(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】シュリンク包装体及びシュリンク包装方法
(51)【国際特許分類】
B65D 77/20 20060101AFI20220822BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20220822BHJP
B65D 85/34 20060101ALI20220822BHJP
B65B 53/02 20060101ALN20220822BHJP
【FI】
B65D77/20 S
B65D85/50 120
B65D85/34 160
B65B53/02 D
(21)【出願番号】P 2018141290
(22)【出願日】2018-07-27
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】313016820
【氏名又は名称】興人フィルム&ケミカルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大山 敏勝
(72)【発明者】
【氏名】寺門 慎吾
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-099015(JP,A)
【文献】特開平07-031365(JP,A)
【文献】登録実用新案第3014301(JP,U)
【文献】実開昭61-048176(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0309750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/20
B65D 85/50
B65B 53/02
B65D 85/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カットされたカボチャ全体
を熱収縮性フィルムにより包装してなるシュリンク包装体であって、
前記熱収縮性フィルムに設けた多数の小貫通孔が、前記
カボチャの外皮の部位に集中していることを特徴とするシュリンク包装体。
【請求項2】
カットされたカボチャ全体
を熱収縮性フィルムにより包装するシュリンク包装方法であって、
供給される帯状の前記熱収縮性フィルムに対して、前記
カットされたカボチャを包装したときその前記
カボチャの外皮の部位に対向する範囲に多数の小貫通孔を設ける工程と、
前記多数の小貫通孔を有する熱収縮性フィルムにて、前記
カットされたカボチャ全体を覆うように該
カットされたカボチャを仮包装する工程と、
仮包装後、前記熱収縮性フィルムを熱収縮させて、該
カットされたカボチャをシュリンク包装する工程と、を備えることを特徴とするシュリンク包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャベツ、大根やカボチャ等の被包装物の表面全体に熱収縮性フィルムが密着するようにして、該被包装物全体を熱収縮性フィルムにより包装するシュリンク包装体及びシュリンク包装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、店頭には、1/2または1/4にカットされたキャベツや大根、カボチャ等が熱収縮性フィルムにより包装されて陳列されている。このような様々な形状を有する被包装物をシュリンク包装するには、専用の自動包装装置が使用される。当該自動包装装置では、ロール状フィルム巻体から供給された帯状の熱収縮性フィルムに小貫通孔を多数開けておき、供給されてくる被包装物全体を熱収縮性フィルムにて、余裕を持ってゆったりと覆うように仮包装する。その後、この仮包装体をシュリンクトンネル内に搬送して熱風等を吹き付けることで加熱する。これにより、熱収縮性フィルムの内側の空気が多数の小貫通孔から抜けつつ、熱収縮性フィルムが熱収縮されて、熱収縮性フィルムが被包装物の表面全体に密着するようにして、シュリンク包装される。
【0003】
ところで、上述したシュリンク包装に使用される熱収縮性フィルムの従来技術として、特許文献1には、多数の穿孔を有し、フィルムの一方の表面に、フィルムの引裂試験において引裂が伝播する方向である引裂伝播方向に対して、時計回りを正として30~60°の方向に延びる、フィルムを貫通しない切り込みAが設けられ、フィルムの他方の表面に、前記引裂伝播方向に対して、反時計回りを負として-60~-30°の方向に延びる、フィルムを貫通しない切り込みBが設けられ、前記切り込みAと前記切り込みBとの交点で穿孔が設けられている穿孔フィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のシュリンク包装方法では、被包装物が、カボチャを1/2または1/4にカットしたものであると、熱収縮性フィルムの、カボチャのカット面に密着された範囲に位置する多数の小貫通孔を介して、当該カット面が空気に晒されるようになる。このために、そのカット面に白い粉(デンプン)が浮き出てその表面が白くなる、という状態が発生する。このような状態にあっては、カボチャ自体の品質には問題無いものの、見た目が好ましくなく、これが消費者の購買欲を妨げる要因となってしまう。
【0006】
また、上述した特許文献1の発明に係る穿孔フィルムでは、帯状のフィルムに規則的な間隔で小貫通孔が多数設けられているだけであって、上述した問題を解消することはできない。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、被包装物をシュリンク包装する熱収縮性フィルムに設けた多数の小貫通孔による不都合を抑制する、シュリンク包装体及びシュリンク包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載したシュリンク包装体に係る発明は、カットされたカボチャ全体を熱収縮性フィルムにより包装してなるシュリンク包装体であって、前記熱収縮性フィルムに設けた多数の小貫通孔が、前記カボチャの外皮の部位に集中していることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載したシュリンク包装方法に係る発明は、カットされたカボチャ全体を熱収縮性フィルムにより包装するシュリンク包装方法であって、供給される帯状の前記熱収縮性フィルムに対して、前記カットされたカボチャを包装したときその前記カボチャの外皮の部位に対向する範囲に多数の小貫通孔を設ける工程と、前記多数の小貫通孔を有する熱収縮性フィルムにて、前記カットされたカボチャ全体を覆うように該カットされたカボチャを仮包装する工程と、仮包装後、前記熱収縮性フィルムを熱収縮させて、該カットされたカボチャをシュリンク包装する工程と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシュリンク包装体によれば、被包装物の表面で、空気との接触を避けるべき部位には、熱収縮性フィルムに設けた、空気抜き用の多数の小貫通孔がほとんど位置しないので、多数の小貫通孔による不都合を抑制することができる。例えば、被包装物が、カボチャを1/2または1/4にカットしたものであると、カボチャの外皮の部位に、熱収縮性フィルムに設けた多数の小貫通孔が集中すると共に、カボチャのカット面には、熱収縮性フィルムに設けた多数の小貫通孔はほとんど位置しない。その結果、カボチャのカット面と空気との接触を抑制することができるので、カボチャのカット面に白い粉が浮き出てその表面が白くなる、という状態を十分に遅らせることができる。
【0013】
また、本発明のシュリンク包装方法では、熱収縮性フィルムに設けた多数の小貫通孔が、被包装物の特定部位に集中するように、被包装物がシュリンク包装される。これにより、被包装物の表面で、空気との接触を避けるべき部位には、熱収縮性フィルムに設けた、空気抜き用の多数の小貫通孔がほとんど位置せず、多数の小貫通孔による不都合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るシュリンク包装体の斜視図である。
【
図2】
図2は、シュリンク包装装置の概略図である。
【
図3】
図3は、
図2のシュリンク包装装置であって、カボチャが、フィルムフォーマーにより略U字状に形成された熱収縮性フィルム上に供給される様子を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るシュリンク包装体に採用された帯状の熱収縮性フィルムに設けた多数の小貫通孔の配置図である。
【
図5】
図5は、他の実施形態に係る多数の小貫通孔の配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を
図1~
図5に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るシュリンク包装体1は、
図1に示すように、被包装物(カボチャ2)の表面全体に熱収縮性フィルムFが密着するようにして、該カボチャ2全体を熱収縮性フィルムFによりシュリンク包装したものである。被包装物は、本実施形態では、カボチャ2を1/4にカットしたものである。このカボチャ2の表面は、互いに略直交するカット面3、3及び外皮4にて構成される。
【0016】
熱収縮性フィルムFは、例えば、架橋ポリエチレン系フィルムが採用される。熱収縮性フィルムFには多数の小貫通孔10が設けられる。この多数の小貫通孔10は、カボチャ2を熱収縮性フィルムFにより包装したときそのカボチャ2の外皮4の部位(特定部位)に対向する範囲に形成される。小貫通孔10の孔径は、シュリンク包装後において、0.3~3.0mmの範囲内の孔径となるように設定される。各小貫通孔10は、適宜間隔でそれぞれ形成される。これらの小貫通孔10は、後述するシュリンク包装装置15のシュリンクトンネル20内で熱収縮性フィルムFを熱収縮させる際に、熱収縮性フィルムFの内側から空気を抜くためのものである。本実施形態では、
図2及び
図4に示すように、後述するシュリンク包装装置15のロール状フィルム巻体23から帯状で供給される熱収縮性フィルムFに対して、その幅方向一端部で長手方向に沿って多数の小貫通孔10が形成されている。
【0017】
本発明の実施形態に係るシュリンク包装体1では、
図1から解るように、カボチャ2の表面で、その外皮4の部位(特定部位)に熱収縮性フィルムFに設けた多数の小貫通孔10が集中するように構成されている。言い換えれば、本シュリンク包装体1では、カボチャ2の表面で、二つのカット面3、3には、熱収縮性フィルムFに設けた多数の小貫通孔10が極力位置しないように構成されている。なお、
図1、
図3及び
図4に示す小貫通孔10は、解り易くするためにその大きさを誇張して示している。
【0018】
次に、上述したシュリンク包装体1を製造するシュリンク包装装置15を
図2~
図4に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、
図2の右側を搬送方向下流側、
図2の左側を搬送方向上流側として以下に説明する。
当該シュリンク包装装置15は、いわゆる横型逆ピロー包装装置で構成される。該シュリンク包装装置15は、熱収縮性フィルムFの連続体であるロール状フィルム巻体23から供給される帯状の熱収縮性フィルムFがローラ面(外周面)に当り通る円筒体26のローラであって、該ローラの回転により、熱収縮性フィルムFに対して、カボチャ2を包装したときそのカボチャ2の外皮4の部位に対向する範囲に多数の小貫通孔10を形成する針ローラ18と、多数の小貫通孔10を有する熱収縮性フィルムFにて、カボチャ2全体を覆うように該カボチャ2を仮包装する仮包装手段19と、該仮包装手段19によって形成した仮包装体40を加熱して、熱収縮性フィルムFを熱収縮させる加熱装置であるシュリンクトンネル20と、を備えている。
【0019】
さらに具体的には、シュリンク包装装置15は、
図2に示すように、カボチャ2を供給する供給コンベア17と、ロール状フィルム巻体23から供給される帯状の熱収縮性フィルムFに対してその幅方向一端部に当接されて、熱収縮性フィルムFの供給に伴う回転により、熱収縮性フィルムFの幅方向一端部でその長手方向に沿って多数の小貫通孔10を形成する針ローラ18と、熱収縮性フィルムFの幅方向一端部でその長手方向に沿って設けた小貫通孔10の群がカボチャ2の外皮4の部位に対向するように、熱収縮性フィルムFにてカボチャ2全体を、余裕を持って覆うように仮包装する仮包装手段19と、該仮包装手段19により熱収縮性フィルムFにてカボチャ2全体を覆うように仮包装した後、その仮包装体40を加熱することで、熱収縮性フィルムFの内側の空気が多数の小貫通孔10から抜けつつ、熱収縮性フィルムFを熱収縮させてカボチャ2の表面全体に密着させるシュリンクトンネル20と、を備えている。
【0020】
供給コンベア17の搬送方向下流端から連続して、後述する仮包装手段19の搬送コンベア29が配置されている。当該搬送コンベア29の搬送方向上流端の下方にロール状フィルム巻体23が配置される。ロール状フィルム巻体23の搬送方向下流側に、ロール状フィルム巻体23からの帯状の熱収縮性フィルムFを所定方向に案内する案内ローラ24、24が複数配置される。混在する案内ローラ24、24のなかに、各案内ローラ24にて案内される帯状の熱収縮性フィルムFに多数の小貫通孔10を形成する針ローラ18が配置されている。該針ローラ18は、回転自在に支持され、帯状の熱収縮性フィルムFが外周面(ローラ面)に当り通る円筒体26(ローラ)と、該円筒体26の外周面から互いに間隔を置いて多数突設される針29と、を備えている。この針ローラ18の多数の針27によって、熱収縮性フィルムFに多数の小貫通孔10が形成される。この針ローラ18は、多数の針27が、円筒体26の周りで、その軸方向に部分的に突設されて構成されている。この多数の針27の位置によって、熱収縮性フィルムFに形成する多数の小貫通孔10の位置が特定される。要するに、この実施形態では、この針27の群が、円筒体26の周りで、その軸方向一端部に位置することで、
図4に示すように、帯状の熱収縮性フィルムFの幅方向一端部でその長手方向に沿って多数の小貫通孔10が形成される。
【0021】
なお、針27の群が、円筒体26の周りで、その軸方向略中央部に位置すれば、
図5(a)に示すように、熱収縮性フィルムFの幅方向中央部でその長手方向に沿って多数の小貫通孔10が形成される。また、この針27の群が、円筒体26の周りで、その軸方向両端部にそれぞれ位置すれば、
図5(b)に示すように、熱収縮性フィルムFの幅方向両端部でその長手方向に沿って多数の小貫通孔10がそれぞれ形成される。要するに、シュリンク包装体1であって、被包装物(カボチャ2)の表面で、空気との接触を避けるべき部位(カット面3)に、熱収縮性フィルムFに設けた多数の小貫通孔10が位置しない、あるいは極力位置しないように、針ローラ18の針27の位置、すなわち熱収縮性フィルムFに設ける小貫通孔10の範囲が特定される。そして、熱収縮性フィルムFに設ける多数の小貫通孔10の範囲は、被包装物の種類や、供給される被包装物の向き及び大きさによって、適宜決定される。なお、被包装物の表面で、空気との接触を避けるべき部位が無い場合には、多数の針27が円筒体26の周りで、その軸方向略全域に配置され、帯状の熱収縮性フィルムFの略全域に多数の小貫通孔10が形成されることになる。また、ロール状フィルム巻体23の上方には、略搬送方向に延びるスリットに沿ってスライド自在で、且つ所望の位置に回転自在に支持され、熱収縮性フィルムFの張力を調整できる張力調整ローラ28が配置されている。
【0022】
図2に示すように、仮包装手段19は、供給コンベア17からのカボチャ2を搬送する搬送コンベア29と、搬送コンベア29と供給コンベア17との間に配置されるフィルムフォーマー30と、該フィルムフォーマー30から搬送方向下流側に間隔を置いて配置されるセンターシール部31と、該センターシール部31から搬送方向下流側に間隔を置いて配置されるトップシール部32と、を備えている。フィルムフォーマー30は、
図3から解るように、板材を折り曲げて、上方を開放する略コ字状に形成される。当該フィルムフォーマー30は、ロール状フィルム巻体23から供給される帯状の熱収縮性フィルムFを、約300°程度転向させて、上方及び搬送方向をそれぞれ開口した略U字状に形成すべく構成される。
【0023】
センターシール部31は、熱収縮性フィルムFの幅方向中央部にて互いに当接する左右に対をなす一対のローラ33A(33B)、33A(33B)が、搬送方向に沿って、互いに近接して二対配置されて構成される。搬送方向下流側の一対のローラ33B、33Bに、挟持した熱収縮性フィルムFの幅方向両端を溶着できるように、例えば電熱ヒータ等が付設されている。そして、これら二対のローラ33A(33B)、33A(33B)によって、カボチャ2を載せた熱収縮性フィルムFの両端部が挟持され、搬送方向下流側の一対のローラ33B、33Bにて、熱収縮性フィルムFの両端部が溶着される。
【0024】
トップシール部32は、カボチャ2を内包した筒状の熱収縮性フィルムFであって、カボチャ2から搬送方向上流側の部位と、カボチャ2から搬送方向下流側の部位とを順次、搬送方向に対して直交する方向にシールして、切断するものである。当該トップシール部32は、互いに当接・離間可能な上下一対のシールブロック35、35と、該各シールブロック35、35の搬送方向上流側に配置され、互いに当接・離間可能な上下一対の刃物ブロック36、36と、を備えている。上下一対のシールブロック35、35には、その先端部の熱シール部35A、35Aにて挟持した熱収縮性フィルムFを溶着できるように、例えば電熱ヒータ等が付設されている。そして、上下一対のシールブロック35、35は、カボチャ2の高さ方向略中央で当接して、該各シールブロック35、35の先端部に設けた熱シール部35A、35Aにより、挟み込んだ熱収縮性フィルムFをシールすることができる。
【0025】
上下一対の刃物ブロック36、36は、上下一対のシールブロック35、35の搬送方向上流側に限りなく近接して配置されている。上下一対の刃物ブロック36、36は、その先端部に刃部36A、36Aがそれぞれ形成される。そして、上下一対のシールブロック35、35にて、熱収縮性フィルムFをシールした搬送方向に沿う2箇所の部位の搬送方向上流側を、上下一対の刃物ブロック36、36がカボチャ2の高さ方向略中央で当接して、各刃物ブロック36、36の先端刃部36A、36Aにより、挟み込んだ熱収縮性フィルムFを切断することができる。その結果、仮包装手段19により、熱収縮性フィルムFにてカボチャ2全体を、余裕を持って覆うように仮包装することができる。このように、カボチャ2の表面と熱収縮性フィルムFとの間に空間がある包装状態が仮包装体40となる。
【0026】
仮包装手段19のトップシール部32の搬送方向下流側で、搬送コンベア29の搬送方向下流端には、加熱装置であるシュリンクトンネル20が配置される。当該シュリンクトンネル20は、内部に搬送されたものを搬送しながら熱風等により加熱処理するものである。そして、搬送コンベア29からシュリンクトンネル20内に搬送された仮包装体40が熱風等で加熱されることにより、熱収縮性フィルムFに形成した多数の小貫通孔10より内部の空気が抜けつつ、熱収縮性フィルムFが熱収縮されてカボチャ2の表面全体に密着するようになる。
【0027】
次に、上述したシュリンク包装装置15を使用して、カボチャ2をシュリンク包装する方法を説明する。
その大きさが略同じである複数のカボチャ2を、供給コンベア17上を、間隔をあけて順次供給する。このとき、カボチャ2(1/4にカットしたもの)の向きを略一定とする必要があり、カボチャ2の、いずれか一方のカット面3を供給コンベア17上に当接させて、その外皮4を搬送方向左右のいずれか一方に指向させる。カボチャ2の外皮4の向きは、帯状の熱収縮性フィルムFに設けた多数の小貫通孔10の位置(熱収縮性フィルムFの幅方向一端部または他端部)によって決定される。
【0028】
また、ロール状フィルム巻体23からの帯状の熱収縮性フィルムFは、複数の案内ローラ24、24によって案内されると共に、回転する針ローラ18にてその幅方向一端部でその長手方向に沿って多数の小貫通孔10が形成されて、仮包装手段19のフィルムフォーマー30に案内される。続いて、フィルムフォーマー30に案内された熱収縮性フィルムFは、フィルムフォーマー30により上方及び搬送方向にそれぞれ開口される略U字状に形成され、その状態から熱収縮性フィルムFの幅方向両端部が互いに近接しながら搬送される。
【0029】
続いて、供給コンベア17により供給されるカボチャ2が、フィルムフォーマー30上で、略U字状に形成された熱収縮性フィルムF上に順次供給される。このとき、カボチャ2の外皮4と、熱収縮性フィルムFの幅方向一端部でその長手方向に沿って設けた小貫通孔10の群とが略対向するようになる(
図3参照)。続いて、この状態でカボチャ2が熱収縮性フィルムFと共に搬送コンベア29上を搬送される。すると、熱収縮性フィルムFの幅方向両端部が、仮包装手段19のセンターシール部31の二対のローラ33A(33B)、33A(33B)によって挟持されつつ、搬送方向下流側の一対のローラ33B、33Bによって熱収縮性フィルムFの両端部が溶着されて、カボチャ2を内包した筒状の熱収縮性フィルムFが形成される。
【0030】
引き続き、この状態で搬送コンベア29上を搬送されると、仮包装手段19のトップシール部32であって、上下一対のシールブロック35、35により、カボチャ2を内包した筒状の熱収縮性フィルムFの、カボチャ2から搬送方向上流側の部位と、カボチャ2から搬送方向下流側の部位とが順次溶着されると共に、上下一対の刃物ブロック36、36により、溶着された各部位から搬送方向上流側の部位が順次切断される。そして、この時点で、帯状の熱収縮性フィルムFの幅方向一端部でその長手方向に沿って設けた小貫通孔10の群が、カボチャ2の外皮4の略全域または部分的に対向するようにして、カボチャ2全体が、熱収縮性フィルムFにより、余裕を持って覆われるように仮包装(仮包装体40)される。
【0031】
続いて、この仮包装体40が、搬送コンベア29上からシュリンクトンネル20内に搬送される。シュリンクトンネル20内では、仮包装体40が搬送されつつ、当該仮包装体40に熱風等が吹き付けられる。この結果、仮包装体40で熱収縮性フィルムFの内側の空気が熱収縮性フィルムFに設けた多数の小貫通孔10から抜けつつ、熱収縮性フィルムFが熱収縮されてカボチャ2の表面全体に密着して、カボチャ2が熱収縮性フィルムFによってシュリンク包装される。そして、
図1に示すように、カボチャ2の外皮4の部位に、熱収縮性フィルムFに設けた多数の小貫通孔10が集中するようにして、本実施形態に係るシュリンク包装体1が製造される。
【0032】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るシュリンク包装体1では、熱収縮性フィルムFに設けた多数の小貫通孔10が、被包装物として、例えばカボチャ2の外皮4の部位(特定部位)に集中して、そのカット面3、3にはほとんど位置しないので、カット面3、3と空気との接触を抑制することができる。その結果、カボチャ2のカット面3、3に白い粉が浮き出てその表面が白くなる、という状態を十分に遅らせることができる。これにより、消費者による購買欲の低下を抑制することができる。
【0033】
また、本発明の実施形態に係るシュリンク包装方法では、ロール状フィルム巻体23から供給される帯状の熱収縮性フィルムFに対してその幅方向の一部(例えば幅方向一端部)において当接される針ローラ18の熱収縮性フィルムFの供給に伴う回転により、熱収縮性フィルムFの幅方向の一部(例えば幅方向一端部)においてその長手方向に沿って多数の小貫通孔10を形成している。これにより、帯状の熱収縮性フィルムFに対して所望の位置に多数の小貫通孔10を形成することができ、被包装物としてのカボチャ2を包装したとき、これら多数の小貫通孔10を、容易にカボチャ2の外皮4の部位に集中させることができる。
【0034】
なお、被包装物が、カボチャ2を1/2にカットしたものである場合には、シュリンク包装装置15の針ローラ18であって、その針27の群を、円筒体26の周りで、その軸方向両端部にそれぞれ位置させて、
図5(b)に示すように、帯状の熱収縮性フィルムFの幅方向両端部でその長手方向に沿って多数の小貫通孔10をそれぞれ形成するようにする。そして、カボチャ2のカット面3を供給コンベア17上に当接させつつ供給すると、仮包装体40において、カボチャ2の外皮4と、熱収縮性フィルムFの幅方向両端部でその長手方向に沿って設けた小貫通孔10の群とが対向するようになる。その結果、シュリンク包装体1において、熱収縮性フィルムFに設けた多数の小貫通孔10を、カボチャ2の外皮4の部位に集中させることができる。
【0035】
ところで、上述したシュリンク包装装置15では、カボチャ2の大きさを略一致させて、また、その向きが略一定となるように搬送コンベア29に順次供給する必要がある。そのために、シュリンク包装装置15は、供給コンベア17上を順次搬送される被包装物の向きを微調整するガイド機構を備えるようにしてもよい。また、シュリンク包装装置15は、供給コンベア17上を搬送される被包装物の種類を検知して、且つその大きさ及びその向きを検知する検知手段を備えるようにしてもよい。また、この検知手段からの検知信号(被包装物の向き)に基づいて、前記ガイド機構により被包装物の向きを微調整させるようにしてもよい。
【0036】
さらに、シュリンク包装装置15は、供給コンベア17上を順次搬送される被包装物に対して、前記検知手段からの検知信号(被包装物の大きさ)に基づいて、規定の大きさの範囲内のものだけを搬送コンベア29に供給する選別機構を備えるようにしてもよい。さらには、シュリンク包装装置15において、針ローラ18の針27の群を円筒体26の軸方向に沿ってスライド可能に構成して、供給コンベア17上を順次搬送される被包装物に対して、前記検知手段からの検知信号(被包装物の種類)に基づいて、針ローラ18の針27の群の位置を軸方向に沿って変化させる制御装置を備えるようにしてもよい。
【0037】
なお、本発明の実施形態に係るシュリンク包装体1及びシュリンク包装方法は、上述した横型逆ピロー包装装置15にて具現化することができるが、その他、横型正ピロー包装装置や縦型ピロー包装装置、L型シーラ機等を採用しても具現化することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 シュリンク包装体,2 カボチャ(被包装物),3 カット面,4 外皮(特定部位),10 小貫通孔,F 熱収縮性フィルム