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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】トルクコンバータ用のスラストワッシャ
(51)【国際特許分類】
   F16H 41/24 20060101AFI20220822BHJP
   F16C 17/04 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
F16H41/24 A
F16C17/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018080898
(22)【出願日】2018-04-19
(65)【公開番号】P2019190502
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】300034334
【氏名又は名称】ヴァレオカペックジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】水田 吉昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 喜誉司
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-028652(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0167809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 41/24
F16C 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクコンバータの相対回転可能な入力側部材と出力側部材との間に設けられる、前記トルクコンバータ用のスラストワッシャであって、
前記スラストワッシャは、中心貫通穴と、軸線方向に関して反対側にある第1面および第2面と、を有し、前記第1面および前記第2面は前記中心貫通穴の周囲に広がっており、前記第1面は、前記入力側部材および前記出力側部材のうちの一方と接触し、前記第2面は、前記入力側部材および前記出力側部材のうちの他方と接触し、
前記スラストワッシャの前記第1面は凹部を有し、当該凹部は、前記入力側部材および前記出力側部材のうちの前記一方に設けられた突起部分を収容して、前記入力側部材および前記出力側部材のうちの前記一方の前記スラストワッシャに対する相対回転ができないようにし、
前記スラストワッシャの前記第2面は、前記入力側部材および前記出力側部材のうちの前記他方に対して相対的に摺動回転ができるように構成されている、トルクコンバータ用のスラストワッシャ。
【請求項2】
前記入力側部材が前記トルクコンバータ入力側のカバーハブであり、前記出力側部材が前記トルクコンバータ出力側のタービンハブであることを特徴とする請求項1に記載のトルクコンバータ用のスラストワッシャ。
【請求項3】
前記突起部分が結合要素の頭部であることを特徴とする請求項1に記載のトルクコンバータ用のスラストワッシャ。
【請求項4】
前記突起部を収容する前記凹部が複数あることを特徴とする請求項1に記載のトルクコンバータ用のスラストワッシャ。
【請求項5】
トルクコンバータ用のスラストワッシャ組立品であって、前記スラストワッシャ組立品は互いに積層された2つのスラストワッシャを備えており、前記スラストワッシャの各々は、前記トルクコンバータの入力側部材と出力側部材との間に設けられ、前記入力側部材と前記出力側部材は互いに相対回転可能であり、
前記スラストワッシャの各々は、中心貫通穴と、軸線方向に関して反対側にある第1面および第2面と、を有し、前記第1面および前記第2面は前記中心貫通穴の周囲に広がっており、
前記2つのスラストワッシャのうちの第1のスラストワッシャの前記第1面は、前記入力側部材に接触するとともに凹部を有し、当該凹部は、前記入力側部材に設けられた突起部分を収容して、前記入力側部材の前記第1のスラストワッシャに対する相対回転ができないようにし、
前記2つのスラストワッシャのうちの第2のスラストワッシャの前記第1面は、前記出力側部材に接触するとともに凹部を有し、当該凹部は、前記出力側部材に設けられた突起部分を収容して、前記出力側部材の前記第2のスラストワッシャに対する相対回転ができないようにし、
前記第1および第2のスラストワッシャの前記第2面同士は、互いに接触するとともに相対的に摺動回転ができるように構成されている、スラストワッシャ組立品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用などのトルクコンバータの、入力側部材と出力側部材とを、相対回転可能に保持する構造に用いられるスラストワッシャに関し、特に、省スペース、低コストのスラストワッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に自動車の自動変速機などに使用されるトルクコンバータは、同軸上で、入力側からの動力を、流体を介して、あるいは、ロックアップ機構を介して、出力側に伝達する。
【0003】
ここで、いずれを介した場合でも、入力側部材と出力側部材とでは、相対回転が必要となるため、その回転軸と直交する接触面同士の間には、スラストワッシャなどの滑らかな相対回転を実現する部材が必要となる。
【0004】
特許文献1には、自動車用のトルクコンバータの構造が開示されている。ここでは、トルクコンバータの入力側であるフロントカバー3に固定されたセンターピース30と、出力側であるタービンハブ7との間を、回転自在に組み付けるために、平板状のスラストワッシャ(番号なし)が設けられている。
【0005】
ここでは、タービンハブ7もセンターピース30も、回転軸と直交する平面を有しており、その間に平板状のスラストワッシャを設けることで、両部材が円滑に相対回転することができる。
【0006】
しかしながら、入力側部材、出力側部材のいずれか一方に突起部分を有する場合には、突起部分を吸収して平面部を形成するような部材を追加して、平板状のスラストワッシャを使用することになり、追加の部材が必要なことと、そのため、幅広いスペースが必要となることから、製造コストが高くなり、省スペースでの回転自在の結合もできないという問題点があった。
【0007】
そこで、トルクコンバータの入力側部材と出力側部材のいずれかに突起部分がある場合の、製造コストが低廉で、かつ、省スペースで、入力側部材と出力側部材との滑らかな相対回転が可能な構造を実現するためのスラストワッシャの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開 第2017/131229号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、トルクコンバータの入力側部材と出力側部材のいずれかに突起部分がある場合の、部品点数が少なく、製造コストが低廉で、かつ、省スペースで、入力側部材と出力側部材との滑らかな相対回転が可能な構造を実現するためのスラストワッシャを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこうした従来技術上の問題点を解決することを企図したものであり、かかる課題を解決するため、本発明に係るトルクコンバータ用のスラストワッシャは、トルクコンバータの相対回転可能な入力側部材と出力側部材との間に設けられ、前記入力側部材、前記出力側部材のいずれか一方にある突起部分を収容する凹部を有することを特徴とする。
【0011】
より具体的には、本発明に係るトルクコンバータ用のスラストワッシャは、前記入力側部材が、前記トルクコンバータ入力側のカバーハブであり、前記出力側部材が前記トルクコンバータ出力側のタービンハブであることを特徴としてもよい。
【0012】
このようにすると、スラストワッシャ自体に凹部(ザグリ部)を設け、突起部を収容するようにしたから、部品点数の増加を招くことがなく、また、広いスペースを要することなく、入力側部材と出力側部材との相対回転が可能な構造を実現することができる。
【0013】
また、本発明は、前記突起部分が結合要素の頭部であることを特徴としてもよい。ここで、結合要素とは、リベット、ねじなどで、出力側(あるいは入力側)の複数の部材を固定結合するために用いられるものである。
【0014】
このようにすると、出力側(あるいは入力側)の複数の部材を固定結合する手段が限定されず、低廉なコストの構成を選択することができる。
【0015】
また、本発明は、前記突起部を収容する凹部が複数であることを特徴としてもよい。
【0016】
このようにすると、スラストワッシャは、突起部分を有する部材と一体回転をすることが可能であり、回り止めの効果を奏する。
【0017】
更に、本発明は、請求項1に記載のスラストワッシャを複数重ねたことを特徴とするトルクコンバータ用のスラストワッシャ組立品であってもよい。
【0018】
すなわち、トルクコンバータの入力側部材、出力側部材の両方に突起部分を有する場合に、各々の突起部分を吸収しうる凹部を設けた2つのスラストワッシャを、背中合わせにして、凹部を有さない平面同士で接触させ、摺動させるように設けたスラストワッシャ組立品であり、このようにすると、両側に突起部分がある場合でも、部品点数を増加させることなく省スペースの構造が実現できる。
【0019】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。これらはすべて、本技術思想の一部である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、トルクコンバータの入力側部材と出力側部材のいずれかに突起部分がある場合の、部品点数が少なく、製造コストが低廉で、かつ、省スペースで、入力側部材と出力側部材との滑らかな相対回転が可能な構造を実現するためのスラストワッシャが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るスラストワッシャを含むトルクコンバータの全体イメージを示した縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るスラストワッシャを含むトルクコンバータの要部の縦断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るスラストワッシャの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るスラストワッシャの斜視図である。
図5】本発明の別の実施形態に係るスラストワッシャ組立品の斜視図である。
図6】本発明の別の実施形態に係るスラストワッシャ組立品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係るスラストワッシャを含むトルクコンバータの全体イメージを示した縦断面図であり、図2は本発明の一実施形態に係るスラストワッシャを含むトルクコンバータの要部の縦断面図である。
【0024】
これらの図に示すように、トルクコンバータ1は、エンジンのクランクシャフトからトランスミッションの入力シャフトにトルクを伝達するための装置である。図の右側に図示しないエンジンが配置され、図の左側に図示しないトランスミッションが配置されている。図1に示すA-A’がトルクコンバータ1の回転軸である。
【0025】
図1に示すように、トルクコンバータ1は、主に、フロントカバー11と、3種の羽根車(ポンプインペイラ12、タービンシェル13、ステータブレード14)とダンパー機能を含むロックアップ装置2を備えている。
【0026】
ここでフロントカバー11は、トルクコンバータ1の回転軸に近い内側に配置されたカバーハブ23に固定され、カバーハブ23と一体で回転するようになっている。
【0027】
図1に示すように、ロックアップ装置2は、フロントカバー11とタービンシェル13との間に配置され、フロントカバー11から、弾性体及び慣性質量体のダンパー機能を有してターブンハブ34に動力を伝達するものであり、フロントカバー11とダンパー機能部分との間に配置された多板クラッチ17と、クラッチからのトルクをタービン方向へ伝達する中間部材(ドライブプレート18、リテーナプレート19など)と、ロックアップピストン15及びピストンガイド16と、を備えている。
【0028】
なお、これまで及びこの後の説明で、内側、外側との表現は、トルクコンバータ1の回転軸中心から放射状に、中心に近い方を内側、中心から遠い方を外側としたものである。
【0029】
ロックアップ装置2の出力側には、リテーナプレート19から弾性体を介して動力が伝達されるドリブンプレート32が設けられる。
【0030】
一方、ポンプインペイラ12からタービンシェル13へ流体を介して伝達される動力は、タービンシェル13を固定保持するように設けられたサポートプレート33へ伝達される。
【0031】
ドリブンプレート32と、タービンシェル13を保持するサポートプレート33と、ターブンハブ34とは、各部材に設けた穴部を貫通するリベット35で共締めの状態で固定結合される。ここで、各部材の穴部及びリベット35は、回転軸から等距離の円周上に、等間隔で12個設けられる。
【0032】
これによって、タービンシェル13からの流体を介して伝達される動力と、ロックアップ装置2を経由した動力とが、択一的にターブンハブ34に伝達され、更に、ターブンハブ34からは、スプライン結合されたトランスミッションのインプットシャフト37へと動力が伝達される。
【0033】
このような動力伝達経路のため、ターブンハブ34とカバーハブ23との間には相対回転が生じることになる。そのために、ターブンハブ34とカバーハブ23との間の空隙部分に滑らかな相対回転を実現するためにスラストワッシャ36が設けられる。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態に係るスラストワッシャ36の一方向から見た斜視図であり、図4は、同じくスラストワッシャ36の別方向から見た斜視図である。
【0035】
スラストワッシャ36は、軸方向の応力を受けることができ、滑らかな相対回転を可能とする、金属製または樹脂製の部品であり、形状は、厚さを有する円環状で、中心部には、穴部361を有し、その穴部361の内側面がターブンハブ34の外側面と接している。
【0036】
ここで、スラストワッシャ36については、一般的な円盤状のスラストワッシャに比べて形状が複雑であるので材質や製造方法が重要である。金属であれば、焼結金属の成形による方法が望ましく、焼結金属であれば成形が容易となる上に、モリブデンなどを混ぜて潤滑性を高めたり、セラミックなどを混ぜて耐摩耗性を高めたりすることができる。また、樹脂の成形による方法であれば、金属より軽く比較的製造コストが抑えられるという利点がある。
【0037】
スラストワッシャ36の一方の円環面362は、ドリブンプレート32の円環面と面接触しており、また、底のある円筒形の凹部363を12個有している。なお、この円筒形の凹部363は、スラストワッシャ36の外周近傍に、開口部364を有している。
【0038】
この凹部363の内径は、ドリブンプレート32とサポートプレート33とターブンハブ34とを共締めしたリベット35の頭部351の外径とほぼ等しく形成されている。
【0039】
スラストワッシャ36の他方の円環面365は、カバーハブ23の円環面と面接触しており、摺動回転することができる。
【0040】
ここで、スラストワッシャ36の他方の円環面365には、回転軸から放射状に複数の溝部366が形成されている。この溝部366には作動油が流れることにより、摺動面の潤滑をして摩擦係数を低く保つようにしている。
【0041】
なお、この溝部366の形状、本数、位置、あるいは有無については、この実施例に限定されるものではなく、全体構成に応じて適宜設定すればよい。
【0042】
次に、このような構成の本発明に係る一実地形態の動作について説明する。
【0043】
エンジンからの駆動力は、フロントカバー11に固定結合されるカバーハブ23を回転させ、一方、ロックアップ装置を介してドリブンプレート32へ、あるいは、タービンシェル13を介してサポートプレート33へ伝達され、更に、リベット35により固定結合されたターブンハブ34へと伝えられる。
【0044】
ここで、リベット35のカバーハブ23側の頭部351は、スラストワッシャ36の片方の円環面に設けられた凹部363に嵌合しており、凹部363が12個あることから、リベット35で固定結合されているドリブンプレート32とターブンハブ34とスラストワッシャ36とは、相対回転したり、ずれたりすることなく、回り止め機能を有して、一体で回転することができる。
【0045】
なお、スラストワッシャ36の凹部363は、完全な円筒形の凹部ではなく、スラストワッシャ36の外側に向いて開口部分を有しているが、これは、周辺の部材の配置レイアウトや、設置スペースの制約がある場合に、スラストワッシャ36の外周寸法を小さくすることができ、リベット35の頭部351の過半領域が収容されていれば回り止めやセンタリングの効果は発揮できる。
【0046】
図5は、本発明に係るスラストワッシャ36の凹部の別の実施形態の説明図であり、図5(a)の既に説明したスラストワッシャ36の凹部363が外側に向いている場合のほか、図5(b)のように凹部363が開口部を有さない完全な円筒形の場合であってもよく、この場合は、センタリングのためのスラストワッシャの内周面の面積を広く取れるため、その表面での摩耗を減じられるという利点がある。
【0047】
また、図5(c)のように凹部363がスラストワッシャ36の内側に向く開口部を有してもよいし、図5(d)のように凹部363がスラストワッシャ36の外側と内側との両側に開口部を有してもよい。周辺の部材の配置レイアウトや、設置スペースの制約から、このようなスラストワッシャの構造が選択される場合もあり得る。
【0048】
ここで、リベット35の頭部351の数は12個あり、これが、スラストワッシャの強度を保ち、回転の際に回り止め効果を発揮する点では好適であるが、その数に限定はなく、これ以上でも以下でもよく、少なくとも2個あれば、回り止めの効果は十分期待できる。
【0049】
また、固定結合のための部材をリベットとし、その頭部が平面から突出しているとしたが、突出部を形成する固定結合のための部材はリベットに限定されず、ねじやその他の締結用部材であってもよく、更には、突出部は締結用部材に限定せず、ハブ部の部材自身の外形形状によるものであってもよい。
【0050】
図6は、本発明の別の実施形態に係るスラストワッシャ組立品の斜視図である。例えば、一実施形態で説明したカバーハブ23側にも、図示しないリベットなどの突起部がある場合に、第1のスラストワッシャ36Aと、第2のスラストワッシャ36Bを、図示するように背中合わせに用いることができる。
【0051】
なお、ここで、スラストワッシャ36Aと、スラストワッシャ36Bとは、同一形状である必要はなく、外形寸法、凹部363A、363Bの形状や個数は、突起部の状況に応じて適宜設定されるものとする。
【0052】
ここでは、スラストワッシャ36Aが、その凹部363Aにターブンハブ34側のリベット35の頭部を収容し、スラストワッシャ36Bが、その凹部363Bでカバーハブ23側の図示しない突起部を収容するようにする。このようにすると、スラストワッシャ36Aはターブンハブ34に対して回り止めの効果を有し、一方、スラストワッシャ36Bはカバーハブ23に対して回り止めの効果を有した上で、スラストワッシャ36A、36Bの間で摺動することができる。
【0053】
なお、これまでの実施形態の説明では、トルクコンバータ1の内部で相対回転が必要な個所として、トルクコンバータ1の入力側のカバーハブ23とトルクコンバータ1の出力側のタービンハブ34を対象としてきたが、これ以外にも相対回転が必要な個所があれば適用することができる。
【0054】
例えば、タービンダンパと称される、ロックアップ解除時にタービンシェルからダンパを介してタービンハブに動力が伝達されるような場合には、更に相対回転が必要な個所が生ずるが、そのような個所にも本発明は適用が可能である。
【0055】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。これらはすべて、本技術思想の一部である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のスラストワッシャは、幅広く車両のトルクコンバータに利用できるため、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0057】
1 トルクコンバータ
2 ロックアップ装置
11 フロントカバー
12 ポンプインペイラ
13 タービンシェル
14 ステータブレード
15 ロックアップピストン
16 ピストンガイド
17 多板クラッチ
18 ドライブプレート
19 リテーナプレート
23 カバーハブ
32 ドリブンプレート
33 サポートプレート
34 タービンハブ
35 リベット
351 リベットの頭部
36、36A、36B スラストワッシャ
361 穴部
362 円環面
363 凹部
364 開口部
365 円環面
366 溝部
37 インプットシャフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6