(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】プレス装置
(51)【国際特許分類】
B30B 1/18 20060101AFI20220822BHJP
B30B 1/26 20060101ALI20220822BHJP
B21J 15/16 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
B30B1/18 B
B30B1/26 F
B21J15/16 P
(21)【出願番号】P 2021570625
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2020001594
(87)【国際公開番号】W WO2021144991
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000208857
【氏名又は名称】第一電通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】江口 剛志
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴広
(72)【発明者】
【氏名】宮田 昌和
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-1050(JP,A)
【文献】特開平11-47998(JP,A)
【文献】特開2001-232437(JP,A)
【文献】特開2007-203307(JP,A)
【文献】特開2006-62064(JP,A)
【文献】特表2006-504533(JP,A)
【文献】特表2013-510004(JP,A)
【文献】特開2003-305531(JP,A)
【文献】国際公開第2019/013006(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 1/18
B30B 1/26
B21J 15/00 - 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フレーム部と、前記第1フレーム部と第1方向で対面する第2フレーム部と、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とを接続する接続フレーム部とからなるフレームと、
回転軸を回転させるサーボモータと、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部との間で前記第1方向で往復動可能なラムと、前記回転軸の回転を前記ラムの往復動に変換する動力伝達機構と、前記ラムの負荷を測定可能な負荷測定手段とを有し、前記フレームに設けられたサーボプレスとを備えたプレス装置において、
前記フレームはロボットアームに固定され、
前記第1フレーム部内又は前記接続フレーム部内には、前記サーボモータを収納するモータ室が抉られて形成され、
前記動力伝達機構は、少なくとも一部が前記第1フレーム部内に設けられていることを特徴とするプレス装置。
【請求項2】
前記動力伝達機構は、前記第1方向に延びるナットと、前記ナット内で前記第1方向に延びるねじ軸と、前記ナットと前記ねじ軸との間に配置された複数個のボールとを有するボールねじ機構と、
荷重を伝達しつつ回り止め機能を有する直動機構とを備え、
前記第1フレーム部内に前記ボールねじ機構が設けられ、
前記ナット及び前記ねじ軸の一方は前記回転軸によって回転駆動され、
前記ナット及び前記ねじ軸の他方は、前記直動機構によって前記フレームと相対回転不能な状態で前記ラムと一体をなしている請求項1記載のプレス装置。
【請求項3】
前記動力伝達機構は、前記回転軸の回転を前記ボールねじ機構に伝達する減速機構を備え、
前記第1フレーム部内に前記減速機構が設けられている請求項2記載のプレス装置。
【請求項4】
前記ナットが前記回転軸によって回転駆動され、
前記直動機構は、前記フレームに設けられ、前記第1方向に延びるガイド部と、前記ねじ軸又はラムに設けられ、前記ガイド部に案内される被ガイド部とを有する直動ガイドである請求項2又は3記載のプレス装置。
【請求項5】
前記動力伝達機構は、前記第1方向に延びるナットと、前記ナット内で前記第1方向に延びるねじ軸と、前記ナットと前記ねじ軸との間に配置された複数の遊星ローラねじとを有する遊星ローラねじ機構と、
荷重を伝達しつつ回り止め機能を有する直動機構とを備え、
前記第1フレーム部内に前記遊星ローラねじ機構が設けられ、
前記ナット及び前記ねじ軸の一方は前記回転軸によって回転駆動され、
前記ナット及び前記ねじ軸の他方は、前記直動機構によって前記フレームと相対回転不能な状態で前記ラムと一体をなしている請求項1記載のプレス装置。
【請求項6】
前記動力伝達機構は、前記回転軸の回転を前記遊星ローラねじ機構に伝達する等速機構を備え、
前記第1フレーム部内に前記等速機構が設けられている請求項5記載のプレス装置。
【請求項7】
前記ねじ軸が前記回転軸によって回転駆動され、
前記直動機構は、前記第1フレーム部に設けられ、前記第1方向に延びる第1ボール溝と、前記ナットに設けられ、前記第1方向に延びる第2ボール溝と、前記第1ボール溝と前記第2ボール溝との間に設けられた複数個のボールとを有するボールスプラインであり、
前記第1フレーム部内に前記直動機構が設けられている請求項5又は6記載のプレス装置。
【請求項8】
前記サーボモータは、前記回転軸と一体回転するロータと、ステータとを有し、
前記接続フレーム部又は第1フレーム部は、前記ステータを固定している請求項1乃至7のいずれか1項記載のプレス装置。
【請求項9】
第2回転軸を回転させる第2サーボモータと、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部との間で前記第1方向で往復動可能な第2ラムと、前記第2回転軸の回転を前記第2ラムの往復動に変換する第2動力伝達機構と、前記第2ラムの負荷を測定可能な第2負荷測定手段とを有し、前記フレームに設けられた第2サーボプレスとを備え、
前記ラムと前記第2ラムとは対面している請求項1乃至8のいずれか1項記載のプレス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に従来のプレス装置が開示されている。これらのプレス装置は、フレームと、フレームに設けられたサーボプレスとを備えている。
【0003】
フレームは、第1フレーム部と、第1フレーム部と第1方向で対面する第2フレーム部と、第1フレーム部と第2フレーム部とを接続する接続フレーム部とからなる。フレームはC形状又はU形状をしている。
【0004】
サーボプレスは、サーボモータと、ラムと、動力伝達機構と、負荷測定手段とを有している。サーボモータは、コントローラによって作動し、回転軸を回転させる。ラムは第1フレーム部と第2フレーム部との間で第1方向で往復動可能であり、ラムには金型等が固定される。動力伝達機構は、回転軸の回転をラムの往復動に変換する。負荷測定手段は、ラムの負荷を測定可能である。
【0005】
このプレス装置は、例えばロボットアームに設けられ、種々の位置でリベット等を金型等によって加圧することが可能である。特に、このプレス装置は、加圧時のラムの負荷を負荷測定手段によって測定できることから、加圧の適否も保証することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開2019/013006号公報
【文献】国際公開2019/013007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来のプレス装置では、サーボモータ及び動力伝達機構がフレーム外に設けられているため、フレームからサーボモータ及び動力伝達機構の全体が突出し、大型化している。このため、このプレス装置を例えばロボットアームに設けた場合、ロボットアームの移動に制限を生じやすく、リベット等の加圧位置が限定されやすい。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、加圧の適否を保証可能であるとともに、加圧位置が限定され難い小型のプレス装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプレス装置は、第1フレーム部と、前記第1フレーム部と第1方向で対面する第2フレーム部と、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とを接続する接続フレーム部とからなるフレームと、
回転軸を回転させるサーボモータと、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部との間で前記第1方向で往復動可能なラムと、前記回転軸の回転を前記ラムの往復動に変換する動力伝達機構と、前記ラムの負荷を測定可能な負荷測定手段とを有し、前記フレームに設けられたサーボプレスとを備えたプレス装置において、
前記フレームはロボットアームに固定され、
前記第1フレーム部内又は前記接続フレーム部内には、前記サーボモータを収納するモータ室が抉られて形成され、
前記動力伝達機構は、少なくとも一部が前記第1フレーム部内に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明のプレス装置では、サーボモータが第1フレーム部内又は接続フレーム部内に設けられ、動力伝達機構の少なくとも一部が第1フレーム部内に設けられているため、フレームから突出する部分を小さくしたり、無くしたりするすることができる。また、このプレス装置においても、加圧時のラムの負荷を測定できる。
【0011】
したがって、本発明のプレス装置は、加圧の適否を保証可能であるとともに、小型で加圧位置が限定され難い。
【0012】
動力伝達機構は、第1方向に延びるナットと、ナット内で第1方向に延びるねじ軸と、ナットとねじ軸との間に配置された複数個のボールとを有するボールねじ機構と、
荷重を伝達しつつ回り止め機能を有する直動機構とを備え、
第1フレーム部内にボールねじ機構が設けられ得る。また、ナット及びねじ軸の一方は回転軸によって回転駆動され得る。さらに、ナット及びねじ軸の他方は、直動機構によってフレームと相対回転不能な状態でラムと一体をなし得る。この場合、サーボプレスで多用されているボールねじ機構が動力伝達機構を構成し、構造の簡素化を実現できる。
【0013】
ボールねじ機構が動力伝達機構を構成する場合、ナットが回転軸によって回転駆動されることが好ましい。また、直動機構は、フレームに設けられ、第1方向に延びるガイド部と、ねじ軸又はラムに設けられ、ガイド部に案内される被ガイド部とを有する直動ガイドであることが好ましい。この場合、ねじ軸が回転軸によって回転駆動される場合よりも、動力伝達機構のボールねじ機構の全長の短縮化を実現できる。また、ねじ軸がラムと一体となり、簡易な直動ガイドによって直動機構を構成することができるため、構造の簡素化をより実現できる。
【0014】
動力伝達機構は、第1方向に延びるナットと、ナット内で第1方向に延びるねじ軸と、ナットとねじ軸との間に配置された複数の遊星ローラねじとを有する遊星ローラねじ機構と、
荷重を伝達しつつ回り止め機能を有する直動機構とを備え、
第1フレーム部内に遊星ローラねじ機構が設けられ得る。また、ナット及びねじ軸の一方は回転軸によって回転駆動され得る。さらに、ナット及びねじ軸の他方は、荷重を伝達しつつ回り止め機能を有する直動機構によってフレームと相対回転不能な状態でラムと一体をなし得る。この場合、遊星ローラねじ機構が動力伝達機構を構成し、動力伝達機構が大きな荷重を伝達できることから、プレス装置が付与できる荷重を大きくできる。また、遊星ローラねじ機構はリードが細かいため、減速機を不要にでき、プレス装置の小型化をより実現できる。
【0015】
遊星ローラねじ機構が動力伝達機構を構成する場合、ねじ軸が回転軸によって回転駆動されることが好ましい。また、直動機構は、第1フレーム部に設けられ、第1方向に延びる第1ボール溝と、ナットに設けられ、第1方向に延びる第2ボール溝と、第1ボール溝と第2ボール溝との間に設けられた複数個のボールとを有するボールスプラインであることが好ましい。この場合、ナットがラムと一体となり、直動ガイドよりも小容積のボールスプラインによって直動機構を構成することができるため、より小型化を実現できる。
【0016】
サーボモータは、回転軸と一体回転するロータと、ステータとを有し得る。接続フレーム部又は第1フレーム部は、ステータを固定していることが好ましい。この場合、接続フレーム部又は第1フレーム部がモータハウジングを兼ねるため、モータハウジングが不要となり、部品点数の削減による製造コストの低廉化を実現できる。
【0017】
本発明のプレス装置はサーボプレスが一つであってもよく、サーボプレスが二つ以上であってもよい。サーボプレスが一つである場合、サーボモータはフレームの第1フレーム部内又は接続フレーム部内に設けられる。つまり、フレームはサーボモータが設けられていない部分が第2フレーム部となる。サーボプレスが二つである場合、本発明のプレス装置はフレームに設けられた第2サーボプレスとを備え得る。第2サーボプレスは、第2回転軸を回転させる第2サーボモータと、第1フレーム部と第2フレーム部との間で第1方向で往復動可能な第2ラムと、第2回転軸の回転を第2ラムの往復動に変換する第2動力伝達機構と、第2ラムの負荷を測定可能な第2負荷測定手段とを有し得る。そして、ラムと第2ラムとは対面していることも好ましい。この場合、ラムと第2ラムとによってワークの両側から加圧を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のプレス装置は、加圧の適否を保証可能であるとともに、従来よりも小型で加圧位置が限定され難い。このため、このプレス装置を例えばロボットアームに設けた場合、ロボットアームの移動に制限を生じ難く、種々の位置でリベット等の加圧を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施例1のプレス装置に係り、ラムが上昇した状態の断面図である。
【
図2】
図2は、実施例1のプレス装置に係り、ラムが下降した状態の断面図である。
【
図3】
図3は、実施例2のプレス装置の断面図である。
【
図4】
図4は、実施例3のプレス装置に係り、ラムが上昇した状態の断面図である。
【
図5】
図5は、実施例3のプレス装置に係り、ラムが下降した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例1~3を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施例1)
実施例1のプレス装置は、
図1及び
図2に示すように、フレーム1と、フレーム1に設けられたサーボプレス31とを備えている。
【0022】
フレーム1は、第1フレーム部11と、第1フレーム部11と第1方向xで対面する第2フレーム部13と、第1フレーム部11と第2フレーム部13とを接続する接続フレーム部15とからなる。第1フレーム部11と第2フレーム部13とは、第1方向xと直交する第2方向yに延びている。フレーム1はC形状又はU形状をしている。以下、フレーム1の第1フレーム部11側を上側とし、フレーム1の第2フレーム部13を下側とする。
【0023】
第2フレーム部13と接続フレーム部15とはL形状に一体に鋳造されている。接続フレーム部15には第1方向xに延びる円柱状に抉られたモータ室15aが上面から凹設されている。接続フレーム部15には第2方向yに延びる第1本体17が締結され、第1本体17には第2方向yに延びる第2本体19が締結されている。接続フレーム部15、第1本体17及び第2本体19は図示しない複数本のボルトによって締結されている。第1本体17及び第2本体19が第1フレーム部11を構成している。
【0024】
第2本体19には第1方向xに円筒状に延びる軸受ハウジング21が複数本のボルト23によって締結されている。また、軸受ハウジング21には環状の軸受カバー25が接合されている。
【0025】
第1本体17には、モータ室15aと同軸をなし、第1方向xに延びる第1軸孔17aが貫設されているとともに、第1軸孔17aと平行な第2軸孔17bが貫設されている。第2本体19内にはギヤ室19aが形成されている。第1本体17、第2本体19、軸受ハウジング21及び軸受カバー25内にはギヤ室19aと連通するナット室27が形成されている。
【0026】
接続フレーム部15には、モータ室15aの下側に第1軸受29aが設けられているとともに、第1軸孔17aのモータ室15a側に第1軸受29aと同軸の第2軸受29bが設けられている。また、接続フレーム部15には第1軸孔17aのギヤ室19a側に第1、2軸受29a、29bと同軸の第3軸受29cが設けられ、第2本体19には第1~3軸受29cと同軸の第4軸受29dが設けられている。
【0027】
また、接続フレーム部15には第3軸受29cの隣に第5軸受29eが設けられ、第2本体19には第4軸受29dの隣に第5軸受29eと同軸の第6軸受29fが設けられている。さらに、接続フレーム部15には第5軸受29eの隣に第7軸受29gが設けられ、軸受ハウジング21及び軸受カバー25には第6軸受29fの隣に第7軸受29gと同軸の第8軸受29hが設けられている。
【0028】
サーボプレス31は、サーボモータ33と、ラム35と、動力伝達機構40と、ロードセル37とを有している。サーボモータ33は、回転軸33aと、ロータ33bと、ロータ33b周りに配置されたステータ33cとを有している。ロータ33bは回転軸33aと一体回転する。回転軸33aは第1軸受29aと第2軸受29bとに軸支されている。ステータ33cはモータ室15aの内周に固定されている。
【0029】
第1軸孔17a内に突出する回転軸33aには四角柱部33dが形成されている。第3軸受29cと第4軸受29dとには第1軸39が軸支され、回転軸33aの四角柱部33dは第1軸39の係合穴39aに係合している。第1軸39には第1歯車41が固定されている。
【0030】
第5軸受29eと第6軸受29fとには第2軸43が軸支されている。第2軸43には第2歯車45と第3歯車47とが固定されている。第2歯車45は、第1歯車41よりも大径であり、歯数も多い。第3歯車47は、第2歯車45よりも小径であり、歯数も少ない。第2歯車45は第1歯車41と噛み合っており、第3歯車47は第2歯車45より第5軸受29e側に位置している。
【0031】
第7軸受29gには円筒状の回転台49が軸支され、第8軸受29hには円筒状のナットホルダ51が軸支されている。回転台49とナットホルダ51との間にはナット53と第4歯車55とが複数本のボルト57によって固定されている。これら回転台49、ナット53、第4歯車55及びナットホルダ51は、第7軸受29gと第8軸受29hとに軸支されている。ナットホルダ51の上端には雌ねじが形成されており、第8軸受29hはワッシャ59aを介し、ナットホルダ51の雌ねじと螺合するナット59によってナットホルダ51に挟持されている。第4歯車55は、第3歯車47よりも大径であり、歯数も多い。第4歯車55は第3歯車47と噛み合っている。
【0032】
ナット53及びナットホルダ51内には第1方向xに延びるねじ軸61が設けられている。軸受ハウジング21にはロードセル37が固定されている。ナット53の内周面には1条のねじ溝53aが凹設され、ねじ軸61の外周面にも1条のねじ溝61aが凹設され、ねじ溝53aとねじ溝61aとの間には複数個のボール63が転動可能に設けられている。ナット53には、ねじ溝53aとねじ溝61aとの間で各ボール63が循環する循環通路が形成されている。
【0033】
ラム35は、ねじ軸61の下端に複数本のボルト65によって固定されている。接続フレーム部15には第1方向xに延びるガイド部15bが形成され、ラム35にはガイド部15bに案内される被ガイド部35aが形成されている。ガイド部15bはレール状をなし、被ガイド部35aはガイド部15bを紙面の手前側と奥側とで挟むようになっている。第1本体17とラム35との間にはゴム製の蛇腹67が設けられている。ラム35には金型等が固定されるようになっている。
【0034】
ナット53、ねじ軸61及び複数個のボール63がボールねじ機構10を構成している。ガイド部15b及び被ガイド部35aは、荷重を伝達しつつ回り止め機能を有する直動ガイド20を構成している。第1~8軸受29a~29h、第1軸39、第1歯車41、第2軸43、第2歯車45、第3歯車47及び第4歯車55が減速機構30を構成している。ボールねじ機構10、直動ガイド20及び減速機構30が動力伝達機構40を構成している。
【0035】
コントローラ69は、サーボモータ33のステータ33cとロードセル37とに接続されている。サーボモータ33は、コントローラ69によって作動し、回転軸33aを回転させる。ロードセル37は、負荷測定手段として、ラム35、ねじ軸61、ナット53、ナットホルダ51、軸受29h、軸受カバー25及び軸受ハウジング21を介してねじ軸61に作用する荷重を検出する。コントローラ69は図示しないコンピュータに接続されている。接続フレーム部15、第1本体17及び第2本体19はプレート71、73によってロボットアーム75に固定されるようになっている。
【0036】
このプレス装置によってプレス工程を行う場合、ロボットアーム75がプレス装置を種々の位置に移動させ、コントローラ69がサーボモータ33を作動させる。まず、
図1に示すように、サーボモータ33がロータ33bを駆動し、回転軸33aが回転する。回転軸33aの回転は第1軸39及び第2軸43を介して回転台49、ナット53、第4歯車55及びナットホルダ51に伝達される。この間、回転軸33aの回転数が減速される。ナット53が回転することにより、
図2に示すように、ねじ軸61が第1フレーム部11から第2フレーム部13に向かって第1方向xに延びる。
【0037】
このため、ラム35が直動ガイド20でガイドされ、フレーム1と相対回転不能な状態で第2フレーム部13に向かって第1方向xに下降する。このため、種々の位置でリベット等を金型等によって加圧することが可能である。特に、このプレス装置では、ロードセル37が加圧時のねじ軸61に作用する荷重を測定し、コンピュータは、各荷重とラム35の移動距離とに基づいて加圧時の適否を判断し、各加圧力を記録する。サーボモータ33が回転軸33aを逆方向に回転すれば、ラム35は第2フレーム部13から遠ざかるように第1方向xに上昇する。
【0038】
この間、このプレス装置では、サーボモータ33が接続フレーム部15内に設けられ、動力伝達機構40の減速機構30が第1フレーム部11内に設けられているため、フレーム1からはボールねじ機構10の一部が突出するだけである。直動ガイド20はフレーム1の大型化とは無関係である。特に、このプレス装置は、公知のサーボプレスで多用されているボールねじ機構10が動力伝達機構40を構成している。また、ナット53が回転軸33aによって回転駆動されることから、ねじ軸61が回転軸33aによって回転駆動される場合よりも、動力伝達機構40のボールねじ機構10の全長の短縮化を実現できる。また、ねじ軸61がラム35と一体となり、簡易な直動ガイド20によって直動機構を構成している。このため、構造の簡素化を実現している。また、このプレス装置においても、ねじ軸61に作用する荷重を通じて加圧時のラム35の負荷を測定できる。
【0039】
したがって、このプレス装置は、加圧の適否を保証可能であるとともに、従来よりも小型で加圧位置が限定され難い。このため、このプレス装置をロボットアーム75に設けても、ロボットアーム75の移動に制限を生じ難く、種々の位置でリベット等の加圧を行うことができる。
【0040】
また、このプレス装置は、接続フレーム部15がステータ33cを固定しており、接続フレーム部15がモータハウジングを兼ねているため、モータハウジングが不要となり、部品点数の削減による製造コストの低廉化を実現できる。
【0041】
(実施例2)
実施例2のプレス装置は、
図3に示すように、第1、2サーボプレス50、60を備えている。第1サーボプレス50は実施例1のサーボプレス31と同様であり、第2サーボプレス60は実施例1のサーボプレス31を上下反転させて第2フレーム部13に設けたものである。
【0042】
第1サーボプレス50は、第1回転軸52aを回転させる第2サーボモータ52と、第1フレーム部11と第2フレーム部13との間で第1方向xで往復動可能な第1ラム54と、第1回転軸52aの回転を第1ラム54の往復動に変換する第1動力伝達機構56と、第1ラム54の負荷を測定可能な第1ロードセル58とを有している。
【0043】
第2サーボプレス60は、第2回転軸62aを回転させる第2サーボモータ62と、第1フレーム部11と第2フレーム部13との間で第1方向xで往復動可能な第2ラム64と、第2回転軸62aの回転を第2ラム64の往復動に変換する第2動力伝達機構66と、第2ラム64の負荷を測定可能な第2ロードセル68とを有している。
【0044】
コントローラ70は、第1サーボモータ52のステータと第1ロードセル58とに接続されているとともに、第2サーボモータ62のステータと第2ロードセル68とに接続されている。第1、2サーボモータ52、62はコントローラ70によって作動し、第1、2回転軸52a、62aを同調して回転させる。この際、第1、2サーボモータ52、62は同調作動してもよく、ワークに合わせ、一方が動作して接触後、他方が動作を始めるように作動してもよい。第1ロードセル58は第1ラム54を介してねじ軸に作用する荷重を検出し、第2ロードセル68は第2ラム64を介してねじ軸に作用する荷重を検出する。接続フレーム部15及び第1フレーム部11はプレート71、73によってロボットアーム75に固定されるようになっている。第1ラム54と第2ラム64とは対面している。
【0045】
実施例2のプレス装置では、第1ラム54と第2ラム64とによってワークの両側から加圧を行うことが可能ある。他の作用効果は実施例1と同様である。
【0046】
(実施例3)
実施例3のプレス装置は、
図4及び
図5に示すように、フレーム77と、フレーム77に設けられたサーボプレス101とを備えている。
【0047】
フレーム77は、第1フレーム部79と、第1フレーム部79と第1方向xで対面する第2フレーム部81と、第1フレーム部79と第2フレーム部81とを接続する接続フレーム部83とからなる。第1フレーム部79と第2フレーム部81とは、第1方向xと直交する第2方向yに延びている。以下、フレーム77の第1フレーム部79側を上側とし、フレーム77の第2フレーム部81を下側とする。
【0048】
第1フレーム部79、第2フレーム部81及び接続フレーム部83はC形状又はU形状に一体に鋳造されている。第1フレーム部79には、第1方向xに延びる円柱状に抉られたモータ室79aと、モータ室79aと平行に延びる円柱状に抉られたナット室79bとが上面から凹設されている。
【0049】
第1フレーム部79には、モータ室79aの下側に第1軸受85aが設けられているとともに、モータ室79aの上側に第1スペーサ79cが固定され、第1スペーサ79cには第1軸受85aと同軸の第2軸受85bが設けられている。また、第1フレーム部79には、ナット室79bの上側に第2スペーサ79dが固定され、第2スペーサ79dには第3軸受85cと、第3軸受85cと同軸の第4軸受85dとが設けられている。第1スペーサ79c及び第2スペーサ79dは第1フレーム部79の一部である。
【0050】
サーボプレス101は、サーボモータ103と、ラム105と、動力伝達機構110と、ロードセル107とを有している。サーボモータ103は、回転軸103aと、ロータ103bと、ロータ103b周りに配置されたステータ103cとを有している。ロータ103bは回転軸103aと一体回転する。回転軸103aは第1軸受85aと第2軸受85bとに軸支されている。ステータ103cはモータ室79aの内周に固定されている。
【0051】
モータ室79aから上方に突出する回転軸103aには第1プーリ109が固定され、第1プーリ109は回転軸103aに係合した締結具111によって抜け止めされている。第2スペーサ79d内では、ねじ軸113が第3軸受85cと第4軸受85dとに軸支されている。ナット室79bから上方に突出するねじ軸113には第2プーリ115が固定され、第2プーリ115はねじ軸113に係合した締結具117によって抜け止めされている。第1プーリ109と第2プーリ115との間にはタイミングベルト119が巻き掛けられている。第1フレーム部79の上端には、第1プーリ109、第2プーリ115、タイミングベルト119等を覆うカバー79eが固定されている。カバー79eは第1フレーム部79の一部である。
【0052】
ナット室79bの下側には第3スペーサ121が固定されている。第3スペーサ121も第1フレーム部79の一部である。第3スペーサ121の内周面には第1方向xに延びる複数本の第1ボール溝121aが凹設されている。
【0053】
第3スペーサ121内にはナット123が配置されている。ナット123は有底円筒状をなしている。円筒状のナットを採用することも可能である。ナット123の外周面には第1方向xに延びる複数本の第2ボール溝123aが凹設されている。第1ボール溝121aと第2ボール溝123aとの間には、複数個のボール125が設けられている。各ボール125はボール保持器128に保持されている。第1ボール溝121a、ボール125及び第2ボール溝123aは、荷重を伝達しつつ回り止め機能を有するボールスプライン80を構成している。
【0054】
ナット123の上面にはリング状のストッパ124が固定されている。ストッパ124の外径は、第2ボール溝123aよりも大径であるが、第1ボール溝121aよりも小径である。このため、ナット123は、ストッパ124がボール保持器128と当接するまで、第3スペーサ121内を移動可能となっている。
【0055】
第1フレーム部79の下面には第3スペーサ121の下端と当接するリング状のボールホルダ122が固定されている。ボールホルダ122の内径は、第2ボール溝123aよりも大径であるが、第1ボール溝121aよりも小径である。このため、ボール保持器128はボールホルダ122によって落下しないようになっている。
【0056】
ナット123の内周面には雌ねじ123bが形成されている。ねじ軸113はナット123内まで延びている。ねじ軸113の下部の外周面には雄ねじ113aが形成されている。ナット123とねじ軸113との間には、複数個の遊星ローラねじ127が設けられている。各遊星ローラねじ127は、ナット123の雌ねじ123bと、ねじ軸113の雄ねじ113aとに螺合している。各遊星ローラねじ127は、図示しないホルダによってねじ軸113回りの互いとの角度が維持されるようになっている。ラム105は、ナット123の下端に複数本のボルト126によって固定されている。
【0057】
第1~4軸受85a~85d、第1プーリ109、第2プーリ115及びタイミングベルト119が等速機構90を構成している。ナット123、ねじ軸113及び遊星ローラねじ127は遊星ローラねじ機構100を構成している。遊星ローラねじ機構100、ボールスプライン80及び等速機構90が動力伝達機構110を構成している。
【0058】
コントローラ129は、サーボモータ103のステータ103cとロードセル107とに接続されている。サーボモータ103は、コントローラ129によって作動し、回転軸103aを回転させる。第1フレーム部79はプレート131、132によってロボットアーム135に固定されるようになっている。他の構成は実施例1のプレス装置と同様である。
【0059】
このプレス装置によってプレス工程を行う場合も、ロボットアーム135がプレス装置を種々の位置に移動させ、コントローラ129がサーボモータ103を作動させる。まず、
図4に示すように、サーボモータ103がロータ103bを駆動し、回転軸103aが回転する。回転軸103aの回転は第1プーリ109、タイミングベルト119及び第2プーリ115を介してねじ軸113に伝達される。ねじ軸113が回転することにより、
図5に示すように、ナット123が第1フレーム部79から第2フレーム部81に向かって第1方向xに延びる。
【0060】
このため、ラム105がボールスプライン80でガイドされ、フレーム77と相対回転不能な状態で第2フレーム部81に向かって第1方向xに下降する。このため、種々の位置でリベット等を金型等によって加圧することが可能である。サーボモータ103が回転軸103aを逆方向に回転すれば、ラム105は第2フレーム部81から遠ざかるように第1方向xに上昇する。
【0061】
この間、このプレス装置では、サーボモータ103が第1フレーム部79内に設けられ、動力伝達機構110が第1フレーム部79内に設けられているため、フレーム77から動力伝達機構110が突出していない。また、小容量のボールスプライン80が直動機構を構成している。特に、このプレス装置は、遊星ローラねじ機構100が大きな荷重を伝達し、付与できる荷重を大きくできる。また、遊星ローラねじ機構100はリードが細かいため、減速機構が不要になり、プレス装置の小型化をより実現できる。
【0062】
したがって、このプレス装置は、加圧の適否を保証可能であるとともに、小型で加圧位置が限定され難く、しかもより高品質のプレス工程を行うことができる。他の作用効果は実施例1と同様である。
【0063】
以上において、本発明を実施例1~3に即して説明したが、本発明は上記実施例1~3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0064】
例えば、実施例1~3では、負荷測定手段として、ロードセル37、58、68、107を採用したが、他の力学センサーや力覚センサーを採用したり、サーボモータ33、52、62、103で測定し得る電流値によって回転軸33a、52a、62a、103aの負荷を測定すること等も可能である。
【0065】
実施例2では、実施例1のサーボプレス31を2個用いたが、実施例3のサーボプレス101を2個採用することも可能である。
【0066】
動力伝達機構としては、ボールねじ機構10や遊星ローラねじ機構100に限定されず、他の機構を採用することも可能である。また、減速機構や等速機構としても、実施例1~3のように、歯車やベルトを用いた機構に限定されず、チェーン等を用いた他の機構を採用することも可能である。
【0067】
上記実施例1、2において、ガイド部15bはフレーム1に間接的に設けられてもよく、被ガイド部35aもねじ軸61やラム35に間接的に設けられてもよい。また、上記実施例3において、第1ボール溝121aは第1フレーム部79に直接的に設けられてもよく、第2ボール溝123aもナット123に間接的に設けられてもよい。直動機構として、直動ガイド20やボールスプライン80以外の機構を採用することも可能である。
【0068】
上記実施例1、2では、第2フレーム部13と接続フレーム部15とを一体に鋳造しているが、これらを分割してボルト等で一体化することも可能である。また、第2フレーム部13、接続フレーム部15、第1本体17及び第2本体19は、別体に限定されず、構造が成立すれば、一体でもよい。
【0069】
ボールねじ機構が動力伝達機構を構成し、ねじ軸が回転軸によって回転駆動されてもよく、遊星ローラねじ機構が動力伝達機構を構成し、ナットが回転軸によって回転駆動されてもよい。
【0070】
サーボモータは、実施例1~3で用いたインナーロータ型に限定されず、アウターロータ型であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、リベット締結装置、塑性加工等に利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
11、17、19、79…第1フレーム部(17…第1本体、19…第2本体)
x…第1方向
13、81…第2フレーム部
15、83…接続フレーム部
1、77…フレーム
33a、52a、62a、103a…回転軸
33、52、62、103…サーボモータ
35、54、64、105…ラム
40、56、66、90、110…動力伝達機構(10…ボールねじ機構、30…減速機構、90…等速機構、100…遊星ローラねじ機構)
37、58、68、107…負荷測定手段(ロードセル)
31、50、60、101…サーボプレス
53、123…ナット
61、113…ねじ軸
63、125…ボール
20、80…直動機構(20…直動ガイド、80…ボールスプライン)
15b…ガイド部
35a…被ガイド部
127…遊星ローラねじ
121a…第1ボール溝
123a…第2ボール溝
33b、103b…ロータ
33c、103c…ステータ