(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】稼働制御方法及び稼働制御システム、圧縮機、エアコン
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20220819BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20220819BHJP
H02P 27/08 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
H02M7/48 E
F04B39/00 106Z
H02P27/08
(21)【出願番号】P 2021529412
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2019088255
(87)【国際公開番号】W WO2020107824
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-05-25
(31)【優先権主張番号】201811458785.1
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517344192
【氏名又は名称】広東美的制冷設備有限公司
【氏名又は名称原語表記】GD MIDEA AIR-CONDITIONING EQUIPMENT CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Lingang Road,Beijiao,Shunde,Foshan,Guangdong,China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】曾賢杰
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-025565(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108469139(CN,A)
【文献】国際公開第2018/037454(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
F04B 39/00
H02P 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーデバイスが設けられた圧縮機のインバータブリッジ制御回路に適用される稼働制御方法であって、
前記圧縮機の稼働周波数を収集することと、
前記稼働周波数に応じて前記パワーデバイスのスイッチング周波数を目標スイッチング周波数に調整することと、
前記パワーデバイスの動作時温度を収集することと、
前記動作時温度と予め設定された温度閾値との大小関係を比較して、
収集された前記動作時温度が第1の温度閾値以上である場合、前記動作時温度に応じて前記目標スイッチング周波数を対応的に低減し、
収集された前記動作時温度が第2の温度閾値以上である場合、前記動作時温度に応じて前記目標スイッチング周波数を対応的に低減し、前記動作時温度に応じて前記稼働周波数を対応的に低減し、
収集された前記動作時温度が第3の温度閾値以上である場合、前記インバータブリッジ制御回路が作動を停止するように制御することと、を含む
稼働制御方法。
【請求項2】
前記稼働周波数に応じて前記パワーデバイスのスイッチング周波数を目標スイッチング周波数に調整することは、具体的に、
収集された前記稼働周波数が少なくとも第1の稼働周波数閾値であることに基づいて、前記スイッチング周波数を対応する第1の目標スイッチング周波数に調整することと、
収集された前記稼働周波数が第2の稼働周波数閾値よりも小さいことに基づいて、前記スイッチング周波数を対応する第2の目標スイッチング周波数に調整することと、
収集された前記稼働周波数が少なくとも前記第2の稼働周波数閾値であり、且つ第1の稼働周波数閾値よりも小さいことに基づいて、前記パワーデバイスのスイッチング周波数を変更せずに保持することと、を含み、
前記第1の稼働周波数閾値は、前記第2の稼働周波数閾値よりも大きく、前記第1の目標スイッチング周波数は、前記第2の目標スイッチング周波数よりも大きい
請求項1に記載の稼働制御方法。
【請求項3】
前記稼働周波数に応じて前記パワーデバイスのスイッチング周波数を目標スイッチング周波数に調整することは、具体的に、
収集された前記稼働周波数が時間とともに低減することに基づいて、前記パワーデバイスのスイッチング周波数を対応する目標スイッチング周波数まで低減することと、
収集された前記稼働周波数が時間とともに増加することに基づいて、前記パワーデバイスのスイッチング周波数を対応する目標スイッチング周波数まで増加させることと、を含む
請求項1に記載の稼働制御方法。
【請求項4】
前記第1の温度閾値は前記第2の温度閾値よりも小さく、前記第2の温度閾値は前記第3の温度閾値よりも小さい
請求項
1から請求項3のいずれか一項に記載の稼働制御方法。
【請求項5】
パワーデバイスが設けられた圧縮機のインバータブリッジ制御回路に適用される稼働制御システムであって、
前記圧縮機の稼働周波数
及び前記パワーデバイスの動作時温度を収集する、センサーモジュールと、
前記稼働周波数に応じて前記パワーデバイスのスイッチング周波数を目標スイッチング周波数に調整する
こと、及び前記動作時温度と予め設定された温度閾値との大小関係を比較し、前記大小関係に応じて前記目標スイッチング周波数及び/又は前記圧縮機の前記稼働周波数を調整することに用いられる、メイン制御モジュールと、を含
み、
各モジュールによって請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の稼働制御方法を実行することで、前記パワーデバイスの前記スイッチング周波数を調整する
稼働制御システム。
【請求項6】
請求項
5に記載の稼働制御システムを含む
圧縮機。
【請求項7】
請求項
5に記載の稼働制御システ
ム、及び/又は
、請求項
6に記載の圧縮
機を含む
エアコン。
【請求項8】
コンピュータプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の稼働制御方法を実現する
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年11月30日に中国特許庁に提出された、出願番号が201811458785.1であり、発明の名称が「稼働制御方法及びシステム、圧縮機、エアコン」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容のすべてを援用することにより本願に取り入れる。
【0002】
本願は、圧縮機制御の技術分野に関し、具体的には、稼働制御方法、稼働制御システム、圧縮機、エアコン、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、インバーターエアコンの圧縮機制御は、PWM(Pulse Width Modulation、パルス幅変調)方式で制御され、出力電圧は一連のパルスであり、パルスの幅の大きさは、変調波と搬送波の交点に依存し、搬送波周波数はスイッチング周波数でもある。スイッチング周波数が高いほど、1つの正弦波サイクルにおけるパルス数が多くなり、電流波形の正弦性が良くなり、滑らかさも良くなり、高調波が小さくなるが、パワーモジュールの電力損失も大きくなり、パワーモジュールが熱くなる。温度が高すぎると、電子デバイスの寿命が短くなり、デバイスが損傷することさえある。スイッチング周波数が低いほど、1つの正弦波サイクルにおけるパルス数が少なくなり、電流波形の正弦性が悪くなり、滑らかさも悪くなり、高調波が大きくなり、圧縮機の制御効果が悪くなり、消費電力の増加につながる。
【0004】
一般的に、インバーターエアコンの圧縮機制御のスイッチング周波数は、通常、1つのスイッチング周波数に固定されており、圧縮機とエアコンの実際の稼働状況に応じて調整されることはない。ほとんどの稼働状況では、この固定されたスイッチング周波数を最大限に活用することはできない。同時に、スイッチングデバイスはスイッチングプロセス中にスイッチング損失が生じ、このスイッチング損失は、インバーターエアコンコントローラーの主な損失である。この損失は、インバーターコントローラーの効率を低下させるとともに、コントローラーの発熱を増加させ、結果としてコントローラの信頼性が低下する。
【0005】
そのため、コントローラが常に最適なスイッチング周波数で稼働し、稼働の信頼性を確保することができるように、稼働状況に応じてスイッチング周波数を調整できる技術的手段が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は、先行技術又は関連技術における技術的課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。
【0007】
そのため、本願の第1の態様は、稼働制御方法を提供する。
【0008】
本願の第2の態様は、稼働制御システムを提供する。
【0009】
本願の第3の態様は、圧縮機を提供する。
【0010】
本願の第4の態様は、エアコンを提供する。
【0011】
本願の第5の態様は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0012】
そこで、本願の第1の態様は、パワーデバイスが設けられた圧縮機のインバータブリッジ制御回路に適用される稼働制御方法であって、稼働制御方法は、圧縮機の稼働周波数を収集することと、稼働周波数に応じてパワーデバイスのスイッチング周波数を目標スイッチング周波数に調整することとを含む稼働制御方法を提供する。
【0013】
当該技術的手段において、制御回路が圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集し、収集された圧縮機の稼働周波数に応じてインバータブリッジ制御回路におけるパワーデバイスのスイッチング周波数を動的に調整することにより、調整されたスイッチング周波数を現在の圧縮機の稼働周波数に一致させるため、常に最大効果を発揮することができる。本願により提供される技術的手段によれば、制御回路は、圧縮機の周波数の増加や低減に従って、スイッチング周波数を対応的且つ動的に調整することにより、圧縮機周波数が高い場合、スイッチング周波数を対応的に増加させ、より良い制御効果が得られ、圧縮機周波数が低い場合、スイッチングデバイスのスイッチング周波数を対応的に低減させ、スイッチングデバイスのハードウェア損失を減少させると同時に、コントローラーの発熱を減少させることができる。圧縮機動作状況に従ってスイッチング周波数を動的に調整することを実現するとともに、より良い圧縮機制御効果が得られる。そして、パワーデバイスの発熱を抑制し、スイッチングデバイスの損失を減少させ、さらに圧縮機の制御の信頼性と制御デバイスの耐久性を向上させる。
【0014】
具体的には、圧縮機制御回路は、AC電源、整流モジュール及びPFC(Power Factor Correction、力率補正)モジュール、インバータブリッジモジュール及びメイン制御チップを含む。メイン制御チップは、圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集し、圧縮機の稼働周波数に応じてインバータブリッジモジュールにおけるパワーデバイスのスイッチング周波数を動的に調整する。好ましくは、圧縮機の製造プロセスにおいて、該圧縮機の異なる稼働周波数での、インバーターコントローラーの消費電力最小値に対応するスイッチング周波数を測定し、該スイッチング周波数を現在の稼働周波数の最適スイッチング周波数として設定することにより、最終的に圧縮機周波数と、対応する最適スイッチング周波数とからなるスイッチング周波数テーブルを形成する。圧縮機の運転開始後、メイン制御チップは圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで監視し、差分ルックアップテーブルにより、スイッチング周波数テーブルで現在の圧縮機稼働周波数に対応する最適スイッチング周波数を探し、該最適スイッチング周波数で稼働するようにインバータブリッジモジュールを制御する。
【0015】
また、本願により提供される上記技術的手段において、稼働制御方法は、以下のような付加的な技術的特徴をさらに有してもよい。
【0016】
上記技術的手段において、さらに、稼働周波数に応じてパワーデバイスのスイッチング周波数を目標スイッチング周波数に調整することは、具体的に、収集された稼働周波数が少なくとも第1の稼働周波数閾値であることに基づいて、スイッチング周波数を対応する第1の目標スイッチング周波数に調整することと、収集された稼働周波数が第2の稼働周波数閾値よりも小さいことに基づいて、スイッチング周波数を対応する第2の目標スイッチング周波数に調整することと、収集された稼働周波数が少なくとも第2の稼働周波数閾値であり、且つ第1の稼働周波数閾値よりも小さいことに基づいて、パワーデバイスのスイッチング周波数を変更せずに保持することとを含み、第1の稼働周波数閾値は、第2の稼働周波数閾値よりも大きく、第1の目標スイッチング周波数は、第2の目標スイッチング周波数よりも大きい。
【0017】
当該技術的手段において、メイン制御モジュールは、圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集し、収集された稼働周波数と予め設定された周波数閾値を比較する。収集された稼働周波数が少なくとも第1の稼働周波数閾値である場合、現在の圧縮機の稼働周波数が高いことを示し、より良い制御効果を得るために、スイッチング周波数を、スイッチング周波数が高い、対応する第1の目標スイッチング周波数に調整する。収集された稼働周波数が第2の稼働周波数閾値よりも小さい場合、現在の圧縮機の稼働周波数が低いことを示し、この時、スイッチング周波数を、スイッチング周波数が低い、対応する第2の目標スイッチング周波数に調整し、これによりスイッチングデバイスの損失を減少させ、パワーデバイスの動作時温度を低下させる。圧縮機の稼働周波数は少なくとも第2の稼働周波数閾値であり、且つ第1の稼働周波数閾値よりも小さい場合、現在の圧縮機がスムーズに稼働しており、スイッチング周波数を調整する必要がないことを示す。なお、第1の稼働周波数は第2の稼働周波数よりも大きく、対応する第1の目標スイッチング周波数は第2の目標スイッチング周波数よりも大きい。
【0018】
上記何れかの技術的手段において、さらに、稼働周波数に応じてパワーデバイスのスイッチング周波数を目標スイッチング周波数に調整することは、具体的に、収集された稼働周波数が時間とともに低減することに基づいて、パワーデバイスのスイッチング周波数を対応する目標スイッチング周波数まで低減することと、収集された稼働周波数が時間とともに増加することに基づいて、パワーデバイスのスイッチング周波数を対応する目標スイッチング周波数まで増加させることとを含む。
【0019】
当該技術的手段において、メイン制御モジュールは、圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集して記憶媒体に格納し、格納された稼働周波数と該稼働周波数が取得された時点とにより、対応する稼働周波数変化曲線を作成する。アプリケーションプログラムは、確率の変化曲線に応じて圧縮機の周波数の変化傾向を判断し、収集された圧縮機の稼働周波数が時間とともに低減する傾向がある場合、パワーデバイスのスイッチング周波数が対応的に低減するように制御する。具体的には、対応する目標スイッチング周波数まで、対応して低減させ、スイッチングデバイスの損失を減少するとともに、パワーデバイスの動作時温度を低下させる。収集された圧縮機の稼働周波数が時間とともに増加する傾向がある場合、パワーデバイスのスイッチング周波数が対応的に増加するように制御する。具体的には、対応する目標スイッチング周波数まで、対応して増加させ、より良い制御効果が得られる。
【0020】
上記何れかの技術的手段において、さらに、パワーデバイスの動作時温度を収集することと、動作時温度と予め設定された温度閾値との大小関係を比較し、大小関係に応じて目標スイッチング周波数及び/又は圧縮機の稼働周波数を調整することとをさらに含む。
【0021】
当該技術的手段において、インバータブリッジモジュール内に対応する温度収集ユニットを設置し、パワーデバイスの動作時温度をリアルタイムで収集してメイン制御モジュールに送信する。メイン制御モジュールは、パワーモジュールの動作時温度サンプリング値と予め設定された温度閾値を比較し、具体的な比較結果に応じてパワーデバイスの目標スイッチング周波数及び/又は圧縮機の稼働周波数を動的に調整し、圧縮機の制御効果を保証するとともに、パワーデバイスの過熱保護を実現し、パワーデバイスの過熱によるシステム損傷を防止する。
【0022】
上記何れかの技術的手段において、さらに、動作時温度と予め設定された温度閾値との大小関係を比較し、大小関係に応じて目標スイッチング周波数及び/又は圧縮機の稼働周波数を調整することは、具体的に、収集された動作時温度が少なくとも第1の温度閾値であることに基づいて、動作時温度に応じて目標スイッチング周波数を対応的に低減することと、収集された動作時温度が少なくとも第2の温度閾値であることに基づいて、動作時温度に応じて目標スイッチング周波数を対応的に低減し、動作時温度に応じて稼働周波数を対応的に低減することと、収集された動作時温度が少なくとも第3の温度閾値であることに基づいて、インバータブリッジ制御回路が作動を停止するように制御することとを含む。
【0023】
当該技術的手段において、対応する温度閾値を設定し、収集された動作時温度が対応する温度閾値を超えるか否かがリアルタイムで判断される。具体的には、収集された動作時温度が少なくとも第1の温度閾値である場合、パワーデバイスが過熱する傾向があることを示し、目標スイッチング周波数を対応的に低減し、パワーデバイスの動作時温度を低下させる。収集された動作時温度が少なくとも第2の温度閾値である場合、パワーデバイスが既に過熱していることを示し、スイッチング周波数を低減させるだけでは、過熱傾向を抑制することができないため、スイッチング周波数を低減するとともに、圧縮機の稼働周波数を低減することにより、パワーデバイスの動作時温度をさらに低下させる。収集された動作時温度が少なくとも第3の温度閾値である場合、パワーデバイスが既に大幅に過熱しており、損傷の危険性があることを示し、この時、インバータブリッジ制御回路が作動を停止するように直ちに制御して、パワーデバイスの焼損を防止する。
【0024】
上記何れかの技術的手段において、さらに、第1の温度閾値は第2の温度閾値よりも小さく、第2の温度閾値は第3の温度閾値よりも小さい。
【0025】
当該技術的手段において、第1の温度閾値は第2の温度閾値よりも小さく、第2の温度閾値は第3の温度閾値よりも小さい。パワーデバイスと対応する温度閾値との大小関係に応じて、適切な応答操作を選択してパワーデバイスの過熱による焼損を防止することができる。
【0026】
本願の第2の態様は、パワーデバイスが設けられた圧縮機のインバータブリッジ制御回路に適用される稼働制御システムであって、制御システムは、圧縮機の稼働周波数を収集するセンサーモジュールと、稼働周波数に応じてパワーデバイスのスイッチング周波数を目標スイッチング周波数に調整するメイン制御モジュールとを含む稼働制御システムを提供する。
【0027】
当該技術的手段において、制御回路は、圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集し、収集された圧縮機の稼働周波数に応じてインバータブリッジ制御回路におけるパワーデバイスのスイッチング周波数を動的に調整することにより、調整されたスイッチング周波数を現在の圧縮機の稼働周波数に一致させるため、常に最大効果を発揮することができる。本願により提供される技術的手段によれば、制御回路は、圧縮機の周波数の増加や低減に従って、スイッチング周波数を対応的且つ動的に調整することにより、圧縮機周波数が高い場合、スイッチング周波数を対応的に増加させ、より良い制御効果が得られ、圧縮機周波数が低い場合、スイッチングデバイスのスイッチング周波数を対応的に低減させ、スイッチングデバイスのハードウェア損失を減少させると同時に、コントローラーの発熱を減少させることができる。圧縮機動作状況に従ってスイッチング周波数を動的に調整することを実現するとともに、より良い圧縮機制御効果が得られる。そして、パワーデバイスの発熱を抑制し、スイッチングデバイスの損失を減少させ、さらに圧縮機の制御の信頼性と制御デバイスの耐久性を向上させる。
【0028】
上記技術的手段において、さらに、メイン制御モジュールは、収集された稼働周波数が少なくとも第1の稼働周波数閾値であることに基づいて、スイッチング周波数を対応する第1の目標スイッチング周波数に調整することと、収集された稼働周波数が第2の稼働周波数閾値よりも小さいことに基づいて、スイッチング周波数を対応する第2の目標スイッチング周波数に調整することと、収集された稼働周波数が少なくとも第2の稼働周波数閾値であり、且つ第1の稼働周波数閾値よりも小さいことに基づいて、パワーデバイスのスイッチング周波数を変更せずに保持することにも使用され、第1の稼働周波数閾値は第2の稼働周波数閾値よりも大きく、第1の目標スイッチング周波数は第2の目標スイッチング周波数よりも大きい。
【0029】
当該技術的手段において、メイン制御モジュールは、圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集し、収集された稼働周波数と予め設定された周波数閾値を比較する。収集された稼働周波数が少なくとも第1の稼働周波数閾値である場合、現在の圧縮機の稼働周波数が高いことを示し、より良い制御効果を得るために、スイッチング周波数を、スイッチング周波数が高い、対応する第1の目標スイッチング周波数に調整する。収集された稼働周波数が第2の稼働周波数閾値よりも小さい場合、現在の圧縮機の稼働周波数が低いことを示し、この時、スイッチング周波数を、スイッチング周波数が低い、対応する第2の目標スイッチング周波数に調整し、これによりスイッチングデバイスの損失を減少させ、パワーデバイスの動作時温度を低下させる。圧縮機の稼働周波数は少なくとも第2の稼働周波数閾値であり、且つ第1の稼働周波数閾値よりも小さい場合、現在の圧縮機がスムーズに稼働しており、スイッチング周波数を調整する必要がないことを示す。なお、第1の稼働周波数は第2の稼働周波数よりも大きく、対応する第1の目標スイッチング周波数は第2の目標スイッチング周波数よりも大きい。
【0030】
上記何れかの技術的手段において、さらに、メイン制御モジュールは、収集された稼働周波数が時間とともに低減することに基づいて、パワーデバイスのスイッチング周波数を対応する目標スイッチング周波数まで低減することと、収集された稼働周波数が時間とともに増加することに基づいて、パワーデバイスのスイッチング周波数を対応する目標スイッチング周波数まで増加させることにも使用される。
【0031】
当該技術的手段において、メイン制御モジュールは、圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集して記憶媒体に格納し、格納された稼働周波数と該稼働周波数が取得された時点とにより、対応する稼働周波数変化曲線を作成する。アプリケーションプログラムは、確率の変化曲線に応じて圧縮機の周波数の変化傾向を判断し、収集された圧縮機の稼働周波数が時間とともに低減する傾向がある場合、パワーデバイスのスイッチング周波数が対応的に低減するように制御する。具体的には、対応する目標スイッチング周波数まで、対応して低減させ、スイッチングデバイスの損失を減少するとともに、パワーデバイスの動作時温度を低下させる。収集された圧縮機の稼働周波数が時間とともに増加する傾向がある場合、パワーデバイスのスイッチング周波数が対応的に増加するように制御する。具体的には、対応する目標スイッチング周波数まで、対応して増加させ、より良い制御効果が得られる。
【0032】
上記何れかの技術的手段において、さらに、センサーモジュールは、パワーデバイスの動作時温度を収集することにも使用され、メイン制御モジュールは、動作時温度と予め設定された温度閾値との大小関係を比較し、大小関係に応じて目標スイッチング周波数及び/又は圧縮機の稼働周波数を調整することにも使用される。
【0033】
当該技術的手段において、インバータブリッジモジュール内に対応する温度収集ユニットを設置し、パワーデバイスの動作時温度をリアルタイムで収集してメイン制御モジュールに送信する。メイン制御モジュールは、パワーモジュールの動作時温度サンプリング値と予め設定された温度閾値を比較し、具体的な比較結果に応じてパワーデバイスの目標スイッチング周波数及び/又は圧縮機の稼働周波数を動的に調整し、圧縮機の制御効果を保証することで、パワーデバイスの過熱保護を実現し、パワーデバイス過熱によるシステム損傷を防止する。
【0034】
上記何れかの技術的手段において、さらに、メイン制御モジュールは、収集された動作時温度が少なくとも第1の温度閾値であることに基づいて、動作時温度に応じて目標スイッチング周波数を対応的に低減することと、収集された動作時温度が少なくとも第2の温度閾値であることに基づいて、動作時温度に応じて目標スイッチング周波数を対応的に低減し、動作時温度に応じて稼働周波数を対応的に低減することと、収集された動作時温度が少なくとも第3の温度閾値であることに基づいて、インバータブリッジ制御回路が作動を停止するように制御することにも使用される。
【0035】
当該技術的手段において、対応する温度閾値を設定し、収集された動作時温度が対応する温度閾値を超えるか否かがリアルタイムで判断される。具体的には、収集された動作時温度が少なくとも第1の温度閾値である場合、パワーデバイスが過熱する傾向があることを示し、目標スイッチング周波数を対応的に低減し、パワーデバイスの動作時温度を低下させる。収集された動作時温度が少なくとも第2の温度閾値である場合、パワーデバイスが既に過熱していることを示し、スイッチング周波数を低減させるだけでは、過熱傾向を抑制することができないため、スイッチング周波数を低減するとともに、圧縮機の稼働周波数を低減することにより、パワーデバイスの動作時温度をさらに低下させる。収集された動作時温度が少なくとも第3の温度閾値である場合、パワーデバイスが既に大幅に過熱しており、損傷の危険性があることを示し、この時、インバータブリッジ制御回路が作動を停止するように直ちに制御して、パワーデバイスの焼損を防止する。
【0036】
上記何れかの技術的手段において、さらに、第1の温度閾値は第2の温度閾値よりも小さく、第2の温度閾値は第3の温度閾値よりも小さい。
【0037】
当該技術的手段において、第1の温度閾値は第2の温度閾値よりも小さく、第2の温度閾値は第3の温度閾値よりも小さい。パワーデバイスと対応温度閾値との大小関係に応じて、適切な応答操作を選択してパワーデバイスの過熱による焼損を防止することができる。
【0038】
本願の第3の態様は、圧縮機を提供し、該圧縮機は、上記何れかの技術的手段に記載の稼働制御システムを含むため、上記何れかの技術的手段に記載の稼働制御システムの全ての有益な効果を有する。
【0039】
本願の第4の態様は、エアコンを提供し、該エアコンは、上記何れかの技術的手段に記載の稼働制御システム及び/又は上記何れかの技術的手段に記載の圧縮機を含むため、上記何れかの技術的手段に記載の稼働制御システム及び/又は上記何れかの技術的手段に記載の圧縮機の全ての有益な効果を有する。
【0040】
本願の第5の態様は、コンピュータプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、上記何れかの技術的手段に記載の稼働制御方法を実現するため、該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記何れかの技術的手段に記載の稼働制御方法の全ての有益な効果を有する。
【0041】
本願の上記及び/又は付加的な態様及び利点は、以下の図面を参照した実施例の説明から明確になり、容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、本願の一実施例に係る稼働制御方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、本願の一実施例に係る圧縮機インバータブリッジ制御回路の概略図である。
【
図3】
図3は、本願の一実施例に係るスイッチング周波数と圧縮機稼働周波数との比較概略図である。
【
図4】
図4は、本願の別の一実施例に係るスイッチング周波数と圧縮機稼働周波数との比較概略図である。
【
図5】
図5は、本願のさらに別の一実施例に係るスイッチング周波数と圧縮機稼働周波数との比較概略図である。
【
図6】
図6は、本願の別の一実施例に係る稼働制御方法のフローチャートである。
【
図7】
図7は、本願のさらに別の一実施例に係る稼働制御方法のフローチャートである。
【
図8】
図8は、本願の一実施例に係る稼働制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本願の上記目的、特徴及び利点をより明確に理解するように、以下、図面及び具体的な実施形態を参照しながら本願についてさらに詳しく説明する。なお、矛盾しない限り、本願の実施例及び実施例における特徴を組み合せることができる。
【0044】
本願を十分に理解するように、以下の説明で多くの具体的な詳細を説明するが、本願はここで説明する形態と異なる形態で実施することもできるので、本願の保護範囲は以下で開示する具体的な実施例に限定されない。
【0045】
以下に、
図1から
図8を参照しながら本願のいくつかの実施例に記載の稼働制御方法、稼働制御システム、圧縮機、エアコン、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を説明する。
【0046】
図1に示すように、本願の第1の態様の実施例において、パワーデバイスが設けられた圧縮機のインバータブリッジ制御回路に適用される稼働制御方法を提供し、該稼働制御方法は、圧縮機の稼働周波数を収集するステップS102と、稼働周波数に応じてパワーデバイスのスイッチング周波数を目標スイッチング周波数に調整するステップS104とを含む。
【0047】
当該実施例において、制御回路が圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集し、収集された圧縮機の稼働周波数に応じてインバータブリッジ制御回路におけるパワーデバイスのスイッチング周波数を動的に調整することにより、調整されたスイッチング周波数を現在の圧縮機の稼働周波数に一致させるため、常に最大効果を発揮することができる。本願により提供される技術的手段によれば、制御回路は、圧縮機の周波数の増加や低減に従って、スイッチング周波数を対応的且つ動的に調整することにより、圧縮機周波数が高い場合、スイッチング周波数を対応的に増加させ、より良い制御効果が得られ、圧縮機周波数が低い場合、スイッチングデバイスのスイッチング周波数を対応的に低減させ、スイッチングデバイスのハードウェア損失を減少させると同時に、コントローラーの発熱を減少させることができる。さらに圧縮機動作状況に従ってスイッチング周波数を動的に調整することを実現するとともに、より良い圧縮機制御効果が得られる。そして、パワーデバイスの発熱を抑制し、スイッチングデバイスの損失を減少させ、さらに圧縮機の制御の信頼性と制御デバイスの耐久性を向上させる。
【0048】
具体的には、
図2に示すように、圧縮機制御回路は、AC電源、整流モジュール及びPFC(Power Factor Correction、力率補正)モジュール、インバータブリッジモジュール及びメイン制御チップを含む。メイン制御チップは、圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集し、圧縮機の稼働周波数に応じてインバータブリッジモジュールにおけるパワーデバイスのスイッチング周波数を動的に調整する。
【0049】
好ましくは、圧縮機製造プロセスにおいて、該圧縮機の異なる稼働周波数での、インバーターコントローラーの消費電力最小値に対応するスイッチング周波数を測定することにより、該スイッチング周波数を現在の稼働周波数の最適スイッチング周波数として設定し、最終的に表1に示された圧縮機周波数と対応する最適スイッチング周波数とからなるスイッチング周波数テーブルを形成する。なお、fnは、圧縮機の稼働周波数を示し、fsnは、fnに対応する最適スイッチング周波数を示す。圧縮機の運転開始後、メイン制御チップは圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで監視し、差分ルックアップテーブルにより、スイッチング周波数テーブルに現在の圧縮機稼働周波数に対応する最適スイッチング周波数を探し、該最適スイッチング周波数で稼働させるようにインバータブリッジモジュールを制御する。
【0050】
【0051】
好ましくは、圧縮機製造プロセスでは、該圧縮機が異なる稼働周波数範囲での、インバーターコントローラーの消費電力最小値に対応するスイッチング周波数を測定することにより、該スイッチング周波数を現在の稼働周波数の最適スイッチング周波数として設定し、最後に
図3に示されたスイッチング周波数fsと圧縮機稼働周波数fcとの比較図を形成する。なお、圧縮機稼働周波数が0からf2の区間にある場合、対応するスイッチング周波数はfs1であり、圧縮機の稼働周波数がf2からf3の区間にある場合、スイッチング周波数はfs2であり、圧縮機の稼働周波数がfnからfn+1の区間にある場合、スイッチング周波数はfsnに対応する。異なるスイッチング周波数に対応する異なる圧縮機稼働周波数区間を設定することにより、圧縮機稼働周波数に対するサンプリング頻度を減少することができ、システム圧力を減少させる。
【0052】
好ましくは、圧縮機製造プロセスでは、
図4に示すように、まず、スイッチング周波数の最小値fsminと最大値fsmaxを決定し、fsminとfsmax、及び対応する圧縮機の稼働周波数範囲に応じて、搬送波比Kを決定し、圧縮機の稼働周波数がfcである場合、対応するスイッチング周波数は、fs=K×fcにより算出することができる。
【0053】
ここで、fsは、スイッチング周波数であり、Kは、搬送波比であり、fcは、稼働周波数である。算出されたスイッチング周波数が最小値fsminよりも小さい場合、スイッチング周波数をfsminに設定し、算出されたスイッチング周波数が、最大値fsmaxよりも大きい場合、スイッチング周波数をfsmaxに設定する。
【0054】
好ましくは、圧縮機製造プロセスでは、まず、スイッチング周波数の最小値fsminと最大値fsmaxを決定し、圧縮機の稼働周波数を、稼働周波数の高低に従って、複数の区間セクションに分割し、異なる区間セクションの搬送波比Kをそれぞれ決定する。
図5に示すように、圧縮機稼働周波数が[0、f1]の区間にある場合、搬送波比はK1であり、圧縮機稼働周波数が[f1、f2]の区間にある場合、搬送波比はK2であり、圧縮機稼働周波数が[f2、fmax]区間にある場合、搬送波比はK3である。圧縮機の稼働周波数を収集した後、稼働周波数fcが存在する区間を判断する。
【0055】
圧縮機稼働周波数fc1が[0、f1]の区間にあれば、対応するスイッチング周波数は、fs1=K1×fc1である。
【0056】
圧縮機稼働周波数fc2が[f1、f2]の区間にあれば、対応するスイッチング周波数は、fs2=K2×fc2である。
【0057】
圧縮機稼働周波数fc3が[f2、fmax]の区間にあれば、対応するスイッチング周波数は、fs2=K2×fc3である。
【0058】
なお、算出されたスイッチング周波数が最小値fsminよりも小さい場合、スイッチング周波数をfsminに設定し、算出されたスイッチング周波数が最大値fsmaxよりも大きい場合、スイッチング周波数をfsmaxに設定する。
【0059】
本願の一実施例において、さらに、稼働周波数に応じてパワーデバイスのスイッチング周波数を目標スイッチング周波数に調整することは、具体的に、収集された稼働周波数が少なくとも第1の稼働周波数閾値である場合、スイッチング周波数を対応する第1の目標スイッチング周波数に調整することと、収集された稼働周波数が第2の稼働周波数閾値よりも小さい場合、スイッチング周波数を対応する第2の目標スイッチング周波数に調整することと、収集された稼働周波数が少なくとも第2の稼働周波数閾値であり、且つ第1の稼働周波数閾値よりも小さい場合、パワーデバイスのスイッチング周波数を変更せずに保持することとを含み、第1の稼働周波数閾値は第2の稼働周波数閾値よりも大きく、第1の目標スイッチング周波数は第2の目標スイッチング周波数よりも大きい。
【0060】
当該実施例において、メイン制御モジュールは、圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集し、収集された稼働周波数と予め設定された周波数閾値を比較する。収集された稼働周波数が少なくとも第1の稼働周波数閾値である場合、現在の圧縮機の稼働周波数が高いことを示し、より良い制御効果を得るために、スイッチング周波数を、スイッチング周波数が高い、対応する第1の目標スイッチング周波数に調整する。収集された稼働周波数が第2の稼働周波数閾値よりも小さい場合、現在の圧縮機の稼働周波数が低いことを示し、この時、スイッチング周波数を、スイッチング周波数が低い、対応する第2の目標スイッチング周波数に調整し、これによりスイッチングデバイスの損失を減少させ、パワーデバイスの動作時温度を低下させる。圧縮機の稼働周波数が少なくとも第2の稼働周波数閾値であり、且つ第1の稼働周波数閾値よりも小さい場合、現在の圧縮機がスムーズに稼働しており、スイッチング周波数を調整する必要がないことを示す。なお、第1の稼働周波数は第2の稼働周波数よりも大きく、対応する第1の目標スイッチング周波数は第2の目標スイッチング周波数よりも大きい。
【0061】
本願の一実施例において、さらに、稼働周波数に応じてパワーデバイスのスイッチング周波数を目標スイッチング周波数に調整することは、具体的に、収集された稼働周波数が時間とともに低減する場合、パワーデバイスのスイッチング周波数を対応する目標スイッチング周波数まで低減することと、収集された稼働周波数が時間とともに増加する場合、パワーデバイスのスイッチング周波数を対応する目標スイッチング周波数まで増加させることとを含む。
【0062】
当該実施例において、メイン制御モジュールは、圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集して記憶媒体に格納し、格納された稼働周波数と該稼働周波数が取得された時点とにより、対応する稼働周波数変化曲線を作成する。アプリケーションプログラムは、確率の変化曲線に応じて圧縮機の周波数の変化傾向を判断し、収集された圧縮機の稼働周波数が時間とともに低減する傾向がある場合、パワーデバイスのスイッチング周波数が対応的に低減するように制御する。具体的には、対応する目標スイッチング周波数まで、対応して低減させ、スイッチングデバイスの損失を減少するとともに、パワーデバイスの動作時温度を低下させる。収集された圧縮機の稼働周波数が時間とともに増加する傾向がある場合、パワーデバイスのスイッチング周波数が対応して増加するように制御する。具体的には、対応する目標スイッチング周波数まで、対応して増加させ、より良い制御効果が得られる。
【0063】
本願の一実施例において、さらに、
図6に示すように、稼働制御方法は、圧縮機の稼働周波数を収集するステップS602と、稼働周波数に応じてパワーデバイスのスイッチング周波数を目標スイッチング周波数に調整するステップS604と、パワーデバイスの動作時温度を収集するステップS606と、動作時温度と予め設定された温度閾値との大小関係を比較し、大小関係に応じて目標スイッチング周波数及び/又は圧縮機の稼働周波数を調整するステップS608とを含む。
【0064】
当該実施例において、インバータブリッジモジュール内に対応する温度収集ユニットを設置し、パワーデバイスの動作時温度をリアルタイムで収集してメイン制御モジュールに送信する。メイン制御モジュールは、パワーモジュールの動作時温度サンプリング値と予め設定された温度閾値を比較し、具体的な比較結果に応じてパワーデバイスの目標スイッチング周波数及び/又は圧縮機の稼働周波数を動的に調整し、圧縮機の制御効果を保証することで、パワーデバイスの過熱保護を実現し、パワーデバイス過熱によるシステム損傷を防止する。
【0065】
本願の一実施例において、さらに、動作時温度と予め設定された温度閾値との大小関係を比較し、大小関係に応じて目標スイッチング周波数及び/又は圧縮機の稼働周波数を調整することは、具体的に、収集された動作時温度が少なくとも第1の温度閾値である場合、動作時温度に応じて目標スイッチング周波数を対応的に低減することと、収集された動作時温度が少なくとも第2の温度閾値である場合、動作時温度に応じて目標スイッチング周波数を対応的に低減するとともに、動作時温度に応じて稼働周波数を対応して低減することと、収集された動作時温度が少なくとも第3の温度閾値である場合、インバータブリッジ制御回路が作動を停止するように制御することとを含む。
【0066】
当該実施例において、対応する温度閾値を設定し、収集された動作時温度が対応する温度閾値を超えるか否かがリアルタイムで判断される。具体的には、収集された動作時温度が少なくとも第1の温度閾値である場合、パワーデバイスが過熱する傾向があることを示し、目標スイッチング周波数を対応的に低減し、パワーデバイスの動作時温度を低下させる。収集された動作時温度が少なくとも第2の温度閾値である場合、パワーデバイスが既に過熱していることを示し、スイッチング周波数を低減させるだけでは、過熱傾向を抑制することができないため、スイッチング周波数を低減するとともに、圧縮機の稼働周波数を低減することにより、パワーデバイスの動作時温度をさらに低下させる。収集された動作時温度が少なくとも第3の温度閾値である場合、パワーデバイスが既に大幅に過熱しており、損傷の危険性があることを示し、この時、インバータブリッジ制御回路が作動を停止するように直ちに制御して、パワーデバイスの焼損を防止する。
【0067】
本願の一実施例において、さらに、第1の温度閾値は第2の温度閾値よりも小さく、第2の温度閾値は第3の温度閾値よりも小さい。
【0068】
当該技術的手段において、第1の温度閾値は第2の温度閾値よりも小さく、第2の温度閾値は第3の温度閾値よりも小さい。パワーデバイスと対応する温度閾値との大小関係に応じて、適切な応答操作を選択してパワーデバイスの過熱による焼損を防止することができる。
【0069】
本願の一実施例において、稼働制御の全体の流れは、
図7に示すとおりであり、圧縮機が稼働を開始した後、圧縮機の稼働周波数を収集するステップS702と、圧縮機稼働周波数に応じて、テーブルをルックアップして、対応する最適スイッチング周波数を選択するステップS704と、パワーモジュールの動作時温度を収集するステップS706と、動作時温度が第1の温度閾値よりも大きいか否かを判断し、判断結果がNOであれば、ステップS702に戻り、判断結果がYESであれば、ステップS710に入るステップS708と、目標スイッチング周波数を低減させるステップS710と、動作時温度が第2の温度閾値よりも大きいか否かを判断し、判断結果がNOであれば、ステップS702に戻り、判断結果がYESであれば、ステップS714に入るステップS712と、圧縮機の稼働周波数を低減させるステップS714と、動作時温度が第3の温度閾値よりも大きいか否かを判断し、判断結果がNOであれば、ステップS702に戻り、判断結果がYESであれば、ステップS718に入るステップS716と、インバータブリッジ制御回路が作動を停止するように制御するステップS718とを含む。
【0070】
図8に示すように、本願の第2の態様の実施例では、パワーデバイスが設けられた圧縮機のインバータブリッジ制御回路に適用される稼働制御システム800を提供し、制御システムは、圧縮機の稼働周波数を収集するセンサーモジュール802と、稼働周波数に応じてパワーデバイスのスイッチング周波数を調整するメイン制御モジュール804とを含む。
【0071】
当該実施例において、制御回路は、圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集し、収集された圧縮機の稼働周波数に応じてインバータブリッジ制御回路におけるパワーデバイスのスイッチング周波数を動的に調整することにより、調整されたスイッチング周波数を現在の圧縮機の稼働周波数に一致させるため、常に最大効果を発揮することができる。本願により提供される技術的手段によれば、制御回路は、圧縮機の周波数の増加や低減に従って、スイッチング周波数を対応的且つ動的に調整することにより、圧縮機周波数が高い場合、スイッチング周波数を対応的に増加させ、より良い制御効果が得られ、圧縮機周波数が低い場合、スイッチングデバイスのスイッチング周波数を対応的に低減させ、スイッチングデバイスのハードウェア損失を減少させると同時に、コントローラーの発熱を減少させることができる。圧縮機動作状況に従ってスイッチング周波数を動的に調整することを実現するとともに、より良い圧縮機制御効果が得られる。そして、パワーデバイスの発熱を抑制し、スイッチングデバイスの損失を減少させ、さらに圧縮機の制御の信頼性と制御デバイスの耐久性を向上させる。
【0072】
本願の一実施例において、さらに、メイン制御モジュールは、収集された稼働周波数が少なくとも第1の稼働周波数閾値である場合、スイッチング周波数を第1の予め設定されたスイッチング周波数に調整することと、収集された稼働周波数が第2の稼働周波数閾値よりも小さい場合、スイッチング周波数を第2の予め設定されたスイッチング周波数に調整することと、収集された稼働周波数が少なくとも第2の稼働周波数であり、且つ第1の稼働周波数よりも小さい場合、現在のスイッチング周波数を変更せずに保持することにも使用され、第1の稼働周波数閾値は第2の稼働周波数閾値よりも大きく、第1の予め設定されたスイッチング周波数は第2の予め設定されたスイッチング周波数よりも大きい。
【0073】
当該実施例において、メイン制御モジュールは、圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集し、収集された稼働周波数と予め設定された周波数閾値を比較する。収集された稼働周波数は少なくとも第1の稼働周波数閾値である場合、現在の圧縮機の稼働周波数が高いことを示し、より良い制御効果を得るために、スイッチング周波数を、スイッチング周波数が高い、対応する第1の目標スイッチング周波数に調整し、収集された稼働周波数が第2の稼働周波数閾値よりも小さい場合、現在の圧縮機の稼働周波数が低いことを示し、この時、スイッチング周波数を、スイッチング周波数が低い、対応する第2の目標スイッチング周波数に調整し、スイッチングデバイスの損失を減少させ、パワーデバイスの動作時温度を低下させる。圧縮機の稼働周波数は少なくとも第2の稼働周波数閾値であり、且つ第1の稼働周波数閾値よりも小さい場合、現在の圧縮機がスムーズに稼働しており、スイッチング周波数を調整する必要がないことを示す。なお、第1の稼働周波数は第2の稼働周波数よりも大きく、対応する第1の目標スイッチング周波数は第2の目標スイッチング周波数よりも大きい。
【0074】
本願の一実施例において、さらに、メイン制御モジュールは、収集された稼働周波数が時間とともに低減する場合、パワーデバイスのスイッチング周波数を対応する目標スイッチング周波数まで低減することと、収集された稼働周波数が時間とともに増加する場合、パワーデバイスのスイッチング周波数を対応する目標スイッチング周波数まで増加させることにも使用される。
【0075】
当該実施例において、メイン制御モジュールは、圧縮機の稼働周波数をリアルタイムで収集して格納記憶媒体に格納し、格納された稼働周波数と該稼働周波数が取得された時点とにより、対応する稼働周波数変化曲線を作成する。アプリケーションプログラムは、確率の変化曲線に応じて圧縮機の周波数の変化傾向を判断し、収集された圧縮機の稼働周波数が時間とともに低減する傾向がある場合、パワーデバイスのスイッチング周波数が対応的に低減するように制御する。具体的には、対応する目標スイッチング周波数まで、対応して低減させ、スイッチングデバイスの損失を減少するとともに、パワーデバイスの動作時温度を低下させる。収集された圧縮機の稼働周波数が時間とともに増加する傾向がある場合、パワーデバイスのスイッチング周波数が対応的に増加するように制御する。具体的には、対応する目標スイッチング周波数まで、対応して増加させ、より良い制御効果が得られる。
【0076】
本願の一実施例において、さらに、センサーモジュールは、パワーデバイスの動作時温度を収集することにも使用され、メイン制御モジュールは、動作時温度と予め設定された温度閾値との大小関係を比較し、大小関係に応じて目標スイッチング周波数及び/又は圧縮機の稼働周波数を調整することにも使用される。
【0077】
当該実施例において、インバータブリッジモジュール内に対応する温度収集ユニットを設置し、パワーデバイスの動作時温度をリアルタイムで収集してメイン制御モジュールに送信する。メイン制御モジュールは、パワーモジュールの動作時温度サンプリング値と予め設定された温度閾値を比較し、具体的な比較結果に応じてパワーデバイスの目標スイッチング周波数及び/又は圧縮機の稼働周波数を動的に調整し、圧縮機の制御効果を保証することで、パワーデバイスの過熱保護を実現し、パワーデバイスの過熱によるシステム損傷を防止する。
【0078】
本願の一実施例において、さらに、メイン制御モジュールは、収集された動作時温度が少なくとも第1の温度閾値である場合、動作時温度に応じて目標スイッチング周波数を対応的に低減することと、収集された動作時温度が少なくとも第2の温度閾値である場合、動作時温度に応じて目標スイッチング周波数を対応的に低減するとともに、動作時温度に応じて稼働周波数を対応的に低減することと、収集された動作時温度が少なくとも第3の温度閾値である場合、インバータブリッジ制御回路が作動を停止するように制御することにも使用される。
【0079】
当該実施例において、対応する温度閾値を設定し、収集された動作時温度が対応する温度閾値を超えるか否かがリアルタイムで判断される。具体的には、収集された動作時温度が少なくとも第1の温度閾値である場合、パワーデバイスが過熱する傾向があることを示し、目標スイッチング周波数を対応的に低減し、パワーデバイスの動作時温度を低下させる。収集された動作時温度が少なくとも第2の温度閾値である場合、パワーデバイスが既に過熱していることを示し、スイッチング周波数を低減させるだけでは、過熱傾向を抑制することができないため、スイッチング周波数を低減するとともに、圧縮機の稼働周波数を低減することにより、パワーデバイスの動作時温度をさらに低下させる。収集された動作時温度が少なくとも第3の温度閾値である場合、パワーデバイスが既に大幅に過熱しており、損傷の危険性があることを示し、この時、インバータブリッジ制御回路が作動を停止するように直ちに制御して、パワーデバイスの焼損を防止する。
【0080】
本願の一実施例において、さらに、第1の温度閾値は第2の温度閾値よりも小さく、第2の温度閾値は第3の温度閾値よりも小さい。
【0081】
当該実施例において、第1の温度閾値は第2の温度閾値よりも小さく、第2の温度閾値は第3の温度閾値よりも小さい。パワーデバイスと対応する温度閾値との大小関係に応じて、適切な応答操作を選択してパワーデバイスの過熱による焼損を防止することができる。
【0082】
本願の第3の態様の実施例は、圧縮機を提供し、該圧縮機は、上記何れかの実施例に記載の稼働制御システムを含むため、上記何れかの実施例に記載の稼働制御システムの全ての有益な効果を有する。
【0083】
本願の第4の態様の実施例は、エアコンを提供し、該エアコンは、上記何れかの実施例に記載の稼働制御システム及び/又は上記何れかの実施例に記載の圧縮機を含むため、上記何れかの実施例に記載の稼働制御システム及び/又は上記何れかの実施例に記載の圧縮機の全ての有益な効果を有する。
【0084】
本願の第5の態様の実施例において、コンピュータプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、上記何れかの実施例に記載の稼働制御方法を実現するため、該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記何れかの実施例に記載の稼働制御方法の全ての有益な効果を有する。
【0085】
本明細書の説明において、用語である「複数」は、2つ又は2つ以上であり、限定又は説明がない限り、「上」、「下」などの用語で示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係であり、本願を説明し易い、又は説明を簡単にするだけに用いられ、示している装置またはセットは必ず特定の方向を有し、特定の方位構造と操作を有することを表す又は暗示することではないことを理解されるべきであり、そのため、本願に対する規制とみなされるべきではない。「取り付ける」、「繋がる」、「接続」、「固定」などの用語の意味は広く理解されるべきであり、例えば、「接続」は固定連続であっても、取り卸し可能な接続であっても、又は一体的に接続であってもよく、又は電的に接続であってもよく、「繋がる」は、直接的に接続することや、中間媒体を介して間接的に接続することも可能である。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0086】
本明細書の説明において、用語である「一実施例」、「いくつかの実施例」、「具体的な例示」などの記述は、当該実施例又は例示に記載された具体的な特徴、構造、材料又は特点を参照して本願の少なくとも1つの実施例又は例示に含まれることを意図する。本明細書において、上記用語の例示的な記述は同一の実施例又は例示を必ずしも意味しない。さらに、記載された具体的な特徴、構造、材料又は特長はいずれかの1つ又は複数の実施例又は例示において適当な方式で組み合わせることができる。
【0087】
以上は、本願の好適な実施例に過ぎず、本願を限定するものではない。当業者であれば、本願に様々な修正や変更が可能である。本願の趣旨や原則内での全ての修正、置換、改善などは、本願の保護範囲内に含まれる。