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特許7126463エアフローウインドウを利用した空調装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】エアフローウインドウを利用した空調装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20220819BHJP
【FI】
F24F7/007 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019031317
(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2020134080
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-11-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 奥村組CSRレポート2018,第35~36頁,平成30年10月1日,株式会社奥村組
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年10月1日,掲載アドレス https://www.okumuragumi.co.jp/environment/report/2018/pdf/2018_p35-p36.pdf
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】100094042
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 知
(72)【発明者】
【氏名】岩下 将也
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-147793(JP,A)
【文献】特開2007-024476(JP,A)
【文献】特開2013-036719(JP,A)
【文献】特開昭61-213535(JP,A)
【文献】特開2020-134079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下躯体の間に内外一対のガラスで挟んで形成され、通風可能な中空チャンバ状のエアフローウインドウと、
該エアフローウインドウから当該エアフローウインドウを有する室空間の外方にわたって設けられ、第1のファンで、該エアフローウインドウ内の窓部空気を該室空間の外方へ向けて流通させる第1の流路と、
上記エアフローウインドウに寄せて設けられた吸い込み口及び該エアフローウインドウから離して設けられた吹き出し口を有し、第2のファンで、室内空気を、該吸い込み口から該吹き出し口へ向けて流通させて上記室空間に循環させる第2の流路と、
上記第1の流路に、上記第1のファンの吐出側に位置させて設けられ、該第1の流路の上記第2の流路に対する連通・遮断を切り替えるための流路切替手段と、
上記室空間に外気を導入する外調機と、
窓部内温度を計測する第1の温度センサ及び室空間内温度を計測する第2の温度センサそれぞれから温度計測値が入力されると共に、上記室空間のCO2濃度を計測するCO2センサからCO2濃度が入力され、上記第1のファンの運転、上記第2のファンの運転、上記外調機の運転及び上記流路切替手段の切り替え動作を制御する制御装置とを用い、
上記第1及び第2のファンの運転を停止し、上記外調機を運転し、上記流路切替手段で上記第1の流路から上記第2の流路を遮断する状態を初期モードとし、
該初期モードで、室空間内温度が所定の上下限範囲外及び窓部内温度と室空間内温度の差が所定値以下のいずれかであるとき、窓部空気を上記室空間の外方へ排出するために、上記流路切替手段で上記第1の流路から上記第2の流路を遮断した状態を維持して、上記第1のファンを運転する排出モードに移行し、
該排出モードで、CO2濃度が所定値以下であるとき、室内空気に窓部空気を混合するために、上記外調機の運転を停止し、上記流路切替手段で上記第1の流路を上記第2の流路に連通させると共に、上記第2ファンを運転する適温化循環モードに移行し、
これら排出モード及び適温化循環モードのいずれの条件も満たさないときは、上記初期モードに戻るようにし、
上記適温化循環モードでは、室空間内温度と窓部内温度の差が次第に大きくなっていくことに応じて、上記第2ファンを順次増速運転するようにしたことを特徴とするエアフローウインドウを利用した空調装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフローウインドウ内の窓部空気を、年間を通じて適切に取り扱うことが可能であると共に、冬季において、窓部空気の温熱をインテリアゾーンの空調に適合するように利用することが可能なエアフローウインドウを利用した空調装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窓際における日射などの温熱を利用した空調技術として、特許文献1及び2が知られている。特許文献1の「ペリメータ域の空気調和方法およびその空気調和方法を実施する空気調和装置」は、ペリメータ域専用の空気調和装置を用いることなくエアカーテンを形成すると共にペリメータ域の温度環境を改善することを目的とし、ペリメータ域に設置された室内機は、吸込口から室内空気を吸い込んで吹出口から上方へ吹き上げる。そして、外気負荷と共に排気ダクトから排気される。その際に、空気通路におけるファンより下流側に分岐ダクトから送出されてくるインテリア域用の一次空気を供給する。こうして、室内機の吸込口から吸い込まれた空気よりも多量の空気を吹出口から吹き出して、吹出口と排気口との間にエアカーテンを形成する。また、外気負荷を取り込んで吹出口と吸込口との間を循環する循環流に外気負荷に対抗する負荷(インテリア域用の一次空気)を加えることによって、ペリメータ域の温度環境を改善するようにしている。
【0003】
特許文献2の「ペリメータ・インテリア空調装置及び空調方法」は、インテリア空調機によってペリメータゾーンの温熱環境をコントロールできるようにし、ペリメータ空調機を省略しても快適な温熱環境が実現できるペリメータレス空調が可能なペリメータ・インテリア空調装置及び空調方法を提供することを課題とし、外側窓と内側窓間にブラインドを有する二重窓を設けた建物におけるインテリアゾーンを空調するインテリア空調機を具備すると共に、前記二重窓内の空気を室外に排気する排気装置を備え、前記排気装置を前記外側窓とブラインド間の空気層から排気可能に設置すると共に、前記インテリア空調機を前記内側窓とブラインド間の空気層から選択的に吸気可能に構成したペリメータ・インテリア空調装置を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-167460号公報
【文献】特開2002-147793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術から理解されるように、ペリメータゾーンの温熱環境は、日射等の影響で、春・秋の中間期に対し、夏は暑さが厳しく、冬であっても暑く感じる場合があって、その対策が各種施されてきた。
【0006】
その対策の中で、エアフローウインドウ等の二重窓が用いられているが、このエアフローウインドウでは、内部の窓部空気が相当高温になるため、夏季では単に排気する一方で、冬季では、その温熱を室内空調に利用することが望まれる。特に、窓際から離れたインテリアゾーンの空調に適合するように窓部空気を温熱利用することが望まれる。
【0007】
例えば、冬季において、室内空調により暖められているインテリアゾーンに向けて、窓部空気をそのまま引き入れて吹き込むことが考えられるが、このようにすると、すでに暖められているインテリアゾーンの室内空気に対し高温の窓部空気が室内で混ざり合うこととなり、インテリアゾーンが、温度斑のある温熱環境となってしまって不快感を生じさせることが考えられ、窓部空気の温熱利用とはいえ、快適な空調システムを実現することが難しかった。
【0008】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、エアフローウインドウ内の窓部空気を、年間を通じて適切に取り扱うことが可能であると共に、冬季において、窓部空気の温熱をインテリアゾーンの空調に適合するように利用することが可能なエアフローウインドウを利用した空調装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかるエアフローウインドウを利用した空調装置の制御方法は、上下躯体の間に内外一対のガラスで挟んで形成され、通風可能な中空チャンバ状のエアフローウインドウと、該エアフローウインドウから当該エアフローウインドウを有する室空間の外方にわたって設けられ、第1のファンで、該エアフローウインドウ内の窓部空気を該室空間の外方へ向けて流通させる第1の流路と、上記エアフローウインドウに寄せて設けられた吸い込み口及び該エアフローウインドウから離して設けられた吹き出し口を有し、第2のファンで、室内空気を、該吸い込み口から該吹き出し口へ向けて流通させて上記室空間に循環させる第2の流路と、上記第1の流路に、上記第1のファンの吐出側に位置させて設けられ、該第1の流路の上記第2の流路に対する連通・遮断を切り替えるための流路切替手段と、上記室空間に外気を導入する外調機と、窓部内温度を計測する第1の温度センサ及び室空間内温度を計測する第2の温度センサそれぞれから温度計測値が入力されると共に、上記室空間のCO2濃度を計測するCO2センサからCO2濃度が入力され、上記第1のファンの運転、上記第2のファンの運転、上記外調機の運転及び上記流路切替手段の切り替え動作を制御する制御装置とを用い、上記第1及び第2のファンの運転を停止し、上記外調機を運転し、上記流路切替手段で上記第1の流路から上記第2の流路を遮断する状態を初期モードとし;該初期モードで、室空間内温度が所定の上下限範囲外及び窓部内温度と室空間内温度の差が所定値以下のいずれかであるとき、窓部空気を上記室空間の外方へ排出するために、上記流路切替手段で上記第1の流路から上記第2の流路を遮断した状態を維持して、上記第1のファンを運転する排出モードに移行し;該排出モードで、CO2濃度が所定値以下であるとき、室内空気に窓部空気を混合するために、上記外調機の運転を停止し、上記流路切替手段で上記第1の流路を上記第2の流路に連通させると共に、上記第2ファンを運転する適温化循環モードに移行し;これら排出モード及び適温化循環モードのいずれの条件も満たさないときは、上記初期モードに戻るようにし;上記適温化循環モードでは、室空間内温度と窓部内温度の差が次第に大きくなっていくことに応じて、上記第2ファンを順次増速運転するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかるエアフローウインドウを利用した空調装置の制御方法にあっては、エアフローウインドウ内の窓部空気を、年間を通じて適切に取り扱うことができると共に、冬季において、窓部空気の温熱をインテリアゾーンの空調に適合するように利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明にかかるエアフローウインドウを利用した空調装置の制御方法に用いられる空調装置を示す概略平面構成図である。
図2図1に示したエアフローウインドウを利用した空調装置を側方から見た図であって、図2(A)は外調機の運転状態を、図2(B)は適温化循環モード状態をそれぞれ説明する説明図である。
図3図1に示したエアフローウインドウを利用した空調装置に備えられる制御装置を含む制御系の構成図である。
図4図1に示したエアフローウインドウを利用した空調装置の制御方法の好適な一実施形態を示すフローチャート図である。
図5図1に示した空調装置の第1のファンと第2のファンの運転状況を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかるエアフローウインドウを利用した空調装置の制御方法の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
本実施形態に係る制御方法が適用されるエアフローウインドウを利用した空調装置について説明すると、図1及び図2に示すように、建物1には、床スラブ2と直上階の床スラブ3との間に、当該直上階の床スラブ3下に設けられる天井4と、建物1の外方に面する側から建物1の奥へ向けて、互いに間隔を隔てて設けられた一対の間仕切り壁5と、建物1の外方に面して開放された開口部に設けられるエアフローウインドウ6と、エアフローウインドウ6とは反対側で、建物1内部の廊下7から仕切る廊下側壁8とで区画されて、室空間9が形成される。
【0014】
エアフローウインドウ6は例えば、一対の間仕切り壁5の間に配置して、床スラブ2と直上階の床スラブ3との間に、内外一対のガラス10で挟んで、中空チャンバ状に形成される。エアフローウインドウ6の下部には、エアフローウインドウ6内部を通風可能とするために、室空間9と連通される通気通路(図示せず)が形成される。また、エアフローウインドウ6内部には、室空間9への日射量を調整するために、ブラインド11が設けられる。
【0015】
室空間9の天井4と直上階の床スラブ3との間に形成される天井裏空間12には、エアフローウインドウ6内部に一端が連通された第1の流路13が室空間9の外方にわたって延設される。第1の流路13はダクトなどで構成される。第1の流路13の途中には、エアフローウインドウ6内の窓部空気を室空間9の外方へ向けて流通させるために、窓部空気をエアフローウインドウ6から吸引し室空間9外方へ向けて吐出する第1のファン14が設けられる。
【0016】
天井裏空間12には、エアフローウインドウ6に寄せて、すなわちペリメータゾーン側に設けられた吸い込み口15aと、エアフローウインドウ6から離して、すなわちペリメータゾーンよりも室空間奥のインテリアゾーン側に設けられた吹き出し口15bを有する第2の流路15が設けられる。
【0017】
第2の流路15は、ダクトなどで構成され、第1の流路13と並列に設けられる。吸い込み口15a及び吹き出し口15bは、天井4に形成される開口部に配置される。第2の流路15の途中には、室空間内の空気、すなわち室内空気を、ペリメータゾーン側の吸い込み口15aから吸い込み、吹き出し口15bへ向けて流通させ、インテリアゾーン側へ吹き出して、室内空気を室空間9に循環させる第2のファン16が設けられる。
【0018】
天井裏空間12には、第1のファン14の吐出側14aに位置させて、第1の流路13に流路切替手段17が設けられる。流路切替手段17は、第2のファン16の吐出側16aと連結される。図示例にあっては、第2の流路15は、これより分岐する分岐流路18を介して、流路切替手段17に連結される。分岐流路18も、ダクトなどで構成される。
【0019】
流路切替手段17は、第1の流路13をエアフローウインドウ6側から室空間9の外方へ連通するために、第1の流路13を開放しかつ分岐流路18を封鎖して、第2の流路15に対する第1の流路13の遮断を行う第1切替位置と、第1の流路13を流れる窓部空気を第2の流路15へ流通させるために、分岐流路18を開放しかつ第1の流路13を封鎖して、第2の流路15に対する第1の流路13の連通を行う第2切替位置とに切替動作されるように構成される。
【0020】
流路切替手段17としては、流路を封鎖したり開放したりするダンパ機構などで構成される。
【0021】
このエアフローウインドウを利用した空調装置は、第1の作用として、例えば夏季など、室内温度が外気温よりも低い適温となるように室内空調機による室内空調で維持していて、かつ窓部空気の温度が高いときには、流路切替手段17を第1切替位置にし、窓部空気を第1のファン14で第1の流路13に流通させて、室空間9の外方へ排気する。この排気によって室空間9の温熱環境を緩和することができる。
【0022】
他方、第2の作用として、例えば冬季など、室内温度が外気温よりも高い適温となるように室内空調機による室内空調で維持していて、かつ窓部空気の温度が日射等によって高いときには、流路切替手段17を第2切替位置にし、第1のファン14で窓部空気を第1の流路13から第2の流路15に流通させ(第2のファン16は停止しておく)、吹き出し口15bから室空間9(インテリアゾーン)へ吹き出す。この吹き出しによって室空間9の温熱環境・室内空調負荷を緩和することができる。
【0023】
さらに、第2の作用の場合に、室内温度を室内空調で維持していて、かつ窓部空気の温度が相当に高温であるときには、当該窓部空気をそのまま室空間9へ吹き出すと、吹き出した窓部空気の温熱塊が室空間9に散在し、温度斑が生じて、快適性が損なわれるおそれがある。
【0024】
このような場合には、第3の作用として、流路切替手段17を第2切替位置にし、窓部空気を第1のファン14で第1の流路13から第2の流路15に流通させると共に、室内空気を第2のファン16で第2の流路15に流通させる。このようにすれば、循環する室内空気に窓部空気を混合することができ、この混合した温熱空気を吹き出し口15bから吹き出すことで、室空間9の温熱環境の快適性を向上することができる。
【0025】
これら第1~3の作用は、上記例示に限らず、第1のファン14の運転、第2のファン16の運転、並びに流路切替手段17の切替操作で簡単にいつでも作り出すことができ、これにより、四季を通じて、室空間9を好ましい温熱環境にすることができる。
【0026】
本実施形態では、このエアフローウインドウを利用した空調装置に、室空間9へ外気の導入を行う外調機23が組み合わされる。外調機23からの外気は、室空間9に導入されると、その一部は通風可能なエアフローウインドウ6内へ取り込まれ、窓部空気となる。
【0027】
また、本実施形態では、上記の空調装置を構成する第1のファン14の運転、第2のファン16の運転、外調機23の運転及び流路切替手段17の切替動作を制御する制御装置19が備えられる。従って、制御装置19から、これら第1及び第2のファン14,16、外調機23、並びに、流路切替手段17に制御信号が出力されるように構成される。図示例では、制御装置19は、天井裏空間12に設置されている。
【0028】
制御装置19には、エアフローウインドウ6の窓部内温度を計測する第1の温度センサ20と、室空間内温度を計測する第2の温度センサ21それぞれから温度計測値が入力される。図2に示すように、第1の温度センサ20は、エアフローウインドウ6内部に設けられ、窓部内温度の温度計測値は、無線で制御装置19に入力される。第2の温度センサ21は、ペリメータゾーンに設けられ、室空間内温度の温度計測値は、無線で制御装置19に入力される。
【0029】
図示例にあっては、追加の温度センサ22がインテリアゾーンに設けられていて、この追加の温度センサ22で計測された室空間内温度の温度計測値を無線で制御装置19に入力するようにしてもよい。
【0030】
さらに、室空間9には、室空間9内のCO2濃度を計測するCO2センサ24が設けられ、CO2センサ24からCO2濃度が無線で制御装置19に入力される。制御装置19は、CO2濃度が設定値、例えば1,000ppm以上のとき外調機23を運転し、設定値未満のとき、その運転を停止する。
【0031】
次に、図4に示した制御フロー図と、図5に示した第1のファン14と第2のファン16の運転状況を示すグラフ図に従って、本実施形態に係るエアフローウインドウを利用した空調装置の制御方法を説明する。図5は、縦軸に第1及び第2のファン14,16の風量比(第2のファン/第1のファン)が、横軸に窓部内温度T1と室空間内温度T2との温度差(T1-T2)がとられている。
【0032】
図示するように、制御装置19を起動すると、当該制御装置19は、第1及び第2のファン14,16を運転停止状態とし、外調機23の運転を開始し、流路切替手段17を、第1の流路13から第2の流路15を遮断する第1切替位置とする初期モードに設定する。
【0033】
窓部内温度T1と室空間内温度T2の計測値から、室空間内温度T2が所定の上下限範囲内、例えば17℃と30℃の間であり、かつ、窓部内温度T1と室空間内温度T2との温度差が所定値、例えば10℃よりも小さいとき、室空間9は快適な温熱環境であるとして、第1及び第2のファン14,16の運転停止状態を維持し、外調機23の運転を継続するように初期モードに戻って維持する。
【0034】
これにより、無駄な空調運転が回避され、省エネルギ化を確保することができる。
【0035】
他方、室空間内温度T2が所定の上下限範囲外であったり、あるいは、窓部内温度T1と室空間内温度T2との温度差が所定値以上であるとき、第1の流路13から第2の流路15を遮断するために流路切替手段17を第1切替位置に維持した状態で、第1のファン14の運転を開始して、排出モードに移行する。排出モードでは、窓部空気が第1のファン14で第1の流路13へ吸引され、そのまま室空間9の外方へ排出される。
【0036】
これにより、エアフローウインドウ6内の窓部空気の温熱が室空間9に与える影響を低減することができる。
【0037】
次いで、排出モードにおいて、CO2濃度が所定値、例えば1,000ppmよりも大きいときは、制御装置19は、再度初期モードに戻す制御を行う。外調機23から外気が室空間9に導入されることで、CO2濃度を低下することができる。CO2濃度が所定値以下になるまで、繰り返してループ処理される(ここまでが、図5中、(イ)の範囲)。
【0038】
次いで、排出モードにおいて、CO2濃度が所定値以下になると、制御装置19は、外調機23の運転を停止し、第1の流路13を第2の流路15に連通させるために流路切替手段17を第2切替位置に切り替え、第1のファン14の運転に加えて、第2のファン16を運転する適温化循環モードに移行する。
【0039】
適温化循環モードでは、第2のファン16で循環される室内空気に、第1のファン14で送り込まれる窓部空気が混合され、この混合空気が吹き出し口15bから室空間9へ吹き出される。この適温化循環モードでは、窓部内温度T1と室空間内温度T2との温度差が次第に大きくなっていくことに応じて、第2のファン16の運転(回転速度)が多段階に順次増速運転される。
【0040】
窓部内温度T1と室空間内温度T2との温度差が例えば、15℃未満のとき、第2のファン16は低速運転される(図5中、(ロ)の範囲)。
【0041】
窓部内温度T1と室空間内温度T2との温度差が15℃未満を超えて、例えば、20℃未満のとき、第2のファン16は中速運転される(図5中、(ハ)の範囲)。
【0042】
窓部内温度T1と室空間内温度T2との温度差が20℃未満を超えて、例えば、25℃未満のとき、第2のファン16は高速運転される(図5中、(ニ)の範囲)。
【0043】
窓部内温度T1と室空間内温度T2との温度差が、25℃以上のとき、第2のファン16はさらに高速運転される(図5中、(ホ)の範囲)。
【0044】
適温化循環モードでは、窓部内温度T1と室空間温度T2との温度差が大きくなるに従い、第2のファン16の運転速度制御によって、窓部空気に対し、順次に室内空気の循環風量を増やすことができ、室空間9内の温度が急激に変化することを防止して、快適な温熱環境を室空間9に確保することができる。
【0045】
制御装置19は、制御中のいずれの時点であっても、排出モード及び適温化循環モードのいずれの条件も満たさなくなったときには、初期モードに戻るようになっている。
【0046】
以上説明した本実施形態に係るエアフローウインドウを利用した空調装置にあっては、エアフローウインドウ6の窓部空気を、夏季では単に排気する(排気モード)一方で、冬季では、その温熱を室内空調に利用する(適温化循環モード)ことができる。第2の流路15の吹き出し口15bが、窓際から離れたインテリアゾーンに設けられるので、当該ゾーンの空調に適合するように窓部空気を温熱利用することができる。
【0047】
冬季において、室内空調により暖められているインテリアゾーンに向けて、窓部空気をそのまま引き入れて吹き込む態様だけでなく、循環する室内空気と窓部空気とを混合して吹き込む態様で空調を行うので、インテリアゾーンが温度斑のある温熱環境となることを防止して、窓部空気の温熱利用による快適な空調システムを実現することができる。
【0048】
すなわち、エアフローウインドウ6内の窓部空気を、年間を通じて適切に取り扱うことができると共に、冬季において、窓部空気の温熱をインテリアゾーンの空調に適合するように利用することができ、室空間9に快適な温熱環境を作り出すことができる。
【符号の説明】
【0049】
2 床スラブ
3 直上階の床スラブ
6 エアフローウインドウ
9 室空間
10 ガラス
13 第1の流路
14 第1のファン
14a 第1のファンの吐出側
15 第2の流路
15a 吸い込み口
15b 吹き出し口
16 第2のファン
17 流路切替手段
19 制御装置
20 第1の温度センサ
21 第2の温度センサ
23 外調機
24 CO2センサ
図1
図2
図3
図4
図5