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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】自動調心式仮想楕円駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20220822BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
F16H1/32 C
H02K7/116
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018082957
(22)【出願日】2018-04-24
(65)【公開番号】P2018189234
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】15/585,544
(32)【優先日】2017-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェイ.アトムール
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム パトリック サージェント
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-047797(JP,A)
【文献】特開昭57-054754(JP,A)
【文献】特開昭62-046045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸であるステータ軸、及び、内側円筒面に配置された複数のステータ歯を有するステータギアと、
前記ステータ軸に対して非ゼロの転頭角で配置された転頭軸、前記転頭軸に垂直な係合面、前記係合面に設けられた複数の面歯、及び、複数の転頭歯を有する転頭プレートであって、前記複数の転頭歯は、前記転頭プレートの外周に沿って設けられているとともに、前記ステータ歯と係合するよう構成されている転頭プレートと、
前記ステータ軸と実質的に整列するとともに、前記面歯と係合するよう構成された複数の出力歯を有する出力プレートと、を含み、
複数組ある前記複数の歯のうちの少なくとも二組は、自動調心する態様で互いに係合するよう構成されており、これにより、前記転頭プレートが前記ステータギアの周囲に沿って章動する際に、前記転頭角が一定に維持される、転頭プレート駆動装置であって、
前記転頭歯のうちの少なくとも1つは、くさび形であり、当該少なくとも1つの転頭歯の表面は、前記転頭プレートの重心を通過するように延長可能な第1線を規定し、
前記ステータ歯のうちの少なくとも1つは、くさび形であり、当該少なくとも1つのステータ歯の表面は、前記転頭プレートの重心を通過するように延長可能な第2線を規定する、転頭プレート駆動装置
【請求項2】
前記面歯は、前記転頭プレートの円錐台面に設けられており、前記転頭プレートの重心は、前記転頭プレートの前記円錐台面の頂点と一致し、
前記出力歯は、前記出力プレートの円錐台面に設けられており、前記転頭プレートの重心は、前記出力プレートの前記円錐台面の頂点と一致する、
請求項1に記載の転頭プレート駆動装置。
【請求項3】
前記転頭プレートは、章動中に前記転頭プレートのどの部分も前記ステータギアから所定の距離を超えないように拘束されている、
請求項1又は2に記載の転頭プレート駆動装置。
【請求項4】
前記転頭歯と前記面歯とは、前記転頭軸に平行な反対方向に延出し、前記転頭プレートは、前記ステータギアと前記出力プレートの間に配置されている、
請求項1~のいずれか1つに記載の転頭プレート駆動装置。
【請求項5】
前記転頭歯と前記面歯とは、前記転頭軸に平行な同一方向に延出し、前記ステータギアは、前記転頭プレートと前記出力プレートの間に配置されている、
請求項1~のいずれか1つに記載の転頭プレート駆動装置。
【請求項6】
ステータギア、転頭プレート及び出力プレートを用意することと、
自動調心する態様で、前記ステータギアの複数のステータ歯を前記転頭プレートの複数の転頭歯に係合させることと、
自動調心する態様で、前記転頭プレートの複数の面歯を前記出力プレートの複数の出力歯に係合させることと、
前記転頭プレートを前記ステータギアの周囲に沿って章動させることと、
を含む、転頭プレート駆動装置の操作方法であって、
前記転頭歯のうちの少なくとも1つは、くさび形であり、当該少なくとも1つの転頭歯の表面は、前記転頭プレートの重心を通過するように延長可能な第1線を規定し、
前記ステータ歯のうちの少なくとも1つは、くさび形であり、当該少なくとも1つのステータ歯の表面は、前記転頭プレートの重心を通過するように延長可能な第2線を規定する、転頭プレート駆動装置の操作方法
【請求項7】
前記転頭プレートを章動させることは、
実質的に平坦な面、及び、当該実質的に平坦な面から延出する少なくとも1つの丸みを
帯びた突起を有するモータを励起させて、当該モータを回転軸周りに回転させることと、
前記少なくとも1つの丸みを帯びた突起を、前記転頭プレートにおける実質的に平坦な面と係合させ、これにより前記転頭プレートを章動させることと、を含み、
請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記転頭プレートを章動させることは、
永久磁石及び一組の電磁コイルを有するモータを励起させて、当該モータと前記転頭プレートの間に、最も高い磁束密度の位置が移動する磁場を形成し、これにより、前記転頭プレートを章動させることを含む、
請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記転頭プレートを章動させることは、前記出力プレートを回転させることを含み、
前記面歯が前記出力歯に係合した状態で前記出力プレートを回転させると、前記転頭プレートが回転し、
前記ステータ歯が前記転頭歯に係合した状態で前記転頭プレートを回転させると、前記転頭プレートが章動する、
請求項6~8のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、転頭プレート(wobble plate)駆動装置に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、楕円状に係合するギアシステムを用いてトルクを調整するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つ以上のギアを使用することによって、ギア比による機械的利益を生じさせることができる。様々なギア配置によって、第1のギアが1回転すると、同じ時間内に第2のギアが1回転よりも多く又は少なく回転するよう構成することができる。用途によっては、ギア比が極めて高く、ギアの減速量が極力小さいモータを有することが望ましい場合がある。
【0003】
以前から、転頭プレート駆動機構は、小型でギア比の高い駆動装置を実現するための有望な手法であると考えられてきた。転頭プレート駆動装置においては、ギアのうちの1つ、例えばロータギアが、別のギア、例えばステータギアの周囲に沿って章動する。本明細書において、「章動する」又は「章動」なる用語は、揺動(wobble)、揺れ(sway)、又は、円形ロッキング動(rocking motion)を意味する。ロータギアは、通常、ギア歯のアライメントを維持するシャフト又は枢支軸によって支持される。ロータギアの歯数とステータギアの歯数の差分が1である場合、そのシステムは、ステータギアの歯数に等しいギア比を有することになる。
【0004】
現実的には、効率的且つ効果的な転頭プレート駆動システムは、実現が困難であるとされてきた。これは、システム内で働く力により、機構の係合離脱、食い込み(binding)、枢支軸による過拘束(over-constraint)、又は、摩擦による非効率などが、しばしば発生するからである。
【発明の概要】
【0005】
自動調心式転頭プレート駆動装置は、ステータギア、転頭プレート及び出力プレートを有する。前記ステータギアは、中心軸であるステータ軸、及び、内側円筒面に配置された複数のステータ歯を有する。前記転頭プレートは、転頭軸、前記転頭軸に垂直な係合面、前記係合面に設けられた複数の面歯、及び、前記転頭プレートの外周に沿って設けられているとともに前記ステータ歯と係合するよう構成された複数の転頭歯を有する。前記出力プレートは、前記面歯と係合するよう構成された複数の出力歯を含む。
【0006】
前記転頭プレートは、前記転頭軸が前記ステータ軸に対して非ゼロの転頭角になるように配置されており、前記出力プレートは、前記ステータ軸と実質的に整列する。複数組ある前記複数の歯のうちの少なくとも二組は、自動調心する態様で互いに係合するよう構成されており、これにより、前記転頭プレートが前記ステータギアの周囲に沿って章動する際に、前記転頭角が一定に維持される。
【0007】
自動調心式転頭プレート駆動装置の操作方法は、ステータギア、転頭プレート及び出力プレートを用意することを含む。本方法は、自動調心する態様で、前記ステータギアの複数のステータ歯を前記転頭プレートの複数の転頭歯に係合させることをさらに含む。本方法は、自動調心する態様で、前記転頭プレートの複数の面歯を前記出力プレートの複数の出力歯に係合させることをさらに含む。最後に、本方法は、前記転頭プレートを前記ステータギアの周囲に沿って章動させることを含む。
【0008】
本開示は、種々の装置及びその使用方法を開示している。いくつかの実施形態において、転頭プレート駆動装置は、入力プレート、転頭プレート及びステータを含みうる。いくつかの実施形態において、駆動装置は、モータ、転頭プレート、ステータ及び出力プレートを含みうる。いくつかの実施形態において、転頭プレート、ステータギア、及び、入力プレート又は出力プレートの各々は、自動調心式に互いに係合するように構成された一組の歯を含みうる。
【0009】
特徴、機能、及び、効果は、本開示の様々な実施形態において個別に実現可能であるが、他の実施形態において互いに組み合わせてもよく、さらなる詳細については、以下の記載及び図面を参照することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の態様による例示的な転頭プレート駆動装置を示す分解等角投影図である。
図2図1の転頭プレート駆動装置の入力プレートの一部を示す拡大底面図である。
図3図1の転頭プレート駆動装置のステータギアの一部を示す拡大上面図である。
図4】本開示の態様による他の例示的な転頭プレート駆動装置を前側から見た分解等角投影図である。
図5図4の転頭プレート駆動装置を後ろ側から見た分解等角投影図である。
図6図4の転頭プレート駆動装置の転頭プレートを示す等角投影図である。
図7図4の転頭プレート駆動装置を、同装置の回転軸に平行な平面に沿った断面で示す図である。
図8図4の転頭プレート駆動装置を、図7の平面から45度回転させた平面に沿った断面で示す図である。
図9】本開示の態様による転頭プレート及びモータを模式的に示す等角投影図である。
図10図9のモータを線図で示す分解等角投影図である。
図11】本開示の態様による転頭プレート駆動装置の例示的な使用方法を示すフローチャートである。
図12】本開示の態様による転頭プレート駆動装置の他の例示的な使用方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<概要>
転頭プレート及びステータを有する自動調心式転頭プレート駆動装置(self-aligning wobble plate drive)の様々な実施形態を、以下に説明するとともに、添付図面に示す。別段の記載がない限り、転頭プレート駆動装置及び/又はその様々な部品は、本明細書に記載、図示、及び/又は、援用された構造、部品、機能、及び/又はその変形の少なくとも1つを含みうるが、必須ではない。また、本開示に関連して本明細書に記載、図示、及び/又は援用された構造、部品、機能、及び/又はその変形を、他の転頭プレート駆動装置に含めることもできるが、必須ではない。以下の様々な実施形態の説明は、あくまでも例示的な性質のものであり、本開示やその適用例又は用途をなんら限定することを意図するものではない。また、実施形態によってもたらされる効果を以下に記載するが、これらは例示的な性質のものであり、すべての実施形態が同じ効果や同程度の効果をもたらすとは限らない。
【0012】
<実施例、部品及び代替例>
以下のセクションでは、例示的な転頭プレート駆動装置ならびに関連するシステム及び/又は方法の選択した側面を説明する。これらのセクションにおける実施例は、説明を目的とするものであり、本開示全体の範囲を限定するものであると解釈されるべきではない。各セクションは、1つ以上の異なる発明、及び/又は、背景的又は関連する情報、機能及び/又は構造を含みうる。
【0013】
<実施例1>
自動調心式仮想楕円駆動装置、即ち、転頭プレート駆動装置の一実施形態は、図1に見ることができ、包括的に符号10で示されている。駆動装置10は、入力プレート12、転頭プレート14及びステータギア16を有する。入力プレート12は、転頭プレート駆動装置の使用目的によっては出力プレートとも称するものであり、回転軸20を規定し、ステータギア16は、この軸を中心とする。転頭プレート14は、回転軸に対して非ゼロ角度で配置された転頭軸22を有する。この角度を転頭角(wobble angle)と呼ぶ。
【0014】
転頭プレート14は、実質的に平坦な下面24、及び、係合面である上面26を有するとともに、複数の面歯28を備える。面歯28は係合上面26に配置されている。また、複数の転頭歯30が、転頭プレートの面24と面26との間の外周に沿って、転頭軸に垂直な平面内に設けられている。転頭歯は、転頭軸と平行に、面26から面24に向かって延出している。
【0015】
転頭プレート14は、入力プレート12とステータ16との間に配置されている。下面24は、転頭軸に垂直であり、概ねステータ16側を向いている。一方、係合面26は、下面に平行あって、概ね入力プレート12側を向く面を規定する。転頭歯30と面歯28とは、転頭軸22に平行な反対方向に延出する。
【0016】
入力プレート12は、当該入力プレートの外側部分に環状の入力面36を有しており、これは、図2に最もよく表れている。入力面36は、円錐台状であってもよい。すなわち、環状の入力面36は、回転軸20に垂直な平面に対して傾斜しており、当該環状入力面に含まれるすべての点は、回転軸上で入力プレート12より下側に位置する頂点を通るように延長可能な円錐台線38上にある。上述の要素を組み付けて駆動装置とすると、環状の入力面36の円錐台の頂点は、転頭プレート14の重心近傍に位置する。
【0017】
複数又は一組の入力歯34が、環状の入力面36に配置されている。任意の適当な数の入力歯34を使用することができる。各入力歯34は2つの駆動面40、42を含み、各駆動面は、平面状であってもよいし、複数の平面で構成されていてもよいし、曲率を有する1つ以上の面で構成されていてもよい。
【0018】
図1に示すように、転頭プレート14の係合上面26は、当該係合上面の外側部分に、図2に示す環状入力面36と同様の環状の転頭面64を有する。すなわち、環状転頭面64は、転頭軸22に垂直な平面に対して傾斜しており、当該環状の転頭面に含まれるすべての点は、転頭軸上に位置する円錐台頂点を通るように延長可能な円錐台線上にある。環状転頭面64の円錐台の頂点は、転頭プレート14の重心に一致する。他の実施形態において、転頭面は、これとは異なる形状を有していてもよい。
【0019】
複数又は一組の面歯28は、環状の転頭面64に配置されている。面歯28は、任意の適当な数を選択可能であり、面歯の数は、入力歯34の数より多くても、少なくても、同数でもよい。図示の実施形態においては、面歯28の数と入力歯34の数は同じである。各面歯は、2つの従動面を含み、これら従動面は、平面状であってもよいし、複数の平面で構成されていてもよいし、曲率を有する1つ以上の面で構成されていてもよい。
【0020】
転頭プレート14は、入力プレート12と係合するよう構成されている。より具体的には、面歯28が入力歯34と係合するように構成されている。入力プレートが所定の回転方向に回転すると、入力歯の駆動面が面歯の従動面と係合する。すなわち、複数の入力歯の駆動面と複数の面歯の従動面との相互作用を介して、入力プレートから転頭プレートに接触力が付与されうる。これらの接触力により、転頭プレートは同じ所定の回転方向に回転する。
【0021】
この実施例の駆動装置10では、入力プレート12と転頭プレート14とは、1:1のギア比に従って、相互作用及び回転する。すなわち、入力プレートが完全に一回転するたびに、転頭プレートも、正確に完全に一回転する。別のギア比を選択することも可能であり、その場合は、回転速度も変わる。
【0022】
転頭プレート14及び入力プレート12は、転頭プレートと入力プレートの間に生じるあらゆる接触力が、回転軸に垂直な平面内に位置する円の接線方向に向くように構成されうる。転頭プレートと入力プレートの間の接触力がそのような方向を向くように転頭プレート及び入力プレートを構成することにより、偏心力を回避することができる。偏心力は、複数の面歯28を複数の入力歯34から係合離脱させたり、転頭プレートの重心をぐらつかせたりすることにより、望ましくない振動を駆動装置に生じさせる虞れがある。
【0023】
入力面36と転頭面64の円錐台形状が互いに相補的であると、駆動装置10に振動や変位が生じた場合に、歯と歯の接触力が入力プレート12と転頭プレート14を整列状態に戻すように作用する角度で入力歯34と面歯28とが係合する。したがって、入力歯34と面歯28とは、自動調心する態様で係合し、入力プレート及び転頭プレートが回転する際、転頭角は一定に保たれる。
【0024】
図1に示すように、ステータギア16は、内側円筒面50及びステータ歯ベース52を含むベース48を有する。ベース48は、駆動装置10を使用する任意の装置(例えば、内部に駆動装置10を組み込んだ装置)の台部材に対してステータ16を機能的に連結するように構成された取り付けポイントを含んでいてもよい。ステータ16は、当該装置に対して固定であってもよい。ステータギアが規定するステータ軸54は、回転軸20と実質的に整列する。
【0025】
ステータ16は、一部が内側円筒面50によって規定される内部空間56を有する。内部空間56は、以下に詳述するように、転頭プレート14の一部又は全体を収容するように構成されうる。
【0026】
ステータ歯32は、内側円筒面50及びステータ歯ベース52のうちのいずれか一方又は両方に繋がるように形成されうる。図1の実施形態において、ステータ歯は、回転軸に向かう半径方向に沿って内側円筒面から内部空間56内へと延出する。加えて、ステータ歯は、ステータ歯ベース52から、回転軸に平行な軸方向にも延出する。ステータ歯の数は、用途及び所望のギア比によって、任意に選択可能である。
【0027】
図3は、ステータギア16の上面図であり、複数のステータ歯32のうちの一部を示している。複数のステータ歯の各々は、回転軸20に対して近位端及び遠位端を有する。ステータ歯の遠位端は、例えば内側円筒面50に接続される。各歯は、第1係合面66、及び、歯の反対側の第2係合面68を有する。各係合面は、平面状であってもよいし、複数の平面で構成されていてもよいし、曲率を有する1つ以上の面で構成されていてもよい。例えば、ステータ歯32の係合面66、68のうちの一方又は両方は、前述したように、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定することができる。あるいは、当該曲線は、0ラジアンと2πラジアンの間のすべての角度について、歯の位置への仮想楕円の投影したものであってもよい。
【0028】
複数のステータ歯32の各々は、くさび形をしている。つまり、第1係合面66は、回転軸を通過するように延長可能な線70を規定する。線70は、転頭プレートとステータギアとの双方が駆動装置において結合されている状態では、転頭プレートの重心を通過する。また、第2係合面68も、回転軸を通過するように延長可能な線72を規定する。線72も、転頭プレート及びステータギアの双方が駆動装置において結合されている状態では、転頭プレートの重心を通過する。
【0029】
複数のステータ歯32の各々は、係合部と支持基部とを含む。係合部は、上述の第1係合面及び第2係合面を含む。支持基部は、係合部をステータ歯ベース52に接続する。ステータ歯は、他の構造に支持されてもよく、あるいは、任意の適切な方法でステータ歯ベースに接続されてもよい。
【0030】
図1に示すように、複数の転頭歯30は、下面24と係合上面26との間で転頭プレート14の外周に沿って、転頭軸22に垂直な平面に設けられている。転頭歯は、転頭プレートの外側円筒面58から、転頭軸から遠ざかる半径方向に延出する。加えて、転頭歯は、転頭歯ベース60から、転頭軸に沿った軸方向にも延出する。転頭歯ベースは、転頭プレートに接続されているか、これと一体の略環状の部材であってもよい。転頭歯を円筒面又は転頭歯ベースのいずれか又は両方に接続することによって、複数の転頭歯に、物理的支持又はある程度の剛性を与えることができる。転頭歯30は、任意の適当な数を選択可能であって、転頭歯の数は、ステータ歯32の数より多くても、少なくても、同数でもよい。
【0031】
図3に示すステータ歯32と同様に、各転頭歯30は、第1係合面を有し、また、歯の反対側に第2係合面を有する。各係合面は、平面状であってもよいし、複数の平面で構成されていてもよいし、曲率を有する1つ以上の面で構成されていてもよい。転頭歯30の係合面のうちの一方又は両方は、前述したように、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定されうる。あるいは、当該曲線は、0ラジアンと2πラジアンの間のすべての角度について、歯の位置への仮想楕円の投影であってもよい。
【0032】
複数の転頭歯の各々は、くさび形をしている。つまり、第1係合面は、転頭軸を通過するように延長可能な第1線を規定する。また、第2係合面は、転頭軸を通過するように延長可能な第2線を規定する。第1線及び第2線は、いずれも転頭プレートの重心を通過する。
【0033】
加えて、各転頭歯30は、係合部と支持基部とを含む。係合部は、第1係合面及び第2係合面を含む。支持基部は、係合部を転頭歯ベース60に接続する。転頭歯は、他の構造に支持されてもよく、あるいは、任意の適切な方法で転頭歯ベースに接続されてもよい。
【0034】
転頭プレート14は、ステータギア16と係合するように構成されている。より具体的には、転頭歯30が、ステータ歯32と係合するように構成されている。入力プレート12が第1方向に回転する場合、転頭歯の第1係合面が、ステータ歯の第1係合面と係合しうる。すなわち、複数のステータ歯の第1係合面と、複数の転頭歯の第1係合面との相互作用を介して、ステータギアから転頭プレートに接触力が付与されうる。これらの接触力によって、転頭プレートは、第1回転方向に回転するととともに、第1章動方向に章動する。
【0035】
一般的に、ステータギアはn個のステータ歯を有し、転頭プレートはm個の転頭歯を有し、nとmとは1以上異なる整数であり、典型的には1だけ異なる整数である。転頭プレートがステータギアの周囲に沿って章動する際、複数の転頭歯の各々は、1回の章動中に、複数のステータ歯のうちの1つと係合しうる。ステータ歯が転頭歯より1つ多い場合、転頭プレートは、1回の章動中にわずかに回転する。
【0036】
具体的には、転頭プレートは、転頭プレートが1回章動する間に、完全な1回転の1/mだけ回転する。換言すれば、おそらくは入力プレートとの相互作用によって、転頭プレートが完全な1回転の1/mだけ回転すると、転頭プレートは1回の完全な章動を完了することになる。したがって、転頭プレートとステータギアとは、m:1のギア比に従って相互作用しうる。転頭プレートがm回章動するごとに、転頭プレートは、正確に1回転する。したがって、本開示のシステムのギア比は、転頭プレートの歯数m及びステータギアの歯数nによって、決定することができる。
【0037】
転頭プレート及びステータギアは、両者の間に生じるあらゆる接触力が、回転軸に垂直な平面内に位置する円の接線方向に向くように構成されうる。接触力は、例えば、転頭軸22に対して実質的に垂直、且つ、転頭歯30とステータ歯32との接触点から転頭軸22まで延びる径方向の線に対して実質的に垂直な方向を向く。
【0038】
ステータ歯32及び転頭歯30のくさび形は、互いに相補的な円錐面を規定しており、駆動装置10に振動や変位が生じた場合に、歯の係合により生じる接触力が転頭プレート14をステータギア16との整列状態に戻すように作用する角度の係合が得られる。したがって、歯と歯は、自動調心する態様で係合し、転頭プレートがステータに沿って章動する際、転頭角は一定に保たれる。
【0039】
転頭プレート14及びステータギア16は、実質的に円形であるが、各々の配向が異なるために、転頭プレートをステータ上に射影すると楕円形になる。複数の転頭歯30及び複数のステータ歯32は、この仮想楕円を歯の位置に投影することによって輪郭付けしてもよい。転頭プレート14をステータ16に楕円投影することによって、非偏心回転に制限することができる。偏心運動を許容すると、大きな不均衡な力が生成され、システムの性能が容認できないものとなる場合がある。
【0040】
転頭プレート駆動装置は、プレートの章動が規定する回転慣性参照座標(rotating inertial reference frame)についてのオイラーの式にしたがって、機械的に拘束された系であると理解することができる。オイラーのz軸式1(Euler's z-axis equation)を検討する。
【数1】
式中、Tはトルクを表し、Iは慣性を表し、ωは角速度を表す。この式は、トルクの方向によっては、軸に逆回転があることを示す。トルク又は運動エネルギーが系に伝達されると、逆回転として伝わる。入力エネルギーは、転頭プレート14の運動量ベクトルを変化させるのに使われる。
【0041】
転頭歯30及びステータ歯32は、例えば、歯の係合面を、円と楕円の複合インボリュート曲線で規定することで、転頭プレート14の動きを機械的に拘束するよう構成することができる。この構成において、転頭プレートにおいて可能な最大回転速度は、オイラーの式の解を満たすために必要な回転速度以下になる。転頭プレートは加速を受けると、転頭角を大きくするように作用する力が生じる。この力は、入力プレート12との接触によって相殺され、転頭角は一定に維持される。
【0042】
換言すると、章動する転頭プレートが入力プレートとの係合によりトルクを受けると、転頭角が大きくなる傾向が生じる。入力プレートは、転頭プレートをステータギアに対して拘束するように、ステータから所定の距離だけ離間して配置されている。したがって、転頭プレートがステータの周囲に沿って章動する際、転頭角は一定に維持され、また、転頭プレートにおけるどの部分も、ステータギアから所定の距離を超えて離間しない。
【0043】
本開示における例示的な転頭プレート駆動装置は、入力トルクを蓄積及び吸収するか、あるいは、蓄積したトルクのうち限られた量を出力するか、のいずれかの動作を実行しうる。第1のケースでは、入力プレート12の入力歯34が転頭プレート14の面歯28に係合して、このプレートを回転させる。転頭プレートの転頭歯30がステータギア16のステータ歯32に係合して、転頭プレートの章動が生じる。転頭プレートは、入力トルクを章動として蓄積及び吸収する。
【0044】
転頭プレート駆動装置は、転頭プレートをステータに投影した仮想楕円に基づいて考えることができる。転頭プレート14とステータ16は、一般的に1つの接触点を有する。仮想楕円の周縁は、楕円状に係合する転頭プレートとステータの連続接触線(continuous line of contact)を三次元で規定しうる。仮想楕円の形状は、転頭軸22と回転軸20との間の角度の4倍の角度で転頭プレートが章動する際も変動しないままにできる。単に、オイラーの式で規定される接触線の回転座標(rotational frame)が章動に伴って進むのみである。接触線上の各点は、幾何学的に歪ませた複合インボリュート関数(compound geometrically distorted involute function)に合致し、この関数は、回転及び章動のいずれの際にも対称である。よって、仮想楕円との間で連続的なエネルギー伝達が可能になる。
【0045】
仮想楕円は、慣性系が回転しても静止したままであって、接触線上のすべての点が個々の水平面において一定の角速度で回転する。章動の間、転頭プレート14の半径方向縁部に位置する点を観察すると、この点は、絶えず変化する速度で垂直動作を行う。この速度変化は、転頭プレートの慣性に対する等加速度を要件としうるので、系に入力される運動エネルギーが吸収される。
【0046】
第2のケースでは、転頭プレート駆動装置は、蓄積したトルクを出力し、転頭プレートの回転により入力プレートを回転させる。このケースでは、転頭プレート14の回転及び章動中、入力プレート12に外部からのトルクは加えられない。
【0047】
転頭プレートが第1回転方向に回転する際、面歯の第1従動面が、入力歯の第1駆動面と係合しうる。すなわち、複数の面歯の第1従動面と複数の入力歯の第1駆動面との相互作用を介して、転頭プレートが入力プレートに接触力を付与する。これらの接触力が、入力プレートを第1方向に回転させる。換言すると、入力プレートを出力プレートとみなすことができる。
【0048】
<実施例2>
自動調心式仮想楕円駆動装置の他の実施形態は、図4図5とでは異なる角度から見ることができ、包括的に符号110で示している。駆動装置110は、入力モータ112、転頭プレート114、ステータギア116、及び、出力プレート118を含む。モータ112は、回転軸120を規定し、当該回転軸を中心としてステータギア116及び出力プレート118が配置される。転頭プレート114は、当該回転軸に対して非ゼロ角度で配置される。
【0049】
転頭プレート114は、実質的に平坦な後面124と前面126とを有するとともに、複数の面歯128及び複数の転頭歯130を備える。面歯128は、前面126に設けられる。転頭歯130は、転頭プレートの面124及び面126の間の外周に沿って、転頭軸に垂直な平面内に設けられる。転頭歯130及び面歯128は、(図6に示される)転頭軸122と平行な同一方向に延出する。
【0050】
組み立てられた駆動装置110において、モータ112は、転頭プレート114の後面124と係合することにより、転頭プレートをステータ116に沿って章動させる。ステータは、ステータギアと称する場合もあり、転頭歯130と係合するように構成された複数のステータ歯132を含んでおり、これにより転頭プレートを回転させることができる。出力プレート118は、面歯128と係合するように構成された複数の出力歯134を含んでおり、これにより、転頭プレートは、出力プレートを回転させることができる。このように、モータ112は、転頭プレート114とステータ116との第1ギア比と、転頭プレート114と出力プレート118との第2ギア比とによって決まるトルクで、出力プレート118を回転させることができる。
【0051】
図4及び図5に示した実施形態において、入力モータ112は、回転軸120に垂直な実質的に平坦な面136を有する電気モータであり、当該平坦面に連結された第1カートリッジベアリング138及び第2カートリッジベアリング140を含んでいる。ベアリング138及び140は、図4に最もよく表れている。第1ベアリングは、回転軸120周りに測定した場合に、第2ベアリングから89度角度離間しうる。ベアリングは、平坦面136の半径方向縁部に隣接する位置に連結することができる。
【0052】
ベアリング138、140は平坦面136から延出し、ベアリング138又はベアリング140のいずれかが転頭プレートの後面124に接触するように設けられている。この接触点は、回転軸周りに測定した場合に、モータと転頭プレートとの最接近点から45度角度離間した点に位置しうる。ベアリングは、転頭プレート114の後面124に転がり接触するように構成することができ、これにより、章動を生じさせるように転頭プレートと係合する。
【0053】
図示しない別の実施形態において、(2つの突起ではなく)1つの丸みを帯びた突起が、モータ112の平坦面136に形成されていてもよい。この丸みを帯びた突起は、回転軸周りに測定した場合に、最接近点から45度角度離間した点で転頭プレート114と接触しうる。他の実施形態では、必ずしも正確に89度ではなく、80度と100度との間の角度で離間する2つの突起を含んでいてもよい。さらに他の実施形態では、平坦面136から延出する3つ以上の突起を含んでいてもよい。
【0054】
丸みを帯びた突起の数にかかわらず、丸みを帯びた突起と転頭プレートの後面124との摩擦を低減するために、モータ112と転頭プレート114との間に潤滑剤を配置してもよい。また、突起は、任意の形状であってよいし、転頭プレート114に対する突起の低摩擦の転がり係合の実現に資する任意の機構を含んでいてもよい。
【0055】
図6に示すように、転頭プレート114は、後面124、前面126、及び、中心軸又は転頭軸122を有し、ディスク状に形成することができる。転頭プレート114は、転頭軸122が回転軸120に対して非ゼロ角度を成すように、位置合わせされる。後面124は、例えば回転軸に対して垂直であり、前面126は、後面に対して平行な平面を規定する。図4図5に示すように、後面124は、概ね入力モータ112側に向いており、前面126は、概ねモータと反対側に向いている。
【0056】
図4図5に戻り、複数の転頭歯130は、転頭プレート114の後面124と前面126との間の外周に沿って、転頭軸122に垂直な平面内に設けられる。転頭歯は、転頭プレートの外側円筒面158から、転頭軸から遠ざかる半径方向に延出する。転頭歯は、さらに、転頭歯ベース160から、転頭軸に沿う軸方向に延出しうる。転頭歯ベースは、例えば、転頭プレートに連結されるか、あるいはこれと一体形成される、略環状の部材である。複数の転頭歯は、円筒面158と転頭歯ベース160の両方から延出しうる。円筒面又は転頭歯ベースのいずれか又は両方に転頭歯を接続することによって、複数の転頭歯に、物理的支持又はある程度の剛性を与えることができる。転頭歯130の数は、任意に選択可能である。
【0057】
各転頭歯130は、第1係合面を有し、また、歯の反対側に第2係合面を有する。各係合面は、平面状であってもよいし、複数の平面で構成されていてもよいし、曲率を有する1つ以上の面で構成されていてもよい。転頭歯130の係合面のうちの一方又は両方は、以下に詳述するように、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定されうる。あるいは、当該曲線は、0ラジアンと2πラジアンの間のすべての角度における、歯の位置への仮想楕円の投影であってもよい。
【0058】
また、各転頭歯130は、係合部と支持基部とを含む。係合部は、第1係合面及び第2係合面を含む。支持基部は、係合部を転頭歯ベース160に接続する。
【0059】
複数の転頭歯130及びステータ歯132の各々において、第1係合面及び第2係合面の一方又は両方は、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定されうる。すなわち、第2係合面の曲線は、下記式2によって規定されうる。
【数2】
同式において、Cは、転頭プレートの半径に比例する定数であり、φは、0~π/2ラジアンの値をとり、Dは、1未満の正の定数である。Dの値は、例えば約0.65である。ただし、他の値も可能である。式2は、1に正規化してもよい。
【0060】
これに代えて、第2係合面の曲線は、下記の式3によって規定してもよい。
【数3】
同式において、Cは、転頭プレートの半径に比例する定数であり、φは、0~π/2ラジアンの値をとり、Dは、1未満の正の定数である。Dの値は、例えば約0.65である。ただし、他の値も可能である。
【0061】
上述の式3は、転頭プレートの半径に正規化してもよい。第2係合面の曲線は、0ラジアンと2πラジアンの間のすべての角度における、歯の位置への仮想楕円の投影であってもよい。第1係合面の曲線は、歯の頂点を通り且つ回転軸を含む平面を中心に反転させた、第2係合面の曲線の鏡像であってよい。また、第1係合面と第2係合面とは、各歯の頂点で滑らかに繋がっていてよい。よって、歯の断面形状は、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定される。
【0062】
図6に示すように、転頭プレート114の前面126は、環状の転頭面164を含む。当該転頭面は、図示の実施形態では、円錐台面である。すなわち、環状の転頭面164は、転頭軸122に垂直な平面に対して傾斜しており、環状の転頭面上のあらゆる点は、転頭軸上に位置する円錐台頂点に至るまで延長可能な円錐台線を含んでいる。環状の転頭面164の円錐台の頂点は、転頭プレート114の重心に一致する。他の実施形態において、転頭面は、これとは異なる形状を有していてもよい。
【0063】
複数又は一群の面歯128が、環状の転頭面164に配置されている。面歯128の数は、任意に選択可能であり、出力歯134の数より多くても、少なくても、同数でもよい。図示の実施形態においては、面歯128の数と出力歯134の数は同じである。各面歯は、2つの駆動面を含み、これら駆動面は、平面状であってもよいし、複数の平面で構成されていてもよいし、曲率を有する1つ以上の面で構成されていてもよい。
【0064】
再び図4図5を参照すると、ステータギア116は、ベース148を有し、このベースは、内側円筒面150及びステータ歯ベース152を含む。ベース148は、駆動装置110を使用する任意の装置の台部材にステータ116を機能的に連結するように構成された取り付けポイントを含んでいてもよい。ステータ116は、当該装置に対しては、静止している。ステータギアが規定するステータ軸154は、回転軸120と実質的に整列し、ひいては出力軸とも実質的に整列する。ステータは、転頭プレート114と出力プレート118との間に配置されている。
【0065】
ステータ116は、一部が内側円筒面150によって規定される内部空間156を有する。内部空間156は、以下に詳述するように、転頭プレート114の一部又は全体を収容するように構成されうる。
【0066】
ステータ歯132は、内側円筒面150及びステータ歯ベース152のうちのいずれか一方又は両方に設けられうる。ステータ歯は、回転軸に向かう半径方向に沿って、内側円筒面から内部空間156内に延出する。加えて、ステータ歯は、ステータ歯ベース152から、回転軸に沿う軸方向にも延出する。ステータ歯の数は、用途及び所望のギア比によって、任意に選択可能である。ステータ歯の数は、転頭歯130の数より多くても、少なくても、同数でもよい。
【0067】
複数のステータ歯の各々は、回転軸120に対して、近位端及び遠位端を有しうる。ステータ歯の遠位端は、内側円筒面150に接続されうる。各歯は、第1係合面を有し、また、歯の反対側の面には第2係合面を有する。各係合面は、平面状であってもよいし、複数の平面で構成されていてもよいし、曲率を有する1つ以上の面で構成されていてもよい。
【0068】
ステータ歯132の一方又は両方の係合面は、前述したように、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定されうる。あるいは、当該曲線は、0ラジアンと2πラジアンの間のすべての角度における、歯の位置への仮想楕円の投影であってもよい。
【0069】
複数のステータ歯132の各々は、係合部と支持基部とを含む。係合部は、第1係合面及び第2係合面を含む。支持基部は、係合部をステータ歯ベース152に接続する。
【0070】
図4図5に示すように、出力プレート118は、環状の出力面162に配置された複数の出力歯134を備える。また、出力プレート118は、回転軸120と実質的に整列する出力軸を有する。
【0071】
図5に最もよく表れているように、出力面162は、円錐台状である。すなわち、環状の出力面162は、回転軸120に垂直な平面に対して傾斜しており、環状の出力面上のあらゆる点は、出力プレート118より前方で回転軸上に位置する円錐台頂点に至るまで延長可能な円錐台線を含んでいる。上述の要素を組み付けて駆動装置110とすると、環状の出力面162の円錐台の頂点は、転頭プレート114の重心に一致する。他の実施形態において、出力面は、円筒形又は別の頂点を有する円錐台形などの、異なる形状を有していてもよい。
【0072】
出力歯134の数は、任意に選択可能であり、面歯128の数より多くても、少なくても、同数でもよい。各出力歯は、2つの従動面を含みうる。各従動面は、平面状であってもよいし、複数の平面で構成されていてもよいし、曲率を有する1つ以上の面で構成されていてもよい。
【0073】
図7図8は、駆動装置110の断面図であり、組み付けられた状態のモータ112、転頭プレート114、ステータギア116、及び出力プレート118を示している。モータと出力プレートとは、ステータ軸154に沿って整列する。すなわち、回転軸と、出力軸と、ステータ軸とが、実質的に整列する。転頭プレート及び転頭軸122は、ステータ軸に対して、任意の所望且つ適切な非ゼロ角度で配置されうる。転頭プレート114がステータ116及び出力プレート118の周囲に沿って章動する際、転頭プレートの重心は、実質的に固定状態になる。
【0074】
図8は、図7の断面の平面をステータ軸154周りに45度回転させた平面における断面図であり、各図における角度は、部品間の関係をより明確に示すために誇張されている。
【0075】
転頭プレート114は、ステータギア116と係合するように構成されている。より具体的には、転頭歯130が、ステータ歯132と係合するように構成されている。モータ112が第1方向に回転する場合、転頭歯の第1係合面が、ステータ歯の第1係合面と係合しうる。すなわち、複数のステータ歯の第1係合面と、複数の転頭歯の第1係合面との相互作用によって、ステータギアによって転頭プレートに接触力が付与されうる。これらの接触力によって、転頭プレートは、第1方向に回転するととともに、第1章動方向に章動する。
【0076】
一般的に、ステータギアはn個のステータ歯を有し、転頭プレートはm個の転頭歯を有し、nとmとは1以上異なる整数であり、典型的には1だけ異なる整数である。転頭プレートがステータギアの周囲に沿って章動する際、複数の転頭歯の各々は、1回の章動中に、複数のステータ歯のうちの1つと係合しうる。ステータ歯が転頭歯より1つ多い場合、転頭プレートは、一回の章動中にわずかだけ回転しうる。
【0077】
具体的には、転頭プレートは、転頭プレートが1回章動する間に、完全な1回転の1/mだけ回転しうる。換言すれば、転頭プレートが、おそらくはモータとの相互作用によって、完全な1回転の1/m回転すると、転頭プレートは1回の完全な章動を完了する。したがって、転頭プレートとステータギアとは、m:1のギア比に従って相互作用しうる。転頭プレートは、m回章動するごとに、正確に1回だけ回転しうる。したがって、本開示のシステムのギア比は、転頭プレートの歯数mと、ステータギアの歯数nとによって、決定することができる。
【0078】
転頭プレート及びステータギアは、両者の間に生じるあらゆる接触力が、回転軸に垂直な平面内に位置する円に対する接線方向に向くように構成されうる。接触力が向く方向は、例えば、転頭軸122に対して実質的に垂直であって、且つ、転頭歯130とステータ歯132との接触点から転頭軸122まで延びる径方向の線に対して実質的に垂直な方向である。
【0079】
転頭プレート114及びステータギア116は、実質的に円形であるが、各々の配向が異なるために、ステータ上への転頭プレートの投影が楕円形となる形状であってよい。複数の転頭歯130及び複数のステータ歯132は、この仮想楕円を歯の位置に投影することによって輪郭付けしてもよい。ステータ116に対する転頭プレート114の楕円投影は、これにより、非偏心回転となるように限定される。偏心運動を許容すると、大きな不均衡な力が生成され、システムの性能が容認できないものとなる場合がある。
【0080】
転頭プレート114は、面歯128と出力歯134との係合によって、出力プレート118とも係合するように構成されている。転頭プレートが第1回転方向に回転する際、面歯の第1駆動面が、出力歯の第1従動面と係合しうる。すなわち、複数の面歯の第1駆動面と、複数の出力歯の第1従動面との相互作用によって、転頭プレートによって出力プレートに接触力が付与されうる。これらの接触力は、出力プレートを、第1方向に回転させる。転頭プレートが第2方向に回転する際は、面歯の第2駆動面と出力歯の第2従動面との接触力が、出力プレートを、第2回転方向に回転させることができる。
【0081】
例示的な転頭プレート駆動装置110においては、出力プレートと転頭プレートとは、同じ数の歯を有している。すなわち、出力歯の数が、面歯の数に等しい。したがって、図示の実施形態では、出力プレートと転頭プレートとは、1:1のギア比に従って、相互作用及び回転する。すなわち、転頭プレートが完全に一回転するたびに、出力プレートも、正確に、完全に一回転する。出力歯及び面歯の数については、他の選択も可能であり、その場合は、出力ギア比も他の値になる。
【0082】
転頭プレート114及び出力プレート118は、両者の間に生じるあらゆる接触力が、回転軸に垂直な平面内に位置する円に対する接線方向に向くように構成されうる。例えば、接触力が向く方向は、転頭軸122に対して実質的に垂直であって、且つ、面歯128と出力歯134の接触点から転頭軸122まで延びる径方向の線に対して実質的に垂直な方向である。
【0083】
転頭プレート及び出力プレートの間の接触力がこのような方向を向くように両プレートを構成することによって、偏心力を回避することができる。偏心力は、複数の面歯を複数の出力歯から係合離脱させたり、転頭プレートの重心をぐらつかせたりすることで、駆動システムに望ましくない振動を生じさせる虞れがある。
【0084】
転頭プレート114は、回転軸120に平行な方向に測定した場合に、出力プレート118から最も遠い位置又は点である0度位置又は0度点142を転頭プレート上に有しうる。転頭プレート114は、図7に示した0度位置において、モータ112に最も接近している。転頭プレート114は、当該転頭プレートを0度位置から第1章動方向に1/4周した位置である90度位置又は90度点を有しうる。例えば、出力プレートの近傍における、転頭プレートの上方の視点から見て、当該90度位置は、転頭プレートの周囲を反時計回りに90度進んだ点である。転頭プレートの周囲に沿ってさらに進んでいくと、転頭プレートの0度位置142の反対側に180度位置又は180度点144がある。180度位置は、転頭プレートが出力プレート及びステータギアに最も接近し、且つ、モータから最も距離が遠い点を取りうる。270度位置又は270度点は、転頭プレートの90度位置の反対側にある。
【0085】
モータ112は、図7に示すように、0度点142が、所与の瞬間に、モータにおけるベアリング138、140(図示せず)の間の平坦面136に接触するように配置されうる。これと同じ瞬間に、図8に示すように、ベアリング138及び140のうちの一方だけが、転頭プレート114の後面124の点146に接触しうる。モータは、ステータ軸154を中心としてベアリングを回転させ、これにより、転頭軸122がステータ軸を中心として歳差運動するように、転頭プレート114をステータギア116の周囲に沿って章動させる。したがって、ベアリングと転頭プレート114との間の接触点146は、180度点144よりも前方に進みうる。
【0086】
モータが第1方向に回転する場合、ベアリング138は、0度位置142と270度位置との間の点において転頭プレートの後面124に接触し、転頭プレートとの係合により転頭プレートを第1方向に章動させうる。図8は、そのような場合のベアリング138を示している。モータが第2方向に回転する場合は、ベアリング140は、0度位置142と90度位置との間の点において転頭プレートの後面124に接触し、転頭プレートとの係合により転頭プレートを第2方向に章動させうる。
【0087】
駆動装置110の使用中は、転頭プレート114は、通常、章動し、且つ、回転することになる。転頭プレートは、ステータギア116、モータ112、及び/又は、出力プレート118の周囲に沿って章動するように構成することができる。転頭プレートが第1章動方向に章動する場合、転頭プレートの0度位置は、その時点での90度位置に向かって移動し、したがって、1回の完全な章動の1/4だけ章動した後には、90度位置は0度位置に、180度位置は90度位置になっているなどの状態になる。また、転頭プレートは、章動と同じ速度で回転しなくてもよい。すなわち、転頭プレートが1回の完全な章動を完了する際には、0度位置は、転頭プレートの全周上を移動しうる。この同じ時間中に、転頭プレートは、1回の完全な回転よりも少なく回転しうる。回転速度は、章動速度によって、また、転頭歯130とステータギア116とのギア比によって決定されうる。
【0088】
転頭歯130は、転頭プレートが章動する際のあらゆる瞬間において、ステータギアの1/4周分のステータ歯132と係合しうる。この係合は、第1係合面同士が互いに転動し合う転がり接触の形態でありうる。この転がり接触は、ギア歯の対向する面と面とが滑り接触によって係合する多くの標準的なギア係合とは対照的である。一般的に、同じ2つの面について比べると仮定すると、転がり接触の方が、滑り接触よりも2つの面間の摩擦がはるかに少ない。
【0089】
転頭歯130は、第1章動方向にする際には、0度位置と270度位置との間でのみ、ステータ歯132と接触しうる。この接触は、複数の転頭歯と複数のステータ歯のそれぞれの一部同士の転がり接触に限定されうる。したがって、転頭プレートは、滑り接触の場合よりも少ない摩擦で、ステータの周囲に沿って章動することができる。このような構成によって、章動運動又は章動エネルギーを、回転運動又は回転エネルギーに効率的に変換することができる。
【0090】
同様に、面歯128は、転頭プレートが章動する際のあらゆる瞬間において、出力プレートの1/4周分の出力歯134と係合しうる。転頭プレートが第1方向に章動する際には、面歯と出力歯とは、180度位置144と90度位置との間で係合しうる。この係合によって、転頭プレート114は、出力プレート118を転頭プレートと同じ方向に回転させることができる。図示の実施形態において、面歯128と出力歯134とのギア比が1の場合、出力プレート118も、転頭プレート114と同じ速度で回転しうる。したがって、より高いトルクでモータ112の回転を出力プレート118に伝達することができる。
【0091】
<実施例3>
図9は、他の実施形態による自動調心式仮想楕円駆動装置を包括的に符号210で示し、そのモータ212及び転頭プレート214を示す図である。図9の実施形態は、実施例2に記載の転頭プレート駆動装置110に類似するので、駆動装置110の様々な特徴及び効果についての記載を駆動装置210についてそのまますべて繰り返すことはしない。同様の部品については、元の符号を200代に増やした符号で示す。
【0092】
転頭プレート214は、転頭軸222、実質的に平坦な後面、複数の面歯を備える前面、及び、転頭プレートの平坦面と前面との間で外周に沿って設けられた複数の転頭歯を含む。面歯及び転頭歯は、図9には示していないが、例えば図6に示したものと同様である。転頭プレート駆動装置は、さらに、出力歯を備える出力プレートと、ステータ歯を備えるステータと、を含む。これらは、図には示していないが、例えば実施例2(図4図5を参照)において既に記載した通りである。
【0093】
モータ212は、モータ軸220を有する。転頭プレートは、モータの周囲に沿って章動するように構成されており、その際に、転頭軸がモータ軸を中心として歳差運動を行う。つまり、転頭プレート214は、モータに対する移動最接近点(mobile point of closest approach)242を有する。移動最接近点242は、モータ軸220を中心として、矢印243で示す衝動方向に移動する。
【0094】
例示的な駆動装置210において、モータ212の周囲に沿った転頭プレート214の章動は、転頭プレートに印加された電磁力により駆動される。この力はモータで生成され、移動最接近点242から章動方向243に前方の位置で転頭プレートに印加される。
【0095】
図9の矢印245で示す力は、移動最接近点242から90度前方の先行位置(leading point)246で転頭プレート214に印加される。力245は、引力であって、モータ212に向かう力、又は、モータ軸220と平行な方向に沿った力である。転頭プレートが章動し、0度位置242と先行位置246の両方が転頭プレートの周囲に沿って移動するのに伴って、力245も転頭プレートの周囲に沿って移動する。よって、力245は、常に転頭プレートの先行位置246近傍に印加される。すなわち、印加された力245は、章動方向243において移動最接近点に先行すると言える。移動最接近点に先行する位置で転頭プレートに力が印加されることによって、転頭プレートが章動する。
【0096】
力245は、モータ212によって形成された電磁場に転頭プレート214の材料が反応した結果、発生する。モータは、永久磁石及び一組の電磁コイルを含む。永久磁石及び一組の電磁コイルは、協働して、モータと転頭プレートとの間に磁場を形成するよう構成されている。すなわち、磁場は、モータ212と転頭プレート214の間隙266に形成される。転頭プレートは、磁場に反応するように構成された磁気感応性材料で形成される。磁気感応性材料は、磁場の存在下において、それ自体が磁化される。転頭プレートは、力245等の力を受け、これに反応する。
【0097】
転頭プレートに印加される力は、転頭プレートとモータとの間の磁場の磁束密度に比例しうる。移動最接近点242に先行する移動位置に印加力を作用させるため、永久磁石及び一組の電磁コイルは、章動方向243において、移動最接近点よりも前方の移動位置で磁束密度が最も高くなる磁場を形成するように構成されている。電磁コイルは、転頭プレートの章動中、磁場の磁束密度が最も高い位置が常に移動最接近点に先行するように構成されている。
【0098】
図10は、モータ212を線図で示す分解等角投影図である。モータは、永久磁石268、モータコア270、一組の感応性磁極片272、及び、一組の電磁コイル274を含む。モータ212のコンポーネントの相対的な配置及び配向は、モータ軸を基準として規定することができる。「軸方向」なる用語は、モータ軸220に平行な直線方向を指す。「径方向」なる用語は、モータ軸220に垂直な直線方向を指す。「周方向」なる用語は、モータ軸を中心とする角度方向を指し、モータ軸に沿う方向や軸から離れる方向ではない。
【0099】
永久磁石268は、任意の好適な形状を有するとともに、任意の好適な磁場を形成するように構成することができる。図示の例では、永久磁石は、モータ軸220を対称軸とする円筒状であり、モータ軸に沿って永久磁石を貫通する経路276を有する。永久磁石268は、任意の好適な強磁性材料で構成することができる。永久磁石268は、モータ軸220に沿って実質的に整列したN極及びS極を有する。永久磁石によって形成される磁場を、一次磁場と呼ぶ場合がある。
【0100】
モータコア270は、永久磁石268の下方に配置される。モータコア270は、磁場に置かれると磁気モーメントを得ることができる磁気感応性材料で形成することができる。例えば、モータコア270は、電磁鋼又は鉄によって形成することができる。モータコア270は、任意の適当な形状を有しうる。図示の例では、モータコアは、円筒形であって、モータ軸220を対称軸とするとともに、永久磁石268の半径に一致する半径を有する。モータコアは、永久磁石を通る経路276に整列する経路278を含む。
【0101】
モータ212は、永久磁石268とモータコア270の間に配置された水平スペーサ280を含む。水平スペーサ280は、永久磁石からモータコアに伝達される磁場を制限し、モータ212によって形成される磁場の大きさの調整を補助する。
【0102】
一組の感応性磁極片272は、モータコア270の周方向に沿って配置されている。磁極片272は、モータ212内の磁場を、モータの1つのコンポーネントから別のコンポーネントに導くことができる。磁極片は、電磁鋼などの任意の適当な磁気感応性材料で形成することができる。また、磁極片は、任意の好適な数だけ設けることができる。例えば、図10に示した実施形態は、12個の磁極片を含む。また、磁極片は、任意の好適な形状を有することができる。例えば、図10に示した12個の磁極片は、くさび形であり、磁極片の代わりにくさび片と称する場合もある。磁極片272は、一組の垂直スペーサ282によって互いに離隔されている。垂直スペーサは、間に位置する磁極片の磁場の隔離を助ける。
【0103】
一組の磁感応性磁極片272は、合わせて1つの上面領域284を有している。磁極片は、その上面領域の大きさが永久磁石268の上面領域の所定倍になるように構成されている。いくつかの実施形態において、磁極片の上面領域284は、永久磁石の上面領域の3倍である。
【0104】
一組の電磁コイル274は、モータコア270と感応性磁極片272との間で、モータコアの周方向に沿って配置されている。一組の電磁コイルは、第1組の電磁コイル及び第2組の電磁コイルを含む。図示の例では、第1組の電磁コイルは、3個の内側電磁コイル286を含み、第2組の電磁コイルは、3個の外側電磁コイル288を含む。3個の外側電磁コイル288は、例えば、内側電磁コイル286と一組の感応性磁極片272との間に配置されている。第1組及び第2組の電磁コイルは、任意の適当な数のコイルを含むことができ、例えば、2個、3個、及び、4個以上を含むことができる。第1組の電磁コイルの数と第2組の電磁コイルの数は、同じでなくてもよい。
【0105】
第1組の電磁コイル286の各々は、第2組の電磁コイル288のうち隣接する一対の電磁コイルの各々と、周方向に重なっている。また、第2組の電磁コイル288の各々は、第1組の電磁コイル286のうち隣接する一対の電磁コイルの各々と周方向に重なっている。一組の電磁コイル274の各々は、モータ軸220に垂直に配向されたコイル軸290を有する。各電磁コイルは、コイル軸290を中心とした複数の閉ループを形成する1つ以上の導体を含む。一組の電磁コイルの各々に電流が流れると、各コイルは、コイル軸に実質的に平行な配向の磁場をコイル内に形成する。
【0106】
内側電磁コイル286と外側電磁コイル288とが上述のように周方向に重なる場合、電磁コイルのうちの1つによって形成される磁力線が、別の電磁コイルによって形成された1つ以上の閉ループを通る。内側電磁コイル286のうちの1つによって形成された磁場の一部は、隣接する一対の外側電磁コイル288の各々を通過しうる。隣接する一対の外側電磁コイルの間に角度間隙(angular gap)292が存在する場合は、内側電磁コイルによって形成された磁場の一部は、隣接する一対の外側電磁コイルのいずれも通過しないことがありうる。
【0107】
例えば、外側電磁コイル288のうちの1つによって形成された磁場の一部は、隣接する一対の内側電磁コイル286の各々を通過しうる。隣接する一対の内側電磁コイルの間に角度間隙294が存在する場合は、外側電磁コイルによって形成された磁場の一部は、隣接する一対の内側電磁コイルのいずれも通過しないことがありうる。
【0108】
モータ212は、永久磁石及び一組の感応性磁極片272の上方に配置された上側部材296を含む。上側部材は、磁極片の上面領域及び永久磁石の上面領域を覆っている。上側部材は、永久磁石を通る経路276に実質的に整列する経路298を有する。上側部材296は、電磁鋼のような磁気感応性材料など、任意の適当な材料によって形成することができる。
【0109】
モータによって形成された磁場は、軸方向に沿って上側部材に入って、上側部材から出る。転頭プレート214は、当該転頭プレートの実質的に平坦な後面が上側部材296の近傍に位置するように、モータと転頭プレートとの間に間隙を空けて配置される。磁力線は、上側部材を実質的に軸方向に通ってモータから出ると、モータと転頭プレートとの間隙を超えて転頭プレートを通過し、再び転頭プレートとモータとの間隙を超え、上側部材を実質的に軸方向に通ってモータに入る。
【0110】
モータ212が転頭プレートを章動させると、転頭プレート214の転頭歯とステータのステータ歯とが係合して、転頭プレートを回転させる。転頭プレート214の面歯と出力プレートの出力歯とが係合して、転頭プレートと同じ方向に出力プレートを回転させる。このようにして、モータ212の電磁エネルギーを出力プレートの回転に変換することができる。
【0111】
<操作/使用の方法>
図11は、自動調心式仮想楕円駆動装置の操作方法を、包括的に符号300で示す。ステップ302において、方法300は、入力歯を有する入力プレートを用意し、転頭歯及び面歯を有する転頭プレートを用意し、ステータ歯を有するステータギアを用意することを含む。この入力プレート、転頭プレート及びステータギアは、例えば、図1に示し、且つ、実施例1に記載したように製造及び組み付けが行われうる。あるいは、本開示に合致する任意の他の適当な態様及び構成で、製造及び組み付けを行うこともできる。
【0112】
ステップ304において、方法300は、入力プレートを回転軸周りに回転させることを含む。ステップ306において、方法300は、入力歯を面歯と係合させ、これにより転頭プレートを回転させることを含む。入力歯及び面歯は、互いに相補的な2つの円錐を規定する円錐台面に設けることができ、これにより、歯と歯が係合すると、相補的な円錐が整列状態に戻るような構成にすることができる。ステップ308において、方法300は、転頭歯をステータ歯と係合させ、これにより転頭プレートを章動させることを含む。転頭歯及びステータ歯はくさび形に形成し、これらの歯が2つの相補的な円錐を規定するように形成してもよい。これにより、歯と歯が係合すると、相補的な円錐が整列状態に戻るように構成することができる。
【0113】
転頭プレートをステータギアに対して拘束するために、入力プレートはステータから所定の距離だけ離間して配置することができ、これにより、転頭角を一定に維持して、転頭プレートにおけるどの部分もステータギアから所定の距離を超えないようにすることができる。
【0114】
いくつかの実施形態において、本方法は、転頭プレートを章動させることによって回転エネルギーを放散させることを含みうる。他の実施形態において、本方法は、さらに、入力プレートの回転を停止させること、次いで、転頭プレートを章動及び回転させる慣性エネルギーによる入力プレートの回転を許容すること、を含みうる。
【0115】
図12では、自動調心式仮想楕円駆動装置の操作方法を、包括的に符号400で示す。ステップ402において、方法400は、例えば、実質的に平坦な面に設けられた少なくとも1つの丸みを帯びた突起を有するとともに、回転軸を規定するモータを用意し、転頭歯及び面歯を有する転頭プレートを用意し、ステータ歯を有するステータギアを用意し、出力歯を有する出力プレートを用意することを含む。このモータ、転頭プレート、ステータギア及び出力プレートは、例えば、図4図8に示し、且つ、実施例2に記載したように製造及び組み付けが行われうる。あるいは、本開示に合致する任意の他の適当な態様及び構成で、製造及び組み付けを行うこともできる。
【0116】
ステップ404において、方法400は、モータを励起させ、回転軸周りに回転させることを含む。ステップ406において、方法400は、モータを転頭プレートに係合させることを含む。この係合は、モータが有する丸みを帯びた突起の1つ以上を、転頭プレートが有する実質的に平坦な面と係合させ、これにより転頭プレートを章動させることを含みうる。ステップ408において、方法400は、転頭歯をステータ歯と係合させ、これにより転頭プレートを回転させることを含む。ステップ410において、方法400は、転頭プレートの面歯を出力プレートの出力歯と係合させ、これにより出力プレートを回転させることを含む。
【0117】
出力歯及び面歯は、互いに相補的な2つの円錐を規定する円錐台面に設けることができ、これにより、歯と歯が係合すると、相補的な円錐が整列状態に戻るような構成にすることができる。転頭歯及びステータ歯はくさび形に形成し、これらの歯が2つの相補的な円錐を規定するように形成してもよい。これにより、歯と歯が係合すると、相補的な円錐が整列状態に戻るように構成することができる。
【0118】
本方法は、さらに、モータの回転を停止して、出力プレートを停止させることを含みうる。本方法は、さらに、モータを励起させて回転軸周りの第2回転方向に回転させ、これにより出力プレートを第2方向に回転させることを含みうる。
【0119】
方法400は、実施例3に記載の構成に合致する自動調心式仮想楕円駆動装置の操作にも利用することができる。例えば、方法400は、ステップ402において、永久磁石と、中心軸を規定する一組の電磁コイルと、を有するモータを用意することと、磁気感応性材料によって形成されており、転頭歯及び面歯を有する転頭プレートを用意することと、ステータ歯を有するステータギアを用意することと、出力歯を有する出力プレートを用意することと、を含みうる。このモータ、転頭プレート、ステータギア及び出力プレートは、例えば、実施例3について上述したように製造及び組み付けが行われうる。あるいは、本開示に合致する任意の他の適当な態様及び構成で、製造及び組み付けを行うこともできる。
【0120】
磁力を利用して方法400を実行すると、ステップ404において、方法400は、モータを励起させて、モータと転頭プレートとの間に、磁束密度が最も高くなる位置が移動する磁場を形成することを含みうる。この場合の方法400は、ステップ406において、転頭プレートの磁気感応性材料をモータの磁場で磁化させて、モータを転頭プレートに係合させ、これにより転頭プレートに力を印加することを含む。この力は、磁束密度が最も高い移動位置に印加され、この位置は、転頭プレートとモータとの間の移動最接近点に先行して移動し、これにより転頭プレートを章動させることができる。
【0121】
ステップ408において、方法400は、転頭歯をステータ歯と係合させ、これにより転頭プレートを回転させることを含む。ステップ410において、方法400は、転頭プレートの面歯を出力プレートの出力歯と係合させ、これにより出力プレートを回転させることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、さらに、モータの回転を停止して、出力プレートを停止させることを含みうる。磁力を利用して実行する場合、本方法は、さらに、モータを励起させて、磁束密度が最も高くなる位置を逆方向に移動させ、これにより出力プレートを第2方向に回転させることを含みうる。
【0122】
本開示による使用方法は、前述した機械式の自動調心駆動装置の実施形態のいずれかと組み合わせて採用することができる。方法300及び方法400の様々なステップを説明し、また、図11図12に示したが、これらのステップは、そのすべてを実行する必要はなく、いくつかのケースでは、ここに示したのとは異なる順序で実行することもでき、また、いくつかのケースでは、同時に実行することもできる。
【0123】
さらに、本開示は、以下の付記による実施形態を包含する。
【0124】
付記1.中心軸であるステータ軸、及び、内側円筒面に配置された複数のステータ歯を有するステータギアと;前記ステータ軸に対して非ゼロの転頭角で配置された転頭軸、前記転頭軸に垂直な係合面、前記係合面に設けられた複数の面歯、及び、複数の転頭歯を有する転頭プレートであって、前記複数の転頭歯は、前記転頭プレートの外周に沿って設けられているとともに、前記ステータ歯と係合するよう構成されている転頭プレートと;前記ステータ軸と実質的に整列するとともに、前記面歯と係合するよう構成された複数の出力歯を有する出力プレートと;を含み、複数組ある前記複数の歯のうちの少なくとも二組は、自動調心する態様で互いに係合するよう構成されており、これにより、前記転頭プレートが前記ステータギアの周囲に沿って章動する際に、前記転頭角が一定に維持される、転頭プレート駆動装置。
【0125】
付記2.前記転頭歯のうちの少なくとも1つは、くさび形であり、当該少なくとも1つの転頭歯の表面は、前記転頭プレートの重心を通過するように延長可能な第1線を規定し;前記ステータ歯のうちの少なくとも1つは、くさび形であり、当該少なくとも1つのステータ歯の表面は、前記転頭プレートの重心を通過するように延長可能な第2線を規定する、付記1に記載の転頭プレート駆動装置。
【0126】
付記3.前記面歯は、前記転頭プレートの円錐台面に設けられており、前記転頭プレートの重心は、前記転頭プレートの前記円錐台面の頂点と一致し;前記出力歯は、前記出力プレートの円錐台面に設けられており、前記転頭プレートの重心は、前記出力プレートの前記円錐台面の頂点と一致する、付記1に記載の転頭プレート駆動装置。
【0127】
付記4.前記転頭プレートは、章動中に前記転頭プレートのどの部分も前記ステータギアから所定の距離を超えないように拘束されている、付記1に記載の転頭プレート駆動装置。
【0128】
付記5.前記転頭歯と前記面歯とは、前記転頭軸に平行な反対方向に延出し、前記転頭プレートは、前記ステータギアと前記出力プレートの間に配置されている、付記1に記載の転頭プレート駆動装置。
【0129】
付記6.前記転頭歯と前記面歯とは、前記転頭軸に平行な同一方向に延出し、前記ステータギアは、前記転頭プレートと前記出力プレートの間に配置されている、付記1に記載の転頭プレート駆動装置。
【0130】
付記7.前記転頭プレートを前記ステータギアの周囲に沿って章動させるよう構成されたモータをさらに含み、前記転頭プレートが前記ステータギアの周囲に沿って章動すると、前記転頭プレートが回転し、前記転頭プレートが回転すると、前記出力プレートが回転する、付記6に記載の転頭プレート駆動装置。
【0131】
付記8.前記モータは電気モータであって、実質的に平坦な面、及び、前記実質的に平坦な面から延出する少なくとも1つの丸みを帯びた突起を有し;前記転頭プレートは、前記係合面とは反対側に実質的に平坦な面を有し;前記少なくとも1つの丸みを帯びた突起は、前記転頭プレートの前記実質的に平坦な面と係合するよう構成されている、付記7に記載の転頭プレート駆動装置。
【0132】
付記9.前記モータは、永久磁石及び一組の電磁コイルを含み;前記転頭プレートは、磁気感応性材料から成り;前記永久磁石及び前記一組の電磁コイルは、協働して、前記モータと前記転頭プレートの間に、最も高い磁束密度の位置が移動する磁場を形成するよう構成されている、付記7に記載の転頭プレート駆動装置。
【0133】
付記10.中心軸であるステータ軸、及び、内側円筒面に配置された複数のステータ歯を有するステータギアと;前記ステータ軸に対して非ゼロの転頭角で配置された転頭軸、前記転頭軸に垂直な係合面、前記係合面に設けられた複数の面歯、及び、複数の転頭歯を有する転頭プレートであって、前記複数の転頭歯は、前記転頭プレートの外周に沿って、前記係合面と前記転頭軸の両方に対して垂直な平面内に設けられている転頭プレートと;前記ステータ軸に実質的に整列するとともに、前記面歯と係合するよう構成された複数の出力歯を有する出力プレートと;前記ステータ歯を前記転頭歯に自動調心係合させ、これにより、前記転頭プレートが前記ステータギアの周囲に沿って章動する際に、前記転頭角を一定に維持する手段と;を含む、転頭プレート駆動装置。
【0134】
付記11.前記転頭歯のうちの少なくとも1つは、くさび形であり、当該少なくとも1つの転頭歯の表面は、前記転頭プレートの重心を通過するように延長可能な第1線を規定し;前記ステータ歯のうちの少なくとも1つは、くさび形であり、当該少なくとも1つのステータ歯の表面は、前記転頭プレートの重心を通過するように延長可能な第2線を規定する、付記10に記載の転頭プレート駆動装置。
【0135】
付記12.前記面歯は、前記転頭プレートの円錐台面に設けられており、前記転頭プレートの重心は、前記転頭プレートの前記円錐台面の頂点と一致し;前記出力歯は、前記出力プレートの円錐台面に設けられており、前記転頭プレートの重心は、前記出力プレートの前記円錐台面の頂点と一致する、付記10に記載の転頭プレート駆動装置。
【0136】
付記13.前記転頭プレートは、章動中に前記転頭プレートのどの部分も前記ステータギアから所定の距離を超えないように拘束されている、付記10に記載の転頭プレート駆動装置。
【0137】
付記14.前記転頭歯と前記面歯とは、前記転頭軸に平行な反対方向に延出し、前記転頭プレートは、前記ステータギアと前記出力プレートの間に配置されている、付記10に記載の転頭プレート駆動装置。
【0138】
付記15.前記転頭歯と前記面歯とは、前記転頭軸に平行な同一方向に延出し、前記ステータギアは、前記転頭プレートと前記出力プレートの間に配置されている、付記10に記載の転頭プレート駆動装置。
【0139】
付記16.ステータギア、転頭プレート及び出力プレートを用意することと;自動調心する態様で、前記ステータギアの複数のステータ歯を前記転頭プレートの複数の転頭歯に係合させることと;自動調心する態様で、前記転頭プレートの複数の面歯を前記出力プレートの複数の出力歯に係合させることと;前記転頭プレートを前記ステータギアの周囲に沿って章動させることと;を含む、転頭プレート駆動装置の操作方法。
【0140】
付記17.前記転頭プレートを章動させることは、実質的に平坦な面、及び、当該実質的に平坦な面から延出する少なくとも1つの丸みを帯びた突起を有するモータを励起させて、当該モータを回転軸周りに回転させることと;前記少なくとも1つの丸みを帯びた突起を、前記転頭プレートにおける実質的に平坦な面と係合させ、これにより前記転頭プレートを章動させることと、を含む、付記16に記載の方法。
【0141】
付記18.前記転頭プレートを章動させることは、永久磁石及び一組の電磁コイルを有するモータを励起させて、当該モータと前記転頭プレートの間に、最も高い磁束密度の位置が移動する磁場を形成し、これにより、前記転頭プレートを章動させることを含む、付記16に記載の方法。
【0142】
付記19.前記転頭プレートを章動させることは、前記出力プレートを回転させることを含み;前記面歯が前記出力歯に係合した状態で前記出力プレートを回転させると、前記転頭プレートが回転し;前記ステータ歯が前記転頭歯に係合した状態で前記転頭プレートを回転させると、前記転頭プレートが章動する、付記16に記載の方法。
【0143】
付記20.前記転頭プレートのどの部分も章動中に前記ステータギアから所定の距離を超えないように、前記転頭プレートを拘束することをさらに含む、付記16に記載の方法。
【0144】
<効果、特徴、利点>
本明細書に記載した自動調心式転頭プレート駆動装置の様々な実施形態は、小型でコスト効率のよい転頭プレート駆動装置の設計に関して、既知の技術に優るいくつかの効果を有する。例えば、本明細書に記載の自動調心式転頭プレート駆動装置の例示的な実施形態によれば、支持シャフトあるいは枢支軸を備えない駆動装置が可能になる。また、特に注目される利点として、本明細書に記載の自動調心転頭プレートの例示的な実施形態によれば、振動、摩擦による熱、及び、ギア歯の食い込みが低減される。既知のシステムや装置で、特にこのような小型なもので、これらの機能を実現できるものはなない。ただし、本明細書に記載したすべての実施形態が、同じ効果又は同程度の効果をもたらすとは限らない。
【0145】
<結び>
上述の開示は、独自の有用性を有する複数の別個の発明を包含しうる。これらの発明の各々を好ましい形態で開示しているが、本明細書に開示及び図示されたこれらの具体的な実施形態は、限定的な意味でとらえられるべきではなく、多くの変形が可能である。本開示においてセクションごとの見出しが用いられている場合、そのような見出しは、単に体系化のみを目的としたものであり、特許を受けようとする発明の特徴部分を構成するものではない。本発明の要旨は、本明細書に開示された様々な要素、特徴、機能及び/又は特性の、すべての新規且つ非自明の組み合わせ及びサブコンビネーションを含む。以下の特許請求の範囲は、新規且つ非自明とみなされる、いくつかの組み合わせ及びサブコンビネーションを特に示している。特徴、機能、要素及び/又は特性を、その他の組み合わせ及びサブコンビネーションで実施する発明についても、本願又は関連出願に基づく優先権を主張する出願の特許請求の範囲に含むことができる。そのような特許請求の範囲は、異なる発明を対象としたもの、同じ発明を対象としたもの、元の特許請求の範囲よりも広いもの、狭いもの、均等のもの、又は異なるもの、のいずれであろうとも、本開示の発明の要旨に含まれるものとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12