(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】情報処理システム、推薦システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220822BHJP
【FI】
G06Q30/02 480
(21)【出願番号】P 2018218502
(22)【出願日】2018-11-21
【審査請求日】2021-07-12
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、未来社会創造事業「情報基盤と連携したリアルタイム救急・災害時支援システム」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】中山 功一
(72)【発明者】
【氏名】南里 敢太
(72)【発明者】
【氏名】森山 裕鷹
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-102581(JP,A)
【文献】特開2005-332082(JP,A)
【文献】特開2007-041226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックチェーン上に展開され、任意の情報を提供する提供手段を備える情報処理システムであって、
前記提供手段が、
提供した前記任意の情報の適正度を、当該提供手段に関連付けられた媒体
であって、前記ブロックチェーン上で授受や保持量に関する情報が台帳管理される前記媒体の保持量から判断する判断手段と、
当該判断手段の判断結果に基づいて、当該提供手段を遺伝的アルゴリズムを用いて複製する複製手段とを備
えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記提供手段が、
提供対象となる提供情報を記憶する提供情報記憶手段を備え、前記複製手段が、前記提供情報に基づいて複製処理を行う情報処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
提供を要求する提供要求情報の入力に応じて、複数の前記提供手段から任意の一又は複数の前記提供手段を特定し、当該特定された任意の提供手段が有する前記提供情報を出力して提供する提供制御手段を備える情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記提供制御手段が任意の一又は複数の提供手段を特定した場合に、当該特定された各提供手段に関連付けられている前記媒体をそれぞれ減算して前記台帳情報に記憶し、
前記提供制御手段が提供した提供情報から任意の提供情報が適正であるとして特定された場合に、当該特定された適正な前記提供情報を提供した前記提供手段に関連付けられている前記媒体に、減算した分の前記媒体を返戻すると共に、減算した他の提供手段の媒体を加算して前記台帳情報に記憶する情報処理システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の情報処理システムにおいて、
前記複製手段が、
前記判断手段の判断結果に基づいて、前記提供手段を分裂又は消滅させる情報処理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理システムを用いて複数の推薦対象から任意の推薦対象を選択して推薦する推薦システムであって、
前記提供手段が、
前記任意の推薦対象を選択する場合の特徴を示す遺伝的パラメータを記憶する遺伝的パラメータ記憶手段と、
前記遺伝的パラメータに基づいて、前記任意の推薦対象を選択する推薦処理手段とを備える推薦システム。
【請求項7】
請求項6に記載の推薦システムにおいて、
推薦を要求する推薦要求情報の入力に応じて、複数の前記提供手段から任意の一又は複数の前記提供手段を特定し、当該特定された任意の提供手段が選択した前記推薦対象の情報を出力して提供する推薦制御手段を備える推薦システム。
【請求項8】
請求項7に記載の推薦システムにおいて、
前記推薦制御手段が任意の一又は複数の提供手段を特定した場合に、当該特定された各提供手段に関連付けられている前記媒体をそれぞれ減算して前記台帳情報に記憶し、
前記推薦制御手段に提供された推薦対象から任意の推薦対象が適正であるとして特定された場合に、当該特定された推薦対象を推薦した前記提供手段に関連付けられている前記媒体に、減算した分の前記媒体を返戻すると共に、減算した他の提供手段の媒体を加算して前記台帳情報に記憶する推薦システム。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれかに記載の推薦システムにおいて、
前記複製手段が、
前記判断手段の判断結果に基づいて、前記提供手段を分裂又は消滅させる推薦システム。
【請求項10】
ブロックチェーン上で実行され、任意の情報を提供する提供手段としてコンピュータを機能させる情報処理プログラムであって、
前記提供手段が、
提供した前記任意の情報の適正度を、当該提供手段に関連付けられた媒体
であって、前記ブロックチェーン上で授受や保持量に関する情報が台帳管理される前記媒体の保持量から判断する判断手段と、
当該判断手段の判断結果に基づいて、当該提供手段を遺伝的アルゴリズムを用いて複製する複製手段とを備
えることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックチェーン上で展開され、利用者に対して適正な情報を提供する情報処理システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年ブロックチェーンを利用した分散型ネットワークが実現され、ネットワーク上での決済、証明、契約等の取引を安全に行うことが可能となっている。ブロックチェーンを利用すると、第3者機関を介することなくネットワーク上で安全且つ簡単に適正な取引を行うことができ、今後益々ネットワークを利用した取引が増えると考えられる。
【0003】
一方、近年のビッグデータの活用やAIの普及等もあり、利用者の嗜好に合わせた商品を推定して推薦することで売り上げを伸ばすマーケティングが一般的に行われている。特に、遺伝的アルゴリズムを利用して利用者に商品を推薦する技術が特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1に示す技術は、判定手段と、表示切替手段と、を有し、判定手段は、店舗に係る所定場所の状態に基づく所定条件の成立を判定し、表示切替手段は、前記判定手段により前記所定条件の成立が判定された場合に、店舗で客に利用される情報処理装置の表示手段で表示される表示内容を、客に対する広告を省略した表示内容に切り替えるものであり、買物リスト登録処理部により該当する情報端末に対応付けて買物リストに登録されている客により選択された1または複数の商品(即ち、客が購入を予定する購入予定商品)と、店舗(商品の製造メーカも含む)側が客に推薦する広告商品(会員が特定されたなら、会員の好みにあった商品など)を含む複数の商品の陳列箇所(経由地)を巡回して案内させるための案内経路を検索し、該検索した案内経路を情報端末に表示させるための案内経路情報を生成し、入出力処理部を介して情報端末に配信するものである。このとき、ルート検索処理部は、例えば、遺伝的アルゴリズムを用いた巡回経路探索の技術などの巡回経路探索技術を用いて、設定された経由地点を巡回する場合における最短経路としての案内経路を検索するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示す技術は、実績を評価するための評価管理機構が必要となり、管理に手間が掛かってしまうという課題を有する。
【0007】
本発明は、遺伝的アルゴリズムとブロックチェーンとを用い、進化的オペレーションを自己管理する遺伝子固体が進化的学習を行うことで、利用者に対して適正度が高い情報を提供することが可能となる情報処理システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理システムは、ブロックチェーン上に展開され、任意の情報を提供する提供手段を備える情報処理システムであって、前記提供手段が、提供した前記任意の情報の適正度を、当該提供手段に関連付けられた媒体の保持量から判断する判断手段と、当該判断手段の判断結果に基づいて、当該提供手段を遺伝的アルゴリズムを用いて複製する複製手段とを備え、前記判断手段が、前記適正度を示す媒体の授受に関する台帳情報が前記提供情報ごとに管理された分散型データベースにアクセスして判断処理を行うものである。
【0009】
このように、本発明に係る情報処理システムにおいては、提供手段が提供する情報の適正度を示す媒体の保持量をブロックチェーン上で管理し、各提供手段ごとの媒体の保持量に応じて当該提供手段を遺伝的アルゴリズムを用いて複製するため、提供手段が自律的に進化個体を作成し、利用者の好みに極めてマッチした情報を提供することができるという効果を奏する。
【0010】
本発明に係る情報処理システムは、必要に応じて、前記提供手段が、提供対象となる提供情報を記憶する提供情報記憶手段を備え、前記複製手段が、前記提供情報に基づいて複製処理を行うものである。
【0011】
このように、本発明に係る情報処理システムにおいては、提供手段が、提供対象となる提供情報を記憶する提供情報記憶手段を備え、前記複製手段が、前記提供情報に基づいて複製処理を行うため、提供情報に基づいて、当該提供手段を遺伝子固体として遺伝的アルゴリズムを用いた進化的学習を行うことができるという効果を奏する。
【0012】
本発明に係る情報処理システムは、必要に応じて、提供を要求する提供要求情報の入力に応じて、複数の前記提供手段から任意の一又は複数の前記提供手段を特定し、当該特定された任意の提供手段が有する前記提供情報を出力して提供する提供制御手段を備えるものである。
【0013】
このように、本発明に係る情報処理システムにおいては、提供要求情報に応じて、複数の前記提供手段から任意の一又は複数の提供手段を特定し、当該特定された任意の提供手段が有する前記提供手段を出力して提供するため、大量の提供手段の中からある程度利用者に適した提供手段を特定して情報を提供することが可能になるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る情報処理システムは、必要に応じて、前記提供制御手段が任意の一又は複数の提供手段を特定した場合に、当該特定された各提供手段に関連付けられている前記媒体をそれぞれ減算して前記台帳情報に記憶し、前記提供制御手段が提供した提供情報から任意の提供情報が適正であるとして特定された場合に、当該特定された適正な前記提供情報を提供した前記提供手段に関連付けられている前記媒体に、減算した分の前記媒体を返戻すると共に、減算した他の提供手段の媒体を加算して前記台帳情報に記憶するものである。
【0015】
このように、本発明に係る情報処理システムにおいては、提供制御手段が任意の一又は複数の提供手段を特定した場合に、当該特定された各提供手段に関連付けられている前記媒体をそれぞれ減算して前記台帳情報に記憶し、前記提供制御手段が提供した提供情報から任意の提供情報が適正であるとして特定された場合に、当該特定された適正な前記提供情報を提供した前記提供手段に関連付けられている前記媒体に、減算した分の前記媒体を返戻すると共に、減算した他の提供手段の媒体を加算して前記台帳情報に記憶するため、優秀な提供手段には媒体が多く貯まり、優秀ではない提供手段は媒体が減少していき、優秀な提供手段だけが進化して、利用者に対して適正な情報を提供することが可能になるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る情報処理システムは、必要に応じて、前記複製手段が、前記判断手段の判断結果に基づいて、前記提供手段を分裂又は消滅させるものである。
【0017】
このように、本発明に係る情報処理システムにおいては、複製手段が、前記判断手段の判断結果に基づいて、前記提供手段を分裂又は消滅させるため、優秀な提供手段はより進化し優秀ではない提供手段は淘汰され、優秀な提供手段のみを残すことができるという効果を奏する。
【0018】
本発明に係る推薦システムは、前記情報処理システムを用いて複数の推薦対象から任意の推薦対象を選択して推薦する推薦システムであって、前記提供手段が、前記任意の推薦対象を選択する場合の特徴を示す遺伝的パラメータを記憶する遺伝的パラメータ記憶手段と、前記遺伝的パラメータに基づいて、前記任意の推薦対象を選択する推薦処理手段とを備えるものである。
【0019】
このように、本発明に係る推薦システムにおいては、任意の推薦対象を選択する場合の特徴を示す遺伝的パラメータを記憶し、当該遺伝的パラメータに基づいて、任意の推薦対象を選択するため、利用者の好みにマッチした推薦対象を推薦することができる推薦システムを実現できるという効果を奏する。
【0020】
本発明に係る推薦システムは、必要に応じて、推薦を要求する推薦要求情報の入力に応じて、複数の前記提供手段から任意の一又は複数の提供手段を特定し、当該特定された任意の提供手段が選択した前記推薦対象の情報を出力して提供する推薦制御手段を備えるものである。
【0021】
このように、本発明に係る推薦システムにおいては、推薦を要求する推薦要求情報の入力に応じて、複数の前記提供手段から任意の一又は複数の提供手段を特定し、当該特定された任意の提供手段が選択した前記推薦対象の情報を出力して提供する推薦制御手段を備えるため、大量の提供手段の中からある程度利用者に適した提供手段を特定して推薦対象を提供することが可能になるという効果を奏する。
【0022】
本発明に係る推薦システムは、必要に応じて、前記推薦制御手段が任意の一又は複数の提供手段を特定した場合に、当該特定された各提供手段に関連付けられている前記媒体をそれぞれ減算して前記台帳情報に記憶し、前記推薦制御手段に提供された推薦対象から任意の推薦対象が適正であるとして特定された場合に、当該特定された推薦対象を推薦した提供手段に関連付けられている前記媒体に、減算した分の前記媒体を返戻すると共に、減算した他の提供手段の媒体を加算して前記台帳情報に記憶するものである。
【0023】
このように、本発明に係る推薦システムにおいては、前記推薦制御手段が任意の一又は複数の提供手段を特定した場合に、当該特定された各提供手段に関連付けられている前記媒体をそれぞれ減算して前記台帳情報に記憶し、前記推薦制御手段に提供された推薦対象から任意の推薦対象が適正であるとして特定された場合に、当該特定された推薦対象を推薦した提供手段に関連付けられている前記媒体に、減算した分の前記媒体を返戻すると共に、減算した他の提供手段の媒体を加算して前記台帳情報に記憶するため、優秀な提供手段には媒体が多く貯まり、優秀ではない提供手段は媒体が減少していき、優秀な提供手段だけが進化して、利用者に対して適正な推薦対象を推薦することが可能になるという効果を奏する。
【0024】
本発明に係る推薦システムは、必要に応じて、前記複製手段が、前記判断手段の判断結果に基づいて、前記提供手段を分裂又は消滅させるものである。
【0025】
このように、本発明に係る推薦システムにおいては、判断手段の判断結果に基づいて、前記提供手段を分裂又は消滅させるため、優秀な提供手段はより進化し優秀ではない提供手段は淘汰され、優秀な提供手段のみを残すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1の実施形態に係る推薦システムのシステム構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る推薦システムのシステム全体の処理を示すフローチャートである。
【
図3】第1の実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末の推薦処理に関する機能ブロック図である。
【
図4】第1の実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末の推薦処理のフローチャートである。
【
図5】第1の実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末の評価処理に関する機能ブロック図である。
【
図6】第1の実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末の評価処理のフローチャートである。
【
図7】第1の実施形態に係る推薦システムの分裂処理に関する機能ブロック図である。
【
図8】第1の実施形態に係る推薦システムの分裂処理のフローチャートである。
【
図9】第1の実施形態に係る推薦システムの消滅処理に関する機能ブロック図である。
【
図10】第1の実施形態に係る推薦システムの消滅処理のフローチャートである。
【
図11】第1の実施形態に係る推薦システムの推薦処理の具体例を示す図である。
【
図12】第1の実施形態に係る推薦システムの評価処理の具体例を示す図である。
【
図13】第1の実施形態に係る推薦システムの分裂処理及び消滅処理の具体例を示す第1の図である。
【
図14】第1の実施形態に係る推薦システムの分裂処理及び消滅処理の具体例を示す第2の図である。
【
図15】第2の実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末における初期設定処理に関する機能ブロック図である。
【
図16】第2の実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末における初期設定処理を示すフローチャートである。
【
図17】第2の実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末の推薦処理に関する機能ブロック図である。
【
図18】第2の実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末の推薦処理を示すフローチャートである。
【
図19】第3の実施形態に係る提供システム及びユーザ端末の提供処理に関する機能ブロック図である。
【
図20】第3の実施系形態に係る提供システム及びユーザ端末の提供処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0028】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る情報処理システムについて、
図1ないし
図14を用いて説明する。本実施形態においては、情報処理システムの一例として商品を推薦する推薦システムについて説明する。なお、本実施形態における推薦システムは、商品の推薦以外にも、例えば自動運転AI(ユーザ好みの自動運転を行うAI)、文字変換AI(ユーザが使いやすい文字変換を行うAI)、ロボット制御AI(ユーザにとって使い勝手がいい動作を行うロボット制御のAI)等にも適用することが可能である。
【0029】
本実施形態に係る推薦システムは、遺伝子固体として利用者に商品を推薦する推薦モジュールが、より良い商品を推薦する方策を進化的に学習する。複数の推薦モジュールは、商品を推薦する際に、推薦先の利用者に対して仮想通貨を支払ってそれぞれが商品の推薦処理を行う。商品を推薦された各利用者は、自分に商品を推薦した複数の推薦モジュールを評価し、その中から最も適切な推薦を行った推薦モジュールに対して、推薦された際に各推薦モジュールから受け取った仮想通貨を支払う。推薦モジュールは、仮想通貨の所持量に応じて自律的に進化個体を作成して分裂するか、活動を停止して消滅するかを判断する。以上の作業を繰り返すことで、推薦モジュールは、利用者の好みに合った商品を推薦するようになる。以下に、本実施形態に係る推薦システムの構成を詳細に説明する。
【0030】
図1は、本実施形態に係る推薦システムを含む情報提供システムのシステム構成図である。
図1において、情報提供システム100は、推薦システム10と通信販売サービス11とユーザ端末20とを備える。推薦システム10は、複数のノードからなるブロックチェーン1上に構築されており、利用者はユーザ端末20からノードを通して推薦システム10を利用する。ブロックチェーン1のネットワーク外には、中央管理者(通信販売会社等)により管理されている通信販売サービス11があり、通信販売サービス11は、推薦の対象となる商品の情報が格納された商品情報記憶部12を有している。この商品情報記憶部12は、推薦システム10から参照可能になっており、通信販売会社が取り扱っている商品に関する情報が格納されている。
【0031】
なお、推薦システム10がアクセスできる商品情報記憶部12は、単一の通信販売サービス11が有する商品情報記憶部12でもよいし、複数の通信販売サービス11が有する複数の商品情報記憶部12であってもよい。また、各通信販売サービス11から商品情報記憶部12を取得し、ブロックチェーン1上にコピーを作成して推薦システム10に利用できるようにしてもよい。さらに、通信販売サービス11に限らず、インターネット上でオープン情報となっている商品を商品情報記憶部12と見做して利用するようにしてもよい。
【0032】
ブロックチェーン1は、分散型データベース技術により構築された分散型データベースに、分散型データベースの編集履歴を共有するための編集履歴共有処理機構を加えたものが、ネットワークで接続された複数のコンピュータ(ノード)により構築されたものである。また、本実施形態におけるブロックチェーン1は、ブロックチェーン1上に構成される仮想マシンで所定の処理を自律的に実行するBC実行手段を備えるものである。BC実行手段とは、ブロックチェーンの一種であるイーサリアム(Ethereum)ではスマートコントラクトと呼ばれるものである。BC実行手段を実行する前記仮想マシンは、ブロックチェーンネットワークに接続された複数のコンピュータのうち、マイナーと呼ばれるブロックチェーンのデータベースを更新するために計算資源を提供しているコンピュータにより実行される。マイナーにより提供された計算資源により前記仮想マシンを実行することで、BC実行手段を実行したり、ブロックチェーンデータベースを更新したりすることを、マイニングと呼ぶ。
【0033】
なお、ブロックチェーン1は、イーサリアムやビットコイン(Bitcoin)のように、一方向ハッシュ関数の特性に基づいて分散型データベースの編集履歴を共有する処理機構を有するものに限らず、その他の仕組みで編集履歴を共有する処理機構を有することで、分散型データベースを共有するものであっても良い。
【0034】
また、ブロックチェーン1は、イーサリアムやビットコインのように、分散型データベースに追加していくデータをブロックとしてひとまとまりにして追加して更新する機構を有するものに限らず、個々のデータを一つずつ逐次的に追加して更新する機構を有するものや、不定期に追加して更新する機構を有するもの、又はその他の形態で追加して更新する機構を有するものであっても良い。
【0035】
さらに、ブロックチェーン1は、イーサリアムやビットコインのように、分散型データベース上に記録されるデータを、1本のチェーンのように連続した1次元的なデータとして追加していくものに限らず、データを複数のチェーンに並行して追加していくものやネットワーク状に追加していくもの、2次元平面的に追加していくもの、3次元など多次元的に追加していくもの、又はその他の形態で追加していくものであっても良い。
【0036】
さらにまた、ブロックチェーンの一種であるビットコインのように、スマートコントラクトが実装されていないブロックチェーンもあるが、本実施形態におけるブロックチェーンでは、BC実行手段を備えていることを前提とする。
【0037】
図2は、本実施形態に係る推薦システムのシステム全体の処理を示すフローチャートである。まず、利用者からのリクエストに応じて推薦処理がなされる(S1)。利用者は、推薦処理で推薦された商品から最適な商品を選択し、推薦モジュールに対する評価処理が行われる(S2)。推薦モジュールが所有する仮想通貨(推薦モジュールに関連付けられた仮想通貨情報)の残金が予め設定された閾値以上であるかどうかを判定し(S3)、閾値以上であれば複製処理(分裂処理を含む)を行って(S4)、S1の処理に戻る。閾値未満であれば、仮想通貨の残金が0であるかどうかを判定する(S5)。仮想通貨の残金が0じゃなければS1の処理に戻る。仮想通貨の残金が0の場合は、消滅処理を行って(S6)、処理を終了する。
【0038】
推薦システム1は、このような遺伝的アルゴリズムで構築されることで、利用者にとってより良い商品を推薦する方策を進化的に学習し、利用者の好みにあった商品を推薦することが可能となる。
【0039】
以下、本実施形態に係る推薦システム及び利用者のユーザ端末の構成及び処理について、各処理ごとに詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末の推薦処理に関する機能ブロック図、
図4は、本実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末の推薦処理のフローチャートである。
【0040】
まず、
図3において、ユーザ端末20は、利用者の操作に応じて情報の入出力を行う入出力部21と、入力された利用者の操作に応じて、利用者のユーザアドレス(利用者がブロックチェーン1にアクセスするためのアカウント情報)が記憶されているユーザアドレス記憶部23からユーザアドレスを取得し、推薦要求情報と共に推薦システム10に送信する推薦要求部22と、推薦システム10から推薦された推薦情報をディスプレイ等の入出力部21に表示する推薦出力部24とを備える。
【0041】
また、推薦システム10は、ブロックチェーン1上に構築されており、ブロックチェーン1上で様々な処理を実行する例えばスマートコントラクトのような処理実行部等が、実際に処理を実行する環境となる実行部ネットワーク30と、台帳管理等を含めてトランザクションをブロードキャストする環境となるトランザクションネットワーク40(以下、Txネットワーク40という)とを有する。より具体的には、実行部ネットワーク30上には、例えばスマートコントラクトのような処理実行部のソースコードと、当該実行部とが実装されており、Txネットワーク40上には、前記の台帳に加えてマイニング処理を行う処理部が実装されている。マイニング処理では、送金処理や処理実行部の実行リクエストといったトランザクションを台帳のブロックに追加する処理が行われている。
【0042】
実行部ネットワーク30は、利用者に対して商品を推薦する推薦モジュール(以下、推薦エージェントという)32と、推薦エージェント32に対して推薦処理を行うように命令するトリガーモジュール(以下、トリガーという)31とを備える。
【0043】
トリガー31は、推薦エージェント32のエージェントアドレス(推薦エージェント32がブロックチェーン1にアクセスするためのアカウント情報)が記憶されている推薦エージェント記憶部33と、ユーザ端末20から推薦要求情報と共に当該ユーザ端末20の利用者のユーザアドレスを受信した場合に、推薦エージェント記憶部33から任意の推薦エージェント32のエージェントアドレスを抽出すると共に、当該抽出した推薦エージェント32に対して、前記受信したユーザアドレスを送信する推薦制御部34とを備える。
【0044】
推薦エージェント32は、当該推薦エージェント32が実行する推薦処理の特徴パラメータ(推薦エージェントごとにその特徴を示すパラメータ)が記憶された推薦パラメータ記憶部35と、当該推薦エージェントのエージェントアドレスが記憶されたエージェントアドレス記憶部36と、推薦パラメータ記憶部35に記憶された特徴パラメータを元に、利用者に対して推薦する商品の商品情報を商品情報記憶部12から取得する商品推薦部37と、ブロックチェーン1へのアクセスの際にそのアカウント所有者であることをブロックチェーン1で証明するための電子署名をするために必要となる秘密鍵(以下、アカウント秘密鍵という)を記憶するアカウント秘密鍵記憶部38と、トリガー31から送信されたユーザアドレスへの送金トランザクションを生成すると共に、アカウント秘密鍵記憶部38に記憶されたアカウント秘密鍵で署名し、Txネットワーク40にブロードキャストする送金部39とを備える。送金された仮想通貨の入出金情報は、ブロックチェーン1上に改竄できない状態で記憶される。ここで推薦エージェント32から利用者に対して送金される仮想通貨は、例えば予め設定された固定量の通貨であり、推薦処理を行う全ての推薦エージェント32に共通の通貨量である。
【0045】
なお、後述するように、本実施形態においては、推薦エージェント32の処理の適正度を仮想通貨の保持量で判断するが、仮想通貨のように貨幣としての価値を有するものに限定されなくてもブロックチェーン上の台帳管理により授受や保持量が管理できる媒体であれば何でもよく、例えばポイントや点数などでもよい。
【0046】
商品推薦部37は、エージェントアドレス記憶部36からエージェントアドレスを取得し、推薦する商品の商品情報と共にトリガー31に送信する。トリガー31の推薦制御部34は、ユーザ端末20の推薦出力部24に商品情報とエージェントアドレスを送信し、入出力部21で商品情報が表示されると共に、エージェントアドレスがユーザ端末20に格納される。
【0047】
なお、本実施形態では、ブロックチェーン1へのアクセスの際にそのアカウント所有者であることをブロックチェーン1で証明するための電子署名を用いているが、アカウント所有者であることを確認することができる手段であれば、例えば、MACアドレス認証、IPアドレス認証、パスワード認証など、他の手段でも構わない。
【0048】
次に、推薦処理のフローについて、
図4を用いて説明する。まず、利用者がユーザ端末20の入出力部21を操作して推薦要求部22に商品推薦のリクエストを行う(S1)。推薦要求部22は、ユーザアドレス記憶部23から利用者のユーザアドレスを取得し、トリガー31の推薦制御部34に送信する(S2)。推薦制御部34は、推薦エージェント記憶部33から複数のエージェントアドレスを任意に選択し、この選択した複数のエージェントアドレスが示す推薦エージェント32の商品推薦部37に、受信した前記ユーザアドレスを送信する(S3)。商品推薦部37は、推薦パラメータ記憶部35から特徴パラメータを取得し、取得した当該特徴パラメータを元に商品情報記憶部12から推薦する商品の商品情報を取得する(S4)。商品情報を取得した商品推薦部37は、送金部39に対して前記ユーザアドレスを送信し、当該ユーザアドレスを受信した送金部39は、ユーザアドレスへの送金トランザクションを生成し、推薦エージェント32の秘密鍵で署名する(S5)。送金部39が、署名した送金トランザクションをTxネットワーク40にブロードキャストする(S6)。送金トランザクションがブロードキャストされることで、推薦エージェント32から使用者への送金情報がブロックチェーン1上に記録される。商品推薦部37は、エージェントアドレス記憶部36からエージェントアドレスを取得し、トリガー31の推薦制御部34に推薦対象の商品情報と共に送信する(S7)。推薦制御部34は、推薦出力部24に推薦対象の商品情報とエージェントアドレスを送信し、入出力部21にて商品情報が表示されると共に、エージェントアドレスが一時的にユーザ端末20内に格納されて(S8)、推薦処理を終了する。
【0049】
図5は、本実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末の評価処理に関する機能ブロック図、
図6は、本実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末の評価処理のフローチャートである。
【0050】
図5において、ユーザ端末20は、利用者の操作に応じて情報の入出力を行う入出力部21と、利用者がブロックチェーン1へのアクセスの際に必要となるアカウント秘密鍵を記憶するアカウント秘密鍵記憶部41と、入出力部21で利用者に選ばれた商品を推薦した推薦エージェント32に対する送金トランザクションを生成し、アカウント秘密鍵記憶部41に記憶された利用者のアカウント秘密鍵で署名し、Txネットワーク40に前記送金トランザクションをブロードキャストする送金部42とを備える。
【0051】
次に、評価処理のフローについて、
図6を用いて説明する。まず、利用者により入出力部21が操作されることで、推薦された複数の商品の中から最も適切な商品が選択される(S1)。推薦処理において一時的にユーザ端末20に格納されたエージェントアドレスから、ステップS1で選択された商品を推薦した推薦エージェント32のエージェントアドレスを特定し、送金部42に送信される(S2)。送金部42は、エージェントアドレスへの送金トランザクションを生成し、送金先の推薦エージェント32のアカウント秘密鍵で署名する(S3)。署名された送金トランザクションがTxネットワーク40にブロードキャストされる(S4)。この送金トランザクションのブロードキャストにより、利用者から推薦エージェントへの送金情報がブロックチェーン1上に記録されて(S5)、評価処理を終了する。
【0052】
この評価処理において利用者から選択された推薦エージェント32に送金される仮想通貨の量は、推薦処理の際に各推薦エージェント32から利用者に送金された仮想通貨の合計額となる。すなわち、利用者に選ばれた推薦エージェント32は、推薦時に送金した仮想通貨がそのまま返戻されると共に、他の推薦エージェント32が推薦時に支払った仮想通貨が加算されることとなる。したがって、最も優秀な推薦エージェント32は仮想通貨の所持量が増え、その他の評価されなかった推薦エージェント32の仮想通貨の所持量は減少する。
【0053】
図7は、本実施形態に係る推薦システムの複製処理(ここでは、分裂処理を行う)に関する機能ブロック図、
図8は、本実施形態に係る推薦システムの分裂処理のフローチャートである。
【0054】
図7において、推薦エージェント32は、当該推薦エージェント32の仮想通貨の残金をTxネットワーク40に問い合わせて確認する残金確認部43と、仮想通貨の残金に応じて新規推薦エージェント32aを作成して、ブロックチェーン1上に追加する分裂制御部44とを備え、送金部39は、作成された新規推薦エージェント32aに対して、分裂元の推薦エージェント32が所持している仮想通貨の一部を送金する処理を行う。また、トリガー31は、作成された新規推薦エージェント32aのエージェントアドレスを推薦エージェント記憶部33に追加する推薦エージェント追加部45を備える。なお、アカウント秘密鍵記憶部38a、エージェントアドレス記憶部36a及び推薦パラメータ記憶部35aは、それぞれ新規推薦エージェント32aが作成される際に併せて作成される記憶部である。
【0055】
次に、分裂処理のフローについて、
図8を用いて説明する。まず、残金確認部43がTxネットワーク40から推薦エージェント32の残金を取得し、残金が予め設定された閾値以上である場合、分裂制御部44に新規推薦エージェント32aを作成するためのリクエストを送る(S1)。分裂制御部44は、推薦パラメータ記憶部35から特徴パラメータを取得し、その特徴パラメータを元に新規推薦エージェント32aの特徴パラメータを作成する(S2)。具体的には、例えば分裂元の推薦エージェント32の特徴パラメータをベースに当該特徴パラメータとは異なる新たな特徴パラメータを作成する。
【0056】
分裂制御部44は、新規推薦エージェント32を追加するトランザクション(新規エージェント追加Tx)を作成し、アカウント秘密鍵記憶部38に記憶された推薦エージェント32のアカウント秘密鍵で署名して、新規エージェント追加TxをTxネットワーク40にブロードキャストする(S3)。新規推薦エージェント32aのアカウント秘密鍵記憶部38a、エージェントアドレス記憶部36a及び推薦パラメータ記憶部35aにそれぞれの情報が記録される(S4)。Txネットワーク40から新規推薦エージェント32aのエージェントアドレスを受け取った分裂制御部44は、トリガー31の推薦エージェント記憶部33に新規推薦エージェント32aのエージェントアドレスを追加するためのトランザクション(新規エージェント情報追加Tx)を作成し、アカウント秘密鍵記憶部38に記憶された推薦エージェント32のアカウント秘密鍵で署名して、新規エージェント情報追加TxをTxネットワーク40にブロードキャストする(S5)。
【0057】
トリガー31の推薦エージェント追加部45は、ブロードキャストされた新規エージェント情報追加Txに応じて、推薦エージェント記憶部33に新規推薦エージェント32aのエージェントアドレスを追加する(S6)。送金部39は、分裂制御部44から受け取った新規推薦エージェント32aのエージェントアドレスを用いて、新規推薦エージェント32aのアカウントへの送金トランザクションを作成する(S7)。作成した送金トランザクションをアカウント秘密鍵記憶部38に記憶された推薦エージェント32のアカウント秘密鍵で署名し、Txネットワーク40にブロードキャストし(S8)、分裂処理を終了する。
【0058】
このような分裂処理により、優秀な推薦エージェント32は自身の特徴をそのまま保持した状態で、少し異なる特徴を有する別の遺伝子固体を生成し、進化的オペレーションを自己管理する遺伝子固体が、進化的学習を行うシステムを実現することが可能となる。
【0059】
図9は、本実施形態に係る推薦システムの消滅処理に関する機能ブロック図、
図10は、本実施形態に係る推薦システムの消滅処理のフローチャートである。
【0060】
図9において、推薦エージェント32は、当該推薦エージェント32の仮想通貨の残金をTxネットワーク40に問い合わせて確認する残金確認部43と、仮想通貨の残金に応じて推薦エージェント32を削除する消滅制御部46とを備える。また、トリガー31は、削除された推薦エージェント32のエージェントアドレスを推薦エージェント記憶部33から削除する推薦エージェント削除部47を備える。
【0061】
次に、消滅処理のフローについて、
図10を用いて説明する。まず、残金確認部43がTxネットワーク40から推薦エージェント32の残金を取得する(S1)。残金が予め設定された閾値未満である場合、消滅制御部46に推薦エージェント32を削除するためのリクエストを送る(S2)。消滅制御部46は、推薦エージェント32を削除するためのトランザクション(エージェント削除Tx)と、トリガー31の推薦エージェント記憶部33から削除対象となる推薦エージェント32のエージェントアドレスを削除するトランザクション(エージェント情報削除Tx)とを生成し、それぞれのトランザクションについて、アカウント秘密鍵記憶部38に記憶された推薦エージェント32のアカウント秘密鍵で署名する(S3)。エージェント削除Txとエージェント情報削除TxとをTxネットワーク40にブロードキャストする(S4)。トリガー31の推薦エージェント削除部47が、ブロードキャストされたエージェント情報削除Txに応じて、推薦エージェント記憶部33に記憶されている削除対象の推薦エージェント32のエージェントアドレスを削除して(S5)、消滅処理を終了する。
【0062】
このような消滅処理により、利用者から選択されない(利用者に必要とされない)推薦エージェント32は次第に衰退し、最終的には淘汰されて消滅してしまう。すなわち、優秀な推薦エージェント32のみが残って、より進化を続けることとなる。
【0063】
なお、上記においては、推薦エージェント32の複製処理を分裂処理と消滅処理とで説明したが、例えば、全ての推薦エージェント32の推薦パラメータを予め設けられた基準に応じて改変して更新することで複製処理を行うようにしてもよい。また、例えば、全ての推薦エージェント32のうち残金が最も少ない又は所定の残金以下の推薦エージェントの推薦パラメータを、残金が最も多い又は所定の残金以上の推薦エージェントの推薦パラメータを元に(一部を改変して)作成された推薦パラメータで上書きするようにしてもよい。
【0064】
また、複製処理は、上記に示すように推薦エージェント32自身が行うようにしてもよいし、トリガー31の制御に基づいて行われるようにしてもよい。
【0065】
以上のような推薦処理、評価処理、複製処理(分裂処理及び消滅処理)の各処理の内容をより具体的な例を挙げて説明する。
図11は、本実施形態に係る推薦システムの推薦処理の具体例を示す図、
図12は、本実施形態に係る推薦システムの評価処理の具体例を示す図、
図13及び
図14は、本実施形態に係る推薦システムの複製処理の具体例を示す図である。
【0066】
図11において、
図11(A)は利用者が推薦エージェントに対してリクエストを送信する場合の模式図であり、
図11(B)は推薦エージェントが利用者に商品を推薦する場合の模式図である。
図11(A)に示すように、ブロックチェーン1上に3つの推薦エージェント32A,32B,32Cが実装されており、それぞれの推薦エージェント32A,32B及び32Cは、所定量の仮想通貨を所持している。ここでは、わかりやすくするために、仮にコイン5枚を仮想通貨としてそれぞれ所持しているとする。利用者は、ユーザ端末20からノードに対して推薦要求情報を送信し、トリガー31を介して、各推薦エージェント32にその旨の命令がなされる。
【0067】
図11(B)では、各推薦エージェント32A,32B及び32Cは、商品情報記憶部12から、それぞれの特徴パラメータに沿った商品を選択し、利用者に推薦対象商品として提示する。このとき、各推薦エージェント32A,32B及び32Cは、それぞれが所持している仮想通貨のコインを利用者に対して1枚ずつ支払う。つまり、各推薦エージェント32A,32B及び32Cが保持する仮想通貨は、それぞれコイン4枚となり、利用者が所持する仮想通貨はコイン3枚となる。
【0068】
次に、
図12において、利用者は、各推薦エージェント32A,32B及び32Cに推薦された複数の商品の中から最も適切な商品を選択し、選択された商品を推薦した推薦エージェント(ここでは、仮に推薦エージェント32Aとする)に、
図11で受け取った仮想通貨のコイン3枚を全て支払う。その結果、推薦エージェント32Aは仮想通貨のコイン7枚、推薦エージェント32Bは仮想通貨のコイン4枚、推薦エージェント32Cは仮想通貨のコイン4枚を所持している状態となる。この
図11及び
図12の処理が複数回繰り返して行われることで、各推薦エージェント32の仮想通貨の所持量が変化する。
【0069】
図11及び
図12の処理が複数回行われた結果、
図13に示すような状態になったとする。すなわち、推薦エージェント32Aは仮想通貨のコイン12枚、推薦エージェント32Bは仮想通貨のコイン3枚、推薦エージェント32Cは仮想通貨のコイン0枚になったとする。そして、分裂する際の予め設定されている仮想通貨の所持量の条件をコイン12枚以上、消滅する際の予め設定されている仮想通貨の所持量の条件をコイン0枚とすると、推薦エージェント32Aは分裂処理の条件を満たし、推薦エージェント32Cは消滅処理の条件を満たしている。
【0070】
図14では、推薦エージェント32Aが分裂して新たな推薦エージェント32Dが作成され、仮想通貨のコインも6枚ずつに分配されている。このとき、推薦エージェント32Dは、推薦エージェント32Aの遺伝子情報(すなわち、特徴パラメータ)を少し変化させて作成される。一方で、推薦エージェント32Cは、仮想通貨のコインが0枚となっているため、利用者に対してコインを支払って推薦を行うことが不可能な状態となっている。つまり、推薦エージェント32Cは不要なエージェントとなっているため、消滅処理により削除され、完全に活動停止の状態となる。そして、最終的には、推薦エージェント32A、32B及び32Dが残ることとなる。
【0071】
なお、上述したように
図13から
図14に推移する他の処理方法として、推薦エージェント32Cを消滅させたり、推薦エージェント32Dを新たに作成したりせずに、推薦エージェント32A,32B及び32Cをそのまま残した状態で、各推薦エージェント32A,32B及び/又は32Cの推薦パラメータのみを更新するようにしてもよい。また、残金が多い推薦エージェント32Aの推薦パラメータを元に、残金が少ない推薦エージェント32Cの推薦パラメータを上書きして更新するようにしてもよい。
【0072】
以上のように、本実施形態に係る推薦システム10においては、推薦エージェント32ごとの仮想通貨の保持量に応じて当該推薦エージェント32を複製するため、推薦エージェント32が自律的に進化個体を作成し、利用者の好みに極めてマッチした推薦対象を推薦することが可能となる。
【0073】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る情報処理システムについて、
図15ないし
図18を用いて説明する。本実施形態においても、前記第1の実施形態の場合と同様に、一例として推薦システムについて説明するが、本実施形態に係る推薦システムは、人工知能(以下、AIという)を用いた制御器を利用者に対して推薦するものである。制御器の種類としては、例えば自動運転AI(利用者にとって適正な運転を行うAI)、文字変換AI(単語変換において利用者が使いやすい変換を行うAI)、ロボット制御AI(家庭用ロボットなどにおいて、利用者にとって好ましい駆動をするAI)等が適用可能である。推薦エージェントに推薦された制御器は、実際に制御対象を駆動し、利用者が望む駆動が行われたかどうかが判定される。その判定結果に応じて仮想通貨の残金が変動し、推薦エージェントの複製(分裂、消滅)が繰り返されて、利用者にとって使いやすい制御器が提供される。なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0074】
図15は、本実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末における初期設定処理に関する機能ブロック図、
図16は、本実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末における初期設定処理を示すフローチャートである。
【0075】
ユーザ端末20は、利用者の操作に応じて情報の入出力を行う入出力部21と、利用者が最も良いと考える評価値を記憶する評価基準値記憶部48と、利用者から入力された評価基準値を評価基準値記憶部48に格納する評価基準値設定部49とを備える。評価基準値は、例えば自動運転AIの制御器であれば、利用者が「渋滞を避けた運転」を望んでいる場合に、その利用者が望む所要時間や平均速度に相当するものである。
【0076】
次に、初期設定処理のフローについて、
図16を用いて説明する。まず、利用者がユーザ端末20の入出力部21を操作して評価基準値を入力し、評価基準値設定部49に送る(S1)。評価基準値49は、送られた評価基準値を評価基準値記憶部48に記録して(S2)、初期設定処理を終了する。ここで設定された評価基準値は、後述する推薦処理において、制御器の実行値との比較に使用される。
【0077】
図17は、本実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末の推薦処理に関する機能ブロック図、
図18は、本実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末の推薦処理を示すフローチャートである。
【0078】
図17において、情報処理システム100は、ユーザ端末20及び推薦システム10以外に、制御対象50を備えると共に、商品情報記憶部12に代わって複数の制御器の制御アルゴリズムが記憶されている制御アルゴリズム記憶部120とを備える。制御対象50は、推薦された制御器(制御アルゴリズム)を実行する実行部51と、実行部51が実行した結果を計測する計測部52とを備える。具体的には、例えば自動運転AIの場合は、制御対象が自動車であり、実行部51は推薦エージェント32に推薦された制御アルゴリズムを実行し、計測部52は実行部51が実行した運転の実行結果を計測し、実行値として出力する処理を行う。
【0079】
ユーザ端末20は、定期又は不定期に推薦処理を行う自動推薦部53と、当該自動推薦部53からのリクエストに応じて、ユーザアドレス記憶部23からユーザアドレスを取得し、推薦要求情報と共に推薦システム10に送信する推薦要求部22と、推薦エージェント32が推薦した制御アルゴリズムを実行して計測した結果と、評価基準値設定部49に記憶された評価基準値との比較を行い、送金対象となる制御アルゴリズムを推薦した推薦エージェント32を決定する自動評価部54と、推薦エージェント32から推薦された制御アルゴリズムを自動評価部54に出力する推薦出力部24と、自動評価部54が評価した結果に基づいて、推薦エージェント32への送金トランザクションを生成し、アカウント秘密鍵記憶部55に記憶されている推薦エージェント32の秘密鍵で署名し、送金トランザクションをTxネットワーク40にブロードキャストする送金部56とを備える。
【0080】
推薦システム10の構成及び処理は、前記第1の実施形態における
図3及び
図4、並びに
図7ないし
図10の構成及び処理とほぼ同じであり、第1の実施形態の場合は、推薦エージェント32が商品を推薦するのに対して、本実施形態の場合は、推薦エージェント32が制御アルゴリズム記憶部120に記憶されている制御アルゴリズムを推薦する点が異なる。
【0081】
図18は、本実施形態に係る推薦システム及びユーザ端末の推薦処理及び評価処理を示すフローチャートである。まず、ユーザ端末20の自動推薦部53が推薦要求部22に制御アルゴリズム推薦のリクエストを行う(S1)。推薦要求部22は、ユーザアドレス記憶部23から利用者のユーザアドレスを取得し、トリガー31の推薦制御部34に送信する(S2)。推薦システム10による推薦処理が行われる(S3)。一連の推薦処理により推薦する制御アルゴリズムが特定されると、トリガー31が、各推薦エージェント32で推薦された制御アルゴリズムと、それぞれに対応するエージェントアドレスとをユーザ端末20に送信し、推薦出力部24が受け取る(S4)。自動評価部54を介して制御アルゴリズムとエージェントアドレスのペアが1つずつ制御対象50に送信される(S5)。実行部51が制御アルゴリズムを実行し、計測部52が実行結果を実行値に変換し、自動評価部54に送る(S6)。S5及びS6の処理は、自動評価部54が受け取った各推薦エージェント32が推薦した全ての制御アルゴリズムについて実行値が得られまで繰り返して行われる。自動評価部54は、得られた実行値から評価基準値記憶部48に記憶されている評価基準値に最も近い実行値となる制御アルゴリズムを推薦した推薦エージェント32を特定し、当該推薦エージェント32のエージェントアドレスを送金部56に送る(S7)。送金部56が、推薦エージェント32に対して仮想通貨を送金するための送金トランザクションを生成し、アカウント秘密鍵記憶部55に記憶されている秘密鍵で署名する(S8)。送金トランザクションをTxネットワーク40にブロードキャストし(S9)、自動評価部54が自動推薦部53に評価が終了した旨の情報を送り、S1の処理に戻って推薦処理及び評価処理が繰り返される。
【0082】
なお、複製処理(分裂処理及び消滅処理)については、前記第1の実施形態の場合と同じであるため説明を省略する。
【0083】
上記処理について、自動運転AIの制御器を例にすると、推薦エージェント32が推薦する制御アルゴリズムを仮想通貨を支払って定期的に更新しながら、それらの制御アルゴリズムで自動運転を行った場合の実行値(例えば、目的地までに要した時間、平均時速、停車時間、停車回数、右折・左折の回数、燃費、ブレーキの回数、ハンドルの駆動量等)を計測し、予め設定された理想の値と近い実行値となった制御アルゴリズムを推薦した推薦エージェントのみが、自分が払った仮想通貨及び他の推薦エージェントが払った仮想通貨を合わせて取得する。仮想通貨の残金が所定の閾値を超える場合には、推薦の特徴パラメータが異なる新規推薦エージェントを生成し、仮想通貨を分配する。仮想通貨の残金が0になると、推薦処理ができなくなるため消滅する。
【0084】
以上のように、本実施形態に係る推薦システム10においては、商品の推薦に限らず、利用者が望む様々な情報を適正に推薦することが可能になる。
【0085】
(本発明の第3の実施形態)
本実施形態に係る情報処理システムについて、
図19ないし
図20を用いて説明する。本実施形態に係る情報処理システムは、利用者に対して適正な情報を推薦するのではなく、自己が有する情報を提供する提供システムとして機能するものである。すなわち、前記各実施形態のように、提供対象となる情報が記憶されているマスタ情報の中から、利用者にとって適正な情報を選択して推薦するようなものではなく、エージェント自身が提供対象となる個別の情報(以下、提供情報という)を有しており、各エージェントごとにそれらの個別の提供情報を利用者に提供するものである。また、各エージェントが有する仮想通貨の残金に応じて複製処理を繰り返すが、このときに複製されるエージェントは、元のエージェントが有する提供情報を元に改変された新たな提供情報を有するように複製される。なお、本実施形態において、前記各実施形態と重複する説明は省略する。
【0086】
以下に説明する本実施形態の提供システム101は、前記第2の実施形態と同様に人工知能(以下、AIという)を用いた制御器を利用者に対して提供する。制御器の種類としては、例えば自動運転AI(利用者にとって適正な運転を行うAI)、文字変換AI(単語変換において利用者が使いやすい変換を行うAI)、ロボット制御AI(家庭用ロボットなどにおいて、利用者にとって好ましい駆動をするAI)等が適用可能である。エージェント(本実施形態においては推薦エージェントに代わって、以下提供エージェントという)が提供した制御器は、実際に制御対象を駆動し、利用者が望む駆動が行われたかどうかが判定される。その判定結果に応じて仮想通貨の残金が変動し、提供エージェントの複製(分裂、消滅)が繰り返されて、利用者にとって使いやすい制御器が提供される。
【0087】
本実施形態に係る提供システムにおいて、初期設定に関する処理は前記第2の実施形態における
図15及び
図16の場合と同じであるため省略する。初期設定処理がなされた後は、提供処理が行われる。
図19は、本実施形態に係る提供システム及びユーザ端末の提供処理に関する機能ブロック図、
図20は、本実施系形態に係る提供システム及びユーザ端末の提供処理を示すフローチャートである。
【0088】
図19において、情報処理システム100は、ユーザ端末20及び提供システム101以外に、制御対象50を備える。制御対象50は、提供エージェント321から提供された制御器(制御アルゴリズム)を実行する実行部51と、実行部51が実行した結果を計測する計測部52とを備える。具体的には、例えば自動運転AIの場合は、制御対象が自動車であり、実行部51は提供エージェント321に提供された制御アルゴリズムを実行し、計測部52は実行部51が実行した運転の実行結果を計測し、実行値として出力する処理を行う。
【0089】
ユーザ端末20は、定期又は不定期に提供処理を行う自動提供部531と、当該自動提供部531からのリクエストに応じて、ユーザアドレス記憶部23からユーザアドレスを取得し、提供要求情報と共に提供システム101に送信する提供要求部221と、提供エージェント321が提供した制御アルゴリズムを実行して計測した結果と、評価基準値設定部49に記憶された評価基準値との比較を行い、送金対象となる制御アルゴリズムを提供した提供エージェント321を決定する自動評価部54と、提供エージェント321から提供された制御アルゴリズムを自動評価部54に出力する提供出力部241と、自動評価部54が評価した結果に基づいて、提供エージェント321への送金トランザクションを生成し、アカウント秘密鍵記憶部55に記憶されている提供エージェント321の秘密鍵で署名し、送金トランザクションをTxネットワーク40にブロードキャストする送金部56とを備える。
【0090】
実行部ネットワーク30は、利用者に対して制御アルゴリズムを提供する提供エージェント321と、提供エージェント321に対して提供処理を行うように命令するトリガー31とを備える。
【0091】
トリガー31は、提供エージェント321のエージェントアドレスが記憶されている提供エージェント記憶部331と、ユーザ端末20から提供要求情報と共に当該ユーザ端末20の利用者のユーザアドレスを受信した場合に、提供エージェント記憶部331から任意の提供エージェント321のエージェントアドレスを抽出すると共に、当該抽出した提供エージェント321に対して、前記受信したユーザアドレスを送信する提供制御部341とを備える。
【0092】
提供エージェント321は、当該提供エージェント321が提供する制御アルゴリズムが記憶された制御アルゴリズム記憶部351と、当該提供エージェントのエージェントアドレスが記憶されたエージェントアドレス記憶部36と、制御アルゴリズム記憶部351に記憶された制御アルゴリズム情報をユーザ端末20に対して提供する提供部371と、ブロックチェーン1へのアクセスの際にそのアカウント所有者であることをブロックチェーン1で証明するための電子署名をするために必要となる秘密鍵(以下、アカウント秘密鍵という)を記憶するアカウント秘密鍵記憶部38と、トリガー31から送信されたユーザアドレスへの送金トランザクションを生成すると共に、アカウント秘密鍵記憶部38に記憶されたアカウント秘密鍵で署名し、Txネットワーク40にブロードキャストする送金部39とを備える。送金された仮想通貨の入出金情報は、ブロックチェーン1上に改竄できない状態で記憶される。
【0093】
提供部371は、エージェントアドレス記憶部36からエージェントアドレスを取得し、提供する制御アルゴリズム情報と共にトリガー31に送信する。トリガー31の提供制御部341は、ユーザ端末20の提供出力部241に制御アルゴリズム情報とエージェントアドレスを送信する。ユーザ端末20側では、送られた制御アルゴリズム情報の評価処理等が行われる。
【0094】
図20は、本実施形態に係る提供システム及びユーザ端末の提供処理及び評価処理を示すフローチャートである。まず、ユーザ端末20の自動提供部531が提供要求部221に制御アルゴリズム提供のリクエストを行う(S1)。提供要求部221は、ユーザアドレス記憶部23から利用者のユーザアドレスを取得し、トリガー31の提供制御部341に送信する(S2)。提供システム101による提供処理、すなわち各提供エージェント321が、自身や有する制御アルゴリズム記憶部351に記憶された制御アルゴリズムを提供すると共に、提供対象のユーザアドレスに対して送金処理が行われる(S3)。トリガー31が、各提供エージェント321が提供する制御アルゴリズムと、それぞれに対応するエージェントアドレスとをユーザ端末20に送信し、提供出力部241が受け取る(S4)。自動評価部54を介して制御アルゴリズムとエージェントアドレスのペアが1つずつ制御対象50に送信される(S5)。実行部51が制御アルゴリズムを実行し、計測部52が実行結果を実行値に変換し、自動評価部54に送る(S6)。S5及びS6の処理は、自動評価部54が受け取った各提供エージェント321が提供した全ての制御アルゴリズムについて実行値が得られまで繰り返して行われる。自動評価部54は、得られた実行値から評価基準値記憶部48に記憶されている評価基準値に最も近い実行値となる制御アルゴリズムを提供した提供エージェント321を特定し、当該提供エージェント321のエージェントアドレスを送金部56に送る(S7)。送金部56が、提供エージェント321に対して仮想通貨を送金するための送金トランザクションを生成し、アカウント秘密鍵記憶部55に記憶されている秘密鍵で署名する(S8)。送金トランザクションをTxネットワーク40にブロードキャストし(S9)、自動評価部54が自動提供部53に評価が終了した旨の情報を送り、S1の処理に戻って提供処理及び評価処理が繰り返される。
【0095】
なお、複製処理(分裂処理及び消滅処理)については、前記第1又は第2の実施形態の場合と概ね同じであるが、第1の実施形態及び第2の実施形態においては推薦パラメータ記憶部35から特徴パラメータを取得し、その特徴パラメータを元に新規推薦エージェント32aの特徴パラメータを作成する処理を行うのに対して、本実施形態においては、制御アルゴリズム記憶部351の制御アルゴリズムを改変することで新たな制御アルゴリズムを作成し、作成された当該新たな制御アルゴリズムを新規に作成される提供エージェントが提供する制御アルゴリズムとして、当該新規提供エージェントの制御アルゴリズム記憶部に記憶される。
【0096】
新規に作成される制御アルゴリズムは、例えば予め設定された基準にしたがって数値を改変することで新規の制御アルゴリズムとしてもよい。また、予め制御アルゴリズムの特徴を任意の指標に基づいてマッピングしておき、そのマッピングにしたがって分裂元の制御アルゴリズムに類似する(例えば、マッピング情報の中で分裂元の制御アルゴリズムに隣接する場所にマッピングされている)別の制御アルゴリズムを新規の制御アルゴリズムとしてもよい。
【0097】
なお、提供対象が制御アルゴリズム情報ではなく、例えば商品情報のような場合であっても、予め提供対象となる商品を任意の指標に基づいてマッピングしておき、分裂元の提供エージェント321が提供する商品にマッピング上で類似する商品を新規提供エージェントが提供する商品情報としてもよい。
【0098】
また、上述したマッピングをするための任意の指標については、利用者が決めた指標に基づいてマッピングされるようにしてもよい。例えば、自動運転AIの制御アルゴリズムであれば、利用者に応じて、例えば時間が短いという指標、平均速度が速いという指標、安全性が高いという指標等でマッピングされることで、利用者の好みに合った新規提供エージェント321を生成しやすくなる。
【符号の説明】
【0099】
1 ブロックチェーン
10 商品推薦システム
11 通信販売サービス
12 商品情報記憶部
20 ユーザ端末
21 入出力部
22 推薦要求部
23 ユーザアドレス記憶部
24 推薦出力部
30 実行部ネットワーク
31 トリガー
32 推薦エージェント
32a 新規推薦エージェント
33 推薦エージェント記憶部
34 推薦制御部
35,35a 推薦パラメータ記憶部
36,36a エージェントアドレス記憶部
37 商品推薦部
38,38a アカウント秘密鍵記憶部
39 送金部
40 Txネットワーク
41 アカウント秘密鍵記憶部
42 送金部
43 残金確認部
44 分裂制御部
45 推薦エージェント追加部
46 消滅制御部
47 推薦エージェント削除部
48 評価基準値記憶部
49 評価基準値設定部
50 制御対象
51 実行部
52 計測部
53 自動推薦部
54 自動評価部
55 アカウント秘密鍵記憶部
56 送金部
120 制御アルゴリズム記憶部
221 提供要求部
241 提供出力部
321 提供エージェント
331 提供エージェント記憶部
341 提供制御部
351 制御アルゴリズム記憶部
371 提供部
531 自動提供部