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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】除菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/14 20060101AFI20220822BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20220822BHJP
   A61L 101/08 20060101ALN20220822BHJP
   A61L 101/10 20060101ALN20220822BHJP
【FI】
A61L9/14
A61L2/18
A61L2/18 100
A61L101:08
A61L101:10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020116474
(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公開番号】P2022014247
(43)【公開日】2022-01-19
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】520247280
【氏名又は名称】比佐 隆文
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】比佐 隆文
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-225516(JP,A)
【文献】特開昭63-270532(JP,A)
【文献】特開昭55-035980(JP,A)
【文献】実公昭62-018258(JP,Y2)
【文献】特開2001-305220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
A61L 2/18
A61L 101/08
A61L 101/10
B01F 27/00-27/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の除菌剤を含む除菌溶液を貯留する薬液タンクと、
前記薬液タンクに貯留された前記除菌溶液を噴霧する噴霧器と、
前記薬液タンクに貯留された前記除菌溶液の液面を検出するセンサと、
前記薬液タンクに貯留された前記除菌溶液を攪拌する撹拌器であって、該除菌溶液に液没するように配置された羽根車と、その一端が前記羽根車に連結され他端が該除菌溶液の液面に対して略鉛直方向に延在する駆動軸と、を有する撹拌器と、
所定のカップリングを介して前記駆動軸に繋げられることで、前記撹拌器を駆動する電動機と、
前記電動機の駆動を制御する制御機と、
を備え、
前記羽根車の羽根が、前記薬液タンクに貯留された前記除菌溶液の液面に対して所定の角度を有し、
前記撹拌器は、
前記薬液タンクに貯留された前記除菌溶液の液面に対して略鉛直方向に移動可能に構成され、かつ、前記除菌溶液に液没するように配置された第1リンク部と、
前記第1リンク部と前記羽根車の羽根とを繋ぐことで前記第1リンク部の運動を該羽根車の羽根に伝達する第2リンク部と、
を更に有し、
前記第1リンク部は、前記駆動軸を中心として環状に配置され、
前記第2リンク部を介して前記羽根車の羽根に伝達された前記第1リンク部の運動により、前記薬液タンクに貯留された前記除菌溶液の液面に対する前記羽根車の羽根の角度が変更可能に構成され、
前記電動機は、
前記撹拌器を駆動する第1電動機と、
前記第1リンク部を前記除菌溶液の液面に対して略鉛直方向に移動させるように駆動する第2電動機と、
を含んで構成され、
前記制御機は、前記第1電動機の駆動を制御するとともに、前記第2電動機の駆動を制御 する、除菌装置。
【請求項2】
前記撹拌器は、前記羽根車と前記駆動軸とが同じ回転運動を行うように、該羽根車と該駆動軸の前記一端とが結合され、
前記電動機の出力軸と前記撹拌器の前記駆動軸とが同軸上に配置される、
請求項1に記載の除菌装置。
【請求項3】
前記撹拌器は、前記羽根車が前記駆動軸に対して相対的に回転運動を行うように、所定の軸受を介して該羽根車と該駆動軸の前記一端とが連結され、
前記電動機から出力された回転運動が、所定の変換機を介して直線運動に変換されて前記撹拌器の前記駆動軸に伝達される、
請求項1に記載の除菌装置。
【請求項4】
前記制御機は、前記センサによって検出された前記除菌溶液の液面に基づいて、前記第2電動機の駆動を制御する、
請求項に記載の除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間に浮遊する、又は物体の表面に付着したウイルス等を除菌する除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、室内等の空間の空気を加湿することにより、空気内に浮遊するウイルスの増殖を抑制することが知られている。そして、ウイルスをさらに減少させるために、空間に殺菌剤を含んだ水溶液を噴霧する技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、殺菌剤溶液の原液を供給する薬剤供給装置と、殺菌剤溶液を希釈する希釈水を供給する希釈水系と、を備え、除菌対象空気に殺菌剤溶液を噴霧する空気清浄装置が開示されている。この技術によれば、殺菌剤溶液が空気中に直接噴霧されるので、殺菌剤溶液が空気中において菌と気液接触して殺菌が行なわれることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-226373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
除菌剤等の薬剤を含んだ溶液を屋内に噴霧しようとする場合、その薬剤の濃度が高いと人が吸引したり目や肌へ付着したときに薬害が生じる虞がある。一方、その薬剤の濃度が低いと十分な除菌効果が得られない虞がある。
【0006】
特許文献1に示される空気清浄装置によれば、希釈水の流量を調整する等して殺菌剤溶液における薬剤と希釈水との混合割合を所定の範囲にすることができる。これによれば、殺菌剤溶液における薬剤濃度を、人への薬害を抑制しつつ十分な空間除菌効果が得られる範囲に維持できるとも思われる。しかしながら、仮に、殺菌剤溶液において薬剤と希釈水との混合むらが生じた場合、間欠的に高濃度の薬剤を含んだ殺菌剤溶液が噴霧されることで人への薬害が生じてしまったり、間欠的に低濃度の薬剤を含んだ殺菌剤溶液が噴霧されることで十分な除菌効果が得られず噴霧された薬剤が無駄になってしまう事態が生じ得る。
【0007】
本発明の目的は、空間に浮遊する、又は物体の表面に付着したウイルス等を好適に除菌する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願開示の除菌装置は、所定の除菌剤を含む除菌溶液を貯留する薬液タンクと、前記薬液タンクに貯留された前記除菌溶液を噴霧する噴霧器と、前記薬液タンクに貯留された前記除菌溶液の液面を検出するセンサと、前記薬液タンクに貯留された前記除菌溶液を攪拌する撹拌器であって、該除菌溶液に液没するように配置された羽根車と、その一端が前記羽根車に連結され他端が該除菌溶液の液面に対して略鉛直方向に延在する駆動軸と、を有する撹拌器と、所定のカップリングを介して前記駆動軸に繋げられることで、前記撹拌器を駆動する電動機と、前記電動機の駆動を制御する制御機と、を備え、前記羽根車の羽根が、前記薬液タンクに貯留された前記除菌溶液の液面に対して所定の角度を有する。
【0009】
このような構成では、除菌溶液に液没するように配置された撹拌器の羽根車が回転することによって、薬液タンクに貯留された除菌溶液が攪拌される。ここで、羽根車の羽根は、薬液タンクに貯留された除菌溶液の液面に対して所定の角度を有する。これによれば、薬液タンクに貯留された除菌溶液を好適に攪拌することができ、除菌溶液において所定の除菌剤と希釈水との混合むらが生じる事態が可及的に抑制される。なお、所定の除菌剤とは、例えば次亜塩素酸である。この場合、次亜塩素酸と希釈水とを含んだ次亜塩素酸水が、除菌溶液として用いられる。また、上記の所定の角度とは、例えば45°である。そして、薬液タンクに貯留された除菌溶液が噴霧器によって噴霧されることで、本願開示の除菌装置を用いた除菌が可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本願開示によれば、空間に浮遊する、又は物体の表面に付着したウイルス等を好適に除菌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る除菌装置の概略構成を示す図である。
図2】第1の実施形態における、撹拌器の羽根車の羽根と、薬液タンクに貯留された除菌溶液の液面と、の幾何学的関係を説明するための図である。
図3】第1の実施形態に係る除菌装置の使用態様を説明するための第1の図である。
図4】第1の実施形態に係る除菌装置の使用態様を説明するための第2の図である。
図5】第1の実施形態の変形例に係る除菌装置の使用態様を説明するための第1の図である。
図6】第1の実施形態の変形例に係る除菌装置の使用態様を説明するための第2の図である。
図7】第1の実施形態の変形例に係る除菌装置の使用態様を説明するための第3の図である。
図8】第2の実施形態に係る除菌装置の概略構成を示す図である。
図9】第2の実施形態における撹拌器の羽根車および駆動軸の運動を説明するための図である。
図10】第3の実施形態に係る除菌装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本願開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本願開示は実施形態の構成に限定されない。
【0013】
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係る除菌装置について、図1および図2を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る除菌装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係る除菌装置1は、除菌溶液S1を貯留する薬液タンク10と、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1を噴霧する噴霧器20と、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1を攪拌する撹拌器30と、撹拌器30を駆動する電動機40と、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1の液面を検出するセンサ50と、電動機40の駆動を制御する制御機60と、を備える。
【0014】
薬液タンク10は、所定の除菌剤を含む除菌溶液S1に対して耐性を有する周知の材料によって構成される。ここで、所定の除菌剤とは、例えば次亜塩素酸である。この場合、次亜塩素酸と希釈水とを含んだ次亜塩素酸水が、除菌溶液S1として用いられる。このときの除菌溶液S1(次亜塩素酸水)における有効塩素濃度は、例えば、35ppm~100ppmである。なお、次亜塩素酸は、紫外線によって塩素と酸素に分解して揮発してしまうため、次亜塩素酸水が除菌溶液S1として用いられる場合、薬液タンク10は紫外線を透過しない周知の材料によって構成される。また、所定の除菌剤は、オゾンであってもよい。この場合、オゾン、二酸化塩素、および次亜塩素酸を含んだ混合オキシダント液が、除菌溶液S1として用いられる。なお、所定の除菌剤をこれらに限定する意図はなく、空間に浮遊する、又は物体の表面に付着したウイルス等を除菌できるものであれば、その種類は問わない。また、除菌溶液S1に含まれる水によって錆が発生してしまう事態を抑制するため、薬液タンク10には金属を含まない材料が用いられる。
【0015】
噴霧器20は、除菌溶液S1を空間に噴出させるノズル21と、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1を吸い上げて圧送するポンプ22と、ノズル21とポンプ22とを繋ぐ流路23と、を含んで構成される。なお、ポンプ22は、制御機60と電気的に接続されていて、その作動が制御機60によって制御される。
【0016】
撹拌器30は、除菌溶液S1に液没するように配置された羽根車31と、その一端32aが羽根車31に連結され他端32bが除菌溶液S1の液面S2に対して略鉛直方向に延在する駆動軸32と、を有する。なお、図1では、除菌装置1の構成の説明のため、羽根車31は除菌溶液S1に液没していないが、除菌装置1の実際の使用態様においては、羽根車31が除菌溶液S1に液没するように配置される。ここで、本実施形態では、羽根車31に4枚の羽根が設けられていて、これら羽根によって薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1が攪拌される。
【0017】
電動機40は、周知のモータであって、モータ本体41と出力軸42とを含んで構成される。ここで、電動機40は、制御機60と電気的に接続されていて、その作動が制御機60によって制御される。また、本実施形態では、電動機40の出力軸42と撹拌器30の駆動軸32とが同軸上に配置され、周知のカップリング340を介してこれらが接続される。これにより、撹拌器30の羽根車31は、駆動軸32の中心軸を中心に回転運動することになる。
【0018】
センサ50は、周知の液面レベルセンサであって、制御機60と電気的に接続されている。そして、センサ50からの出力電流に基づいて、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1の液面が検出される。
【0019】
制御機60は、ポンプ22や電動機40等の駆動を制御する制御装置であって、CPU、RAM、ROM等から構成される電子制御ユニットを有する。CPUは、演算処理装置であって、後述する各処理を実行する。RAMは、CPUによって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。ROMは、CPUにおいて実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。
【0020】
このように構成される除菌装置1では、撹拌器30の羽根車31の羽根が、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1の液面S2に対して所定の角度を有する。ここで、図2は、本実施形態における、撹拌器30の羽根車31の羽根と、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1の液面S2と、の幾何学的関係を説明するための図である。
【0021】
図2によると、撹拌器30の羽根車31の羽根が、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1の液面S2に対して45°の角度を有することがわかる。これによれば、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1を好適に攪拌することができ、除菌溶液S1において除菌剤と希釈水との混合むらが生じる事態が可及的に抑制される。なお、上記の所定の角度を45°に限定する意図はなく、例えば、20°~70°の範囲であってもよい。
【0022】
そして、以上に述べた除菌装置1は、例えば、エアコンとともに用いられる。図3は、本実施形態に係る除菌装置1の使用態様を説明するための第1の図である。この場合、図3に示すように、除菌装置1の噴霧器20のノズル21が、エアコン100の吹き出し口110近傍に設けられる。そうすると、ノズル21から噴出した除菌溶液が、吹き出し口110からの風にのって空間に拡散されることになる。なお、除菌装置1の噴霧器20のノズル21は、噴出させる除菌溶液をエアコン100の吹き出し口110からの風にのせることができる位置に配置されればよく、また、噴出させる除菌溶液の噴出角度が可変にされてもよい。
【0023】
このような使用態様において、制御機60は、電動機40を一定期間(例えば1分程度)駆動させ、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1を撹拌器30によって攪拌させる。そして、制御機60は、例えば、この処理を10分に1回の頻度で実行する。
【0024】
また、制御機60は、エアコン100の吹き出し口110からの風量に応じて噴霧器20のポンプ22の作動を制御してもよい。この場合、制御機60は、エアコン100の吹き出し口110からの風量が多いほどポンプ22により圧送される除菌溶液S1の量が多くなるように、ポンプ22の作動を制御してもよい。
【0025】
ここで、図3では、除菌装置1がエアコン100とともに用いられる例を説明したが、除菌装置1は、空気清浄機、加湿器、ファンヒーターや、扇風機等の送風機とともに用いられてもよい。除菌装置1がこれら装置とともに用いられる場合においても、除菌装置1の噴霧器20のノズル21は、噴出させる除菌溶液をこれら装置からの気流にのせることができる位置に配置される。なお、上記の説明においては、ポンプ22によって圧送された除菌溶液がノズル21によって噴出される例について説明したが、本願開示の噴霧器20は、これに限定されない。例えば、本願開示の噴霧器20は、超音波発生器を備え、該超音波発生器による超音波を用いて除菌溶液を霧化させることで、除菌溶液を噴霧してもよい。
【0026】
また、除菌装置1は、自動車の車内空間の除菌に用いられてもよい。この場合、車内エアコンの空気取り入れ口と車内への吹き出し口との間の空気流路に除菌溶液を噴霧してもよい。そうすると、除菌溶液が、吹き出し口からの風にのって車内空間に拡散されることになる。
【0027】
そして、図4は、本実施形態に係る除菌装置1の使用態様を説明するための第2の図である。図4に示す使用態様では、除菌装置1の噴霧器20のポンプ22から吐出された除菌溶液が、水道の蛇口200からの水道水と混合されて流路23に供給される。詳しくは、カップリング210を介して蛇口200とホース220とが繋がれ、流路23に配置されたバルブ230にホース220が接続される。このような使用態様では、薬液タンク10に比較的有効塩素濃度が高い(例えば、100ppm)次亜塩素酸水を貯留しておき、この次亜塩素酸水を水道水で希釈・混合して空間に噴霧することができる。
【0028】
以上に述べた除菌装置1によれば、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1において除菌剤と希釈水との混合むらが生じる事態が可及的に抑制される。そして、この除菌装置1から除菌溶液を噴霧することによって、空間に浮遊するウイルス等を好適に除菌することができる。
【0029】
なお、本願開示の除菌装置1において、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1に消臭溶液(例えば、アロマオイル)が混合されてもよい。この場合、撹拌器30によって、除菌剤と希釈水と消臭溶液とが好適に混合される。そして、この除菌装置1から消臭溶液を含んだ除菌溶液を噴霧することによって、空間に浮遊するウイルス等を好適に除菌するとともに、空間を消臭、防臭することができる。
【0030】
<第1の実施形態の変形例>
第1の実施形態の変形例について、図5から図7に基づいて説明する。図5は、本変形例に係る除菌装置1の使用態様を説明するための第1の図である。図5に示す使用態様では、自動ドアの上方に除菌装置1の噴霧器20のノズル21が配置される。これによれば、自動ドア近傍にノズル21から噴霧された除菌溶液を含んだエアカーテンが形成され、該自動ドアが設置された店舗等の出入口空間が除菌されることになる。なお、このような除菌溶液を含んだエアカーテンは、乗り物の出入口近傍や建物の扉、窓近傍に形成されてもよい。
【0031】
また、図5に示す使用態様において、除菌装置1の噴霧器20からの除菌溶液の噴霧が、自動ドアの開閉状況に基づいて制御されてもよい。この場合、制御機60が、自動ドアが備える人感センサからの出力信号を受信することで、噴霧器20のポンプ22の作動を制御してもよい。例えば、制御機60は、人感センサによって人が検知されていないときには、ノズル21から比較的少量の除菌溶液が噴霧されるようにポンプ22の作動を制御し、人感センサによって人が検知されたときには、ノズル21から比較的多量の除菌溶液が噴霧されるようにポンプ22の作動を制御することができる。
【0032】
図6は、本変形例に係る除菌装置1の使用態様を説明するための第2の図である。図6に示す使用態様では、第1自動ドアと第2自動ドアとの間の空間に、除菌装置1の噴霧器20のノズル21から噴霧された除菌溶液を含んだエアカーテンが形成される。この場合、除菌装置1の噴霧器20のノズル21は、例えば、上記の空間の天井に配置される。これによれば、第1自動ドアと第2自動ドアとの間の空間が除菌されることになる。
【0033】
このときにも、除菌装置1の噴霧器20からの除菌溶液の噴霧が、自動ドアの開閉状況に基づいて制御されてもよい。詳しくは、制御機60は、第1自動ドアまたは第2自動ドアのいずれか一方の自動ドアの人感センサからの出力信号を受信すると、ノズル21から除菌溶液が噴霧されるようにポンプ22を駆動させ、その後に他方の自動ドアの人感センサからの出力信号を受信すると、ポンプ22の駆動を終了させてもよい。
【0034】
また、図7は、本変形例に係る除菌装置1の使用態様を説明するための第3の図である。図7に示す使用態様では、商品陳列棚に並べられた商品に向かって、除菌装置1の噴霧器20のノズル21から噴霧された除菌溶液を含んだエアカーテンが形成される。これによれば、商品陳列棚に並べられた商品が除菌されることになる。
【0035】
以上に述べた除菌装置1においても、上述した第1の実施形態と同様に、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1が撹拌器30によって攪拌されることで、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1において除菌剤と希釈水との混合むらが生じる事態が可及的に抑制される。そして、この除菌装置1から除菌溶液を噴霧することによって、空間に浮遊する、又は物体の表面に付着したウイルス等を好適に除菌することができる。
【0036】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図8および図9に基づいて説明する。図8は、本実施形態に係る除菌装置の概略構成を示す図である。上述した第1の実施形態では、撹拌器30の羽根車31と駆動軸32とが同じ回転運動を行うように、該羽根車31と該駆動軸32の一端32aとが結合され、電動機40の出力軸42と撹拌器30の駆動軸32とが同軸上に配置される。これにより、撹拌器30の羽根車31は、駆動軸32の中心軸を中心に回転運動することになる。これに対して、本実施形態では、撹拌器30の羽根車31が駆動軸32に対して相対的に回転運動を行うように、軸受33を介して該羽根車31と該駆動軸32の一端32aとが連結される。そして、本実施形態では、図8に示すように、電動機40の出力軸42と撹拌器30の駆動軸32とが変換機350を介して接続される。そうすると、電動機40から出力された回転運動が直線運動に変換されて撹拌器30の駆動軸32に伝達されることになる。なお、このように回転運動を直線運動に変換する変換機350とは、例えばボールねじである。
【0037】
ここで、図9は、本実施形態における撹拌器30の羽根車31および駆動軸32の運動を説明するための図である。上述したように、電動機40から出力された回転運動は、変換機350によって直線運動に変換されて撹拌器30の駆動軸32に伝達される。そのため、撹拌器30の駆動軸32は、除菌溶液S1の液面S2に対して略鉛直方向に直線運動する。そうすると、軸受33を介して駆動軸32の一端32aと接続された羽根車31も、駆動軸32と一体となって移動することになる。ここで、上述したように、羽根車31の羽根は、除菌溶液S1の液面S2に対して所定の角度を有する。そのため、羽根車31が駆動軸32と一体となって移動するとき、羽根車31の羽根は、除菌溶液S1からの抗力を受けることになる。また、羽根車31は、駆動軸32に対して相対的に回転運動を行うように、軸受33を介して接続されている。以上に鑑みると、羽根車31は、駆動軸32と一体となって移動しつつ、駆動軸32に対して相対的に回転運動を行うことになる。これによれば、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1を好適に攪拌することができ、除菌溶液S1において除菌剤と希釈水との混合むらが生じる事態が可及的に抑制される。
【0038】
このような除菌装置1において、制御機60は、撹拌器30の羽根車31が除菌溶液S1の液面S2に対して略鉛直方向に移動しても該羽根車31の除菌溶液S1への液没状態が維持されるように、センサ50によって検出された除菌溶液S1の液面S2に基づいて、電動機40の駆動を制御してもよい。
【0039】
以上に述べた除菌装置1においても、上述したように、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1が撹拌器30によって攪拌されることで、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1において除菌剤と希釈水との混合むらが生じる事態が可及的に抑制される。そして、この除菌装置1から除菌溶液を噴霧することによって、空間に浮遊する、又は物体の表面に付着したウイルス等を好適に除菌することができる。
【0040】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、図10に基づいて説明する。図10は、本実施形態に係る除菌装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係る除菌装置1では、撹拌器30が、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1の液面S2に対して略鉛直方向に移動可能に構成された第1リンク部34と、第1リンク部34と羽根車31の羽根とを繋ぐことで該第1リンク部34の運動を該羽根車31の羽根に伝達する第2リンク部35と、を更に有する。第1リンク部34は、羽根車31と同様に除菌溶液S1に液没するように配置され、かつ、駆動軸32を中心として環状に配置されている。また、本実施形態に係る除菌装置1では、撹拌器30を駆動する第1電動機41と、第1リンク部34を駆動する第2電動機420と、を含んで電動機が構成され、制御機60は、第1電動機41の駆動を制御するとともに、第2電動機420の駆動を制御する。
【0041】
このような構成によれば、第2リンク部35を介して羽根車31の羽根に伝達された第1リンク部34の運動により、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1の液面S2に対する該羽根車31の羽根の角度が変更可能にされる。詳しくは、羽根車31の羽根がシャフト36を軸にして回転可能に構成されていて、羽根車31の羽根においてシャフト36が配置された側とは反対側に接続された第2リンク部35が移動すると、羽根車31の羽根の角度が変更されることになる。
【0042】
ここで、第1リンク部34は、リニアモーションベアリング37を介して駆動軸32に保持されていて、該駆動軸32に沿って直線運動可能に構成されている。そして、第2電動機420と、第2電動機420のモータ本体421の出力軸422の回転運動を直線運動に変換する変換機39と、変換機39の出力を第1リンク部34に伝達する伝達軸38と、によって、第1リンク部34が駆動されることになる。
【0043】
そして、制御機60は、センサ50によって検出された除菌溶液S1の液面S2に基づいて、第2電動機420の駆動を制御することができる。これによれば、制御機60は、例えば、除菌溶液S1の液面S2が低くなるほど除菌溶液S1の液面S2に対する羽根車31の羽根の角度が小さくなるように、第2電動機420の駆動を制御してもよい。そうすると、除菌溶液S1の液面S2に応じて除菌溶液を好適に攪拌することができる。
【0044】
以上に述べた除菌装置1においても、上述したように、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1が撹拌器30によって攪拌されることで、薬液タンク10に貯留された除菌溶液S1において除菌剤と希釈水との混合むらが生じる事態が可及的に抑制される。そして、この除菌装置1から除菌溶液を噴霧することによって、空間に浮遊する、又は物体の表面に付着したウイルス等を好適に除菌することができる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・・・除菌装置
10・・・・薬液タンク
20・・・・噴霧器
30・・・・撹拌器
31・・・・羽根車
32・・・・駆動軸
32a・・・一端
32b・・・他端
40・・・・電動機
50・・・・センサ
60・・・・制御機
図1
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図9
図10