IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特許-ペットフード組成物およびその方法 図1
  • 特許-ペットフード組成物およびその方法 図2
  • 特許-ペットフード組成物およびその方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】ペットフード組成物およびその方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/163 20160101AFI20220819BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20220819BHJP
   A23K 20/142 20160101ALI20220819BHJP
【FI】
A23K20/163
A23K50/40
A23K20/142
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021078804
(22)【出願日】2021-05-06
(62)【分割の表示】P 2019534870の分割
【原出願日】2017-12-20
(65)【公開番号】P2021118741
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】62/439,205
(32)【優先日】2016-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ゲブレサラシー、エデン エフライム
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ジュエル、デニス
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/197714(WO,A1)
【文献】特開2001-008636(JP,A)
【文献】特表2011-527194(JP,A)
【文献】特開2016-079118(JP,A)
【文献】国際公開第2006/050585(WO,A1)
【文献】特表2001-502921(JP,A)
【文献】特開昭60-133852(JP,A)
【文献】特開2016-069495(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103829103(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵性繊維およびベタインを含む、健康なネコにおけるドコサヘキサエン酸塩(DHA)およびエイコサペンタエン酸塩(EPA)の循環レベルを増加させるためのペットフード組成物であって、
前記発酵性繊維が、短鎖フルクトオリゴ糖類(scFOS)およびβ-グルカンの混合物を含み、
前記β-グルカンが、前記ペットフード組成物の0.1~0.2重量%の量で存在し、
前記発酵性繊維が、2:1~4:1のscFOS対β-グルカンのモル比で存在し、
前記ベタインが、前記ペットフード組成物の0.03~1重量%の量で存在する、ペットフード組成物。
【請求項2】
前記β-グルカンがオート繊維である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記発酵性繊維が、3:1のscFOS対β-グルカンのモル比で存在する、請求項1 または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ベタインが、前記ペットフード組成物の0.1~0.8重量%の量で存在する、請 求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ベタインが、前記ペットフード組成物の0.5重量%で存在する、請求項4に記載 の組成物。
【請求項6】
前記scFOSが、前記ペットフード組成物の0.2~0.6重量%の量で存在する、 請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記scFOSが、前記ペットフード組成物の0.3~0.4重量%の量で存在する、 請求項6に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物、ならびにそれを使用
および作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腎不全は、腎臓の機能不良によって定義される。腎不全のペットは、腎臓と腸内微生物
叢の両方の変化によって生じる可能性のある腎臓病に関連する生理学的および胃腸の健康
状態の変化により、体重を維持する能力が低下し得る。腎疾患が進むにつれて、これはよ
り急性となり、筋肉質量および総質量の減少は、この疾患による健康および生命の喪失の
重大な因子である。
【0003】
腸内微生物叢を調節するためのプレバイオティクスの効果は十分に文書化されている。
腸内のプレバイオティクスの存在は、宿主に有益な短鎖脂肪酸を産生する糖分解菌の増殖
を助ける。これは、腎機能が悪化させる毒性のある窒素性の老廃物を主に産生するタンパ
ク質分解細菌の比率を減少させる(Sabatinoら、Enerl Dial Tra
nsplant、2014、1-10;Elliott、Vet Clin Small
Anim.、2006、36、1377-1384)。プレバイオティクスは、栄養吸
収を向上させることが報告されている(Yasudaら、 J Nutr.、2006、
136、3033-38)。別の方法として、他の研究では、飽満感および体重減少を誘
発するプレバイオティクスの使用が示されている(Birtら、Adv Nutr In
t Rev J.、2013、4、587-601)。同様に、ベタインは、腎臓(Li
uら、Mouse Planta Med.、2013、80(1)、39-47)に対
する浸透圧保護効果を有し、メチルドナーとしての役割を果たすことによりホモシステイ
ンのレベルを減少させることが知られている(McGregorら、2002、61(3
)、1040-6)。さらに、ベタインは、変性条件下でタンパク質構造を安定化させる
ためのシャペロンとして作用する(Ulanら、Clin Chem Lab Med、
2005、43(10)、1069-75)。しかしながら、プレバイオティクスもベタ
インも、体重または身体組成物を増加させることは知られていない(Parnellら、
Am J Clin Nutr.、2009、89(6)、1751-59)。
【0004】
プレバイオティクスは、腸内微生物叢の組成物および機能を調節する能力を通して腎臓
患者に利益を与える。腎臓患者は主にタンパク質分解タイプの細菌を有し、これは腸内の
インドールの産生の増加に寄与する。吸収されたインドールは、腎機能の低下と関連する
様々な形態のインドールに変換される。現在までに、腎臓病ネコのインドールを減少させ
る能力を有する成分の特定の組み合わせを示すレポートはない。
【0005】
現在のペットフード製品では、腎臓病ネコにおける健康関連の特性の改善が適切に提供
されていない。このような特性は、例えば、腎臓病ネコにおける総質量、骨塩量、筋肉お
よび/または脂肪を増加させるものである。また、こうした特性は、腎不全ネコの腸内の
インドールの減少に有用である。したがって、健康改善特性を提供するためのペットフー
ド組成物に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0006】
驚くべきことに、発酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物は、腎不全ネコ
に対する健康改善効果を保有することが見出されてきた。このようなペットフード組成物
は、腎不全ネコにおける総質量、骨塩量、筋肉および脂肪の予想外の増加を示す。また、
発酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物を与えた健康なネコが、全体量の増
加を呈しないことは驚きであり、意外な発見であった。また、こうしたペットフード組成
物は、腸内のインドールの予想外の減少を示す。発酵性繊維およびベタインを含むペット
フード組成物が尿毒素を減少させるか腎不全、すなわちP-クレゾール硫酸、を防止する
ことが、驚くべきことに、また意外にも見出された。さらに、発酵性繊維およびベタイン
を含むペットフード組成物が、ヒドロキシプロリンなどのコラーゲン分解と関連するマー
カーの循環レベルを減少させるか、または健康なネコにおいてコラーゲン分解を防止する
ことが、驚くべきことに、また意外にも見出された。また、発酵性繊維およびベタインを
含むペットフード組成物が、健康なネコにおけるオメガ-3脂肪酸(例えば、ドコサヘキ
サエン酸およびエイコサペンタエン酸塩)の循環レベルを増加させることが、驚くべきこ
とに、また意外にも見出された。
【0007】
一実施形態では、ペットフード組成物は、発酵性繊維およびベタインを含み得る。特定
の実施形態では、組成物は、短鎖フルクトオリゴ糖(scFOS)とβ-グルカンの混合
物を含み得る。さらなる実施形態では、β-グルカンはオート繊維である。特定の実施形
態では、β-グルカンは、ペットフード組成物の0.1~0.2重量%の量で存在する。
特定の実施形態では、発酵性繊維は、scFOS対β-グルカンが2:1~4:1のモル
比で存在し得る。さらなる実施形態では、発酵性繊維は、scFOS対β-グルカンが3
:1のモル比で存在し得る。特定の実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の0
.03~1重量%の量で存在し得る。さらなる実施形態では、ベタインは、ペットフード
組成物の0.1~0.8重量%の量で存在し得る。さらなる実施形態では、ベタインは、
ペットフード組成物の0.5重量%で存在し得る。特定の実施形態では、scFOSは、
ペットフード組成物の0.2~0.6重量%の量で存在し得る。さらなる実施形態では、
scFOSは、ペットフード組成物の0.3~0.4重量%の量で存在し得る。
【0008】
一実施形態では、腎不全を有するネコの体重を増加させる方法が開示される。方法は、
発酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物の有効量を提供することを含み得る
。特定の実施形態では、ペットフード組成物の発酵性繊維は、短鎖フルクトオリゴ糖(s
cFOS)とβ-グルカンの混合物を含み得る。さらなる実施形態では、β-グルカンは
オート繊維である。特定の実施形態では、β-グルカンは、ペットフード組成物の0.1
~0.2重量%の量で存在し得る。特定の実施形態では、発酵性繊維は、scFOS対β
-グルカンが2:1~4:1のモル比で存在し得る。さらなる実施形態では、発酵性繊維
は、scFOS対β-グルカンが3:1のモル比で存在し得る。特定の実施形態では、ベ
タインは、ペットフード組成物の0.03~1重量%の量で存在し得る。さらなる実施形
態では、ベタインは、ペットフード組成物の0.1~0.8重量%の量で存在し得る。さ
らなる実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の0.5重量%で存在し得る。特
定の実施形態では、scFOSは、ペットフード組成物の0.2~0.6重量%の量で存
在し得る。さらなる実施形態では、scFOSは、ペットフード組成物の0.3~0.4
重量%の量で存在し得る。
【0009】
一実施形態では、腎不全を有するネコのインドールを減少する方法が提供される。方法
は、発酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物の有効量を提供することを含み
得る。特定の実施形態では、発酵性繊維は、短鎖フルクトオリゴ糖(scFOS)とβ-
グルカンの混合物を含み得る。さらなる実施形態では、β-グルカンはオート繊維である
。特定の実施形態では、β-グルカンは、ペットフード組成物の0.1~0.2重量%の
量で存在し得る。特定の実施形態では、発酵性繊維は、scFOS対β-グルカンが2:
1~4:1のモル比で存在し得る。さらなる実施形態では、発酵性繊維は、scFOS対
β-グルカンが3:1のモル比で存在し得る。特定の実施形態では、ベタインは、ペット
フード組成物の0.03~1重量%の量で存在し得る。さらなる実施形態では、ベタイン
は、ペットフード組成物の0.1~0.8重量%の量で存在し得る。さらなる実施形態で
は、ベタインは、ペットフード組成物の0.5重量%で存在し得る。特定の実施形態では
、scFOSは、ペットフード組成物の0.2~0.6重量%の量で存在し得る。さらな
る実施形態では、scFOSは、ペットフード組成物の0.3~0.4重量%の量で存在
し得る。
【0010】
一実施形態では、尿毒素を減少させるための方法、または健康なネコの腎不全を防止す
る方法が提供される。方法は、発酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物の有
効量を提供することを含み得る。特定の実施形態では、発酵性繊維は、短鎖フルクトオリ
ゴ糖(scFOS)とβ-グルカンの混合物を含み得る。さらなる実施形態では、β-グ
ルカンはオート繊維である。特定の実施形態では、β-グルカンは、ペットフード組成物
の0.1~0.2重量%の量で存在し得る。特定の実施形態では、発酵性繊維は、scF
OS対β-グルカンが2:1~4:1のモル比で存在し得る。さらなる実施形態では、発
酵性繊維は、scFOS対β-グルカンが3:1のモル比で存在し得る。特定の実施形態
では、ベタインは、ペットフード組成物の0.03~1重量%の量で存在し得る。さらな
る実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の0.1~0.8重量%の量で存在し
得る。さらなる実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の0.5重量%で存在し
得る。特定の実施形態では、scFOSは、ペットフード組成物の0.2~0.6重量%
の量で存在し得る。さらなる実施形態では、scFOSは、ペットフード組成物の0.3
~0.4重量%の量で存在し得る。
【0011】
一実施形態では、コラーゲン分解と関連するマーカーの循環レベルを減少させる方法、
または健康なネコにおけるコラーゲン分解を防止する方法が提供される。方法は、発酵性
繊維およびベタインを含むペットフード組成物の有効量を提供することを含み得る。特定
の実施形態では、発酵性繊維は、短鎖フルクトオリゴ糖(scFOS)とβ-グルカンの
混合物を含み得る。さらなる実施形態では、β-グルカンはオート繊維である。特定の実
施形態では、β-グルカンは、ペットフード組成物の0.1~0.2重量%の量で存在し
得る。特定の実施形態では、発酵性繊維は、scFOS対β-グルカンが2:1~4:1
のモル比で存在し得る。さらなる実施形態では、発酵性繊維は、scFOS対β-グルカ
ンが3:1のモル比で存在し得る。特定の実施形態では、ベタインは、ペットフード組成
物の0.03~1重量%の量で存在し得る。さらなる実施形態では、ベタインは、ペット
フード組成物の0.1~0.8重量%の量で存在し得る。さらなる実施形態では、ベタイ
ンは、ペットフード組成物の0.5重量%で存在し得る。特定の実施形態では、scFO
Sは、ペットフード組成物の0.2~0.6重量%の量で存在し得る。さらなる実施形態
では、scFOSは、ペットフード組成物の0.3~0.4重量%の量で存在し得る。
【0012】
一実施形態では、健康なネコにおけるオメガ-3脂肪酸(例えば、ドコサヘキサエン酸
およびエイコサペンタエン酸)の循環レベルを増加させる方法が提供される。方法は、発
酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物の有効量を提供することを含み得る。
特定の実施形態では、発酵性繊維は、短鎖フルクトオリゴ糖(scFOS)とβ-グルカ
ンの混合物を含み得る。さらなる実施形態では、β-グルカンはオート繊維である。特定
の実施形態では、β-グルカンは、ペットフード組成物の0.1~0.2重量%の量で存
在し得る。特定の実施形態では、発酵性繊維は、scFOS対β-グルカンが2:1~4
:1のモル比で存在し得る。さらなる実施形態では、発酵性繊維は、scFOS対β-グ
ルカンが3:1のモル比で存在し得る。特定の実施形態では、ベタインは、ペットフード
組成物の0.03~1重量%の量で存在し得る。さらなる実施形態では、ベタインは、ペ
ットフード組成物の0.1~0.8重量%の量で存在し得る。さらなる実施形態では、ベ
タインは、ペットフード組成物の0.5重量%で存在し得る。特定の実施形態では、sc
FOSは、ペットフード組成物の0.2~0.6重量%の量で存在し得る。さらなる実施
形態では、scFOSは、ペットフード組成物の0.3~0.4重量%の量で存在し得る
【0013】
特定の実施形態では、前述の組成物及び方法のいずれかに記載される成分を組み合わせ
ることによって得られるか、又は得ることができるペットフード組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、対照対象の総質量を引いた試験対象の総質量対試験対象の総質量と対照対象の総質量の平均の差をプロットしたグラフである。
【0015】
図2図2Aは、対照対象の骨塩量(BMC)を引いた試験対象のBMC対試験対象と対照対象のBMCの平均をプロットしたグラフである。図2Bは、対照対象の除脂肪量を引いた試験対象の除脂肪量対試験対象と対照対象の除脂肪量の平均をプロットしたグラフである。図2Cは、対照対象の総脂肪量を引いた試験対象の総脂肪量対試験対象と対照対象両方の総脂肪量の平均をプロットしたグラフである。
【0016】
図3図3は、時点の食事の最小二乗(LS)平均値対特定のインドール化合物を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
様々な典型的な態様の以下の説明は、本質的に単に例示的であり、かつ、いかなる点に
おいても本開示、その適用、または使用を制限することは意図されていない。
【0018】
さらに、本明細書内で引用される参照文献は全て、その全体が参照により本明細書に組
み込まれる。本開示における定義と、引用された参照文献における定義に矛盾がある場合
、本開示が支配する。
【0019】
全体を通して使用されている通り、範囲は、その範囲内にある各値及び全ての値を示す
ための省略表現として使用される。範囲内の任意の値を、その範囲の末端として選択する
ことができる。
【0020】
特に明記しない限り、本明細書で与えられる組成物構成要素のすべての割合は、合計組
成物又は配合重量の100%に基づいた重量である。
【0021】
本明細書で使用される場合、「好ましい」及び「好ましくは」という語は、特定の状況
下で特定の利益をもたらす実施形態を指す。しかし、同一又はその他の状況下で、他の実
施形態も好ましい場合がある。さらに、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の
実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を
除外することを意図していない。
【0022】
本明細書で使用される場合、「食物」という用語は、全てではないが、一般的にはコン
パニオン動物に対する栄養価を提供する食品を指してもよいが、軽食、ご馳走、補助食品
などの物品も指すこともできる。
【0023】
「有効量」という用語は本明細書で使用される場合、例えば、腎不全ネコにおいて総質
量、骨塩量、筋肉および/または脂肪を増加させるため、または腎不全ネコの腸内のイン
ドールを減少させるため、などの意図された目的を達成するのに十分な量であり得る組成
物の量を意味する。こうした効果的な活性は、例えば、本開示の組成物の動物への投与に
よって達成され得る。有効量は、動物の理想的重量、組成物の代謝可能なエネルギー、並
びに本開示の一つ以上の組成物を動物に与える頻度、例えば、一日一回、二回、又は三回
、及び動物に供給される他の組成物を含む、いくつかの因子に基づいてもよい。
【0024】
本明細書で提供される組成物及び配合物は、当該技術分野で通常のように、その成分を
参照して説明及び特許請求される。当業者にとって明らかであるように、成分は、いくつ
かの場合にお互いに反応してもよく、その結果、最終配合の真の組成物は、列挙した成分
に正確に対応しない場合がある。したがって、本開示の実施形態は、列挙した成分の組み
合わせの製品に拡大することが理解されるべきである。
【0025】
「発酵性繊維」は、消化および小腸における吸収に抵抗性のある植物部分または炭水化
物であってもよく、結腸微生物によって発酵され得る。発酵性繊維の例には、短鎖フルク
トオリゴ糖(scFOS)、ガラクトオリゴ糖類(GOS)、オリゴフルクタンなどの単
純糖質、および長鎖イヌリンなどの複合多糖類、β-グルカン、ペクチン、例えばりんご
ジュースかす、トマトジュースかす、クランベリージュースかす、ビートパルプおよび柑
橘類ジュースかすなど繊維の豊富な果実や野菜抽出物が含まれ得る。
【0026】
驚くべきことに、発酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物は、腎不全ネコ
に対する健康改善効果を保有することが見出されてきた。このようなペットフード組成物
は、腎不全ネコにおける総質量、骨塩量、筋肉および脂肪の予想外の増加を示す。また、
発酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物を与えた健康なネコが、全体量の増
加を呈しないことは驚きであり、意外な発見であった。また、こうしたペットフード組成
物は、腸内のインドールの予想外の減少を示す。発酵性繊維およびベタインを含むペット
フード組成物が尿毒素を減少させるか腎不全、すなわちP-クレゾール硫酸、を防止する
ことが、驚くべきことに、また意外にも見出された。さらに、発酵性繊維およびベタイン
を含むペットフード組成物が、ヒドロキシプロリンなどのコラーゲン分解と関連するマー
カーの循環レベルを減少させるか、または健康なネコにおいてコラーゲン分解を防止する
ことが、驚くべきことに、また意外にも見出された。また、発酵性繊維およびベタインを
含むペットフード組成物が、健康なネコにおけるオメガ-3脂肪酸(例えば、ドコサヘキ
サエン酸およびエイコサペンタエン酸塩)の循環レベルを増加させることが、驚くべきこ
とに、また意外にも見出された。
【0027】
ペットフード組成物は、発酵性繊維およびベタインを含み得る。特定の実施形態では、
発酵性繊維は、短鎖フルクトオリゴ糖(scFOS)、ガラクトオリゴ糖類(GOS)、
オリゴフルクタンなどの単純糖質、および長鎖イヌリンなどの複合多糖類、β-グルカン
、ペクチン、例えばりんごジュースかす、トマトジュースかす、クランベリージュースか
す、ビートパルプおよび柑橘類ジュースかすなど繊維の豊富な果実や野菜抽出物から選択
され得る。特定の実施形態では、発酵性繊維は、単一の種の発酵性繊維であり得る。さら
なる実施形態において、発酵性繊維は混合され得る。特定の実施形態では、組成物は、0
.2~0.6重量%の発酵性繊維を含み得る。特定の実施形態では、組成物は、0.3~
0.4重量%の発酵性繊維を含み得る。
【0028】
特定の実施形態では、発酵性繊維は、短鎖フルクトオリゴ糖(scFOS)とβ-グル
カンの混合物を含み得る。特定の実施形態では、scFOSおよびβ-グルカンは、2:
1~4:1の重量比で混合され得る。特定の実施形態では、scFOSおよびβ-グルカ
ンは、3:1の重量比、すなわち0.387%のscFOSおよび0.129%のβ-グ
ルカンで混合され得る。
【0029】
β-グルカンは、細菌、真菌、酵母、藻類、地衣類ならびにオーツ麦および大麦などの
植物の細胞壁に見出される糖であり得る。β-グルカンは、当業者に公知の任意の供給源
からのものとし得る。好ましい実施形態では、β-グルカンはオート繊維である。特定の
実施形態では、β-グルカンは、ペットフード組成物の0.05~0.5重量%の量で存
在する。特定の実施形態では、β-グルカンは、ペットフード組成物の0.01~0.3
重量%の量で存在する。特定の実施形態では、β-グルカンは、ペットフード組成物の0
.1~0.2重量%の量で存在する。
【0030】
特定の実施形態では、組成物は、ペットフード組成物の0.03~1重量%の量でベタ
インを含み得る。特定の実施形態では、組成物は、0.05~0.8重量%の量でベタイ
ンを含み得る。特定の実施形態では、組成物は、ペットフード組成物の0.1~0.8重
量%の量でベタインを含み得る。さらなる実施形態では、組成物は、ペットフード組成物
の0.5重量%でベタインを含み得る。
【0031】
特定の実施形態では、組成物はscFOSとオート繊維を3:1の重量比で含み得る。
さらなる実施形態では、組成物は、scFOSとオート繊維を3:1の重量比で、および
0.5重量%でベタインを含み得る。さらなる実施形態では、組成物は、3:1重量比で
合計0.5重量%を有するscFOSおよびオート繊維、および0.5重量%でベタイン
を含み得る。
【0032】
一部の実施形態では、発酵性繊維およびベタインは、ペットフード組成物の約0.00
07~3重量%の合計量で存在し得る。さらなる実施形態では、発酵性繊維およびベタイ
ンは、ペットフード組成物の約0.001~0.05重量%の合計量で存在し得る。さら
なる実施形態では、発酵性繊維およびベタインは、ペットフード組成物の約0.003~
0.011重量%の合計量で存在し得る。さらなる実施形態では、発酵性繊維およびベタ
インは、ペットフード組成物の約0.005~0.009重量%の合計量で存在し得る。
さらなる実施形態では、発酵性繊維およびベタインは、ペットフード組成物の約0.00
7~0.01重量%の合計量で存在し得る。特定の実施形態では、発酵性繊維およびベタ
インは、ペットフード組成物の約1重量%の量で存在し得る。
【0033】
特定の態様では、腎不全を有するネコの体重を増加させる方法が開示される。方法は、
発酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物の有効量を提供することを含み得る
。特定の実施形態では、ペットフード組成物はscFOSとオート繊維を3:1の重量比
で含み得る。さらなる実施形態では、ペットフード組成物はscFOSとオート繊維を3
:1の重量比で、および0.5重量%のベタインを含み得る。さらなる実施形態では、方
法は、3:1重量比で合計0.5重量%を有するscFOSおよびオート繊維、および0
.5重量%でベタインを含む組成物を与えることを含み得る。
【0034】
特定の態様では、腎不全を有するネコのインドールを減少する方法が開示される。方法
は、発酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物の有効量を提供することを含み
得る。特定の実施形態では、ペットフード組成物はscFOSとオート繊維を3:1の重
量比で含み得る。さらなる実施形態では、方法は、3:1重量比で合計0.5重量%を有
するscFOSおよびオート繊維、および0.5重量%でベタインを含む組成物を与える
ことを含み得る。
【0035】
特定の態様では、尿毒素を減少させるための方法、または健康なネコの腎不全を防止す
る方法が開示される。方法は、発酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物の有
効量を提供することを含み得る。特定の実施形態では、ペットフード組成物のscFOS
とオート繊維は3:1の重量比である。さらなる実施形態では、方法は、3:1重量比で
合計0.5重量%を有するscFOSおよびオート繊維、および0.5重量%でベタイン
を含む組成物を与えることを含み得る。
【0036】
特定の態様では、コラーゲン分解と関連するマーカーの循環レベルを減少させる方法、
または健康なネコにおけるコラーゲン分解を防止する方法が開示される。方法は、発酵性
繊維およびベタインを含むペットフード組成物の有効量を提供することを含み得る。特定
の実施形態では、方法は、scFOSおよびオート繊維を3:1重量比で有するペットフ
ード組成物を与えることを含み得る。さらなる実施形態では、方法は、3:1重量比で合
計0.5重量%を有するscFOSおよびオート繊維、および0.5重量%でベタインを
含む組成物を与えることを含み得る。
【0037】
特定の態様では、健康なネコにおけるオメガ-3脂肪酸(例えば、ドコサヘキサエン酸
およびエイコサペンタエン酸)の循環レベルを増加させる方法が開示される。方法は、発
酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物の有効量を提供することを含み得る。
特定の実施形態では、方法は、scFOSおよびオート繊維を3:1重量比で有するペッ
トフード組成物を与えることを含み得る。さらなる実施形態では、方法は、3:1重量比
で合計0.5重量%を有するscFOSおよびオート繊維、および0.5重量%でベタイ
ンを含む組成物を与えることを含み得る。
【0038】
ペットフード組成物は、タンパク質、脂肪、炭水化物、食物繊維、および/または栄養
バランス剤を含み得る。組成物中の各成分に対する特定の適切な量は、組成物を消費する
動物の種、組成物に含まれる特定の成分、動物の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、
食事、動物の消費速度など、様々な因子に依存する。従って、成分の量は大きく変化し得
、本明細書で説明した比率から逸脱する場合もあり得る。
【0039】
「栄養的に完全な食事」とは、食事に関して、健康な動物の通常の健康を維持するのに
十分な栄養素を含み得る食事である。特定の態様では、ペットフード組成物は、栄養的に
完全な食事および/またはバランスのとれた食品の食事と混合され得る。
【0040】
例えば、栄養的に完全でバランスのとれたドッグフード組成物は、約0~約90重量%
、好ましくは約5%~60重量%の炭水化物;約5%~約70重量%、好ましくは約10
%~約60重量%、より好ましくは約20%~約50重量%のタンパク質;約1%~約5
0重量%、好ましくは約2%~約40重量%、より好ましくは約3%~約15重量%の脂
肪;約0.1%~約40重量%、好ましくは約1%~約30重量%、より好ましくは約1
5%~約50重量%の全食物繊維;約0~約15重量%、好ましくは約2%~約8重量%
のビタミン及び鉱物、抗酸化剤、並びに動物の栄養ニーズを支持する他の栄養素を含み得
る。
【0041】
植物源、動物源、又は両方を含む、当業者に公知の任意の種々の供給源により、タンパ
ク質を供給してもよい。動物源としては、例えば、肉、食肉副産物、海産物、乳製品、卵
などが挙げられ得る。肉には、例えば、鶏肉、魚及び哺乳類(例えば、ウシ、ブタ、ヒツ
ジ、ヤギ等)の肉が含まれ得る。食肉副産物としては、例えば、肺、腎臓、脳、肝臓、並
びに胃及び腸(取り出したもの全て、又は本質的にこれらの中身全て)が挙げられる。タ
ンパク質はインタクトであり、殆ど完全に加水分解されているか、部分的に加水分解され
ていることができる。本明細書に開示される組成物の「粗タンパク質」の量は、当業者に
周知の方法に従って組成物の窒素の量に基づいて決定され得る。本明細書で意図されるよ
うに、組成物は、約5%~約70%のタンパク質、約10%~約60%のタンパク質、約
20%~約50%のタンパク質、約25%~約40%のタンパク質、及び約29%~約3
8%のタンパク質を含み得る。
【0042】
特定の実施形態では、本明細書に開示される栄養的に完全なペットフード組成物は、脂
肪を含み得る。組成物の脂肪源は、肉、食肉副産物、魚油、及び植物を含む、当業者に公
知の任意の種々の供給源によって供給され得る。植物性脂肪源としては、小麦、亜麻仁、
ライ麦、大麦、コメ、モロコシ、トウモロコシ、オート麦、アワ、コムギ胚芽、トウモロ
コシ胚、大豆、ピーナッツ、及び綿実、並びにこれら及び他の植物性脂肪源由来の油が挙
げられる。本明細書で意図されるように、組成物は、約1%~約20%の脂肪、約2%~
約18%の脂肪、約3%~約15%の脂肪、約7%~約14%の脂肪、及び約9%~約1
2%の脂肪を含み得る。
【0043】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるペットフード組成物は脂肪および炭水化物
を含み得る。脂肪および炭水化物食品成分は、動物脂肪、魚油、植物油、肉、肉副産物、
穀粒、その他の動物または植物源、およびそれらの混合物などの様々な供給源から得られ
る。穀物は、小麦、トウモロコシ、大麦、およびイネを含み得る。
【0044】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるペットフード組成物は繊維を含み得る。繊
維食品成分は、例えば、セルロース、ビートパルプ、落花生殻、および大豆繊維の植物繊
維源など様々な供給源から得られる。
【0045】
組成物は当該技術分野で公知の添加剤をさらに含有してもよい。こうした添加剤は、発
酵性繊維およびベタインによって提供される目的および効果を損なわない量で存在し得る
ことが好ましい。意図される添加剤の例としては、例えば、体重管理に関して機能的に有
益であり得る物質、安定化効果のある物質、加工助剤、嗜好性を高める物質、着色性物質
、及び栄養利益を提供する物質が挙げられ得る。
【0046】
体重管理に利益をもたらすことができると考えられる物質として、例えば、非発酵性繊
維、カルニチン、ピコリン酸クロム等が挙げられ得る。
【0047】
意図される安定化物質として、例えば、組成物の貯蔵寿命を増加させる傾向にある物質
が挙げられ得る。このような物質の潜在的に適切な例として、例えば、防腐剤、抗酸化剤
、協力剤及び捕捉剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、並びに湿潤剤が挙
げられ得る。乳化剤及び/又は増粘剤の例として、例えば、ゼラチン、セルロースエーテ
ル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、及び修飾デンプンが挙げられる。
【0048】
着色、嗜好性、及び栄養の目的のための意図される添加剤として、例えば、着色剤、酸
化鉄、塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、及びその他の食用塩類、ビタ
ミン、鉱物、及び香料を含み得る。組成物中のこのような添加剤の量は、一般的には、最
大5%(組成物の乾量基準)である。
【0049】
補助食品として、例えば、全体の栄養バランス又は性能を改善するために別の餌と共に
使用される餌が含まれ得る。意図される補助食品には、他の餌に補助食品として無希釈に
与えられ得、別個に使用可能な動物の配給量の他の部による自由選択を提供し、又は動物
の通常の餌で希釈し、混合して完全な餌を作製する組成物が含まれ得る。米国飼料検査官
協会(AAFCO)の協会は、例えば、米国飼料検査官協会公式出版物、p.220(2
003)において補助食品に関する考察を提供する。補助食品は、例えば、粉末、液体、
シロップ、ピル等を含む様々な形態であってもよい。
【0050】
発酵性繊維およびベタインを含むペットフード組成物を製造するための方法が提供され
る。特定の実施形態では、ペットフード組成物は固体又は液体の形態であってもよい。特
定の実施形態では、ペットフード組成物は乾燥形態又は湿式形態であってもよい。
【0051】
組成物は、従来のペットフードのプロセスを使用して、缶詰又は湿式形態で調製され得
る。意図される一実施形態では、すりつぶした動物及び家禽のタンパク質組織を、魚油、
穀物、他の栄養バランスのとれた成分、特定の目的の添加剤(例えばビタミンと鉱物の混
合物、無機塩、セルロース及びビートパルプ、増量剤等)を含む他の成分と混合し、加工
に十分な量の水も加える。これらの成分は、成分を混合しながら加熱に好適な容器で混合
するのが好ましい。例えば直接蒸気注入、又は熱交換器を備えた容器を使用する等の、任
意の好適な方法を使用して、混合物の加熱を行ってよい。最後の成分の添加後、混合物は
約50°F~約212°Fの温度範囲に加熱される。この範囲外の温度は許容可能である
が、他の加工助剤を使用しないと商業的に実用的でない場合がある。適切な温度まで加熱
をすると、材料は通常、粘性液体の形態となるであろう。粘性液体を缶に詰める。蓋を付
け、容器を密閉する。次いで、密閉した缶を、内容物を滅菌するために設計した従来の装
置の中に配置する。これは通常、約230°Fを超える温度まで、適切な時間加熱するこ
とにより達成することができ、この時間は例えば、使用する温度及び組成物に依存する。
【0052】
組成物は、従来のプロセスを使用して乾燥形態で調製され得る。一つの意図された実施
形態では、例えば、動物タンパク質源、植物タンパク質源、穀物などを含む乾燥成分は、
粉砕され、まとめて混合され得る。次いで、脂肪、油、動物タンパク質源、水などを含む
湿性又は液体成分を加え、乾燥混合物と混合してもよい(意図された実施形態には、発酵
性繊維およびベタインが含まれ得る)。次に、混合物をキブルまたは類似の乾燥片へと加
工する。このプロセスでは、乾燥成分と湿性成分との混合物を、高圧及び高温にて機械操
作にかけ、小径の開口部から押し出して、回転ナイフによりキブルに切断する。次に、湿
性キブルを乾燥させて、所望により、例えばフレーバー、脂肪、油類、粉末等を含んでよ
い、一種以上の局所コーティング材でコーティングする。キブルはまた、押出成形ではな
くベーキング法を用いてドウより作製することができ、この方法では、ドウをモールド内
に配置した後、乾燥加熱プロセスを行う。
【0053】
特定の実施形態では、発酵性繊維およびベタインは、動物のおやつに含まれ得る。おや
つは、例えばイヌ向けの犬用の骨など、食事の時間ではない間に、動物に食欲を起こさせ
るために与えられる組成物が含まれ得る。おやつは栄養があってよく、組成物は一種以上
の栄養素を含み、食物に関して上で記載した組成物を有し得る。無栄養のおやつは、毒性
のない任意の他のおやつを含む。発酵性繊維およびベタインは、おやつ上にコーティング
されてもよく、おやつに組み込まれてもよく、またはその両方であってもよい。
【0054】
特定の実施形態では、発酵性繊維およびベタインは、動物のおもちゃに含まれ得る。お
もちゃは人工骨などの噛むことのできるものを含み得る。発酵性繊維およびベタインは、
おもちゃの表面上またはおもちゃの成分の表面上にコーティングを形成することができ、
おもちゃの一部にまたはおもちゃ全体に、またはその両方に組み込むことができる。一実
施形態では、発酵性繊維およびベタインは、意図されるユーザーによって経口的にアクセ
ス可能である。例えば、米国特許第5,339,771号、米国特許第5,419,28
3号、およびその中に開示される参考文献など、現在市販されている広範な好適なおもち
ゃがある。発酵性繊維およびベタインは、例えば、プラスチック成分を含むおもちゃなど
の部分的に消費可能なおもちゃ、および例えば、ローハイドおよび種々の人工骨など完全
に消費可能なおもちゃの両方に提供され得る。さらに、発酵性繊維およびベタインは、特
にコンパニオン、農場、および動物園動物における使用、特にイヌ、ネコ、または鳥類に
おける使用など、ヒトおよび非ヒト両方の使用のためのおもちゃに提供され得る。
【0055】
組成物の調製において、成分は、発酵性繊維およびベタインが組成物の重量の少なくと
も0.01%、好ましくは約0.01%~約4%、最も好ましくは約0.5%~約2%の
濃度で組成物中に存在し得るように、調節され得る。発酵性繊維およびベタインは、組成
物の他の成分の混合の間及び/又は混合後というように、配合物の加工中に組成物中に組
み込まれ得る。これらの成分の組成物への分配は、従来の手段により達成される。
【0056】
本明細書に記載される実施例およびその他の実施は、例示的であり、本開示の組成物お
よび方法の全範囲の説明を限定するものではない。特定の実施、材料、組成物、および方
法の同等の変更、修正および変形は、実質的に類似した結果を伴って、本開示の範囲内で
行われてもよい。
【実施例
【0057】
実施例1-発酵性繊維およびベタインを含む食品の動物試験
全部で七匹の腎不全ネコが、対照食品(酒米、豚脂、鶏、卵製品、全粒コーン、乾燥ビ
ートパルプ、鶏レバー風味、粉末セルロース、メンヘーデン魚粉、乳酸、炭酸カルシウム
、塩化カリウム、塩化コリン、クエン酸カリウム、ビタミン(ビタミンEサプリメント、
L-アスコルビル-2-ポリホスフェート(ビタミンC源)、ナイアシンサプリメント、
一硝酸チアミン、ピリドキシン塩酸塩、カルシウムパントテン酸、ビタミンAサプリメン
ト、リボフラビンサプリメント、ビタミンB12サプリメント、ビオチン、葉酸、ビタミ
ンD3サプリメント)ヨウ素添加塩、タウリン、ミネラル(硫酸第一鉄、酸化亜鉛、硫酸
銅、酸化第一マンガン、ヨウ素酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム)鮮度保持のための
混合トコフェロール、L-トリプトファン、DL-メチオニン)で維持された。試験食品
は、対照食品中に存在するすべての成分に加えて、ベタイン(0.5重量%)および発酵
性繊維束を含んだ。試験食品中の発酵性繊維は、3対1の比の発酵性単繊維(0.387
重量%)と複合発酵性繊維(β-グルカン、0.129重量%)から構成された。ネコは
4匹の試験群と3匹の対照群に分けられた。対照群のネコは、二ヶ月間対照食品が与えら
れた。試験群のネコは、同じ期間の間、試験食品が与えられた。二か月後、対照群のネコ
に試験食品が与えられる一方、試験群のネコが次の二ヶ月間対照食品を与えられるように
、クロスオーバーが実施された。二ヶ月の給餌期間の終了時に、デュアル-エネルギーX
線吸収法(DEXA)測定値を取り、対照食品群対試験食品群における腎臓病ネコの体組
成を比較した。
【0058】
この検討では、試験食品を与えられたネコは、対照食品5162グラム(標準誤差39
.6)と比較して5328グラムの平均重量をもたらした試験食品によって、有意に高い
体質量(p<0.01)を有した。すべてのネコが、対照食品と比較して、試験食品(図
1参照)において体重が多いことを示した。これは、骨、除脂肪量および脂肪量の増加の
結果である(図2参照)。両方の処置で同様の食品摂取が観察されたが、これは結果が食
品摂取の変化に対する反応ではないことを示唆していた。
実施例2-インビボインドールに対する発酵性繊維およびベタインの効果
【0059】
この分析は、二ヶ月の給餌期間の両方の終了時に、実施例1のネコから収集された血液
サンプルを使用して実施された。尿毒素の相対濃度を分析し、図3に結果を示した。
実施例3
【0060】
実施例1の対照食品および試験食品を、健康なネコで評価した。特に16匹の健康なネ
コが、対照群または試験群に無作為に割り当てられ、対照食品または試験食品をそれぞれ
二か月間与えられた。各群における健康なネコの体重を毎週測定し、毎月末に血液サンプ
ルを採取した。尿毒素、すなわち、P-クレゾール硫酸の量は、血液サンプルからヒドロ
キシプロライン及びオメガ-3脂肪酸、ドコサヘキサエン酸塩(DHA)及びエイコサペ
ンタエン酸塩(EPA)のレベルと共に測定された。健康なネコに対するペットフード組
成物の評価の結果を表1に要約する。
表1
【表1】

【0061】
表1に示すように、健康なネコの給餌は健康なネコの体重に有意な影響を与えなかった
(P=0.57)。したがって、実施例1における腎不全を有するネコの体重の増加は、
試験食品のベタインおよび発酵性繊維の存在/添加に起因することが理解されるべきであ
る。特に、試験食品を与えることで、体重の有意な増加がもたらされる。
【0062】
表1はまた、試験食品を健康なネコに与えることが、P-クレゾール硫酸の循環レベル
を有意に減少させたことを示した(P=0.004)。P-クレゾールは、腸細菌による
チロシン及びフェニルアラニンなどの芳香族アミノ酸の微生物発酵の副産物であることが
理解されるべきである。肝臓では、P-クレゾールはP-クレゾール硫酸に変換され、そ
の後腎臓によって除去される。P-クレゾール硫酸は、腎機能を低下させることが知られ
ている尿毒素である。したがって、結果は、驚くべきことに、また予想外にも、健康なネ
コに試験食品を与えることによって、健康なネコにおける腎機能の低下の予防または腎不
全の予防がされ得ることを示している。
【0063】
表1はさらに、試験食品を健康なネコに与えることが、ヒドロキシプロリンの循環レベ
ルを有意に減少させることを示した(P=0.0001)。ヒドロキシプロリンは、腎線
維症に関連付けられたコラーゲン分解のマーカーであり、ヒドロキシプロリンの血中レベ
ルが増加したことは、損傷後の腎臓の再生能力が限定的であることを示すと理解されるべ
きである。したがって、結果は、驚くべきことに、また予想外にも、健康なネコに試験食
品を与えることによって、コラーゲンの完全性が改善され、腎臓の健康状態が改善され、
損傷後の腎臓の再生を促進されることを示している。
【0064】
表1はまた、試験食品を健康なネコに与えることが、DHA(P=0.0005)およ
びEPA(P=0.187)の循環レベルを有意に増加させることを示した。DHAおよ
びEPAなどのオメガ-3脂肪酸の循環レベルを増加させることは、全体的な健康の改善
に寄与し得ることが理解されるべきである。例えば、オメガ-3脂肪酸の循環レベルの増
加は、心血管機能、免疫機能、認知機能、および他の機能を改善し得る。対照および試験
食品の両方は、実質的に同様のレベル/量のDHA(0.03重量%)およびEPA(0
.02重量%)を有したことがさらに理解されるべきである。したがって、試験食品を与
えた際に増加したオメガ-3脂肪酸の循環は、まさに驚くべき、予想外のものである。理
論に束縛されるものではないが、試験食品へのベタインおよび発酵性繊維の添加は、オメ
ガ-3脂肪酸の吸収の増加および/または分解の減少をもたらし得ると考えられる。
【0065】
本発明は、実施形態に関して記述してきたが、その種々の改変及び変更が本発明の要旨
を逸脱しない範囲でその中に行われてもよいことが当業者には理解されよう。
図1
図2
図3