(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】2-オキソ-1,3-オキサゾリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 513/04 20060101AFI20220819BHJP
A61K 31/433 20060101ALI20220819BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
C07D513/04 325
C07D513/04 CSP
A61K31/433
A61P25/08
(21)【出願番号】P 2020500838
(86)(22)【出願日】2018-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2018068207
(87)【国際公開番号】W WO2019011770
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-03-11
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514232085
【氏名又は名称】ユーシービー バイオファルマ エスアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プロバン、ローラン
(72)【発明者】
【氏名】シャントー、ユーグ
(72)【発明者】
【氏名】ケスネル、ヤニック
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/143116(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/132139(WO,A2)
【文献】国際公開第2008/132142(WO,A2)
【文献】特表2014-511883(JP,A)
【文献】特表2013-508321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)による2-オキソ-1,3-オキサゾリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、同位体
もしくは混合物、またはこれらの薬学的に許容される塩
【化1】
(式中、
R
1は場合により1つまたは複数のハロゲン置換基によって置換されたC
1~4アルキルであり;
R
2はハロゲン原子または場合により1つもしくは複数のハロゲン原子によって置換されたC
1~4アルキルであり;
R
3はアルコキシ置換基によって置換されたC
1~4アルキルである)。
【請求項2】
R
1がi-ブチル、n-プロピル、2,2-ジフルオロプロピル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチルまたは2-フルオロエチル部分である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1がn-プロピル、2,2-ジフルオロプロピルまたは2,2,2-トリフルオロエチル部分である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R
2が塩素原子、ジフルオロメチル部分またはトリフルオロメチル部分である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R
2がジフルオロメチル部分またはトリフルオロメチル部分である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R
3がメトキシメチル、[(
2H
3)メチルオキシ]メチル、メトキシ(
2H
2)メチルまたは[(
2H
3)メチルオキシ](
2H
2)メチル部分である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
1がn-プロピル、2,2-ジフルオロプロピルまたは2,2,2-トリフルオロエチル部分であり;
R
2がジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル部分であり;
R
3がメトキシメチル、[(
2H
3)メトキシ]メチル、[(
2H
3)メトキシ](
2H
2)メチルまたはメトキシ(
2H
2)メチル部分である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
・(+)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン;
・(-)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン;
・(+)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン;
・(-)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン.
・(+)-3-[[2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン
・(-)-3-[[2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン
・(+)-3-[[2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン
・(-)-3-[[2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン
・(+)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン
・(-)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン
・(+)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン
・(-)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン
・(-)-5-(2,2-ジフルオロプロピル)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]オキサゾリジン-2-オン
・(+)-5-(2,2-ジフルオロプロピル)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]オキサゾリジン-2-オン
・3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2-ジフルオロプロピル)オキサゾリジン-2-オン、エナンチオマー1
・3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2-ジフルオロプロピル)オキサゾリジン-2-オン、エナンチオマー2
を含む群から選択される請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
医薬品として使用するための請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
有効量の請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物を薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項11】
てんかん、てんかん発生、発作障害、痙攣、特に難治性発作の治療に使用するための請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-オキソ-1,3-オキサゾリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体、これらを調製する方法、これらを含有する医薬組成物、および医薬品としてのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発作制御における永続的な問題は、現在利用可能な治療に全く反応しない、または不十分にしか反応しない患者で生じる。これらの患者は治療に対して難治性とみなされており、医学界にとって大きな課題となっている。てんかん患者の約30%が難治性として分類されると推定されている。このため、特にこの患者集団を標的とする新たな医薬品を開発する必要がある。
【0003】
式(A)の抗てんかん化合物は、国際公開第2008/132139号パンフレットに開示されている:
【化1】
(式中、
YはOまたはSであり;
R
1は水素またはC
1~6アルキルであり;
R
2は水素であり;
R
3は-CONR
5R
6、-COR
7、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリダジニルであり;
R
5、R
6は同じであるかまたは異なり、水素およびC
1~6アルキルから独立に選択され;
R
7はC
1~6アルキルであり;
Zはイミダゾリジン-1-イル、1,3-オキサゾリジン-3-イル、2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル、1,3-チアゾール-3(2H)-イル、1,3-チアゾリジン-3-イル、ピペリジン-1-イル、アゼパン-1-イル、5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[3,2-b]ピロール-4-イル、ヘキサヒドロ-4H-チエノ[3,2-b]ピロール-4-イル、2,3-ジヒドロ-1H-チエノ[3,4-b]ピロール-1-イル、1,3-ベンゾチアゾール-3(2H)-イル、1,3-ベンゾオキサゾール-3(2H)-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-1(2H)-イル、3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル、3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル、1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-2-ベンザゼピン-2-イル、1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンザゼピン-3-イルからなる群から選択される単環式または二環式複素環式部分である)。
【0004】
国際公開第2008/132139号パンフレットの具体的な実施形態では、式(A)のZ=Y部分が:
【化2】
(式中、XはOまたはSである)
であり得る。
【0005】
式(I)の抗てんかん化合物は、国際公開第2011/047860号パンフレットに開示されている:式(I)による2-オキソ-1-ピロリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体
【化3】
(式中、
R
1は少なくとも1つのハロゲン置換基を含有するC
1~4アルキルであり;
R
2はハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)または少なくとも1つのハロゲン置換基を含有するC
1~4アルキルのいずれかであり;
R
3は少なくとも1つのヒドロキシ(OH)またはアルコキシ(例えば、メトキシもしくはエトキシもしくはプロポキシ)置換基を含有するC
1~4アルキル(例えば、メチルもしくはエチル)である)。
【0006】
式(I)の抗てんかん化合物は、国際公開第2012/143116号パンフレットに開示されている:式(I)による4-オキソ-1-イミダゾリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体
【化4】
(式中、
R
1は、場合により1つもしくは複数(1~6、好ましくは2、3もしくは5つ)のハロゲン、置換もしくは非置換フェニル、または置換もしくは非置換C
1~4シクロアルキルによって置換されたC
1~4アルキルであり;
R
2は、ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)、または1つもしくは複数(すなわち、1、2、または3つ)のハロゲン置換基を含有するC
1~4アルキルのいずれかであり;
R
3は、少なくとも1つのヒドロキシ(OH)またはアルコキシ(例えば、メトキシもしくはエトキシもしくはプロポキシ)置換基を含有するC
1~4アルキル(例えば、メチルもしくはエチル)である)。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、式(I)を有する新たな2-オキソ-1,3-オキサゾリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体および混合物、またはこれらの薬学的に許容される塩
【化5】
を提供する。
【0008】
本発明のさらなる態様は、詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、式(I)による2-オキソ-1,3-オキサゾリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体
【化6】
(式中、
R
1は場合により1つまたは複数のハロゲン置換基によって置換されたC
1~4アルキルであり;
R
2はハロゲン原子または場合により1つもしくは複数のハロゲン原子によって置換されたC
1~4アルキルであり;
R
3はアルコキシ置換基によって置換されたC
1~4アルキルである)
に関する。
【0010】
式(I)の化合物の互変異性体、幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、同位体および混合物、または薬学的に許容される塩ならびに任意の重水素化変異体も含まれる。
【0011】
具体的な実施形態では、R1がi-ブチル、n-プロピル、2,2-ジフルオロプロピル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチルまたは2-フルオロエチル部分である。
【0012】
より具体的な実施形態では、R1がn-プロピル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロプロピルまたは2,2,2-トリフルオロエチル部分である。
【0013】
好ましくは、R1が2,2-ジフルオロプロピル、2,2,2-トリフルオロエチルまたはn-プロピル部分である。
【0014】
さらなる具体的な実施形態では、R2が塩素原子、ジフルオロメチル部分またはトリフルオロメチル部分である。
【0015】
好ましい実施形態では、R2がジフルオロメチル部分またはトリフルオロメチル部分である。
【0016】
さらなる具体的な実施形態では、R3がメトキシメチル、[(2H3)メチルオキシ]メチル、メトキシ(2H2)メチルまたは[(2H3)メチルオキシ](2H2)メチル部分である。
【0017】
好ましい実施形態では、R3がメトキシメチル部分である。
【0018】
さらなる具体的な実施形態では、式(I)の化合物が、
・R1がn-プロピル部分、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロプロピルまたは2,2,2-トリフルオロエチル部分であり;
・R2が塩素原子、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル部分であり;
・R3がメトキシメチル、[(2H3)メチルオキシ]メチル、メトキシ(2H2)メチルまたは[(2H3)メチルオキシ](2H2)メチル部分である
化合物である。
【0019】
さらなる具体的な実施形態では、式(I)の化合物が、
・R1がn-プロピル部分;2,2-ジフルオロプロピルまたは2,2,2-トリフルオロエチル部分であり;
・R2がジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル部分であり;
・R3がメトキシメチル、[(2H3)メチルオキシ]メチル、メトキシ(2H2)メチルまたは[(2H3)メチルオキシ](2H2)メチル部分である
化合物である。
【0020】
好ましい実施形態では、式(I)の化合物が、
・R1がn-プロピル部分;2,2-ジフルオロプロピルまたは2,2,2-トリフルオロエチル部分であり;
・R2がジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル部分であり;
・R3がメトキシメチル部分である
化合物である。
【0021】
本発明の具体的な化合物は、以下からなる群から選択されるものである:
・(+)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン;
・(-)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン;
・(+)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン;
・(-)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン;
・(+)-3-[[2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン;
・(-)-3-[[2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン;
・(+)-3-[[2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン;
・(-)-3-[[2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン;
・(+)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン;
・(-)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン;
・(+)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン;
・(-)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン;
・(-)-5-(2,2-ジフルオロプロピル)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]オキサゾリジン-2-オン;
・(+)-5-(2,2-ジフルオロプロピル)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]オキサゾリジン-2-オン;
・3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2-ジフルオロプロピル)オキサゾリジン-2-オン、エナンチオマー1;
・3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2-ジフルオロプロピル)オキサゾリジン-2-オン、エナンチオマー2。
【0022】
本発明の化合物は、てんかん、てんかん発生、発作障害、痙攣、特に難治性発作の治療における医薬品として使用するためのものである。
【0023】
以下の段落は、本発明による化合物を構成する種々の化学部分の定義を提供し、特に明示的に述べられる定義がより広い定義を提供しない限り、明細書および特許請求の全体を通して均一に適用されることを意図している。
【0024】
「C1~4アルキル」は、1~4個の炭素原子を有するアルキル基を指す。この用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどの基によって例示される。「C1~4アルキル」基は、ハロゲンまたはアルコキシから選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよい。
【0025】
式(I)の任意の部分「H」は、同位体水素、重水素またはトリチウムであり得る。
【0026】
「アルコキシ」は、基-O-R(式中、Rは「C1~4アルキル」を含む)を指す。
【0027】
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード原子、好ましくはフルオロおよびクロロを指す。
【0028】
本発明による「薬学的に許容される塩」には、式(I)の化合物が形成することができる治療活性で非毒性の酸または塩基の塩形態が含まれる。
【0029】
塩基として遊離形態で生じる式(I)の化合物の酸付加塩形態は、遊離塩基を無機酸、例えば、塩酸もしくは臭化水素酸塩などのハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など;または、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サイクラミン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、パモ酸などの有機酸などの適切な酸で処理することによって得ることができる。
【0030】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物を、適切な有機および無機塩基で処理することによって、治療活性で非毒性の塩基付加塩形態、例えば金属またはアミン塩に変換することができる。適切な塩基塩形態には、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばN-メチル-D-グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびに例えばアルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩が含まれる。
【0031】
逆に、前記塩形態を、適切な塩基または酸で処理することによって、遊離形態に変換することができる。
【0032】
式(I)の化合物およびその塩は、溶媒和物の形態であり得、これは本発明の範囲内に含まれる。このような溶媒和物には、例えば、水和物、アルコラートなどが含まれる。
【0033】
式(I)の化合物および/またはその中間体は、その構造中に少なくとも1つの立体中心を有し得る。この立体中心は、RまたはS配置で存在し得、前記RおよびS表記は、Pure Appl.Chem.、45(1976)11~30に記載されるルールに対応して使用される。よって、本発明はまた、式(I)の化合物のエナンチオマーおよびジアステレオ異性体形態またはこれらの混合物(立体異性体の全ての可能な混合物を含む)などの全ての立体異性体形態に関する。本発明に関して、1つまたは複数の化合物への言及は、特定の異性体形態が具体的に言及されない限り、その可能な異性体形態の各々の化合物およびその混合物を包含することを意図している。本明細書で使用される「エナンチオマー的に純粋」という表現は、95%超のエナンチオマー過剰率(ee)を有する化合物を指す。
【0034】
本発明による化合物は、様々な多形形態で存在し得る。上記式では明示的に示されていないが、このような形態は本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0035】
本発明による式(I)の化合物は、合成有機化学の当業者によって理解される従来の方法と同様に調製することができる。
【0036】
一実施形態によると、一般式(I)を有する化合物は、式:
【化7】
(式中、R
1、R
2およびR
3は、式(I)の化合物について上に定義されるのと同じ定義を有する)
に従って、式(II)の化合物と式(III)の尿素の反応によって調製することができる。
【0037】
この反応は、高温で、スルホランなどの非プロトン性溶媒中、p-トルエンスルホン酸などの酸を使用して実施することができる。
【0038】
式(II)の化合物は、式:
【化8】
(式中、R
2およびR
3は、式(I)の化合物について上に定義されるのと同じ定義を有する)
に従って、式(IV)の化合物のヒドロキシメチル化によって調製することができる。
【0039】
この反応は、100℃で、ジオキサンなどの極性溶媒中、酸性条件下で、パラホルムアルデヒドなどのホルミル化剤を使用して、または当業者に知られている他の方法に従って、実施することができる。
【0040】
式(IV)の化合物は、式:
【化9】
(式中、R
2およびR
3は、式(I)の化合物について上に記載されるのと同じ定義を有する)
に従って、式(V)の化合物と式(VI)のブロモ誘導体の反応によって合成することができる。
【0041】
この反応は、文献に記載される手順または当業者に知られている手順を使用して実施することができる。
【0042】
式(V)の化合物および式(VI)の化合物は、市販されている、または当業者に知られている任意の方法に従って合成することができる。
【0043】
一実施形態によると、式(III)の化合物は、式:
【化10】
に従って、式(VII)の化合物の環化によって調製することができる。
【0044】
この反応は、室温で、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、テトラヒドロフランなどの極性溶媒中、1,1’-カルボニルジイミダゾールを使用して、または当業者に知られている手順を使用して実施することができる。
【0045】
式(VII)の化合物は、式
【化11】
(式中、R
1は上に定義されるのと同じ定義を有する)
に従って、式(VIII)の化合物の還元によって調製することができる。
【0046】
この反応は、それだけに限らないが、エタノールなどの極性溶媒中、パラジウム炭などの触媒の存在下、水素などの還元剤を使用して、または当業者に知られている他の手順によって実施することができる。
【0047】
式(VIII)の化合物は、当業者に知られている任意の反応順序に従って、市販のアルデヒドまたはアルコール(式中、R1は、上に定義されるのと同じ定義を有する)から出発して調製することができる。
【0048】
本発明の化合物は、てんかん、てんかん発生、発作障害、痙攣、特に難治性発作の治療における医薬品として使用するためのものである。
【0049】
患者が12ヶ月以上の最大耐量の2つ以上の抗てんかん薬物による先行技術の治療で発作からの解放を達成できない場合、発作は難治性として分類され得る。国際抗てんかん連盟(ILAE)は、薬剤耐性てんかんを、「持続的な発作からの解放を達成するための2つの耐容性があり、適切に選択および使用されたAEDスケジュール(単剤療法または併用)の十分な試験の失敗」と定義している。
【0050】
本発明の方法は、障害または状態を緩和または予防するのに十分な量の本発明による化合物を上記の状態または障害を患っている哺乳動物(好ましくは、ヒト)に投与することを含む。
【0051】
化合物は、それだけに限らないが、1単位剤形当たり1~2000mg、好ましくは1~1000mg、より好ましくは1~500mgの有効成分を含有するものを含む、任意の適切な単位剤形で都合よく投与される。
【0052】
本明細書で使用される「治療」という用語は、治癒的治療および予防的治療を含む。
【0053】
「治癒的」とは、障害または状態の現在の症候性エピソードの治療における有効性を意味する。
【0054】
「予防的」とは、障害または状態の発生または再発の予防を意味する。
【0055】
本明細書で使用される「てんかん」という用語は、非誘発性再発性てんかん発作を特徴とする慢性神経学的状態を指す。てんかん発作は、一連の脳ニューロンの異常で過剰な同期化放電の発現であり;その臨床症状は突然で一過性である。本明細書で使用される「てんかん」という用語はまた、発作の周期的な発生を特徴とする脳機能の障害も指し得る。発作は、高熱もしくは毒素への曝露などの条件によって正常な脳で誘発されると「非てんかん性」になり得る、または明らかな誘発なしに誘発されると「てんかん性」になり得る。
【0056】
本明細書で使用される「発作」という用語は、脳ニューロンの集団の不規則な、同期的、および律動的な発火による挙動の一過的変化を指す。
【0057】
本発明のさらなる態様は、有効量の式(I)の化合物を薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて含む医薬組成物に関する。
【0058】
上記の適応症のいずれかにおける活性は、当然、一般に特定の適応症についておよび/または臨床試験の設計において当業者に知られている方法で適切な臨床試験を実施することによって決定することができる。
【0059】
疾患を治療するために、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、有効な1日投与量で使用され、医薬組成物の形態で投与され得る。
【0060】
したがって、本発明の別の実施形態は、有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて含む医薬組成物に関する。
【0061】
本発明による医薬組成物を調製するために、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の1つまたは複数を、当業者に知られている従来の医薬配合技術に従って医薬希釈剤または担体と密接に混和する。
【0062】
適切な希釈剤および担体は、所望の投与経路、例えば、経口、直腸、非経口または鼻腔内に応じて多種多様な形態をとることができる。
【0063】
本発明による化合物を含む医薬組成物は、例えば、経口、非経口、すなわち、静脈内、筋肉内または皮下、くも膜下腔内、経皮(パッチ)、吸入または鼻腔内投与することができる。
【0064】
経口投与に適した医薬組成物は、固体または液体であり得、例えば、錠剤、丸剤、糖衣錠、ゼラチンカプセル、液剤、シロップ、チューインガムなどの形態であり得る。
【0065】
この目的のために、有効成分を、デンプンまたはラクトースなどの不活性希釈剤または非毒性の薬学的に許容される担体と混合してもよい。場合により、これらの医薬組成物は、微結晶セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンなどの結合剤、アルギン酸などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤、スクロースもしくはサッカリンなどの甘味剤、または着色剤、またはペパーミントもしくはサリチル酸メチルなどの香味剤を含有することもできる。
【0066】
本発明は、制御された方法で活性物質を放出することができる組成物も企図する。
【0067】
非経口投与に使用することができる医薬組成物は、アンプル、使い捨て注射器、ガラスもしくはプラスチックのバイアルまたは注入容器に一般的に含有される水性または油性の溶液または懸濁液などの従来の形態である。
【0068】
有効成分に加えて、これらの溶液または懸濁液は、場合により注射用水、生理食塩水、油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈剤、ベンジルアルコールなどの抗菌剤、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの浸透圧調整剤も含有することができる。
【0069】
これらの医薬形態は、薬剤師が日常的に使用している方法を使用して調製される。
【0070】
医薬組成物中の有効成分の量は、広範囲の濃度内に入ることができ、患者の性別、年齢、体重および病状、ならびに投与方法などの種々の因子に依存する。したがって、経口投与用の組成物中の式(I)の化合物の量は、組成物の総重量に対して少なくとも0.5重量%であり、最大80重量%となり得る。
【0071】
本発明によると、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、単独でまたは他の医薬有効成分と組み合わせて投与することができることも見出された。本発明による化合物と組み合わせて使用するために挙げることができるこのような追加の化合物の非限定的な例には、抗ウイルス薬、鎮痙薬(例えば、バクロフェン)、制吐薬、抗躁気分安定剤、鎮痛薬(例えば、アスピリン、イブプロフェン、パラセタモール)、麻薬性鎮痛薬、局所麻酔薬、オピオイド鎮痛薬、リチウム塩、抗うつ薬(例えば、ミアンセリン、フルオキセチン、トラゾドン)、三環系抗うつ薬(例えば、イミプラミン、デシプラミン)、抗痙攣薬(例えば、バルプロ酸、カルバマゼピン、フェニトイン)、統合失調症治療薬(例えば、リスペリドン、ハロペリドール)、神経遮断薬、ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパム、クロナゼパム)、フェノチアジン(例えば、クロルプロマジン)、カルシウムチャネル遮断薬、アンフェタミン、クロニジン、リドカイン、メキシレチン、カプサイシン、カフェイン、クエチアピン、セロトニン拮抗薬、β遮断薬、抗不整脈薬、トリプタン、麦角誘導体およびアマンタジンがある。
【0072】
経口組成物の場合、1日投与量は1mg~2000mgの式(I)の化合物の範囲である。好ましくは、1mg~1000mgの式(I)の化合物、最も好ましくは1mg~500mgの範囲である。
【0073】
非経口投与用の組成物では、存在する式(I)の化合物の量は、組成物の総重量に対して少なくとも0.5重量%であり、最大33重量%となり得る。好ましい非経口組成物の場合、投与単位は、1mg~2000mgの式(I)の化合物の範囲である。
【0074】
1日用量は、式(I)の化合物の広範な投与単位の範囲内に入ることができ、一般に1~2000mg、好ましくは1~1000mgの範囲である。しかしながら、具体的な用量は、医師の裁量で、個々の要件に応じて特定の症例に適合させることができることを理解すべきである。
【0075】
本発明によって提供されるSV2タンパク質結合化合物およびその標識化誘導体は、試験化合物(例えば、潜在的な医薬品)がSV2タンパク質に結合する能力を決定する際の標準および試薬として有用となり得る。
【0076】
本発明によって提供されるSV2タンパク質のリガンドの標識化誘導体は、ポジトロン放射断層撮影(PET)画像化または単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)用の放射性トレーサーとしても有用となり得る。
【0077】
したがって、本発明は、SV2タンパク質へのより強力な結合に基づいて、潜在的医薬品を発見するため、特に本明細書に示される状態を治療および予防するため、組織のSV2タンパク質を局在化するため、ならびに精製SV2タンパク質を特徴付けるための化学ライブラリーをスクリーニングするためのツールとしての標識化リガンドをさらに提供する。SV2タンパク質にはSV2A、SV2BおよびSV2Cが含まれ、SV2Aは抗発作薬レベチラセタムおよびその類似体の結合部位である。SV2アイソフォームSV2A、SV2BまたはSV2Cは、ヒト、ラットまたはマウスを含むいずれかの哺乳動物種の組織、特に脳に由来し得る。あるいは、アイソフォームは、異種的に発現され、アッセイに使用される、ヒト、ラットおよびマウスを含むいずれかの哺乳動物種のクローン化バージョンであり得る。スクリーニング方法は、哺乳動物またはヒトの脳膜などの脳膜、またはSV2タンパク質もしくはその断片、特にSV2AおよびSV2Cを発現するがSV2Bを含む細胞株を、推定薬剤に曝露し、膜またはタンパク質もしくは断片および薬剤を式(I)の標識化合物とインキュベートすることを含む。この方法は、式(I)の化合物とタンパク質の結合が推定薬剤によって阻害されるかどうかを決定し、それによってタンパク質の結合パートナーを特定することをさらに含む。したがって、スクリーニングアッセイにより、SV2タンパク質と相互作用する新たな薬物または化合物の特定が可能になる。本発明はまた、SV2タンパク質の光活性化可能なリガンドを提供する。
【0078】
標識化リガンドを、可溶化、精製およびクロマトグラフィー後のSV2タンパク質の立体構造状態を評価するためのツールとして使用することもできる。標識化リガンドは、直接的または間接的に標識化され得る。適切な標識の例としては、3Hなどの放射性標識、蛍光標識、酵素、ユーロピウム、ビオチン、およびこの種のアッセイのための他の従来の標識が含まれる。
【0079】
式(I)の標識化合物は、SV2タンパク質(SV2A、SV2BおよびSV2C)に結合する新たな化合物または薬剤をスクリーニングするためのアッセイのプローブとして、この方法で有用である。このようなアッセイの実施形態では、リガンドを修飾なしで使用することができる、または種々の方法で;例えば、検出可能なシグナルを直接的もしくは間接的に提供する部分を共有結合的もしくは非共有結合的に結合するなどの標識化によって修飾することができる。これらのアッセイのいずれにおいても、材料を直接的または間接的に標識化することができる。直接的標識化の可能性には、それだけに限らないが、[3H]、[14C]、[32P]、[35S]または[125I]を含む放射標識、ペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼなどの酵素、ならびにそれだけに限らないが、フルオレセインまたはローダミンを含む蛍光強度、波長シフトまたは蛍光偏光の変化を監視することができる蛍光標識などの標識群が含まれる。間接的標識化の可能性には、1つの成分のビオチン化と、それに続く上記の標識群の1つに結合したアビジンとの結合、または抗リガンド抗体の使用が含まれる。化合物はまた、化合物が固体支持体に付着される場合のスペーサーまたはリンカーを含んでもよい。SV2タンパク質(特にSV2AおよびSV2C)への結合に関して本発明による標識化リガンドと競合または相互作用する薬剤または化合物を特定するために、SV2AもしくはSV2CまたはSV2タンパク質全体もしくはその断片を含有するインタクトな細胞、細胞または膜断片を使用することができる。薬剤または化合物を、標識化レベチラセタムまたはその類似体もしくは誘導体とのインキュベーションの前、これと同時、またはこの後に、細胞、膜、SV2タンパク質または断片とインキュベートすることができる。アッセイは、レベチラセタムの結合またはその誘導体もしくは類似体とSV2タンパク質またはその断片の結合を監視するハイスループットスクリーニング(HTS)アッセイを含む、いずれかの利用可能な形式で修飾または調製することができる。化合物のライブラリーを試験する多くの薬物スクリーニングプログラムでは、所与の期間に調査する化合物の数を最大化するために、ハイスループットアッセイが望ましい。このようなスクリーニングアッセイは、SV2を含有するインタクトな細胞、細胞または膜断片、ならびに精製または半精製タンパク質から誘導され得るような無細胞または無膜系を使用してもよい。SV2または精製SV2タンパク質およびペプチドを含有する膜断片を用いたアッセイの利点は、試験化合物の細胞毒性および/または生物学的利用能の効果を一般に無視することができ、代わりに、アッセイが主に、例えば、2つの分子間の結合の阻害に現れ得るような分子標的に対する薬物の効果に焦点を合わせることができることである。アッセイを、試験薬剤または化合物が、本発明による標識化リガンドとSV2もしくはSV2の断片の結合、または標識化レベチラセタムもしくはその誘導体もしくは類似体とSV2もしくはSV2タンパク質の断片の結合を阻害する能力を検出するように組み立てることができる。複合体形成の阻害は、濾過アッセイ、Flashplates(Perkin Elmer)、シンチレーション近接アッセイ(SPA、GE)などの種々の技術によって検出することができる。ハイスループットスクリーニング(HTS)の場合、生体膜でコーティングされたマイクロスフェアまたは生体膜でコーティングされたフラッシュプレートを使用するシンチレーション近接アッセイが、分離または洗浄ステップを必要としない強力な方法である。
【0080】
治療に使用するための化合物を開発する際に直面する可能性のある課題は、本発明の化合物(犠牲薬物)と一緒に同時投与され得る一定の化合物(加害薬物)が、CYP450酵素、特にCYP3A4/5を誘導する能力である。加害薬物によるこのような酵素の誘導は、犠牲薬物の曝露に影響を及ぼし、主にCYP450酵素、特にCYP3A4/5によって代謝されると、それによってその有効性プロファイルを潜在的に変化させ得る。したがって、CYP3A4/5酵素による代謝の可能性が限られている化合物を開発することが望ましい。
【0081】
本発明による化合物の総代謝に対するCYP3A4/5の寄与は、アザムリンなどの選択的CYP3A4/5阻害剤の非存在下と存在下でのヒト肝細胞クリアランス間の比を計算することによって評価された。
【0082】
本特許出願に記載されるプロトコルに従ってこのアッセイで試験すると、本発明による化合物は、典型的には40%未満のCYP3A4/5によって代謝される画分(Fm,CYP3A4/5)を示し、したがってCYP450誘導剤と同時投与した場合の薬物-薬物相互作用のリスクを最小限に抑える。
【0083】
実験節
略語/再現試薬
Ac:アセチル
ACN:アセトニトリル
食塩水:飽和塩化ナトリウム水溶液
nBu:n-ブチル
tBu:tert-ブチル
Bz:ベンゾイル
CV:カラム体積
DCM:ジクロロメタン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
Et:エチル
EtOH:エタノール
Et2O:ジエチルエーテル
EtOAc:酢酸エチル
h:時間
HPLC:高圧液体クロマトグラフィー
LC:液体クロマトグラフィー
LCMS:液体クロマトグラフィー質量分析
MeOH:メタノール
min.:分
NMR:核磁気共鳴
iPrOH:イソプロパノール
PTSA:p-トルエンスルホン酸
RT:室温
SFC:超臨界流体クロマトグラフィー
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
【0084】
本出願では、化合物のIUPAC名(またはAccelerys Draw 4.0から生成された名称)が言及されている。
【0085】
分析方法
空気または水分に敏感な試薬を含む全ての反応は、乾燥溶媒およびガラス器具を使用して、窒素またはアルゴン雰囲気下で実施した。マイクロ波照射を必要とする実験は、オペレーティングソフトウェアのバージョン2.0でアップグレードされたBiotage Initiator Sixty電子レンジで実施する。実験は可能な限り速く必要な温度に到達するよう実行する(最大照射電力:400W、外部冷却なし)。市販の溶媒および試薬は一般に、さらに精製することなく使用し、適切な場合は無水溶媒(一般的にはAldrich Chemical Company製のSure-Seal(商標)製品またはACROS Organics製のAcroSeal(商標))を含む。一般に、反応に引き続いて薄層クロマトグラフィー、HPLCまたは質量分析を行った。
【0086】
HPLC分析は、Waters XBridge MS C18、5pm、150×4.6mmカラムを取り付けたAgilent 1100シリーズHPLCシステムを使用して実施する。勾配は、6分間で100%溶媒A(水/ACN/ギ酸アンモニウム溶液85/5/10(v/v/v))から100%溶媒B(水/ACN/ギ酸アンモニウム溶液5/85/10(v/v/v)、100%Bで5分間保持して実行する。流量は6分間8mL/分に設定し、次いで、2分間3mL/分に増加させ、3分間3mL/分で保持する。APIソースの直前に1/25の分割を使用する。クロマトグラフィーは45℃で実施する。ギ酸アンモニウム溶液(pH約8.5)は、ギ酸アンモニウム(630mg)を水(1L)に溶解し、水酸化アンモニウム30%(500μL)を添加して調製する。
【0087】
異なる分析条件を使用する場合、LCデータについて異なる保持時間が得られる可能性があることは、当業者に明らかであるだろう。
【0088】
LCMSモードでの質量分析測定は以下の通り実施する:
-塩基性溶出の場合、以下を使用して分析を実施する:
QDA Watersの単純な四重極質量分析計をLCMS分析に使用する。この分光計は、ESI源およびダイオードアレイ検出器(200~400nm)を備えたUPLC Acquity Hclassを装備している。データは、塩基性溶出のポジティブモードでm/z70~800のフルMSスキャンで取得する。塩基性溶出については、Waters Acquity UPLC BEHC18 1.7μm(2.1×50mm)カラムで逆相分離を45℃で実施する。勾配溶出は、水/ACN/ギ酸アンモニウム(95/5/63mg/L)(溶媒A)およびACN/水/ギ酸アンモニウム(95/5/63mg/L)(溶媒B)を使用して行う。注入量:1μL。MSの全流量。
塩基性プログラム「4分」
【表1】
塩基性プログラム「10分」
【表2】
【0089】
-酸性溶出の場合、以下を使用して分析を実施する:
QDA Watersの単純な四重極質量分析計をLCMS分析に使用する。この分光計は、ESI源およびダイオードアレイ検出器(200~400nm)を備えたUPLC Acquity Hclassを装備している。データは、酸性溶出のポジティブモードでm/z70~800のフルMSスキャンで取得する。酸性溶出については、Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μm(2.1×50mm)カラムで逆相分離を45℃で実施する。勾配溶出は、水/ACN/TFA(95/5/0.5mL/L)(溶媒A)およびACN(溶媒B)を使用して行う。注入量:1μL。MSの全流量。
酸性プログラム「4分」
【表3】
酸性プログラム「10分」
【表4】
【0090】
粗物質は、順相クロマトグラフィー(酸性もしくは塩基性)逆相クロマトグラフィー、キラル分離または再結晶によって精製することができた。
【0091】
通常の逆相クロマトグラフィーは、シリカゲルカラム(100:200メッシュシリカゲルまたはInterchim製のPuriflash(登録商標)-50SIHC-JPカラム)を使用して実施する。
【0092】
分取逆相クロマトグラフィーは以下の通り実施する:
-SQDまたはQM Watersトリプル四重極質量分析計を使用したLCMS精製(塩基性モード、LCMS prep)をLCMS精製に使用する。この分光計は、ESI源およびダイオードアレイ検出器(210~400nm)を備えたPrep LCコントローラーWatersクォータナリポンプを装備している。
【0093】
MSパラメータ:ESIキャピラリー電圧3kV。コーンおよび抽出器電圧10。ソースブロック温度120℃。脱溶媒和温度300℃。コーンガス流30L/時間(窒素)、脱溶媒ガス流650L/時間。データは、酸性または塩基性溶出のポジティブモードでm/z100~700のフルMSスキャンで取得する。
【0094】
LCパラメータ:逆相分離は、XBridge prep OBD C18カラム(5μm、30×50mm)(塩基性溶出)でrtで実施する。勾配溶出は、水(溶媒A)、ACN(溶媒B)、水中重炭酸アンモニウム8g/L+500μL/L NH
4OH30%(溶媒C)(pH約8.5)を使用して行う。HPLC流量:35mL/分~60mL/分、注入量:1mL。分割比をMSに対して+/-1/6000に設定する。
【表5】
【0095】
360mL/分で低級アルコールとC5~C8の直鎖、分岐または環状アルカンの種々の混合物により液相クロマトグラフィーまたは超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)機器を使用して、分取キラルクロマトグラフィー分離を実施する。溶媒混合物ならびにカラムについては、個々の手順で記載する。
【0096】
生成物は一般的に、最終分析および生物学的試験を受けさせる前に真空下で乾燥させた。
【0097】
NMRスペクトルは、Topspin 3.2ソフトウェアを実行するWindows 7 Professionalワークステーションおよび5mm Double Resonance Broadband Probe(PABBI 1H/19F-BB Z-GRD Z82021/0075)または1mm Triple Resonance Probe(PATXI 1H/D-13C/15N Z-GRD Z868301/004)を搭載したBRUKER AVANCEIII 400MHz-Ultrashield NMR分光計で記録する。化合物を、プローブ温度300Kおよび濃度10mg/mLで、DMSO-d6またはCDCl3溶液で試験した。機器をDMSO-d6またはCDCl3の重水素シグナルでロックする。化学シフトを、内部標準として使用されるTMS(テトラメチルシラン)からのppm低磁場で示す。
【0098】
旋光度([α]D)は、キュベット(l=1dm)内でPERKIN-ELMER偏光計341で、10mg/mLの濃度で、具体例に記載される温度で、589nm(ナトリウムランプ)で測定した。
【0099】
以下の例は、式(I)によって網羅される化合物をどのように合成できるかを示す。これらは、例示の目的のためだけに提供されており、いかなる形でも本発明を限定するものとして意図されておらず、また解釈されるべきではない。当業者は、本発明の精神または範囲を超えることなく、以下の例の日常的な変更および修正を行うことができることを理解するであろう。
【0100】
例1.(+)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン1および(-)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン2の合成
【化12】
1.1 1-ニトロペンタン-2-オールIの合成
ニトロメタン(95mL)中ブチルアルデヒド(CAS:123-72-8、1当量、5.0g、69.3mmol)と炭酸カリウム(1当量、9.68g、69.3mmol)の混合物を50℃で5時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、酢酸エチルを添加した(100mL)。有機層を水で洗浄し(2回)、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して褐色油を得た。粗混合物をフラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(12CVで100%ジクロロメタンを使用する100g KP-SNAPシリカゲルカラム)によって精製し、純粋な画分を蒸発乾固すると、1-ニトロペンタン-2-オールI(4.7g、35.0mmol)が無色油として得られた。
収率:51%
【数1】
【0101】
1.2 1-アミノペンタン-2-オールIIの合成
1-ニトロペンタン-2-オールI(1当量、200mg、1.5mmol)のエタノール(8mL)中溶液を、H-Cube反応器内H
2圧力(50bar)下、50℃で、10%Pd/Cカートリッジで、1時間水素化した(流量:1mL/分、7.5サイクル)。粗混合物を蒸発乾固し、高真空下で乾燥さると、1-アミノペンタン-2-オールII(140mg、1.22mmol)が無色油として得られた。得られた粗化合物をさらに精製することなく次のステップに直接使用した。
収率:81%
【数2】
【0102】
1.3 5-プロピルオキサゾリジン-2-オンIIIの合成
1-アミノペンタン-2-オールII(1当量、1.0g、9.2mmol)および1,1’-カルボニルジイミダゾール(1当量、1.6g、9.7mmol)のTHF(20mL)中溶液に、水素化ナトリウム(0.1当量、23mg、0.92mmol)を添加し、混合物を25℃で24時間撹拌した。酢酸エチルおよび水を反応混合物に添加し、水層を酢酸エチルで抽出し(2回)、水および食塩水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して黄色油を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(10CVでジクロロメタン中0%~10%メタノールの勾配の50g KP-SNAPシリカゲルカラム)によって精製し、純粋な画分を蒸発乾固すると、5-プロピルオキサゾリジン-2-オンIII(990mg、7.59mmol)が白色固体として得られた。
収率:82%
【数3】
【0103】
1.4 [2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVの合成
密封管内で、2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールIV(CAS:1294001-16-3、特許出願、国際公開第2012/143117号パンフレット、1当量、2.0g、8.4mmol)、パラホルムアルデヒド(6.0当量、1.52g、50.6mmol)および塩酸の水溶液(2N)(1.0当量、4.2mL、8.4mmol)を1,4-ジオキサン(4mL)中で混合した。混合物を100℃で18時間撹拌し、反応をLC/MSによって確認した。粗混合物をRTに冷却し、NaHCO
3の飽和水溶液をpH=6~7になるまで添加した。水層を酢酸エチルで抽出し(3回)、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(15CVでジクロロメタン中0%~10%メタノールの勾配の100g KP-SNAPシリカゲルカラム)によって精製すると、[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノール(1.06g、3.5mmol)Vがベージュ色固体として得られた。化合物をさらに精製することなく次のステップに直接使用した。
収率:41%
【数4】
【0104】
1.5 (+)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン1および(-)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン2の合成
スルホラン(3mL)中[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールV(1当量、200mg、0.74mmol)と5-プロピルオキサゾリジン-2-オンIII(2当量、190mg、1.48mmol)の混合物に、p-トルエンスルホン酸一水和物(1当量、152mg、0.74mmol)を添加し、混合物を110℃で16時間撹拌した。粗混合物を逆相分取HPLC(塩基性条件)によって直接精製してベージュ色固体(ラセミ体155mg)を得て、これをキラルSFC(Phase WhelkO1(R,R)、50x227mm/CO
2/EtOH共溶媒20%/30℃/360mL/分)によって精製した。最も純粋な画分を蒸発乾固すると、(+)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン1(最初に溶出、56mg、0.15mmol)および(-)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン2(2番目に溶出、56mg、0.15mmol)が無色油として得られた。
収率:20%
【数5】
α-D(1、MeOH、10mg/mL、26.5℃)=+27.0
α-D(2、MeOH、10mg/mL、26.5℃)=-26.2
【0105】
例2.(+)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン3および(-)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン4
【化13】
1.5 6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1b][1,3,4]チアジアゾールVIIの合成
5-(メトキシメチル)-1,3,4-チアジアゾール-2-アミンVI(CAS:15884-86-3、1.0当量、6.5g、45mmol)のDMF(100mL)中溶液、100℃に、3-ブロモ-1,1-ジフルオロ-プロパン-2-オン(CAS:883233-85-0、1.05当量、8.1g、47mmol)のDMF(5mL)中溶液を滴加した。反応混合物を100℃で3時間加熱し、完了をLC/MSによって確認した。飽和NaHCO
3水溶液を添加し、有機層を酢酸エチルで抽出した(3回)。合わせた有機層を水で洗浄し(5回)、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して茶色固体(7.6g)を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(12CVでジクロロメタン中0%~5%メタノールの勾配の100g KP-SNAPシリカゲルカラム)によって精製し、純粋な画分を高真空下で蒸発させると、6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールVII(3.95g、17.8mmol)がオレンジ色固体として得られた。
収率:40%
【数6】
【0106】
1.6 [6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVIIIの合成
密封管内で、6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールVII(1.0当量、3.95g、18.0mmol)、パラホルムアルデヒド(6.0当量、3.24g、108mmol)および塩酸水溶液(2N)(0.9当量、8.1mL、16.2mmol)を1,4-ジオキサン(8mL)中で混合した。混合物を100℃で3.5時間撹拌し、反応をLC/MSによって確認した。粗混合物をRTに冷却し、NaHCO
3の飽和水溶液をpH=6~7になるまで添加した。水層を酢酸エチルで抽出し(3回)、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(15CVでジクロロメタン中0%~10%メタノールの勾配の100g KP-SNAPシリカゲルカラム)によって精製して黄色油(3g)を得て、これを逆相HPLC(KROMASIL-Eternity XT C
18 10μm/20/80/0.1~50/50/0.1のACN/H
2O/NH
4OH勾配)によって再度精製した。最も純粋な画分を蒸発乾固すると、[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVIII(2g、8.02mmol)が白色固体として得られた。
収率:45%
【数7】
【0107】
1.7.(+)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン3および(-)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン4の合成
スルホラン(3mL)中[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVIII(1当量、200mg、0.8mmol)と5-プロピルオキサゾリジン-2-オンIII(2当量、206mg、1.6mmol)の混合物に、p-トルエンスルホン酸一水和物(1当量、152mg、0.8mmol)を添加し、混合物を110℃で3.5時間撹拌した。粗混合物を逆相分取HPLC(塩基性条件)によって直接精製してベージュ色固体(ラセミ体216mg)を得て、これをキラルSFC(Phase WhelkO1(R,R)、50×227mm/CO
2/EtOH共溶媒20%/30℃/360mL/分)によって精製した。最も純粋な画分を蒸発乾固すると、(+)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン3(最初に溶出、54mg、0.15mmol、収率19%)および(-)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン4(2番目に溶出、52mg、0.14mmol、収率18%)が無色油として得られた。
収率:19%(3)および18%(4)
【数8】
α-D(3、MeOH、10mg/mL、27.7℃)=+17.2
【0108】
例3.(+)-3-[[2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン5および(-)-3-[[2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン6の合成
【化14】
3.1 [2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールXの合成
2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールIX(国際公開第2011047860号パンフレット、1.0当量、1.25g、5.24mmol)、パラホルムアルデヒド(6.0当量、943mg、31.45mmol)および塩酸(1.0当量、2.6mL、5.24mmol)の1,4-ジオキサン(2.6mL)中溶液を100℃で18時間撹拌した。飽和NaHCO
3水溶液を添加し、水層を酢酸エチルで抽出した(3回)。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して黄色油を得た。得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(15CVで100%ジクロロメタンからジクロロメタン中10%メタノールの50g KP-SNAPシリカゲルカラム)によって精製して褐色固体を得て、これを塩基性モードの逆相クロマトグラフィーを介して精製した。最も純粋な画分を蒸発乾固すると、[2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールX(475mg、1.73mmol)が白色固体として得られた。
収率:33%
【数9】
【0109】
3.2 (+)-3-[[2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン5および(-)-3-[[2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン6の合成
スルホラン(0.2M、3.5mL)中[2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールX(1.0当量、200mg、0.74mmol)と5-プロピルオキサゾリジン-2-オンIII(2.0当量、190mg、1.47mmol)の混合物に、p-トルエンスルホン酸一水和物(1.0当量、140mg、0.73mmol)を添加し、混合物を110℃で16時間撹拌した。粗生成物を塩基性条件下で逆相クロマトグラフィーによって直接精製して黄色油(172mg)を得た。エナンチオマーの混合物をキラルSFC(W(3μm)*EtOH50%-ヘプタン50%-DEA0.1%)を介して精製すると、(+)-3-[[2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン5(75mg、0.20mmol)および(-)-3-[[2-[ジジュウテリオ(メトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン6(72mg、0.19mmol)が無色油として得られた。
全体収率:52%(26.5%+25.5%)
【数10】
α-D(5、MeOH、10mg/mL、25℃)=+17.6
【0110】
例4.(+)-3-[[2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン7および(-)-3-[[2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン8の合成
【化15】
4.1 -[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールXIIの合成
ジジュウテリオ-[6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-2-イル]メタノールXI(国際公開第2011047860号パンフレット、1.0当量、3.25g、13.0mmol)のメタノール(100mL)中溶液に、室温で酸化銀(1.3当量、3.9g、16.9mmol)およびヨードメタン-d3(4.0当量、3.23mL、52.0mmol)を添加した。反応混合物を40℃で20時間撹拌した。次いで、混合物をCeliteパッドを通して濾過し、蒸発乾固した。飽和NaHCO
3水溶液を添加し、水層を酢酸エチルで抽出した(3回)。合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して黄色油を得て、これをフラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(15CVで100%ジクロロメタンからジクロロメタン中5%メタノールの100g KP-SNAPシリカゲルカラム)によって精製すると、2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールXII(2.11g、7.4mmol)が白色固体として得られた。
収率:57%
【数11】
【0111】
4.2 [2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールXIIIの合成
2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールXII(1.0当量、1.0g、4.1mmol)、パラホルムアルデヒド(6.0当量、743mg、24.7mmol)および塩酸(1.0当量、4.1mmol、2.0mL)の1,4-ジオキサン(2mL)中溶液を100℃で18時間撹拌した。飽和NaHCO
3水溶液を添加し、水層を酢酸エチルで抽出した(3回)。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して黄色油を得て、これを塩基性モードの逆相クロマトグラフィーを介して精製した。最も純粋な画分を蒸発乾固すると、[2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールXIII(560mg、1.97mmol)が白色固体として得られた。
収率:48%
【数12】
【0112】
4.3 (+)-3-[[2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン7および(-)-3-[[2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン8の合成
スルホラン(0.2M、3.5mL)中[2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールXIII(1.0当量、200mg、0.73mmol)と5-プロピルオキサゾリジン-2-オンIII(2.0当量、190mg、1.47mmol)の混合物に、p-トルエンスルホン酸一水和物(1.0当量、101mg、0.53mmol)を添加し、混合物を110℃で16時間撹拌した。粗生成物を塩基性条件下で逆相クロマトグラフィーによって精製して黄色油(175mg)を得た。エナンチオマーの混合物をキラルSFC(W(3μm)*EtOH50%-ヘプタン50%-DEA0.1%)によって精製すると、(+)-3-[[2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン7(47mg、0.12mmol)および(-)-3-[[2-[ジジュウテリオ(トリジュウテリオメトキシ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-プロピル-オキサゾリジン-2-オン8(51mg、0.13mmol)が透明な油として得られた。
全体収率:35%(17%+18%)
【数13】
α-D(7、MeOH、10mg/mL、25℃)=+26.9
【0113】
例5.(+)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン9および(-)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン10の合成
【化16】
5.1 4,4,4-トリフルオロ-1-ニトロ-ブタン-2-オールXIVの合成
3,3,3-トリフルオロプロパナール(1.0当量、5.0g、44.62mmol)、炭酸カリウム(1.0当量、6.2g、44mmol)およびニトロメタン(30当量、60.2mL、1340mmol)の混合物を50℃で5時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、水および酢酸エチルで希釈した。水層を酢酸エチルで抽出し(3回)、合わせた有機層を水で洗浄し(2回)、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(100g KP-SNAPシリカゲルカラム勾配:10CVで100%ジクロロメタン)によって精製した。最も純粋な画分を蒸発乾固すると、4,4,4-トリフルオロ-1-ニトロ-ブタン-2-オールXIV(3.8g、22mmol)が無色油として得られた。
収率:49%
【数14】
【0114】
5.2 1-アミノ-4,4,4-トリフルオロ-ブタン-2-オールXVの合成
エタノール(140mL)中4,4,4-トリフルオロ-1-ニトロ-ブタン-2-オールXIV(1.0当量、4.8g、28mmol)の混合物を、ラネーNiカートリッジを備えたHキューブ反応器を使用して水素化した(流量1mL/分、50℃、50bar)。混合物を蒸発乾固すると、1-アミノ-4,4,4-トリフルオロ-ブタン-2-オールXV(2.5g、17mmol)が無色油として得られた。
収率:63%
【数15】
【0115】
5.3 5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オンXVIの合成
THF(35mL)中1-アミノ-4,4,4-トリフルオロ-ブタン-2-オールXV(1.0当量、2.5g、17mmol)と1,1’-カルボニルジイミダゾール(1.0当量、2.9g、18mmol)の混合物に水素化ナトリウム(0.1当量、42mg、1.75mmol)を添加し、混合物を25℃で16時間撹拌した。水数滴を添加し(NaH中和)、混合物を直接蒸発乾固し、塩基性モードの逆相クロマトグラフィーによって精製すると、5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オンXVI(2.25g、13.2mmol)が白色固体として得られた。
収率:75%
【数16】
【0116】
5.4 (+)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン9および(-)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン10の合成
スルホラン(0.5M、3.7mL)中[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールV(1.0当量、200mg、0.75mmol)と5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オンXVI(1.8当量、227mg、1.34mmol)の混合物に、p-トルエンスルホン酸一水和物(1.0当量、142mg、0.75mmol)を添加し、混合物を110℃で3時間30分間撹拌した。混合物を塩基性条件下で逆相クロマトグラフィーを介して直接精製して黄色油(250mg)を得た。得られたエナンチオマーの混合物をキラル分取HPLC(AS*EtOH50%-ヘプタン50%-DEA0.1%)によって精製すると、(+)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン9(29mg、0.07mmol)および(-)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン10(30mg、0.07mmol)が得られた。
全体収率:19%(9.3%+9.6%)
【数17】
α-D(9、MeOH、10mg/mL、25℃)=+13.0
【0117】
(+)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン11および(-)-3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン12を、5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オンXVIおよび[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVIIIから出発して同じ手順に従って合成する。
全体収率:14%(7.8%+6.2%)
【数18】
α-D(11、MeOH、10mg/mL、25℃)=+3.6
【0118】
例6.(-)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン13および(+)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)オキサゾリジン-2-オン14の合成
【化17】
6.1 4,4-ジフルオロ-1-ニトロ-ペンタン-2-オールXVIIの合成
3,3-ジフルオロブタン-1-オール(1.0当量、1.5g、9.8mmol)のジクロロメタン(50mL)中溶液に、0℃でデスマーチンペルヨージナン(1.2当量、5.1g、12mmol)を添加し、反応混合物を0℃で2時間撹拌した。次いで、粗混合物を-78℃に冷却し、濾過し、得られた固体を冷ジクロロメタン(-78℃)で洗浄した。室温で加温した得られた濾液に、炭酸カリウム(15.0当量、21g、150mmol)およびニトロメタン(30.0当量、18g、290mmol)を添加し、混合物を45℃で2時間撹拌した。粗混合物をCeliteで濾過し、得られた濾液を真空下30℃で濃縮して、黄色ガムを得た。得られたガムをフラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(勾配6CVで100%ジクロロメタン、次いで10CVでジクロロメタン中0%~10%メタノールの100g KP-SNAPシリカゲルカラム)によって精製すると、4,4-ジフルオロ-1-ニトロ-ペンタン-2-オールXVII(678mg、4.0mmol)が黄色油として得られた。
収率:41%
【数19】
【0119】
6.2 1-アミノ-4,4-ジフルオロ-ペンタン-2-オールXVIIIの合成
4,4-ジフルオロ-1-ニトロ-ペンタン-2-オールXVII(1.0当量、1g、5.91mmol)のエタノール(40mL)中溶液を、10%/Pdカートリッジを備えたH-Cubeで水素化した(流量1mL/分、50℃、50bar)。粗混合物を蒸発乾固すると、1-アミノ-4,4-ジフルオロ-ペンタン-2-オールXVIII(760mg、4.9mmol)が無色油として得られた。
収率:83%
【数20】
【0120】
6.3 5-(2,2-ジフルオロプロピル)オキサゾリジン-2-オンXIXの合成
1-アミノ-4,4-ジフルオロペンタン-2-オールXVIII(1.0当量、760mg、5.46mmol)のTHF(18mL)中溶液に、室温で1,1’-カルボニルジイミダゾール(1.0当量、876mg、5.30mmol)および水素化ナトリウム(0.1当量、21mg、0.53mmol)を添加した。反応物を室温で16時間撹拌した。数滴の水を溶液に添加し(NaH中和)、混合物を蒸発乾固した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(10CVでジクロロメタン中0%~10%メタノール、次いで4CVで10%メタノールの勾配の100g KP-SNAPシリカゲルカラム)によって直接精製すると、5-(2,2-ジフルオロプロピル)オキサゾリジン-2-オンXIX(675mg、4.08mmol)がベージュ色固体として得られた。
収率:75%
【数21】
【0121】
6.4 (-)-5-(2,2-ジフルオロプロピル)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]オキサゾリジン-2-オン13および(+)-5-(2,2-ジフルオロプロピル)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]オキサゾリジン-2-オン14の合成
スルホラン(3mL)中[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールV(1.0当量、150mg、0.56mmol)と5-(2,2-ジフルオロプロピル)オキサゾリジン-2-オンXIX(1.5当量、139mg、0.84mmol)の混合物に、p-トルエンスルホン酸一水和物(1.0当量、106mg、0.56mmol)を添加した。混合物を100℃で16時間撹拌した。混合物を塩基性モードの逆相クロマトグラフィーによって直接精製して、黄色油を得た。エナンチオマーの混合物をキラルSFC(AS*EtOH50%-ヘプタン50%-DEA0.1%)によって精製すると、(-)-5-(2,2-ジフルオロプロピル)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]オキサゾリジン-2-オン13(19.1mg、0.05mmol)および(+)-5-(2,2-ジフルオロプロピル)-3-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]オキサゾリジン-2-オン14(19.9mg、0.05mmol)が白色固体として得られた。
全体収率:16.7%(8.2%+8.5%)
【数22】
α-D(13、MeOH、10mg/mL、28.6℃)=-13.3
【0122】
3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2-ジフルオロプロピル)オキサゾリジン-2-オン15および3-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-5-(2,2-ジフルオロプロピル)オキサゾリジン-2-オン16を、5-(2,2-ジフルオロプロピル)オキサゾリジン-2-オンXIXおよび[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVIIIから出発して同じ手順に従って合成する。
全体収率:8%(4%+4%)
【数23】
【0123】
キラルクロマトグラフィー(SFC、相W、CO2-MeOH15%、3ml/分):ピーク1(15):6.64分およびピーク2(16):7.72分。
【0124】
表(I)は、化合物のIUPAC名(またはAccelerys Draw 4.0から生成された名称)、質量分析で観察されたイオンピークおよび
1H NMRの説明を示している。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【0125】
例7.SV2AおよびSV2Cへの結合アッセイ。
ヒトSV2AおよびSV2Cタンパク質を、ヒト胎児腎(HEK)細胞で発現した。HEK SV2AおよびHEK SV2C膜調製物を、Gillardら(Eur.J.Pharmacol.2006、536、102~108)に記載されるように調製した。非標識化合物の親和性を測定するために、競合実験を以下の通り実施した:SV2タンパク質を発現する膜(1アッセイあたりタンパク質5~15μg)を、2mM MgCl2、0.1%ジメチルスルホキシドおよび10の増加する濃度の非標識試験化合物(0.1nM~10μM)を含有する0.2mlの50mM Tris-HClバッファー(pH7.4)中[3H]-2-[4-(3-アジドフェニル)-2-オキソ-1-ピロリジニル]ブタンアミド(5nM)および/または[3H]-4R-(2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル)-1-{[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル}ピロリジン-2-オン(25nM)と37℃で60分間インキュベートした。インキュベーション期間の最後に、膜結合放射性リガンドを、0.1%ポリエチレンイミンに予め浸漬したGF/Cガラス繊維フィルターを通した迅速な濾過によって回収した。膜をアッセイ体積の少なくとも4倍の氷冷50mM Tris HClバッファー(pH7.4)で洗浄した。フィルターを乾燥させ、液体シンチレーションによって放射能を測定した。濾過ステップ全体が10秒を超えなかった。測定された親和性pIC50値を、ChengおよびPrusoff(Biochem.Pharmacol.1973、22(23)、3099~3108)に従ってpKiに補正した。
【0126】
本発明による式(I)の化合物は、典型的には少なくとも6.5のpKi SV2A値および少なくとも6.0のpKi SV2C値を示す。
【0127】
例8.発作モデル.
全ての実験で、体重22~32gの雄NMRIマウス(Charles River、ドイツ)を使用する。動物を、午前6:00に点灯する12/12時間の明暗サイクルで維持し、20~21℃に維持された温度および湿度約40%で飼育する。マウスを、1ケージあたり10匹の群で飼育する(タイプIII)。全ての動物は、それぞれ10匹のマウスからなる実験群にランダムに割り当てる前に、標準ペレット食餌および水に自由にアクセスできる。全ての動物実験は、動物実験に関する国内規則に従って行い、欧州共同体理事会指令2010/63/EUのガイドラインに従って実施する。地元の倫理委員会が実験プロトコルを承認した。
【0128】
8.1 6Hz発作モデル
6Hzモデルを、以前記載されたプロトコル(Kaminskiら、Epilepsia(2004)、45、864~867)に従って実行する。手短に言えば、角膜刺激(44mA、0.2ms持続時間、6Hzで3秒間の単極矩形波)を、定電流装置(ECT Unit 57800;Ugo Basile、Comerio、イタリア)によって供給する。1滴の0.4%塩酸オキシブプロカイン(Unicaine、Thea、フランス)を電気刺激の前に眼にのせる。刺激中、マウスを手動で拘束し、通電直後に、観察ケージ(38×26×14cm)に解放する。発作の前には、しばしば短期間(約2~3秒)の激しい自発運動興奮がある(激しい走行および跳躍)。その後、動物は、立ち上がり、前肢の自動運動およびクローヌス、感覚毛の単収縮、および挙尾を伴う「気絶した」姿勢を示す。発作の最後に、動物は正常な探索行動を再開する。実験的エンドポイントは、発作からの保護である。刺激から7秒以内に正常な探索行動を再開した場合、動物を保護されているとみなす。
【0129】
試験化合物について決定されたインビボ活性は、典型的には、単回IP投与後0.05mg/kg~20mg/kgで構成される。
【0130】
8.2 ペンチレンテトラゾール(PTZ)発作モデル
ペンチレンテトラゾールを、以前に確立された89mg/kgのCD97用量;マウスの97%で4肢全ての間代性痙攣を誘発する痙攣性用量で使用する(Klitgaardら、Eur.J.Pharmacol.(1998)、353、191~206)。ペンチレンテトラゾール注射の直後に、マウスを個別にPerspexケージに入れ、60分間、4つ全ての四肢の間代性痙攣および緊張性後肢伸張の存在について観察する。
【0131】
試験化合物について決定されたインビボ活性は、典型的には、単回IP投与後0.5mg/kg~30mg/kgの間で構成される。
【0132】
例9.アザムリンアッセイ
凍結保存したヒト肝細胞(20人のドナーのプール、Celsis/IVT/Bioreclamation製のBSUバッチ)を、供給者の情報に従って解凍した。生存率(トリパンブルー排除)は75%超であった。プレインキュベーション(2x106個肝細胞/mLの肝細胞懸濁液250μL)を、穏やかな撹拌(振動撹拌機、Titramax100、約300rpm)下で30分間、インキュベーター(5%CO2)中、+37℃の48ウェルプレートで、2mMのグルタミンおよび15mMのHepesを含有するウィリアム培地で行った。プレインキュベーション後、アザムリン(6μM-特異的CYP3A4/5阻害剤)を含むまたは含まない、UCB化合物(1μM)またはミダゾラム(陽性対照)を含有する250μLの培養培地(上記組成参照)を肝細胞に添加することによって、インキュベーションを開始した。培養物中のUCB化合物およびアザムリンの最終濃度は、それぞれ0.5μMおよび3μMである。細胞懸濁液を、2回のピペット出し入れ操作によって急速に再均質化した。インキュベーションの0、30、60、120、180および240分後、ケトコナゾール1μMを内部標準として含む50μLの氷冷アセトニトリルを含有する96ウェルプレートから適切なウェルに50μlの培養物を移すことによって、反応を停止した。各サンプリングの前に、細胞培養物を2回のピペット出し入れ操作によって再均質化する。
【0133】
インキュベーションが終了したら、96ウェルプレートを約3700rpm、+4℃で15分間遠心分離する。50μLの上清を、150μLのH2O Milliporeが添加された他のディープウェルプレートのウェルに移す。これらの試料を、親消失および代謝産物形成のモニタリングのために、マイクロUPLC/HR-MSによって分析した。
【0134】
CYP3A4/5によって代謝される画分(f
m,CYP3A4/5)として知られるCYP3A4/5の寄与を、以下の式を使用することによって、アザムリンの非存在下および存在下で、CLint(親親薬物消失に基づく)の比から各化合物について計算した:
【数24】
【0135】
試験化合物のCYP3A4/5によって代謝される画分(fm,CYP3A4/5)は、典型的には0~40%で構成される。