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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】家屋異動推定装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20220819BHJP
   G01C 7/02 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
G06T7/00 640
G01C7/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018137569
(22)【出願日】2018-07-23
(65)【公開番号】P2020016923
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 林
(72)【発明者】
【氏名】島村 秀樹
【審査官】佐田 宏史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-034808(JP,A)
【文献】特開2007-003244(JP,A)
【文献】特開2005-258728(JP,A)
【文献】国際公開第2009/051258(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/057619(WO,A1)
【文献】特開2004-198530(JP,A)
【文献】國武 千人、外4名,“熊本地震による被害家屋検出のための空撮画像処理手法”,FIT2017 第16回情報科学技術フォーラム 講演論文集 第4分冊,日本,一般社団法人情報処理学会、一般社団法人電子情報通信学会,2017年09月05日,pp.333-334
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00,7/00-7/90
G06V 10/00-10/98
G01C 7/02,11/06
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地物を含んだ地上表層の標高のデータに基づいて、家屋異動推定領域内に家屋が表された家屋領域を抽出する抽出手段と、
第1の時期の前記標高のデータに基づいて抽出される前記家屋領域に対応する、前記第1の時期と第2の時期に撮影された画像内の領域についてエッジ抽出を実行するエッジ抽出実行手段と、
前記第1の時期と前記第2の時期に撮影された画像内の前記領域のそれぞれについて、前記エッジ抽出によってエッジとして特定される画素数を特定する画素数特定手段と、
前記第1の時期と前記第2の時期に撮影された画像内の前記領域のそれぞれについて特定される前記画素数に基づいて、前記第1の時期と前記第2の時期との間における前記家屋についての家屋異動を推定する家屋異動推定手段と、
を含むことを特徴とする家屋異動推定装置。
【請求項2】
地物を含んだ地上表層の標高のデータに基づいて、家屋異動推定領域内に家屋が表された家屋領域を抽出する手順、
第1の時期の前記標高のデータに基づいて抽出される前記家屋領域に対応する、前記第1の時期と第2の時期に撮影された画像内の領域についてエッジ抽出を実行する手順、
前記第1の時期と前記第2の時期に撮影された画像内の前記領域のそれぞれについて、前記エッジ抽出によってエッジとして特定される画素数を特定する手順、
前記第1の時期と前記第2の時期に撮影された画像内の前記領域のそれぞれについて特定される前記画素数に基づいて、前記第1の時期と前記第2の時期との間における前記家屋についての家屋異動を推定する手順、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋異動推定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2時期における家屋等の固定資産の異動を推定する技術が存在する。
【0003】
このような技術の一例として、特許文献1には、DSM(Digital Surface Model)画像データやオルソフォト画像データを用いてメッシュ単位での比較結果に基づいて異動を判別する技術が記載されている。
【0004】
また特許文献2には、異なる2時期についてのDSMデータに基づいて特定される家屋オブジェクトを対比して家屋異動を判定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-99316号公報
【文献】国際公開第2009/51258号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし特許文献1に記載の技術では、画像全体に対してメッシュ単位でDSM画像データやオルソフォト画像データが比較される。そのため、DSMデータのノイズ、位置合わせ(レジストレーション)におけるずれ、地形、樹木などの地物や移動体の影響によって、家屋の異動を精度よく推定できないことがあった。
【0007】
また特許文献2に記載の技術では、家屋オブジェクトを対比して家屋異動を判定する。そのため例えば家屋の高さ変化が小さな建替や増改築などといった、家屋異動推定がうまくできない家屋異動の種類があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的の1つは、多くの種類の家屋異動を精度よく推定できる家屋異動推定装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る家屋異動推定装置は、地物を含んだ地上表層の標高のデータに基づいて、家屋異動推定領域内に家屋が表された家屋領域を抽出する抽出手段と、第1の時期の前記標高のデータに基づいて抽出される前記家屋領域について、第2の時期における前記標高のデータが示す標高、前記第1の時期と前記第2の時期との間における前記標高のデータが示す標高の比較結果、又は、前記第1の時期と前記第2の時期に撮影された画像に表された色情報の比較結果の少なくとも1つを特定する特定手段と、特定される前記少なくとも1つに基づいて、前記第1の時期と前記第2の時期との間における前記家屋についての家屋異動を推定する家屋異動推定手段と、を含む。
【0010】
(2)上記(1)に記載の家屋異動推定装置において、前記家屋異動推定手段は、前記第1の時期と前記第2の時期との間における前記標高のデータが示す標高の比較結果に基づいて、前記家屋についての建替の発生の有無を推定する構成とすることができる。
【0011】
(3)上記(1)に記載の家屋異動推定装置において、前記家屋異動推定手段は、前記第1の時期と前記第2の時期との間における前記標高のデータが示す標高の比較結果、及び、前記色情報の比較結果に基づいて、前記家屋についての建替の発生の有無を推定する構成とすることができる。
【0012】
(4)上記(1)~(3)に記載の家屋異動推定装置において、前記家屋異動推定手段は、HSI表色系により表現された前記色情報における色相成分の比較結果に基づいて、前記家屋についての家屋異動を推定する構成とすることができる。
【0013】
(5)上記(1)~(4)に記載の家屋異動推定装置において、前記第1の時期に撮影された画像又は前記第2の時期に撮影された画像の少なくとも一方に対して色調整を実行する色調整手段、をさらに含み、前記家屋異動推定手段は、前記色調整が実行された画像に表された色情報の比較結果に基づいて、前記家屋についての家屋異動を推定する構成とすることができる。
【0014】
(6)本発明に係るプログラムは、地物を含んだ地上表層の標高のデータに基づいて、家屋異動推定領域内に家屋が表された家屋領域を抽出する手順、第1の時期の前記標高のデータに基づいて抽出される前記家屋領域について、第2の時期における前記標高のデータが示す標高、前記第1の時期と前記第2の時期との間における前記標高のデータが示す標高の比較結果、又は、前記第1の時期と前記第2の時期に撮影された画像に表された色情報の比較結果の少なくとも1つを特定する手順、特定される前記少なくとも1つに基づいて、前記第1の時期と前記第2の時期との間における前記家屋についての家屋異動を推定する手順、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多くの種類の家屋異動を精度よく推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る家屋異動推定装置の構成図である。
図2A】地上の模式的な垂直断面図の一例を示す図である。
図2B】NDSMの一例を示す図である。
図3】時期t1のDSMデータに基づいて生成される植生除去処理後の対象領域におけるNDSMの凹凸の一例を、便宜的に二値化して表した図である。
図4】時期t2のDSMデータに基づいて生成される植生除去処理後の対象領域におけるNDSMの凹凸の一例を、便宜的に二値化して表した図である。
図5図3に示すNDSMに対する領域分割処理の結果である複数の凸部領域の一例を示す図である。
図6図4に示すNDSMに対する領域分割処理の結果である複数の凸部領域の一例を示す図である。
図7】時期t1における対象領域内の家屋オブジェクトの一例を示す図である。
図8】時期t2における対象領域内の家屋オブジェクトの一例を示す図である。
図9】時期t1に対象領域を撮影したオルソ画像の一例を模式的に示す図である。
図10】時期t2に対象領域を撮影したオルソ画像の一例を模式的に示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る家屋異動推定装置の機能の一例を示す機能ブロック図である。
図12】家屋異動の推定結果を表す画面の一例を示す図である。
図13A】本発明の一実施形態に係る家屋異動推定装置で行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
図13B】本発明の一実施形態に係る家屋異動推定装置で行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
図13C】本発明の一実施形態に係る家屋異動推定装置で行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る家屋異動推定装置10の構成図である。本実施形態に係る家屋異動推定装置10は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータである。図1に示すように家屋異動推定装置10は、例えば、プロセッサ12、記憶部14、表示部16、操作部18を含んでいる。
【0019】
プロセッサ12は、例えば家屋異動推定装置10にインストールされるプログラムに従って動作するCPU等のプログラム制御デバイスである。
【0020】
記憶部14は、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである。記憶部14には、プロセッサ12によって実行されるプログラムなどが記憶される。
【0021】
表示部16は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスであって、プロセッサ12の指示に従って各種の画像を表示する。
【0022】
操作部18は、キーボードやマウスなどといったユーザインタフェースであって、ユーザの操作入力を受け付けて、その内容を示す信号をプロセッサ12に出力する。
【0023】
なお、家屋異動推定装置10は、ネットワークボードなどの通信インタフェース、DVD-ROMやBlu-ray(登録商標)ディスクなどの光ディスクを読み取る光ディスクドライブ、USB(Universal Serial Bus)ポートなどを含んでいてもよい。
【0024】
本実施形態に係る家屋異動推定装置10は、以下で説明するようにして、所定の対象領域についての時期t1と時期t2との間における家屋異動を推定する。以下の説明では、時期t2は時期t1よりも後の時期であることとする。
【0025】
本実施形態では例えば、まず、図2A及び図2Bに示すようにして、時期t1と時期t2とのDSM(Digital Surface Model)データが表すDSM20に含まれるDTM(Digital Terrain Model:数値地形モデル)22の影響を除去する正規化処理が実行される。
【0026】
図2Aには、地上の模式的な垂直断面図の一例が示されている。DSM20は、家屋24、樹木26等の地物表面の水平座標・標高と、地物の間に露出する地表面28の水平座標・標高とを表す。ここで、DSM20における家屋の標高は、その下の地表面の標高と家屋の高さとの合計となる。
【0027】
正規化処理では、DSM20の値からDTM22の値を減算することで、図2Bに示すNDSM(Normalized Digital Surface Model)30が生成される。図2Bには、図2Aの地上に対応して得られるNDSM30が模式的に示されている。NDSM30では、地物(家屋32、樹木34)は地表からの高さ情報を有する一方、地表36は基本的に、高さ0に応じた高さとなる。例えばDTM22として、DSM20からモフォロジカルフィルタリング処理等の種々のフィルタ処理により推定されたものを用いることができる。あるいは対象領域に関する既存のDTMをDTM22として利用してもよい。
【0028】
NDSM30では、家屋32以外の地物も有意な高さを有し、特に、樹木34等の植生は家屋32に相当する高さとなり得るため、家屋32の判定に際してノイズ要因となる。そこで本実施形態では例えば、NDSM30から植生に関わる部分を除去する植生除去処理が実行される。植生除去処理では、植生の領域が判別され、当該領域のNDSMデータに対し0への書き換えなどとったマスキングが実行される。
【0029】
家屋の屋根や屋上は比較的大きな水平距離にわたって平滑な面が広がるのに対し、植生領域では、比較的小さい空間周期で高さの変動が生じる。例えば、この違いを利用して植生領域を判別し、NDSM30から当該植生領域を除去することができる。具体的には、NDSMデータの隣接点間での勾配の分散が所定の閾値を超える領域を植生領域と判断することができる。
【0030】
また、高さの変動により航空機等から撮影した画像に生じるテクスチャに基づいて植生領域を判別することも可能であり、AI技術の画像解析から植生領域を判別することも可能である。
【0031】
さらに、マルチスペクトル画像を使用し、樹木の葉が近赤外光を強く反射する性質から植生領域を検知することもできる。例えば、赤(R)成分の画素値D(R)及び近赤外(IR)成分の画素値D(IR)を用いて算出されるNDVI(Normalized Difference Vegetation Index:正規化植生指標)が所定の閾値以上の領域を植生領域と判定することができる。NDVIは例えば、NDVI=(D(IR)-D(R))/(D(IR)+D(R))との数式で算出される。
【0032】
そして図3図6に示すように、植生除去処理が実行されたNDSMで表される対象領域を、当該NDSMに現れる凸部40をそれぞれ1つずつ含む凸部領域42に分割する領域分割処理が実行される。上述のDSMからNDSMへの変換処理によって、基本的に家屋の広がりより大きなスケールで現れる地表の凹凸は除去され、家屋に応じた大きさの凸部が残る。よって、家屋毎に凸部領域42が生成され得る。
【0033】
図3は、時期t1のDSMデータに基づいて生成される植生除去処理後の対象領域におけるNDSMの凹凸の一例を、便宜的に二値化して表した図である。図4は、時期t2のDSMデータに基づいて生成される植生除去処理後の対象領域におけるNDSMの凹凸を、便宜的に二値化して表した図である。図3及び図4では、凸部40の位置が斜線によって示されている。
【0034】
そして領域分割処理では、図5及び図6に示すように、複数の凸部40がそれぞれ互いに分離されるように対象領域が複数の凸部領域42に分割される。図5には、図3に示すNDSMに対する領域分割処理の結果である複数の凸部領域42の一例が示されている。図6には、図4に示すNDSMに対する領域分割処理の結果である複数の凸部領域42が示されている。この領域分割の手法として、例えば、ウォーターシェッド(Watershed)法を用いることができる。
【0035】
そして以上のようにして、正規化処理、植生除去処理、及び、領域分割処理により抽出された凸部領域42に対して、家屋の輪郭を抽出する輪郭抽出処理が実行される。輪郭抽出処理では、例えば、航空機等から取得された地上表層の標高の変化(例えば、勾配データ)に基づいて、エッジを構成する点群が抽出される。
【0036】
また、マルチスペクトル画像を併用して、航空機等から撮影された地上表層の画像を用いた輪郭抽出を行うこともできる。
【0037】
具体的には例えば、輝度や色で表示した画像の変化に基づいて、エッジを構成する点群が抽出される。エッジの抽出は各種エッジフィルタを用いて行うことができる。
【0038】
そしてエッジを構成する点群に対して、線分を抽出し線分画像を生成する処理が行われる。例えば、トラッキング及び分割処理を行うフィルタリングを実行することで、当該点群をそれぞれひとまとまりとして捉えることができる単位の点の集合に分割し、また十分な大きさのまとまりを構成せずノイズと把握し得る点を除去する。そして例えばハフ変換により、線分が抽出される。そして線分画像から家屋の輪郭を抽出する処理が実行される。例えば、線分画像にPerceptual Grouping技術を適用することにより家屋の輪郭が抽出される。
【0039】
そして本実施形態では例えば、抽出された輪郭により囲まれるポリゴンが家屋オブジェクト44として特定される。本実施形態では、対象領域において家屋オブジェクト44が占める領域が、当該家屋オブジェクト44に対応付けられる家屋が表された領域であることとなる。以下、家屋オブジェクト44が占める領域を家屋領域と呼ぶこととする。
【0040】
図7には、図5に示す凸部領域42に基づいて特定される、時期t1における対象領域内の家屋オブジェクト44の一例が示されている。図8には、図6に示す凸部領域42に基づいて特定される、時期t2における対象領域内の家屋オブジェクト44の一例が示されている。
【0041】
そして本実施形態では、時期t1における対象領域内の家屋オブジェクト44のそれぞれについて、時期t1と時期t2との間における、当該家屋オブジェクト44に対応付けられる家屋の家屋異動が推定される。また本実施形態では、時期t2における対象領域内の家屋オブジェクト44のそれぞれについて、時期t1と時期t2との間における、当該家屋オブジェクト44に対応付けられる家屋の家屋異動が推定される。
【0042】
以下、時期t1における対象領域内の1つの家屋オブジェクト44に着目して、当該家屋オブジェクト44に対応付けられる家屋の家屋異動の推定の一例について説明する。
【0043】
まず、当該1つの家屋オブジェクト44に対応付けられる家屋領域の時期t1における標高が特定される。ここで例えば、時期t1におけるDSMが示す当該家屋領域内における複数の位置のそれぞれにおける標高の平均値が、時期t1における当該家屋領域の標高として特定されてもよい。
【0044】
そして、時期t2における当該家屋領域の標高が特定される。ここで例えば、時期t2におけるDSMが示す当該家屋領域内における複数の位置のそれぞれにおける標高の平均値が、時期t2における当該家屋領域の標高として特定されてもよい。
【0045】
そして例えば時期t1における当該家屋領域の標高と時期t2における当該家屋領域の標高とが比較される。
【0046】
ここで例えば時期t1における当該家屋領域内の各画素の標高情報と時期t2における当該家屋領域内の各画素の標高情報とが比較されてもよい。標高情報の比較結果の一例としては、例えば時期t1における当該家屋領域内の各画素の標高と時期t2における当該家屋領域内の各画素の標高との差を示す標高差値などが挙げられる。
【0047】
また本実施形態では例えば、当該家屋領域について、時期t1に撮影された画像に表された色情報が特定される。図9は、時期t1に対象領域を撮影したオルソ画像の一例を模式的に示す図である。例えば図9に例示するオルソ画像において、当該家屋領域内の各画素の色情報が特定される。図9に示すオルソ画像には、複数の家屋46が表されている。
【0048】
また本実施形態では例えば、当該家屋領域について、時期t2に撮影された画像に表された色情報が特定される。図10は、時期t2に対象領域を撮影したオルソ画像の一例を模式的に示す図である。例えば図10に例示するオルソ画像において、当該家屋領域内の各画素の色情報が特定される。図10に示すオルソ画像にも、複数の家屋46が表されている。
【0049】
そして本実施形態では例えば、時期t1における当該家屋領域内の各画素の色情報と時期t2における当該家屋領域内の各画素の色情報とが比較される。色情報の比較結果の一例としては、例えば時期t1における当該家屋領域内の各画素の色と時期t2における当該家屋領域内の各画素の色との差を示す色差値などが挙げられる。
【0050】
ここで例えば、当該家屋領域内のすべての画素についての、時期t1における当該画素と時期t2における当該画素との、R値の差の二乗とG値の差の二乗とB値の差の二乗との和の平方根の平均値である平均変化ベクトルが色差値として特定されてもよい。ここで、R値、G値、B値は、それぞれ、赤成分の画素値、緑成分の画素値、青成分の画素値を指すこととする。
【0051】
また例えば、時期t1における当該家屋領域内の画素のR値、G値、B値のそれぞれの平均値と、時期t2における当該家屋領域内の画素のR値、G値、B値のそれぞれの平均値と、が特定されてもよい。そしてR値の平均値の差の二乗とG値の平均値の差の二乗とB値の平均値の差の二乗との和の平方根が色差値として特定されてもよい。
【0052】
また例えばRGB値による画素値の表現がHSI値による画素値の表現(HSI表色系による画素値の表現)に変換されてもよい。そして当該家屋領域内のすべての画素について算出される色相成分(H成分)の差の平均値や色相成分(H成分)の差の絶対値の平均値が色差値として特定されてもよい。
【0053】
また例えば家屋領域に対応するオルソ画像内の領域についてエッジ抽出が実行されてもよい。そして家屋領域に含まれる全画素数に対するエッジとして特定される画素数の割合の差が色差値として特定されてもよい。
【0054】
そして例えば、当該家屋オブジェクト44に対応する家屋領域についての、時期t2におけるNDSM、標高の比較結果、及び、色情報の比較結果のうちの少なくとも1つに基づいて、当該家屋オブジェクト44に対応付けられる家屋の家屋異動が推定される。
【0055】
ここで例えば時期t2における標高を示す値が、所定の閾値よりも小さい場合(ほぼ0である場合)は、当該家屋について滅失が発生したと推定されてもよい。
【0056】
また例えば時期t1における標高を示す値と時期t2における標高を示す値との差が、所定の閾値以上(例えば2メートル以上)である場合は、当該家屋について建替が発生したと推定されてもよい。
【0057】
また例えば、時期t1における標高を示す値と時期t2における標高を示す値との差が所定の閾値未満(例えば2メートル未満)であり、色情報の差を示す値が所定値以上である場合に、当該家屋について建替が発生したと推定されてもよい。
【0058】
また本実施形態において、当該家屋オブジェクト44に対応する家屋領域についての時期t2におけるNDSM、標高の比較結果、及び、色情報の比較結果に基づいて、当該家屋オブジェクト44に対応付けられる家屋の面積の変化が推定されてもよい。
【0059】
そして時期t1における面積を示す値よりも時期t2における面積を示す値が、所定の閾値以上大きい(例えば10平方メートル以上大きい)場合は、当該家屋について大きな増改築が発生したと推定されてもよい。
【0060】
そして時期t1における面積を示す値よりも時期t2における面積を示す値の方が大きいが、その差が所定の閾値未満(例えば10平方メートル未満)である場合は、当該家屋について小さな増改築が発生したと推定されてもよい。
【0061】
また時期t1における面積を示す値よりも時期t2における面積を示す値が小さい場合は、当該家屋について減築が発生したと推定されてもよい。
【0062】
また本実施形態において、当該家屋オブジェクト44に対応する家屋領域についての、時期t2におけるNDSM、標高の比較結果、及び、色情報の比較結果に基づいて、当該家屋領域に配置されている家屋の数の変化が推定されてもよい。そして例えば時期t1の家屋オブジェクト44に対応する家屋領域について、時期t2において複数の家屋オブジェクト44が配置されていることが推定された場合は、当該家屋オブジェクト44に対応付けられる家屋について建替が発生したと推定されてもよい。
【0063】
本実施形態では、時期t1における対象領域内のすべての家屋オブジェクト44について、以上のようにして、時期t1と時期t2との間における、当該家屋オブジェクト44に対応付けられる家屋の家屋異動が推定される。
【0064】
また、時期t2における対象領域内のすべての家屋オブジェクト44についても同様に、時期t1と時期t2との間における、当該家屋オブジェクト44に対応付けられる家屋の家屋異動が推定される。
【0065】
この場合、例えば時期t1における標高を示す値が、所定の閾値よりも小さい場合(ほぼ0である場合)は、当該家屋について新築が発生したと推定されてもよい。
【0066】
また例えば、時期t2における家屋オブジェクト44に対応する家屋領域に、時期t1において複数の家屋オブジェクト44が配置されていることが推定された場合は、当該家屋について建替が発生したと推定されてもよい。
【0067】
また本実施形態において、オルソ画像の色調整が実行されてもよい。例えばオルソ画像のR値、G値、B値のそれぞれについてのヒストグラムが生成されてもよい。そして例えば、時期t1におけるオルソ画像のヒストグラムが表す平均値や標準偏差を、時期t2におけるオルソ画像のヒストグラムが表す平均値や標準偏差に一致させるあるいは近づける色調整が時期t1におけるオルソ画像に対して実行されてもよい。また例えば、時期t2におけるオルソ画像のヒストグラムが表す平均値や標準偏差を、時期t1におけるオルソ画像のヒストグラムが表す平均値や標準偏差に一致させるあるいは近づける色調整が時期t2におけるオルソ画像に対して実行されてもよい。また時期t1におけるオルソ画像と時期t2におけるオルソ画像の両方に対して色調整が実行されてもよい。
【0068】
そして色調整が実行されたオルソ画像に表された色情報の比較結果に基づいて、家屋オブジェクト44に対応付けられる家屋の家屋異動が推定されてもよい。
【0069】
なお以上で説明した閾値は、例えば、既存の家屋異動判読結果が大量にあれば大津の自動判別手法を利用して決定されるようにしてもよい。あるいは以上で説明した閾値は、サンプルを用いた目視判読により人手で設定されるようにしてもよい。
【0070】
以上のようにして本実施形態によれば、多くの種類の家屋異動を精度よく推定できることとなる。
【0071】
以下、本実施形態に係る家屋異動推定装置10の機能並びに本実施形態に係る家屋異動推定装置10で実行される処理についてさらに説明する。
【0072】
図11は、本実施形態に係る家屋異動推定装置10で実装される機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態に係る家屋異動推定装置10で、図11に示す機能のすべてが実装される必要はなく、また、図11に示す機能以外の機能が実装されていても構わない。
【0073】
図11に示すように、本実施形態に係る家屋異動推定装置10には、機能的には例えば、DSMデータ記憶部50、画像記憶部52、家屋オブジェクト抽出部54、特定部56、家屋異動推定部58、が含まれる。そして特定部56には、標高特定部56a、色情報特定部56b、が含まれる。DSMデータ記憶部50、画像記憶部52は、記憶部14を主として実装される。家屋オブジェクト抽出部54、特定部56、家屋異動推定部58は、プロセッサ12を主として実装される。
【0074】
以上の機能は、コンピュータである家屋異動推定装置10にインストールされた、以上の機能に対応する指令を含むプログラムをプロセッサ12で実行することにより実装されてもよい。このプログラムは、例えば、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどを介して家屋異動推定装置10に供給されてもよい。
【0075】
DSMデータ記憶部50は、本実施形態では例えば、時期t1及び時期t2を含む複数の時期における対象領域のDSMデータを記憶する。
【0076】
画像記憶部52は、本実施形態では例えば、時期t1及び時期t2を含む複数の時期における対象領域の画像を記憶する。画像記憶部52が記憶する画像は、例えば、航空写真画像、高分解能衛星画像などといった、対象領域の撮影画像であってもよい。また画像記憶部52が記憶する画像は、例えば、オルソ画像であってもよい。
【0077】
家屋オブジェクト抽出部54は、本実施形態では例えば、家屋異動の推定の対象となる家屋異動推定領域についての地物を含んだ地上表層の標高のデータに基づいて、当該家屋異動推定領域内に家屋が表された家屋領域を抽出する。上述の例では、家屋オブジェクト抽出部54は例えば時期t1と時期t2における対象領域内の家屋オブジェクト44に対応付けられる家屋領域を抽出する。
【0078】
特定部56は、本実施形態では例えば、第1の時期と第2の時期との間における、家屋領域に表された家屋についての家屋異動の推定に用いられる、標高、標高の比較結果、又は、色情報の比較結果の少なくとも1つを特定する。
【0079】
標高特定部56aは、本実施形態では例えば、第1の時期の標高のデータに基づいて抽出される家屋領域について、第1の時期における標高のデータが示す標高と第2の時期における標高のデータが示す標高とを特定する。標高特定部56aは、第1の時期における標高のデータが示す標高と第2の時期における標高のデータが示す標高との比較結果を特定してもよい。上述の例において、時期t1が第1の時期に対応する場合は、時期t2が第2の時期に対応する。また、時期t2が第1の時期に対応する場合は、時期t1が第2の時期に対応する。
【0080】
色情報特定部56bは、本実施形態では例えば、第1の時期の標高のデータに基づいて抽出される家屋領域について、第1の時期に撮影された画像に表された色情報と第2の時期に撮影された画像に表された色情報とを特定する。ここでも上述のように、上述の例において、時期t1が第1の時期に対応する場合は、時期t2が第2の時期に対応する。また、時期t2が第1の時期に対応する場合は、時期t1が第2の時期に対応する。
【0081】
色情報特定部56bは、第1の時期に撮影された画像又は第2の時期に撮影された画像の少なくとも一方に対して色調整を実行してもよい。この場合、色情報特定部56bは、色調整が実行された画像に表された色情報を特定してもよい。
【0082】
家屋異動推定部58は、本実施形態では例えば、第1の時期と第2の時期との間における、家屋領域に表された家屋についての家屋異動を推定する。
【0083】
ここで家屋異動推定部58は、上述のように、第1の時期の標高のデータに基づいて抽出される家屋領域について、第2の時期における標高のデータが示す標高に基づいて当該家屋領域に対応付けられる家屋の家屋異動を推定してもよい。また家屋異動推定部58は、上述のように、第1の時期の標高のデータに基づいて抽出される家屋領域に対応付けられる家屋の家屋異動を第1の時期と第2の時期との間における標高のデータが示す標高の比較結果に基づいて推定してもよい。
【0084】
また家屋異動推定部58は、上述のように、第1の時期の標高のデータに基づいて抽出される家屋領域に対応付けられる家屋の家屋異動を第1の時期と第2の時期に撮影された画像に表された色情報の比較結果に基づいて推定してもよい。ここで上述のように上述の色差値が色情報の比較結果として用いられてもよい。
【0085】
また標高のデータが示す標高、標高のデータが示す標高の比較結果、及び、撮影された画像に表された色情報の比較結果のうちの複数の組み合わせに基づいて、家屋異動が推定されてもよい。
【0086】
また家屋異動推定部58は、第1の時期と第2の時期との間における標高のデータが示す標高の比較結果に基づいて、家屋領域に表された家屋についての建替の発生の有無を推定してもよい。
【0087】
また家屋異動推定部58は、第1の時期と第2の時期との間における標高のデータが示す標高の比較結果、及び、色情報の比較結果に基づいて、家屋領域に表された家屋についての建替の発生の有無を推定してもよい。
【0088】
また家屋異動推定部58は、HSI表色系により表現された色情報における色相成分の比較結果に基づいて、家屋領域に表された家屋についての家屋異動を推定してもよい。
【0089】
また家屋異動推定部58は、色調整が実行された画像に表された色情報の比較結果に基づいて、家屋領域に表された家屋についての家屋異動を推定してもよい。
【0090】
また家屋異動推定部58は、家屋領域に表された家屋についての家屋異動の推定結果を出力してもよい。図12に、家屋異動の推定結果を表す画面の一例を示す。図12の例では、図10に例示するオルソ画像に時期t1と時期t2との間における対象領域内の家屋についての家屋異動の推定結果を表す画像が重畳配置されている。
【0091】
以下、本実施形態に係る家屋異動推定装置10において行われる処理の流れの一例を、図13A図13Cに例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0092】
まず、家屋オブジェクト抽出部54が、DSMデータ記憶部50から、時期t1における対象領域のDSM及び時期t2における対象領域のDSMを示すDSMデータを取得する(S101)。
【0093】
そして、色情報特定部56bが、画像記憶部52から、時期t1における対象領域の画像及び時期t2における対象領域の画像を取得する(S102)。ここで色情報特定部56bは、上述のように、時期t1における対象領域の画像及び時期t2における対象領域の画像の少なくとも一方に対して色調整を実行してもよい。
【0094】
そして、家屋オブジェクト抽出部54が、時期t1における対象領域のDSMと時期t2における対象領域のDSMのそれぞれに対して上述の正規化処理を実行する(S103)。S103に示す処理によって、時期t1における対象領域のNDSMと時期t2における対象領域のNDSMとが生成される。
【0095】
そして、家屋オブジェクト抽出部54が、S103に示す処理で生成されたNDSMに対して植生除去処理を実行する(S104)。
【0096】
そして、家屋オブジェクト抽出部54が、S104に示す処理が実行されたNDSMに対して領域分割処理を実行する(S105)。S105に示す処理によって、時期t1における対象領域、及び、時期t2における対象領域は複数の凸部領域42に分割される。
【0097】
そして、家屋オブジェクト抽出部54が、時期t1における複数の凸部領域42、及び、時期t2における複数の凸部領域42のそれぞれに対して輪郭抽出処理を実行する(S106)。S106に示す処理によって、時期t1における対象領域内の家屋オブジェクト44、及び、時期t2における対象領域内の家屋オブジェクト44が特定される。以下、時期t1における対象領域について特定された家屋オブジェクト44を第1家屋オブジェクトと呼び、時期t2における対象領域について特定された家屋オブジェクト44を第2家屋オブジェクトと呼ぶこととする。
【0098】
そして、家屋異動推定部58が、S106に示す処理で特定された第1家屋オブジェクトのそれぞれに1から始まる順序番号を設定し、S106に示す処理で特定された第2家屋オブジェクトのそれぞれに1から始まる順序番号を設定する(S107)。以下、特定された第1家屋オブジェクトの数がMであり、特定された第2家屋オブジェクトの数がNであることとする。そして特定された第1家屋オブジェクトのそれぞれには1以上M以下の順序番号が設定され、特定された第2家屋オブジェクトのそれぞれには1以上N以下の順序番号が設定されることとする。
【0099】
そして、家屋異動推定部58が、変数iの値として1を設定する(S108)。
【0100】
そして、標高特定部56aが、時期t1のDSMが示す、順序番号がiである第1家屋オブジェクトに対応する家屋領域に含まれる複数の位置についての時期t1の標高に基づいて、当該家屋領域の時期t1における標高を特定する(S109)。ここで例えば、当該家屋領域に含まれる複数の位置についての時期t1の標高の平均値が当該家屋領域の時期t1における標高として特定されてもよい。
【0101】
そして、標高特定部56aが、時期t2のDSMが示す、順序番号がiである第1家屋オブジェクトに対応する家屋領域に含まれる複数の位置についての時期t2の標高に基づいて、当該家屋領域の時期t2における標高を特定する(S110)。ここで例えば、当該家屋領域に含まれる複数の位置についての時期t2の標高の平均値が当該家屋領域の時期t2における標高として特定されてもよい。
【0102】
そして、色情報特定部56bが、S102に示す処理で取得された時期t1における対象領域の画像における、順序番号がiである第1家屋オブジェクトに対応する家屋領域に含まれる各画素の、時期t1における色情報を特定する(S111)。ここで色調整が実行された画像における色情報が特定されてもよい。
【0103】
そして、色情報特定部56bが、S102に示す処理で取得された時期t2における対象領域の画像における、順序番号がiである第1家屋オブジェクトに対応する家屋領域に含まれる各画素の、時期t2における色情報を特定する(S112)。ここで色調整が実行された画像における色情報が特定されてもよい。
【0104】
そして、家屋異動推定部58が、S109~S112に示す処理で特定された標高及び色情報に基づいて、順序番号がiである第1家屋オブジェクトに対応する家屋についての時期t1と時期t2との間における家屋異動を推定する(S113)。ここでS109~S112に示す処理で特定された標高及び色情報の一部に基づいて家屋異動が推定されてもよい。
【0105】
そして、家屋異動推定部58が、変数iの値がMであるか否かを確認する(S114)。
【0106】
変数iの値がMでないことが確認された場合は(S114:N)、家屋異動推定部58が、変数iの値を1だけ増加させて(S115)、S109に示す処理に戻る。
【0107】
変数iの値がMであることが確認された場合は(S114:Y)、家屋異動推定部58が、変数iの値を1に変更する(S116)。
【0108】
そして、標高特定部56aが、時期t2のDSMが示す、順序番号がiである第2家屋オブジェクトに対応する家屋領域に含まれる複数の位置についての時期t2の標高に基づいて、当該家屋領域の時期t2における標高を特定する(S117)。ここで例えば、当該家屋領域に含まれる複数の位置についての時期t2の標高の平均値が当該家屋領域の時期t2における標高として特定されてもよい。
【0109】
そして、標高特定部56aが、時期t1のDSMが示す、順序番号がiである第2家屋オブジェクトに対応する家屋領域に含まれる複数の位置についての時期t1の標高に基づいて、当該家屋領域の時期t1における標高を特定する(S118)。ここで例えば、当該家屋領域に含まれる複数の位置についての時期t1の標高の平均値が当該家屋領域の時期t1における標高として特定されてもよい。
【0110】
そして、色情報特定部56bが、S102に示す処理で取得された時期t2における対象領域の画像における、順序番号がiである第2家屋オブジェクトに対応する家屋領域に含まれる各画素の、時期t2における色情報を特定する(S119)。ここで色調整が実行された画像における色情報が特定されてもよい。
【0111】
そして、色情報特定部56bが、S102に示す処理で取得された時期t1における対象領域の画像における、順序番号がiである第2家屋オブジェクトに対応する家屋領域に含まれる各画素の、時期t1における色情報を特定する(S120)。ここで色調整が実行された画像における色情報が特定されてもよい。
【0112】
そして、家屋異動推定部58が、S117~S120に示す処理で特定された標高及び色情報に基づいて、順序番号がiである第2家屋オブジェクトに対応する家屋についての時期t1と時期t2との間における家屋異動を推定する(S121)。ここでS117~S120に示す処理で特定された標高及び色情報の一部に基づいて家屋異動が推定されてもよい。
【0113】
そして、家屋異動推定部58が、変数iの値がNであるか否かを確認する(S122)。
【0114】
変数iの値がNでないことが確認された場合は(S122:N)、家屋異動推定部58が、変数iの値を1だけ増加させて(S123)、S117に示す処理に戻る。
【0115】
変数iの値がNであることが確認された場合は(S122:Y)、本処理例に示す処理は終了される。
【0116】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0117】
また、上述の具体的な文字列や数値、並びに、図面中の具体的な文字列は例示であり、これらの文字列や数値には限定されない。
【符号の説明】
【0118】
10 家屋異動推定装置、12 プロセッサ、14 記憶部、16 表示部、18 操作部、20 DSM、22 DTM、24 家屋、26 樹木、28 地表面、30 NDSM、32 家屋、34 樹木、36 地表、40 凸部、42 凸部領域、44 家屋オブジェクト、46 家屋、50 DSMデータ記憶部、52 画像記憶部、54 家屋オブジェクト抽出部、56 特定部、56a 標高特定部、56b 色情報特定部、58 家屋異動推定部。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C