IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社MR Japanの特許一覧

<>
  • 特許-電力供給システム 図1
  • 特許-電力供給システム 図2
  • 特許-電力供給システム 図3
  • 特許-電力供給システム 図4
  • 特許-電力供給システム 図5
  • 特許-電力供給システム 図6
  • 特許-電力供給システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20220819BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220819BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20220819BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20220819BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/38 130
H02J7/35 K
H02M7/48 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018100319
(22)【出願日】2018-05-25
(65)【公開番号】P2019205309
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】517150009
【氏名又は名称】株式会社MR Japan
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】平林 真人
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-222973(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0315498(US,A1)
【文献】特開2013-031349(JP,A)
【文献】特開2002-176736(JP,A)
【文献】特開2014-090618(JP,A)
【文献】特開2010-142085(JP,A)
【文献】特開2018-064354(JP,A)
【文献】特開平09-098581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J9/00-11/00
H02M7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネルに接続される太陽光パネル接続端子と、
蓄電池に接続される蓄電池接続端子と、
商用電源に接続される商用電源入力端子と、
負荷に交流電力を供給するための交流電力出力端子と、
前記太陽光パネル接続端子に接続された太陽光パネルが出力する電圧と電流を制御する充放電コントローラと、
前記充放電コントローラから出力される直流電流のレベルを変換して前記蓄電池接続端子を介して蓄電池に供給するとともに、前記蓄電池から供給される直流電流のレベルを変換して出力する双方向DC/DCコンバータと、
前記充放電コントローラおよび双方向DC/DCコンバータからの直流電流を交流電流に変換して前記交流電力出力端子に供給するインバータと、
前記商用電源入力端子と前記交流電力出力端子との間に設けられたスイッチと、
前記充放電コントローラの出力および前記双方向DC/DCコンバータの出力の状態に基づいて前記スイッチをオン/オフして、選択的に前記交流電力出力端子に商用電源を供給する制御モジュールと、
を有するパワーコンディショナと、
前記パワーコンディショナの前記交流電力出力端子から出力される交流出力電圧が所定の値を下回ったこと、前記パワーコンディショナのDC出力端子から出力される直流電圧のレベルが所定の値を下回ったことの何れかを検出する検出回路と、
前記検出回路が前記パワーコンディショナの前記交流電力出力端子から出力される交流出力電圧が所定の値を下回ったこと、前記パワーコンディショナのDC出力端子から出力される直流電圧のレベルが所定の値を下回ったことの何れかを検出すると、前記負荷に前記商用電源を接続する出力回路と
を備えた電源システム。
【請求項2】
請求項1に記載された電源システムにおいて、
前記出力回路は、
前記交流電力出力端子に一次側巻き線が接続され、前記負荷に二次側巻き線が接続されるトランスと、
前記検出回路が前記パワーコンディショナの前記交流電力出力端子から出力される交流出力電圧が所定の値を下回ったこと、前記パワーコンディショナのDC出力端子から出力される直流電圧のレベルが所定の値を下回ったことの何れかを検出すると、前記トランスの前記二次側巻き線に前記商用電源を接続するリレーと
を備えることを特徴とする電源システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載された電源システムにおいて、
前記パワーコンディショナは、
互いに直列に接続された2つの前記インバータを備え、
2つの前記インバータの接続点を前記負荷に供給する交流電力の中点とする
ことを特徴とする電源システム。
【請求項4】
太陽光パネルに接続される太陽光パネル接続端子と、
蓄電池に接続される蓄電池接続端子と、
商用電源に接続される商用電源入力端子と、
負荷に交流電力を供給するための交流電力出力端子と、
前記太陽光パネル接続端子に接続された太陽光パネルが出力する電圧と電流を制御する充放電コントローラと、
前記充放電コントローラから出力される直流電流のレベルを変換して前記蓄電池接続端子を介して蓄電池に供給するとともに、前記蓄電池から供給される直流電流のレベルを変換して出力する双方向DC/DCコンバータと、
前記充放電コントローラおよび双方向DC/DCコンバータからの直流電流を交流電流に変換して前記交流電力出力端子に供給するインバータと、
前記商用電源入力端子を介して前記商用電源から供給される交流電流を直流電流に変換して前記双方向DC/DCコンバータに出力するAC/DCコンバータと、
前記充放電コントローラの出力および前記双方向DC/DCコンバータの出力の状態に基づいて、選択的に前記商用電源を前記AC/DCコンバータに供給して前記双方向DC/DCコンバータを介してバッテリーを充電する制御モジュールと、
を有するパワーコンディショナと、
前記パワーコンディショナの前記交流電力出力端子から出力される交流出力電圧が所定の値を下回ったこと、および前記パワーコンディショナが前記バッテリーを充電するバッテリーチャージモードであることを検出する検出回路と、
前記検出回路が、前記パワーコンディショナの前記交流電力出力端子から出力される交流出力電圧が所定の値を下回ったこと、前記パワーコンディショナが前記バッテリーを充電するバッテリーチャージモードであることの何れかを検出すると、前記負荷に前記商用電源を接続する出力回路と
を備えた電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルと蓄電池とを備えた電力供給システムに関し、より具体的には、太陽光パネルと、この太陽光パネルおよび商用電源によって充電される蓄電池とを備えた電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、太陽光パネルと蓄電池とを備え、日中は太陽光パネルにより発電された電力をDC/AC変換して負荷に供給するとともに、太陽光発電の余った電力や商用電源で蓄電池を充電してその電力を夜間に負荷に供給する電力供給システムが提供されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
太陽光パネルを含む電力供給システムには、太陽光パネルにより発電された電力の一部を商用電源に売電する、いわゆるオングリッドのシステムと、商用電源に売電せずに蓄電池に充電するいわゆるオフグリッドのシステムとがある。このうち、オフグリッドの電力供給システムの一構成例は、図7に示すように、太陽光パネル20-1、20-2、蓄電池30、および商用電源40と接続されるとともに、トランス602を介して、図示しない負荷側の分電盤に電力を供給するパワーコンディショナ(Power Conditioning System。以下、「PCS」という。)10を備えている。
【0004】
このPCS10は、太陽光パネル20-1、20-2に接続される太陽光パネル接続端子102-1、102-2と、蓄電池30に接続される蓄電池接続端子103と、商用電源40に接続される商用電源接続端子104と、負荷に交流電力を供給するための交流電力出力端子105と、太陽光パネル接続端子102-1、102-2に接続された太陽光パネル20-1、20-2が出力する電圧と電流を制御する充放電コントローラ106-1、106-2と、充放電コントローラ106-1、106-2から出力される直流電流のレベルを変換して蓄電池接続端子103を介して蓄電池30に供給するとともに、蓄電池30から供給される直流電流のレベルを変換して出力する双方向DC/DCコンバータ107と、充放電コントローラ106-1、106-2および双方向DC/DCコンバータ107からの直流電流を交流電流に変換して交流電力出力端子105に供給するとともに、商用電源40から供給される交流電流を直流電流に変換して双方向DC/DCコンバータ107に供給するインバータ/コンバータ108と、商用電源入力端子104と交流電力出力端子105との間に設けられたスイッチ109と、充放電コントローラ106-1、106-2の出力および双方向DC/DCコンバータ107の出力の状態に基づいてスイッチ109をオン/オフして、選択的に交流電力出力端子105に商用電源を供給する制御モジュール101とを備えている。
【0005】
このような構成を有する電力供給システムは、通常は、スイッチ109をオフにして商用電源40から負荷を切り離し、太陽光パネル20-1、20-2で発電した電力をインバータ108iによって交流に変換して、負荷における消費電力をまかなうことを主な目的とするが、太陽光パネル20-1、20-2から電力が供給されない夜間等においては、蓄電池30から負荷に電力を供給する一方、万一、太陽光パネル20-1、20-2や蓄電池30から十分な電力が供給できない場合でも、スイッチ109をオンにすることによって、商用電源40から負荷に電力を供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-055565号公報
【文献】特開2014-183716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような構成を有する電力供給システム、特にオフグリッドのシステムにおいては、万一、制御モジュール101の故障など、PCS10に何らかのトラブルが発生し、PCS10がハングアップして電力供給に関わる制御ができなくなると、太陽光パネル20-1、20-2からの発電がなく、蓄電池30の充電レベルも低い場合には、スイッチ109を操作して商用電源40に切り替えることができず、負荷に電力を供給できなくなるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、PCSがハングアップした場合でも、負荷に電力を供給できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る電力供給システムは、太陽光パネル(20-1、20-2)に接続される太陽光パネル接続端子(102-1、102-2)と、蓄電池(30)に接続される蓄電池接続端子(103)と、商用電源(40)に接続される商用電源入力端子(104)と、負荷に交流電力を供給するための交流電力出力端子(105)と、前記太陽光パネル接続端子(102-1、102-2)に接続された太陽光パネル(20-1、20-2)が出力する電圧と電流を制御する充放電コントローラ(106-1、106-2)と、前記充放電コントローラ(106-1、106-2)から出力される直流電流のレベルを変換して前記蓄電池接続端子(103)を介して蓄電池(30)に供給するとともに、前記蓄電池(30)から供給される直流電流のレベルを変換して出力する双方向DC/DCコンバータ(107)と、前記充放電コントローラ(106-1、106-2)および双方向DC/DCコンバータ(107)からの直流電流を交流電流に変換して前記交流電力出力端子に供給するインバータ(108i)と、前記商用電源入力端子(104)と前記交流電力出力端子(105)との間に設けられたスイッチ(109)と、前記充放電コントローラ(106-1、106-2)の出力および前記双方向DC/DCコンバータ(107)の出力の状態に基づいて前記スイッチ(109)をオン/オフして、選択的に前記交流電力出力端子に商用電源を供給する制御モジュール(101)と、を有するPCS(10)と、前記PCS(10)がハングアップしたことを検出する検出回路(50)と、前記検出回路(50)が前記PCSがハングアップしたことを検出すると、前記負荷に前記商用電源(40)を接続する出力回路(60)と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで前記検出回路(50)は、前記交流電力出力端子(105)から出力される交流出力電圧を監視して、前記交流出力電圧が所定の値を下回ったことを検出する不足電圧継電器(50)から構成することができる。
【0011】
また、前記出力回路(60)は、前記交流電力出力端子(105)に一次側巻き線が接続され、前記負荷に二次側巻き線が接続されるトランス(602)と、前記検出回路(50)が前記PCS(10)がハングアップしたことを検出すると、前記トランス(602)の前記二次側巻き線に前記商用電源(40)を接続するリレー(601)とを備えるようにしてもよい。
【0012】
また、前記PCS(10)は、互いに直列に接続された2つの前記インバータ(108i-1、108i-2)を備え、2つの前記インバータの接続点を前記負荷に供給する交流電力の中点(N)とするようにしてもよい。
【0013】
また、本発明に係る電力供給システムは、太陽光パネル(20-1、20-2)に接続される太陽光パネル接続端子(102-1、102-2)と、蓄電池(30)に接続される蓄電池接続端子(103)と、商用電源(40)に接続される商用電源入力端子(104)と、負荷に交流電力を供給するための交流電力出力端子(105)と、前記太陽光パネル接続端子(102-1、102-2)に接続された太陽光パネル(20-1、20-2)が出力する電圧と電流を制御する充放電コントローラ(106-1、106-2)と、前記充放電コントローラ(106-1、106-2)から出力される直流電流のレベルを変換して前記蓄電池接続端子(103)を介して蓄電池(30)に供給するとともに、前記蓄電池(30)から供給される直流電流のレベルを変換して出力する双方向DC/DCコンバータ(107)と、前記充放電コントローラ(106-1、106-2)および双方向DC/DCコンバータ(107)からの直流電流を交流電流に変換して前記交流電力出力端子に供給するインバータ(108i)と、前記商用電源入力端子(104)を介して前記商用電源から供給される交流電流を直流電流に変換して前記双方向DC/DCコンバータに出力するAC/DCコンバータ(108c)と、前記充放電コントローラ(106-1、106-2)の出力および前記双方向DC/DCコンバータ(107)の出力の状態に基づいて選択的に前記商用電源(40)を前記AC/DCコンバータに供給して前記双方向DC/DCコンバータを介してバッテリーを充電する制御モジュール(101)と、を有するPCS(300)と、 前記PCS(300)が前記バッテリーを充電するバッテリーチャージモードであることを検出する検出回路(50a)と、前記検出回路(50a)が前記PCS(300)が前記バッテリーを充電するバッテリーチャージモードであることを検出すると、前記負荷に前記商用電源(40)を接続する出力回路(60)とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、PCSがハングアップしたことを検出すると、出力回路を介して負荷に商用電源が接続されるので、PCSがハングアップした場合でも、ユーザー等の操作を必要とせずに、商用電源の電力を負荷に供給することができ、負荷に電力を供給できなくなる事態を回避することができる。すなわち、昼夜を問わず、PCSがハングアップした際に一切人の手を介さず自動的に商用電源への切り替えを行い、負荷に商用電源を供給することができるので、負荷への電源供給が途絶え停電となってしまう事態を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電力供給システムの構成(太陽光発電時)を示す図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態に係る電力供給システムの構成(パススルー時)を示す図である。
図3図3は、本発明の第1の実施の形態に係る電力供給システムの構成(ハングアップ時)を示す図である。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態に係る電力供給システムの変形例を示す図である。
図5図5は、本発明の第2の実施の形態に係る電力供給システムの構成を示す図である。
図6図6は、本発明の第3の実施の形態に係る電力供給システムの構成を示す図である。
図7図7は、従来の電力供給システムの一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1乃至図3は、いずれも本発明の第1の実施の形態に係る電力供給システムの構成を示す図であり、図1は太陽光発電時、図2はパススルー時、図3はハングアップ時の状態を示している。
【0017】
[電力供給システムの構成]
本発明の第1の実施の形態に係る電力供給システムは、PCS10と、このPCS10がハングアップしたことを検出する検出回路50と、この検出回路50が、PCS10がハングアップしたことを検出すると、負荷に前記商用電源40を接続する出力回路60とを備えている。
【0018】
このPCS10は、太陽光パネル20-1、20-2に接続される太陽光パネル接続端子102-1、102-2と、蓄電池30に接続される蓄電池接続端子103と、商用電源40に接続される商用電源入力端子104と、負荷に交流電力を供給するための交流電力出力端子105と、太陽光パネル接続端子102-1、102-2に接続された太陽光パネル20-1、20-2が出力する電圧と電流を制御する充放電コントローラ106-1、106-2と、充放電コントローラ106-1、106-2から出力される直流電流のレベルを変換して蓄電池接続端子103を介して蓄電池30に供給するとともに、蓄電池30から供給される直流電流のレベルを変換して出力する双方向DC/DCコンバータ107と、充放電コントローラ106-1、106-2および双方向DC/DCコンバータ107からの直流電流を交流電流に変換して交流電力出力端子105に供給するとともに、商用電源40から供給される交流電流を直流電流に変換して双方向DC/DCコンバータ107に供給するインバータ/コンバータ108と、商用電源入力端子104と交流電力出力端子105との間に設けられたスイッチ109と、充放電コントローラ106-1、106-2の出力および双方向DC/DCコンバータ107の出力の状態に基づいてスイッチ109をオン/オフして、選択的に交流電力出力端子105に商用電源を供給する制御モジュール101とを備えている。
【0019】
ここで、制御モジュール101は、サンプリング回路110を介して、充放電コントローラ106-1、106-2、蓄電池30の電圧、および商用電源40の電圧を監視するとともに、交流電力出力端子105から出力される出力電流a、インバータ108iによってDC/AC変換された交流電流b、およびインバータ108iの出力電圧cの状態に応じて、充放電コントローラ106-1、106-2、双方向DC/DCコンバータ107、およびスイッチ109を制御する。
【0020】
例えば、太陽光パネル20-1、20-2が太陽光発電を行って十分な電力を供給できているときには、制御モジュール101は、スイッチ109をオフにして、充放電コントローラ106-1、106-2から供給される直流電流をインバータ108iによって交流電流に変換し、交流電力出力端子105を介して負荷に供給する。このとき余剰電力があれば、双方向DC/DCコンバータ107を介して蓄電池30を充電する。夜間や悪天候の時など、太陽光パネル20-1、20-2によって十分な発電ができなくても、蓄電池30から供給される直流電力を双方向DC/DCコンバータ107およびインバータ108iを介して交流に変換して負荷に供給することができる。
【0021】
また、夜間や悪天候の時など、太陽光パネル20-1、20-2によって十分な発電ができず、また、蓄電池30からも十分な電力を供給できない場合には、図2に示すように、制御モジュール101は、スイッチ109をオンにして、商用電源40を負荷に供給する。
【0022】
一方、本実施の形態においては、検出回路50は、例えば、PCS10の交流電力出力端子105の端子間電圧を監視して、電圧が設定値以下になったとき動作する継電器(UVR:不足電圧継電器)である。また、出力回路60は、商用電源40と負荷側、すなわちトランス602の二次側巻き線との間のバイパス線に設けられたリレー601を含む。
不足電圧継電器(検出回路50)が、PCS10の交流電力出力端子105の端子間電圧が設定値以下になったことを検出すると、PCS10がハングアップしたとみなして、リレー601をオンにして、負荷に商用電源40を接続する。また、出力回路60は、PCS10の交流電力出力端子105とトランス602の一次側巻き線との間に設けられ、不足電圧継電器(検出回路50)が、PCS10の交流電力出力端子105の端子間電圧が設定値以下になったことを検出するとオフするスイッチ603を含む。
【0023】
[電力供給システムの動作]
<太陽光発電時:図1
本実施の形態に係る電力供給システムは、太陽光パネル20-1、20-2による太陽光発電によって負荷の消費電力を賄える場合は、図1に示すように、スイッチ109をオフにして商用電源40から負荷を切り離し、太陽光パネル20-1、20-2で発電した電力をインバータ108iによって交流に変換して、トランス602を介して負荷に供給する。このとき余剰電力があれば、双方向DC/DCコンバータ107を介して蓄電池30を充電する。
また、夜間や悪天候の時など、太陽光パネル20-1、20-2によって十分な発電ができない場合でも、蓄電池30が十分に充電されている場合には、DC/DCコンバータ107を介して蓄電池30から供給される直流電力をDC/DCコンバータ107およびインバータ108iを介して交流に変換して負荷に供給する。
【0024】
<パススルー時:図2
一方、夜間や悪天候の時など、太陽光パネル20-1、20-2によって十分な発電ができず、かつ、蓄電池30が十分に充電されていない場合には、図2に示すように、スイッチ109をオンにして、商用電源40から負荷に電力を供給する。このようにPSC10を介して負荷に商用電源40を供給することは「パススルー」と呼ばれる。
このとき、商用電源40から供給される電力をコンバータ108cおよび双方向DC/DCコンバータ107を介して蓄電池30を充電するようにしてもよい。
【0025】
<ハングアップ時:図3
制御モジュール101の故障など、PCS10に何らかのトラブルが発生し、PCS10がハングアップして電力供給に関わる制御ができなくなると、負荷に電力を供給できなくなり、交流電力出力端子105の端子間電圧が低下する。すると、不足電圧継電器(検出回路50)がPCS10の交流電力出力端子105の端子間電圧が設定値以下になったことを検出して、図3に示すように、リレー601をオンにして、負荷に商用電源40を供給する。このとき、出力回路60のスイッチ603は、リレー601がオンすると同時にオフとなり、トランス602からの回り込み電圧によってPCS10の交流電力出力端子105の端子間電圧が通常のレベルに戻ってしまうことを防止する。
したがって、昼夜を問わず、PCS10がハングアップした際には人の手を介さずに自動的に商用電源への切り替えが行われ、負荷に商用電源40を供給することができき、PCSがハングアップした場合に負荷に電力を供給できなくなる事態を回避することができる。
【0026】
[変形例]
上述した第1の実施の形態においては、PCS10がハングアップしたことを検出する検出回路として不足電圧継電器(検出回路50)を用い、PCS10の交流電力出力端子105の端子間電圧を監視し、交流出力電圧が所定の値を下回ったことを検出すると、PCS10がハングアップしたものと見なしてリレー601をオンさせるように構成した。
これに対し、図4に示すように、PCS100がDC出力端子111を備えている場合には、交流電力出力端子105の端子間電圧を監視する代わりに、このDC出力端子111から出力される直流電圧のレベルを検出回路500で監視するようにしてもよい。
【0027】
このような構成を有する電力供給システムにおいては、検出回路500は、DC出力端子から出力される直流電圧のレベルが所定の値を上回っているときは、リレー601をオフ状態としているが、DC出力端子から出力される直流電圧のレベルが所定の値を下回ったときに、PCS100がハングアップしたと見なして、リレー601をオンさせ、商用電源40を負荷に供給する。
【0028】
これによって、PCS100がハングアップした場合でも、ユーザー等の操作を必要とせずに、商用電源40の電力を負荷に供給することができ、負荷に電力を供給できなくなる事態を回避することができる。
【0029】
[第2の実施の形態]
次に本発明の第2の実施の形態について図5を参照して説明する。なお、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0030】
本発明の第2の実施の形態に係る電力供給システムは、充放電コントローラ106-1、106-2や双方向DC/DCコンバータ107より供給される直流電流を交流電流に変換する2つのインバータ108i-1、108i-2を備え、これらのインバータ108i-1、108i-2は互いに直列に接続されている。ここで直列に接続されたインバータ108i-1、108i-2の接続点を負荷に供給する交流電力の中点(N)とする。このときリレー601の出力側を負荷の分電盤等に接続するようにすればよい。
【0031】
例えば、一般的な低圧売電用パワコン(出力10kW以下)は、AC出力値200V-202Vで商用電源(電力会社電力線)に出力をする。上述した第1の実施の形態においては、中点を出すために、トランス602を用い、V0-N-V1のV0-N間が100V、N-V1間が100Vを実現した。これに対し、第2の実施の形態においては、インバータ(DC/AC)108i-1、108i-2をDC-AC100V、DC-AC100Vで直列に接続すれば、V0-N-V1の100V、100Vの中点ができるので、トランスを使用しなくても済む。
【0032】
[第3の実施の形態]
次に本発明の第3の実施の形態について図6を参照して説明する。なお、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
第3の実施の形態に係る電力供給システムは、図6に示すように、PCS300と、このPCS300がハングアップしたことを検出する検出回路50aと、この検出回路50が、PCS300がハングアップしたことを検出すると、負荷に前記商用電源40を接続する出力回路60とを備えている。
【0034】
上述した第1の実施の形態においては、PCS10は、パススルー時(図2を参照。)には、スイッチ109を介して、商用電源接続端子104に供給される商用電源40を交流電力出力端子105から負荷に供給することができた。これに対し、第3の実施の形態においては、PCS300は、バッテリー30をチャージするためのみに商用電源40を使用し、いわゆるパススルーは行わない。したがって、PCS300は、第1の実施の形態においてPCS10が有していたスイッチ109に相当する構成を有していない。また、商用電源40は、PCS300がハングアップしたときに加え、商用電源40を用いてバッテリー30をチャージしている時にも、PCS300とは別に設けられたバイパス線と出力回路60とを介して負荷に供給される。
【0035】
第3の実施の形態に係る電力供給システムにおいても、第1の実施の形態に係る電力供給システムと同様に、検出回路50aが、PCS300の交流電力出力端子105の端子間電圧を監視し、交流電力出力端子105の端子間電圧が設定値以下になったことを検出すると、PCS300がハングアップしたとみなして、リレー601をオンにして、負荷に商用電源40を接続する。
【0036】
一方、検出回路50aは、PCS300のDC出力端子111の出力も監視しており、PCS300に異常がなくても、バッテリーチャージ時、すなわち、PCS300が商用電源40を用いてバッテリー30を充電するときには、DC出力端子111からの信号に応じて出力回路60のリレー601をオンにして、ハングアップ時と同様に、商用電源40と負荷側、すなわちトランス602の二次側巻き線との間のバイパス線を通じて商用電源40から負荷に電力を供給する。
【0037】
このような構成は、PCS300の容量が小さく、パススルーに対応できない場合に有効である。
【符号の説明】
【0038】
10、100、200、300…パワーコンディショナ(PCS)、101…制御モジュール、102-1、102-2…太陽光パネル接続端子、103…蓄電池接続端子、104…商用電源接続端子、105…交流電力出力端子、106-1、106-2…充放電コントローラ、107…双方向DC/DCコンバータ、108…インバータ/コンバータ、108i、108i-2、108i-2…インバータ、108c…コンバータ、109…スイッチ、110…サンプリング回路、111…DC出力端子、20-1、20-2…太陽光パネル、30…蓄電池、40…商用電源、50、500、50a…検出回路、60、600…出力回路、601…リレー、602…トランス、603…スイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7