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特許7126680編成樹脂構造体整形機、編成樹脂構造体製造装置、及び編成樹脂構造体製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】編成樹脂構造体整形機、編成樹脂構造体製造装置、及び編成樹脂構造体製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06C 25/00 20060101AFI20220822BHJP
   D06C 23/04 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
D06C25/00 Z
D06C23/04 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018084727
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019189972
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】511192768
【氏名又は名称】株式会社エコ・ワールド
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】矢野 和宏
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-248455(JP,A)
【文献】特開2002-088634(JP,A)
【文献】実公昭30-017718(JP,Y1)
【文献】特開昭61-000654(JP,A)
【文献】特開2017-057550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06C 3/00-29/00
D04H 1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の樹脂が無秩序に絡まり合い部分的に熱溶着した網状の三次元構造を有し、上面、下面、及び角は平滑な表面状態に形成され、側面は前記樹脂が前記角よりも突出した表面状態に形成された編成樹脂構造体を、70以上150以下に加温する加温室と、
前記加温室において前記編成樹脂構造体の移動を行う移動部と、
前記編成樹脂構造体の前記側面を整形するための側面整形部とを備え、
前記加温室において、加温した前記編成樹脂構造体を前記側面が前記側面整形部と接触するように前記側面整形部に沿って摺動させることによって、前記編成樹脂構造体の前記側面を整形することを特徴とする編成樹脂構造体整形機。
【請求項2】
前記加温室には、加温用流体を放出する加温用流体放出部が配置され、
前記加温用流体放出部から前記加温用流体を前記編成樹脂構造体に向けて放出することによって、前記編成樹脂構造体を加温することを特徴とする請求項1に記載の編成樹脂構造体整形機。
【請求項3】
前記加温用流体放出部から放出される前記加温用流体が蒸気であることを特徴とする請求項2に記載の編成樹脂構造体整形機。
【請求項4】
前記加温用流体放出部は、前記編成樹脂構造体の上面に向けて前記加温用流体を放出する上面側流体放出部と、前記編成樹脂構造体の下面に向けて前記加温用流体を放出する下面側流体放出部とを有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の編成樹脂構造体整形機。
【請求項5】
前記側面整形部は、前記編成樹脂構造体の一方の側面と接触する第一側面整形部と、前記編成樹脂構造体の他方の側面と接触する第二側面整形部とを有し、
前記第一側面整形部と前記第二側面整形部との間隔は可変であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の編成樹脂構造体整形機。
【請求項6】
前記移動部は、前記編成樹脂構造体の移動方向に所定間隔で設けられた複数の回転体を有し、前記回転体に載置された前記編成樹脂構造体を前記回転体の回転によって移動させるものであり、
前記側面整形部は、前記編成樹脂構造体の移動方向に対して垂直に設けられた複数の棒状体であり、
可動の前記棒状体が前記回転体と前記回転体との間に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の編成樹脂構造体整形機。
【請求項7】
前記棒状体は、円形断面を有する丸棒であり、前記編成樹脂構造体の前記側面との接触によって回転することを特徴とする請求項6に記載の編成樹脂構造体整形機。
【請求項8】
上面凹凸形成部を備え、前記加温室において加温した前記編成樹脂構造体を前記側面整形部に沿って摺動させる際に、前記上面凹凸形成部によって前記編成樹脂構造体の上面に凹凸を形成することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の編成樹脂構造体整形機。
【請求項9】
前記上面凹凸形成部は、前記編成樹脂構造体の移動方向に所定間隔で設けられた複数の凹凸付押圧回転体を有し、
前記編成樹脂構造体の前記上面を前記凹凸付押圧回転体で押圧することによって、前記凹凸を形成することを特徴とする請求項8に記載の編成樹脂構造体整形機。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の編成樹脂構造体整形機と、
編成樹脂構造体形成機とを備え、
前記編成樹脂構造体形成機は、
溶融樹脂を供給する供給部と、
前記供給部から供給された前記溶融樹脂を、孔から流出させることにより線状にする線状化部と、
線状となった前記溶融樹脂を冷却する冷却用液体が貯留された冷却槽と、
線状となった前記溶融樹脂の集合体を厚み方向に圧縮しながら前記冷却槽へ導くガイダー部と、
前記溶融樹脂の前記集合体が前記冷却用液体で冷却されることによって形成された多数の樹脂が無秩序に絡まり合い部分的に熱溶着した網状の三次元構造を有する編成樹脂構造体を、前記冷却槽の外へ送り出す送出部とを備え、
前記ガイダー部には、前記集合体のうち前記編成樹脂構造体の角となる領域を圧縮する角形成部が設けられ、
前記送出部によって前記冷却槽の外へ送り出された前記編成樹脂構造体は、前記ガイダー部における圧縮によって平滑な表面状態に形成された上面及び下面と、前記角形成部における圧縮によって平滑な表面状態に形成された前記角と、前記樹脂が前記角よりも突出した表面状態に形成された側面とを有し、
前記編成樹脂構造体整形機は、前記冷却槽の外へ送り出された前記編成樹脂構造体の前記側面を整形することを特徴とする編成樹脂構造体製造装置。
【請求項11】
前記編成樹脂構造体形成機は、前記線状化部から流出する前記溶融樹脂の種類を前記集合体の所定の厚みごとに異ならせることによって、隣接する層同士の樹脂の種類が異なる積層構造を有した前記編成樹脂構造体を形成することを特徴とする請求項10に記載の編成樹脂構造体製造装置。
【請求項12】
前記編成樹脂構造体を冷却する冷却機を備え、
前記編成樹脂構造体整形機の前記加温室から送り出された前記編成樹脂構造体を前記冷却機で冷却することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の編成樹脂構造体製造装置。
【請求項13】
前記冷却機には、冷却用流体を放出する冷却用流体放出部が配置され、
前記冷却用流体放出部から前記冷却用流体を前記編成樹脂構造体に向けて放出することによって、前記編成樹脂構造体を冷却することを特徴とする請求項12に記載の編成樹脂構造体製造装置。
【請求項14】
線状の溶融樹脂が集合してなる集合体を冷却槽に貯留されている冷却用液体で冷却して多数の樹脂が無秩序に絡まり合い部分的に熱溶着した網状の三次元構造を有する編成樹脂構造体を形成する編成樹脂構造体製造方法であって、
前記冷却槽へ向けて落下している前記集合体をガイダー部により厚み方向に圧縮すると共に、前記集合体のうち前記編成樹脂構造体の角となる領域を前記ガイダー部に設けられている角形成部により圧縮することによって、平滑な表面状態に形成された上面、下面及び角と、前記樹脂が前記角よりも突出した表面状態に形成された側面とを有する前記編成樹脂構造体を形成し、
前記編成樹脂構造体を前記冷却槽の外へ送出し、
前記冷却槽の外へ送出された前記編成樹脂構造体を70以上150以下に加温し、加温した前記編成樹脂構造体を前記側面が側面整形部と接触するように前記側面整形部に沿って摺動させることによって、前記編成樹脂構造体の前記側面を整形することを特徴とする編成樹脂構造体製造方法。
【請求項15】
加温した前記編成樹脂構造体を前記側面整形部に沿って摺動させる際に、前記編成樹脂構造体の前記上面に凹凸を形成することを特徴とする請求項14に記載の編成樹脂構造体製造方法。
【請求項16】
前記編成樹脂構造体を、加温して前記側面を整形した後に冷却することを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の編成樹脂構造体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレス、クッション材、生活用品等に利用できる編成樹脂構造体整形機、編成樹脂構造体製造装置、及び編成樹脂構造体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の樹脂が無秩序に絡まり合い部分的に熱溶着した網状の三次元構造を有する編成樹脂構造体が、マットレス等に利用されている。編成樹脂構造体は、溶融樹脂の集合体を冷却することによって得ることができる。
例えば特許文献1には、溶融した熱可塑性樹脂を複数のノズルより下方へ押出し、一部水没した1対のベルトコンベアーの間に自然降下させ、降下速度より遅く引き取ることにより立体網状構造体を製造する際に、押出された溶融樹脂の束の巾より1対のベルトコンベアーの間隔が狭く、かつベルトコンベアーが水没する前に溶融樹脂の束の両面あるいは片面がベルトコンベアーに接触するようにした立体網状構造体の製造方法が開示されている。特許文献1に記載の製造方法により得られる立体網状構造体において、ベルトコンベアーに接触しない側面は樹脂が飛び出した不均一な表面状態になるため、側面を裁断して所定の寸法に側面に仕上げられる。しかし、側面の表面には裁断された樹脂の断面が表れるため平滑な表面状態ではなく、手触りが良くなかったり、カバーが引っ掛かったりするという問題がある。
特許文献2には、対向するシュートと、シュート表面にそれぞれ水を供給する水供給部と、シュートの長手方向と交差するように、対向して設けられる幅設定板とからなる網状構造体ループ形成装置が開示されている。これによれば、シュートの谷間の下端の幅で網状構造体の厚みを決定するほか、幅設定板の間隔で網状構造体の幅を決定することによって、内層と比較して嵩密度の高い側面層を備えた網状構造体が形成される。しかし、より側面の嵩密度を高くして強度を増すことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-241264号公報
【文献】国際公開第2012/035736号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、編成樹脂構造体の側面を、より嵩密度を高くして平滑な状態に整形する編成樹脂構造体整形機を提供することを目的とする。また、その編成樹脂構造体整形機を備えた編成樹脂構造体製造装置を提供することを目的とする。また、編成樹脂構造体の側面を、より嵩密度を高くして平滑な状態に整形する編成樹脂構造体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の編成樹脂構造体整形機は、多数の樹脂が無秩序に絡まり合い部分的に熱溶着した網状の三次元構造を有し、上面、下面、及び角は平滑な表面状態に形成され、側面は前記樹脂が前記角よりも突出した表面状態に形成された編成樹脂構造体を、70以上150以下に加温する加温室と、前記加温室において前記編成樹脂構造体の移動を行う移動部と、前記編成樹脂構造体の前記側面を整形するための側面整形部とを備え、前記加温室において、加温した前記編成樹脂構造体を前記側面が前記側面整形部と接触するように前記側面整形部に沿って摺動させることによって、前記編成樹脂構造体の前記側面を整形することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の編成樹脂構造体整形機において、前記加温室には、加温用流体を放出する加温用流体放出部が配置され、前記加温用流体放出部から前記加温用流体を前記編成樹脂構造体に向けて放出することによって、前記編成樹脂構造体を加温することを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の編成樹脂構造体整形機において、前記加温用流体放出部から放出される前記加温用流体が蒸気であることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の本発明は、請求項2又は請求項3に記載の編成樹脂構造体整形機において、前記加温用流体放出部は、前記編成樹脂構造体の上面に向けて前記加温用流体を放出する上面側流体放出部と、前記編成樹脂構造体の下面に向けて前記加温用流体を放出する下面側流体放出部とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の編成樹脂構造体整形機において、前記側面整形部は、前記編成樹脂構造体の一方の側面と接触する第一側面整形部と、前記編成樹脂構造体の他方の側面と接触する第二側面整形部とを有し、前記第一側面整形部と前記第二側面整形部との間隔は可変であることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の編成樹脂構造体整形機において、前記移動部は、前記編成樹脂構造体の移動方向に所定間隔で設けられた複数の回転体を有し、前記回転体に載置された前記編成樹脂構造体を前記回転体の回転によって移動させるものであり、前記側面整形部は、前記編成樹脂構造体の移動方向に対して垂直に設けられた複数の棒状体であり、前記棒状体が前記回転体と前記回転体との間に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載の編成樹脂構造体整形機において、前記棒状体は、円形断面を有する丸棒であり、前記編成樹脂構造体の前記側面との接触によって回転することを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の本発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の編成樹脂構造体整形機において、上面凹凸形成部を備え、前記加温室において加温した前記編成樹脂構造体を前記側面整形部に沿って摺動させる際に、前記上面凹凸形成部によって前記編成樹脂構造体の上面に凹凸を形成することを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の本発明は、請求項8に記載の編成樹脂構造体整形機において、前記上面凹凸形成部は、前記編成樹脂構造体の移動方向に所定間隔で設けられた複数の凹凸付押圧回転体を有し、前記編成樹脂構造体の前記上面を前記凹凸付押圧回転体で押圧することによって、前記凹凸を形成することを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の本発明の編成樹脂構造体製造装置は、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の編成樹脂構造体整形機と、編成樹脂構造体形成機とを備え、前記編成樹脂構造体形成機は、溶融樹脂を供給する供給部と、前記供給部から供給された前記溶融樹脂を、孔から流出させることにより線状にする線状化部と、線状となった前記溶融樹脂を冷却する冷却用液体が貯留された冷却槽と、線状となった前記溶融樹脂の集合体を厚み方向に圧縮しながら前記冷却槽へ導くガイダー部と、前記溶融樹脂の前記集合体が前記冷却用液体で冷却されることによって形成された多数の樹脂が無秩序に絡まり合い部分的に熱溶着した網状の三次元構造を有する編成樹脂構造体を、前記冷却槽の外へ送り出す送出部とを備え、前記ガイダー部には、前記集合体のうち前記編成樹脂構造体の角となる領域を圧縮する角形成部が設けられ、前記送出部によって前記冷却槽の外へ送り出された前記編成樹脂構造体は、前記ガイダー部における圧縮によって平滑な表面状態に形成された上面及び下面と、前記角形成部における圧縮によって平滑な表面状態に形成された前記角と、前記樹脂が前記角よりも突出した表面状態に形成された側面とを有し、前記編成樹脂構造体整形機は、前記冷却槽の外へ送り出された前記編成樹脂構造体の前記側面を整形することを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の本発明は、請求項10に記載の編成樹脂構造体製造装置において、前記編成樹脂構造体形成機は、前記線状化部から流出する前記溶融樹脂の種類を前記集合体の所定の厚みごとに異ならせることによって、隣接する層同士の樹脂の種類が異なる積層構造を有した前記編成樹脂構造体を形成することを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の本発明は、請求項10又は請求項11に記載の編成樹脂構造体製造装置において、前記編成樹脂構造体を冷却する冷却機を備え、前記編成樹脂構造体整形機の前記加温室から送り出された前記編成樹脂構造体を前記冷却機で冷却することを特徴とする。
【0017】
請求項13記載の本発明は、請求項12に記載の編成樹脂構造体製造装置において、前記冷却機には、冷却用流体を放出する冷却用流体放出部が配置され、前記冷却用流体放出部から前記冷却用流体を前記編成樹脂構造体に向けて放出することによって、前記編成樹脂構造体を冷却することを特徴とする。
【0018】
請求項14記載の本発明の編成樹脂構造体製造方法は、線状の溶融樹脂が集合してなる集合体を冷却槽に貯留されている冷却用液体で冷却して多数の樹脂が無秩序に絡まり合い部分的に熱溶着した網状の三次元構造を有する編成樹脂構造体を形成する編成樹脂構造体製造方法であって、前記冷却槽へ向けて落下している前記集合体をガイダー部により厚み方向に圧縮すると共に、前記集合体のうち前記編成樹脂構造体の角となる領域を前記ガイダー部に設けられている角形成部により圧縮することによって、平滑な表面状態に形成された上面、下面及び角と、前記樹脂が前記角よりも突出した表面状態に形成された側面とを有する前記編成樹脂構造体を形成し、前記編成樹脂構造体を前記冷却槽の外へ送出し、前記冷却槽の外へ送出された前記編成樹脂構造体を70以上150以下に加温し、加温した前記編成樹脂構造体を前記側面が側面整形部と接触するように前記側面整形部に沿って摺動させることによって、前記編成樹脂構造体の前記側面を整形することを特徴とする。
【0019】
請求項15記載の本発明は、請求項14に記載の編成樹脂構造体製造方法において、加温した前記編成樹脂構造体を前記側面整形部に沿って摺動させる際に、前記編成樹脂構造体の前記上面に凹凸を形成することを特徴とする。
【0020】
請求項16記載の本発明は、請求項14又は請求項15に記載の編成樹脂構造体製造方法において、前記編成樹脂構造体を、加温して前記側面を整形した後に冷却することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、編成樹脂構造体の側面を、より嵩密度を高くして平滑な状態に整形する編成樹脂構造体整形機を提供できる。また、その編成樹脂構造体整形機を備えた編成樹脂構造体製造装置を提供できる。また、編成樹脂構造体の側面を、より嵩密度を高くして平滑な状態に整形する編成樹脂構造体製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例による編成樹脂構造体製造装置の構成図
図2】同線状化部の底面を示す図
図3】同ガイダー部の上面図
図4】同角形成部の構成図
図5】同編成樹脂構造体形成機で形成された編成樹脂構造体を前面側から見た図
図6】同編成樹脂構造体整形機の構成図
図7】同冷却機を入口側から見た正面図
図8】本発明の他の実施例による編成樹脂構造体整形機の構成図
図9】同回転体の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1の実施形態による編成樹脂構造体整形機は、編成樹脂構造体を70以上150以下に加温する加温室と、加温室において編成樹脂構造体の移動を行う移動部と、編成樹脂構造体の側面を整形するための側面整形部とを備え、加温室において、加温した編成樹脂構造体を側面が側面整形部と接触するように側面整形部に沿って摺動させることによって、編成樹脂構造体の側面を整形するものである。
本実施形態によれば、側面が不均一な表面状態となっている編成樹脂構造体に対して側面整形を行い、側面をより嵩密度が高い平滑な状態に整形することができる。また、それと同時進行的に編成樹脂構造体に対してアニール処理を行うことができる。
【0024】
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態による編成樹脂構造体整形機において、加温室には、加温用流体を放出する加温用流体放出部が配置され、加温用流体放出部から加温用流体を編成樹脂構造体に向けて放出することによって、編成樹脂構造体を加温するものである。
本実施形態によれば、加温用流体を用いることで編成樹脂構造体を直接的に加温することができる。
【0025】
本発明の第3の実施形態は、第2の実施形態による編成樹脂構造体整形機において、加温用流体放出部から放出される加温用流体を蒸気としたものである。
本実施形態によれば、編成樹脂構造体をより均一に加温することができる。
【0026】
本発明の第4の実施形態は、第2又は第3の実施形態による編成樹脂構造体整形機において、加温用流体放出部は、編成樹脂構造体の上面に向けて加温用流体を放出する上面側流体放出部と、編成樹脂構造体の下面に向けて加温用流体を放出する下面側流体放出部とを有するものである。
本実施形態によれば、編成樹脂構造体に対して上下二方向から加温用流体を当てて、編成樹脂構造体をより均一に加温することができる。
【0027】
本発明の第5の実施形態は、第1から第4のいずれか一つの実施形態による編成樹脂構造体整形機において、側面整形部は、編成樹脂構造体の一方の側面と接触する第一側面整形部と、編成樹脂構造体の他方の側面と接触する第二側面整形部とを有し、第一側面整形部と第二側面整形部との間隔を可変としたものである。
本実施形態によれば、編成樹脂構造体の幅に合わせて第一側面整形部と第二側面整形部との間隔を調整することができるため、編成樹脂構造体の側面を整形しやすくなる。
【0028】
本発明の第6の実施形態は、第5の実施形態による編成樹脂構造体整形機において、移動部は、編成樹脂構造体の移動方向に所定間隔で設けられた複数の回転体を有し、回転体に載置された編成樹脂構造体を回転体の回転によって移動させるものであり、側面整形部は、編成樹脂構造体の移動方向に対して垂直に設けられた複数の棒状体であり、可動の棒状体が回転体と回転体との間に配置されているものである。
本実施形態によれば、棒状体を回転体と回転体との間で動かすことで、第一側面整形部と第二側面整形部との間隔を調整することができる。
【0029】
本発明の第7の実施形態は、第6の実施形態による編成樹脂構造体整形機において、棒状体は、円形断面を有する丸棒であり、編成樹脂構造体の側面との接触によって回転するものである。
本実施形態によれば、棒状体と編成樹脂構造体との引っ掛かりを防止し、編成樹脂構造体をスムーズに移動させることができる。
【0030】
本発明の第8の実施形態は、第1から第7のいずれか一つの実施形態による編成樹脂構造体整形機において、上面凹凸形成部を備え、加温室において加温した編成樹脂構造体を側面整形部に沿って摺動させる際に、上面凹凸形成部によって編成樹脂構造体の上面に凹凸を形成するものである。
本実施形態によれば、編成樹脂構造体に対して、アニール処理及び側面整形に加えて、上面の凹凸形成を同時進行的に行うことができる。
【0031】
本発明の第9の実施形態は、第8の実施形態による編成樹脂構造体整形機において、上面凹凸形成部は、編成樹脂構造体の移動方向に所定間隔で設けられた複数の凹凸付押圧回転体を有し、編成樹脂構造体の上面を凹凸付押圧回転体で押圧することによって、凹凸を形成するものである。
本実施形態によれば、凹凸付押圧回転体によって編成樹脂構造体の上面に凹凸を形成することができる。
【0032】
本発明の第10の実施形態は、第1から第9のいずれか一つの実施形態による編成樹脂構造体整形機において、編成樹脂構造体を冷却する冷却機を備え、加温室から送り出された編成樹脂構造体を冷却機で冷却するものである。
本実施形態によれば、編成樹脂構造体の樹脂を安定させることができる。
【0033】
本発明の第11の実施形態は、第10の実施形態による編成樹脂構造体整形機において、冷却機には、冷却用流体を放出する冷却用流体放出部が配置され、冷却用流体放出部から冷却用流体を編成樹脂構造体に向けて放出することによって、編成樹脂構造体を冷却するものである。
本実施形態によれば、冷却用流体を用いることで編成樹脂構造体を直接的に冷却することができる。
【0034】
本発明の第12の実施形態による編成樹脂構造体形成機は、溶融樹脂を供給する供給部と、供給部から供給された溶融樹脂を、孔から流出させることにより線状にする線状化部と、線状となった溶融樹脂を冷却する冷却用液体が貯留された冷却槽と、線状となった溶融樹脂の集合体を厚み方向に圧縮しながら冷却槽へ導くガイダー部と、溶融樹脂の集合体が冷却用液体で冷却されることによって形成された編成樹脂構造体を、冷却槽の外へ送り出す送出部とを備え、ガイダー部には、集合体のうち編成樹脂構造体の角となる領域を圧縮する角形成部が設けられ、送出部によって冷却槽の外へ送り出された編成樹脂構造体は、ガイダー部における圧縮によって平滑な表面状態に形成された上面及び下面と、角形成部における圧縮によって平滑な表面状態に形成された角と、樹脂が角よりも突出した不均一な表面状態に形成された側面とを有するものである。
本実施形態によれば、平滑な表面状態に形成された角と、樹脂が角よりも突出した不均一な表面状態に形成された側面を有する編成樹脂構造体を形成することができる。
【0035】
本発明の第13の実施形態は、第12の実施形態による編成樹脂構造体形成機において、線状化部から流出する溶融樹脂の種類を集合体の所定の厚みごとに異ならせることによって、隣接する層同士の樹脂の種類が異なる積層構造を有した編成樹脂構造体を形成するものである。
本実施形態によれば、複層の積層構造を有した編成樹脂構造体を形成することができる。
【0036】
本発明の第14の実施形態による編成樹脂構造体製造装置は、第12又は第13の実施形態による編成樹脂構造体形成機と、第1から第11のいずれか一つの実施形態による編成樹脂構造体整形機とを備えるものである。
本実施形態によれば、平滑な表面状態に形成された角と、樹脂が角よりも突出した不均一な表面状態に形成された側面を有する編成樹脂構造体を形成し、その編成樹脂構造体に対して側面整形を行い、側面をより嵩密度が高い平滑な状態に整形することができる。また、それと同時進行的に編成樹脂構造体に対してアニール処理を行うことができる。
【0037】
本発明の第15の実施形態による編成樹脂構造体製造方法は、線状の溶融樹脂が集合してなる集合体を冷却槽に貯留されている冷却用液体で冷却して編成樹脂構造体を形成する編成樹脂構造体製造方法であって、冷却槽へ向けて落下している集合体を厚み方向に圧縮すると共に、集合体のうち編成樹脂構造体の角となる領域を圧縮することによって、平滑な表面状態に形成された上面、下面及び角と、樹脂が角よりも突出した不均一な表面状態に形成された側面とを有する編成樹脂構造体を形成し、編成樹脂構造体を冷却槽の外へ送出し、冷却槽の外へ送出された編成樹脂構造体を70以上150以下に加温し、加温した編成樹脂構造体を側面が側面整形部と接触するように側面整形部に沿って摺動させることによって、編成樹脂構造体の側面を整形するものである。
本実施形態によれば、平滑な表面状態に形成された角と、樹脂が角よりも突出した不均一な表面状態に形成された側面を有する編成樹脂構造体を形成し、その編成樹脂構造体に対して側面整形を行い、側面をより嵩密度が高い平滑な状態に整形することができる。また、それと同時進行的に編成樹脂構造体に対してアニール処理を行うことができる。
【0038】
本発明の16の実施形態は、第15の実施形態による編成樹脂構造体製造方法において、加温した編成樹脂構造体を側面整形部に沿って摺動させる際に、編成樹脂構造体の上面に凹凸を形成するものである。
本実施形態によれば、編成樹脂構造体に対して、アニール処理及び側面整形に加えて、上面の凹凸形成を同時進行的に行うことができる。
【0039】
本発明の第17の実施形態は、第15又は第16の実施形態による編成樹脂構造体製造方法において、編成樹脂構造体を、加温して側面を整形した後に冷却するものである。
本実施形態によれば、編成樹脂構造体の樹脂を安定させることができる。
【実施例
【0040】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は、編成樹脂構造体製造装置の構成図である。
本発明の実施例による編成樹脂構造体製造装置は、編成樹脂構造体形成機1と、編成樹脂構造体整形機2と、冷却機3を備える。
編成樹脂構造体形成機1は、溶融樹脂を線状にして流し落とし、線状となった溶融樹脂の集合体4を液体に浸漬して冷却することで、多数の樹脂が無秩序に絡まり合い部分的に熱溶着した網状の三次元構造を有した編成樹脂構造体5を連続的に形成する。
編成樹脂構造体整形機2は、編成樹脂構造体形成機1で形成された編成樹脂構造体5に対してアニール処理及び側面整形を行う。
冷却機3は、編成樹脂構造体整形機2でアニール処理及び側面整形が行われた編成樹脂構造体5を冷却し、樹脂を安定させる。
完成した編成樹脂構造体5は、マットレスやクッション等として用いられる。
【0041】
編成樹脂構造体形成機1は、溶融樹脂を供給する供給部10と、溶融樹脂を線状にする線状化部20と、線状となった溶融樹脂を冷却する冷却用液体が貯留された冷却槽30と、線状化部20から冷却槽30へ向けて流れ落ちる線状の溶融樹脂の集合体4が通過するガイダー部40と、集合体4が冷却用液体で冷却されることにより形成された編成樹脂構造体5を冷却槽30の底面側に引き込む引込部50と、編成樹脂構造体5を冷却槽30の外へ送り出す送出部60を備える。
【0042】
供給部10は、熱可塑性樹脂を所定温度で溶融混練して溶融樹脂とし、所定の押し出し速度で溶融樹脂を押し出して線状化部20に供給する。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂などを、単独で又は複数混合したものが用いられる。
供給部10は、第一の樹脂を供給する第一樹脂供給部10Aと、第二の樹脂を供給する第二樹脂供給部10Bを有する。編成樹脂構造体5を、厚み方向における第一層と第二層とで樹脂の材質又は色といった種類が異なる2層の積層構造とする場合には、第一樹脂供給部10Aと第二樹脂供給部10Bとで、供給する樹脂の材質又は色等を異ならせる。
【0043】
冷却槽30内には、引込部50及び送出部60が配置されている。
引込部50は、ガイダー部40を通過した集合体4が冷却槽30に流れ落ちる位置に配置されている。引込部50は、編成樹脂構造体5の上面と接触する上面側回転体51と、編成樹脂構造体5の下面と接触する下面側回転体52とから成る一対の回転体を鉛直方向に複数有する。上面側回転体51及び下面側回転体52は円柱状のローラーであり、長手方向が水平となるように配置されている。上面側回転体51と下面側回転体52との間隔は、ガイダー部40を通過した集合体4の厚みと略同一である。
送出部60は、傾斜コンベア61を有する。傾斜コンベア61の下端は引込部50よりも下方に位置する。冷却槽30の底面側に引き込まれた編成樹脂構造体5は、傾斜コンベア61によって斜め上方に引き揚げられて冷却槽30の外へと送出される。なお、傾斜コンベア61の代わりにローラー等の回転体を用いて編成樹脂構造体5を引き揚げて冷却槽30の外へ送出することもできる。
【0044】
図2は、線状化部20の底面を示す図である。
線状化部20は、供給部10から押し出された溶融樹脂を受け入れる受入口を上部に備え、受け入れた溶融樹脂を流出させる流出口を底面に備える。流出口には、複数の小孔が矩形状に配置されている。供給部10から供給された溶融樹脂は小孔21から流出することで線状となる。
線状化部20の内部は、第一樹脂供給部10Aから供給された樹脂が入る第一区画20Aと、第二樹脂供給部10Bから供給された樹脂が入る第二区画20Bとに、仕切板22によって区画されている。これにより、線状化部20から流出する溶融樹脂の種類を集合体4の所定の厚みごとに異ならせ、隣接する層同士の樹脂の種類が異なる2層の積層構造を有した編成樹脂構造体5を形成することができる。また、本実施例のように、第一区画20Aと第二区画20Bとで、小孔の径又は数を異ならせた場合には、編成樹脂構造体5を、隣接する層同士の樹脂の径又は嵩密度といった種類が異なる2層の積層構造とすることができる。なお、線状化部20の内部を三つ以上に区画して、3層以上の積層構造を有した編成樹脂構造体5を形成することもできる。
各小孔21から流出した線状溶融樹脂は、略矩形状の集合体4となって冷却槽30へ向けて流れ落ちる。
【0045】
図3は、ガイダー部40の上面図である。
ガイダー部40は、線状化部20と冷却槽30との間に配置されている。ガイダー部40は、集合体4を厚み方向に圧縮しながら冷却槽30に導く。
ガイダー部40は、集合体4のうち編成樹脂構造体5の上面となる領域と接触する位置に配置された第一傾斜板41と、編成樹脂構造体5の下面となる領域と接触する位置に配置された第二傾斜板42を有する。集合体4は、第一傾斜板41と第二傾斜板42の間を通過する。
第一傾斜板41と第二傾斜板42は向かい合わせに配置されており、両者の間隔は上方から下方にかけて徐々に狭くなっている。上方の間隔は、ガイダー部40に至る前の集合体4の厚みよりも大きく、下方の間隔は、ガイダー部40に至る前の集合体4の厚みよりも小さい。よって、集合体4は、第一傾斜板41と第二傾斜板42の間を通過した後は、通過前よりも厚みが小さくなる。
また、集合体4のうち、第一傾斜板41又は第二傾斜板42との接触により圧縮されながらガイダー部40を通過した領域は、その接触によって表面が均されて冷却槽30へ流入するが、第一傾斜板41又は第二傾斜板42と接触せずにガイダー部40を通過した領域は、表面が均されることなくそのまま冷却槽30へ流入する。これにより、集合体4が冷却槽30内の液体で冷却されることにより形成された編成樹脂構造体5は、上面及び下面が平滑な表面状態となり、側面は樹脂が突出した不均一な表面状態となる。
また、ガイダー部40には、編成樹脂構造体5の角を平滑な表面状態に形成するための角形成部70が、第一傾斜板41と第二傾斜板42の間に二つ設けられている。角形成部70は、集合体4のうち四隅が通過する位置にそれぞれ配置される。
【0046】
図4は、角形成部70の構成図である。
角形成部70は、集合体4のうち編成樹脂構造体5の上面と側面との角となる領域に接触する第一角形成部71と、集合体4のうち編成樹脂構造体5の下面と側面との角となる領域に接触する第二角形成部72を有する。第一角形成部71及び第二角形成部72は、下方へ傾斜している。集合体4のうち編成樹脂構造体5の角となる領域は、集合体4がガイダー部40を通過する際に角形成部70との接触によって圧縮される。これにより、集合体4が冷却されて成る編成樹脂構造体5の角は、平滑な表面状態となる。
第一角形成部71と第二角形成部72との間には空間73が形成されている。集合体4のうち編成樹脂構造体5の側面となる領域は、空間73を通過するため、角形成部70で圧縮されることなく冷却槽30へ流れ落ちる。
角形成部70は、第一角形成部71の外方に連接して設けられた第一取付部74と、第二角形成部72の外方に連接して設けられた第二取付部75を有する。第一取付部74を第一傾斜板41に係止させ、第二取付部75を第二傾斜板42に係止させることで、角形成部70をガイダー部40に取り付けることができる。
また、角形成部70は、空間73に架け渡された架橋部76を後端に有する。架橋部76の一端は第一取付部74に固定され、架橋部75の他端は第二取付部75に固定されている。
【0047】
図5は、編成樹脂構造体形成機1で形成された編成樹脂構造体5を前面側から見た図である。
編成樹脂構造体5は、第一層と、第一層とは異なる樹脂の種類で形成された第二層を有した2層の積層構造となっている。
編成樹脂構造体5のうち、上面5A、下面5B、及び角5Dは、ガイダー部40又は角形成部70との接触によって圧縮されて平滑な表面状態となっている。一方、側面5Cは、圧縮形成されていないため、樹脂が角よりも突出した不均一な表面状態となっている。
【0048】
図6は、本実施例による編成樹脂構造体整形機2の構成図であり、図6(a)は入口側から見た正面図、図6(b)は側面図である。
冷却槽30の外へ送出された編成樹脂構造体5は、側面が不均一な表面状態のままで編成樹脂構造体整形機2へ送り込まれる。なお、送り込まれる編成樹脂構造体5は、切断機(図示略)によって所定の長さに切断された後であっても、切断前の長尺状態であってもよい。
編成樹脂構造体整形機2は、送り込まれた編成樹脂構造体5に対して、アニール処理及び側面整形を行う。
編成樹脂構造体整形機2は、編成樹脂構造体5を加温する加温室110と、加温室110において編成樹脂構造体5の移動を行う移動部120と、編成樹脂構造体5の側面を整形するための側面整形部130を備える。なお、図6(b)においては、加温室110内の構成を示すために加温室110の筐体を省略している。
【0049】
加温室110には、一方の開口110Aと他方の開口110Bが設けられている。編成樹脂構造体5は、一方の開口110Aから加温室110内に送り込まれ、他方の開口110Bから送り出される。図6(b)中の白抜き矢印は編成樹脂構造体5の移動方向を示している。編成樹脂構造体5は、上面を上に向けた上向きの状態で加温室110内を移動していく。
加温室110において編成樹脂構造体5に加える温度は、アニール処理に適切な温度であって、かつ編成樹脂構造体5を構成する樹脂が柔らかくなる温度とする。この温度は、樹脂の種類等に応じて設定されるが、70以上150以下であることが好ましく、90以上100以下であることがより好ましい。また、アニール処理を所定時間行うことで、使用による編成樹脂構造体5のクッション性の低下を低減する効果が得られるが、アニール処理の時間が一定以上になるとその効果は飽和する。よって、加温時間は、1分以上5分以下であることが好ましく、1分30秒以上2分以下であることがより好ましい。
【0050】
加温室110内には、加温用流体を放出する加温用流体放出部111が設けられており、加温用流体放出部111から編成樹脂構造体5に向けて放出された加温用流体によって編成樹脂構造体5が加温される。加温用流体を用いることで、編成樹脂構造体5を直接的に加温することができる。
加温用流体は、蒸気とすることが好ましい。蒸気を用いることで、編成樹脂構造体5をより均一に加温することができる。
加温用流体放出部111は、編成樹脂構造体5の上面に向けて加温用流体を放出する上面側流体放出部111Aと、編成樹脂構造体5の下面に向けて加温用流体を放出する下面側流体放出部111Bを有する。上面側流体放出部111Aは加温室110内の上部に配置され、下面側流体放出部111Bは加温室110内の下部に配置されている。本実施例における上面側流体放出部111A及び下面側流体放出部111Bは、複数の放出口が所定間隔で設けられた蒸気配管としている。蒸気配管には高温蒸気が流れており、放出口から高温蒸気が放出される。これにより、編成樹脂構造体5に対して上下二方向から高温蒸気を当てることができ、編成樹脂構造体5がより均一に加温される。なお、図6(b)中の点線矢印は高温蒸気の放出方向を示している。
【0051】
移動部120は、編成樹脂構造体5を、出口となる他方の開口110Bへ移動させる。編成樹脂構造体5の移動速度は、上記した加温時間に基づいて設定される。
移動部120は、編成樹脂構造体5の移動方向に所定間隔で設けられた複数の回転体121を有する。回転体121は、加温室110の下部に配置されており、編成樹脂構造体5は回転体121に上向きに載置される。回転体121は、例えば、円柱状のゴム製ローラーである。回転体121には動力源(図示略)が接続されており、動力を与えられた回転体121はその場で回転する。これにより、回転体121に載置された編成樹脂構造体5が、開口110Bへ向けて移動していく。
なお、回転体121の代わりにベルトコンベヤー等を用いて編成樹脂構造体5を移動させることもできる。また、回転体121を加温室110の上部にも設け、編成樹脂構造体5を上面側と下面側から挟んで移動させることもできる。
【0052】
側面整形部130は、編成樹脂構造体5の一方の側面と接触する第一側面整形部131と、編成樹脂構造体5の他方の側面と接触する第二側面整形部132を有する。第一側面整形部131と第二側面整形部132の少なくとも一方は、側面整形部130の間隔(第一側面整形部131と第二側面整形部132との間隔)を変えられるように可動に構成されている。これにより、編成樹脂構造体5の幅に合わせて第一側面整形部131又は第二側面整形部132を動かして、側面整形部130の間隔を調整することができるため、編成樹脂構造体5の側面を整形しやすくなる。
側面整形部130は、編成樹脂構造体5の移動方向に対して垂直に設けられた複数の棒状体である。棒状体は、円形断面を有するステンレス製の丸棒とすることが好ましい。
棒状体は、回転体121と回転体121との間に可動に配置されている。棒状体を回転体121と回転体121との間で動かすことで、側面整形部130の間隔を調整することができる。
棒状体は、下端がベアリングを介して保持板(図示略)に保持されることにより回転自在となっており、開口110Bへ向けて移動していく編成樹脂構造体5の側面との接触によって回転する。これにより、棒状体と編成樹脂構造体5との引っ掛かりを防止し、編成樹脂構造体5をスムーズに移動させることができる。
【0053】
上記のように構成された編成樹脂構造体整形機2は、加温室110において編成樹脂構造体5のアニール処理を行うことができるため、使用による編成樹脂構造体5のクッション性の低下を低減することができる。
また、アニール処理と同時進行的に、加温によって樹脂が柔らかくなった状態の編成樹脂構造体5を側面が側面整形部130と接触するように側面整形部130に沿って摺動させることによって、編成樹脂構造体5の側面を整形することができる。これにより、編成樹脂構造体5の表面のうち、樹脂が角よりも突出した不均一な状態となっていた側面は、側面整形部130との接触によって圧縮整形され、平滑な表面状態となる。このとき編成樹脂構造体5の側面は、突出した樹脂もろとも押圧されて所定の寸法に仕上げられるため、編成樹脂構造体形成機1において編成樹脂構造体5の側面を所定の寸法に仕上げる場合よりも側面の嵩密度を高くして強度を増すことができる。特に、本実施例のように編成樹脂構造体5が2層の積層構造を有する場合には、例えば販売店における編成樹脂構造体5の展示中などにおいて、側面に表れた第一層と第二層の境界部分に力を加えて第一層と第二層とを分離させようとする悪戯が試みられることがあるが、このような試みに対抗する手段として非常に有効である。
【0054】
図7は、冷却機140を入口側から見た正面図である。
冷却機140には、冷却用流体を放出する冷却用流体放出部141が筺体内上部に設けられ、放出した冷却用流体の受け皿となる冷却用流体受け部142が筺体内下部に設けられている。冷却用流体放出部141から放出される冷却用流体の温度は、0以上35以下に設定されている。また、冷却用流体放出部141と冷却用流体受け部142の間には、編成樹脂構造体5を冷却機140内にて移動させる冷却機内移動部143が設けられている。冷却機内移動部143は、円柱状のゴム製ローラーを複数有し、動力源(図示略)によって動力を与えられたゴム製ローラーはその場で回転する。
加温室110から送り出された編成樹脂構造体5は、冷却機140において、冷却機内移動部143に上向きに載置され、出口へ向けて移動していく間に上から降り注ぐ冷却用流体によって冷却される。加温室110においてアニール処理が行われた編成樹脂構造体5を冷却することで、樹脂を安定させることができる。また、冷却用液体を用いることで、編成樹脂構造体5を直接的に冷却することができる。
【0055】
次に、本発明の他の実施例による編成樹脂構造体整形機について説明する。なお、上記した実施例と同一機能部材には、同一符号を付して説明を省略する。
図8は、本発明の他の実施例による編成樹脂構造体整形機の構成図であり、図8(a)は入口側から見た正面図、図8(b)は側面図である。
本実施例における編成樹脂構造体整形機200は、上面凹凸形成部210を備える点において上記した実施例と異なる。編成樹脂構造体整形機200は、加温室110において、加温した編成樹脂構造体5を側面整形部130に沿って摺動させる際に、上面凹凸形成部210で編成樹脂構造体3を上面側から押圧することによって編成樹脂構造体5の上面に凹凸を形成する。これにより、編成樹脂構造体5に対して、アニール処理及び側面整形に加えて、上面の凹凸形成を同時進行的に行うことができる。
上面凹凸形成部210は、編成樹脂構造体5の移動方向に所定間隔で設けられた複数の凹凸付押圧回転体211を加温室110の上部に有する。凹凸付押圧回転体211は、例えば、円柱状のローラーである。凹凸付押圧回転体211には動力源(図示略)が接続されており、動力を与えられた凹凸付押圧回転体211はその場で回転する。これにより、編成樹脂構造体5の上面に凹凸を形成すると共に、編成樹脂構造体5を凹凸付押圧回転体211と移動部120の回転体121とで挟んで移動させることができる。なお、回転体211は、昇降可能に構成されており、編成樹脂構造体5の厚みに合わせて昇降させることができる。
【0056】
図9は、回転体211の例を示す図である。
回転体211の表面には凹凸部が形成されており、この凹凸部によって編成樹脂構造体5の上面に凹凸が形成される。
図9(a)は、凹凸部の第一の例を示す図であり、左は正面図、右は側面図である。第一の例では、回転体211の外周に環状のリング部220Aが複数設けられている。編成樹脂構造体5の上面は、リング部220Aと接触した箇所が溝となり凹凸が形成される。
図9(b)は、凹凸部の第二の例を示す図であり、左は正面図、右は側面図である。
第二の例では、回転体211の外周に長手方向に延びた線状の突起部220Bが複数設けられている。編成樹脂構造体5の上面は、線状の突起部220Bと接触した箇所が溝となり凹凸が形成される。
図9(c)は、凹凸部の第三の例を示す図であり、左は正面図、右は側面図である。
第三の例では、回転体211の外周に円状の突起部220Cが複数設けられている。編成樹脂構造体5の上面は、円状の突起部220Cと接触した箇所が溝となり凹凸が形成される。
図9(d)は、凹凸部の第四の例を示す図であり、左は正面図、右は側面図である。
第四の例では、回転体211の外周に円状の孔部220Dが複数設けられている。編成樹脂構造体5の上面は、円状の孔部220Dと接触した箇所が突起となり凹凸が形成される。
【符号の説明】
【0057】
1 編成樹脂構造体形成機
2 編成樹脂構造体整形機
3 冷却機
4 集合体
5 編成樹脂構造体
10 供給部
20 線状化部
21 孔
30 冷却槽
40 ガイダー部
50 引込部
60 送出部
70 角形成部
110 加温室
111 加温用流体放出部
111A 上面側流体放出部
111B 下面側流体放出部
120 移動部
121 回転体
130 側面整形部
131 第一側面整形部
132 第二側面整形部
141 冷却用流体放出部
210 上面凹凸形成部
211 凹凸付押圧回転体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9