(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】測定システム、測定方法、測定サーバおよび測定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/60 20170101AFI20220822BHJP
G01B 11/02 20060101ALI20220822BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20220822BHJP
【FI】
G06T7/60 150Z
G01B11/02 H
G06Q30/06 320
(21)【出願番号】P 2018151472
(22)【出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000231914
【氏名又は名称】株式会社NTC
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】江尻 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】岸 麻美
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-019843(JP,A)
【文献】特開2001-273446(JP,A)
【文献】特開2005-339363(JP,A)
【文献】特開2016-054450(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035350(WO,A1)
【文献】関根 真弘 外2名,人物輪郭を用いたフィット感の高い仮想試着向け衣服画像合成,第19回画像センシングシンポジウム 講演論文集 [CD-ROM],日本,画像センシング技術研究会,2013年06月12日,pp.IS1-12-1~IS1-12-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 - 11/30
G06T 1/00
G06T 3/00 - 3/60
G06T 5/00 - 5/50
G06T 7/00 - 7/90
G06Q 30/06
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服の測定対象の長さを測定するコンピュータを備える測定システムであって、
前記衣服の測定対象を含む画像データを取得する取得部と、
前記画像データにおける前記衣服の輪郭を構成する複数の座標のうち、測定点の候補を抽出する抽出部と、
測定対象の距離を測定するための測定点と、前記測定点を探索するための基準点を対応づけた測定対象データを参照して、
前記測定点の候補のうち、前記画像データにおける基準点から最も近い座標を前記測定点として特定し、特定された測定点に基づいて、前記画像データにおける測定対象の距離を算出する算出部と、
前記画像データにおける距離と前記衣服における距離の比に基づいて、前記測定対象の距離を、前記衣服における距離に変換する変換部
を備えることを特徴とする測定システム。
【請求項2】
衣服の測定対象の長さを測定するコンピュータを備える測定システムに用いられる測定方法であって、
コンピュータが、前記衣服の測定対象を含む画像データを取得するステップと、
コンピュータが、前記画像データにおける前記衣服の輪郭を構成する複数の座標のうち、測定点の候補を抽出するステップと、
コンピュータが、測定対象の距離を測定するための測定点と、前記測定点を探索するための基準点を対応づけた測定対象データを参照して、
前記測定点の候補のうち、前記画像データにおける基準点から最も近い座標を前記測定点として特定し、特定された測定点に基づいて、前記画像データにおける測定対象の距離を算出するステップと、
コンピュータが、前記画像データにおける距離と前記衣服における距離の比に基づいて、前記測定対象の距離を、前記衣服における距離に変換するステップ
を備えることを特徴とする測定方法。
【請求項3】
衣服の測定対象の長さを測定するための測定サーバであって、
前記衣服の測定対象を含む画像データを取得する取得部と、
前記画像データにおける前記衣服の輪郭を構成する複数の座標のうち、測定点の候補を抽出する抽出部と、
測定対象の距離を測定するための測定点と、前記測定点を探索するための基準点を対応づけた測定対象データを参照して、
前記測定点の候補のうち、前記画像データにおける基準点から最も近い座標を前記測定点として特定し、特定された測定点に基づいて、前記画像データにおける測定対象の距離を算出する算出部
を備えることを特徴とする測定サーバ。
【請求項4】
前記基準点は、前記画像データの左上端および右上端であり、
前記算出部は、
前記画像データの左上端から最も近い第1の座標と、前記画像データの右上端から最も近い第2の座標を特定し、前記衣服の上方の左右幅として、前記第1の座標と前記第2の座標の距離を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の測定サーバ。
【請求項5】
前記衣服がトップスまたはワンピースの場合、前記測定対象は前記衣服の両肩に対応する部分で、前記距離は前記衣服の肩幅のサイズに対応し、
前記衣服がスカートまたはパンツの場合、前記測定対象は前記衣服のウエストに対応する部分で、前記距離は前記衣服のウエストのサイズに対応する
ことを特徴とする請求項4に記載の測定サーバ。
【請求項6】
前記測定対象データは、前記測定点に、前記画像データを、縦方向に2行かつ横方向に2列に分けた4つの領域のうち、前記測定点を探索する領域を対応づけ、
前記算出部は、前記測定対象データで対応づけられた領域における前記測定点の候補から、前記基準点に最も近い座標を前記測定点として特定する
ことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の測定サーバ。
【請求項7】
コンピュータに、請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載の測定サーバとして機能させるための測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服の測定対象の長さを測定する測定システム、測定方法、測定サーバおよび測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報通信システムの発達に伴い、衣服を通信販売で購入する機会が増えている。店舗での衣服の購入時、ユーザは衣服を試着できるので、S、M、L、9号、11号等の規格化されたサイズ表記で足りる場合がある一方、衣服の通信販売においては、ユーザが衣服を試着できない。そこで、ユーザが衣服のサイズを適切に選択できるように、通信販売の業者は、ウェブサイト、通販雑誌等において、衣服の実寸サイズを提供する場合がある。衣服の種類に応じて定められた測定対象を、スタッフが巻き尺等で測定し、コンピュータ等に入力する。
【0003】
また衣服を販売するシステムにおいて、衣服の商品情報と、衣服の三次元情報をユーザに送信して、ユーザに衣服の正しいイメージを促すことが知られている(特許文献1参照)。特許文献1は、衣服の商品情報に衣服のサイズを含むことを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
衣服の実寸サイズを業者が測定し、手動でコンピュータに実寸サイズを入力するのは、コストを要することから、衣服の各部位の実寸を容易に測定し、電子化したいという要望がある。特に通信販売市場の拡充、さらに衣服のデザインまたはサイズの多様化を背景に、スタッフの負担は、ますます大きくなっている。
【0006】
しかしながら特許文献1は、衣服の商品情報として、衣服のサイズが含まれることを開示するに留まり、衣服の実寸サイズの測定に対する負担を軽減するものではない。
【0007】
従って本発明の目的は、衣服の実寸サイズを容易に測定可能な測定システム、測定方法、測定サーバおよび測定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、衣服の測定対象の長さを測定するコンピュータを備える測定システムに関する。本発明の第1の特徴に係る測定システムは、衣服の測定対象を含む画像データを取得する取得部と、画像データにおける衣服の輪郭を構成する複数の座標のうち、測定点の候補を抽出する抽出部と、測定対象の距離を測定するための測定点と、測定点を探索するための基準点を対応づけた測定対象データを参照して、測定点の候補のうち、画像データにおける基準点から最も近い座標を測定点として特定し、特定された測定点に基づいて、画像データにおける測定対象の距離を算出する算出部と、画像データにおける距離と衣服における距離の比に基づいて、測定対象の距離を、衣服における距離に変換する変換部を備える。
【0009】
本発明の第2の特徴は、衣服の測定対象の長さを測定するコンピュータを備える測定システムに用いられる測定方法に関する。本発明の第2の特徴に係る測定方法は、コンピュータが、衣服の測定対象を含む画像データを取得するステップと、コンピュータが、画像データにおける衣服の輪郭を構成する複数の座標のうち、測定点の候補を抽出するステップと、コンピュータが、測定対象の距離を測定するための測定点と、測定点を探索するための基準点を対応づけた測定対象データを参照して、測定点の候補のうち、画像データにおける基準点から最も近い座標を測定点として特定し、特定された測定点に基づいて、画像データにおける測定対象の距離を算出するステップと、コンピュータが、画像データにおける距離と衣服における距離の比に基づいて、測定対象の距離を、衣服における距離に変換するステップを備える。
【0010】
本発明の第3の特徴は、衣服の測定対象の長さを測定するための測定サーバに関する。本発明の第3の特徴に係る測定サーバは、衣服の測定対象を含む画像データを取得する取得部と、画像データにおける衣服の輪郭を構成する複数の座標のうち、測定点の候補を抽出する抽出部と、測定対象の距離を測定するための測定点と、測定点を探索するための基準点を対応づけた測定対象データを参照して、測定点の候補のうち、画像データにおける基準点から最も近い座標を測定点として特定し、特定された測定点に基づいて、画像データにおける測定対象の距離を算出する算出部を備える。
【0011】
ここで基準点は、画像データの左上端および右上端であり、算出部は、画像データの左上端から最も近い第1の座標と、画像データの右上端から最も近い第2の座標を特定し、衣服の上方の左右幅として、第1の座標と第2の座標の距離を算出しても良い。衣服がトップスまたはワンピースの場合、測定対象は衣服の両肩に対応する部分で、距離は衣服の肩幅のサイズに対応し、衣服がスカートまたはパンツの場合、測定対象は衣服のウエストに対応する部分で、距離は衣服のウエストのサイズに対応する。
【0012】
測定対象データは、測定点に、画像データを、縦方向に2行かつ横方向に2列に分けた4つの領域のうち、測定点を探索する領域を対応づけ、算出部は、測定対象データで対応づけられた領域における測定点の候補から、基準点に最も近い座標を測定点として特定しても良い。
【0013】
本発明の第4の特徴は、コンピュータに、本発明の第3の特徴に記載の測定サーバとして機能させるための測定プログラムに関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、衣服の実寸サイズを容易に測定可能な測定システム、測定方法、測定サーバおよび測定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る測定システムのシステム構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る測定システムにおける処理を説明するシーケンス図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る測定サーバのハードウエア構成と機能ブロックを説明する図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る測定サーバの測定対象データのデータ構造とデータの一例を説明する図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る測定サーバの画像距離データのデータ構造とデータの一例を説明する図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る測定サーバの処理を説明するフローチャートである。
【
図7】本発明の実施の形態に係るクライアント端末のハードウエア構成と機能ブロックを説明する図である。
【
図8】本発明の実施の形態において、カメラで衣服を撮影する様子を説明する図である。
【
図9】本発明の実施の形態において、クライアント端末が送信する画像データの一例を説明する図である。
【
図10】本発明の実施の形態において、測定サーバが画像データ中の衣服の輪郭を特定する図である。
【
図11】本発明の実施の形態において、画像データの座標を区分する領域を説明する図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係る測定サーバが特定した、トップス(半袖)の測定点を説明する図である。
【
図13】本発明の実施の形態に係る測定サーバが特定した、スカートの測定点を説明する図である。
【
図14】本発明の実施の形態に係る測定サーバが特定した、パンツの測定点を説明する図である。
【
図15】本発明の実施の形態に係る測定サーバが特定した、ワンピースの測定点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0017】
(測定システム)
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る測定システム5を説明する。測定システム5は、測定サーバ1とクライアント端末2を備える。測定サーバ1とクライアント端末2は、インターネット、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク3により、双方向に通信可能に接続される。
図1に示す測定システム5は、2台のクライアント端末2を備えるが、クライアント端末2の数は問わない。
【0018】
本発明の実施の形態に係る測定システム5は、衣服100の測定対象の長さ(サイズ)を測定する。クライアント端末2が、衣服100の測定対象が撮影された画像データGを測定サーバ1に送信する。測定サーバ1は、画像データGから測定対象の2つの測定点を特定して、画像データGにおける測定点間の距離を算出する。測定サーバ1は、算出した測定点間の距離をクライアント端末2に送信する。クライアント端末2は、画像データGにおける距離と衣服における距離の比に基づいて、受信した測定点間の距離を、衣服100における距離に換算する。
【0019】
(測定方法)
図2を参照して本発明の実施の形態に係る測定方法を説明する。
【0020】
ステップS1において、床や平台等の上にシート102が配置され、シート102上に衣服100が配置されると、クライアント端末2は、カメラ70でシート102の上方から衣服100を撮影して、画像データGを生成する。画像データGは、少なくとも、衣服100の測定対象の部分のデータを含む。ステップS2においてクライアント端末2は、ステップS1で撮影した画像データGを、測定サーバ1に送信する。このときクライアント端末2は、トップス(半袖または長袖)、パンツ、ワンピース等の衣服の種別も併せて送信しても良い。
【0021】
クライアント端末2から画像データG等を受信すると、ステップS3において測定サーバ1は、画像データGにおける輪郭を構成する複数の座標から、測定点候補を抽出する。
【0022】
ステップS4において測定サーバ1は、ステップS3で抽出した測定点候補のうち、測定対象の測定に用いる測定点の座標を特定する。測定サーバ1は、測定対象の2つの測定点毎に基準点と探索領域を対応づけた測定対象データ12を参照して、ステップS3で抽出した測定点候補のうち、基準点から探索領域内で最も近い座標を測定点として特定する。測定サーバ1は、測定対象の2つの端部のそれぞれについて、測定点を特定する。ステップS5において測定サーバ1は、ステップS4において特定した2つの測定点間の画像データG上の距離を算出する。ステップS2で送信された画像データGの衣服100の種別について複数の測定対象がある場合、各測定対象について、ステップS4およびステップS5の処理を繰り返す。
【0023】
測定対象の距離を算出すると、ステップS6において測定サーバ1は、ステップS5で算出した測定対象の距離を含む画像距離データDを、クライアント端末2に送信する。
【0024】
測定サーバ1から画像データG上の測定対象の距離を受信すると、ステップS7においてクライアント端末2は、画像データGにおける測定対象の距離を、衣服100における測定対象の距離に変換する。クライアント端末2は、例えば、ステップS1において衣服を撮影する際などに、カメラ70のレンズから衣服までの距離等の撮影環境、解像度等のカメラ特性等に応じて、画像データGにおける距離と衣服100における距離の対応関係(比)を算出する。ステップS7において、予め算出した距離の対応関係に基づいて、画像データGにおける測定対象の距離を、衣服100における距離に変換する。ステップS8においてクライアント端末2は、変換後の測定対象の距離を表示したり、他のデータベースに出力したりする。
【0025】
なお、本発明の実施の形態において、測定サーバ1が画像データGにおける測定点間の距離を算出するとともに、クライアント端末2が画像データGを測定サーバ1に送信し、衣服100における距離を換算する場合を説明するが、これに限られない。例えば、測定サーバ1が、画像データGにおける測定点の画素を特定してクライアント端末2に通知し、クライアント端末2で、画像データGにおける測定点間の距離を算出しても良い。
【0026】
また他の実施の形態として、測定サーバ1とクライアント端末2の2種の端末に機能を分担させるのではなく、一つのコンピュータ上で実現しても良い。例えば、測定サーバ1に、クライアント端末2の機能を持たせるなどしても良い。
【0027】
(測定サーバ)
図3を参照して、本発明の実施の形態に係る測定サーバ1を説明する。測定サーバ1は、記憶装置10、処理装置20、通信制御装置30を備える一般的なコンピュータである。一般的なコンピュータが測定プログラムを実行することにより、
図3に示す機能を実現する。
【0028】
記憶装置10は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)、ハードディスク等であって、処理装置20が処理を実行するための入力データ、出力データおよび中間データなどの各種データを記憶する。処理装置20は、CPU(Central Processing Unit)であって、記憶装置10に記憶されたデータを読み書きしたり、通信制御装置30とデータを入出力したりして、測定サーバ1における処理を実行する。通信制御装置30は、測定サーバ1が、クライアント端末2と通信可能に接続するためのインタフェースである。
【0029】
記憶装置10は、測定プログラムを記憶するとともに、画像データG、測定点候補データ11、測定対象データ12および画像距離データDを記憶する。
【0030】
画像データGは、クライアント端末2から取得するデータである。画像データGには、衣服100’の測定対象が含まれる。衣服100’は、衣服100が撮影されたデータである
【0031】
測定点候補データ11は、測定対象の端部を形成する測定点の候補の座標を含む。測定点の候補は、衣服100’の輪郭における特徴点であって、例えば、輪郭においてカーブまたは角を形成する座標である。
【0032】
測定対象データ12は、測定対象の距離を測定するための測定点と、測定点を探索するための基準点と、探索対象の領域を対応づけたデータである。測定対象データ12は、測定サーバ1に予め格納される。
【0033】
測定対象データ12は例えば
図4に示すように、衣服100の種別、測定対象、測定点および測定点を特定するための探索領域および基準点を対応づけたデータである。測定点は、測定対象を測定する2つの端部であって、例えば、肩幅を測定する場合、測定点は左肩と右肩である。測定対象データ12は、衣服100の種別および測定対象毎に設定される2つの測定点について、探索領域及び基準点を設定する。
【0034】
探索領域は、
図11に示すように、画像データGを、縦方向に2行かつ横方向に2列に分けた4つの領域のうち、測定点を探索する領域である。探索領域として設定された領域に、測定対象を測定するための測定点が含まれる。また基準点は、探索領域から測定点を特定するために用いられる基準点である。探索領域として指定された領域に位置する測定点候補のうち、基準点から最も近い測定点候補が測定点となる。例えば、襟幅の測定点を特定するために、左襟の測定点は、探索領域の左上領域R1に位置する測定点候補のうち、基準点の上中央点P11から最も近い測定点候補である。同様に、右襟の測定点は、探索領域の右上領域R2に位置する測定点候補のうち、基準点の上中央点P11から最も近い測定点候補である。
【0035】
画像距離データDは、画像データG上の測定点間の距離を含むデータである。一つの画像データGについて複数の測定対象がある場合、画像距離データDは、各測定対象の距離を含む。例えば衣服100の種別が「トップス(半袖)」の場合、
図4に示すように、5つの測定対象がある。従って、画像距離データDは、
図5に示すように、5つの測定対象のそれぞれについて、距離が対応づけられる。
【0036】
処理装置20は、取得部21、抽出部22、算出部および出力部24を備える。
【0037】
取得部21は、クライアント端末2から衣服100の測定対象を含む画像データGを取得する。本発明の実施の形態において取得部21は、クライアント端末2から、衣服100の種別も取得しても良い。衣服100の種別は、測定対象を特定するために用いられ、「トップス(長袖)」、「トップス(半袖)」、「パンツ」、「ワンピース」等である。
【0038】
なお、取得部21は、衣服100の種別を取得しなくても、測定可能な場合がある。例えば、トップスまたはワンピースの肩幅、スカートまたはパンツのウエストなどは、衣服の種別を取得しなくても良い。これらのサイズは、測定サーバ1が、衣服100の種別を問わず、左上点および右上点からそれぞれ最も近い測定点間の、画像データG上の距離を算出することで得られる。測定サーバ1が、算出した画像データG上の距離をクライアントに送信すると、クライアント端末2は、衣服100の種別を特定可能であるので、送信された画像データG上の距離に基づいて変換した距離を、肩幅またはウエストとして出力することができる。
【0039】
同様に、トップス、スカート、ワンピースの裾幅などについても、衣服100の種別を取得しなくても良い。これらのサイズは、測定サーバ1が、衣服100の種別を問わず、左下点および右下点からそれぞれ最も近い測定点間の、画像データG上の距離を算出することで得られる。測定サーバ1は、算出した画像データG上の距離をクライアントに送信すると、クライアント端末2は、衣服100の種別を特定可能であるので、送信された画像データG上の距離に基づいて変換した距離を、裾幅として出力することができる。
【0040】
抽出部22は、画像データGにおける衣服100’(衣服100の撮影データ)の輪郭を構成する複数の座標のうち、測定点の候補を抽出する。
【0041】
抽出部22は、取得部21が画像データGを取得すると、画像データGに対して必要な前処理を行い、画像データG中の衣服100’の輪郭を抽出する。画像データGの撮影時のカメラ70のレンズと衣服100が平行でない場合があるので、抽出部22は、前処理として、カメラ70のレンズと衣服100が平行に撮影されたように、画像データGを補正する。さらに、画像データGにおけるシート102’の内側の枠103’を目安に、抽出部22は、衣服100’を含む撮影部分を切り出し、さらに背景を白抜きした画像データを生成する。
【0042】
前処理が終了すると、抽出部22は、衣服100’のグレースケール化、平滑化、2値化などの画像処理を経て、衣服100’の輪郭を構成する複数の座標を特定する。抽出部22は、複数の座標から、測定点の候補を抽出する。このとき抽出部22は、コーナー検出ロジック、Haar-likeロジック、HOG(Histograms of Oriented Gradients)ロジック等の複数のロジックにより特徴点を抽出しても良い。
【0043】
また抽出部22は、衣服100’の輪郭の直線または直線に近い曲線の端部を除く座標は排除される。例えば、トップスにおいて、襟から肩先までの肩の稜線または左右の脇線に対応する座標のうち、両端近傍の特徴点は、それぞれ襟または肩先の測定点の候補となりうる。一方、両端近傍を除く中央部分の特徴点は、測定対象の測定点とならないので、測定点の候補から除外される。
【0044】
コーナー検出ロジックは、2つのエッジの交点を検出して、直線的なラインの角度変化の検出等を可能にする。Haar-likeロジックは、画像をいくつかの矩形に分け、矩形ごとの明度差が大きくなる箇所を検出して、曲線的な特徴点の検出を可能にする。HOGロジックは、画像をいくつかの矩形に分け、輝度勾配をヒストグラム化して勾配が大きい箇所となる特徴点の検出を可能にする。
【0045】
さらに抽出部22は、多数の特徴点が検出された場合、類似する特徴点を除外するなどにより、測定点の候補としてふさわしい特徴点を抽出しても良い。
【0046】
算出部23は、測定対象データ12を参照して、測定点の候補のうち、画像データGにおける基準点から最も近い座標を測定点として特定し、特定された測定点に基づいて、画像データGにおける測定対象の距離を算出する。算出部23は、取得部21が取得した衣服100の種別で測定すべき測定対象について、抽出部22が抽出した測定点の候補から、測定対象の端部となる2つの測定点を特定し、測定点間の距離を算出する。算出された測定対象の距離は、画像距離データDに格納される。
【0047】
算出部23は、測定対象データ12で探索領域として対応づけられた領域における測定点の候補から、基準点に最も近い座標を測定点として特定する。例えば、袖丈の距離を測定する場合、
図4に示す測定対象データ12に従って、右肩および右袖先の測定点を探索する。
【0048】
右肩を探索するための基準点は、
図11(a)に示す画像データGの右上点P2であり、探索領域は右上領域R2である。算出部23は、右上領域R2に位置する測定点の候補から、画像データGの右上点P2から最も近い測定点の候補の座標を、右肩の測定点として特定する。また右袖先を探索するための基準点は、画像データGの右中央点P14であり、探索領域は右上領域R2である。算出部23は、右上領域R2に位置する測定点の候補から、画像データGの右中央点P14から最も近い測定点の候補の座標を、右袖先の測定点として特定する。
【0049】
算出部23は、右肩の測定点の座標と、右袖先の測定点の座標との座標上の距離を算出して、画像距離データDに格納する。また衣服100の種別によって複数の測定対象が指定されている場合、各測定対象について座標上の距離を算出して、画像距離データDに格納する。
【0050】
上記の例では、測定対象データ12において探索領域を指定した場合を説明したが、これに限らない。基準点が、左上点P1、右上点P2、左下点P3および右下点P4等など、基準点の位置等によって探索領域が1つに特定される場合、測定対象データ12において探索領域が設定されなくても良い。
【0051】
例えば、トップスの肩幅の距離を算出する際、基準点は、画像データGの左上点P1および右上点(左上端および右上端)である。算出部23は、画像データGの左上点P1から最も近い第1の座標と、画像データGの右上点P2から最も近い第2の座標を測定点として特定する。さらに算出部23は、衣服100’の肩幅として、第1の座標と第2の座標の距離を算出する。ここで、左上点P1から最も近い座標は左上領域R1に位置し、右上点P2から最も近い座標は右上領域R2に位置する。従って基準点が画像の角となる場合など、測定対象データ12において探索領域が設定されなくても良い場合がある。また測定対象データ12において探索領域が設定された場合、探索対象のフィルタリングとして活用されても良い。
【0052】
上記の例では、トップスの肩幅の距離を算出する場合を説明したが、衣服100の上方の左右幅となる各サイズについても、同様の方法で算出することができる。衣服100の上方の左右幅は、着用者の両肩に対応し、ワンピースの肩幅、パンツまたはスカートのウエスト等である。さらに、基準点を、左下点P3および右下点P4とすることで、衣服100の下方の左右幅についても、同様に算出することができる。衣服100の下方の左右幅は、スカートまたはワンピースの裾幅等である。
【0053】
出力部24は、算出部23によって、測定対象の距離が格納された画像距離データDを、クライアント端末2に返す。
【0054】
図6を参照して、本発明の実施の形態に係る測定サーバ1における処理を説明する。
【0055】
まずステップS101において測定サーバ1は、衣服100の画像データGと、衣服100の種別を取得する。ステップS102において測定サーバ1は、ステップS101で取得した画像データGに対して前処理で各種補正を行う。ステップS103において測定サーバ1は、画像データGにおける衣服100’の輪郭を構成する座標を、測定点の候補として特定する。また測定サーバ1は、必要に応じてステップS104において、測定点の候補の重複を排除するなどにより、測定点の候補をフィルタリングしても良い。
【0056】
ステップS105において測定サーバ1は、ステップS101で取得した衣服100の種別について、測定対象データ12から、測定対象、測定対象を特定するための測定点、測定点を特定するための探索領域および基準点を取得する。
【0057】
ステップS105で取得した各測定対象について、ステップS106およびステップS107の処理を繰り返して、各測定対象の距離を算出する。まずステップS106において測定サーバ1は、探索領域に位置する測定点の候補のうち、基準点から最も近い測定点の候補の座標を、測定点の座標として特定する。ステップS106の処理は、測定対象の2つの端部のそれぞれについて行う。ステップS107において測定サーバ1は、ステップS106で特定した2つの測定点の座標間の距離を算出する。
【0058】
ステップS108において測定サーバ1は、ステップS107で算出した距離を、測定対象の識別子と対応づけた画像距離データDを生成し、クライアント端末2に送信する。
【0059】
(クライアント端末)
図7を参照して、本発明の実施の形態に係るクライアント端末2を説明する。クライアント端末2は、記憶装置50、処理装置60、カメラ70、通信制御装置80を備える一般的なコンピュータである。一般的なコンピュータがクライアントプログラムを実行することにより、
図7に示す機能を実現する。またクライアント端末2は、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット等の可搬性を備えるコンピュータであっても良い。
【0060】
記憶装置50は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)、ハードディスク等であって、処理装置20が処理を実行するための入力データ、出力データおよび中間データなどの各種データを記憶する。処理装置60は、CPU(Central Processing Unit)であって、記憶装置50に記憶されたデータを読み書きしたり、通信制御装置80とデータを入出力したりして、クライアント端末2における処理を実行する。カメラ70は、レンズ越しの空間を撮影して画像データを生成する。カメラ70は、クライアント端末2に内蔵されても良いし、メモリまたはUSBケーブル等を介してクライアント端末2に接続しても良い。通信制御装置80は、クライアント端末2が、測定サーバ1と通信可能に接続するためのインタフェースである。
【0061】
記憶装置50は、クライアントプログラムを記憶するとともに、画像データG、画像距離データDおよび距離比データ51を記憶する。
【0062】
画像データGおよび画像距離データDは、測定サーバ1等において参照した各データである。画像データGは、測定サーバ1に送信され、画像距離データDは、測定サーバ1から送信される。
【0063】
距離比データ51は、カメラ70で衣服100を撮影した画像データGにおける画素上の距離と、衣服100における距離の比のデータである。距離の比は、カメラ70のレンズから衣服までの距離等の撮影環境、解像度等のカメラ特性等に応じて決定される。
【0064】
撮影部61は、カメラ70から、衣服100を撮影したデータを取得し、画像データGとして記憶装置50に記憶する。撮影部61は、衣服100の撮影時に距離比データ51を作成しても良い。
【0065】
画像距離取得部62は、画像データGを測定サーバ1に送信し、その返信として、測定サーバ1から画像距離データDを取得する。画像距離取得部62は、画像データGを測定サーバ1に送信する際、衣服100の種別を送信しても良い。画像距離取得部62は、複数の衣服100の画像データGを測定サーバ1に送信し、測定サーバ1から、各衣服100の各測定対象の距離を取得しても良い。
【0066】
変換部63は、画像データGにおける距離と衣服100における距離の比に基づいて、測定サーバ1から取得した測定対象の距離を、衣服100における距離に変換する。変換部63は、画像距離データDに含まれる測定対象毎の画像データG上の距離を、距離比データ51に基づいて衣服100上の距離に変換する。
【0067】
このような本発明の実施の形態に係る測定システム5によれば、衣服100の画像データGを測定サーバ1に送信することで、クライアント端末2は、衣服100の測定対象の画像データG上の距離を取得し、衣服100上の距離(サイズ)を取得することができる。これにより、衣服100の販売業者のスタッフが、巻き尺等で測定していたサイズを、測定システム5において容易に測定することが可能になる。また各サイズを電子データとして取得できるので、各サイズをデータベースに容易に登録することができる。このように、衣服100の販売業者における負荷を軽減することができる。
【0068】
また測定サーバ1は、画像データGについて、衣服100’の輪郭を構成する座標を特定し、その座標から、測定対象を測定するための測定点の候補を抽出する。これにより測定対処となりうる測定点の数を抑制し、測定サーバ1の処理負担を軽減することができる。
【0069】
また測定サーバ1は、測定点の候補から測定点を特定するために、測定対象の特性に応じて基準点と探索領域を予め定義する。これにより測定サーバ1は、所定の測定点を特定するために、予め定義された探索領域に位置する測定点の候補のうち、予め定義された基準点から最も近い測定点の候補を、測定点として特定する。これにより測定サーバ1は、ユーザが測定点を指定するなどの負担をかけることなく、画像処理において測定点を特定することができる。
【0070】
(適用例)
図8ないし
図12を参照して、本発明の実施の形態に係る測定システム5において、半袖のトップスの測定対象のサイズを特定する具体例を説明する。
【0071】
まず
図8に示すように、平面の台101の上にシート102を敷き、シート102に衣服100を乗せる。シート102の外周に沿って枠103が設けられており、この枠103内に、衣服100を皺のない状態で設置する。このとき衣服100に皺がある場合、適切なサイズを特定できないので、衣服100を、可能な限り皺を伸ばして設置するのが好ましい
【0072】
カメラ70で、衣服100の上方から撮影して、
図9に示す画像データGを生成する。カメラ70のレンズ面と、衣服100の面とが平行になることが好ましいが、測定サーバ1内で補正することも可能である。シート102および枠103は矩形に形成されており、測定サーバ1は、これらの矩形形状に基づいて補正することができる。
【0073】
図9に示す画像データGは、衣服100、シート102および枠103の各撮影データである衣服100’、シート102’および枠103’を含む。
図9に示す例において、画像データGの中心に衣服100’およびシート102’が位置するが、位置がずれても測定サーバ1内で補正することも可能である。
【0074】
測定サーバ1は、画像データGを処理して、
図10(a)に示すように、衣服100の撮影データである衣服100’の部分のみを切り出す。さらに測定サーバ1は、
図10(a)に示す画像から、
図10(b)に示すように、衣服100’の輪郭線111を特定し、輪郭線111を構成する画素を特定する。測定サーバ1は、輪郭線111を構成する画素から、測定点の候補を特定し、測定対象データ12を参照して、測定点の候補から測点を特定する。
【0075】
本発明の実施の形態において測定点は、
図11(a)に示す領域と点(基準点)によって特定される。衣服100’を含む画像データは、縦方向に2行かつ横方向に2列に分けた4つの領域に区分される。4つの領域は、左上領域R1、右上領域R2、左下領域R3および右下領域R4である。また、基準点となる点は、画像データの左上の左上点P1、右上の右上点P2、左下の左下点P3、右下の右下点、中央となる中央点P5のほか、上辺の中央の上中央点P11、下辺の中央の下中央点P12、左辺の中央の左中央点P13および右辺の中央の右中央点P14である。
図10(a)に示す衣服100’の画像に、
図11(a)に示す4つの領域を割り当てると
図11(b)のようになる。
【0076】
図12(a)を参照して、半袖トップスの測定対象の肩幅、裾幅および袖丈の測定点を説明する。
【0077】
図4に示すように、肩幅の測定点は、左肩と右肩である。左肩の測定点P101は、左上領域R1に位置する測定点の候補のうち、左上点P1から最も近い座標である。右肩の測定点P102は、右上領域R2に位置する測定点の候補のうち、の右上点P2から最も近い座標である。
【0078】
裾幅の測定点は、左裾と右裾である。左裾の測定点P103は、左下領域R3に位置する測定点の候補のうち、左下点P3から最も近い座標である。右裾の測定点P104は、右下領域R4に位置する測定点の候補のうち、右下点P4から最も近い座標である。
【0079】
袖丈の測定点は、右肩と右袖先である。右肩の測定点P102は、右上領域R2に位置する測定点の候補のうち、右上点P2から最も近い座標である。右袖先の測定点P105は、右上領域R2に位置する測定点の候補のうち、右中央点P14から最も近い座標である。なお、トップスの袖が長袖になると、右袖先の探索領域は、右下領域R4となる。
【0080】
図12(b)を参照して、半袖トップスの測定対象の襟幅およびバストの測定点を説明する。
【0081】
図4に示すように、襟幅の測定点は、左襟と右襟である。左襟の測定点P106は、左上領域R1に位置する測定点の候補のうち、上中央点P11から最も近い座標である。右襟の測定点P107は、右上領域R2に位置する測定点の候補のうち、上中央点P11から最も近い座標である。
【0082】
バストの測定点は、左脇下と右脇下である。左脇下の測定点P108は、左上領域R1に位置する測定点の候補のうち、中央点P5から最も近い座標である。右脇下の測定点P109は、右上領域R2に位置する測定点の候補のうち、中央点P5から最も近い座標である。
【0083】
測定サーバ1は、
図4に定義された半袖トップスの各測定点に従って、各測定点を特定することができる。これにより測定サーバ1は、コンピュータ処理により、2つの測定点間の距離を算出し、クライアント端末2において測定対象のサイズ(距離)に換算することができる。
【0084】
図13を参照して、本発明の実施の形態に係る測定システム5において、スカートの測定対象のサイズを特定する具体例を説明する。スカートについても、
図8ないし
図10で説明した手順に従って、スカートの画像データを取得する。
図13(a)は、スカートにおける各測定点を示し、
図13(b)は、スカートの測定対象を測定するための測定点と、測定点を特定するための探索領域および基準点を規定する。スカートの測定対象は、
図13(b)に示すようにウエストと裾幅である。
【0085】
ウエストの測定点は、左ウエストと右ウエストである。左ウエストの測定点P111は、左上領域R1に位置する測定点の候補のうち、左上点P1から最も近い座標である。右ウエストの測定点P112は、右上領域R2に位置する測定点の候補のうち、右上点P2から最も近い座標である。
【0086】
裾幅の測定点は、左裾と右裾である。左裾の測定点P113、左下領域R3に位置する測定点の候補のうち、左下点P3から最も近い座標である。右裾の測定点P114は、右下領域R4に位置する測定点の候補のうち、右下点P4から最も近い座標である。
【0087】
図14を参照して、本発明の実施の形態に係る測定システム5において、パンツの測定対象のサイズを特定する具体例を説明する。パンツについても、
図8ないし
図10で説明した手順に従って、パンツの画像データを取得する。
図14(a)は、パンツにおける各測定点を示し、
図14(b)は、パンツの測定対象を測定するための測定点と、測定点を特定するための探索領域および基準点を規定する。パンツの測定対象は、
図14(b)に示すようにウエスト、裾幅および股下である。
【0088】
ウエストの測定点は、左ウエストと右ウエストである。左ウエストの測定点P121は、左上領域R1に位置する測定点の候補のうち、左上点P1から最も近い座標である。右ウエストの測定点P122は、右上領域R2に位置する測定点の候補のうち、右上点P2から最も近い座標である。
【0089】
裾幅の測定点は、
図14(a)の画像における右側の足を覆う裾の内側である右側左裾と、裾の外側である右側右裾である。右側左裾の測定点P123は、測定点の候補のうち、右下領域R4の下中央点P12から最も近い座標である。右側右裾の測定点P124は、右下領域R4に位置する測定点の候補のうち、右下点P4から最も近い座標である。
【0090】
股下の測定点は、股と右側左裾である。股の測定点P125は、左上領域R1および右上領域R2に位置する測定点の候補のうち、中央点P5から最も近い座標である。右側左裾の測定点P123は、右下領域R4に位置する測定点の候補のうち、下中央点P12から最も近い座標である。
【0091】
図15を参照して、本発明の実施の形態に係る測定システム5において、ワンピースの測定対象のサイズを特定する具体例を説明する。ワンピースについても、
図8ないし
図10で説明した手順に従って、ワンピースの画像データを取得する。
図15(a)は、ワンピースにおける各測定点を示し、
図15(b)は、ワンピースの測定対象を測定するための測定点と、測定点を特定するための探索領域および基準点を規定する。ワンピースの測定対象は、
図15(b)に示すように肩幅と裾幅である。
【0092】
肩幅の測定点は、左肩と右肩である。左肩の測定点P131は、左上領域R1に位置する測定点の候補のうち、左上点P1から最も近い座標である。右肩の測定点P132は、右上領域R2に位置する測定点の候補のうち、右上点P2から最も近い座標である。
【0093】
裾幅の測定点は、左裾と右裾である。左裾の測定点P133、左下領域R3に位置する測定点の候補のうち、左下点P3から最も近い座標である。右裾の測定点P134は、右下領域R4に位置する測定点の候補のうち、右下点P4から最も近い座標である。
【0094】
このように、本発明の実施の形態に係る測定システム5によれば、測定対象データ12において予め測定点を定義することにより、衣服100’の画像データから測定点を特定し、測定点間の距離を算出することができる。
【0095】
また
図8ないし
図15においては、半袖トップス、スカート、パンツ、ワンピース等の典型的な衣服の種類について説明したが、これに限られない。例えば、長袖トップスはもちろん、スカーフの幅および長さなど、そのほかの衣服および測定対象についても、同様の方法で対応することができる。
【0096】
(変形例)
本発明の実施の形態において、衣服100の全体をシートに広げて撮影する場合を説明したが、これに限られない。衣服100を左右中心線上で二つ折りにし、右半身または左半身の衣服をシートに広げることで、測定対象のサイズを測定することが可能になる。その場合、測定対象データ12において、二つ折りした場合の各測定点の基準点および探索領域を設定し、算出部23が算出した値を2倍にするなどの変更を要する。
【0097】
これにより、裾の広いスカートまたはワンピースなどについても測定対象のサイズを測定することが可能になる。
【0098】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態とその変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなる。
【0099】
例えば、本発明の実施の形態に記載した測定サーバは、
図3に示すように一つのハードウエア上に構成されても良いし、その機能や処理数に応じて複数のハードウエア上に構成されても良い。また、既存の情報処理システム上に実現されても良い。
【0100】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0101】
1 測定サーバ
2 クライアント端末
3 通信ネットワーク
5 測定システム
10、50 記憶装置
11 測定点候補データ
12 測定対象データ
20、60 処理装置
21 取得部
22 抽出部
23 算出部
24 出力部
30、80 通信制御装置
51 距離比データ
61 撮影部
62 画像距離取得部
63 変換部
70 カメラ
100 衣服
101 台
102 シート
103 枠
111 輪郭線
G 画像データ
D 画像距離データ
P1 左上点
P2 右上点
P3 左下点
P4 右下点
P5 中央点
P11 上中央点
P12 下中央点
P13 左中央点
P14 右中央点
R1 左上領域
R2 右上領域
R3 左下領域
R4 右下領域