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特許7126455複合包装体のための注ぎ口要素および注ぎ口要素付きの複合包装体
<図1>
  • 特許-複合包装体のための注ぎ口要素および注ぎ口要素付きの複合包装体 図1
  • 特許-複合包装体のための注ぎ口要素および注ぎ口要素付きの複合包装体 図2
  • 特許-複合包装体のための注ぎ口要素および注ぎ口要素付きの複合包装体 図3
  • 特許-複合包装体のための注ぎ口要素および注ぎ口要素付きの複合包装体 図4
  • 特許-複合包装体のための注ぎ口要素および注ぎ口要素付きの複合包装体 図5
  • 特許-複合包装体のための注ぎ口要素および注ぎ口要素付きの複合包装体 図6
  • 特許-複合包装体のための注ぎ口要素および注ぎ口要素付きの複合包装体 図7
  • 特許-複合包装体のための注ぎ口要素および注ぎ口要素付きの複合包装体 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】複合包装体のための注ぎ口要素および注ぎ口要素付きの複合包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/74 20060101AFI20220819BHJP
   B65D 51/22 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
B65D5/74
B65D51/22 110
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018562290
(86)(22)【出願日】2017-05-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2017060755
(87)【国際公開番号】W WO2017207213
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-03-12
(31)【優先権主張番号】102016110047.1
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】16020202.4
(32)【優先日】2016-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507132710
【氏名又は名称】エスアイジー テクノロジー アーゲー
【氏名又は名称原語表記】SIG Technology AG
【住所又は居所原語表記】Laufengasse 18,CH-8212 Neuhausen am Rheinfall,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ハウザー
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス リグリング
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ヴァッセム
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-533725(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0302037(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0144852(US,A1)
【文献】国際公開第2009/060005(WO,A2)
【文献】欧州特許出願公開第01396435(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02055640(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/74
B65D 51/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合包装体(P)のための注ぎ口要素(A)であって、締結用フランジ(5)および注出筒(6)を備えた基体(2)と、前記注出筒(6)内に配置されて前記注出筒(6)内を案内される切断要素(3)と、前記注出筒(6)内に形成された第1ガイド手段(7)および前記切断要素(3)上に形成された第2ガイド手段(8)とを備え、前記第1ガイド手段(7)および前記第2ガイド手段(8)は相応に協働する、注ぎ口要素(A)において、
前記第1ガイド手段(7)は、前記注出筒(6)の内周壁の全周に亘って延びる内蔵された周囲リブ(9)によって形成されるとともに、前記リブ(9)は、高レベル区間(10)と低レベル区間(11)との間に、前記切断要素(3)の純粋な回転運動のための更なるレベル(13)を備えることを特徴とする注ぎ口要素(A)。
【請求項2】
前記注ぎ口要素(A)は、液状食品用の飲料用カートンのためのものであることを特徴とする、請求項1に記載の注ぎ口要素(A)。
【請求項3】
前記リブ(9)は、前記切断要素(3)の初期位置のための前記高レベル区間(10)を少なくとも1つ備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の注ぎ口要素(A)。
【請求項4】
前記リブ(9)は、前記切断要素(3)の終端位置のための前記低レベル区間(11)を少なくとも1つ備えることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の注ぎ口要素(A)。
【請求項5】
前記リブ(9)は、前記切断要素(3)による切断のためのさまざまな移動に応じたさまざまなピッチを有することを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の注ぎ口要素(A)。
【請求項6】
前記リブ(9)は、前記高レベル区間(10)と前記低レベル区間(11)との間に、前記切断要素(3)の抜け落ちを防止する区間(14)を備えることを特徴とする、請求項またはに記載の注ぎ口要素(A)。
【請求項7】
前記第2ガイド手段(8)は、前記切断要素(3)の外周にわたって配置された複数のカム(15)によって形成されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の注ぎ口要素(A)。
【請求項8】
前記第2ガイド手段(7)は複数のカム対(16)によって形成されることを特徴とする、請求項に記載の注ぎ口要素(A)。
【請求項9】
3つのカム対(16)が前記切断要素(3)の前記外周にわたって分散配置されることを特徴とする、請求項に記載の注ぎ口要素(A)。
【請求項10】
少なくとも1つのカム(14)が丸みを帯びた外形(17)を介して前記リブ(9)に接触することを特徴とする、請求項の何れか一項に記載の注ぎ口要素(A)。
【請求項11】
クロージャキャップ(4)が前記基体(2)に接続されることを特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載の注ぎ口要素(A)。
【請求項12】
前記切断要素(3)は、前記クロージャキャップ(4)に形成された駆動フランク(18)を介して駆動可能であることを特徴とする、請求項11に記載の注ぎ口要素(A)。
【請求項13】
前記駆動フランク(18)は、前記切断要素(3)に配置された駆動要素(19)に作用することを特徴とする、請求項12に記載の注ぎ口要素(A)。
【請求項14】
前記駆動要素(19)はウェブとして形成されることを特徴とする、請求項13に記載の注ぎ口要素(A)。
【請求項15】
注ぎ口要素(A)を収容するために適した包装体ゲーブルパネル(1)を有する複合包装体(P)であって、前記包装体ゲーブル要素(1)は局所的包装材脆弱部を有し、前記注ぎ口要素(A)の初回作動中に切断要素(3)が前記包装材脆弱部の方向に移動可能であり、前記複合包装体(P)の中身を空にする準備が完了するように前記包装材脆弱部を切断できるように、請求項1~14の何れか一項に記載の注ぎ口要素(A)が位置決めされて恒久的に接続された、複合包装体(P)。
【請求項16】
前記複合包装体(P)は、液状食品用の飲料用カートンであることを特徴とする、請求項15に記載の複合包装体(P)。
【請求項17】
前記包装材脆弱部は、前記包装体ゲーブルパネル(1)に形成された穴をオーバーコートして事前に薄片化された部位から成ることを特徴とする、請求項15または16に記載の複合包装体(P)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合包装体のための、特に液状食品用の飲料用カートンのための、注ぎ口要素であって、締結用フランジおよび注出筒を備えた基体と、注出筒内に配置されて注出筒内を案内される切断要素と、注出筒内に形成された第1ガイド手段および切断要素上に形成された第2ガイド手段とを備え、第1ガイド手段および第2ガイド手段は相応に協働する注ぎ口要素、ならびに注ぎ口要素を収容するために適した包装体ゲーブルパネルを有する複合包装体、特に液状食品用の飲料用カートン、に関する。
【背景技術】
【0002】
包装技術の分野において、複合包装体は、長い間、従来技術の一部であった。したがって、飲料用カートンは、例えば、紙およびプラスチックなどのさまざまな包装材で構成されている。これら包装材は、ベタ面域にわたって接合されて印刷されると、包装積層体を形成する。層構造は、要件に応じて変えることができる。例えば、殺菌済みの中身の場合、ガスおよび光に対する良好な障壁効果を実現するためにアルミニウム層が更に組み込まれる。必ずではないが、多くの場合、この積層体は、その製作中に包装体のサイズへの切断も行われる。このようにして、所謂プレカットされた包装体部品(ブランク)が形成される。あるいは、包装積層体は無端材(ロール品)としても供給され、後で所定寸法に切断される。
【0003】
容器を製作するための包装体の実際の形成および充填と包装体の閉鎖とは、包装機において行われる。この包装機は、その主機能の故に、形成機/充填機/封着機と呼ばれることも多い。一般的な中身は、例えば飲料、スープ、またはヨーグルトなど、主に液状食品である。濃縮された、ペースト状の、または塊の多い、製品またはこれらに類するものも考えられる。
【0004】
上記種類の包装体に注ぎ口要素が更に設けられることもある。注ぎ口要素は、制御された注ぎ出しを可能にすることに加え、原則として再閉口の可能性ももたらす。主として無菌用途のために、包装体のための初回開口機能が考えられることも稀ではない。この場合、そのときまで気密に密閉されていた包装体は、初めて開口される。この開口は、例えば、リングプルまたはプルタブによって、あるいは突刺装置および/または切断装置によって、行うことができる。このような突刺装置および/または切断装置は、スリーブ状の切断要素(切断リング)として形成されていることが多い。この切断要素は、例えば、駆動手段を介してねじ式キャップに結合されているので、ねじ式キャップの回転作動によって包装体が同時に切り開かれる。
【0005】
特許文献1は、例えば三部構成の注ぎ口要素を示している。基体、ねじ式キャップ、および切断スリーブは、最初に射出成形工程において個々に製造され、一体に組み付けられると機能的な注ぎ口要素を形成する。この注ぎ口要素は、基体上の締結用フランジを介して、上記の充填済み複合包装体への接続状態を維持できる。ねじ式キャップが消費者によって初めて作動されると、切断要素は複合包装体に専用に設けられた脆弱化部分の方向に移動し、複数の切歯によってこれを貫通切断する。
【0006】
ねじ式キャップの動きは、これら構成要素に設けられた対応するねじ山によって、切断要素の同時回転性且つ逆並進性の動きに変換される。切断要素の凸状ねじフランクは、基体の凹状ねじフランクのより大きな区間にわたって同時に噛み合う。これは、一方では、常に望ましい、各構成要素の相対的に確実な案内を可能にするが、切断要素の運動学を一定の前進に制限する。ただし、これは欠点でもあり得る。その理由は、上記種類の包装体では、切断手順において所謂「PE引裂(独:Ziehen,英:tearing)」が発生し得るからである。この場合、ポリエチレン箔は引裂されずに伸びるので、不出来な、または不完全な、開口をもたらし、求められているように製品を注ぎ出せない。歯の特別な形状がこの問題を解決すると言われている。更に、例えばねじ部のアンダーカットが射出成形機からの射出成形部品の取り出しを複雑にするので、このような部品は製造が相対的に複雑である。
【0007】
改良された三部構成の注ぎ口要素が本出願人が有する特許文献2に示されている。この発明は、切断要素の段階的に変化する運動学を可能にする。切断要素は最初に純粋に軸線方向に前進させられるので、複合包装体は突刺兼切断装置によって突刺される。その後に、装置に専ら切断動作を行わせる回転が続く。
【0008】
この特殊な運動学を可能にするには、相対的に大きなサイズの案内および力伝達手段が必要である。加えて、必要な剛性、ひいては更に機能上の信頼性、はこれら構成要素の大きな壁厚によって保証される必要がある。ただし、このような構成は、多大な材料消費を伴い、射出成形におけるサイクル時間を増加させる。
【0009】
射出成形による製作およびこれにより製作された部品の組み付けを改良するために、基部要素、切断要素、およびねじ式キャップの一体製作が本出願人が有する特許文献3に開示されている。切断要素は初めに基部要素の筒内のその初期位置に既に実質的に造形されており、ねじ式キャップは接続片を介して基部要素に接合されている。組み付けのためには、これら射出成形部品を採用すれば十分である。消費者が製品を複合包装体から注ぎ出したいと思ったら、彼は上記の複合包装体に貼り付けられている注ぎ口要素のねじ式キャップを作動させて(いたずら防止シールとしての役割も果たす)接続片を初めて切断し、切断要素の移動を開始させる。
【0010】
切断要素の運動学は、切断要素上のガイドリブが係合する、注出筒内に形成されたガイドストリップによって決定される。切断要素は、初めに、より急勾配のネジ運動に追従し、その後、よりなだらかなネジ運動に移行する。包装体の突刺後、切断要素は、凹部およびストップ手段を介してその終端位置で停止される。そうしないと切断要素が製品内に落ちる危険があるため、この重要機能は必要である。
【0011】
別の汎用的な注ぎ口要素が特許文献4に示されている。ねじ式キャップが捻られると、その回転運動が切断要素の段階的に変化する動きに変換される。この変換は、切断要素上の凹状の切り欠きとこの切り欠きに係合する、注出筒の内壁上に突出するローブとを介した複雑な構造によって実現される。これら構成要素は、製造が相対的に複雑であり、高い材料費をかけた場合にのみ製作可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】欧州特許出願公開第1 396 435(A1)号
【文献】国際公開第2004/000667(A1)号
【文献】国際公開第2009/068671(A1)号
【文献】欧州特許出願公開第2 055 640(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
この背景に対して、本発明の目的は、上記の諸欠点を克服できるように、冒頭で言及し、上で説明した種類の注ぎ口要素および複合包装体を考案および開発することである。特に、製作は、材料および製作の側面に関して最適化されるべきであり、それにも拘らず複合包装体のための開口機能は十分に保証されるべきである。
【0014】
この目的は、内蔵された周囲リブによって第1ガイド手段が形成されることで、請求項1の前提部分による注ぎ口要素によって達成される。このようなリブは、切断要素の所望の運動学を実現するために、ガイド手段の総合的な設計自由度を可能にする。特に、回転および軸線方向の運動成分または軸線方向の可変送り成分の段階的変化を実現できる。リブの完全な回転は、切断要素の確実な案内を保証する。これは、制限端を有さないので、特に、例えば切断工程の力およびトルクの作用からの、荷重の場合でも、切断要素がその強制的な案内から逃れられないという危険を回避する。周囲リブは、(例えば、ねじ部の場合などの)アンダーカットを回避するので、射出成形法で通常製作されるプラスチック部品を型から容易に取り出すことができる。これは、型半体のより単純な、ひいてはより費用効果の高い、構成を可能にし、金型空間の充填を簡素化し、ひいては射出サイクル時間を短縮する。これら全てが製作全体を最適化する。1つのリブに制約したことも材料を節約する。内蔵リブは、基体の剛性および強度を更に高めるので、ガイド手段はその機能を発揮でき、良好且つ確実な開口が可能になる。強度および剛性が保証されるので、壁厚の最適化(すなわち、肉薄化)も可能であり、これにより材料節約の更なる可能性が生じる。ただし、このような軽量構造は、例えば注ぎ口要素の、特に大量生産において非常に重要である。
【0015】
本発明の根底を成す目的は、包装体ゲーブルパネルが局所的な包装材脆弱部を有し、注ぎ口要素の初回作動中に切断要素が包装材脆弱部の方向に移動可能であり、その中身を空にする準備が完了するように包装材脆弱部を切断できるように、このような注ぎ口要素が位置決めされて恒久的に接続された複合包装体によっても達成される。注ぎ口要素と複合包装体とは常に互いに厳密に整合されている必要がある。したがって、この目的のために設けられた包装体ゲーブルパネル上の精確な位置付けが決定的に重要である。一方では、注ぎ口要素は複合包装体に接続されたままである必要があり、他方では、切断要素はこの目的のために設けられた包装材脆弱部に正確に係合して後者を切断する必要がある。この手順のみが包装体の完全な開口を可能にする。これにより、中身を空にする準備が完了する。
【0016】
本発明の別の教示は、切断要素の初期位置のために、リブが少なくとも1つの高レベル区間を有することを想定している。このような高レベル区間は、複合包装体の初期開口まで切断要素の確実な保持を可能にする。ただし、これが必要である理由は、そうでなければ複合包装体が時期尚早に損傷され、もはや気密ではなくなり、中身の時期尚早な腐敗を引き起こし得るという危険があるからである。
【0017】
本発明の別の教示によると、切断リングの終端位置のために、リブは少なくとも1つの低レベル区間を有する。終端位置における切断要素の停止は、安全性のための役割を担う。その理由は、その後に切断要素が如何なる状況においても終端位置から抜け出さず、特に製品内に落ちることがないからである。例えば切断要素がクロージャキャップによって駆動される場合、これは、再閉口においても、ならびに新たな回転においても、防止されるべきである。これは、低レベル区間によって保証される。
【0018】
本発明による更なる種類の実施形態は、切断要素のさまざまな移動のために、リブがさまざまなピッチを有すること、および/または、切断要素の純粋な回転運動のために、リブが更なるレベルを有すること、を想定している。切断要素のさまざまな移動は、切断の品質によっては望ましい場合がある。例えば「PE引裂」などの不都合な結果を回避する必要がある場合は、包装材を最初に突刺(穿孔)し、次に、更なるレベルの用途である回転運動によって、包装材を切断することが推奨される。
【0019】
本発明の別の教示は、切断要素の抜け落ちを防止する区間を高レベル区間と低レベル区間との間のリブに設けることを想定している。このような追加の区間は、リブを完全に囲み、切断要素の抜け落ちに対する更なる安全性をもたらす。
【0020】
別の有利な実施形態において、第2ガイド手段は、切断要素の外周上に配置された複数のカムによって形成される。このようなカムは、第1ガイド手段に沿ってストップまで延在する。複数の局所的カムは、(例えば、ウェブに比べ)その材料節約構造にも拘らず、その意図された機能を完全に発揮できる。
【0021】
更なる好都合な実施形態において、第2ガイド手段は、複数のカム対として形成される。これらは、場合によっては、切断要素の周囲にわたって分散された3つのカム対として配置される。このような複数のカム対は、第1ガイド手段のリブを囲む。これは、強制的な案内の自由度を更に制約するので、より確実且つ精確な案内をもたらす。3つのカム対が切断要素の外周にわたって分散配置されると、材料消費と案内機能との間で最適な折り合いがつく。
【0022】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1つのカムが丸みを帯びた外形を介してリブに接触することを想定している。このような丸みを帯びた外形は、第1ガイド手段のリブの可変ピッチおよびさまざまな区間への滑らかな追従を、傾斜または大きなトルクを発生させずに、可能にする。
【0023】
本発明の別の教示によると、その中身が部分的に消費された複合包装体の再閉口を可能にするクロージャキャップが基体に接続される。
【0024】
本発明の更なる構成においては、切断要素の駆動は、クロージャキャップに形成された複数の駆動フランクを介して可能である。これら駆動フランクは、切断要素上に配置された複数の駆動要素に作用する。したがって、切断要素を駆動するために、初回開口時の回転運動を使用できる(「単一操作」)。駆動が(キャップの)複数のフランクおよび(切断リングの)複数のウェブを介して実現される場合は、特に有利な結合がもたらされる。
【0025】
本発明の特定の一実施形態によると、包装材脆弱部は、事前に薄片化された穿孔として実現される。包装材のこのような特別な準備は、材料が最適化された、且つ製作が最適化された、注ぎ口要素による開口のために特に適している。その理由は、突刺が複合包装体の材料全体を貫通して行われる必要がないからである。
【0026】
以下においては、1つの例示的実施形態を単に示している図面の助けを借りて、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】注ぎ口要素を有する本発明による複合包装体を正面上方からの斜視図で示す。
図2】本発明による注ぎ口要素を上方からの斜視図で示す。
図3図2の注ぎ口要素の基体を上方からの斜視図で示す。
図4図3の基体をIV-IV線に沿った鉛直断面図で示す。
図5図3の基体をV-V線に沿った鉛直断面図で示す。
図6図2の注ぎ口要素の切断要素を上方からの斜視図で示す。
図7図6の切断要素の一対のガイドカムを詳細図で示す。
図8図2の注ぎ口要素のクロージャキャップを内側からの斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明による複合包装体Pの図1に示されている実施形態は、複合包装体Pを飲料用カートンとして示している。複合包装体Pは、包装材で構成される。この包装材は、一緒に接合された一連の平坦な材料から包装積層体を形成する。すなわち、カートンキャリア層の両面にポリマー層が積層され、追加のアルミニウム層が複合包装体P内の製品を望ましくない環境の影響(光、酸素)から遮蔽する。
【0029】
複合包装体Pは、エッジ領域に包装体ゲーブルパネル1を有し、そこに、同じく本発明による注ぎ口要素Aが貼り付けられて恒久的に取り付けられる。注ぎ口要素Aの初回作動時、注ぎ口要素Aによって覆われていた包装材脆弱部領域が切断され、これにより、複合包装体Pが初めて開口され、中身を空にする準備が完了する。図示の、ひいては好適な、例示的実施形態において、この脆弱部領域は、製作中に形成された、オーバコートされた穿孔として実現される。このために、穴がカートンキャリア層に打ち抜かれる。この穴がオーバコートされると、局所的脆弱部になる。
【0030】
図2は、本発明による注ぎ口要素Aを示す。射出成形法で個々に製作された注ぎ口要素Aの複数の部品、すなわち、基体2、このケースでは隠れている切断要素3(図6に図示)、およびクロージャキャップ4、が設置され(組み付けられ)ており、使用の準備が完了している。今や使用の準備が機能的に完了している注ぎ口要素Aは、次に締結用フランジ5を介して複合包装体Pに当てがわれ、熱溶融型接着剤によって恒久的に接続される。
【0031】
クロージャキャップ4が消費者によって初めて作動されると、クロージャキャップ4の螺脱運動が基体2内を案内される切断要素3に伝達されるので、切断要素3は複合包装体Pを脆弱部の領域において切断する。その後、このように生じた開口部から製品を注ぎ出すことができる。
【0032】
基体2は図3に示されている。基体2は、締結用フランジ5に加え、注出筒6からも構成される。設置されて機能的に準備が完了した状態において、切断要素3は注出筒6内に配置され、注出筒の内壁に形成された第1ガイド手段7上を、したがって切断要素3上に形成された対応する第2ガイド手段8を介して、強制的に案内される(図6および図7を参照)。第1ガイド手段7は、内蔵された周囲リブ9によって形成される。
【0033】
図4および図5は、鉛直に分割された基体2の半体をそれぞれ示す。これら半体は、注出筒6の内壁をそれぞれ有する。内壁上に突出するリブ9の輪郭が見える。リブ9は、高レベル区間10を上方領域に有する。高レベル区間10は、切断要素3の初期位置のためのガイド区間を形成する。ここで切断要素3を移動させると、切断要素3は第1ガイド手段7に追従し、高レベル区間10から可変ピッチ区間を越えて低レベル区間11に移動される。そこで切断要素3の終端位置に達する。複合包装体Pの実際の開口プロセスは、高レベル区間10と低レベル区間11との間で行われる。このため、切断要素3の先端に形成された切断手段12は、オーバコートされた穿孔領域において複合包装体Pを突刺して切断する(図6を参照)。
【0034】
図示の、ひいては好適な、実施形態においては、更なるレベル13が高レベル区間10と低レベル区間11との間のリブ9に形成される。このレベル13は、切断要素3の純粋な回転を生じさせる。そのため、この領域にわたって、切断手段12はオーバコートされた穿孔を、突刺する代わりに、切断する。
【0035】
切断要素3がその終端位置に達したら、切断要素3をこの位置で停止させる必要がある。望ましくない緩みを防止するために、その高レベル区間10と低レベル区間11との間のリブ9は、切断要素の抜け落ちを防止する区間14として形成される。
【0036】
図6には、切断要素3が個別部品として示されている。上記の第2ガイド手段8は複数のカム15として実現されている。これらカム15は一対毎にリブ9の第1ガイド手段7を囲み、ひいては強制案内部を形成する。このようなカム16が3対形成され、切断要素3の外周にわたって分散される。そのため、切断要素の十分に良好な案内が保証される。このようなカム16の1対の詳細図が図7から分かる。リブ9のさまざまな区間をできる限り滑らかに横行できるように、リブ9の下部に接触する下側カム15は、丸みを帯びた外形17として部分的に形成される。
【0037】
図8は、クロージャキャップ4を個別部品として示す。複数の駆動フランク18がカバー面の内面に形成されている。駆動フランク18は、切断要素3の内側に突出するウェブとして形成された複数の駆動要素19に作用する(図6を参照)。これにより、クロージャキャップ4は切断要素3に結合され、所望される力およびトルクを伝達させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8