(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】半導体チップ
(51)【国際特許分類】
G01K 7/16 20060101AFI20220819BHJP
G01K 13/00 20210101ALI20220819BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20220819BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
G01K7/16 S
G01K13/00
H01L27/04 H
(21)【出願番号】P 2020048546
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】201910228563.9
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511268432
【氏名又は名称】台達電子企業管理(上海)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】洪 守玉
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 世利
(72)【発明者】
【氏名】周 甘宇
(72)【発明者】
【氏名】高 ▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】施 金汕
(72)【発明者】
【氏名】▲曾▼ ▲剣▼▲鴻▼
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-041585(JP,A)
【文献】特表2011-524626(JP,A)
【文献】特開2005-286238(JP,A)
【文献】特公昭42-024785(JP,B1)
【文献】特公昭39-009140(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
H01L 21/822,27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1面及び第2面を有する機能領域と、
前記第1面に設置された第1端と、第2端と、
前記第1面に設置された第3端と、
前記機能領域の前記第1面に設置され前記第1端と前記第3端とを接続する接続部と、を含む、
半導体チップであって、
前記半導体チップは、前記第3端と前記第1端との間で受信される駆動信号に基づいてオン又はオフの切り替えを行い、
前記接続部は、低融点ガラスであり、温度が第1温度より高い場合に導通状態となり、前記第1端と前記第3端との間で短絡することにより、前記半導体チップがオフとなり、温度が第3温度以下である場合に前記接続部は絶縁状態となり、前記第1温度は、前記第3温度以上であり、
前記半導体チップは、第1パッシベーション層を含み、前記第1パッシベーション層は、前記機能領域の第1面に設置され、前記接続部は、前記第1パッシベーション層を覆うことを特徴とする、
半導体チップ。
【請求項2】
前記駆動信号は、電圧であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項3】
前記第1端及び前記第2端は、出力端であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項4】
前記半導体チップは、さらに金属配線層を含み、前記第1温度は、前記金属配線層の溶融温度より低く、かつ前記半導体チップに半導体特性を失わせる最低温度より低いことを特徴とする、請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項5】
前記半導体チップの温度が第2温度以下である場合に正常に動作し、前記第2温度は前記第1温度より低いことを特徴とする、請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項6】
前記半導体チップは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、高電子移動度トランジスタ又はバイポーラ接合型トランジスタであることを特徴とする、請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項7】
前記半導体チップは、前記接続部を覆う第2パッシベーション層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項8】
前記半導体チップは、金属層を含み、前記金属層は、前記接続部と前記第2パッシベーション層の間に設置され、かつ前記接続部に接触し、前記金属層が前記接続部を介して前記第1端及び前記第3端に接続し、又は前記金属層の一端が前記第1端に接続し、前記接続部を介して前記第3端に接続し、又は前記金属層の一端が前記第3端に接触し、前記接続部を介して前記第1端に接続することを特徴とする、請求項7に記載の半導体チップ。
【請求項9】
前記半導体チップの材料は、炭化ケイ素または窒化ガリウムであることを特徴とする、請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項10】
前記半導体チップは、金属層を含み、前記金属層は、前記接続部に接触し、前記金属層が前記接続部を介して前記第1端及び前記第3端に接続し、又は前記金属層の一端が前記第1端に接続し、前記接続部を介して前記第3端に接続し、又は前記金属層の一端が前記第3端に接触し、前記接続部を介して前記第1端に接続することを特徴とする、請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項11】
半導体チップに適用されるプロセス方法であって、
機能領域と、第1端と、第2端と、第3端とを含むチップ本体を設置するステップ(a)と、
前記機能領域の第1面に接続部を形成するステップ(b)とを含み、
前記機能領域は、対向する第1面と第2面とを含み、前記第1端及び前記第3端は、前記第1面に設置され、第1パッシベーション層が、前記機能領域の前記第1面に
設置され、前記半導体チップは、前記第1端と前記第3端との間で受信される駆動信号に基づいてオン又はオフに制御され、
前記接続部は、低融点ガラスであり、前記第1端と前記第3端とを接続し、前記接続部の温度が第1温度より高い場合に導通状態となり、前記第1端と前記第3端との間に短絡することにより、前記半導体チップがオフとなり、前記接続部の温度が第3温度以下である場合に絶縁状態となり、前記第1温度は、前記第3温度以上であり、前記接続部は、前記第1パッシベーション層を覆うことを特徴とする、
プロセス方法。
【請求項12】
前記半導体チップの温度が第2温度以下である場合に正常に動作し、前記第2温度は前記第1温度より低いことを特徴とする、請求項11に記載のプロセス方法。
【請求項13】
前記プロセス方法のステップ(b)において、前記接続部は、物理蒸着、化学蒸着、スピンオングラス又はドット塗布プロセスにより前記機能領域の第1面に形成されることを特徴とする、請求項11に記載のプロセス方法。
【請求項14】
前記接続部に接触する金属層を形成するステップ(C)をさらに含み、
前記金属層は、前記接続部を介して前記第1端及び前記第3端に接続し、或いは前記金属層の一端は、前記第1端に接続し、前記接続部を介して前記第3端に接続し、或いは前記金属層の一端は、前記第3端に接触し、前記接続部を介して前記第1端に接続することを特徴とする、請求項11に記載のプロセス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は集積回路の技術分野に関し、具体的には、温度制御接続部を有する半導体チップに関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー自動車、コンピューター装置、自動運転、スマートフォン及び他の通信装置の端末装置などの分野の急速な発展に伴い、上記分野の電源製品に対する要求はますます高くなり、そのうち半導体チップは電源製品における重要な構成部分であり、スイッチング回路、電力増幅回路、整流回路及び駆動回路等に広く用いられているため、半導体チップの信頼性に対する要求が高まってきている。
【0003】
従来の半導体チップは様々な原因、例えば短絡、過電流、放熱異常又は駆動異常などにより、故障前に温度上昇過程が起こる。
図1は従来の半導体チップの断面構造概略図である。
図1に示すように、半導体チップ1’(例えば金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET))のGate(ゲートG)及びSource(ソースS)のCell(セル)が周期的に配列され、それぞれ金属によりそれぞれのパッド(図示せず)に接続される。複数のゲートG、ソースSのセルをパッドに接続する金属配線およびパッド自体の金属を総称して金属配線層と呼ぶ。特に説明する必要があるのは、ゲートGのセルをパッドに接続する配線は一般的に高ドープされた多結晶シリコン及び多結晶シリコンの上の複合金属層の二種類の形態を含み、以下では説明を省略する。ゲートGとソースSの間に間隔があり、それぞれの電極が独立して設置される。ある故障が発生した後、チップの温度が高温になり、金属配線層が高温の影響を受けて溶融する場合、金属配線層は溶融し流れていて、金属接続部Mを形成する恐れがある。この場合に、溶融した金属が間隔を超えてゲートGとソースSを接続し、それによりゲートGとソースSの間が短絡し、さらに半導体チップ1’が受動的にオフになる。しかし、半導体チップ1’が高温時には金属配線層の溶融によってオフになるが、正常な温度に復帰した後、溶融して凝縮した金属配線層は依然としてゲートG及びソースSを短絡し、半導体チップ1’は正常に動作できない一方、高温故障が発生する前に、金属配線層自体はゲートGとソースSを直接接続するのではなく、溶融後の偶発的な拡散によりゲートGとソースSを接続するので、制御不可能である。
【0004】
したがって、上記欠点を克服する半導体チップをどのように開発するかは、現在切実な需要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は半導体チップの実用性を高めるために半導体チップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述目的を実現するために、本開示の一つの実施形態は機能領域、第1端、第2端、第3端及び接続部を備える半導体チップを提供する。機能領域は対向する第1面及び第2面を有する。第1端は第1面に設けられる。第3端は第1面に設けられる。半導体チップは第3端と第1端の間に受信された駆動信号に基づいてオン又はオフの切り替えを行う。接続部は機能領域の第1面に設置されかつ第1端と第3端とを接続し、ここで温度が第1温度より高い場合に接続部は導通状態となり、第1端と第3端の間に短絡することにより半導体チップがオフとなり、温度が第3温度以下である場合、接続部は絶縁状態となり、ここで第1温度は第3温度以上である。
【0007】
そして、上述目的を実現するために、本開示の一つの実施形態は半導体チップに適用されるプロセス方法を提供する。まず、ステップS1を実行し、機能領域、第1端、第2端及び第3端を備えるチップ本体を設置する。機能領域は対向する第1面及び第2面を有する。第1端及び第3端は第1面に設置される。半導体チップは第1端と第3端の間に受信された駆動信号に基づいてオン又はオフに制御される。次に、ステップS2を実行し、機能領域の第1面に形成されかつ第1端と第3端とを接続する接続部を形成する。接続部の温度が第1温度より高い場合に導通状態となり、第1端と第3端の間に短絡することにより半導体チップはオフとなり、接続部の温度が第3温度以下である場合に絶縁状態となり、ここで第1温度は第3温度以上である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は従来の半導体チップの断面構造概略図である。
【
図2】
図2は本開示の第1実施形態に係る半導体チップの断面構造概略図である。
【
図3】
図3は
図2に示す半導体チップの接続部の異なる温度での比抵抗変化概略図である。
【
図4】
図4は
図2に示す半導体チップの一つの実施形態の平面構造概略図である。
【
図5】
図5は
図2に示す半導体チップの他の実施形態の平面構造概略図である。
【
図6】
図6は
図2に示す半導体チップのまた一つの実施形態の平面構造概略図である。
【
図7】
図7は本開示の第2実施形態に係る半導体チップの断面構造概略図である。
【
図8】
図8は本開示の第3実施形態に係る半導体チップの断面構造概略図である。
【
図9】
図9は本開示の第4実施形態に係る半導体チップの断面構造概略図である。
【
図10】
図10は本開示の第5実施形態に係る半導体チップの断面構造概略図である。
【
図11】
図11は本開示の第6実施形態に係る半導体チップの断面構造概略図である。
【
図12】
図12は、本開示の第7実施形態に係る半導体チップの断面構造概略図である。
【
図13】
図13は、本開示の第8実施形態に係る半導体チップの断面構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の特徴及びメリットを具現化するいくつかの典型的な実施形態はあとの説明において詳述する。理解すべきことは、本開示が異なる態様で様々な変化を有することができることである、それらはいずれも本開示の範囲から逸脱せず、かつそのうちの説明及び図示は本質的に説明のために用いられ、本開示を限定するものではない。
【0010】
図2は本開示の第1実施形態の半導体チップの断面構造概略図であり、
図3は
図2に示す半導体チップの接続部の異なる温度での比抵抗変化概略図である。図に示すように、本開示の半導体チップ1は例えば金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)又はバイポーラ接合型トランジスタ(BJT)であり、これらに限定されなく、かつ機能領域11、第1端12、第2端(図示せず)、第3端13及び接続部14を含む。いくつかの実施形態において、半導体チップ1の材料はシリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)又は窒化ガリウム(GaN)等で構成されるがこれに限定されない。
【0011】
機能領域11は、対向する第1面111および第2面112を含む。第1端12は、第1面111に設けられている。第1端12は出力端、例えばMOSFETのソースであってもよい。機能領域11は、半導体チップ1の半導体材料領域、例えばSi系デバイスのSi材料領域である。第2端は出力端、例えばMOSFETのドレインである。第3端13は、第1面に設けられている。第3端13は例えば入力端、例えばMOSFETのゲートである。半導体チップ1は第3端13及び第1端12が受信した駆動信号に基づいてオン又はオフの切り替えを行い、ここで駆動信号は電圧又は電流であってもよい。いくつかの実施形態において、機能領域11、第1端12、第2端及び第3端13はチップ本体10を構成することができる。接続部14は機能領域11の第1面111に設置され、かつ第1端12と第3端13とを接続する。ここで、
図3を参照し、接続部14が例えばシステム故障、チップ故障、環境変化などの原因により、一つの環境温度から他の環境温度に移行する時、接続部14の温度は熱履歴のため徐々に新しい環境温度になる。例えば、接続部14が二酸化バナジウム(VO2)であり、接続部14の温度が第1温度まで上昇すると、接続部14の比抵抗が低下し導通状態となり、半導体チップ1が第1端12と第3端13の間の短絡でオフとなり、これにより半導体チップの温度がさらに上昇して破損することを回避するのに役立つ。また、接続部14の温度が第3温度まで低下すると、接続部14の比抵抗が上昇して絶縁状態となり、このとき半導体チップ1は正常動作に復帰することができ、ここで第1温度は第3温度以上である。いくつかの実施形態において、第1温度が第3温度に等しいため、接続部14の温度が第1温度以下に低下すると絶縁状態となり、このとき半導体チップ1は正常に動作し、接続部14の温度が第1温度より高い場合に導通状態となり、半導体チップ1は第1端12と第3端13の間の短絡でオフとなる。また、接続部14の温度が第1温度より高い温度から第1温度以下に低下すると、導通状態から絶縁状態に転換する。上記いくつかの実施形態において、第1温度及び第3温度の数値は接続部14の材料製造、接続部14の材料厚さ及び接続部14の温度変化の速さ等の要因に関連する可能性がある。
【0012】
いくつかの実施形態において、接続部14は温度誘起相転移材料、例えば二酸化バナジウム(VO2)、ゲルマニウムまた他の元素をドープした二酸化バナジウム、その他の温度誘起相転移材料であってもよいが、これに限られない。または、接続部14は、低融点ガラス、例えば、バナジン酸塩材料、リン酸塩材料、ホウ酸塩材料またはケイ酸塩材料などであってもよい。低融点ガラスの接続部14は、酸化鉛-酸化亜鉛-三酸化二ホウ素材料システム(PbO-ZnO-B2O3)、酸化鉛-酸化アルミニウム-三酸化二ホウ素材料システム(PbO-Al2O3-B2O3)、酸化鉛-三酸化二ビスマス-三酸化二ホウ素材料システム(PbO-Bi2O3-B2O3)、酸化鉛-三酸化二ホウ素-二酸化ケイ素材料システム(PbO-B2O3-SiO2)、酸化カリウム-鉛-二酸化ケイ素材料システム(K2O-Pb-SiO2)、酸化亜鉛-三酸化二ホウ素-二酸化ケイ素材料システム(ZnO-B2O3-SiO2)、酸化鉛-二酸化ケイ素-酸化亜鉛-酸化バリウム材料システム(PbO-SiO2-ZnO-BaO)、酸化ナトリウム-酸化バリウム-二酸化ケイ素材料システム(Na2O-BaO-SiO2)、酸化亜鉛-三酸化二ホウ素-五酸化二リン材料システム(ZnO-B2O3-P2O5)、酸化リチウム-酸化アルミニウム-二酸化ケイ素材料システム(Li2O-Al2O3-SiO2)、酸化タリウム-五酸化二バナジウム-酸化テルル-酸化ヒ素材料システム(Tl2O-V2O5-TeO2-AsO3)、三酸化二ビスマス-三酸化二ホウ素材料システム(Bi2O3-B2O3)、酸化鉛-五酸化二バナジウム-三酸化二ビスマス-酸化亜鉛材料システム(PbO-V2O5-Bi2O3-ZnO)、酸化リチウム-酸化亜鉛-二酸化ケイ素材料システム(Li2O-ZnO-SiO2)、酸化スズ-酸化亜鉛-五酸化二リン材料システム(SnO-ZnO-P2O5)、五酸化二バナジウム-五酸化二リン-酸化アンチモン材料システム(V2O5-P2O5-SbO)等が挙げられるが、これに限られない。また、接続部14は、上記材料に他の材料を添加して、融点、強度、熱膨張係数、濡れ性、電気的性能及びプロセス性を調整することができる。
【0013】
以上から分かるように、前述した接続部の材料を使い、第1温度が第3温度に等しいとすると、本開示の半導体チップ1の接続部14の温度が第1温度以上になると導通状態となり、接続部14の温度が第1温度以下に低下すると絶縁状態となり、温度が通常温度に戻っても正常に動作できない従来の半導体チップ1’に比べって、本開示の半導体チップ1は接続部14の異なる温度での状態転換を利用し、高温時に自動的にオフとなり、破損することを回避し、正常な温度に復帰する時に正常に動作することができるため、本開示の半導体チップ1の実用性は高い。
【0014】
本実施例では、半導体チップ1は、パッドと金属配線層(図示せず)を含み、第1温度は金属配線層の溶融温度(例えばアルミニウムの融点の660℃)未満であり、かつ半導体チップ1に半導体特性を失わせる最低温度より低いため、半導体チップ1が第1温度によって接続部14の状態を切り替える際に、金属配線層の設置や半導体チップの特性に影響を与えない。また、半導体チップ1はさらに第2温度を有し、それは半導体チップ1の最高利用可能なジャンクション温度(特に説明するのは、該最高利用可能なジャンクション温度は性能、耐用年数等を総合的に考慮し与えられた温度で、半導体のスイッチング特性を失わせる限界温度より充分に低い)であり、半導体チップ1の温度が第2温度以下に低下した場合、正常に動作する。第2温度が第1温度より低いため、半導体チップ1が正常に動作した状態で、すなわち半導体チップ1の温度が第2温度以下に低下する時、接続部14が絶縁状態であるため、半導体チップ1が正常に動作する時に二つの制御電極(第1端12と第3端13)の間の短絡を回避することができる。以下の表1に示すように、異なる半導体チップ1の材料タイプにおいて、対応する最高ジャンクション温度、半導体特性を失わせる最低温度、接続部14の材料タイプ及び第1温度の範囲を例示的に示しているが、これに限定されない。
【0015】
【0016】
図2に示すとおり、半導体チップ1はさらに第1パッシベーション層15を含むことができるが、本開示はこれに限定されない。第1パッシベーション層15は機能領域11の第1面111に設置され、機能領域11を保護するために用いられる。接続部14は第1パッシベーション層15を覆う。ここで、第1パッシベーション層15の材料は二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)又はポリイミド(PI)であってもよく、さらに該第1パッシベーション層15は複合層であってもよく、例えば窒化ケイ素の上にポリイミド層、二酸化ケイ素の上に窒化ケイ素層等が設けられる。この実施形態では、第1端12と第3端13との間に位置する機能領域11の第1面111は第1パッシベーション層15により水分及び汚染を遮断し、したがって接続部14を形成する材料は水分及び汚染に対する要求が低く、それにより半導体チップ1の構造が実現しやすくかつ製造方法が簡単になる。
【0017】
いくつかの実施形態において、第1端12は、複数の第1パッド121を含む。第3端13は、第2パッド131および第2バスライン132を含む。接続部14は機能領域11の第1面111にある、第1端12と第3端13との間の間隔を完全に充填することができる。
図4に示すように、接続部14が第1パッド121と第2パッド131との間隔及び第1パッド121と第2バスライン132との間隔を完全に充填することで、半導体チップ1の任意の箇所における温度が第1温度を越えると、接続部14を導通状態に転換できるため、半導体チップ1の状態転換感度が高い。
【0018】
他のいくつかの実施形態において、第1端12は、複数の第1パッド121を含む。第3端13は、第2パッド131および第2バスライン132を含む。接続部14は機能領域11の第1面111にある、第1端12と第3端13との間の間隔を部分に充填する。たとえば、接続部14は半導体チップ1における熱くなりやすい箇所を充填する。
図5に示すように、接続部14は第1パッド121と第2パッド131との間の間隔の部分及び第1パッド121と第2バスライン132との間の間隔の部分を充填する。これにより、一つまたは複数の接続部14を柔軟に設置することができ、半導体チップ1のコストを低減する。いくつかの実施形態において、例えば
図4及び
図5に示す半導体チップは、第2端が機能領域11の第2面112に設置される。
【0019】
いくつかの実施形態において、第1端12は、第1パッド121および第1バスライン122を含む。第3端13は、第2パッド131および第2バスライン132を含む。接続部14は機能領域11の第1面111にある、第1端12と第3端13との間の間隔を部分に充填する。
図6に示すように、接続部14は第1パッド121と第2バスライン132との間の間隔の部分及び第1バスライン122と第2バスライン132との間の間隔の部分を充填する。いくつかの実施形態において、例えば
図6に示す半導体チップは、第2端19が機能領域11の第1面111に設置される。
【0020】
図7は本開示の第2実施形態の半導体チップの断面構造概略図である。本実施形態において、第1パッシベーション層15は機能領域11の第1面111に設置され、かつ少なくとも部分的に第1端12及び第3端13を覆う。接続部14は物理蒸着、化学蒸着、スピンオングラス又はドット塗布プロセスにより機能領域11の第1面111に形成され、さらに半導体チップ1を形成する。接続部14は第1パッシベーション層15を覆う。
図8は本開示の第3実施形態の半導体チップの断面構造概略図である。本実施形態において、半導体チップはまずパッケージ構造Dに設置され、その後、接続部14を設ける。接続部14はドット塗布、印刷等のプロセスにより機能領域11の第1面111に形成され、接続部14は第1パッシベーション層15を覆う。以上から分かるように、本開示の半導体チップ1はチッププロセス又はパッケージプロセスにおいて接続部14を設置することができ、接続部14は第1パッシベーション層15が設置された後に設置されることができ、したがって、本開示の半導体チップ1のプロセスが柔軟であり、プロセスの困難度を低減することができる。
【0021】
図9は本開示の第4実施形態の半導体チップの断面構造概略図である。図に示すように、本実施形態の半導体チップ2は機能領域21、第1端22、第3端23、接続部24及び第2パッシベーション層25を含み、ここで半導体チップ2の機能領域21、第1端22、第3端23、接続部24はそれぞれ
図2に示す半導体チップ1の機能領域11、第1端12、第3端13、接続部14と同様であるので、同様のユニット構造、動作及び機能はここで説明を省略する。
図2に示す実施形態に比べて、
図9に示す実施形態において、半導体チップ2の接続部24は機能領域21の第1面211に設けられる。第2パッシベーション層25は接続部24を覆い、接続部24を保護するために用いられる。第2パッシベーション層25の材料等は第1パッシベーション層15と同じであってもよい。
【0022】
図10は本開示の第5実施形態の半導体チップの断面構造概略図である。図に示すように、本実施形態の半導体チップ3は機能領域31、第1端32、第3端33、接続部34及び第1パッシベーション層35を含み、ここで半導体チップ3の機能領域31、第1端32、第3端33、接続部34及び第1パッシベーション層35はそれぞれ
図2に示す半導体チップ1の機能領域11、第1端12、第3端13、接続部14及び第1パッシベーション層15と同様であるので、同様のユニット構造、動作及び機能はここで説明を省略する。
図2に示す実施形態に比べて、
図10に示す実施形態において、半導体チップ3はさらに第2パッシベーション層36を含み、第2パッシベーション層36は接続部34を覆い、機能領域31及び接続部34を保護し、これにより半導体チップ3はより高い保護能力を得る。いくつかの実施形態において、第1パッシベーション層35は二酸化ケイ素(SiO2)から構成されてもよく、第2パッシベーション層36はポリイミド(PI)で構成されてもよいが、これに限定されない。他のいくつかの実施形態において、第2パッシベーション層36は複合材料例えば良好な被覆及び応力放出を備えるエチルシリケート(TEOS)と窒化ケイ素(SiN)の複合層で構成される。
【0023】
図11は本開示の第6実施形態の半導体チップの断面構造概略図である。図に示すように、本実施形態の半導体チップ4は機能領域41、第1端42、第3端43、接続部44及び第1パッシベーション層45を含み、ここで半導体チップ4の機能領域41、第1端42、第3端43、接続部44及び第1パッシベーション層45はそれぞれ
図2に示す半導体チップ1の機能領域11、第1端12、第3端13、接続部14及び第1パッシベーション層15と同様であるので、同様のユニット構造、動作及び機能はここで説明を省略する。
図2に示す実施形態に比べて、
図11に示す実施形態において、半導体チップ4はさらに第2パッシベーション層46及び金属層47を含む。第2パッシベーション層46は接続部44を覆い、機能領域41及び接続部44を保護し、これにより半導体チップ4はより高い保護能力を得る。金属層47は接続部44と第2パッシベーション層46の間に設けられ、接続部44に接触する。金属層47は第1端42及び第3端43に直接接続されず、接続部44を介して第1端42及び第3端43に接続され、これにより第1端42と第3端43の間のインピーダンスを低下させる。したがって、接続部44の温度が第1温度より高くなって導通状態になると、第1端42と第3端43とは金属層47の設置により速やかに短絡することができるので、半導体チップ4はより迅速にオフとなれる。いくつかの実施形態において、第1パッシベーション層45は二酸化ケイ素(SiO2)から構成されてもよく、第2パッシベーション層46はポリイミド(PI)で構成されてもよいが、これに限定されない。他のいくつかの実施形態において、第2パッシベーション層46は複合材料例えば良好な被覆及び応力放出を備えるエチルシリケート(TEOS)と窒化ケイ素(SiN)の複合層で構成される。いくつかの実施形態において、金属層47は物理蒸着法(PVD)で形成されることができる。本実施形態における第1パッシベーション層45及び第2パッシベーション層46は単独で又は全てを省略することができ、本開示はこれに限定されるものではない。
【0024】
図12は本開示の第7実施形態の半導体チップの断面構造概略図である。図に示すように、本実施形態の半導体チップ5は機能領域51、第1端52、第3端53、接続部54及び第1パッシベーション層55を含み、ここで半導体チップ5の機能領域51、第1端52、第3端53、接続部54及び第1パッシベーション層55はそれぞれ
図2に示す半導体チップ1の機能領域11、第1端12、第3端13、接続部14及び第1パッシベーション層15と同様であるので、同様のユニット構造、動作及び機能はここで説明を省略する。
図2に示す実施形態に比べて、
図12の実施形態において、半導体チップ5はさらに第2パッシベーション層56及び金属層57を含む。第2パッシベーション層56は接続部54を覆い、機能領域51及び接続部54を保護することにより、半導体チップ5はより高い保護能力を得る。金属層57は、接続部54と第2パッシベーション層56の間に設けられ、接続部54に接触する。本実施形態において、金属層57の一端は第3端53に接続され、金属層57は接続部を介して第1端52に接続され、これにより第1端52と第3端53の間のインピーダンスを低下させる。このため、接続部54の温度が第1温度より高くなって導通状態となると、第1端52と第3端53とは金属層57の設置により速やかに短絡することができるので、半導体チップ5はより迅速にオフとなれる。他のいくつかの実施形態において、金属層57の一端は第1端52に接続され、金属層57は接続部54を介して第3端53に接続され、これにより第1端52と第3端53の間のインピーダンスを低下させ、半導体チップ5はより迅速にオフとなれる。金属層の一端は、金属層の任意位置にあってもよい。いくつかの実施形態において、第1パッシベーション層55は二酸化ケイ素(SiO2)から構成されてもよく、第2パッシベーション層56はポリイミド(PI)で構成されてもよいが、これに限定されない。他のいくつかの実施形態において、第2パッシベーション層56は複合材料例えば良好な被覆及び応力放出を備えるエチルシリケート(TEOS)と窒化ケイ素(SiN)の複合層で構成される。いくつかの実施形態において、金属層57は物理蒸着法(PVD)で形成されることができる。本実施形態における第1パッシベーション層55及び第2パッシベーション層56は単独で又は全てを省略することができ、本開示はこれに限定されるものではない。本開示の各実施形態における金属層は接続部に接触するように設置され、直接に接触してもいいし、他の導電性材料を介して間接的に接触してもいい。少なくとも部分的に接触することができればよい。金属層は、接続部と第2パッシベーション層の間に設けられていてもよいし、接続部と第1パッシベーション層の間に設けられていてもよいし、両方に設けられていてもよい。第1パッシベーション層及び/又は第2パッシベーション層を省略すれば、金属層を設け、それが接続部に少なくとも部分的に接触することができればよい。金属層は複数のセグメントに分けられ、複数の層に設置されてもよく、本開示はこれに限定されない。
【0025】
図13は本開示の第8実施形態の半導体チップの断面構造概略図である。図に示すように、本実施形態の半導体チップ6は機能領域61、第1端62、第3端63及び多結晶シリコン64を含み、ここで
図13には第2端を省略する。半導体チップ6の機能領域61、第1端62、第3端63はそれぞれ
図2に示す半導体チップ1の機能領域11、第1端12及び第3端13と同様であるので、同様のユニット構造、動作及び機能はここで説明を省略する。
図2に示す実施形態に比べて、
図13の実施形態において、半導体チップ6は例えばMOSFETであり、第3端(例えばMOSFETのゲート)及び第1端(例えばMOSFETのソース)のセルをパッドに接続する金属配線の間に絶縁媒体70がある。接続部は、絶縁媒体70の内部に設けられ、第1端62と第3端(例えばMOSFETのゲート)とを接続してもよい。
【0026】
他の実施形態において、
図13に示す半導体チップには、接続部が絶縁層70の内部に設けられず、絶縁層70の上に設けられ、かつ第1端62と第3端63の間に設置されてもよい。絶縁層70が機能領域61の第1面611に設けられているので、絶縁層70に設けられた接続部は、機能領域61の第1面611に設けられているともみなされ、直接接触または間接接触に限定されるものではない。
【0027】
図14は
図2に示す半導体チップのプロセス方法のフローチャートである。まず、ステップS1を実行し、機能領域11、第1端12、第2端及び第3端13を備えるチップ本体10を設置する。機能領域11は対向する第1面111及び第2面112を含む。第1端12及び第3端13は第1面111に設置される。半導体チップ1は第1端12と第3端13の間に受信された駆動信号に基づいてオン又はオフに制御される。次に、ステップS2を実行し、接続部14は機能領域11の第1面111に形成されかつ第1端12と第3端13とを接続し、ここで接続部14の温度が第1温度より高い場合に導通状態となり、第1端12と第3端13の間に短絡することにより半導体チップ1をオフにし、接続部14の温度が第3温度以下に低下すると絶縁状態となり、ここで該第1温度は該第3温度以上である。上記プロセス方法は本開示の他の実施形態にも適用することができるため、ここで説明を省略する。
【0028】
図15は
図11に示す半導体チップのプロセス方法のフローチャートである。まず、ステップS1を実行し、機能領域41、第1端42、第2端及び第3端43を備えるチップ本体40を設置する。機能領域41は対向する第1面411及び第2面412を含む。第1端42及び第3端43は第1面411に設置される。半導体チップ4は第1端42と第3端43の間に受信された駆動信号に基づいてオン又はオフに制御される。次に、ステップS2を実行し、接続部44は機能領域41の第1面411に形成されかつ第1端42と第3端43を接続し、ここで接続部44の温度が第1温度より高い場合に導通状態となり、第1端42と第3端43の間に短絡することにより半導体チップ4をオフにし、接続部44の温度が第3温度以下に低下すると絶縁状態となり、ここで該第1温度は該第3温度以上である。次に、ステップS3を実行し、金属層47は形成されかつ接続部44に接触し、接続部44を介して第1端42及び第3端43に接続し、あるいは、金属層47の一端は第1端42に接続し、接続部44を介して第3端43に接続し、あるいは、金属層47の一端は第3端43に接触し、接続部44を介して第1端42に接続する。金属層の一端は、金属層の任意位置にあってもよい。しかし、上記プロセス方法は本開示の他の実施形態にも適用することができるため、ここで説明を省略する。いくつかの実施形態において、ステップS2とステップS3の順序を変換するか又は同時に完了することができ、本開示はこれに限定されるものではない。
【0029】
本開示の半導体チップの接続部の温度が第1温度よりも高くなると導通状態となり、接続部の温度が第1温度以下に低下すると絶縁状態となり、温度が通常温度に戻っても正常に動作できない従来の半導体チップに比べて、本開示の半導体チップは接続部の異なる温度での状態転換を利用し、高温時に自動的にオフとなって、破損することを回避し、正常な温度に復帰する時に正常に動作することができるため、本開示の半導体チップの実用性は高い。一部の実施形態において、接続部の絶縁状態と導通状態の転換は接続部自体の材料特徴によるため、材料特性により決定された半導体チップの高温オフ、低温正常動作の保護は、安全で確実である。
【符号の説明】
【0030】
1’:半導体チップ
G:ゲート
S:ソース
M:金属接続部
1、2、3、4、5、6:半導体チップ
10、20、30、40、50、60:チップ本体
11、21、31、41、51、61:機能領域
111、211、311、411、511、611:第1面
112、212、312、412、512、612:第2面
12、22、32、42、52、62:第1端
13、23、33、43、53、63:第3端
14、24、34、44、54:接続部
64:多結晶シリコン
70:絶縁媒体
15、35、45、55:第1パッシベーション層
25、36、46、56:第2パッシベーション層
47、57:金属層
D:パッケージ構造
19:第2端
S1~S3:ステップ