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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】LNGサテライト設備
(51)【国際特許分類】
   F17C 9/02 20060101AFI20220819BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20220819BHJP
   H02J 9/08 20060101ALI20220819BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20220819BHJP
   H02J 9/00 20060101ALI20220819BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20220819BHJP
   H02P 101/25 20150101ALN20220819BHJP
【FI】
F17C9/02
F17C13/00 302A
H02J9/08
H02J9/06 120
H02J9/00 120
H02P9/04 J
H02P101:25
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018187713
(22)【出願日】2018-10-02
(65)【公開番号】P2020056465
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】320005431
【氏名又は名称】Daigasエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小池 康弘
(72)【発明者】
【氏名】松本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】藤木 宏章
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-108410(JP,A)
【文献】国際公開第2014/080445(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0259249(US,A1)
【文献】特開2008-291817(JP,A)
【文献】特開平01-172700(JP,A)
【文献】特開2013-230063(JP,A)
【文献】特開平09-166291(JP,A)
【文献】特開平04-153527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 9/02
F17C 13/00
H02J 9/08
H02J 9/06
H02J 9/00
H02P 9/04
H02P 101/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LNGを気化して得られる天然ガスを含む燃料ガスを発電装置に供給する燃料ガス供給部と、前記燃料ガス供給部から供給される燃料ガスを消費して発電を行う前記発電装置と、電力系統及び前記発電装置の少なくとも一方から電力が供給される交流線とを備えるLNGサテライト設備であって、
前記交流線に接続される蓄電部を有し、前記交流線に供給されている電力を前記蓄電部で蓄えると共に、前記発電装置を起動するための電力を前記発電装置に供給できる補助電源装置を備え、
前記燃料ガス供給部は、供給される熱を保持すると共にその保持している熱とLNGとの温度差によりLNGを気化する気化部と、熱を前記気化部に供給する熱供給部とを有し、前記熱供給部は前記交流線から電力の供給を受けて動作し、前記気化部は複数の電力供給元に接続される電源切替装置から電力の供給を受けて動作するように構成され、
前記電源切替装置は、前記交流線に前記電力系統及び前記発電装置の少なくとも一方から電力が供給されている場合、前記電力供給元としての前記交流線から供給される電力を前記気化部に供給し、前記交流線に前記電力系統及び前記発電装置の両方から電力が供給されていない場合、前記電力供給元としての前記補助電源装置から供給される電力を前記気化部に供給するように構成されるLNGサテライト設備。
【請求項2】
前記燃料ガス供給部は、LNG貯槽で発生したボイルオフガスを前記燃料ガスとして前記発電装置に供給するボイルオフガス供給部を有し、
前記ボイルオフガス供給部は前記電源切替装置から電力の供給を受けて動作するように構成され、前記電源切替装置は、前記交流線に前記電力系統及び前記発電装置の少なくとも一方から電力が供給されている場合、前記電力供給元としての前記交流線から供給される電力を前記気化部及び前記ボイルオフガス供給部に供給し、前記交流線に前記電力系統及び前記発電装置の両方から電力が供給されていない場合、前記電力供給元としての前記補助電源装置から供給される電力を前記気化部及び前記ボイルオフガス供給部に供給するように構成される請求項1に記載のLNGサテライト設備。
【請求項3】
LNGを気化して得られる天然ガスを含む燃料ガスを発電装置に供給する燃料ガス供給部と、前記燃料ガス供給部から供給される燃料ガスを消費して発電を行う前記発電装置と、電力系統及び前記発電装置の少なくとも一方から電力が供給される交流線とを備えるLNGサテライト設備であって、
前記交流線に接続される蓄電部を有し、前記交流線に供給されている電力を前記蓄電部で蓄えると共に、前記発電装置を起動するための電力を前記発電装置に供給できる補助電源装置と、
前記交流線及び前記補助電源装置に接続されて、前記交流線及び前記補助電源装置の少なくとも何れか一方から電力の供給を受けることができる無停電電源装置とを備え、
前記燃料ガス供給部は、供給される熱を保持すると共にその保持している熱とLNGとの温度差によりLNGを気化する気化部と、熱を前記気化部に供給する熱供給部とを有し、前記熱供給部は前記交流線から電力の供給を受けて動作し、前記気化部は前記無停電電源装置を介して電力の供給を受けて動作するように構成されるLNGサテライト設備。
【請求項4】
前記燃料ガス供給部は、LNG貯槽で発生したボイルオフガスを前記燃料ガスとして前記発電装置に供給するボイルオフガス供給部を有し、
前記ボイルオフガス供給部は前記無停電電源装置を介して電力の供給を受けて動作するように構成される請求項3に記載のLNGサテライト設備。
【請求項5】
前記発電装置は、前記電力系統から前記交流線への電力供給が停止すると、発電を停止した後、前記補助電源装置から供給される電力を用いて動作することで発電を再開するように構成されている請求項1~4の何れか一項に記載のLNGサテライト設備。
【請求項6】
前記燃料ガス供給部から前記発電装置に供給される燃料ガスが通るガス流路の途中に、燃料ガスを一時的に貯えることができる貯留空間を有する燃料ガス貯留部を備える請求項1~5の何れか一項に記載のLNGサテライト設備。
【請求項7】
前記熱供給部は、前記交流線への電力供給が再開されると、動作を再開するように構成されている請求項1~6の何れか一項に記載のLNGサテライト設備。
【請求項8】
前記気化部は、前記交流線から電力が供給されないことで前記熱供給部が動作できないために前記熱供給部から前記気化部に熱を継続的に供給できない場合であっても、LNGを気化して所定量の天然ガスを生成できる熱を保持可能な熱媒体を有するように構成され、
前記所定量は、前記発電装置を起動してその発電電力を前記交流線に供給できるようになるまでの間に前記発電装置で消費される前記燃料ガスとしての天然ガスの量に相当する請求項1~7の何れか一項に記載のLNGサテライト設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LNGを気化して得られる天然ガスを含む燃料ガスを発電装置に供給する燃料ガス供給部と、燃料ガス供給部から供給される燃料ガスを消費して発電を行う発電装置と、電力系統及び発電装置の少なくとも一方から電力が供給される交流線とを備えるLNGサテライト設備に関する。
【背景技術】
【0002】
LNG(液化天然ガス)を輸送するLNGタンカーを受け入れるLNG受入基地から、例えばLNGローリーなどを用いてLNGをLNGサテライト基地に輸送し、そのLNGサテライト基地で所望の熱量のガスを製造することが行われている。LNGサテライト基地に設けられる装置で構成されるLNGサテライト設備には、LNGを気化して得られる天然ガスを含む燃料ガスを発電装置に供給する燃料ガス供給部と、その燃料ガス供給部から供給される燃料ガスを消費して発電を行う発電装置とが設置されることもある。このような発電装置を電力系統が停電している間に動作させることができれば、電力系統で停電が発生している間にもLNGの気化を行いつつ、LNGサテライト基地に設置されている幾つかの電力負荷に対して電力を供給できる。
【0003】
特許文献1(特開2008-144877号公報)には、LNGサテライト基地に発電装置としてのコージェネレーションシステムを設置した設備が記載されている。このコージェネレーションシステムは、LNGを移送するタンクローリーから供給されるLNGを気化して得られる天然ガスを消費して動作し、コージェネレーションシステムで発生した熱と電力とをLNGサテライト基地内に供給する。
【0004】
特許文献1に記載の設備では、LNGサテライト基地でLNGを気化するための気化部として、コージェネレーションシステムで発生した熱を利用した温水式のものが設けられている。尚、特許文献1には記載されていないが、温水を循環させるためのポンプ、及び、LNGやガスの流路を開閉する電磁弁などの電気機器は必要であるため、LNGを気化するために電力は必要である。
他にも、LNGサテライト基地において、ガスの燃焼熱を利用して熱媒を加熱するボイラを設け、そのボイラで加熱された熱媒の熱でLNGを気化させる気化部が用いられることもある。このような気化部でも、LNGやガスの流路を開閉する電磁弁などの電気機器は必要である。加えて、上述のようなボイラでは、ガスの燃焼に用いられる空気をボイラに供給するファンなどを動作させるため、及び、熱媒を流動させるポンプを動作させるため等に電力が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-144877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LNGサテライト基地に電力を供給する電力系統で停電が発生した場合、発電装置を起動するための起動用電源が設けられていたとしても、気化部を含む燃料ガス供給部に電力を供給できなければ、発電装置に燃料ガスを供給できず、電力系統の停電中に発電装置の起動や運転の継続を行えない事態に至る。
【0007】
尚、燃料ガス供給部に電力を供給するための非常用発電機や無停電電源装置を設けておき、電力系統で停電が発生した状況下で燃料ガス供給部に電力を供給することも可能ではある。しかし、非常用発電機を設置すると設備が大型化し且つコストが上昇し且つ継続的な保守管理が必要になるという問題が発生し、長時間の給電が可能な無停電電源装置を設置すると同じく設備が大型化し且つコストが上昇するという問題が発生する。
【0008】
そのため、燃料ガス供給部に対して電力を供給できる無停電電源装置を設置するとしても、短時間の給電が可能な無停電電源装置を設置するのが、電力系統の停電に対する現実的な対応になると考えられる。その場合、電力系統で停電が発生した後、短時間の間に発電装置の起動を行うのであれば、無停電電源装置から供給される電力によって動作する燃料ガス供給部の気化部でLNGを気化し、気化された天然ガスを含む燃料ガスを発電装置に供給できる。
【0009】
但し、発電装置への燃料ガスの供給を行えるとしても、発電装置側の問題によって発電装置を早期に起動できないこともある。例えば、電力系統で停電が発生した状況下で発電装置を起動するとき、その前に、遮断器を操作して電力負荷に対する給電経路を切り替えるなどの手順が必要であれば、そのような遮断器の操作に時間がかかり、発電装置を早期に起動できないことがある。また、発電装置が、燃料ガスを消費して動作するエンジンと、そのエンジンによって駆動される発電機とを有する場合、エンジンのノッキングや失火などの異常が発生すれば、発電装置を早期に起動できない可能性もある。
【0010】
そして、電力系統で停電が発生した後、早期に(例えば、無停電電源装置の給電可能時間内に)発電装置を起動できないと、燃料ガス供給部側では無停電電源装置からの電力の供給も行われなくなって(即ち、電磁弁なども動作できなくなって)、発電装置への燃料ガスの供給も行えなくなるという事態に至る。また、燃料ガス供給部側で無停電電源装置からの電力の供給も行われなくなることで、燃料ガス供給部が重故障停止といった状態(例えばLNGやガスの流路に設けられた緊急遮断弁が閉作動した状態など)に移行することもある。その場合、発電装置を起動用電源を用いて起動できても、燃料ガス供給部が動作を再開しないために発電装置には燃料ガスが供給されず、発電装置は運転継続できなくなる。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電力系統からの電力供給の停止が長時間になっても、発電装置の運転を開始してその運転を継続できるLNGサテライト設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係るLNGサテライト設備の特徴構成は、LNGを気化して得られる天然ガスを含む燃料ガスを発電装置に供給する燃料ガス供給部と、前記燃料ガス供給部から供給される燃料ガスを消費して発電を行う前記発電装置と、電力系統及び前記発電装置の少なくとも一方から電力が供給される交流線とを備えるLNGサテライト設備であって、
前記交流線に接続される蓄電部を有し、前記交流線に供給されている電力を前記蓄電部で蓄えると共に、前記発電装置を起動するための電力を前記発電装置に供給できる補助電源装置を備え、
前記燃料ガス供給部は、供給される熱を保持すると共にその保持している熱とLNGとの温度差によりLNGを気化する気化部と、熱を前記気化部に供給する熱供給部とを有し、前記熱供給部は前記交流線から電力の供給を受けて動作し、前記気化部は複数の電力供給元に接続される電源切替装置から電力の供給を受けて動作するように構成され、
前記電源切替装置は、前記交流線に前記電力系統及び前記発電装置の少なくとも一方から電力が供給されている場合、前記電力供給元としての前記交流線から供給される電力を前記気化部に供給し、前記交流線に前記電力系統及び前記発電装置の両方から電力が供給されていない場合、前記電力供給元としての前記補助電源装置から供給される電力を前記気化部に供給するように構成される点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、電力系統及び発電装置の少なくとも一方から交流線に電力が供給されている場合、燃料ガス供給部の熱供給部には交流線から電力が供給され、燃料ガス供給部の気化部には交流線から電源切替装置を経由して電力が供給される。つまり、燃料ガス供給部の気化部では、熱供給部から供給される熱を用いてLNGの気化を継続的に行うことができる。その結果、発電装置では、燃料ガス供給部から継続的に供給される燃料ガスを消費して、運転を継続できる。
【0014】
交流線に電力系統及び発電装置の両方から電力が供給されていない場合、即ち、例えば電力系統で停電などが発生すると共に発電装置の運転が停止している状況であっても、気化部は、発電装置を起動するための電力を供給できる補助電源装置から、電源切替装置を経由して供給される電力を用いて動作できる。そのため、交流線から電力が供給されないことで熱供給部が動作できないために熱供給部から気化部に熱を継続的に供給できなくても、気化部が保持している熱とLNGとの温度差が有る限りは、LNGを気化して得られる天然ガスを含む燃料ガスが発電装置に供給される。その結果、発電装置は、電力系統で停電などが発生すると共に発電装置の運転が停止している状況であっても、燃料ガス供給部から供給される燃料ガスを消費して運転を開始してその運転を一時的であっても継続できる。
【0015】
以上のように、本特徴構成では、電力系統で停電などが発生すると共に発電装置の運転が停止している状況であっても、発電装置の運転を開始してその運転を一時的であっても継続することで、発電装置から交流線に電力が供給される状況が作り出される。その結果、燃料ガス供給部の熱供給部には交流線から電力が供給されるため、燃料ガス供給部では、熱供給部から気化部に熱が継続的に供給され、且つ、供給される熱を用いて気化部でLNGが継続的に気化される。そして、燃料ガス供給部から発電装置に対して燃料ガスが継続的に供給されるため、発電装置は運転を継続して交流線に電力の供給を行い続けることができる。
従って、電力系統からの電力供給の停止が長時間になっても、発電装置の運転を開始してその運転を継続できるLNGサテライト設備を提供できる。
【0016】
本発明に係るLNGサテライト設備の別の特徴構成は、前記燃料ガス供給部は、LNG貯槽で発生したボイルオフガスを前記燃料ガスとして前記発電装置に供給するボイルオフガス供給部を有し、
前記ボイルオフガス供給部は前記電源切替装置から電力の供給を受けて動作するように構成され、前記電源切替装置は、前記交流線に前記電力系統及び前記発電装置の少なくとも一方から電力が供給されている場合、前記電力供給元としての前記交流線から供給される電力を前記気化部及び前記ボイルオフガス供給部に供給し、前記交流線に前記電力系統及び前記発電装置の両方から電力が供給されていない場合、前記電力供給元としての前記補助電源装置から供給される電力を前記気化部及び前記ボイルオフガス供給部に供給するように構成される点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、交流線に電力系統及び発電装置の両方から電力が供給されていない場合、即ち、例えば電力系統で停電などが発生すると共に発電装置の運転が停止している状況であっても、気化部及びボイルオフガス供給部は、発電装置を起動するための電力を供給できる補助電源装置から、電源切替装置を経由して供給される電力を用いて動作できる。そのため、上述したように気化部で気化された天然ガスを発電装置に供給できるだけでなく、ボイルオフガス供給部から発電装置にボイルオフガスを供給できる。よって、気化部から発電装置へ供給できるガス量が少なくても、ボイルオフガス供給部から供給されるガスによって、発電装置が必要とする燃料ガス量の少なくとも一部を賄うことができる。
【0018】
本発明に係るLNGサテライト設備の更に別の特徴構成は、LNGを気化して得られる天然ガスを含む燃料ガスを発電装置に供給する燃料ガス供給部と、前記燃料ガス供給部から供給される燃料ガスを消費して発電を行う前記発電装置と、電力系統及び前記発電装置の少なくとも一方から電力が供給される交流線とを備えるLNGサテライト設備であって、
前記交流線に接続される蓄電部を有し、前記交流線に供給されている電力を前記蓄電部で蓄えると共に、前記発電装置を起動するための電力を前記発電装置に供給できる補助電源装置と、
前記交流線及び前記補助電源装置に接続されて、前記交流線及び前記補助電源装置の少なくとも何れか一方から電力の供給を受けることができる無停電電源装置とを備え、
前記燃料ガス供給部は、供給される熱を保持すると共にその保持している熱とLNGとの温度差によりLNGを気化する気化部と、熱を前記気化部に供給する熱供給部とを有し、前記熱供給部は前記交流線から電力の供給を受けて動作し、前記気化部は前記無停電電源装置を介して電力の供給を受けて動作するように構成される点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、電力系統及び発電装置の少なくとも一方から交流線に電力が供給されている場合、燃料ガス供給部の熱供給部には交流線から電力が供給される。また、無停電電源装置には交流線からの電力供給も行われるので、燃料ガス供給部の気化部には無停電電源装置から継続して電力が供給される。つまり、燃料ガス供給部の気化部では、熱供給部から供給される熱を用いてLNGの気化を継続的に行うことができる。その結果、発電装置では、燃料ガス供給部から継続的に供給される燃料ガスを消費して、運転を継続できる。
【0020】
交流線に電力系統及び発電装置の両方から電力が供給されていない場合、即ち、例えば電力系統で停電などが発生すると共に発電装置の運転が停止している状況であっても、気化部は、無停電電源装置に蓄えられている電力の供給を受けて動作できる。更に、無停電電源装置には補助電源装置からの電力供給も行われるので、気化部には無停電電源装置から継続して電力が供給される。そのため、交流線から電力が供給されないことで熱供給部が動作できないために熱供給部から気化部に熱を継続的に供給できなくても、気化部が保持している熱とLNGとの温度差が有る限りは、LNGを気化して得られる天然ガスを含む燃料ガスが発電装置に供給される。その結果、発電装置は、電力系統で停電などが発生すると共に発電装置の運転が停止している状況であっても、燃料ガス供給部から供給される燃料ガスを消費して運転を開始してその運転を一時的であっても継続できる。
【0021】
以上のように、電力系統で停電などが発生すると共に発電装置の運転が停止している状況であっても、発電装置の運転を開始してその運転を一時的であっても継続することで、発電装置から交流線に電力が供給される状況が作り出される。その結果、燃料ガス供給部の熱供給部には交流線から電力が供給されるため、燃料ガス供給部では、熱供給部から気化部に熱が継続的に供給され、且つ、供給される熱を用いて気化部でLNGが継続的に気化される。そして、燃料ガス供給部から発電装置に対して燃料ガスが継続的に供給されるため、発電装置は運転を継続して交流線に電力の供給を行い続けることができる。
従って、電力系統からの電力供給の停止が長時間になっても、発電装置の運転を開始してその運転を継続できるLNGサテライト設備を提供できる。
【0022】
本発明に係るLNGサテライト設備の更に別の特徴構成は、前記燃料ガス供給部は、LNG貯槽で発生したボイルオフガスを前記燃料ガスとして前記発電装置に供給するボイルオフガス供給部を有し、
前記ボイルオフガス供給部は前記無停電電源装置を介して電力の供給を受けて動作するように構成される点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、交流線に電力系統及び発電装置の両方から電力が供給されていない場合、即ち、例えば電力系統で停電などが発生すると共に発電装置の運転が停止している状況であっても、気化部及びボイルオフガス供給部は、無停電電源装置から供給される電力を用いて動作できる。更に、無停電電源装置に蓄えられていた電力が無くなったとしても、気化部及びボイルオフガス供給部は、補助電源装置から無停電電源装置を介して供給される電力を用いて動作できる。そのため、上述したように気化部で気化された天然ガスを発電装置に供給できるだけでなく、ボイルオフガス供給部から発電装置にボイルオフガスを供給できる。よって、気化部から発電装置へ供給できるガス量が少なくても、ボイルオフガス供給部から供給されるガスによって、発電装置が必要とする燃料ガス量の少なくとも一部を賄うことができる。
【0024】
本発明に係るLNGサテライト設備の更に別の特徴構成は、前記発電装置は、前記電力系統から前記交流線への電力供給が停止すると、発電を停止した後、前記補助電源装置から供給される電力を用いて動作することで発電を再開するように構成されている点にある。
【0025】
上記特徴構成によれば、発電装置は、電力系統から交流線への電力供給が停止したとしても、補助電源装置から供給される電力を用いて動作することで発電を自動的に再開できる。それにより、交流線に電力が供給された状態を回復することができる。
【0026】
本発明に係るLNGサテライト設備の更に別の特徴構成は、前記燃料ガス供給部から前記発電装置に供給される燃料ガスが通るガス流路の途中に、燃料ガスを一時的に貯えることができる貯留空間を有する燃料ガス貯留部を備える点にある。
【0027】
上記特徴構成によれば、気化部で気化された天然ガスが少なくても、燃料ガス貯留部から発電装置へ充分な量の燃料ガスを供給できる。また、燃料ガス供給部から供給される単位時間当たりのガス量が変動しても、その変動が燃料ガス貯留部で緩和されて、発電装置へは伝わり難くなる。
【0028】
本発明に係るLNGサテライト設備の更に別の特徴構成は、前記熱供給部は、前記交流線への電力供給が再開されると、動作を再開するように構成されている点にある。
【0029】
上記特徴構成によれば、交流線への電力供給が再開されると、熱供給部は、交流線から電力の供給を受けて動作し、気化部に対して継続的な熱の供給を行うことができる。その結果、気化部でのLNGの気化が、熱供給部から継続的に供給される熱を用いて行われるようになる。
【0030】
本発明に係るLNGサテライト設備の更に別の特徴構成は、前記気化部は、前記交流線から電力が供給されないことで前記熱供給部が動作できないために前記熱供給部から前記気化部に熱を継続的に供給できない場合であっても、LNGを気化して所定量の天然ガスを生成できる熱を保持可能な熱媒体を有するように構成され、
前記所定量は、前記発電装置を起動してその発電電力を前記交流線に供給できるようになるまでの間に前記発電装置で消費される前記燃料ガスとしての天然ガスの量に相当する点にある。
【0031】
上記特徴構成によれば、熱供給部から気化部に熱を継続的に供給できない場合であっても、気化部が有する熱媒体が保持している熱によりLNGを気化して、発電装置を起動してその発電電力を交流線に供給できるようになるまでの間に発電装置で消費される量の天然ガスを生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1実施形態のLNGサテライト設備の概略的な構成を説明する図である。
図2】交流線に電力系統及び発電装置の少なくとも一方から電力が供給されている状態を示す図である。
図3】交流線に電力系統及び発電装置の両方から電力が供給されていない状態を示す図である。
図4】LNGサテライト設備の具体例を示す図である。
図5】電力系統で停電が発生した直後の状態を示す図である。
図6】発電装置が起動した後の状態を示す図である。
図7】電力系統からの電力供給が再開した後の状態を示す図である。
図8】発電装置を電力系統に再連系させた状態を示す図である。
図9】第2実施形態のLNGサテライト設備の概略的な構成を説明する図である。
図10】第2実施形態の燃料ガス供給部の構成例を示す図である。
図11】第3実施形態のLNGサテライト設備の概略的な構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係るLNGサテライト設備について説明する。
図1は、第1実施形態のLNGサテライト設備の概略的な構成を説明する図である。LNGサテライト設備が設けられるLNGサテライト基地には、LNG(液化天然ガス)を輸送するLNGタンカーを受け入れるLNG受入基地から、例えばLNGローリーなどを用いてLNGが輸送される。図示するように、LNGサテライト設備は、LNGを気化して得られる天然ガスを含む燃料ガスを発電装置11に供給する燃料ガス供給部30と、燃料ガス供給部30から供給される燃料ガスを消費して発電を行う発電装置11と、電力系統1及び発電装置11の少なくとも一方から電力が供給される交流線2とを備える。
【0034】
図1に示す例では、交流線2には、重要電力負荷3と一般電力負荷4とが接続されている。具体的には、交流線2は遮断器Aを介して電力系統1に接続され、重要電力負荷3は遮断器Cを介して交流線2に接続され、一般電力負荷4は遮断器Dを介して交流線2に接続されている。重要電力負荷3は、例えば、主要な照明装置、サーバ装置、通信装置、計器類などである。一般電力負荷4は、電力系統1の停電時には消灯しても構わない照明装置などである。尚、LNGサテライト基地に設けられている電力負荷のうち、どの電力負荷を重要電力負荷3とし、どの電力負荷を一般電力負荷4とするのかは、適宜設定可能である。
【0035】
燃料ガス供給部30は、供給される熱を保持すると共にその保持している熱とLNGとの温度差によりLNGを気化する気化部36と、熱を気化部36に供給する熱供給部31とを有する。熱供給部31は交流線2から電力の供給を受けて動作する。気化部36は、例えばLNGやガスの流路を開閉する電磁弁などを有し、複数の電力供給元に接続される電源切替装置8から電力の供給を受けて動作する。
【0036】
発電装置11は、燃料ガス供給部30から供給される燃料ガスを消費して動作するエンジン11aと、そのエンジン11aによって駆動される発電機11bとを有する。発電機11bは、交流線2に接続される。発電機11bで発電された電力は交流線2に供給される。
【0037】
LNGサテライト設備は、交流線2に接続される補助電源装置20を備える。補助電源装置20は、交流線2に接続される蓄電部21を有し、交流線2に供給されている電力を蓄電部21で蓄えると共に、発電装置11を起動するための電力を発電装置11に供給できる。例えば、補助電源装置20は、発電装置11に付随して設けられる装置である。そのため、蓄電部21は、例えば電力系統1からの電力供給が停止した停電時に、発電装置11を起動するのに要する電力を充分に供給できるだけの容量を有していることが好ましい。
【0038】
LNGサテライト設備は、電源切替装置8を備える。電源切替装置8は、燃料ガス供給部30の気化部36にとっての電力供給元を、交流線2及び補助電源装置20の何れか一方に自動的に切り替えるように動作する。例えば、電源切替装置8は、交流線2に接続される接点aと、補助電源装置20に接続される接点bと、燃料ガス供給部30の気化部36に接続される接点cとを備える。尚、これら接点a~接点cは物理的な接触及び非接触が切り替えられるものに限定されず、例えば半導体素子などを用いて導通及び非導通が切り替えられるものであってもよい。そして、電源切替装置8は、交流線2から接点aへの電力供給が行われている場合は接点aと接点cとを導通させる(即ち、燃料ガス供給部30の気化部36には交流線2から電力が供給される)ように動作し、交流線2から接点aへの電力供給が行われていない場合は接点bと接点cとを導通させる(即ち、燃料ガス供給部30の気化部36には補助電源装置20から電力が供給される)ように動作する。
【0039】
つまり、電源切替装置8は、交流線2に電力系統1及び発電装置11の少なくとも一方から電力が供給されている場合、電力供給元としての交流線2から供給される電力を気化部36に供給する。その結果、電力系統1及び発電装置11の少なくとも一方から交流線2に電力が供給されている場合、燃料ガス供給部30の熱供給部31には交流線2から電力が供給され、燃料ガス供給部30の気化部36には交流線2から電源切替装置8を経由して電力が供給される。つまり、燃料ガス供給部30の気化部36では、熱供給部31から供給される熱を用いてLNGの気化を継続的に行うことができる。そして、発電装置11では、燃料ガス供給部30から継続的に供給される燃料ガスを消費して、運転を継続できる。
【0040】
それに対して、電源切替装置8は、交流線2に電力系統1及び発電装置11の両方から電力が供給されていない場合、電力供給元としての補助電源装置20の蓄電部21から供給される電力を気化部36に供給する。その結果、交流線2に電力系統1及び発電装置11の両方から電力が供給されていない場合であっても、即ち、例えば電力系統1で停電などが発生すると共に発電装置11の運転が停止している状況であっても、気化部36は、電源切替装置8を経由して補助電源装置20から供給される電力を用いて動作できる。そのため、交流線2から電力が供給されないことで熱供給部31が動作できないために熱供給部31から気化部36に熱を継続的に供給できなくても、気化部36が保持している熱とLNGとの温度差が有る限りは、LNGを気化して得られる天然ガスを含む燃料ガスが発電装置11に供給される。その結果、発電装置11は、電力系統1で停電などが発生すると共に発電装置11の運転が停止している状況であっても、燃料ガス供給部30から供給される燃料ガスを消費して運転を開始してその運転を一時的であっても継続できる。
【0041】
以上のように、電力系統1で停電などが発生すると共に発電装置11の運転が停止している状況であっても、発電装置11の運転を開始してその運転を一時的であっても継続することで、発電装置11から交流線2に電力が供給されている状況が作り出される。その結果、燃料ガス供給部30の熱供給部31には交流線2から電力が供給されるため、燃料ガス供給部30では、熱供給部31から気化部36に熱が継続的に供給され、且つ、供給される熱を用いて気化部36でLNGが継続的に気化される。そして、燃料ガス供給部30から発電装置11に対して燃料ガスが継続的に供給されるため、発電装置11は運転を継続して交流線2に電力の供給を行い続けることができる。
【0042】
図2は、交流線2に電力系統1及び発電装置11の少なくとも一方から電力が供給されている状態を示す図である。図中では、電力の供給が行われている箇所を太線で描き、投入されている(接続されている)遮断器を太線で描いている。図2に記載した例では、交流線2に電力系統1及び発電装置11の両方から電力が供給されている。そして、電源切替装置8は、接点aと接点cとを導通させている。その結果、燃料ガス供給部30の気化部36には、交流線2から電源切替装置8を経由して電力が供給される。また、燃料ガス供給部30の熱供給部31にも交流線2から電力が供給される。従って、燃料ガス供給部30の気化部36では、熱供給部31から供給された熱を用いてLNGの気化を継続的に行うことができる。
【0043】
発電装置11は、燃料ガス供給部30から継続的に供給される天然ガスを含む燃料ガスを消費して、運転を継続的に行うことができる。発電装置11は、発生した電力を交流線2へと供給できる。そして、発電装置11から交流線2に供給された電力は、重要電力負荷3及び一般電力負荷4でも消費できる。
【0044】
図3は、交流線2に電力系統1及び発電装置11の両方から電力が供給されていない状態を示す図である。例えば、図3に示すのは、電力系統1で停電が発生した直後の状態に対応する。この状態では交流線2に電力が供給されていないため、電源切替装置8は接点bと接点cとを導通させている。その結果、燃料ガス供給部30の気化部36には、補助電源装置20から電源切替装置8を経由して電力が供給される。交流線2には電力が供給されていないため、燃料ガス供給部30の熱供給部31には電力が供給されない。そのため、燃料ガス供給部30において熱供給部31から気化部36への熱の供給が行われない。
【0045】
但し、燃料ガス供給部30の熱供給部31に電力が供給されなくなることで、燃料ガス供給部30において熱供給部31から気化部36への熱の供給が行われなくなったとしても、燃料ガス供給部30の気化部36が、それ以前に燃料ガス供給部30の熱供給部31から供給されていた熱を保持しており、その保持している熱とLNGとの温度差が存在していれば、気化部36ではLNGを気化させることができる。そして、気化部36で気化した天然ガスを含む燃料ガスを発電装置11へ供給できる。また、補助電源装置20は、発電装置11を起動するための電力を発電装置11に供給できる。その結果、発電装置11は、燃料ガス供給部30から供給される燃料ガスを消費して運転を開始してその運転を一時的であっても継続できる。
【0046】
そして、発電装置11が、燃料ガス供給部30から供給される燃料ガスを消費して運転を開始してその運転を一時的であっても継続すると、発電装置11が発生した電力が交流線2に供給されるため、熱供給部31への電力供給も再開される。その結果、燃料ガス供給部30において熱供給部31から気化部36への熱の供給が再開されて、気化部36でのLNGの気化が確実に行われるようになる。また、交流線2に電力が供給されることで、電源切替装置8は接点aと接点cとを導通させて、気化部36にも交流線2から電力が供給され続ける。
以上のように、図3に示したような、電力系統1で停電が発生した直後の状態であっても、その後、発電装置11が継続的に運転できる状態へと発電装置11の状態を移行させることができる。
【0047】
図4は、LNGサテライト設備の具体例を示す図である。
交流線2は、遮断器Aを介して電力系統1に接続されている。交流線2の途中には分電盤や端子台などが設けられて電力線が分岐しているが、図4ではそれらの分電盤や端子台などについては図示を省略する。図4に示す例では、交流線2の第1接続箇所P1には、遮断器Dを介して一般電力負荷4が接続されている。交流線2の第2接続箇所P2には、遮断器Cを介して重要電力負荷3が接続されている。交流線2の第3接続箇所P3には、遮断器Fを介して発電装置11が接続されている。交流線2の第4接続箇所P4には、発電装置11で用いられるポンプやファンなどの発電装置補機12が接続されている。交流線2の第5接続箇所P5には、補助電源装置20が接続されている。交流線2の第6接続箇所P6には、変圧器10を介して電源切替装置8が接続されている。交流線2の第7接続箇所P7には、燃料ガス供給部30の熱供給部31が接続されている。
【0048】
交流線2の第1接続箇所P1と第2接続箇所P2との間には遮断器Bが設けられ、第2接続箇所P2と第3接続箇所P3との間には遮断器Eが設けられる。交流線2の第3接続箇所P3と第4接続箇所P4との間には変圧器9が設けられる。
【0049】
補助電源装置20は、蓄電部21と、電力変換器22と、変圧部23と、電力変換器24とを有する。電力変換器22は、交流線2の第5接続箇所P5に接続され、交流線2から入力される交流電力を直流電力に変換して蓄電部21及び変圧部23の側へ出力する。変圧部23は、例えばシリコンドロッパなどを用いた降圧回路である。電力変換器24は、変圧部23で降圧された後の直流電力を所望の交流電力に変換して電源切替装置8の接点bの側へ出力する。
【0050】
補助電源装置20において、変圧部23と電力変換器24との間の直流部からは、発電装置制御部C2及び遮断器制御部C3へと直流電力が供給される。補助電源装置20は、交流線2に電力が供給されなくなっても、発電装置制御部C2及び遮断器制御部C3に対して、蓄電部21に蓄えられている電力を供給できる。つまり、発電装置制御部C2及び遮断器制御部C3は、交流線2に電力が供給されなくなっても、補助電源装置20から電力が供給されている限り、動作し続けることができる。
発電装置制御部C2及び遮断器制御部C3の動作については後述する。
【0051】
図4に示したLNGサテライト設備では無停電電源装置13を設けている。無停電電源装置13は、電源切替装置8と気化部36との間に接続され、その電源切替装置8から供給される電力を蓄えると共に気化部36に電力を供給できる。この場合、電源切替装置8は、無停電電源装置13にとっての電力供給元を交流線2及び補助電源装置20の何れか一方に切り替えるように動作する。具体的には、電源切替装置8の接点cには無停電電源装置13が接続され、その無停電電源装置13にはサテライト制御部C1及び燃料ガス供給部30の気化部36が接続されるような構成になっている。このような構成を採用することで、例えば交流線2で瞬時電圧低下が発生しても、無停電電源装置13を経由して、サテライト制御部C1及び気化部36へは安定した電力供給を行うことができる。また、交流線2に電力系統1及び発電装置11の両方から電力が供給されていない場合、即ち、例えば電力系統1で停電などが発生すると共に発電装置11の運転が停止している状況であっても、サテライト制御部C1及び気化部36は、無停電電源装置13に蓄えられている電力の供給を受けて動作できる。
【0052】
このような無停電電源装置13が設けられている場合、電源切替装置8は、上述したような、自動的に、無停電電源装置13にとっての電力供給元を交流線2及び補助電源装置20の何れか一方に切り替えるように動作する構成であっても良いし、或いは、他の制御機器からの指令に応じて、無停電電源装置13にとっての電力供給元を交流線2及び補助電源装置20の何れか一方に切り替えるように動作するスイッチを用いて構成されてもよい。後者の場合、上記制御機器は、無停電電源装置13に蓄えられている電力(蓄電残量)を監視しており、その蓄電残量が設定値以上の場合(即ち、無停電電源装置13から電力が供給されている場合)には無停電電源装置13が交流線2に接続されるように電源切替装置8を動作させ、その蓄電残量が設定値未満になると(即ち、無停電電源装置13から電力が供給されなくなると)、次に交流線2への電力供給が開始されるまでは、無停電電源装置13が補助電源装置20に接続されて、補助電源装置20から無停電電源装置13への電力供給が行われるように電源切替装置8を動作させるような制御を行うことができる。
【0053】
燃料ガス供給部30の熱供給部31は、熱媒が循環する熱媒流路33、及び、その熱媒流路33を循環する熱媒を加熱できる加熱部32、及び、熱媒流路33において熱媒を循環させるポンプ34、及び、熱媒流路33を流れる熱媒が保有する熱とLNG流路6を流れるLNGとを熱交換させる熱交換器35を有する。本実施形態では、LNG流路6は電磁弁37の下流側で二手に分岐しており、分岐後のLNG流路6a,6bの夫々に電磁弁38a,38bと熱交換器35a,35bが設けられている。このような構成により、熱交換器35ではLNGが気化され、熱交換器35で気化された天然ガスは、ガス流路7a、7bを通り、ガバナー39によって圧力が調整された上でガス流路7から発電装置11の側へ供給される。
【0054】
加熱部32は、例えばガスを燃焼させ、その燃焼熱を利用して熱媒流路33を流れる熱媒を加熱するボイラを用いて構成される。燃焼させるガスは例えばガス流路7から分岐させた天然ガスである。このようなボイラでは、酸素(空気)を供給するためのファン(図示せず)などを動作させるために電力が必要である。また、熱媒を循環させるためのポンプ34を動作させるのにも電力が必要である。本実施形態では、燃料ガス供給部30の熱供給部31は交流線2の第7接続箇所P7に接続されており、交流線2から供給される電力を用いて熱供給部31(例えば、上述したファンやポンプ34など)は動作する。
【0055】
燃料ガス供給部30の気化部36は、LNG流路6の途中に設けられる電磁弁37、及び、その電磁弁37よりも下流側で分岐したLNG流路6a,6bの途中に設けられる電磁弁38a,38b、及び、熱媒流路33を流れる熱媒が保有する熱とLNG流路6を流れるLNGとを熱交換させる熱交換器35a,35bを有する。電磁弁37及び電磁弁38a,38bの動作はサテライト制御部C1が制御する。つまり、燃料ガス供給部30の気化部36は、電源切替装置8を経由して供給される電力を用いて動作する。
【0056】
次に、図5図8を参照して、電力系統1で停電が発生した直後から、発電装置11が起動し、電力系統1からの電力供給が再開し、発電装置11を電力系統1に再連系させるまでのLNGサテライト設備の動作例について説明する。尚、図中では、電力の供給が行われている箇所を太線で描き、投入されている(接続されている)遮断器を太線で描いている。
【0057】
〔停電発生直後〕
図5は、電力系統1で停電が発生した直後の状態を示す図である。
発電装置制御部C2は、電力系統1で停電が発生すると、発電装置11を停止させると共に遮断器Fを遮断作動させる。例えば、電力系統1での停電の発生は、電力系統1での電力の電圧を検出できる電圧センサを用いて実現できる。その場合、発電装置制御部C2は、遮断器Aよりも電力系統1の側での電圧が所定の電圧よりも低下すると、電力系統1で停電が発生したと判定する。そして、発電装置制御部C2は、電力系統1で停電が発生したと判定すると、自身のエンジン11a及び発電機11bを停止させる。その結果、電力系統1及び発電装置11の両方からの交流線2への電力供給が停止するが、発電装置制御部C2及び遮断器制御部C3へは、補助電源装置20の蓄電部21に電力が蓄えられている限り、補助電源装置20からの電力供給が継続される。また、発電装置制御部C2は、エンジン11a及び発電機11bの動作を検証する自動リセット機能を実行する。
【0058】
遮断器制御部C3は、電力系統1で停電が発生して、遮断器Aよりも電力系統1の側での電圧が所定の電圧よりも低下すると、遮断器A、遮断器B、遮断器C、遮断器Dを遮断作動させる。加えて、遮断器制御部C3は、電力系統1及び発電装置11の両方からの交流線2への電力供給が停止すると、遮断器Eを遮断作動させる。各遮断器が以上のように作動することで、重要電力負荷3及び一般電力負荷4には電力が供給されなくなる。
【0059】
交流線2には電力が供給されていないため、電源切替装置8は、接点bと接点cとを導通させるように動作する。その結果、サテライト制御部C1及び気化部36に対して、補助電源装置20の蓄電部21に蓄えられている電力を供給可能な状態になる。サテライト制御部C1は、気化部36を構成する電磁弁37を開作動させ、電磁弁38a,38bの少なくとも一方を開作動させることで、LNGを熱交換器35に供給することができる。この状態では熱供給部31には電力が供給されていないため、加熱部32で新たに熱を発生させることはできず且つ熱媒流路33に熱媒を流すこと(即ち、熱交換器35に熱を新たに供給すること)はできないが、電力系統1で停電が発生する前に熱交換器35が保持していた熱が残っている。そのため、熱交換器35では、保持している熱と供給されるLNGとの温度差によりLNGを気化することができる。
【0060】
気化部36が有する熱交換器35は、熱媒流路33から供給される熱をできるだけ多く保持できる材料や構造を採用しておくことが好ましい。例えば、熱交換器35を構成する材料が多くの熱を保持可能な熱媒体として機能するように構成しておくと、熱媒流路33から新たな熱が供給されなくなっても、既に保持している熱を用いてより多くのLNGを気化できる。具体的には、気化部36は、交流線2から電力が供給されないことで熱供給部31が動作できないために熱供給部31から気化部36に熱を継続的に供給できない場合であっても、LNGを気化して所定量の天然ガスを生成できる熱を保持可能な熱媒体を有するように構成される。例えば、上記所定量は、発電装置11を起動してその発電電力を交流線2に供給できるようになるまでの間に発電装置11で消費される燃料ガスとしての天然ガスの量に相当する。そうすると、熱供給部31から気化部36に熱を継続的に供給できない場合であっても、気化部36が有する熱媒体が既に保持している熱によりLNGを気化して、発電装置11を起動してその発電電力を交流線2に供給できるようになるまでの間に発電装置11で消費される量の天然ガスを生成できる。
以上のようにして、図5に示す状態では、熱交換器35で気化された天然ガスをガス流路7を介して発電装置11へと供給できる。
【0061】
〔発電装置起動後〕
図6は、発電装置11が起動した後の状態を示す図である。
発電装置制御部C2は、上述のように気化された天然ガスを含む燃料ガスを消費してエンジン11aの運転を開始させ、そのエンジン11aによって発電機11bを駆動して、発電装置11の発電運転を開始させる。つまり、発電装置11は、電力系統1から交流線2への電力供給が停止すると、発電を停止した後、補助電源装置20から供給される電力を用いて動作することで発電を再開するように構成されている。例えば、発電装置制御部C2は、上述した自動リセット機能を実行した後、自身のエンジン11a及び発電機11bの運転を開始させる自動起動機能(ブラックアウトスタート機能:BOS機能)を実行させる。その後、発電装置制御部C2は、発電機11bの出力電圧が所定電圧(例えば6.6kV等)になると遮断器Fを投入し、それに応じて例えば第3接続箇所P3での電圧が所定電圧(例えば6.6kV等)になると、遮断器制御部C3は遮断器Eを投入する。加えて、遮断器制御部C3は、遮断器Cを投入する。その結果、電力系統1は停電中ではあるが、発電装置11から交流線2への電力供給が再開され、重要電力負荷3へも電力が供給される。加えて、発電装置11で用いられるポンプやファンなどの発電装置補機12にも交流線2から電力が供給される。
【0062】
交流線2に電力が供給されているため、電源切替装置8は、接点aと接点cとを導通させるように動作する。その結果、サテライト制御部C1及び気化部36に対しては、交流線2から電力を供給可能な状態になる。また、燃料ガス供給部30の熱供給部31へも交流線2から電力が供給可能になる。そして、熱供給部31は、交流線2への電力供給が再開されると、動作を再開するように構成されている。本実施形態では、サテライト制御部C1は、交流線2から供給される電力を用いて熱供給部31の加熱部32及びポンプ34を動作させて、熱供給部31から気化部36への熱の供給を開始する。例えば、熱供給部31の加熱部32は、交流線2への電力供給(即ち、自身への電力供給)が再開されると、自身の動作を検証する自動リセット機能を実行する。尚、加熱部32に供給される燃焼用のガス圧が低下している場合や、燃焼用空気の吸気フィルタの目詰まりが発生している場合などには、自動リセット機能を正常に実行できないこともある。そして、熱供給部31の加熱部32は、自動リセット機能が正常に実行できれば、その後、熱媒流路33を循環する熱媒に対する加熱動作を再開する。また、ポンプ34も運転を開始する。それにより、気化部36でのLNGの気化が、熱供給部31から継続的に供給される熱を用いて行われるようになる。
【0063】
〔電力系統復電直後〕
図7は、電力系統1からの電力供給が再開した後の状態を示す図である。
発電装置制御部C2は、電力系統1からの電力供給が再開されて、遮断器Aよりも電力系統1の側での電圧が所定の電圧以上になると(即ち、復電すると)、遮断器A及び遮断器Dを投入する。その結果、一般電力負荷4には電力系統1から電力が供給される。
尚、この時点では遮断器Bが遮断作動しているため、発電装置11は電力系統1に連系されていない。
【0064】
〔系統連系後〕
図8は、発電装置11を電力系統1に再連系させた状態を示す図である。
発電装置制御部C2は、遮断器Bの一次側(電力系統1側)と二次側(発電装置11側)とで電力が同期するように発電装置11の動作を制御し、同期したタイミングで遮断器制御部C3に対して遮断器Bの投入指令を行う。そして、遮断器制御部C3が遮断器Bを投入することで、発電装置11と電力系統1とが連系される。
【0065】
<第2実施形態>
第2実施形態のLNGサテライト設備は、ボイルオフガス供給部41及び燃料ガス貯留部50を備える点で第1実施形態と異なる。以下に第2実施形態のLNGサテライト設備について説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0066】
図9は、第2実施形態のLNGサテライト設備の概略的な構成を説明する図である。図示するように、燃料ガス供給部30は、LNG貯槽5で発生したボイルオフガス(BOG)を燃料ガスとして発電装置11に供給するボイルオフガス供給部41を有する。ボイルオフガス供給部41は、気化部36と同様に電源切替装置8の接点cに接続されており、電源切替装置8を経由して、交流線2又は補助電源装置20から電力の供給を受けることができる。つまり、本実施形態の電源切替装置8は、交流線2に電力系統1及び発電装置11の少なくとも一方から電力が供給されている場合、電力供給元としての交流線2から供給される電力を気化部36及びボイルオフガス供給部41に供給し、交流線2に電力系統1及び発電装置11の両方から電力が供給されていない場合、電力供給元としての補助電源装置20から供給される電力を気化部36及びボイルオフガス供給部41に供給するように構成される。
【0067】
加えて、本実施形態のLNGサテライト設備は、燃料ガス供給部30から発電装置11に供給される燃料ガスが通るガス流路7の途中に、燃料ガスを一時的に貯えることができる貯留空間を有する燃料ガス貯留部50を備える。
【0068】
図10は、燃料ガス供給部30の構成例を示す図である。LNGサテライト設備は、ボイルオフガス供給部41を備えることで、LNG貯槽5の内部に存在するボイルオフガスをボイルオフガス流路40を経由して発電装置11に供給できる。図示するように、ボイルオフガス供給部41は、BOG加温器42、及び、電磁弁43、及び、ガバナー44を有する。BOG加温器42は、ボイルオフガス流路40を通って供給される、LNG貯槽5の内部に存在していたボイルオフガスを、例えば大気の熱により加温する装置である。電磁弁43の動作は図4に示したサテライト制御部C1が制御する。このような構成により、ボイルオフガス供給部41からは、加温されたボイルオフガスが下流側へと供給され、ガバナー44によって圧力が調整された上でガス流路7を通って発電装置11の側へ供給される。
【0069】
例えば、ボイルオフガス供給部41のガバナー44の設定圧は、気化部36によって気化されたガスの圧力を調整するガバナー39の設定圧よりも高く設定されている。従って、ボイルオフガス供給部41及び気化部36の両方から発電装置11に対して燃料ガスを供給可能な状態になっている場合、ボイルオフガス供給部41から発電装置11への燃料ガスの供給が優先して行われる。
【0070】
このように、燃料ガス供給部30がボイルオフガス供給部41を有している場合、気化部36から発電装置11へ供給できるガス量が少なくても、ボイルオフガス供給部41から供給されるガスによって、発電装置11が必要とする燃料ガス量の少なくとも一部を賄うことができる。
【0071】
加えて、LNGサテライト設備はガス流路7の途中に燃料ガス貯留部50を備えるので、気化部36で気化された天然ガスが少なくても、その燃料ガス貯留部50から発電装置11へ充分な量の燃料ガスを供給できる。また、燃料ガス供給部30から供給される単位時間当たりのガス量が変動しても、その変動が燃料ガス貯留部50で緩和されて、発電装置11へは伝わり難くなる。燃料ガス貯留部50において燃料ガスを一時的に貯えることができる貯留空間の容量をどの程度にするのかは適宜設定可能である。
【0072】
本実施形態の場合でも、電力系統1で停電が発生した直後、サテライト制御部C1は、気化部36を構成する電磁弁37を開作動させ、電磁弁38a,38bの少なくとも一方を開作動させる。それにより、気化部36を構成する熱交換器35にLNGを供給して、熱交換器35で気化された天然ガスをガス流路7を介して発電装置11へと供給できる。加えて、電力系統1で停電が発生した直後、サテライト制御部C1は、ボイルオフガス供給部41の電磁弁43を開作動させる。それにより、LNG貯槽5の内部に存在するボイルオフガスがボイルオフガス流路40に流れ出す。そして、ボイルオフガスは、BOG加温器42で加温され、ガバナー44によって圧力が調整された上でガス流路7に合流する。尚、サテライト制御部C1が、電力系統1で停電が発生した直後にボイルオフガス供給部41の電磁弁43を開作動させる期間を所定期間だけに制限してもよい。
【0073】
<第3実施形態>
第3実施形態のLNGサテライト設備は、気化部36への電力供給形態が上記実施形態と異なる。以下に第3実施形態のLNGサテライト設備について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0074】
図11は、第3実施形態のLNGサテライト設備の概略的な構成を説明する図である。図示するように、LNGサテライト設備は、LNGを気化して得られる天然ガスを含む燃料ガスを発電装置11に供給する燃料ガス供給部30と、燃料ガス供給部30から供給される燃料ガスを消費して発電を行う発電装置11と、電力系統1及び発電装置11の少なくとも一方から電力が供給される交流線2とを備える。
本実施形態のLNGサテライト設備には、上記実施形態と異なり、電源切替装置8を設けていない。
【0075】
加えて、LNGサテライト設備は、交流線2に接続される蓄電部21を有し、交流線2に供給されている電力を蓄電部21で蓄えると共に、発電装置11を起動するための電力を発電装置11に供給できる補助電源装置20と、交流線2及び補助電源装置20に接続されて、交流線2及び補助電源装置20の少なくとも何れか一方から電力の供給を受けることができる無停電電源装置14とを備える。無停電電源装置14は、交流線2から供給される電力及び補助電源装置20から供給される電力を蓄えることが出来る蓄電部(図示せず)を有する。燃料ガス供給部30の熱供給部31は交流線2から電力の供給を受けて動作し、気化部36は無停電電源装置14を介して電力の供給を受けて動作するように構成される。
【0076】
第3実施形態のLNGサテライト設備でも、電力系統1及び発電装置11の少なくとも一方から交流線2に電力が供給されている場合、燃料ガス供給部30の熱供給部31には交流線2から電力が供給される。また、無停電電源装置14には交流線2からの電力供給も行われるので、燃料ガス供給部30の気化部36には無停電電源装置14から継続して電力が供給される。つまり、燃料ガス供給部30の気化部36では、熱供給部31から供給される熱を用いてLNGの気化を継続的に行うことができる。その結果、発電装置11では、燃料ガス供給部30から継続的に供給される燃料ガスを消費して、運転を継続できる。
【0077】
交流線2に電力系統1及び発電装置11の両方から電力が供給されていない場合、即ち、例えば電力系統1で停電などが発生すると共に発電装置11の運転が停止している状況であっても、気化部36は、無停電電源装置14に蓄えられている電力の供給を受けて動作できる。更に、無停電電源装置14には補助電源装置20からの電力供給も行われるので、気化部36には無停電電源装置14から継続して電力が供給される。そのため、交流線2から電力が供給されないことで熱供給部31が動作できないために熱供給部31から気化部36に熱を継続的に供給できなくても、気化部36が保持している熱とLNGとの温度差が有る限りは、LNGを気化して得られる天然ガスを含む燃料ガスが発電装置11に供給される。その結果、発電装置11は、電力系統1で停電などが発生すると共に発電装置11の運転が停止している状況であっても、燃料ガス供給部30から供給される燃料ガスを消費して運転を開始してその運転を一時的であっても継続できる。
【0078】
以上のように、電力系統1で停電などが発生すると共に発電装置11の運転が停止している状況であっても、発電装置11の運転を開始してその運転を一時的であっても継続することで、発電装置11から交流線2に電力が供給される状況が作り出される。その結果、燃料ガス供給部30の熱供給部31には交流線2から電力が供給されるため、燃料ガス供給部30では、熱供給部31から気化部36に熱が継続的に供給され、且つ、供給される熱を用いて気化部36でLNGが継続的に気化される。そして、燃料ガス供給部30から発電装置11に対して燃料ガスが継続的に供給されるため、発電装置11は運転を継続して交流線2に電力の供給を行い続けることができる。
【0079】
また、図示は省略するが、上記第2実施形態で説明したのと同様に、燃料ガス供給部30は、LNG貯槽5で発生したボイルオフガスを燃料ガスとして発電装置11に供給するボイルオフガス供給部41を有していてもよい。その場合、ボイルオフガス供給部41は無停電電源装置14を介して電力の供給を受けて動作するように構成すればよい。
加えて、LNGサテライト設備は、燃料ガス供給部30から発電装置11に供給される燃料ガスが通るガス流路7の途中に、燃料ガスを一時的に貯えることができる貯留空間を有する燃料ガス貯留部50を備えていてもよい。
【0080】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明のLNGサテライト設備について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態において、発電装置11は、燃料ガスを燃焼させることで発生する燃焼ガスにより回転するタービンと、そのタービンによって駆動される発電機11bとを備えるタイプなど、様々なタイプの装置によって実現できる。
【0081】
<2>
上記実施形態では、気化部36が2つの熱交換器35を備える例を説明したが、気化部36が備える熱交換器35の数は適宜設定可能である。但し、図5に示したような電力系統1で停電が発生した直後の状態では、気化部36で気化されるガスの量ができるだけ多くなるように、気化部36が備える全ての熱交換器35でLNGの気化が行われることが好ましい。
【0082】
<3>
上記実施形態では、LNGサテライト設備に、サテライト制御部C1及び発電装置制御部C2及び遮断器制御部C3が設けられている例を説明したが、LNGサテライト設備に設ける制御部の数や、どの制御部がどのような機能を担うのかは適宜設定可能である。また、LNGサテライト設備において、サテライト制御部C1及び発電装置制御部C2及び遮断器制御部C3が上述したような制御を自動的に行っても良いし、LNGサテライト設備の運用者からの指令に応じて行っても良い。
【0083】
<4>
上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、電力系統からの電力供給の停止が長時間になっても、発電装置の運転を開始してその運転を継続できるLNGサテライト設備に利用できる。
【符号の説明】
【0085】
1 電力系統
2 交流線
5 LNG貯槽
7 ガス流路
8 電源切替装置
11 発電装置
13 無停電電源装置
14 無停電電源装置
20 補助電源装置
21 蓄電部
30 燃料ガス供給部
31 熱供給部
36 気化部
41 ボイルオフガス供給部
50 燃料ガス貯留部
図1
図2
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図11