(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】ホウ酸塩廃液の処理方法
(51)【国際特許分類】
G21F 9/10 20060101AFI20220819BHJP
【FI】
G21F9/10 B
G21F9/10 C
(21)【出願番号】P 2021036286
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2021-03-08
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】521011927
【氏名又は名称】ファン チン ツェン
【氏名又は名称原語表記】HUANG, CHING TSUEN
【住所又は居所原語表記】No. 20, Ln. 312, Minzu Rd., Jianlin Vil., Longtan Dist., Taoyuan City, Taiwan (R.O.C.)
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン チン ツェン
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-208600(JP,A)
【文献】特開平07-280993(JP,A)
【文献】特開平08-005794(JP,A)
【文献】特開平11-072593(JP,A)
【文献】特開2011-174873(JP,A)
【文献】特開2015-105859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃液供給物を調製し、低濃度ホウ酸塩廃液を得る工程と、
前記低濃度ホウ酸塩廃液の濃縮を行い、高重合度の重合ホウ酸塩を含有する
、ホウ素濃度が少なくとも100000ppmである高濃度廃液を得る工程と、
造粒剤によって前記高濃度廃液の造粒を行い、複数の固形ホウ酸塩顆粒を形成する工程と、
前記複数の固形ホウ酸塩顆粒から大きなモノリシック固形廃棄物を作製する工程と、
を含
み、
前記複数の固形ホウ酸塩顆粒を形成する工程は、初期造粒工程と、連続造粒工程とを含み、
前記初期造粒工程では、
適量な前記造粒剤を、撹拌翼を有する造粒装置中に置いて、前記造粒剤の粉末で前記撹拌翼を十分にカバーし、前記撹拌翼を始動して前記造粒剤を撹拌し、
前記高重合度の重合ホウ酸塩を含有する高濃度廃液を、液滴状で前記造粒装置に添加し、撹拌されている前記造粒剤の粉末と接触させ、固化反応させて顆粒を形成し、
置かれた前記造粒剤と添加された前記高濃度廃液の重量比(造粒剤/高濃度廃液)が第1の重量比に達すると、前記高濃度廃液の添加を停止し、
前記連続造粒工程では、
前記初期造粒工程で得られた前記顆粒を攪拌するために攪拌を開始し、
第2の重量比に従って、クロスの方式で前記造粒剤及び前記高濃度廃液を前記造粒装置に添加し、前記高濃度廃液の重量及び前記顆粒の湿度は毎回制御され、前記第2の重量比は、前記第1の重量比よりも小さく、
作製された複数の固形ホウ酸塩顆粒が前記造粒装置の容量限界に達すると、複数の固体ホウ酸塩粒子を取り出す、
高重合度の重合ホウ酸塩を含有する高濃度廃液、複数の固形ホウ酸塩顆粒、及び大きなモノリシック固形廃棄物を作製するためにホウ酸塩廃液を処理する方法。
【請求項2】
前記複数の固形ホウ酸塩顆粒から前記大きなモノリシック固形廃棄物を作製する工程は、
硬化可能スラリーを調製する工程と、
前記固形ホウ酸塩顆粒及び前記硬化可能スラリーを混合して硬化可能な顆粒スラリー体にする工程と、
前記顆粒スラリー体を廃棄物樽に収容し、前記顆粒スラリー体が硬化した後、顆粒固化体パッケージを形成する工程とからなる
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の固形ホウ酸塩顆粒から前記大きなモノリシック固形廃棄物を作製する工程は、
硬化可能スラリーを調製する工程と、
前記固形ホウ酸塩顆粒を樽に入れた後、少なくとも1つの圧縮ブロックに圧縮し、前記少なくとも1つの圧縮ブロックを廃棄物樽に収容する工程と、
前記硬化可能スラリーを注いで前記少なくとも1つの圧縮ブロックを包囲して前記廃棄物樽内の隙間を埋め、前記硬化可能スラリーが硬化した後、顆粒圧縮ブロック固定体パッケージを形成する工程とからなる
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記廃液供給物は、ホウ酸ナトリウム廃液である
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ホウ酸ナトリウム廃液は、廃液供給物におけるナトリウムとホウ素とのモル比を0.25~0.35に調整したものである
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記廃液供給物を調製する工程は、ホウ酸、硫酸、リン酸及び水酸化ナトリウムから選択される1つの化合物を使用して前記廃液供給物のpH値を調整することを更に含む
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記高重合度の重合ホウ酸塩を含有する高濃度ホウ酸塩廃液は、高重合度のホウ酸ナトリウムを含有する高濃度廃液であり、且つ少なくとも100000ppmのホウ素濃度を有する
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記高重合度の重合ホウ酸塩を含有する高濃度ホウ酸塩廃液は、高重合度のホウ酸ナトリウムを含有する高濃度廃液であ
る、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記造粒剤粉末は、セメント系材料、ポゾラン材料、2価又は2価以上のアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物、遷移金属の酸化物又は水酸化物、半金属の酸化物又は水酸化物、ケイ酸塩、リン酸塩、炭酸塩又は錯
塩の粉末、又はそれらの組合せから選択された材料から調製される
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記造粒装置は、公転及び自転機能を有する遊星式撹拌タンクである
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
造粒時に使用される前記高重合度の重合ホウ酸ナトリウムを含有する高濃度廃液の総重量は、前記造粒剤粉末の総重量を上回る
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記連続造粒工程では、
前記複数の固形ホウ酸塩顆粒の取り出しを行う際に、別の造粒のための初期造粒として機能するために、適量な顆粒が前記造粒装置に残される、
請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウ酸塩廃液の処理方法、特に放射性ホウ酸塩廃液の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然のホウ素元素は、約80%のホウ素11及び約20%のホウ素10を含有する。その中で、ホウ素10は、優れた中性子吸収剤である。そのため、加圧水型原子炉(Pressurized Water Reactor, PWR)において、ホウ酸は、冷却水の中性子密度を調整するため、原子炉冷却水の中性子吸収剤とされる。また、ホウ酸は、使用済みの核燃料貯蔵池の水にも添加されて池水の中性子密度を調整する。これらのホウ酸溶液は、期限まで使用されて廃棄される際に、アルカリ水溶液(例えば水酸化ナトリウム)が添加されて中和してホウ酸ナトリウムを含有する放射性廃液にな(以下、「ホウ酸塩廃液」と称す)。放射性ホウ酸塩廃液は、人間の生活範囲から隔離させ、その放射性が人間又は環境に害を及ぼすことを防ぐため、固化処理する必要があり、それが品質上安全要件を満たした固形廃棄物(Solid Waste Form)になった後、初めて最終処分(Final Disposal)を行うことが可能になる。ここの「最終処分」という用語は、放射性廃棄物管理の専門用語であり、放射性廃棄物を永久的に隔離し、埋め込むため、適格な地質で多重エンジニアリングバリア(Multiple Engineering Barriers)の施設を建てることを指す。
【0003】
放射性ホウ酸塩廃液の従来の固化処理方法は、セメント固化法、高分子樹脂固化法、及びアスファルト固化法等を含む。ただし、高分子樹脂及びアスファルト等の有機固化剤は、無機塩廃液との相溶性が良くないため、固化によって生じた固形廃棄物は、塩析現象が発生する。且つ、高分子樹脂及びアスファルトは、生分解現象が発生する。そのため、無機塩廃液の固化に適していない。
【0004】
セメント固化法は、セメント及びポゾラン材料(Pozzolanic Materials)を固化剤として使用し、セメントの水和反応(Hydration Reaction)によって廃液が固化可能であることに加え、無機塩を硬い固体に形成させることができる。しかし、セメント固化法を使用してホウ酸塩廃液を固化する際に、ホウ素濃度がより高い(例えばホウ素濃度>2wt%)場合には、著しい固化遅延(Solidification Retardation)現象が発生し、セメント顆粒の表面に硬いホウ酸カルシウムフィルムが形成されることによってセメントの水和反応(Hydration Reaction)が阻害される。そのため、伝統的には、ホウ酸塩廃液のセメント固化は、固化遅延現象を低減するため、全て低ホウ素濃度で行うか、又はセメントの添加で固化する前に、先に消石灰を添加して前処理を行う。また、例えば、特許文献1~7等においては、固化遅延現象を低減するため、基本的にアルカリ性沈殿剤を使用・添加し、高水溶性のホウ酸ナトリウムを低水溶性のホウ酸塩沈殿物に変換してから、セメント又はアスファルトを添加して固化する。しかし、(1)添加されたアルカリ性沈殿剤は、セメント廃棄物の量を大幅に増加させ、(2)廃液を固化する際には、未だ大量のセメント固化剤を使用する必要があるため、セメント廃棄物の体積が大幅に増加し、放射性廃棄物の管理コストが非常に高く、最終処分場用地が見つかりにくい。そのため、従来のセメント固化法でホウ酸塩廃液を処理することは、経済性を有していない。
【0005】
セメント固化体の体積減少及びそのホウ素含有量の増加のため、日本日揮会社(JGC Corporation)は、40~60℃の温度でホウ酸塩廃液に石灰を加え、約10時間撹拌し、ホウ酸塩(通常は、ナトリウム塩の形態である)をより安定なホウ酸カルシウム沈殿物に変換させ、沈殿物をろ過・脱水した後、セメント固化剤で固化する、いわゆる進歩的なセメント固化法(Advanced Cement Solidification Process)を開発した。ただし、この方法は操作に時間がかかり、水酸化ナトリウムを含有する二次廃棄物(Secondary Waste)が生成され、それを処理する必要が出てくる。
【0006】
また、特許文献8には、ホウ酸塩廃液を高重合度の重合ホウ酸塩廃液にした後、セメント固化を行い、二次廃棄物を生成せず、廃棄物のホウ素負荷を高めることが可能な方法が開示されている。ただし、この方法によって生じた固化体は浸漬耐性が比較的低く、浸漬耐性の要求が厳しい場合、その応用は制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4,293,437号明細書
【文献】米国特許第4,210,619号明細書
【文献】米国特許第4,800,042号明細書
【文献】米国特許第4,906,408号明細書
【文献】米国特許第4,620,947号明細書
【文献】中国特許出願公開第102800377号明細書
【文献】中国特許第102254579号明細書
【文献】米国特許第5,457,262号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ホウ酸塩廃液の処理については、二次廃棄物を生成せずに、耐水性が優れた、ホウ素負荷が高い廃棄物を生成し、体積を大幅に減少させ、管理コストを大幅に低減する方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が提供するホウ酸塩廃液の処理方法は、元のホウ酸塩廃液供給物を調製し、濃縮に適する低濃度廃液にする工程と、低濃度廃液を濃縮し、高濃度廃液にする工程と、高濃度廃液及び造粒剤で固化作用によって造粒を行う工程と、硬化可能スラリーを作製する工程と、ホウ酸塩顆粒固化廃棄物(以下、固化体と省略される)及びホウ酸塩顆粒圧縮ブロック固定廃棄物(以下、固定体と省略される)の作製を含む、廃棄物を作製する工程とを含む。
【発明の効果】
【0010】
元の廃液供給物は、低濃度ホウ酸塩を含有する廃液であり、それを調整剤で調製した後には、濃縮に適する低濃度廃液になる。当該低濃度廃液から濃縮によって、高重合度の重合ホウ酸塩を含有する高濃度ホウ酸塩廃液(以下、高濃度廃液と省略される)を作製し、その後、造粒剤(すなわち固化剤)との固化反応によって造粒を行うが、この際に固化遅延(Solidification Retardation)現象が発生しないため、廃棄物におけるホウ酸塩負荷が大幅に増加し、最終的に生成された廃棄物は体積が大幅に減少する。また、高濃度ホウ酸塩廃液を使用して造粒を行うため、質感が硬いホウ酸塩顆粒が形成され、次に硬化可能スラリーで固化処理した後、高機械的強度で高耐水性の廃棄物が形成される。ここでは、ホウ酸塩顆粒及び硬化可能スラリーを混合して高機械的強度で高耐水性のモノリシック廃棄物(Monolithic Waste Form)を作製する工程を、廃棄イオン交換樹脂、スラッジ、残留物等の細粒固形廃棄物固化処理の慣用用語に基づいて、固化処理と称される。以下の説明でもこの慣用用語をそのまま用いる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の1つの実施例のホウ酸塩廃液の処理方法のフロー模式図である。
【
図2】本発明に係る方法の1つの実施例における、固化体パッケージを作製するフロー模式図である。
【
図3】本発明に係る方法の1つの実施例における、固定体パッケージを作製するフロー模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の上記及びその他の目的、特徴、及び利点をより分かりやすくするため、以下には、実施例を挙げ、添付の図面と合わせ、以下のように詳しく説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明が提供するホウ酸塩廃液の処理方法は、元のホウ酸塩廃液001を、組成が続きの濃縮処理条件を満たす低濃度ホウ酸塩廃液(以下、低濃度廃液003と省略される)に調製する、廃液供給物調製工程S100と、高重合度の重合ホウ酸塩を含有する高濃度ホウ酸塩廃液(以下、高濃度廃液004と省略される)を作製するための、低濃度廃液濃縮工程S200と、高濃度廃液からホウ酸塩顆粒006を作製する、高濃度廃液の造粒工程S300と、固化体パッケージを作製するための工程S410(
図2の通り)に従って硬化可能スラリーを作製してホウ酸塩顆粒の固化に用いる。あるいは、固定体パッケージを作製するために工程S420(
図3の通り)に従って硬化可能スラリーを作製し、ホウ酸塩顆粒を圧縮ブロックに圧縮して廃棄物樽に収容した後、硬化可能スラリーを注いで包囲する、廃棄物パッケージの作製工程S400を含む。ここの「パッケージ」とは、廃棄物及び廃棄物収容樽の集合を指す。それぞれ以下のように詳述する。
【0014】
工程S100の廃液供給物の調製において、元のホウ酸塩廃液001は、例えば、原子力発電所からの異なる濃度のホウ酸ナトリウム廃液であることが可能である。本発明は、種々の異なるホウ素濃度のホウ酸ナトリウム廃液を処理することが可能である。原子力発電所からのホウ酸ナトリウム廃液は、通常いずれも初歩的な蒸発前処理を行う。本発明に係る処理工程に入る元のホウ酸塩廃液は、ホウ素濃度が20000ppm以上であることが好ましく、40000ppm以上であることがより好ましく、本発明に係る処理システムの蒸発・濃縮の負担を軽減することが可能である。
【0015】
工程S100は、例えば原子力発電所からの元のホウ酸ナトリウム廃液におけるナトリウムとホウ素とのモル比を調整することを更に含む。更に、元のホウ酸ナトリウム廃液に調整液を加えて均一に混合して調整することが可能である。調整液は、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等の水酸化物溶液であることが可能である。水酸化ナトリウムを使用してホウ酸ナトリウム廃液を調整する際に、ナトリウム/ホウ素のモル比を0.25~0.35にすることが好ましい。工程S100は、元のホウ酸ナトリウム廃液のpH値を調整することを更に含む。調整剤は、ホウ酸、硫酸、リン酸又は水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等を選択することが可能である。
【0016】
工程S200の低濃度廃液の濃縮において、廃液の濃縮は、通常加熱方式で行い、使用される装置は、撹拌タンク式蒸発器、強制循環式蒸発器又は薄膜蒸発器の少なくとも1つであり、需要に応じて同時に併用することも可能である。ホウ酸ナトリウム廃液供給物は、工程S100によって調製された後、低濃度廃液003になる。本工程S200では、低濃度廃液003を濃縮して高重合度のホウ酸ナトリウムを含有する高濃度廃液004にする。高濃度廃液004は、ホウ素濃度が少なくとも100000ppmであることが好ましく、110000ppm以上であることがより好ましく、120000ppm以上であることが最も好ましい。ただし、高濃度廃液004は、粘性を有し、その目詰まりの発生又は結晶の生成を防ぐ必要がある。ホウ素濃度がより高いことは、体積減少及び続きの造粒時に機械的強度がより高い、性質がよりよい顆粒を形成することに役立つ。しかし、その粘性が搬送上の困難を引き起こし、結晶、目詰まりが発生する恐れがあることを考慮し、ホウ素濃度は、130000ppmを超えないことが好ましい。
【0017】
工程S200の作製済みの高濃度廃液004のナトリウムとホウ素とのモル比は、0.25~0.35に保つことが好ましく、0.28~0.32であることがより好ましい。高濃度廃液004は、貯蔵する際に、適切な温度に保つ必要があり、40~80℃であることが好ましい。比較的に高い温度は、結晶の生成を防ぐことに有利であるが、高過ぎる温度は、造粒によって生じた顆粒の性質に不利である。そのため、貯蔵する際には、比較的に高い温度に保つことが可能であり、造粒が近づく際には、また温度を少し下げる。
【0018】
工程S300の高濃度廃液の造粒において、例えばセメント系材料(Cementitious Materials)、ポゾラン材料(Pozzolanic Materials)、2価又は2価以上のアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物粉末、遷移金属の酸化物又は水酸化物粉末、半金属の酸化物又は水酸化物粉末、及びその組合せから選択される材料を使用して造粒剤005を調製することが可能である。造粒剤005は、遷移金属又は半金属のケイ酸塩、リン酸塩、炭酸塩又は錯塩粉末、又はその組合せを含むことも可能である。前記成分によって自分で調製する造粒剤に加え、直接適切な市販のスラッジ固化剤等を選択してもよい。高濃度ホウ酸ナトリウム廃液及び造粒剤は、固化反応によってホウ酸塩顆粒を形成する。反応中、液体の高重合度のホウ酸ナトリウムは、造粒剤と置換反応して固形の高重合度の重合ホウ酸塩顆粒になる。顆粒のホウ酸塩組成及び機械的強度は、主に造粒剤の成分によって決定される。
【0019】
造粒装置は、公知の設備を使用することが可能であり、別途設計することも可能である。本発明の実施例の高濃度廃液004は、粘性を有し、且つ工程における顆粒半製品は、高い粘性を有するため、造粒装置の設計又は材質の選択は、前述材料又は半製品の粘着を防ぐ又は減らすことが好ましい。例えば、ドラム式造粒装置又は撹拌タンク式造粒装置を使用する。ドラム式造粒装置の内部構造は、簡単であり、材料又は半製品の粘着を減らすことに役立つ。撹拌タンク式造粒装置は、遊星式公自転及び自転撹拌翼を有することが好ましく、緻密度が高くて機械的強度が良い顆粒を形成することに役立つ。
【0020】
工程S300の造粒工程は、初期造粒工程S310と連続造粒工程S320とを含むことが可能である。工程S310は、顆粒が未だない場合の造粒であり、造粒装置中に造粒剤005をプリセットする必要がある。その量は、撹拌翼を十分にカバーできる必要がある。プリセットされた造粒剤の運び入れが完了した後、撹拌翼を始動して造粒剤005を転動させて流動させ、引続き所定量の高濃度廃液004を何回かに分けて緩徐に加える。高濃度廃液004は、転動・流動している造粒剤005粉末に接触した後、固化反応し、ホウ酸塩顆粒006を形成する。所定量の高濃度廃液の運び入れが完了した後、更に3~5分間撹拌し続け、初期造粒が完成である。通常、工程S310は、1回のみ行う必要がある。工程S320は、造粒装置中に既に顆粒がある場合の造粒であり、初期造粒で得られた又は事前に作製したホウ酸塩顆粒006を造粒装置中に置くことが可能であり、次に撹拌翼を始動した後、クロスの方式で造粒剤及び高濃度廃液をそれぞれ添加し、両者の添加順序は自由に選択することが可能であり、顆粒性質の均一性を確保するために両者の添加量の割合は固定であることが好ましい。工程S320は、十分な量の顆粒の作製が完了するまで繰り返して執行することが可能である。生成された顆粒が造粒装置の容量制限に達した場合には、造粒を一時中止し、一部の顆粒完成品を取り出した後、再び続けることが可能である。
【0021】
工程S300に用いられる造粒剤005の総重量は、高濃度廃液004の総重量を下回ることが好ましい。工程S310、工程S320又は全てのS300における造粒剤005の使用量と高濃度廃液004の使用量との割合は、造粒剤005の硬化反応当量、造粒操作性、顆粒性質の需要等に基づいて決定することが可能である。また、工程S310では、粘着現象の発生を防ぐため、通常、より高い割合の造粒剤005を使用することが好ましい。工程S320では、造粒剤005と高濃度廃液004との重量比は、約0.2~0.6である。工程S310、S320における撹拌のスピードは、用いられる造粒装置(例えば造粒装置のタイプ)、材料及び半製品の性質、及び所望の顆粒サイズに基づいて決定することが可能である。例えば、急速の撹拌は、比較的に小さい顆粒を形成することに用いることが可能である。好ましくは、本発明の実施例のホウ酸塩顆粒006は、2~5mmの直径を有する。造粒装置は、例えばスクリーンを使用して排出された顆粒のサイズを調整することを更に含むことが可能である。
【0022】
工程S400の廃棄物パッケージの作製は、固化体パッケージの作製である工程S410と、固定体パッケージの作製である工程S420とを含むことが可能である。
図1~2に示すように、工程S410は、硬化可能スラリーの作製と、顆粒固化スラリー体の作製と、樽入れとを含む。硬化可能スラリー009aは、例えばセメントスラリー、コンクリートスラリー、石膏スラリー等の1つから選択することが可能であり、それは硬化可能スラリー原料007a、及び水及び添加剤によって調製された添加剤溶液008aで作製する。顆粒固化スラリー体010の作製は、ホウ酸塩顆粒006(工程S410に用いられるホウ酸塩顆粒は、また006aで示す)及び硬化可能スラリー009aを混合することを含み、ホウ酸塩顆粒006aを硬化可能スラリー009a中に十分に埋め込ませて硬化可能な顆粒固化スラリー体010になる。前記顆粒固化スラリー体010は、容器、例えば廃棄物樽012a(放射性廃棄物収容樽)中に注ぎ、スラリー体が硬化した後、顆粒固化体、すなわち大きなモノリシック固形廃棄物(Monolithic Waste Form)を形成する。工程S410は、成熟した安定的な品質を得るため、固化体の養生を行うことを更に含むことが可能である(後述する)。顆粒固化体は、廃棄物樽012aと共にキャッピングした後、固化体パッケージ013になる。
【0023】
図3に示すように、工程S420は、顆粒の樽入れと、顆粒圧縮ブロックの作製と、顆粒圧縮ブロックの樽入れと、硬化可能スラリーの作製と、顆粒圧縮ブロックを樽に入れた後、硬化可能スラリーを注いで固定することとを含む。顆粒の樽入れは、通常容器012cを使用することが可能である。顆粒を樽に入れた後、通常容器012cをホウ酸塩顆粒006bと共に圧縮して顆粒圧縮ブロック011を形成することが可能である。顆粒圧縮ブロック011の樽入れは、廃棄物樽012bを使用する。硬化可能スラリー009bの作製は、S410における硬化可能スラリー009aの作製の工程と同一であり、絮説しない。顆粒圧縮ブロック011の固定は、幾つかの顆粒圧縮ブロック011を収容した廃棄物樽012b中に硬化可能スラリー009bを注ぐことを含み、硬化可能スラリー009bを隙間に充満させ、顆粒圧縮ブロック011を包囲して圧縮ブロック固定体、すなわち大きなモノリシック固形廃棄物(Monolithic Waste Form)を形成する。工程S420は、固定体の養生を行うことを含むことも可能である。圧縮ブロック固定体は、廃棄物樽012bと共にキャッピングした後、固定体パッケージ014になる。
【0024】
以下、更に実施例1~6を通して本発明のホウ酸塩廃液の処理方法を例示する。
【実施例1】
【0025】
工程S100~S200:980グラムの脱イオン水を取って電動撹拌翼が設けられた1つの6リットルのガラスビーカー中に置き、電動を始動して撹拌した。続いて、833グラムの99%水酸化ナトリウム及び4340グラムの99%ホウ酸を取り、先に水酸化ナトリウム、次にホウ酸の方法で4回に分けて水酸化ナトリウム、ホウ酸をビーカーの水に緩徐に加えた。ホウ酸が完全に溶解した後、脱イオン水で溶液体積を4200ミリリットルに調整し、溶液温度を80℃に調整した。分析後、得られた溶液は、121000ppm(すなわち12.1wt%)のホウ素濃度を有し、69.21wt%のホウ酸濃度に相当した。ナトリウム/ホウ素のモル比は、0.297であった。得られた溶液は、シミュレート高濃度廃液とした。
【0026】
工程S300(S310~S320):90部の市販のスラッジ固化剤STA-110(環鼎国際会社(EigenGreen International Inc.)製品)を取って10部の試薬グレードの水酸化カルシウム粉末と混合し、続いて研磨機で研磨し、150メッシュ(mesh)のスクリーンを通過させた。得られた粉末は、造粒剤粉末(造粒剤-A)であった。必要な造粒剤粉末の量は、高濃度廃液の量に基づいて需要に応じて割合で調製されることが可能である。
【0027】
初期造粒工程S310:遊星式撹拌翼を有する撹拌タンク式造粒装置を使用して行った。1640グラムの造粒剤-A粉末を取って20リットルの上記造粒装置中に置き、撹拌装置を始動した。続いて、工程S200で準備された高濃度廃液を2350グラム取り、撹拌されていた造粒剤粉末に何回かに分けて緩徐に滴下した。顆粒の互いの粘着を減らすため、添加ごとに、高濃度廃液が分散して造粒剤と顆粒を形成して顆粒の湿った光沢が消失したのを待ってから、再び高濃度廃液を添加した。高濃度廃液を加えた後、更に約5分間撹拌し続け、初期ホウ酸塩顆粒の作製を完成させた。用いられた造粒剤/高濃度廃液の重量比は、0.7であった(表1を参照)。上記S310の開始造粒の供給方法としては、先に必要な造粒剤を1回限り添加した後、高濃度廃液を複数回に分けて添加した。
【0028】
連続造粒工程S320:初期造粒で得られたホウ酸塩顆粒を造粒装置中に残し、撹拌し続け、続いて、200グラムの高濃度廃液を取って造粒装置に緩徐に滴下し、それを顆粒表面に均一に分散させた。次に80グラムの造粒剤を取り、撹拌されていた顆粒上に添加した。高濃度廃液が造粒剤と反応して固形顆粒に変換されて、湿った光沢を呈しなくなるのを待ってから、再び高濃度廃液を添加した。このように高濃度廃液及び造粒剤をそれぞれ14回循環リピート添加し、合計2800グラムの高濃度廃液及び1120グラムの造粒剤を添加した後、停止し、ホウ酸塩顆粒の造粒を完成させた。上記S320の連続造粒は、造粒剤及び高濃度廃液を複数回に分けて所定の割合に基づいて循環リピート方法で添加し、用いられた造粒剤/高濃度廃液の重量比は、0.4であった。終了後、5分間撹拌し続けた後、全ての顆粒を取り出し、続きの工程の進行を待った。
【0029】
表1に示すように、実施例1では、合計2760グラムの造粒剤、5150グラムの高濃度廃液を使用した。ホウ酸塩顆粒の直径は、主に2~5mmの間に分布した。計算後、顆粒のホウ素含有量は、7.88wt%であり、5.06wt%のホウ酸含有量に相当した。
【0030】
【0031】
工程S400:市販の核廃棄物処理専用固化剤ECOCRETE-FS(環鼎国際会社(EigenGreen International Inc.)製品)、石英粉末(顆粒サイズは、70~150メッシュの範囲である)を硬化可能スラリー原料として使用した。1460グラムの固化剤(ECOCRETE-FS)及び1350グラムの石英粉末を取り、20リットルの遊星式撹拌機に入れ、撹拌を始動し、840グラムの水を加え、均一に混合して3650グラムの硬化可能スラリーを作製した。続いて、工程S300で作製されたホウ酸塩顆粒を3500グラム取り、撹拌されていた硬化可能スラリーに加え、均一に混合して顆粒固化スラリー体にした後、内径5センチ、高さ6センチの円柱形のポリエチレンプラスチック型に前記スラリー体を入れた。振動方式で気泡を取り除いて表面を平らかにした後、温度25℃、相対湿度95%の恒温恒湿チャンバー中に置いて養生を28日間行った。計算後、実施例1の硬化可能スラリーの重量は、ホウ酸塩顆粒の1.04倍であり、得られた廃棄物のホウ素含有量は、3.86wt%であり、22.07wt%のホウ酸含有量に相当した。測定後、固化スラリー体の比重は、1.87であったため、そのホウ素負荷率は、72.16kg/m3であり、412.69kg/m3のホウ酸負荷率に相当した。
【0032】
固化スラリー体は、28日間の養生後、離型し、直径5センチの円柱形固化体を5センチの高さに切断した後、台湾低放射性廃棄材料体品質規定に従って圧縮強度、耐候性(凍結融解抵抗)、浸漬耐性等の試験を行った。また、9メートル落下の耐衝撃性試験も行った。結果は、表2に示す通りであった。
【0033】
【実施例2】
【0034】
工程S100~S200:実施例1の工程及び方法に従ってシミュレート高濃度廃液を作製し、そのホウ素濃度及びナトリウム/ホウ素のモル比は、表3に示す通りであった。
【0035】
工程S300:市販のスラッジ固化剤STA-110(環鼎国際会社(EigenGreen International Inc.)製品)及び試薬グレードの水酸化カルシウム粉末を取り、1:1の重量で混合してから、実施例1の工程に従って造粒剤粉末(造粒剤-B)を作製した。
【0036】
工程S300(S310~S320):実施例1の工程及び方法に従って表3の材料条件に基づいて造粒を行い、得られたホウ酸塩顆粒のホウ素含有量は、8.28wt%であり、47.36wt%のホウ酸含有量に相当した。
【0037】
【0038】
工程S400:実施例1と同じ硬化可能スラリーを使用した。実施例1の工程に従って重量比が0.65であった硬化可能スラリー/ホウ酸塩顆粒を使用し、顆粒固化スラリー体を作製した。得られた固化スラリー体のホウ素含有量は、5.01wt%であり、28.64wt%のホウ酸含有量に相当した。測定後、前記固化スラリー体の比重は、1.87であったため、そのホウ素負荷率は、93.65kg/m3であり、535.62kg/m3のホウ酸負荷率に相当した。
【0039】
実施例1の工程に従って固化体サンプルの作製及び性質試験を行った。結果は、表4に示す通りであった。
【0040】
【実施例3】
【0041】
工程S100~S200:実施例1の工程及び方法に従って高濃度廃液を作製し、前記高濃度廃液のホウ素濃度及びナトリウム/ホウ素のモル比は、表5に示す通りであった。
【0042】
工程S300(S310~S320):実施例1の工程に従って表5の材料条件に基づいて造粒剤-Bを使用して造粒を行った。得られたホウ酸ナトリウム顆粒のホウ素含有量は、8.61wt%であり、49.26wt%のホウ酸含有量に相当した。
【0043】
【0044】
工程S400:実施例1と同じ硬化可能スラリーを使用した。実施例1の工程に従って重量比が0.82であった硬化可能スラリー/ホウ酸ナトリウム顆粒を使用し、顆粒固化スラリー体を作製した。次に実施例1の工程に従って養生を行った。得られた廃棄物のホウ素含有量は、4.73wt%であり、27.07wt%のホウ酸含有量に相当した。測定後、前記固化スラリー体の比重は、1.86であったため、そのホウ素負荷率は、88.03kg/m3であり、503.5kg/m3のホウ酸負荷率に相当した。
【0045】
実施例1の工程に従って固化体サンプルの作製及び性質試験を行った。結果は、表6に示す通りであった。
【0046】
【実施例4】
【0047】
工程S100~S200:実施例1の工程及び方法に従って高濃度廃液を作製し、前記高濃度廃液のホウ素濃度及びナトリウム/ホウ素のモル比は、表7に示す通りであった。
【0048】
工程S300:40部の市販のスラッジ固化剤STA-110(環鼎国際会社(EigenGreen International Inc.)製品)及び30部の水酸化バリウム一水和物で、実施例1の工程に従って造粒剤粉末(造粒剤-C)を作製した。
【0049】
工程S300(S310~S320):実施例1の工程及び方法に従って表7の材料条件を使用して工程S310~S320を行った。工程S320では、毎回、先に200グラムの高濃度廃液を加え、次に83グラムの造粒剤を添加し、このように高濃度廃液及び造粒剤をそれぞれ50回循環リピート添加した後、生成された顆粒が造粒装置の容量制限に近かったため、操作を一時中止し、半分の重量のホウ酸ナトリウム顆粒を取り出した後、再び同じ方法で造粒を行い続け、更に高濃度廃液及び造粒剤をそれぞれ50回循環リピート添加した後、停止し、ホウ酸ナトリウム顆粒の造粒が完成であった。工程S320では、合計高濃度廃液及び造粒剤をそれぞれ100回添加し、合計20000グラムの高濃度廃液、8300グラムの造粒剤を添加した。続いて、全てのホウ酸ナトリウム顆粒を収集して混合し、続きの工程を待った。
【0050】
表7に示すように、実施例4に使用された造粒剤/高濃度廃液の重量比は、平均で0.454であり、ホウ酸ナトリウム顆粒の直径は、主に2~5mmの間に分布した。計算後、顆粒のホウ素含有量は、8.26wt%であり、47.25wt%のホウ酸含有量に相当した。
【0051】
【0052】
工程S400:40部の市販の核廃棄物処理専用固化剤ECOCRETE-RS(環鼎国際会社(EigenGreen International Inc.)製品)、35部の石英粉末及び25部の水を使用し、実施例1の工程に従って硬化可能スラリーを作製した。続いて、実施例1の工程に従って重量比が1.12であった硬化可能スラリー/ホウ酸ナトリウム顆粒を使用し、顆粒固化スラリー体を調製した。得られた固化スラリー体のホウ素含有量は、3.89wt%であり、22.25wt%のホウ酸含有量に相当した。測定後、固化スラリー体の比重は、1.87であったため、そのホウ素負荷率は、72.74kg/m3であり、416.04kg/m3のホウ酸負荷率に相当した。
【0053】
実施例1の工程に従って固化体サンプルを調製し、28日養生した後、性質試験を行った。結果は、表8に示す通りであった。
【0054】
【実施例5】
【0055】
工程S100~S200:実施例1の工程及び方法に従って高濃度廃液を作製し、前記高濃度廃液のホウ素濃度及びナトリウム/ホウ素のモル比は、表9に示す通りであった。
【0056】
工程S300:52部の市販のスラッジ固化剤STA-110(環鼎国際会社(EigenGreen International Inc.)製品)、36部のタイプIIのポルトランドセメント及び12部の試薬グレードの水酸化マグネシウムで、実施例1の工程に従って造粒剤粉末(造粒剤-D)を作製した。
【0057】
工程S300(S310~S320):実施例4の工程に従って表9の材料条件に基づいて行い、その中で、造粒剤/高濃度ホウ酸ナトリウム廃液の重量比は、平均で0.363であった。得られたホウ酸ナトリウム顆粒のホウ素含有量は、8.81wt%であり、50.39wt%のホウ酸含有量に相当した。顆粒の直径は、主に2~5mmの間に分布した。
【0058】
【0059】
工程S400:実施例4と同じ硬化可能スラリーを使用した。実施例4の工程に従って重量比が1であった硬化可能スラリー/ホウ酸ナトリウム顆粒を使用し、顆粒固化スラリー体を作製した。得られた固化スラリー体のホウ素含有量は、4.41wt%であり、25.2wt%のホウ酸含有量に相当した。測定後、固化スラリー体の比重は、1.88であったため、そのホウ素負荷率は、82.79kg/m3であり、473.5kg/m3のホウ酸負荷率に相当した。
【0060】
実施例1の工程に従って固化体サンプルの作製、養生及び性質試験を行った。結果は、表10に示す通りであった。
【0061】
【実施例6】
【0062】
工程S100~S200:実施例1の工程及び方法に従って高濃度廃液を作製し、前記高濃度廃液のホウ素濃度及びナトリウム/ホウ素のモル比は、表11に示す通りであった。本実施例では、固化体の浸出抵抗を測定するため、200ppmの硝酸コバルト六水和物及び100ppmの硝酸セシウムを高濃度廃液に添加してそれを実験群とし、硝酸コバルト六水和物及び硝酸セシウムを対照群に添加しなかった。
【0063】
工程S300(S310~S320):造粒剤-Aを使用した。実施例1の工程に従って表11の材料条件に基づいて工程S300を行った。実験群及び対照群は、それぞれ行った。得られたホウ酸ナトリウム顆粒のホウ素含有量は、3.57wt%であり、20.39wt%のホウ酸含有量に相当した。
【0064】
【0065】
工程S400:70部の市販の核廃棄物処理専用固化剤ECOCRETE-RS(環鼎国際会社(EigenGreen International Inc.)製品)及び30部の水を使用し、実施例1の工程に従って硬化可能スラリーを作製した。続いて、実施例1の工程に従って重量比が1.10であった硬化可能スラリー/ホウ酸ナトリウム顆粒を使用し、顆粒固化スラリー体を調製した。実験群及び対照群は、それぞれ行った。得られた固化体スラリー体のホウ素含有量は、3.57wt%であり、20.39wt%のホウ酸含有量に相当した。測定後、固化スラリー体の比重は、1.86であったため、そのホウ素負荷率は、66.32kg/m3であり、379.31kg/m3のホウ酸負荷率に相当した。
【0066】
実験群及び対照群は、それぞれ実施例1の工程に従って固化体サンプルの作製、養生及び性質試験を行い、且つ浸出液におけるコバルト及びセシウム元素の定量には、誘導結合プラズマ原子発光分光計(ICP-OES)を使用して浸出抵抗試験を行った。実験群の性質試験結果は、表12に示す通りであり、且つ全て性質標準要件を満たした。対照群の浸出液においては、コバルト及びセシウムの存在が検出されなかった。
【0067】
【0068】
実施例1~6では、全て工程S410に従ってホウ酸ナトリウム顆粒を顆粒固化体に形成したが、前述したように、工程S420に従ってホウ酸ナトリウム顆粒を圧縮ブロック固定体に形成することも可能である。ただし、固定体の性質規定は、固化体と異なり、通常は、一定の厚さの安定した外側封止層を備える必要があることが要求される。本発明の実施例は、作製された種々の硬化可能スラリーが、性質が優れた硬化体を形成し得、それで注いで圧縮ブロックを包囲・固定し、性質が優れた固定体を十分に生成し得ることを十分に証明した。
【0069】
要するに、本発明の処理方法は、性質が優れた、高ホウ素負荷率の廃棄物を作製し、廃棄物の体積減少を達することが可能である。なお、本発明の造粒方法は、周知の方法に比べ、簡単であり、実施しやすく、二次廃液を生成せず、放射性廃棄物の管理コストを大幅に低減することが可能である。
【0070】
本発明は、実施例で上述のように開示されたが、それが本発明を限定するものではない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、幾つかの変更及び修飾を加えることができる。そのため、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0071】
工程の符号:
S100 :廃液供給物の調製
S200 :低濃度廃液の濃縮
S300 :高濃度廃液の造粒
S400 :廃棄物パッケージの作製
S410 :固化体パッケージの作製
S420 :固定体パッケージの作製
材料の符号:
001 :元のホウ酸塩廃液
003 :低濃度廃液
004 :高濃度廃液
005 :造粒剤
006、006a、006b:ホウ酸塩顆粒
007a、007b :硬化可能スラリー原料
008a、008b :水+添加剤
009a、009b :硬化可能スラリー
010 :顆粒固化スラリー体
011 :顆粒圧縮ブロック
012a、012b :廃棄物樽
012c :通常容器
013 :固化体パッケージ
014 :固定体パッケージ