(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】空間維持管理システム
(51)【国際特許分類】
F24F 8/95 20210101AFI20220822BHJP
F24F 8/00 20210101ALI20220822BHJP
G06Q 50/16 20120101ALI20220822BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
F24F8/95
F24F8/00
G06Q50/16 300
G08B25/04 K
(21)【出願番号】P 2022076227
(22)【出願日】2022-05-02
(62)【分割の表示】P 2021105970の分割
【原出願日】2021-06-25
【審査請求日】2022-06-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518350761
【氏名又は名称】株式会社ダイヤニウム
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】近藤 利一
(72)【発明者】
【氏名】河澄 智子
(72)【発明者】
【氏名】沼倉 孝秀
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-196877(JP,A)
【文献】国際公開第2019/142599(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/142647(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/197673(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0220867(US,A1)
【文献】特開2002-251453(JP,A)
【文献】特開2018-84541(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0061823(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 8/95
F24F 8/00
G06Q 50/16
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のネットワーク回線を用いた
、業者の迅速な処置を可能とするための空間維持管理システムであって、
所定の測定対象空間に
おいて所望の環境を維持するための処置である処置サービスを依頼する依頼者が保有する当該測定対象空間に配置され、前記測定対象空間の環境情報を取得する情報検出部と、
前記情報検出部が取得した環境情報を、前記ネットワーク回線を介して受信し、受信した環境情報に基づいて所定の出力情報を生成し、生成した出力情報を、前記ネットワーク回線を介して発信する主制御部と、
前記依頼者の依頼に基づいて前記測定対象空間内で所定の処置サービスを行う業者が保有するものであり、前記主制御部が発信した出力情報を受信し、受信した出力情報に基づいて当該出力情報の内容を所定態様で出力する出力用端末部と、
を具備し、
前記主制御部は、
受信した前記環境情報に基づいて、前記測定対象空間における
有害物質の発生危険度を示す危険度傾向データを生成し、前記危険度傾向データに基づいて、前記出力情報として、処置指示情報、処置待機情報、及び処置不要情報のうち少なくともいずれかを生成し、生成した前記処置指示情報、処置待機情報、及び処置不要情報のうち少なくともいずれかを前記出力用端末部に出力する制御内容を具備する
とともに、
前記処置指示情報は、業者は前記測定対象空間内にて処置サービスを実行することが必要であることを示すものであり、
前記処置待機情報は、業者は前記測定対象空間内にて処置サービスを実行することの事前準備が必要であることを示すものであり、
前記処置不要情報は、業者は前記測定対象空間内にて処置サービスを実行することは不要であることを示すものであり、
前記主制御部が、前記測定対象空間における有害物質の発生危険度を示す危険度傾向データを生成し、前記危険度傾向データに基づいて処置指示情報を生成した場合において該処置指示情報は、業者は前記測定対象空間内にて有害物質の除去サービスを実行することが必要であることを示すものであり、前記危険度傾向データに基づいて処置待機情報を生成した場合において前記処置待機情報は、業者は前記測定対象空間内にて有害物質の除去サービスを実行することの事前準備が必要であることを示すものであり、又は、前記危険度傾向データに基づいて処置不要情報を生成した場合において前記処置不要情報は、業者は前記測定対象空間内にて有害物質の除去サービスを実行することは不要であることを示すものである
ことを特徴とする空間維持管理システム。
【請求項2】
前記出力用端末部は複数備えられており、
前記主制御部は、前記処置指示情報、処置待機情報、又は処置不要情報を複数の前記出力用端末部のうちいずれに出力するかを選定する制御内容を具備する
請求項1に記載の空間維持管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の空間における洗浄や殺菌等の対処を必要に応じて実行、空間の快適性、清浄性、又は安全性を維持する空間維持管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されている人材派遣通信システムのように、携帯端末機を用い、顧客の要求に応じたホーム・サプライヤーの選択操作に応じて、派遣元管理サーバにアクセスすることによって、有用情報を前記顧客に提供し、前記派遣元管理サーバ側に前記顧客の希望する商品やサービスの予約、発注を受付させるものがすでに知られている。
【0003】
また、例えば特許文献2には、施設内の環境状態をモニタリングして環境状態に起因する疾病の発生の危険性を把握する施設内監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-331722号公報
【文献】特開2019-79136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、顧客が所有する所定の空間における室内空気質、有害物質、快適性、火災、若しくはガス漏れ等の情報について、各情報を有機的に結びつけるようにしたモニタリングシステムは、実質上、提供されていない。なお、これらの情報を個別に管理しているシステムは存在しているが、管理されている各情報が独立しているため、情報の活用に限界があり、限られた範囲の対策を事後的に打つことしかできない。また、仮にいずれかの情報の因子が増加して対処を要する場合に至ったときも、人的な判断や独立した施設管理システムの判断に基づき、当該空間に滞在する者や関係者のみに音や警報などで報知するにとどまっており、やはり事後的な対策しか打つことができない。
【0006】
本発明は、より積極的かつ予防的に適切な対処を行うことができ、もって空間の快適性、清浄性、又は安全性を維持することができる空間維持管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、所定のネットワーク回線を用いた、業者の迅速な処置を可能とするための空間維持管理システムであって、所定の測定対象空間において所望の環境を維持するための処置である処置サービスを依頼する依頼者が保有する当該測定対象空間に配置され、前記測定対象空間の環境情報を取得する情報検出部と、前記情報検出部が取得した環境情報を、前記ネットワーク回線を介して受信し、受信した環境情報に基づいて所定の出力情報を生成し、生成した出力情報を、前記ネットワーク回線を介して発信する主制御部と、前記依頼者の依頼に基づいて前記測定対象空間内で所定の処置サービスを行う業者が保有するものであり、前記主制御部が発信した出力情報を受信し、受信した出力情報に基づいて当該出力情報の内容を所定態様で出力する出力用端末部と、を具備し、前記主制御部は、受信した前記環境情報に基づいて、前記測定対象空間における有害物質の発生危険度を示す危険度傾向データを生成し、前記危険度傾向データに基づいて、前記出力情報として、処置指示情報、処置待機情報、及び処置不要情報のうち少なくともいずれかを生成し、生成した前記処置指示情報、処置待機情報、及び処置不要情報のうち少なくともいずれかを前記出力用端末部に出力する制御内容を具備するとともに、前記処置指示情報は、業者は前記測定対象空間内にて処置サービスを実行することが必要であることを示すものであり、前記処置待機情報は、業者は前記測定対象空間内にて処置サービスを実行することの事前準備が必要であることを示すものであり、前記処置不要情報は、業者は前記測定対象空間内にて処置サービスを実行することは不要であることを示すものであり、前記主制御部が、前記測定対象空間における有害物質の発生危険度を示す危険度傾向データを生成し、前記危険度傾向データに基づいて処置指示情報を生成した場合において該処置指示情報は、業者は前記測定対象空間内にて有害物質の除去サービスを実行することが必要であることを示すものであり、前記危険度傾向データに基づいて処置待機情報を生成した場合において前記処置待機情報は、業者は前記測定対象空間内にて有害物質の除去サービスを実行することの事前準備が必要であることを示すものであり、又は、前記危険度傾向データに基づいて処置不要情報を生成した場合において前記処置不要情報は、業者は前記測定対象空間内にて有害物質の除去サービスを実行することは不要であることを示すものであることを特徴とする空間維持管理システムである。
【0008】
すなわち、本発明は、空間の快適性、清浄性、又は安全性を維持するための空間維持管理システムであって、測定対象空間における環境情報としての空気質情報(空気成分の情報)や有害情報等を取得し、取得した空気質情報や有害情報等を出力情報へと変換し、変換した出力情報を、前記ネットワーク回線を介して例えばクラウド上のデータベースへと発信し、データベースに格納された情報の相関性や因果性から設定された閾値を基に新たに出力情報を生成(更新)し、さらに前記空気質情報等に基づいて、前記測定対象空間における危険度傾向値を算出し、算出した危険度傾向値に対応する危険度傾向データを生成し、生成した危険度傾向データに基づいて、処置指示情報、処置待機情報、及び処置不要情報のうち少なくともいずれかを生成し、次いで、所定の出力用端末部にこれらの情報を出力する。なお、出力することには、WEB画面等に所定態様で前記危険度傾向値を表示することが含まれ、かかる構成により、事後対策ではなく事前対策として、空間の快適性、清浄性、又は安全性を維持する空間維持管理システムを提供できる。
【0009】
また、このようなシステムを応用することで、例えば所定空間の空気質(CO2、温度、湿度、若しくはVOCなどのガス、ニオイ成分、又は粒子状物質を含む)、有害物質(ウイルス、菌又はカビなど)、及び火災やガス漏れなどの災害情報などのうちいずれかを検知する検知システムから得られるデータの集積と分析の方法、あるいは加工方法を提供することが可能となる。また、集積したデータを利用した上記した有害物質等の発生防止や早期の予防対策を可能とするIoTシステムや、サービスも提供可能となる。
【0010】
なお、前記環境情報としては、空気質情報と、空気質情報には含まれないような有害情報とが含まれており、空気質情報としては、温度情報、湿度情報、揮発性有機化合物濃度情報、あるいは二酸化炭素濃度情報等のような所定の測定対象空間における空気の質としての空気成分情報が例示され、有害情報としては、その他有害物質情報や、火災情報、ガス漏れ情報等が含まれる。そして、危険度傾向値に対応する危険度傾向データは、測定対象空間におけるウイルス、及び菌のうちいずれかを含む。
【0011】
再度述べると、本発明の構成とすることにより、前記出力用端末部に出力された前記処置指示情報、処置待機情報、又は処置不要情報に応じて、当該出力用端末部を所有するものが適切な対処を行うことができる。そして、例えば所定の測定対象空間を有する顧客から依頼を受けた主制御部を有する管理企業が、出力用端末部を有する下請け企業に清掃や殺菌等の対処の必要度合いに応じた指示を出すことができるようになる。なお、管理企業が出力用端末部を有し、当該管理企業が直接対処するものであってもよい。また、対処としては、所定の測定対象空間における清掃、除菌、消毒、換気、あるいは消火等の行動や、有害情報の予防等が例示される。
【0012】
ところで、前記処置指示情報、処置待機情報、又は処置不要情報は、前記情報検出部が取得した環境情報に基づいて生成された処置に必要な情報であり、予防的な処置が含まれる。このように、処置には予防的な予防処置も含まれるため、早めの対応が可能であるとともに、出力されたデータが直接外部の処置サービスと連携されることで、所定の測定対象空間を所有するものは、環境を維持するために必要な情報収集や手配などの労力を費やす必要がない。
【0013】
さらに、前記出力用端末部は複数備えられており、前記主制御部は、前記処置指示情報、処置待機情報、又は処置不要情報を複数の前記出力用端末部のうちいずれに出力するかを選定する制御内容を具備する構成が提案される。
【0014】
かかる構成とすることにより、必要な対処に応じて適切な業者を割り当てることが可能となる。すなわち、例えば、清掃が必要な場合には清掃業者を割り当て、消毒が必要な場合には除菌業者を割り当て、あるいは消臭が必要な場合には消臭業者を割り当てることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、所定の測定対象空間を快適、清浄、又は安全な環境に維持できる優れた効果がある。また本発明は、測定対象空間の快適性や安全性を損なう可能性を予防することができる優れた効果がある。また、本発明は、測定対象空間の快適性、安全性が損なわれた場合に速やかに対処することができる優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】出力用端末部に表示される出力情報の第一の表示態様を示し、(a)は処置不要情報であり、(b)は処置待機情報であり、(c)は処置指示情報である。
【
図3】カビの発生危険度にかかる情報の伝達を示した模式図である。
【
図4】出力用端末部に表示される出力情報の第二の表示態様を示し、(a)は処置不要情報であり、(b)は処置待機情報であり、(c)は処置指示情報である。
【
図5】VOC濃度の危険度にかかる情報の伝達を示した模式図である。
【
図6】出力用端末部に表示される出力情報の第三の表示態様を示し、(a)は処置不要情報であり、(b)は処置待機情報であり、(c)は処置指示情報である。
【
図7】二酸化炭素濃度の危険度にかかる情報の伝達を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明にかかる、空間の快適性、清浄性、又は安全性を維持する管理システムである空間維持管理システムを具体化した実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0018】
空間維持管理システム1は、
図1に示すように、インターネット回線や電話回線、あるいはその他の回線で構成されたネットワーク回線2を用いて運用される。
【0019】
また、空間維持管理システム1は、一般の戸建てや商業ビル内の部屋、あるいは倉庫内等である測定対象空間10,20,30に適用されるものであり、各測定対象空間10,20,30には、ネットワーク回線2に接続された情報検出部11,21,31が配置されている。
【0020】
なお、情報検出部11,21,31は、配置された測定対象空間10,20,30のウイルス情報、菌情報、温度情報、湿度情報、揮発性有機化合物(VOC)濃度や二酸化炭素濃度等のガス濃度情報、粒子状物質(PM)情報、ニオイ成分情報、煙情報、火災情報、あるいはガス漏れ情報等の環境情報を取得する。
【0021】
さらに、空間維持管理システム1は、主制御部であるサーバ40を備えている。そして、情報検出部11,21,31が取得した環境情報は、ネットワーク回線2を介してサーバ40が受信する。
【0022】
次に、サーバ40は、受信した環境情報に基づいて後述する所定の出力情報を生成してネットワーク回線2を介して発信する。なお、サーバ40は、管理業者41によって管理されるものとする。
【0023】
加えて、空間維持管理システム1は、サーバ40が発信した出力情報を受信する出力用端末部50,60,70を備えている。そして出力用端末部50,60,70は、受信した出力情報に基づいて当該出力情報の内容を所定態様で出力する。なお、出力用端末部50は清掃業者51が所有又は管理し、出力用端末部60は除染業者61が所有又は管理し、出力用端末部70は依頼者71が所持し、各出力情報の内容を各者がそれぞれの管理権限に応じた範囲内の情報を確認することが可能となっている。
【0024】
ここで、情報検出部11が取得してサーバ40に送信された環境情報に基づいて、サーバ40が例えばカビの発生危険度を示す危険度傾向データを生成した態様について、以下、説明する。
【0025】
サーバ40は、危険度傾向データに基づいて、例えば温度が所定の第1の値以上で、かつ、湿度が所定の第1の値以上の状態が所定の第1の時間だけ累積された場合には、カビが発生している可能性がある、と判定し、いつでも対処できるように、出力情報として処置待機情報を生成する。
【0026】
同様に、例えば温度が所定の第2の値以上で、湿度が所定の第2の値以上の状態が所定の第2の時間だけ累積された場合には、カビが発生しているのみならず、広範囲に繁殖している可能性が極めて高い、と判定し、積極的に対処を行うべく、出力情報として処置指示情報を生成する。
【0027】
逆に、温度が所定の第3の値未満で、湿度が所定の第3の値未満である場合には、カビ発生する危険は少ないと判定し、出力情報として処置不要情報を生成する。
【0028】
このように生成された出力情報は、対応する出力用端末部50,60,70に発信されて出力用端末部50,60,70において所定態様で出力される。
【0029】
例えば、カビに関する出力情報は、
図2に示すように、清掃業者51が所持する出力用端末部50が選定されて、当該出力用端末部50に出力表示される。
【0030】
具体的には、処置不要情報が生成された場合には、
図2(a)に示すように、出力用端末部50の表示部55に処置不要情報56として測定対象空間10の環境が清浄である旨の表示がなされる。
【0031】
同様に、処置待機情報が生成された場合には、
図2(b)に示すように、出力用端末部50の表示部55に処置待機情報57として測定対象空間10の環境が対処の準備をしておく必要がある状態である旨の表示がなされる。
【0032】
そして、処置指示情報が生成された場合には、
図2(c)に示すように、出力用端末部50の表示部55に処置指示情報58として測定対象空間10の環境が即座に対処すべき状態である旨の表示がなされる。
【0033】
そのうえで、これらの出力情報を確認した清掃業者51は、適切な対処を行う。例えば処置指示情報58が表示された場合には、清掃業者51は測定対象空間10の清掃を行う。また、処置待機情報57が表示された場合には、清掃業者51は測定対象空間10を所持あるいは管理する者に連絡し、対処の必要を進める提案を行う。
【0034】
上述の情報の流れを再度述べると、
図3に示すように、情報検出部11が取得した環境情報はサーバ40に送信され、サーバ40で受信された環境情報からカビの発生危険度を示す危険度傾向データが生成され、危険度傾向データに基づいて処置指示情報、処置待機情報、及び処置不要情報のうちいずれかが生成される。そして、生成された処置指示情報、処置待機情報、及び処置不要情報のうちいずれかは出力用端末部50に送信されて表示される。そして、清掃業者51は表示された出力情報に基づいて適切に対処をする。
【0035】
ここで、サーバ40が生成する危険度傾向データは、例えば温度が第2の値以上で湿度が第2の値以上の状態が第2の累積時間に到達した場合に処置指示情報に対応する危険度のデータとし、温度が第3の値未満で湿度が第3の値未満である場合に処置不要情報に対応する危険度のデータとする。一方、これらの間の危険度である場合には、処置待機情報に対応する危険度のデータとする。
【0036】
また、例えば温度が所定値未満で湿度が所定値未満の状態が所定時間以上、維持された場合には、これまでに計数された各累積時間を減算又はリセットする(ゼロとする)、とすることもできる。
【0037】
以上に述べた構成とすることにより、カビを効果的に除去したり、カビの発生を未然に防いだりといった早期の対応が可能となる。この場合、測定対象空間10を所持あるいは管理する者が測定対象空間10の環境を監視する必要はなく、手間がかからない。
【0038】
次に、情報検出部21が取得してサーバ40に送信された環境情報に基づいて、サーバ40が例えばVOC濃度の危険度を示す危険度傾向データを生成した態様について、以下、説明する。
【0039】
サーバ40は、危険度傾向データに基づいて、例えばVOC濃度が所定の第1の値以上である場合には、いつでも対処できるように、出力情報として処置待機情報を生成する。
【0040】
同様に、例えばVOC濃度が所定の第2の値以上である場合には、積極的に対処を行うべきであると判定して出力情報として処置指示情報を生成する。
【0041】
逆に、VOC濃度が所定の第3の値未満である場合には、危険は少ないと判定して出力情報として処置不要情報を生成する。
【0042】
このように生成された出力情報は、対応する出力用端末部50,60,70に発信されて出力用端末部50,60,70において所定態様で出力される。
【0043】
例えば、VOC濃度に関する出力情報は、
図4に示すように、除染業者61が所持する出力用端末部60が選定されて、当該出力用端末部60に出力表示される。
【0044】
具体的には、処置不要情報が生成された場合、
図4(a)に示すように、出力用端末部60の表示部65に処置不要情報66として測定対象空間20の環境が清浄である旨の表示がなされる。
【0045】
同様に、処置待機情報が生成された場合には、
図4(b)に示すように、出力用端末部60の表示部65に処置待機情報67として測定対象空間20の環境が対処の準備をしておく必要がある状態である旨の表示がなされる。
【0046】
そして、処置指示情報が生成された場合には、
図4(c)に示すように、出力用端末部60の表示部65に処置指示情報68として測定対象空間20の環境が即座に対処すべき状態である旨の表示がなされる。
【0047】
そのうえで、これらの出力情報を確認した除染業者61は、適切な対処を行う。例えば処置指示情報68が表示された場合には、除染業者61は測定対象空間20の除染を行う。また、処置待機情報67が表示された場合には、除染業者61は測定対象空間20を所持あるいは管理する者に連絡し、対処の必要を進める提案を行う。
【0048】
上述の流れを再度述べると、
図5に示すように、情報検出部21が取得した環境情報はサーバ40に送信され、サーバ40では受信された環境情報からVOC濃度の危険度を示す危険度傾向データを生成され、危険度傾向データに基づいて処置指示情報、処置待機情報、処置不要情報のうちいずれかが生成される。そして、生成された処置指示情報、処置待機情報、及び処置不要情報のうちいずれかは出力用端末部60に送信されて表示される。そして、除染業者61は表示された出力情報に基づいて適切に対処をする。
【0049】
ここで、サーバ40が生成する危険度傾向データは、例えばVOC濃度が第2の値以上の場合に処置指示情報に対応する危険度のデータとし、VOC濃度が第3の値未満である場合に処置不要情報に対応する危険度のデータとする。一方、これらの間の危険度である場合には、処置待機情報に対応する危険度のデータとする。
【0050】
以上に述べた構成とすることにより、VOC濃度が危険域に達する前に対応することが可能となる。この場合、測定対象空間20を所持あるいは管理する者が測定対象空間20の環境を監視する必要はなく、手間がかからない。
【0051】
次に、情報検出部31が取得してサーバ40に送信された環境情報に基づいて、サーバ40が例えば二酸化炭素濃度の危険度を示す危険度傾向データを生成した態様について、以下、説明する。
【0052】
サーバ40は、危険度傾向データに基づいて、例えば二酸化炭素濃度が所定の第1の値以上である場合には、いつでも対処できるように、出力情報として処置待機情報を生成する。
【0053】
同様に、例えば二酸化炭素濃度が所定の第2の値以上である場合には、積極的に対処を行うべきであると判定して出力情報として処置指示情報を生成する。
【0054】
逆に、二酸化炭素濃度が所定の第3の値未満である場合には、危険は少ないと判定して出力情報として処置不要情報を生成する。
【0055】
このように生成された出力情報は、対応する出力用端末部50,60,70に発信されて出力用端末部50,60,70において所定態様で出力される。
【0056】
例えば、二酸化炭素濃度に関する出力情報は、
図6に示すように、依頼者71が所持する出力用端末部70が選定されて、当該出力用端末部70に出力表示される。
【0057】
具体的には、処置不要情報が生成された場合、
図6(a)に示すように、出力用端末部70の表示部75に処置不要情報76として測定対象空間30の環境が清浄である旨の表示がなされる。
【0058】
同様に、処置待機情報が生成された場合、
図6(b)に示すように、出力用端末部70の表示部75に処置待機情報77として測定対象空間30の環境が対処の準備をしておく必要がある状態である旨の表示がなされる。
【0059】
そして、処置指示情報が生成された場合には、
図6(c)に示すように、出力用端末部70の表示部75に処置指示情報78として測定対象空間30の環境が即座に対処すべき状態である旨の表示がなされる。
【0060】
そのうえで、これらの出力情報を確認した依頼者71は、適切な対処を行う。例えば、処置指示情報78が表示された場合には、依頼者71は測定対象空間30の換気を行う。また、処置待機情報77が表示された場合には、依頼者71は測定対象空間30の換気等を行う。
【0061】
上述の流れを再度述べると、
図7に示すように、情報検出部31が取得した環境情報はサーバ40に送信され、サーバ40で受信された環境情報から二酸化炭素濃度の危険度を示す危険度傾向データが生成され、危険度傾向データに基づいて処置指示情報、処置待機情報、処置不要情報のうちいずれかが生成される。そして、生成された処置指示情報、処置待機情報、及び処置不要情報のうちいずれかは出力用端末部70に送信されて表示される。そして、依頼者71は表示された出力情報に基づいて適切に対処をする。
【0062】
ここで、サーバ40が生成する危険度傾向データは、例えば二酸化炭素濃度が第2の値以上の場合に処置指示情報に対応する危険度のデータとし、二酸化炭素濃度が第3の値未満である場合に処置不要情報に対応する危険度のデータとする。一方、これらの間の危険度である場合には、処置待機情報に対応する危険度のデータとする。
【0063】
以上に述べた構成とすることにより、二酸化炭素濃度が危険域に達する前に対応することが可能となる。また、必要に応じて専門の業者に対処を依頼することもできる。
【0064】
ここで特記すべきことは、出力用端末部50,60,70によって出力される出力情報の内容が異なることである。すなわち、清掃業者51の所持する出力用端末部50においては清掃に関するカビの発生危険度に応じた出力情報が出力され、除染業者61の所持する出力用端末部60においては除染の必要度に応じた出力情報が出力される。これにより、各々の業者の業種に必要な情報が的確に得られ、積極的かつ迅速に対応することができる。
【0065】
なお、情報検出部10,20,30が取得する環境情報の内容は上記したように夫々異なっていてもよいし、同じであってもよい。すなわち、情報検出部10が取得した環境情報に基づいて、サーバ40がカビの発生危険度だけでなく、VOC濃度や二酸化炭素濃度の危険度傾向データを生成し、それらに基づいて夫々に対応する処置指示情報、処置待機情報、又は処置不要情報を出力する構成であってもよい。
【0066】
また、例えば処置不要情報に相当する環境情報であったとしても、蓄積されたデータに基づいて、近い将来、処置待機情報の内容に相当しそうであると判定された場合には、その旨を、別途、警戒情報として出力するような構成であってもよい。また、警戒情報は、例えばこのままでは1週間後に処置待機情報や処置不要情報の内容に相当する、旨の内容を出力用端末部50,60,70において出力する構成が提案される。かかる構成とすることにより、より一層、事前の準備が容易となり、種々の危険の予防を的確に行うことができるようになる。
【0067】
また、出力される情報についての閲覧権限は、適宜、設定可能である。例えばAというチェーン展開する小売店に営業を行ったCという販売代理店が保有する権限、Aの本社が保有する権限、AのなかのB店の店長が保有する権限、及びB店を包括するエリアマネージャー等が保有する権限を、それぞれ適切な範囲でWeb画面を配布(配信)するようにしてもよい。かかる構成とすることにより、例えば、店長は自身の店の情報をすべて見ることができ、エリアマネージャーは統括するすべての店舗の情報をすべて見ることができ、Aの本社は全エリアマネージャーに関する情報をすべて見ることができ、代理店は自身が販売した店舗に関するすべての情報を見ることができる。
【0068】
また、確認することができる情報は、出力時に色分けして表示することが可能であり、迅速性や重要度に応じて、即座にそれぞれの階層の人間が確認できるようにしてもよい。
【0069】
また、再度述べると、本発明に適用できる発生危険度の対象は、測定対象空間におけるウイルス、菌、二酸化炭素、VOC、ニオイ、PM、火災、煙、有毒ガス漏れ、又はカビ等が例示される。
【符号の説明】
【0070】
1 空間維持管理システム
2 ネットワーク回線
10,20,30 測定対象空間
11,21,31 情報検出部
40 サーバ
50,60,70 出力用端末部
51 清掃業者
55,65,75 表示部
56,66,76 処置不要情報
57,67,77 処置待機情報
58,68,78 処置指示情報
61 除染業者
71 依頼者
【要約】
【課題】より積極的に適切な対処を行うことのできる空間快適性、清浄性、又は安全性を維持する空間維持管理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】空間の快適性、清浄性、又は安全性を維持する空間維持管理システム1は、情報検出部11,21,31が取得した環境情報を、ネットワーク回線2を介してサーバ40が受信し、受信した環境情報に基づいて測定対象空間10,20,30におけるウイルス等の発生危険度を示す危険度傾向データを生成し、生成した危険度傾向データ基づいて、処置指示情報、処置待機情報、又は処置不要情報を生成して出力用端末部に出力する。
【選択図】
図1