(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】フライヤー
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
A47J37/12 321
(21)【出願番号】P 2018147882
(22)【出願日】2018-08-06
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】雉本 秀樹
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-519981(JP,A)
【文献】特開2010-251090(JP,A)
【文献】特開2017-23340(JP,A)
【文献】特開2016-120290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理油が収容される油槽と、
前記油槽に設けられ、調理油を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段を制御する制御手段と、を含み、
前記制御手段は、前記油槽へ収容される調理油が所定の第1油量で、且つ被調理物が所定の第1定格量である場合に前記加熱手段を所定の第1熱量で制御して被調理物を調理する第1調理モードと、
調理油が前記第1油量よりも多い所定の第2油量で、且つ被調理物が前記第1定格量よりも多い所定の第2定格量である場合に、前記加熱手段を前記第1熱量よりも大きい所定の第2熱量で制御して被調理物を調理する第2調理モードとがそれぞれ実行可能であるフライヤーであって、
前記油槽は、深底状に形成されて前記第1油量が貯留される第1調理部と、前記第1調理部の上側に形成されて前記第2油量が貯留される第2調理部とを備えており、
前記第2調理部は、前記第1調理部の上端から上方へ行くに従って周方向に拡開する逆テーパ状に形成されていることを特徴とするフライヤー。
【請求項2】
前記第1調理部に前記第1油量の調理油が貯留された状態で、前記第1定格量の被調理物が投入されると、当該被調理物は全体が調理油内につかり、第2定格量の被調理物が投入されると、当該被調理物は調理油の油面より上方に露出することを特徴とする請求項1に記載のフライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理油を油槽内で加熱し、当該油槽に食材を投入して加熱調理する業務用のフライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
フライヤーは、油槽に収容した調理油をバーナや発熱体等の加熱手段によって所定の調理温度まで加熱することで、油槽に投入された食材を加熱調理する。例えば特許文献1には、油槽内に30~40ポンド程度の少量の調理油を貯留しておき、この中に定格量(680g)のポテトが入ったバスケットを投入して調理し、調理により減じた調理油を適宜補充するようにしたフライヤーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなフライヤーにおいては、通常は第1油量(例えば35ポンド)の調理油で第1定格量(例えば680g)の被調理物を加熱する第1調理モードで調理を行い、昼時等の繁忙時間帯では、調理油及び被調理物の量を増やして、第2油量(例えば45ポンド)の調理油で第2定格量(例えば900g)の被調理物を加熱する第2調理モードで調理を行う必要がある。よって、一日の大半が第1調理モードでまかなえるにもかかわらず、第2調理モードのために油槽のサイズを大きくする必要がある。このため、フライヤーの全体が大型化してコストアップに繋がる。また、油槽が上方へかさ高となるため、被調理物の出し入れや掃除がしにくくなって調理性やメンテナンス性に悪影響を与えるおそれもある。
【0005】
そこで、本発明は、第1調理モードと第2調理モードとの調理が共に可能であっても油槽のサイズの大型化を抑えてコストアップを抑制できると共に、調理性やメンテナンス性を損なうこともないフライヤーを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、調理油が収容される油槽と、油槽に設けられ、調理油を加熱する加熱手段と、加熱手段を制御する制御手段と、を含み、制御手段は、油槽へ収容される調理油が所定の第1油量で、且つ被調理物が所定の第1定格量である場合に加熱手段を所定の第1熱量で制御して被調理物を調理する第1調理モードと、調理油が第1油量よりも多い所定の第2油量で、且つ被調理物が第1定格量よりも多い所定の第2定格量である場合に、加熱手段を第1熱量よりも大きい所定の第2熱量で制御して被調理物を調理する第2調理モードとがそれぞれ実行可能であるフライヤーであって、
油槽は、深底状に形成されて第1油量が貯留される第1調理部と、第1調理部の上側に形成されて第2油量が貯留される第2調理部とを備えており、第2調理部は、第1調理部の上端から上方へ行くに従って周方向に拡開する逆テーパ状に形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、第1調理部に第1油量の調理油が貯留された状態で、第1定格量の被調理物が投入されると、当該被調理物は全体が調理油内につかり、第2定格量の被調理物が投入されると、当該被調理物は調理油の油面より上方に露出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、油槽の第2調理部は、第1調理部の上端から上方へ行くに従って周方向に拡開する逆テーパ状に形成されているので、油槽の嵩をそれほど高くすることなく第2調理モードへ移行する際の容積を確保できる。よって、第1調理モードと第2調理モードとの調理が共に可能であっても油槽のサイズの大型化を抑えてコストアップを抑制できると共に、調理性やメンテナンス性を損なうこともなくなる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、第1調理部に第1油量の調理油が貯留された状態で、第1定格量の被調理物が投入されると、当該被調理物は全体が調理油内につかり、第2定格量の被調理物が投入されると、当該被調理物は調理油の油面より上方に露出するので、調理者に誤った量の被調理部が投入されたことを知らせることができ、作業時間のロスを最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】コントローラによる調理モードのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、フライヤーの一例を示す概略図である。このフライヤー1は、図示しない器体内の上部に、油槽2を備えている。この油槽2内の底部には、燃焼室4とテールパイプ5とを有する加熱手段としてのパルス燃焼器3が設けられている。
また、油槽2は、底部にパルス燃焼器3を有して深底状に形成される第1調理部6と、第1調理部6の上側に位置する第2調理部7とを有している。第1調理部6は、上下方向に開口面積が変化しない角筒状となっており、第2調理部7は、第1調理部6の上端から上方へ行くに従って前後左右へ拡開する逆テーパ状に形成されている。
【0010】
さらに、油槽2の後方で器体の上部には、調理油を収容する油タンク8が設けられている。この油タンク8は、油槽2内に貯留させる調理油の補充用で、油タンク8には、内部の調理油を油槽2へ供給するための導出管9が設けられて、電磁弁である油補充バルブ10によって導出管9が開閉可能となっている。
この油タンク8は、器体の下部に設けた一斗缶等の油容器11と供給管12を介して接続されている。この油容器11は、固形油を収容するもので、底部を含む外側に設けた電気ヒータ13によって内部の固形油を溶融可能となっており、供給管12に設けた油供給用ポンプ14により、溶融した調理油を油タンク8に供給可能となっている。また、油タンク8内には、油面の位置を検出する油面センサ15が設けられている。油タンク8には、油槽2の第1調理部6と第2調理部7との差分に相当する油量を少なくとも貯留可能となっており、調理油の残量を目視できる覗き窓28が設けられている。
【0011】
一方、油槽2の正面側外部には、エアチャンバ16が設けられ、エアチャンバ16に内設されて燃焼室4と連通する混合室には、ガス導管17が接続されて、燃料ガスが供給される。また、混合室には、器体の底面に設けられたファン18に接続される給気管19が接続されて、燃焼用空気が供給される。
パルス燃焼器3のテールパイプ5は、油槽2の下部で蛇行状に配設された後、エアチャンバ16から引き出される排気管20に接続されている。この排気管20は、器体の後部で油タンク8に蛇行状或いは巻回状に接触させて配設された後、上向きに突出して燃焼排気を排出可能となっている。
【0012】
また、器体の底部には、底部にフィルタを備えたフィルタリングタンク21が設けられて、油槽2の底部に接続された排油管22から油槽2内の調理油がフィルタリングタンク21に排出可能となっている。排油管22には、手動操作される排油バルブ23が設けられている。
さらに、器体の下部には、フィルタリングポンプ24が設けられて、フィルタリングポンプ24の吸込側がフィルタリングタンク21の底部に吸込管25を介して接続され、フィルタリングポンプ24の吐出側が、油槽2の下部後面に給油管26を介して接続されている。給油管26には、電磁弁である給油バルブ27が設けられている。
【0013】
そして、器体の正面下部には、制御手段としてのコントローラ30が設けられている。このコントローラ30は、器体の正面に設けられた図示しない操作パネルによって選択されたメニューに従い、油槽2内に設けられた温調サーミスタ31から検出される調理油温度を監視してパルス燃焼器3のON/OFF制御を行い、ポテト等の被調理物の調理を行う。この調理を
図2のフローチャートに基づいて説明する。
ここでは、一度に調理する被調理物の量が、第1定格量(例えば680g)と、それよりも多い第2定格量(例えば900g)との2種類であって、まず第1定格量の被調理物を調理する場合、油槽2には、第1調理部6の上端(
図1に示すL1)まで調理油(約35ポンド)を貯留する。この状態でS1で操作パネルの運転スイッチをONすると、コントローラ30は、S2で、ファン18を所定時間回転して給気した後、燃焼室4内で混合ガスを断続的に燃焼させてパルス燃焼器3を動作させる。すなわち、燃焼室4内に設けた点火プラグにより、混合ガスに点火して燃焼室4内で爆発燃焼させ、その燃焼に伴う燃焼室4内の圧力上昇によって燃焼排気をテールパイプ5へ強制的に排出すると共に、その燃焼排気の排出により負圧となる燃焼室4内に燃料ガスと燃焼用空気とを吸入する動作(ON/OFF動作)を繰り返し、油槽2に貯留された調理油を加熱する。
【0014】
次にコントローラ30は、温調サーミスタ31から得られる検出温度を監視し、S3の判別で、調理油の温度が所定の調理温度(例えば180~182℃)に到達したことを確認したら、操作パネルに調理OKの表示を出力する等して報知する。
この報知がなされたら、調理者は被調理物を入れたバスケットを油槽2に投入する。このとき、第1調理部6に対して少量の第1定格量の被調理物が投入されるため、被調理物は第1調理部6の油面より下側に位置して全体が調理油につかることになる。
そして、S4で、操作パネルの操作による調理モードが判別される。ここで第1調理モードが選択されて、S5で操作パネルに設けた調理開始ボタンが押し操作されると、コントローラ30は、S6で、第1定格量に対応して予め設定された第1調理時間とパルス燃焼器3の第1熱量とで被調理物の加熱調理を行う。そして、S7でタイムアップしたら、S8でアラームを鳴らして調理終了を報知する。調理者はバスケットを油槽2から引き上げる。続けて第1定格量での調理を行う場合は、被調理物を投入して調理開始ボタンを押せば、S5以下の処理が繰り返される。
【0015】
なお、第1調理モードを選択した状態で第1定格量よりも多い第2定格量の被調理物を投入した場合、第1調理部6に貯留されていた少量の第1油量の油面から被調理物が露出することになる。よって、作業者は誤った量であることが直ちに把握でき、調理のやり直しを行うことができる。
【0016】
一方、第2定格量の被調理物を調理する場合、油槽2には、第2調理部7の上端まで調理油(約45ポンド)を貯留する必要がある。このとき、S4で第2調理モードを選択すると、コントローラ30は、S9で、油補充バルブ10を開弁させて、油タンク8内の調理油を導出管9を介して油槽2に供給し、第2調理部7の上端(
図1に示すL2)まで調理油を給油する。なお、第2調理部7への油量の到達は、油槽2内に設けた油面サーミスタ32によって確認できる。
次に、コントローラ30は、温調サーミスタ31から得られる検出温度を監視し、S10の判別で、調理油の温度が所定の調理温度(例えば180~182℃)に到達したら、操作パネルに調理OKの表示を出力する等して報知する。
【0017】
この報知がなされたら、調理者は被調理物を入れたバスケットを油槽2に投入する。このとき、油量の多い第2調理部7に対して第2定格量の被調理物が投入されるため、被調理物は全体が第2調理部7の油面より下側につかることになる。また、油量が多くても第2調理部7は逆テーパ状に拡開しているため、油面のかさ高感は生じにくい。
そして、S11で調理開始ボタンが押し操作されると、コントローラ30は、S12で、第2定格量に対応して予め設定された第2調理時間とパルス燃焼器3の第2熱量とで被調理物の加熱調理を行う。この第2熱量は第1調理モードの際の第1熱量よりも大きい設定となっている。S13でタイムアップしたらS14でアラームを鳴らして調理終了を報知する。調理者はバスケットを油槽2から引き上げる。続けて第2定格量での調理を行う場合は、被調理物を投入して調理開始ボタンを押せば、S11以下の処理が繰り返される。
【0018】
一方、コントローラ30は、運転中は油面センサ15で油タンク8内の油面の位置を監視し、油槽2への調理油の補充によって油タンク8内の油面が所定位置を下回った際には、電気ヒータ13を作動させて油容器11内の固形油を溶融させると共に、油供給用ポンプ14を運転させて油容器11内の調理油を油タンク8へ供給させる。このとき、油供給用ポンプ14を運転後、所定時間経過しても油面センサ15から所定位置の検知信号が得られなかった場合には、コントローラ30は、油容器11の固形油がなくなったと判断し、油供給用ポンプ14を停止してその旨を報知する。
【0019】
なお、第2調理モードから調理量の少ない第1調理モードへ移行する際には、排油バルブ23に図示しない予備タンクへの配管を接続して、三方弁である排油バルブ23の操作により、油槽2内の調理油を、油面が第1調理部6の上端へ低下するまで予備タンクへ排出すればよい。また、予備タンクでなくフィルタリングタンク21に排出してもよい。
さらに、油槽2の調理油のフィルタリングを行う際には、運転スイッチをOFFさせた後、排油バルブ23の操作により、油槽2内の調理油をフィルタリングタンク21に排出する。そして、操作パネルのフィルタリングスイッチを操作すると、フィルタリングポンプ24が運転を開始して、フィルタリングタンク21に排油された調理油を吸込管25から吸い込んで給油管26を介して油槽2に戻す。これにより、フィルタリングタンク21の底面に設けたフィルタで調理油をフィルタリングすることができる。
【0020】
(2つの調理モードに係る発明の効果)
このように、上記形態のフライヤー1によれば、コントローラ30は、油槽2へ収容される調理油が所定の第1油量で、且つ被調理物が所定の第1定格量である場合にパルス燃焼器3を所定の第1熱量で制御して被調理物を調理する第1調理モードと、調理油が第1油量よりも多い所定の第2油量で、且つ被調理物が第1定格量よりも多い所定の第2定格量である場合に、パルス燃焼器3を第1熱量よりも大きい所定の第2熱量で制御して被調理物を調理する第2調理モードとをそれぞれ実行可能であることで、第1定格量の被調理部については、少量の調理油で調理することで調理油の汚れを抑え、調理を交換するスパンを長く取ることができる一方、繁忙時間帯においては、多量の調理油で比較的ハイカロリーの熱量で調理するため、調理に伴う調理油の温度低下を抑えることができる。よって、第2定格量の被調理物を連続的に調理したとしても品質が落ちることがなく、スムーズに被調理物を提供することができる。すなわち、少量の調理油で調理を行うことによる利点(調理油の持ち)を維持しつつ、昼時等の繁忙時でも大量の調理を実現することができる。
【0021】
なお、上記形態では、操作パネルで調理者が第1調理モードから第2調理モードを選択すると、コントローラが油槽へ自動的に調理油を補充して第2調理時間と第2熱量とで調理を実行するようになっているが、調理油の補充はマニュアル操作でも可能である。すなわち、油補充バルブを手動にして第2調理部まで調理油を補充した後、第2調理モードを選択して設定した第2調理時間と第2熱量とで調理を実行させるようにしてもよい。
逆に、油補充バルブと排油バルブとを電動にして、第1調理モードから第2調理モードへの移行はコントローラが自動的に油補充バルブを作動させて第2調理モードを実行し、第2調理モードから第1料理モードへの移行の際には、コントローラが自動的に排油バルブを作動させて第2調理部の調理油を排出して第1調理モードを実行するフルオートとしてもよい。
【0022】
また、完全マニュアルで第1調理モードと第2調理モードとを実行するようにしてもよい。すなわち、第1定格量の調理の際には、調理油を排油バルブの手動操作等で第1油量とし、パルス燃焼器を第1熱量に設定して被調理物を調理する一方、第2定格量の調理の際には、調理油を油補充バルブの手動操作等で第2油量とし、パルス燃焼器を第2熱量に設定して被調理物を調理するものである。
【0023】
さらに、2つの調理モードに係る発明においては、油タンク及び油タンクによる補充手段は必須でないため、マニュアル操作で第2調理モードを実行する際は、外部の一斗缶等から第2調理部まで調理油を補充してもよい。第2調理モードでの熱量の増加も、パルス燃焼器の熱量を増加させる他、電気ヒータやバーナ等の補助熱源を利用したりしても差し支えない。第2調理モードから第1調理モードへ移行した際には、調理油の温度変化に応じて熱量を減らしたり等、段階的な熱量の減少を図ることもできる。
その他、加熱手段としてはパルス燃焼器以外にバーナや電気ヒータも採用できるし、油槽の形状も第2調理部を逆テーパ状とするものに限らず適宜変更可能である。
【0024】
(油補充手段に係る発明の効果)
一方、上記形態のフライヤー1によれば、固形油を収容する油容器11と、油容器11内の固形油を加熱する固形油加熱手段(電気ヒータ13)と、加熱されて液化した油容器11内の調理油を油槽2に供給する油補充手段と、を含み、油補充手段を、油槽2より上方に設置される油タンク8と、油容器11と油タンク8とを接続して油供給用ポンプ14によって油容器11内の調理油を油タンク8に供給可能な供給路(供給管12)と、油タンク8と油槽2とを接続して油タンク8内の調理油を油槽2に供給可能な導出路(導出管9)と、導出路を開閉する開閉手段(油補充バルブ10)とを含んでなることで、油槽2の上方に設置した油タンク8内に相当量の固形油を液化した状態で貯留できる。このため、油タンク8の調理油がある程度余裕がある状態になったタイミングで油容器11から油タンク8内に補充することで、油槽2での調理油の減容に即座に対応でき、支障なく調理を行うことができる。よって、常時電気ヒータ13を作動させる必要がなくなり、ランニングコストを低減できる。また、電気ヒータ13の加熱による調理油の劣化を抑制することもできる。
【0025】
特にここでは、油タンク8に、調理油の貯留状態を目視可能な視認部(覗き窓28)が設けられているので、油タンク8内の調理油が空になってもすぐに気づくことができる。よって、適切なタイミングで油タンク8内への調理油の補充が可能となり、調理油の補充が遅れて調理に支障をきたすおそれが生じにくくなる。
また、油タンク8には、パルス燃焼器3からの排熱が伝達されるので、排熱を有効使用して油タンク8内の調理油の液化を維持することができる。
さらに、油タンク8内には、調理油の貯留状態を検出する検出手段(油面センサ15)が設けられ、コントローラ30は、油面センサ15によって油タンク8内の調理油が所定量以下となったことを確認したら、電気ヒータ13を作動させると共に油供給用ポンプ14を運転させることで、油タンク8への調理油の補充が適切に行われる。
加えて、油供給用ポンプ14の運転後、所定時間経過しても油タンク8内の調理油が所定量を超えない場合、コントローラ30は、油容器11が空である旨の報知を行うので、調理者による固形油の迅速な補給が可能となる。
【0026】
一方、コントローラ30は、油槽2へ収容される調理油が所定の第1油量で、且つ被調理物が所定の第1定格量である場合にパルス燃焼器3を所定の第1熱量で制御して被調理物を調理する第1調理モードと、調理油が第1油量よりも多い所定の第2油量で、且つ被調理物が第1定格量よりも多い所定の第2定格量である場合に、パルス燃焼器3を第1熱量よりも大きい所定の第2熱量で制御して被調理物を調理する第2調理モードとをそれぞれ実行可能であって、油タンク8は、少なくとも第1定格量と第2定格量との差分の調理油を貯留可能であるので、第1調理モードから第2調理モードへ移行する際に、油槽2に投入する調理油を油タンク8から補充できるので、即座に第2調理モードへ移行することができる。
【0027】
なお、油補充手段に係る発明では、油容器から油タンクへ調理油を供給するポンプは手動による任意のタイミングで運転させてもよいし、油補充バルブも自動開閉でも手動開閉でも差し支えない。油タンクは着脱可能としてもよい。
また、目視部は覗き窓に限らず、水位計等も採用できる。
さらに、油槽が複数ある場合、1つの油タンクから各油槽に調理油を補充可能としてもよいし、油槽毎に油タンクを設けてもよい。油容器も1つの油タンク毎に限らず、複数の油タンク毎に設けてもよい。フィルタリングに係る構成も省略できる。
【0028】
(油槽の形状に係る発明の効果)
そして、上記形態のフライヤー1によれば、油槽2は、深底状に形成されて第1油量が貯留される第1調理部6と、第1調理部6の上側に形成されて第2油量が貯留される第2調理部7とを備えており、第2調理部7は、第1調理部6の上端から上方へ行くに従って周方向に拡開する逆テーパ状に形成されていることで、油槽2の嵩をそれほど高くすることなく第2調理モードへ移行する際の容積を確保できる。よって、第1調理モードと第2調理モードとの調理が共に可能であっても油槽2のサイズの大型化を抑えてコストアップを抑制できると共に、調理性やメンテナンス性を損なうこともなくなる。
【0029】
特にここでは、第1調理部6に第1油量の調理油が貯留された状態で、第1定格量の被調理物が投入されると、当該被調理物は全体が調理油内につかり、第2定格量の被調理物が投入されると、当該被調理物は調理油の油面より上方に露出するので、調理者に誤った量の被調理部が投入されたことを知らせることができ、作業時間のロスを最小限に抑えることができる。
【0030】
なお、油槽の形状に係る発明において、油タンクや油容器、フィルタリングに係る構成は必須ではなく、1つの油槽で被調理物の定格量が異なる第1調理モードと第2調理モードとが実行可能であれば、フライヤーの構成は上記形態に限定されない。
【符号の説明】
【0031】
1・・フライヤー、2・・油槽、3・・パルス燃焼器、4・・燃焼室、5・・テールパイプ、6・・第1調理部、7・・第2調理部、8・・油タンク、9・・導出管、10・・油補充バルブ、11・・油容器、12・・供給管、13・・電気ヒータ、14・・油供給用ポンプ、15・・油面センサ、17・・ガス導管、19・・給気管、20・・排気管、21・・フィルタリングタンク、30・・コントローラ、31・・温調サーミスタ、32・・油面サーミスタ。