(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】単相三相充電兼用型変換回路及び車載充電機
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
H02M7/12 Q
(21)【出願番号】P 2021039992
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】202010172650.X
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519259098
【氏名又は名称】シェンヂェン ヴイマックス ニュー エネルギー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen VMAX New Energy Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】5F,Fengyun Building, No.5 Road, science park(North), Nanshan District, Shenzhen, Guangdong 518000 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】リゥ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】フォン インイン
(72)【発明者】
【氏名】イャオ シュン
(72)【発明者】
【氏名】フォン レンウェイ
【審査官】土井 悠生
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-121408(JP,A)
【文献】特開2015-165744(JP,A)
【文献】特開2010-028942(JP,A)
【文献】特開2007-325377(JP,A)
【文献】特開2005-033895(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0299793(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EMCモジュールとPFCモジュールとスイッチK1と制御モジュールとを含み、前記EMCモジュールは、グリッドのラインA、B、C、Nと前記PFCモジュールとの間に接続され、前記EMCモジュールから引かれたラインA1、B1、C1が前記PFCモジュールと接続され、且つラインA1、B1、C1がそれぞれキャパシタCX1、CX2、CX3を介して設定された仮想中点と接続され、前記仮想中点が前記スイッチK1を介して前記PFCモジュールのバス中点に接続され、前記制御モジュールは、グリッド入力信号を検出し、且つ前記グリッド入力信号のタイプに応じて前記スイッチK1の状態を制御するのに用いられることを特徴とする、単相三相充電兼用型変換回路。
【請求項2】
前記仮想中点は、キャパシタCY1を介して接地されていることを特徴とする、請求項1に記載の単相三相充電兼用型変換回路。
【請求項3】
前記グリッドを三相電源に接続している場合に、前記制御モジュールはスイッチK1をオンに制御し、単相電源に接続している場合に、前記制御モジュールはスイッチK1をオフに制御することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の単相三相充電兼用型変換回路。
【請求項4】
前記EMCモジュールは、EMC濾波器と切替装置とを含み、前記EMC濾波器は、ラインA、B、C、Nに対してそれぞれ濾波を行う濾波ユニットで構成され、前記切替装置は、ラインAとBとCとNとの間に配置されたスイッチで構成され、前記EMC濾波器の形態を切り替えるのに用いられることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の単相三相充電兼用型変換回路。
【請求項5】
前記グリッドを三相電源に接続している場合に、前記切替装置はラインA、B、C、Nに対してそれぞれ濾波を行う形態に前記EMC濾波器を設定し、単相電源に接続している場合に、前記切替装置は両経路濾波の形態に前記EMC濾波器を設定することを特徴とする、請求項4に記載の単相三相充電兼用型変換回路。
【請求項6】
K1は単極双投スイッチであり、前記グリッドを三相電源に接続している場合に、前記制御モジュールはスイッチK1を制御して前記仮想中点と前記PFCモジュールのバス中点とをオンにし、単相電源に接続している場合に、前記グリッドのラインNは、前記EMCモジュールから引かれたラインA1、B1、C1のいずれかを介して出力を行い、前記制御モジュールはスイッチK1を制御して前記仮想中点と前記EMCモジュールから出力されたラインNとをオンにすることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の単相三相充電兼用型変換回路。
【請求項7】
EMCモジュールとPFCモジュールと単極双投スイッチK2と制御モジュールとを含み、前記EMCモジュールは、グリッドのラインA、B、C、Nと前記PFCモジュールとの間に接続され、前記EMCモジュールから引かれたラインA1、B1、C1が前記PFCモジュールと接続され、且つラインA1、B1、C1がそれぞれキャパシタCX1、CX2、CX3を介して設定された仮想中点と接続され、前記仮想中点が前記単極双投スイッチK2の固定接点と接続され、直列続流装置が前記PFCモジュールにおけるバスの間に更に配置され、前記直列続流装置の中点が前記EMCモジュールから引かれたラインN1と接続され、前記単極双投スイッチK2の第一動的接点が前記PFCモジュールのバス中点と接続され、前記単極双投スイッチK2の第二動的接点が前記EMCモジュールから引かれたラインN1と接続され、前記制御モジュールは、グリッド入力信号を検出し、且つ前記グリッド入力信号のタイプに応じて前記単極双投スイッチK2の状態を制御するのに用いられることを特徴とする、単相三相充電兼用型変換回路。
【請求項8】
前記直列続流装置は少なくとも直列接続された2つのダイオード、または直列接続された2つのトランジスタを含むことを特徴とする、請求項7に記載の単相三相充電兼用型変換回路。
【請求項9】
前記グリッドを三相電源に接続している場合に、前記制御モジュールは前記単極双投スイッチK2の第一動的接点をオンに制御し、単相電源に接続している場合に、前記制御モジュールは前記単極双投スイッチK2の第二動的接点をオンに制御することを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の単相三相充電兼用型変換回路。
【請求項10】
前記EMCモジュールは、EMC濾波器と切替装置とを含み、前記EMC濾波器は、ラインA、B、C、Nに対してそれぞれ濾波を行う濾波ユニットで構成され、前記切替装置は、ラインAとBとCとNとの間に配置されたスイッチで構成され、前記EMC濾波器の形態を切り替えるのに用いられることを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の単相三相充電兼用型変換回路。
【請求項11】
前記グリッドを三相電源に接続している場合に、前記切替装置はラインA、B、C、Nに対してそれぞれ濾波を行う形態に前記EMC濾波器を設定し、単相電源に接続されているとき、前記
EMC濾波器のラインAの濾波ユニットは、前記切替装置による制御で前記PFCモジュールに単独接続されるか、ラインBの濾波ユニットまたはラインCの濾波ユニットと並列して前記PFCモジュールに接続されるか、ラインBの濾波ユニットとラインCの濾波ユニットと並列して前記PFCモジュールに接続されることを特徴とする、請求項
10に記載の単相三相充電兼用型変換回路。
【請求項12】
請求項1-11のいずれか1項に記載の単相三相充電兼用型変換回路を備えることを特徴とする車載充電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車充電の技術分野に属し、特に単相三相充電兼用型変換回路及び車載充電機に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネ及び排出削減並びにグリーン旅行の提唱とともに、新エネルギー車の需要量は日増しに増えており、電気自動車が新エネルギー車の主力となっている。車載充電機は電気自動車の重要な部分であり、電気自動車はエネルギーの区域及び形態の不定ができるのに役立つ。単相三相充電兼用型の車載充電機は広く使用されており、さまざまなグリッド環境に適用できる。特に、三相車載充電機は充電の待ち時間を短縮することができる。
【0003】
単相三相充電兼用型の車載充電機は、電気自動車の充電にさまざまな利便性をもたらすことができるが、その主回路の設計には多くの課題がある。単相三相充電兼用型の車載充電機は、実際の充電環境に応じて、単相作動モードと三相作動モードを切り替えることができる。一般に、三相作動モードでは、交流側と直流側の同相雑音を低減するように直流側の中点(O)をキャパシタを介してラインNに接続し、雑音は接地の代わりにNラインに送信される。また、干渉を低減するためにモジュールの外部に接地で直接送信された分量は、同時にキャパシタYをDCバスの中点に接続して雑音を除去することができる。単相作動モードに切り替えると、直流側の中点(O)が干渉源となり、そのキャパシタにより交流側と直流側の同相雑音が増加することがある。さらに、一部の文献では、Nラインをバスの中点に接続することにより、三相作動時の同相干渉を低減するが、これによりPFCバスの電圧調整範囲が制限され、空間ベクトル制御等の方法を採用してバス電圧をより広い範囲で調整することはできない。同時に、Nラインへの接続には、単相入力との互換性も困難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の先行技術における車載充電機に三相充電モードと単相充電モード時の異なる同相雑音源及び経路があることを目指し、単相三相充電兼用型変換回路構造及び車載充電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例で提供された単相三相充電兼用型変換回路は、EMCモジュールとPFCモジュールとスイッチK1と制御モジュールとを含み、前記EMCモジュールは、グリッドのラインA、B、C、Nと前記PFCモジュールとの間に接続され、EMCモジュールから引かれたラインA1、B1、C1が前記PFCモジュールと接続され、且つラインA1、B1、C1がそれぞれキャパシタCX1、CX2、CX3を介して設定された仮想中点と接続され、前記仮想中点が前記スイッチK1を介して前記PFCモジュールのバス中点に接続され、前記制御モジュールは、グリッド入力信号を検出し、且つグリッド入力信号のタイプに応じて前記スイッチK1の状態を制御するのに用いられる。
【0006】
本発明の実施例で、前記仮想中点は、キャパシタCY1を介して接地されている。
【0007】
本発明の実施例で、グリッドを三相電源に接続している場合に、前記制御モジュールはスイッチK1をオンに制御し、単相電源に接続している場合に、前記制御モジュールはスイッチK1をオフに制御する。
【0008】
本発明の実施例で、前記EMCモジュールは、EMC濾波器と切替装置とを含み、前記EMC濾波器は、ラインA、B、C、Nに対してそれぞれ濾波を行う濾波ユニットで構成され、前記切替装置は、ラインAとBとCとNとの間に配置されたスイッチで構成され、前記EMC濾波器の形態を切り替えるのに用いられる。
【0009】
本発明の実施例で、グリッドを三相電源に接続している場合に、前記切替装置はラインA、B、C、Nに対してそれぞれ濾波を行う形態に前記EMC濾波器を設定し、単相電源に接続している場合に、前記切替装置は両経路濾波の形態に前記EMC濾波器を設定する。
【0010】
本発明の実施例で、K1は単極双投スイッチである。グリッドを三相電源に接続している場合に、前記制御モジュールはスイッチK1を制御して前記仮想中点と前記PFCモジュールのバス中点とをオンにし、単相電源に接続している場合に、グリッドのラインNは、前記EMCモジュールから引かれたラインA1、B1、C1のいずれかを介して出力を行い、前記制御モジュールはスイッチK1を制御して前記仮想中点と前記EMCモジュールから出力されたラインNとをオンにする。
【0011】
本発明の実施例で更に提供された単相三相充電兼用型変換回路は、EMCモジュールとPFCモジュールと単極双投スイッチK2と制御モジュールとを含み、前記EMCモジュールは、グリッドのラインA、B、C、Nと前記PFCモジュールとの間に接続され、EMCモジュールから引かれたラインA1、B1、C1が前記PFCモジュールと接続され、且つラインA1、B1、C1がそれぞれキャパシタCX1、CX2、CX3を介して設定された仮想中点と接続され、前記仮想中点が前記単極双投スイッチK2の固定接点と接続され、直列続流装置が前記PFCモジュールにおけるバスの間に更に配置され、前記直列続流装置の中点が前記EMCモジュールから引かれたラインN1と接続され、前記単極双投スイッチK2の第一動的接点が前記PFCモジュールのバス中点と接続され、前記単極双投スイッチK2の第二動的接点が前記EMCモジュールから引かれたラインN1と接続され、前記制御モジュールは、グリッド入力信号を検出し、且つグリッド入力信号のタイプに応じて前記単極双投スイッチK2の状態を制御するのに用いられる。
【0012】
本発明の実施例で、前記直列続流装置は少なくとも直列接続された2つのダイオード、または直列接続された2つのトランジスタを含む。
【0013】
本発明の実施例で、グリッドを三相電源に接続している場合に、前記制御モジュールは前記単極双投スイッチK2の第一動的接点をオンに制御し、単相電源に接続している場合に、前記制御モジュールは前記単極双投スイッチK2の第二動的接点をオンに制御する。
【0014】
本発明の実施例で、前記EMCモジュールは、EMC濾波器と切替装置とを含み、前記EMC濾波器は、ラインA、B、C、Nに対してそれぞれ濾波を行う濾波ユニットで構成され、前記切替装置は、ラインAとBとCとNとの間に配置されたスイッチで構成され、前記EMC濾波器の形態を切り替えるのに用いられる。
【0015】
本発明の実施例で、グリッドを三相電源に接続している場合に、前記切替装置はラインA、B、C、Nに対してそれぞれ濾波を行う形態に前記EMC濾波器を設定し、単相電源に接続されているとき、前記濾波器のラインAの濾波ユニットは、前記切替装置による制御で前記PFCモジュールに単独接続されるか、ラインBの濾波ユニットまたはラインCの濾波ユニットと並列して前記PFCモジュールに接続されるか、ラインBの濾波ユニットとラインCの濾波ユニットと並列して前記PFCモジュールに接続される。
【0016】
本発明の実施例で更に提供された車載充電機は、上記の単相三相充電兼用型変換回路を採用する。
【0017】
従来技術と比較して本発明の単相三相充電兼用型変換回路を採用すると、三相作動モードでは、キャパシタCX1~CX3によって形成された仮想中点がK1でバス中点に短絡接続されて、同相電流回路を形成してグリッドに出力した同相雑音を減少させることができる。同時に、仮想中点の電圧はラインNの電圧と等しくないため、PFCモジュールは空間ベクトル制御等の方法を採用してバス電圧をより広い範囲で調整することはできる。このとき、仮想中点の電圧は、ラインNの電圧に対して電力周波数の3倍の低周波変動とごく小さい高周波雑音を生成する。単相作動モードでは、仮想中点とバス中点との間の接続を制御で切断することにより、直流側の中点によって引き起こされた同相雑音を遮断する。同時に、前記EMC濾波回路の形態を切り替えることにより単相濾波を実現する。三相濾波器の巻線を完全に活用できるため、巻線の利用率が向上し、部品のコストを削減することができる。
【0018】
本発明は、三相変換モードと単相変換モードとの互換でEMC雑音を低減する可能性があり、また、三相変換モードで最適化制御方法(空間ベクトル制御など)を採用して、装置全体の性能を最適化するようにPFCのバス電圧をより広い範囲で調整する可能性がある。単相変換モードで雑音を遮断しながらインターリーブで入力リップルを低減し、EMC濾波器の切り替えで濾波部品の利用を最大化する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明実施例における単相三相充電兼用型変換回路の第1例の回路図である。
【
図2】
図2は、三相モードでの単相三相充電兼用型変換回路の回路図である。
【
図3】
図3は、三相モードでのNラインまたは接地に対するバス中点電圧の概略図である。
【
図4】
図4は、単相モードでの接地に対するPFCバスの干渉電圧の概略図である。
【
図5】
図5は、単相モードでの一実例である切替トポロジー構造図である。
【
図6】
図6は、2本のライン4同相インダクタを用いた単相作動の切替トポロジー構造図である。
【
図7】
図7は、スイッチK1と中点Oとの間に選択的な抵抗Zseが直列接続され、仮想中点がキャパシタYに接続され、K1に単極双投を用いる回路図である。
【
図8】
図8は、本発明実施例における単相三相充電兼用型変換回路の第2例の概略図である。
【
図9】
図9は、本発明実施例における単相三相充電兼用型変換回路の第2例の三相モードでの回路図である。
【
図10】
図10は、本発明実施例における単相三相充電兼用型変換回路の第2例が三相モードで一つの切替方式を採用する回路の実例図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示されるように仮想中点を備えた単相三相充電兼用型変換回路の回路構造は、EMC(Electro Magnetic Compatibility:電磁適合性)モジュールとPFC(Power Factor Correction:力率補正)モジュールと中性のクランプスイッチK1と制御モジュールと負荷とを含み、前記EMCモジュールは、グリッドのラインA、B、C、Nと前記PFCモジュールとの間に接続され、グリッドのラインA、B、Cに対してEMCモジュールから引かれたラインA1、B1、C1が前記PFCモジュールと接続され、且つラインA1、B1、C1がそれぞれキャパシタCX1、CX2、CX3を介して設定された仮想中点O1に接続され、前記仮想中点O1が前記スイッチK1を介して前記PFCモジュールのバス中点Oに接続され、前記制御モジュールは、グリッド入力信号を検出し、且つグリッド入力信号のタイプに応じて前記スイッチK1の状態を制御するのに用いられる。前記PFCモジュールは、グリッドから入力された電力を直流に変換し、負荷に電力を供給するのに用いられる。前記PFCモジュールのトポロジー構造は、三相2レベルのトポロジー構造を採用したり、三相ウィーンまたは三相buck等のトポロジー構造を採用したりすることができる。
【0021】
前記単相三相充電兼用型変換回路は充電機に用いられる可能性がある。上記の単相三相充電兼用型変換回路の作動原理を以下に説明する。
【0022】
まず、制御モジュールは、グリッドから入力されたラインA、B、C、Nの信号を収集し、次にその作動モードを判定することにより、スイッチK1の接続を制御する。スイッチK1は継電器で実現でき、又はMOS、IGBT、双方向サイリスタなどによって形成されたスイッチング回路の様な半導体スイッチであり得る。本発明はこれを限定するものではない。
【0023】
仮に前記制御モジュールにより充電器が三相作動モードにあると判定するとすれば、K1をバス中点と仮想中点と接続していない場合、バスと接地との間に生成された高周波同相干渉雑音はキャパシタYまたは寄生キャパシタの経由で入力ポートに伝わることがあるため、電源がEMCテストに合格するのが困難になる。この問題を目指して、
図2は三相作動モードでのトポロジー構造の一例を示す。このモードでは、ラインA、B、C、Nの濾波器のインダクタ及びキャパシタが作動状態にある。
図2に示されるように、制御モジュールは単相三相充電兼用型変換回路が三相作動モードにあると判断する場合、制御モジュールはスイッチK1を閉合にしてDCバス側の中点Oを仮想中点O1とキャパシタCY1と接続させる。このとき、ラインA1、B1、C1は、キャパシタCX1、CX2、CX3を介してバス中点のキャパシタと回線を形成してこの低抵抗経路を介して同相干渉を伝えるため、入力側に送信されたバス雑音の分量を低減する。同時に、キャパシタCY1は直流側の同相雑音を吸収できるため、回路全体の同相雑音を低減することがある。さらに、バス中点はラインNにクランプされていないため、すべての接続が容量性接続になる。したがって、空間ベクトル制御方法を採用して直流側のキャパシタ電圧をより広い範囲で調整する可能性がある。
図3は、空間ベクトルで制御するとき、ラインNまたは接地に対するバス中点Oの電圧を示す。これは低周波電圧であり、高周波信号がほとんどないため、システムのEMC干渉が減少する。
【0024】
変換器が単相作動モードにある場合に、接地に対するバス中点の電圧は単相整流中に+Vdcと-Vdcとの間で定期変化し、AC電圧を重ね合わせるため(
図4は、バス中点と接地との間の電圧を示す)、この電圧は、入力電圧ゼロ交差点に高いdv/dt雑音分量を含む。K1を閉合にする場合(バス中点はまだキャパシタYを介して接地している)、DCバス側の雑音は仮想中点を介して接地を結合するため、比較的大きい干渉雑音を引き起こし、比較的大きいEMC問題をもたらす。
【0025】
この問題を目指して、単相モードでの一実例であるトポロジー構造を提供する。このモードでは、ラインAとラインNにおける濾波器のインダクタとキャパシタのみが作動状態にある。単相作動モードでは、K1を切断するとバス中点の電圧から接地する経路を切断し、EMCの目標をより簡単に達成できるようになる。
【0026】
必要な説明として、前記EMCモジュールは、EMC濾波器と切替装置とを含み、前記EMC濾波器は、ラインA、B、C、Nに対してそれぞれ濾波を行う濾波ユニットで構成され、前記切替装置は、ラインAとBとCとNとの間に配置されたスイッチ(K11、K12、K13、K14)で構成され、前記EMC濾波器の形態を切り替えるのに用いられる。切替装置は、EMC濾波器の前に位置したり、EMC濾波器の間及び後に位置したりすることができ、本発明は、その位置を制限しない。
【0027】
三相モードでは、前記切替装置はEMC濾波器のA、B、C、Nの4経路濾波を維持する。単相モードでは、前記切替装置はEMC濾波器を両経路濾波に切り替る。前記切替装置は、ライン1、ライン2またはライン3の濾波器を作動させる。ライン2またはライン3の濾波器が作動する場合、前記PFCモジュールをインターリーブモードで作動させて入力リップル電流をさらに低減し、EMC干渉を減少させる。
図5に示されるように、第2段はライン3の濾波器を使用し、単相作動でK11、K12、K13を閉合にし、K1を切断する。AC入力AとNは第1段の濾波器を通って入り、A相はK11とK12を介して第二濾波器の2つの巻線を用いて濾波を行った後PFCモジュールに出力する。ラインNはK13を介して第二濾波器の1つの巻線を用いて濾波を行った後PFCモジュールに出力する。
【0028】
図6に示されるように、前記EMCモジュールの第2段はライン4の濾波器を使用し、単相作動でK11、K12、K13を閉合にし、K1を切断する。AC入力AとNは第1段の濾波器を通って入り、A相はK11とK12を介して第二濾波器の2つの巻線を用いて濾波を行った後PFCモジュールに出力する。ラインNはK13とK14を介して第二濾波器の2つの巻線を用いて濾波を行った後PFCモジュールに出力する。単相作動では、第二濾波器の巻線をすべて利用するため、各巻線の電流を減少し、全体的な設計コストを低減し、効率を向上させることができる。同時に、PFCモジュールにおけるL1及びL2の対応モジュールは、インターリーブモードで作動して入力異相電流を減らすことができる。注意すべきなのは、ここで切替スイッチK11、K13も入力ポートに移動できるため、第1段の濾波器への入力もより適切に利用できることである。
【0029】
図7に示されるように、
図1に示された回路に基づいて、仮想中点O1はキャパシタCY1を介して更に接地することがあり、スイッチK1と直流側の中点Oとの間に選択的な抵抗Zselが直列接続されることがある。スイッチK1は更に単極双投スイッチを利用することがある。グリッドを三相電源に接続している場合に、前記制御モジュールはスイッチK1を制御して前記仮想中点と前記PFCモジュールのバス中点とをオンにし、単相電源に接続している場合に、グリッドのラインNは、前記EMCモジュールから引かれたラインC1を介して出力を行い(このとき、EMCモジュール内ではNラインがCラインと並列接続されており、NラインはC1ラインを介して出力したり、A1ラインまたはラインB1を介して出力したりすることができる)、前記制御モジュールはスイッチK1を制御して前記仮想中点と前記EMCモジュールから出力されたラインNとをオンにする。
【0030】
本発明に提供された
図8に示される様な単相三相充電兼用型変換回路の第2例の構造は、EMCモジュールとPFCモジュールと単極双投スイッチK2と制御モジュールとを含み、前記EMCモジュールは、グリッドのラインA、B、C、Nと前記PFCモジュールとの間に接続され、グリッドのラインA、B、Cに対してEMCモジュールから引かれたラインA1、B1、C1が前記PFCモジュールと接続され、且つラインA1、B1、C1がそれぞれキャパシタCX1、CX2、CX3を介して設定された仮想中点O1に接続され、前記仮想中点が前記単極双投スイッチK2の固定接点と接続され、直列続流装置が前記PFCモジュールにおけるバスの間に更に配置され、前記直列続流装置の中点がグリッドのラインNに対して前記EMCモジュールから引かれたラインN1と接続され、前記単極双投スイッチK2の第一動的接点が前記PFCモジュールのバス中点と接続され、前記単極双投スイッチK2の第二動的接点が前記EMCモジュールから引かれたラインN1と接続され、前記制御モジュールは、グリッド入力信号を検出し、且つグリッド入力信号のタイプに応じて前記単極双投スイッチK2の状態を制御するのに用いられる。
【0031】
上記のように仮想中点O1はキャパシタCY1を介して更に接地することがあり、スイッチK1と直流側の中点Oとの間に選択的な抵抗Zselが直列接続されることがある。
【0032】
前記直列続流装置は少なくとも直列接続された2つのダイオードまたはトランジスタを含む。2つのダイオードの中点がラインN1に直接接続されている。必要な説明として、前記直列続流装置は、その機能が続流または転流であるため、直列接続された2つのダイオードまたはトランジスタのみで構成されることもできる。三相作動では、この直列構造を利用して整流や転流を行うことができるため、L1、L2、L3の変換ユニットを占用する必要がなく、より高仕事率の単相変換を実現できる。
【0033】
図9は、三相入力時の典型的な配置例を示す。三相入力の場合、K11、K12、K13、及びK14をすべて切断し、K2を1に設定する。ラインN1が続流装置を介してPFC出力バスに接続されるが、電圧がバスの間でのみ浮動するため、続流装置は導通せず、断路に相当する。この配置により、
図2と同じ機能を実現し、三相作動時のEMC干渉を低減できる。
【0034】
図10は、単相入力時の典型的な配置例を示す。三相入力の場合、K11、K12、K13、及びK14をすべて閉合にし、K2を2に設定する。このとき、PFCモジュールはインターリーブの作動モードを採用して、EMC濾波器中のA相入力異相リップル電流とPFC直流側におけるキャパシタのリップル電流を低減することができる。次に、EMC濾波器L21中の上位3つの線路を流れる電流は等しく、すべて単相入力電流の3分の1である。したがって、この設計は、単相作動時の濾波器の使用率を向上させ、部品のコストを削減し、効率を高めるのにも役立つ。
【0035】
説明しなればいけないのが、単相電源に接続されているとき、
図10において、前記濾波器のラインAの濾波ユニットは、前記切替装置による制御でラインBの濾波ユニットとラインCの濾波ユニットと並列して前記PFCモジュールに接続されるか、前記濾波器のラインAの濾波ユニットは、制御で前記PFCモジュールに単独接続されるか、ラインBの濾波ユニットまたはラインCの濾波ユニットと並列して前記PFCモジュールに接続される。
【0036】
さらに説明しなればいけないのが、本発明の実施例で、単極双投スイッチK2を、前記PFCモジュールのバス中点と仮想中点との間に接続された単極単投スイッチまたは2つのスイッチにも置き換える可能性があり、すべての切替スイッチは、半導体スイッチを用いることができる。
【0037】
要約すると、本発明の単相三相充電兼用型変換回路を、単相と三相の作動モード間で柔軟に切り替えることができ、濾波器の構造に対する単相三相の異なる雑音源の要件に適応し、単相三相の作動モードでのEMC雑音の低減と互換性がある。さらに、三相作動モードで最適化制御方法(空間ベクトル制御など)を採用して出力電圧の広い調整範囲を維持し、従って変換器の性能を向上させることができる。同時に、変換回路はEMCの同相インダクタを最大限に活用できるため、製品コストを削減する。
【0038】
上記の説明は、単なる本発明の好ましい実施例だけであり、限定するものではない。本発明の趣旨および原則の範囲内で行われた修正、同等の置き換え及び改善は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。