(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】チャック機構
(51)【国際特許分類】
B25B 5/06 20060101AFI20220819BHJP
B23Q 3/06 20060101ALI20220819BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
B25B5/06
B23Q3/06 302L
H01L21/68 S
(21)【出願番号】P 2022010207
(22)【出願日】2022-01-26
【審査請求日】2022-01-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399028078
【氏名又は名称】ハイソル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 正幸
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-037827(JP,A)
【文献】特開2001-287127(JP,A)
【文献】実公昭39-019181(JP,Y1)
【文献】中国実用新案第208897208(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第112869778(CN,A)
【文献】特開昭63-126697(JP,A)
【文献】特開平06-182442(JP,A)
【文献】実開昭63-001813(JP,U)
【文献】特開2018-065219(JP,A)
【文献】特開2006-212643(JP,A)
【文献】再公表特許第2012/070097(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B1/00-11/02
B23K31/00-33/00
B23K37/00-37/08
B23Q3/00-3/154
B23Q3/16-3/18
H01L21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプ対象物を載置する載置面に垂直な基準面を挟んで両側に配置され
、載置された該クランプ対象物を左右方向から挾持する二つの爪部と、
それぞれの前記爪部の移動方向を前記載置面に対して平行に保つ2組の平行リンクと、
それぞれの平行リンクの原動節を回動させる回動機構とを備え、
前記2組の平行リンクは、前記基準面を中心に面対称に配設されており、
前記回動機構は、前記2組の平行リンクの原動節を互いに逆方向に回動させ、
2つの前記原動節は、ハの字に配設されている
ことを特徴とするチャック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの電気的特性を測定するときは、半導体チップを載置台に載置し、半導体チップをクランプする必要がある。例えば、特許文献1には、ウェハの外周部に当接する固定クランプおよび可動クランプを備え、ウェハを水平方向に押しつけてクランプするチャック機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のチャック機構は、載置台に吸着孔や吸着溝を設け、クランプする前にウェハを吸着させてからクランプするものである。このようなチャック機構において、吸着孔や吸着溝よりも小さい半導体チップを載置台に載置しようとすると、半導体チップが吸着孔や吸着溝に落下してしまう。また、半導体チップを載置台に吸着させずにクランプすると、半導体チップ(クランプ対象物)と載置台の載置面との接触抵抗が高くなり、測定誤差の原因になる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、載置面との接触を良好に保った状態でクランプ対象物をクランプすることができるチャック機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のチャック機構(100)は、クランプ対象物(例えば、半導体チップ1)を載置する載置面(52a)に垂直な基準面(S)を挟んで両側に配置され、載置されたクランプ対象物を左右方向から挾持する二つの爪部(11,12)と、それぞれの前記爪部(11,12:中間節)の移動方向を前記載置面(静止節)に対して平行に保つ2組の平行リンク(20,30)と、それぞれの平行リンクの原動節(駆動リンクバー21,31)を回動させる回動機構(40)とを備え、前記2組の平行リンクは、前記基準面を中心に面対称に配設されており、前記回動機構は、前記2組の平行リンクの原動節を互いに逆方向に回動させ、2つの前記原動節は、ハの字に配設されていることを特徴とする。なお、括弧内の符号や文字は、実施形態において付した符号等であって、本発明を限定するものではない。
【0008】
また、クランプ対象物を載置する載置面に垂直な基準面を挟んで両側に配置され、載置されたクランプ対象物を左右方向から挾持する二つの爪部と、前記爪部(61a,61b)を先端に有する2つの梃子部材(61,62)と、それぞれの梃子部材を回動させる回動機構(40)とを備えても構わない。このとき、前記2つの梃子部材は、前記基準面(S)を中心に面対称に配設されており、前記回動機構(40)は、面対称に配設された2つの梃子部材を互いに逆方向に回動させることが好ましい。
【0009】
また、前記機構を固定する板材(例えば、下板部51)をさらに備え、前記機構は、前記板材との高さを一定に維持しつつ、前記二つの爪部(11,12)を近接させると共に、前記載置面(52a)を上昇させても構わない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、載置面との接触を良好に保った状態でクランプ対象物をクランプすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るチャック機構を斜め上方から前側を見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るチャック機構を斜め上方から後側を見た斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るチャック機構の平面図である。
【
図4】2つの爪部がクランプ対象物を挟持する様子を示す平面図である。
【
図5】クランプ対象物を挟持しない状態を示す説明図である。
【
図6】2つの爪部がクランプ対象物を挟持した状態を示す説明図である。
【
図7】一方の爪部がクランプ対象物に加える力を説明する説明図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係るチャック機構を説明する説明図であって、(a)が本発明の実施形態についての説明図であり、(b)が従来技術についての説明図である。
【
図9】本発明の第2実施形態であるチャック機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本実施形態を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るチャック機構を斜め上方から前側を見た斜視図であり、
図2は、斜め上方から後側を見た斜視図である。また、
図3は、チャック機構の平面図であり、
図4は、2つの爪部がクランプ対象物としての半導体チップ1を挟持する様子を示す平面図である。
チャック機構100は、第1平行リンク20と、第2平行リンク30と、回動機構40と、基台50と、位置決用爪部13を備えて構成される。基台50は、下板部51と、下板部51の側面視中央部から上方に延在する板状の側壁部53と、側壁部53の上面中央部に形成された載置台52と、側壁部53の中央部後方に延在する後方壁部54(
図2)とを備える。下板部51は、2段のインシュレータ56,57を介して、台座58に固定されている。載置台52は、側壁部53の上面に突設された直方体状の部位であり載置台52の上面は、クランプ対象物である半導体チップ1が載置される載置面52aである。
【0014】
図1において、第1平行リンク20は、爪部11と、駆動リンクバー21,27と、従動リンクバー22a,22bと、リンクポスト23,24と、ジョイント軸25,26とを備える。第2平行リンク30は、爪部12と、駆動リンクバー31,37と、従動リンクバー32a,32bと、リンクポスト33,34と、ジョイント軸35,36とを備えて構成される。なお、駆動リンクバー21,31及び従動リンクバー22a,32aと側壁部53の前面との間には、筒状の側壁スペーサ15が介設されており、リンクポスト23,24,33,34及びジョイント軸25,26,35,36は、側壁スペーサ15に挿入されている。
【0015】
爪部11,12は、直方体状の爪本体部11b,12b(
図4)と、爪本体部11b,12bの側面上部から側方に向かって張り出す板状の当接部11a,12a(
図4)とを備えている。爪部11,12の当接部11a,12aは、半導体チップ1を左右方向から挟持するものである。爪本体部11b,12bは、平面視で長方形であり、当接部11a,12aは、先端に向かうにしたがって幅寸法が小さくなるように形成されている。位置決用爪部13は、当接部11a,12aが半導体チップ1を挾持する前に、半導体チップ1を前後方向に位置決めするものである。位置決用爪部13は、後方壁部54(
図2)の上面に固定ネジ14で固定されている。
【0016】
また、
図1において、一方の爪部11の爪本体部11bには、2本の円柱状のジョイント軸25,26が接続されている。同様に、他方の爪部12の爪本体部12bには、2本の円柱状のジョイント軸35,36が接続されている。側壁部53には、4本の円柱状のリンクポスト23,24,33,34が左右方向に一列に配設されている。ここで、ジョイント軸25,26の間隔とリンクポスト23,24の間隔とが等しく、ジョイント軸35,36の間隔とリンクポスト33,34の間隔とが等しい。
【0017】
二つの駆動リンクバー21,31が側壁部53の前側に配置されている。二つの駆動リンクバー21,31のうち、一方の駆動リンクバー21は、2つの円形孔21b,21c(
図5)と、1つの長孔21a(
図5)とを備えている。同様に、他方の駆動リンクバー31は、2つの円形孔31b,31c(
図5)と、1つの長孔31a(
図5)とを備えている。また、二つの従動リンクバー22a,32aが側壁部53の前側に配置されている。二つの従動リンクバー22a,32aのうち、一方の従動リンクバー22aは、2つの円形孔22c,22dを備えている。同様に、他方の従動リンクバー32aは、2つの円形孔32c,32dを備えている。
【0018】
また、駆動リンクバー21の2つの円形孔21b,21cの間隔と、従動リンクバー22aの2つの円形孔22c,22dの間隔とは等しい。同様に、駆動リンクバー31の2つの円形孔31b,31cの間隔と、従動リンクバー32aの2つの円形孔32c,32dの間隔とは等しい。
【0019】
図2は、本発明の第1実施形態に係るチャック機構を斜め上方から後側を見た斜視図である。
側壁部53の後側には、二つの駆動リンクバー27,37が配置されている。二つの駆動リンクバー27,37は、側壁部53の前側に配置された駆動リンクバー21,31(
図1)と平行になるように配設されている。また、側壁部53の後側に配置された二つの従動リンクバー22b,32bは、側壁部53の前側に配置された従動リンクバー22a,32aと平行になるように配設されている。
【0020】
図5において、一方の駆動リンクバー21の2つの円形孔21b,21cには、リンクポスト23とジョイント軸25とがそれぞれ挿通されている。同様に、他方の駆動リンクバー31の2つの円形孔31b,31cには、リンクポスト33とジョイント軸35とがそれぞれ挿通されている。また、一方の従動リンクバー22aの2つの円形孔22d,22cには、リンクポスト24とジョイント軸26とがそれぞれ挿通されている。同様に、他方の従動リンクバー32aの2つの円形孔32c,32dには、リンクポスト34とジョイント軸36とがそれぞれ挿通されている。
また、第1平行リンク20と第2平行リンク30とは、半導体チップ1が載置される載置台52の上面である載置面52aに垂直な基準面Sを中心に面対称に配設されている。
【0021】
なお、第1平行リンク20では、側壁部53のリンクポスト23,24の間が静止節として機能し、駆動リンクバー21のリンクポスト23とジョイント軸25との間が駆動節として機能し、爪部11のジョイント軸25,26の間が中間節として機能し、従動リンクバー22aのジョイント軸26とリンクポスト24との間が従動節として機能する。また、第2平行リンク30では、側壁部53のリンクポスト33,34の間が静止節として機能し、駆動リンクバー31のリンクポスト33とジョイント軸35との間が駆動節として機能し、爪部11のジョイント軸35,36の間が中間節として機能し、従動リンクバー32aのジョイント軸36とリンクポスト34との間が従動節として機能する。また、駆動リンクバー21、31は、梃子部材(てこ部材)としても機能している。
【0022】
このような構成により、第1平行リンク20では、駆動リンクバー21と従動リンクバー22aとが互いに平行を保ちつつ左右に傾動し、これに連動して爪部11が載置台52の載置面52a(
図5,6)に平行な状態を保ちつつ左右に移動する。また、第2平行リンク30では、駆動リンクバー21と従動リンクバー22aとが互いに平行を保ちつつ左右に傾動し、これに連動して爪部12が載置台52の載置面52aに対して平行な状態を保ちつつ左右に移動する。なお、駆動リンクバー21,31を基準面Sに向けて傾倒させると、爪部11,12が載置台52の上面(載置面52a)に近づきながら基準面Sに向けて並進移動する。すなわち、チャック機構100は、爪部11,12を載置面52aに近接させつつ基準面Sに近接させる機構を備えている。
【0023】
図5,6は、本発明の第1実施形態であるチャック機構の動作を示す説明図であり、
図5は、クランプ対象物である半導体チップ1を挾持しない状態を示す。
図5において、回動機構40は、雄ネジ41とツマミ42と昇降部材43とスライドピン44,45とを備えて構成される。雄ネジ41の一端(下端)は、下板部51に対して回転可能に固定されている。ツマミ42は、雄ネジ41の他端(上端)に固定されており、作業者により回転させられる。昇降部材43は、前後に延びる縦部と、中央部の後端から左右に延びる横部とを備えて平面視T字状を呈している。昇降部材43の縦部の前端部には、雄ネジ41に螺合する雌ネジ(不図示)が形成されている。また、昇降部材43の横部の両端部の前面には、前方に向かってスライドピン44,45が突設されている。スライドピン44,45は、駆動リンクバー21,31に形成されている長孔21a,31aに差し込まれる。
【0024】
図5は、作業者がツマミ42を回転させることにより、昇降部材43を降下させ、下板部51に当接させた状態である。この状態では、2本の駆動リンクバー21,31のなす角度θが最小値θ
1になり、爪部11の当接部11aと爪部12の当接部12aとの間隔が最大になる。この状態で、載置台52の上面(載置面52a)に半導体チップ1が載置される。
【0025】
図6は、作業者がツマミ42を回転させることにより、昇降部材43を上昇させた状態である。
この状態では、2本の駆動リンクバー21,31が互いに逆方向に回動し、駆動リンクバー21,31のなす角度θがθ
2まで拡がる。これにより、爪部11の当接部11aが載置台52の載置面52aに対して平行を保ちつつ左斜め下方向に移動する。同時に、爪部12の当接部12aが載置台52の載置面52aに対して平行を保ちつつ右斜め下方向に移動する。その結果、2つの当接部11a,12bは、互いに接近し、最終的に半導体チップ1の側面に当接する。なお、半導体チップ1が載置台52の上面に載置されていないときには、昇降部材43の上昇により、2本の駆動リンクバー21,31のなす角度θがさらに拡がり、当接部11aと当接部12aとが互いに当接する。
【0026】
図7は、一方の爪部12が半導体チップ1に加える力を説明する説明図である。
昇降部材43(
図5,6)の上昇により、駆動リンクバー31は、正面視で下板部51(
図5,6)に対してφ=(π/2-θ/2)だけ傾斜する。このとき、ジョイント軸35には、リンクポスト33の中心を中心軸Oとして、円周方向の回転力(ベクトルPR)が発生する。これにより、爪部12の当接部12aは、ベクトルPRに平行な力(ベクトルQS)を半導体チップ1に対して加える。言い換えれば、爪部12の当接部12aは、下板部51(
図5,6)に対して平行な右方向成分(ベクトルQT)と、下板部51に対して垂直な下方向成分(ベクトルQU)との双方を半導体チップ1に対して加える。この下方向成分(ベクトルQU)は、当接部12aの側面と半導体チップ1の側面との間に生じる摩擦力である。
【0027】
図8は、チャック機構の爪部が半導体チップに加える力を説明する説明図であって、(a)が本発明の実施形態についての説明図であり、(b)が従来技術についての説明図である。
図8(a)の本実施形態においては、
図7で説明したように、爪部12の当接部12aは、右方向成分F
Rと下方向成分F
D1との双方を半導体チップ1に対して加える。同様に、爪部11の当接部11aは、左方向成分F
Lと下方向成分F
D2との双方を半導体チップ1に対して加える。つまり、爪部11,12の当接部11a,12aは、左右方向から半導体チップ1を挟持すると共に、半導体チップ1を載置台52に押しつける。これにより、半導体チップ1の大きさが吸着孔や吸着溝(不図示)よりも小さく、真空吸着困難な場合であっても、半導体チップ1が載置台52の上面(載置面52a)に押しつけられる。そのため、半導体チップ1と載置台52との接触抵抗が小さい状態で、半導体チップ1の電気測定を行うことができる。
【0028】
ここで、爪部11,12の当接部11a,12aは、下方向成分F
D1,F
D2を半導体チップ1に加える必要があるので、駆動リンクバー21,31(
図5,6)は、ハの字(逆V字)に配設する必要がある。上下逆に、駆動リンクバー21,31をV字に配設すると、上方向成分を半導体チップ1に加えてしまうからである。言い換えれば、ジョイント軸25,35(
図5,6)の間隔をリンクポスト23,33(
図5,6)よりも短くし、スライドピン44,45の間隔をリンクポスト23,33よりも長くする必要がある。
【0029】
一方、
図8(b)の従来技術においては、当接部11a,12aが半導体チップ1を両側から挾持するのみである。そのため、従来技術は、載置台55には吸着孔や吸着溝(不図示)を設ける必要があり、半導体チップ1を載置台55に載置するときに、半導体チップ1を載置台55に吸着させるようになっている。そして、吸着後に当接部11a,12aが半導体チップ1を挾持するようになっている。しかしながら、半導体チップ1の大きさが吸着孔や吸着溝よりも小さいときには、半導体チップ1が吸着孔や吸着溝に落下してしまう。
【0030】
以上説明したように、本実施形態のチャック機構100によれば、爪部11,12の当接部11a,12aが半導体チップ1を載置台52に押しつける。そのため、従来技術において設けられていた吸着孔や吸着溝(不図示)よりも半導体チップ1が小さいときでも、爪部11,12の当接部11a,12aが半導体チップ1を載置台52に押しつける。そのため、半導体チップ1と載置台52との接触抵抗が小さい状態で、半導体チップ1の電気測定を行うことができる。
【0031】
(第2実施形態)
前記第1実施形態では、平行リンクを用いて、爪部11,12が下板部51に対して平行に移動するようにしていたが、駆動リンクバーの上端に爪部を延在させ、爪部自体を回動させても構わない。
【0032】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態であるチャック機構の説明図である。
チャック機構101は、前記第1実施形態と同様に、基台50と回動機構40とを備える。基台50は、下板部51、載置台52及び側壁部53で形成されており、回動機構40は、雄ネジ41、ツマミ42、昇降部材43及びスライドピン44,45を備える。さらに、チャック機構101は、2本の梃子部材(てこ部材61,62)と、側壁部53に固定されたリンクポスト23,33とを備える。このリンクポスト23,33は、支点として機能する。
【0033】
一方のてこ部材61には、1つの長孔61bと1つの円形孔61cとが形成されている。同様に、他方のてこ部材62には、1つの長孔62bと1つの円形孔62cとが形成されている。円形孔61c,62cには、リンクポスト33,23が挿入される。長孔61b,62bには、前記第1実施形態と同様にスライドピン44,45が差し込まれる。さらに、てこ部材61,62の上端には、半導体チップ1を挾持するための爪部61a,62aが延在している。
【0034】
前記第1実施形態と同様に、作業者によって、ツマミ42が回転させられると、昇降部材43が上下移動する。これにより、2本のてこ部材61,62は、リンクポスト33,23を中心に回動し、爪部61a,62aも回動する。回動により、爪部61a,62aの間が閉じたり、開いたりする。すなわち、チャック機構101は、爪部61a,62aを載置面52aに近接させつつ基準面Sに近接させる機構を備えている。そして、爪部61a,62aの間が閉じることにより、爪部61a,62aは、載置台52に載置された半導体チップ1を左右方向から挾持する。このとき、爪部61a,62a自体も回動するので、爪部61a,62aが半導体チップ1に加える力は、下方向成分を有する。つまり、爪部61a,62aは、半導体チップ1を載置台52に押し付ける。
【0035】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記第1実施形態では、爪部11,12の当接部11a,12aを用いて、載置台52に載置された半導体チップ1に押しつけたが、
図8(b)の従来技術のように、半導体チップ1を押し下げることなく、両側から挾持すると共に、載置台55の載置面を上方に押し上げても構わない。つまり、爪部11,12の基台50との高さを一定に維持しつつ、爪部11と爪部12とを互いに近接させると共に、載置面を上昇させても構わない。
【0036】
(2)前記各実施形態の回動機構40では、作業者がツマミ42及び雄ネジ41を回転させて、駆動リンクバー21,31を互いに逆方向に回動させたが、電動機等のアクチュエータを用いて、駆動リンクバー21,31を回動させても構わない。このとき、電動機等には、トルクリミッタ等を設け、回転トルクや回動力を制限することが好ましい。
【符号の説明】
【0037】
1 半導体チップ(クランプ対象部材)
11 爪部(第1爪部、中間節)
12 爪部(第2爪部、中間節)
20 第1平行リンク
21,27 駆動リンクバー(原動節、梃子部材)
22a,22b 従動リンクバー(従動節)
30 第2平行リンク
31,37 駆動リンクバー(原動節、梃子部材)
32a,32b 従動リンクバー(従動節)
40 回動機構
43 昇降部材
50 基台
52,55 載置台
51 下板部(板材)
52a 載置面
53 側壁部(静止節)
61,62 てこ部材(梃子部材)
100,101 チャック機構
【要約】
【課題】載置面との接触を良好に保った状態でクランプ対象物をクランプする。
【解決手段】半導体チップ1を両側から挾持する2つの爪部11,12と、それぞれの爪部11,12の移動方向を載置面に対して平行に保つ2組の平行リンク20,30と、それぞれの平行リンクの駆動リンクバー21,31を回動させる回動機構40とを備え、2組の平行リンク20,30は、基準面Sを中心に面対称に配設されており、回動機構40は、2組の平行リンク20,30の駆動リンクバー21,31を互いに逆方向に回動させる。
【選択図】
図5