(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】冷燻製機
(51)【国際特許分類】
A23B 4/052 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
A23B4/052 Z
(21)【出願番号】P 2020161338
(22)【出願日】2020-09-25
(62)【分割の表示】P 2018132431の分割
【原出願日】2018-07-12
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】517145142
【氏名又は名称】日色 晋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120226
【氏名又は名称】西村 知浩
(72)【発明者】
【氏名】堀江 晋一
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-081443(JP,A)
【文献】特公昭24-001449(JP,B1)
【文献】特開平06-292503(JP,A)
【文献】特開2004-016020(JP,A)
【文献】特開2001-128857(JP,A)
【文献】実開昭49-089385(JP,U)
【文献】実開昭58-164489(JP,U)
【文献】特開平08-116874(JP,A)
【文献】特開平10-248486(JP,A)
【文献】特表2013-511290(JP,A)
【文献】特開平08-103210(JP,A)
【文献】特公昭36-012986(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燻煙材を収容可能な第1筐体部と、食材を収容可能な第2筐体部と、前記第1筐体部と前記第2筐体部を接続し前記第1筐体部から前記第2筐体部に燻煙を誘導可能な導煙部と、を有する冷燻製機であって、
前記第1筐体部は、
前記燻煙材を支持する燻煙材支持部と、
空気流を発生する空気流発生部を有し、前記燻煙材に対して前記空気流を供給する空気流供給部と、
前記燻煙材支持部と前記空気流供給部との間に介在し、前記空気流を通すと共に前記燻煙材から発生した前記燻煙が前記空気流供給部に進入することを防止する仕切り部と、
前記仕切り部に設けられ、前記空気流発生部で発生した前記空気流の流路を絞る空気流路絞り部と、
を有し、
前記空気流供給部は、中心部に厚み方向に貫通した開口部を有するプレートを備え、
前記空気流路絞り部が前記プレートの前記開口部の内部に介在することにより前記空気流路絞り部の外縁部と前記プレートの前記開口部の内縁とで区画される空気流路の面積が絞られて絞り流路が形成されることを特徴とする冷燻製機。
【請求項2】
燻煙材を収容可能な第1筐体部と、食材を収容可能な第2筐体部と、前記第1筐体部と前記第2筐体部を接続し前記第1筐体部から前記第2筐体部に燻煙を誘導可能な導煙部と、を有する冷燻製機であって、
前記第1筐体部は、
前記燻煙材を支持する燻煙材支持部と、
空気流を発生する空気流発生部を有し、前記燻煙材に対して前記空気流を供給する空気流供給部と、
前記燻煙材支持部と前記空気流供給部との間に介在し、前記空気流を通すと共に前記燻煙材から発生した前記燻煙が前記空気流供給部に進入することを防止する仕切り部と、
前記仕切り部に設けられ、前記空気流発生部で発生した前記空気流の流路を絞る空気流路絞り部と、
を有し、
前記空気流供給部は、各々の中心部に厚み方向に貫通した開口部を有する第1のプレートおよび第2のプレートを備え、
前記第1のプレートが前記第2のプレートよりも前記空気流発生部側に位置し、前記第2のプレートが前記第1のプレートよりも前記仕切り部側に位置し、
前記空気流路絞り部が前記第1のプレートの前記開口部の内部に介在することにより前記空気流路絞り部の外縁部と前記第1のプレートの前記開口部の内縁とで区画される空気流路の面積が絞られて第1の絞り流路が形成され、
前記空気流路絞り部が前記第2のプレートの前記開口部の内部に介在することにより前記空気流路絞り部の外縁部と前記第2のプレートの前記開口部の内縁とで区画される空気流路の面積が絞られて第2の絞り流路が形成され、
前記第2の絞り流路の開口面積が前記第1の絞り流路の開口面積よりも小さいことを特徴とする冷燻製機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に低温度の煙を手軽に発生させることにより質の高い冷燻製(冷燻製とは30℃以下で作る燻製のこと)を製造することができる冷燻製機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アウトドアにおける調理法の一つとして、飲食店における調理法の一つとして、又は各家庭における調理法の一つとして、燻製機を用いた燻製料理の人気が益々高まっている。燻製は、スモークチップやスモークウッドなどの燻煙材をバーナなどの炎であぶって燻煙を発生させ、この燻煙を魚、ウインナー、ハムなどの食材に当てて、当該食材に燻煙特有の風味付けを行うとともに、燻煙に含まれる殺菌・防腐成分を浸透させる調理法である。
【0003】
ここで、燻製方法の種類について説明する。
【0004】
燻製方法は、主として、熱燻法、温燻法及び冷燻法の3つの種類が存在する。熱燻法は、例えば温度80度以上の高い温度環境で燻す方法であり、食材を燻しながら加熱処理するもので、塩漬け、潮抜き、乾燥、燻煙共に短い時間で行われる方法である。熱燻法は、手軽な燻製であるが、燻製本来の目的である食品の保存には向いておらず、むしろ燻製の風味を楽しむための手軽な燻製方法といえる。
【0005】
温燻法は、最も一般的な燻製方法であり、例えば30度~80度の温度環境で燻す方法で、燻製時間として長めの時間が必要になる。
【0006】
冷燻法は、例えば30度以下の温度環境で食材に煙を当てる方法であり、食材に熱をかけないように低温で燻す方法である。
【0007】
従来の燻製装置として、熱燻法に分類される燻製装置及び燻製方法については種々提案されているが、特に冷燻法に分類される燻製装置及び燻製方法については下記に示す特許文献1に記載された燻製装置が提案されているに過ぎず、多くの従来技術は見られない。
【0008】
ここで、特許文献1には、外部に煙突を設置し、煙の温度を外温度、又はそれ以下に保てる焚き口と冷燻製装置の位置を換えることなく冷却用パイプの長さを自在に替えることができる冷燻製装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の冷燻製装置は、冷却用パイプの長さを確保するための構造等を備えるため、装置全体として複雑化および大型化することが必至であった。このため、アウトドア用として持ち運ぶ際にも、あるいはインドア用として室内に設置する際にも、手軽さに欠け、また設置スペースを確保しなければならない問題等が生じていた。
【0011】
また、冷燻製装置には、相応の耐久性も要求されていた。
【0012】
そこで、本発明は、上記事情を考慮して、耐久性が良く、簡易な構造で小型化できる冷燻製機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、燻煙材を収容可能な第1筐体部と、食材を収容可能な第2筐体部と、前記第1筐体部と前記第2筐体部を接続し前記第1筐体部から前記第2筐体部に燻煙を誘導可能な導煙部と、を有する冷燻製機であって、前記第1筐体部は、前記燻煙材を支持する燻煙材支持部と、空気流を発生する空気流発生部を有し、前記燻煙材に対して前記空気流を供給する空気流供給部と、前記燻煙材支持部と前記空気流供給部との間に介在し、前記空気流を通すと共に前記燻煙材から発生した前記燻煙が前記空気流供給部に進入することを防止する仕切り部と、前記仕切り部に設けられ、前記空気流発生部で発生した前記空気流の流路を絞る空気流路絞り部と、を有し、前記空気流供給部は、中心部に厚み方向に貫通した開口部を有するプレートを備え、前記空気流路絞り部が前記プレートの前記開口部の内部に介在することにより前記空気流路絞り部の外縁部と前記プレートの前記開口部の内縁とで区画される空気流路の面積が絞られて絞り流路が形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、燻煙材を収容可能な第1筐体部と、食材を収容可能な第2筐体部と、前記第1筐体部と前記第2筐体部を接続し前記第1筐体部から前記第2筐体部に燻煙を誘導可能な導煙部と、を有する冷燻製機であって、前記第1筐体部は、前記燻煙材を支持する燻煙材支持部と、空気流を発生する空気流発生部を有し、前記燻煙材に対して前記空気流を供給する空気流供給部と、前記燻煙材支持部と前記空気流供給部との間に介在し、前記空気流を通すと共に前記燻煙材から発生した前記燻煙が前記空気流供給部に進入することを防止する仕切り部と、前記仕切り部に設けられ、前記空気流発生部で発生した前記空気流の流路を絞る空気流路絞り部と、を有し、前記空気流供給部は、各々の中心部に厚み方向に貫通した開口部を有する第1のプレートおよび第2のプレートを備え、前記第1のプレートが前記第2のプレートよりも前記空気流発生部側に位置し、前記第2のプレートが前記第1のプレートよりも前記仕切り部側に位置し、前記空気流路絞り部が前記第1のプレートの前記開口部の内部に介在することにより前記空気流路絞り部の外縁部と前記第1のプレートの前記開口部の内縁とで区画される空気流路の面積が絞られて第1の絞り流路が形成され、前記空気流路絞り部が前記第2のプレートの前記開口部の内部に介在することにより前記空気流路絞り部の外縁部と前記第2のプレートの前記開口部の内縁とで区画される空気流路の面積が絞られて第2の絞り流路が形成され、前記第2の絞り流路の開口面積が前記第1の絞り流路の開口面積よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1筐体部の燻煙材支持部で支持された燻煙材が点火又は加熱され、空気流供給部から空気が供給されて燻煙材から燻煙が発生する。第1筐体部の燻煙材から発生した燻煙は、導煙部を通って第2筐体部に流れ、食材に当て燻すことで燻製処理が行われる。
【0016】
ここで、燻煙材支持部と空気流供給部との間には、仕切り部が設けられているため、空気流を燻煙材に提供できるとともに、燻煙材から発生した燻煙が逆流して空気流供給部側に進入することを防止できる。これにより、空気流供給部に対して燻煙が付着することを防止でき、空気流供給部の汚れの発生や製品寿命の低下を抑制できる。
【0017】
空気流供給部は、空気流を発生させる空気流発生部と、空気流発生部で発生した空気流の流路を絞る空気流路絞り部と、を有しているため、空気流が通過する流路が空気流路絞り部で絞られる。このため、空気流路絞り部を通過するときの空気流の流速が速くなり、速い速度を維持した状態で燻煙材に当てられる。この結果、燻煙材に対する酸素供給能力が向上し、燻煙の発生効率が高くなる。
【0018】
空気流路絞り部の外縁部と第1のプレートの前記開口部の内縁とで区画される空気流路の面積が絞られて第1の絞り流路が形成され、空気流路絞り部の外縁部と第2のプレートの開口部の内縁とで区画される空気流路の面積が絞られて第2の絞り流路が形成され、第2の絞り流路の開口面積が第1の絞り流路の開口面積よりも小さいことにより、空気流が第1の絞り流路を通過したときに流速が速くなり、かつ第1の絞り流路を通過したことで流速が速くなった空気流が第2の絞り流路を通過するときに、さらにその流速が速くなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】本発明の冷燻製機を構成する第1筐体部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の本実施形態に係る冷燻製機について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1及び
図2に示すように、冷燻製機10は、主として、燻煙材Mを収容可能な第1筐体部12と、食材Fを収容可能な第2筐体部14と、第1筐体部12と第2筐体部14を接続し第1筐体部12から第2筐体部14に燻煙Sを誘導可能な導煙部16と、を含んで構成されている。
【0022】
第1筐体部12と第2筐体部14と導煙部16とは、相互に着脱自在に構成され、組み合わされて冷燻製機10が形成される。これにより、冷燻製機10は、簡易に組み立て可能となり、かつ小型化できる。
【0023】
[第1筐体部]
第1筐体部12は、いわゆる中空状のケーシングであり、アルミ製角パイプにより構成されている。
【0024】
第1筐体部12の内部は、燻煙材Mを支持する燻煙材支持部18と、燻煙材Mに対して空気流Bを供給する空気流供給部20と、燻煙材支持部18と空気流供給部20との間に介在して空気流Bを通すと共に燻煙材Mから発生した燻煙Sが空気流供給部20に進入することを防止する仕切り部22と、を有している。
【0025】
空気流供給部20は、例えば、第1プレート20aと、第2プレート20bと、第3プレート20cと、第4プレート20dと、第5プレート20eと、仕切りプレート22aと、が第1筐体部12の長手方向に沿って所定の間隔で並べられた状態で複数本の固定ボルト24が貫通し一体的に組み立てられて構成される。
【0026】
第1プレート20aは、正方形状又は長方形状の板材である。第1プレート部20aに、空気流発生部26の駆動力を制御し空気流発生部26から発生する空気流Bの流量を制御するための風量調整コントローラ28が設けられている。
【0027】
なお、空気流発生部26として、例えば送風ファンが用いられる。
【0028】
第2プレート20bは、正方形状又は長方形状の板材であるが、その中心部に厚み方向に貫通した開口部H1(
図1では図示省略)が形成されている。第2プレート20bには、開口部H1を塞ぐように空気流発生部26が取り付けられる。第2プレート20bの外縁部は、第1筐体部12の内壁面に当接している。このため、第2プレート20bの下流側の空気流Bや燻煙材Mから発生した燻煙Sが、第2プレート20bの外縁部から第1プレート20a側に進入することを防止している。
【0029】
第3プレート20c、第4プレート20d及び第5プレート20eは、いわゆるシール板であり、正方形状又は長方形状の板材であるが、中心部に厚み方向に貫通した開口部H2、H3、H4(
図1では図示省略)がそれぞれ形成されている。各プレート20c、20d、20eの外縁部は、第1筐体部12の内壁面に当接している。このため、第3プレート20cの開口部H2を通過した空気流Bや燻煙材Mから発生した燻煙Sが、第3プレート20cの外縁部から第2プレート20b側に進入(逆流)することを防止している。
【0030】
第3プレート20c、第4プレート20d及び第5プレート20eの中心部には開口部H2、H3、H4(
図1では図示省略)が形成されているが、開口部H2、H3、H4には空気流発生部26からの空気流Bが燻煙材M側に向かって流れているため、燻煙Sが開口部H2、H3、H4を通って逆流することがない。
【0031】
仕切りプレート22aは、仕切り部22を構成する板材であり、燻煙材Mから発生した燻煙Sが空気流発生部26側に進入することを防止する。仕切りプレート22aは、正方形又は長方形状に形成されている。ただし、仕切りプレート22aの外縁部は、第1筐体部12の内壁面に当接していない。このため、仕切りプレート22aの外縁部と第1筐体部12の内壁面との間には隙間が形成された状態となっている。この隙間が空気流発生部26からの空気流Bの流路になり、空気流Bが燻煙材Mに到達することを可能にしている。
【0032】
仕切りプレート22aには、空気流路絞り部32が取り付けられている。空気流路絞り部32は、円錐状又は角錐状に形成されており、燻煙材支持部18とは仕切りプレート22aを挟んで反対側に位置している。これにより、空気流路絞り部32の外縁部と第4プレート20dの開口部H3の内縁とで区画される空気流路44(
図1では図示省略)の面積が低減されて第1絞り流路46(
図1では図示省略)が形成され、かつ、空気流路絞り部32の外縁部と第5プレート20eの開口部H4の内縁とで区画される空気流路44の面積が低減されて第2絞り流路48(
図1では図示省略)が形成される。また、第2絞り流路48の開口面積は、第1絞り流路46の開口面積よりも小さくなっている(第1絞り流路46の開口面積>第2絞り流路48の開口面積)。このように、空気流発生部26から発生する空気流Bの流れる方向に沿って次第に空気流路44が絞られていく構成を実現している。
【0033】
なお、空気流路絞り部32は、導風部ともいう。
【0034】
一般に空気流路44の開口面積が絞られると、ベルヌーイの定理により、空気流等の流体がその絞られた部位を通過するときに流体の流速が速く(大きく)なる。本実施形態では、この原理を利用したものであり、空気流Bが第1絞り流路46を通過したときに流速が速くなり、かつ第1絞り流路46を通過したことで流速が速くなった空気流Bが第2絞り流路48を通過するときに、さらにその流速が速くなる。このため、空気流Bが仕切りプレート22eの外縁部から抜け出て燻煙材Mに衝突するときの空気流Bの流速が格段に速くなる。
【0035】
仕切りプレート22aには、燻煙材Mを支持する燻煙材支持部18が着脱可能に取り付けられている。燻煙材支持部18は、例えば、燻煙材Mを支持するため支持プレートである。燻煙材支持部18の一端が固定ボルト24の端部に係合して固定される。
【0036】
なお、燻煙材支持部18は、支持プレートという物理的に存在する部材に限定されるものではない。例えば、物理的に存在する部材が無くても、燻煙材Mが位置する第1筐体部12の領域又は空間を燻煙材支持部18又は燻煙材収容部と認定することもでき、有体物又は無体物にかかわらず、燻煙材支持部18の概念に含まれる。本願の発明者は、このように無体物となる構成をも想定しているため、燻煙材支持部18の意義については有体物・無体物を問わず、広く解釈されるべきである。
【0037】
燻煙材Mは、例えば燻製ウッドが利用でき、周知の木を砕片に加工したスモークチップを利用することができる。
【0038】
第1筐体部12の第2プレート20bと第3プレート20cとの間には、第1筐体部12の内外を貫通する複数の貫通孔42が形成されている。このため、貫通孔42が形成されている部位において、外気に接する第1筐体部12の表面積が大きくなる。
【0039】
第1筐体部12には、持ち手30が取り付けられている。持ち手30は、木製の丸棒で構成されていることが好ましい。
【0040】
第1筐体部12には、第1接続部34が形成されている。第1接続部34には、導煙部16の一端が接続される。
【0041】
なお、図示しないが、第1筐体部12には、空気流発生部26の駆動するための電力を供給する電源部が設けられている。電源部は、例えばUSBを介して携帯電話や端末と接続することが可能であり、また自宅用のコンセントに差し込んで使用することもできる。また、第1筐体部12に、充電電池を収納して空気流発生部26を駆動してもよい。
【0042】
[第2筐体部]
第2筐体部14は、例えば中空のアルミ製角パイプで構成されており、食材Fを載せるための食材プレート36が設けられている。ただし、食材プレート36は、必須のものではなく、食材Fを第2筐体部14の底面に直接載置してもよい。
【0043】
第2筐体部14には、第2接続部38が形成されている。第2接続部38には、導煙部16の他端が接続される。
【0044】
第2筐体部14には、燻煙排出部40が設けられている。第2筐体部14の内部の燻煙Sは、燻煙排出部40を介して外部に放出される。なお、燻煙排出部40は、中空のパイプ状に形成されている。
【0045】
[導煙部]
導煙部16は、複数の構成要素が相互に接続可能となるように構成され、長さ(全長)を調整することができる。燻製処理の内容又は状況に応じて、導煙部16の構成要素を適宜増減する。導煙部16は、燻煙が通過できるように中空のパイプ状に形成されている。
【0046】
次に、本発明の本実施形態に係る冷燻製機10の作用について説明する。
【0047】
図1及び
図2に示すように、第1筐体部12と第2筐体部14の間を導煙部16で接続する。第1筐体部12に収容された燻煙材Mが点火又は加熱され、空気流発生部26が駆動すると、第1筐体部12の内部に空気流Bが発生する。
【0048】
空気流Bは、第3プレート20cの開口部H2を通過した後、第4プレート20dの開口部H3の内縁と空気流路絞り部32の外縁部で形成された第1絞り流路46に進入し通過する。このとき、第3プレート20cの開口部H2の開口面積よりも第1絞り流路46の開口面積が小さく絞られているため、空気流Bが第1絞り流路46を通過するときに流速が速くなる(1度目の加速)。
【0049】
続いて、流速が速くなった空気流は、第4プレート20dの開口部H3の内縁と空気流路絞り部32の外縁部で形成された第1絞り流路46に進入し通過する。このとき、第1絞り流路46の開口面積よりも第2絞り流路48の開口面積が小さく絞られているため、空気流Bが第2絞り流路48を通過するときに流速がさらに速くなる(2度目の加速)。
【0050】
2段階で流速が速くなった空気流Bは、仕切りプレート22aの外縁部と第1筐体部12の内壁面との隙間を通過して燻煙材Mに勢い良く吹き込む。これにより、燻煙材Mからの発煙が継続し、燻煙流が発生し続ける。このように、燻煙材Mに対して所定の流速の空気流を当てることにより、燻煙Sの発生効率が高くなる。
【0051】
なお、燻煙Sは、仕切りプレート22aにより遮られて、空気流発生部26側には進入せず、空気流Bにのって導煙部16側に流れる。これにより、燻煙Sが空気流発生部26に付着せず、空気流発生部26の汚れを防止し、又は耐久性の低下を防止できる。
【0052】
燻煙Sは、燻煙流として、中空状になっている導煙部16に進入し、流れる。燻煙Sは、導煙部16を通過する過程において温度が次第に下がっていく。すなわち、第1筐体部12側に位置する導煙部16の入口側を流れる燻煙Sの温度が最も高く、第2筐体部14側に位置する導煙部16の出口側を通過する燻煙Sの温度が最も低い状態になる。
【0053】
導煙部16の出口側を通過した燻煙Sは、第2筐体部14に進入する。第2筐体部14の内部では、燻煙Sにより食材Fが燻されて冷燻法による燻製処理が実行される。その後、燻煙Sは、中空状の燻煙排出部40を通って外部に放出される。
【0054】
ここで、第1筐体部12は、燻煙Sの熱量や燻煙材Mの加熱による熱の熱量を持つことになるが、第1筐体部12には複数の貫通孔42が形成されているため、少なくとも貫通孔42が形成されている部位において外気に接する第1筐体部12の表面積が大きくなる。これにより、第1筐体部12の放熱効果が高くなり、燻煙Sから第1筐体部12へ伝熱した熱の放熱を促すことができる。この結果、第1筐体部12の温度上昇を抑制でき、第1筐体部12を取り扱うときの安全性を確保できる。
【0055】
また、仕切りプレート22aが空気流供給部20側に固定されているため、仕切りプレート22aと空気流供給部20が一体的に連結された状態になる。これにより、空気流供給部20に対する仕切りプレート22aの位置決めが容易になり、燻煙Sの逆流防止効果が高い精度で安定する。
【0056】
また、燻煙材支持部18が空気流供給部20に固定されているため、空気流供給部20を第1筐体部12から取り出すときに燻煙材支持部18も同時に取り出すことができる。これにより、燻煙材支持部18の第1筐体部12に対する着脱が容易になる。
【0057】
また、空気流路絞り部32が仕切りプレート22aに固定されているため、第1筐体部12に対して空気流供給部20を装着したときに既に空気流路絞り部32による空気流路の絞りが形成された状態になる。これにより、空気流路の絞り形成が容易かつ確実になる。
【0058】
さらには、空気流発生部26として、風量調整可能な送風ファンで構成されているため、空気流Bの流量を容易に調整できる。
【0059】
なお、上記実施形態に記載された内容は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 冷燻製機
12 第1筐体部
14 第2筐体部
16 導煙部
18 燻煙材支持部
20 空気流供給部
20a 第1プレート
20b 第2プレート
20c 第3プレート
20d 第4プレート
20e 第5プレート
22 仕切り部
22a 仕切りプレート
24 固定ボルト
26 空気流発生部
28 風量調整コントローラ
30 持ち手
32 空気流路絞り部(導風部)
34 第1接続部
36 食材プレート
38 第2接続部
40 燻煙排出部
42 貫通孔
44 空気流路
46 第1絞り流路
48 第2絞り流路
B 空気流
F 食材
S 燻煙
M 燻煙材
H1 開口部(第2プレート)
H2 開口部(第3プレート)
H3 開口部(第4プレート)
H4 開口部(第5プレート)