(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】眼鏡用レンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/10 20060101AFI20220819BHJP
C08L 101/02 20060101ALI20220819BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20220819BHJP
C08K 5/353 20060101ALI20220819BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
G02C7/10
C08L101/02
C08K3/08
C08K5/353
G02B5/22
(21)【出願番号】P 2018109265
(22)【出願日】2018-06-07
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000179904
【氏名又は名称】山本化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 洋二郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩之
(72)【発明者】
【氏名】末杉 幸治
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/089794(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/124395(WO,A1)
【文献】特開2014-101394(JP,A)
【文献】国際公開第2012/008318(WO,A1)
【文献】特開2015-194553(JP,A)
【文献】特開2015-040895(JP,A)
【文献】特開2012-008532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0122422(US,A1)
【文献】特開2018-092095(JP,A)
【文献】特開2019-215533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/10
G02B 5/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される金属錯体を含有する眼鏡用レンズ。
【化1】
〔式(1)中、Mは
ZnまたはCuを表し、R
1
及びR
10
はそれぞれ独立に、水素原子
又は炭素数1~8のアルキル
基を表
し、R
4、
R
7、
R
13
及びR
16
はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、R
2、
R
3、
R
5、
R
6、
R
8、
R
9、
R
11、
R
12、
R
14、
R
15、
R
17
及びR
18
は水素原子を表す
。〕
【請求項2】
眼鏡用レンズは樹脂基材からなり、
前記樹脂基材中に、一般式(1)で表される金属錯体を少なくとも1種含有してなる請求項1
に記載の眼鏡用レンズ。
【請求項3】
前記樹脂基材を構成する樹脂が、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、アリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(チオ)ウレタン樹脂、(チオ)エポキシ樹脂、ポリウレア樹脂、およびポリウレタンウレア樹脂から選択される少なくとも1種である、請求項
2に記載の眼鏡用レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属錯体を含む、紫外線から420nm程度の青色光の透過抑制効果に優れた眼鏡用レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から紫外線への過度の曝露が白内障や黄斑変性症など、眼の障害を引き起こすとしてその悪影響が問題視されている。また、近年は自然光のほかオフィス機器の液晶ディスプレイや、スマートフォンまたは携帯電話等の携帯機器のディスプレイ等からの光による眼の疲れや痛みの症状に対する青色光の影響が懸念されている。このため、紫外線~420nm程度の比較的短波長の青色光について、眼に対する曝露量を低減することが好ましいとされ、このような波長領域の光をカットする眼鏡用レンズが商品化されつつある。
【0003】
420nm程度の短波長青色光の眼への影響については、非特許文献1に記載されている。同文献では、411nmと470nmのピーク波長の異なる青色LED光の照射による網膜神経細胞(ラットの培養網膜神経R28細胞)へのダメージが検証されている。その結果、411nmにピーク波長を有する青色光の照射(4.5W/m2)は24時間以内に網膜神経細胞の細胞死を引き起こすのに対し、470nmにピーク波長を有する青色光では、同じ量の照射でも細胞に変化は起こらず、眼の障害要望には400~420nm波長の光の曝露を抑えることが重要であることが示されている。
また、長時間、眼が青色光を浴びることにより生ずる眼精疲労や眼のストレスが懸念されており、加齢黄斑変性を引き起こす要因と考えられている。
青色光の透過を抑制することを目的とした技術としては、以下のものが挙げられる。
【0004】
特許文献1には、波長300nm以上、400nm以下域の平均光線透過率が0.5%以下である、紫外線吸収剤を含むプラスチックレンズが開示されている。
【0005】
特許文献2には、特定のベンゾトリアゾール化合物を用いたプラスチック眼鏡用レンズが開示されている。当該文献には、このプラスチック眼鏡用レンズは、波長395nm、波長400nm、波長405nmにおける光線透過率が所定の範囲にあることが記載されている。
【0006】
特許文献3には、特定のベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を含み、青色領域(380~500nm)の光線カット率および410nmの光線カット率が高い透明プラスチック材料が開示されている。
【0007】
特許文献4には、有害な紫外線から420nm程度の青色光の透過抑制効果が高く、無色透明で外観に優れ、高屈折率、高アッベ数などの良好な光学特性を有する光学材料が開示されている。有害光の眼への影響が軽減され眼精疲労やストレスなどの障害を抑えることもできるため、特にプラスチック眼鏡用レンズとして好適に用いられることが開示されている。
【0008】
特許文献5には、特定の紫外線吸収剤を用いた光学材料の生産性に優れた光学材料用重合性組成物が開示されている。該組成物から得られる光学材料は有害な紫外線から420nm程度の青色光の透過抑制効果が高く、プラスチック眼鏡用レンズとして使用されることが開示されている。
【0009】
引用文献6には、金属錯体を用いた有機色素安定化剤、該有機色素安定化剤と有機色素を含む光吸収部材用組成物、およびこれを用いて作製される光吸収部材が開示されている。当該文献に記載の技術は、特定構造の金属錯体を光吸収部材中の有機色素の安定化剤として用い、光や熱による有機色素の退色劣化を防止するものであるが、420nm付近の光を吸収すること、さらには当該波長の光線による眼への影響についてはまったく記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平10-186291号公報
【文献】特開2005-292240号公報
【文献】国際公開第2015/046540号
【文献】国際公開第2014/133111号
【文献】国際公開第2016/125736号
【文献】再表2012/008318号
【非特許文献】
【0011】
【文献】European journal of neuroscience, vol.34, Iss.4, 548-558, (2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、眼に対して悪影響を及ぼす紫外線から420nm程度の青色光の透過を抑制する効果に優れ、かつ透明性、光に対する安定性の高い眼鏡用レンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは前記の課題について鋭意検討し本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、
(i)一般式(1)で表される金属錯体を含有する眼鏡用レンズ、
【化1】
〔式(1)中、Mは金属原子を表し、R
1~R
18はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアリール基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、置換または無置換のアミノ基、置換また無置換のアルキルカルボニル基、置換または無置換のアリールカルボニル基を表す。R
2~R
5の隣接する基同士、R
6~R
9の隣接する基同士、R
11~R
14の隣接する基同士、およびR
15~R
18の隣接する基同士が結合して環を形成してもよい。〕
(ii)一般式(1)のR
1~R
18がハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~8の置換または無置換のアルキル基、炭素数2~8の置換または無置換のアルケニル基、炭素数2~8の置換又は無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、炭素数1~8の置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、炭素数1~8の置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、炭素数1~8のアルキルカルボニル基、置換また無置換のアリールカルボニル基、炭素数1~12のモノアルキルアミノ基、炭素数1~10のジアルキルアミノ基、置換または無置換のアリールアミノ基である(i)の眼鏡用レンズ、
(iii)一般式(1)のR
1~R
18がハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~4の置換または無置換のアルキル基、炭素数2~4の置換または無置換のアルケニル基、炭素数2~6の置換又は無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、炭素数1~5の置換または無置換のアルコキシ基、炭素数1~4の置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、炭素数1~4のアルキルカルボニル基、置換または無置換のベンゾイル基、炭素数1~4のジアルキルアミノ基である(i)又は(ii)の眼鏡用レンズ、
(iv)一般式(1)のMがZn、Cuである(i)、(ii)又は(iii)の眼鏡用レンズ、
(v)眼鏡用レンズは樹脂基材からなり、該樹脂基材中に、一般式(1)で表される金属錯体を少なくとも1種含有してなる(i)~(iv)いずれかの眼鏡用レンズ、
(vi)前記樹脂基材を構成する樹脂が、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、アリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(チオ)ウレタン樹脂、(チオ)エポキシ樹脂、ポリウレア樹脂、およびポリウレタンウレア樹脂から選択される少なくとも1種である(v)の眼鏡用レンズである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、眼に対して悪影響を及ぼす紫外線から420nm程度の青色光の透過を抑制する効果に優れ、かつ透明性、光に対する安定性の高い眼鏡用レンズを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の眼鏡用レンズに関し詳細に説明する。
[一般式(1)で表される金属錯体]
本願発明の眼鏡用レンズは、一般式(1)で表される金属錯体を含有する。
【0016】
【0017】
一般式(1)で表される金属錯体において、Mは金属原子を表し、好ましくは、Pd、Cu、Zn、Pt、Ni、Ti、Co、Fe、Mn、Sn、Al、VO、In、Snであり、より好ましくはZn、Cu、Pdであり、特に好ましくはZn、Cuである。
なお、これらの金属原子は他の原子が結合していてもよく、例えば、TiO、Al-Cl、In-Cl、SnCl2、Sn(OH)2等を挙げることができる。
【0018】
R1~R18は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアリール基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、置換または無置換のアミノ基、置換また無置換のアルキルカルボニル基、置換または無置換のアリールカルボニル基を示す。R2~R5の隣接する基同士、R6~R9の隣接する基同士、R11~R14の隣接する基同士、およびR15~R18の隣接する基同士が結合して環を形成してもよい。
【0019】
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、フッ素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
【0020】
置換または無置換のアルキル基としては、炭素数1~18の置換または無置換のアルキル基を用いることができ、炭素数1~12の置換または無置換のアルキル基が好ましく、炭素数1~8の置換または無置換のアルキル基がより好ましく、炭素数1~4の置換または無置換のアルキル基が特に好ましい。
【0021】
無置換アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、n-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基などの直鎖または分岐の無置換アルキル基が挙げられる。
【0022】
置換アルキル基の例としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-ブトキシメチル基、n-ヘキシルオキシメチル基、(2-エチルブチルオキシ)メチル基、2-(4'-ペンテニルオキシ)エチル基などの、アルキルオキシ基またはアルケニルオキシ基を有するアルキル基、例えば、ベンジルオキシメチル基、2-(ベンジルオキシメトキシ)エチル基などのアラルキルオキシ基を有するアルキル基、フェニルオキシメチル基、4-クロロフェニルオキシメチル基、4-(2'-フェニルオキシエトキシ)ブチル基などのアリ-ルオキシ基を有するアルキル基、例えば、n-ブチルチオメチル基、2-n-オクチルチオエチル基などのチオアルキル基を有するアルキル基、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、パ-フルオロエチル基、4-フルオロシクロヘキシル基、ジクロロメチル基、4-クロロシクロヘキシル基、7-クロロヘプチル基などのハロゲン原子を有するアルキル基が挙げられる。
【0023】
置換または無置換のアルケニル基としては、炭素数2~8の置換または無置換のアルケニル基が好ましく、炭素数2~4の置換または無置換のアルケニル基がより好ましい。
置換または無置換のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、1-ブテニル基、イソブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、2-メチル-1-ブテニル基、2-シクロペンテニル基、1-ビニルヘキシル基、スチリル基、スチリルメチル基、2-スチリルエチル基などが挙げられる。
【0024】
置換または無置換のアルキニル基としては、炭素数2~8の置換または無置換のアルキニル基が好ましく、炭素数2~6の置換または無置換のアルキニル基がより好ましい。
置換または無置換のアルキニル基としては、例えば、アセチレニル基、プロピニル基、1-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、2-メチル-1-ペンチニル基、フェニルアセチレニル基などが挙げられる。
【0025】
置換または無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-アントラセニル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、2-ペリレニル基、3-ペリレニル基、2-フルオランテニル基、3-フルオランテニル基、7-フルオランテニル基、8-フルオランテニル基などの無置換のアリール基、例えば、1-メチル-2-ピレニル基、2-メチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-(4'-tert-ブチルシクロヘキシル)フェニル基、3-シクロヘキシルフェニル基、2-シクロヘキシルフェニル基、4-エチル-1-ナフチル基、6-n-ブチル-2-ナフチル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基などのアルキル基を有するアリール基、例えば、4-メトキシフェニル基、3-エトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、4-n-プロポキシフェニル基、3-n-プロポキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、3-イソプロポキシフェニル基、2-イソプロポキシフェニル基、2-sec-ブトキシフェニル基、4-n-ペンチルオキシフェニル基、4-イソペンチルオキシフェニル基、2-メチル-5-メトキシフェニル基、2-フェニルオキシフェニル基などのアルコキシ基またはアリ-ルオキシ基を有するアリール基、4-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、2-フェニルフェニル基、2,6-ジフェニルフェニル基、4-(2'-ナフチル)フェニル基、2-フェニル-1-ナフチル基、1-フェニル-2-ナフチル基、7-フェニルー1-ピレニル基などのアリ-ル基を有するアリール基、例えば、4-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、2-フルオロフェニル基、4-クロロフェニル基、4-ブロモフェニル基、2-クロロ-5-メチルフェニル基、2-クロロ-6-メチルフェニル基、2-メチル-3-クロロフェニル基、2-メトキシ-4-フルオロフェニル基、2-フルオロ-4-メトキシフェニル基などのハロゲン原子を有するアリール基、2-トリフルオロメチルフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、3,5-ビストリフルオロメチルフェニル基、4-パ-フルオロエチルフェニル基、4-メチルチオフェニル基、4-エチルチオフェニル基、4-シアノフェニル基、3-シアノフェニル基などが挙げられる。
【0026】
置換または無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル基、フェネチル基、α-メチルフェネチル基、α,α-ジメチルベンジル基、α,α-ジメチルフェネチル基、4-メチルフェネチル基、4-メチルベンジル基、4-イソプロピルベンジル基などの無置換またはアルキル基を有するアラルキル基、例えば、4-ベンジルベンジル基、4-フェネチルベンジル基、4-フェニルベンジル基などのアリ-ル基またはアラルキル基を有するアラルキル基、例えば、4-メトキシベンジル基、4-n-テトラデシルオキシベンジル基、4-n-ヘプタデシルオキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、4-メトキシメチルベンジル基、4-ビニルオキシメチルベンジル基、4-ベンジルオキシベンジル基、4-フェネチルオキシベンジル基などの置換オキシ基を有するアラルキル基。例えば、4-ヒドロキシベンジル基、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル基などの水酸基を有するアラルキル基、例えば、4-フルオロベンジル基、3-クロロベンジル基、3,4-ジクロロベンジル基などのハロゲン原子を有するアラルキル基、更には、例えば、2-フルフリル基、ジフェニルメチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0027】
置換または無置換のアルコキシ基としては、炭素数1~8の置換または無置換のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~5の置換または無置換のアルコキシ基がより好ましい。
【0028】
無置換のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、1,1-ジメチルブチルオキシ基、1,2,2-トリメチルプロピルオキシ基、2-エチルブチルオキシ基、1,3-ジメチルヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メチルシクロペンチルオキシ基、n-へプチルオキシ基、n-へプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、1-アダマンチルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基等の直鎖、分岐又は環状の無置換のアルコキシ基が挙げられる。
【0029】
置換アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n-プロピルオキシメトキシ基、nーブチルオキシメトキシ基、イソブチルオキシメトキシ基、tert-ブチルオキシメトキシ基、n-ペンチルオキシメトキシ基、2-メトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-n-プロピルオキシエトキシ基、2-イソプロピルオキシエトキシ基、2-nーブチルオキシエトキシ基、2-イソブチルオキシエトキシ基、2-n-ペンチルオキシエトキシ基、2-イソペンチルオキシエトキシ基、2-シクロペンチルオキシエトキシ基、2-n-ヘキシルオキシエトキシ基、2-(4-エチルシクロヘキシルオキシ)エトキシ基、2-n-ノニルオキシエトキシ基、2-(3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ)エトキシ基、2-n-デシルオキシエトキシ基、2-n-ドデシルオキシエトキシ基、3-メトキシプロピルオキシ基、3-エトキシプロピルオキシ基、3-(n-プロピルオキシ)プロピルオキシ基、2-イソペンチルオキシプロピルオキシ基、2-メトキシブチルオキシ基、4-エトキシブチルオキシ基、4-(n-プロピルオキシ)ブチルオキシ基、4-イソプロピルオキシブチルオキシ基、5-メトキシペンチルオキシ基、5-エトキシメトキシ基等のアルコキシ基で置換されたアルコキシ基;
メトキシメトキシメトキシ基、エトキシメトキシメトキシ基、プロピルオキシメトキシメトキシ基、ブチルオキシメトキシメトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基、プロピルオキシエトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、エトキシメトキシエトキシ基、プロピルオキシメトキシエトキシ基、ブチルオキシメトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、ブチルオキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシブチルオキシエトキシ基、メトキシメトキシプロピルオキシ基、エトキシメトキシプロピルオキシ基、ブチルオキシメトキシプロピルオキシ基、メトキシメトキシブチルオキシ基、エトキシメトキシブチルオキシ基、ブチルオキシメトキシブチルオキシ基、エトキシエトキシブチルオキシ基、(4-エチルシクロへキシルオキシ)エトキシエトキシ基、〔4-(3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ)ブチルオキシ〕エトキシ基等のアルコキシアルコキシ基で置換されたアルコキシ基;
メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、n-プロピルオキシカルボニルメトキシ基、イソプロピルオキシカルボニルメトキシ基、(4'-エチルシクロヘキシルオキシ)カルボニルメトキシ基等のアルコキシカルボニル基で置換されたアルコキシ基、メトキシカルボニルエトキシ基、エトキシカルボニルエトキシ基、n-プロピルオキシカルボニルエトキシ基、エトキシカルボニルプロピルオキシ基等のアルコキシカルボニル基で置換されたアキコキシ基;
メチルアミノメトキシ基、2-メチルアミノエトキシ基、2-( 2-メチルアミノエトキシ) エトキシ基、4-メチルアミノブチルオキシ基、1-メチルアミノプロパン-2-イルオキシ基、3-メチルアミノプロピルオキシ基、2-メチルアミノ-2-メチルプロピルオキシ基、2-エチルアミノエトキシ基、2-( 2-エチルアミノエトキシ)エトキシ基、3-エチルアミノプロピルオキシ基、1-エチルアミノプロピルオキシ基、2-イソプロピルアミノエトキシ基、2-(n-ブチルアミノ)エトキシ基、3-(n-ヘキシルアミノ)プロピルオキシ基、4-(シクロヘキシルアミノ)ブチルオキシ基等のアルキルアミノ基で置換されたアルコキシ基;
ジメチルアミノメトキシ基、2-ジメチルアミノエトキシ基、2-( 2-ジメチルアミノエトキシ) エトキシ基、4-ジメチルアミノブチルオキシ基、1-ジメチルアミノプロパン-2-イルオキシ基、3-ジメチルアミノプロピルオキシ基、2-ジメチルアミノ-2-メチルプロピルオキシ基、2-ジエチルアミノエトキシ基、2-(2-ジエチルアミノエトキシ)エトキシ基、3-ジエチルアミノプロピルオキシ基、1-ジエチルアミノプロピルオキシ基、2-ジイソプロピルアミノエトキシ基、2-(ジ-n-ブチルアミノ)エトキシ基、2-ピペリジルエトキシ基、3-(ジ-n-ヘキシルアミノ)プロピルオキシ基等のジアルキルアミノ基で置換されたアルコキシ基;
メチルアミノメトキシメトキシ基、メチルアミノエトキシエトキシ基、メチルアミノエトキシプロピルオキシ基、エチルアミノエトキシプロピルオキシ基、4-(2'-イソブチルアミノプロピルオキシ)ブチルオキシ基等のアルキルアミノアルコキシ基で置換されたアルコキシ基;
ジメチルアミノメトキシメトキシ基、ジメチルアミノエトキシエトキシ基、ジメチルアミノエトキシプロピルオキシ基、ジエチルアミノエトキシプロピルオキシ基、4-(2'-ジイソブチルアミノプロピルオキシ)ブチルオキシ基等のジアルキルアミノアルコキシ基で置換されたアルコキシ基;
メチルチオメトキシ基、2-メチルチオエトキシ基、2-エチルチオエトキシ基、2-n-プロピルチオエトキシ基、2-イソプロピルチオエトキシ基、2-n-ブチルチオエトキシ基、2-イソブチルチオエトキシ基、(3,5,5-トリメチルヘキシルチオ)ヘキシルオキシ基等のアルキルチオ基で置換されたアルコキシ基;等が挙げられる。
【0030】
置換若しくは非置換のアリールオキシ基としては、ヘテロアリールオキシ基も含まれ、フェニルオキシ基、2-メチルフェニルオキシ基、4-メチルフェニルオキシ基、4-エチルフェニルオキシ基、4-イソプロピルフェニルオキシ基、4-イソブチルフェニルオキシ基、4-n-ペンチルフェニルオキシ基、4-tert-ペンチルフェニルオキシ基、4-シクロヘキシルフェニルオキシ基、4-n-オクチルフェニルオキシ基、4-n-デシルフェニルオキシ基、4-n-ドデシルフェニルオキシ基、4-n-ヘキサデシルフェニルオキシ基、2,3-ジメチルフェニルオキシ基、2,5-ジメチルフェニルオキシ基、3,4-ジメチルフェニルオキシ基、3,4,5-トリメチルフェニルオキシ基、5-インダニルオキシ基、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ナフチルオキシ基、3-メトキシフェニルオキシ基、3-エトキシフェニルオキシ基、4-n-プロポキシフェニルオキシ基、4-n-ブトキシフェニルオキシ基、4-n-ペンチルオキシフェニルオキシ基、4-シクロヘキシルオキシフェニルオキシ基、4-n-オクチルオキシフェニルオキシ基、4-n-デシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ドデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ヘキサデシルオキシフェニルオキシ基、2,3-ジメトキシフェニルオキシ基、2,5-ジメトキシフェニルオキシ基、3,5-ジメトキシフェニルオキシ基、2-メトキシ-4-メチルフェニルオキシ基、3-メトキシ-4-メチルフェニルオキシ基、3-メチル-4-メトキシフェニルオキシ基、2-フルオロフェニルオキシ基、4-フルオロフェニルオキシ基、3-クロロフェニルオキシ基、4-ブロモフェニルオキシ基、3-トリフルオロメチルフェニルオキシ基、3,5-ジフルオロフェニルオキシ基、3,4-ジクロロフェニルオキシ基、2-メチル-4-クロロフェニルオキシ基、3-クロロ-4-メチルフェニルオキシ基、3-メトキシ-4-フルオロフェニルオキシ基、3-フルオロ-4-メトキシフェニルオキシ基、4-フェニルフェニルオキシ基、3-フェニルフェニルオキシ基、4-(4’-メチルフェニル)フェニルオキシ基、4-(4’-メトキシフェニル)フェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、6-n-ブチル-2-ナフチルオキシ基、7-エトキシ-2-ナフチルオキシ基、2-チエニルオキシ基、2-ピリジルオキシ基、4-ピリジルオキシ基などが挙げられる。
【0031】
置換または無置換のアルキルチオ基としては、炭素数1~8の置換または無置換のアルキルチオ基が好ましく、炭素数1~4の置換または無置換のアルキルチオ基がより好ましい。
【0032】
無置換アルキルチオ基の例としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、2-メチルペンチルチオ基、1,1-ジメチルブチルチオ基、1,2,2-トリメチルプロピルチオ基、2-エチルブチルチオ基、1,3-ジメチルヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、メチルシクロペンチルチオ基、n-へプチルチオ基、n-へプチルチオ基、n-オクチルチオ基、3,5,5-トリメチルヘキシルチオ基、n-デシルチオ基、n-ウンデシルチオ基、n-ドデシルチオ基、1-アダマンチルチオ基、n-ペンタデシルチオ基等の直鎖、分岐又は環状の無置換のアルキルチオ基が挙げられる。
【0033】
置換アルキルチオ基の例としては、例えば、メトキシメチルチオ基、エトキシメチルチオ基、n-プロピルオキシメチルチオ基、nーブチルオキシメチルチオ基、tert-ブチルオキシメチルチオ基、n-ペンチルオキシメチルチオ基、2-メトキシエチルチオ基、2-エトキシエチルチオ基、2-n-プロピルオキシエチルチオ基、2-イソプロピルオキシエチルチオ基、2-nーブチルオキシエチルチオ基、2-イソペンチルオキシエチルチオ基、2-n-ヘキシルオキシエチルチオ基、2-(4-エチルシクロヘキシルオキシ)エチルチオ基、2-n-ノニルオキシエチルチオ基、2-(3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ)エチルチオ基、2-n-デシルオキシエチルチオ基、3-メトキシプロピルチオ基、3-エトキシプロピルチオ基、3-(n-プロピルチオ)プロピルチオ基、2-メトキシブチルチオ基、4-エトキシブチルチオ基、4-(n-プロピルオキシ)ブチルチオ基、5-エトキシペンチルチオ基、6-n-プロピルオキシヘキシルチオ基等のアルコキシ基で置換されたアルキルチオ基;
メトキシメトキシメチルチオ基、エトキシメトキシメチルチオ基、プロピルオキシメトキシメチルチオ基、エトキシエトキシメチルチオ基、プロピルオキシエトキシメチルチオ基、エトキシメトキシエチルチオ基、プロピルオキシメトキシエチルチオ基、プロピルオキシエトキシエチルチオ基、ブチルオキシエトキシエチルチオ基、プロピルオキシブチルオキシエチルチオ基、メトキシメトキシプロピルチオ基、エトキシメトキシプロピルチオ基、ブチルオキシメトキシプロピルチオ基、ブチルオキシメトキシブチルチオ基、エトキシエトキシブチルチオ基、シクロへキシルオキシエトキシエチルチオ基等のアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキルチオ基;
メトキシカルボニルメチルチオ基、エトキシカルボニルメチルチオ基、n-プロピルオキシカルボニルメチルチオ基、メトキシカルボニルエチルチオ基、エトキシカルボニルエチルチオ基、n-プロピルオキシカルボニルエチルチオ基、エトキシカルボニルプロピルチオ基等のアルコキシカルボニル基で置換されたアキルチオ基;
メチルアミノメチルチオ基、2-メチルアミノエチルチオ基、2-( 2-メチルアミノエトキシ) エチルチオ基、4-メチルアミノブチルチオ基、1-メチルアミノプロパン-2-イルオキシ基、3-メチルアミノプロピルチオ基、2-エチルアミノエチルチオ基、2-( 2-エチルアミノエトキシ)エチルチオ基、3-エチルアミノプロピルチオ基、1-エチルアミノプロピルチオ基、2-イソプロピルアミノエチルチオ基、2-(n-ブチルアミノ)エチルチオ基、3-(n-ヘキシルアミノ)プロピルチオ基、4-(シクロヘキシルアミノ)ブチルチオ基等のアルキルアミノ基で置換されたアルキルチオ基;
ジメチルアミノメチルチオ基、2-ジメチルアミノエチルチオ基、4-ジメチルアミノブチルチオ基、1-ジメチルアミノプロパン-2-イルチオ基、3-ジメチルアミノプロピルチオ基、2-ジエチルアミノエチルチオ基、3-ジエチルアミノプロピルチオ基、2-ジイソプロピルアミノエチルチオ基、2-(ジ-n-ブチルアミノ)エチルチオ基、2-ピペリジルエチルチオ基、3-(ジ-n-ヘキシルアミノ)プロピルチオ基等のジアルキルアミノ基で置換されたアルキルチオ基;
メチルチオメチルチオ基、2-メチルチオエチルチオ基、2-エチルチオエチルチオ基、2-n-プロピルチオエチルチオ基、2-イソプロピルチオエチルチオ基、2-n-ブチルチオエチルチオ基、2-イソブチルチオエチルチオ基、(3,5,5-トリメチルヘキシルチオ)ヘキシルチオ基等のアルキルチオ基で置換されたアルキルチオ基;等が挙げられる。
【0034】
置換または無置換のアリールチオ基としては、ヘテロアリールチオ基も含まれ、フェニルチオ基、2-メチルフェニルチオ基、4-メチルフェニルチオ基、3-エチルフェニルチオ基、4-n-プロピルフェニルチオ基、4-n-ブチルフェニルチオ基、4-イソブチルフェニルチオ基、4-tert-ブチルフェニルチオ基、4-n-ペンチルフェニルチオ基、4-n-ヘキシルフェニルチオ基、4-シクロヘキシルフェニルチオ基、4-n-オクチルフェニルチオ基、4-n-ドデシルフェニルチオ基、4-n-オクタデシルフェニルチオ基、2,5-ジメチルフェニルチオ基、3,4-ジメチルフェニルチオ基、5-インダニルチオ基、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ナフチルチオ基、2-メトキシフェニルチオ基、3-メトキシフェニルチオ基、4-エトキシフェニルチオ基、4-n-プロポキシフェニルチオ基、2,4-ジメトキシフェニルチオ基、3,5-ジエトキシフェニルチオ基、2-メトキシ-4-メチルフェニルチオ基、2-メチル-4-メトキシフェニルチオ基、2-フルオロフェニルチオ基、4-フルオロフェニルチオ基、2-クロロフェニルチオ基、4-ブロモフェニルチオ基、4-トリフルオロメチルフェニルチオ基、3-トリフルオロメチルフェニルチオ基、2,4-ジフルオロフェニルチオ基、2,4-ジクロロフェニルチオ基、2-クロロ-4-メトキシフェニルチオ基、2-ナフチルチオ基、4-メチル-1-ナフチルチオ基、4-エトキシ-1-ナフチルチオ基、2-ピリジルチオ基、4-アミノフェニルチオ基、4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニルチオ基、4-(N,N-ジエチルアミノ)-1-ナフチルチオ基、4-〔N,N-ジ(4’-メチルフェニル)アミノ〕フェニルチオ基、4-(N-フェノキサジイル)フェニルチオ基などが挙げられる。
【0035】
置換または無置換のアルキルカルボニル基としては、炭素数1~8の置換または無置換のアルキルカルボニル基が好ましく、炭素数1~4の置換または無置換のアルキルカルボニル基がより好ましい。
【0036】
置換または無置換のアルキルカルボニル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、iso-バレリル基、sec-バレリル基、トリメチルアセチル基、ヘキサノイル基、t-ブチルアセチル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、2-エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、トリデカノイル基、テトラアデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基、オレオイル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基、6-クロロヘキサノイル基、6-ブロモヘキサノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロプロピオニル基、パ-フルオロオクタノイル基、2,2,4,4,5,5,7,7,7-ノナフルオロ-3,6-ジオキサヘプタノイル基、メトキシアセチル基、3,6-ジオキサヘプタノイル基、シンナモイル基等が挙げられる。
【0037】
置換または無置換のアリールカルボニル基としては、ベンゾイル基、2-メチルベンゾイル基、3-メチルベンゾイル基、4-メチルベンゾイル基、4-エチルベンゾイル基、4-n-プロピルベンゾイル基、4-tert-ブチルベンゾイル基、2,4-ジメチルベンゾイル基、2,4,6-トリメチルベンゾイル基、2,4,5-トリメチルベンゾイル基、4-エチルベンゾイル基、4-イソプロピルベンゾイル基、4-n-ブチルベンゾイル基、4-イソブチルベンゾイル基、4-sec-ブチルベンゾイル基、4-tert-ブチルベンゾイル基、4-n-ペンチルベンゾイル基、4-イソペンチルベンゾイル基、4-ネオペンチベンゾイル基、4-イソヘキシルベンゾイル基、4-シキロヘキシルベンゾイル基、4-オクチルベンゾイル基、4-シアノベンゾイル基、4-ニトロベンゾイル基、4-トリフルオロメチルベンゾイル基、3-ブロモベンゾイル基、2-フロロベンゾイル基、4-クロロベンゾイル基、2,6-ジクロロベンゾイル基、2,4-ジフロロベンゾイル基、ナフチルカルボニル-1-イル基、ナフチルカルボニル-2-イル基が挙げられる。
【0038】
置換アミノ基としては、炭素数1~12のモノアルキルアミノ基、炭素数1~10のジアルキルアミノ基、置換または無置換のアリールアミノ基、置換または無置換のアラルキルアミノ基を挙げることができ、炭素数1~12のモノアルキルアミノ基、炭素数1~10のジアルキルアミノ基、置換または無置換のアリールアミノ基、置換または無置換のアラルキルアミノ基が好ましく、炭素数1~4のジアルキルアミノ基がより好ましい。
【0039】
置換アミノ基としては例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2-エチルヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、3,5,5-トリメチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基等の炭素数1~12のモノアルキルアミノ基;
ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジ-n-ペンチルアミノ基、N-メチル-N-エチルアミノ基、N-エチル-N-イソプロピルアミノ基、N-エチル-N-シクロヘキシルアミノ基、N-メチル-N-n-オクチルアミノ基等の炭素数1~10のジアルキルアミノ基;
N-メチル-N-フェニルアミノ基、N-エチル-N-フェニルアミノ基、N-エチル-N-(2,4-ジメチルフェニル)アミノ基、N-n-プロピル-N-(2-エトキシフェニル)アミノ基、N-メチル-N-(3-クロロフェニル)アミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ-(p-トリル)アミノ基、N-メチル-N-(2-ナフチル)アミノ基等の置換または無置換のアリール基を有するアミノ基;
ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基、3-フェニルプロピルアミノ基、4-エチルベンジルアミノ基、4-イソプロピルベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基、ビス(4-エチルベンジル)アミノ基、ビス(4-イソプロピルベンジル)アミノ基、N-エチル-N-ベンジルアミノ基、N-メチル-N-フェネチルアミノ基等の置換または無置換のアラルキル基を有するアミノ基;等が挙げられる。
【0040】
R1~R18はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~8の置換または無置換のアルキル基、炭素数2~8の置換または無置換のアルケニル基、炭素数2~8の置換又は無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、炭素数1~8の置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、炭素数1~8の置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、炭素数1~8のアルキルカルボニル基、置換また無置換のアリールカルボニル基、炭素数1~12のモノアルキルアミノ基、炭素数1~10のジアルキルアミノ基、置換または無置換のアリールアミノ基、置換または無置換のアラルキルアミノ基であることが好ましく、
水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~4の置換または無置換のアルキル基、炭素数2~4の置換または無置換のアルケニル基、炭素数2~6の置換又は無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、炭素数1~5の置換または無置換のアルコキシ基、炭素数1~4の置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、炭素数1~4のアルキルカルボニル基、置換または無置換のベンゾイル基、炭素数1~4のジアルキルアミノ基であることがより好ましい。
【0041】
一般式(1)においては、R2~R5の隣接する基同士、R6~R9の隣接する基同士、R11~R14の隣接する基同士、およびR15~R18の隣接する基同士が結合して環を形成してもよい。当該環は、環を構成するR2~R9、R11~R18が結合する炭素原子を構造中に含んで形成される。形成される環としては、前述の置換または無置換のアリール基を挙げることができる。
【0042】
一般式(1)で表される金属錯体の具体例としては、以下の化合物を挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
一般式(1)の金属錯体はトルエン中の吸収極大波長が330~430nmの領域にあるものが好ましく、360~410nmの領域にあるものが好ましい。
グラム吸光係数は90,000以上が好ましく、100,000以上が特に好ましい。
【0050】
一般式(1)の金属錯体は再表2012/008318号に記載されている方法に従って合成することができる。例えば、第1に一般式(3)で表される2-アミノフェノール誘導体と一般式(4)で表されるマロン酸誘導体をポリリン酸により縮合反応することにより一般式(2)で表される誘導体を得ることができる。
【0051】
【0052】
式(2)、(3)及び(4)中、R1~R5は前記一般式(1)におけるものと同義である。式(4)中、Rは水素原子、メチル基或いはエチル基を表す
【0053】
次に、一般式(2)で表されるビス(2-ベンゾオキサゾイル)メタン誘導体と金属誘導体を反応して一般式(1)の金属錯体を合成することができる。
金属誘導体としてはAl、Si、Ti,V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
Ge、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Pt、Pbのハロゲン化物、カルボン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合物、酸化物、錯体等が挙げられる。
【0054】
本発明の眼鏡用レンズは、基材中に一般式(1)で表される金属錯体の少なくとも1種を含有する。なお、本発明において、基材に含有するとは、基材の内部に含有されることは勿論、基材の表面に塗布した状態、基材と基材の間に挟まれた状態等を意味する。
【0055】
基材としては、ガラスレンズ又はプラスチックレンズの何れであってもよい。プラスチックは、ガラスと比較して軽量であり、また割れ難く安全性も高いことから、特にプラスチックレンズが繁用される。樹脂の形態としては、粘着剤、シート、フィルム、バインダー樹脂、成形体など様々な形態で使用できる。また、シートの上に粘着剤を有するなど、複数の形態を組み合わせたものであっても良い。
【0056】
プラスチックレンズ基材の材質としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、特に制限されないが、光線透過率が高く、成形可能なポリマー、例えば(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、アリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(チオ)ウレタン樹脂、(チオ)エポキシ樹脂、ポリウレア樹脂、ポリウレタンウレア樹脂等を例示することができる。
好ましくは、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリチオウレタン樹脂又はポリアミド樹脂を用いることができる。
【0057】
ポリカーボネート樹脂は、主たる方法としてジヒドロキシジアリール化合物類とホスゲンを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物類とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステル類とを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり代表的なものとして、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
なお、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は通常10000~100000、好ましくは10000~400000である。
【0058】
ポリ(チオ)ウレタン樹脂は、イソシアネート化合物と、二官能以上の活性水素化合物とから得ることができる。二官能以上の活性水素化合物としては、ポリオール化合物、ポリチオール化合物を挙げることができる。
【0059】
イソ(チオ)シアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロへキシル)メタン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、および4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0060】
ポリチオール化合物としては、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチエタン、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
【0061】
ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジ(トリメチロールプロパン)等の直鎖または分枝鎖の脂肪族アルコール、
1,2-シクロペンタンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、3-メチル-1,2-シクロペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、4,4'-ビシクロヘキサノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環族アルコール等が挙げられる。
【0062】
ポリアミド樹脂は、芳香族又は脂肪族基を含むジアミン化合物類と、芳香族又は脂肪族基を含むジカルボン酸化合物類との脱水重縮合物の構造を有する樹脂である。ここで脂肪族基は脂環式脂肪族基も含まれる。上記ジアミン化合物類とジカルボン酸化合物類との脱水重縮合物の構造を有する樹脂は必ずしも脱水重縮合反応から得られるものに限定はされず、例えば1種又は2種以上のラクタム化合物類の開環重合などからも得られることができる。
【0063】
特に透明性の観点から非結晶性のポリアミド樹脂が好ましく、一般的には透明ナイロンと称され、例えばエムス社のグリルアミドTR-55、グリルアミドTR-90、グリルアミドTR-XE3805、あるいはヒュルス社のトロガミドCX-7323などを例示することができる。
【0064】
これらは単体で用いてもよいし、混合したものを用いてもよい。例えば、ポリカーボネート樹脂100重量部にポリアミド樹脂を30~0.5重量部、好ましくは20~1重量部、更に好ましくは15~2重量部混合した熱可塑性樹脂を用いることができる。
以下に、眼鏡用レンズについて具体的に説明する。本発明の眼鏡用レンズは、レンズの材質に応じて、慣用の方法で製造することができる。
【0065】
例えば、ガラスレンズの場合は、所定の形状に成形されたレンズに、本発明に係る化合物を含有する被膜を形成させることにより製造することができる。被膜形成は、慣用のコーティング法により行うことができるが、例えば、レンズ表面にコーティングする方法としては、本発明に係る化合物をバインダー樹脂及び有機系溶媒に溶解させて塗料化する方法などが挙げられる。
【0066】
バインダー樹脂としては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂等が挙げられる。
【0067】
溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、或いはそれらの混合物系等が挙げられる。
【0068】
本発明に係る化合物の濃度は、吸収係数、コーティングの厚み、目的の吸収強度、目的の可視光透過率等によって異なるが、バインダー樹脂の重量に対して、通常、0.1ppm~30重量%である。また、樹脂濃度は、塗料全体に対して、通常、1~50重量%である。上記の方法で作製した塗料は、ガラスレンズの上にバーコーダー、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、或いはスプレー等のコーティング法で被膜を形成させることができる。なお、被膜は、赤外線吸収剤等を含む複数の層で形成されていても良い。
【0069】
本発明の実施に当たって、例えば、基材が熱硬化性樹脂であるプラスチックレンズの場合、通常は目的の重合体を形成させるモノマーを重合硬化させる方法が含まれる。本発明を限定するものではないが、例としては、ジエチレングリコールジアリルカーボネートモノマー、ジアリルフタレートモノマー、イソシアネート系化合物とポリオールやポリチオールなどの混合物、およびアクリルモノマーなどの矯正レンズの製造に使われるモノマー類の硬化物が挙げられる。その重合方法は特に限定されるものではないが、通常、注型重合が採用される。その際、熱硬化性樹脂配合物には、本発明に係る化合物が配合されており、前記樹脂配合物をレンズ注型用鋳型に供給して重合反応を行い眼鏡用レンズに成型する。上記レンズ注型用鋳型に供給する方法は特に限定されるものではないが、例えば前記樹脂配合物を細管に通すなどによって注入する方法が使用される。前記樹脂配合物は予め減圧等の方法で脱泡処理が施されてもよく、また空気環境因子が実質的に排除された状態で注型重合が行われてもよい。
【0070】
本発明におけるレンズ注型用鋳型は、ガスケットで保持された2個のモールドから構成されるものが一般的である。モールドには、得られたレンズの離型性を向上するために離型剤を塗付してもよい。また、レンズ材料にハードコート性能を付与するためのコート液をモールドに塗付してもよい。
【0071】
熱硬化性樹脂組成物に本発明に係る化合物を配合させる方法について、以下に具体的に説明する。重合硬化に供する熱硬化性樹脂組成物は大別すると、モノマー混合物、本発明に係る化合物、触媒、及びその他の添加剤から構成される。
【0072】
添加剤としては、ジブチル錫ジクロライドなどの触媒、紫外線吸収剤、酸性リン酸エステルなどの内部離型剤、光安定剤、酸化防止剤、ラジカル反応開始剤などの反応開始剤、鎖延長剤、架橋剤、充填剤などがあり、さらに必要に応じ、屈折率、アッベ数、耐熱性、比重等の物性や耐衝撃性等の機械強度等を調整あるいは向上のために公知の樹脂改質剤、例えばヒドロキシ化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、有機酸及びその無水物、(メタ)アクリレート化合物等を含むオレフィン化合物等が挙げられる。
【0073】
本発明に係る化合物を混合するに当たっての混合対象成分が0℃以上で液状であればその選択には特に限定はなく、操作性、安全性、便宜性等を踏まえ、適宜選択される。例えばモノマー混合物を構成するモノマー群のいずれかに混合させた後にモノマー混合物とする方法、モノマー混合物及びその他の添加剤からなる混合物に混合させた後、触媒を加える方法、あるいはモノマー混合物、触媒、及びその他の添加剤からなる混合物に混合させる方法などが挙げられる。
【0074】
また本発明に係る化合物を混合するにあたっては、本発明に係る化合物を直接混合させる方法、あるいは予め本発明に係る化合物を低沸点の有機溶媒に溶解させ、前記有機溶媒溶液を上記混合対象成分に混合後、加熱及び/又は減圧等の条件下で前記有機溶媒を蒸発除去してもよい。その際使用される有機溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが挙げられるが、上記樹脂組成物に対して化学反応的に不活性で、かつ適度に低沸点のものであれば特に限定されるものではない。
【0075】
また、プラスチックレンズに必要とされる本発明に係る化合物の濃度に相当する量が樹脂組成物に含有されるように前記の方法で混合させてもよく、またモノマー混合物や前記樹脂組成物などいずれかの成分に目的濃度より高濃度で本発明に係る化合物を含有させたマスターバッチを調製しておき、必要に応じて配合すべき他成分を加えて希釈させて目的の濃度の本発明に係る化合物を含有させる方法等も挙げることができる。
【0076】
また本発明に係る化合物の溶解にあたって、樹脂組成物の劣化や可使時間などの点で実施上支障がない範囲で加温することもできる。本発明に係る化合物を混合させるにあたっては、例えば通常行われる撹拌、振とう、バブリングなどの方法が挙げられる。更に必要に応じて本発明に係る化合物の溶解後、減圧下での脱泡処理や加圧、減圧等での濾過処理等を行うことが好ましい場合が多い。
【0077】
次いで、例えば、基材が熱可塑性樹脂であるプラスチックレンズの場合、通常、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、圧縮射出成形法などの公知の方法が採用される。すなわち供給される該熱可塑性樹脂を溶融温度以上に加熱させ、これを目的のプラスチックレンズの形状を有する金型内に導入後、冷却固化させてプラスチックレンズを得る方法である。その際、偏光フィルムなど目的の機能を有するプラスチックフィルムを予め金型内に設置しておき、上記方法で成形されたプラスチックレンズ内に該機能性のプラスチックフィルムを一体化させるいわゆるインサート法も本発明の範囲を超えるものではない。
【0078】
その際、熱可塑性樹脂に予め本発明に係る化合物を配合させておく。配合の方法としては特に制限はないが、例えば、本発明に係る化合物と熱可塑性樹脂ペレットを、ペレットの溶融温度以下で機械的に混合させて、本発明に係る化合物を該ペレット表面に保持させる方法、又別の方法としては、適切な混練機を用いて、本発明に係る化合物と熱可塑性樹脂ペレットを、ペレットの溶融温度以上で混練して本発明に係る化合物を該熱可塑性樹脂ペレットに含有させることができる。
【0079】
前記成形機への熱可塑性樹脂の供給にあたっては、該熱可塑性樹脂中に含有されている水分量を低減させるため必要に応じて予め公知の条件で乾燥処理を施してもよい。
【0080】
熱硬化性樹脂に対する本発明に係る化合物の濃度は0.0002~0.05重量%、好ましくは0.0002~0.01重量%、更に好ましくは0.0004~0.01重量%の範囲であり、この濃度を設定するための前記熱硬化性樹脂組成物に対する本発明に係る化合物の配合量の設定は、プラスチックレンズに対する目的濃度と通常近似的同一であることを目安に実験的に容易に決定することができる。
本発明に係る化合物は、熱硬化性又は熱可塑性プラスチックレンズの少なくとも片面表面から500μm以下の範囲に局在させるとよい。
【0081】
熱可塑性樹脂組成物に本発明に係る化合物を配合させる方法について以下に具体的に説明する。熱可塑性樹脂に対する本発明に係る化合物の濃度は0.0002~0.05重量%、好ましくは0.0002~0.01重量%、更に好ましくは0.0004~0.01重量%であり、この濃度にするための前記熱可塑性樹脂組成物に対する本発明に係る化合物の配合量の設定は、前記プラスチックレンズに対する目的濃度と通常近似的同一であることを目安にして容易に決定することができる。
【0082】
また、前記熱可塑性樹脂に必要とされる本発明に係る化合物の濃度に相当する量を、前記の方法で供給される該熱可塑性樹脂中に配合させてもよく、また必要とされる本発明に係る化合物を該熱可塑性樹脂中に目的量を超えて配合させた異種の配合熱可塑性樹脂を所定量混合させて供給し、最終的にプラスチックレンズ中に目的濃度の本発明に係る化合物が含有される様に設定するいわゆるマスターバッチ法も採用できる。その際、希釈の目的で本発明に係る化合物非含有の熱可塑性樹脂を併用して供給してもよい。また、上記所定量混合させた該熱可塑性樹脂を予め溶融混練などの方法で混合し、必要に応じてペレット化などの処方を施した後、成形機に供給してもよい。
【0083】
なお、本発明の熱硬化性又は熱可塑性のプラスチックレンズにおいては、必要に応じてプラスチックレンズの少なくとも片面にレンズ部材として施された単層又は多層積層を構成する成分層の少なくとも1層に本発明に係る化合物を含有させて、目的の波長選択的光吸収性を有するプラスチックレンズとすることができる。
【0084】
前記熱硬化性又は熱可塑性のプラスチックレンズの少なくとも片面に単層又は多層積層を形成させるにあたっては、シート層を貼り付けて形成させることもできるが、通常は本発明に係る化合物を含有させた有機樹脂コート剤を塗布することで形成される。
【0085】
有機樹脂コート剤としては(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂系などを例示することができ、あるいはそれら樹脂成分が混成されてブレンド又は共重合された樹脂なども挙げられる。樹脂は目的に応じて熱可塑タイプあるいは熱硬化性タイプのいずれかが採用される。
【0086】
前記プラスチックレンズへの塗布にあたっては前記樹脂を無溶剤下又は通常は溶剤に溶解して塗布液とする。溶剤としては、水、あるいはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミルなどのエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール/エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アミルアルコール、2-エチルヘキシルアルコールなどのアルコール類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、n-ヘキサン、n-ヘプタンなどの脂肪族類、シクロヘキサンなどの脂環族類などが例示でき、それらから選択された2種以上の溶剤を混合させた溶剤も使用することができる。これら溶剤の選択は、樹脂成分の溶解性、樹脂成分との反応性の程度、沸点、環境調和性、価格、など目的に応じた観点から決定される。
【0087】
前記塗布液の前記プラスチックレンズへの塗布にあたってはデイッピング法、スプレー法、スピンコート法、デイップスピンコート法、ロールコート法など一般に実施されている方法で行うことができる。必要に応じてレンズウエハーの塗布対象表面に予めプラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、シランカップリング剤や水酸化ナトリウムなどによる化学的処理などを施すこともできる。また前記塗布液中にはシリコーン系あるいはフッ素系などのレベリング剤などを必要に応じて併用することができる。
【0088】
前記有機樹脂コート剤が熱可塑性樹脂系の場合は塗布後、溶剤を蒸発乾燥させることで本発明に係る化合物を含有させた熱可塑性樹脂系成分層を得ることができる。
【0089】
前記有機樹脂コート剤が熱硬化性樹脂系の場合は塗布後、溶剤を蒸発乾燥させた後、熱、紫外線、エレクトロンビームなどの手段を用いて硬化反応させることで本発明に係る化合物を含有させた熱硬化性樹脂系成分層を得ることができる。溶媒乾燥条件と硬化反応条件は同時に適用することもできる。
【0090】
前記形成された成分層の厚さは、0.05~100μm、好ましくは0.1~50μm、より好ましくは0.5~30μm、特に好ましくは0.5~10μmが適当である。前記成分層中に含有される本発明に係る化合物の濃度は0.02~5重量%、好ましくは0.05~3重量%が適当である。
【0091】
本発明に係る化合物は、プラスチックレンズのみに含有させてもよいし、このプラスチックレンズの片面又は両面に形成されるハードコート層やプライマー層その他の成分層のみに含有させてもよい。成分層が複数層ある場合は、このうちの少なくとも一層に本発明に係る化合物を含有させてもよい。また、プラスチックレンズと成分層の両方に本発明に係る化合物を含有させてもよい。
【0092】
プライマー層としては、プラスチックレンズの耐衝撃性を向上できる上、耐水性、耐光性に優れ、しかも、後述するハードコート層との密着性に優れる水性化アクリル-ウレタン樹脂又はポリエステル系熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0093】
前記本発明に係る化合物を含有させた成分層の形成に関して、以下に具体例を挙げて説明する。しばしば実施されている形態においては、前記熱硬化性又は熱可塑性プラスチックレンズの少なくとも片面にプライマー層を形成させ、その表面にハードコートが施されレンズ材料表面に耐擦傷性などの機械的特性が付与される。更に必要に応じてハードコート層の表面には所定の無機多層膜が施され反射防止性能が付与される。前記プライマー層はレンズ面とハードコート層間の密着性に寄与するだけでなく、主たる目的はハードコートや反射防止層が施されることによって生じるレンズ自体の耐衝撃性の劣化を応力の緩衝作用を通して改善できることである。
【0094】
本発明に係る化合物を前記ハードコート層やプライマー層に含有させて本発明で必要な選択的遮光性を発現させることができる。前記プライマー層としては公知の方法、例えばブロック型ポリイソシアネートとポリオールをイソシアネートと水酸基の当量比が概略0.8~1.25となるよう配合し、溶媒で希釈し、微量の錫系触媒とレベリング剤を加えた溶液に本発明に係る化合物を樹脂分に対して0.5~2重量%で加えてプライマー溶液とし、例えば、チオウレタン系熱硬化性樹脂レンズの両面を前記プライマー溶液を用いてデイッピング処理後、溶剤を蒸発乾燥後約120~140℃で熱硬化させることで本発明に係る化合物が含有されたポリウレタン系プライマー層を形成させることができる。
【0095】
前記プライマー層の形成において、本発明に係る化合物を含有させないポリウレタン系プライマー層を形成させ、その上に本発明に係る化合物を含有させたハードコート層を形成させることができる。適用できるハードコート剤は公知のものが使用できる。
【0096】
例えばコロイダル珪素酸化物、コロイダルアルミニウム酸化物、コロイダルアンチモン酸化物、コロイダルジルコニウム酸化物、コロイダルタングステン酸化物、コロイダルチタン酸化物、コロイダル亜鉛酸化物、コロイダルスズ酸化物、のような50~200オングストロームの平均粒子直径を有する無機酸化物粒子、又は官能基を有しないアルコキシ金属化合物などの官能基を有しない金属化合物と、エポキシ基、メタクリル基のような官能基を有するシラン化合物を含む配合物を共加水分解させてなる成分を主体とする組成物が挙げられる。前記官能基を有するシラン化合物の例としては、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピル-メチル-ジエトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。ハードコート剤は前記例示の成分に加えて、必要に応じて前記例示の成分と化学的に実質上不活性な溶媒で希釈してハードコート液として使用することもできる。
【0097】
前記ハードコート液はプラスチックレンズの少なくとも片面に前記プライマーコートされた面上に塗布され通常は60~140℃、好ましくは70~130℃で加熱することにより硬化処理が施される。その際必要に応じてハードコート液中に無機酸などの触媒を含有させることもできる。硬化反応はまた紫外線などの光を照射することでも行うことができる。その際は前記のコロイダル無機酸化物の表面を(メタ)アクリル基などのビニル基含有有機基による改質、あるいは光開始剤の併用などの処方を施すことがより好ましい。硬化後のハードコート層の場合の層の厚さは、1~10μm、好ましくは2~5μmである。
【0098】
このようにして、例えば予め前記ハードコート液に本発明に係る化合物を樹脂分に対して0.5~2重量%で加え溶解し、更にレベリング剤を加えて色素含有ハードコート液を調製し、前記両面にプライマー層の施された熱硬化性樹脂レンズを、前記色素含有ハードコート液にて両面をデイッピング処理し溶剤を蒸発乾燥後例えば120℃で3時間硬化処理することでポリウレタンプライマー層を介して本発明に係る化合物が含有されたハードコート層の施されたプラスチックレンズが得られる。
【0099】
本発明に係る化合物含有のプラスチックレンズは必要に応じてマルチコート(反射防止層)、防曇処理、撥水処理、あるいは帯電防止処理など、従来の技術範囲で可能な機能処理が施されてもよい。また、眼鏡用レンズに度をいれることにより、近視用レンズあるいは老眼レンズとすることもできる。本発明の眼鏡用レンズを老眼レンズとすることにより、目の弱い老人用保護メガネとして好適に利用できる。
【0100】
本発明の眼鏡用レンズまたはプラスチックレンズは、紫外線から420nm程度の青色光の透過抑制効果に優れており、例えば、近視用・老眼用の眼鏡、コンタクトレンズ、保護眼鏡、サングラス、ゴーグル、偏光サングラス、偏光ゴーグル、3D映像用メガネ、3D映像用ゴーグル等のレンズに使用することができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
【実施例】
【0102】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0103】
(合成例)
以下の合成例において、「具体例化合物」とは前記表1~6中に記載の化合物を示す。
[合成例1]具体例化合物(5)の製造
リガンド(i)の製造
ポリリン酸260gを70℃にて5分撹拌し、2-アミノ-4-メチルフェノール24.6g及びマロン酸10.4gを添加、徐々に昇温し、内温150℃にて2時間撹拌した。
冷却後、反応液を水800mLに排出し、析出物をろ取、水洗、乾燥して下記構造式(i)のリガンド15.2gを淡黄色粉末として得た。
【0104】
【0105】
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 278(M+)
・元素分析値:実測値(C:73.40%、H:5.09%、N:10.03%)
理論値(C:73.37%、H:5.07%、N:10.07%)
【0106】
金属錯体(具体例化合物(5)の合成)
リガンド(i)5.56g、酢酸亜鉛2.18gをエタノール100mL中にて還流下、5時間撹拌した。冷却後、析出物をろ取、エタノールにて洗浄、乾燥して淡黄色粉末4.85gを得た。得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 618(M+)
・元素分析値:実測値(C:65.88%、H:4.27%、N:9.00%)
理論値(C:65.86%、H:4.23%、N:9.04%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は381nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は2.23×105g/mL・cmであった。
【0107】
[合成例2] 具体例化合物(31)の合成
リガンド(ii)の合成
ポリリン酸468gを70℃にて5分撹拌し、2-アミノ-4-メチルフェノール39.3g及びエチルマロン酸25gを添加、徐々に昇温し、内温175℃にて1時間撹拌した。
冷却後、反応液を水1600mLに排出し、析出物をろ取、水洗、乾燥して下記構造式(ii)のリガンド35.3gを黄褐色オイルとして得た。
【0108】
【0109】
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 278(M+)
・元素分析値:実測値(C:73.39%、H:5.10%、N:10.01%)
理論値(C:73.37%、H:5.07%、N:10.07%)
【0110】
金属錯体(具体例化合物(31)の合成)
リガンド(ii)8.3g、酢酸銅一水和物2.5gをDMF63g中にて70~75℃で3時間撹拌した。
冷却後、メタノール76gを滴下、析出物をろ取、メタノールにて洗浄、乾燥して淡黄色粉末2.1gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 617(M+)
・元素分析値:実測値(C:66.08%、H:4.26%、N:9.03%)
理論値(C:66.06%、H:4.24%、N:9.06%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は384.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.70×105g/mL・cmであった。
【0111】
[合成例3] 具体例化合物(34)の合成
リガンド(iii)の合成
ポリリン酸260gを70℃にて5分撹拌し、2-アミノフェノール21.8g及びブチルマロンジエチル酸21.6gを添加、徐々に昇温し、内温175℃にて1時間撹拌した。
冷却後、反応液を水800mLに排出し、トルエン300mLにて抽出、水洗、トルエンを留去して下記構造式(iii)のリガンド19.4gを黄褐色オイルとして得た。
【0112】
【0113】
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 306(M+)
・元素分析値:実測値(C:74.53%、H:5.97%、N:9.11%)
理論値(C:74.49%、H:5.92%、N:9.14%)
【0114】
金属錯体(具体例化合物(34)の合成)
リガンド(iii)9.2g、酢酸銅3.3gをエタノール100mL中にて70~75℃で3時間撹拌した。冷却後、析出物をろ取、エタノールにて洗浄、乾燥して淡黄色粉末3.0gを得た。得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 673(M+)
・元素分析値:実測値(C:67.73%、H:5.10%、N:8.27%)
理論値(C:67.69%、H:5.08%、N:8.31%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は385.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.57×105g/mL・cmであった。
【0115】
[合成例4] 具体例化合物(35)の合成
合成例3の金属錯体(具体例化合物(34))の合成において酢酸銅3.3gの代わりに酢酸亜鉛3.3gを使用した以外は合成例3と同様にして灰色粉末3gを得た。得られた化合物は、下記の分析結果より目的の具体例化合物(35)であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 674(M+)
・元素分析値:実測値(C:67.53%、H:5.09%、N:8.25%)
理論値(C:67.50%、H:5.07%、N:8.29%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は392.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は2.14×105g/mL・cmであった。
【0116】
[合成例5] 具体例化合物(53)の合成
リガンド(iV)の合成
ポリリン酸260gを70℃にて5分撹拌し、2-アミノ-4-クロロフェノール28.7g及びブチルマロン酸16gを添加、徐々に昇温し、内温175℃にて1時間撹拌した。
冷却後、反応液を水800mLに排出し、トルエン500mLにて抽出、水洗、トルエンを留去して下記構造式(iV)のリガンド26.6gを褐色オイルとして得た。
【0117】
【0118】
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 388(M+)
・元素分析値:実測値(C:61.75%、H:4.70%、N:7.16%)
理論値(C:61.71%、H:4.66%、N:7.20%)
【0119】
金属錯体(具体例化合物(53)の合成)
リガンド(iV)6.9g、酢酸亜鉛1.79gをエタノール100mL中にて70~75℃で3時間撹拌した。
冷却後、析出物をろ取、エタノールにて洗浄、乾燥して淡黄色粉末3.9gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS:(EI)m/z 840(M+)
・元素分析値:実測値(C:57.10%、H:4.10%、N:6.63%)
理論値(C:57.06%、H:4.07%、N:6.65%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は400.0nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は2.06×105g/mL・cmであった。
【0120】
合成例1~5に記載の具体例化合物のトルエン溶液の極大吸収波長から、これらの具体例化合物を含むプラスチックレンズは、紫外線から420nm程度の青色光の透過を抑制する効果に優れることが推定された。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明の眼鏡用レンズは、眼に対して悪影響を及ぼす紫外線から420nm程度の青色光の透過抑制効果に優れ、かつ透明性、光に対する安定性が高く有用である。