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特許7126726移動型プロジェクション装置及び移動型プロジェクション装置用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】移動型プロジェクション装置及び移動型プロジェクション装置用プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20220822BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20220822BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220822BHJP
   B64D 47/00 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
H04N5/74 Z
G03B21/14 E
B64C39/02
B64D47/00
【請求項の数】 56
(21)【出願番号】P 2021066843
(22)【出願日】2021-04-12
(62)【分割の表示】P 2020056935の分割
【原出願日】2015-04-22
(65)【公開番号】P2021114312
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2021-04-12
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】514228217
【氏名又は名称】みこらった株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 將洋
(72)【発明者】
【氏名】佐古 曜一郎
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-030897(JP,A)
【文献】特開2000-289695(JP,A)
【文献】特開2005-338114(JP,A)
【文献】特開昭62-287288(JP,A)
【文献】特開2013-107184(JP,A)
【文献】特開2005-313291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
H04N 9/31
G03B 21/00
G09G 5/00
B64C 39/02
B64D 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中を飛行するための空中飛行機構部と、
画像を投影するためのプロジェクタ部と、
前記画像を投影する場所が、観視者の近傍に存在するか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段で、前記画像を投影するのに適切な場所が、観視者の近傍に存在しないと判別したときに、前記画像を投影するのに適切な場所に前記観視者を誘導する誘導手段と、
を備えることを特徴とする移動型プロジェクション装置。
【請求項2】
前記観視者の人数を検出する人数検出手段を備え、
前記判別手段は、前記人数検出手段で検出された前記観視者の人数に対して前記画像を投影するのに適切な場所であるか否かを判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項3】
前記誘導手段は、誘導のためのメッセージ音声を放音する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項4】
前記誘導手段は、ライトの点灯又は点滅により前記観視者を誘導する
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項5】
自装置が使用される移動空間に関する空間情報を、少なくとも前記画像を投影する場所の情報を含んで記憶する移動空間記憶部を備え、
前記移動空間記憶部の記憶情報に基づいて、前記画像を投影するのに適切な場所を決定して、前記誘導手段により誘導する
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項6】
自装置の周囲を撮影するカメラを備え、
前記カメラの撮影画像に基づいて、前記画像を投影するのに適切な場所を決定して、前記誘導手段により誘導する
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項7】
場所の明るさを検出する明るさ検出手段を備え、
前記明るさ検出手段で検出した明るさに基づいて、前記画像を投影するのに適切な場所を決定する
ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項8】
戸外である場合に、直射日光の当たる場所か否か判別し、直射日光の当たる場所と判別したときには、前記画像を投影するのに適切な他の場所を探索する
ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項9】
戸外である場合に、影領域か否か判別し、影領域であると判別したときに、前記画像を投影するのに適切な場所として決定する
ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項10】
戸外であって、直射日光の当たる場所と影領域がある場合に、前記影領域の広さが、投影する前記画像のサイズよりも大きい場合に、前記影領域を、前記画像を投影するのに適切な場所として決定して、前記誘導手段により誘導する
ことを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項11】
前記決定される前記画像を投影するのに適切な場所という概念には、異なる壁面などの異なる場所の概念を含むと共に、同じ壁面内における異なる位置の概念を含む
ことを特徴とする請求項5~請求項10のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項12】
投影された前記画像を観視する観視者を撮影するためのカメラを備えると共に、
前記カメラの撮影画像に基づいて、前記観視者が観視可能となる状態で前記画像を投影するように前記プロジェクタ部を制御する制御部を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項11のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項13】
前記プロジェクタ部は、複数個の画像を投影することが可能であり、
前記制御部は、前記カメラの撮影画像に基づいて、投影する前記画像の個数を決定し、前記決定した個数の前記画像を投影するように、前記プロジェクタ部を制御する
ことを特徴とする請求項12に記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項14】
投影する前記画像の個数が複数であるときには、上下方向及び/又は左右方向に複数個の画像を投影する
ことを特徴とする請求項13に記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記カメラの撮影画像に基づいて、投影する前記画像の大きさを決定し、前記決定した大きさの画像を投影するように、前記プロジェクタ部を制御する
ことを特徴とする請求項12~請求項14のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記カメラの撮影画像に基づいて、投影された前記画像までの距離を変えるように制御する
ことを特徴とする請求項12~請求項15のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記カメラの撮影画像に基づいて、前記画像の投影場所及び/または前記画像の大きさを変更するように、前記プロジェクタ部を制御する
ことを特徴とする請求項12~請求項16のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項18】
前記カメラの撮影画像から前記観視者の人数を検出する人数検出手段を備え、
前記制御部は、前記人数検出手段で検出した前記観視者の人数に応じて、前記画像を投影する場所を決定し、前記決定した場所に前記画像を投影するように、前記プロジェクタ部を制御する
ことを特徴とする請求項12~請求項17のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項19】
前記カメラの撮影画像から前記観視者の人数を検出する人数検出手段を備え、
前記制御部は、前記人数検出手段で検出した前記観視者の人数に応じて、投影する前記画像の個数を決定し、前記決定した個数の画像を投影するように、前記プロジェクタ部を制御する
ことを特徴とする請求項12~請求項18のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項20】
前記カメラの撮影画像から前記観視者の人数を検出する人数検出手段を備え、
前記制御部は、前記人数検出手段で検出した前記観視者の人数に応じて、前記プロジェクタ部から前記画像までの距離を変えるように制御する
ことを特徴とする請求項12~請求項19のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項21】
前記カメラの撮影画像から前記観視者の人数を検出する人数検出手段を備え、
前記制御部は、前記人数検出手段で検出した前記観視者の人数に応じて、前記画像の大きさを決定し、前記決定した大きさの前記画像を投影するように、前記プロジェクタ部を制御する
ことを特徴とする請求項12~請求項20のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項22】
前記カメラの撮影画像から前記観視者の人数を検出する人数検出手段を備え、
前記人数検出手段で検出した前記観視者の人数を監視し、投影された前記画像の表示中における前記観視者の人数の変化に応じて前記投影場所及び/又は前記画像の大きさを変更する手段を備える
ことを特徴とする請求項12~請求項21のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項23】
前記カメラの撮影画像から前記観視者の人数を検出する人数検出手段と、前記プロジェクタ部により投影された前記画像に関連する音声を放音する手段を備え、
前記制御部は、前記画像に関連する音声の音量を、前記人数検出手段で検出した人数に応じた音量とする
ことを特徴とする請求項12~請求項22のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項24】
前記カメラの撮影画像から前記観視者の人数を検出する人数検出手段を備えると共に、
前記人数検出手段で前記観視者が一人と検出された場合に、前記観視者の目線の高さと略一致する高さ位置を、前記画像を投影する場所とするように制御する手段を備える
ことを特徴とする請求項12~請求項23のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項25】
前記空中飛行機構部を制御して前記観視者の目線の高さと略一致する高さ位置にホバーリングさせるようにする手段を備える
ことを特徴とする請求項24に記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項26】
前記カメラの撮影画像から前記観視者の人数を検出する人数検出手段を備えると共に、
前記人数検出手段で前記観視者が一人と検出された場合に、前記観視者が全体を見渡せるサイズの前記画像を投影するように制御する手段を備える
ことを特徴とする請求項12~請求項25のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項27】
前記プロジェクタ部が具備するレンズによるズーム処理と投影距離との組み合わせにより、前記観視者が全体を見渡せる前記サイズとなるように制御する手段を備える
ことを特徴とする請求項26に記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項28】
前記カメラの撮影画像から前記観視者の人数を検出する人数検出手段を備えると共に、
前記人数検出手段で前記観視者が所定数以上の多人数と検出された場合に、前記観視者の目線の水平方向よりも高い位置を、前記画像を投影する場所とするように制御する手段を備える
ことを特徴とする請求項12~請求項27のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項29】
前記空中飛行機構部を制御して、前記観視者の目線の水平方向よりも高い位置にホバーリングさせるようにする手段を備える
ことを特徴とする請求項28に記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項30】
前記カメラの撮影画像から前記観視者の人数を検出する人数検出手段を備えると共に、
前記人数検出手段で前記観視者が所定数以上の多人数と検出された場合に、前記観視者が一人や前記所定数よりも少ない少人数の場合よりも大きいサイズの前記画像を投影するように制御する手段を備える
ことを特徴とする請求項12~請求項29のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項31】
前記プロジェクタ部が具備するレンズによるズーム処理と投影距離との組み合わせにより、前記観視者が一人や前記所定数よりも少ない少人数の場合よりも大きい前記サイズとなるように制御する手段を備える
ことを特徴とする請求項30に記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項32】
前記プロジェクタ部により投影された前記画像に関連する音声を放音する手段を備えると共に、前記画像に関連する音声の音量を変更する手段を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項31のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項33】
投影された前記画像を観視する観視者を撮影するためのカメラを備え、
前記カメラの撮影画像から前記観視者の存在を検出したときに、前記検出した前記観視者の近傍に移動して、前記プロジェクタ部による前記画像の投影を行う
ことを特徴とする請求項1~請求項32のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項34】
呼び出し情報を受信する通信手段を備え、
前記呼び出し情報に含まれる位置を特定するための情報に基づいて、前記呼び出し情報が発信された場所に居る観視者の近傍に移動して、前記プロジェクタ部による前記画像の投影を行う
ことを特徴とする請求項1~請求項33のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項35】
自装置が飛行移動すべき空間として、互いに重複しない複数の部分空間領域に分けられている移動空間の情報を記憶する移動空間情報メモリを備え、
前記移動空間情報メモリには、前記部分空間領域内のそれぞれに設置された前記呼び出し情報を発信する呼出装置の情報と、設置される前記部分空間領域の情報との対応情報が記憶されており、
前記呼び出し情報に含まれる前記位置を特定するための情報は、前記呼び出し情報を送出した前記呼出装置が前記部分空間領域のいずれに設置されているかを特定するための情報である
ことを特徴とする請求項34に記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項36】
前記プロジェクタ部は、投影する前記画像の画像情報として、複数の外国語による画像情報を備えており、
観視者の音声を収音するためのマイクロフォンと、前記マイクロフォンで収音した前記観視者の音声から、前記観視者の使用する外国語を判定する外国語判定部とを備えると共に、
記外国語判定部で判定した外国語に基づいて、前記プロジェクタ部が投影する前記画像を選択する選択手段を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項35のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項37】
前記プロジェクタ部は、投影する前記画像に付随する音声情報として、複数の外国語による音声情報を備え、
観視者の音声を収音するためのマイクロフォンと、前記マイクロフォンで収音した前記観視者の音声から、前記観視者の使用する外国語を判定する外国語判定部とを備えると共に、
記外国語判定部で判定した外国語に基づいて、前記画像に付随して前記観視者に対して提供する前記音声情報を選択する選択手段を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項36のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。

【請求項38】
前記プロジェクタ部は、水平方向に回転する回転台に取り付けられており、
前記回転台を回転駆動して前記プロジェクタ部を回転させて、前記画像の投影位置を水平方向に移動させる手段を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項37のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項39】
前記プロジェクタ部は、チルト機構を有する支持台に取り付けられており、
前記チルト機構を駆動制御して、前記プロジェクタ部により投影された前記画像の投影位置を上下方向に移動させる手段を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項38のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項40】
降雨又は降雪を検知、あるいは、降雨又は降雪の可能性を検知する手段を備え、
前記降雨又は降雪を検知、あるいは、前記降雨又は降雪の可能性を検知したときには、自装置を降雨又は降雪の当たらない場所に移動する手段を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項39のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項41】
降雨又は降雪を検知、あるいは、降雨又は降雪の可能性を検知する手段を備えると共に、傘を備え、
前記降雨又は降雪を検知、あるいは、前記降雨又は降雪の可能性を検知したときには、前記傘を利用するように制御する手段を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項40のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項42】
降雨又は降雪を検知、あるいは、降雨又は降雪の可能性を検知する手段を備えると共に、前記降雨又は降雪を検知、あるいは、前記降雨又は降雪の可能性を検知したときには、指示を求める手段を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項41のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項43】
風力又は風速を計測する計測手段を備え、
前記計測手段により風が強いことを検出したときには、屋外では飛行しないように制御する手段を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項42のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項44】
前記画像を投影することができる室内の壁又は戸外の建物の壁の情報を、前記壁の縦、横、高さの情報と共に記憶する記憶部を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項43のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項45】
前記記憶部には、幼稚園又は保育園の園児及び/又は車椅子の利用者のために低い位置での投影をする旨の指示の情報が含まれている
ことを特徴とする請求項44に記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項46】
太陽電池を備え、太陽光で充電しながら飛行する
ことを特徴とする請求項1~請求項45のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項47】
前記観視者の観視状況を判断し、前記観視状況が不適当と判断した場合に、前記画像の投影場所の上下左右の調整及び/又は前記投影場所の移動をする手段を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項46のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項48】
前記画像の投影場所の上下左右の調整及び/又は前記投影場所の移動は、変更回数の制限及び/又は変更時間の制限をかけられる
ことを特徴とする請求項47に記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項49】
観視者の音声を収音するためのマイクロフォンと、
前記マイクロフォンで収音した前記観視者の音声の認識結果に基づいて、前記観視者の要望を検知する手段と、
前記検知した前記要望に応じた前記画像を投影するように制御する手段と、
ことを特徴とする請求項1~請求項48のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項50】
前記プロジェクタ部は、記憶媒体から投影する前記画像の画像情報を再生する機能を有する
ことを特徴とする請求項1~請求項49のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項51】
前記プロジェクタ部が投影する前記画像の画像情報は、放送形式で外部から送られてくるものである
ことを特徴とする請求項1~請求項50のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項52】
前記放送形式で外部から送られてくるものの中から、投影する前記画像の画像情報を選局する機能を備える
ことを特徴とする請求項51に記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項53】
前記プロジェクタ部が投影する前記画像の画像情報を、前記画像情報の提供サーバに要求して取得する機能を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項52のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項54】
前記画像の画像情報には、音声情報が付随している
ことを特徴とする請求項50~請求項53のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項55】
前記画像を投影するのに適切な場所に着陸スペースがあれば、前記着陸スペースに着陸し、前記画像を投影する
ことを特徴とする請求項1~請求項54のいずれかに記載の移動型プロジェクション装置。
【請求項56】
空中を飛行するための空中飛行機構部と、画像を投影するためのプロジェクタ部とを備える移動型プロジェクション装置が備えるコンピュータを、
前記画像を投影する場所が、観視者の近傍に存在するか否かを判別する判別手段、
前記判別手段で、前記画像を投影するのに適切な場所が、観視者の近傍に存在しないと判別したときに、前記画像を投影するのに適切な場所に前記観視者を誘導する誘導手段、
として機能させるための移動型プロジェクション装置用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動型プロジェクション装置及び移動型プロジェクション装置用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1(特開2007‐229855号公報)には、特定人物に随伴して移動すると共に、その移動地点付近に関連した画像情報を適宜の投射面に投射して表示することができる自律移動型ロボットが提案されている。この特許文献1の発明によれば、移動中の人物に対して、その移動中の現在位置に関連した広告や警告などの画像情報を表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007‐229855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の発明の自律移動型ロボットは、特定人物に随伴して移動しなければならない。本来、利用者は、必要な時に、必要な場所で、プロジェクション画像を投影してもらえれば良いので、自律移動型ロボットの随伴自体が煩わしいと共に、自律移動型ロボットの随伴移動のための移動経路を考慮して移動しなければならず、面倒であった。
【0005】
また、特許文献1の発明の自律移動型ロボットは、特定人物の頭部や背中、路面を投射面として用いるようにするものである。このため、観視者が複数人の場合には、プロジェクション画像を、その複数の観視者が同時に観視することが困難となる。特に、観視者が多数人の場合には、例えば後方に居る人物は、前の人が邪魔になって、プロジェクション画像を観視することができなくなる恐れがある。
【0006】
この発明は、以上の問題点を解消することができる移動型プロジェクション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明は、
空中を飛行するための空中飛行機構部と、
画像を投影するためのプロジェクタ部と、
前記画像を投影する場所が、観視者の近傍に存在するか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段で、前記画像を投影するのに適切な場所が、観視者の近傍に存在しないと判別したときに、前記画像を投影するのに適切な場所に前記観視者を誘導する誘導手段と、
を備えることを特徴とする移動型プロジェクション装置を提供する。
【0008】
この発明による移動型プロジェクション装置は、空中飛行機構部を備え、空中を飛行して移動することができる。したがって、必要な時に、必要な場所に飛行移動して、その場に居る観視者に、装備しているプロジェクタ部を用いてプロジェクション画像を提供することができる。
【0009】
そして、この発明による移動型プロジェクション装置は、判別手段で画像を投影する場所が、観視者の近傍に存在するか否かを判別して、適切な場所が、観視者の近傍に存在しないと判別したときに、誘導手段により画像を投影するのに適切な場所に観視者を誘導する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によるプロジェクション装置によれば、観視者の近傍に画像を投影するのに適切な場所がないときにも、画像を投影するのに適切な場所に誘導されて、投影された画像を観視することができるので、観視者は、常に投影画像を観易い状態で観ることができることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明による移動型プロジェクション装置の第1の実施形態の構成例を説明するための図である。
図2】この発明による移動型プロジェクション装置の第1の実施形態の駆動制御装置部の構成例を説明するためのブロック図である。
図3】この発明による移動型プロジェクション装置の第1の実施形態の処理動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図4】この発明による移動型プロジェクション装置の第1の実施形態の処理動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図5】この発明による移動型プロジェクション装置の第1の実施形態の利用態様の例を示す図である。
図6】この発明による移動型プロジェクション装置の第2の実施形態の構成例を説明するための図である。
図7】この発明による移動型プロジェクション装置の第2の実施形態の利用態様の例を示す図である。
図8】この発明による移動型プロジェクション装置の第3の実施形態の構成例を説明するための図である。
図9】この発明による移動型プロジェクション装置の第3の実施形態の構成例を説明するための図である。
図10】この発明による移動型プロジェクション装置の第4の実施形態の利用態様の例を示す図である。
図11】この発明による移動型プロジェクション装置の第4の実施形態の駆動制御装置部の構成例を説明するためのブロック図である。
図12】この発明による移動型プロジェクション装置の第4の実施形態の処理動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図13】この発明による移動型プロジェクション装置の第4の実施形態の処理動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、この発明による移動型プロジェクション装置の第1の実施形態の構成例を示す図である。この発明の実施形態の移動型プロジェクション装置1は、自律して空中を飛行して移動可能なように構成されている。図1(A)は、この実施形態の移動型プロジェクション装置1を、その上方から見た図であり、また、図1(B)は、この実施形態の移動型プロジェクション装置1を、正面から見た図である。
【0013】
この実施形態の移動型プロジェクション装置1は、いわゆるクワッドコプターの構造の空中飛行機構部2と、駆動制御ユニット3とを備える。空中飛行機構部2は、駆動制御ユニット3により駆動制御される。図1に示すように、空中飛行機構部2は、駆動制御ユニット3から延びる4本のアーム4A,4B,4C,4Dの先端に、回転翼(ローター)機構5A,5B,5C,5Dが取り付けられて構成されている。
【0014】
回転翼機構5A,5B,5C,5Dは、モータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれにより回転翼シャフト(図示は省略)を回転駆動することにより、回転翼52A,52B,52C,52Dを回転駆動するように構成されている。モータ駆動部51A,51B,51C,51Dは、駆動制御ユニット3からの駆動制御信号により回転速度及び回転方向が制御される。モータ駆動部51A,51B,51C,51Dや駆動制御ユニット3は、バッテリー(図示は省略)を回転駆動用の電源や駆動制御用の電源として用いている。後述するカメラ、マイクロフォン、各種センサ、ディスプレイ、制御部などもバッテリーから電源を供給される。また、後述するプロジェクタもバッテリーから電源が供給される。バッテリーは、例えば、充電可能な二次電池が用いられる。また、太陽電池を用いることもできる。太陽電池を搭載した場合、屋外で日中であれば、移動型プロジェクション装置1は太陽光で充電しながら飛行できるという利点がある。
【0015】
この例においては、駆動制御ユニット3からの駆動制御信号によって、モータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれが独立に制御されることにより、移動型プロジェクション装置1は、離陸、着陸、上昇(真上、斜め上)、下降(真下、斜め下)、右旋回、左旋回、前進、後進、右シフト、左シフトなどの各種移動動作をすることができるようにされていると共に、鉛直方向に対する傾き角などの姿勢制御及びホバーリング位置の位置制御ができるようにされている。
【0016】
そして、この実施形態の移動型プロジェクション装置1においては、駆動制御ユニット3と一体的に、後述するカメラ、マイクロフォンや各種センサなどが取り付けられると共に、制御部を含む駆動制御装置部10を内蔵する筐体6が形成されている。筐体6は、この例では、全体として箱型の形状に構成されている。
【0017】
筐体6には、2個の脚部7A,7Bが互いに対向するように取り付けられている。この例では、脚部7A,7Bは、台形形状に成形されたパイプ部材からなり、図1(B)に示すように、着地面8において、安定して移動型プロジェクション装置1を保持するように形成されている。脚部の形状や部材はこれに限らず、種々考えられる。例えば、筐体6の四隅に4本の脚部が円柱形上に成形された木材や金属材料であってもよい。また、着地面8での移動を容易にするため、脚部に可動輪を装着してもよい。
【0018】
そして、回転翼52A,52B,52C,52Dの上方の、当該回転翼52A,52B,52C,52Dの回転の邪魔にならない位置には、プロジェクタ9が、筐体6の駆動制御ユニット3の部分の上面から植立されている支持柱91に支持された支持台92に固定されて設けられている。支持台92には、プロジェクタ9を遠隔制御するためのリモコン送信部93が取り付けられている。リモコン送信部93は、支持台92において、プロジェクタ9のリモコン受信部(図示は省略)がリモコン信号を受信可能な位置に取り付けられている。
【0019】
この例のプロジェクタ9は、記憶媒体の一例としてのDVD(Digital Versatile Disc)の再生部(図示は省略)を備える。そして、プロジェクタ9は、再生部に装填されたDVDに記憶されている画像情報を再生して、その画像情報をプロジェクション画像として投影する機能を備える。9Lは、プロジェクション画像の投影用のレンズである。また、DVDに、画像情報と対応して記憶されている音声情報の再生音声は、プロジェクタ9が備えるスピーカ9SL及び9SRから放音される。
【0020】
DVDには、観視者に提供するために予め用意されている複数個の画像情報及び音声情報が記憶されている。これらの複数個の画像情報及び音声情報のそれぞれは、リモコン信号により頭出しが可能である。
【0021】
なお、以下の説明においては、プロジェクタ9の投影用のレンズ9Lが設けられている面側を、移動型プロジェクション装置1の正面とする。
【0022】
この例においては、図1(A),(B)に示すように、筐体6の正面には、カメラCM1が設けられていると共に、マイクロフォンMCが設けられている。また、この筐体6の正面には、スピーカSPも設けられている。筐体6の左、右側面には、図1(A)及び(B)に示すように、カメラCM2、CM3がそれぞれ設けられると共に、筐体6の背面には、カメラCM4が設けられる。さらに、筐体6の底面には、図1(B)に示すように、カメラCM5が設けられる。
【0023】
カメラCM1~CM5の光軸(撮影方向に対応)は、カメラCM1~CM5のそれぞれの取り付け面に直交する方向となり、それぞれ光軸方向を中心として所定の画角範囲が撮影可能となる。
【0024】
筐体6内には、駆動制御装置部10が設けられている。図2は、この実施形態の移動型プロジェクション装置1における駆動制御装置部10の構成例を示すブロック図である。なお、図2ではバッテリーを省略した。
【0025】
図2に示すように、この実施形態における駆動制御装置部10は、コンピュータからなる制御部101に対して、システムバス100を通じて、空中飛行駆動部102、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ105、障害物センサ106、移動空間情報メモリ107、現在位置検出部108、飛行駆動信号生成部109、位置姿勢制御信号生成部110、カメラ群111、案内メッセージメモリ112、画像認識部113、音声インターフェース部114、音声認識部115、投影画像リストメモリ116、プロジェクタリモコンインターフェース117、リモコン信号発生部118、のそれぞれが接続されて構成されている。
【0026】
音声インターフェース部114には、マイクロフォンMCが接続されていると共に、スピーカSPが接続されている。また、プロジェクタリモコンインターフェース117には、リモコン送信部93が接続されている。
【0027】
空中飛行駆動部102は、制御部101の制御に従って、空中飛行機構部2の回転翼機構5A,5B,5C,5Dのモータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれに、駆動制御信号を供給する。
【0028】
ジャイロセンサ103は、移動型プロジェクション装置1の飛行中における加速度変化を検出するもので、移動型プロジェクション装置1の飛行進行方向やその速度、また、姿勢を検出するために用いられる。地磁気センサ104は、移動型プロジェクション装置1が、どの方位に飛行移動しているかを検出するために用いられる。高度センサ105は、移動型プロジェクション装置1が当該時点で位置している高度を検出するためのもので、例えば気圧センサからなる。
【0029】
障害物センサ106は、光や赤外線、ミリ波や準ミリ波、マイクロ波あるいは超音波などを発して、障害物からの反射波を検出することで、障害物の存在を検出すると共に、光や赤外線、あるいは超音波などを発してから、反射波を受信するまでの時間や減衰量を検出して、その時間や減衰量から、検出した障害物までの距離を算出することができるものとされている。この実施形態では、障害物センサ106は、移動型プロジェクション装置1が使用される空間(以下、移動空間という)における障害物、例えば室内の壁やタンス、ベッド、机などの障害物や、戸外の移動空間における電柱、建物、樹木などの障害物を検知して、それらに対する衝突を回避して飛行するために用いられる。
【0030】
移動空間情報メモリ107には、移動型プロジェクション装置1が使用される室内や戸外の移動空間に関する空間情報が記憶される。室内の移動空間の例としては、美術館、博物館、店舗などが挙げられる。戸外の移動空間の例としては、例えばテーマパーク、アミューズメントパーク、動物園、コンサート会場、サッカースタジアム、野球場等の限られた範囲の空間を対象とする。もちろん、限られた範囲の空間に限定することなく、会社周辺、駅周辺、空港周辺など、移動型プロジェクション装置1の飛行範囲内であれば、移動空間として移動空間情報メモリ107に空間情報が記憶される。
【0031】
この実施形態の移動型プロジェクション装置1の制御部101のメモリには、パノラマ写真用のアプリケーションプログラム(例えばPhotosynth)が格納されており、事前に、移動型プロジェクション装置1が、移動空間内を飛行して、カメラCM1~CM5の全てあるいは一部を用いて、当該移動空間内のそれぞれの場所において360度の範囲で撮影する。そして、制御部101は、パノラマ写真用のアプリケーションプログラムを用いて、その撮影した撮影画像情報から移動空間内のそれぞれの地点での3D画像情報を生成し、当該生成した3D画像情報を移動空間情報メモリ107に記憶する。
【0032】
この場合に、この例では、移動型プロジェクション装置1は、それが使用される移動空間の特定の場所をホームポジションとして定め、その位置を基地として離着陸するようにする。特定の場所は、通常の待機場所である充電ステーションに定めてもよい。
【0033】
移動空間情報メモリ107に記憶されている情報には、前記定められたホームポジションの位置情報も記憶される。また、移動空間情報メモリ107には、移動空間が室内である場合には、使用される室の縦、横、高さの情報も予め記憶される。さらに、移動空間が室内である場合には、梁やパイプスペース、柱など、使用される室の構造情報も予め記憶してもよいし、移動空間が戸外である場合には、電柱や建物、樹木の位置も予め記憶してもよい。
【0034】
そして、移動空間情報メモリ107には、プロジェクタ9によりプロジェクション画像を投影することができる室内の壁や、戸外の建物の壁などの場所(位置情報)も、その壁の縦×横×高さの情報と共に予め記憶される。室内や戸外において、予め、プロジェクション画像を投影するためのスクリーンを設けておき、そのスクリーン位置を、移動空間情報メモリ107に記憶しておくようにしてもよい。
【0035】
また、幼稚園や保育園など、園児主体の施設などでは、園児の身長に合わせ、低い位置での投影をするよう、移動空間情報メモリ107にその旨の指示を入れられるようにすることもできる。高齢者の介護施設や、病院など、車椅子の方が多い施設でも、低い位置での投影をするよう、移動空間情報メモリ107にその旨の指示を入れられるようにしてもよい。
【0036】
現在位置検出部108は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機を備え、移動型プロジェクション装置1の現在位置の緯度、経度、高度を検出する。より正確な位置情報を得るために、携帯電話基地局からの電波や、Wi-Fi(Wireless Fidelity(登録商標))通信のアクセスポイントからの電波を用いて現在位置を検出するようにしてもよい。また、カメラCM1~CM5の全てあるいは一部を用いて、移動型プロジェクション装置1の周囲を撮影し、その撮影した撮影画像情報と移動空間情報メモリ107に記憶された3D画像情報を比較して画像認識することで、3D画像空間における相対位置を把握し、現在位置を検出するようにしてもよい。移動後の現在位置を検出するためには、現在位置検出部108は、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ105をも使用する。
【0037】
飛行駆動信号生成部109は、制御部101により、起動情報に基づく指令により、基地(ホームポジション)から飛行を開始し空中移動するときには、移動空間情報メモリ107に記憶されている基地の位置情報と、現在位置検出部108で検出された現在位置の位置情報とから、移動するための飛行駆動信号を生成するために、移動方向及び移動距離を計算する。
【0038】
そして、飛行駆動信号生成部109は、計算した方向及び距離に基づくと共に、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ105などの情報を用い、さらに、カメラ群111のカメラCM1~CM5からの撮影画像を参照しながら、基地位置から、制御部101により指示された位置まで移動するための飛行駆動信号を生成し、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2に供給する。この場合、飛行駆動信号は、4個の回転翼機構5A~5Dのモータ駆動部51A~51Dのそれぞれを駆動する信号からなる。生成された飛行駆動信号は、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2のモータ駆動部51A~51Dのそれぞれに供給される。
【0039】
空中飛行機構部2は、この飛行駆動信号を受けて、回転翼52A~52Dのそれぞれを回転駆動して、基地から制御部101により指示された位置へ、あるいは、現在位置から基地へ、空中飛行による移動を行う。
【0040】
位置姿勢制御信号生成部110は、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ105、並びにカメラCM1~CM5の撮影画像に基づいて、後述するように、決定したプロジェクション画像を投影する場所の投影面に対する自装置の向きや位置を、適切な向き及び位置となるように位置及び姿勢(プロジェクション画像を投影する壁面などに対して、プロジェクタ9のレンズ9Lの光軸が直交する方向となっているか、前後及び左右方向の位置は適切か、及び上下方向の位置(高さ位置)は適切かなど)を制御する位置姿勢制御信号を生成する。
【0041】
この実施形態の移動型プロジェクション装置1においては、後述するように、制御部101は、観視者の人数に応じて、プロジェクション画像を投影する場所を決定する。なお、ここで、決定されるプロジェクション画像を投影する場所という概念には、異なる壁面などの異なる場所の概念を含むと共に、同じ壁面内における異なる位置(左右方向に異なる位置や高さ方向に異なる位置)の概念を含む。
【0042】
そして、プロジェクション画像を投影する場所が決定すると、制御部101は、飛行駆動信号生成部109を制御して、その決定したプロジェクション画像を投影する場所に、投影画像を投射するようにする位置(高さ位置を含む)において、ホバーリングするようにする飛行駆動信号を生成し、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2に供給する。そして、ホバーリングする高さ位置の制御用の信号の生成は、位置姿勢制御信号生成部110が行う。
【0043】
移動型プロジェクション装置1は、ホバーリングしている状態で、決定された場所に対して、プロジェクタ9によりプロジェクション画像を投射して表示する。もしも、決定された場所に対してプロジェクタ9によりプロジェクション画像を投射するのに適した場所に、机等、着陸可能なスペースがあれば、移動型プロジェクション装置1は、その場所に着陸して、プロジェクタ9によりプロジェクション画像を、決定した場所に投射するようにしてもよい。なお、投射後、周囲の状況を判断し、決定した場所から上下左右に移動し、場所の調整することもできるし、場所自体を変えてもよい。例えば、観視者が見づらそうにしている場合、見えやすい場所に移動するようにする。
【0044】
カメラ群111は、前述したカメラCM1~CM5からなるものである。カメラCM1~CM5のそれぞれは、動画の撮影画像情報をシステムバス100に出力する。カメラCM1~CM5のそれぞれからシステムバス100に送出される撮影画像情報には、いずれのカメラからの撮影画像情報であるかを識別するための識別情報が付加されている。なお、カメラCM1~CM5のそれぞれからの撮影画像情報は、動画の撮影画像情報ではなく、所定時間間隔、例えば0.5秒間隔の静止画の撮影画像情報としてもよい。
【0045】
案内メッセージメモリ112には、移動型プロジェクション装置1がプロジェクション画像を提供するサービスをすることや、当該サービスで投影する画像についての案内、画像を選択することが可能などの案内メッセージを記憶している。
【0046】
画像認識部113は、カメラCM1~CM5で撮影された撮影画像情報から人物及びその人数を認識する。画像認識部113は、また、前述した飛行中の回避する障害物を認識する。画像認識部113は、図示は省略する画像メモリに記憶している人物を検出するための比較用画像や障害物の画像に基づいて撮影画像情報についてパターンマッチング処理をすることで人物及びその人数を認識すると共に、障害物を認識する。飛行駆動信号生成部109は、認識された当該障害物を回避して空中移動するようにする飛行駆動信号を生成する。
【0047】
また、この実施形態では、画像認識部113は、カメラCM1~CM5で撮影された周囲環境の画像から、移動空間情報メモリ107に記憶されている、プロジェクタ9によりプロジェクション画像を投影することができる室内の壁や、戸外の建物の壁などの場所を探索するためにも用いられる。
【0048】
音声インターフェース部114は、マイクロフォンMCで収音した音声信号を音声認識部115に供給する機能を備える。また、音声インターフェース部114は、制御部101の制御に従って、案内メッセージ音声を観視者に伝達するための音声などをスピーカSPから放音する機能を備える。マイクロフォンMCは無指向性マイクロフォンであってもよいが、観視者の発声する音声のみを収音するために、指向性マイクロフォンとしてもよい。
【0049】
投影画像リストメモリ116は、プロジェクタ9に装填されているDVDに格納されている画像情報の内容を示すテキスト情報(例えば題名)と、その再生順番番号と、そのDVD上の記録アドレスの開始点及び終了点とからなる投影画像情報のリストが格納されている。
【0050】
DVDには、この投影画像リストメモリ116に記憶されているDVDに格納されている画像情報の内容を示すテキスト情報(例えば題名)と、その再生順番番号との一覧リストの画像情報が記憶されており、その一覧リストのプロジェクション画像が観視者に提供されるようにされている。
【0051】
そして、案内メッセージメモリ112に記憶されている案内メッセージ音声には、この一覧リストのプロジェクション画像についての説明および案内を含むと共に、その一覧リストからの希望する投影画像を再生順番番号により指示するようにするガイドメッセージが含まれる。
【0052】
後述するように、制御部101は、観視者からの希望する投影画像の再生順番番号の指示音声を、マイクロフォンMCを通じて受け、音声認識部115で音声認識し、指示された再生順番番号を認識するようにする。そして、制御部101は、その認識された再生順番番号の投影画像を、プロジェクション画像としてプロジェクタ9から提供するようにするためのリモコン信号をリモコン送信部93からプロジェクタ9に供給するようにする。
【0053】
プロジェクタリモコンインターフェース117には、リモコン送信部93が接続されている。そして、リモコン信号発生部118には、DVD用のリモコン信号が格納されており、制御部101は、このリモコン信号発生部118から、プロジェクタ9のリモコン信号を呼び出して、プロジェクタリモコンインターフェース117を通じてリモコン送信部93に送り、プロジェクタ9のリモコン受信部に対して送信するようにする。
【0054】
なお、図2において、飛行駆動信号生成部109、位置姿勢制御信号生成部110、画像認識部113、音声認識部115、の処理機能を、制御部101がソフトウエア処理機能として実現することもできる。
【0055】
[第1の実施形態の移動型プロジェクション装置1の動作の流れ]
図3及び図4は、第1の実施形態の移動型プロジェクション装置1の動作の流れの例を示すフローチャートである。以下の説明においては、制御部101が、飛行駆動信号生成部109、位置姿勢制御信号生成部110、画像認識部113、音声認識部115、の処理機能を、制御部101がソフトウエア処理機能として実現している場合として説明する。
【0056】
先ず、制御部101は、ホームポジションにおいて自装置を待機状態にする(ステップS101)。この待機状態においては、制御部101は、カメラCM1~CM5により見通し範囲を撮影し、その撮影画像の画像認識を行って、当該移動型プロジェクション装置1が設置されている美術館やテーマパークなどへの入場者を監視する。
【0057】
そして、制御部101は、カメラCM1~CM5の撮影画像の画像認識結果から入場者を検知したか否か判別し(ステップS102)、入場者を検知しなかったときには、ステップS101に戻って待機状態を維持する。
【0058】
ステップS102で、入場者を検知したときには、制御部101は、検知した入場者の近傍に飛行して移動する(ステップS103)。そして、制御部101は、カメラCM1~CM5の撮影画像の画像認識結果から観視者の人数を検知あるいは検知していた人数を確認する(ステップS104)。
【0059】
次に、制御部101は、検知した入場者の人数に対してプロジェクション画像を投射するのに適切な場所が、入場者の近くにあるか否かを、カメラCM1~CM5の撮影画像の画像認識結果と移動空間情報メモリ107の記憶情報とに基づいて判別する(ステップS105)。このステップS105で、入場者の人数に対してプロジェクション画像を投射するのに適切な場所が、入場者の近くには無いと判別したときには、移動空間情報メモリ107の記憶情報とに基づいて、適切な場所まで入場者を誘導するように案内メッセージ音声をスピーカSPから放音して、当該適切な場所まで移動して誘導する(ステップS106)。なお、誘導の方法としては、音声に限らず、移動型プロジェクション装置1にLEDなどのライト(図示せず)を搭載し、そのライトの点灯や点滅で誘導することもできる。
【0060】
ステップS105で、入場者の人数に対してプロジェクション画像を投射するのに適切な場所が、入場者の近くにあると判別したとき、また、ステップS106で、適切な場所まで入場者を誘導した後、制御部101は、人数に応じた適切な投影場所及び投影位置と、人数に応じた投影画像の適切な画面サイズを決定する(ステップS107)。そして、制御部101は、決定した投影場所の投影位置において、決定した画面サイズでプロジェクション画像を投射するようにプロジェクタ9を制御すると共に、投射したプロジェクション画像についての案内メッセージ音声をスピーカSPから放音するように制御する(ステップS108)。
【0061】
なお、このときに、プロジェクタ9のスピーカ9SL,9SRからは、プロジェクション画像に付属する音声が放音されるが、制御部101は、プロジェクション画像の画面サイズを決定した観視者の人数に応じた音量でスピーカ9SL,9SRから音声が放音されるようにするリモコン信号をプロジェクタ9に送信するようにする。すなわち、スピーカ9SL,9SRから音声の音量は、観視者の人数が少なくてプロジェクション画像の画面サイズが小さいときには、比較的小音量とされ、観視者が多数人の場合で画面サイズが大きい場合には、画面サイズに応じた大音量とされる。これにより、スピーカ9SL,9SRから音声の音量は、観視者の人数に応じた適切なものに制御される。
【0062】
次に、制御部101は、マイクロフォンMCで収音した音声の音声認識結果を監視して、投射されたプロジェクション画像を観視している観視者からの要望音声を検知したか否か判別する(図4のステップS111)。このステップS111で、観視者からの要望音声を検知したと判別したときには、制御部101は、投射する投影画像を、観視者からの要望に応じたプロジェクション画像とするように、プロジェクタ9にリモコン信号を送って、変更するようにする(ステップS112)。
【0063】
そして、ステップS111で、観視者からの要望音声を検知しなかったと判別したとき、また、ステップS112で、投射する投影画像が変更された後には、制御部101は、観視者の人数が変化したか否か判別する(ステップS113)。このステップS113で、観視者の人数が変化したと判別したときには、制御部101は、投影場所及び/または画面サイズの変更が必要か否か判別し(ステップS114)、変更の必要があると判別したときには、処理をステップS103に戻し、このステップS103以降の処理を繰り返す。なお、ステップS114における判別基準は、種々設定することができる。例えば、人数が増えた時は画面サイズを大きくするが、人数が減った時には画面サイズを小さくしないなどと設定することができる。また、投影場所変更や画面サイズ変更が頻繁に起こると、それだけで疲れてしまうので、変更回数の制限や変更時間の制限をかけるようにすることもできる。
【0064】
ステップS113で、観視者の人数は変化していないと判別したとき、また、ステップS114で、投影場所及び/または画面サイズの変更が必要ないと判別したときには、制御部101は、DVDに記憶されている画像情報の全てを投射したこと、あるいは、観視者からの終了の要望の音声を認識したことなどに基づいて、プロジェクション画像の提供サービスを終了するか判別する(ステップS115)。
【0065】
ステップS115で、プロジェクション画像の提供サービスを終了しないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS108に戻して、このステップS108以降の処理を繰り返す。また、ステップS115で、プロジェクション画像の提供サービスを終了すると判別したときには、制御部101は、プロジェクタ9に終了のリモコン信号を送った後、飛行して待機場所に戻り(ステップS116)、処理をステップS101に戻し、待機状態となる。
【0066】
[第1の実施形態の移動型プロジェクション装置1の利用態様例]
次に、上述の第1の実施形態の移動型プロジェクション装置1の利用態様の一例を、図5に示す。図5(A)の例は、入場者が一人の場合を示すものであり、図5(B)の例は、入場者が多数人の場合を示すものである。
【0067】
図5(A)に示すように、入場者HMが一人の場合には、この実施形態の移動型プロジェクション装置1の制御部101は、当該入場者HMが観易いように、入場者HMの近傍の位置であって、その目線の高さ位置に略一致する高さ位置を投影場所とすると共に、画面サイズを一人の観視者が一目で全体を見渡せる画面サイズに決定する。図5(A)の例では、投影場所は、壁面WLの内、観視者HMの近くの、観視者HMの目線の高さ位置であって、決定された画面サイズ部分の場所PS1とされている。
【0068】
そして、移動型プロジェクション装置1の制御部101は、自装置を、その決定した高さ位置になるように移動し、その高さ位置で、ホバーリングするように制御すると共に、リモコン信号によりレンズ9Lによるズーム処理と投影距離との組み合わせにより、画面サイズを決定した画面サイズになるようにプロジェクタ9を制御する。この結果、壁面WLの場所PS1には、決定された画面サイズのプロジェクション画像Pj1が投射されて表示される。
【0069】
また、入場者HMの人数が図5(B)に示すように多数人の場合には、移動型プロジェクション装置1の制御部101は、観視者の並びが、投影場所PSに対して前後になることを考慮して、後方に居る観視者にも観視が可能なように、観視者の目線の水平方向よりも高い(上方)位置を投影場所とすると共に、画面サイズを、一人や少人数の場合よりも大きい画面サイズに決定する。図5(B)の例では、投影場所は、壁面WLの内、多数人の観視者HMが見上げる高さ位置であって、決定された画面サイズ部分の場所PS2とされている。
【0070】
そして、移動型プロジェクション装置1の制御部101は、自装置をその決定した高さ位置になるように移動し、その高さ位置で、自装置1をホバーリングするように制御すると共に、リモコン信号によりレンズ9Lによるズーム処理と投影距離との組み合わせにより、画面サイズを決定したサイズとなるようにプロジェクタ9を制御する。この結果、壁面WLの場所PS2には、決定された画面サイズのプロジェクション画像Pj2が投射されて表示される。
【0071】
なお、プロジェクション画像の投影開始時点では観視者は一人であったが、観視者が増加したときには、その観視者の増加に合わせて、投影場所(投影位置)及び/または画面サイズを変えるように制御するのは、前述のフローチャートの説明の通りである。
【0072】
その場合に、壁面WLが、図5の例の壁面WLのように、プロジェクション画像の投影場所として上部及び広い画面サイズに対応する領域を備える場合には、投影場所として、同じ壁面WL内の異なる位置を決定することができる。しかし、投影場所として、同じ壁面WL内に適切な領域部分を確保することができない場合には、適切な投影場所を確保することができる別の壁面に、投影場所を移動させる必要があることは前述した通りである。この移動の場合には、この実施形態の移動型プロジェクション装置1の制御部101は、観視者に対して、その移動を案内メッセージ音声により案内して、誘導するようにすることも、前述のフローチャートで説明した通りである。
【0073】
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、人数に応じて投影場所(同じ壁面の異なる位置を含む)と、プロジェクション画像の画面サイズを変更するようにしたが、投射するプロジェクション画像の画面数を変化するようにしてもよい。第2の実施形態は、投射するプロジェクション画像の画面数を観視者の人数に応じて変化させる場合の一例であり、画面数を、1個の場合と、2個の場合とに変化させることができるようにした場合の例である。
【0074】
図6は、この第2の実施形態の移動型プロジェクション装置1ABを正面から見た図で、第1の実施形態の図1(B)に対応する。この第2の実施形態の移動型プロジェクション装置1ABを、その上方から見た図は、図1(A)と同様となる。この図6に示す第2の実施形態の移動型プロジェクション装置1ABにおいて、上述した第1の実施形態の移動型プロジェクション装置1と同一部分には、同一参照符号を付与して、その説明は省略する。
【0075】
この第2の実施形態の移動型プロジェクション装置1ABは、図6に示すように、筐体6の駆動制御ユニット3の部分の上面から植立されている支持柱91ABに支持された支持台92ABに固定されて設けられている。支持台92ABには、プロジェクタ9Aと、プロジェクタ9Bとを、上下2段に配置するように取り付けられている。そして、支持台92ABに取り付けられているプロジェクタ9A及び9Bのそれぞれを遠隔制御するためのリモコン送信部93A,93Bが、それぞれ取り付けられている。リモコン送信部93A,93Bは、支持台92ABにおいて、プロジェクタ9A,9Bのそれぞれのリモコン受信部(図示は省略)がリモコン信号を受信可能な位置に取り付けられている。その他は、第1の実施形態と同様に構成されている。
【0076】
この第2の実施形態の移動型プロジェクション装置1ABの駆動制御装置部は、図示は省略するが、図2の第1の実施形態の構成とほぼ同様である。ただし、リモコン送信部93A,93Bは、制御部101に対して、それぞれプロジェクタリモコンインターフェースを介して接続されている点が、図2の構成とは異なる。
【0077】
この第2の実施形態の移動型プロジェクション装置1ABにおいては、観視者が一人~少人数(複数列であっても前列の人が観視の邪魔にならない程度の人数)の場合には、下段のプロジェクタ9Aにより、1個のプロジェクション画像PjA(図7参照)を投射するようにする。そして、観視者が多数人(複数列であって前列の人が観視の邪魔になる人数)の場合には、図7に示すように、下段のプロジェクタ9Aのみでなく、上段のプロジェクタ9Bによってもプロジェクション画像PjBを投射するようにする。これにより、後方に居る観視者は、上段のプロジェクタ9Bによって投射されたプロジェクション画像PjBを観視することで、前列の観視者が邪魔にならずに観視することができる。
【0078】
なお、この第2の実施形態の移動型プロジェクション装置1ABにおいても、プロジェクション画像の画面サイズが変更できることは言うまでもない。その場合、下段におけるプロジェクタ9Aによるプロジェクション画像PjAの画面サイズと、上段におけるプロジェクタ9Bによるプロジェクション画像PjBの画面サイズとはそれぞれ独立に可変することができることは勿論である。
【0079】
また、上述の第2の実施形態では、2台のプロジェクタ9A,9Bは、同じ光軸方向を向いている場合としたが、互いに異なる光軸方向を向かせるように配置してもよい。例えば、1台のプロジェクタは、正面方向を光軸方向とするように取り付けるが、他の1台のプロジェクタは、正面方向に直交する上方向(天井方向)や、左右方向を光軸方向とするように取り付けてもよい。
【0080】
また、上述の第2の実施形態では、プロジェクタ2台の例であったが、プロジェクタは3台以上であってもよい。例えば、上中下3段にプロジェクタが設置されてもよい。
【0081】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、投射するプロジェクション画像の画面数を観視者の人数に応じて変化させる場合の他の例であり、画面数を、1個~3個の間で変化させることができるようにした場合である。
【0082】
図8は、この第3の実施形態の移動型プロジェクション装置1CDEを正面から見た図で、第1の実施形態の図1(B)に対応する。この第3の実施形態の移動型プロジェクション装置1CDEを、その上方から見た図は省略する。この図8に示す第3の実施形態の移動型プロジェクション装置1CDEにおいて、上述した第1の実施形態の移動型プロジェクション装置1と同一部分には、同一参照符号を付与して、その説明は省略する。
【0083】
この第3の実施形態の移動型プロジェクション装置1CDEは、図6に示すように、筐体6の駆動制御ユニット3の部分の上面から植立されている支持柱91CDEに支持された支持台92CDEに固定されて設けられている。支持台92CDEには、3台のプロジェクタ9Cと、プロジェクタ9Dと、プロジェクタ9Eとを、支持台92CDEの同一平面上に、横並びの状態で並べられて配置されるように取り付けられている。もちろん、配置方法・取り付け方法はこれに限らない。例えば、同一平面上に取り付けられなくてもよいし、横並びの状態で並べられて配置されなくてもよい。
【0084】
そして、支持台92CDEに並べられて取り付けられているプロジェクタ9C、9D、9Eのそれぞれを遠隔制御するためのリモコン送信部93C,93D,93Eが、それぞれ取り付けられている。リモコン送信部93C,93D,93Eは、支持台92CDEにおいて、プロジェクタ9C、9D、9Eのそれぞれのリモコン受信部(図示は省略)がリモコン信号を受信可能な位置に取り付けられている。その他は、第1の実施形態と同様に構成されている。
【0085】
この第3の実施形態の移動型プロジェクション装置1CDEの駆動制御装置部は、図示は省略するが、図2の第1の実施形態の構成とほぼ同様である。ただし、リモコン送信部93C,93D,93Eは、制御部101に対して、それぞれプロジェクタリモコンインターフェースを介して接続されている点が、図2の構成とは異なる。
【0086】
この第3の実施形態の移動型プロジェクション装置1CDEにおいては、観視者が一人~少人数であって、比較的1か所に集中的に位置している場合には、中央のプロジェクタ9Cにより、プロジェクション画像PjCを投射するようにする。そして、観視者が多数人であって、てんでんばらばらに散在している場合には、図9に示すように、中央のプロジェクタ9Cによるプロジェクション画像PjCと、その両脇のプロジェクタ9D,9Eによるプロジェクション画像PjD,プロジェクション画像PjEの一方とによる2画面、あるいは、中央のプロジェクタ9Cによるプロジェクション画像PjCと、その両脇のプロジェクタ9D,9Eによるプロジェクション画像PjD,プロジェクション画像PjEの両方とによる3画面、を用いるようにする。制御部101は、2画面にするか、3画面にするかを、カメラCM1~CM5の撮影画像の画像認識結果に基づいて、観視者の人数のみではなく、その集中度(散在度)に応じて、判断するようにする。
【0087】
これにより、観視者が、複数グループであって、各グループ毎に集中しているため全体として散在している場合や、単独行動の人や複数のカップルのみからなり、散在している場合などにおいても、2~3個のプロジェクション画像により、全ての観視者が良好に観視できるようにすることができる。また、撮影画像の画像認識のみならず、観視者それぞれの視線を検知し、観視者の集中度(散在度)を把握し、画面構成を考えるようにしてもよい。
【0088】
なお、この第3の実施形態の移動型プロジェクション装置1CDEにおいても、プロジェクション画像PjC,PjD,PjEの画面サイズが変更できることは言うまでもない。その場合、プロジェクション画像PjC,PjD,PjEのそれぞれは、独立に可変することができることは勿論である。
【0089】
また、上述の第3の実施形態では、3台のプロジェクタ9C,9D,9Eは、同じ光軸方向を向いている場合としたが、互いに異なる光軸方向を向かせるように配置してもよい。例えば、1台のプロジェクタは、正面方向を光軸方向とするように取り付けるが、他の2台のプロジェクタは、正面方向に直交する上方向(天井方向)や、左右方向を光軸方向とするように取り付けてもよい。
【0090】
また、上述の第3の実施形態では、プロジェクタ3台の例であったが、プロジェクタは2台でも4台以上であってもよい。
【0091】
さらに、上述の第2の実施形態のような上下2段のプロジェクタが左右に設置されてもよい。
【0092】
[第4の実施形態]
上述の実施形態では、移動型プロジェクション装置は、入場者を見通せる位置を待機場所として待機し、入場者を検知したときに、当該検知した入場者の傍らに飛行により移動して、プロジェクション画像の提供を行うようにした。以下に説明する第4の実施形態では、観視者からの呼び出しに応じて、当該呼び出しをした観視者の場所を検知して、その場所に移動して、プロジェクション画像の提供を行うようにする。
【0093】
そして、以下に説明する第4の実施形態の移動型プロジェクション装置においては、観視者が外国人である場合を考慮した構成を備える。
【0094】
この第4の実施形態の移動型プロジェクション装置の構成例を説明する前に、この第4の実施形態の移動型プロジェクション装置が使用される環境の例について、図10を参照しながら説明する。
【0095】
図10の例は、この第4の実施形態の移動型プロジェクション装置1Fを、美術館において、種々の案内をプロジェクション画像により提供することを想定した場合である。この例の美術館は、壁により仕切られた複数の展示スペースを有する。すなわち、この例の美術館は、図10に示すように、洋画スペース201、日本画スペース202、書画スペース203、彫塑スペース204、特別展示スペース205、焼物スペース206からなる複数の展示スペースを備えると共に、エントランスホール207を備えている。入場者は、外のチケット売り場208で、チケットを購入して、そのチケットをゲート209で提示することで、当該ゲート209を通ってエントランスホール207に入場することができる。
【0096】
エントランスホール207には、移動型プロジェクション装置用の待機基地210が設けられており、この待機基地210に、第4の実施形態の移動型プロジェクション装置1Fの複数台が待機するように構成されている。もちろん、移動型プロジェクション装置1Fは1台待機でも構成できるし、2台以上、例えば100台以上待機していてもよい。
【0097】
洋画スペース201、日本画スペース202、書画スペース203、彫塑スペース204、特別展示スペース205、焼物スペース206のそれぞれ、及びエントランスホール207には、入場者が、第4の実施形態の移動型プロジェクション装置1Fを呼び出す呼出信号を送出する呼出ポスト211,212,213,214,215,216,217が設置されている。
【0098】
呼出ポスト211,212,213,214,215,216,217のそれぞれは、呼出ボタン211BT,212BT,213BT,214BT,215BT,216BT,217BTを備える。入場者(観視者)により、当該呼出ボタン211BT,212BT,213BT,214BT,215BT,216BT,217BTが押されると、その押された呼出ボタンを備える呼出ポストが、自分を識別する識別情報を含む呼出信号を、送出する。
【0099】
後述するように、移動型プロジェクション装置1Fは、この呼出ポスト211~217からの呼出信号を受信する通信部を備えている。そして、移動型プロジェクション装置1Fは、受信した呼出信号に含まれる識別情報から、いずれの呼出ポストからの呼出信号であるかを認識して、その認識した呼出ポストが設置されているスペースの入場者(以下、観視者という)の傍らに飛行により移動して、プロジェクション画像の提供を実行するようにする。この例では、呼出ポスト211~217と、複数台の移動型プロジェクション装置1Fとは、Wi-Fi(登録商標)規格の無線LANにより接続される。
【0100】
次に、第4の実施形態の移動型プロジェクション装置1Fの構成例について説明する。以下に説明する第4の実施形態の移動型プロジェクション装置1Fは、機構的には、1台のプロジェクタを搭載する第1の実施形態の移動型プロジェクション装置1と同様に構成する。第4の実施形態の移動型プロジェクション装置1Fは、駆動制御装置部の構成が、第1の実施形態の移動型プロジェクション装置1と、一部異なっている。第4の実施形態の移動型プロジェクション装置1Fについての以下の説明において、第1の実施形態と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0101】
図11は、第4の実施形態の移動型プロジェクション装置1Fの駆動制御装置部10Fの構成例を示すブロック図である。この図11に示すように、駆動制御装置部10Fにおいては、通信部121と、外国語判定部122を備える。
【0102】
通信部121は、前述した無線LAN用の通信を行うための無線通信機能を備えている。通信部121は、呼出ポスト211~217のいずれかから呼出信号を受信すると、その受信信号に含まれる呼出ポストの識別情報を抽出して、システムバス100を通じて制御部101に送る。
【0103】
この駆動制御装置部10Fの移動空間情報メモリ107には、図10に示した美術館の複数の展示スペース201~206及びエントランスホール207からなる移動空間情報が格納されていると共に、展示スペース201~206及びエントランスホール207のそれぞれに設置されている呼出ポスト211~217のそれぞれの識別情報と位置情報との対応情報が格納されている。
【0104】
制御部101は、通信部121から呼出ポストの識別情報を受け取った時には、移動空間情報メモリ107に記憶されている呼出ポスト211~217の識別情報と位置情報との対応情報から、展示スペース201~206及びエントランスホール207のいずれから、呼出信号を受け取ったかを判別して認識するようにする。そして、制御部101は、飛行駆動信号生成部109で、認識した呼出ポストが存在する展示スペース201~206及びエントランスホール207のいずれかまで飛行移動するための飛行駆動信号を生成させ、空中飛行機構部2を制御して、その飛行移動を実行させるようにする。なお、呼出信号を受信して、当該呼び出しに応じて移動を開始した移動型プロジェクション装置1Fの制御部101は、移動開始してから待機基地210に戻るまでの間、他の呼出信号を受け取らないように、通信部121をスリープ状態あるいは停止状態に制御する。
【0105】
外国語判定部122は、プロジェクション画像の提供のために観視者の近傍に移動した時に、マイクロフォンMCで収音した音声信号についての音声認識部115での音声認識結果に基づいて、観視者が外国人である場合に、いずれの使用言語を使用しているかを判定する。
【0106】
この第4の実施形態の移動型プロジェクション装置1Fに装填されるDVDには、日本語による画像情報及び音声情報のみではなく、同じプログラム内容の画像情報及び音声情報であるが、例えば英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語によるそれぞれの画像情報及び音声情報が、使用言語の識別情報と対応付けられて格納されている。なお、プログラム内容としては、展示スペース201~206及びエントランスホール207のそれぞれで観視者に提供すべき案内の画像情報や音声情報が、展示スペース201~206及びエントランスホール207の識別情報と対応付けられて格納されている。
【0107】
なお、観視者が使用している言語が日本語以外の外国語であると判別されたが、用意している使用言語のいずれとも合致していないと判別したときには、観視者に、提供すべき使用言語を選択してもらって、その選択された使用言語で提供するようにする。
【0108】
投影画像リストメモリ116には、この第4の実施形態の移動型プロジェクション装置1Fにおいては、展示スペース201~206及びエントランスホール207のそれぞれで観視者に提供すべき案内の画像情報や音声情報の識別情報と、そのDVD上のアドレス情報との対応情報が格納されていると共に、同じプログラム内容の画像情報及び音声情報について、複数個の使用言語に対応する画像情報及び音声情報のそれぞれの識別情報と、そのDVD上の記憶アドレスとの対応情報が記憶されている。
【0109】
その他は、図2に示した第1の実施形態の移動型プロジェクション装置1の駆動制御装置部10の各部と同様の構成とされている。なお、外国語判定部122の処理機能は、制御部101がソフトウエア処理機能として実現することが可能である。
【0110】
[第4の実施形態の移動型プロジェクション装置1Fの動作の流れ]
図12及び図13は、第4の実施形態の移動型プロジェクション装置1Fの動作の流れの例を示すフローチャートである。以下の説明においては、制御部101が、飛行駆動信号生成部109、位置姿勢制御信号生成部110、画像認識部113、音声認識部115、外国語判定部122の処理機能を、制御部101がソフトウエア処理機能として実現している場合として説明する。
【0111】
先ず、制御部101は、ホームポジションにおいて自装置を待機状態にする(ステップS201)。この待機状態においては、制御部101は、通信部121を動作状態にして、当該通信部121での呼出信号の受信を監視する。
【0112】
そして、制御部101は、通信部121を通じた呼出信号の受信を検知したか否か判別し(ステップS202)、呼出信号の受信を検知しなかったときには、ステップS201に戻って待機状態を維持する。
【0113】
ステップS202で、呼出信号の受信を検知したときには、制御部101は、受信した呼出信号を発信した呼出ポストの識別情報を認識して、当該呼出ポストの位置を検知及び認識する(ステップS203)。そして、制御部101は、認識した呼出ポストがある展示スペース201のいずれか、あるいはエントランスホール207に移動する(ステップS204)。この移動に先立ち、制御部101は、通信部121をスリープ状態あるいは停止状態に制御して、他の呼出信号に応答しないようにする。
【0114】
呼出信号を発信した呼出ポストがある展示スペース201のいずれか、あるいはエントランスホール207に移動したら、制御部101は、呼び出しをした観視者を、カメラCM1~CM5の撮像画像から認識し、その認識した観視者(複数人を含む)に対してプロジェクション画像を投影する場所を案内する案内メッセージ音声をスピーカSPから放音して、観視者をその投影場所まで誘導する(ステップS205)。
【0115】
そして、制御部101は、カメラCM1~CM5の撮影画像の画像認識結果から観視者の人数を検知あるいは検知していた人数を確認する(ステップS206)。
【0116】
次に、制御部101は、人数に応じた適切な投影場所及び投影位置と、人数に応じた投影画像の適切な画面サイズを決定する(ステップS207)。次に、制御部101は、マイクロフォンMCで収音した音声情報についての音声認識結果から、観視者の使用言語を判定して、提供する音声の使用言語を選定する(ステップS208)。なお、前述したように、観視者の使用言語を判定することができなかったときには、観視者により使用言語を選択するようにしてもらうのは、前述した通りである。この観視者による使用言語の選択においても、音声認識により行うことができる。
【0117】
次に、制御部101は、決定した投影場所の投影位置において、決定した画面サイズでプロジェクション画像を投射するように自装置を制御すると共に、投射したプロジェクション画像についての案内メッセージ音声をスピーカSPから放音する(ステップS209)。この際に使用する案内メッセージ音声は、ステップS208で選定された使用言語によるものである。プロジェクション画像の表示と共に、プロジェクタ9のスピーカ9SL,9SRから提供される音声の音量は、第1の実施形態と同様に、観視者の人数(あるいはプロジェクション画像の画面サイズ)に応じた音量とされる。
【0118】
次に、制御部101は、マイクロフォンMCで収音した音声の音声認識結果を監視して、投射されたプロジェクション画像を観視している観視者からの要望音声を検知したか否か判別する(図13のステップS211)。このステップS211で、観視者からの要望音声を検知したと判別したときには、制御部101は、投射する投影画像を、観視者からの要望に応じたプロジェクション画像とするように、プロジェクタ9にリモコン信号を送って、変更するようにする(ステップS212)。
【0119】
そして、ステップS211で、観視者からの要望音声を検知しなかったと判別したとき、また、ステップS212で、投射する投影画像が変更された後には、制御部101は、観視者の人数が変化したか否か判別する(ステップS213)。このステップS213で、観視者の人数が変化したと判別したときには、制御部101は、投影場所及び/または画面サイズの変更が必要か否か判別し(ステップS214)、変更の必要があると判別したときには、処理をステップS207に戻し、このステップS207以降の処理を繰り返す。なお、ステップS214における判別基準は、ステップS114における判別基準と同様、種々設定することができる。
【0120】
ステップS213で、観視者の人数は変化していないと判別したとき、また、ステップS214で、投影場所及び/または画面サイズの変更が必要ないと判別したときには、制御部101は、DVDに記憶されている画像情報の全てを投射したこと、あるいは、観視者からの終了の要望の音声を認識したことなどに基づいて、プロジェクション画像の提供サービスを終了するか判別する(ステップS215)。
【0121】
ステップS215で、プロジェクション画像の提供サービスを終了しないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS209に戻して、このステップS209以降の処理を繰り返す。また、ステップS215で、プロジェクション画像の提供サービスを終了すると判別したときには、制御部101は、プロジェクタ9に終了のリモコン信号を送った後、飛行して待機場所に戻り(ステップS216)、スリープ状態または停止状態にしていた通信部121を動作状態に戻し、呼出信号を受信可能な状態に復帰させる(ステップS217)。そして、制御部101は、処理をステップS201に戻し、待機状態となる。
【0122】
上述の第4の実施形態によれば、移動型プロジェクション装置1Fは、自装置が見通せない場所からの呼び出しにも対応して、その場所に飛行移動して、観視者に対して、その人数に対応した投影場所及び画面サイズでプロジェクション画像を提供することができる。また、観視者が外国人の場合であって、予め用意している使用言語が利用できる場合には、その使用言語で案内メッセージ音声や、プロジェクション画像に付随の音声情報を提供することができるという効果もある。
【0123】
[その他の実施形態又は変形例]
なお、以上の例では、決定する投影場所については、その場所におけるプロジェクション画像の観易さなどは考慮しなかったが、例えば戸外の場合に、直射日光が当たる場所においては、当該場所にプロジェクション画像を投射しても、その画像が観辛くなる場合がある。制御部101は、そのような場合を考慮するように構成してもよい。すなわち、制御部101は、プロジェクション画像の投影場所として決定しようとしている場所の壁面などの画像を投射しようとする部分の明るさ(照度)を検出し、その明るさが、プロジェクション画像の観易さを考慮した所定の閾値以下となっているか否か判別する。そして、制御部101は、当該場所の明るさが前記所定の閾値以下であれば、当該場所を投影場所として決定してプロジェクション画像を投射する場所として使用する。一方、もしも、当該場所の明るさが前記所定の閾値より明るい場合には、制御部101は、当該場所は投影場所としては決定せずに、他の適切な投影場所を探索するようにする。
【0124】
なお、同じ壁の中に、明るさの異なる部分がある場合に、明るさが前記所定の閾値以下である部分の広さが、プロジェクション画像の投影画像の画面サイズよりも大きい場合には、その部分を投影場所として決定することもできる。例えば、直射日光が当たる位置に在る壁であるが、隣接するビルの影などにより、閾値以下の明るさの、所定の広さの影領域部分があるときには、その影領域部分の中にプロジェクション画像を投影することができるので、当該影領域部分を投影場所として決定することができる。
【0125】
また、以上の実施形態では、移動型プロジェクション装置には、プロジェクタは、支持台に直接的に固定して動かないようにした。しかし、支持台に設けた水平方向に回転する回転台上にプロジェクタを載置して固定するようにしてもよい。その場合には、移動型プロジェクション装置自身を水平方向に移動したり、回転させたりして、プロジェクション画像の投射位置を水平方向に移動させるのではなく、移動型プロジェクション装置自身はホバーリング状態を維持したまま、支持台に設けた回転台を回転駆動してプロジェクタを回転させることで、プロジェクション画像の投射位置を水平方向に移動させることができる。
【0126】
また、支持台上に、プロジェクタの光軸の方向を、支持台の底面に平行な面よりも下方(伏角の方向)を向くようにしたり、支持台の底面に平行な面よりも上方(仰角の方向)を向くようにしたりすることができるチルト機構を設け、このチルト機構にプロジェクタを固定することで、チルト機構を制御部101が制御することで、プロジェクション画像の投射位置を上下方向に移動させるように構成してもよい。
【0127】
また、上述の実施形態では、プロジェクタ9は、DVDに格納されている画像情報及び音声情報を再生して、プロジェクション画像及び付随音声を提供するためDVDドライブを備えるようにしたが、DVDドライブに限らず、BD(ブルーレイディスク)、HDD(ハードディスクドライブ)や、SSD(ソリッドステートドライブ)を備えたものであってもよい。また、USBやSDカードなど、フラッシュメモリーを備えたものであってもよい。さらに、インターネット上のクラウドから画像情報及び音声情報を入手するようにしてもよい。
【0128】
また、上述の実施形態では、プロジェクタ9は、筐体6とは別体として設けるようにしたが、筐体6内に組み込む形式でもよいことは勿論である。その場合、筐体6に取り付けられるリモコン送信部及びプロジェクタリモコンI/Fや、プロジェクタ9に取り付けられるリモコン受信部は必要なくなる。
【0129】
また、上述の実施形態では、プロジェクタは、記憶媒体から画像情報や音声情報を再生する機能を有するものとしたが、このようなものに限られるものではない。例えば、移動型プロジェクション装置は、プロジェクション画像情報や音声情報が、無線通信により外部から送られてくるものを受信して、プロジェクタで投射すると共に、音響再生する機能を有するように構成することもできる。その場合に、外部から送られてくるプロジェクション画像情報や音声情報は、放送形式に送られるものの中から、移動型プロジェクション装置が選局して受信するようにしてもよいし、移動型プロジェクション装置が、提供サーバに対して要求することで、その要求に応じたプロジェクション画像情報や音声情報を提供サーバから取得することができるように構成してもよい。
【0130】
なお、上述の実施形態では、移動型プロジェクション装置の空中飛行機構部2は、4個の回転翼機構を有するヘリコプター型の機構部の例で説明したが、回転翼機構の数は3個以下でも5個以上でもよい。さらに、ヘリコプター型の機構部に限らず、飛行機型の機構部などであってもよい。
【0131】
また、上述の実施形態では、カメラ群111のカメラの数は5個、マイクロフォンの数は1個であったが、数が限定されないことはもちろんである。また、カメラやマイクロフォンを設ける位置も種々考えられる。カメラについても、標準的なカメラでもよいし、広角カメラ、魚眼カメラ、360度カメラでもよい。また、望遠カメラ、赤外線カメラなどであってもよい。もちろん、これらのカメラを併用してもよい。
【0132】
さらに、ジャイロセンサ、地磁気センサ、高度センサ、障害物センサについても、複数個あってもよいことはもちろんである。
【0133】
なお、屋外利用が想定される移動型プロジェクション装置の場合は、防水仕様とすることが望ましい。防水仕様が十分でない場合は、移動型プロジェクション装置は、降雨や降雪時に雨や雪の当たらないところで待機し、飛行しないなどの防御対応が必要である。また、移動型プロジェクション装置が、飛行途中で降雨や降雪となった場合、または降雨や降雪の可能性を検知した場合、移動型プロジェクション装置は、速やかに雨や雪の当たらないところに着陸し、伝達者の指示を求めるようにする。この場合、降雨や降雪は、降雨センサや降雪センサで検知する。なお、移動型プロジェクション装置が傘を装備している場合は、降雨や降雪時に傘を利用してもよい。また、移動型プロジェクション装置は、風力または風速を計測できるようにし、風が強い場合は、事故発生の可能性が高いので、屋外では飛行しないようにしてもよい。
【0134】
その他、移動型プロジェクション装置は、その機構上、種々の変形例が考えられることはもちろんである。
【符号の説明】
【0135】
1,1AB,1CDE,1F…移動型プロジェクション装置、2…空中飛行機構部、9,9A,9B,9C,9D,9E…プロジェクタ、101…制御部、111…カメラ、113…画像認識部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13