(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】負荷を駆動するための変換器、LEDドライバ及びLED照明装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20220819BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20220819BHJP
H05B 45/327 20200101ALI20220819BHJP
H05B 45/385 20200101ALI20220819BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H05B45/10
H05B45/327
H05B45/385
(21)【出願番号】P 2021559839
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2020059784
(87)【国際公開番号】W WO2020207976
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/082284
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ティーテマ ヤコブ ローロフ
(72)【発明者】
【氏名】フー ハオミン
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0072391(US,A1)
【文献】国際公開第2005/069469(WO,A1)
【文献】特開2017-060329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H05B 45/10
H05B 45/327
H05B 45/385
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷を駆動するための変換器であり、
電力を受け取るための入力ラインと、
前記入力ラインに結合されるパワーインダクタと、
出力を供給するように、前記パワーインダクタを流れる電流の経路及びその電力転流を、スイッチング周波数で、制御するための主スイッチと、
前記出力に関するフィードバック信号がヒステリシス制御の上側閾値に達するときに前記電力転流をオフにし、前記出力に関する前記フィードバック信号が前記ヒステリシス制御の下側閾値まで減少するときに前記電力転流をオンにするためのヒステリシス制御回路であって、前記スイッチング周波数よりも低いバースト周波数でバーストモード動作を実施するよう前記電力転流のオン及びオフを切り替えるためのバースト信号を供給するヒステリシス制御回路とを有する変換器であって、
前記変換器が、
前記バースト信号を検出し、
検出される前記バースト信号に依存して前記上側閾値及び/又は前記下側閾値を調節するよう適合される調節回路を更に有する変換器。
【請求項2】
前記調節回路が、前記検出されるバースト信号のデューティサイクルが増加する場合には、前記上側閾値が増加されるように適応される請求項1に記載の変換器。
【請求項3】
前記調節回路が、前記検出されるバースト信号のデューティサイクルが減少する場合には、前記上側閾値が減少されるように適応される請求項1乃至2のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項4】
自励発振型コンバータを有し、補助インダクタであって、前記補助インダクタにおける誘導電圧によって前記主スイッチの制御端子に駆動信号を供給するために前記パワーインダクタに磁気的に結合される補助インダクタを更に有し、前記補助インダクタが、前記主スイッチのスイッチングを供給するための自励発振回路の一部である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の変換器。
【請求項5】
前記自励発振回路が、前記変換器がリンギングチョークコンバータであるように、前記補助インダクタと前記制御端子との間に直列に駆動コンデンサを更に有し、前記自励発振回路が、前記主スイッチの前記制御端子に接続され、誘導及び/又は共振による前記補助インダクタにおける電圧によって前記主スイッチをオンにするよう適合される請求項4に記載の変換器。
【請求項6】
前記変換器が、ピーク電流制御回路を更に有し、前記ピーク電流制御回路が、
前記主スイッチ及び前記
パワーインダクタと直列の電流感知抵抗器であって、前記主スイッチがオンにされるときに前記主スイッチ及び前記
パワーインダクタを流れる電流を感知する電流感知抵抗器と、
前記主スイッチの前記制御端子に接続され、感知される前記電流がピーク電流閾値に達するときに前記主スイッチをオフにするよう適合されるシャントスイッチとを含む請求項5に記載の変換器。
【請求項7】
前記パワーインダクタが、トランスの一次側巻線を形成し、前記変換器が、前記トランスの二次側巻線を形成し、前記負荷に電気的に結合される前記トランスの二次側インダクタを更に有し、フライバックコンバータを形成し、前記ヒステリシス制御回路が、前記二次側インダクタにおける出力電圧を感知し、それによって、前記フィードバック信号を生成するために、前記二次側インダクタに磁気的に結合される感知インダクタを有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項8】
前記ヒステリシス制御回路が、前記感知インダクタへの第1の、随意に負の入力と、前記主スイッチへの出力とを備える比較回路を更に有し、前記比較回路が、前記上側閾値及び/又は前記下側閾値に対応する基準電源への第2の、随意に正の入力を更に有し、前記出力が、前記バースト信号である請求項7に記載の変換器。
【請求項9】
前記調節回路が、前記比較回路の基準電圧を調節するための基準電圧調節回路を有する請求項8に記載の変換器。
【請求項10】
前記調節回路が、前記比較回路の総基準電圧として、固定電圧に、前記バースト信号に応じた可変電圧を選択的に加えるための回路を有する請求項9に記載の変換器。
【請求項11】
前記比較回路が、シュミットトリガ回路を有し、前記ヒステリシス制御回路が、前記感知インダクタと前記比較回路の前記負の入力との間に第1平滑回路を更に有する請求項10に記載の変換器。
【請求項12】
前記調節回路が、低周波電圧を平滑化して、平滑化された電位にするための第2平滑回路を有し、前記可変電圧を選択的に加えるための回路が、前記平滑化された電位に依存する請求項10乃至11のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項13】
外部AC入力を受け取り、前記入力ラインにおいて受け取られるDC電力を生成するための整流回路を有する請求項1乃至12のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項14】
LEDを駆動するための主ドライバ回路と、
補助負荷へのインターフェースと、
前記インターフェースを介して前記補助負荷を駆動するための、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の変換器とを有するLEDドライバ。
【請求項15】
請求項14に記載のLEDドライバを有し、前記補助負荷として、前記LED及びセンサを更に有するLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば予備電源として使用するための、負荷を駆動するための変換器に関する。例えば、前記変換器は、LEDベースのランプ内で補助電源を生成するために使用されてもよい。
【背景技術】
【0002】
LEDベースの(レトロフィット)ランプは、住宅建物及びオフィスにおいてますます使用されるようになっている。それらはまた、それらの高い効率に加えて、新しい設計特性、様々な色温度、調光機能などにより、消費者を引き付ける。
【0003】
LED照明を既存の主電源(mains)照明器具に適合させるため、各LED照明ユニットは、AC主電源をDC駆動信号に変換し、電圧レベルを下げるために変換回路を使用する。
【0004】
変換回路は、一般に、整流器と、スイッチモード電力変換器とを有する。スイッチモード電力変換器の或る例は、リンギングチョークコンバータ(RCC)ベースの電力変換器である。RCCベースのバック又はブースト又はフライバックコンバータは、スイッチングの周期的な動作が自己制御される一般的な自励発振型コンバータであり、低コストのLEDドライバとして広く使用されている。それは、多くの場合、一次側巻線と二次側巻線とを備えるフライバックトランスを含み、二次側巻線は出力ダイオードを介して出力負荷に電力を供給する。
【0005】
照明ドライバは、一般に、LED照明ユニットに電力を供給するのに加えて、補助電源を生成する必要もある。この電源は、例えば、MCU、センサ、(DALIコントローラなどの)照明コントローラ又は他のコントローラに給電するために使用され、定電圧電源として実施される。
【0006】
補助電源は、一般に、調整された出力電圧を有する必要がある。
一次側からの出力電圧を制御するためには、一次側電圧調整が好ましい。一次側電圧調整は、二次側電圧調整よりもコスト効率が良く、ロバストである。なぜならば、第1に、一次側電圧制御手法においては、制御回路の高電圧又はコモンモード絶縁が必要とされず、第2に、制御部に給電するための補助回路が簡素化されるからである。更に、調整回路は、一次側に配置されるときには、主電源からのあらゆる情報を、非常にシンプル且つ効果的なやり方で処理することができる。
【0007】
一次側調整は、例えば、一次側巻線におけるピーク電流と、出力ダイオードの検出されるデューティサイクルとを利用することができ、それによって、平均出力電流を表す信号を導き出す。
【0008】
一般的なRCCの場合は、ピークスイッチング電流は相対的に一定であり、コンバータは常に臨界導通モード(CCM)で動作する。これらの制限により、コンバータは相対的に小さいダイナミックレンジを有する。なぜなら、前記ダイナミックレンジはスイッチング周波数のダイナミックレンジに比例するからである。
【0009】
ダイナミックレンジを増大させる或る既知の方法は、ピーク電流を適応させるものである。
【0010】
ダイナミックレンジを増大させる別の既知の方法は、RCCをバーストモードで動作させることによるものである。本発明は、とりわけ、自励発振型コンバータのバーストモード制御に関する。
【0011】
一次側調整バーストモード制御手法は、ダイナミックレンジを改善するが、負荷調整は悪化する。負荷調整の悪化は、フライバックトランスの不完全な結合係数、リンギングによるフライバックトランスの補助巻線電圧の電圧感知誤差、及び出力電圧リップルと一次側感知電圧リップルとの間の不一致に起因する。
【0012】
フライバックトランスの不完全な低結合係数は、一次側制御自励発振型フライバックバーストモードコンバータに限定されるものではないことに留意されたい。実際には、フライバックトランスの補助巻線を介する出力感知を備える全ての一次側調整フライバックコンバータがこの問題に悩まされる。一般に、この問題は、トランスの設計を最適化することによって対処される。
【0013】
補助巻線電圧の出力電圧感知誤差は、例えば、特にコンバータのスイッチをオフにした後の、反射電圧のリンギングによって引き起こされる。このリンギング電圧は、コンバータの実際の反射出力電圧よりも高く、それによって、検出されるピーク反射電圧の誤差を生じさせる。これを改善する既知のやり方は、ピーク検出器を使用する代わりに、簡単なサンプルホールド回路で、コンバータのスイッチがオフである特定の時間に出力電圧をサンプリングするものである。
【0014】
出力電圧リップルと一次側感知電圧との間の不一致は、既知の回路の負荷調整の悪化の大きな要因である。反射されるピークの検出され、感知される電圧は、或る特定の負荷条件の出力負荷に適合するように調整され得るが、その場合、他の負荷条件のリップルは異なり、これは、負荷調整の悪化をもたらす。この不一致は、とりわけ、バーストモードで動作されるRCCなどの自励発振型コンバータにとって問題である。
【0015】
それ故、とりわけ負荷調整を改善するために、スイッチモード変換器のバーストモード制御の改善の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の概念は、負荷調整の問題が低減されるように、駆動されている負荷に依存してヒステリシスが適応される、バーストモードヒステリシス制御変換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0018】
本発明の或る態様による例によれば、負荷を駆動するための変換器であり、
電力を受け取るための入力ラインと、
前記入力ラインに結合されるパワーインダクタと、
出力を供給するように、前記パワーインダクタを流れる電流の経路及びその電力転流(power commutation)を、スイッチング周波数で、制御するための主スイッチと、
前記出力に関するフィードバック信号がヒステリシス制御の上側閾値に達するときに前記電力転流をオフにし、前記出力に関する前記フィードバック信号が前記ヒステリシス制御の下側閾値まで減少するときに前記電力転流をオンにするためのヒステリシス制御回路であって、前記スイッチング周波数よりも低いバースト周波数でバーストモード動作を実施するよう前記電力転流のオン及びオフを切り替えるためのバースト信号を供給するヒステリシス制御回路とを有する変換器であって、
前記変換器が、
前記バースト信号を検出し、
検出される前記バースト信号に依存して前記上側閾値及び/又は前記下側閾値を調節するよう適合される調節回路を更に有する変換器が提供される。
【0019】
従って、本発明は、バーストモードヒステリシス制御変換器を提供する。ヒステリシスは、検出される前記バースト信号、例えば、前記バースト信号のデューティサイクルに依存して適応される。このデューティサイクルは、駆動されている負荷に依存する。このやり方においては、前記回路が前記負荷に応じて適応され、故に、負荷電圧調整が低減される。バーストモード制御はダイナミックレンジを改善し、ヒステリシスの適応は負荷調整を改善する。フィードフォワード補償が使用され、一次側制御を可能にし、故に、二次側感知の必要性をなくす。ヒステリシスレベルの変更の効果は、駆動されている前記負荷に適合されるように前記バースト周波数/デューティサイクルを変更することである。
【0020】
前記調節回路は、例えば、前記検出されるバースト信号のデューティサイクルが増加する場合には、前記上側閾値が増加されるように適応される。
【0021】
これは、大きな出力負荷が存在する場合に当てはまり、故に、重い負荷をサポートするようスイッチングがより長く持続する。
【0022】
前記調節回路は、例えば、前記検出されるバースト信号のデューティサイクルが減少する場合には、前記上側閾値が減少されるように適応される。
【0023】
これは、小さな出力負荷が存在する場合に当てはまり、故に、スイッチングはそれほど長く持続する必要はない。
【0024】
前記変換器は、自励発振型コンバータを有してもよく、補助インダクタであって、前記補助インダクタにおける誘導電圧によって前記主スイッチの制御端子に駆動信号を供給するために前記パワーインダクタに磁気的に結合される補助インダクタを更に有し、前記補助インダクタは、前記主スイッチのスイッチングを供給するための自励発振回路の一部である。
【0025】
従って、本発明は、補助インダクタが前記スイッチング周波数での自励発振のための自励発振回路を形成するために使用される自励発振型コンバータに適用され得る。これは、低コストでの実施を可能にする。
【0026】
前記自励発振回路は、前記変換器がリンギングチョークコンバータであるように、前記補助インダクタと前記制御端子との間に直列に駆動コンデンサを更に有してもよく、前記自励発振回路は、前記主スイッチの前記制御端子に接続され、誘導及び/又は共振による前記補助インダクタにおける電圧によって前記主スイッチをオンにするよう適合される。
【0027】
これは、自励発振型コンバータ回路の或る好ましい実施例を規定している。
【0028】
前記変換器は、ピーク電流制御回路を更に有してもよく、前記ピーク電流制御回路は、
前記主スイッチ及び前記主インダクタと直列の電流感知抵抗器であって、前記主スイッチがオンにされるときに前記主スイッチ及び前記主インダクタを流れる電流を感知する電流感知抵抗器と、
前記主スイッチの前記制御端子に接続され、感知される前記電流がピーク電流閾値に達するときに前記主スイッチをオフにするよう適合されるシャントスイッチとを含む。
【0029】
このやり方においては、前記電流が、設定される前記ピーク閾値に達するときに、前記主スイッチが開かれる。これは、前記主スイッチの高周波スイッチングサイクルの一部を規定している。
【0030】
前記パワーインダクタは、例えば、出力トランスの一次側巻線を形成し、前記変換器は、前記トランスの二次側巻線を形成し、前記負荷に電気的に結合される前記トランスの二次側インダクタを更に有し、フライバックコンバータを形成する。前記ヒステリシス制御回路は、例えば、前記二次側インダクタにおける出力電圧を感知し、それによって、前記フィードバック信号を生成するために、前記二次側インダクタに磁気的に結合される感知インダクタを有する。
【0031】
フィードバックは感知インダクタを使用しており、それによって、制御は、例えばオプトカプラでの二次側信号の結合を必要とせずに、一次側制御として実施される。
【0032】
前記ヒステリシス制御回路は、例えば、前記感知インダクタへの第1の、随意に負の入力と、前記主スイッチへの出力とを備える比較回路を更に有し、前記比較回路は、前記上側閾値及び/又は前記下側閾値に対応する基準電源への第2の、随意に正の入力を更に有し、前記出力は、前記バースト信号である。
【0033】
前記調節回路は、例えば、前記比較回路の基準電圧を調節するための基準電圧調節回路を有する。
【0034】
このやり方においては、比較回路の基準電圧を簡単な調節によって、前記バースト信号の前記デューティサイクルの変化に応じた回路動作の制御が達成される。
【0035】
前記調節回路は、例えば、前記比較回路の総基準電圧(total reference voltage)として、固定電圧に、前記バースト信号に応じた可変電圧を選択的に加えるための回路を有する。
【0036】
前記比較回路は、例えば、シュミットトリガ回路を有し、前記ヒステリシス制御回路は、前記感知インダクタと前記比較回路の前記負の入力との間に第1平滑回路を更に有する。
【0037】
前記調節回路は、低周波電圧を平滑化して、平滑化された電位(smoothed level)にするための第2平滑回路を有してもよく、前記可変電圧を選択的に加えるための回路は、前記平滑化された電位に依存する。
【0038】
このやり方においては、前記比較回路及び前記調節回路の適切な動作が保証される。
【0039】
例えば、外部AC入力を受け取り、前記入力ラインにおいて受け取られるDC電力を生成するための整流回路が設けられる。前記変換器は、例えば、主電源駆動回路である。
【0040】
本発明は、
LEDを駆動するための主ドライバ回路と、
補助負荷へのインターフェースと、
前記インターフェースを介して前記補助負荷を駆動するための、上記で規定されているような変換器とを有するLEDドライバも提供する。
【0041】
本発明は、上記で規定されているようなLEDドライバを有し、前記補助負荷として、前記LED及びセンサを更に有するLED照明装置も提供する。
【0042】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0043】
ここで、添付図面を参照して本発明の例について詳細に説明する。
【
図1】補助(即ち、定電圧)電源を生成するために使用されるリンギングチョークコンバータ([RCC])回路の例を示す。
【
図2】既知のフィードフォワード制御が省略されたリンギングチョークコンバータを示しており、本発明のヒステリシス制御バーストモード構成のためのビルディングブロックを示すために使用される。
【
図3】バーストモードRCCの簡略化された実施例を示す。
【
図4】軽い負荷が存在するときの
図3の回路の動作の波形を示す。
【
図5】重い負荷が存在するときの
図4の回路の動作の波形を示す。
【
図6】
図3の回路に、概略的な形態で示されている追加機能を備える修正をしたものとして、本発明の回路を示す。
【
図8】
図4と同等の波形であるが、
図6の回路のための波形を示す。
【
図9】
図5と同等の波形であるが、
図6の回路のための波形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、負荷を駆動するための変換器であって、出力を供給するように、パワーインダクタを流れる電流の経路及びその電力転流を、スイッチング周波数で、制御するための主スイッチを有する変換器を提供する。ヒステリシス制御回路は、スイッチング周波数よりも低いバースト周波数でバーストモード動作を実施するよう電力転流をオン及びオフにするためのバースト信号を生成する。調節回路は、検出されるバースト信号に依存してヒステリシス制御の上側閾値及び/又は下側閾値を調節する。このやり方におけるこのバーストモードヒステリシス制御変換器は、負荷調整の問題が低減されるように、駆動されている前記負荷に依存して適応されるヒステリシスを有する。
【0045】
本発明は、或る好ましいタイプのスイッチモード電力変換器、リンギングチョークコンバータ(RCC)を関して、説明される。本発明は、他のスイッチモード電力変換器全般、及び他の自励発振型コンバータにも適用され得る。RCCは、低コスト実施例を提供するのでとりわけ興味深いが、本発明の基礎となる概念であって、回路の適応バーストモード制御に関する概念は、より広く適用されることができ、例えば、ICベースの変換器に適用されることができる。本発明はまた、(出力トランスを介する)絶縁負荷を備える例に関して、説明されるが、本発明の概念は、非絶縁負荷に適用されてもよい。
【0046】
図1においては、補助電源として使用するためのRCC回路の可能な実施例が示されている。前記回路は、R5として示されている出力負荷を駆動するためのドライバを有する。これは、LEDランプ内に存在し得る、コントローラ、RFモジュール又はセンサなどの補助回路を表している。
【0047】
この回路は、電源V1に接続され、電源V1は、好ましくは、AC主電源である。一般的には、インダクタ及びコンデンサを備えるEMIフィルタが使用されるが、
図1においては示されていない。
【0048】
ダイオードD10、D20、D30及びD40を使用するダイオードブリッジ整流器は、整流DC出力ラインVbusに整流を提供する。これは、電力変換器として機能する回路の残りの部分への電源を有する。EMIフィルタは、例えば、整流器ブリッジと電力変換器との間にある。コンデンサC4が整流器の出力の両端間にある。コンデンサC4は、通常、バルクコンデンサである。
【0049】
整流器の出力は、トランスの主一次側巻線であるパワーインダクタL2、主トランジスタQ1として実施される主スイッチ、及び電流感知抵抗器R4を介して接地に接続される。
【0050】
トランスは、絶縁要素として機能すると共に、フライバックコンバータとして動作するスイッチモード変換器の誘導性要素としても機能する。とりわけ、二次側インダクタL4(即ち、トランスの二次巻線)は、コンデンサC4及び出力ダイオードD2と共に、スイッチモード変換器回路の出力段、即ち、フライバック電力段を形成する。前記回路は、R5として表されている出力負荷のための出力電圧Voutにおける出力を有する。
【0051】
前記回路は、ドライバがオンにされるときに、インダクタ電流が上昇し始める前に、主トランジスタQ1のベースQ1bをチャージアップする抵抗器R2を有する起動回路を含む。この例においては、主トランジスタQ1をオフにする信頼性を確保するために、ダイオードD1(及び随意の抵抗器R1)が設けられている。このダイオードD1は、ベース抵抗器R11と並列にある。
【0052】
前記回路の起動は、抵抗器R2及び駆動コンデンサC1によって達成される。DC出力ラインVbusが、抵抗器R2を介してコンデンサC1を充電し、C1の両端の電圧が十分に高くなり、Q1のベース電圧が十分に高くなるとき、主トランジスタQ1がオンし始める。主インダクタL2において電圧が蓄積され、補助インダクタL1において関連する電圧が誘導される。
【0053】
トランスの補助一次側巻線である補助インダクタL1は、高電圧バイポーラトランジスタQ1である主トランジスタQ1のベースQ1bに駆動コンデンサC1を介して電流を供給する。補助一次巻線L1と主一次巻線L2との間の誘導結合により、補助巻線L1の両端の電圧は、主一次巻線L2の両端の電圧に比例する。
【0054】
主トランジスタQ1のオン期間中、巻線L2の両端の電圧は、主電源入力電圧に比例し、これは、補助巻線L1と主トランジスタQ1のベースQ1bとの間のベース抵抗器R11を流れる電流が、(整流された)主電源電圧に比例することを意味する。整流器のDC出力ラインVbusにおける電圧が高いときは、インダクタL1の接地されていない端子における電圧は高く、故に、それは、ベース抵抗器R11を介してベースに電流を供給する。
【0055】
駆動コンデンサC1が、補助巻線L1とベース抵抗器R11との間に直列にある。駆動コンデンサC1は、補助巻線L1における誘導電圧を、主トランジスタQ1のベースQ1bに流れ込む電流に変換する。駆動コンデンサC1が大きければ大きいほど、駆動電流は強くなる。
【0056】
回路構成要素D1、R11、R1、C1は、一緒に、一次側制御回路を形成する。
【0057】
一次コイルを流れる電流は上昇し、補助一次巻線L1との結合は、主トランジスタQ1を急速にオンにして飽和状態にするよう作用する。とりわけ、補助一次巻線L1の電流は、ベース抵抗器R11を介して主トランジスタQ1にベース電流を注入する。
【0058】
電流が、R4及びQ2(ピーク電流制御回路)によって決定されるような或る特定のレベルに達するときには、それらは、主トランジスタQ1をオフにし、主トランジスタQ1は飽和領域を離れ、コレクタ・エミッタ電圧が増加する。その場合、一次巻線の電圧は減少し、補助巻線L1における電圧も減少し、故に、主トランジスタはオフにされる。
【0059】
その場合、インダクタ電流は、フライバックダイオードD3、コンデンサC3及び抵抗器R7を有する、前記回路のフライバック部を流れる。補助巻線L1における電圧は反転し、主トランジスタQ1をオフにするのを早める。主トランジスタのスイッチングオフ中、主トランジスタQ1のベース電荷は、駆動コンデンサC1、抵抗器R1、ダイオードD1、補助一次巻線L1を介して消耗される。二次巻線L4におけるエネルギが放出された後、主トランジスタQ1での共振が主トランジスタQ1を再びオンにし、このプロセスは繰り返す。出力電圧は、出力/コンデンサC4において蓄積される。
【0060】
他の容量性構成要素と補助巻線L1の発振は、補助巻線L1を再び励起させ、主トランジスタQ1に駆動電流を供給して主トランジスタQ1をオンにする。
【0061】
従って、前記回路は、周期的に自励発振するように機能し、主トランジスタをオン及びオフに切り替える。主トランジスタQ1がオフであるときは、トランスに蓄積されたエネルギが二次側に伝達され、負荷R5(及びコンデンサC4)に出力電流を供給する。主トランジスタがオンにされるときは、代わりにコンデンサC4が負荷R5に出力電流を供給する。
【0062】
より長期的な(即ち、より低い周波数の)フィードバック制御のために、別の補助巻線L5が、二次側インダクタL4及びコンデンサC4における出力電圧を感知し、それを電圧制御ブロック10にフィードバックし、これは、出力電圧が第1閾値に達するときに高周波スイッチングのバースト動作に影響を及ぼす。負荷R5は、多くの場合、センサ、MCUなどのような電圧依存性負荷であり得るので、この電圧フィードバック制御が使用される。
【0063】
図1において示されている回路の一般的なアーキテクチャは既知であり、既知の回路には多くのバリエーション及び追加があるが、それらは、同じ一般的なやり方で、即ち、絶縁されたフライバックコンバータ出力段を用いて、回路の周期的なスイッチングを実施する対のインダクタの自励発振を使用して、動作する。
【0064】
フィードバックは、スイッチングサイクルのタイミングに影響を与えるために使用され、それによって、レベル制御を提供する。
【0065】
二次側からのフィードバックは、例えばオプトカプラを介する、二次側制御として知られているのに対して、一次側に存在する信号のみを利用する制御は、一次側制御として知られている。いずれの場合にも、前記制御は、定電流制御のために出力電流を調整するために使用される、又は定電圧制御のために出力電圧の調整するに使用される。
【0066】
この例においては、定電圧補助電源を生成するために変換器が使用される。電圧制御ブロック10は、インダクタL5を使用する感知に基づいて、定電圧制御ループを実施するためのものであり、インダクタL5は、電圧感知を提供するために二次巻線L4に磁気的に結合される。ダイオードD6及び抵抗器R8は、定電圧制御ブロック10のための電圧感知信号Vsenseを生成する。
【0067】
図2は、既知のフィードフォワード制御が省略されたリンギングチョークコンバータを示している。
図2は、本発明のヒステリシス制御バーストモード構成のためのビルディングブロックを示すために使用される。
図1と同じ構成要素には、同じ参照番号が付与されている。トランジスタQ2のためのベース抵抗器R3だけでなく、フライバック回路における、追加の抵抗器R6も示されている。
【0068】
一般的なRCCの場合は、ピークスイッチング電流は相対的に一定であり、コンバータは常に臨界導通モード(CCM)で動作する。結果として、コンバータは相対的に小さいダイナミックレンジを有する。なぜなら、前記ダイナミックレンジはスイッチング周波数のダイナミックレンジに比例するからである。
【0069】
ダイナミックレンジを増大させる或る方法は、ピーク電流を適応させるものである。ダイナミックレンジを増大させる別の既知の方法は、RCCをバーストモードで動作させることによるものである。
【0070】
図3は、
図1のバーストモードRCCの簡略化された既知の実施例を示している。
【0071】
図3は、
図2の回路に、バーストモード動作を提供するための一次側調整回路を加えたものである。
図1と同様に、出力電圧は、フライバックトランスの補助巻線L4に磁気的に結合される感知巻線L5を介して、ピーク検出器D6、R8を用いて感知される。
【0072】
インダクタL1、L2、L4及びL5は、例えば、全て1の結合係数で結合される。感知巻線L5によって検出される電圧は、フィードバック信号と呼ばれる。
【0073】
このフィードバック信号が、検出電圧Vdetを生成するために使用され、検出電圧Vdetは、反転シュミットトリガA1、インバータA2、ベース抵抗器R15を介してバーストモード制御トランジスタQ4のベースに供給される。シュミットトリガA1及びインバータA2は、一緒に、シュミットトリガ回路であるとみなされ得る。当然、非反転シュミットトリガが使用されてもよい。トランジスタQ4は、オンにするとき、主トランジスタQ1を完全にオフにすることができ、即ち、バースト動作におけるオフ状態において高周波スイッチングを無効にする。そうでなければ、トランジスタQ4は、オフにするとき、主トランジスタQ1の高周波スイッチングを有効にする。
【0074】
コンデンサC10は、感知インダクタL5とシュミットトリガ回路との間の平滑回路として機能する。
【0075】
ダイオードD6及び抵抗器R8は、制御トランジスタQ4を制御するための電圧感知信号Vdetを生成する。
【0076】
前記電圧をシュミットトリガに通すことによって、ヒステリシス制御が実施される。とりわけ、上側閾値に達するまではトランジスタQ4のオン/オフ(高周波スイッチング)は有効にされ、下側閾値に達するまではトランジスタQ4の高周波スイッチングは無効にされる。
【0077】
変換器の出力電圧は、シュミットトリガの閾値電圧と一緒に、補助巻線L1と主巻線L2との間の巻線比によって設定される。
【0078】
トランジスタQ4は、オンにされるとき、トランジスタQ2と同じ機能、即ち、主トランジスタQ1をオフにする機能を実施するが、より長期的な制御で、より低いバースト周波数で機能を実施する。このやり方においては、バーストモード制御が実施され、それによって、トランジスタQ4がオフにされる間は、通常のRCCの周期的な動作が行われる(これが動作のバーストである)のに対して、トランジスタQ4がオンにされる間は、主トランジスタQ1がオフにされる。
【0079】
RCC制御は、バーストモード周波数よりも高いスイッチング周波数で実施され、前記バーストモード周波数は、例えば100Hz乃至200Hzの領域内にある。RCCのスイッチング周波数は、一般に、数十khz又は数百kHzのオーダーのものであり、例えば10kHzよりも大きい。
【0080】
バースト周波数は、出力電圧がどのように上昇及び下降するかに依存し、これは感知巻線L5における電圧が変化させる。これは出力負荷に依存する。
【0081】
バースト周波数は、とりわけ、ヒステリシス閾値と、出力に接続される負荷R5に依存する出力コンデンサ放電時間とに依存する。
【0082】
図4は、軽い負荷が存在するときの回路動作のための波形を示している。
【0083】
上のグラフは、約5.6msの周期(即ち、180Hz)を備える、主スイッチQ1におけるスイッチングバーストVswを示している。信号Vswによって規定されるバーストは、非常に短いデューティサイクルを有する。
図4のグラフにおける各スパイクは、高周波スイッチングの周期に対応するが、個々のスイッチング信号は短すぎて図においては目に見えない。
【0084】
下のグラフは、出力電圧Voutと、インダクタL5及びダイオードD6の両端の検出電圧Vdetとを示している。
【0085】
放電時間が軽い負荷の状態に合わせて調整されていることから、出力電圧は、所望の24Vにおいて相対的に安定している。
【0086】
図5は、重い負荷が存在するときの回路動作のための波形を示している。
【0087】
この場合も先と同様に、上のグラフは、主スイッチQ1におけるスイッチングバーストを規定する信号Vswを示している。しかしながら、信号Vswによって規定されるバーストは、増加されたデューティサイクルを有する。更に、周期が約7.9ms(即ち、130Hz)まで増加している。
【0088】
下のグラフは、出力電圧Voutと、感知インダクタL5及びダイオードD6の両端の検出電圧Vdetとを示している。この例においては、高周波RCCスイッチングを無効にするための上側閾値は、示されているように26Vである。高周波RCCスイッチングを有効にするための下側閾値は、約18Vである。
【0089】
出力電圧は、ここでは、かなりのリップルと、24Vをかなり下回る方への平均値のシフトとを示している。これは、相対的に長い再起動タイミングと、相対的に小さい出力静電容量とを選択することによって、誇張されている。それは、軽い負荷及び重い負荷に対する、一次側感知電圧及び出力電圧における電圧リップルの差による負荷調整の悪化を明確に示している。
【0090】
図6は、本発明の回路を、
図3の回路を修正したものとして示している。修正点は、簡略化された形態で示されている。
【0091】
図3と同様に、前記回路は、バーストモード動作を実現するためにシュミットトリガ回路を使用する。
【0092】
シュミットトリガ回路は、帰還抵抗器R9を介する正帰還を備える、オペアンプ回路などの比較回路U1によって実現される。反転(負)入力は、感知インダクタL5に接続され、出力は、ダイオードD7を介して主スイッチQ1に結合される。比較回路の機能は、ベースQ1bを引き下げるものであり、比較回路は、ベースQ1bに電流を供給する必要はない。従って、ダイオードD7は、電流の流れを単一の方向に制限するために使用されることができる。
【0093】
非反転(正)入力は、上側閾値(及び/又は別の実施例においては、下側閾値)を設定する基準電源に接続される。従って、基準電圧源Vrefが、ヒステリシスレベルを設定し、非反転端子に印加される。オペアンプU1の出力は、シュミットトリガ出力信号Vschであり、これは、信号Vswにおいて見られるバースト周期のタイミングを規定する。従って、信号Vschはバースト信号と規定され得る。
【0094】
更なる補償信号Vcompによる追加の補償がある。この補償信号は、調節回路によって生成される。調節回路は、シュミットトリガ回路に印加される基準電圧を調節する機能を有する。或る例においては、調節回路は、シュミットトリガ出力Vschの積分を実施して、補償電圧を生成する。この調節回路は、制御可能な電圧源E1として概略的に示されている。制御可能な電圧源は、調節回路への入力におけるバースト信号Vschに依存し、とりわけ、電圧波形Vschの積分されたものに依存する補償信号Vcompを生成する。制御可能な電圧Vcompは、基準電圧Vrefと直列にあり、それによって、それらが合計されて、シュミットトリガ回路の閾値を設定する。
【0095】
コンデンサC2及び抵抗器は、シュミットトリガ出力信号が調節回路に供給される前にシュミットトリガ出力信号を平滑化するための第2平滑回路として機能するローパスフィルタを形成する。
【0096】
制御可能な電圧Vcompの効果は、信号Vschに依存して、シュミットトリガ回路の上側閾値若しくは下側閾値、又はその両方を調節する効果であり得る。
【0097】
この場合も先と同様に、この信号Vschは、バーストモード動作を設定するバースト信号であり、主トランジスタQ1及びシャントスイッチQ2による高周波電力転流のオン及びオフを切り替えるために使用される。バーストモード動作は、上で説明したように、スイッチング周波数よりも低いバースト周波数を有する。
【0098】
制御可能な電圧源E1は、例えば、積分オペアンプ回路を有する。基準電圧源Vrefは、例えば、(オフセット電圧を含む)抵抗分割回路として実施されてもよい。
【0099】
図7は、
図6の調節回路E1及びシュミットトリガ回路のより詳細な実施例を示している。検出信号Vdetの生成は
図6と同じであり(図示せず)、バースト信号Vschの下流の回路は
図6と同じである(図示せず)。
【0100】
基準電圧源及び比較器は、ツェナーダイオードD8、オペアンプU1及び関連する抵抗回路R9、R10、R12、R13によって実施される。
【0101】
調節回路の制御可能な電圧源は、積分オペアンプU2及び平滑コンデンサC2によって実施される。平滑コンデンサC2に加えてRC回路R14及びC6を備える、より実用的な積分フィルタが示されており、追加のフィルタ極(additional filter pole)を供給する。抵抗器対R14、R16は、減衰器としても機能する。減衰器は、Vcompにおけるフィードフォワード補償係数を設定するよう調整されることができる。
【0102】
他の多くの回路実施例が可能であり、
図7の回路は単に例であることは理解されるだろう。
【0103】
信号Vschから得られる積分出力Vcompは、バースト信号のデューティサイクルの指標(measure)である。より大きなデューティサイクルは、より高いDC(即ち、時間にわたる平均)値を備える、より大きな積分出力を生じさせる。補償ゲイン及び基準電圧は、制御可能な電圧源E1内のフィードバックを変更することによって、システムパラメータに合わせて調整されることができる。
【0104】
或る例においては、調節回路は、検出されるバースト信号のデューティが増加する場合には、上側閾値が増加されるように適応される。検出されるバースト信号のデューティサイクルが減少する場合には、上側閾値は減少される。
【0105】
示されている例においては、調節回路は、比較回路U1の総基準電圧を規定するために、固定基準電圧Vrefに、バースト信号に応じた可変電圧Vcompを選択的に加える。当然、シュミットトリガ回路(及びこの特定の例においては、比較回路U1)に供給される可変電圧を実施するために他のやり方が使用されてもよい。
【0106】
図8は、
図4と同等の波形であるが、
図6の回路のための波形を示している。
【0107】
一番上のグラフは、約5.6msの周期(即ち、180Hz)を備える、シュミットトリガ出力信号Vsch(即ち、トランジスタQ4の駆動を制御するために使用されるバースト信号)を示している。更に、補償電圧Vcompが示されている。回路は軽い負荷での動作のために設計されることから、補償電圧はゼロであり、従って、補償は必要とされない。
【0108】
2番目のグラフは、信号Vschに対応するタイミングを有するスイッチバーストVswを示している。
【0109】
一番下のグラフは、出力電圧Voutと、インダクタL5及びダイオードD6の両端の検出電圧Vdetとを示している。
【0110】
この場合も先と同様に、出力電圧は、所望の24Vにおいて相対的に安定している(y軸に沿った値における差が小さいことに留意)。
【0111】
図9は、
図5と同等の波形であるが、
図6の回路のための波形を示している。
【0112】
一番上のグラフは、この場合も先と同様に、増加された周期及び増加されたデューティサイクルを備える、シュミットトリガ出力信号Vsch(即ち、トランジスタQ4のベースへの入力)を示している。補償電圧は、固定された6Vのレベルとして示されている。ここでは、より高い負荷の状態が検出されたことから、補償電圧が必要とされる。
【0113】
一番下のグラフは、出力電圧Voutと、インダクタL5及びダイオードD6の両端の検出電圧Vdetとを示している。
【0114】
出力電圧の最大値は、(
図5における26Vから
図9における30Vへ)増加される。これは、6Vの補償電圧の結果であり、これは、オペアンプU1及び関連する構成要素による処理後、この例においては、シュミットトリガ回路の上側閾値電圧において4Vの変化を生じさせる。従って、負荷の増加に起因する、出力電圧Voutのより大きな変動は、シュミットトリガ回路の上側閾値電圧を増加させることによって補償される。このやり方においては、平均電圧は所望の24Vに保たれる。
【0115】
このやり方においては、出力に接続される負荷とは無関係に、負荷調整が改善される。
【0116】
本発明は、基本的に、負荷の状態が変化したことを検出し、それに応じてバーストモードを調節することを含む。上記の例は、負荷の変化を示すものとしてバーストモードのデューティサイクルの変化を識別することに基づいている。しかしながら、上記の説明から、負荷変動に応じてバースト周波数の変化も生じることも明らかであり、故に、バースト周波数も、ヒステリシス閾値の変更がいつ適用され得るかを検出するために使用され得る。
【0117】
上記の例は、ヒステリシス制御の上側スイッチング閾値を適応させる。しかしながら、下側閾値も適応されてもよい、又は代わりに、下側閾値が適応されてもよい。
【0118】
本発明は、上記では、バックコンバータに関連して説明されているが、バック、ブースト、バックブースト又はフライバックコンバータアーキテクチャに対して同じ手法が取られてもよい。
【0119】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲又は明細書において「~するよう適合される」という用語が使用されている場合には、「~するよう適合される」という用語は、「~するよう構成される」という用語と同等であるよう意図されていることに留意されたい。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。