(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】生体電極、及び層間の電気的な接続構造
(51)【国際特許分類】
A61B 5/276 20210101AFI20220822BHJP
【FI】
A61B5/276
(21)【出願番号】P 2017195513
(22)【出願日】2017-10-05
【審査請求日】2020-04-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300079612
【氏名又は名称】株式会社アイ・メデックス
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】市 田 信 七
(72)【発明者】
【氏名】市 田 誠
(72)【発明者】
【氏名】箕 輪 隆 城
(72)【発明者】
【氏名】長 濱 知 夫
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-042707(JP,A)
【文献】特表2014-502899(JP,A)
【文献】特開2013-132440(JP,A)
【文献】国際公開第2017/012987(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/24-5/398
A61N 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は2以上の測定用電極から生体信号を取得する生体電極であって、
絶縁材料からなる絶縁材料層と、導電性材料からなる導電性材料層とが交互に積層された積層構造に形成されており、
前記導電性材料層は、測定用電極が取得した生体信号を伝送する回路層と、当該回路層の厚さ方向両側に存在する2以上のシールド層を含んでおり、
前記回路層とその厚さ方向両側に存在するシールド層との間には前記絶縁材料層が設けられており、
当該回路層の厚さ方向両側に存在する絶縁材料層同士には、その上下に存在するシールド層よりも周縁を平面方向に窪ませた窪み部分、厚さ方向に貫通する開口部分、または帯状部に形成した隙間部分が同じ位置に設けられており、
相互に積層されている
少なくとも何れかのシールド層同士は、その間に存在する絶縁材料層
同士において同じ位置に設けた、前記窪み部分よりも広さ方向に広がった部分
、当該絶縁材料層に設けた厚さ方向に貫通する
前記開口部分
、または絶縁材料層の帯状部に形成した前記隙間部分において電気的に
直接接続されており、
前記シールド層は、当該シールド層を生体に設置させるアース用電極又は当該アース用電極に接続される回路層と電気的に接続されていることを特徴とする、生体電極。
【請求項2】
更に、可撓性を有する絶縁基材を含んで構成されており、
前記2以上のシールド層は、いずれも当該絶縁基材における測定用電極が設けられる側の面に形成されている、請求項1に記載の生体電極。
【請求項3】
前記絶縁材料層と導電性材料層とは、いずれも印刷によって形成されており、
前記導電材料層は2以上の回路層を備えており、
各回路層同士は前記絶縁材料層によって相互に絶縁されており、
前記アース用電極及び測定用電極の配線となる各回路層は、それぞれ異なる層に形成されている、請求項1又は2に記載の生体電極。
【請求項4】
前記2以上のシールド層の少なくとも何れかのシールド層は、前記絶縁材料層と導電性材料層とからなる積層構造の輪郭を形成しており、
前記測定用電極は、前記回路層の端部に設けられると共に、前記絶縁材料層から露出して存在している、請求項1~3の何れか一項に記載の生体電極。
【請求項5】
前記絶縁材料層と導電性材料層とが交互に積層された積層構造において、最下層及び最上層が前記シールド層であり、
少なくとも何れかのシールド層は、他のシールド層と異なる材料で形成されている、請求項1~4の何れか一項に記載の生体電極。
【請求項6】
絶縁材料からなる絶縁材料層と、導電性材料からなる導電性材料層とが交互に積層された積層構造を備えた生体電極の製造方法であって、
前記絶縁材料層は2以上のレジスト層を含み、前記導電性材料層は、測定用電極が取得した生体信号を伝送する回路層と、当該回路層の厚さ方向両側に存在する2以上のシールド層を含んでおり、
前記回路層とその厚さ方向両側に存在するシールド層との間には前記絶縁材料層が設けられており、
前記レジスト層、回路層、及びシールド層の少なくとも何れかは、印刷又は塗布によって形成されており、
前記回路層の厚さ方向両側に存在する絶縁材料層同士には、その上下に存在するシールド層よりも周縁を平面方向に窪ませた窪み部分、厚さ方向に貫通する開口部分、または帯状部に形成した隙間部分が同じ位置に設けられており、
当該印刷又は塗布によって
相互に積層して形成され
た少なくとも何れかのシールド層同士が、その間に存在する絶縁材料層
同士において同じ位置に設けた、前記窪み部分よりも広さ方向に広がった部分
、当該絶縁材料層に設けた厚さ方向に貫通する
前記開口部分
、または絶縁材料層の帯状部に形成した前記隙間部分において電気的に
直接接続されるように印刷又は塗布されており、
当該シールド層は、当該シールド層を生体に設置させるアース用電極又は当該アース用電極に接続される回路層と電気的に接続されていることを特徴とする、生体電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体信号を取得するための電極(以下、生体電極とする)と、当該生体電極における層間の電気的な接続構造に関し、特に取得する生体信号におけるノイズの除去技術を備えた生体電極、および当該生体電極における層間の電気的な接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から生体に接触して使用する生体電極として、生体内の微弱電流を体外に取り出して心電図や筋電図、あるいは脳波などを測定する医療用電極等が知られている。かかる生体用電極では、微弱な電気信号を扱うため、周囲環境を飛び交う電磁波からノイズが混入して、正確な検出ができない場合がある。
【0003】
そこで、このような周囲の電磁波を遮断するべく、電磁波ノイズに対するシールドを施すことが望ましいことから、従前においては、生体信号を取得する測定用電極や、取得した生体信号を伝送する回路層の外側を覆うように、シールド層を形成することが提案されている。
【0004】
例えば特許文献1(特開2001-61799号公報)には、柔軟性を確保した導電材料からなるシールドを、基板に対して電極とは反対側の面上に設けるとともに、同様の導電材料からなるシールドが表面に形成された絶縁部材により電気回路部7を覆っている生体用電極が提案されている。そしてこの文献の段落番号〔0029〕〔0030〕欄には、回路の定電位部(GND,-Vcc等)に接続された接合部に、シールドを電気的に接続することにより、シールドの電位を安定させ、ノイズに対するシールド効果を安定させる事が記載されている。
【0005】
また本願出願人は、特許文献2(特開2013-132440号公報)において、外部からの電磁波のみならず、生体側からの電磁波や静電気によるノイズを阻止することのできる生体電極を提案している。この文献では、1又は2以上の測定用電極を含んで構成されており、少なくとも測定用電極は、可撓性を有する絶縁基材の何れか一方の面に、導電性材料から成り、生体から信号を取得して此れを伝送する導電性材料層が形成されており、当該導電性材料層における取得した生体信号を伝送する領域は、その厚さ方向の両側に絶縁材料層を介して導電性材料から成るシールド層が形成されている生体電極を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-61799号公報
【文献】特開2013-132440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のとおり、従前においても生体電極においては、外部からの電磁波によるノイズの混入を阻止するために測定用電極等をシールドすることが提案されており、更に生体側からの電磁波や静電気などを遮断し、ノイズの混入を阻止することのできる生体電極も提案されている。また生体電極にシールドを形成した場合、当該シールドは、その電位を安定させて、ノイズに対するシールド効果を安定させるために、当該シールドをアース(接地:GND)させる必要がある。そしてこのシールドを印刷によりシールド層として形成した場合には、層間において電気的に接続する必要が生じる場合があり、前記特許文献2では、層間の電気的接続にスルーホールを使用した生体電極を提案している。
【0008】
しかしながら、スルーホールによって電気的な接続を行った場合には、印刷工程を実施する印刷台(印刷対象物を載せる台)が、スルーホールの形成に使用する塗料によって汚れてしまうことから、当該印刷台(テーブル)を印刷の都度テーブルをふき取る作業が必要で有った。そこで印刷台の塗料の汚れを防ぐ対策として、印刷前に印刷対象物の裏側に粘着付きフィルムを貼り付けして乾燥後フィルムをはがす対策と、印刷台と印刷対象物の間にフィルム(主に不織布)を敷いた状態で印刷を行い、印刷後そのフィルムを自動で巻き取る装置が必要で有った。即ち生体電極の製造工程において、当該スルーホールだけを別工程で行う必要があった。
【0009】
そこで本発明では、従前におけるスルーホールの形成に伴う印刷台の汚れの問題を無くし、積層構造に形成された生体電極であって、層間における電気的接続を別工程で行う必要を無くして、製造時の工数を削減した生体電極を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では、積層構造における層の重なりにおいて電気的な接続を実現した生体電極を提供するものである。
【0011】
即ち本発明に係る生体電極は、1又は2以上の測定用電極から生体信号を取得する生体電極であって、絶縁材料からなる絶縁材料層と、導電性材料からなる導電性材料層とが交互に積層された積層構造に形成されており、前記導電性材料層は、測定用電極が取得した生体信号を伝送する回路層と、当該回路層の厚さ方向両側に存在する2以上のシールド層を含んでおり、少なくとも何れかのシールド層同士は、その間に存在する絶縁材料層よりも広さ方向に広がった部分、及び/又は当該絶縁材料層に設けた厚さ方向に貫通する開口部分において電気的に接続されているものとして形成することができる。
【0012】
また前記本発明に係る生体電極は、更に可撓性を有する絶縁基材を含んで構成することができる。そして前記2以上のシールド層は、いずれも当該絶縁基材における測定用電極が設けられる側の面に形成することができる。これにより、絶縁基材を貫通するスルーホールや配線などの必要性を無くすことができる。特に導電性材料層を印刷又は塗布によって形成する場合には、その導電性材料の印刷・塗布工程で電気的接続のためのスルーホールの孔が必要ないことから、スルーホール専用印刷機及びスルーホール印刷に必要な装置と設備が不要となり、スルーホール同等以上の複雑な構造であっても標準の印刷機械の種類を選択することなく印刷作業を実施できることから、高速印刷が可能となり、大幅なコストダウンが可能となる。
【0013】
また本発明に係る生体電極において、前記絶縁材料層と導電性材料層とは、シート状部材や薄膜部材を重ね合わせて形成することも可能であるが、全ての層または何れかの層は印刷によって形成することが望ましい。特に印刷によって各層や各部材を形成した場合には連続印刷が可能となる。よって例えば前記基材としてロール状の基材を使用し、当該基材を連続供給した場合には、これに各層や各部材を連続印刷することが可能となり、生産効率を大幅に向上させることができる。
【0014】
また本発明に係る生体電極では、前記導電材料層は2以上の回路層を備えており、各回路層同士は前記絶縁材料層によって相互に絶縁して形成することができる。特に導電材料層及び絶縁材料層を印刷によって形成することにより、各層の印刷範囲を設定すれば、当該絶縁材料層による絶縁を容易に形成することができる。
【0015】
また本発明に係る生体電極において、前記2以上のシールド層の少なくとも何れかのシールド層は、前記絶縁材料層と導電性材料層とからなる積層構造の輪郭を形成することができる。即ち、当該積層構造において、何れの導電性材料層も、少なくとも何れかのシールド層の領域内に存在するように形成することができる。これにより、当該導電性材料層のシールドを確実に行うことが可能になる。また、前記測定用電極は、前記回路層の端部に設けられると共に、前記絶縁材料層から露出して存在するように形成することができる。測定用電極が生体に接することができるようにするためである。
【0016】
そして本発明に係る生体電極では、前記絶縁材料層と導電性材料層とが交互に積層された積層構造において、最下層及び最上層が前記シールド層とすることが望ましい。また、積層構造を構成する導電性材料層(特に回路層)は、全てシールド層同士の間に存在するように形成することが望ましい。導電性材料層(特に回路層)に対する電磁波や静電気などの影響を無くし、ノイズの混入を阻止するためである。
【0017】
上記シールド層は、導電性材料層の厚さ方向に存在して電磁シールド効果を発現できればよいことから、回路層の厚さ方向両側に存在するのが望ましい。その際、当然のことながら、シールド層と回路層との間には、両者を絶縁するための絶縁材料層が存在することが望ましい。よって例えば絶縁基材の何れか一方の面にシールド層を設けた上に、絶縁材料層及び導電性材料層を1又は2以上設け、その上にシールド層を設けた積層構造としたり、あるいはシールド層、絶縁材料層、導電性材料層、及び絶縁材料層をこの単位で繰り返した積層構造とすることもできる。
【0018】
そして導電性材料層が、生体からの信号(本明細書では「生体信号」とも云う)を取得する測定用電極と、この測定用電極で取得した生体信号を伝送する回路層とから成る場合、少なくとも回路層は、その厚さ方向の両側にシールド層が設けられている事が望ましい。生体信号を伝送する回路層は検査装置までの距離が長いため、外部からの電磁ノイズ、静電気ノイズの影響を受ける可能性が高く、この部分を電磁波等から遮蔽することにより、効果的にノイズの混入を阻止することができるためである。
【0019】
前記回路層の厚さ方向両側に存在するシールド層は、測定用電極が露出する側(即ち生体側)に存在する第1のシールド層と、当該第1のシールド層とは反対側(装着時において生体から離れる側)に存在する第2のシールド層とで構成することができる。そして第2のシールド層は、測定用電極だけ、あるいは回路層だけに形成することもできるが、望ましくは測定用電極と回路層(信号部分)の両方を遮蔽するように(即ちカバーするように)形成することが望ましい。なお、上記「遮蔽するように」とは、電磁遮蔽効果を発現できるようにする意味であり、例えば、遮蔽対象の全体を覆うように形成することができる。
【0020】
また、前記第1のシールド層と、第2のシールド層とは同じ材料で形成する他、異なる材料で形成することもできる。生体信号に対して影響を与える要素が、外部からか、生体側からかによって異なることも考えられる為である。この為、例えば生体側に形成される第1のシールド層として、カーボン若しくはカーボンと金属又は金属化合物との混合物等を使用することができる。
【0021】
そしてシールド層は、その電位を安定させる為に接地しておくことが望ましい。そこで本発明では、導電性材料を挟んで設けられるシールド層を、生体に接地させる構成とする事が望ましい。よってシールド層を生体に設置させるために、アース用電極を備えて構成し、前記シールド層は当該アース用電極又は当該アース用電極に接続される回路層と電気的に接続するのが望ましい。当該電気的な接続は、シールド層、アース用電極、回路層及び各々の層間に存在する絶縁材料層の存在領域(印刷で形成する場合は印刷領域)を調整し、シールド層がアース用電極及び/又は回路と直接接するように形成することができる。
【0022】
前記導電性材料層が測定用電極、回路層、及びシールド層からなる場合、少なくとも何れかは、蒸着やスパッタリング、或いは金属メッキ等の金属材料の積層技術を利用して形成することもできるが、設備の簡素化や信頼性の向上を目指すためには、印刷や塗布によって製造することが望ましい。特にスクリーン印刷により形成することにより、配線パターンの形成工程と、層間の電気的な接続工程を同時に実施することができる。
【0023】
また本発明では、前記課題を解決するために、積層構造によって形成された生体電極の製造方法を提供する。
【0024】
即ち、絶縁材料からなる絶縁材料層と、導電性材料からなる導電性材料層とが交互に積層された積層構造を備えた生体電極の製造方法であって、前記絶縁材料層は2以上のレジスト層を含み、前記導電性材料層は、測定用電極が取得した生体信号を伝送する回路層と、当該回路層の厚さ方向両側に存在する2以上のシールド層を含んでおり、前記レジスト層、回路層、及びシールド層の少なくとも何れかは、印刷又は塗布によって形成されており、当該印刷又は塗布によって形成された前記レジスト層、回路層、及びシールド層の少なくとも何れかは、少なくとも何れかのシールド層同士が、その間に存在する絶縁材料層よりも広さ方向に広がった部分、及び/又は当該絶縁材料層に設けた厚さ方向に貫通する開口部分において電気的に接続されるように印刷又は塗布することを特徴とする生体電極の製造方法を提供する。
【0025】
かかる生体電極の製造方法によれば、前記レジスト層、回路層、及びシールド層の少なくとも何れかを印刷や塗布によって形成することから、その形成パターン(印刷形状や塗布形状)を自在に調整することができる。
【発明の効果】
【0026】
上記本発明にかかる生体電極は、絶縁材料からなる絶縁材料層と、導電性材料からなる導電性材料層とが交互に積層された積層構造であって、前記導電性材料層は、測定用電極が取得した生体信号を伝送する回路層と、当該回路層の厚さ方向両側に存在する2以上のシールド層を含んでおり、少なくとも何れかのシールド層同士は、その間に存在する絶縁材料層よりも広さ方向に広がった部分、及び/又は当該絶縁材料層に設けた厚さ方向に貫通する開口部分において電気的に接続されている。
【0027】
即ち、シールド層同士の電気的な接続は、当該シールド層間に存在する絶縁材料層よりも広さ方向に広がった部分、及び/又は当該絶縁材料層に設けた厚さ方向に貫通する開口部分によって確実に行うことができることから、基材などに対するスルーホールの形成の必要を無くすことができる。
【0028】
その結果、スルーホールの形成による印刷台の汚れの問題を無くし、また当該印刷工程を別工程で行う必要を無くすことができる。よって積層構造に形成された生体電極であって、層間における電気的接続を別工程で行う必要を無くして、製造時の工数を削減した生体電極を提供することができる。
【0029】
また、基材を用い、当該基材をロール状とするなど連続供給する場合には、前記導電性材料層を印刷によって形成することにより連続印刷が可能となり、製造時間の大幅な短縮を図ることができると共に、製造コストも削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第1の実施の形態に係る生体電極を示す(A)正面図、(B)分解斜視図、(C)分解平面図
【
図3】第2の実施の形態に係る生体電極を示す(A)正面図、(B)側面図、(C)分解平面図
【
図4】第3の実施の形態に係る生体電極を示す(A)正面図、(B)側面図、(C)分解平面図
【
図5】シールド層同士の他の実施の形態に係る電気的接続構造を示す(A)分解斜視図、(B)要部正面図
【
図6】シールド層同士の更に他の実施の形態に係る電気的接続構造を示す(A)分解斜視図、(B)要部正面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る生体電極10の幾つかの実施形態を説明する。
図1は第1の実施の形態に係る生体電極10を示す(A)正面図、(B)分解斜視図、(C)分解平面図であり、
図2は積層構造を説明する工程図であり、
図3は第2の実施の形態に係る生体電極20を示す(A)正面図、(B)側面図、(C)分解平面図であり、
図4は第3の実施の形態に係る生体電極30を示す(A)正面図、(B)側面図、(C)分解平面図であり、
図5及び6はシールド層同士の他の実施の形態に係る電気的接続構造を示す(A)分解斜視図、(B)要部正面図である。
【0032】
まず、
図1を参照しながら、第1の実施の形態に係る生体電極10を説明する。特に本実施の形態に係る生体電極10では、2つの測定用電極15と、各測定用電極15に接続された回路層14とを備えて形成されている。また、本実施の形態では、基材11を用いて構成しており、当該基材11の一方の面に、導電性材料層と絶縁性材料層とを交互に積層させて形成している。そして導電性材料層は、以下に詳述する測定用電極15、回路層14、シールド層 によって構成し、絶縁材料層は測定用電極15の両側に存在するレジスト層(13,16)によって形成している。
【0033】
図1(B)及び
図2に示すように、一定の形状を保持するベース材料として機能する基材11の上に、導電性材料を用いてシールド層12を設ける。このシールド層12は導電性材料を塗布又は印刷して形成する他、導電性材料からなる薄膜を貼付して形成することもできる。この実施の形態において、基材11に設けるシールド層は、生体から離れた側に存在することになり、本実施の形態では生体側に設けるシールド層(第1のシールド層17)と区別するために、第2のシールド層12とする。なお、本実施の形態では、装着時において生体に向かう側を上方として説明する。
【0034】
特に本実施の形態に係る2つのシールド層(12,17)は、後述する回路層14が設けられる領域を覆うように形成しており、第1シールド層12は、更に測定用電極15を設ける領域も覆うように形成している。また本実施の形態では、当該回路層14が2本形成されていることから、各回路層14を被覆するような広さで形成している。
【0035】
そして上記第2のシールド層12の上には、絶縁材料を用いてレジスト層13を設けている。かかるレジスト層13も、絶縁性材料を塗布又は印刷して形成する他、絶縁性材料からなる薄膜を貼付して形成することもできる。この第2のシールド層12に設けられるレジスト層は、回路層14を基準として生体から離れる方向に存在することから、本実施の形態では第2のレジスト層13として、回路層14よりも生体側に存在するレジスト層(第1のレジスト層16)と区別している。
【0036】
そして当該第2のレジスト層13は、前記第2のシールド層12の少なくとも何れかの領域を露出させるように形成する。即ち、何れかの領域の幅や長さを小さく形成したり、周縁を平面方向に凹ませて形成したり、あるいは第2のレジスト層13に開口部を形成したりして、前記第2のシールド層12を露出させる。特に本実施の形態では、
図1(C)に示すように、各回路層14に対応するシールド層(12,17)よりも、当該第2のレジスト層13の幅を、縮小分(W)だけ狭く形成し、第2のシールド層12の一部(特に縁部分)が第2のレジスト層13から露出するようにしている。
【0037】
そしてこの第2のレジスト層13の上には、生体信号を取得する測定用電極15と、当該測定用電極15が取得した信号を伝送する回路層14を形成している。これら測定用電極15と回路層14とは共に導電性材料で形成しており、両者は同じ材料でも、異なる材料で形成しても良い。また、当該測定用電極15と回路層14は、少なくとも何れかを印刷で形成する他、両者を薄膜で形成して、これを貼付したり、あるいは板や導線などによって形成することも可能である。ただし、この測定用電極15と回路層14とは、前記第2のシールド層12と接することにないように、前記第2のレジスト層13上に形成する必要がある。
【0038】
そしてこの測定用電極15と回路層14の上には、絶縁材料からなる第1のレジスト層16を設ける。この第1のレジスト層16は、前記第2のレジスト層13と同じ材料で形成する他、異なる材料で形成しても良い。この第1のレジスト層16は、少なくとも前記回路層14を覆い隠すことができる広さに形成する。かかる第1のレジスト層16を形成することにより、前記回路層14は、当該第1のレジスト層16と前記第2のレジスト層13とによって挟まれた構造となる。ただし、この第2のレジスト層13を設けた後においても、前記第2のシールド層12は、少なくとも一部の領域が露出していることが必要である。即ち、当該第1のレジスト層16は、前記第2のシールド層12を露出させるために、何れかの領域の幅や長さを前記第2のシールド層12よりも小さく形成したり、周縁を平面方向に凹ませて形成したり、あるいは開口部を形成したりすることが必要である。本実施の形態では、当該第1のレジスト層16を、前記第2のレジスト層13と同じ幅で形成していることから、前記第2のシールド層12は、その縁部分の領域が露出するように形成されている。
【0039】
そして上記第1のレジスト層16の上には、当該第1のレジスト層16を覆うようにして第1のシールド層17を設ける。この第1のシールド層17は、前記第2のシールド層12と同じ材料を用いて形成する他、異なる材料を用いて形成することもできる。またこの第1のシールド層17は導電性材料を塗布又は印刷によって形成する他、導電性材料からなる薄膜を貼付することによって設けても良い。ただし、この第1のシールド層17は、前記回路層14及び測定用電極15に接触することなく、且つ前記第2のシールド層12と接するように形成する。本実施の形態では、前記第2のシールド層12において露出している縁部分において直接接する積層構造となっており、当該縁部分における面接触(積層)により、電気的に接続されている。
【0040】
以上の構成により、測定用電極15が取得した生体信号を伝送する回路層14は、第1及び第2のシールド層12によって、その厚さ方向両側が覆われている。しかも当該測定用電極15と各シールド層との間には、第1及び第2のレジスト層13が設けられていることから、当該回路層14と第1及び第2のシールド層12との絶縁が果たされている。これにより当該回路層14に対する外部からの電磁波や静電気などの影響を無くし、ノイズの混入を阻止することができる。そして先端側に測定用電極15を設けた回路層14の基端側は、相互に近い位置に収束してコネクタを形成しており、当該コネクタは、図示しない医療用測定器具に接続されることになる。
【0041】
特に本実施の形態に係る生体電極では、基材の片側にシールド層、レジスト層、測定用電極、回路層を設けていることから、導電性材料層同士を電気的に接続するためのスルーホールを不要とすることができる。そしてシールド層、レジスト層、測定用電極及び回路層を印刷や塗布によって形成する場合には、前記基材をロール状にして連続的に供給し、これにシールド層、レジスト層、測定用電極を回路層を連続印刷することによって、効率的に製造することができる。
【0042】
以上のように構成した生体電極10には、前記測定用電極15を生体に付着させ、且つ生体信号を測定用電極15に伝えるために、各測定用電極15に電解質部18を設けることができる。かかる電解質部18は、
図1(A)に示すように、各シールド層に接することなく、各測定用電極15に電気的に接続するように設ける。このため、本実施の形態では、前記第2のレジスト層は、その先端側を第2のシールド層を覆うように形成し、基端側の幅を前記縮小分(W)だけ狭く形成している。
【0043】
また、前記第1のシールド層17には、シールド層の電位を生体に落とすために、生体との密着性を向上させるための電解質部18を設けることもできる。かかる電解質部18は、前記測定用電極15に設けた電解質部18と同じである他、異なる材料で形成しても良い。
【0044】
また、上記第1の実施の形態に係る生体電極10において、前記第1のシールド層17を覆って、生体との直接接触を阻止することもできる。そのために、当該第1のシールド層17には、前記レジスト層と同じ材料層を形成するか、あるいはウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル等の樹脂や、シリコンゴム、ウレタンゴム、ふっ素ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムなどの合成ゴムを塗布するか、これらを薄膜状にしたものを貼付することもできる。ただし、これら前記第1のシールド層17を覆う被覆層(図示せず)は、前記第1のシールド層17と電解質部との電気的接続を確保した上で設けることができる。
【0045】
ここで上記基材11は、十分な柔軟性と一定の保形性を備え、且つ簡易に切断しない程度の引っ張り強度を有する絶縁材料で形成することができ、例えばポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドイミドフィルム等の樹脂材料の他、合成材不織布等のような電気絶縁性を有する材料を使用することができる。ただし、当該基材11は必ずしも必要ではなく、例えば前記第2のシールド層12が十分な柔軟性と一定の保形性を備え、且つ簡易に切断しない程度の引っ張り強度を有する場合には、当該基材11を省略して、前記第2のシールド層12で基材11を兼用することもできる。
【0046】
また本実施の形態では、上記導電性材料層の内、回路層14を銀で、測定用電極15を銀と塩化銀との混合物で形成している。ただし当該回路層14や測定用電極15は、その他の導電性材料、例えば銀-塩化銀、銀、金、銅、カーボン、アルミニウム、ニッケルなど、導電性のあらゆる金属を用いた層として形成することができる。特に、本実施の形態では、回路層14を銀層として形成し、当該回路層14と電気的に接続する測定用電極15は、電解質部とのイオン交換のために、銀-塩化銀で形成している。このような銀-塩化銀の層を設けることにより、測定時に測定用電極15における導電性材料層の分極を阻止することができ、よってホルタ心電計用の電極のように長時間装着する場合において特に望ましいものとなる。またイオントフォレスト療法のように電気を流して薬物を体内に導入する場合においても、円滑なイオン交換を実現する上で特に望ましいものとなる。
【0047】
また上記導電性材料層の内、シールド層は、本実施の形態では第1のシールド層17をカーボンで、第2のシールド層12をカーボンと銀との混合物で形成し、第1のシールド層17と第2のシールド層12とを異なる材料で形成しているが、両者を同じ材料で形成したり、銀-塩化銀、銀、金、銅、カーボン、アルミニウム、ニッケルなど、導電性のあらゆる金属を用いて形成することもできる。即ち、シールド層(12,17)は導電性を有する材料であれば、特に問題なく使用できる。
【0048】
また上記レジスト層(13,16)は、特に限定されるものではなく、ノボラック型エポキシアクリレート化合物や、ビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート化合物、あるいはこれらエポキシアクリレート化合物の酸変性物などの光硬化型樹脂組成物の他、熱硬化性樹脂組成物や熱可塑性樹脂組成物で形成してもよい。また、このレジスト層は必ずしもフォトレジスト材料が使用される必要は無く、例えば塩化ビニールフィルム、PETフィルム、合成材不織布等のように電気絶縁性を有する材料であれば使用することができる。
【0049】
そして導電性を有する電解質部は、アクリル系、ウレタン系等の樹脂で構成でき、更にカラヤゴムで構成することもできる。かかる電解質部はゲル状又はジェル状等の様に半流動性又は流動性を有することが望ましい。
【0050】
次に
図3を参照しながら、第2の実施の形態に係る生体電極20を説明する。この実施の形態に係る生体電極20は、複数の測定用電極(25b,25c)の他にアース用電極25aを備えている。また各電極(アース用電極25a及び測定用電極25b,25c)の配線となる回路層(24a,24b,24c)は、それぞれ異なる層に形成されており、相互に重なり合う構造とすることにより、当該回路層(24a,24b,24c)の幅、ひいては生体電極20における配線部分(回路層(24a,24b,24c)が存在する部分)の幅を細く形成することが可能である。更にこの実施の形態に係る生体電極20では、アース用電極25aと、2つの測定用電極(25b,25c)とを直線状に配置している。なお、本実施の形態において、基材11、シールド層(22,27)、測定用電極(25b,25c)、レジスト層(23a,23b,23c,23d,29)を構成する材質と、形成方法は前記第1の実施の形態と同じであることから、詳細な説明は省略する。
【0051】
図3は第2の実施の形態に係る生体電極20を示す(A)正面図、(B)側面図、(C)分解平面図である。この実施の形態に係る生体電極20において、柔軟性を有するシート状に形成した基材11は、測定用電極(25b,25c)及びアース用電極25aが存在する部分を円形に張り出させた帯状に形成している。この
図3では先端側にアース用電極25aのための張出部21aを形成し、それよりも基端側に、2つの測定用電極(25b,25c)を形成するための張出部21aを所定の間隔を置いて形成している。そして各張出部21a同士は帯状部21bによって繋がっている。
【0052】
このように形成した基材11上には、基材11における基端側のコネクタを形成する領域以外の領域に、導電性材料からなるシールド層(第2のシールド層22)を設けている。そしてこの第2のシールド層22の上には絶縁性材料からなる第4のレジスト層23aを設けている。この第4のレジスト層23aは、前記シールド層22と同じ形状であるが、前記張出部21a同士間に設けられる帯状部21bの幅を、前記第2のシールド層22よりも狭く形成している。これにより、前記第2のシールド層22は、当該第4のレジスト層23aにおける帯状部21bの幅方向両側に露出することになる。また本実施の形態では、アース用電極25aのための張出部21aと測定用電極25bのための張出部21aの間に存在する帯状部21bに隙間sをあけて形成している。この隙間部分sは、当該第4のレジスト層23aの上に設けられるアース用電極25aに繋がる第3の回路層24aと第2のシールド層22との電気的な接続を実現している。
【0053】
この第4のレジスト層23aの上には、アース用電極25aと、このアース用電極25aの信号を伝送する第3の回路層24aを設けている。このアース用電極25aは、生体に設置して基準電圧を取得するものであり、またシールド層(22,27)を生体に対して電気的に接続させて、その電位を安定させるものとして作用することができる。そこでこの実施の形態では、当該アース用電極25aを、前記隙間部分sにおいて第2のシールド層22と電気的に接続している。
【0054】
このアース用電極25aと第3の回路層24aの上には、当該第3の回路層24aを覆うようにして第3のレジスト層23bを設けている。この第3のレジスト層23bも、前記帯状部21bの幅は前記第4のレジスト層23aと同じ幅に形成しており、且つ前記第4のレジスト層23aに形成された隙間部分sと対応する領域に隙間部分sを形成している。この隙間部分sには、後述する第1のシールド層27が設けられることから、当該第3の回路層24aは当該隙間部分sにおいて、第1及び第2のシールド層(22,27)と電気的に接続されることになる。なお、当該隙間部分は第4及び第3の何れかのレジスト層(23a,23b)だけに形成しておいても良い。第1のシールド層27と第2のシールド層22とは、帯状部21bの縁部分で電気的に接続されているためである。
【0055】
そしてこの第3のレジスト層23bの上には、第2の測定用電極25bと、当該第2の測定用電極25bが取得した信号を伝送する第2の回路層24bを設けている。本実施の形態において、第2の回路層24bは、前記第3の回路層24aの真上に存在するように積層させている。
【0056】
前記第2の測定用電極25bと第2の回路層24bの上には、当該第2の回路層24bを覆うように第2のレジスト層23cを設けている。この第2のレジスト層23cは、前記第2の回路層24bを覆うように形成しており、帯状部21bの幅は前記第3及び第4のレジスト層(23a,23b)と同じ幅に形成している。これにより、前記第2のシールド層22は、帯状部21bの側縁において露出した状態となっている。
【0057】
前記第2のレジスト層23cの上には、第1の測定用電極25cと、当該第1の測定用電極25cが取得した信号を伝送する第1の回路層24cを設けている。当該第1の測定用電極25cは、前記当該第2の測定用電極25cと直線状に存在しており、且つ第1の回路層24cは前記第2の回路層24bの真上に存在するように形成している。
【0058】
そしてこの当該第1の測定用電極25cと第1の回路層24cの上には、第1のレジスト層23dを設ける。この第1のレジスト層23dも、帯状部21bの幅は前記第4のレジスト層23aと同じ幅に形成していることから、当該帯状部21bの側縁において前記第2のシールド層22が露出している。
【0059】
以上のように積層させた上から、前記各帯状部21bを覆うようにして第1のシールド層27を設ける。この第1のシールド層27は、前記第2のシールド層22における帯状部21bと同じ幅に形成していることから、当該縁部分において前記第2のシールド層22と第1のシールド層27とが電気的に接続されることになる。そしてこの第2のシールド層22と第1のシールド層27とは、前記隙間部sにおいてアース用電極25aに接続する第3の回路層24aと電気的に接続していることから、シールド層(22,27)を接地(アース)させることができる。これにより、生体電極20における第1及び第2のシールド層(22,27)の電位は安定し、より正確な生体信号を取得することが可能になる。
【0060】
そして本実施の形態に係る生体電極20では、着用時において生体側に存在する第1のシールド層27の上には、レジスト層29、又は絶縁性、防水性、クッション性を有する材料の層で被覆し、着用時における利用者の不快感を無くしている。そして各電極上には、生体との接触を確実に行う為に、電解質部28を設けている。
【0061】
以上のように形成した第2の実施の形態に係る生体電極20では、各回路層(24a,24b,24c)はレジスト層(23a,23b,23c,23d)に挟まれており、相互に絶縁されており、且つ各電極及び回路層(24a,24b,24c)はその厚さ方向両側にシールド層(22,27)を設けている。これにより、各測定用電極(25b,25c)が取得した生体信号に対するノイズの混入の恐れを減じ、より正確な生体信号を取得することができる。
【0062】
なお、本実施の形態における生体電極20において、基材11の基端側のコネクタは、各回路層(24a,24b,24c)が、レジスト層(23a,23b,23c,23d)を介して同一線上に露出するように構成しているが、回路層(24a,24b,24c)の形成パターンを変更することにより、幅方向に並べて取り出すこともできる。
【0063】
即ち、
図4に示す第3の実施の形態に係る生体電極のように、コネクタ部分における回路層が幅方向に整列するように構成することもできる。即ち、この
図4に示す第3の実施の形態は、前記第2の実施の形態と同様の積層構造に形成し、コネクタ部分、即ち各層の基端側を異ならせたものである。よって、図面の符号は
図3と同様にし、その詳細な説明を省略する。
【0064】
この第3の実施の形態に係る生体電極では、第4のレジスト層23aの基端側を幅広に形成しており、前記第2のシールド層22が露出しないよう、当該第2のシールド層22と同じ幅に形成している。そしてこの上に積層される第3の回路層24aは基端側を左右一方側に存在するように曲折させている。この第3の回路層24aの上に積層される第3のレジスト層23bは、前記第3の回路層24aの基端側を露出させる長さであって、且つ基端側を前記第2のシールド層22が露出しないように、前記第第4のレジスト層23aと同じ幅に形成している。そしてこの第3のレジスト層23bの上には、前記第2の実施形態と同じように第2の回路層24bを積層させ、その上に前記第3のレジスト層23bと同じように形成した第2のレジスト層23cを積層させて、第2の回路層24bの基端部を露出させる。この上に第2のレジスト層23cを積層させて、第1の回路層24cを積層させる。この第1の回路層24cは、その基端側を前記第3の回路層24aとは反対側に曲折させている。そしてこの上に第1のレジスト層23dを積層させることにより、基材の基端側には、幅方向に回路層が並んだコネクタ部分を形成した生体電極が形成される。
【0065】
上記2つの実施の形態では、レジスト層(23a,23b,23c,23d)の何れかの領域の幅を調整し、上下のシールド層(22,27)を当該領域の縁部分で電気的に接続していたが、これに限定されるものではない。即ち、レジスト層(23a,23b,23c,23d)やシールド層(22,27)の形成パターンを変更することにより、積層されたシールド層(22,27)を任意の領域で電気的に接合することができる。例えば、
図4及び5に示すような実施形態とすることができる。
【0066】
図5はシールド層(32,37)同士の他の実施の形態に係る電気的接続構造を示す(A)分解斜視図、(B)要部正面図である。この実施の形態に係るシールド層(32,37)同士の接続構造では、回路層34を上下に挟んでいるレジスト層(33,36)と、当該レジスト層を上下に挟んでいるシールド層(32,37)とを同じ幅に形成している。その上で、当該レジスト層(33,36)の一部の縁部分を窪ませて形成している。その結果
図5(B)の要部積層斜視図に示すように、下側のシールド層32は、当該窪み部分30において露出することになる。この上に前記窪み部分30を備えたレジスト層36を積層させた上でシールド層37を積層させれば、2つのシールド(32,37)層は、当該窪み部分30において電気的に接続することができる。即ち、当該レジスト層の印刷パターンによって上下のシールド層の電気的接続を実現することができる。
【0067】
また
図6はシールド層(42,47)同士の他の実施の形態に係る電気的接続構造を示す(A)分解斜視図、(B)要部正面図である。この実施の形態に係るシールド層(42,47)同士の接続構造では、回路層44を上下に挟んでいるレジスト層(42,47)と、当該レジスト層を上下に挟んでいるシールド層(42,47)とを同じ幅に形成し、その上で、当該シールド層の一部の領域に、厚さ方向に貫通する開口部40を形成している。その結果
図6(B)の要部積層斜視図に示すように、下側のシールド層42は、当該開口部40において露出することになる。この上に前記開口部40を備えたレジスト層を積層させた上でシールド層46を積層させれば、2つのシールド(42,47)層は、当該開口部40において電気的に接続することができる。即ち、当該レジスト層の印刷パターンによって上下のシールド層の電気的接続を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
上記本発明にかかる生体電極は、医療分野などにおいて利用することができる。また上記の積層構造における層間の電気的な接続構造は、生体電極に限らず、電子回路基板などの多層基板などにおいても利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
10,20 生体電極
11,21 基材
12,,22,32 第1のシールド層
13,16, 23,33,36 レジスト層
14,24 回路層
15,25 測定用電極
17,27,37 第2のシールド層
18,28 電解質部
21a 張出部
21b 帯状部
25a アース用電極
25b,25c 測定用電極
27 シールド層
30 窪み部分
40 開口部