(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】浴槽用手摺り
(51)【国際特許分類】
A47K 3/12 20060101AFI20220822BHJP
A61H 33/00 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
A47K3/12
A61H33/00 310Z
(21)【出願番号】P 2018073879
(22)【出願日】2018-04-06
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】中谷 誠
(72)【発明者】
【氏名】李 剛
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-131122(JP,A)
【文献】特開2002-209783(JP,A)
【文献】特開2014-237008(JP,A)
【文献】特開2012-143297(JP,A)
【文献】特開2011-189069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02-4/00
A61H 33/00
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺り本体が取り付けられており、そして浴槽側壁の上面へ載置される載置部と、前記載置部に連結されており浴槽側壁の一方の側面を押圧する押圧部が設けられている基部とを有している本体フレームと、
前記本体フレームの上へスライド可能に取り付けられる補助フレームと、
前記押圧部が押圧する浴槽側壁の側面とは反対側の他方の側面へ当接される押圧受け部と、
前記本体フレームに取り付けられており、そして前記押圧部を前記押圧受け部へ向けて前進及び後退させるための移動装置を備えた浴槽用手摺りにおいて、
浴槽側壁の上面と当接する前記載置部の載置面には第1の樹脂ラバーが取り付けられ、前記押圧部の押圧面には第2の樹脂ラバーが取り付けられ、前記押圧受け部の受け面には第3の樹脂ラバーが取り付けられており、且つ前記第1の樹脂ラバーの摩擦係数は、
前記載置部の載置面と浴槽側壁上面との間で生じる摩擦力を無視し得るほどに小さくなるように、前記第2の樹脂ラバーの摩擦係数および/または前記第3の樹脂ラバーの摩擦係数よりも小さく、そして
前記押圧受け部の上端は、前記押圧部の押圧面の中心よりも高い位置に配置されていることを特徴とする浴槽用手摺り。
【請求項2】
手摺り本体が取り付けられており、そして浴槽側壁の上面へ載置される載置部と、前記載置部に連結されており浴槽側壁の一方の側面を押圧する押圧部が設けられている基部とを有している本体フレームと、
前記本体フレームの上へスライド可能に取り付けられる補助フレームと、
前記押圧部が押圧する浴槽側壁の側面とは反対側の他方の側面へ当接される押圧受け部と、
前記本体フレームに取り付けられており、そして前記押圧部を前記押圧受け部へ向けて前進及び後退させるための移動装置を備えた浴槽用手摺りにおいて、
浴槽側壁の上面と当接する前記載置部の載置面には第1の樹脂ラバーが取り付けられ、前記押圧部の押圧面には第2の樹脂ラバーが取り付けられ、前記押圧受け部の受け面には第3の樹脂ラバーが取り付けられており、且つ前記第1の樹脂ラバーの摩擦係数は、
前記載置部の載置面と浴槽側壁上面との間で生じる摩擦力を無視し得るほどに小さくなるように、前記第2の樹脂ラバーの摩擦係数および/または前記第3の樹脂ラバーの摩擦係数よりも小さく、そして
前記押圧部の前記一方の側面との当接面の下端は、前記押圧受け部の前記他方の側面との当接面の下端よりも相対的に高い位置に配置されており、且つ
前記押圧部の前記一方の側面との当接面の上端は、前記押圧受け部の前記他方の側面との当接面の上端と同じ高さの位置に配置されていることを特徴とする浴槽用手摺り。
【請求項3】
前記押圧受け部の上端は、前記本体フレームの載置部の下面より下方5mmより上側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に浴槽用手摺り。
【請求項4】
前記押圧部は前記移動装置のボルト軸に支承されており、前記押圧受け部は連結軸を介して前記補助フレームへ取り付けられており、そして前記連結軸は前記ボルト軸と対向するように配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に浴槽用手摺り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴槽側壁の破壊が防止された浴槽側壁に優しいクランプ方式の浴槽用手摺りに関する。より具体的には、本発明は浴槽側壁の上面に載置し、洗い場側の押圧部を移動させることにより浴槽側壁をクランプして着脱自在に取り付けるタイプの浴槽用手摺りにおいて、特に押圧受け部の上端を押圧部の押圧面の中心よりも高い位置に配置することにより、押圧受け部が浴槽側壁に対し傾斜することによる応力集中や浴槽側壁に対するねじり応力の発生を抑制した浴槽用手摺りに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高齢者等が浴槽に出入りする際に身体を容易に支持することができるように、浴槽側壁を洗い場側及び浴槽側からクランプすることによって着脱自在に取り付けることができる浴槽用手摺りが知られている。
【0003】
これらの浴槽用手摺りは、クランプ機構が、浴槽用手摺りがクランプする方向へ回転ないし転倒するのを防止する役目を果たすが、浴槽用手摺りがクランプする方向とは直交する方向へ回転ないし転倒するのを防止するための専用構造を有していない。このため、使用者が、浴槽用手摺り本体よりも上方に配置されるグリップへ水平方向の力を加えると、グリップを支持する支柱を介して浴槽用手摺り本体へ回転モーメントが働き、その結果、浴槽用手摺り本体が比較的容易に浴槽側壁上面上で回転したり転倒してしまうという問題があった。
【0004】
また、浴槽には浴槽の内壁も外壁も一体となった強度部材から製作されており、その形状も立方体などの比較的単純な形状を有する従来型の浴槽から、浴槽のユニット化、高機能化、デザイン性の高度化などに伴い、浴槽の内壁は強度部材で製作されているが、浴槽のリム部以外の外壁は強度を有さない取り外し可能な化粧板(エプロン)で製作されており、そしてその形状もより複雑化した最新型のユニットバスまでの様々なタイプの浴槽が存在している。
【0005】
このため、従来型の浴槽のように、浴槽の内壁も外壁も比較的強度を有する部材から製作された浴槽については、例えば特開2011-189069号公報(特許文献1)に記載されているように、略同じ当接面積を有し且つ略鏡面対称となるように対向して配置される押圧板及び押圧受け板によって、浴槽側壁を洗い場側及び浴槽側からクランプするタイプの浴槽用手摺りが提供されている。また、最新型のユニットバスのように、浴槽の内壁は強度を有するがリム部以外の外壁は強度を有していない浴槽に対しては、例えば特開2015-173699号公報(特許文献2)に記載されているように、洗い場側には強度を有する上部リム部のみに当接する上下方向に偏平した押圧部を配置し、そして浴槽側には押圧部よりも広い当接面積を有する押圧受け部を配置することによって、浴槽側壁を洗い場側及び浴槽側からクランプするタイプの浴槽用手摺りが提供されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の浴槽用手摺りでは、側壁載置フレームにスライド可能に取り付けられた可動フレームを動かした時、可動フレームに支持された押圧受け部が側壁載置フレームの水平片の端部と衝突して引っ掛からないようにするため、側壁載置フレームの水平片の底面との間にある程度の隙間を設ける必要がある。このため、特許文献2に記載の浴槽用手摺りでは、浴槽内壁を押圧する押圧受け部の上端若しくは浴槽側壁と当接する押圧受け部当接面の上端が、浴槽外壁の上部リム部を押圧する押圧部の上端若しくは浴槽側壁と当接する押圧部当接面の上端よりも低くなるため、押圧受け部の上端若しくは浴槽側壁と当接する押圧受け部当接面の上端が浴槽内壁を局部的に押圧し、応力集中が生じて浴槽内壁を破壊してしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献1,2に記載の浴槽用手摺りは、押圧部を浴槽側壁へ押し付けると、浴槽側壁の上に直置きされた側壁載置フレームが浴槽側壁に対して相対的に移動するため、側壁載置フレームと浴槽側壁の上面との間に応力(摩擦力)を生じることになる。その結果、押圧部を浴槽側壁へ押し付けても側壁載置フレームが十分に移動することができず、ラバー等の弾性変形により、側壁載置フレームと浴槽側壁の上面との間に内部応力(摩擦力)が蓄積される結果、浴槽用手摺りや浴槽側壁を変形させたり或いは意図しない内部応力(摩擦力)の解放により、側壁載置フレームと浴槽側壁の上面との間でさらなる位置ズレが生じるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-189069号公報
【文献】特開2015-173699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、浴槽側壁の上面に載置し、洗い場側の押圧部を移動させることにより浴槽側壁をクランプして着脱自在に取り付けるタイプの浴槽用手摺りにおいて、特に強度を有するリム部の長さが短いユニットバスへの取り付けに適しており、そしてクランプによる応力集中や浴槽側壁に対するねじり応力の発生も抑制された浴槽用手摺りを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、浴槽側壁をクランプする押圧部と押圧受け部の形状、相対的な位置関係、フレームに対する相対的な位置関係などについて鋭意検討した結果、上記の目的を達成するためには、押圧受け部の上端を押圧部の押圧面の中心よりも高い位置に配置するか、或いは少なくとも押圧部の浴槽側壁との当接面の上端を押圧受け部の浴槽側壁との当接面の上端と同じ高さの位置に配置することが最も効果的であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明によれば、
手摺り本体が取り付けられており、そして浴槽側壁の上面へ載置される載置部と、前記載置部に連結されており浴槽側壁の一方の側面を押圧する押圧部が設けられている基部とを有している本体フレームと、
前記本体フレームの上へスライド可能に取り付けられる補助フレームと、
前記押圧部が押圧する浴槽側壁の側面とは反対側の他方の側面へ当接される押圧受け部と、
前記本体フレームに取り付けられており、そして前記押圧部を前記押圧受け部へ向けて前進及び後退させるための移動装置を備えており、そして
前記押圧受け部の上端は、前記押圧部の押圧面の中心よりも高い位置に配置されていることを特徴とする浴槽用手摺りが提供される。
【0012】
本発明の浴槽用手摺りでは、押圧受け部の上端は、その全部又は一部が押圧部の押圧面の中心よりも高い位置に配置されていることが好ましい。
【0013】
本発明では、押圧受け部の上端の全部又は一部が、押圧部の押圧面の中心よりも高い位置に配置されているので、押圧部の押圧面の中心や荷重点が押圧受け部の受け面からその領域外へ外れることにより生じる、浴槽側壁のねじり応力を効果的に抑制することができる。また、押圧部の押圧面の中心や荷重点が押圧受け部の受け面から外れることにより、押圧受け部の受け面が浴槽側壁に対して傾斜(回転)した状態で押圧することも防止されるので、押圧受け部の上端の縁部や角部が浴槽側壁を局部的に押圧する(応力集中を起す)ことも効果的に防止することができる。
【0014】
ここで、押圧部の「押圧面の中心」とは、基本的に押圧面が浴槽側壁に及ぼす荷重の中心点(荷重点)を意味し、一般的には押圧部のボルト軸への取り付け位置と略一致する。しかしながら、押圧面の荷重点の位置は、押圧部の形状や剛性によっても変化するので、「押圧面の中心点」が押圧面の面積の中心または押圧面の重心を意味する場合もある。
【0015】
また、本発明によれば、
手摺り本体が取り付けられており、そして浴槽側壁の上面へ載置される載置部と、前記載置部に連結されており浴槽側壁の一方の側面を押圧する押圧部が設けられている基部とを有している本体フレームと、
前記本体フレームの上へスライド可能に取り付けられる補助フレームと、
前記押圧部が押圧する浴槽側壁の側面とは反対側の他方の側面へ当接される押圧受け部と、
前記本体フレームに取り付けられており、そして前記押圧部を前記押圧受け部へ向けて前進及び後退させるための移動装置を備えており、そして
前記押圧部の前記一方の側面との当接面の下端は、前記押圧受け部の前記他方の側面との当接面の下端よりも相対的に高い位置に配置されており、且つ
前記押圧部の前記一方の側面との当接面の上端は、前記押圧受け部の前記他方の側面との当接面の上端と同じ高さの位置に配置されていることを特徴とする浴槽用手摺りが提供される。
【0016】
本発明の浴槽用手摺りでは、押圧受け部の浴槽側壁(側面)との当接面の上端は、押圧部の浴槽側壁(側面)との当接面の上端と同じ高さの位置に配置されていることが好ましい。また、押圧部の上端が本体フレームの載置部の下面と接続しているような場合は、押圧受け部の上端は、好ましくは本体フレームの載置部の下面より下方8mmよりも上側に、より好ましくは本体フレームの載置部の下面より下方5mmより上側に配置されていればよい。
【0017】
本発明では、押圧受け部の浴槽側壁(側面)との当接面の上端が押圧部の浴槽側壁(側面)との当接面の上端と同じ高さの位置に配置されているか、或いは押圧受け部の上端が本体フレームの載置部の下面より下方8mmよりも上側に、より好ましくは該下面より下方5mmよりも上側に配置されているので、押圧受け部の上端或いは押圧受け部の浴槽側壁(側面)との当接面上端の縁部や角部が浴槽内壁を局部的に押圧することがなくなる結果、応力集中による浴槽内壁の破壊を防止することができる。
【0018】
なお、本願明細書において、押圧部の浴槽側壁(側面)との「当接面」とは、浴槽側壁(側面)と対向する押圧部の「押圧面」の内、クランプ時、実際に浴槽側壁(側面)と当接(接触)する面を意味し、押圧受け部の浴槽側壁(側面)との「当接面」とは、浴槽側壁(側面)と対向する押圧受け部の「受け面」の内、クランプ時、実際に浴槽側壁(側面)と当接(接触)する面を意味する。また、「押圧部」とは押圧面を支持する部材又は構造体を意味し、「押圧受け部」とは押圧受け面を支持する部材又は構造体を意味する。
【0019】
本願明細書において、当接面の上端の「高さ」とは絶対的な高さを意味するのではなく、例えば本体フレームの載置部の下面から当接面上端までの距離のように、本体フレームのある部分を基準とした場合の当該部分に対する相対的な位置(高さ)を意味する。
【0020】
また、本願明細書において、押圧部の当接面の上端と押圧受け部の当接面の上端が「同じ高さ」である態様とは、厳密な意味において同じ高さである必要はなく、例えば押圧部の当接面の上端と押圧受け部の当接面の上端とが互いに高さ方向に5mm程度ズレているような場合であっても、「同じ高さ」である態様として取り扱っている。
【0021】
なぜなら、通常、ユニットバス等の浴槽側壁上面の縁部にはR(面取り)が施されているが、浴槽側縁部のR(面取り)と洗い場側縁部のR(面取り)の大きさが異なり、例えば浴槽側縁部のR(面取り)が洗い場側縁部のR(面取り)よりも大きい場合がある。このような浴槽側壁へ、同じ高さの上端を有する押圧部の押圧面と押圧受け部の受け面でクランプしても、押圧部の浴槽側壁(側面)との当接面の上端と押圧受け部の浴槽側壁(側面)との当接面の上端は、相対的に高さ方向に5mm程度ズレてしまうからである。
【0022】
また、押圧受け部は、本体フレームにスライド可能に取り付けられた補助フレームを近づける時、本体フレームの載置部の端部と衝突して引っ掛からないようにし、且つある程度載置部の下面へ潜り込ませることができるように、載置部の下面との間に5mm程度の隙間を設ける必要もあるからである。
【0023】
このように、本発明の浴槽用手摺りでは、押圧部の浴槽側壁(側面)との当接面の上端が押圧受け部の浴槽側壁(側面)との当接面の上端と実質的に同じ高さの位置に配置されていれば、浴槽用手摺りに回転モーメントを生じさせることなく浴槽側壁の内側外側において釣り合いのとれたクランプ状態を形成することができる。
【0024】
本発明の浴槽用手摺りでは、押圧受け部の一方の浴槽側壁の側面との当接面の下端は、押圧部の他方の浴槽側壁の側面(押圧受け部が当接する浴槽側壁の側面とは反対側の側面)との当接面の下端よりも相対的に低い位置に配置されている。このため、本発明の浴槽用手摺りは、上部グリップへ浴槽側壁の厚み方向に沿って水平方向に力が加えられても、或いは浴槽側壁の内側及び外側のクランプ力(押圧力)の中心位置に偏心が生じていても、押圧部と押圧受け部からなるクランプ機構が、浴槽用手摺りが浴槽側壁の厚み方向へ回転ないし転倒するのを強力に阻止する役目を果たす。
【0025】
さらに、本発明の浴槽用手摺りでは、浴槽側壁の上面と当接する載置部の下面(載置面)の摩擦係数を、押圧部の押圧面の摩擦係数および/または押圧受け部の受け面の摩擦係数よりも小さくすると、押圧部と押圧受け部により浴槽側壁を強力にクランプ(押圧)しても、本体フレームと浴槽側壁上面との間で生じる応力(摩擦力)を殆ど無視し得るほどに小さく抑えることができるので、より安定した取り付け状態を実現することができる。
【0026】
本発明では、押圧部を押圧受け部へ向けて前進及び後退させるための移動装置は、本体フレームの基部へ回動可能に取り付けられたナットと、ナットを回動するためのハンドルノブと、そして先端部が押圧部に連結されており且つナットに螺合するボルト軸とから構成されており、さらに所定の力未満ではハンドルノブからナットへ回動力を伝達し、そして、所定の力以上ではハンドルノブからナットへの回動力の伝達を遮断するトルク伝達・遮断手段を含ませることができる。
【0027】
また、上述のように押圧部がボルト軸によって支承されている場合、押圧受け部は連結軸を介して補助フレームへ取り付けられており、そして連結軸はボルト軸と対向するように配置されていてもよい。
【0028】
押圧受け部が、押圧部を支承するボルト軸と対向するように連結軸を介して補助フレームへ取り付けられていると、基本的に押圧面の荷重の中心点(荷重点)が押圧受け面の反力の中心点(荷重点)と略一致することになるので、押圧受け部の上端の全部又は一部が押圧部の押圧面の中心よりも高い位置に配置されている態様となり、押圧部の押圧面の中心や荷重点が押圧受け部の受け面からその領域外へ外れることにより生じる、浴槽側壁のねじり応力を効果的に抑制することができる。
【0029】
また、押圧受け部を連結軸によって支承する場合、押圧受け部は連結軸へ上下及び/又は左右方向に首振り可能に取り付けられていることが好ましい。押圧受け部を上下及び/又は左右方向に首振り可能に連結軸へ取り付けると、押圧受け面は浴槽側壁面に沿うように当接し、浴槽側壁面に対して傾いた状態でその上端の縁部や角部を押し付けることがなくなるので、応力集中による浴槽側壁の破壊を効果的に防止することができる。
【0030】
また、移動装置をナット及びボルト軸によって構成すると、ボルト軸の螺進退により押圧部を押圧受け部に対して容易に近接又は離間させることができ、さらにその状態も確実に保持することができる。さらに、本発明では、ナットは本体フレームの基部へ回動可能に取り付けられており、ハンドルノブによってナットを回転することによりボルト軸及びその先端に取り付けられた押圧部が螺進退されるので、ハンドルノブの位置が基部に対して相対的に変化することがない。その結果、本発明では、浴槽用手摺り本体からハンドルノブが突出するのを抑制することができるので、使用者にとって極めて安全である。
【0031】
さらに、本発明では、移動装置にトルク伝達・遮断手段を設けることができるので、使用者がハンドルノブを回して押圧部を押圧受け部へ向けて強力に押し込んでも浴槽側壁を破損することなく、浴槽用手摺りを必要にして十分なクランプ力(押圧力)に拠って浴槽側壁へ取り付けることができる。また、移動装置へ上述のトルク伝達・遮断手段を設けても、ハンドルノブの位置は本体フレームの基部に対して相対的に変化することがない。
【0032】
本発明では、浴槽用手摺りの転倒防止や浴槽側壁からの脱落防止を強化するため、端部が床面と当接する脚部を本体フレームに取り付けてもよい。特に本発明の浴槽用手摺りを、強度を有するリム部の高さが低い浴槽側壁へ取り付ける場合、脚部を有していると、使用者により水平方向への荷重が加えられても、或いは浴槽側壁の内側及び外側のクランプ力(押圧力)の中心位置に偏心が生じていても、浴槽用手摺りが傾転又は転倒するのを効果的に防止することができる。
【0033】
本発明の浴槽用手摺りでは、補助フレームを、本体フレームの載置部へ取り付ける水平部と、前記水平部に連結されており押圧受け部を取り付ける垂直部とから構成することで、垂直部が本体フレームの押圧部へ向けて近接離反するように、載置部に対する水平部の取付位置を選択できるようにすることが好ましい。例えば、本体フレームの載置部には1又は複数のネジ孔を設け、補助フレームの水平部には載置部のネジ孔の数以上の貫通孔又はスリットを設けることにより、補助フレームの水平部を本体フレームの載置部へ取付位置可変にビス止めすることができる。
【0034】
例えば、本体フレームの載置部には1又は複数のネジ孔を設け、補助フレームの水平部にも1又は複数のネジ孔を設け、そして本体フレームの載置部と補助フレームの水平部を複数の貫通孔又はスリットが設けられた連結プレートで連結することより取付位置可変にビス止めできるようにしてもよい。
【0035】
このように、補助フレームを本体フレームへ取付位置可変に装着できるようにすると、浴槽側壁の厚みに合わせて、予め本体フレームの押圧部と補助フレームの押圧受け部との間の距離をできるだけ近接させておくことができるので、浴槽側壁をクランプするために必要となる押圧部の移動距離を必要最小限に抑えることができるようになる。その結果、押圧部を押圧受け部へ向けて前進及び後退させるための移動装置自体の大きさをコンパクトすることができるというメリットがある。
【発明の効果】
【0036】
本発明の浴槽用手摺りによれば、押圧受け部の上端の全部又は一部が、押圧部の押圧面の中心よりも高い位置に配置されているので、押圧部の押圧面の中心や荷重点が押圧受け部の受け面からその領域外へ外れることにより生じる、浴槽側壁のねじり応力を効果的に抑制することができる。また、押圧部の押圧面の中心や荷重点が押圧受け部の受け面から外れることにより、押圧受け部の受け面が浴槽側壁に対して傾斜(回転)した状態で押圧することも防止されるので、押圧受け部の上端の縁部や角部が浴槽側壁を局部的に押圧する(応力集中を起す)ことも効果的に防止することができる。
【0037】
本発明の浴槽用手摺りによれば、押圧受け部の浴槽側壁(側面)との当接面の上端が押圧部の浴槽側壁(側面)との当接面の上端と同じ高さの位置に配置されているか、或いは押圧受け部の上端が本体フレームの載置部の下面より下方8mmよりも上側に、より好ましくは該下面より下方5mmよりも上側に配置されているので、押圧受け部の上端或いは押圧受け部の浴槽側壁(側面)との当接面上端の縁部や角部が浴槽内壁を局部的に押圧することがなくなる結果、応力集中による浴槽内壁の破壊を防止することができる。
【0038】
本発明の浴槽用手摺りによれば、押圧受け部の浴槽側壁の側面との当接面の下端は、押圧部の浴槽側壁の側面との当接面の下端よりも相対的に低い位置に配置されているので、上部グリップへ浴槽側壁の厚み方向に沿って水平方向に力が加えられても、或いは浴槽側壁の内側及び外側のクランプ力(押圧力)の中心位置に偏心が生じていても、押圧部と押圧受け部からなるクランプ機構が、浴槽用手摺りが浴槽側壁の厚み方向へ回転ないし転倒するのを強力に阻止することができる。
【0039】
また、本発明の浴槽用手摺りによれば、浴槽側壁の上面と当接する載置部の下面(載置面)の摩擦係数を、押圧部の押圧面の摩擦係数および/または押圧受け部の受け面の摩擦係数よりも小さくすることで、押圧部と押圧受け部により浴槽側壁を強力にクランプ(押圧)しても、本体フレームと浴槽側壁上面との間で生じる応力(摩擦力)を殆ど無視し得るほどに小さく抑えることができるので、浴槽用手摺りを極めて安定した状態で取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の一実施形態に係る浴槽用手摺りの全体概要図である。
【
図2】
図1に示される浴槽用手摺りの側面図である。
【
図3】
図2に示される浴槽用手摺りをボルト軸に沿って切り取った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の一実施形態に係る浴槽用手摺りについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【実施例】
【0042】
図1,2及び3を用いて、本発明の一実施形態に係る浴槽用手摺り1の主な構成を説明する。
図1には、本実施形態に係る浴槽用手摺り1の全体概要が示されており、
図2には、本実施形態に係る浴槽用手摺り1の側面図が示されており、そして、
図3には、本実施形態に係る浴槽用手摺り1をボルト軸に沿って切り取った断面図が示されている。
いる。
【0043】
図1に示されているように、浴槽用手摺り1の基本的骨格は、浴槽側壁へ直接載置される本体フレーム2と、本体フレーム2へ着脱可能に取り付けられる補助フレーム3とからなる。また、本体フレーム2には、使用者の身体を支えるための手摺り本体4と、押圧部6を前進及び後退させるための移動装置8と、そして浴槽用手摺り1の傾転を防止するための脚部5が取り付けられている。一方、補助フレーム3には、浴槽内の使用者の動きを補助するための側部グリップ40が取り付けられている。
【0044】
また、移動装置8はナット81を回転させるためのハンドルノブ80を含んでおり、ナット81の回転により螺進退されるボルト軸82の先端には、矩形平面を有する板状の押圧部6が上下及び/又は左右方向に首振り自在に取り付けられている(
図3参照)。このため、押圧部6の押圧面は浴槽側壁面に沿うように当接し、浴槽側壁面に対して傾いた状態でその上端の縁部や角部を押し付けることがなくなるので、応力集中による浴槽側壁の破壊を効果的に防止することができる。
【0045】
また、押圧受け部7は、連結軸71へ上下及び/又は左右方向に首振り可能に取り付けられているので、押圧受け面は浴槽側壁面に沿うように当接し、浴槽側壁面に対して傾いた状態でその上端の縁部や角部を押し付けることがなくなるので、応力集中による浴槽側壁の破壊を効果的に防止することができる。
【0046】
本実施形態の浴槽用手摺り1では、着脱自在に装着可能な保護カバー22,32を用いて本体フレーム2および補助フレーム3を覆うことにより、凹凸部などの危険箇所を減らしたり、通常は操作不要な部位の誤操作を防止したりすると共に、視覚的に見栄えを良くして清潔にしている。
【0047】
手摺り本体4は、平面視が略矩形のリング状の上部グリップ41と、上部グリップ41と連結されており、複数の固定孔(図示せず)が設けられている1対のグリップ支持部42とを含んでおり、手摺り本体4は、グリップ支持部42の固定孔へ本体フレーム2の挿入ピン(図示せず)を挿入することより任意の高さに固定することができる。
【0048】
また、脚部5は、本体フレーム2へネジ止めされる主脚部50と、主脚部50の内部に設けられた雌ネジ部と螺合する雄ネジ部が外周面に設けられた補助脚部51とから構成されている。脚部5は、主脚部50に対してゴム盤付きの補助脚部51を回転させることによりその長さを調節することができる。
【0049】
本実施形態の浴槽用手摺り1は、浴槽側壁の上面へ載置される載置部20が、載置部20の幅方向において、グリップ支持部42よりも外側へ向けて延びた延出部23を有しているので、特に手摺り本体4の上部グリップ41へ浴槽側壁の長手方向に沿って水平方向に力が加えられても、延出部23が浴槽側壁上面と当接することにより手摺り本体4に働く回転モーメントを支えるため、浴槽用手摺り1が浴槽側壁上面上で浴槽側壁の長手方向へ回転したり転倒したりするのを強力に防止することができる。なお、本実施形態の浴槽用手摺り1では、上部グリップ41へ浴槽側壁の厚み方向に沿って水平方向に力が加えられても、押圧受け部7及び押圧部6からなるクランプ機構が、浴槽用手摺り1が浴槽側壁の厚み方向へ回転ないし転倒するのを強力に阻止する役目を果たす。
【0050】
図2,3に示されているように、本実施形態の浴槽用手摺り1の本体フレーム2は、浴槽側壁の上面へ載置される載置部20と、載置部20に連結されており、そして浴槽側壁の一方の側面を押圧する押圧部6及びその押圧部6を前進/後退させるための移動装置8が取り付けられた基部21とを含んでおり、全体として下向きの略L字形の断面形状を有している。また、本体フレーム2の載置部20の下面(載置面)には、浴槽側壁への傷付け防止および載置部20の下面と浴槽側壁上面との間で生じる応力(摩擦力)低減を目的として弾性を有する樹脂ラバー24が装着されている。
【0051】
一方、補助フレーム3は、本体フレーム2の載置部20へ着脱及びスライド可能に取り付けられる水平部30と、そして水平部30に連結されており、そして浴槽側壁と当接する押圧受け部7が取り付けられた垂直部31とを含んでおり、全体として下向きの略L字形の断面形状を有している。
【0052】
本実施形態の浴槽用手摺り1は、押圧受け部7の上端が押圧部6の押圧面の中心よりも高い位置に配置されている。
【0053】
このため、本実施形態の浴槽用手摺り1では、押圧部6の押圧面の中心や荷重点が押圧受け部7の受け面からその領域外へ外れることにより生じる、浴槽側壁のねじり応力を効果的に抑制することができる。また、押圧部6の押圧面の中心や荷重点が押圧受け部7の受け面から外れることにより、押圧受け部7の受け面が浴槽側壁に対して傾斜(回転)した状態で押圧することも防止されるので、押圧受け部7の上端の縁部や角部が浴槽側壁を局部的に押圧する(応力集中を起す)ことも効果的に防止することができる。
【0054】
また、本実施形態の浴槽用手摺り1では、押圧部6の押圧面の中心や荷重点が押圧受け部7の受け面からその領域外へ外れることがないので、浴槽用手摺りに回転モーメントを生じさせることなく浴槽側壁の内側外側において釣り合いのとれたクランプ状態を形成することができる。
【0055】
なお、本実施形態において押圧部6の「押圧面の中心」とは、基本的に押圧面が浴槽側壁に及ぼす荷重の中心点(荷重点)を意味し、一般的には押圧部6のボルト軸82への取り付け位置と略一致している。
【0056】
本実施形態の浴槽用手摺り1では、押圧受け部7の浴槽側壁(側面)との当接面の上端が押圧部6の浴槽側壁(側面)との当接面の上端と同じ高さの位置に配置されている。ただし、押圧受け部7の当接面の上端と押圧部6の当接面の上端が「同じ高さ」である態様とは、厳密な意味において同じ高さである必要はなく、5mm程度の相対誤差を含む実質的に同じ高さであれば足りる。
【0057】
なぜなら、ユニットバスの浴槽側壁は、通常、その上面の縁部にR(面取り)が施されているので、例えば、押圧部6の上端と押圧受け部7の上端が厳密な意味において同じ高さの位置に配置されていても、上述のようなR(面取り)が施された浴槽側壁を取り付けた状態では、押圧部6の浴槽側壁(側面)との当接面の上端と押圧受け部7の浴槽側壁(側面)との当接面の上端は、互いに高さ方向に5mm程度位置ズレを生じる場合があるからである。
【0058】
また、本実施形態の浴槽用手摺り1では、押圧受け部7は、本体フレーム2にスライド可能に取り付けられた補助フレーム3を近づける時、本体フレーム2の載置部20の端部と衝突して引っ掛からないようにし、且つある程度載置部20の下面へ潜り込ませることができるように、載置部30の下面との間に4mm程度の隙間が設けられている。
【0059】
このように、本実施形態の浴槽用手摺り1は、押圧受け部7の上端を本体フレーム2の載置部20の下面より下方8mmよりも上側の約4mmの位置に配置することにより、押圧受け部7の浴槽側壁(側面)との当接面の上端が押圧部6の浴槽側壁(側面)との当接面の上端と同じ高さとなるように配置しているので、押圧受け部7の当接面上端の縁部や角部が浴槽内壁を局部的に押圧することがなくなり、その結果、応力集中による浴槽内壁の破壊を防止することができる。なお、ここで「押圧受け部」とは、上述したように受け面を支持する部材又は構造体を意味するので、「押圧受け部の上端」とは受け面を支持する部材又は構造体の上端を意味し、「受け面」の上端を意味するものではない。
【0060】
本実施形態の浴槽用手摺り1では、押圧受け部7の浴槽側壁の側面との当接面の下端は、押圧部6の浴槽側壁の側面との当接面の下端よりも相対的に低い位置に配置される。さらに、本実施形態の浴槽用手摺り1では、浴槽用手摺り1の転倒防止や浴槽側壁からの脱落防止を強化する目的で、ゴム盤付きの端部が床面と当接する脚部5が本体フレーム2に取り付けられている。このため、本実施形態の浴槽用手摺り1は、上部グリップ41へ浴槽側壁の厚み方向に沿って水平方向に力が加えられても、或いは浴槽側壁の内側及び外側のクランプ力(押圧力)の中心位置に偏心が生じていても、押圧部6と押圧受け部7からなるクランプ機構が、浴槽用手摺りが浴槽側壁の厚み方向へ回転ないし転倒するのを強力に阻止する役目を果たす。
【0061】
さらに、本実施形態の浴槽用手摺り1では、浴槽側壁の上面と当接する載置部20の載置面(樹脂ラバー24)の摩擦係数を、押圧部6の押圧面(樹脂ラバー60)の摩擦係数および/または押圧受け部7の受け面(樹脂ラバー70)の摩擦係数よりも小さくしているので、押圧部6と押圧受け部7により浴槽側壁を強力にクランプ(押圧)しても、本体フレーム2と浴槽側壁上面との間で生じる応力(摩擦力)を殆ど無視し得るほどに小さく抑えることができ、より安定した取り付け状態を実現することができる。
【0062】
本実施形態の浴槽用手摺り1では、補助フレーム3の水平部30には、そのスライド方向に沿って5つ貫通孔300が設けられており、本体フレーム2の載置部20には、補助フレーム3の貫通孔300と整列する2つのネジ孔200が設けられている。このため、補助フレーム3は、その垂直部31が本体フレーム2の押圧受け部7及び基部21へ向けて近接離反できるように、載置部20に対する水平部30の取付位置を任意に選択し、ネジ33により本体フレーム2へビス止めすることができる。
【0063】
このように、本実施形態の浴槽用手摺り1は、補助フレーム3の水平部30を本体フレーム2の載置部20へ取付位置を変更可能に装着することができるので、浴槽側壁の厚みに合わせて、予め本体フレーム2の基部21及び押圧部6と、補助フレーム3の垂直部31及び押圧受け部7との間の距離をできるだけ近接させておくことが可能となり、その結果、浴槽側壁をクランプするために必要となる押圧部6の移動距離を必要最小限に抑えることができるようになる。また、押圧部6を押圧受け部7へ向けて前進及び後退させるためのボルト軸の長さなど移動装置8自体の大きさをコンパクトにすることができる。
【0064】
本実施形態の浴槽用手摺り1では、押圧部6を押圧受け部7へ向けて前進及び後退させるための移動装置8は、本体フレーム2の基部21へ回動可能に取り付けられたナット81と、ナット81を回動するためのハンドルノブ80と、そして先端部が押圧部6に連結されており且つナット81に螺合するボルト軸82とから構成されており、さらに所定の力未満ではハンドルノブ80からナット81へ回動力を伝達し、そして、所定の力以上ではハンドルノブ80からナット81への回動力の伝達を遮断するトルク伝達・遮断手段83が含まれている。
【0065】
本実施形態では、移動装置8はナット81及びボルト軸82によって構成されているので、ボルト軸82の螺進退により押圧部6を押圧受け部7に対して容易に近接又は離間させることができ、さらにその状態も確実に保持することができる。さらに、本実施形態では、ナット81は本体フレーム2の基部21へ回動可能に取り付けられており、ハンドルノブ80によってナット81を回転することによりボルト軸及びその先端に取り付けられた押圧部6が螺進退されるので、ハンドルノブ80の位置が基部21に対して相対的に変化することがない。その結果、本実施形態では、浴槽用手摺り1からハンドルノブ80が突出するのを抑制することができるので使用者にとって安全である。
【0066】
さらに、本実施形態の移動装置8はトルク伝達・遮断手段83を備えているので、使用者がハンドルノブ80を回して押圧部6を押圧受け部7へ向けて強力に押し込んでも浴槽側壁を破損することなく、本実施形態の浴槽用手摺り1を必要にして十分なクランプ力(押圧力)をもって浴槽側壁へ取り付けることができる。また、押圧部6の移動装置8へ上述のトルク伝達・遮断手段83を設けても、ハンドルノブ80の位置は本体フレーム2の基部21に対して相対的に変化することがない。
【符号の説明】
【0067】
1・・・・・浴槽用手摺り
2・・・・・本体フレーム
20・・・・載置部
200・・・ネジ孔
21・・・・基部
22・・・・保護カバー
23・・・・延出部
24・・・・樹脂ラバー
3・・・・・補助フレーム
30・・・・水平部
300・・・貫通孔
31・・・・垂直部
32・・・・保護カバー
33・・・・ネジ
4・・・・・手摺り本体
40・・・・側部グリップ
41・・・・上部グリップ
42・・・・グリップ支持部
5・・・・・脚部
50・・・・主脚部
51・・・・補助脚部
6・・・・・押圧部
60・・・・樹脂ラバー
7・・・・・押圧受け部
70・・・・樹脂ラバー
8・・・・・移動装置
80・・・・ハンドルノブ
81・・・・ナット
82・・・・ボルト軸
83・・・・トルク伝達・遮断手段