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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】乗物
(51)【国際特許分類】
   B62J 50/26 20200101AFI20220819BHJP
   B60R 13/10 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
B62J50/26
B60R13/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021097882
(22)【出願日】2021-06-11
【審査請求日】2022-01-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】牧村 和樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏志
(72)【発明者】
【氏名】中島 健志
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 将
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特許第6814501(JP,B1)
【文献】欧州特許出願公開第03231699(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0214675(US,A1)
【文献】特開2008-094361(JP,A)
【文献】米国特許第6556337(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0200130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 50/26
B60R 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物の走行モードを、原動機が出力した動力で走行する駆動モード、及び、前記駆動モードでの出力よりも出力が抑制された抑制モードの間で切替可能な制御部と、
前記駆動モードでの走行のための識別情報が表示された表示部材と、
を備え、
前記表示部材を表示有効状態と表示無効状態の間で切替可能であり、前記表示無効状態において前記表示部材の表示が視認可能であり、
半透明なカバー部材を備え、
前記表示無効状態において、前記表示部材の表示の少なくとも一部が前記カバー部材によって覆われ、前記表示部材の表示が当該カバー部材を介して視認可能であり、
前記カバー部材に打消し図形が配置され、前記表示無効状態で、前記打消し図形が、透けて見える前記表示部材の表示に重なることを特徴とする乗物。
【請求項2】
乗物の走行モードを、原動機が出力した動力で走行する駆動モード、及び、前記駆動モードでの出力よりも出力が抑制された抑制モードの間で切替可能な制御部と、
前記駆動モードでの走行のための識別情報が表示された表示部材と、
を備え、
前記表示部材を表示有効状態と表示無効状態の間で切替可能であり、前記表示無効状態において前記表示部材の表示が視認可能であり、
前記表示部材は向きを変更可能であり、
前記表示無効状態では、前記表示部材の向きが、前記表示有効状態とは異なり、
前記表示部材が、表示面に垂直な回転軸を中心として回転することにより、前記表示部材の向きが変更されることを特徴とする乗物。
【請求項3】
乗物の走行モードを、原動機が出力した動力で走行する駆動モード、及び、前記駆動モードでの出力よりも出力が抑制された抑制モードの間で切替可能な制御部と、
前記駆動モードでの走行のための識別情報が表示された表示部材と、
を備え、
前記表示部材を表示有効状態と表示無効状態の間で切替可能であり、前記表示無効状態において前記表示部材の表示が視認可能であり、
前記表示部材は向きを変更可能であり、
前記表示無効状態では、前記表示部材の向きが、前記表示有効状態とは異なり、
前記表示部材が、乗物の車幅方向に延びる軸を中心として回転することにより、前記表示部材の向きが変更され、
前記表示有効状態において、前記表示部材は垂直又は後ろ下がり状の姿勢であり、
前記表示無効状態において、前記表示部材は後ろ上がり状の姿勢であることを特徴とする乗物。
【請求項4】
乗物の走行モードを、原動機が出力した動力で走行する駆動モード、及び、前記駆動モードでの出力よりも出力が抑制された抑制モードの間で切替可能な制御部と、
前記駆動モードでの走行のための識別情報が表示された表示部材と、
を備え、
前記表示部材を表示有効状態と表示無効状態の間で切替可能であり、前記表示無効状態において前記表示部材の表示が視認可能であり、
前記表示部材は向きを変更可能であり、
前記表示無効状態では、前記表示部材の向きが、前記表示有効状態とは異なり、
前記表示部材が表示無効状態のときに、乗物が前記抑制モードであることを表示する第2表示部材を備え
前記表示無効状態で、前記表示部材の全部が外部に露出していることを特徴とする乗物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ナンバープレートが取り付けられた原動機付の乗物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6814501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原動機付きの乗物は、原動機出力を用いて走行し、ナンバープレートの装着が要求される。これに対して運転者の踏力で走行する自転車は、ナンバープレートを有していなくても、走行が許容されていることが多い。
【0005】
これらの原動機付の乗物と、踏力駆動式の乗物とは、外観が同じであれば、乗物の外方に存在する視認者がどちらの走行形態の乗物かを区別しにくいために、1つの車両で2つの走行形態の両方を実現させることが困難である。
【0006】
本発明の目的は、2つの走行モードを実現でき、周囲に対して走行モードを分かり易く示すことが可能な乗物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の乗物が提供される。即ち、乗物は、制御部と、表示部材と、を備える。前記制御部は、乗物の走行モードを、原動機が出力した動力で走行する駆動モード、及び、前記駆動モードでの出力よりも出力が抑制された抑制モードの間で切替可能である。前記表示部材において、前記駆動モードでの走行のための識別情報が表示される。前記表示部材を表示有効状態と表示無効状態の間で切替可能であり、前記表示無効状態において前記表示部材の表示が視認可能である。乗物は、半透明なカバー部材を備える。前記表示無効状態において、前記表示部材の表示の少なくとも一部が前記カバー部材によって覆われ、前記表示部材の表示が当該カバー部材を介して視認可能である。前記カバー部材に打消し図形が配置され、前記表示無効状態で、前記打消し図形が、透けて見える前記表示部材の表示に重なる。
【0009】
この構成では、抑制モードにおいても、表示部材に表示された識別情報が周囲から確認可能である。従って、識別情報を完全に隠す場合と比べて、何らかの方法により駆動モードで使用可能な乗物であることを、周囲に示唆的に示すことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2つの走行モードを実現でき、周囲に対して走行モードを分かり易く示すことが可能な乗物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る3輪型車両の斜視図。
図2】3輪型車両の電気的構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態のナンバープレート装置及びカバー部材を示す斜視図。
図4】カバー部材によってナンバープレートを覆った状態を示す斜視図。
図5】変形例のナンバープレート装置を示す斜視図。
図6】第2実施形態のナンバープレート装置において、電動車モードに対応する状態を示す斜視図。
図7図6のナンバープレート装置を別の方向で見た斜視図。
図8】ナンバープレート装置の側面図。
図9図8の状態から固定プレートを跳ね上げた状態を示す側面図。
図10図9の状態から自転車モード表示プレートを展開し、自転車モードに対応する状態とした様子を示す斜視図。
図11】ナンバープレート装置において、自転車モードに対応する状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る3輪型車両1の概要について説明する。図1は、ナンバープレートが露出状態の3輪型車両1を示す斜視図である。図2は、3輪型車両1の電気的構成を示すブロック図である。
【0013】
以下の説明では、3輪型車両1に乗車した運転者から見た方向で、3輪型車両1の左右方向を定義する。従って、3輪型車両1が図1に示すように直立している状態では、前後方向は車長方向に一致し、左右方向は車幅方向に一致する。また、上下方向(鉛直方向)は高さ方向に一致する。
【0014】
本実施形態に係る乗物は、3輪型車両(鞍乗型車両)1である。3輪型車両1は、前側(車長方向における一方側)に2つの前輪2,3を備え、後側(車長方向における他方側)に1つの後輪4を備える。
【0015】
3輪型車両1は、車体10を備える。車体10は、左前輪2、右前輪3及び後輪4を支持している。
【0016】
車体10は、3輪型車両1の骨格となるフレーム11を備える。フレーム11は、ベース部分11aと、左右輪連結部分11bと、シート支持部分11cと、ハンドル支持部分11dと、を有する。
【0017】
ベース部分11aは、前輪2,3と後輪4との間を車長方向に延びて、前後輪を支持する。左右輪連結部分11bは、ベース部分11aに接続されて、左前輪2と右前輪3とを連結して車幅方向に延びる。シート支持部分11cは、ベース部分11aから上方に延びて、シート15を支持する。ハンドル支持部分11dは、ベース部分11aから上方に延びて、ハンドル12を支持する。
【0018】
本実施形態では、3輪型車両1は、リーン型車両の一種である。リーン型車両とは、車体10の路面に対する姿勢を変更可能であり、操舵による旋回走行に伴って車体10が路面に対して傾斜状態となる車両を意味する。図1では、3輪型車両1は、操舵のためのハンドル12が中立位置に操作され、かつ、車体10が路面に対して直立となっている状態(言い換えれば、通常の直進走行の状態)となっている。以下では、特に説明がない限り、この状態を前提として説明する。
【0019】
左前輪2と右前輪3とは、車幅方向に間隔をあけて隣り合うように並べられている。本実施形態では、それぞれの前輪2,3は、従動輪として機能する。左前輪2及び右前輪3は、車体10の路面に対する姿勢が変更可能となるように、フレーム11の前部に支持されている。各前輪2,3は、操舵輪として機能し、ハンドル12の回動操作に応じて向きが変化する。
【0020】
フレーム11の左右輪連結部分11bは、公知の平行リンク構造を有している。平行リンク構造は、各前輪2,3を、フレーム11のベース部分11aにそれぞれ連結する。この平行リンク構造によって、正面視において、ベース部分11aの姿勢変化に応じて、各前輪2,3の姿勢が連動して変化する。
【0021】
後輪4は、車幅方向で車体10の中央位置に配置されている。後輪4は、フレーム11の後部に回転可能に支持されている。本実施形態では、後輪4は走行駆動力を路面に伝達する駆動輪として機能する。
【0022】
3輪型車両1は、シート15と、左右のペダル16と、原動機として機能する電動モータ21と、バッテリー22と、コントローラ(制御部)23と、を備える。
【0023】
シート15は、フレーム11の車長方向中間部分のうち上側に設けられている。運転者は、シート15に跨るように座り、左右のペダル16に足を載せることができる。
【0024】
左右のペダル16は、シート15の下方に設けられている。シート15に跨った運転者が足でペダル16を踏む力を後輪4に伝達して、後輪4を人力で回転駆動することができる。従って、3輪型車両1は、運転者の人力で走行駆動する、いわゆる自転車としての機構を備える。
【0025】
電動モータ21は、本実施形態では、後輪4の車軸部分に設けられている。電動モータ21は、図2に示すように、コントローラ23に電気的に接続されている。電動モータ21は、コントローラ23により制御され、後輪4を回転駆動することができる。
【0026】
電動モータ21は、運転者の人力が与えられていない状態で、駆動輪に動力を伝達させることができる。また、電動モータ21は、運転者の人力が与えられた状態に加えて、駆動輪に動力を伝達させることもできる。コントローラ23は、電動モータ21に適宜の指令を与えることによって、電動モータ21の出力を調整する。本実施形態では、コントローラ23は、運転者の与える人力に応じて、電動モータ21が駆動力を出力して支援するように制御する。即ち、本実施形態では、3輪型車両1は、運転者の人力を必要とせず走行可能な電動車として機能するとともに、運転者による走行駆動を電動支援する電動アシスト自転車としても機能する。
【0027】
本実施形態の3輪型車両1は、運転者の人力が不要な電動車モードと、運転者の人力が必要な自転車モードとの2つの走行形態を切り替えることができる。2つの走行形態が切り替わると、コントローラ23が電動モータ21に対して行う制御が変化する。
【0028】
電動車モードでは、原動機である電動モータ21が出力した動力で走行する。自転車モードでは、電動モータ21の出力は、電動車モードと比較して抑制される。電動車モードは、駆動モードの一例である。自転車モードは、抑制モードの一例である。
【0029】
自転車モードにおいて、電動車モードと比較して、利用域の全域でなく一部だけにおいて出力が抑制されても良い。自転車モードにおいて、例えば、電動モータ21によって出力される最大出力が抑制されてもよいし、電動モータ21によって走行可能な最大車速が抑制されても良い。自転車モードにおいて、所定車速を超えると、人力に対する電動モータ21の支援比率が下がっても良い。自転車モードにおいて、電動モータ21が動作可能な車速域が、電動車モードと比較して低く設定されても良い。自転車モードにおいて、電動モータ21が動力を全く発生させず、ゼロとなるように抑制されても良い。
【0030】
電動車モードでは、3輪型車両1が電動車として走行することが可能な出力条件を満足するように出力が設定される。自転車モードでは、3輪型車両1が自転車、本実施形態では電動アシスト自転車として走行することが可能な出力条件を満足するように出力が設定される。
【0031】
バッテリー22は、フレーム11の前後途中部のうち下側に設けられている。バッテリー22は、電動モータ21、コントローラ23及び各種の補器類85等に電力を供給することができる。
【0032】
コントローラ23は、車体10の適宜の位置に設けられている。コントローラ23は、公知のコンピュータで構成されており、電動モータ21を制御することができる。
【0033】
荷台17は、荷物を載せることができる。荷台17は、ハンドル12の後方に設けられたシート15の後方であって、後輪4の上方に配置されている。荷台17は、フレーム11の後部に取り付けられている。
【0034】
3輪型車両1は、運転者が例えば手で操作可能な操作子を備える。図面には描かれていないが、操作子は、例えば、ハンドル12の近傍に配置される。3輪型車両1が電動車モードで走行する場合、運転者が操作子を操作することで、電動モータ21が制御される。一方、3輪型車両1が自転車モードで走行する場合、運転者の踏力に基づいて電動モータ21が制御される。
【0035】
図2に示すように、3輪型車両1は、アクセルセンサ81と、ブレーキセンサ82と、を備える。前述の操作子が、ハンドル12にそれぞれ設けられる。操作子の操作は、適宜のセンサによって検出される。3輪型車両1には、補器類85が設けられている。補器類85には、例えば、ホーン、シグナルランプ、ブレーキランプ、ヘッドライト等が含まれる。また、3輪型車両1には、車速センサ83及びメータ84が設けられている。メータ84は、少なくとも、上記の走行形態(走行モード)及びバッテリー22の状態を表示することができる。バッテリー22の状態は、バッテリー状態センサ86によって検出することができる。3輪型車両1には、更に、アシスト自転車モードでアシスト量を演算するためのセンサ(例えば、踏力センサ87)が設けられる。
【0036】
3輪型車両1は、モード切替用センサ91を備える。本実施形態では、モード切替用センサ91は、走行態様を切り替えるためのスイッチとして機能する。モード切替用センサ91は、後述するカバー部材61がナンバープレート42の表面を覆うように取り付けられたことを検出すると、自転車モード指令をコントローラに与える。モード切替用センサ91は、カバー部材61がナンバープレート42から取り外されたことを検出すると、電動車モード指令をコントローラ23に与える。
【0037】
コントローラ23は、モード判定部96と、モータ指令出力部97と、モータ駆動回路98と、補器制御指令部99と、を備える。
【0038】
モード判定部96は、モード切替用センサ91の検出値に基づいて、選択すべき走行モードを判定する。
【0039】
モータ指令出力部97は、電動車モードの場合、アクセルセンサ81、ブレーキセンサ82の検出値に基づいてモータ指令を演算する。このとき、車速、バッテリー22の状態、電動モータ21の状態等に基づいて、モータ指令が補正されても良い。
【0040】
モータ指令出力部97は、自転車モードの場合、踏力センサ87の検出値に基づいてモータ指令を演算する。車速、バッテリー22の状態、電動モータ21の状態に基づいて、モータ指令が補正されても良い。自転車モードでは、電動車モードに比べて、電動モータ21の駆動による最大車速又は最大出力の何れかが制限されている。自転車モードにおいて、モータ指令出力部97は、電動車モードと同様に、操作子の操作の検出情報に基づいてモータ指令を生成してもよい。この場合、同じ指令が与えられたとしても、モータ指令出力部97は、電動車モードに比べて抑制したモータ指令を生成する。
【0041】
モータ駆動回路98は、電力供給回路として構成されている。モータ駆動回路98は、モータ指令出力部97から与えられるモータ指令に応じた電力を電動モータ21に供給する。
【0042】
補器制御指令部99は、操作子の操作をセンサで検出した検出値に基づいて、それぞれの補器類85への動作指令を出力する。図示しないが、このようなセンサとして、例えば、方向指示センサ及びホーン指示センサ等を挙げることができる。補器制御指令部99は、少なくとも電動車モードにおいて、補器類85への動作指令を与える。補器制御指令部99は、走行モードにかかわらず補器類85への動作指令を与えてもよいし、電動車モードのみにおいて補器類85への動作指令を与えてもよい。補器類85の操作を検出するセンサからの信号が各補器への動作指令として直接与えられる場合は、コントローラ23から補器制御指令部99を省略してもよい。
【0043】
3輪型車両1は、その走行モードを当該3輪型車両1の周囲(外方)から識別させるためのナンバープレート装置31を備える。ナンバープレート装置31は、車体10の後端部に配置されている。ナンバープレート装置31は、3輪型車両1の現在の走行モードを周囲に示すことができる。
【0044】
図1に示すように、ナンバープレート装置31は、シート15に対して荷台17を挟んだ後方に配置され、荷台17よりも下方に設けられる。ナンバープレート装置31は、後面視で、後輪4と重なる位置で後輪4の後方に配置される。ナンバープレート装置31は、後輪4に邪魔されることなく、3輪型車両1の外方に存在する人々(視認者)に視認されるように、3輪型車両1の外方、本実施形態では後方に向かって露出している。3輪型車両1の構成及びナンバープレート装置31の位置は一例であり、任意に変更することができる。
【0045】
次に、図3及び図4を参照して、ナンバープレート装置31について説明する。図3は、ナンバープレート42を露出状態としたナンバープレート装置31と、取り外された状態のカバー部材61と、を示す斜視図である。図4は、カバー部材61によってナンバープレート42を覆った状態を示す斜視図である。
【0046】
図3及び図4に示すように、ナンバープレート装置31は、固定プレート41と、ナンバープレート42と、カバー部材61と、を備える。ナンバープレート42は、電動車両として走行許可されるために、車両に装備されて、車両個別の識別番号(識別情報)が付されたプレートである。
【0047】
ナンバープレート装置31は、図3に示すように、ナンバープレート42が周囲の者から見える位置で車体に固定されて、3輪型車両1の外方に向かってナンバープレート42を露出させることができる。以下では、図3に示すようにナンバープレート42の識別番号を後方から容易に確認できる状態を、表示有効状態と呼ぶことがある。
【0048】
図4に示すように、ナンバープレート42の表示が周囲の者から判別しにくくなるようにするために、半透明のカバー部材61をナンバープレート装置31に装着することができる。以下では、表示有効状態と比較してナンバープレート42の識別番号が後方から確認しにくくなっている状態を、表示無効状態と呼ぶことがある。
【0049】
固定プレート41は、荷台17の後端部に固定されている。固定プレート41は、板状に形成されている。固定プレート41は、厚み方向一側の面が後方、正確には後ろ斜め上方を向くように配置されている。固定プレート41において後方を向く面は、ナンバープレート42を支持する支持面としても機能する。本実施形態では、固定プレート41は、ナンバープレート42に対して、左右方向両側及び上下方向両側に広く形成される。
【0050】
以下、固定プレート41及びナンバープレート42において3輪型車両1の後方から視認可能な面を「表の面」、反対側を「裏面」と呼ぶことがある。ナンバープレート42において、表の面とは、識別番号等の文字43が付されている面である。表の面は、識別番号の表示面ということもできる。
【0051】
固定プレート41は、図3に示すように、表の面が露出するようにナンバープレート42を保持している。ナンバープレート42を覆うためのカバー部材61は、固定プレート41に対して着脱可能である。
【0052】
図3には、カバー部材61が固定プレート41から取り外された状態が示されている。この状態では、ナンバープレート42の表の面が、文字43も含めて視認可能に露出する。
【0053】
固定プレート41には、カバー部材61を取り付けるためのネジ孔44が形成されている。ネジ孔44に対応する位置において、カバー部材61には貫通孔62が形成されている。貫通孔62に、つまみ付きのボルト63を差し込み、ネジ孔44に捩じ込むことで、カバー部材61を固定プレート41に固定することができる。カバー部材61に対する固定プレート41の固定に関して、上記の方法は一例であり、任意に変更することができる。
【0054】
カバー部材61は、板状の部材である。カバー部材61は、ナンバープレート42の文字43を少なくとも覆うことが可能である。カバー部材61は、半透明状に形成されている。従って、図4のようにカバー部材61が取り付けられた状態では、ナンバープレート42の文字43は視認不可能ではないものの、露出時と比較して判読性が低下する。
【0055】
カバー部材61は、例えば、半透明状の合成樹脂から構成することができる。透明である板状の部材の表面に適宜の加工を施すことで、半透明のカバー部材61を実現することもできる。
【0056】
文字43の判読性が低下する程度は、カバー部材61の色、透明度等に依存する。文字43が僅かに透ける程度とする等、カバー部材61を介した表示内容の認識が相当に困難となるように構成すれば、ナンバープレート42が無効状態であることを周囲に分かり易く示すことができる。
【0057】
本実施形態では、3輪型車両1が自転車モードであるときは、図4のようにカバー部材61によってナンバープレート42の文字43を視認しにくくすることで、表示を実質的に無効化している。言い換えれば、カバー部材61の装着により、ナンバープレート42の表示無効状態が実現されている。
【0058】
図4の状態で、文字43は見にくくなっているが、見えなくなっている訳ではない。ナンバープレート42の識別番号が透けて少し見えることで、3輪型車両1が電動車として使用できるが現在は電動車として使用しない状態であることを、周囲に想像させることができる。
【0059】
カバー部材61には、X字状の打消し図形64が配置されている。この打消し図形64は、カバー部材61をナンバープレート装置31に装着した場合に、ナンバープレート42の文字43に重なるように配置されている。ナンバープレート42がカバー部材61に覆われた図4の状態では、打消し図形64が文字43に対して半透明的に合成されたように見える。従って、ナンバープレート42が無効状態であることを分かり易く示すことができる。打消し図形64は、周囲と異なる色、例えば、半透明の赤色に着色されても良い。これにより、無効状態を強調することができる。打消し図形64は、X字状に代えて任意の図形、例えば一重取消線、二重取消線とすることができる。
【0060】
打消し図形64は、3輪型車両1が自転車モードであることを実質的に示す図形であると考えることもできる。従って、カバー部材61は、3輪型車両1が自転車モードであることを表示する部材(第2表示部材)としての機能も有している。
【0061】
モード切替用センサ91は、ナンバープレート装置31へのカバー部材61の取付け状態を検出するためのセンサである。モード切替用センサ91は、棒状に形成された検出子92を備える。図3に示すように、検出子92は、固定プレート41において、ナンバープレート42から左右一側に外れた位置に設けられている。ただし、検出子92の場所は任意に変更することができる。
【0062】
検出子92は、固定プレート41を厚み方向で貫通して、ナンバープレート42の表面側に突出するように配置されている。検出子92はモード切替用センサ91のハウジングに対してスライド移動可能に支持されており、突出量を増減させる方向に移動することができる。検出子92は、図示しないバネによって突出方向に付勢されている。
【0063】
カバー部材61がナンバープレート装置31に装着されると、カバー部材61は、ナンバープレート42の表面側から検出子92に接触して、検出子92を裏面側へ押し込む。これによって、モード切替用センサ91は、カバー部材61によるナンバープレート42の被覆状態を検出する。カバー部材61が取り外されると、検出子92は、ナンバープレート42からの突出状態を維持する。これによって、モード切替用センサ91は、検出子92の没入変位を検出せず、カバー部材61によるナンバープレート42の非被覆状態を検出する。検出子92の構成及び位置は上記に限定されない。
【0064】
電動車モードと自転車モードの切替は、例えばハンドル12に配置されるスイッチではなく、シート乗車状態の運転者からは届かない、ナンバープレート42の近傍のモード切替用センサ91によってのみ行うように構成することができる。これにより、電動車モードと自転車モードの切替は、3輪型車両1を必ず停車させた状態で、運転者が降車して車両の後方に移動して行う必要がある。従って、運転者による誤操作による意図しないモード切替を防ぐことができる。
【0065】
図5には、ナンバープレート装置31の変形例が示されている。変形例のナンバープレート装置31では、自転車モードにおいて、ナンバープレート42の向きが、電動車モードとは異なるように変更される。図5にはナンバープレート42を固定プレート41とともに180°回転させた例が示されている。回転角度は任意であり、例えば90°とすることもできる。
【0066】
ナンバープレート42の向きの変更を実現するために、ナンバープレート装置31の固定プレート41は、回転軸45を中心として回転可能に構成されている。
【0067】
ナンバープレート42は向きを回転させて使用させてはならない旨、各国の法規等で定められている場合がある。この場合でも、カバー部材61を装着して無効であることを明示した状態であるなら、このように向きを変更した状態でのナンバープレート42の使用が認められる可能性がある。
【0068】
3輪型車両1を電動車モードで使用する場合、運転者は、取り外した状態のカバー部材61を、運転時に背負うリュックサック等の荷物収納具に入れて運ぶことができる。3輪型車両1の適宜の場所に、取り外されたカバー部材61を保管する保管場所が設けられても良い。
【0069】
以上に説明したように、本実施形態の3輪型車両1は、コントローラ23と、ナンバープレート42と、を備える。コントローラ23は、3輪型車両1の走行モードを、電動車モード及び自動車モードの間で切替可能である。電動車モードでは、3輪型車両1は、電動モータ21が出力した動力で走行する。自転車モードでは、電動モータ21の出力が、電動車モードでの出力よりも抑制される。ナンバープレート42は、電動車モードでの走行のための識別情報を文字43によって表示する。ナンバープレート42を表示有効状態と表示無効状態の間で切替可能であり、表示無効状態においてナンバープレート42の表示が視認可能である。
【0070】
これにより、図4の自転車モードにおいても、ナンバープレート42の表示が周囲から確認可能である。従って、ナンバープレート42の表示を完全に隠す場合と比べて、何らかの方法で電動車として使用可能な乗物であることを、周囲に示唆的に示すことができる。
【0071】
本実施形態の3輪型車両1は、半透明なカバー部材61を備える。表示無効状態において、ナンバープレート42の表示がカバー部材61によって覆われ、ナンバープレート42の表示がカバー部材61を介して視認可能である。
【0072】
これにより、簡単な構成で表示無効状態を実現できる。
【0073】
図5の変形例の構成においては、ナンバープレート42は向きを変更可能である。表示無効状態では、ナンバープレート42の向きが、表示有効状態と180°異なる。
【0074】
これにより、ナンバープレート42の表示が無効であることを、より分かり易く周囲に示すことができる。
【0075】
図5の変形例において、ナンバープレート42が回転軸45を中心として回転することにより、ナンバープレート42の向きが変更される。回転軸45は、ナンバープレート42の表示面に垂直である。
【0076】
これにより、回転のためのスペースをあまり必要とすることなく、ナンバープレート42の向きの変更を実現することができる。
【0077】
次に、第2実施形態を説明する。図6及び図7は、第2実施形態のナンバープレート装置31xを示す斜視図である。なお、本実施形態の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0078】
本実施形態では、ナンバープレート42の表示面の向きを側面視で変更することにより、ナンバープレート42の表示有効状態と表示無効状態の間の切換を実現している。
【0079】
本実施形態のナンバープレート装置31xは、ベース部材32と、固定プレート41と、自転車モード表示プレート(第2表示部材)55と、を備える。
【0080】
ベース部材32は、逆U字状に形成されている。ベース部材32は、荷台17の後端部に固定されている。ベース部材32は、左右1対のベースアーム33を備える。それぞれのベースアーム33は、後下方に延びている。
【0081】
ベース部材32の後端部に、第1ヒンジ51を介して、固定プレート41の端部が連結されている。固定プレート41には、前述の実施形態と同様に、ナンバープレート42が固定される。固定プレート41の上部には、ライセンスライト25が固定されている。
【0082】
固定プレート41は、第1ヒンジ51が有する車幅方向の支軸を中心として、ベース部材32に対して回転することができる。
【0083】
板状の固定プレート41においてナンバープレート42とは反対側を向く面に、アーム部材35が固定されている。アーム部材35は、左右1対の第1固定アーム36を備える。それぞれの第1固定アーム36は、ベース部材32に近づく向きに円弧状に延びている。
【0084】
それぞれの第1固定アーム36は、ベース部材32が備えるベースアーム33に対して、つまみ付きのボルト71によって固定することができる。図8に示すように、ベースアーム33には、ボルト71を差込可能な貫通孔が1つ形成されている。第1固定アーム36には、ボルト71を捩じ込むためのネジ孔が2つ形成されている。第1固定アーム36がベース部材32に固定される位置を変更することで、図8及び図9に示すように、固定プレート41の角度を2段階で変更することができる。
【0085】
ナンバープレート42は、固定プレート41とともに回転し、姿勢を変更する。図8の状態は、ナンバープレート42の文字43が3輪型車両1の後方から容易に視認可能な状態ということができる。図9の状態は、ナンバープレート42が跳ね上げられた姿勢であるため、3輪型車両1の後方から文字43を視認することが困難である。本実施形態では、このようにナンバープレート42を跳ね上げられた姿勢とすることで、ナンバープレート42の表示無効状態を実現している。図8が表示有効状態を示し、図9及び図10が表示無効状態を示している。表示無効状態で、文字43は後方から見にくくなっているが、見えなくなっている訳ではない。例えば上方から見下ろすようにナンバープレート42を見ることで、文字43を問題なく視認することができる。
【0086】
図6に示すように、固定プレート41において、ナンバープレート42を挟んで第1ヒンジ51と反対側に、延長部47が一体的に形成されている。この延長部47に、第2ヒンジ52を介して自転車モード表示プレート55が連結されている。
【0087】
自転車モード表示プレート55は、板状の部材である。自転車モード表示プレート55の一側の面には、図7に示すように、自転車の図形を示したピクトグラム56が付されている。このピクトグラム56は、自転車モードであることを表示するものである。以下、自転車モード表示プレート55に関し、ピクトグラム56が付された面を「表の面」、反対側を「裏面」と呼ぶことがある。
【0088】
図6及び図7の状態では、自転車モード表示プレート55は、固定プレート41の前下方に位置する。自転車モード表示プレート55は、固定プレート41と後輪4の間に位置する。この状態で、自転車モード表示プレート55の表の面は、前下方を向いている。従って、3輪型車両1の後方からピクトグラム56を視認することは不可能である。
【0089】
自転車モード表示プレート55は、第2ヒンジ52が有する車幅方向の支軸を中心として、固定プレート41に対して回転することができる。
【0090】
固定プレート41は、左右1対の第2固定アーム46を備える。第2固定アーム46は、自転車モード表示プレート55が備える後述のプレートアーム57に近づく向きに延びている。
【0091】
自転車モード表示プレート55には、左右1対のプレートアーム57が一体的に形成されている。プレートアーム57は、自転車モード表示プレート55の左右両端部に配置されている。
【0092】
それぞれのプレートアーム57は、固定プレート41が備える第2固定アーム46に対して、つまみ付きのボルト72によって固定することができる。図9に示すように、第2固定アーム46には、ボルト72を差込可能な貫通孔が2つ形成されている。プレートアーム57には、ボルト72を捩じ込むためのネジ孔が1つ形成されている。プレートアーム57が第2固定アーム46に固定される位置を変更することで、図9及び図10に示すように、自転車モード表示プレート55の角度を2段階で変更することができる。
【0093】
図8及び図9の状態は、固定プレート41に対して自転車モード表示プレート55が折り畳まれた状態ということができる。図10の状態は、自転車モード表示プレート55が展開された状態ということができる。
【0094】
自転車モード表示プレート55の裏面には、モード切替用センサ91が取り付けられている。モード切替用センサ91の検出子92は、プレートアーム57を貫通して表面側へ突出している。モード切替用センサ91の構成は、前述の第1実施形態と実質的に同様であるため、説明を省略する。
【0095】
プレートアーム57の回転角度範囲のうち一側は、プレートアーム57が延長部47の先端に当たることによって規制される。展開された状態での自転車モード表示プレート55の姿勢を定めるため、延長部47の先端は、側面視で適宜の角度となるように曲げられている。
【0096】
プレートアーム57が延長部47に接触する状態では、検出子92が延長部47の先端に当たって押し込まれる。これにより、自転車モード表示プレート55が展開された状態をモード切替用センサ91が検知することができる。
【0097】
ナンバープレート42の表示面が後上方を向く図8の状態では、第2ヒンジ52の支軸を中心として自転車モード表示プレート55を回転させることは、自転車モード表示プレート55が後輪4と干渉するため不可能である。従って、検出子92が延長部47によって押し込まれた状態とは、事実上、図10のようにナンバープレート42が跳ね上げられた状態を意味する。
【0098】
図6から図8までには、ナンバープレート装置31xが電動車モードを示す状態が描かれている。この状態で、固定プレート41を通常姿勢から跳上げ姿勢に変更し、続いて、図9の状態で自転車モード表示プレート55を折畳み状態から展開状態に変更することで、図10及び図11に示すように、ナンバープレート装置31xが自転車モードを示す状態とすることができる。
【0099】
ナンバープレート装置31xが自転車モードを示すとき、ナンバープレート42の文字43の代わりに、自転車モード表示プレート55のピクトグラム56が、図11に示すように3輪型車両1の後方に向かって露出する。従って、3輪型車両1が自転車モードであることを、周囲の者に分かり易く示すことができる。
【0100】
図10の状態において、自転車モード表示プレート55を展開状態から折畳み状態に戻さずに固定プレート41を跳上げ姿勢から戻すことは、自転車モード表示プレート55が後輪4と干渉するため不可能である。従って、ナンバープレート42及び自転車モード表示プレート55の両方が後方に向くことは防止される。これにより、表示の混乱を防止することができる。
【0101】
ナンバープレート42を動かす方向や、自転車モード表示プレート55を出す構造は、上記に限定されず、任意に変更することができる。ベースアーム33、第1固定アーム36、第2固定アーム46、及びボルト71,72等の形状は、上記に限定されない。
【0102】
以上に説明したように、本実施形態の3輪型車両1において、ナンバープレート42が第1ヒンジ51の支軸を中心として回転することにより、ナンバープレート42の向きが変更される。第1ヒンジ51の支軸は、3輪型車両1の車幅方向に延びる。
【0103】
これにより、簡単な構成で、ナンバープレート42の向きの変更を実現することができる。
【0104】
本実施形態の3輪型車両1では、表示有効状態において、ナンバープレート42は図8に示すように後ろ下がり状の姿勢である。表示無効状態において、ナンバープレート42は図10に示すように後ろ上がり状の姿勢である。
【0105】
これにより、表示無効状態において、ナンバープレート42の文字43の視認自体は可能である一方、後方から視認しにくくすることができる。
【0106】
本実施形態の3輪型車両1は、ナンバープレート42が表示無効状態のときに、3輪型車両1が自転車モードであることを表示する自転車モード表示プレート55を備える。
【0107】
これにより、走行モードが自転車モードであることを周囲に分かり易く示すことができる。
【0108】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。変更は単独で行われても良いし、複数の変更が任意に組み合わせて行われても良い。
【0109】
固定プレート41に対して、カバー部材61を着脱可能とする代わりに、公知のヒンジにより開閉可能に取り付けても良い。カバー部材61を閉じた状態では、カバー部材61がナンバープレート42を覆い、表示無効状態が実現される。
【0110】
図5の変形例において、カバー部材61を装着せず、単にナンバープレート42を回転させて文字43の判読性を低下させるだけで表示無効状態を実現しても良い。
【0111】
カバー部材61において、例えば、ナンバープレート42の文字43に重なる一部の領域だけが半透明に構成され、周囲の部分は透明に構成されても良い。
【0112】
図3のカバー部材の代わりに、通電の有無に応じて透明度が変化するフィルム等のカバー部材を、ナンバープレート42の表面を覆うように貼り付けても良い。例えば、電動車モードではフィルムに通電することで、フィルムを透明とし、自転車モードではフィルムへの通電をしないことで、フィルムを半透明とすることができる。この構成では、カバー部材61を取り付けたり取り外したりする作業を省略することができる。
【0113】
ナンバープレート42において、文字43の部分に相当する一部だけを、文字43の背景(言い換えれば、文字の周囲)と別部材とし、当該部分を固定プレート41から取外し可能とすることができる。自転車モードでは、文字43に相当する固定プレート41の一部が固定プレート41から取り外され、例えば運転者のリュックサックに入れられる。
【0114】
第2実施形態において、電動車モードでのナンバープレート42の姿勢は、斜め姿勢に代えて、垂直姿勢とすることもできる。自転車モードでのナンバープレート42の姿勢は、後ろ上がり状の姿勢に代えて、水平姿勢とすることもできる。
【0115】
図6以降に示す第2実施形態において、ピクトグラム56に代えて、例えば、「自転車モード」という文字を自転車モード表示プレート55に表示することもできる。自転車モード表示プレート55及び第2ヒンジ52等を省略することもできる。また、跳ね上げられた姿勢のナンバープレート42に対して、第1実施形態で説明した半透明のカバー部材61を装着するように構成することもできる。
【0116】
モード切替用センサ91として、接触式のセンサ及び非接触式のセンサの何れも用いることができる。接触式のセンサの例として、リミットスイッチを挙げることができる。非接触式のセンサの例として、赤外線センサなどの光学式センサ、又は、磁界変化を利用した誘導型センサ等を挙げることができる。
【0117】
本発明は、3輪型車両1に限らない。例えば、ナンバープレートの表示有無によって運転モードが切り替わる乗物に広く適用することができる。また、本発明は、例えば、電動モータを備える足漕ぎボートに適用することもできる。
【符号の説明】
【0118】
1 3輪型車両(乗物)
21 電動モータ(原動機)
23 コントローラ(制御部)
42 ナンバープレート(表示部材)
45 回転軸
55 自転車モード表示プレート(第2表示部材)
【要約】
【課題】周囲に対して走行モードを分かり易く示すことが可能な乗物を提供する。
【解決手段】乗物は、制御部と、表示部材と、を備える。前記制御部は、乗物の走行モードを、原動機が出力した動力で走行する駆動モード、及び、前記駆動モードでの出力よりも出力が抑制された抑制モードの間で切替可能である。前記表示部材において、前記駆動モードでの走行のための識別情報が表示される。前記表示部材を表示有効状態と表示無効状態の間で切替可能であり、前記表示無効状態において前記表示部材の表示が視認可能である。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11