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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】電子部品の処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20220819BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20220819BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
G01N21/89 T
G01B11/30 A
G01N21/84 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021152325
(22)【出願日】2021-09-17
【審査請求日】2021-09-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591048070
【氏名又は名称】上野精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】木村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】平田 亘
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/080061(WO,A1)
【文献】特開2004-212067(JP,A)
【文献】特開2002-372496(JP,A)
【文献】特開2009-014696(JP,A)
【文献】特許第6885554(JP,B1)
【文献】特許第6860249(JP,B1)
【文献】特開2007-240264(JP,A)
【文献】国際公開第2015/083211(WO,A1)
【文献】特開2019-215225(JP,A)
【文献】特開2008-241342(JP,A)
【文献】特開2009-139155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を保持する部品保持部と、
所定の検査位置を通る円軌道に位置するように前記部品保持部を支持する支持部と、
前記円軌道の中心軸まわりに前記支持部を回転させる搬送駆動部と、
前記検査位置に配置された前記部品保持部が保持する前記電子部品の検査面を撮像可能な撮像部と、
前記電子部品を保持する前記部品保持部が前記円軌道において前記検査位置とは異なる位置に配置された状態で、前記検査面の位置を示す位置情報を取得する位置センサと、
前記位置情報に基づいて、前記検査面に対して前記撮像部のピントを合わせる焦点調節部と、を備える電子部品の処理装置。
【請求項2】
前記焦点調節部は、前記検査面に対して前記撮像部のピントを合わせるように、前記撮像部を駆動する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記焦点調節部は、前記検査面に対して前記撮像部のピントを合わせるように、前記部品保持部を駆動する、請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記撮像部に対する前記検査面の姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢センサと、
前記撮像部に対する前記検査面の姿勢を調節する姿勢調節部と、を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項5】
電子部品を保持する部品保持部と、
所定の検査位置を通る円軌道に位置するように前記部品保持部を支持する支持部と、
前記円軌道の中心軸まわりに前記支持部を回転させる搬送駆動部と、
前記検査位置に配置された前記部品保持部が保持する前記電子部品の検査面を撮像可能な撮像部と、
前記部品保持部に前記電子部品が保持された状態で、前記検査面の位置を示す位置情報を取得する位置センサと、
前記部品保持部に前記電子部品が保持された状態で、前記位置情報に基づいて、前記検査面に対して前記撮像部のピントを合わせる焦点調節部と、
前記部品保持部に前記電子部品が保持された状態で、前記撮像部に対する前記検査面の姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢センサと、
前記支持部に設けられた姿勢調節部と、を備え、
前記姿勢調節部は、前記撮像部による前記検査面の撮像が実行される前に、前記姿勢情報に基づいて、前記電子部品を保持した状態の前記部品保持部を所定の中心軸線まわりに回転させることで、前記撮像部による被写界深度に対する前記検査面の姿勢を調節する、電子部品の処理装置。
【請求項6】
前記位置センサは、前記電子部品を保持する前記部品保持部が前記検査位置に配置された状態で、前記位置情報を取得し、
前記姿勢センサは、前記電子部品を保持する前記部品保持部が前記検査位置に配置された状態で、前記姿勢情報を取得し、
前記姿勢調節部は、前記電子部品を保持する前記部品保持部が前記検査位置に配置された状態で、前記撮像部による被写界深度に対する前記検査面の姿勢を調節する、請求項5に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子部品の側部の外観検査を行う外観検査装置が開示されている。この外観検査装置は、複数の電子部品をそれぞれ保持する複数の支持部が、回転軸を中心に間欠的に回転して、電子部品を撮像位置に配置する回転体と、撮像位置に配置された電子部品の側部を撮像する撮像手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-99236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、検査精度の向上に有用な電子部品の処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る電子部品の処理装置は、電子部品を保持する部品保持部と、所定の検査位置を通る円軌道に位置するように部品保持部を支持する支持部と、円軌道の中心軸まわりに支持部を回転させる搬送駆動部と、検査位置に配置された部品保持部が保持する電子部品の検査面を撮像可能な撮像部と、検査面の位置を示す位置情報を取得する位置センサと、検査面に対して撮像部のピントを合わせる焦点調節部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、検査精度の向上に有用な電子部品の処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る電子部品の処理装置の一例を模式的に示す側面図である。
図2図2は、外観検査ユニットの一例を示す模式図である。
図3図3は、コントローラの機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、コントローラのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、コントローラが実行する一連の制御処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6(a)は、検査面の位置測定時に形成される光路の一例を示す模式図である。図6(b)は、検査面の撮像時に形成される光路の一例を示す模式図である。
図7図7は、電子部品の処理装置の一例を模式的に示す側面図である。
図8図8は、段差を有する電子部品に対する外観検査の様子を模式的に示す側面図である。
図9図9は、コントローラが実行する一連の制御処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10(a)は、外観検査ユニット及び位置センサの一例を示す模式図である。図10(b)は、外観検査ユニット及び位置センサの一例を示す模式図である。
図11図11は、第2実施形態に係る電子部品の処理装置の一例を模式的に示す側面図である。
図12図12は、第3実施形態に係る電子部品の処理装置の一例を模式的に示す平面図である。
図13図13は、電子部品の検査動作の様子を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面には必要に応じてXYZ直交座標系が示される。例えば、X軸及びY軸が水平方向であり、Z軸が鉛直方向である。
【0009】
[第1実施形態]
最初に、図1図9を参照しながら、第1実施形態に係る電子部品の処理装置について説明する。図1及び図2に示される電子部品の処理装置1は、所謂ダイソータである。処理装置1は、複数の電子部品Wを順に搬送しながら、外観検査等の処理を施した上でウェハシート、キャリアテープ、又はトレイ等の収容部材に梱包する装置である。処理対象の電子部品Wは、例えば、半導体製造の前工程で形成された後にダイシング等によって個片化された部品である。
【0010】
図1に示されるように、処理装置1は、搬送処理ユニット2と、コントローラ100とを備える。搬送処理ユニット2は、電子部品Wを搬送しながら、電子部品Wに対して所定の処理を施すユニットである。搬送処理ユニット2は、回転搬送ユニット4と、複数の処理ユニット6とを有する。
【0011】
(回転搬送ユニット)
回転搬送ユニット4は、電子部品Wを所定の円軌道CRに沿って搬送する。搬送対象の電子部品Wは、例えば、互いに平行な(互いに逆向きの)主面Wa,Wbと、主面Wa及び主面Wbを接続する4つの側面Wcとを有する(図2も参照)。各側面Wcは、主面Wa,Wbに対して直交していてもよい。各側面Wcは、平面状に形成されていてもよい。回転搬送ユニット4は、例えば、支持部42と、複数の部品保持部44と、搬送駆動部46と、複数の進退駆動部48とを有する。
【0012】
支持部42は、複数の部品保持部44を支持する。支持部42は、各部品保持部44が所定の円軌道CRに位置するように、複数の部品保持部44を支持する。支持部42は、円軌道CRの中心軸Axまわりに回転可能となるように設けられている。円軌道CRは鉛直な円軌道であってもよく、中心軸Axは水平な軸線であってもよい(水平な一方向に沿って延びていてもよい)。支持部42は、例えば、ターンテーブルである。
【0013】
複数の部品保持部44は、中心軸Axを中心とする円周に沿って等間隔に配置されており、支持部42に固定されている。複数の部品保持部44それぞれは、電子部品Wを保持する。部品保持部44は、いかなる方式で電子部品Wを保持してもよい。部品保持部44は、例えば、中心軸Axを中心とする円周の径方向において一方側から、主面Wa,Wbのいずれかを真空吸着する。以下の説明では、円軌道の中心軸を基準として「内」及び「外」の用語を使用する。部品保持部44は、吸着部52と、ホルダ54とを有する。
【0014】
吸着部52(部品保持部)は、円軌道CRの径方向に沿って延びるように形成されている。吸着部52は、その吸着面が円軌道CRの外を向くように、ホルダ54を介して支持部42に設けられている(固定されている)。吸着部52は、その吸着面を含む先端部分が、円軌道CRに位置するように支持部42に設けられている。吸着部52は、自身の外側に電子部品Wが位置するように、電子部品Wの一方の主面(例えば、主面Wa)を吸着する。この場合、円軌道CRの半径に沿って、中心軸Ax、吸着部52、及び電子部品Wがこの順で並ぶ。ホルダ54は、吸着部52を変位可能に保持し、支持部42の外周部に固定されている。
【0015】
搬送駆動部46は、円軌道CRの中心軸Axまわりに支持部42を回転させるように構成されている。搬送駆動部46は、例えば、電動モータ等の動力源を用いて、ギヤを介さないダイレクトドライブによって中心軸Axまわりに支持部42を回転させる。支持部42の回転により、中心軸Axを中心とする鉛直な円軌道CRに沿って、複数の部品保持部44(複数の吸着部52)が移動する。その結果、部品保持部44によって保持されている電子部品Wが、円軌道CRに沿って搬送される。
【0016】
搬送駆動部46は、円軌道CR上において隣り合う部品保持部44同士の角度ピッチ(中心軸Axまわりの角度ピッチ)にて、支持部42の回転と停止とを繰り返すように制御される。以下では、搬送駆動部46が支持部42を停止させる際に複数の部品保持部44それぞれが配置される複数の位置を「複数の停止位置SP」という。例えば、停止位置SPに部品保持部44が配置された状態では、その部品保持部44の吸着部52が停止位置SPに位置する。
【0017】
複数の進退駆動部48は、いくつかの停止位置SPにそれぞれ対応するように配置されている。進退駆動部48は、対応する停止位置SPにおいて、部品保持部44を円軌道CRの径方向に沿って移動させるように構成されている。進退駆動部48は、例えば、対応する停止位置SPにおいて、部品保持部44の吸着部52を中心軸Axから円軌道CRの外側に向かって移動させる。
【0018】
吸着部52を円軌道CRの径方向に沿って移動させる必要がない停止位置SPには、進退駆動部が設けられていなくてもよい。複数の進退駆動部48は、支持部42の回転と共に移動しないように設けられている。進退駆動部48は、対応する停止位置SPに配置された状態の部品保持部44よりも内側に位置する。進退駆動部48は、対応する停止位置SPに順次配置されてくる部品保持部44を円軌道CRの径方向に沿って外方へ移動させる。
【0019】
(処理ユニット)
複数の処理ユニット6は、いくつかの停止位置SPにそれぞれ対応するように設けられている。処理ユニット6は、対応する停止位置SPに配置された部品保持部44が保持する電子部品Wに対して所定の処理を施すように構成されている。本開示において、電子部品Wに対して行う「処理」は、電子部品Wの状態を変化させるあらゆる行為を含む。
【0020】
一例では、電子部品Wにマーキング等を施すこと、電子部品Wを部品保持部44に保持させること(引き渡すこと)、及び部品保持部44から電子部品Wを回収すること(受け取ること)は、「処理」に該当する。また、電子部品Wに対する何らかの検査を実行することも、検査データが未知の状態を検査データが既知の状態に変化させるので「処理」に該当する。複数の処理ユニット6は、例えば、部品供給ユニット12と、部品回収ユニット14と、外観検査ユニット20とを含む。
【0021】
部品供給ユニット12は、回転搬送ユニット4に対して電子部品Wを供給するユニットである。部品供給ユニット12は、いずれかの停止位置SPに対応するように配置されており、その停止位置SPに配置される部品保持部44に対して電子部品Wを供給する。以下では、部品供給ユニット12から回転搬送ユニット4に対して電子部品Wが供給される停止位置SPを「供給用の停止位置SP」という。供給用の停止位置SPは、中心軸Axに垂直な水平方向(例えば、図示のX軸方向)において、一方の端部に位置していてもよい。供給用の停止位置SPでは、上記進退駆動部48によって、部品保持部44が電子部品Wを受け取るために円軌道CRの径方向に沿って移動する。
【0022】
部品供給ユニット12は、例えば、複数の電子部品Wが貼付されたウェハシートから、回転搬送ユニット4に対して電子部品Wを供給する。部品供給ユニット12は、ウェハシートに貼付されている複数の電子部品Wそれぞれを、供給用の停止位置SPに配置された吸着部52に対向する位置まで順に搬送する。ウェハシート上の一つの電子部品Wが、吸着部52に対向する位置まで搬送された状態で、その吸着部52が、進退駆動部48により円軌道CRの径方向に移動しつつ、部品供給ユニット12から電子部品Wを受け取る。供給用の停止位置SPにおいて吸着部52が電子部品Wを受け取ることで、部品供給ユニット12から回転搬送ユニット4に電子部品Wが供給される。
【0023】
部品回収ユニット14は、回転搬送ユニット4から電子部品Wを回収するユニットである。部品回収ユニット14は、供給用の停止位置SP以外のいずれかの停止位置SPに対応するように配置されており、その停止位置SPに配置された部品保持部44から電子部品Wを回収する。以下では、回転搬送ユニット4から部品回収ユニット14に電子部品Wが回収される停止位置SPを「回収用の停止位置SP」という。回収用の停止位置SPは、中心軸Axに垂直な上記水平方向において、供給用の停止位置SPとは反対側の他方の端部に位置していてもよい。回収用の停止位置SPでは、上記進退駆動部48によって、部品保持部44が電子部品Wを受け取るために円軌道CRの径方向に沿って移動する。
【0024】
部品回収ユニット14は、例えば、複数の電子部品Wを貼付により収容可能なウェハシートに、回転搬送ユニット4から電子部品Wを回収する。部品回収ユニット14は、ウェハシート上の貼付予定の複数の領域それぞれを、回収用の停止位置SPに配置された吸着部52に対向する位置まで順に搬送する。ウェハシート上の一つの収容予定の領域が吸着部52に対向する位置まで搬送された状態で、吸着部52が、進退駆動部48により円軌道CRの径方向に移動しつつ、部品回収ユニット14に電子部品Wを引き渡す。回収用の停止位置SPにおいて吸着部52が電子部品Wを引き渡すことで、回転搬送ユニット4から部品回収ユニット14に電子部品Wが回収される。
【0025】
上述の例では、供給用の停止位置SP、中心軸Ax、及び回収用の停止位置SPが、上記水平方向において、この順で並ぶ。供給用の停止位置SPに供給された電子部品Wは、最も下方に位置する停止位置SPを通り、回収用の停止位置SPまで搬送されてもよい。すなわち、回転搬送ユニット4は、円軌道CRの下半分の軌道において、電子部品Wを搬送してもよい。
【0026】
<外観検査ユニット>
外観検査ユニット20は、円軌道CRのうちの供給用の停止位置SPと回収用の停止位置SPとの間の経路(電子部品Wが搬送される経路)上に位置するいずれかの停止位置SPにおいて、電子部品Wに対する外観検査を行うユニットである。以下では、外観検査ユニット20による外観検査が行われる停止位置SPを「検査位置IP」と称する。例えば、最も下方に位置する停止位置SPが、検査位置IPに設定されている。円軌道CRは、検査位置IPを通っている。
【0027】
外観検査ユニット20は、電子部品Wに含まれるいずれかの面に対して外観検査を行ってもよい。一例では、電子部品Wの一つの側面Wcが、外観検査ユニット20による検査対象面に設定される。外観検査ユニット20による外観検査では、検査対象面における異常の有無が検査される。異常の具体例としては、クラックの発生、傷又はチッピング(欠け)の発生、及び、異物の付着が挙げられる。外観検査ユニット20は、検査対象の側面Wc(検査面)を撮像することで、検査用の画像データを生成する。
【0028】
検査対象の側面Wcは、中心軸Axが延びる方向(例えば、図示のY軸方向)の一方を向く側面であってもよく、外観検査ユニット20は、その側面に対向するように配置されていてもよい。図2は、外観検査ユニット20の一例を示す模式図である。外観検査ユニット20は、例えば、照明部22と、撮像部24と、焦点調節部36とを有する。
【0029】
図2には、中心軸Ax(又は、Y軸方向)と平行であり、且つ、検査位置IPに配置された状態の電子部品Wを通る仮想的なラインである仮想ラインIL1が示されている。仮想ラインIL1は、理想状態で保持された電子部品Wの中心を通る。仮想ラインIL1に沿って、電子部品W、照明部22、及び撮像部24が、この順で配置されている。照明部22は、検査対象の側面Wcに撮像用の光を照射するように構成されている。照明部22から照射された光が検査対象の側面Wcで反射し、その反射に伴い発生する反射光の一部が撮像部24に到達する。照明部22から照射される光は、可視光であってもよい。照明部22は、電子部品Wと撮像部24との間での光の進行を阻止しないように形成されている。
【0030】
撮像部24は、検査位置IPに配置された部品保持部44が保持する電子部品Wの検査対象面を撮像する。撮像部24は、検査対象の側面Wcから出射される上記反射光を結像することで、検査対象の側面Wcの撮像を実行するように構成されている。撮像部24は、例えば、対物レンズ26と、カメラ28とを含む。対物レンズ26及びカメラ28は、互いに間隔を設けて配置されており、カメラ28は、仮想ラインIL1に沿って検査対象の側面Wcとの間に対物レンズ26を挟む。対物レンズ26は、撮像部24による被写体である側面Wcの最も近くに配置されるレンズ(光学部品)である。
【0031】
カメラ28は、検査位置IPに配置された部品保持部44が保持する電子部品Wの検査対象の側面Wcを撮像可能に設けられる。カメラ28は、検査対象の側面Wc全体を撮像可能であってもよい。カメラ28は、レンズ28aと、撮像素子28bとを含んでもよい。レンズ28aは、カメラ28に入射した光を撮像素子28bに結像させる光学部品である。撮像素子28bは、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
【0032】
撮像部24では、対物レンズ26及びレンズ28aを含む複数の光学部品によって、検査対象面からの反射光が撮像素子28bにおいて結像可能である。検査対象からの反射光が結像することで、検査対象の側面Wcの画像データ(撮像データ)が得られる。撮像部24は、自身に含まれる少なくとも1つの光学部品と、撮像素子28bとの間の相対距離が調節可能に構成されてもよい。この相対距離の変化によって、検査対象の側面Wcに対して撮像部24のピントが合わせられてもよい。
【0033】
焦点調節部36は、検査対象の側面Wcに対して撮像部24のピントを合わせるように構成されている。焦点調節部36は、例えば、検査対象の側面Wcに対して撮像部24のピントを合わせるように、撮像部24を駆動する。撮像部24を駆動するとは、撮像部24自体を移動させること、又は、撮像部24に含まれる少なくとも1つの部品を移動させることを意味する。上記の少なくとも1つの部品は、光学部品又は撮像素子を含む。
【0034】
焦点調節部36は、対物レンズ26を移動させる駆動部38を含んでもよい。駆動部38は、検査対象の側面Wcとカメラ28とが並ぶ方向(仮想ラインIL1)に沿って、対物レンズ26の位置を変化させる。仮想ラインIL1に沿って対物レンズ26の位置が変化することで、検査位置IPに対する撮像部24の焦点位置が変化する。その結果、検査位置IPに配置された部品保持部44が保持する電子部品Wの検査対象の側面Wcに対して撮像部24のピントを合わせることができる。駆動部38は、いずれの駆動方式のものでもあってもよいが、例えば、ピエゾ(圧電素子)を含むピエゾアクチュエータである。
【0035】
図2には、撮像部24による被写界深度が「DOF」で示されている。被写界深度DOFは、仮想ラインIL1上の範囲であり、被写体に対して撮像部24のピント(焦点)が実質的に合った状態で結像する範囲である。被写界深度DOFに被写体である検査対象の側面Wcが含まれていると、側面Wcの像がばやけることなく撮像素子28bで結像する。検査対象の側面Wcが被写界深度DOFから外れていると、撮像素子28bの結像面において、その側面Wcの外観検査を行うことができない程度に側面Wcの像がぼやける。撮像部24の焦点位置の変化によって、被写界深度DOFの位置が変化する。被写界深度DOFの大きさ(広さ)は、撮像部24に含まれるレンズ等の光学系に応じて変化する。撮像部24の光学系は、外観検査において要求される検査精度に応じて選択されてもよい。
【0036】
外観検査ユニット20は、分岐部32と、位置センサ30と、フィルタ部34とを有する。分岐部32は、仮想ラインIL1に沿って、対物レンズ26とカメラ28との間に配置されている。図2には、仮想ラインIL1に直交し、且つ、分岐部32が配置される位置を起点に鉛直下方に延びる仮想的なラインである仮想ラインIL2が示されている。分岐部32、フィルタ部34、及び位置センサ30は、仮想ラインIL2に沿って、この順で並ぶ。
【0037】
分岐部32は、検査対象の側面Wcから仮想ラインIL1に沿って出射される光を分岐する。分岐部32は、例えば、検査対象の側面Wcからの光を、そのまま仮想ラインIL1に沿ってカメラ28に向かう第1の光と、仮想ラインIL2に沿って位置センサ30に向かう第2の光とに分岐する。分岐部32は、例えば、ビームスプリッタ又はハーフミラーである。
【0038】
位置センサ30は、検査対象の側面Wcの位置を示す情報(以下、「位置情報」という。)を取得するセンサである。位置情報は、吸着部52が保持する電子部品Wの側面Wcの位置を示す情報である。位置センサ30は、検査対象の電子部品Wを保持する部品保持部44が検査位置IPに配置された状態で(検査位置IPに配置されたタイミングで)、上記位置情報を取得する。位置センサ30は、例えば、レーザ光を用いて距離を測定するセンサである。
【0039】
位置センサ30は、レーザ光を検査対象の側面Wcに向けて照射し、その照射に起因して生じる側面Wcからの反射光を受光するように構成されている。位置センサ30は、仮想ラインIL2に沿って分岐部32に向けてレーザ光を照射する。分岐部32に照射されたレーザ光は、分岐部32によって検査対象の側面Wcに向かって進む。検査対象の側面Wcから出射されるレーザ光の反射光は、分岐部32に向かって進み、分岐部32において分岐された後に位置センサ30に到達する。
【0040】
位置センサ30からレーザ光を照射したタイミングと、位置センサ30がレーザ光の反射光を受光したタイミングとの差によって、位置センサ30と検査対象の側面Wcとの間の光路上での距離が測定される。フィルタ部34は、バンドパスフィルタである。フィルタ部34は、位置センサ30が距離の測定に用いるレーザ光の周波数範囲を有する光を透過させ、その周波数範囲以外の周波数を有する光を透過させないよう(減衰させるよう)に構成されている。
【0041】
外観検査ユニット20による検査対象面の撮像により得られた画像データに基づいて、その検査対象面での異常の有無が判定される。図1に示されるように、回転搬送ユニット4は、部品排出ユニット16を有してもよい。部品排出ユニット16は、例えば、検査位置IPよりも下流に位置する停止位置SPに対応するように配置される。回転搬送ユニット4では、電子部品Wは、円軌道CRに沿って上流から下流に向けて搬送される。部品排出ユニット16は、検査対象面において異常が検出された電子部品Wを回収するユニットである。
【0042】
(コントローラ)
コントローラ100は、搬送処理ユニット2を制御する。コントローラ100は、1つ又は複数の制御用コンピュータによって構成される。コントローラ100は、複数の電子部品Wに対して所定の処理が順に施されるように、予め定められた制御手順に従って搬送処理ユニット2を制御する。
【0043】
コントローラ100は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、例えば、図3に示されるように、搬送制御部112と、受渡制御部114と、位置情報取得部122と、調節量記憶部124と、焦点制御部126と、撮像制御部128と、異常判定部130とを有する。これらの機能モジュールが実行する処理は、コントローラ100が実行する処理に相当する。以下では、各機能モジュール(コントローラ100)が実行する処理を、処理ユニット6による電子部品Wへの処理と区別するために「制御処理」と称する。
【0044】
搬送制御部112は、円軌道CRにおいて隣り合う部品保持部44同士の角度ピッチにて、支持部42の回転と停止とを繰り返すように搬送駆動部46を制御する。支持部42の回転と停止とが交互に繰り返されることで、上述の停止位置SPにおける部品保持部44(吸着部52)の停止と、停止位置SPから次の停止位置SPへの部品保持部44(吸着部52)の移動とが繰り返される。
【0045】
受渡制御部114は、供給用の停止位置SPにおいて、回転搬送ユニット4への電子部品Wの供給が実行されるように、部品保持部44、進退駆動部48、及び部品供給ユニット12を制御する。受渡制御部114は、回収用の停止位置SPにおいて、回転搬送ユニット4からの電子部品Wの回収が実行されるように、部品保持部44、進退駆動部48、及び部品回収ユニット14を制御する。
【0046】
位置情報取得部122は、検査対象の側面Wcの位置を示す上記位置情報を位置センサ30から取得する。位置情報取得部122は、例えば、検査対象の電子部品Wを保持する吸着部52が検査位置IPに配置された後に、位置センサ30から検査対象の側面Wcに向けてレーザ光を照射させて、側面Wcからのレーザ光の反射光を位置センサ30に受光させる。位置情報取得部122は、レーザ光の照射を開始したタイミングとレーザ光の反射光を受光したタイミングとの差に応じて上記位置情報を取得する。
【0047】
調節量記憶部124は、撮像部24の駆動量を示す情報を記憶する。調節量記憶部124は、例えば、位置情報によって示される検査対象の側面Wcの位置と基準位置との間のずれ量と、撮像部24の駆動量とを対応付けたテーブルを記憶している。上記ずれ量と駆動量とが対応付けられたテーブルは、作業員等によって予め準備されてもよい。検査対象の側面Wcの位置の基準位置は、例えば、吸着部52に保持された電子部品Wの側面Wcの理論上の(設計上の)位置である。検査対象の側面Wcが基準位置に位置する場合、撮像部24のピント合わせを行わなくても、上記被写界深度DOF内に検査対象の側面Wcが含まれる。上記駆動量は、検査対象の側面Wcの仮想ラインIL1に沿う位置が基準位置からずれていても、被写界深度DOFが検査対象の側面Wcを含む範囲に変化(移動)するように設定されている。
【0048】
焦点制御部126は、検査対象の側面Wcに対して撮像部24のピントを合わせるように、焦点調節部36を制御する。焦点制御部126は、例えば、側面Wcの位置を示す上記位置情報に応じた駆動量に基づいて、対物レンズ26の駆動部38により対物レンズ26を仮想ラインIL1に沿って移動させる。これにより、外観検査前において、検査対象の側面Wcが被写界深度DOFに含まれていない場合であっても、被写界深度DOFが検査対象の側面Wcを含む範囲に変化し得る。検査対象の側面Wcが被写界深度DOFに含まれていない状況は、電子部品Wの個体差、吸着部52の個体差、又は吸着部52に保持された電子部品Wの理想の保持位置からのずれによって生じ得る。
【0049】
撮像制御部128は、検査対象の側面Wcの画像データを取得するようにカメラ28を制御する。撮像制御部128は、焦点調節部36の駆動部38による対物レンズ26の駆動が行われた後に、撮像部24に側面Wcの撮像を実行させる。焦点制御部126及び撮像制御部128は、複数の部品保持部44(吸着部52)のいずれか1つが検査位置IPに配置される度に、対物レンズ26の移動によるピント合わせとカメラ28による撮像とを、駆動部38と撮像部24とにそれぞれ実行させる。この場合、撮像部24は、いずれかの吸着部52が検査位置IPに配置される度に、焦点調節部36による撮像部24のピント合わせが行われた後に、検査対象の側面Wcを撮像する。撮像部24のピント合わせと撮像部24による撮像とが、電子部品Wごとに繰り返される場合において、位置情報によって示される側面Wcの位置によっては、撮像部24の駆動量がゼロの場合もある。
【0050】
異常判定部130は、検査対象の側面Wcを撮像して得られる画像データに基づいて、その側面Wcにおける異常の有無を判定する。異常判定部130は、例えば、上記画像データに基づいて、検査対象の側面Wcに微細なクラック又はチッピングが発生しているか否かを判定する。検出が要求されるクラック又はチッピングの幅は、0.1μm~3.5μm程度であってもよい。クラック等の幅が微細であるほど、そのクラック等を検出するには高解像度の画像を取得する必要がある。撮像部24において高解像度の画像を取得できるレンズ等の光学系を選択すると、被写界深度DOFが狭くなる傾向がある。この場合、検査対象の側面Wcの基準位置からの僅かなずれによって、被写界深度DOF内に側面Wcが含まれない状況が生じ得る。
【0051】
コントローラ100は、図4に示されるように、回路150を有する。回路150は、1つ又は複数のプロセッサ152と、メモリ154と、ストレージ156と、入出力ポート158と、タイマ162とを含む。ストレージ156は、例えば不揮発性の半導体メモリ等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ156は、予め設定された制御手順で搬送処理ユニット2に含まれる各要素を制御することをコントローラ100に実行させるためのプログラムを記憶している。例えばストレージ156は、上述した各機能モジュールを構成するためのプログラムを記憶している。
【0052】
メモリ154は、ストレージ156の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ152による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ152は、メモリ154と協働して上記プログラムを実行することで、コントローラ100の各機能モジュールを構成する。入出力ポート158は、プロセッサ152からの指令に従って、搬送処理ユニット2の各要素との間で電気信号の入出力を行う。
【0053】
タイマ162は、例えば一定周期の基準パルスをカウントすることで経過時間を計測する。なお、回路150は、必ずしもプログラムにより各機能を構成するものに限られない。例えば回路150は、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能を構成してもよい。
【0054】
(制御方法)
続いて、コントローラ100が実行する制御手順(制御方法)の一例を説明する。図5は、1つの電子部品Wに含まれる検査対象の1つの側面Wcに対して外観検査を行う際に、コントローラ100が実行する一連の制御処理を示すフローチャートである。この一連の制御処理では、検査対象の電子部品Wを保持する吸着部52が、検査位置IPの1つ上流の停止位置SPに配置されている状態で、コントローラ100がステップS11を実行する。ステップS11では、例えば、搬送制御部112が、検査対象の電子部品Wを保持する吸着部52が、検査位置IPに配置されるように搬送駆動部46を制御する。
【0055】
次に、コントローラ100は、ステップS12を実行する。ステップS12では、例えば、位置情報取得部122が、検査位置IPに配置された吸着部52が保持する電子部品Wにおける検査対象の側面Wcの位置を示す上記位置情報を位置センサ30から取得する。位置情報取得部122は、例えば、位置センサ30から照射され、検査対象の側面Wcで反射するレーザ光の光路上において、位置センサ30から検査対象の側面Wcまでの距離を示す情報を取得する。図6(a)には、距離測定時の位置センサ30と側面Wcとの間に発生するレーザ光の光路が例示されている。位置センサ30による位置(距離)の測定時には、位置センサ30から分岐部32を介して検査対象の側面Wcに向かう光路Li1と、検査対象の側面Wcから分岐部32を介して位置センサ30に戻る光路Lr1とが形成される。
【0056】
次に、コントローラ100は、ステップS13を実行する。ステップS13では、例えば、焦点制御部126が、ステップS12で得られた位置情報に応じて、検査対象の側面Wcに対して撮像部24のピントを合わせるように焦点調節部36を制御する。焦点制御部126は、焦点調節部36の駆動部38によって対物レンズ26を移動させることで、撮像部24の焦点位置を調節してもよい。一例では、焦点制御部126は、撮像部24による被写界深度DOF内に検査対象の側面Wcが含まれるように、対物レンズ26とカメラ28とが並ぶ方向に沿って、駆動部38により対物レンズ26を移動させる。位置情報に応じた対物レンズ26の駆動量(移動量)は、例えば、調節量記憶部124に予め記憶されている。
【0057】
次に、コントローラ100は、ステップS14を実行する。ステップS14では、撮像制御部128が、検査対象の側面Wcに対する撮像を撮像部24に実行させることで、その側面Wcの画像データを取得する。図6(b)には、撮像部24による撮像が実行される際に撮像部24と側面Wcとの間に生成される光の光路が例示されている。撮像部24による撮像時には、照明部22から側面Wcに向かう光路Li2と、検査対象の側面Wcから対物レンズ26及び分岐部32を通り、カメラ28に集光される光路Lr2とが形成される。
【0058】
次に、コントローラ100は、ステップS15,S16を実行する。ステップS15では、例えば、異常判定部130が、ステップS14で得られる画像データに基づいて、検査対象の側面Wcにおける異常の有無を判定する。ステップS16では、例えば、焦点制御部126が、ステップS13の実行前の位置に対物レンズ26が戻るように、駆動部38を制御する。以上により、1つの電子部品Wの検査対象の側面Wcに対する外観検査を実行する一連の制御処理が終了する。コントローラ100は、後続の複数の電子部品Wそれぞれについて、ステップS11~S16の一連の制御処理を繰り返し実行してもよい。
【0059】
コントローラ100は、ステップS15において異常が検出されなかった場合に、検査対象の電子部品Wを部品回収ユニット14に回収するように搬送処理ユニット2を制御してもよい。コントローラ100は、ステップS15において異常が検出された場合に、検査対象の電子部品Wを部品排出ユニット16に排出するように、搬送処理ユニット2を制御してもよい。
【0060】
(変形例)
図5に示される上述の一連の制御処理は一例であり、適宜変更可能である。上記一連の制御処理において、コントローラ100は、一のステップと次のステップとを並列に実行してもよく、上述した例とは異なる順序で各ステップを実行してもよい。コントローラ100は、いずれかのステップを省略してもよく、いずれかのステップにおいて上述の例とは異なる処理を実行してもよい。コントローラ100は、例えば、ステップS16を実行せずに、後続の電子部品WについてのステップS13において、ピント合わせのための調節量と、ステップS13の実行前における駆動部38のモータの現在位置とに応じて、駆動部38により対物レンズ26を移動させてもよい。
【0061】
上述の例では、対物レンズ26の移動によって、検査対象の側面Wcに対するピント合わせが行われるが、撮像部24のピントを合わせる方法は、この例に限られない。焦点調節部36は、対物レンズ26に代えて又は加えて、レンズ28aを移動させることで撮像部24の焦点位置を調節してもよい。焦点調節部36は、対物レンズ26に代えて又は加えて、撮像素子28bを移動させることで撮像部24の焦点位置を調節してもよい。
【0062】
焦点調節部36は、対物レンズ26に代えて又は加えて、カメラ28全体を仮想ラインIL1に沿って移動させてもよい。以上のように、焦点調節部36は、撮像部24に含まれる少なくとも1つの部品、又は、撮像部24全体を移動させることで、検査対象の側面Wcに撮像部24のピントが合うように撮像部24を駆動する。
【0063】
検査対象面の撮像前に、撮像部24に対する検査対象面の傾きの検出と、その傾きの調節とが実行されてもよい。図7に示されるように、搬送処理ユニット2は、姿勢検出ユニット66(姿勢センサ)を有してもよい。姿勢検出ユニット66は、検査位置IPに配置されている吸着部52が保持する電子部品Wの検査対象の側面Wcについて、撮像部24に対する傾きを検出する。姿勢検出ユニット66は、例えば、検査位置IPに配置された吸着部52が保持する電子部品Wの主面Wbを撮像可能なカメラ(姿勢センサ)を含む。
【0064】
検査対象の電子部品Wを保持する吸着部52が検査位置IPに配置された状態で、姿勢検出ユニット66のカメラは、その電子部品Wの円軌道CRの外を向く主面Wbを撮像する。主面Wbの画像データから、例えば、撮像部24に正対した状態からの検査対象の側面Wcの傾きを示す情報(姿勢情報)が得られる。上述のように被写界深度DOFは狭い範囲であるので、側面Wcの傾きが大きいと、側面Wcの一部が被写界深度DOFから外れてしまうおそれがある。そのため、検査対象の側面Wcの撮像前に、側面Wcの傾きが調節される。
【0065】
回転搬送ユニット4は、複数の吸着部52それぞれに対応するように設けられた複数の回転駆動部56を有してもよい。複数の回転駆動部56は、支持部42に設けられてもよい。回転駆動部56は、対応する吸着部52を、その吸着部52を通り且つ円軌道CRの径方向に沿って延びる中心軸線ALまわりに回転させる。中心軸線ALは、例えば、吸着部52の先端面(吸着穴が設けられる面)の中心を通る。電子部品Wを保持する吸着部52が、中心軸線ALまわりに回転することで、その電子部品Wも中心軸線ALまわりに回転する。これにより、外観検査ユニット20のカメラ28に対向する側面Wcのカメラ28に対する傾きが変化する。回転駆動部56は、検査対象の側面Wcの傾きを調節する姿勢調節部として機能する。
【0066】
コントローラ100は、図3に示されるように、機能モジュールとして、姿勢情報取得部132と、姿勢制御部134とを有してもよい。姿勢情報取得部132は、カメラ28に対する検査対象面の傾きを示す情報を取得する。姿勢情報取得部132は、例えば、検査位置IPに配置された電子部品Wの主面Wbを姿勢検出ユニット66に撮像させることで、主面Wbの画像データから、カメラ28に対する検査対象面の側面Wcの傾きを示す情報を取得する。
【0067】
姿勢制御部134は、カメラ28に対する検査対象面の傾きを示す情報に応じて、検査対象の側面Wcの姿勢が目標姿勢に近づくように、回転駆動部56により対応する吸着部52を中心軸線ALまわりに回転させる。姿勢制御部134は、例えば、上述の仮想ラインIL1に対する検査対象の側面Wcの傾きが90°に近づくように(側面Wcがカメラ28に対して正対するように)、検査位置IPにおいて、回転駆動部56により電子部品Wを保持する吸着部52を中心軸線ALまわりに回転させる。
【0068】
回転駆動部56及び姿勢検出ユニット66を備える処理装置1において、コントローラ100が、図5に示される一連の制御処理と同様の一連の制御処理を実行してもよい。コントローラ100は、ステップS12の実行前において、以下のステップS02,S03を実行してもよい。ステップS02では、例えば、姿勢情報取得部132が、検査位置IPに位置する電子部品Wの検査対象の側面Wcのカメラ28に対する傾きを示す姿勢情報を姿勢検出ユニット66に取得させる。ステップS03では、例えば、姿勢制御部134が、検査対象の側面Wcがカメラ28に対して正対するように、回転駆動部56による吸着部52の回転によって、検査対象の側面Wcの傾きを調節する。
【0069】
検査対象面の傾きの検出方法、及び傾きの調節方法は、上述の例に限られない。姿勢検出ユニット66が、検査位置IPよりも上流の停止位置SPにおいて、主面Wbを撮像してもよい。搬送処理ユニット2は、姿勢検出ユニット66に代えて、電子部品Wに対してレーザ光等を照射して、電子部品Wから反射した光又は電子部品Wを通過する光を受光することで、検査対象面の傾きを示す姿勢情報を取得するセンサを有してもよい。搬送処理ユニット2は、回転駆動部56に代えて、吸着部52から電子部品Wを受け取って、電子部品Wの姿勢を調節したうえで、電子部品Wを吸着部52に戻すアライメントユニット(姿勢調節部)を有してもよい。
【0070】
上述の例では、平面状の側面Wcに対する撮像が行われるが、処理対象の電子部品の種類によっては、検査対象となる側面に段差が形成されている場合もある。この場合に、外観検査ユニット20は、段差を形成する複数の段差面それぞれに対して撮像を実行してもよい。一例では、処理装置1は、電子部品Wに代えて、図8に示される電子部品W1に対して処理を行う。電子部品W1は、側面Wc1を有する。側面Wc1は、段差面S1,S2,S3(複数の段差面)を含む。
【0071】
検査位置IPにおいて、電子部品W1と外観検査ユニット20とが対向した際に、これらが対向する方向において(仮想ラインIL1に沿って)、段差面S1,S2,S3それぞれとカメラ28との間の距離は、互いに異なる。言い換えると、段差面S1とカメラ28との最短距離、段差面S2とカメラ28との最短距離、及び段差面S3とカメラ28との最短距離が、互いに異なっている。
【0072】
上述の被写界深度DOFが狭いと、被写界深度DOFには、1つの段差面が含まれ、他の全ての段差面が含まれない場合がある。コントローラ100は、段差面ごとに、側面Wc1に対して撮像部24のピントを合わせる制御処理を行ってもよい。外観検査ユニット20の位置センサ30は、側面Wc1の段差面S2にレーザ光を照射し、段差面S1,S3にレーザ光を照射しないように構成されていてもよい。位置センサ30は、自身と段差面S2との間の光路上の距離を測定することで、側面Wc1の位置を示す情報を取得してもよい。
【0073】
図9は、検査対象面に複数の段差面が含まれる電子部品W1に対する外観検査を実行する際の一連の制御処理の一例を示すフローチャートである。この一連の制御処理では、検査対象の電子部品W1を保持する吸着部52が検査位置IPに配置されるように、コントローラ100(搬送制御部112)が、ステップS11と同様に、ステップS21を実行する。
【0074】
次に、コントローラ100は、ステップS22を実行する。ステップS22では、例えば、位置情報取得部122が、検査位置IPに配置された吸着部52が保持する電子部品Wにおける検査対象の側面Wc1の位置を示す情報を位置センサ30から取得する。位置情報取得部122は、例えば、位置センサ30から照射され、検査対象の側面Wc1の段差面S2で反射するレーザ光の光路上において、位置センサ30から段差面S2までの距離を示す情報を取得する。
【0075】
次に、コントローラ100は、ステップS23を実行する。ステップS23では、例えば、焦点制御部126が、段差面S2の位置を示す情報に応じて、撮像部24の焦点位置を調節するように焦点調節部36を制御する。焦点制御部126は、焦点調節部36の駆動部38によって対物レンズ26を移動させることで、段差面S2に対して撮像部24のピントを合わせる。一例では、焦点制御部126は、撮像部24による被写界深度DOF内に段差面S2が含まれるように、対物レンズ26とカメラ28とが互いに対向する方向に沿って、駆動部38により対物レンズ26を移動させる。
【0076】
次に、コントローラ100は、ステップS24,S25を実行する。ステップS24では、例えば、撮像制御部128が、検査対象の側面Wc1に対する撮像を撮像部24に実行させることで、段差面S2にピントが合わせられて得られる側面Wc1の画像データを取得する。このときに得られる画像データの撮像範囲には、段差面S1及び段差面S3も含まれてもよい。ステップS25では、例えば、異常判定部130が、ステップS24で得られた画像データに基づいて、段差面S2における異常の有無を判定する。このとき、異常判定部130は、段差面S1,S3における異常の有無を判定しない。
【0077】
次に、コントローラ100は、ステップS26を実行する。ステップS26では、例えば、コントローラ100が、側面Wc1に含まれる全ての段差面について、検査を行ったか否かを判定する。ステップS26において、全ての段差面について検査が行われていないと判断された場合(ステップS26:NO)、コントローラ100が実行する処理は、ステップS23に戻る。
【0078】
コントローラ100は、検査対象の段差面を替えて、次の段差面(例えば、段差面S1)についてステップS23~S26の一連の制御処理を実行する。コントローラ100は、検査対象の電子部品W1とカメラ28とが対向する方向における、段差面S1と段差面S2との間の距離、及び、段差面S2と段差面S3との間の距離を示す情報を予め記憶していてもよい。段差面S1についてのステップS23では、焦点制御部126が、段差面S1と段差面S2との間の上記距離に基づいて、段差面S1に被写界深度DOFが含まれるように対物レンズ26の位置を変化させる。
【0079】
そして、段差面S1についてのステップS24では、例えば、撮像制御部128が、検査対象の側面Wc1に対する撮像を撮像部24に実行させることで、段差面S1にピントを合わせて得られる側面Wc1の画像データを取得する。段差面S1についてのステップS25では、例えば、異常判定部130が、段差面S1にピントを合わせて得られる側面Wc1の画像データに基づいて、段差面S2における異常の有無を判定する。コントローラ100は、段差面S3についても、段差面S1と同様にステップS23~S26を実行する。
【0080】
一方、ステップS26において、全ての段差面について検査が行われたと判断された場合(ステップS26:YES)、コントローラ100が実行する処理は、ステップS27に進む。ステップS27では、例えば、焦点制御部126が、最初のステップS23の実行前の位置に対物レンズ26が戻るように駆動部38を制御する。以上の一連の制御処理では、側面Wc1全体を視野に含み、撮像部24のピントの位置が互いに異なる3種類の画像データ(複数の画像)が得られる。
【0081】
コントローラ100は、後続の他の電子部品W1についても、ステップS21~S27の一連の制御処理を実行する。この場合、撮像部24は、複数の吸着部52のうちのいずれか1つが検査位置IPに配置される度に、撮像部24のピントの位置が互いに異なる複数の画像を取得するように、側面Wc1に対する複数回の撮像を実行する。撮像部24は、撮像対象の側面Wc1について1回の位置情報の取得(段差面S2の位置を示す情報の取得)が行われた後に、上記複数回の撮像を実行する。
【0082】
上述の例では、位置センサ30が、レーザ光を用いて検査対象の側面Wcの位置を示す位置情報を取得するが、位置情報の取得(検出)方法は、これに限られない。定位置に配置されたカメラによる画像データに基づいて、検査対象の側面Wcの位置情報が取得されてもよい。例えば、図10(a)に示されるように、搬送処理ユニット2は、外観検査ユニット20に代えて、外観検査ユニット20Aを有してもよい。外観検査ユニット20Aは、位置センサ30、分岐部32、及びフィルタ部34を有しない点で、外観検査ユニット20と相違する。
【0083】
搬送処理ユニット2は、外観検査ユニット20Aに加えて、位置センサ70を有してもよい。位置センサ70は、検査対象の側面Wcの位置を取得可能な画像データを生成するカメラである。位置センサ70は、検査位置IPに配置された電子部品Wの主面Wbと対向するように配置されており、主面Wbを撮像可能である。位置センサ70は定位置に固定されており、主面Wbの画像データから、検査対象の側面Wcの基準位置からのずれ量を得ることができる。すなわち、位置センサ70による撮像で得られる画像データには、検査対象の側面Wcの位置を示す情報が含まれている。
【0084】
搬送処理ユニット2は、図10(b)に示されるように、外観検査ユニット20Aと、位置センサ72とを有してもよい。位置センサ72は、レーザ光等の照射光を電子部品Wに対して照射して、受けた光に基づいて側面Wcの位置を示す情報(信号)を生成するセンサである。位置センサ72は、仮想ラインIL1(検査対象の側面Wcとカメラ28とが対向する方向)に沿って延びる照射範囲に光を照射してもよい。位置センサ72は、検査対象の側面Wcに接続された他の側面に対して光を照射する。位置センサ72は、照射光の照射に伴う電子部品Wからの反射光、又は電子部品Wに遮られずに通過する照射光の一部を受光してもよい。
【0085】
位置センサ72は、例えば、照射部72aと受光部72bとを含む。照射部72aと受光部72bとは、検査位置IPに位置する電子部品Wとカメラ28とが対向する方向に直交する方向において、その電子部品Wを間に挟むように配置されている。照射部72aは、検査対象の側面Wcに接続される一対の側面Wcの一方に対向し、受光部72bは、上記一対の側面Wcの他方に対向する。照射部72aからの光の照射範囲は、検査対象の側面Wcの位置がずれていても、側面Wcが含まれるように設定されている。
【0086】
照射部72aは、対向する側面Wcに対して直交する方向に照射光を照射する。照射部72aから照射された照射光の一部は、電子部品Wに遮られ、受光部72bに到達しない。照射部72aから照射された照射光の残りの一部は、電子部品Wに遮られず、受光部72bに到達する。受光部72bは、受光した光に応じて信号を生成する。受光部72bによって生成される信号は、検査対象の側面Wcの位置に応じて変化する。受光部72bが生成した信号において、光が遮られる領域と光が遮られずに通過する領域との境界を検出することで、検査対象の側面Wcの位置を示す情報が得られる。
【0087】
以上に説明した種々の変形例のうちの任意の例が互いに組合せられてもよい。例えば、図10(a)に例示される搬送処理ユニット2において、図7に例示される搬送処理ユニット2と同様に、検査対象の側面Wcの傾きの検出と調節とが行われてもよい。この場合、姿勢検出ユニット66及び位置センサ72に代えて、1つのカメラが、主面Wbの撮像を行うことで、検査対象の側面Wcの傾き及び位置を示す情報を取得してもよい。
【0088】
(第1実施形態の効果)
電子部品の外観を検査する際の検査精度を向上させるために、高解像度の画像を取得可能な撮像部を用いて電子部品の検査対象である検査面を撮像しようとすると、撮像部による被写界深度が狭くなってしまう。一方、検査面の位置は、種々の要因により変動し得るので、検査面が被写界深度から外れてしまうおそれがある。これに対して、上述の処理装置1では、検査面の位置を示す位置情報を取得する位置センサ30,70,72と、電子部品Wの検査面に対して撮像部24のピントを合わせる焦点調節部36が備えられる。焦点調節部36によるピント合わせによって、撮像部24による被写界深度DOFの位置が変化する。そのため、取得した位置情報に応じて、被写界深度DOF内に検査面が含まれるように、上記のピント合わせを行うことができる。これにより、被写界深度DOFに検査面を含めた状態で、その検査面を撮像することが可能となる。従って、処理装置1は、検査精度の向上に有用である。
【0089】
位置センサ30,70,72は、電子部品Wを保持する部品保持部44(吸着部52)が検査位置IPに配置された状態で位置情報を取得する。この場合、電子部品Wの検査面を撮像するときと同じ位置で位置情報が取得されるので、検査面の位置を高精度に検出することができ、被写界深度を精度良く検査面に合わせることができる。従って、検査精度の向上に更に有用である。
【0090】
焦点調節部36は、検査面に対して撮像部24のピントを合わせるように、撮像部24を駆動する。撮像部24に含まれる部品は、電子部品Wを回転搬送させるユニットに比べて小さい傾向がある。そのため、被写界深度DOFの位置を細かく調節できるので、被写界深度DOFを精度良く検査面に合わせることができる。従って、検査精度の向上に更に有用である。
【0091】
処理装置1は、カメラ28に対する検査面の姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢センサ(姿勢検出ユニット66)と、検査面の姿勢を調節する姿勢調節部(回転駆動部56)とを更に備える。被写界深度DOFが狭いと、検査面の姿勢によっては、検査面の一部が被写界深度DOFから外れてしまうおそれがある。上記構成では、姿勢情報に応じて検査面の姿勢を調節できるので、被写界深度DOFに対する検査面の姿勢ずれに起因した精度低下を抑制できる。従って、検査精度の向上に更に有用である。
【0092】
処理装置1は、複数の部品保持部44を備える。複数の部品保持部44のいずれか1つが検査位置IPに配置される度に、焦点調節部36によるピント合わせが行われた後に、撮像部24が検査面に対する撮像を実行する。この場合、部品保持部44ごとに、検査面にピントを合わせて検査面の撮像を行えるので、電子部品W同士の間での検査精度のばらつきが抑制される。従って、検査面の撮像による検査精度の安定化に有用である。
【0093】
撮像部24は、複数の部品保持部44のいずれか1つが検査位置IPに配置される度に、撮像部24のピントの位置が互いに異なる複数の画像を取得するように、検査面に対する複数回の撮像を実行する。この場合、検査面に撮像部24との間の距離が互いに異なる段差面が含まれていても、段差面ごとに、撮像部24のピントを合わせて撮像を実行することができる。従って、段差を含む検査面に対する外観検査での検査精度の向上に有用である。
【0094】
位置センサ30が検査面について1回の上記位置情報の取得を行った後に、撮像部24が検査面に対する複数回の撮像を実行する。この場合、1つの検査面についての複数回の撮像にそれぞれに対応して複数回の位置情報の取得が行われる場合に比べて、検査面の外観検査に要する時間が短縮される。従って、処理効率の向上に有用である。
【0095】
[第2実施形態]
続いて、図11を参照しながら、第2実施形態に係る電子部品の処理装置について説明する。図11に示される処理装置1Aは、検査位置IPとは異なる停止位置SPにおいて、検査対象の側面Wcの位置を示す情報を取得する。処理装置1Aは、例えば、外観検査ユニット20に代えて、外観検査ユニット20Aと、測定ユニット21Aとを備える。外観検査ユニット20Aは、検査位置IPに対応するように配置されており、円軌道CRの外を向く主面Wbについて外観検査を実行する。外観検査ユニット20Aは、検査対象が主面Wbである点を除き、図10(a)又は図10(b)に示される外観検査ユニット20Aと同様に構成されている。
【0096】
測定ユニット21Aは、検査位置IPよりも1つ上流の停止位置SPに対応するように配置されており、その停止位置SPおいて、検査対象の主面Wbの位置を測定する。以下、測定ユニット21Aが測定を行う停止位置SPを「測定位置MP」と称する。測定ユニット21Aは、位置センサ30とフィルタ部34とを有する。測定ユニット21Aの位置センサ30は、検査対象の電子部品Wを保持する部品保持部44(吸着部52)が測定位置MPに配置された状態で、検査対象の主面Wbの位置を示す情報(位置情報)を取得する。フィルタ部34は、位置センサ30と主面Wbとの間に配置される。
【0097】
検査対象の電子部品Wを保持する吸着部52が測定位置MPに配置されたときの主面Wbの位置は、その吸着部52が検査位置IPに配置された状態でのカメラ28に対する主面Wbの位置に相関する。そのため、測定位置MPにおいて主面Wbの位置を示す情報を取得しても、その位置情報に応じて、撮像部24による被写界深度DOF(撮像部24のピント)を検査対象の主面Wbに合わせることができる。
【0098】
処理装置1Aにおいても、上述の図5に示される一連の制御処理と同様の一連の制御処理が実行されてもよい。この場合、コントローラ100は、ステップS12を実行せずに、ステップS11の実行前に、ステップS01を実行してもよい。ステップS01では、例えば、位置情報取得部122が、測定位置MPに配置されている吸着部52が保持する電子部品Wの主面Wbの位置を示す位置情報を、測定ユニット21Aの位置センサ30から取得する。ステップS13では、例えば、焦点制御部126が、ステップS01で得られた位置情報に応じて、焦点調節部36の駆動部38により対物レンズ26を移動させて、検査対象の主面Wbに対して撮像部24のピントを合わせる。
【0099】
第2実施形態に係る処理装置1Aにおいても、第1実施形態に係る種々の変形例が適用されてもよい。処理装置1Aにおいても、第1実施形態に係る処理装置1と同様に、検査精度の向上に有用である。
【0100】
位置センサ30は、電子部品Wを保持する部品保持部44が円軌道CRにおいて検査位置IPとは異なる位置(測定位置MP)に配置された状態で、検査面の位置を示す位置情報を取得する。この場合、測定位置MPでの位置情報の取得と、検査位置IPでの撮像とを、別々の電子部品Wについて並行して実行することができる。そのため、検査位置IPにおいて位置情報の取得と撮像部24の取得とを順に行う場合に比べて、処理時間を短縮できる。従って、処理効率の向上に有用である。
【0101】
[第3実施形態]
続いて、図12及び図13を参照しながら、第3実施形態に係る電子部品の処理装置について説明する。図12に示される処理装置1Bは、電子部品Wを保持する部品保持部を駆動することで、検査対象面に対して撮像部24のピントを合わせる。処理装置1Bは、搬送処理ユニット2に代えて搬送処理ユニット2Bを有する。搬送処理ユニット2Bは、支持部42Bと、複数の部品保持部44Bと、搬送駆動部46Bと、複数の昇降駆動部58と、複数の処理ユニット6とを有する。
【0102】
支持部42Bは、水平な円軌道CR2に位置するように複数の部品保持部44Bを支持する。支持部42Bは、円軌道CR2の中心軸Ax2まわりに回転可能となるように設けられている。中心軸Ax2は、鉛直な軸線であってもよい(鉛直方向に沿って延びていてもよい)。支持部42Bは、例えば、ターンテーブルである。複数の部品保持部44Bは、上述した複数の部品保持部44と同様に配置されており、支持部42Bの外周部に固定されている。
【0103】
部品保持部44Bは、例えば、図13に示されるように、吸着部52Bと、ホルダ54Bとを有する。吸着部52B(部品保持部)は、その吸着穴が向く方向を除き、吸着部52と同様に構成されている。吸着部52Bは、支持部42に垂直な方向の一方側から、主面Waを吸着することで電子部品Wを保持する。ホルダ54Bは、吸着部52Bを昇降可能に保持しており、円軌道CR2の径方向に沿って移動可能となるように支持部42Bに固定されている。
【0104】
搬送処理ユニット2Bは、進退駆動部57を有する。進退駆動部57は、部品保持部44B(吸着部52B)を円軌道CR2の径方向に沿って移動させる。進退駆動部57は、支持部42Bに設けられてもよく、ホルダ54Bに対して外向きの駆動力を付与するように構成されている。進退駆動部57が吸着部52Bを円軌道CR2の径方向に沿って移動させることで、その吸着部52Bが保持する電子部品Wのうちの円軌道CR2の外を向く側面Wcと中心軸Ax2との間の距離が変化する。
【0105】
搬送駆動部46Bは、搬送駆動部46と同様に、円軌道CR2の中心軸Ax2まわりに支持部42Bを間欠的に回転させる。間欠的に回転とは、中心軸まわりの円周に沿った移動と停止とを交互に繰り返すことをいう。搬送駆動部46Bの回転により、部品保持部44B(吸着部52B)が保持する電子部品Wが、円軌道CR2に沿って搬送される。以下では、搬送駆動部46Bが支持部42Bを間欠的に回転させる際に複数の部品保持部44Bがそれぞれ停止する位置についても「停止位置SP」と称する。
【0106】
昇降駆動部58は、部品保持部44Bと、その部品保持部44Bによって保持されている電子部品Wとが対向する方向(鉛直方向:図示のZ軸方向)に沿って吸着部52Bを移動させる。昇降駆動部58は、停止位置SPの上方に配置されており、その停止位置SPに配置された部品保持部44Bの吸着部52Bに下向きの力を付与することにより、吸着部52Bを下降させてもよい。
【0107】
図12に示されるように、複数の処理ユニット6は、部品供給ユニット12と、部品回収ユニット14と、外観検査ユニット20Bと、測定ユニット21Bとを有する。外観検査ユニット20Bは、円軌道CR2において、供給用の停止位置SPと回収用の停止位置SPとの間のいずれかの停止位置SP(検査位置IP)に対応するように配置されている。外観検査ユニット20Bは、対物レンズ26を有しない点において、外観検査ユニット20Aと相違する(図13を参照)。この場合、外観検査ユニット20Bは、照明部22と、撮像部24Bとを有する。
【0108】
撮像部24Bは、対物レンズ26を有さずにカメラ28を有する。外観検査ユニット20Bは、外観検査ユニット20,20Aと異なり、撮像部の焦点位置を変化させる機能を有しない。外観検査ユニット20Bは、円軌道CR2の外を向く側面Wcに対して外観検査を実行してもよい。この場合、撮像部24Bのカメラ28は、中心軸Ax2から離れる方向を向く側面Wcを撮像する。外観検査ユニット20Bの撮像部24B(カメラ28)と、検査位置IPに配置された電子部品Wの検査対象の側面Wcとは、円軌道CR2の径方向に沿って対向する。
【0109】
測定ユニット21Bは、円軌道CR2において検査位置IPよりも1つ上流の停止位置SP(測定位置MP)に対応するように配置されている。測定ユニット21Bは、測定位置MPにおいて、円軌道CR2の外を向く検査対象の側面Wcの位置を示す情報(位置情報)を取得する。測定ユニット21Bは、カメラ70Bと、ミラー71Bとを有する。カメラ70Bは、ミラー71Bを介して、検査対象の側面Wcに接続された別の側面Wc(例えば、円軌道CR2において上流を向く側面Wc)を撮像する。カメラ70Bが上記別の側面Wcを撮像することで得られる画像データには、検査対象の側面Wcの位置を示す情報が含まれる。
【0110】
処理装置1Bでは、進退駆動部57によって吸着部52Bが円軌道CR2の径方向に沿って移動することで、その吸着部52Bに保持されている電子部品Wの検査対象の側面Wcと撮像部24Bのカメラ28との間の距離が変化する。進退駆動部57は、検査対象の側面Wcに対して撮像部24のピントを合わせるように、吸着部52Bを移動させる。進退駆動部57は、焦点調節部として機能する。
【0111】
処理装置1Bにおいても、第2実施形態に係る処理装置1Aにおいて実行される上記一連の制御処理が実行されてもよい。この場合、ステップS01では、位置情報取得部122が、測定位置MPに配置されている吸着部52Bが保持する電子部品Wの検査対象の側面Wcの位置を示す位置情報を、測定ユニット21Bのカメラ70B(位置センサ)から取得する。ステップS13では、例えば、焦点制御部126が、ステップS01で得られた位置情報に応じて、撮像部24Bによる被写界深度DOFに検査対象の側面Wcが含まれるように進退駆動部57を制御する。進退駆動部57が吸着部52の径方向の位置を変化させることで、撮像部24の焦点位置に対する検査対象の側面Wcの位置が調節される。
【0112】
上述の例では、円軌道CR2の径方向に沿って進退駆動部57が吸着部52Bを移動させることで、側面Wcと撮像部24Bの焦点位置との間の距離を調節しているが、外観検査の対象の面に応じて、他の駆動部(焦点調節部)が吸着部52Bを移動させてもよい。一例では、検査対象面が主面Wbであり、主面Wbに対向するように外観検査ユニット20Bが配置されている場合に、昇降駆動部58(焦点調節部)が、検査対象の側面Wcと撮像部24Bの焦点位置との間の距離を変化させるように、吸着部52Bを移動させてもよい。この場合、昇降駆動部58が、検査位置IPの上方にも配置されてもよい。
【0113】
第3実施形態に係る処理装置1Bにおいて、第1実施形態、第1実施形態の変形例、及び第2実施形態に記載された内容が適用されてもよい。処理装置1Bにおいても、第1実施形態に係る処理装置1と同様に、検査精度の向上に有用である。
【0114】
焦点調節部は、撮像部24Bに対する検査面の位置を変化させるように、部品保持部44B(吸着部52B)を駆動する。この場合、外観検査を行うユニットにおいて、撮像部24Bの焦点位置を調節する部材を設ける必要がないので、外観検査を行うユニットの簡素化に有用である。
【符号の説明】
【0115】
1…電子部品の処理装置、W…電子部品、24,24B…撮像部、26…対物レンズ、28…カメラ、28a…レンズ、28b…撮像素子、30,70,72…位置センサ、36…焦点調節部、38…駆動部、IP…検査位置、MP…測定位置、42,42B…支持部、44,44B…部品保持部、52,52B…吸着部、46,46B…搬送駆動部、56…回転駆動部、57…進退駆動部、58…昇降駆動部、66…姿勢検出ユニット、CR,CR2…円軌道、Ax,Ax2…中心軸。
【要約】
【課題】検査精度の向上に有用な電子部品の処理装置を提供する。
【解決手段】本開示の一側面に係る電子部品の処理装置は、電子部品を保持する部品保持部と、所定の検査位置を通る円軌道に位置するように部品保持部を支持する支持部と、円軌道の中心軸まわりに支持部を回転させる搬送駆動部と、検査位置に配置された部品保持部が保持する電子部品の検査面を撮像可能な撮像部と、検査面の位置を示す位置情報を取得する位置センサと、検査面に対して撮像部のピントを合わせる焦点調節部と、を備える。
【選択図】図2

図1
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図10
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図13