(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】供給ラインを備えた高速ストローク式運動装置、およびそのための動力伝達チェーン
(51)【国際特許分類】
B65H 75/38 20060101AFI20220819BHJP
F16G 13/16 20060101ALI20220819BHJP
H02G 11/02 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
B65H75/38 X
F16G13/16
H02G11/02
(21)【出願番号】P 2019519713
(86)(22)【出願日】2017-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2017073283
(87)【国際公開番号】W WO2018072941
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-08-31
(31)【優先権主張番号】202016105840.6
(32)【優先日】2016-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ティサ
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】実開平08-000820(JP,U)
【文献】実開平01-096989(JP,U)
【文献】特開平06-346450(JP,A)
【文献】米国特許第05156242(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/34-75/50
F16G 13/12
H02G 11/00-11/02
E06B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの供給ラインを有する、細長くフレキシブルな物体(12)用の高速ストローク式運動装置であって、
前記物体(12)を案内しながら変位させるための、スパイラル部分(18)を有する案内路(14)を備え、前記スパイラル部分(18)では、互いに接触せずにスパイラルの内側に向かって延在する、間隔を空けられた複数のターン(19)の中に、前記物体(12)
の一部をコンパクトに収容することが可能であり、前記案内路(14)が、互いに対向して平行に配置された2つの案内プロファイル(40)を有し、該案内プロファイル(40)の経路が、前記スパイラル部分(18)、およびそれに続く直線部分(16A;16B)を画定し、
前記物体(12)が、前記少なくとも1つの供給ライン用のライン案内路(20)を有し、該ライン案内路(20)が、
- 前記案内プロファイル(40)内を摺動してまたは転がって案内される、両側で横方向に突出するジャーナル(26)又はローラーを有しかつ前記スパイラル部分(18)に案内される、第1のサブ部分(21)を備え、
- 第1の端部(23A)において前記第1のサブ部分(21)に連結される前記第1の端部(23A)と、第2の端部(23B)において前記少なくとも1つの供給ライン用の回転フィードスルー(30)に連結される前記第2の端部(23B)とを有
し、前記案内プロファイル(40)と係合する前記ジャーナル(26)又は前記ローラーを有さない、無案内の第2のサブ部分(22)を備える、高速ストローク式運動装置。
【請求項2】
前記第2のサブ部分(22)が、スパイラル経路の回転方向には小さい曲げ半径(R1)を有し、回転の逆方向には、大きい反対側の曲げ半径(R2)を備えるように構成される、請求項1に記載の高速ストローク式運動装置。
【請求項3】
前記第2のサブ部分(22)が、前記回転方向には、前記スパイラル部分(18)の最も内側の曲率以下である曲げ半径(R1)を有する、請求項2に記載の高速ストローク式運動装置。
【請求項4】
前記スパイラル部分(18)が、入口(17)を有し、前記第2のサブ部分(22)の長さが、少なくとも、前記回転フィードスルー(30)の回転軸(A)と前記入口(17)との間の距離に対応する、請求項1から3のいずれか一項に記載の高速ストローク式運動装置。
【請求項5】
前記フレキシブルな物体(12)が、前記ライン案内路(20)を形成し、前記少なくとも1つの供給ライン用のライン・ダクト(24)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の高速ストローク式運動装置。
【請求項6】
前記ライン案内路(20)が、分離した構造のものであり、前記フレキシブルな物体(12)に設けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の高速ストローク式運動装置。
【請求項7】
少なくとも1つの供給ライン用のエナジー・チェーン(20)と、スパイラル部分(18)を備えた案内路(14)とを有し、前記スパイラル部分(18)では、互いに接触せずに実質的にスパイラルの内側に向かって延在する、間隔を空けられた複数のターン(19)の中に、前記エナジー・チェーン(20)
の一部をコンパクトに収容することが可能であり、前記案内路(14)が、互いに対向して平行に配置された2つの案内プロファイル(40)を有し、該案内プロファイル(40)の経路が、前記スパイラル部分(18)、およびそれに続く直線部分(16A;16B)を画定し、前記エナジー・チェーン(20)が、複数のチェーン・リンクを有し、該複数のチェーン・リンクは、互いに対して旋回可能であり、関節継手によってペアになって互いに連結され、前記少なくとも1つの供給ラインを保護しながら案内するためのライン・ダクト(24)を形成し、前記エナジー・チェーン(20)が、さらに、
- いずれの場合にも、前記案内プロファイル(40)内を摺動してまたは転がって案内される、両側で横方向に突出するある数の案内要素(26)を有しかつ前記スパイラル部分(18)に案内される、第1のサブ部分(21)を備え、
- 前記第1のサブ部分(21)に連結される第1の端部(23A)と、前記少なくとも1つの供給ライン用の回転フィードスルー(30)に連結される第2の端部(23B)とを有
し、前記案内プロファイル(40)と係合する前記案内要素(26)を有さない、無案内の第2のサブ部分(22)を備える、装置。
【請求項8】
前記回転フィードスルー(30)が、固定連結面(32)および回転可能連結面(31)を有し、前記第2の端部(23B)が、前記回転可能連結面(31)に回転不能に連結される、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つの供給ラインをさらに備え、前記回転フィードスルー(30)が、前記供給ラインが回転軸(A)の周りに巻かれる1つまたは複数の第1の螺旋ターン(34)と、前記供給ラインが前記回転軸(A)の周りで逆方向に巻かれる1つまたは複数の第2の螺旋ターン(35)と、前記1つまたは複数の第1の螺旋ターン(34)及び前記1つまたは複数の第2の螺旋ターン(35)を連結し、前記供給ラインが逆回りになるたわみ円弧部(36)とを備えた螺旋経路を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記回転フィードスルー(30)が、気体もしくは液体用のロータリー・ジョイント、または電力もしくは信号用のスリップリング機構の形態をとる、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記案内プロファイル(40)が、実質的にU字形のプロファイル断面を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1のサブ部分(21)が、前記案内路(14)によって搬送され、前記第2のサブ部分(22)が、前記案内路(14)によって案内されない、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記スパイラル部分(18)が、円形スパイラルのように一定に湾曲したスパイラル形状で構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記スパイラル部分(18)が、楕円形スパイラルのように細長い、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも前記第2のサブ部分(22)において、前記エナジー・チェーン(20)の前記チェーン・リンクが、第一に、各関節継手に旋回角度制限ストッパを有し、それにより、前記第2のサブ部分(22)が、前記スパイラルの回転方向には、前記スパイラル部分(18)の最も内側の曲率以下である曲げ半径を有し、第二に、伸展角度制限ストッパを有し、それにより、前記第2のサブ部分(22)が、回転の逆方向には伸展して延在する、請求項7に記載の装置。
【請求項16】
前記スパイラル部分(18)が、入口を有し、前記第2のサブ部分(22)の長さが、少なくとも、前記回転フィードスルー(30)の回転軸(A)と前記入口との間の距離に対応する、請求項7または8に記載の装置。
【請求項17】
駆動装置が、前記フレキシブルな物体(12)に動作可能に連結される、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記フレキシブルな物体(12)が、
- 機械の中で推力および/または張力を伝達するためのドライブ・チェーンまたはケーブル、
- 機械のカバー用のローラー・シャッター、または
- 高速リフティング・ドアのスラット・ローラー・シャッター
として使用される、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記第2のサブ部分(22)が、前記回転の逆方向には、自己支持するように構成される、請求項2に記載の高速ストローク式運動装置。
【請求項20】
前記ライン案内路が、エナジー・チェーン(20)の形をとる、請求項6に記載の高速ストローク式運動装置。
【請求項21】
前記スパイラル部分(18)が、スパイラルの円弧部を互いに連結するまっすぐな部分を備える、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばカバーのローラー・シャッター、リフティング・ドアのスラット・ローラー・シャッター・リーフなどの、細長くフレキシブルな物体用の、また一般には機械での動力伝達用のチェーンまたはケーブル用、詳細にはプッシュ/プル・チェーン用の、高速ストローク式運動装置に関する。加えて、本発明は、こうした装置のためのエナジー・チェーンにも関する。
【背景技術】
【0002】
この場合、物体という用語は、その最も広い意味で理解されたい。これには、任意の所望の構成の、鎖状につながれた一続きのリンク状要素という意味でのリンク・チェーン、すなわち、限定はされないが動力伝達ドライブ・チェーンが含まれる。その高速特性を確実にするために、ここでは、各要素は移動方向での張力および圧縮力に十分に耐える構造のものでなければならず、また互いに対して旋回可能でなければならない。しかし、この場合、物体という用語には、特に動力伝達用のフレキシブルな一体型ケーブル、またはフレキシブルな一体型ベルトも含まれる。
【0003】
巻取りまたは巻出しの目的で、しかも物体をコンパクトに格納および展開すべき場合、多くの分野では、各物体をドラム状シャフトに巻く、またはドラム状シャフトから巻き出すことが、通常の慣行である。窓の開口部用のローラー・シャッターが、よく知られている例の1つである。しかし、この原理は、剛性要素の多角形効果(polygon effect)による不均一な荷重によって生じる静的課題、および巻取りシャフトの軸を従来の方法で駆動したときに動作速度が回転位置とともに変化することによる、たとえば回転位置に依存したストローク速度などの運動力学的課題を含め、種々の欠点に関連付けられる。
【0004】
しかし何よりも、ドラムの原理では、第一に、物体に生じる摩擦力および圧力により、第二に、特に巻取りシャフトまたはドラムの追加的な慣性により、一般に、達成可能な最大ストローク速度または動作速度が著しく制限される。これは、長いかつ/または重量のある物体に特に当てはまる。
【0005】
建造物の開口部を閉じるためのハイスピード・ドア用途において、比較的速いストローク速度を実現するための「スパイラル・フィッティング」が開発されてきた。これは汎用の案内路を含み、この案内路は、直線的もしくはまっすぐに、または物体が所望の変位をなすように案内される、外向きストロークおよび戻りストローク用の従来設計の直線部分と、特にコンパクトな保管空間への格納、およびそこからの展開のために機能する、特別なスパイラル部分とを有する。ここでの極めて重要な要素は、物体の一部または全部をコンパクトに収容するスパイラル部分の特定の設計であり、すなわち互いに接触せずに実質的にスパイラルの内側に向かって延在する、間隔を空けられた複数のトラックまたはターンにある。フレキシブルな物体の個々のターンまたは「層」は、ここでは一切互いに接触することなく案内される。その結果、対向するリンク間に摩擦力または圧力が生じ得ない。したがって、物体は、ターンが重なった状態の物体それ自体に巻き上げられる、またはそこから巻き出されることはない。しかし、この解決法も同様にコンパクトである。さらに、これにより、「楕円形スパイラル」用の真円でないかまたは細長い経路も可能になる。
【0006】
特にハイスピード・ドア用に開発されたこうしたスパイラル案内路は、たとえば特許文献1から知られている。スラット・ローラー・シャッター用の同様のスパイラル案内路が、特許文献2に記載されている。
【0007】
この種類の無接触スパイラル案内路を用いて、特に、長いかつ/または重量のある物体の場合でも、著しくより速い速度を実現することができる。これにより、ドラム状の巻取りおよび巻出し装置の知られている課題がかなり避けられる。こうしたスパイラル案内路は、スラット・ローラー・シャッターまたはカバー向けだけではなく、チェーン状、ケーブル状、またはベルト状の物体がコンパクトに格納できるのと同時に高速で動作することが必要とされるかまたは望ましいとき、たとえばプッシュ/プル・チェーン、または一般にドライブ・チェーンなど、機械工学の他の分野にも使用される。
【0008】
加えて、種々の目的のために、高速ストローク式運動装置に少なくとも1つの供給ラインを装備することが知られている。したがって、人または物が存在する場合にドアが閉じないようにするライト・バリア(light barrier)が、通常はたとえば安全のために、ハイスピード・ドアの直線部分に提供される。
【0009】
ストローク式運動装置の固定部分にラインを設けることは、基本的に難しくない。ドラムと異なり、スパイラル案内路では、第一に、運動が複雑であるために、第二に、従来のドラム、またはその上でとどまる(non-rotatable)物体内端がないために、変位可能な物体、特に物体の外端領域に供給ラインを装備するのは、容易にできることではない。しかし、これはエネルギー、信号、液体および/または気体である動作媒体向けの多くの用途において望ましい場合がある。言及される場合がある例には、リミット・スイッチ、衝撃センサなどの、端部に位置付けられるセンサがあり、または端部に位置付けられる、たとえば消費者用のアクチュエータもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許第0531320号明細書
【文献】英国特許出願公開第1172560号明細書
【文献】国際公開第2011/086198号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の第1の目的は、供給ラインをベースとして、物体への、特に通常の直線部分を通過する物体の外端領域への、信頼性が高い供給を可能にする解決法を提案することである。可能であれば、ここでは、供給ラインの非常に耐久性の高い保護された配置を実現することができるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1のプリアンブルに記載の汎用の高速ストローク式運動装置におけるこの課題を解決するために、本発明により、フレキシブルな細長い物体が、少なくとも1つの供給ライン用のライン案内路を有し、このライン案内路が、必ずしもというわけではないが具体的には物体自体が案内されることによってスパイラル部分に案内される、第1のサブ部分を有し、続いて、具体的には高速案内路によって案内または搬送されない、無案内の第2のサブ部分を有することが可能になる。第2のサブ部分は、好ましくは自己支持する構造のものである。
【0013】
第2のサブ部分の第1の端部は、その端部において、案内される第1のサブ部分に連結されてもよく、第2のサブ部分の第2の端部は、その端部において、少なくとも1つの供給ライン用の回転フィードスルーに連結されてもよい。いずれにせよ、無案内の第2のサブ部分が、案内される第1のサブ部分に回転フィードスルーを連結する。
【0014】
提案されたライン案内路の構成により、とりわけ、スパイラル部分の案内部の内端と回転フィードスルーの回転軸との間の領域において、供給ラインの経路が規定される、または運動順序が制御されることが確実になる。(ライン案内路がない状態で観察される)物体の内端は、ここでは回転軸からの距離が外端の外向きストロークまたは戻りストロークと同じ速度で増加または減少する、スパイラル軌道の運動を行うので、速い速度での精密さのために、この領域は特に重要である。
【0015】
ライン案内路を通じたこの複雑な運動は、無案内の第2のサブ部分によって回避することができる。ここでは、第2の部分は、具体的には、ストローク位置(移動位置)に応じて長さが減少または増加する概念的な円形の円弧弦またはセカント(secant)である、開くかまたは閉じる弓状部分という形態で構成され得る。次いで、展開限度位置は、第2のサブ部分の自己支持伸展位置に対応する。物体の格納限度位置では、第2の部分は、具体的にはスパイラル状に、しかしスパイラル案内路に案内されることなく「巻き上げ」られる。回転フィードスルーと組み合わせると、ラインを保護しながら確実に案内することが可能になる。
【0016】
このように、供給ラインは、特にねじれから守られた方式で回転フィードスルーから物体へと延在することができ、逆の場合もまた同様である。加えて、ライン案内路自体により、供給ラインに荷重をかけることなく、内端と回転フィードスルーとの間で動力を伝達することが可能になる。さらに、この構成は、案内路のレベルでは、追加の据付け空間を必要としない。
【0017】
物体は、細長く、好ましくはある平面においてのみフレキシブルであり、また張力および推力に抵抗するもの、すなわち長手方向ではわずかにしか伸展または圧縮しないものでなければならない。物体は、2次元に延在してもよく、ケーブル状の形態でもよい。
【0018】
第2のサブ部分が、第一に、スパイラル経路の回転方向において観察される小さい曲げ半径を用いて構成され、第二に、前記回転方向の反対、すなわち回転の逆方向において観察される、非常に大きい、具体的には直線的に自己支持する反対側の曲げ半径を用いて構成される場合、運動学的に好都合な条件、または良好な動力伝達が達成される。確実にコンパクトに「巻き上げ」るために、ここでは、第2のサブ部分が、スパイラル部分の最も内側の曲率以下、すなわち最も内側のスパイラル・ターンの端部曲率以下である、回転方向の曲げ半径を有することが有利である。好ましくは無限大へと向かう傾向にある、反対側の大きい曲げ半径により、回転フィードスルーへの推力伝達が可能になり、スパイラルの回転方向とは逆に分離または反転することが避けられる。第2のサブ部分は、ある方向(スパイラルの回転方向)には容易かつ十分にフレキシブルであるべきであるが、反対方向にはフレキシブルではならない、または明らかにより小さい程度までしかフレキシブルではならない。対照的に、案内路により、第1のサブ部分の曲げ半径およびライン案内路の残りの部分の曲げ半径は重要でない。
【0019】
案内路の残りの部分に向かって、具体的には、通常は存在する直線的に案内する部分に向かって、案内路のスパイラル部分は、好都合には、その半径方向外端に、入口または移行部を有する。ここでは、ライン案内路の第2のサブ部分の長さは、好ましくは、回転フィードスルーの回転軸と入口の半径方向位置との間の、半径方向に測定した距離と少なくとも同じになるように、好ましくはそれより長くなるように選択される。第1のサブ部分の長さは、基本的に重要でない。第1のサブ部分の長さは、細長い物体の全長の一部にしかなり得ないが、少なくともスパイラル部分の長さには達しているべきである。ライン案内路は、たとえば外端が与えられる場合、物体の長さ全体にわたって延在してもよく、この目的のために、任意選択で、別の第3の機能的部分を備えてもよい。
【0020】
本発明の目的のために、物体、具体的にはたとえばプッシュ/プル・チェーンである特定用途向けリンク・チェーンは、ライン案内路を形成しかつこの目的のために少なくとも1つの供給ライン用のライン・ダクトを有するように修正されてもよい。
【0021】
別法として、ライン案内路は、具体的にはエナジー・チェーンの形をとる分離した構造のものでもよい。次いで、エナジー・チェーンは、少なくとも、物体に対して平行なその2つのサブ部分の全長にわたって延在することが好ましく、また、たとえば無案内の第2の部分を除いて、物体上で搬送されてもよく、または個別の専用案内路なしで端から端まで案内されてもよい。
【0022】
物体の所望の使用法のために、たとえばプッシュ/プル・チェーンとして、エナジー・チェーンを特定用途向けに適用することは、同様に本発明の範囲に含まれる。
【0023】
知られている設計のエナジー・チェーンは複数のチェーン・リンクを有し、このチェーン・リンクは互いに対して旋回可能であり、関節継手によってペアになって互いに連結され、少なくとも1つの供給ライン、たとえば電気ケーブルまたは液圧ホースもしくは空気圧ホースを保護しながら案内するためのライン・ダクトを形成する。チェーン・リンクは、具体的にはプラスチックで作成されてもよい。
【0024】
エナジー・チェーンは互いに接触しない状態のターンに単純に延在することができるかまたはスパイラルの内側に向かって延在するトラックに従うので、その構造の性質により、エナジー・チェーンは、スパイラル案内路と協働するかまたはスパイラル部分に配置されるのに、驚くほどよく適している。
【0025】
したがって、別の独立した態様では、本発明は、供給ライン用のエナジー・チェーンと、高速案内路とを有し、この高速案内路が、通常はチェーンの少なくとも一部がコンパクトに収容されるコンパクトな保管部としてのスパイラル部分とともに、従来設計の直線部分を備える、装置にも関する。スパイラル部分では、エナジー・チェーンは、互いに接触せずに実質的にスパイラルの内側に向かって延在する、間隔を空けられた複数のトラックまたはターン内を進む。さらに、供給ライン用の回転フィードスルーが設けられる。エナジー・チェーンが物体を形成するかまたはその逆である実施形態においても、このチェーンは、スパイラル部分に案内される第1のサブ部分と、無案内の、好ましくは自己支持する第2のサブ部分とを有する。第2のサブ部分は、第1のサブ部分を回転フィードスルーに連結し、また、具体的にはその第1の端部により、その端部において、案内される第1のサブ部分に連結され得、その第2の端部により、少なくとも1つの供給ライン用の回転フィードスルーに連結され得る。
【0026】
一実施形態では、無案内のサブ部分は、同時に、回転フィードスルーへと動力を伝達するように機能し、回転フィードスルーは、固定連結面および回転可能連結面を有する。動力を伝達する目的で、第2のサブ部分は、好ましくは、回転可能連結面が物体の格納および展開に従って連結回転するような方式で、回転可能連結面に機械的に直接係合する。こうした一実施形態では、無案内の第2のサブ部分の第2の端部は、具体的には動力を伝達する方式で、回転可能連結面に回転不能に連結され得る。第2のサブ部分は、ここでは、具体的には、伸展しているが少なくとも自己支持する構成で、回転フィードスルーの回転可能連結面を駆動する連結ロッドまたはプッシュロッドの方式で機能する。
【0027】
気体もしくは液体用の従来のロータリー・ジョイント、または電力もしくは信号用のスリップリング機構を、回転フィードスルーとみなすことができる。
【0028】
たとえばケーブル、ホースなどの少なくとも1つの供給ラインは、固定連結面から回転可能連結面を介してライン案内路またはエナジー・チェーンへと、途切れることなく進むことができる。
【0029】
これは、回転フィードスルーが、供給ラインが回転軸の周りに巻かれる1つまたは複数の第1の螺旋ターンと、供給ラインが回転軸の周りで逆方向に巻かれる1つまたは複数の第2の螺旋ターンと、これら2つの螺旋ターンを連結するたわみ円弧部とを有する螺旋経路を有する場合に可能になる。少なくとも1つの供給ラインは、ここではたわみ円弧部において逆回りになる。たとえば電気的摺動接点または液圧ロータリー・ジョイントなどの従来の回転フィードスルーに勝る利点は、第一に、漏れを起こすかまたは損失を起こす破損が完全に避けられること、第二に、種々の媒体用の、または信号供給および電力供給用の複数のラインを、固定箇所から回転箇所へと案内することも簡単にできるようになることである。
【0030】
この種類の適した回転フィードスルーが、特許文献3において本出願人によって提案されており、回転フィードスルーの構造に関して、その内容全体が参照される。ここでは、こうした回転フィードスルーの限定的な回転角度は、十分な数の螺旋ターンにより、ストロークの、必要とされる合計長さ(移動の長さ)に容易に適合され得る。
【0031】
特に、回転フィードスルーの後述する設計が使用されるとき、物体に機械的に連結される回転フィードスルーの回転可能連結面は、好ましくはチェーンの第2のサブ部分によってのみ駆動される。しかし、それには復現ばねも装備されてもよく、この復現ばねは、物体またはチェーンの外向きストロークに対応する前方への回転中に引っ張られ、戻りストローク中は連結面の後方への回転を助ける。したがって、完全展開状態では、ライン案内路またはエナジー・チェーンの第2のサブ部分を回転フィードスルーの回転可能連結面の周りに巻き上げるのを助ける復現ばねの張力が機能する。復現ばねは、完全格納状態においてプリテンションをかけられてもよい。ばねを用いようと用いまいと、いずれの場合も回転フィードスルーのモータ駆動は必要とされない。
【0032】
高速案内路の単純な構造体は、具体的には実質的なU字形プロファイル断面を備えた2つの案内プロファイル、たとえば互いに対向して平行に配置された案内レールを備える。各プロファイルの経路がスパイラル部分を画定し、任意選択で1つまたは複数の直線部分を画定する。具体的には、第1のサブ部分は、両側で横方向に突出する案内ピンを有することができ、案内ピンは、こうしたプロファイル断面に嵌合し、プロファイル内で長手方向に変位可能に摺動しながら案内されるが、第2のサブ部分はこうした案内ピンを有しない。案内ピンは、たとえば、もともと好都合な中立軸高さである、選択したチェーン・リンクの関節継手の連結ピンを超える長さだけ提供されてもよく、または別法として、特に中立軸高さで、別の方式でリンク上に配置または形成されてもよい。案内ピンなどは、好ましくは一定の間隔で、任意選択でn番目のチェーン・リンクごとに設けられ、n>>2が適用され得る。案内ピン(ジャーナル)を備えたすべり軸受の代わりに、プロファイル内を転がるローラーが、チェーンまたは物体に設けられてもよい。摩擦が小さくなるので、これは高速時に特に有利である。
【0033】
特に単純化された一構造では、第1のサブ部分は物体の案内路によって搬送され、自己支持する第2のサブ部分は案内路によって案内されない。案内される第1のサブ部分は、必ずしも案内路によって、具体的にはそのスパイラル部分によって搬送される必要はない。適当な寸法にされた追加の案内路が、ライン案内路またはエナジー・チェーンに対してたとえば平行に関連付けられてもよい。
【0034】
スパイラル部分は、概してスパイラルの形状でもよく、少なくとも部分的には、急激にまたは一定に増加する曲率を有する、内側に向かって進む領域を有する。これは、たとえば、円形スパイラルの性質または楕円形スパイラルの性質の、一定に湾曲したスパイラル形状として構成され、具体的には、間に介在する直線的な、またはより弱く湾曲した部分が、スパイラルの円弧部を互いに連結してもよい。楕円形スパイラルは、たとえば3回のオーバーラップのみで、すなわち任意選択で1回半の回転のみで、ある空間的方向でのサイズを大きくしながら、別の、具体的には垂直な空間的方向において、特にコンパクトで省スペースなサイズを得ることを可能にする。
【0035】
曲率の制限は、エナジー・チェーンでは特に容易に実施することができる。これは、たとえば、第一に、少なくとも第2のサブ部分において各関節継手に旋回角度制限ストッパを有するエナジー・チェーンのチェーン・リンクによって実現することができ、この制限ストッパは、第2のサブ部分が、スパイラルの回転方向において、スパイラル部分の最も内側の曲率以下である曲げ半径を有するように選択される。第二に、チェーンの第2のサブ部分は、各関節継手に伸展角度制限ストッパを有することができ、この制限ストッパは、第2のサブ部分が、スパイラルの回転方向とは反対に、伸展して延在するように選択される。第2のサブ部分の逆方向への屈曲を可能な限り確実に小さくすることは、この推力が伝達され得ること、スパイラルの所望の回転方向とは逆に反転するのが避けられることを意味する。
【0036】
好ましい一実施形態では、エナジー・チェーンの形をとる物体の場合、第2のサブ部分の長さは、また、回転軸とスパイラル部分の入口の半径方向位置との間の半径方向距離に少なくとも対応する。この長さは、少なくとも回転フィードスルーの回転可能連結面の円周の半分だけ長くされてもよく、これにより、完全展開状態であっても、エナジー・チェーンの第2のサブ部分は、依然として、少なくとも回転フィードスルーの円周の半分の周りに巻き付けられる。その結果、限度位置まで外向きにストロークする間、引張り方向での回転フィードスルーへの動力伝達は、主に、摩擦係合によるものになり得る。したがって、その端部において回転フィードスルーに回転不能に連結される第2の端部にかかる引張り荷重は、最小限に抑えられる。
【0037】
好ましい一実施形態では、具体的には電動機である駆動装置が、別法として外向きストロークおよび戻りストロークにおいて物体を駆動するために、出力側において、物体に機械的に動作可能に連結される。回転フィードスルーの回転可能連結面は、ここではライン案内路またはエナジー・チェーンを介して駆動可能でもよく、すなわち回転フィードスルーの回転可能連結面は、それ自体の駆動装置を必要としない。たとえば長さが非常に長尺であるかまたはライン荷重が重い場合、過度の引張り応力/スラスト応力を避けるために、制御システムという観点ではより複雑な、同期して動作する2つの駆動装置を備える機構も考えられ得る。物体に直接取り付けられる1台の駆動装置が所望の高速動作に好都合であり、これは直線部分に係合すべきである。
【0038】
本発明による装置を使用して、種々の分野で、たとえば機械での推力および/または張力伝達用のドライブ・チェーン、機械のカバーのローラー・シャッター、または高速リフティング・ドアのスラット・ローラー・シャッターにおいて、高速動作を実現することができる。
【0039】
任意選択でたとえば高速リフティング・ドアなどのそれ自体知られた形態であるフレキシブルな物体に、本発明によるライン案内路またはエナジー・チェーンによって保護された方式で案内される供給ラインを装備することにより、たとえば自由外端のセンサおよび/またはアクチュエータに関して、最も幅広い、新たな設計オプションがもたらされる。
【0040】
さらに、提案した構造を用いると、コンパクトな保管部のおかげで、限定された据付け空間に、供給ラインを備えた複数の物体を同軸または軸方向に平行に配置することが可能になる。したがって、たとえば、軸方向に平行に配置された2つのスパイラル部分を有する複式高速ストローク式運動装置が、本発明の範囲に含まれる。
【0041】
本発明のさらなる特徴は添付の図によって明らかになり、これらの図に基づいて、上記の説明の一般的な性質を限定することなく、本発明の好ましい例示的な一実施形態を以下に説明する。同一かまたは同様の要素は、各図において同じ参照符号で表示される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1A】完全格納状態で示された、リンク・チェーンを備えた高速ストローク式運動装置の縦断面図である。
【
図1B】完全展開状態で示された、リンク・チェーンを備えた高速ストローク式運動装置の縦断面図である。
【
図2A】完全格納状態の、ライン案内路として具体化されたストローク式運動装置のリンク・チェーンを斜視図で示す図である。
【
図2B】完全展開状態の、ライン案内路として具体化されたストローク式運動装置のリンク・チェーンを斜視図で示す図である。
【
図3】回転フィードスルーを備える高速ストローク式運動装置の正面図(および
図1Bに関連した切断面I-Iを示す図)である。
【
図4】ライン案内路用のダクトを備えたリンク・チェーンの外端を拡大斜視図で示す図である。
【
図5】チェーンが案内路から出てくる、
図3の正面図の拡大領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1A~
図5には、例示的な高速案内路が、全体として10で示されている。高速案内路10は、機械(これ以上のいかなる詳細も図示せず)の中で推力および/または張力を伝達し、案内路14の中に案内される、細長くフレキシブルな物体、この場合はドライブ・チェーン12を備える。案内路14は、円弧部を介して連結された2つの直線部分16A、16Aを有し、この直線部分では、ドライブ・チェーン12は直線的に案内される。アルキメデスの螺旋に対応したスパイラル経路を有する、すなわちターン間隔(半径方向に測定したターン19間の距離)が一定であるスパイラル部分18により、ドライブ・チェーン12をコンパクトに巻き上げることが可能になる。ここに示す高速案内路10は、直線部分16A、16Aおよびスパイラル部分18の所望の経路を画定する2つの平行な対向するプレート(
図3参照)の形の、案内プロファイル40を有する。別法として、所望の湾曲した経路を有する案内レールまたは同様のスロット付きリンク状案内路が使用されてもよい。案内プロファイル40は、たとえば、ほぼU字形のプロファイル断面(
図5)を有するミル加工された(milled)溝の形をとる。ドライブ・チェーン12の両側から突出する案内ピン26が、ドライブ・チェーン12の長手方向において摺動しながら曲線を描くように、案内プロファイル40または案内溝に変位可能に係合する。案内ピン26は、一定の間隔で、たとえばドライブ・チェーン12のn番目のチェーン・リンクごとにマウントされ、たとえば関節継手の延長された軸受ジャーナルの形をとってもよい。
【0044】
スパイラル部分18は、チェーン12の格納(
図1A)に際し、その大部分をコンパクトに収容する。
図1Aから最もはっきりと見て取れるように、ここで、ドライブ・チェーン12は、複数のターン19が互いに接触することなく、すなわちターン間に空間を有して実質的にスパイラルの内側に向かって進むような方式で、スパイラル部分18の中に収容される。たとえば構造的高さを低くすべき場合、ここに示すアルキメデスの円形スパイラルの代替物として、楕円形スパイラルも考えられる。
【0045】
図1A~
図5では、チェーン12自体が、供給ライン(図示せず)用のライン案内路20として機能し、この目的のために、側面パーツによって境界を定められた内部ライン・ダクト24を有する。したがって、ライン案内路20はエナジー・チェーンの形をとる。ライン案内路20は、たとえば複数のチェーン・リンク(図示せず)を備えることができ、これら複数のチェーン・リンクは、互いに対して旋回可能であり、関節継手によってペアになって互いに連結され、供給ラインを保護しながら案内するためのライン・ダクト24を形成する。
【0046】
図1Bから明らかなように、ライン案内路20は、格納の際にスパイラル部分18に案内される第1のサブ部分21を有し、案内路14の案内プロファイル40に係合しない、常に無案内の第2のサブ部分22を備える。
【0047】
第2のサブ部分22の第1の端部23Aは、その端部において第1のサブ部分21に連結される。第2のサブ部分22の第2の端部23Bは、その端部において複数の供給ライン用の回転フィードスルー30(
図3)に連結される。主平面では自由である、無案内の第2のサブ部分22の経路は、第2のサブ部分22が、ライン案内路20の第1のサブ部分21とは異なり、案内プロファイル40に係合する案内ピン26を有しないことにより、簡単に実現され得る。第2のサブ部分22は、スパイラル経路の回転方向に、スパイラル部分18の最も内側の曲率以下になるように選択される、小さい曲げ半径R1を有する。
【0048】
回転の逆の方向では、第2のサブ部分22は、好ましくは無限大へと向かう傾向にある非常に大きい反対側の曲げ半径R2を有し、それにより、チェーン12が完全に送られたとき(
図1B/
図2B)、第2のサブ部分22は伸展され、実質的に自己支持するように延在し、すなわち回転の逆方向にたわむことがない。ライン案内路20がエナジー・チェーンの原理を用いて直線的に構築されている場合、半径R1、R2は、旋回角度制限ストッパおよび逆方向での伸展角度制限ストッパを適当に選択または寸法決定することにより、単純に設定することができる。
【0049】
図3には、回転フィードスルー30の好ましい設計がより詳細に示してある。回転フィードスルー30は、固定連結面
32、回転軸Aを画定する回転可能シャフト、および回転可能連結面
31を有する。無案内の第2のサブ部分22の第2の端部23Bは、動力を伝達する、回転不能な方式で回転可能連結面
31に連結される。回転フィードスルー30は、供給ラインが回転軸Aの周りに巻かれる2つの第1の螺旋ターン34と、供給ラインが回転軸Aの周りで逆の回転方向に巻かれる、対向する第2の螺旋ターン35とを備える螺旋経路を形成する。螺旋ターン34、35は、ラインがその回転方向を逆にする、軸方向に可変のたわみ円弧部36によって連結される。螺旋ターン34、35の数的な配分は回転フィードスルー30の回転位置に応じて変動し、たわみ円弧部36は軸方向に運動する。繰返しを避けるために、構造に関する対応する内容全体は、特許文献3から援用される。さらに、回転可能連結面
31は、好ましくはドライブ・チェーン12の無案内の第2のサブ部分22によってのみ作動されることに留意されたい。戻りストローク中、無案内の第2のサブ部分22は、軸A(
図3)と同軸に回転フィードスルー30のシャフトにマウントされた中空シャフトに巻き付く。
【0050】
ここに示す例では、(チェーンの長手方向で測定した)第2のサブ部分22の長さは、回転フィードスルー30の回転可能連結面31での中空シャフトの円周の約3/4だけ長くされた、回転フィードスルー30の回転軸Aと入口17の半径方向位置との間の半径方向距離になる。したがって、完全展開状態(
図1B/2B)において、第2のサブ部分22は、依然として回転フィードスルー30の回転可能連結面31(
図2B)での円周の約270°に巻き付き、それにより、外向きストローク中の動力伝達は、主として摩擦係合によるものになる。
【0051】
図3には、駆動装置42、たとえば電動機が最もよく示されており、これはドライブ・チェーン12に直接機械的に係合して外向きストロークおよび戻りストロークにおいてドライブ・チェーン12を駆動する(
図1Bの双方向の矢印を参照)、ギヤホイール・ピニオン44を有する。回転軸は、回転フィードスルー30の回転軸A、またはスパイラル部分18の概念的な中心軸に対して軸方向に平行である。
【0052】
図1A~
図5に従って示した例では、ドライブ・チェーン12は、機械の中で推力および/または張力を伝達する働きをすることができる。しかし、たとえばリフティング・ドア、ローラー・シャッターなど、供給ラインを備える高速ストローク式運動装置の他の用途も考えられる。
【符号の説明】
【0053】
10 高速案内路
12 ドライブ・チェーン
14 案内路
16A、16B 直線部分
17 入口
18 スパイラル部分
19 ターン(またはトラック)
20 ライン案内路/エナジー・チェーン
21 第1のサブ部分
22 第2のサブ部分
23A、23B 端部(第2のサブ部分)
24 ライン・ダクト
26 案内ピン
30 回転フィードスルー
31 回転可能連結面
32 固定連結面
34、35 螺旋ターン
36 たわみ円弧部
40 案内プロファイル
42 駆動装置
44 ピニオン
A 回転軸
R1、R2 曲げ半径