(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】美容施術装置の制御システム
(51)【国際特許分類】
A45D 44/22 20060101AFI20220819BHJP
A45D 26/00 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
A45D44/22 E
A45D26/00 G
(21)【出願番号】P 2020219283
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2021-01-06
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518402428
【氏名又は名称】株式会社美ガーデン
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 裕敬
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】熊谷 健治
【審判官】柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-54438(JP,A)
【文献】特開2002-11106(JP,A)
【文献】特開昭60-21746(JP,A)
【文献】特開2016-97299(JP,A)
【文献】登録実用新案第3033738(JP,U)
【文献】特開2006-42994(JP,A)
【文献】特開2013-126485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D44/22
A45D26/00
A61N5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱毛用途の施術を行う美容施術機械と、任意に変更可能な設定項目に従って前記美容施術機械を制御する制御部と、を備え、
前記美容施術機械は、利用者の皮膚へエネルギーを放出する放出装置と、前記放出装置に前記エネルギーを供給する供給装置と、を有し、
前記制御部は、複数の前記設定項目を包括して管理し、
前記利用者が選択することで前記設定項目を複数包括して設定可能な複数のプリセットと、
プリセット毎に設定項目の設定を変更可能な変更手段と、
前記変更手段によるプリセット毎の前記設定項目の設定の変更結果を記録する記録手段と、
前記利用者による前記設定項目の変更を制限する変更制限手段と、を有し、
前記複数のプリセットには、肌色を選択する下位プリセットを含み、前記下位プリセットは肌色に相当する色を前記制御部に表示する前記美容施術機械の制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記プリセットを複数同時に表示する請求項1に記載の美容施術機械の制御システム。
【請求項3】
前記設定項目は、利用者が施術を行う時間を制限する時間制限項目を含む請求項1または2に記載の美容施術機械の制御システム。
【請求項4】
前記美容施術機械は、前記利用者の皮膚の情報を測定可能な皮膚情報測定装置を備え、
前記制御部は、前記皮膚情報測定装置によって
得られた測定結果を表示する請求項1~3の何れかに記載の美容施術機械の制御システム。
【請求項5】
前記放出装置は、特定の強度の電磁波を放出する請求項1~4の何れかに記載の美容施術機械の制御システム。
【請求項6】
周囲が仕切りによって囲われる請求項1~5の何れかに記載の美容施術機械の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が自身で施術を行うための美容施術装置の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に普及している美容施術装置として、利用者の皮膚に向けて光を放出することにより毛根を不活性化させる脱毛器や、超音波を放出することによって皮膚の下部にある細胞を活性化させる美顔器などがある。その一例である光脱毛器が、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような美容施術装置を利用するには、施術を行う部位や美容施術機械の使用態様、施術の方針によって、適切な光や超音波が異なるため、それらの態様について予め設定した上で、施術を行う必要がある。
【0005】
また、実際に美容に効果がある施術を行うためには、高いエネルギーをもつ光や超音波を扱う必要があり、設定の強度によっては怪我や事故につながる恐れがあった。
【0006】
上記理由によって、美容施術装置による施術はある程度の経験を有する施術者が行う必要があった。
【0007】
しかしながら、特にVIO脱毛と呼ばれる陰毛除去の施術を行う際には、施術する部位を施術者に見せることに羞恥心を感じる利用者も多く、施術者によらず利用者がセルフで施術を行うことができる装置が求められていた。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑み、利用者自身で施術を安全かつ効果的に行うことができる美容施術機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は、美容用途の施術を行う美容施術機械と、任意に変更可能な設定項目に従って前記美容施術機械を制御する制御部と、を備え、前記美容施術機械は、利用者の皮膚へエネルギーを放出する放出装置と、前記放出装置に前記エネルギーを供給する供給装置と、を有し、前記制御部は前記利用者による前記設定項目の変更を制限する変更制限手段を有する美容施術機械の制御システムである。
【0010】
このような構成にすることによって、利用者に適するように前記設定項目の変更を行いつつ、利用者による前記設定項目の変更が制限できるため、利用者の使用態様に合わせた効果的で安全な美容施術機械を提供することができるようになる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記制御部は、複数の前記設定項目を包括して管理可能なプリセットを複数形成する。
【0012】
このような構成にすることによって、利用者は包括したプリセットごとに前記設定項目をまとめて変更することができるようになるため、前記設定項目の選択をより簡便に行うことができるようになる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記制御部は、前記設定項目の変更結果を記録する記録手段を有する。
【0014】
このような構成にすることによって、変更した前記設定項目を記録することができるようになるため、同一の設定項目を利用する利用者が来訪した際、利用者に合わせて設定項目を変更する必要がなくなる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記美容施術機械は、利用者の皮膚の情報を測定可能な皮膚情報測定装置を備え、前記制御部は、前記皮膚情報測定装置によって得られた情報をもとに、前記設定項目の変更を行う。
【0016】
このような構成にすることによって、利用者は自らに適した前記設定項目を客観的に選択することができるため、より簡便かつ効果的に施術を行うことができるようになる。
【0017】
このような構成にすることによって、複数の前記設定項目をまとめて管理することができるようになり、効果的な設定項目の群を保存し簡便に利用することができるようになる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記放出装置は、特定の波長の電磁波を放出する。
【0019】
このような構成にすることによって、安全で効果的な電磁波による脱毛器等を提供することができるようになる。なお、ここで言う電磁波には、可視光、レーザー光、ラジオ波等が挙げられ、複数種の電磁波を同時に放出しても良い。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記放出装置は、特定の振動数の超音波を放出する。
【0021】
このような構成にすることによって、安全で効果的な超音波による美顔器等を提供することができるようになる。ここで言う超音波には例えば、HIFU(High Intensity Focused Ultrasound)が挙げられ、また、上記の電磁波と同時に放出してもよい。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記放出装置は、電流を放出する。
【0023】
このような構成にすることによって、安全で効果的な電気刺激を与えるマッサージ器等を提供することができるようになる。ここで言う電流は、神経電流と近いものであることが好ましい。
【0024】
本発明の好ましい形態では、前記美容施術機械は、周囲が仕切りによって囲われる。
【0025】
このような構成にすることによって、利用者は人目を気にせず安心して施術を行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
上記構成によって、利用者自身で施術を安全かつ効果的に行うことができる美容施術機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態に係る、美容施術機械の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、制御部の制御システムに関するフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態に係る、選択工程の際の制御部の画面を表す模式図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る、放出工程の際の制御部の画面を表す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る、変更放出工程の際の制御部の画面を表す模式図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る、変更記録工程の際の制御部の画面を表す模式図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る、選択工程の際の制御部の画面を表す表示例である。
【
図8】本発明の実施形態に係る、放出工程の際の制御部の画面を表す表示例である。
【
図9】本発明の実施形態に係る、変更記録工程の際の制御部の画面を表す表示例である。
【
図10】本発明の実施形態に係る、美容施術機械が利用される空間を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る美容施術機械について説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。
また、これらの図において符号Xは、美容施術機械Xを表す。
【0029】
図1は美容施術機械Xを表す斜視図であり、本図に示すように、美容施術機械Xは、放出装置1と、供給装置2と、係止部3と、台車部4と、皮膚情報測定装置5と、制御部Dと、を備える。
【0030】
放出装置1は、後述する供給装置2から供給された電気エネルギーを施術に適した方式に変換し、変換したエネルギーを利用者の皮膚へ放出する。
放出装置1は、ガン型の放出装置本体11と、エネルギーを放出する放出口12と、放出の制御を行う放出スイッチ13によって構成されている。
【0031】
放出装置本体11は、後述する供給装置2から供給される電気エネルギーを施術に適した状態に変換する変換機構や放出口12を水冷する冷却機構を内部に有し、外部には、後述する係止部3に係止される係止穴111が設けられている。
【0032】
放出口12は、利用者が施術を行う部位に当接された状態で用いられ、変換機構によって変換されたエネルギーを、適切に集中あるいは拡散させた後に、放出を行う。
【0033】
放出スイッチ13は、利用者が放出装置1を把持した際、親指または人差し指が位置する場所に設けられており、放出口12からの制御を行う。好ましくは、放出スイッチ13が押圧されたときにのみエネルギーが放出されるように設計されている。
【0034】
放出装置本体11が例えば脱毛器である場合、変換機構としてキセノンランプやLEDランプが用いられ、供給された電気エネルギーは光エネルギーおよび熱エネルギーに変換される。
発生したエネルギーは、放出口12を通して利用者の皮膚に照射され、毛根に作用することによって、脱毛効果を奏する。
【0035】
また、放出装置本体11が例えば美顔器である場合、変換機構として超音波発生装置が用いられ、供給された電気エネルギーは超音波振動に変換される。
発生した超音波振動は、放出口12を通じて使用者の皮下細胞に作用することによって、美容効果を奏する。
【0036】
また、放出装置本体11が例えばマッサージ器である場合、変換機構として微小電流を発生させる微小電流発生装置が用いられ、供給された電気エネルギーが神経電流の性質に近くなるように調整されて放出される。
発生した微小電流は、使用者の皮膚を通して神経系及び筋肉に作用し、マッサージ効果を奏する。
【0037】
なお、変換機構や放出口12は、放出スイッチ13を操作することによって、電気パルスやイオン等を放出するように構成してもよい。
【0038】
また、放出口12から放出されるエネルギーの強度、断続の間隔、放出の回数等は、後述する制御部Dによって調節される。
【0039】
供給装置2は、施術に必要な電気エネルギーを発生させるために、その内部に大電力を貯留可能なコンデンサや、発生する熱を外部へ排出するための冷却水系統が設けられている。また、供給装置2の外部には、制御部Dを載せ置く制御部載置部21と、供給装置2へ電気を補給する電源部22と、供給装置2に貯留された電力を放出装置1へ供給する伝達部23を有する。
【0040】
制御部載置部21は、供給装置2の側面方向に突出して設けられており、好ましくは利用者が着座した状態において手で触れることができる高さに位置し、さらに好ましくは、利用者がその高さを自在に調整することができる機構を有していると良い。
また、制御部Dは制御部載置部21から着脱自在になるように構成されており、無線通信によって操作していても良い。
なお、本実施形態においては、制御部載置部21と、制御部Dと、がヒンジHを介して接続されていることによって、制御部Dが取り付けられている状態において回転可能となっている。
【0041】
本実施形態において電源部22は、電力を外部から補給可能になるように構成されているが、供給装置2の内部に電池を組み込み、そこから電気の補給を行う仕組みにしても、また、これらを組み合わせた方式にしてもよい。
【0042】
伝達部23は、放出装置1と供給装置2とを接続し、その内部に電気エネルギーを伝達する導線や、冷却水を供給するホースが設けられている。
【0043】
係止部3は、不使用時に放出装置1及び後述する皮膚情報測定装置5を係止する部材であって、供給装置2から垂直に突出して設けられる突設部31と、装置を係止する係止部本体32によって構成されている。
【0044】
突設部31は、円柱状の部材であって、例えば中空状のパイプを用いることが考えられる。
【0045】
係止部本体32は、突設部31に篏合した状態で上下方向に移動可能に構成される篏合部321と、端部が上向きに突出する留め具322と、によって構成されており、放出装置1に設けられる係止穴111が留め具322に係止めされるように構成されている。
【0046】
係止部3によって、利用者は取り外ししやすい位置に放出装置1を固定することができ、放出口12が汚染された面に接触することを防ぐことができる。
【0047】
なお、放出装置1および係止部3は、それぞれ複数個ずつ設けられていてもよく、放出装置1はそれぞれ異なる態様のものを利用することが好ましい。
このような構成にすることによって、利用者は利用形態に合わせて使用する放出装置1を変更することができるようになる。
【0048】
台車部4は、本体を固定させた状態で載せ置く本体載置部41と、本体載置部41の下部に設けられる車輪部42と、によって構成されている。
【0049】
本体載置部41は、供給装置2の下面全体を包摂可能な面を持つ板状部材であって、ネジ等の貫入部材によって供給装置2と固定されている。
【0050】
車輪部42は、車輪部42の軸と、車輪部42の垂直方向と、を軸として回転自在に構成されており、本体載置部41の下部において、供給装置2の重量を当方的に分散できる位置に3つ以上設けられている。
また、車輪部42には、車輪の回転を制御することができるロック機構が設けられていることが好ましい。
【0051】
皮膚情報測定装置5は、放出装置1と略同一の形状を有する測定装置であって、装置を皮膚に当接させることによって皮膚の情報を測定する。
皮膚の情報には、例えば、肌の色、弾力、水分量、きめの細かさ、皮下脂肪層の厚さ等が挙げられる。
【0052】
さらに皮膚情報測定装置5は、制御部Dと情報伝達可能に構成されており、測定結果を制御部Dに表示することができるように構成されている。
【0053】
以下、
図2~6を用いて、制御部D及び制御システムSの説明を行う。
なお、
図3~6に示される図は、制御部D上に表示される画面の模式図を表す。
【0054】
本実施形態において、制御部Dは液晶タッチパネルであり、制御システムSに従って、所定のGUIを表示する。制御システムSは、設定項目Qを決定し、それをもとに放出装置1の制御を行う。なお、制御部Dは、感圧式であっても、静電容量式であってもよい。
【0055】
ここで、設定項目Qには、放出装置1から放出されるエネルギーの出力量や、密度、幅、放出口12の温度等が挙げられる。また、エネルギーが断続して放出される場合は、断続の間隔、一回あたりの持続時間、放出回数の制限、を設定できるようにすることが好ましい。
【0056】
また、設定項目Qによって、利用者が放出装置1によって施術を行う制限時間を設定可能にすることが好ましい。このような構成にすることによって、一人当たりの施術にかかる時間が制限され、一台の美容施術機械Xでより多くの利用者が美容施術機械を利用することができるようになる。
【0057】
また、プリセットPは、複数の項目をまとめて管理する集合体である。
例えば、光脱毛器の場合は、性別、施術を行う部位、肌の色等の管理項目に合わせてプリセットPを作成し、美顔器等の美顔機器の場合は、脂肪層の厚さ、肌年齢等の管理項目に合わせてプリセットPを作成する。
プリセットPを用いることにより、設定項目Qの管理を直感的に、かつ簡便に行うことができるようになる。
【0058】
なお、複数のプリセットPをまとめて管理するプリセットPを用いてもよい。すなわち、上位プリセットP1によって複数の中位プリセットP2が管理され、中位プリセットP2によって複数の下位プリセットP3が管理され、下位プリセットP3によって複数の設定項目Qが管理される。
なお本実施形態においては、上位プリセットP1には性別、中位プリセットP2には施術を行う部位、下位プリセットP3には肌の色が用いることを想定している。
【0059】
制御システムSは、起動時に所定の処理を行う起動工程S1と、利用者に注意を喚起する注意工程S2と、利用者が自身でプリセットPを選択する選択工程S3と、選択工程S3で設定された設定項目Qに従って放出装置1を制御する放出工程S4を含む。
【0060】
さらに、制御システムSは、プリセットP毎に設定項目Qの設定を変更可能な変更工程S5を含む。
変更工程S5には、設定項目Qの設定を変更しながら放出装置1を操作することが可能な変更放出工程S51と、プリセットPごとに設定項目Qを変更し、その値を記録することができる変更記録工程S52が含まれる。
【0061】
また、起動工程S1、選択工程S3および放出工程S4から変更工程S5への移行には、変更制限手段Mを経る必要がある。
一方、変更工程S5から、起動工程S1、選択工程S3および放出工程S4への移行は、特に制限なく行えるようにすることが好ましい。
【0062】
起動工程S1では、主にエラーチェックを行う。
このエラーチェックには、冷却水の状態チェックや、各系統の通電チェックが含まれる。
【0063】
起動工程S1において異常が検出されなかった場合、注意工程S2に移行する。
注意工程S2では、制御部Dに、安全に施術を行うために必要な注意点を表示することによって利用者に注意喚起を行う。この際、使用方法について簡単な解説動画を表示することが好ましい。
【0064】
注意工程S2の後、選択工程S3に移行する。
選択工程S3時に制御部Dに示される画面は、
図3に示す通りである。本画面には、選択可能な上位プリセットP1の群と、選択可能な中位プリセットP2の群が含まれており、それぞれを選択した際に対応する設定項目Qが制御部Dに表示されるように構成されている。
【0065】
また、選択工程S3における画面上には、続行ボタンRと、逆行ボタンBが配置されている。
上位プリセットP1および中位プリセットP2を選択した状態で続行ボタンRを選択することにより、そのプリセットを選択した状態で放出工程S4に移行することができる。
また、逆行ボタンBを選択することによっては、注意工程S2に移行することができる。
【0066】
一方、選択工程S3では、上記工程によらず、予め測定した皮膚情報測定装置5によって得られた情報をもとに適切なプリセットPを選択するようにしてもよい。
【0067】
放出工程S4では、選択したプリセットPに対応した設定項目Qに従って、放出装置1を動作させる。
放出工程S4時に制御部Dに示される画面は、
図4に示す通りである。本画面には、選択可能な下位プリセットP3の群と、選択した下位プリセットP3に対応した設定項目Qを表示する部分が含まれる。
【0068】
また、放出工程S4における画面上には、続行ボタンRと、逆行ボタンBが配置されている。
下位プリセットP3を選択した状態で続行ボタンRを選択することにより、設定項目Qに対応して放出装置1の制御を開始することができる。この際、放出装置1の制御が開始されたことを利用者に通知するために表示部DSに放出の様子を模式化したアニメーションを表示することが望ましい。
なお、制御を開始した状態でもう一度続行ボタンRを選択することにより、制御を停止させることができるようにする。
また、逆行ボタンBを選択することによっては、注意工程S2に移行することができる。
【0069】
本実施形態においては、設定項目Qの中には、前述した制限時間と、放出回数の制限と、が含まれる。
それらは設定された制限時間に対する残りの制限時間及び設定された放出回数に対する残りの放出回数を長さによって表現するインジゲータによって表示されていることが好ましく、さらに両インジゲータは並行に配置されていることが好ましい。
このような構成にすることによって、利用者は自身の施術のペースを把握し、調整することができるようになる。
【0070】
また、選択工程S3及び放出工程S4に表示されている制限解除ボタンMXを選択することによれば、変更制限手段Mに移行することができるようになっている。
また、起動工程S1から変更制限手段Mに移行することができるようにしてもよい。
【0071】
変更制限手段Mは、利用者が容易に解除できないように、利用者の変更を制限する手段である。
すなわち、本実施形態において変更制限手段Mでは、パスワードの入力を求める。そしてパスワードが予め設定されていたものと一致した場合のみ変更工程S5に移行する。
変更制限手段Mは、上記方法以外にも、セキュリティーキーや物理的キーを利用する方法によってもよい。
【0072】
また、変更放出工程S51では、設定項目Qの調整を行いつつ、施術を行うことができる。
変更放出工程S51時に制御部Dに示される画面は、
図5に示す通りである。本画面には、選択可能な下位プリセットP3の群と、選択した下位プリセットP3に対応した設定項目Qを表示する部分が含まれ、さらに各設定項目Qの表示域に隣接して、各設定項目の値を変更することができる設定調整ボタンQXが設けられている。
これによって従来の美容施術機械と同様な使用態様による施術も可能となる。
【0073】
変更記録工程S52では、プリセットP毎に対応する設定項目Qの値を保存することが可能となる。
変更記録工程S52時に制御部Dに示される画面は、
図6に示す通りである。本画面には、選択可能な上位プリセットP1の群と、選択可能な中位プリセットP2の群と、選択可能な下位プリセットP3の群と、設定調整ボタンQXによって値を変更可能な設定項目Qの群と、変更された設定項目Qの値を保存する記録手段Cとして機能する記録ボタンCXと、が配置されている。
【0074】
記録手段Cにおいて、設定項目Qの値は選択ボタンSLによって選択されたプリセットPごとに保存可能であり、変更された設定項目Qの情報は選択工程S3及び放出工程S4に反映される。
【0075】
【0076】
図10は、本実施形態に係る発明が使用されている態様を表す説明図である。なお、本図において、破線は手前にある仕切り6によって隠されている部分を表している。
【0077】
本実施形態において、美容施術機械Xと、美容施術機械Xの利用者が着座可能な椅子Yと、が仕切り6によって囲われている。
【0078】
仕切り6は、床面から突設するポール部材61と、ポール部材61同士を上部において接続する線材であるかけ渡し材62と、かけ渡し材62から吊り下げられた状態で保持される布材63と、によって構成されており、布材63をかけ渡し材62がかけ渡す方向に横滑りさせることによって、仕切り度合いを変更可能に構成している。
なお、仕切り6は、本実施形態による方法によらず、パーティションを用いる方法によっても、個室を用いる方法によっても良い。仕切り6の広さはおよそ1.9m×1.2mで、高さは2m以上あることが好ましい。
【0079】
以下、本発明の使用方法について記載する。
本発明は、自ら施術を行う利用者と、利用者の施術を監督し、適切なサポートを施す監督者によって使用される。
【0080】
まず、監督者は、美容施術機械Xを起動し、制御システムSを、変更制限手段Mを通して変更記録工程S52へ移行させる。
【0081】
次に、監督者は、利用者の使用態様や機器の状態に合わせて、設定項目を変更する。変更記録工程S52において、上位プリセットP1、中位プリセットP2、下位プリセットP3の順に選択し、それに対応する各設定項目を、設定調整ボタンQXによって変更し、記録手段Cによって行った変更を保存する。その後、注意工程S2に移行させ、美容施術機械Xを利用者へ引き渡し、美容施術機械Xの周囲に設けられた仕切り6を閉める。
【0082】
次に、利用者は、注意工程S2において、制御部Dに表示された注意点について理解し、続行ボタンRを押し、選択工程S3に進む。
【0083】
次に、利用者は、プリセットPを選択し、その後続行ボタンRを選択することで、放出工程S4に進む。
【0084】
最後に、利用者は放出工程S4において続行ボタンRを選択し、施術を行いたい部位に放出口12を当接させた状態で、放出スイッチ13を押圧することによって施術を行う。
【0085】
上記構成によって、利用者自身による施術を安全かつ効果的に行うことができる美容施術機械を提供することができるようになる。
【0086】
また、利用者が美容施術機械を利用する際には、プリセットPの選択を行うだけで設定項目Qの設定変更ができるため、美容施術機械Xの操作が分かりやすく簡便になる。
【0087】
また、台車部4を設けることによって、美容施術機械Xの移動が容易になり、設置場所を容易に変更することができるようになる。
【0088】
また、本実施形態においては、種々の工程から変更工程S5へ移行することができるため、異常が起こった際に監督者が迅速に対応することができるようになる。
【0089】
また、本実施形態に係る美容施術機械Xが複数のプリセットPを有することによって、一台の美容施術機械Xで多様な利用者に対応した施術を迅速に行うことができる。
【0090】
また、美容施術機械Xの使用前に注意工程S2を行う必要があるため、利用者は注意喚起された状態で安全に美容施術機械Xを利用することができるようになる。
【符号の説明】
【0091】
1 放出装置
11 放出装置本体
111 係止穴
12 放出口
13 放出スイッチ
2 供給装置
21 制御部載置部
22 電源部
23 伝達部
3 係止部
31 突設部
32 係止部本体
4 台車部
41 本体載置部
42 車輪部
5 皮膚情報測定装置
6 仕切り
61 ポール部材
62 かけ渡し材
63 布材
D 制御部
P プリセット
Q 設定項目
X 美容施術機械
Y 椅子