(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】水路ブロックの構造
(51)【国際特許分類】
E02B 5/02 20060101AFI20220819BHJP
【FI】
E02B5/02 J
(21)【出願番号】P 2019212800
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】591067897
【氏名又は名称】千葉窯業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100140361
【氏名又は名称】山口 幸二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明雄
(72)【発明者】
【氏名】内野 雅行
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-200549(JP,A)
【文献】特開2005-188019(JP,A)
【文献】特開平07-229131(JP,A)
【文献】特開2017-218805(JP,A)
【文献】特開2002-348892(JP,A)
【文献】特開平10-196287(JP,A)
【文献】実開昭59-144037(JP,U)
【文献】実開昭51-137868(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 5/02
E02B 11/00
E03F 3/04
E02D 29/05
E03B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列状に埋設されて水路を構成する暗渠型のブロックの構造であって、
前記ブロック内を複数の水路に区分する中間壁を備え、
前記各中間壁は、前記列状に隣接する他の前記ブロックの前記中間壁との対向面の少なくとも一方に凹部が形成され、
前記列状の接合時には、前記対向面間に前記水路間の通水路が形成されることを特徴とする水路ブロックの構造。
【請求項2】
前記ブロックは、上下一対の上壁および下壁と、
前記上壁および前記下壁の側端部間を連結する一対の側壁と、
を備え、
前記中間壁は、前記側壁間において前記上壁と前記下壁とを連結することを特徴とする請求項1記載の水路ブロックの構造。
【請求項3】
前記ブロックは、複数のブロック本体を幅方向に接合されて構成され、
前記ブロック本体は、上下一対の上壁および下壁と、
前記上壁および前記下壁の側端部間を連結する左右一対の側壁と、
を備え、
前記中間壁は、前記側壁同士を前記幅方向に接合させて構成される
ことを特徴とする請求項1記載の水路ブロックの構造。
【請求項4】
前記ブロックは、二種類のブロック本体を幅方向に接合して構成され、
一方の種類の前記ブロック本体は、上下一対の上壁および下壁と、
前記上壁および前記下壁の側端部間を連結する左右一対の側壁と、
を備え、
他方の種類の前記ブロック本体は、さらに前記側壁間において前記上壁と前記下壁とを連結する第1の前記中間壁を備え、
前記両種類の前記ブロック本体の側壁同士を接合させることで第2の前記中間壁が構成され、
前記両中間壁の前記対向面に前記凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の水路ブロックの構造。
【請求項5】
前記列状の接合時に前記通水路の周囲をシールするシール部材が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の水路ブロックの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路下の地中に列状に埋設されて水路を構成するブロックの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、国道などの道路拡幅に伴って、道路脇の横水路の暗渠化が進められている。例えば道路下にボックスカルバートを列状に埋設して地下に暗渠型の水路が構築されている。
【0003】
図1は前記ボックスカルバートの一例を示し、図1(a)は3列水路を構成するクスカルバート3を示し、図1(b)は4列水路を構成するボックスカルバート4を示している。
【0004】
ボックスカルバート3は、二列水路のボックスカルバート3aと単列水路のボックスカルバート3bとを幅方向に備えている。この両者3a,3bは、側壁3cの外面同士が接合され、接合された側壁3cおよび中間壁3dを貫通する通水孔3eが形成されている。
【0005】
ボックスカルバート4は、4個の単列水路のボックスカルバート4aを水路2の幅方向に備えている。この各ボックスカルバート4aは、側壁4bの外面同士が接合され、接合された側壁4bを貫通する通水孔4cが形成されている。なお、本発明は、公知・公用の技術に基づき発明され、出願人の把握する先行技術文献は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の通水孔3e,4cは、ボックスカルバート3,4内の水路6間における水位や水圧などを均一に保つために形成されている。ところが、従来は、各壁3c,3d,4bに通水孔3e,4cを貫通形成していたため、全体的な強度に影響を与え、耐久性に問題を生じるおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされ、道路下に埋設される暗渠型のブロック内における各水路間の通水路を、ブロックの強度に影響を与えることなく形成することを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、列状に埋設されて水路を構成する暗渠型のブロックの構造であって、
前記ブロック内を複数の水路に区分する中間壁を備え、
前記各中間壁は、前記列状に隣接する他の前記ブロックの前記中間壁との対向面の少なくとも一方に凹部が形成され、
前記列状の接合時には、前記対向面間に前記水路間の通水路が形成されることを特徴とする。
【0009】
(2)前記ブロックの一態様は、上下一対の上壁および下壁と、
前記上壁および前記下壁の側端部間を連結する一対の側壁と、
を備え、
前記中間壁は、前記側壁間において前記上壁と前記下壁とを連結することを特徴する。
【0010】
(3)前記ブロックの他の態様は、複数のブロック本体を幅方向に接合されて構成され、
前記ブロック本体は、上下一対の上壁および下壁と、
前記上壁および前記下壁の側端部間を連結する左右一対の側壁と、
を備え、
前記中間壁は、前記側壁同士を前記幅方向に接合させて構成されることを特徴とする。
【0011】
(4)前記ブロックの他の態様は、二種類のブロック本体を幅方向に接合して構成され、
一方の種類の前記ブロック本体は、上下一対の上壁および下壁と、
前記上壁および前記下壁の側端部間を連結する左右一対の側壁と、
を備え、
他方の種類の前記ブロック本体は、さらに前記側壁間において前記上壁と前記下壁とを連結する第1の前記中間壁を備え、
前記両種類の前記ブロック本体の側壁同士を接合させることで第2の前記中間壁が構成され、
前記両中間壁の前記対向面に前記凹部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
(5)なお、前記各ブロックは、前記列状の接合時に前記通水路の周囲をシールするシール部材が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、道路下に埋設される暗渠型のブロック内における各水路間の通水路を、ブロックの強度に影響を与えることなく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(a)
は暗渠化に用いられるボックスカルバートの一例を示す構成図、(b)は同ボックスカルバートの他例を示す構成図。
【
図2】(a)は実施例に係るボックスカルバートの正面図、(b)は同背面図
【
図4】(a)は図
2(a)のB-B断面図、(b)は通水孔を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る水路ブロックの構造を説明する。ここでは一例として暗渠型のボックスカルバートへの適用例を説明する。このボックスカルバートは、道路脇の横水路の暗渠化、即ち暗渠型水路の構築に用いられる。
【0016】
≪実施例≫
(1)
図2~図4に基づき実施例を説明する。図
2中の11は、前記ボックスカルバートを示している。
【0017】
前記ボックスカルバート11は、図2(a)(b)に示すように、コンクリート製のボックス状に形成され、上下一対の長方形状に形成された上壁12および下壁13と、両壁12,13の側端部を連結する左右一対の側壁14と、側壁14間において両壁12,13を連結する二本の中間壁15とを備えている。この各中間壁15により前記ボックスカルバート11の内部が、三つの水路23に仕切られ、該水路23群により地下の水路2が構成される。
【0018】
ここでは各壁12~14の正面には、図2(a)に示すように、パッキン21が固着され、またコーナ部16にはガイド金具(ジョイントバー)17が設けられている。このガイド金具17の下端部はコーナ部16に埋設されている一方、上端部がコーナ部16から露出している。一方、同コーナ部16の背面には、図2(b)に示すように、ガイド金具17の上端部が挿入されるガイド金具(ジョイントソケット)18が埋設されている。
【0019】
各中間壁15は、図3に示すように、前記両壁12,13間の前面側(正面側)Fから後面側(背面側)Bまでに亙って形成され、上下端部の脚部15aと、両脚部15a間の本体15bとを備えている。また、各中間壁15の前後端面(F側の端面・B側の端面)には、図4(a)に示すように、縦断面コ字状の凹部19が形成されている。この凹部19は、本体15bおよび両脚部15aの前後端面を溝底とし、両脚部15aの両壁12,13側から上り勾配の溝壁19aを備えている。
【0020】
(2)このように構成された前記ボックスカルバート11によれば、道路脇の地下に水路2を構築する際には、道路下に前記ボックスカルバート11を列状に埋設される。ここでは矢印F,B方向の前後方向に列状に隣接する前記ボックスカルバート11同士が接合される。
【0021】
すなわち、隣接する一方の前記ボックスカルバート11のガイド金具17の上端部を他方の前記ボックスカルバート11のガイド金具18に挿入し、前記両ボックスカルバート11をジョイントさせる。その後、対向する前記ボックスカルバート11のパッキン21間に高弾性接着剤(エポキシ樹脂・シリコーンを主成分とする。)を注入して接合連結される。
【0022】
したがって、隣接する前記ボックスカルバート11間では、図4(b)に示すように、それぞれの中間壁15の前後端面が対向する。このとき中間壁15の前後端面、即ち対向面に形成された凹部19同士によりスリット状の通水路20が形成される。
【0023】
これにより側壁14や中間壁15に貫通孔を形成することなく、隣接する前後の前記ボックスカルバート11を接合するだけで通水路20を形成することが可能となる。その結果、前記ボックスカルバート11の強度・耐久性に影響を与えることなく、各水路23間の水位や水圧を均一化することができる。
【0024】
また、隣接する前後の前記ボックスカルバート11を接合するだけでよいので、簡単な構造で通水路20を形成可能となる。なお、通水路20の周囲は接合された前記両ボックスカルバート11のパッキン21によりシールされる。
【0025】
≪その他・他例≫
本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、各請求項に記載された範囲内で変形して実施することができる。一例を以下に説明する。
【0026】
(1)凹部19は、中間壁15の前後端面の双方に形成する必要はなく、その一方に形成してもよい。この場合には前後に隣接する前記ボックスカルバート11の中間壁15との間に細めの通水路20が形成される。
【0027】
また、凹部19は、隣接するボックスカルバート11が接合された際に通水路20が形成されればよいので、必ずしも断面コ字状である必要はなく、例えば断面弧状・断面V字状などでもよい。
【0028】
(2)本発明は、図1(a)(b)のボックスカルバート3,4にも適用することができる。例えば図1(a)に示すボックスカルバート3は、ボックスカルバート3a,3bを幅方向に備えている。ここでは両者3a,3bの接合される側壁3cおよび中間壁3dの前後面(対向面)を凹部19とすればよい。
【0029】
また、図1(b)に示すボックスカルバート4は、ボックスカルバート4aを水路2の幅方向に接合して構成されている。ここでは各ボックスカルバート4aの接合される側壁3cの前後面を凹部19とすればよい。
【0030】
(3)なお、前記ボックスカルバート3,4,11は、例えばPC鋼線を用いて列状に連結することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
2,23…水路
3,4,11…ボックスカルバート(ブロック)
3a,3b,4a…ボックスカルバート(ブロック本体)
3d,15…中間壁
3e,4c,14…側壁
12…上壁
13…下壁
19…凹部
20…通水路