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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】熱伝達組成物、方法、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20220819BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
C09K5/04 C
C09K5/04 E
C09K5/04 A
F25B1/00 396U
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019559341
(86)(22)【出願日】2018-05-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 US2018031213
(87)【国際公開番号】W WO2018204860
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-27
(31)【優先権主張番号】62/502,406
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/971,648
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ヅォウ
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・エフ・ヤナ・モッタ
(72)【発明者】
【氏名】グスタヴォ・ポッチケ
(72)【発明者】
【氏名】アンキット・セティ
(72)【発明者】
【氏名】エリザベート・デル・カルメン・ヴェラ・ベセラ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンナ・タングリ
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-502207(JP,A)
【文献】特開平08-277389(JP,A)
【文献】特開2009-024152(JP,A)
【文献】特開2011-256361(JP,A)
【文献】特表2013-533896(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0696805(KR,B1)
【文献】特表2011-525204(JP,A)
【文献】特開2017-031321(JP,A)
【文献】特表2015-508841(JP,A)
【文献】特表2007-532766(JP,A)
【文献】特開2009-074017(JP,A)
【文献】特表2008-504373(JP,A)
【文献】特表2008-524433(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0038582(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/00- 5/20
C10M 101/00-177/00
C10N 10/00- 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
38重量%+/-1重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
57重量%~59重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)と、
2重量%~5重量%のCOと、から本質的になる、冷媒。
【請求項2】
前記冷媒が不燃性である、請求項1に記載の冷媒。
【請求項3】
38重量%+/-1重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
57重量%~59重量%のトリフルオロヨードメタン(CF I)と、
2重量%~5重量%のCO と、からなる、請求項1に記載の冷媒。
【請求項4】
38重量%+/-1重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
58重量%~59重量%のトリフルオロヨードメタン(CF I)と、
2重量%~3.5重量%のCO と、からなる、請求項1に記載の冷媒。
【請求項5】
38重量%+/-0.5重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
58重量%~59重量%のトリフルオロヨードメタン(CF I)と、
2重量%~3.5重量%のCO と、からなる、請求項1に記載の冷媒。
【請求項6】
38重量%+/-0.5重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
59重量%+/-0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF I)と、
3重量%+/-0.5重量%のCO と、からなる、請求項1に記載の冷媒。
【請求項7】
38重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
59重量%のトリフルオロヨードメタン(CF I)と、
3重量%のCO と、からなる、請求項1に記載の冷媒。
【請求項8】
蒸発器と、凝縮器と、圧縮機と、を含む住宅用空調システムにおける加熱及び冷却方法であって、プロセスが、i)請求項1~7のいずれかに記載の冷媒を凝縮する工程と、ii)冷却モードにおいて冷却される本体又は物品の付近で前記冷媒を蒸発させる工程であって、前記冷媒が-40℃~10℃の範囲の温度で蒸発する工程と、を含み、iii)前記システムが0℃~10℃の範囲の蒸発器温度で動作する加熱モードを有する、方法。
【請求項9】
蒸発器と、凝縮器と、圧縮機と、を含む熱伝達システムにおける冷却方法であって、プロセスが、i)請求項1~7のいずれかに記載の冷媒を凝縮する工程と、ii)冷却される本体又は物品の付近で前記冷媒を蒸発させる工程であって、前記冷媒が-30℃~5℃の範囲の温度で蒸発する工程と、を含み、iii)前記システムが0℃~10℃の範囲の蒸発器温度で動作する加熱モードを有する、方法。
【請求項10】
前記熱伝達システムが空調システムである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記空調システムが0℃~10℃の範囲の蒸発器温度を有する住宅用空調システムである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記住宅用空調システムが往復動式圧縮機、回転式圧縮機又はスクロール式圧縮機を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記回転式圧縮機がローリングピストン回転式圧縮機又は回転弁回転式圧縮機である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
熱伝達システムに収容された既存の冷媒を置き換える方法であって、前記システムから前記既存の冷媒の少なくとも一部を除去し、前記既存の冷媒がR-410Aであることと、請求項1~7のいずれかに記載の冷媒を前記システムに導入することによって前記既存の冷媒の少なくとも一部を置き換えることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年5月5日出願の米国仮出願第62/502,406号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、ヒートポンプ、空調、及び冷凍用途を含む熱交換システムにおいて有益性を有する組成物、方法、及びシステムに関し、特定の態様では、冷媒R-410Aが使用されたであろう種類の熱伝達システムにおいて加熱及び冷却用途の冷媒R-410Aの代替品のための組成物、並びにR-410Aとの使用のために設計されたシステムを含む熱交換システムの改修に関する。
【背景技術】
【0003】
産業用、商用、及び家庭用の使用について、冷媒液を使用した機械冷凍システム、並びにヒートポンプ及び空調機などの関連する熱伝達デバイスが当該技術分野で周知である。クロロフルオロカーボン(CFC)は、かかるシステムのための冷媒として1930年代に開発された。しかしながら、1980年代以降、成層圏オゾン層に対するCFCの影響が多くの注目を集めるようになった。1987年には、CFC製品の段階的削減のためのタイムテーブルを定めた、地球環境を保護するためのモントリオール議定書に多くの政府が署名した。水素を含有する、より環境的に許容される材料、すなわちヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)がCFCに取って代わった。
【0004】
最も一般的に使用されたヒドロクロロフルオロカーボンの1つが、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)であった。しかしながら、モントリオール議定書のその後の改正は、CFCの段階的削減を加速させ、HCFC-22を含むHCFCの段階的削減もスケジュールされた。
【0005】
CFC及びHCFCに代わる不燃性、非毒性の代替物の要求に応じて、業界では、オゾン破壊係数がゼロであるいくつかのヒドロフルオロカーボン(HFC)が開発された。オゾン破壊に寄与しないため、空調及び冷却器用途におけるHCFC-22の産業用代替品としてR-410A(ジフルオロメタン(HFC-32)及びペンタフルオロエタン(HFC-125)の50:50w/wブレンド)が採用された。しかしながら、R-410Aは、R22のドロップイン代替品ではない。したがって、R-410AでのR-22の置き換えは、R-22と比較した、R-410Aのより高い動作圧力及び容積に適用させるための圧縮機の置き換え及び再設計を含む、熱交換システム内の主要な構成要素の再設計を必要とした。
【0006】
R-410Aは、R-22よりも許容されるオゾン破壊係数(ODP)を有する一方、2088というその高い地球温暖化係数に起因して、R-410Aの継続使用には問題が伴う。したがって、より環境的に許容される代替品でのR-410Aの置き換えが当該技術分野で必要とされている。
【0007】
任意の代替の熱伝達流体は、中でも優れた熱伝達特性、特に特定の用途の必要性に十分に適合する熱伝達特性、化学安定性、低毒性若しくは無毒性、不燃性、潤滑剤適合性、及び/又は潤滑剤混和性を含む、特性のモザイクを保有することが非常に望ましいことが当該技術分野で理解されている。更に、R-410Aの任意の代替品は、理想的には、システムの修正又は再設計を回避するために、R-410Aの動作条件に対して良好な一致となるものである。その多くが予測できないものであるこれらの要求の全てを満たす熱伝達流体の識別は、大きな課題である。
【0008】
効率及び使用に関しては、冷媒の熱力学性能又はエネルギー効率の喪失は、電気エネルギーの需要の増加の結果として化石燃料の使用量の増加をもたらし得ることに留意することが重要である。したがって、かかる冷媒の使用は、環境に対して二次的な悪影響を有することになる。
【0009】
可燃性は重要であると考えられ、場合によっては、多くの熱伝達用途のための重大な特性であると考えられ、したがって、そのような達成すべき組成物(可能であれば冷媒)で不燃性である化合物を使用することがしばしば有益である。本明細書で使用するとき、「不燃性」という用語は、ASHRAE Standard 34-2013に記載され、かつASHRAE Standard 34-2013の付録B1に記載された条件でASTM standard E-681-2001に従って不燃性であると判定された化合物又は組成物を指す。
【0010】
蒸気圧縮式熱伝達システム中を循環する潤滑剤がその意図される潤滑機能を行うために圧縮機に戻されることが、システム効率、及び圧縮機の適切かつ確実な働きについて重要である。そうでなければ、潤滑剤が堆積し、熱伝達部品中を含む、システムのコイル及びパイプの中に留まる可能性がある。更に、潤滑剤が蒸発器の内面に堆積すると、蒸発器の熱交換効率が低下し、それによりシステムの効率が低減される。
【0011】
R410Aは、かかるシステムの使用中に生じる温度でポリオールエステル(POE)と混和性であるため、R410Aは現在、空調用途においてPOE潤滑油と共に使用されている。しかしながら、R410Aは、低温冷凍システム及びヒートポンプシステムの動作中に典型的に生じる温度ではPOEと非混和性である。したがって、この非混和性を軽減する対策が講じられない限り、POE及びR410Aを低温冷凍又はヒートポンプシステムに使用することはできない。
【0012】
したがって、ヒートポンプ及び低温冷凍システムにおいてR410Aの代替品として使用され得るが、これらのシステムの動作中に生じる温度でPOEとの非混和性の不利益を被らない、組成物を使用できることが望ましい。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、R-410Aの代替品として使用され得、かつ許容される地球温暖化係数(GWP)及びほぼゼロのODPと併せて、優れた熱伝達特性、化学安定性、低毒性若しくは無毒性、不燃性、潤滑剤適合性、及び/又は潤滑剤混和性の所望の特性のモザイクを示す、冷媒組成物を提供する。
【0014】
本発明はまた、
約38重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
57重量%~59重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、
2重量%~5重量%のCOと、から本質的になる冷媒を含む。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒1と呼ばれることがある。
【0015】
本発明はまた、
約38重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
57重量%~59重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、
2重量%~5重量%のCOと、から本質的になる冷媒を含み、冷媒は不燃性である。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒2と呼ばれることがある。
【0016】
本発明はまた、
約38重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
57重量%~59重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、
2重量%~5重量%のCOと、からなる冷媒を含む。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒3と呼ばれることがある。
【0017】
本発明はまた、
約38重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
57重量%~59重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、
2重量%~5重量%のCOと、からなる冷媒を含み、冷媒は不燃性である。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒4と呼ばれることがある。
【0018】
本発明はまた、
約38重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
58重量%+/-0.5重量%~59重量%+/-0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、
2重量%~3.5重量%のCOと、から本質的になる冷媒を含む。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒5と呼ばれることがある。
【0019】
本発明はまた、
約38重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
58重量%+/-0.5重量%~59重量%+/-0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、
2重量%~3.5重量%のCOと、からなる冷媒を含む。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒6と呼ばれることがある。
【0020】
本発明はまた、
38重量%+/-0.5重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
59重量%+/-0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、
3重量%+/-0.5重量%のCOと、から本質的になる冷媒を含む。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒7と呼ばれることがある。
【0021】
本発明はまた、
38重量%+/-0.5重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
59重量%+/-0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、
3重量%+/-0.5重量%のCOと、からなる冷媒を含む。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒8と呼ばれることがある。
【0022】
本発明は、
約34重量%~約38重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
約62重量%~約66重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)と、から本質的になる冷媒を含む。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒9と呼ばれることがある。
【0023】
本発明は、
約34重量%~約38重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
約62重量%~約66重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、から本質的になる冷媒を含み、冷媒は不燃性である。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒10と呼ばれることがある。
【0024】
好ましくは、冷媒は、
約34重量%~約38重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
約62重量%~約66重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)と、からなる。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒11と呼ばれることがある。
【0025】
本発明によると、
約36重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
約64重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)と、から本質的になる冷媒が提供される。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒12と呼ばれることがある。
【0026】
好ましくは、冷媒は、
約36重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
約64重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)と、からなる。本段落による冷媒は、本明細書において便宜上、冷媒13と呼ばれることがある。
【0027】
「からなる」という用語は、冷媒が3つの成分HFC-32及びCFIを指示量で含有し、微量又は汚染濃度を超える量の他の成分の存在を排除することを意味することが理解されよう。
【0028】
重量パーセントに関して本明細書で使用するとき、特定成分の量に対する「約」という用語は、特定成分の量が+/-1重量%の量で変化し得ることを意味する。本発明の冷媒及び組成物は、好ましい実施形態では、「約」であるものとして指定された量の特定化合物又は成分を含み、この量は、特定量の+/-0.5重量%、又は+/-0.3重量%である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施例7の結果を示す混和性のグラフである。
図2】実施例7の結果を示す混和性のグラフである。
図3】実施例10の結果を示す混和性のグラフである。
図4】実施例13の結果を示す混和性のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
出願人らは、本明細書に記載の冷媒1~13を含む本発明の冷媒が、特にR-410Aの代替品として本発明の冷媒を使用することにより、非常に有利な特性、特に不燃性を提供し得ることを見出した。
【0031】
本発明の冷媒の特定の利点は、ASHRAE Standard 34-2013によって要求され、かつASHRAE Standard 34-2013の付録B1に記載されるように、ASTM E681-2009試験手順に従って判定した場合に、それらが不燃性であることである。燃焼性は、発火及び/又は炎を広げる組成物の能力として定義される。冷媒の燃焼性が多くの商業的に重要な熱伝達用途のための重要な特徴であることは当業者には理解されるであろう。したがって、優れた熱伝達特性、化学安定性、低毒性若しくは無毒性、潤滑剤適合性、及び/又は潤滑剤混和性を有し、かつ使用中に不燃性を維持する、R-410Aの代替品として使用され得る冷媒組成物を提供することが、当該技術分野において望まれている。この要件は、本発明の冷媒によって達成される。
【0032】
冷媒1~13を含む本発明の冷媒のそれぞれは、熱伝達組成物に組み込むことができる。したがって、本発明は更に、冷媒1~13のそれぞれを含む本発明の冷媒である冷媒を含む熱伝達組成物に関する。
【0033】
好ましくは、熱伝達組成物は、熱伝達組成物の約40重量%超、又は熱伝達組成物の約50重量%超、又は熱伝達組成物の約70重量%超、又は熱伝達組成物の約80重量%超、又は熱伝達組成物の約90重量%超、又は熱伝達組成物の約95重量%超、又は熱伝達組成物の約97.5重量%超の量で、冷媒1~13を含む本発明の任意の冷媒を含む。熱伝達組成物は、冷媒から本質的になってもよい。
【0034】
本発明の熱伝達組成物は、ある特定の機能性を増強させるか、又はそれを組成物に提供する目的で他の成分を含んでもよい。かかる他の成分又は添加剤には、潤滑剤、染料、可溶化剤、相溶化剤、安定化剤、抗酸化剤、腐食抑制剤、極圧添加剤、及び耐摩耗剤のうちの1つ以上が含まれ得る。
【0035】
安定化剤
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒1~13を含む本明細書に記載の任意の冷媒と、安定化剤とを含む。好ましい安定化剤の例としては、ジエン系化合物、及び/又はフェノール系化合物、及び/又はリン化合物、及び/又は窒素化合物、及び/又は芳香族エポキシド、アルキルエポキシド、アルケニルエポキシドからなる群から選択されるエポキシドが挙げられる。
【0036】
ジエン系化合物は、C3~C15ジエン、及び任意の2種以上のC3~C4ジエンの反応によって形成された化合物を含む。好ましくは、ジエン系化合物は、アリルエーテル、プロパジエン、ブタジエン、イソプレン、及びテルペンからなる群から選択される。ジエン系化合物は、好ましくはテルペンであり、これにはテレベン、レチナール、ゲラノイル、テルピネン、デルタ-3カレン、テルピノレン、フェランドレン、フェンケン、ミルセン、ファルネセン、ピネン、ネロール、シトラル、カンフル、メントール、リモネン、ネロリドール、フィトール、カルノシン酸、及びビタミンAが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、安定化剤は、ファルネセンである。
【0037】
好ましいテルペン安定化剤は、参照により本明細書に組み込まれている、2004年12月12日出願の米国仮特許出願第60/638,003号に開示されている。
【0038】
好ましくは、安定化剤は、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.01重量%~約2重量%、より好ましくは0.1~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供される。各々の場合において、重量パーセンテージは、熱伝達組成物の重量を指す。
【0039】
好ましくは、安定化剤は、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.01重量%~約2重量%、より好ましくは0.1~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供される。各々の場合において、重量パーセンテージは、熱伝達組成物の重量を指す。
【0040】
ジエン系化合物は、約0.001重量%~約5重量%、好ましくは約0.01重量%~約2重量%、より好ましくは約0.1~1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量によるは、熱伝達組成物の重量を指す。
【0041】
ジエン系化合物は、好ましくは、リン化合物と組み合わせて提供される。
【0042】
リン化合物は、亜リン酸化合物又はリン酸化合物であり得る。本発明の目的では、亜リン酸化合物は、ジアリール、ジアルキル、トリアリール、及び/又はトリアルキルホスファイト、特にヒンダードホスファイト、トリス-(ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジ-n-オクチルホスファイト、イソ-デシルジフェニルホスファイト、及びジフェニルホスファイトから選択される1種以上の化合物、特にジフェニルホスファイトであり得る。
【0043】
リン酸化合物は、トリアリールホスフェート、トリアルキルホスフェート、アルキルモノ酸ホスフェート、アリール二酸ホスフェート、アミンホスフェート、好ましくはトリアリールホスフェート及び/又はトリアルキルホスフェート、特にトリ-n-ブチルホスフェートであり得る。
【0044】
リン化合物は、約0.001重量%~約5重量%、好ましくは約0.01重量%~約2重量%、より好ましくは約0.1~1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量によるは、熱伝達組成物の重量を指す。
【0045】
したがって、本発明の熱伝達組成物は、冷媒1~13を含む本発明の任意の冷媒と、テルペン及びリン酸塩又は亜リン酸塩から選択されるリン化合物を含む安定化剤組成物、特にテルペン及び亜リン酸塩を含む安定化剤組成物と、を含む。便宜のために、テルペン及びリン酸塩又は亜リン酸塩から選択されるリン化合物を含む安定化剤は、本明細書では便宜上、安定化剤1と呼ばれることがある。便宜のために、テルペン及び亜リン酸塩を含む安定化剤は、本明細書では便宜上、安定化剤1Aと呼ばれることがある。
【0046】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒1及び安定化剤1又は安定化剤1Aを含み得る。
【0047】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒2及び安定化剤1又は安定化剤1Aを含み得る。
【0048】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒3及び安定化剤1又は安定化剤1Aを含み得る。
【0049】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒4及び安定化剤1又は安定化剤1Aを含み得る。
【0050】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒5及び安定化剤1又は安定化剤1Aを含み得る。
【0051】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒6及び安定化剤1又は安定化剤1Aを含み得る。
【0052】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒7及び安定化剤1又は安定化剤1Aを含み得る。
【0053】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒8及び安定化剤1又は安定化剤1Aを含み得る。
【0054】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒9及び安定化剤1又は安定化剤1Aを含み得る。
【0055】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒10及び安定化剤1又は安定化剤1Aを含み得る。
【0056】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒11及び安定化剤1又は安定化剤1Aを含み得る。
【0057】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒12及び安定化剤1又は安定化剤1Aを含み得る。
【0058】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒13及び安定化剤1又は安定化剤1Aを含み得る。
【0059】
好ましくは、熱伝達組成物は、冷媒1~13を含む本明細書に記載の冷媒と、ファルネセン、並びにジアリールホスファイト、ジアルキルホスファイト、トリアリールホスフェート、又はトリアルキルホスフェート、より好ましくはジフェニルホスファイト及び/又はトリ-n-ブチルホスフェートから選択されるリン化合物を含む安定化剤組成物と、を含む。より好ましくは、熱伝達組成物は、本明細書に記載される冷媒と、ファルネセン、及びジアリールホスファイト又はジアルキルホスファイトのうちの1種以上、より好ましくはジフェニルホスファイトを含む安定化剤組成物と、を含む。
【0060】
代替的には、又は更には、安定化剤は、窒素化合物である。本発明の目的では、窒素化合物は、ジニトロベンゼン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロソベンゼン、及びTEMPO[(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル]から選択される1種以上の化合物であり得る。好ましくは、安定化剤は、ジニトロベンゼンである。
【0061】
代替的には、又は更には、窒素化合物は、アミン系化合物である。本発明の目的では、アミン系化合物は、ジフェニルアミン、p-フェニレンジアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、及びトリイソブチルアミンから選択される1種以上の二級又は三級アミンであり得る。本発明の目的では、アミン系化合物は、アミン抗酸化剤、例えば、置換ピペリジン化合物、すなわち、アルキル置換ピペリジル、ピペリジニル、ピペラジノン、又はアルキオキシピペリジニルの誘導体、特に、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール;ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)セバケート;ジ(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ポリ(N-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシ-ピペリジルスクシネート;アルキル化パラフェニレンジアミン、例えば、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチル-ブチル)-p-フェニレンジアミン又はN,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、並びにヒドロキシルアミン、例えば、獣脂アミン、メチルビス獣脂アミン、及びビス獣脂アミン、又はフェノール-アルファ-ナフチルアミン、若しくはTinuvin(登録商標)765(Ciba)、BLS(登録商標)1944(Mayzo Inc)、及びBLS(登録商標)1770(Mayzo Inc)から選択される1種以上のアミン抗酸化剤であり得る。本発明の目的では、アミン系化合物は、ビス(ノニルフェニルアミン)などのアルキルジフェニルアミン又は(N-(1-メチルエチル)-2-プロピルアミンなどのジアルキルアミンであり得る。代替的には、又は更には、窒素化合物は、フェニル-アルファ-ナフチルアミン(PANA)、アルキル-フェニル-アルファ-ナフチル-アミン(APANA)、又はビス(ノニルフェニル)アミンであり得る。好ましくは、窒素化合物は、フェニル-アルファ-ナフチルアミン(PANA)、アルキル-フェニル-アルファ-ナフチル-アミン(APANA)、及びビス(ノニルフェニル)アミンから選択される。
【0062】
窒素化合物は、約0.001重量%~約5重量%、好ましくは約0.01重量%~約2重量%、より好ましくは約0.1~1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量によるは、熱伝達組成物の重量を指す。
【0063】
したがって、本発明の熱伝達組成物は、冷媒1~13を含む本発明による任意の冷媒と、安定化剤組成物とを含んでもよく、安定化剤組成物は、ジニトロベンゼン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロソベンゼン、及びTEMPO[(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル]から選択される窒素化合物、ジフェニルアミン、p-フェニレンジアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、及びトリイソブチルアミンから選択される二級又は三級アミン;アミン抗酸化剤、例えば、置換ピペリジン化合物、すなわち、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールから選択される、アルキル置換ピペリジル、ピペリジニル、ピペラジノン、又はアルキオキシピペリジニルの誘導体;ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)セバケート;ジ(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ポリ(N-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシ-ピペリジルスクシネート;アルキル化パラフェニレンジアミンン、例えば、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチル-ブチル)-p-フェニレンジアミン又はN,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、及びヒドロキシルアミン、例えば、獣脂アミン、メチルビス獣脂アミン、及びビス獣脂アミン、又はフェノール-アルファ-ナフチルアミン、若しくはTinuvin(登録商標)765(Ciba)、BLS(登録商標)1944(Mayzo Inc)、及びBLS(登録商標)1770(Mayzo Inc);ビス(ノニルフェニルアミン)などのアルキルジフェニルアミン、(N-(1-メチルエチル)-2-プロピルアミンなどのジアルキルアミン;フェニル-アルファ-ナフチルアミン(PANA)、アルキル-フェニル-アルファ-ナフチル-アミン(APANA)、又はビス(ノニルフェニル)アミンを含む。好ましくは、窒素化合物は、フェニル-アルファ-ナフチルアミン(PANA)、アルキル-フェニル-アルファ-ナフチル-アミン(APANA)、及びビス(ノニルフェニル)アミンから選択される。
【0064】
代替的には、又は更には、安定化剤は、フェノール、好ましくはヒンダードフェノールを含み得る。本発明の目的では、フェノールは、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)を含む2,2-又は4,4-ビフェニルジオール;2,2-又は4,4-ビフェニルジオールの誘導体;2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tertブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノニルフェノール);2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール);2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT);2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール:2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール;2,6-ジ-tert-アルファ-ジメチルアミノ-p-クレゾール;2,6-ジ-tert-ブチル-4(N,N’-ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、トコフェロール、ヒドロキノン、2,2’,6,6’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-メチレンジフェノール、及びt-ブチルヒドロキノンから選択される1種以上の化合物であり得る。好ましくは、フェノール化合物は、BHTである。
【0065】
フェノール化合物は、約0.001重量%~約5重量%、好ましくは約0.01重量%~約2重量%、より好ましくは約0.1~1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量によるは、熱伝達組成物の重量を指す。
【0066】
BHTは、約0.001重量%~約5重量%、好ましくは約0.01重量%~約2重量%、より好ましくは約0.1~1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量によるは、熱伝達組成物の重量を指す。熱伝達組成物の重量に基づいて0.0001重量%~約5重量%の量であるBHTは、便宜上、安定化剤2と呼ばれることがある。
【0067】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒1及び安定化剤2を含み得る。
【0068】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒2及び安定化剤2を含み得る。
【0069】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒3及び安定化剤2を含み得る。
【0070】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒4及び安定化剤2を含み得る。
【0071】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒5及び安定化剤2を含み得る。
【0072】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒6及び安定化剤2を含み得る。
【0073】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒7及び安定化剤2を含み得る。
【0074】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒8及び安定化剤2を含み得る。
【0075】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒9及び安定化剤2を含み得る。
【0076】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒10及び安定化剤2を含み得る。
【0077】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒11及び安定化剤2を含み得る。
【0078】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒12及び安定化剤2を含み得る。
【0079】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、冷媒13及び安定化剤2を含み得る。
【0080】
上記に定義される本発明の熱伝達組成物の各々は、潤滑剤を更に含み得る。一般に、熱伝達組成物は、熱伝達組成物の約10~約60重量%、好ましくは熱伝達組成物の約20~約50重量%、代替的には熱伝達組成物の約20~約40重量%、代替的には熱伝達組成物の約20~約30重量%、代替的には熱伝達組成物の約30~約50重量%、代替的には熱伝達組成物の約30~約40重量%、代替的には熱伝達組成物の約1~約10重量%、代替的には熱伝達組成物の約1~約8重量%、代替的には熱伝達組成物の約1~約5重量%の量で潤滑剤を含む。
【0081】
ポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)、シリコーン油、鉱物油、アルキルベンゼン(AB)、ポリビニルエーテル(PVE)、及びポリ(アルファ-オレフィン)(PAO)などの一般的に使用される冷媒潤滑剤は、冷媒1~13を含む本発明の任意の冷媒組成物と共に使用され得る。
【0082】
しかしながら、潤滑剤はポリオールエステルであることが特に好ましい。驚くべきことに、本発明の組成物が、幅広い温度、例えば、約-50℃~+70℃の温度にわたってPOE潤滑剤と混和性であることが発見された。これにより、本発明の組成物がR410Aよりも幅広い熱伝達用途に使用されることが可能となる。例えば、本発明の組成物は、冷凍、空調、及びヒートポンプ用途に使用され得る。
【0083】
温度に関する「約」という用語は、指定された温度が、+/-5℃の量で、好ましくは+/-2℃の量で、より好ましくは+/-1℃の量で、最も好ましくは+/-0.5℃の量で変動し得ることを意味する。
【0084】
したがって、本発明は、潤滑剤と、冷媒1~13を含む本発明の任意の冷媒による冷媒と、を含む熱伝達組成物を提供し、冷媒及び潤滑剤の総量に対して5重量%、20重量%、及び/又は50重量%の潤滑剤を冷媒に添加するとき、混合物は、約-25~約-50℃の範囲及び/又は約+50~約+70℃の範囲のうちの少なくとも1つの温度で1つの液相を有する。
【0085】
したがって、本発明は、POE潤滑剤と、冷媒1~13を含む本発明の任意の冷媒による冷媒と、を含む熱伝達組成物を提供し、冷媒及び潤滑剤の総量に対して5重量%、20重量%、及び/又は50重量%の潤滑剤を冷媒に添加するとき、混合物は、約-25~約-50℃の範囲及び/又は約+50~約+70℃の範囲のうちの少なくとも1つの温度で1つの液相を有する。
【0086】
潤滑剤はまた、鉱物油潤滑剤を含んでもよく、鉱物油潤滑剤から本質的になってもよく、又は鉱物油潤滑剤からなってもよい。市販の鉱物油には、WitcoのWitco LP 250(登録商標)、WitcoのSuniso 3GS、及びCalumetのCalumet R015が含まれる。
【0087】
潤滑剤はまた、アルキルベンゼン潤滑剤を含んでもよく、アルキルベンゼン潤滑剤から本質的になってもよく、又はアルキルベンゼン潤滑剤からなってもよい。市販のアルキルベンゼン潤滑剤には、Shrieve ChemicalのZerol 150(登録商標)及びZerol 300(登録商標)が含まれる。
【0088】
潤滑剤はまた、エステル潤滑剤を含んでもよく、エステル潤滑剤から本質的になってもよく、又はエステル潤滑剤からなってもよい。市販のエステルには、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手可能なジペラルゴン酸ネオペンチルグリコールが含まれる。他の有用なエステルには、リン酸エステル、二塩基酸エステル、及びフルオロエステルが含まれる。
【0089】
本発明の目的では、熱伝達組成物は、冷媒1~13のいずれかを含む本発明による冷媒と、安定化剤1、安定化剤1A、又は安定化剤2のいずれかを含む本明細書で開示される安定化剤組成物と、ポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)、鉱物油、アルキルベンゼン(AB)、及びポリビニルエーテル(PVE)から、より好ましくはポリオールエステル(POE)、鉱物油、アルキルベンゼン(AB)、及びポリビニルエーテル(PVE)から、特にポリオールエステル(POE)、鉱物油、及びアルキルベンゼン(AB)から、最も好ましくはポリオールエステル(POE)から選択される潤滑剤と、を含み得る。
【0090】
好ましい実施形態では、潤滑剤は、冷凍業界の慣習に従ってASTM D445により測定するとき、40Cにおける粘度(cSt)が約25~約50、より好ましくは約30~約50であり、好ましくはまた、冷凍業界規格に従って承認された冷凍業界規格によりASTM D445により測定するとき、100Cにおける粘度(cSt)が約0~約15、より好ましくは約5~約10である、合成ポリオールエステル(POE)潤滑剤である。本段落に記載の好ましいPOEと一致する市販製品は、Lubrizolにより商品名Emkarate RL 3203MAFで販売されている市販の潤滑剤である。本段落の説明と一致する潤滑剤は、本明細書では潤滑剤1と呼ばれる。
【0091】
モバイル空調における使用のために本発明の組成物が提供される場合、潤滑剤は、好ましくはポリアルキレングリコール潤滑剤である。あるいは、冷凍用途、定置型空調用途、又はヒートポンプ用途のために本発明の組成物が提供される場合、潤滑剤は、好ましくはポリオールエステル、アルキルベンゼン、又は鉱物油、より好ましくはポリオールエステルである。冷媒1~13のいずれかなどの本発明の任意の冷媒を含む熱伝達組成物などの本発明の熱伝達組成物が、冷凍用途、定置型空調用途、又はヒートポンプ用途のために提供されるか、又はこれらの用途において潤滑剤と共に使用される、システム及び方法については、潤滑剤は、好ましくはポリオールエステル、より好ましくは潤滑剤1である。
【0092】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒2及び潤滑剤1を含む。
【0093】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒3及び潤滑剤1を含む。
【0094】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒4及び潤滑剤1を含む。
【0095】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒5及び潤滑剤1を含む。
【0096】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒6及び潤滑剤1を含む。
【0097】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒7及び潤滑剤1を含む。
【0098】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒8及び潤滑剤1を含む。
【0099】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒9及び潤滑剤1を含む。
【0100】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒10及び潤滑剤1を含む。
【0101】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒11及び潤滑剤1を含む。
【0102】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒12及び潤滑剤1を含む。
【0103】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒13及び潤滑剤1を含む。
【0104】
本発明の熱伝達組成物は、冷媒1~13のいずれかを含む本発明の任意の冷媒と、安定化剤1、1A、及び2を含む本明細書に記載の任意の安定化剤組成物と、潤滑剤1を含む本明細書に記載の任意の潤滑剤と、から本質的になるか又はこれらからなり得る。
【0105】
本発明の新規及び基本的な特徴から逸脱することなく、本明細書に含まれる教示を考慮して、本明細書において言及されていない他の添加剤もまた含まれ得る。
【0106】
また、参照により組み込まれている米国特許第6,516,837号に開示されるように、油溶性を補助するために、界面活性剤及び可溶化剤の組み合わせが本発明の組成物に添加されてもよい。
【0107】
出願人らは、本発明の組成物が、とりわけ低いGWPを含む、達成するのが困難な特性の組み合わせを達成することができることを見出した。したがって、本発明の組成物は、約500以下、好ましくは約300以下の地球温暖化係数(GWP)を有し、本発明の特に好ましい特徴において、本発明の組成物は、約300以下の地球温暖化係数(GWP)を有する。
【0108】
更に、本発明の組成物は、低いオゾン破壊係数(ODP)を有する。したがって、本発明の組成物は、約0.05以下、好ましくは約0.02以下、より好ましくは約ゼロのオゾン破壊係数(ODP)を有する。
【0109】
更に、本発明の組成物は、許容可能な毒性を示し、好ましくは約400より大きい職業暴露限界(OEL)を有する。
【0110】
本明細書に開示される組成物は、空調、冷凍、及びヒートポンプを含む熱伝達用途における使用のために提供される。
【0111】
本発明の熱伝達組成物へのいずれかの言及は、冷媒1~13のいずれかなどの本発明の任意の冷媒を含む全ての熱伝達組成物を含む、本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれ及びいずれかについて言及している。したがって、以下の本発明の組成物の使用又は用途の考察に関して、熱伝達組成物は、特にPOE及び潤滑剤1を含む本明細書に記載の任意の潤滑剤と組み合わせて、及び/又は安定化剤1、1A、若しくは2のいずれかを含む本明細書に記載の任意の安定化剤と組み合わせて、冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒を含むか又はこれらから本質的になり得る。
【0112】
本発明の目的では、本明細書に記載される熱伝達組成物は各々いずれも、空調システム、冷凍システム、又はヒートポンプなどの熱伝達システムにおいて使用され得る。本発明による熱伝達システムには、互いに接続した圧縮機、蒸発器、凝縮器、膨張デバイスが含まれ得る。
【0113】
したがって、本発明は、空調システムにおける、冷媒1を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0114】
したがって、本発明は、空調システムにおける、冷媒2を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0115】
したがって、本発明は、空調システムにおける、冷媒3を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0116】
したがって、本発明は、空調システムにおける、冷媒4を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0117】
したがって、本発明は、空調システムにおける、冷媒5を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0118】
したがって、本発明は、空調システムにおける、冷媒6を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0119】
したがって、本発明は、空調システムにおける、冷媒7を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0120】
したがって、本発明は、空調システムにおける、冷媒8を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0121】
したがって、本発明は、空調システムにおける、冷媒9を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0122】
したがって、本発明は、空調システムにおける、冷媒10を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0123】
したがって、本発明は、空調システムにおける、冷媒11を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0124】
したがって、本発明は、空調システムにおける、冷媒12を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0125】
したがって、本発明は、空調システムにおける、冷媒13を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0126】
したがって、本発明は、冷凍システムにおける、冷媒1を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0127】
したがって、本発明は、冷凍システムにおける、冷媒2を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0128】
したがって、本発明は、冷凍システムにおける、冷媒3を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0129】
したがって、本発明は、冷凍システムにおける、冷媒4を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0130】
したがって、本発明は、冷凍システムにおける、冷媒5を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0131】
したがって、本発明は、冷凍システムにおける、冷媒6を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0132】
したがって、本発明は、冷凍システムにおける、冷媒7を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0133】
したがって、本発明は、冷凍システムにおける、冷媒8を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0134】
したがって、本発明は、冷凍システムにおける、冷媒9を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0135】
したがって、本発明は、冷凍システムにおける、冷媒10を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0136】
したがって、本発明は、冷凍システムにおける、冷媒11を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0137】
したがって、本発明は、冷凍システムにおける、冷媒12を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0138】
したがって、本発明は、冷凍システムにおける、冷媒13を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0139】
したがって、本発明は、ヒートポンプシステムにおける、冷媒1を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0140】
したがって、本発明は、ヒートポンプシステムにおける、冷媒2を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0141】
したがって、本発明は、ヒートポンプシステムにおける、冷媒3を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0142】
したがって、本発明は、ヒートポンプシステムにおける、冷媒4を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0143】
したがって、本発明は、ヒートポンプシステムにおける、冷媒5を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0144】
したがって、本発明は、ヒートポンプシステムにおける、冷媒6を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0145】
したがって、本発明は、ヒートポンプシステムにおける、冷媒7を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0146】
したがって、本発明は、ヒートポンプシステムにおける、冷媒8を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0147】
したがって、本発明は、ヒートポンプシステムにおける、冷媒9を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0148】
したがって、本発明は、ヒートポンプシステムにおける、冷媒10を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0149】
したがって、本発明は、ヒートポンプシステムにおける、冷媒11を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0150】
したがって、本発明は、ヒートポンプシステムにおける、冷媒12を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0151】
したがって、本発明は、ヒートポンプシステムにおける、冷媒13を含む熱伝達組成物の使用を含む。
【0152】
一般的に使用される圧縮機の例としては、本発明の目的では、往復動式、回転式(ローリングピストン及び回転弁を含む)、スクロール式、ねじ式、及び遠心式圧縮機が挙げられる。したがって、本発明は、往復動式、回転式(ローリングピストン及び回転翼を含む)、スクロール式、ねじ式、又は遠心式圧縮機を含む熱伝達システムにおける使用のために、冷媒1~13のいずれかを含む任意の熱伝達組成物などの本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれ及びいずれかを提供する。
【0153】
一般的に使用される拡張デバイスの例としては、本発明の目的では、キャピラリーチューブ、固定オリフィス、温度膨張弁、及び電子膨張弁が挙げられる。したがって、本発明は、キャピラリーチューブ、固定オリフィス、温度膨張弁、又は電子膨張弁を含む熱伝達システムにおける使用のために、冷媒1~13のいずれかを含む任意の熱伝達組成物などの本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれ及びいずれかを提供する。
【0154】
本発明の目的では、蒸発器及び凝縮器は、好ましくはフィンチューブ型熱交換器、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式、プレート式熱交換器、及びチューブインチューブ式(tube-in-tube)熱交換器から選択される熱交換器を一緒に形成する。したがって、本発明は、蒸発器及び凝縮器が、フィンチューブ型熱交換器、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式、プレート式熱交換器、又はチューブインチューブ式熱交換器を一緒に形成する熱伝達システムにおける使用のために、冷媒1~13のいずれかを含む任意の熱伝達組成物などの本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれ及びいずれかを提供する。
【0155】
本発明の熱伝達組成物は、加熱及び冷却用途に使用することができる。
【0156】
本発明の特定の特徴では、冷媒1~13のいずれかを含む任意の熱伝達組成物などの熱伝達組成物は、冷却方法において使用されることができ、この方法は、冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒を凝縮することと、次いで冷却される物品又は本体の付近でこの冷媒を蒸発させることとを含む。
【0157】
したがって、本発明は、蒸発器と、凝縮器と、圧縮機と、を含む熱伝達システムにおける冷却方法に関し、このプロセスは、i)冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒を凝縮する工程と、
ii)冷却される本体又は物品の付近で前記冷媒を蒸発させる工程と、を含み、
冷媒の蒸発温度は、約-40℃~約+10℃の範囲であり、冷媒は、所望によるが好ましくは安定化剤1、1A、又は2を含む本明細書に記載の安定化剤との混合物であり、また所望により好ましくはPOE及び潤滑剤1を含む潤滑剤との混合物である。
【0158】
代替的には、又は更には、冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本発明の任意の熱伝達組成物は、加熱方法において使用されることができ、この方法は、加熱される物品又は本体の付近で冷媒1~13のいずれかなどの本発明の冷媒を凝縮することと、次いでこの冷媒を蒸発させることとを含む。
【0159】
したがって、本発明は、蒸発器と、凝縮器と、圧縮機と、を含む熱伝達システムにおける加熱方法に関し、このプロセスは、i)加熱される本体又は物品の付近で冷媒1~13のいずれかなどの本発明の冷媒を凝縮する工程と、
ii)冷媒を蒸発させる工程と、を含み、
熱伝達システムの蒸発器温度は、約-30℃~約5℃の範囲であり、冷媒は、所望によるが好ましくは安定化剤1、1A、又は2を含む本明細書に記載の安定化剤との混合物であり、また所望により好ましくはPOE及び潤滑剤1を含む潤滑剤との混合物である。
【0160】
本発明の熱伝達組成物は、モバイル及び定置型空調用途の両方を含む空調用途における使用のために提供される。本発明の熱伝達組成物はまた、ヒートポンプ用途にも使用され得る。したがって、冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本発明の任意の熱伝達組成物を含む本明細書に記載の任意の熱伝達組成物は、
-モバイル空調、特に自動車用空調を含む、空調用途、
-モバイルヒートポンプ、特に電気自動車用ヒートポンプ、
-冷却器、特に容積型冷却器、とりわけ空冷又は水冷直接膨張式冷却器、モジュラー式又は従来法で単独包装されているもの、
-住宅用空調システム、特にダクトスプリット型及びダクトレススプリット型空調システム、
-住宅用ヒートポンプ、
-住宅用空気-水ヒートポンプ/温水システム、
-産業用空調システム、並びに
-商用空調システム、特にパッケージ式ルーフトップユニット及び可変冷媒流(VRF)システム、
-商用の空気熱源、水熱源、又は土壌熱源ヒートポンプシステム、のうちのいずれか1つにおいて使用され得る。
【0161】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本発明の任意の熱伝達組成物を含む本発明の熱伝達組成物は、冷凍システムで使用するために提供される。「冷凍システム」という用語は、冷却を提供するために冷媒を用いる任意のシステム若しくは装置、又はかかるシステム若しくは装置の任意の部品若しくは部分を指す。したがって、冷媒1~13のいずれかを含む任意の熱伝達組成物などの本明細書に記載の任意の熱伝達組成物は、
-低温冷凍システム、
-中温冷凍システム、
-商用冷蔵庫、
-商用冷凍庫、
-製氷機、
-自動販売機、
-輸送冷凍システム、
-家庭用冷凍庫、
-家庭用冷蔵庫、
-産業用冷凍庫、
-産業用冷蔵庫、及び
-冷却器、のうちのいずれか1つにおいて使用され得る。
【0162】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれは、住宅用空調システム(冷却のために約0~約10℃の範囲、特に約7℃、及び/又は加熱のために約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)、特に往復動式、回転式(ローリングピストン若しくは回転翼)、又はスクロール式圧縮機を有する空調システムにおける使用のために特に提供される。
【0163】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれは、空冷式冷却器(約0~約10℃の範囲、特に約4.5℃の蒸発器温度を有する)、特に容積型圧縮機を有する空冷式冷却器、とりわけ往復動式又はスクロール式圧縮機を有する空冷式冷却器における使用のために特に提供される。
【0164】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれは、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム(約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)における使用のために特に提供される。
【0165】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれは、中温冷凍システム(約-12~約0℃の範囲、特に約-8℃の蒸発器温度を有する)における使用のために特に提供される。
【0166】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれは、低温冷凍システム(約-40~約-12℃の範囲、特に約-23℃の蒸発器温度を有する)における使用のために特に提供される。
【0167】
したがって、冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本発明の熱伝達組成物は、住宅用空調システムにおける使用のために提供され、住宅用空調システムは、例えば、夏季に冷気(当該空気は、例えば、約10℃~約17℃、特に約12℃の温度を有する)を建物に供給するために使用される。典型的なシステムの種類は、ダクトスプリット型、ダクトレススプリット型、ウィンドウ型、及びポータブル型空調システムである。システムは通常、空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張デバイスを有する。蒸発器及び凝縮器は通常、フィンチューブ式又はマイクロチャネル熱交換器である。圧縮機は通常、往復動式、又は回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機である。膨張デバイスは通常、キャピラリーチューブ、温度膨張弁、又は電子膨張弁である。冷媒蒸発温度は、好ましくは0℃~10℃の範囲内である。冷媒凝縮温度は、好ましくは40℃~70℃の範囲内である。
【0168】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本発明の熱伝達組成物は、住宅用ヒートポンプシステムにおける使用のために提供され、住宅用ヒートポンプシステムは、冬季に温風(当該空気は、例えば、約18℃~約24℃、特に約21℃の温度を有する)を建物に供給するために使用される。これは通常、住宅用空調システムと同じシステムであるが、ヒートポンプシステムでは冷媒流が反転し、室内コイルが凝縮器となり、室外コイルが蒸発器となる。典型的なシステムの種類は、ダクトスプリット型及びダクトレススプリット型ヒートポンプシステムである。蒸発器及び凝縮器は通常、フィンチューブ式又はマイクロチャネル熱交換器である。圧縮機は通常、往復動式、又は回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機である。膨張デバイスは通常、キャピラリーチューブ、温度膨張弁、又は電子膨張弁である。冷媒蒸発温度は、好ましくは約-30℃~約5℃の範囲内である。冷媒凝縮温度は、好ましくは約35℃~約50℃の範囲内である。
【0169】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本発明の熱伝達組成物は、商用空調システムにおける使用のために提供され、商用空調システムは、オフィス及び病院などの大きな建物に冷水(当該水は、例えば、約7℃の温度を有する)を供給するために使用される冷却器であり得る。用途に応じて、冷却器システムは通年稼働している場合がある。冷却器システムは、空冷式又は水冷式であり得る。空冷式冷却器は通常、冷水を供給するためのプレート、チューブインチューブ式、又はシェルアンドチューブ式蒸発器、往復動式又はスクロール式圧縮機、熱を周囲空気と交換するためのフィンチューブ式又はマイクロチャネル凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。水冷式システムは通常、冷水を供給するためのシェルアンドチューブ式蒸発器、往復動式、スクロール式、ねじ式、又は遠心式圧縮機、熱を冷却塔又は湖、海、及び他の天然源からの水と交換するためのシェルアンドチューブ式凝縮器、並びに温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、好ましくは約0℃~約10℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約40℃~約70℃の範囲内である。
【0170】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本発明の熱伝達組成物は、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムにおける使用のために提供され、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムは、冬季に床暖房又は同様の用途のために温水(当該水は、例えば、約55℃の温度を有する)を建物に供給するために使用される。温水システムは通常、熱を周囲空気と交換するためのフィンチューブ式又はマイクロチャネル蒸発器、往復動式、回転式、又はスクロール式圧縮機、水を加熱するためのプレート、チューブインチューブ式、又はシェルアンドチューブ式凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、好ましくは約-30℃~約5℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約50℃~約90℃の範囲内である。
【0171】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本発明の熱伝達組成物は、中温冷凍システムにおける使用のために提供され、中温冷凍システムは、好ましくは、冷蔵庫又はボトルクーラーなどにおいて食べ物又は飲み物を冷やすために使用される。システムは通常、食べ物又は飲み物を冷やすための空気-冷媒蒸発器、往復動式、スクロール式、又はねじ式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、好ましくは約-12℃~約0℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約20℃~約70℃の範囲内である。
【0172】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本発明の熱伝達組成物は、低温冷凍システムにおける使用のために提供され、当該低温冷凍システムは、好ましくは、冷凍庫又はアイスクリーム製造機において使用される。システムは通常、空気-冷媒蒸発器、往復動式、スクロール式、又はねじ式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、好ましくは約-40℃~約-12℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約20℃~約70℃の範囲内である。
【0173】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本明細書に開示される熱伝達組成物は、冷媒R-410Aの低地球温暖化(GWP)代替品として提供される。したがって、冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの熱伝達組成物は、既存のシステムの実質的な工学的変更を必要とすることなく、とりわけ凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の変更を伴わずに、R-410A冷媒を含有するように設計されているか、又はそれを含有する既存の熱伝達システムを改修する方法に使用することができる。
【0174】
本明細書で使用するとき、本発明の特定の熱伝達組成物又は冷媒に関しての「改修品」という用語は、システムから少なくとも部分的に除去されるか又は除去された異なる冷媒組成物を内部に含有していた、かつ、本発明の指定された組成物が導入されている、熱伝達システムでの、本発明の指定された組成物の使用を意味する。
【0175】
本明細書で使用するとき、特定の先行冷媒の「代替品」として、本発明の特定の熱伝達組成物又は冷媒に関しての「代替品」という用語は、これまでその先行冷媒と共に一般的に使用されていた熱伝達システムでの本発明の指定された組成物の使用を意味する。例として、R410Aと共に一般的に使用されてきた熱伝達システムには、住宅用空調システム及び冷却器システムが挙げられる。
【0176】
代替的には、冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの熱伝達組成物は、R410A冷媒を含有するように設計されているか又はそれを含有する既存の熱伝達システムを改修する方法に使用することができ、システムは、本発明の冷媒用に変更される。
【0177】
代替的には、冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの熱伝達組成物は、R410A冷媒との使用に好適である熱伝達システムにおいて使用することができる。
【0178】
したがって、本発明はまた、R-410Aの代替品として、特に住宅用空調冷媒におけるR-410Aの代替品として、既存のシステムの実質的な工学的変更を必要とすることなく、とりわけ凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の変更を伴わずに、冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用する方法も含む。
【0179】
したがって、本発明はまた、R-410Aの代替品として、特に冷凍システムにおけるR-410Aの代替品として、既存のシステムの実質的な工学的変更を必要とすることなく、とりわけ凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の変更を伴わずに、冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用する方法も含む。
【0180】
したがって、本発明はまた、R-410Aの代替品として、特にヒートポンプにおけるR-410Aの代替品として、既存のシステムの実質的な工学的変更を必要とすることなく、とりわけ凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の変更を伴わずに、冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用する方法も含む。
【0181】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物などの本発明の熱伝達組成物が、R-410Aの低地球温暖化代替品として使用されるか、又はR410A冷媒を含有するように設計されているか若しくはそれを含有する既存の熱伝達システムを改修する方法に使用されるか、又はR410A冷媒との使用に好適である熱伝達システムに使用される場合、熱伝達組成物が本発明の冷媒から本質的になり得ることが理解されよう。代替的には、本発明は、本明細書に記載するように、R-410Aの低地球温暖化代替品としての冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒の使用、又はR410A冷媒を含有するように設計されているか若しくはそれを含有する既存の熱伝達システムを改修する方法における使用、又はR410A冷媒との使用に好適である熱伝達システムにおける使用を包含する。
【0182】
熱伝達組成物が上記のように既存の熱伝達システムを改修する方法で使用するために提供されるとき、熱伝達組成物は、冷媒1~13のいずれかを含む本発明の任意の冷媒を含み得ることが、当業者であれば理解されよう。
【0183】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物を含む、既存の熱伝達組成物を改修する方法で使用するために提供される熱伝達組成物は、好ましくは安定化剤1、1A、又は2のいずれかを含む本明細書に記載の任意の安定化剤組成物を更に含む。
【0184】
したがって、本発明は、熱伝達システムに収容された既存の冷媒を置き換える方法に関し、この方法は、当該システムから当該既存の冷媒の少なくとも一部を除去し、当該既存の冷媒がR-410Aであることと、好ましくは安定化剤1、1A、又は2を含む本明細書に記載の安定化剤組成物と組み合わせた、冷媒1~13のいずれかを含む本発明による冷媒を、当該システムに導入することによって当該既存の冷媒の少なくとも一部を置き換えることと、を含む。
【0185】
上記のように、この方法は、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部をシステムから取り出すことを含む。好ましくは、この方法は、R-410Aの少なくとも約5重量%、約10重量%、約25重量%、約50重量%又は約75重量%をシステムから除去することと、それを、冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物を含み、好ましくは安定化剤1、1A、又は2のいずれかを含む本明細書に記載の任意の安定化剤組成物を更に含む、本発明の熱伝達組成物で置き換えることと、を含む。
【0186】
冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒は、既存の又は新規の熱伝達システムなどの、R-410A冷媒と共に使用されるか又はそれとの使用に好適であるシステムにおいて用いられ得る。
【0187】
冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒は、R-410Aの所望の特性の多くを示すが、R-410Aよりも実質的に低いGWPを有し、同時に、R-410Aと実質的に同様であるか又はそれと実質的に一致し、より好ましくはそれと同等に高いか又はそれよりも高い動作特性、すなわち効率(COP)を有する。これにより、例えば凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の大きなシステム変更を一切必要とすることなく、既存の熱伝達システムにおいて、冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒がR410Aに代わることが可能となる。したがって、冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒は、R410Aと共に使用されているか又はそれとの使用に好適である熱交換システムの改修において直接的な代替品として使用され得る。R410Aを冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒で置き換えるとき、既存の圧縮機をより大きな圧縮機に置き換えることが望ましい場合がある。
【0188】
本発明の組成物は、既存の又は新規の熱伝達システムなどの、R-410A冷媒と共に使用されるか又はそれとの使用に好適であるシステムにおいて代替品として用いられ得る。
【0189】
したがって、冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒組成物は、本発明の冷媒がR410A冷媒と置き換わる熱伝達システムにおいて、好ましくはR410Aと比較して以下の動作特性を示す。
-組成物の効率(COP)は、R410Aの効率の95~105%である。
【0190】
「COP」という用語は、エネルギー効率の尺度であり、冷凍又は冷却能力対冷凍システムのエネルギー必要量、すなわち圧縮機、ファンなどを動かすためのエネルギーの割合を意味する。COPは冷凍システムの有用な出力であり、この場合、冷凍能力又はどれ程の冷却が提供されているかを、この出力を得るために必要な電力で割ったものである。本質的に、これはシステムの効率の尺度である。
【0191】
「能力」という用語は、冷凍システムにおいて冷媒によって提供される冷却の量(BTU/hr)である。これは、冷媒が蒸発器を通る際の冷媒のエンタルピー(BTU/lb)の変化を、冷媒の質量流量で乗じることによって実験的に決定される。エンタルピーは、冷媒の圧力及び温度の測定から決定することができる。凍システムの能力は、冷却される領域を特定の温度に維持する能力に関連する。
【0192】
「質量流量」という用語は、所与の時間で所与の大きさの導管を通過する冷媒の量(「ポンド」)である。
【0193】
熱伝達システムの信頼性を維持するために、冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒組成物は、R-410Aと比較して以下の特性を更に示すことが好ましい。
吐出温度は、本発明の組成物がR-410A冷媒を置き換えるために使用される熱伝達システムにおいて、R-410Aよりも10℃を超えて高くない。
【0194】
R410Aは、共沸様組成物であることが理解されよう。したがって、冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒組成物がR410Aの動作特性について良好な一致となるために、組成物は低い勾配レベルを示すことが望ましい。したがって、冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒組成物は、約7℃以下、好ましくは約5℃未満の蒸発器勾配を提供し得る。
【0195】
R-410Aと共に使用される既存の熱伝達組成物は、好ましくは、モバイル及び定置型空調システムの両方を含む空調熱伝達システムである。したがって、冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物を含み、好ましくは安定化剤1、1A、又は2のいずれかを含む本明細書に記載の任意の安定化剤組成物を更に含む、本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれは、
-モバイル空調システム、特に自動車用空調システムを含む、空調システム、
-モバイルヒートポンプ、特に電気自動車用ヒートポンプ、
-冷却器、特に容積型冷却器、とりわけ空冷又は水冷直接膨張式冷却器、モジュラー式又は従来法で単独包装されているもの、
-住宅用空調システム、特にダクトスプリット型及びダクトレススプリット型空調システム、
-住宅用ヒートポンプ、
-住宅用空気-水ヒートポンプ/温水システム、
-産業用空調システム、並びに
-商用空調システム、特にパッケージ式ルーフトップユニット及び可変冷媒流(VRF)システム、
-商用の空気熱源、水熱源、又は土壌熱源ヒートポンプシステム、のうちのいずれか1つにおいてR-410Aを置き換えるために使用され得る。
【0196】
冷媒1~13のいずれかを含む本発明の冷媒組成物は、冷凍システムにおいてR410Aを置き換えるために代替的に提供される。したがって、冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物を含み、好ましくは安定化剤1、1A、又は2のいずれかを含む本明細書に記載の任意の安定化剤組成物を更に含む、本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれは、
-低温冷凍システム、
-中温冷凍システム、
-商用冷蔵庫、
-商用冷凍庫、
-製氷機、
-自動販売機、
-輸送冷凍システム、
-家庭用冷凍庫、
-家庭用冷蔵庫、
-産業用冷凍庫、
-産業用冷蔵庫、及び
-冷却器、のうちのいずれか1つにおいてR410Aを置き換えるために使用され得る。
【0197】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物を含み、好ましくは安定化剤1、1A、又は2のいずれかを含む本明細書に記載の任意の安定化剤組成物を更に含む、本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれは、住宅用空調システム(冷却のために約0℃~約10℃の範囲、特に約7℃、及び/又は加熱のために約-30℃~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)においてR410Aを置き換えるために特に提供される。代替的には、又は更には、冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物を含み、好ましくは安定化剤1、1A、又は2のいずれかを含む本明細書に記載の任意の安定化剤組成物を更に含む、本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれは、往復動式、回転式(ローリングピストン若しくは回転翼)、又はスクロール式圧縮機を有する住宅用空調システムにおいてR410Aを置き換えるために特に提供される。
【0198】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物を含み、好ましくは安定化剤1、1A、又は2のいずれかを含む本明細書に記載の任意の安定化剤組成物を更に含む、本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれは、空冷式冷却器(約0~約10℃の範囲、特に約4.5℃の蒸発器温度を有する)、特に容積型圧縮機を有する空冷式冷却器、とりわけ往復動式又はスクロール式圧縮機を有する空冷式冷却器においてR410Aを置き換えるために特に提供される。
【0199】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物を含み、好ましくは安定化剤1、1A、又は2のいずれかを含む本明細書に記載の任意の安定化剤組成物を更に含む、本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれは、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム(約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)においてR410Aを置き換えるために特に提供される。
【0200】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物を含み、好ましくは安定化剤1、1A、又は2のいずれかを含む本明細書に記載の任意の安定化剤組成物を更に含む、本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれは、中温冷凍システム(約-12~約0℃の範囲、特に約-8℃の蒸発器温度を有する)においてR410Aを置き換えるために特に提供される。
【0201】
冷媒1~13のいずれかを含む熱伝達組成物を含み、好ましくは安定化剤1、1A、又は2のいずれかを含む本明細書に記載の任意の安定化剤組成物を更に含む、本明細書に記載の熱伝達組成物のそれぞれは、低温冷凍システム(約-40~約-12℃の範囲、特に約-23℃の蒸発器温度を有する)においてR410Aを置き換えるために特に提供される。
【0202】
本発明は、流体連通した圧縮機、凝縮器、及び蒸発器を含む熱伝達システムと、当該システム中の熱伝達組成物と、を更に提供し、当該熱伝達組成物は、冷媒1~13のいずれかを含む冷媒を含み、好ましくは安定化剤1、1A、又は2のいずれかを含む本明細書に記載の任意の安定化剤組成物を更に含み、当該凝縮器は、-20℃~10℃の動作温度を有し、当該蒸発器は、40℃~70℃の動作温度を有する。
【0203】
好ましくは、流体連通した圧縮機、凝縮器、及び蒸発器を含む熱伝達システムと、当該システム中の熱伝達組成物と、が提供され、当該熱伝達組成物は、冷媒1~13のいずれかを含む本発明による冷媒を含み、好ましくは安定化剤1、1A、又は2のいずれかを含む本明細書に記載の任意の安定化剤組成物を更に含み、当該蒸発器は、-40℃~+10℃の動作温度を有し、当該凝縮器は、+20℃~+70℃の動作温度を有する。
【0204】
熱伝達システムは、好ましくは、ヒートポンプ又は空調システム、例えば、モバイル空調システム、特に自動車用空調システム、モバイルヒートポンプ、特に電気自動車用ヒートポンプ、冷却器、特に容積型冷却器、とりわけ空冷又は水冷直接膨張式冷却器、モジュラー式又は従来法で単独包装されているもの、住宅用空調システム、特にダクトスプリット型及びダクトレススプリット型空調システム、住宅用ヒートポンプ、住宅用空気-水ヒートポンプ/温水システム産業用空調システム、商用空調システム、特にパッケージ式ルーフトップ及び可変冷媒流(VRF)システム、並びに商用の空気熱源、水熱源、又は土壌熱源ヒートポンプシステムである。
【0205】
特に、熱伝達システムは、住宅用空調システム(冷却のために約0~約10℃の範囲、特に約7℃、及び/又は加熱のために約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)、特に、往復動式、回転式(ローリングピストン若しくは回転翼)、又はスクロール式圧縮機を有する空調システムである。
【0206】
特に、熱伝達システムは、空冷式冷却器(約0~約10℃範囲、特に約4.5℃の蒸発器温度を有する)、特に、容積型圧縮機を有する空冷式冷却器、とりわけ往復動式又はスクロール式圧縮機を有する空冷式冷却器である。
【0207】
特に、熱伝達システムは、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム(約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)である。
【0208】
熱伝達システムは、冷凍システム、例えば、低温冷凍システム、中温冷凍システム、商用冷蔵庫、商用冷凍庫、製氷機、自動販売機、輸送冷凍システム、家庭用冷凍庫、家庭用冷蔵庫、産業用冷凍庫、及び冷却器であり得る。
【0209】
特に、熱伝達システムは、中温冷凍システム(約-12~約0℃の範囲、特に約-8℃の蒸発器温度を有する)である。
【0210】
特に、熱伝達システムは、低温冷凍システム(約-40~約-12℃の範囲、特に約-23℃の蒸発器温度を有する)である。
【0211】
R-410Aの動作条件と望ましくかつ予想外に一致する本発明の冷媒組成物の能力は、以下の非限定的な実施例によって例証される。
【0212】
実施例-R32/CF3I
以下の表1で特定されるR-32/CF3Iの二成分冷媒組成物を、本明細書に記載のとおりに判定した。各組成物を熱力学的分析に供して、様々な冷凍システムにおいてR-4104Aの動作特性と一致するその能力を判定した。組成物中に使用されている成分の様々な二成分対の特性について収集した実験データを使用して分析を実施した。実験評価において各二成分対の組成を一連の相対百分率にわたって変化させ、各二成分対の混合パラメーターを実験的に得られたデータに回帰させた。分析を行うために使用した仮定は以下のとおりであった:全ての冷媒について同じ圧縮機容積、全ての冷媒について同じ動作条件、全ての冷媒について同じ圧縮機断熱効率及び容積効率。各実施例では、測定された気液平衡データを使用してシミュレーションを行った。各実施例についてシミュレーション結果を報告する。
【0213】
【表1】
【0214】
【表2】
【0215】
実施例1-住宅用空調システム(冷却)
説明:
住宅用空調システムは、夏季に冷気(約12℃)を建物に供給するために使用される。典型的なシステムの種類は、ダクトスプリット型、ダクトレススプリット型、ウィンドウ型、及びポータブル型空調システムである。システムは通常、空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張デバイスを有する。蒸発器及び凝縮器は通常、フィンチューブ式又はマイクロチャネル熱交換器である。圧縮機は通常、往復動式、回転式(ローリングピストン若しくは回転翼)、又はスクロール式圧縮機である。膨張デバイスは通常、キャピラリーチューブ、温度膨張弁、又は電子膨張弁である。冷媒蒸発温度は、約0~約10℃の範囲内である一方、凝縮温度は、約40~約70℃の範囲内である。
【0216】
動作条件:
1.凝縮温度=46℃、対応する室外周囲温度=35℃
2.凝縮器過冷却=5.5℃
3.蒸発温度=7℃、対応する室内周囲温度=26.7℃
4.蒸発器過熱=5.5℃
5.断熱効率=70%
6.容積効率=100%
7.吸気ライン中の温度上昇=5.5℃
【0217】
【表3】
【0218】
実施例2-住宅用ヒートポンプシステム(加熱)
説明:
住宅用ヒートポンプシステムは、冬季に温風(約21℃)を建物に供給するために使用される。これは通常、住宅用空調システムと同じシステムであるが、システムがヒートポンプモードにあるときには冷媒流が反転し、室内コイルが凝縮器となり、室外コイルが蒸発器となる。典型的なシステムの種類は、ダクトスプリット型及びダクトレススプリット型ヒートポンプシステムである。蒸発器及び凝縮器は通常、フィンチューブ式又はマイクロチャネル熱交換器である。圧縮機は通常、往復動式、又は回転式(ローリングピストン若しくは回転翼)、又はスクロール式圧縮機である。膨張デバイスは通常、キャピラリーチューブ、温度膨張弁、又は電子膨張弁である。冷媒蒸発温度は、約-30~約5℃の範囲内である一方、凝縮温度は、約35~約50℃の範囲内である。
【0219】
動作条件:
1.凝縮温度=41℃、対応する室内周囲温度=21.1℃
2.凝縮器過冷却=5.5℃
3.蒸発温度=0.5℃、対応する室外周囲温度=8.3℃
4.蒸発器過熱=5.5℃
5.断熱効率=70%
6.容積効率=100%
7.吸気ライン中の温度上昇=5.5℃
【0220】
【表4】
【0221】
実施例3-商用空調システム-空冷式冷却器
説明:
商用空調システム(冷却器)は、オフィス、病院などの大きな建物に冷水(約7℃)を供給するために使用される。用途に応じて、冷却器システムは、通年稼働している場合がある。冷却器システムは、空冷式又は水冷式であり得る。空冷式冷却器は通常、冷水を供給するためのプレート、チューブインチューブ式、又はシェルインチューブ式蒸発器、往復動式又はスクロール式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための丸管プレートフィン又はマイクロチャネル凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。水冷式システムは通常、冷水を供給するためのシェルアンドチューブ式蒸発器、往復動式又はスクロール式圧縮機、熱を冷却塔又は湖、海、及び他の天然源からの水と交換するためのシェルアンドチューブ式凝縮器、並びに温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、約0~約10℃の範囲内である一方、凝縮温度は、約40~約70℃の範囲内である。
【0222】
動作条件:
1.凝縮温度=46℃、対応する室外周囲温度=35℃
2.凝縮器過冷却=5.5℃
3.蒸発温度=4.5℃、対応する冷却退出水温度=7℃
4.蒸発器過熱=5.5℃
5.断熱効率=70%
6.容積効率=100%
7.吸気ライン中の温度上昇=2℃
【0223】
【表5】
【0224】
実施例4-住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム
説明:
住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムは、冬季に床暖房又は同様の用途のために温水(約55℃)を建物に供給するために使用される。温水システムは通常、熱を周囲空気と交換するためのフィン付又はマイクロチャネル蒸発器、往復動式、回転式、又はスクロール式圧縮機、水を加熱するためのプレート、チューブインチューブ式、又はシェルアンドチューブ式凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、約-30~約5℃の範囲内である一方、凝縮温度は、約50~約90℃の範囲内である。
【0225】
動作条件:
1.凝縮温度=60℃、対応する室内退出水温度=50℃
2.凝縮器過冷却=5.5℃
3.蒸発温度=0.5℃、対応する室外周囲温度=8.3℃
4.蒸発器過熱=5.5℃
5.断熱効率=70%
6.容積効率=100%
7.吸気ライン中の温度上昇=2℃
【0226】
【表6】
【0227】
実施例5-中温冷凍
説明:
中温冷凍システムは、冷蔵庫及びボトルクーラーなどにおいて食べ物又は飲み物を冷やすために使用される。システムは通常、食べ物又は飲み物を冷やすための空気-冷媒蒸発器、往復動式、スクロール式、又はねじ式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、約-12~約0℃の範囲内である一方、凝縮温度は、約20~約70℃の範囲内である。
【0228】
動作条件:
1.凝縮温度=40.6℃、対応する室外周囲温度=35℃
2.凝縮器過冷却=5.5℃
3.蒸発温度=-6.7℃、対応する庫内温度=2℃
4.蒸発器過熱=5.5℃
5.断熱効率=70%
6.容積効率=100%
7.吸気ライン中の温度上昇=15℃
【0229】
【表7】
【0230】
実施例6-低温冷凍
説明:
低温冷凍システムは、食べ物を冷凍するために、例えば冷凍庫又はアイスクリーム製造機において使用される。システムは通常、空気-冷媒蒸発器、往復動式、スクロール式、又はねじ式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、約-40~約-12℃の範囲内である一方、凝縮温度は、約20~約70℃の範囲内である。
【0231】
動作条件:
1.凝縮温度=40.6℃、対応する室外周囲温度=35℃
2.凝縮器過冷却=1℃
3.蒸発温度=-31.6℃、対応する庫内温度=-20.6℃
4.蒸発器過熱=5.5℃
5.断熱効率=70%
6.容積効率=100%
7.吸気ライン中の温度上昇=30℃
【0232】
【表8】
【0233】
実施例7-POEとの混和性
POE油は、空調及び冷凍システムにおいて広く使用されている。
【0234】
図1に示すように、R410Aは、-22℃未満でPOE油と非混和性である。したがって、POE油が蒸発器内に堆積することになるため、R410Aを低温冷凍用途に使用することはできない。
【0235】
更に、図1は、R410Aが50℃超でPOE油と非混和性であることを示す。これは、高い周囲条件でR410Aを使用する場合に凝縮器及び送液ラインにおいて問題を引き起こす(例えば、分離したPOE油が閉じ込められて堆積するであろう)。
【0236】
逆に、本発明の冷媒、すなわち、約34重量%~約38重量%のHFC-32及び約62重量%~約66重量%のCFIから本質的になるか又はそれらからなる冷媒は、-50℃~70℃の温度範囲にわたってPOE油と完全に混和性である。これは、図2に示され、HFC-32及びCFIの総量に対してCFIの質量分率が60%を超える組成物は、-50℃~70℃の温度範囲にわたってPOEと完全に混和性であることを示す。
【0237】
本発明は好ましい実施形態を参照して記載されているが、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、その要素に相当する等価物に置換することができることが当業者によって理解されよう。更に、特定の状況又は材料に適合させために、本発明の必須の範囲から出発して、本発明の教示に対する多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されるのではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲又は後に追加される任意の特許請求の範囲に含まれる全ての実施形態を含むことが意図される。
【0238】
実施例-R32/CF3I/CO
以下の表9で特定されるR-32/CF3I/COの三成分冷媒組成物を、本明細書に記載のとおりに判定した。各組成物を熱力学的分析に供して、様々な冷凍システムにおいてR-4104Aの動作特性と一致するその能力を判定した。組成物中に使用されている成分の様々な二成分対の特性について収集した実験データを使用して分析を実施した。実験評価において各二成分対の組成を一連の相対百分率にわたって変化させ、各二成分対の混合パラメーターを実験的に得られたデータに回帰させた。分析を行うために使用した仮定は以下のとおりであった:全ての冷媒について同じ圧縮機容積、全ての冷媒について同じ動作条件、全ての冷媒について同じ圧縮機断熱効率及び容積効率。各実施例では、測定された気液平衡データを使用してシミュレーションを行った。各実施例についてシミュレーション結果を報告する。
【0239】
【表9】
【0240】
【表10】
【0241】
7C以下の蒸発器勾配を有する冷媒ブレンドが、非常に望ましい。したがって、COが約3%の量で存在する本発明の冷媒について、出願人らは、冷媒が38%以下のR-32を含むことが一般的に好ましいと判断した。
【0242】
実施例8-住宅用空調システム(冷却)-TXV、0%及び1%COを有する
住宅用空調システムは、夏季に冷気(約12℃)を建物に供給するために使用される。典型的なシステムの種類は、ダクトスプリット型、ダクトレススプリット型、ウィンドウ型、及びポータブル型空調システムである。システムは通常、空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張デバイスを有する。蒸発器及び凝縮器は通常、フィンチューブ式又はマイクロチャネル熱交換器である。圧縮機は通常、往復動式、回転式(ローリングピストン若しくは回転翼)、又はスクロール式圧縮機である。膨張デバイスは通常、キャピラリーチューブ、温度膨張弁、又は電子膨張弁である。冷媒蒸発温度は、約0~約10℃の範囲内である一方、凝縮温度は、約40~約70℃の範囲内である。本実施例では、システムは温度膨張弁(TXV)を含む。
【0243】
動作条件:
凝縮温度=46℃
凝縮器過冷却=5.5℃
蒸発温度=7℃
蒸発器過熱=5.5℃
断熱効率=70%
容積効率=100%
吸気ライン中の温度上昇=5.5℃
【0244】
38%のR32及び62%のCF3Iを含む冷媒(COを含まない)と、38%のR32、61%のCF3I、及び1%のCOを含む冷媒とを配合し、以下の表13に示す結果を生じることが見出された。
【0245】
【表13】
【0246】
上記の結果から分かるように、38%のR32及び62%のCF3Iからなる配合物と、38%のR32、61%のCF3I、及び1%のCOからなる配合物とは、出願人の熱力学的データ及び試験作業に基づいて推定された値に近い実際の能力及び実際の効率を達成する。見て取れるように、推定値は、COの添加により能力が向上し、CO添加時の推定効率には変化がないことを示す。
【0247】
38%のR32、7%のCO、及び55%のCF3Iからなる配合物を検討する以外は、推定作業を繰り返す。結果を以下の表14に報告する。
【0248】
【表14】
【0249】
上記の結果から分かるように、R32の量を約38%に維持したままCO濃度を7%に上昇させると、予想された能力の向上が生じ、効率(COP)は実質的に変わらないままであるという予想を与え続ける。この結果は、約38%のR32を含むが7%以上のCO濃度を有する配合物を使用すると、7%未満を含む配合物と比較して、電力消費の実質的な利益が予想されることを導くであろう。
【0250】
実施例9-住宅用空調システム(冷却)-TXV、3%~5%COを有する
説明:
実施例8に従って試験した同じ住宅用空調システムを使用して、以下の表15で特定される38%のR-32を含む本発明の冷媒組成物を試験する。
【0251】
【表15】
【0252】
出願人が実施した推定作業に基づいて、表15の配合物の作動効率(COP)は、約7%のCOを含有する配合物を含む実施例8の配合物の推定COPとほぼ同じであろうことが予想された。表15の冷媒は、以下の表16に示す熱力学的シミュレーションに基づく予想結果及び実際の結果を生じることが見出された。
【0253】
【表16】
【0254】
表16は、R410Aシステムと比較した住宅用空調システムの熱力学的(推定)性能を示し、この表は、実際の能力及び推定された能力がこれらの配合物について比較的近似した一致を維持することを明らかにし、CO濃度が3.5%(B4A)を超えて上昇すると、予想外の効率の低下が見られ始め、この低下は、CO濃度が5%に近づくにつれてより顕著かつ予想外なものになる(5%COではわずか96%のCOPを示す)。これらの結果はまた、3%~5%未満のCOと、57%~59%のCF3Iと、約38%のR-32とを含む、及びこれらから本質的になるか又はこれらからなる冷媒について、商業的に有意で重要かつ予想外の作動利益(104%以下の電力消費など)を示す。これらの結果はまた、3%~約3.5%のCOと、58.5%~約59%のCF3Iと、約38%のR-32とを含む、及びこれらから本質的になるか又はこれらからなる冷媒について、商業的に有意で重要かつ予想外の作動利益(100%以下の電力消費など)を示す。
【0255】
実施例10-住宅用空調システム(冷却)-TXV、7%COを有する
以下の表17に示す冷媒配合物を使用して実際の結果を生じるように実施例8を繰り返し、表に報告する結果を生じ、便宜のために実施例8で報告した推定結果を再度記載した。
【0256】
【表17】
【0257】
上記の結果から分かるように、約38%のR32を含むがCO濃度を7%に上昇させた配合物は、CO濃度が5%を超えると生じる予想外だが有意な効率の低下のため、予想外にもシステムの電力消費の実質的かつ不要な上昇を生じる。
【0258】
予想外の結果を示すこの試験の結果を、本明細書の図3に要約する。
【0259】
実施例11-住宅用空調システム(冷却)-キャピラリーチューブ並びに0%及び1%CO
システムが温度膨張弁(TXV)の代わりにキャピラリーチューブを含み、動作条件が以下のとおりであることを除いて、実施例8に記載の住宅用空調システムを使用する。
凝縮温度=48℃
凝縮器過冷却=5.5℃
蒸発温度=11℃
蒸発器過熱=4.5℃
断熱効率=70%
容積効率=100%
吸気ライン中の温度上昇=5.5℃
【0260】
38%のR32及び62%のCF3Iを含む冷媒(COを含まない)と、38%のR32、61%のCF3I、及び1%のCOを含む冷媒とを配合し、以下の表18に示す結果を生じることが見出された。
【0261】
【表18】
【0262】
上記の結果から分かるように、38%のR32及び62%のCF3Iからなる配合物と、38%のR32、61%のCF3I、及び1%のCOからなる配合物とは、出願人の熱力学的データ及び試験作業に基づいて推定された値に近い実際の能力及び実際の効率を達成する。見て取れるように、推定値は、COの添加により能力が向上し、CO添加時の推定効率には変化がないことを示す。
【0263】
38%のR32、7%のCO、及び55%のCF3Iからなる配合物を検討する以外は、推定作業を繰り返す。結果を以下の表19に報告する。
【0264】
【表19】
【0265】
上記の結果から分かるように、R32の量を約38%に維持したままCO濃度を7%に上昇させると、予想された能力の向上が生じ、効率(COP)は実質的に変わらないままであるという予想を与え続ける。この結果は、約38%のR32を含むが7%以上のCO濃度を有する配合物を使用すると、7%未満を含む配合物と比較して、電力消費の実質的な利益が予想されることを導くであろう。
【0266】
実施例12-住宅用空調システム(冷却)-キャピラリーチューブ及び3%~5%CO
説明:
実施例11に従って試験した同じ住宅用空調システムを使用して、以下の表20で特定される38%のR-32を含む本発明の冷媒組成物を試験する。
【0267】
【表20】
【0268】
出願人が実施した推定作業に基づいて、表20の配合物の作動効率(COP)は、約7%のCOを含有する配合物を含む実施例11の配合物の推定COPとほぼ同じであろうことが予想された。表20の冷媒は、以下の表21に示す熱力学的シミュレーションに基づく予想結果及び実際の結果を生じることが見出された。
【0269】
【表21】
【0270】
表21は、R410Aシステムと比較した、キャピラリーチューブを使用する住宅用空調システムの熱力学的(推定)性能を示し、この表は、実際の能力及び推定された能力がこれらの配合物について比較的近似した一致を維持することを明らかにし、CO濃度が3.5%(B4A)を超えて上昇すると、予想外の効率の低下が見られ始め、この低下は、CO濃度が5%に近づくにつれてより顕著かつ予想外なものになる(5%COではわずか95%のCOPを示す)。これは、商業的に有意で重要かつ予想外の効率の低下であり、一部には、3%~5%未満のCOと、57%~59%のCF3Iと、約38%のR-32とを含む、及びこれらから本質的になるか又はこれらからなる冷媒について、予想外の利益(約105%以下の電力消費など)の発見の根拠を形成する。これらの結果はまた、3%~約3.5%のCOと、58.5%~約59%のCF3Iと、約38%のR-32とを含む、及びこれらから本質的になるか又はこれらからなる冷媒について、商業的に有意で重要かつ予想外の作動利益(100%以下の電力消費など)を示す。これらの好ましい組成物の範囲のそれぞれは、不燃性で400未満の非常に望ましいGWPを有する組成物を含む。
【0271】
実施例13-住宅用空調システム(冷却)-7%CO
以下の表17に示す冷媒配合物を使用して実際の結果を生じるように実施例10を繰り返し、表に報告する結果を生じ、便宜のために実施例10で報告した推定結果を再度記載した。
【0272】
【表17】
【0273】
上記の結果から分かるように、約38%のR32を含むがCO濃度を7%に上昇させた配合物は、CO濃度が5%を超えると生じる予想外だが有意な効率の低下のため、予想外にもシステムの電力消費の実質的かつ不要な上昇を生じる。
【0274】
予想外の結果を示すこの試験の結果を、本明細書の図4に要約する。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
約38重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
57重量%~59重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、
2重量%~5重量%のCO2と、から本質的になる、冷媒。
[2]
前記冷媒が不燃性である、[1]に記載の冷媒。
[3]
約38重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
57重量%~59重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、
2重量%~5重量%のCO2と、からなる、[1]に記載の冷媒。
[4]
約38重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
58重量%+/-0.5重量%~59重量%+/-0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、
2重量%~3.5重量%のCO2と、から本質的になる、[1]に記載の冷媒。
[5]
38重量%+/-0.5重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、
59重量%+/-0.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)と、
3重量%+/-0.5重量%のCO2と、から本質的になる、[1]に記載の冷媒。
[6]
蒸発器と、凝縮器と、圧縮機と、を含む熱伝達システムにおける冷却方法であって、プロセスが、i)[1]に記載の冷媒を凝縮する工程と、ii)冷却される本体又は物品の付近で前記冷媒を蒸発させる工程と、を含み、前記冷媒が約-40℃~約-10℃の範囲の温度で蒸発する、方法。
[7]
蒸発器と、凝縮器と、圧縮機と、を含む熱伝達システムにおける冷却方法であって、プロセスが、i)[1]に記載の冷媒を凝縮する工程と、ii)冷却される本体又は物品の付近で前記冷媒を蒸発させる工程と、を含み、前記冷媒が約-30℃~約5℃の範囲の温度で蒸発する、方法。
[8]
前記空調システムが、約0~約10℃の範囲の蒸発器温度を有する住宅用空調システムである、[11]に記載の方法。
[9]
約34重量%~約38重量%のHFC-32と、約62重量%~約66重量%のCF Iと、から本質的になる、冷媒。
[10]
ポリオールエステル(POE)潤滑剤を含む、[18]に記載の熱伝達組成物。
図1
図2
図3
図4