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特許7126495燃料電池システム及び燃料電池システムの作動方法
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  • 特許-燃料電池システム及び燃料電池システムの作動方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】燃料電池システム及び燃料電池システムの作動方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04089 20160101AFI20220819BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20220819BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20220819BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20220819BHJP
【FI】
H01M8/04089
H01M8/04 J
H01M8/04858
H01M8/04746
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019515657
(86)(22)【出願日】2017-10-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2017075823
(87)【国際公開番号】W WO2018069327
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-06-16
(31)【優先権主張番号】102016119323.2
(32)【優先日】2016-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507332893
【氏名又は名称】プロトン モータ フューエル セル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】PROTON MOTOR FUEL CELL GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100078776
【弁理士】
【氏名又は名称】安形 雄三
(74)【代理人】
【識別番号】100121887
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 好章
(74)【代理人】
【識別番号】100200333
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 真二
(72)【発明者】
【氏名】レウム,マティアス
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-172125(JP,A)
【文献】特開2000-208161(JP,A)
【文献】国際公開第2011/037258(WO,A1)
【文献】特開2004-273162(JP,A)
【文献】特開2004-096835(JP,A)
【文献】特開2012-239311(JP,A)
【文献】特開2011-238360(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0081497(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/000 - 8/2495
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システム(1)であって、
燃料電池モジュールの作動中にそれに適用される電気出力電圧(U)を有し、且つ電気負荷(2)と結合されるように設計される第1及び第2電気供給ターミナル(101、102)を有する少なくとも1つの燃料電池モジュール(10)と、
前記燃料電池モジュール(10)の前記出力電圧(U)を発生させるための反応剤の1つとして、調整可能な分量の空気において、空気(51)を前記燃料電池モジュール(10)へ供給するために、前記少なくとも1つの燃料電池モジュール(10)に接続される空気供給装置(40)と、
前記少なくとも1つの燃料電池モジュール(10)並びに前記第1及び第2電気供給ターミナル(101、102)にて、前記少なくとも1つの燃料電池モジュール(10)の出力電力を制御し、且つ供給される空気量を調節するための前記空気供給装置(40)に接続される制御装置(30)とを具備し、
前記制御装置(30)は、前記負荷(2)の負荷需要を検出するように、並びに前記検出された負荷需要に関連した前記少なくとも1つの燃料電池モジュール(10)の前記出力電力を制御するために、特有の空気比に基づいて、精密に制御された空気比における前記検出された負荷需要に関連して、前記空気供給装置(40)により供給された空気量を調節及び最新化するように設計され
前記制御装置(30)は、それに蓄えられる出力電圧特性(13、14)のための空気比を有し、並びに前記制御装置(30)は、該出力電圧特性(13、14)のための空気比に関連して、精密に制御された空気比において、前記少なくとも1つの燃料電池モジュール(10)の前記出力電圧(U )ひいては前記出力電力を調節するように設計されることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御装置(30)は、1と2の間の空気比を伴って、精密に制御された空気比において、前記空気供給装置(40)により供給された空気の量を調節するように設計される請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御装置(30)は、1.5と2の間の空気比を伴って、精密に制御された空気比において、前記空気供給装置(40)により供給された空気の量を調節するように設計される請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記制御装置(30)は、それに蓄えられる出力電圧特性(13、14)のための第1及び第2空気比を有し、並びに前記制御装置(30)は、該出力電圧特性(13、14)のための前記第1及び第2空気比の間の範囲(15)内で、精密に制御された空気比において、前記少なくとも1つの燃料電池モジュール(10)の前記出力電圧(Uひいては前記出力電力を調節するように設計される請求項1乃至のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記空気供給装置(40)は、エアコンプレッサを具備する請求項1乃至のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
燃料電池モジュールの作動中にそれに適用される電気出力電圧(U)を有し、且つ電気負荷(2)と結合されるように設計される第1及び第2電気供給ターミナル(101、102)を有する少なくとも1つの燃料電池モジュール(10)を具備する燃料電池システム(1)の作動方法であって、
前記作動方法は、
前記燃料電池モジュールの前記電気出力電圧(U)を発生させるための反応剤の1つとして、空気の調整可能な量において、空気供給装置(40)を通じて、空気(51)を前記燃料電池モジュール(10)へ供給するステップ、
前記負荷(2)の負荷需要を検出するステップ、並びに
精密に調節された空気比による前記検出された負荷需要に関連して、前記少なくとも1つの燃料電池モジュール(10)の前記第1及び第2電気供給ターミナルにて、出力電力を制御し、且つ前記検出された負荷需要に関連して、空気供給装置(40)により供給された空気の量を最新化するステップを具備し、
前記燃料電池モジュールの前記電気出力電圧(U )ひいては前記出力電力は、制御装置(30)の中に蓄えられた出力電圧特性(13、14)のための空気比に関連して、精密に調節された空気比において、調節されることを特徴とする燃料電池システムの作動方法。
【請求項7】
前記出力電力は、1と2の間の空気比を伴って、精密に調節された空気比において、制御される請求項に記載の燃料電池システムの作動方法。
【請求項8】
前記出力電力は、1.5と2の間の空気比を伴って、精密に調節された空気比において、制御される請求項又はに記載の燃料電池システムの作動方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の燃料電池モジュールを具備する燃料電池システム及びそのような燃料電池システムの作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、水素及び酸素から電気的エネルギーを発生する。酸素は通常空気(とりわけ、環境空気)の形状で供給され、並びに水素は、貯蔵器から供給されるか、若しくは例えばメタノールから局所的に発生される。燃料電池は通常、1つ以上の燃料電池スタックの中に一体化され、並びに、新鮮な作動ガス及び冷却水を供給すると共に、使用済み作動ガス及び冷却水を放出及び/若しくは再循環するためのライン、燃料電池の作動がこれなしでは可能ではない、燃料電池モジュールを構成するためのセンサ、バルブ、制御装置、スイッチ、ヒータなどの多数の周辺エレメントと共に一体化される。これらの構成要素のいくつかは、保護するカバー、ハウジング又は覆いが備え付けられ、並びに全て若しく少なくとも殆どの構成要素は、できる限りコンパクトに組み立てられ、且つハウジングの中に燃料電池と共に収容される。
【0003】
代表的な適用事例において、電力変換器は、1つ以上の燃料電池モジュール(例えば、燃料電池群に相互接続される)及び電気負荷(例えば電気モータのような電気消費体)の間で接続され、一方では(1つ以上の)燃料電池モジュールの出力電圧を(電気)負荷の出力電圧に調和させ及び合わせて、並びにもう一方では、負荷需要に依存した負荷電流に調和させ及び合わせる。例えばDC(直流)-DC(直流)変換器のような燃料電池モジュール及び負荷の間で接続されるような典型的な電力変換器は、例えば電力トランジスタのような、負荷需要に関連した各出力電圧若しくは各負荷電流を提供する他の負荷電流に基づいて、制御及び切り換えられるスイッチング半導体エレメントを含む。特定用途に依存したこのようなDC-DC変換器は、作動において、比較的高価且つ損失があり、それによって作動コストが増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、作動コストの節約が可能になった、複数の燃料電池モジュールを具備する燃料電池システム並びにそのような燃料電池システムの作動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、独立請求項に記されているような、少なくとも1つの燃料電池モジュールを具備する燃料電池システム並びにそのような燃料電池システムの作動方法に関する。利点に係る態様及び更なる発展は、従属請求項にて明示される。
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、燃料電池モジュールの作動中にそれに適用される電気出力電圧を有し、且つ電気負荷に結合されるような第1及び第2電気供給ターミナルを有する少なくとも1つの燃料電池モジュール、燃料電池モジュールの出力電圧を発生させるための反応剤の1つとして、調節可能な分量の空気において、空気を燃料電池モジュールに供給するために、少なくとも1つの燃料電池モジュールに接続された空気供給装置、並びに少なくとも1つの燃料電池モジュール及び第1及び第2電気供給ターミナルにて、少なくとも1つの燃料電池モジュールの出力電力を制御し、且つ供給される空気量を調節するための空気供給装置に接続された制御装置を具備する燃料電池システムに関する。該制御装置は、検出された負荷需要に関連して、少なくとも1つの燃料電池モジュールの出力電力を制御するために、負荷の負荷需要を検出し、並びに特有の空気比に基づいた精密な空気比における検出された負荷需要に対応して、空気供給装置により供給された空気量を調節及び再調節若しくは最新化するよう設計される。
【0007】
従って、燃料電池モジュール及び負荷の間に接続された、例えばDC/DC変換器のような、電力変換器無しで済ませることが、本発明により可能になる。本発明によれば、少なくとも1つの燃料電池モジュールの出力電力は、検出された負荷需要に対応して、空気供給装置により供給された空気量を調節及び最新化することにより、検出された負荷需要に対応して、制御される。
【0008】
本発明によれば、とりわけ、中間電力変換器の代わりとして、酸化体(空気に含まれる酸素)の化学量論を使用するために提供される。特に、空気比の調節は、出力電圧を調節及び最新化するのに適した一定の範囲内にあり、ひいては、燃料電池スタックになっている不変のダメージ無しの燃料電池システムを実行することになる。従って、負荷は、それの空気供給により調節されているモジュールの出力電力を伴って、燃料電池モジュールに直接的に接続され得る。
【0009】
別の態様では、本発明は、上述したタイプの燃料電池システムの作動方法であって、燃料電池モジュールの作動中にそれに適用される電気出力電圧を有し、且つ電気負荷と結合される第1及び第2電気供給ターミナルを有する少なくとも1つの燃料電池モジュールを具備し、前記方法は、燃料電池モジュールの出力電圧を発生させるための反応剤の1つとして、調節可能な分量の空気において、空気供給装置を通じて、空気を燃料電池モジュールに供給するステップ、負荷の負荷需要を検出するステップ、並びに検出された負荷需要に対応して空気供給装置により供給された空気量の調節及び再調節若しくは最新化が制御された空気比により、検出された負荷需要に対応して、少なくとも1つの燃料電池モジュールの第1及び第2電池供給ターミナルにて、出力電力を制御するステップを具備する。
【0010】
特に、制御装置は、少なくとも1つの燃料電池モジュールの出力電力を制御するために、特定の空気比に基づいた、精密に制御された空気比において、空気供給装置により供給された空気量を調節するように設計される。
【0011】
特に、実施態様において、制御装置は、1と2の間の空気比を伴って、精密に制御された空気比において、空気供給装置により供給された空気量を調節するように設計される。本実施態様によれば、空気供給装置によって供給された空気量は、1.5と2の間の空気比を伴って、精密に制御された空気比が調節される。
【0012】
実施態様において、少なくとも1つの燃料電池モジュールの出力電圧は、制御装置に備えられた出力電圧特性のための空気比に関連して、精密に制御された空気比において、調節される。
【0013】
特に、制御装置は、それに備えられた出力電圧特性のための空気比を有し、並びに制御装置は、電圧特性のための空気比に対応した、精密に制御された空気比において、少なくとも1つの燃料電池モジュールの出力電圧を調節するように設計される。
【0014】
実施態様に関連して、制御装置は、それに備えられた出力電圧特性のための第1及び第2空気比を有し、並びに制御装置は、出力電圧特性のための第1及び第2空気比の範囲で、精密に制御された空気比における、少なくとも1つの燃料電池モジュールの出力電圧を調節するように設計される。
【0015】
例えば、出力電圧特性のための第1空気比は、負荷需要の最小許容バラツキを示しており、並びに出力電圧特性のための第2空気比は、負荷需要の最大許容バラツキを示している。
【0016】
実施態様によれば、少なくとも1つの燃料電池モジュールの出力電力を制御するために、制御装置は、少なくとも1つの燃料電池モジュールの10%の最大許容負荷電流よりも多い負荷需要のためのみに検出された負荷需要に関連して、空気供給装置により供給された空気量を調節するように設計される。
【0017】
実施態様によれば、空気供給装置は、エアコンプレッサを具備する。
【発明の効果】
【0018】
上記及び後述する制御装置の機能はまた、各方法のステップに記載される方法において、類似して使用され得る。本明細書に記載された全ての実施形態及び実施例は、同様に、このような作動方法のために、類似的に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る燃料電池システムの実施態様の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図(図1)は、本発明の態様に係る燃料電池システムの典型的な態様を示す。
【0022】
燃料電池システム1は、少なくとも1つの燃料電池モジュール10を具備する。該燃料電池システムはまた、相互接続された複数の燃料電池モジュールを含むことができる。例えば、当業者によく知られたものとして、燃料電池モジュールは、平行若しくは連続して、又はその両方の組み合わせにて接続され得る。燃料電池モジュール10(複数の相互接続された燃料電池モジュールの場合には、燃料電池システム1)は、電気負荷2に接続されるように設計された第1電気供給ターミナル101及び第2電気供給ターミナル102を有する。図に示すように、接続された状態において、燃料電池モジュール10の供給ターミナル101及び102は、負荷電流Iを(電気)負荷2に供給するために、それに適用される出力電圧Uを有する。通常における負荷2は、1つ以上の電気消費体(例えば電気モータ)、該電気消費体と関連する1つ以上の電力変換器(例えば電気供給器若しくはそれと同じようなもの)、及び/又は電気負荷回路の他の電気的構成要素を含み、並びに負荷電流を切断するために、燃料電池モジュール10に消費側で接続される電気的構成要素の代表である。
【0023】
とりわけ、負荷2及び少なくとも1つの燃料電池モジュール10は、それらの間に接続された電力変換器(例えばDC/DC変換器)が無く、負荷2の検出された負荷需要に関連した少なくとも1つの燃料電池モジュールの出力電力を調節及び再調節若しくは最新化するために備え付けられる。むしろ、詳細を後述するが、これは、燃料電池モジュール10と共に、制御装置30及び空気供給装置40の独創的協働により、代わりに完成される。
【0024】
一方で、燃料電池システム1の制御装置30は、燃料電池モジュールの測定された負荷電流(出力電流)Iに基づいて、少なくとも1つの燃料電池モジュール10の作動状態を検出するために役立つ。他方では、制御装置30は、燃料電池モジュール10の作動を制御するために、燃料電池モジュール10に接続される。この目的を達成するために、制御装置30は、コントロールライン22を通じて燃料電池モジュール10に電気的に接続され、並びに燃料電池システム1における作動のために、前記モジュールを個々にスイッチを入れ、該モジュールを個々にスイッチを切り、又は例えばモジュール出力電圧、電流及び若しくは電力出力といった電気的パラメータを制御若しくは調節するのにふさわしい。この目的のために、当業者は、制御装置30及び燃料電池モジュール10との間の相互の影響におけるメカニズムを制御若しくは調節することができ、それは当業者にとってはよく知られている。例えば、ライン22を経由した、水素や空気(酸素)のような化学反応剤の供給は、各作動範囲(図示せず)を制御するための制御装置30により個々に調節及び制御される。
【0025】
更に、測定装置が、燃料電池モジュール10に接続され、並びに燃料電池モジュール10の負荷電流を測定するのに適しているので備え付けられることが可能である。本実施態様において、制御装置30は、それに備え付けられた測定モジュール(図示せず)を有し、該モジュールは、ハードウェア若しくはソフトウェア或いはその組み合わせで実装でき、並びに燃料電池モジュールの負荷電流Iを測定することができる。典型的な本実施形態において、制御装置30は、例えば、アナログ/ディジタルインターフェイスを通じて、それぞれ必要なパラメータを受信し、並びに対応する出力変数を計算するマイクロプロセッサを含む。
【0026】
負荷2の負荷需要(従って、要請された負荷電流)の特性である1つ以上のパラメータは、ライン23を通じて、制御装置30へ伝えられる。
【0027】
更に、調節可能な空気量において、空気51(ここでは大気)を燃料電池モジュール10に供給するために、少なくとも1つの燃料電池モジュール10に接続される空気供給装置40が備え付けられる。空気51は、燃料電池に係る反応剤(ここでは酸化剤たる酸素)の1つを提供するために役立ち、該反応剤は、連続的な供給燃料(ここでは水素)の化学反応エネルギーを変換、ひいては燃料電池モジュール10の電気出力電圧Uを発生させる。空気51は、注入口41を通じて、例えばエアコンプレッサのような空気供給40の中へと導入される。エアコンプレッサ40は、それに含まれる酸素が化学反応にて出力電圧Uを発生させるために、水素と共に反応するような1つ以上の燃料電池スタックを通じて供給された空気51を運ぶ。出口42を通じて、使用且つ未消費である空気52は、燃料電池スタックから離れて導かれ、並びに燃料電池モジュール10から放出される。エアコンプレッサ40は、ライン21を通じて制御装置30に接続され、並びに燃料電池モジュール10に供給された空気51の空気量が、個々に調節される挙動で、変化させられるように、該ラインを通じて、制御装置30により制御され得る。後述するが、精密に制御された空気比において、これが成され、その上制御装置30は、各燃料電池スタックにて、燃料電池モジュール10に優勢である空気比を測定するための対応する測定装置(図示せず)に接続される。
【0028】
本発明の実施態様によれば、酸化剤たる酸素の化学量論は、燃料電池モジュール10の出力電力を制御する並びに負荷2の負荷需要に関連して、同じ出力電力を再調整若しくは最新化するために使用される。空気比の制御若しくは調整は、燃料電池スタックに対する長いダメージを引き起こすことなく、燃料電池システムの出力電圧ひいては電力を減らすのにふさわしい一定の制限の中にある。要約すると、燃料電池モジュール10及び負荷2の間の負荷電流が制御されたDC/DC変換器は、負荷2が燃料電池モジュール10に直接的に電気的接続され、且つその上燃料電池モジュールの電力が、それの空気供給により調節されるという点で、なしで済む。
【0029】
実施態様によれば、作動ポイントは、制御装置30に備えられた化学量論的出力電圧特性にチャージされる。化学量論は、化学反応における反応剤の供給過剰及び供給不足を意味することと通常理解される。それは、より多くの反応剤が供給されるのと同じくらい、化学反応における比が必要とされるとき、1.0である。従って、燃料電池のために、水素の化学量論及び酸素の化学量論がある。大気の酸素(車のような)を伴って仕事をする反応材のために、後者は、“空気比”(λ)と称される。燃料電池において、通常の空気比は、100%近くの電力を得るために、1.5と2の間である。従って、より多くの空気(酸素)が空気供給装置40により供給されるのと同じくらい1回半から2回が、実際に反応において必要とされる。この窓が、λ=1にまで下がるとても低い値にまで及ぼされる場合、出力電圧ひいては燃料電池モジュールの電力は、極端な場合、ゼロにまで落ち込むであろう(図を参照せよ)。供給された空気の空気量(ひいては空気比)を調節することにより、燃料電池モジュールの燃料電池の電池電圧は、負荷ひいては間接的な電力制御のための可変電流フローに起因して、増大され又は(水素を伴う化学反応が影響を及ぼすことにより)減少されるであろう。
【0030】
図に模式的に示されているように、出力電圧特性13、14のための1つ以上の空気比は、制御装置30に備えられ、燃料電池モジュール10の出力電圧Uは、出力電圧特性に対して対応する空気比に関連したλに基づいて、精密に制御された空気比において、調節される。特に、本実施形態において、出力電圧特性13、14のための第1及び第2空気比がそれぞれ備えられる。出力電圧特性13のための第1空気比は、負荷需要の最小許容バラツキを示し、並びに出力電圧特性14のための第2空気比は、負荷需要の最大許容バラツキを示す。図では、空気比λの関数として、相対的燃料電池出力電圧Uを示す。相対的燃料電池出力電圧Uは、定格運転(=100%)における電圧値に基づいており、且つ出力電圧Uの過程に対応する。領域11は、拡張作動範囲を、定格電力に関連して、約60%~90%の相対的出力電力変換と同一視する。空気比λを1.0~1.5に設定することにより、出力電圧ひいては燃料電池モジュールの出力電力は、この作動範囲において、精密に制御された空気比に調節される。領域12は、拡張作動範囲を、定格電力に関連して、約10%~15%の相対的出力電力変換と同一視する。空気比λを1.5~2.0に設定することにより、出力電圧ひいては燃料電池モジュールの出力電力は、この作動範囲において、精密に制御された空気比に調節される。全体的に見れば、燃料電池モジュール10の出力電力の約10%~100%の範囲18は、それゆえに、空気51の空気比が制御された供給によりカバーされる。
【0031】
本実施形態において、制御装置30は、出力電圧特性13,14のための第1及び第2空気比の間の作動範囲15における精密に制御された空気比において、燃料電池モジュール10の出力電圧Uを調節する。例えば作動点16は、この範囲15の中に設定される。スパン17は、1.0の空気比λと共に許容負荷需要の範囲を意味する。
【0032】
本発明によれば、電力制御は、DC/DC変換器のような電力電気的構成要素を通じる代わりに、空気供給(又は反応化学量論)を通じて好都合に行え、それゆえに該構成要素はなしで済まされ、作動コストをかなり減少させる。むしろ、エアコンプレッサ40の制御の調節ひいては燃料電池モジュール10を通じて通過する空気の量の調節に効果がある。必要条件は、負荷2の作動電圧に関する許容範囲が、存在するDC/DC変換器による電力需要の調節が除去されるだけでなく、消費若しくは負荷の許容作動電力に対する燃料電池モジュールの出力電圧のマッチングも除去されるために、燃料電池モジュール10の供給電圧の範囲に直接的に対応する。従って、本発明は、燃料電池モジュール及び消費若しくは負荷の電圧レベルが、負荷範囲全体にわたって不整合であるような適用において、とりわけ適用され得る。
【0033】
とりわけ、次の作動限界が、明示される。
・λ=1~2、とりわけ1.0~2.0の間の空気比の変化
・燃料電池モジュールのための10%の最大許容負荷電流より上の有効な負荷電流I
1つは、1.0の空気比が、燃料電池電力の100%十分でなくてはならず、且つ該電力がこの値より下にのみ落ちることを考え得る。拡散損失に起因して、しかしながら、1よりもかなり大きい空気比が、拡散損失がゼロにまで減少させられるように、本物の燃料電池システムで常に使用されなくてはならない。λ=2.0にて、このことは、技術の電流状態において、十分な正確さを伴って与えられる。この値よりも下の全ての値は、技術の電流状態を伴ってまた、λ=1.0にて100%近くになることができる電圧ひいては電力減少を導く。正確な値は、燃料電池の詳細な電池の設計及び材料選択に依存する。このことは、特定の応用及び作動条件のために、当業者により適切に選択且つ決定されるであろう。
【0034】
燃料電池システムにとって、最大許容負荷電流は通常、特定区域の電流密度(正確な値は、デザイン及び作動管理に依存する)に依存して決定される。しかしながら、燃料電池が、反応管理のための設計範囲を逸脱する下の低い限界値もまたある。これは、技術の電流状態における約10%の最大許容負荷電流であり、並びに上記に開示された妥当な制限の理由となっている。
【符号の説明】
【0035】
1 燃料電池システム
2 電気負荷
10 燃料電池モジュール
11、12 領域
13、14 出力電圧特性
15 作動範囲
16 作動点(ポイント)
22 コントロールライン
23 ライン
30 制御装置
40 空気供給装置(エアコンプレッサ)
41 注入口
42 出口
51 空気(大気)
101 第1電気供給ターミナル
102 第2電気供給ターミナル
図1