板状片と該後側板の外面部とは、当たって止まることなく、蓋体が閉じるものであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の蓋付き容器。
【請求項7】
該薄板状片と該後側板の外面部の当接は、当接点を通る縦断面において、該薄板状片の該鉛直部と該後側板の鉛直面との成す外角度が、80±5度であることを特徴とする請求項に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に対して蓋体が所定の開き角度で保持されると共に、意に反して、蓋体に対し、蓋体を開く方向に外力が作用しても、容器本体が倒れず、蓋体のみが更に開いて、容器本体の転倒を防止する蓋付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小物入れ容器、与薬容器、工具箱などの容器は、概ね長さ250~350mm、奥行180mm~280mm、高さ80~250mmであり、蓋付き容器が使用されることが多い。蓋体は、通常、容器本体に対して、公知のヒンジで連結されており、蓋体が開いた状態においても、蓋体は容器本体に接続されている。
【0003】
このような蓋付き容器は、蓋体を開いた状態が、容器本体の開口面に対して、蓋体が180度以上開く、全開容器及び容器本体の開口面に対して、蓋体が90~120度程度開く、部分開き容器が知られている。全開容器は、容器本体の中身を取り出す際、取り出し易い反面、場所を採ることが欠点である。従って、与薬容器など、室内の限られた場所で使用するものは、場所を採らないことから部分開き容器を使用することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-226345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、部分開き容器の場合、蓋体が立っているため、意に反して、作業者の肘が当たり、蓋体が倒れる場合がある。蓋体が容器本体の開口を閉める方向に倒れる場合は、大きな問題はないものの、蓋体が更に開く方向に倒れると、容器本体を転倒させることがある。従って、部分開き容器において、蓋体を所定の開き角度を維持して保持できると共に、蓋体を更に開く方向に外力が作用しても、容器本体を転倒させることのない蓋付き容器の開発が求められている。
【0006】
なお、特開2003-226345号公報には、容器本体と、この容器本体に回動自在にヒンジ結合される蓋体とを備えるヒンジ式開閉容器において、前記蓋体は、前記容器本体の複数箇所にヒンジ結合され、該蓋体に設けたヒンジ部にそれぞれ、ヒンジ部周りに沿って形成された溝を有するものである一方、前記容器本体は、該容器本体のヒンジ側部分に、これらの溝に対応する複数の舌片を一体に有するものであって、これらの舌片はそれぞれ、前記蓋体の回動に際し、前記溝に干渉することなく該溝の回動方向端縁を越えたヒンジ部周りに圧接するものであるヒンジ式開閉容器が開示されている。特開2003-226345号公報のヒンジ式開閉容器は、蓋体が全開する全開容器であり、所定の開き角度を保持した蓋体が自重により容器本体の開口を閉める方向に回動することを防止するものであり、所定の開き角度を保持した蓋体を更に開く方向に外力が作用した場合を想定したものではない。
【0007】
従って、本発明の目的は、部分開き容器において、蓋体を所定の開き角度を維持して保持できると共に、蓋体を更に開く方向に外力が作用しても、容器本体を転倒させることのない蓋付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は上記従来の課題を解決するものであって、容器本体と、該容器本体にヒンジにより開閉自在に付設される蓋体と、該蓋体が開く際、該容器本体の後側板の外面部と当接し、該蓋体を所定の開き角度に保持する、該蓋体に付設される薄板状片と、を有することを特徴とする蓋付き容器を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、該所定の開き角度が、該容器本体の開口面と該蓋体で形成される内角度で、90度~120度であることを特徴とする前記蓋付き容器を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、該薄板状片が当接する該後側板の外面部は、鉛直面又は小突起であることを特徴とする前記蓋付き容器を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、該後側板の外面部は、鉛直面であって、蓋体の所定開き角度の保持は、該薄板状片の外側面側の先端角と該後側板の鉛直面の当接によることを特徴とする前記蓋付き容器を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、該後側板の外面部は、小突起であって、蓋体の所定開き角度の保持は、該薄板状片の内側面側の先端角と該後側板の小突起の当接によることを特徴とする前記蓋付き容器を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、該薄板状片と該後側板の外面部の当接は、所定の保持状態から蓋体を開く方向に更に手で回動させると、該当接が解除される当接強さであり、所定の開き角度以上である全開状態の蓋体を閉じる際、該薄板状片と該後側板の外面部とは、当たって止まることなく、蓋体が閉じるものであることを特徴とする前記蓋付き容器を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、該薄板状片は、側面視において、該蓋体の後側板の該ヒンジの軸芯より上方位置から該ヒンジの軸芯より外側に延びて下方に屈曲し、ヒンジ回転方向に可撓性を有するものであることを特徴とする前記蓋付き容器を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、該薄板状片と該後側板の外面部の当接は、当接点を通る縦断面において、該薄板状片と該後側板の鉛直面との成す外角度が、80±5度であることを特徴とする前記蓋付き容器を提供するものである
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容器本体に対して蓋体が所定の開き角度で保持されるため、作業がし易い。また、意に反して、蓋体に対し、蓋体を開く方向に外力が作用しても、蓋体のみが更に開いて、容器本体の転倒を防止する。また、蓋体全開状態から蓋体を閉める際、薄板状片の先端が後側板の側面に僅かに当たっても撓むため、ほとんど当たった感触がなく、円滑に閉めることができる。このため、室内の限られた場所で使用する与薬容器において都合がよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態における蓋体が閉じた蓋付き容器の斜視図である。
図2図1の蓋付き容器の蓋体が半開き状態の斜視図である。
図3図1の蓋付き容器の蓋体が全開状態(展開状態)の斜視図である。
図4図1の蓋付き容器のヒンジ部を後ろ側から見た部分拡大図である。
図5図1の蓋付き容器の蓋体が閉まった状態におけるヒンジ部の縦断面図である。
図6図1の蓋付き容器の蓋体が半開き状態におけるヒンジ部の縦断面図である。
図7図1の蓋付き容器の蓋体が全開状態(展開状態)におけるヒンジ部の縦断面図である。
図8図1の蓋付き容器の全開状態の蓋体を閉める状態におけるヒンジ部の縦断面図である。
図9図1の蓋付き容器の蓋体を開く場合の薄板状片の動きを説明する図である。
図10図1の蓋付き容器の蓋体を閉める場合の薄板状片の動きを説明する図である。
図11】本発明の他の実施の形態における蓋体が半開き状態におけるヒンジ部の縦断面図である。
図12図11の蓋体の薄板状片と後側板との当接部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態における蓋付き容器を図1図10を参照して説明する。蓋付き容器10は、容器本体1と、容器本体1にヒンジ3により開閉自在に付設される蓋体2とを有する。本発明において、蓋付き容器としては、好ましくは、持ち運びができるものであり、例えば小物入れ容器、与薬用容器及び工具箱などが挙げられる。与薬用容器とは、入院患者等に配薬する医薬品類を、患者、日時毎に、個別に収容する容器を複数個、収納した容器である。
【0019】
蓋付き容器10において、容器本体1は、底板11a及び4つの側板11、12、12、13を有し、天板のない箱状容器である。また、蓋体2は、天板21a及び4つの側板21、22、22、23を有し、底板のないものである。
【0020】
蓋付き容器10において、容器本体1と蓋体2を接続するヒンジ3としては、図4に示すような軸孔141、141を有する左右一対の第1支持部14、14と、軸孔141に回転自在に嵌合する軸突起31、31を有する左右一対の第2支持部6、6を有するヒンジ3が挙げられる。すなわち、本例では、図4に示すように、第1支持部14、14は容器本体の後側板13の外側面の上部に、且つ後側板13の長手方向に所定の寸法で離れて対峙するように付設される一対の板状体である。軸孔141、141は、この第1支持部14、14の上部において、後側板13の長手方向に貫通して形成されたものである。第2支持部6、6は、蓋体2の後側板23の外側面の下部に、且つ後側板23の長手方向に所定の寸法で離れて対峙するように付設される一対の板状体である。軸突起31、31は、この第2支持部6、6の下部において、後側板13の長手方向に短く延びる円筒状突起として形成されたものである。第1支持部14、14の内寸法は、第2支持部6、6の外寸法と略同じ又は少し大である。このヒンジ3は、蓋付き容器10において、後側板13、23の長手方向に所定の寸法で離れて2箇所に付設されている。これにより、蓋付き容器10において、蓋体2は、容器本体1に対して片開きができる。
【0021】
蓋付き容器10において、容器本体1の後側板13の薄板状片4の先端が当たる部分(外面部)は、後側板13の表面から少し突出した微小突起5となっている。すなわち、微小突起5は、側面視において鉛直面(先端面)を有するものである。微小突起5の突起高さは、薄板状片4の形状により適宜決定される。また、本発明においては、微小突起5がないものであってもよい。この場合、リンク軸中心の位置及び薄板状片4の長さを適宜決定すればよい。
【0022】
ヒンジ3のヒンジ軸中心31は、微小突起5の鉛直面から長さh分、外側に位置している。また、ヒンジ軸中心31は、容器本体1の上端近傍に形成されている。これにより、蓋体2は、容器本体1に蓋することができ、且つ蓋体2の薄板状片4と微小突起面との僅かな当たりを実現することができる。
【0023】
蓋付き容器10において、蓋体2の後側板23のヒンジ3の近傍には、薄板状片4が形成されている。薄板状片4は、本例では、蓋体2の第2支持部6、6間に形成されている。薄板状片4をヒンジ部近傍に形成することで、薄板状片4と容器本体1の後側板の外面部(微小突起の鉛直面)との僅かな当たりを実現することができる。僅かな当たりとは、部分開きの蓋体2を支える支持力はあるものの、更に蓋体2に開く方向に外力が作用すると、部分開きの蓋体2を支持できず、更に開いてしまう当たりを言う。薄板状片4は、側面視において蓋体2のヒンジの軸芯31より上方の後側板23からヒンジ3の軸芯31より外側に延びる水平部41と、更に下方に屈曲する鉛直部42とからなる、内側にヒンジの軸芯31が位置する略J字形状である。このため、薄板状片4の鉛直部42の先端部は、ヒンジ回転方向、特に、外力により内側に撓む可撓性を有する。薄板状片4は、樹脂製とすることが、容器本体の後側板との当たり強さを制御し易い点で好ましい。
【0024】
薄板状片4の鉛直部42の厚みとしては、特に制限されないが、例えば、0.5mm~3mmの間で適宜決定される。薄板状片4の鉛直部42の厚みは、均一な厚みに限定されず、先端に向けて先細りとなる不均一厚みの形状であってもよい。薄板状片4の鉛直部42は、蓋体2が閉まった状態において、上下方向に延び、先端が下方を向く舌片である。すなわち、薄板状片4の鉛直部42は、ヒンジの軸芯31から水平方向にh離れている。寸法hとしては、3~7mmである。寸法hが小さすぎると、薄板状片4の容器本体1の後側板に当たらなくなり、大きすぎると、蓋体2からの出っ張りが大となり、蓋付き容器10としての使用勝手が悪くなる。これにより、容器本体1の微小突起5は、ヒンジの軸芯31からの下方向にh離れた位置近傍に形成されることになる。
【0025】
また、薄板状片4の鉛直部42の先端は、ヒンジの軸芯31からの下方向にh離れている。寸法hが小さすぎると、薄板状片4の容器本体1の後側板に当たらなくなり、大きすぎると、蓋体2からの出っ張りが大となり、蓋付き容器10としての使用勝手が悪くなる。寸法hと寸法hはほぼ同じ、若しくは寸法hは寸法hより0.01~1mm程度、小である。これにより、薄板状片4と容器本体1の後側板(微小突起の鉛直面)との僅かな当たりを実現することができる。
【0026】
蓋付き容器10において、蓋体2が開く際、薄板状片4の先端と容器本体1の後側板13の外側部とは当接し、蓋体2を所定の開き角度に保持する。所定の開き角度としては、容器本体1の開口面と蓋体2で形成される内角度(α)で、90度~120度である。これにより、蓋付き容器10を使用する際、開口を開き過ぎず、場所を採らない。また、蓋体2の所定開き角度の保持は、薄板状片4の外側面側の先端角(カド)44と後側板13の外面部(本例では、微小突起の鉛直面)の当接によるものが好ましい。これにより、薄板状片4の先端と容器本体1の後側板13の外面部とは略鉛直姿勢の蓋体2の自重を支える程度の小さな支持力で当接している。すなわち、薄板状片4と後側板13の外面部の当接は、所定の保持状態から蓋体2を開く方向に更に手などの押し力が作用すると、当接が解除される当接強さである。これにより、蓋体2を更に開く方向に外力(例えば作業者の肘)が作用しても、蓋体2が開く方向に倒れるため、容器本体1を転倒させることはない。このように、薄板状片4の先端の容器本体1に対する小さな当たりは、蓋体2の自重を支える支持力を有すると共に、それ以上の大きな作用力より小さな支持力である。これは、内側に屈曲する可撓性のある薄板状片4を形成したため、図9に示すように、X方向の回転に対して、薄板状片4の鉛直部42(図9では水平に寝ている)の先端が外側に撓み難いため、当接位置で蓋体2の自重を支え停止している。
【0027】
一方、薄板状片4の先端43と後側板13の外面部の当接が所定の開き角度以上である全開状態の蓋体2を閉じる際、薄板状片4と後側板13の側面とは、当接して止まることなく、蓋体が閉じることになる(図10)。これは、図10に示すように、Y方向の回転に対して、薄板状片4の鉛直部42(図9では水平に寝ている)の先端が内側に撓み易いためと思われる。
【0028】
蓋付き容器10において、薄板状片4と後側板13の側面の当接は、当接点を通る縦断面において、薄板状片と後側板の側面との成す外角度(β)が、80±5度、好ましくは、80±2度である(図6参照)。薄板状片と後側板の側面との成す外角度(β)が、大きすぎると、蓋体2を所定の開き角度に保持することはできるものの、支持力が強すぎて、蓋体2を更に開く方向に外力(例えば作業者の肘)が作用すると、蓋体2が開く方向に倒れず、容器本体1を転倒させることになる。一方、薄板状片と後側板の側面との成す外角度(β)が、小さ過ぎると、蓋体2の自重を支えることができず、蓋体2の所定の開き角度に保持することはできない。
【0029】
次に、蓋付き容器10の使用方法について説明する。蓋付き容器10は、不使用時、図1に示すように、蓋体2は閉じたままである(図1図5)。蓋付き容器10にハンドルがついている場合、持ち運びができる。次に、蓋付き容器10の収納物を取り出し、作業などする場合、蓋体2を開ける。容器本体1に対して、蓋体2はヒンジで接続されており、蓋体2は、円滑に開く、蓋体2を開き続け、略90度の開きとなった際、自重に任せて開けると、所定の開き角度(90度~120度)で蓋体2はその姿勢に保持される。これは、蓋体2の薄板状片4の先端43が、容器本体1の後側板13の微小突起の鉛直面に当たったためである(図2図6)。薄板状片4と後側板13の側面(外面部)の当接は、当接点を通る縦断面において、薄板状片と後側板の側面との成す外角度(β)が、80±5度である。また、この当たり面積は小さいため、部分開きの蓋体2の自重を支える程度のものである。この半開き状態の蓋付き容器10は、使用状態にあり、例えば、与薬用容器であれば、準備した入院患者等に配薬する医薬品類を整理して、収納する作業などを行う工程における容器状態である。
【0030】
この半開き状態の蓋付き容器10において、作業中、例えば作業者の肘が蓋体2に当たり、蓋体2を開ける方向に力が作用した場合、薄板状片4と後側板13の側面の当接力は、解除され、容器本体1に対して、蓋体2は、更に開く方向に回転する。すなわち、薄板状片4の先端は、外力により撓みきれず、剛性が勝り、当接が外れることになる。そして、蓋体2の第2支持部6、6が容器本体1の突起8に当たるため、蓋体2は、略180度開いて止まる。このように、意図しない外力が蓋体2に作用しても、容器本体1が転倒することがない。
【0031】
次に、全開状態の蓋付き容器10を不使用時の状態に戻す。すなわち、全開状態の蓋付き容器10の蓋体2を閉じる。この際、蓋体2が、蓋体2を開ける際の所定の開き角度位置に来ても、薄板状片4と後側板13の側面は、極僅かに当たるものの、擦る程度であり、ほとんど抵抗なく、容器本体1の開口を蓋体2で閉めることができる(図8図10)。これは、図10に示すように、Y方向の回転に対して、薄板状片4の鉛直部42(図9では水平に寝ている)の先端が内側に撓み易いため、薄板状片4と後側板13の側面が当たっても擦る程度で滑り、抵抗なく蓋体2を閉めることができる。
【0032】
蓋付き容器10によれば、容器本体1に対して蓋体2が所定の開き角度で保持されると共に、意に反して、蓋体2に対し、蓋体2を開く方向に外力が作用しても、容器本体1が倒れず、蓋体2のみが更に開いて、容器本体の転倒を防止する。また、全開状態の蓋体2を閉める際は、途中、保持状態を経ることなく、閉めることができる。
【0033】
次に、本発明の他の実施の形態例について、図11及び図12を参照して説明する。図11及び12において、図1図10と同一構成要素には、同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、図11及び図12の蓋付き容器10aにおいて、図1図10の蓋付き容器10と異なる点は、容器本体1の後側板13の外面部を小突起5aとした点である。すなわち、蓋付き容器10aの容器本体1の後側板13の小突起5aは、蓋付き容器10の容器本体1の後側板13の鉛直面を形成する微小突起の突起高さを僅かに低くし、且つ側面視が矩形状の微小突起の上端縁に高さが1~3mm程度の小突起5aを形成したものである。小突起51aは、側面視において、下部に、外側に上り傾斜の傾斜面51aを有する(図12参照)。
【0034】
蓋付き容器10aにおいて、蓋体2の薄板状片4の先端43と小突起5aの係止関係は次の通りである。すなわち、蓋付き容器10aの収納物を取り出し、作業などする場合、蓋体2を開ける。容器本体1に対して、蓋体2はヒンジで接続されており、蓋体2は、円滑に開く、蓋体2を開き続け、略90度の開きとなった際、自重に任せて開けると、所定の開き角度(90度~120度)で蓋体2はその姿勢に保持される。これは、蓋体2の薄板状片4の内側面側の先端43aが、容器本体1の後側板13の小突起5a傾斜面51aに当たったためである(図12)。この当たりは小さいため、部分開きの蓋体2の自重を支える程度のものである。この半開き状態の蓋付き容器10aは、使用状態にあり、例えば、与薬用容器であれば、準備した入院患者等に配薬する医薬品類を整理して、収納する作業などを行う工程における容器状態である。
【0035】
次に、全開状態の蓋付き容器10aを不使用時の状態に戻す。すなわち、全開状態の蓋付き容器10aの蓋体2を閉じる。この際、蓋体2が、蓋体2を開ける際の所定の開き角度位置に来ても、薄板状片4と後側板13の外面部の小突起5aは、極僅かに当たるものの、擦る程度であり、ほとんど抵抗なく、容器本体1の開口を蓋体2で閉めることができる。これは、Y方向の回転に対して、薄板状片4の鉛直部42の先端が内側に撓み易いため、薄板状片4と後側板13の外面部が当たっても擦る程度で滑り、抵抗なく蓋体2を閉めることができる。
【0036】
本発明において、容器本体又は蓋体の構造・形状は、上記実施の形態例に限定されず、楕円型容器、円形型容器、不定形状容器などが挙げられる。また、容器本体の微小突起は省略でき、薄板状片4が、直接、後側板13の側面に当たるものであってもよい。また、容器本体1の微小突起の先端面である鉛直面は、厳密な鉛直は要求されず、少しの傾斜がある側面であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、使用時には、容器本体に対して蓋体が所定の開き角度で保持される。意に反して、半開きの蓋体に対し、蓋体を開く方向に外力が作用しても、容器本体1が倒れず、蓋体2のみが更に開いて、容器本体の転倒を防止する。また、全開状態の蓋体2を閉める際は、途中、保持状態を経ることなく、ほぼ円滑に閉めることができる。このため、蓋付き容器を例えば、与薬用容器に使用すれば、狭い場所でも容器本体の転倒の心配がなく、安心して作業ができる。
【符号の説明】
【0038】
1 容器本体
2 蓋体
3 ヒンジ
4 薄板状片
5 微小突起
6 第2支持体
10、10a 蓋付き容器
13 容器本体の後側板
14 第1支持体
23 蓋体の後側板
31 ヒンジの軸中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12