(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】エアコンシステム並びにこれを用いた冷蔵倉庫及び乾燥倉庫
(51)【国際特許分類】
F24F 11/80 20180101AFI20220822BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20220822BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20220822BHJP
F24F 11/30 20180101ALI20220822BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20220822BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
F24F11/80
F24F11/64
F24F11/89
F24F11/30
F24F5/00 Z
E04B1/76 400L
E04B1/76 500F
E04B1/76 400C
(21)【出願番号】P 2019163692
(22)【出願日】2019-09-09
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】513057751
【氏名又は名称】株式会社ひらつか建築
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】平塚 一弘
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-055442(JP,A)
【文献】特開2006-220405(JP,A)
【文献】特開2013-250028(JP,A)
【文献】特開2001-215038(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125250(WO,A1)
【文献】特開2008-045325(JP,A)
【文献】特開平01-029545(JP,A)
【文献】実開昭60-040293(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0083813(US,A1)
【文献】国際公開第2019/021392(WO,A1)
【文献】特開2011-208887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/80
F24F 11/64
F24F 11/89
F24F 11/30
F24F 5/00
E04B 1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調整空間を冷房及び/又は暖房するためのエアコンと、前記温度調整空間の空間温度を検知するためのシステム温度検知手段と、前記エアコンを作動制御するためのシステムコントローラとを具備し、
前記エアコンは、冷たい空気及び/又は暖かい空気を生成して前記温度調整空間に吹き出すエアコン本体と、前記温度調整空間の空間温度を検知するために前記エアコン本体に装備されたエアコン温度検知手段と、前記エアコン本体を作動制御するためのエアコンコントローラとを備え、前記エアコンコントローラは、前記エアコン温度検知手段からの検知信号に基づいて第1低温温度から第1高温温度の温度範囲にわたって前記温度調整空間の空間温度を調整可能に構成されており、
前記システムコントローラは、前記エアコンを作動させるための作動信号を生成する作動信号生成手段と、前記エアコンを作動停止させるための停止信号を生成する停止信号生成手段とを備えており、
前記エアコンを用いて前記温度調整空間を前記第1低温温度よりも低い第2低温温度に温度調整するときには、前記エアコン温度検知手段の温度信号が前記第1低温温度と前記第1高温温度との間の第1設定温度となるように設定され、前記エアコンコントローラは前記エアコン温度検知手段からの温度信号に基づいて前記エアコン本体を作動制御し、前記温度調整空間の空間温度が前記第2低温温度まで低下すると、前記システムコントローラの前記停止信号生成手段は、前記システム温度検知手段の検知信号に基づいて前記停止信号を生成し、前記システムコントローラは前記停止信号に基づいて前記エアコン本体を作動停止状態にすることを特徴とするエアコンシステム。
【請求項2】
前記温度調整空間の空間温度を制御するための温度範囲として第2低温温度よりも高い第3低温温度が設定され、前記システム温度検知手段が前記第3低温温度を検知すると、前記システムコントローラの前記作動信号生成手段は前記システム温度検知手段の検知温度に基づいて前記作動信号を生成し、前記エアコンコントローラは前記作動信号に基づいて前記エアコン本体を作動させることを特徴とする請求項1に記載のエアコンシステム。
【請求項3】
前記エアコンを用いて前記温度調整空間を前記第1高温温度よりも高い第2高温温度に温度調整するときには、前記エアコン温度検知手段の温度信号が前記第1低温温度と前記第1高温温度との間の第2設定温度となるように設定され、前記エアコンコントローラは前記エアコン温度検知手段からの温度信号に基づいて前記エアコン本体を作動制御し、前記温度調整空間の空間温度が前記第2高温温度まで上昇すると、前記システムコントローラの前記停止信号生成手段は、前記システム温度検知手段の検知信号に基づいて前記停止信号を生成し、前記システムコントローラは前記停止信号に基づいて前記エアコン本体を作動停止状態にすることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアコンシステム。
【請求項4】
前記温度調整空間の空間温度を制御するための温度範囲として第2高温温度よりも低い第3高温温度が設定され、前記システム温度検知手段が前記第3高温温度を検知すると、前記システムコントローラの前記作動信号生成手段は前記システム温度検知手段の検知温度に基づいて前記作動信号を生成し、前記エアコンコントローラは前記作動信号に基づいて前記エアコン本体を作動させることを特徴とする請求項3に記載のエアコンシステム。
【請求項5】
温度調整空間を冷房及び/又は暖房するためのエアコンと、前記温度調整空間の空間温度を検知するためのシステム温度検知手段と、前記エアコンを作動制御するためのシステムコントローラとを具備し、
前記エアコンは、冷たい空気及び/又は暖かい空気を生成して前記温度調整空間に吹き出すエアコン本体と、前記温度調整空間の空間温度を検知するために前記エアコン本体に装備されたエアコン温度検知手段と、前記エアコン本体を作動制御するためのエアコンコントローラとを備え、前記エアコンコントローラは、前記エアコン温度検知手段からの検知信号に基づいて第1低温温度から第1高温温度の温度範囲にわたって前記温度調整空間の空間温度を調整可能に構成されており、
前記システムコントローラは、前記エアコンを作動させるための作動信号を生成する作動信号生成手段と、前記エアコンを作動停止させるための停止信号を生成する停止信号生成手段とを備えており、
前記エアコンを用いて前記温度調整空間を前記第1高温温度よりも高い第2高温温度に温度調整するときには、前記エアコン温度検知手段の温度信号が前記第1低温温度と前記第1高温温度との間の所定設定温度となるように設定され、前記エアコンコントローラは前記エアコン温度検知手段からの温度信号に基づいて前記エアコン本体を作動制御し、前記温度調整空間の空間温度が前記第2高温温度まで上昇すると、前記システムコントローラの前記停止信号生成手段は、前記システム温度検知手段の検知信号に基づいて前記停止信号を生成し、前記システムコントローラは前記停止信号に基づいて前記エアコン本体を作動停止状態にすることを特徴とするエアコンシステム。
【請求項6】
冷蔵保管する保管物を収容するための冷蔵倉庫本体と、前記冷蔵倉庫本体に装備された請求項1~4のいずれかに記載のエアコンシステムとを具備し、前記エアコンシステムのエアコンは前記冷蔵倉庫本体の冷蔵保管空間を冷房し、前記エアコンシステムのシステム温度検知手段は前記冷蔵保管空間の温度を検知し、前記冷蔵保管空間の空間温度として前記エアコンのエアコン本体に装備されたエアコン温度検知手段の検知温度に基づいて温度調整可能な第1低温温度から第1高温温度までの温度範囲よりも低い第2低温温度に設定可能に構成されていることを特徴とする冷蔵倉庫。
【請求項7】
前記冷蔵倉庫本体の壁構造は、前記冷蔵保管空間側に配設された内側断熱層と、大気側に配設された外側断熱層と、前記内側断熱層と前記外側断熱層との間に配設された防湿層とを備え、前記防湿層は、夏型結露が発生する夏型結露位置を湿り空気線図を用いて特定し、特定した前記夏型結露位置又はその近傍に配設されることを特徴とする請求項6に記載の冷蔵倉庫。
【請求項8】
乾燥保管する保管物を収容するための乾燥倉庫本体と、前記乾燥倉庫本体に装備された請求項5に記載のエアコンシステムとを具備し、前記エアコンシステムのエアコンは前記乾燥倉庫本体の乾燥保管空間を暖房し、前記エアコンシステムのシステム温度検知手段は前記乾燥保管空間の温度を検知し、前記乾燥保管空間の空間温度として前記エアコンのエアコン本体に装備されたエアコン温度検知手段の検知温度に基づいて温度調整可能な第1低温温度から第1高温温度までの温度範囲よりも高い第2高温温度に設定可能に構成されていることを特徴とする乾燥倉庫。
【請求項9】
前記乾燥倉庫本体の前記乾燥保管空間は、熱を蓄熱するための蓄熱本体部及び前記乾燥保管空間を覆うカバー体により規定され、前記蓄熱本体部は、南向きに傾斜した傾斜壁部を有し、前記傾斜壁部はコンクリート壁を備え、前記コンクリート壁の内側に断熱材が配設されており、また前記カバー体は、透明乃至半透明の樹脂プレートからなる二重カバー壁構造に構成されていることを特徴とする請求項8に記載の乾燥倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコンを用いて温度調整空間の温度を制御するエアコンシステム並びにこれを用いた冷蔵倉庫及び乾燥倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、居室空間などの温度調整空間を冷暖房するためにエアコン(即ち、空調装置)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このエアコンは、エアコン本体(室内機及び室外機)と、エアコン本体を作動制御するためのコントローラとを備え、室内機は室内の壁などに取り付けられ、室外機は屋外に設置され、コントローラは、例えば、入力操作するための操作リモコンを含んでいる。
【0003】
このようなエアコンでは、一般的に、操作リモコンによる温度設定が例えば18~30℃の温度範囲となるように構成されている。例えば、夏などの暑いときには、操作リモコンによって設定温度が例えば24~28℃程度に設定され、このような場合、エアコン本体の吹出し口から冷やされた空気(冷気)が吹き出され、吹き出す冷気によって温度調整空間が冷房される。また、例えば、冬などの寒いときには、操作リモコンによって設定温度が22~26℃程度に設定され、このような場合、エアコン本体の吹出し口から暖かい空気(暖気)が吹き出され、吹き出す暖気によって温度調整空間が暖房される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のエアコンでは、エアコン本体(室内機及び室外機)のインバータ制御により省エネが進んでおり、このようなエアコンを例えば冷蔵倉庫の温度調整空間(例えば、冷蔵保管空間)を冷却するために用いようとする考えがある。ところが、冷蔵倉庫の温度調整空間の空間温度を例えば10℃前後に保とうとした場合、操作リモコンによる温度設定可能な温度範囲が例えば18~30℃であるために、例えば18℃よりも低い温度に設定することができないという問題がある。
【0006】
また、このようなエアコンを例えば乾燥倉庫の温度調整空間を暖房するために用いようとする考えがある。ところが、乾燥倉庫の温度調整空間(例えば、乾燥保管空間)の空間温度を例えば45℃前後に保とうとした場合、操作リモコンによる温度設定可能な温度範囲が例えば18~30℃であるために、例えば30℃よりも高い温度に設定することができないという問題がある。
【0007】
本発明の第1の目的は、通常の操作により設定される設定最低温度よりも低い温度に冷房することが可能なエアコンシステムを提供することである。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、通常の操作により設定される設定最高温度よりも高い温度に暖房することが可能なエアコンシステムを提供することである。
【0009】
また、本発明の第3の目的は、エアコンを用いて温度調整空間を設定最低温度よりも低い温度に保つことができる冷蔵倉庫を提供することである。
【0010】
更に、本発明の第4の目的は、エアコンを用いて温度調整空間を設定最高温度よりも高い温度に保つことができる乾燥倉庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明では、上記第1の目的に対応して、温度調整空間を冷房及び/又は暖房するためのエアコンと、前記温度調整空間の空間温度を検知するためのシステム温度検知手段と、前記エアコンを作動制御するためのシステムコントローラとを具備し、
前記エアコンは、冷たい空気及び/又は暖かい空気を生成して前記温度調整空間に吹き出すエアコン本体と、前記温度調整空間の空間温度を検知するために前記エアコン本体に装備されたエアコン温度検知手段と、前記エアコン本体を作動制御するためのエアコンコントローラとを備え、前記エアコンコントローラは、前記エアコン温度検知手段からの検知信号に基づいて第1低温温度から第1高温温度の温度範囲にわたって前記温度調整空間の空間温度を調整可能に構成されており、
前記システムコントローラは、前記エアコンを作動させるための作動信号を生成する作動信号生成手段と、前記エアコンを作動停止させるための停止信号を生成する停止信号生成手段とを備えており、
前記エアコンを用いて前記温度調整空間を前記第1低温温度よりも低い第2低温温度に温度調整するときには、前記エアコン温度検知手段の温度信号が前記第1低温温度と前記第1高温温度との間の第1設定温度となるように設定され、前記エアコンコントローラは前記エアコン温度検知手段からの温度信号に基づいて前記エアコン本体を作動制御し、前記温度調整空間の空間温度が前記第2低温温度まで低下すると、前記システムコントローラの前記停止信号生成手段は、前記システム温度検知手段の検知信号に基づいて前記停止信号を生成し、前記エアコンコントローラは前記停止信号に基づいて前記エアコン本体を作動停止状態にすることを特徴とするエアコンシステムが提供される。
【0012】
また、第2発明では、温度調整空間を冷房及び/又は暖房するためのエアコンと、前記温度調整空間の空間温度を検知するためのシステム温度検知手段と、前記エアコンを作動制御するためのシステムコントローラとを具備し、
前記エアコンは、冷たい空気及び/又は暖かい空気を生成して前記温度調整空間に吹き出すエアコン本体と、前記温度調整空間の空間温度を検知するために前記エアコン本体に装備されたエアコン温度検知手段と、前記エアコン本体を作動制御するためのエアコンコントローラとを備え、前記エアコンコントローラは、前記エアコン温度検知手段からの検知信号に基づいて第1低温温度から第1高温温度の温度範囲にわたって前記温度調整空間の空間温度を調整可能に構成されており、
前記システムコントローラは、前記エアコンを作動させるための作動信号を生成する作動信号生成手段と、前記エアコンを作動停止させるための停止信号を生成する停止信号生成手段とを備えており、
前記エアコンを用いて前記温度調整空間を前記第1高温温度よりも高い第2高温温度に温度調整するときには、前記エアコン温度検知手段の温度信号が前記第1低温温度と前記第1高温温度との間の所定設定温度となるように設定され、前記エアコンコントローラは前記エアコン温度検知手段からの温度信号に基づいて前記エアコン本体を作動制御し、前記温度調整空間の空間温度が前記第2高温温度まで上昇すると、前記システムコントローラの前記停止信号生成手段は、前記システム温度検知手段の検知信号に基づいて前記停止信号を生成し、前記エアコンコントローラは前記停止信号に基づいて前記エアコン本体を作動停止状態にすることを特徴とするエアコンシステムが提供される。
【0013】
また、第3発明では、冷蔵保管する保管物を収容するための冷蔵倉庫本体と、前記冷蔵倉庫本体に装備された請求項1~4のいずれかに記載のエアコンシステムとを具備し、前記エアコンシステムのエアコンは前記冷蔵倉庫本体の冷蔵保管空間を冷房し、前記エアコンシステムのシステム温度検知手段は前記冷蔵保管空間の温度を検知し、前記冷蔵保管空間の空間温度として、前記エアコンのエアコン本体に装備されたエアコン温度検知手段の検知温度に基づいて温度調整可能な第1低温温度から第1高温温度までの温度範囲よりも低い第2低温温度に設定可能に構成されていることを特徴とする冷蔵倉庫が提供される。
【0014】
更に、第4発明では、乾燥保管する保管物を収容するための乾燥倉庫本体と、前記乾燥倉庫本体に装備された請求項5に記載のエアコンシステムとを具備し、前記エアコンシステムのエアコンは前記乾燥倉庫本体の乾燥保管空間を暖房し、前記エアコンシステムのシステム温度検知手段は前記乾燥保管空間の温度を検知し、前記乾燥保管空間の空間温度として、前記エアコンのエアコン本体に装備されたエアコン温度検知手段の検知温度に基づいて温度調整可能な第1低温温度から第1高温温度までの温度範囲よりも高い第2高温温度に設定可能に構成されていることを特徴とする乾燥倉庫が提供される。
【発明の効果】
【0015】
第1発明のエアコンシステムによれば、エアコンは、エアコン本体と、このエアコン本体に装備されたエアコン温度検知手段と、エアコン本体を作動制御するためのエアコンコントローラとを備え、このエアコンコントローラは、エアコン温度検知手段からの検知信号に基づいて第1低温温度から第1高温温度の温度範囲にわたって温度調整可能に構成され、システムコントローラは、エアコンを作動させるための作動信号を生成する作動信号生成手段と、エアコンを作動停止させるための停止信号を生成する停止信号生成手段とを備えている。このエアコンを用いて第1低温温度よりも低い第2低温温度に温度調整するときには、エアコン温度検知手段の温度信号が第1低温温度と第1高温温度との間の第1設定温度となるように設定されるので、このエアコン温度検知手段は、検知温度が第1設定温度と判定し、温度調整空間の空間温度が第1低温温度よりも低くなってもこのエアコン温度検知手段は第1設定温度と判定し続け、エアコン本体の冷房運転が継続されて温度調整空間を冷房する。そして、温度調整空間の空間温度が第2低温温度まで低下すると、停止信号生成手段は、システム温度検知手段の検知信号に基づいて停止信号を生成し、この停止信号に基づいてエアコン本体が作動停止するので、温度調整空間を第1低温温度よりも低い第2低温温度まで冷房することができる。
【0016】
また、本第2発明のエアコンシステムによれば、エアコン及びシステムコントローラの基本的構成は上述したと同様の構成であり、このエアコンを用いて第1高温温度よりも高い第2高温温度に温度調整するときには、エアコン温度検知手段の温度信号が第1低温温度と第1高温温度との間の所定設定温度となるように設定されるので、このエアコン温度検知手段は、検知温度が所定設定温度と判定し、温度調整空間の空間温度が第1高温温度よりも高くなってもこのエアコン温度検知手段は所定設定温度と判定し続け、エアコン本体の暖房運転が継続されて温度調整空間を暖房する。そして、温度調整空間の空間温度が第2高温温度まで上昇すると、停止信号生成手段は、システム温度検知手段の検知信号に基づいて停止信号を生成し、この停止信号に基づいてエアコン本体が作動停止するので、温度調整空間を第1高温温度よりも高い第2高温温度まで暖房することができる。
【0017】
また、本第3発明の冷蔵倉庫によれば、冷蔵保管する保管物を収容するための冷蔵倉庫本体と、この冷蔵倉庫本体に装備された請求項1~4のいずれかに記載のエアコンシステムとを具備しているので、エアコンシステムのエアコンは冷蔵倉庫本体の冷蔵保管空間を冷房し、前記エアコンシステムのシステム温度検知手段は冷蔵保管空間の温度を検知し、冷蔵保管空間の空間温度としてエアコン温度検知手段の検知温度に基づいて温度調整可能な第1低温温度よりも低い第2低温温度まで冷房することができる。
【0018】
更に、本第4発明の乾燥倉庫によれば、乾燥保管する保管物を収容するための乾燥倉庫本体と、この乾燥倉庫本体に装備された請求項5に記載のエアコンシステムとを具備しているので、エアコンシステムのエアコンは乾燥倉庫本体の乾燥保管空間を暖房し、エアコンシステムのシステム温度検知手段は乾燥保管空間の温度を検知し、乾燥保管空間の空間温度としてエアコン温度検知手段の検知温度に基づいて温度調整可能な第1高温温度よりも高い第2高温温度まで暖房することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に従う第1の実施形態のエアコンシステムを装備した冷蔵倉庫の冷蔵保管空間を簡略的に示す平面図。
【
図2】
図1のエアコンシステムの制御系を簡略的に示すブロック図。
【
図3】
図2のエアコンシステムの制御系による制御原理を説明するための説明図。
【
図4】
図1の冷蔵倉庫の壁構造の一部を示す部分断面図。
【
図5】
図4の壁構造における防湿層の位置を説明するための図であって、
図5(a)は、大気条件が35℃、60%で冷蔵保管空間の条件が13℃、60%のときの防湿層の位置を示す説明図、
図5(b)は、大気条件が35℃、60%で冷蔵保管空間の条件が18℃、60%のときの防湿層の位置を示す説明図。
【
図6】本発明に従う第2の実施形態のエアコンシステムを装備した冷蔵倉庫の冷蔵保管空間を簡略的に示す平面図。
【
図7】本発明に従う第3の実施形態のエアコンシステムを装備した冷蔵倉庫の冷蔵保管空間を簡略的に示す平面図。
【
図8】本発明に従う第4の実施形態のエアコンシステムの制御系を簡略的に示すブロック図。
【
図9】
図8のエアコンシステムの制御系による制御原理を説明するための説明図。
【
図10】
図8のエアコンシステムを装備した乾燥倉庫を示す平面図。
【
図12】本発明に従う第5の実施形態のエアコンシステムの制御系を簡略的に示すブロック図。
【
図13】
図12のエアコンシステムの制御系による制御原理を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うエアコンシステムの実施形態並びにこのエアコンシステムを用いた冷蔵倉庫及び乾燥倉庫の実施形態について説明する。
【0021】
第1の実施形態のエアコンシステム及びこれを用いた冷蔵倉庫
まず、
図1~
図5を参照して、本発明に従うエアコンシステムの第1の実施形態及びこれを用いた冷蔵倉庫について説明する。
図1において、図示の冷蔵倉庫2は、冷蔵保管すべき保管物を収容するための冷蔵保管空間4(温度調整空間を構成する)を規定する冷蔵倉庫本体6を備え、図示の例では、この冷蔵倉庫本体6は、略矩形状の壁構造8と、この壁構造8の上面を覆う天井(図示せず)を含んでいる。壁構造8の壁部材10には入口開口12が設けられ、この入口開口12に開閉扉14が開閉自在に設けられている。
【0022】
この冷蔵倉庫本体6(冷蔵保管空間4)には、冷蔵保管すべき保管物(図示せず)が収容される。この冷蔵保管物としては、米などの穀類、野菜・果物類、花類、製粉類、ワイン類などであり、例えば、野菜・果実類などを保管するときには10℃程度に、例えば穀類(例えば、米)、花類などを保管するときには例えば13℃程度に、また製粉類、ワイン類などを保管するときには18℃程度に冷蔵保持される。
【0023】
この冷蔵倉庫本体6には、冷蔵保管空間4を後述する如く冷蔵するためのエアコンシステム16が装備される。この実施形態では、エアコンシステム16として4台のエアコン18、即ち第1~第4エアコン18a~18dが用いられ、4台の第1~第4エアコン18a~18dは、例えば、
図1に示すように冷蔵倉庫本体6の壁構造8に取り付けられる。これらのエアコン18(18a~18d)としては、市販されているものを用いることができ、4台とも同じもの(具体的には、同じ製造メータの同じ型式のもの)を用いるのが好ましい。
【0024】
図1に示すように、第1エアコン18aは壁構造8の壁部材10の一端部(
図1において右側端部)の上部に取り付けられ、第1エアコン18bはその壁部材20の一端部(
図1において上側端部)に取り付けられ、第3エアコン18cはその壁部材22の一端部(
図1において左側端部)の上部に取り付けられ、また第4エアコン18dはその壁部材24の一端部(
図1において下側端部)に取り付けられる。第1エアコン18aの吹出し口(図示せず)からの冷風は、対向する壁部材22に向けて矢印26aで示すように吹き出され、また第2エアコン18b(又は第3エアコン18c、第4エアコン18d)の吹出し口(図示せず)からの冷風は、対向する壁部材24(又は10,20)に向けて矢印26b(又は26c,26d)で示すように吹き出され、第1~第4エアコン18a~18dからの冷風がこのように吹き出されるので、冷蔵保管空間4(温度調整空間)内の冷風は、矢印28で示すように反時計方向に環状に流れ、このように循環することにより、この冷蔵保管空間4を均一に冷却することができる。
【0025】
次に、
図1とともに
図2及び
図3を参照して更に説明すると、第1~第4エアコン18a~18dは、同じ製造メーカの同じ型式のものが用いられ、以下その一つのエアコン18(第1~第4エアコン18a~18d)について説明する。図示のエアコン18は、冷たい空気(即ち、冷気)及び/又は暖かい空気(即ち、暖気)を生成して吹き出すためのエアコン本体30と、このエアコン本体30を作動制御するためのエアコンコントローラ32と、エアコン本体30に装備されたエアコン温度検知手段34とを備えている。エアコン本体30は、具体的に示していないが、冷蔵保管空間4(温度調整空間)に配設される室内機と、冷蔵保管空間4の外に設置される室外機とから構成され、室外機から流れる液体が室内機にて蒸発することにより冷気が生成され、生成された冷気が室内機の吹出し口から吹き出される。
【0026】
エアコン温度検知手段34は、例えば温度センサから構成され、エアコン本体30の室内機に装備され、冷蔵保管空間4(温度調整空間)の温度を検知する。市販のエアコン18では、一般的に、エアコン本体30の吹出し口の冷気の温度は2℃程度に設定され(この冷気を用いることにより、約2℃まで冷却することが可能となる)、その吹出し口の暖気の温度は50℃程度に設定されている(この暖気を用いることにより、約50℃まで暖房することが可能となる)が、エアコン18の操作リモコン(図示せず)により設定されるエアコン設定最低温度(第1低温温度とも表現する)は18℃程度に設定され、またこの操作リモコンにより設定されるエアコン設定最高温度(第1高温温度とも表現する)は30℃程度に設定されている。従って、市販のエアコン18を単に用いた場合、エアコン温度検知手段34からの検知温度に基づいて、エアコン設定最低温度(第1低温温度)とエアコン設定最高温度(第1高温温度)との間の温度範囲にわたって温度調整空間の空間温度を調整することが可能となる。
【0027】
この市販のエアコン18を冷蔵保管空間4(温度調整空間)を冷房するために用いることが可能なように、更に、次のように構成されている。この第1の実施形態では、エアコンシステム16は、更に、システム全体(即ち、第1~第4エアコン18a~18d)を制御するためのシステムコントローラ36と、冷蔵保管空間4(温度調整空間)の空間温度を検知するためのシステム温度検知手段38と、冷蔵保管空間4の冷蔵温度を入力設定するための温度入力設定手段40とを備えている。
【0028】
システム温度検知手段38は、例えば温度センサから構成され、エアコン18(第1~第4エアコン18a~18d)のエアコン温度検知手段34に代えて、冷蔵保管空間4の空間温度を検知する。また、温度入力設定手段40は、例えば操作パネルなどから構成され、入力操作することにより冷蔵保管温度を設定し、この第1の実施形態では、第1低温温度(例えば、18℃)よりも低い第2低温温度(例えば、13℃)を入力設定し、この第2低温温度(例えば、13℃)に設定することにより冷蔵倉庫2(冷蔵保管空間4)として用いることができる。
【0029】
また、システムコントローラ36は例えばマイコンなどから構成され、信号処理手段42、冷蔵温度設定手段44、作動信号生成手段46、停止信号生成手段48及びメモリ手段50を含んでいる。信号処理手段42は、システム温度検知手段38からの検知信号及び温度入力設定手段40からの入力信号などを所要の通りに処理し、冷蔵温度設定手段44は、温度入力設定手段40からの入力信号に基づいて冷蔵温度を設定し、設定した冷蔵温度がメモリ手段50に登録される。
【0030】
例えば、米などの穀類を冷蔵保管するために、温度入力設定手段40により冷蔵保管空間4の冷蔵温度を13℃に設定すると、信号処理手段42はこの入力信号を所要の通りに処理し、冷蔵温度設定手段44は、冷蔵温度として13℃を設定し、この実施形態では冷蔵温度の下温度(即ち、第2低温温度)として13℃を、またその上温度(即ち、第3低温温度)として下温度より例えば1℃高い14℃を設定し、この設定した下温度(第2低温温度)及び上温度(第3低温温度)がメモリ手段50に登録される。尚、この実施形態では、下温度として入力設定した温度を、また上温度として下温度よりも1℃高い温度を設定しているが、例えば、上温度として下温度よりも例えば0.5℃又は2℃高い温度を設定するようにしてもよい。
【0031】
また、冷蔵保管空間4の空間温度(システム温度検知手段38の検知温度)が下温度(第2低温温度)以下に低下すると、停止信号生成手段48は停止信号を生成し、またこの空間温度が上温度(第3低温温度)以上に上昇すると、作動信号生成手段46は作動信号を生成し、エアコン18(第1~第4エアコン18a~18d)はこの停止信号及び作動信号に基づき作動制御される。
【0032】
このエアコンシステム16では、冷蔵保管空間4(即ち、冷蔵倉庫2の庫内空間)の冷蔵温度としてエアコン18(第1~第4エアコン18a~18d)により設定可能なエアコン設定最低温度(換言すると、第1低温温度)(例えば、18℃)よりも低い第2低温温度(例えば、13℃)にすることがきるように、エアコン温度検知手段34の温度信号を、このエアコン18により設定可能な第1低温温度(例えば18℃)と第1高温温度(例えば、30℃)との間の第1設定温度(例えば、25℃)となるように設定される。
【0033】
例えば、エアコン温度検知手段34が温度調整空間の空間温度の変化を抵抗値の変動でもって検知する形態のものである場合、エアコン温度検知手段34の抵抗値が第1設定温度に対応する抵抗値となるように設定される。このように設定した場合、エアコン温度検知手段34は、温度調整空間の空間温度が第1設定温度とした温度信号を生成するので、冷蔵保管温度として第1低温温度よりも低い第2低温温度を設定したときにも、このエアコン温度検知手段34は第1設定温度とした温度信号を生成し、このことにより、エアコン18(第1~第4エアコン18a~18d)は作動し続け、第1低温温度(例えば、18℃)よりも低くなっても作動し続け、エアコン18(第1~第4エアコン18a~18d)の第1低温温度以下での冷房運転が可能なり、冷蔵倉庫2(冷蔵保管空間4)の庫内を第1低温温度(例えば、18℃)よりも低い第2低温温度(例えば、13℃)に冷房することが可能となる。
【0034】
このことを
図3を参照して説明すると、市販のエアコン18を用いた場合、例えば操作リモコン(図示せず)により設定可能な温度は、エアコン設定最低温度(第1低温温度)とエアコン設定最高温度(第1高温温度)との間の温度範囲であり、温度調整空間の温度をこの温度範囲に保つときには、市販のエアコンをそのまま用いて温度制御することにより、温度調整空間を設定温度に冷暖房することができる。
【0035】
ところが、温度調整空間の空間温度を第1低温温度よりも低い第2定温温度に冷房しようとすれば、市販のエアコン18をそのまま用いては冷房することができないので、例えば上述したように構成するようになる。これは、エアコン18のエアコン本体30(室内機)の吹出し口(図示せず)から吹き出される冷気の温度が例えば2℃程度であるので、この冷気温度に着目して第1低温温度よりも低い第2低温温度まで冷房して冷蔵倉庫2の冷蔵機として利用するものである。従って、市販エアコン18を冷蔵機として利用する場合、エアコン18の吹出し口の冷気温度(例えば、2℃)とエアコン18のエアコン設定最低温度(第1低温温度)(例えば、18℃)との間の温度範囲に保つときに、この第1の実施形態のエアコンシステム16が用いられ、このエアコンシステム16の冷房運転により温度調整空間を第1低温温度よりも低い第2冷房温度に冷房することができる。従って、保管倉庫にこのエアコンシステム16を採用することにより冷蔵倉庫2として利用することができ、保管物を冷蔵保管することができる。
【0036】
この場合、冷蔵機として市販のエアコン18(第1~第4エアコン18a~18d)を用いているので、専用の冷蔵機を用いる場合に比して施工コストを下げることができるとともに、市販エアコン18の省エネ性により冷蔵保管コスト(冷蔵運転による電気代など)を半分以下に下げることができる。
【0037】
このエアコンシステム16を用いた冷蔵倉庫2では、例えば、冷蔵倉庫2内に保管物(例えば、米)を入れ、冷蔵保管温度を第2低温温度(例えば、13℃)に設定して運転を開始すると、エアコン温度検知手段34は冷蔵保管空間4(冷蔵倉庫2の庫内温度)が第1設定温度(例えば、25℃)とする温度信号を生成するので、冷蔵保管空間4の空間温度が第2低温温度(例えば、13℃)よりも高いと判定して冷房運転を行い、この冷房運転により、冷蔵保管空間4が冷房される。
【0038】
そして、冷蔵保管空間4の空間温度が第2低温温度(例えば、13℃)(設定空間温度の下温度)まで低下する(システム温度検知手段38が第2低温温度を検知する)と、システム温度検知手段38の検知信号に基づいてシステムコントローラ36の停止信号生成手段48は停止信号を生成し、この停止信号に基づいてエアコン18(第1~第4エアコン18a~18d)が作動停止状態となり、エアコン18による冷房が停止する。尚、この作動停止状態とは、エアコン18(第1~第4エアコン18a~18d)の作動が完全に停止するか、或いは作動する時間が短い場合(所謂、ディユーティ比が小さい場合)の双方を含む状態をいう。
【0039】
その後、冷蔵保管空間4の空間温度が設定空間温度の上温度(例えば、14℃)まで上昇する(システム温度検知手段38が上温度を検知する)と、システム温度検知手段38の検知信号に基づいてシステムコントローラの作動信号生成手段46は作動信号を生成し、この作動信号に基づいてエアコン18(第1~第4エアコン18a~18d)が作動し、エアコン18による冷房が再開され、エアコン18(第1~第4エアコン18a~18d)の作動、作動停止を繰り返して冷蔵保管空間4の空間温度が第2低温温度に保たれ、保管物を冷蔵保管することができる。
【0040】
このように冷蔵保管する場合、冷蔵倉庫2の壁構造8に結露が発生するおそれがあり、この結露の発生を抑えるために、
図4及び
図5に示すように構成するのが好ましい。
図4において、図示の壁構造8は、冷蔵倉庫2の冷蔵保管空間4を規定する内側の内装部材62と壁構造8の外側に配設された外装部材64とを備え、この内装部材62と外装部材64との間に断熱部材66及び防湿部材68が配設される。内装部材62としては、一般的な建築用内装材、例えば木材を用いることができ、外装部材64としては、一般的な建築用外装材を用いることができる。また、断熱部材66としては、例えばグラスウール(例えば、「高性能グラスウール」として市販されているもの)を用いることができ、更に防湿部材68としては、例えば薄いポリエチレンフォーム(0.2mm程度のもの)を用いることができる。
【0041】
この壁構造8は、コンクリート土間70の上に施工され、夏場においては外気の温度が冷蔵保管空間4(冷蔵倉庫2の庫内空間)よりも高く、例えば外気温度が35℃であるときには外気と冷蔵保管空間4の庫内温度との温度差が22℃程生じ、このことに起因して、外気が断熱部材66内を流れる際に断熱部材66内において夏型結露が発生するおそれがある。
【0042】
このような夏型結露を防止するために、内側断熱部材66a(内側断熱層を構成する)と外側断熱部材66b(外側断熱層を構成する)との間に防湿部材(防湿層を構成する)が介在され、この防湿部材68を介在させることによって断熱部材66内での夏型結露の発生を防止している。
【0043】
この防湿部材68(防湿層)は、夏型結露が発生する位置(夏型結露位置)又はその近傍に配設され、このような位置に配設することによって、外気に含まれる水分が防湿部材68を通して冷蔵保管空間4側(空間温度が低い側)に流れることがなく、これにより、断熱部材66内での結露の発生を防止することができる。
【0044】
この夏型結露位置は、湿り空気線図を用い、外気の温度及び湿度並びに冷蔵保管空間4の空間温度及び空間湿度に基づき特定することができ、この夏型結露位置の特定方法については、例えば特開2008-45325号公報を参照されたい。
【0045】
例えば、断熱部材66の厚さLが18cmとし、外気側(大気)の温度が35℃で湿度が60%とし、また冷気側(冷蔵保管空間4の空気)の温度が13℃で湿度が60%としたときには、
図5(a)で示すように、夏型結露位置は、冷蔵保管空間4側(断熱部材66の内側面)から12cmの位置となり、この夏型結露位置に防湿部材68(防水層)が配設されるようになり、従って、この防湿部材68の内面側に厚さ(T1)が12cmの内側断熱部材66a(内側断熱層)が設けられ、その外面側に厚さ(t1)が6cmの外側断熱部材66b(外側断熱層)が設けられる。
【0046】
また、外気側(大気)の温度が35℃で湿度が60%とし、また冷気側(冷蔵保管空間4の空気)の温度が18℃で湿度が60%としたときには、
図5(b)で示すように、夏型結露位置は、冷蔵保管空間4側(断熱部材66の内側面)から9cmの位置となり、この夏型結露位置に防湿部材68(防水層)が配設されるようになり、従って、この防湿部材68の内面側に厚さ(T1)が9cmの内側断熱部材66a(内側断熱層)が設けられ、その外面側に厚さ(t1)が9cmの外側断熱部材66b(外側断熱層)が設けられ、このような位置に防湿部材68を配設することにより、断熱部材66内での結露発生を防止することができる。
【0047】
第2の実施形態のエアコンシステム及びこれを用いた冷蔵倉庫
次に、
図6を参照して、第2の実施形態のエアコンシステム及びこれを用いた冷蔵倉庫について説明する。この第2のエアコンシステムにおいては、2台のエアコンを用いて冷蔵倉庫の冷蔵保管空間を冷蔵している。尚、以下の実施形態において、第1の実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0048】
図6を参照して、図示の冷蔵倉庫2Aは、冷蔵保管すべき保管物を収容するための冷蔵保管空間4A(温度調整空間を構成する)を規定する冷蔵倉庫本体6Aを備え、この冷蔵倉庫本体6Aは、上述した第1の実施形態と同様の構造である。
【0049】
この冷蔵倉庫本体6A(冷蔵保管空間4A)にエアコンシステム16Aが装備され、エアコンシステム16Aにより冷却される冷蔵保管空間4Aに、冷蔵保管すべき保管物(図示せず)が収容される。この実施形態では、エアコンシステム16Aとして2台のエアコン18A、即ち第1及び第2エアコン18Aa~18Abが用いられ、第1及び第2エアコン18Aa~18Abは、例えば、
図6に示すように冷蔵倉庫本体6Aの壁構造8に取り付けられる。この場合においても、第1及び第2エアコン18Aa~18Abとして、市販されているものを用いることができる。
【0050】
図6に示すように、第1エアコン18Aaは壁構造8の壁部材10の一端部(
図6において右側端部)の上部に取り付けられ、また第2エアコン18Abは壁部材22(壁部材10と対向する壁部材)の一端部(
図6において左側端部)に取り付けられる。このように構成した場合、第1エアコン18Aaの吹出し口(図示せず)からの冷風は、対向する壁部材22に向けて矢印で示すように吹き出され、また第2エアコン18Abの吹出し口(図示せず)からの冷風は、対向する壁部材10に向けて矢印で示すように吹き出され、第1及び第2エアコン18Aa,18Abからの冷風がこのように吹き出されるので、冷蔵保管空間4A(温度調整空間)内の冷風は、第1の実施形態のときと同様に、矢印28Aで示すように反時計方向に環状に流れ、この冷蔵保管空間4Aを均一に冷却することができる。
【0051】
尚、第1及び第2エアコン18Aa,18Abは、エアコン壁部材10,22に代えて、他の壁部材20,24に取り付けるようにしてもよく、この場合、例えば、第1エアコン18Aaは壁部材20の一端部(
図6において上側端部)の上部に取り付けられ、また第2エアコン18Abは壁部材24の一端部(
図6において下側端部)に取り付けられ、このように構成しても、上述した同様に、冷蔵保管空間4Aを均一に冷却することができる。
【0052】
第3の実施形態のエアコンシステム及びこれを用いた冷蔵倉庫
次に、
図7を参照して、第3の実施形態のエアコンシステム及びこれを用いた冷蔵倉庫について説明する。この第3のエアコンシステムにおいては、6台のエアコンを用いて冷蔵倉庫の冷蔵保管空間を冷蔵している。
【0053】
図7を参照して、図示の冷蔵倉庫2Bは、冷蔵保管すべき保管物を収容するための冷蔵保管空間4B(温度調整空間を構成する)を規定する冷蔵倉庫本体6Bを備え、この冷蔵倉庫本体6Bにより規定される冷蔵保管空間4Bは、
図7において左右方向に細長く、その他の構成は、上述した第1の実施形態と略同様である。
【0054】
この冷蔵倉庫本体6B(冷蔵保管空間4B)にエアコンシステム16Bが装備され、エアコンシステム16Bにより冷却される冷蔵保管空間4Bに、冷蔵保管すべき保管物(図示せず)が収容される。この実施形態では、エアコンシステム16Bとして6台のエアコン18B、即ち第1~第6エアコン18Ba~18Bfが用いられ、第1~第3エアコン18Ba~18Bcは、例えば、
図7に示すように、冷蔵倉庫本体6Bの片側部(
図7において右部)の壁構造8Bに取り付けられ、第4~第6エアコン18Bd~18Bfは、冷蔵倉庫本体6Bの他側部(
図7において左部)の壁構造8Bに取り付けられる。この場合においても、第1~第6エアコン18Ba~18Bfとして、市販されているものを用いることができる。
【0055】
図7に示すように、第1エアコン18Baは壁構造8Bの壁部材10Bの一端部(
図7において右側端部)の上部に取り付けられ、第2エアコン18Bbは壁部材20Bの一端部(
図7において上側端部)の上部に取り付けられ、また第3エアコン18Bcは、壁部材22Bの幅方向略中央部の上部に取り付けられる。また、第4エアコン18Bdは壁構造8Bの壁部材22Bの幅方向略中央部の上部に取り付けられ、第5エアコン18Beは壁部材24Bの一端部(
図7において上側端部)の上部に取り付けられ、また第6エアコン18Bfは、壁部材10Bの他端部(
図7において左端部)の上部に取り付けられる。
【0056】
このように構成した場合、第1エアコン18Baの吹出し口(図示せず)からの冷風は、対向する壁部材22Bに向けて矢印で示すように吹き出され、また第2エアコン18Bbの吹出し口(図示せず)からの冷風は、対向する壁部材24Bに向けて矢印で示すように吹き出され、第3エアコン18Bcの吹出し口(図示せず)からの冷風は、対向する壁部材10Bに向けて矢印で示すように吹き出される。また、第4エアコン18Bdの吹出し口(図示せず)からの冷風は、対向する壁部材10Bに向けて矢印で示すように吹き出され、また第5エアコン18Beの吹出し口(図示せず)からの冷風は、対向する壁部材20Bに向けて矢印で示すように吹き出され、第6エアコン18Bfの吹出し口(図示せず)からの冷風は、対向する壁部材22Bに向けて吹き出される。
【0057】
冷蔵保管空間4Bの片側部においては、第1~第3エアコン18Ba~19Bcからの冷風がこのように吹き出されるので、この冷蔵保管空間4B(温度調整空間)の片側部内の冷風は、主として矢印72で示すように反時計方向に環状に流れ、この片側部内を均一に冷却することができる。また、冷蔵保管空間4Bの他側部においては、第4~第6エアコン18Bd~18Bfからの冷風がこのように吹き出されるので、この冷蔵保管空間4B(温度調整空間)の他側部内の冷風は、主として矢印74で示すように時計方向に環状に流れ、この他側部内を均一に冷却することができ、その結果、冷蔵保管空間4B全体、即ち冷蔵倉庫2Bの庫内全体を均一に冷却することができる。
【0058】
第4の実施形態のエアコンシステム及びこれを用いた乾燥倉庫
次に、
図8及び
図9を参照して、第4の実施形態のエアコンシステム及びこれを用いた乾燥倉庫について説明する。この第4のエアコンシステムにおいては、温度調整空間を冷房するのではなく、暖房させて乾燥保管空間として機能させているが、市販のエアコンを4台用いるなどの点においては、上述した第1の実施形態と同様である。
【0059】
第4のエアコンシステム16Cは、例えば、
図8に示す通り構成であり、4台のエアコン18C、即ち第1~第4エアコン18Ca~18Cdと、これら4台のエアコン18C(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)を作動制御するためのシステムコントローラ36Cを備えている。エアコン18C(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)は、第1の実施形態のものと同様のものでよく、冷気及び/又は暖気を生成して吹き出すためのエアコン本体30と、このエアコン本体30を作動制御するためのエアコンコントローラ32と、エアコン本体30に装備されたエアコン温度検知手段34とを備えている。
【0060】
この第4の実施形態では、市販のエアコン18Cを乾燥保管空間4C(
図11参照)(温度調整空間)を暖房乾燥するために用いることが可能なように、エアコンシステム16Cのシステムコントローラ36Cに関連して、第1の実施形態と同様に、乾燥保管空間4C(温度調整空間)の空間温度を検知するためのシステム温度検知手段38と、乾燥保管空間4Cの乾燥温度を入力設定するための温度入力設定手段40とが設けられる。
【0061】
システム温度検知手段38は、上述したと同様に、エアコン18C(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)のエアコン温度検知手段34に代えて、乾燥保管空間4Cの空間温度を検知する。また、温度入力設定手段40は、入力操作することにより乾燥保管温度を設定し、この第4の実施形態では、操作リモコンにより設定されるエアコン設定最高温度(第1高温温度)(例えば、30℃)よりも高い第2高温温度(例えば、45℃)を入力設定し、この第2高温温度(例えば、45℃)に設定することにより、例えば
図10及び
図11に示すような乾燥倉庫2C(乾燥保管空間4C)として用いることができる。
【0062】
また、システムコントローラ36Cは、冷蔵温度設定手段に代えて、乾燥温度設定手段82が設けられ、このシステムコントローラ36Cのその他の構成は、上述した第1の実施形態と同様でよい。この場合、乾燥温度設定手段82は温度入力設定手段40からの入力信号に基づいて乾燥温度を設定し、設定した乾燥温度がメモリ手段50Cに登録される。
【0063】
例えば、木材を乾燥保管するために、温度入力設定手段40により乾燥保管空間4Cの乾燥温度を45℃に設定すると、信号処理手段42Cはこの入力信号を所要の通りに処理し、乾燥温度設定手段82は、乾燥温度として45℃を設定し、この実施形態では乾燥温度の上温度(即ち、第2高温温度)として45℃を、またその下温度(第3高温温度)として上温度より例えば1℃低い44℃を設定し、この設定した上温度(第2高温温度)及び下温度(第3高温温度)がメモリ手段50Cに登録される。
【0064】
尚、この実施形態では、上温度(第2高温温度)として入力設定した温度を、また下温度(第3高温温度)として上温度よりも1℃高い温度を設定しているが、例えば、下温度(第3高温温度)として上温度(第2高温温度)よりも例えば0.5℃又は2℃低い温度を設定するようにしてもよい。
【0065】
この実施形態では、乾燥保管空間4Cの空間温度(システム温度検知手段38の検知温度)が上温度(第2高温温度)以上に上昇すると、停止信号生成手段48Cは停止信号を生成し、またこの空間温度が下温度(第3高温温度)以下に低下すると、作動信号生成手段46Cは作動信号を生成し、エアコン18C(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)はこの停止信号及び作動信号に基づき作動制御される。
【0066】
このエアコンシステム16Cでは、乾燥保管空間4C(即ち、乾燥倉庫2Cの庫内空間)の乾燥温度としてエアコン18C(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)により設定可能なエアコン設定最高温度(換言すると、第1高温温度)(例えば、30℃)よりも高い第2高温温度(例えば、45℃)にすることがきるように、エアコン温度検知手段34の温度信号が、このエアコン18Cにより設定可能な第1低温温度(例えば18℃)と第1高温温度(例えば、30℃)との間の第2設定温度(例えば、25℃)となるように設定され、この第2設定温度は、第1の実施形態における第1設定温度と同じ温度であってもよく、この第1設定温度と異なる温度(例えば、23℃)であってもよい。
【0067】
このように設定した場合、エアコン温度検知手段34は、温度調整空間の空間温度が第2設定温度(例えば、25℃)とする温度信号を生成するので、乾燥保管温度として第1高温温度よりも高い第2高温温度を設定したときにも、このエアコン温度検知手段34は第2設定温度として判定し続け、このような判定により、第1高温温度(例えば、30℃)よりも高くなってもエアコン18C(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)は作動し続け、エアコン18C(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)のこのような運転が可能なるために、乾燥倉庫2C(乾燥保管空間4C)の庫内を第1高温温度(例えば、30℃)よりも高い第2高温温度に乾燥暖房することが可能となる。
【0068】
このことを
図9を参照して説明すると、市販のエアコン18Cを用いた場合、例えば操作リモコン(図示せず)により設定可能な温度は、上述したように、エアコン設定最低温度(第1低温温度)とエアコン設定最高温度(第1高温温度)との間の温度範囲であり、温度調整空間の温度をこの温度範囲に保つときには、市販のエアコンをそのまま用いて温度制御することにより、温度調整空間を設定温度に冷暖房することができる。
【0069】
ところが、温度調整空間の空間温度を第1高温温度よりも高い第2高温温度に暖房しようとすれば、市販のエアコン18Cをそのまま用いては暖房することができないので、例えば上述したように構成するようになる。これは、エアコン18Cのエアコン本体30(室内機)の吹出し口(図示せず)から吹き出される暖気の温度が例えば50℃程度であるので、この暖気温度に着目して第1高温温度よりも高い第2高温温度まで暖房して乾燥倉庫2Cの暖房機として利用するものである。従って、市販エアコン18Cを暖房機として利用する場合、エアコン18Cの吹出し口の暖気温度(例えば、50℃)とエアコン18Cのエアコン設定最高温度(第1高温温度)(例えば、30℃)との間の温度範囲に保つときに、この第4の実施形態のエアコンシステム16Cが用いられ、このエアコンシステム16Cの暖房運転により温度調整空間を第1高温温度よりも高い第2高温温度に暖房乾燥することができる。従って、保管倉庫にこのエアコンシステム16Cを採用することにより乾燥倉庫2Cとして利用することができ、保管物、例えば木材を乾燥保管することができる。
【0070】
この場合、暖房機として市販のエアコン18C(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)を用いているので、専用の暖房機を用いる場合に比して施工コストを下げることができるとともに、市販エアコン18Cの省エネ性により乾燥保管コスト(暖房運転による電気代など)を下げることができる。
【0071】
このエアコンシステム16Cを用いた乾燥倉庫2Cでは、例えば、乾燥倉庫2C内に保管物(例えば、木材)を入れ、冷蔵保管温度を第2高温温度(例えば、45℃)に設定して運転を開始すると、エアコン温度検知手段34は第1設定温度(例えば、25℃)の温度信号を生成しているので、乾燥保管空間4Cの空間温度が第2高温温度(例えば、45℃)よりも低いと判定して暖房運転を継続して行い、この暖房運転により、乾燥保管空間4Cが暖められる。
【0072】
そして、乾燥保管空間4Cの空間温度が第2高温温度(例えば、45℃)(設定空間温度の上温度)まで上昇する(システム温度検知手段38が第2高温温度を検知する)と、システム温度検知手段38の検知信号に基づいてシステムコントローラ36Cの停止信号生成手段48Cは停止信号を生成し、この停止信号に基づいてエアコン18C(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)が作動停止状態となり、エアコン18Cによる暖房が停止する。尚、この場合においても、この作動停止状態とは、エアコン18(第1~第4エアコン18a~18d)の作動が完全に停止するか、或いは作動する時間が短い場合(所謂、ディユーティ比が小さい場合)の双方を含む状態をいう。
【0073】
その後、乾燥保管空間4Cの空間温度が設定空間温度の下温度(第3高温温度)(例えば、44℃)まで低下する(システム温度検知手段38が下温度を検知する)と、システム温度検知手段38の検知信号に基づいてシステムコントローラ36Cの作動信号生成手段46Cは作動信号を生成し、この作動信号に基づいてエアコン18C(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)が作動し、エアコン18Cによる暖房が再開され、エアコン18C(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)の作動、作動停止を繰り返して乾燥保管空間4Cの空間温度が第2高温温度に保たれ、保管物を乾燥保管することができる。
【0074】
この第4のエアコンシステム16Cを適用する乾燥倉庫2Cとして、例えば
図10及び
図11に示すものを用いることができる。
図10及び
図11において、図示の乾燥倉庫2Cは、外形が略半円筒状の乾燥倉庫本体6Cを備え、この乾燥倉庫本体6Cは支持フレーム構造92により支持されている。この支持フレーム構造92は、細長い設置ベース94と、乾燥倉庫本体6Cの長手方向に間隔をおいて配設された複数の支持フレーム96を備え、これら支持フレーム96の下端部が設置ベース94に取り付けられている。各支持フレーム96は、矩形状に連結されたフレーム本体部98と、このフレーム本体部98から上方に延びる突出支持部100とを備え、これらフレーム本体部98の上角部及び突出支持部100の先端部に略半円形状の弧状フレーム102が取り付けられている。
【0075】
この乾燥倉庫本体6Cの後下部には蓄熱本体部106が設けられ、この蓄熱本体部106が乾燥倉庫本体部6Cの一端部(
図10において右端部)からその他端部(
図10において左端部)まで連続して設けられている。蓄熱本体部106は南向きに傾斜して設けられ、その傾斜角度α(
図11)は、30~40度であるのが好ましく、このように傾斜させることにより、冬季における太陽からの光が蓄熱本体部106の傾斜面に破線108で示すように略直角に当たり、このように当たるようにすることにより、冬季における蓄熱を効率良く行うことができる。尚、破線110は、夏季における太陽からの光を示し、夏季における太陽からの光は、冬季よりも上方から急な角度でもって蓄熱本体部106の傾斜面に当たるようになる。
【0076】
この蓄熱本体部106は、太陽光からの熱を蓄熱するためのコンクリートパネル112と、コンクリートパネル112を支持するための耐熱支持プレート114と、コンクリートパネル112に蓄えられた熱を断熱するための断熱部材116(例えば、グラスウォールから構成される)とを含み、蓄熱本体部106の傾斜面側この順に配設されている。
【0077】
この実施形態では、設置ベース94の上方はカバー体118により覆われ、設置ベース94及びカバー体118は乾燥保管空間4Cを規定する。更に説明すると、カバー体118は、乾燥保管空間4Cの前面側を覆う前カバー部120と、乾燥保管空間4Cの後面側を覆う後カバー部122と、乾燥保管空間4cの上部(即ち、前カバー部120と後カバー部122との間)を覆う上カバー部124から構成されている。前カバー部120、後カバー部122及び上カバー部124は、一対の樹脂プレート(外側樹脂プレート及び内側樹脂プレート)からなる二重カバー壁構造となっており、一対の樹脂プレート間に空気層を設けることにより、この空気層を利用して断熱効果を得ることができる。
【0078】
前カバー部120、後カバー部122及び上カバー部124は、隣接する支持フレーム96に固定された弧状フレーム102間に取り付けられる。そして、この実施形態では、前カバー部120は、設置ベース94と支持フレーム96の前側上端部との間を覆い、後カバー部122は、設置ベース94と支持フレーム96の後側上端部との間を覆い、上カバー部124は、支持フレーム96の前側上端部とその後側上端部との間を覆う。一対の樹脂プレート(外側樹脂プレート及び内側樹脂プレート)は、透明乃至半透明の樹脂プレートから構成され、このような樹脂プレートとして例えばポリカーボネートから形成されたものを用いることができる。
【0079】
この乾燥保管空間4Cの前面側下部には、エアコン取付壁構造126が設けられ、かかるエアコン取付壁構造126にエアコンシステム16Cのエアコン18C、即ち第1~第4エアコン18Ca~18Cd(具体的には、エアコン本体30の室内機)が間隔をおいて取り付けられている。エアコン18(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)は内側に向けて設置され、エアコン18の吹出し口(図示せず)からの暖気は、設置ベース94の後部に向けて斜め下方に吹出され、かく吹き出された暖気は、設置ベース94、蓄熱本体部106の傾斜面に沿って流れ、更にカバー体118の上カバー部124及び前カバー部120の内面に沿って流れる。この形態では、蓄熱本体部106の傾斜面は、後方に向けて斜め上方に延び、またカバー体118(上カバー部124及び前カバー部120)は円弧状に延びているので、エアコン18(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)からの暖気は、この乾燥保管空間4C内を
図11において反時計方向に環状に流れるようになり、従って、この乾燥保管空間4C内を均一に温めることができる。
【0080】
この実施形態では、乾燥倉庫本体6Cの両側に端壁部が設けられ、この端壁部に開閉扉(図示せず)が開閉自在に取り付けられ、乾燥倉庫本体6C及び両端壁部は略円筒状の乾燥保管空間4Cを規定し、この乾燥保管空間4C内に木材などの保管物(図示せず)が収納される。保管物の重量が大きいときには、移動台車132(
図11参照)などが用いられ、この移動台車132に保管物を載せた状態で乾燥倉庫本体6C(乾燥保管空間4C)に収容することができる。
【0081】
この乾燥倉庫2Cは、次の通りの特徴を備えている。第1に、乾燥倉庫本体6Cの乾燥保管空間4Cは略半円筒状であり、この乾燥保管空間4Cの後部に蓄熱本体部106が設けられ、この蓄熱本体部106は上方に傾斜する傾斜面が設けられ、エアコン18(第1~第4エアコン18Ca~18Cd)は乾燥倉庫本体6C(乾燥保管空間4C)の前下部に配設されているので、エアコン18の吹出し口(図示せず)からの暖気は、蓄熱本体部106の傾斜面及び乾燥倉庫本体6Cのカバー体118(上カバー部124及び前カバー部120)の内面に沿って
図11において反時計方向に環状に流れ、この乾燥保管空間4C内を均一に温めることができる。
【0082】
第2に、乾燥倉庫本体6Cは透明乃至半透明のカバー体118により覆われ、この乾燥倉庫本体6Cに蓄熱本体部106(実施形態では、蓄熱用のコンクリートパネル112)が設けられているので、太陽光はこのカバー体118を通して蓄熱本体部106に至り、太陽光による熱をこの蓄熱本体部106に蓄熱することができ、この蓄熱本体部106に蓄熱した熱を乾燥倉庫本体6C(乾燥保管空間4C)の暖房に利用することができ、例えば冬場の夜などの暖房に効果的に利用することができる。
【0083】
第3に、蓄熱本体部106(コンクリートパネル112)の傾斜面の傾斜角度は、冬場の太陽光の入射角度を基準に設定されている(具体的には、冬場の太陽光がほぼ直角に当たるように構成されている)ので、周囲の温度が低い冬場において太陽からの熱を有効に蓄熱して乾燥倉庫本体6C(乾燥保管空間4C)を暖めることができる。
【0084】
第5の実施形態のエアコンシステム
次に、
図12及び
図13を参照して、第5の実施形態のエアコンシステムについて説明する。第1~第3の実施形態では、エアコンシステムを冷房運転をし、温度調整空間を冷却して冷却保存空間として利用し、また第4の実施形態では、エアコンシステムを暖房運転し、温度調整空間を暖房して乾燥保存空間として利用しているが、この第5の実施形態では、エアコンシステムを冷房運転及び暖房運転に切換可能に構成し、冷房運転のときには温度調整空間を冷却保存空間として利用可能にし、暖房運転のときには温度調整空間を乾燥保存空間として利用可能に構成される。
【0085】
図12及び
図13において、この第5の実施形態のエアコンシステム16Dにおいては、エアコン18D(第1~第4エアコン18Da~18Dd)は、エアコン本体30、エアコンコントローラ32及びエアコン温度検知手段34に加えてエアコン検知温度設定手段142を含んでいる。このエアコン検知温度設定手段142は、システムコントローラ36Dによりエアコン18D(第1~第4エアコン18Da~18Dd)を例えば冷房運転する(エアコン設定最低温度よりも更に低い低温度に冷房する)ときには、エアコン温度検知手段34が第1設定温度の温度信号を生成するように設定し、例えば第1の実施形態における第1設定温度(例えば、25℃)の温度信号を生成するように設定し、またシステムコントローラ36Dによりエアコン18D(第1~第4エアコン18Da~18Dd)を例えば暖房運転する(エアコン設定最高温度よりも更に高い高温度に暖房乾燥する)ときには、エアコン温度検知手段34が第2設定温度の温度信号を生成するように設定し、例えば第4の実施形態における第2設定温度(例えば、25℃であって、第1設定温度と異なる温度であってもよい)の温度信号を生成するように設定する。
【0086】
この場合、エアコンシステム16Dのシステムコントローラ36Dは、信号処理手段42D、作動信号生成手段46D、停止信号生成手段48D及びメモリ手段50Dに加えて、冷蔵温度設定手段44D及び乾燥温度設定手段82Dの双方を含んでいる。冷蔵温度設定手段44Dは、エアコン設定最低温度(第1低温温度)よりも低い第2低温温度(例えば、13℃)を設定したときに、この第2低温温度(下温度)及びこの第2低温温度より例えば1℃高い第3低温温度(上温度)を設定し、設定された第2低温温度(下温度)及び第3低温温度(上温度)がメモリ手段50Dに登録される。また、乾燥温度設定手段82Dは、エアコン設定最高温度(第1高温温度)よりも高い第2高温温度(例えば、45℃)を設定したときに、この第2高温温度(上温度)及びこの第2高温温度より例えば1℃低い第3高温温度(下温度)を設定し、設定された第2高温温度(上温度)及び第3高温温度(下温度)がメモリ手段50Dに登録される。
【0087】
このシステムコントローラ36Dに関連して、システム温度検知手段38及び温度入力設定手段40に加えて、運転切換手段144が設けられ、この運転切換手段144は、例えば運転切換スイッチから構成される。この実施形態では、運転切換手段144は、冷房運転、暖房運転及び通常運転のいずれかに選択可能に構成されており、運転切換手段144により冷房運転を選択すると、上述したと同様にして冷房運転が行われ、運転切換手段144により暖房運転を選択すると、上述したようにして暖房運転が行われ、また運転切換手段144により通常運転を選択すると、システム温度検知手段38及び温度入力設定手段40が不作動となって機能せず、エアコン18D(第1~第4エアコン18Da~18Dd)は通常の運転となる(即ち、エアコン温度検知手段34が温度調整空間の空間温度を検知し、エアコン本体30の操作リモコン(図示せず)により設定される温度となるように冷房/暖房運転される)。
【0088】
運転切換手段144により冷房運転を選択し、温度入力設定手段40により冷房温度(例えば、13℃)を入力設定すると、冷蔵温度設定手段44Dは、入力設定信号に基づいて第2低温温度(例えば、13℃の下温度)及び第3低温温度(例えば、12℃の上温度)を設定し、システムコントローラ36Dは、温度調整空間の空間温度が入力設定温度(例えば、13℃)となるようにエアコン18D(第1~第4エアコン18Da~18Dd)を作動制御する。
【0089】
システム温度検知手段38の検知温度が第2低温温度(下温度)となると、この検知信号に基づいて停止信号生成手段48Dが停止信号を生成し、この停止信号に基づいてエアコン18D(第1~第4エアコン18Da~18Dd)が作動停止状態となって温度調整空間の冷房が停止し、またシステム温度検知手段38の検知温度が第3低温温度に上昇すると、この検知信号に基づいて作動信号生成手段46Dが作動信号を生成し、この作動信号に基づいてエアコン18D(第1~第4エアコン18Da~18Dd)が作動して温度調整空間の冷房が再開される。
【0090】
冷房運転においてエアコン18D(第1~第4エアコン18Da~18Dd)をこのように作動制御することによって、温度調整空間を第2低温温度に冷房することができ、温度調整空間を冷房保管空間(所謂、冷蔵倉庫)として利用することができる。
【0091】
また、運転切換手段144により暖房運転を選択し、温度入力設定手段40により暖房温度(例えば、45℃)を入力設定すると、乾燥温度設定手段82Dは、入力設定信号に基づいて第2高温温度(例えば、45℃の上温度)及び第3高温温度(例えば、44℃の下温度)を設定し、システムコントローラ36Dは、温度調整空間の空間温度が入力設定温度(例えば、45℃)となるようにエアコン18D(第1~第4エアコン18Da~18Dd)を作動制御する。
【0092】
システム温度検知手段38の検知温度が第2高温温度(上温度)となると、この検知信号に基づいて停止信号生成手段48Dが停止信号を生成し、この停止信号に基づいてエアコン18D(第1~第4エアコン18Da~18Dd)が作動停止状態となって温度調整空間の暖房が停止し、またシステム温度検知手段38の検知温度が第3高温温度に低下すると、この検知信号に基づいて作動信号生成手段46Dが作動信号を生成し、この作動信号に基づいてエアコン18D(第1~第4エアコン18Da~18Dd)が作動して温度調整空間の暖房が再開される。
【0093】
暖房運転においてエアコン18D(第1~第4エアコン18Da~18Dd)をこのように作動制御することによって、温度調整空間を第2高温温度に暖房することができ、温度調整空間を乾燥保管空間(所謂、乾燥倉庫)として利用することができる。
【0094】
上述した第5の実施形態においては、エアコン18D(第1~第4エアコン18Da~18Dd)を冷房運転、暖房運転及び通常運転のいずれかに選択可能に構成しているが、かのような構成に限定されず、冷房運転及び暖房運転のいずれかに選択可能なように構成することもできる。
【0095】
以上、本発明に従うエアコンシステムの種々の実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。また、上述したエアコンシステムを適用した冷蔵倉庫及び乾燥倉庫の実施形態について説明したが、このような実施形態に限定されず、冷蔵倉庫及び乾燥倉庫についても種々の変更乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0096】
2,2A,2B 冷蔵倉庫
2C 乾燥倉庫
4,4A,4B 冷蔵保管空間
4C 乾燥保管空間
6 冷蔵倉庫本体
6C 乾燥倉庫本体
16,16C,16D システムコントローラ
18,18a~18d,18A,18Aa~18Ab,18B,18Ba~18Bf,18C,18Ca~18Cd,18D,18Da~18Dd エアコン
30 エアコン本体
32 エアコンコントローラ
34 エアコン温度検知手段
36,36C,36D システムコントローラ
38 システム温度検知手段
40 温度入力設定手段
44,44D 冷蔵温度設定手段
82,82D 乾燥温度設定手段