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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】与薬管理具及び与薬カート
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/00 20060101AFI20220819BHJP
   A61J 1/00 20060101ALI20220819BHJP
   A61J 1/14 20060101ALI20220819BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
A61J7/00 A
A61J1/00 420
A61J1/14 390Z
A61G12/00 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018127448
(22)【出願日】2018-07-04
(65)【公開番号】P2020005746
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 康廣
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-008350(JP,A)
【文献】特開2007-307104(JP,A)
【文献】特開2011-245254(JP,A)
【文献】特開2004-167053(JP,A)
【文献】特開2015-000101(JP,A)
【文献】特開2015-019730(JP,A)
【文献】特許第5563621(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2005/0256830(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/14
A61J 7/00
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方板、後方板、底板及び左右側板を備える上方開口の四角形容器であり、該前方板及び該後方板の内側には、左右方向を区切る縦仕切り板が係止する第1係止溝が多数形成され、該左右側板の内側には、前後方向を区切る横仕切り板が係止する第2係止溝が多数形成される収納与薬容器に、単位与薬容器連結体が、前後並びで複数y個、収納された与薬管理具であって、
該単位与薬容器連結体が、与薬対象者に対して配薬される医薬品を収納する単位与薬容器の複数x個と、該単位与薬容器の複数x個を横並びに連結する単位与薬容器ハンガーを備え、
該単位与薬容器は、背面板を有する上方開口の箱状物であって、該背面板の上部の外側には、該単位与薬容器ハンガーに係止する係止部を備え、
該単位与薬容器ハンガーは、該単位与薬容器の係止部が係止する帯状の連結本体と、該連結本体の前方において該連結本体の左右方向を区画すると共に、該連結本体から下方に延びる複数(x+1)個の脚部材と、を備え、
該単位与薬容器は、隣接する2つの脚部材間に収納されるよう、該単位与薬容器ハンガーに係止され、
該単位与薬容器が該単位与薬容器ハンガーに係止時、該単位与薬容器の底面と該脚部材の下端が略面一であるか、又は該単位与薬容器の底面が該脚部材の下端より上方であることを特徴とする与薬管理具
【請求項2】
該単位与薬容器と該単位与薬容器ハンガーは、該単位与薬容器ハンガーの帯状の連結本体に対して、該単位与薬容器の係止部を上から下に差し込むことで係止することを特徴とする請求項1に記載の与薬管理具
【請求項3】
複数(x+1)個の脚部材の中、両側の脚部材を除く、内側の脚部材は、該帯状の連結本体から前方へ突出する板状壁であることを特徴とする請求項に記載の与薬管理具
【請求項4】
該脚部材は5個であり、中央の脚部材には、側面視において、隣接する左右の単位与薬容器から前方へ突出する把持部が形成されていることを特徴とする請求項に記載の与薬管理具
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の与薬管理具を上下多段で収納することを特徴とする与薬カート。
【請求項6】
該収納与薬容器の該左右側板のそれぞれの外側面には、該外側面から外側に突出し、且つ該前後方向に延びる、与薬カートの内側面に付設される第2レールにスライド自在に載る第1レール部が形成されていることを特徴とする請求項に記載の与薬カート。
【請求項7】
該第1レール部の後部には、下方に突出する収納与薬容器の前方への転落を防止する第1突起が形成され、該第2レールの前部には 該第1突起と係止する上向きの第2突起が形成されていることを特徴とする請求項に記載の与薬カート。
【請求項8】
該収納与薬容器を引き出すことで、該第2突起に該第1突起が係止し、斜め傾斜姿勢に保持されることを特徴とする請求項に記載の与薬カート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬の収納に便利で使い勝手が良く衛生的な単位与薬容器連結体、与薬管理具及び与薬カートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
入院患者等に配薬する道具として、患者毎、時間帯毎、日毎に個別に収納する収納与薬容器及びこれを収納する収納容器が知られている。例えば、特開2014-8350号公報には、複数の支持盤と、それらの支持盤を保持し得る支持盤保持体を備えてなり、前記各支持盤は、複数個の被支持物品を別々の水平方向位置に上向きに支持し得るものであって、前記複数個の被支持物品の支持盤に対する水平方向位置をそれぞれ位置決めする被支持物品位置決め部を有すると共に、上方突設の少なくとも1つの把手部を備え、前記支持盤保持体は、前記複数の支持盤を、水平方向に並べた状態で且つそれぞれ把手部を把持して上方に取り外すことが可能な状態で保持し得るものであり、支持盤保持体に対する各支持盤の水平方向位置をそれぞれ位置決めする水平方向位置決め部と、各支持盤を上向きに支持する上向き支持部を有することを特徴とする物品支持器具が開示されている。
【0003】
この物品支持器具によれば、把手部を把持して支持盤を取り扱うことにより、個別に取り扱うことができる複数個の被支持物品を、一括して支持盤保持体に対し保持させることができると共に支持盤保持体から取り出すことができ、また、複数個の被支持物品を別々の水平方向位置に上向きに支持した支持盤を、複数水平方向に並べた状態で支持盤保持体により保持し得るので、被支持物品を効率良く確実に取り扱うことが可能であると共に、支持盤保持体に保持した支持盤に支持された被支持物品を効率的に確認することができる。
【0004】
また、特許第5563621号公報には、与薬対象が、医薬品が配薬される患者または入所者であり、複数の与薬対象に対し配薬されるべき医薬品を小分けして収容し得る与薬管理具であって、複数の与薬対象には、1日分に相当する1周期内で、複数回の配薬時期に、医薬品が配薬される与薬対象が含まれ、1回の配薬時期に配薬される医薬品を収容し得る与薬単位容器であって、与薬対象を示す対象識別手段を着脱可能に設け得る与薬単位容器と、同一の与薬対象に対応する、1周期分の与薬単位容器を収容し得る周期単位容器であって、与薬単位容器を配薬時に抜き出し可能に収容する周期単位容器と、同一の与薬対象に対応する複数の周期単位容器を収容する対象単位容器とを有し、上記の対象単位容器が、複数の与薬対象に対応して準備され、与薬単位容器が、医薬品を配薬するときに、そのときに対応する医薬品が収容され、かつ、対象識別手段が設けられた状態で抜き出され、与薬単位容器が抜き出されることによって、医薬品が、与薬単位容器ごと取り出された状態で、与薬対象に対して配薬可能な状態とされる上記の与薬管理具が開示されている。
【0005】
特許第5563621号公報の与薬管理具によれば、与薬単位容器が、周期ごとに周期単位容器に集約され、さらに、その周期単位容器が、所定の周期分を収容し得る対象単位容器に集約されるので、複数周期にわたる医薬品の小分けを集中して実施することができ、与薬対象ごとに配薬状況を簡単に確認することができ、さらに、配薬時に、配薬すべき医薬品を、与薬単位容器ごと、対象単位容器から抜き出して、管理、配薬できるようになり、配薬すべき医薬品の抜き出しや選別作業が非常に容易になり、配薬時の誤薬事故の発生を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-8350号公報
【文献】特許第5563621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許第5563621号公報の与薬管理具は、与薬管理具と、与薬管理具を収納する周期単位容器と、与薬管理具及び周期単位容器を収納する対象単位容器の3つの容器を有し、それぞれ3つの容器は底面を有する。この場合、底面同士の接触は、汚れなど気になる場所であり、清潔に保つための対策が必要となる。また、特開2014-8350号公報の物品支持器具は、容器状の被支持物品と、これを支持する支持盤と、被支持物品と支持盤を収納する支持盤保持体の3つを備えるものである。支持盤は容器ではないものの、底板を有するものであり、特許第5563621号公報の与薬管理具と同様、底面同士の接触が2か所、存在することになり、同様に、清潔に保つための対策が必要となる。また、被支持物品と支持盤の底面には、突起が形成されており、汚れを落とす作業も厄介である。従って、患者や配薬周期の異なる3つの容器において、底面同士の接触が少なく、底面には突起がなく、薬の収納に便利で使い勝手が良い収納与薬容器の開発が望まれていた。
【0008】
従って、本発明の目的は、従来の単位与薬容器を含む患者や配薬周期の異なる3つの容器または支持具において、底面同士の接触が少なく、薬の収納に便利で使い勝手が良い衛生的な単位与薬容器連結体、与薬管理具及び与薬カートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は上記従来の課題を解決するものであって、
与薬対象者に対して配薬される医薬品を収納する単位与薬容器の複数x個と、
該単位与薬容器の複数x個を横並びに連結する単位与薬容器ハンガーを備え、
該単位与薬容器は、背面板を有する上方開口の箱状物であって、該背面板の上部の外側には、該単位与薬容器ハンガーに係止する係止部を備え、
該単位与薬容器ハンガーは、該単位与薬容器の係止部が係止する帯状の連結本体と、該連結本体の前方において該連結本体の左右方向を区画すると共に、該連結本体から下方に延びる複数(x+1)個の脚部材と、を備え、
該単位与薬容器は、隣接する2つの脚部材間に収納されるよう、該単位与薬容器ハンガーに係止したものであることを特徴とする単位与薬容器連結体を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、該単位与薬容器が該単位与薬容器ハンガーに係止時、該単位与薬容器の底面と該脚部材の下端が略面一であるか、又は該単位与薬容器の底面が該脚部材の下端より上方であることを特徴とする前記単位与薬容器連結体を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、該単位与薬容器と該単位与薬容器ハンガーは、該単位与薬容器ハンガーの帯状の連結本体に対して、該単位与薬容器の係止部を上から下に差し込むことで係止することを特徴とする前記単位与薬容器連結体を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、複数(x+1)個の脚部材の中、両側の脚部材を除く、内側の脚部材は、該帯状の連結本体から前方へ突出する板状壁であることを特徴とする前記単位与薬容器連結体を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、該脚部材は5個であり、中央の脚部材には、側面視において、隣接する左右の単位与薬容器から前方へ突出する把持部が形成されていることを特徴とする前記単位与薬容器連結体を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、前方板、後方板、底板及び左右側板を備える上方開口の四角形容器であり、該前方板及び該後方板の内側には、左右方向を区切る縦仕切り板が係止する第1係止溝が多数形成され、該左右側板の内側には、前後方向を区切る横仕切り板が係止する第2係止溝が多数形成される収納与薬容器に、前記単位与薬容器連結体が、前後並びで複数y個、収納されたことを特徴とする与薬管理具を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、前記与薬管理具を上下多段で収納することを特徴とする与薬カートを提供するものである。
【0016】
また、本発明は、該該収納与薬容器の該左右側板のそれぞれの外側面には、該外側面から外側に突出し、且つ該前後方向に延びる、与薬カートの内側面に付設される第2レールにスライド自在に載る第1レール部が形成されていることを特徴とする前記与薬カートを提供するものである。
【0017】
また、本発明は、該第1レール部の後部には、下方に突出する収納与薬容器の前方への転落を防止する第1突起が形成され、該第2レールの前部には 該第1突起と係止する上向きの第2突起が形成されていることを特徴とする前記与薬カートを提供するものである。
【0018】
また、本発明は、該収納与薬容器を引き出すことで、該第2突起に該第1突起が係止し、斜め傾斜姿勢に保持されることを特徴とする前記与薬カートを提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の単位与薬容器を支持するものとして、帯状の連結本体を有する単位与薬容器ハンガーを使用したため、従来のものに比して、底面同士の接触を一つ減らせる。このため、衛生的で、薬の収納に便利で使い勝手が良い単位与薬容器連結体、与薬管理具及び与薬カートを提供できる。また、本発明によれば、前面が無い単位与薬容器ハンガーを使用したため、単位容器連結体を複数収納する際、収納与薬容器の奥行き寸法を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態における単位与薬容器連結体の斜視図である。
図2図1において単位与薬容器ハンガーに単位与薬容器が係止する方法を説明する図である。
図3図1の単位与薬容器連結体を構成する与薬単位容器の斜視図である。
図4図3の単位与薬容器の後ろから見た斜視図である。
図5図3の単位与薬容器の側面図である。
図6図1の単位与薬容器連結体を構成する単位与薬容器ハンガーの斜視図である。
図7図6の単位与薬容器ハンガーの後ろから見た斜視図である。
図8図6の単位与薬容器ハンガーの平面図である。
図9】単位与薬容器ハンガーに1個の単位与薬容器を装着した背面図である。
図10図9のX-X線に沿って見た図である。
図11】本発明の実施の形態における与薬管理具の斜視図である。
図12図11の与薬管理具の分解斜視図である。
図13】本発明の実施の形態における与薬カートの斜視図である。
図14図13の与薬カートの使用方法を説明する一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態における単位与薬容器連結体を図1図10を参照して説明する。単位与薬容器連結体10は、患者に対して配薬される朝、昼、夜及び寝る前の一日4回分の薬を入れたセットものである。そして、単位与薬容器は、患者の1回分の医薬品を収納するものである。従って、単位与薬容器の複数x個は4個であるが、一日3回分の専用品であれば、xは3個であってもよい。
【0022】
単位与薬容器連結体10は、単位与薬容器1の複数x個(xは3又は4)と、単位与薬容器1の複数x個を横並びに連結する単位与薬容器ハンガー2を備える。単位与薬容器1は、正面板12、背面板11、左右側板13、13及び底板15を有する上方開口の箱状物であって、背面板11の上部の外側(正面から見て裏側)には、単位与薬容器ハンガー2に係止する係止部14、14を備える。単位与薬容器1は、正面板12の高さを背面板11の高さより低くして、薬が見え易く、取り易いようにしている。このため、左右側板13、13の前端は、背面板11の上部から正面板12の上部まで延びる傾斜状となっている。なお、底板15の裏面には、係止用突起などがない平坦面となっている。
【0023】
係止部14、14は、背面板11の上部、本例では上縁に形成されている。すなわち、背面板11の上端から後方に少し延び、それから下方に延びる下開口の逆L字断面の係止部である。これにより、単位与薬容器ハンガー2の帯状の連結本体21の上縁に対して、単位与薬容器1を上から下に差し込むだけで係止することができる。なお、本発明において、係止部14、14は2つに限定されず、1個でもよく、また、形状も同じ断面形状で、幅(横長さ)の広いものであってもよい。
【0024】
単位与薬容器1において、背面板11の上部であって、係止部14、14間には、後方にやや突の板状形状を含む凸部111が形成されている。これにより、凸部111が、単位与薬容器ハンガー2の帯状の連結本体21の凹部211に嵌るため、単位与薬容器1と単位与薬容器ハンガー2は、密着して装着できる。また、凸部111は、下方縁が切り欠かれ、可撓性の片部となっている。これにより、凸部111となることで正面側に形成される凹部は、患者名などの表示用紙を差し込みで装着できる。
【0025】
単位与薬容器ハンガー2は、単位与薬容器1の係止部14、14が係止する帯状の連結本体21と、連結本体21の前方において連結本体21の左右方向を区画すると共に、連結本体21から下方に延びる複数(x+1)個(本例では5個)の脚部材22a~22eと、を備える。連結本体21の帯状高さは、単位与薬容器1の高さの1/2~1/4、本例のように、1/3程度であれば、全体重量を抑えつつ、複数の単位与薬容器1を保持できる強度が得られる点で好ましい。脚部材22a~22eは、帯状の連結本体21から前方へ突出する板状壁であり、隣接する2つの脚部材で単位与薬容器1を収納すると共に、単位与薬容器連結体10の自立性を付与している。なお、板状壁は、正面視及び図8の平面視において、厚みが見え、側面視において板状壁の側面が見える設置姿勢である。脚部材22a~22eの中、両端の脚部材22a、22eの下部は、内側に僅かに屈曲されており、これにより、収納与薬容器31Aに収納し易くしている。また、脚部材22a~22eは5個であり、中央の脚部材22cには、側面視において、隣接する左右の単位与薬容器から前方へ突出する把持部23が形成されている。把持部23は、脚部材22a、22b、22d、22eが、前部の上部側が斜め傾斜に切り欠かれているのに対して、中央の脚部材22cは、このような切り欠きのない略矩形状であり、前部の上部側が装着された単位与薬容器から前方へ突出する部分となり、これを把持部としている。
【0026】
帯状の連結本体21の脚部材22a~22eが形成される上部には、単位与薬容器1が装着される帯状部の上端から上方に少し延びる板状の嵌合部212が形成されている。なお、両側の脚部材22a、22eの位置に形成される嵌合部212は、単位与薬容器1の一つの係止部14が係止する長さ(l2)であり、内側の脚部材22b~22dの位置に形成される嵌合部212は、隣接する2つの単位与薬容器1のそれぞれの係止部14が係止する長さ(l1)であり、(l2)より大である。嵌合部212を単位与薬容器1が装着される帯状部の上端から上方に少し突出させることで、嵌合部212への単位与薬容器1の係止が容易となる。
【0027】
帯状の連結本体21の単位与薬容器1が収納される正面部には、単位与薬容器1の背面に形成された凸部111が嵌る凹部211が形成されている。これにより、帯状の連結本体21と単位与薬容器1が密着して一体化できる。また、帯状の連結本体21の中央の脚部材22cが形成される上部には、嵌合部212より更に上方へ僅かに突出する曜日表示部24が形成されている。一つの単位与薬容器連結体10は、一人の患者の一日分であり、曜日シールを付すことで、確実な配薬をすることができる。
【0028】
単位与薬容器連結体10は、単位与薬容器ハンガー2に4つの単位与薬容器1が係止し連結保持されたものであり、単位与薬容器1の底面15と脚部材22a~22eの下端222は、略面一である(図9及び図10参照)。すなわち、単位与薬容器連結体10は、単位与薬容器1の底面15と脚部材22a~22eの下端222が、一体化した底面となり、自立性が高まり、収納与薬容器31Aに収納する際、安定して収納できる。脚部材22a~22eの下端222は、板状体の短側端面であり、小面積である。このため、単位与薬容器連結体10の実質的な底面は、4つの単位与薬容器1の底面であり、自立性が高く、単位与薬容器連結体10を収納与薬容器31Aに収納した際、底面同士の接触は1か所で済み、収納与薬容器31A内において、前方へスライドし易く、且つ衛生的で取り扱いに便利である。
【0029】
与薬管理具30は、収納与薬容器30Aに、単位与薬容器連結体10を、前後並びで複数y個が、収納されたものである。与薬管理具30は、一人の患者の7日間分又は8日間分を収納したものである。従って、複数y個は、7又は8である。単位与薬容器連結体10を、前後並びで複数y個が、収納することで、手前から後方に向けて、順次使用することが明確となる。
【0030】
収納与薬容器30Aは、図11及び図12に示すように、前方板31、後方板32、底板34及び左右側板33a、33bを備える上方開口の浅底の四角形容器であり、前方板31及び後方板32の内側には、左右方向を区切る縦仕切り板8が係止する第1係止溝35a、35aが多数形成され、左右側板33a、33bの内側には、前後方向を区切る横仕切り板7が係止する第2係止溝35b、35bが多数形成されている。すなわち、収納与薬容器30Aは、単位与薬容器連結体10の収納以外の、例えば薬箱などの収納にも使用できる。また、与薬管理具30は、一人の患者の8日間分用であるものの、横仕切り板7を使用することで、7個の単位与薬容器連結体10を隙間なく、密着して収納できる。
【0031】
収納与薬容器30Aの左右側板33a、33bのそれぞれの外側面には、外側面から外側に突出し、且つ前後方向に延びる、与薬カート40の内壁面に付設される第2レール44a、44bにスライド自在に載る第1レール部36、36が形成されている。すなわち、第1レール部36、36は、矩形断面で、長さ(奥行き長さ)が左右側板33a、33bの長さと略同じである鍔形状のものである。これにより、与薬カート40の内側面に上下方向の多数、付設された鍔形状の第2レール44a、44bに前後方向にスライド自在に載ることができる。
【0032】
収納与薬容器30Aにおいて、第1レール部36、36の後部には、下方に突出する収納与薬容器30の前方への転落を防止する第1突起361が形成され、第1突起361より後方の後端には、載置される第2レール44a、44bの直上の第2レール44a、44bの裏面に当接する第3突起362を有する。
【0033】
与薬カート40は、患者分の与薬管理具30を多段で収納する移動体である。与薬カート40の左右側面の内側には、与薬管理具30を前後方向に抜き差し自在に支持する第2レール44a、44bが形成されている。上下複数本の中、対峙する(同一面にある)左右一対の第2レール44a、44bは、一つの与薬管理具30を支持すると共に、左右一対の第2レール44a、44bの直上の左右一対の第2レール44a、44bが、与薬管理具30の前方への転落を防止している。すなわち、第2レール44a、44bの前端には、収納与薬容器30Aの第1突起361と係止する上向きの第2突起442a、442bが付設されている。また、隣接する上下の第2レール44a、44b間の入口開口は、収納与薬容器30Aの第1レール部36、36が入る狭い空間でよい。これにより、与薬管理具30を引き出すことで、第2突起442a、442bに第1突起361が係止し、第3突起362が、隣接する上方の第2レール44a、44bの裏面に当接するため、引き出しても、前方転落することなく、斜め傾斜姿勢が保持される。これにより、与薬管理具30が視認し易く、取り出しやすい。与薬カート40の下面には、キャスターが付設され、与薬カートを移動自在としている。
【0034】
次に、単位与薬容器連結体10、与薬管理具30及び与薬カート40を使用した配薬の準備について説明する。例えば、配薬される患者は10人であり、配薬は、一日、朝、昼、夜及び寝る前の4回であり、7日間分の配薬の準備を行う。単位与薬容器1を280個、単位与薬容器ハンガー2を70個、収納与薬容器30Aを10個を準備する。患者Aには、患者A用の薬を28回分、用意する。1回分の薬を単位与薬容器1に入れ、薬が入った単位与薬容器1の係止部14を、単位与薬容器ハンガー2の嵌合部212に対して、上から下へ差し込みにより係止し、単位与薬容器連結体10を形成する。これを7日間分準備し、収納与薬容器30A内に手前から前後方向に並べていく。曜日表示部24には、1週間の曜日シールを貼付しておく。配薬初日が、水曜日であれば、手前から曜日表示部24に「水曜日」又は「水」と表示された単位与薬容器連結体10、その後ろには曜日表示部24に「木曜日」又は「木」と表示された単位与薬容器連結体10と曜日毎に、前後方向に順番に並べる。収納与薬容器30Aに7個の単位与薬容器連結体10を並べ、必要なら仕切り板7、8で仕切り、患者A用の1週間分の与薬管理具30を作成する。次に、患者B用、患者C用と、順次、10名の患者のそれぞれの薬の1週間分の与薬管理具30を得る。患者10名のそれぞれの名前の表示は、単位与薬容器1の背面板の前面に差し込まれた表示用紙で確認できる。10名用の与薬管理具30は、与薬カート40に、多段に収納する。これで配薬の準備は完了する。
【0035】
次に、患者に対して配薬する。例えば、配薬最初の朝食後、患者Aのところまで、与薬カート40を移動させる。与薬カート40から患者A用の与薬管理具30を手前に引き出す。この際、与薬カート40から引き出された与薬管理具30は、前方傾斜姿勢で停止し、与薬管理具30に配列された単位与薬容器連結体10が視認できると共に、単位与薬容器1が取り出し易くなっている。必要であれば、与薬カート40から1個の与薬管理具30を引き抜き、単独でテーブルなどに置いてもよい。次いで、手前の単位与薬容器連結体10の中、一番左の朝用の単位与薬容器1から薬を取り、患者に服用させる。空となった単位与薬容器1は、単位与薬容器連結体10の元の位置に収納し、更に与薬カート40に収納しておく。これを患者10名に対して行う。単位与薬容器連結体10から単位与薬容器1の出し入れは、抜き差しの作業のみであり、簡単で安全である。患者Aに対して、一日の最後の配薬が終了すると、空となった4個の単位与薬容器を連結する単位与薬容器連結体10を抜き取り、最後尾の単位与薬容器連結体10の後ろに移動させる。これにより、当初前から2番目であった単位与薬容器連結体10が前出しされ、一番前にくる。このような配薬行為を順次、1週間繰り返す。なお、単位与薬容器連結体10の持ち上げ及び収納の際、把持部23を持って行えばよい。
【0036】
本発明において、上記実施の形態例に限定されず、種々の変形を採ることができる。例えば、単位与薬容器連結体10において、単位与薬容器1の底面15が脚部材22a~22eの下端222より上方に位置していてもよい。単位与薬容器ハンガーは、それ自体、設置面に自立しており、且つ単位与薬容器ハンガーに対して単位与薬容器1を上から係止するため、作業性に問題はない。単位与薬容器ハンガー2の帯状の連結本体21は、単位与薬容器1の背面側で且つ上部で連結できればよく、上記実施の形態例に限定されない。また、与薬容器連結体10において、嵌合部212は省略でき、帯状の連結本体21の上縁を嵌合部としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
従来の与薬管理具は、3つの容器を使用するか、あるいは2つの容器と底面を有する支持盤を使用しており、底面同士の接触はひとつの単位与薬容器において、2か所であった。このため、嵩張ると共に、衛生的に問題があるか、汚れが落とし難いものであった。これに対して、本発明によれば、複数の単位与薬容器を支持するものとして、帯状の連結本体を有する単位与薬容器ハンガーを使用したため、従来のものに比して、底面同士の接触を一つ減らせる。このため、衛生的で、薬の収納に便利で使い勝手が良いものとなった。
【符号の説明】
【0038】
1 単位与薬容器
2 単位与薬容器ハンガー
10 単位与薬容器連結体
14 係止部
21 帯状の連結本体
22a~22e 脚部材
23 把持部
24 曜日表示部
30 与薬管理具
40 与薬カート
212 嵌合部
361 第1突起
442a、442b 第2突起
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