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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】超合金を溶接する方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/23 20060101AFI20220822BHJP
   B23K 9/16 20060101ALI20220822BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20220822BHJP
   B23K 35/30 20060101ALN20220822BHJP
   C22C 19/05 20060101ALN20220822BHJP
   C22C 19/07 20060101ALN20220822BHJP
【FI】
B23K9/23 G
B23K9/16 J
B23K31/00 A
B23K31/00 B
B23K35/30 310D
B23K35/30 310Z
C22C19/05 B
C22C19/07 G
B23K35/30 320Q
B23K35/30 330K
C22C19/05 C
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018109923
(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公開番号】P2019025545
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】15/622,605
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】セム・ムラト・エミノグル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・チュイ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ジェームス・ドリーティ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・リー・トリソン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エー・クック
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-156559(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0126664(US,A1)
【文献】特開平04-309452(JP,A)
【文献】特開2011-041982(JP,A)
【文献】特開2007-283405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/23
B23K 9/16
B23K 31/00
B23K 35/30
C22C 19/05
C22C 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超合金構成部品(10)を溶接する方法(100)であって、
(a)不活性雰囲気中で溶加材金属(14)を使用して前記構成部品にある凹部(12)を溶接するステップ(110)と、
(b)前記不活性雰囲気中で前記溶加材金属と前記構成部品の一部分とを溶接溶加材層(18)で被覆するステップ(120)であって、前記溶接溶加材層が、前記構成部品を構成する材料および前記溶加材金属を構成する材料よりも延性が大きい、ステップ(120)と、
(c)前記溶接溶加材層をろう付け材(20)で被覆するステップ(130)、およびろう付け作業を実施するステップと、
(d)前記構成部品を熱処理するステップ(140)と
を順番に含む方法(100)。
【請求項2】
前記超合金構成部品(10)が高ガンマプライム超合金よりなる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記高ガンマプライム超合金が、
B-1900、GTD-111、Inconel100、Inconel713、Inconel738、Inconel792、Inconel939、Mar-M-246、Mar-M-509、Rene77、Rene108、Rene125、またはU-500、CM247、MarM247
のうちの少なくとも1つを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記溶加材金属(14)が、
GTD-262、GTD-111、R-108LC、R-108、MarM247、IN738、GTD-222
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記不活性雰囲気が、
アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス、または二酸化炭素ガス
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記溶接溶加材層(18)が、
ニッケル、H-230、Inconel600、Inconel617、Inconel625、またはYanalloy
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ろう付け材(20)が、
D15、DF-4B、Amdry788、MM509B、Amdry775、高融点/低融点のろう付け合金の混合物、50%Ni/50%D15、60%IN625/40%Amdry788、50%MarM247/50%DF-4B
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記熱処理ステップ(140)が、
熱間等方加圧熱処理
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記熱間等方加圧熱処理が、前記ろう付け作業で使用されたろう付け温度より低い温度で実施される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記熱処理ステップ(140)が、
前記熱間等方加圧熱処理ステップの後に実施される溶体化熱処理ステップ
をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項11】
高ガンマプライム超合金構成部品(10)を溶接する方法(100)であって、
(a)アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス、または二酸化炭素ガスのうちの少なくとも1つを含む不活性雰囲気中で溶加材金属(14)を使用して前記構成部品にある凹部(12)を溶接するステップ(110)と、
(b)前記不活性雰囲気中で前記溶加材金属と前記構成部品の一部分とを溶接溶加材層(18)で被覆するステップ(120)であって、前記溶接溶加材層が、前記構成部品を構成する材料および前記溶加材金属を構成する材料よりも延性が大きい、ステップ(120)と、
(c)前記溶接溶加材層をろう付け材(20)で被覆するステップ(130)、およびろう付け作業を実施するステップと、
(d)熱間等方加圧熱処理で前記構成部品を熱処理するステップ(140)と、次いで、これに続いて、溶体化熱処理を実施するステップと
を順番に含む方法(100)。
【請求項12】
前記高ガンマプライム超合金が、B-1900、GTD-111、Inconel100、Inconel713、Inconel738、Inconel792、Inconel939、Mar-M-246、Mar-M-509、Rene77、Rene108、Rene125、またはU-500、CM247、MarM247のうちの少なくとも1つを含むことと、
前記溶加材金属(14)が、GTD-262、GTD-111、R-108LC、R-108、MarM247、IN738、GTD-222のうちの1つを含むことと、
前記溶接溶加材層(18)が、ニッケル、H-230、Inconel600、Inconel617、Inconel625、またはYanalloyのうちの少なくとも1つを含むことと、
前記ろう付け材(20)が、D15、DF-4B、Amdry788、MM509B、Amdry775、高融点/低融点のろう付け合金の混合物、50%Ni/50%D15、60%IN625/40%Amdry788、50%MarM247/50%DF-4Bのうちの少なくとも1つを含むことと
をさらに含む請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は一般に接合技術に関し、詳細には、高ガンマプライム超合金より作られた構成部品を接合するための溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Rene108は、先進的なガスタービンのブレード、ノズル、およびシュラウド用に望ましい選択材料となっている1つの超合金である。Rene108および他の高ガンマプライム超合金は、高温での優れた機械的性質および酸化性質を有する。しかしながら、Rene108および他の高ガンマプライム超合金は、溶接性が悪く、超合金の範疇の中では溶接が最も困難な材料のいくつかである。Rene108または他の高ガンマプライム超合金を従来の溶接手法のいずれかを用いて溶接すると、溶接金属および母材金属の熱影響部にかなりの亀裂が生じる。Rene108および他の高ガンマプライム超合金をレーザ溶接またはレーザハイブリッド溶接すると、溶接線に沿って望ましくない亀裂が生じる。一般に、レーザ溶接から生じる亀裂は溶接継手に対して垂直である。溶接線に沿う望ましくない亀裂は、容認できない溶接となる。
【0003】
従来、溶接部を覆うように延性材料を使用するために公知の方法が試されてきた。しかしながら、それでも溶接後に亀裂が生じた。他の方法では溶接部を覆うようにろう付け材が使用されたが、この場合もまた、亀裂が問題となった。母材金属または溶加材の避けられない亀裂は、決してうまく埋めることはできない。現在まで、Rene108などの高ガンマプライム超合金をうまく溶接するための適切な方法は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第20090297701号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様では、超合金構成部品を溶接する方法は、次のステップを順番に含む。不活性雰囲気中で溶加材金属を使用して凹部を溶接するための溶接ステップ。凹部は構成部品にある。不活性雰囲気中で溶加材金属と構成部品の一部分とを溶接溶加材層で被覆するための被覆ステップ。溶接溶加材層は、構成部品を構成する材料よりも延性が大きく、溶接溶加材層は、溶加材金属を構成する材料よりも延性が大きい。溶接溶加材層をろう付け材で被覆するための第2の被覆ステップ。次いで、これに続いて、ろう付け作業が実施される。熱処理ステップは、構成部品を熱処理するためにろう付けステップの後に実施される。超合金構成部品は高ガンマプライム超合金よりなる。高ガンマプライム超合金は、B-1900、GTD-111、Inconel100、Inconel713、Inconel738、Inconel792、Inconel939、Mar-M-246、Mar-M-509、Rene77、Rene108、Rene125、U-500、CM247、またはMarM247とすることができる。溶加材金属は、GTD-262、GTD-111、R-108LC、R-108、MarM247、IN738、GTD-222とすることができる。不活性雰囲気は、アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス、または二酸化炭素ガスである。溶接溶加材層は、ニッケル、H-230、Inconel600、Inconel617、Inconel625、またはYanalloyとすることができる。ろう付け材は、D15、DF-4B、Amdry788、MM509B、Amdry775、高融点/低融点のろう付け合金の混合物、50%Ni/50%D15、60%IN625/40%Amdry788、50%MarM247/50%DF-4Bとすることができる。熱処理ステップは、熱間等方加圧熱処理と、熱間等方加圧熱処理ステップの後に実施される溶体化熱処理ステップとを含む。熱間等方加圧熱処理は、ろう付け作業で使用されたろう付け温度より低い温度で実施することができる。
【0006】
本開示の別の態様では、超合金構成部品を溶接する方法は、次のステップを順番に含む。不活性雰囲気中で溶加材金属を使用して凹部を溶接する溶接ステップ。凹部は構成部品にある。不活性雰囲気中で溶加材金属と構成部品の一部分とを溶接溶加材層で被覆する第1の被覆ステップ。溶接溶加材層は、構成部品を構成する材料および溶加材金属を構成する材料よりも延性が大きい。第2の被覆ステップは、溶接溶加材層をろう付け材で被覆し、これに続いてろう付け作業が実施される。熱処理ステップは、熱間等方加圧熱処理で構成部品を熱処理する。
【0007】
本開示のさらに別の態様では、高ガンマプライム超合金構成部品を溶接する方法は、次のステップを順番に含む。不活性雰囲気中で溶加材金属を使用して凹部を溶接するための溶接ステップ。不活性雰囲気は、アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス、または二酸化炭素ガスのうちの少なくとも1つである。凹部は構成部品にある。不活性雰囲気中で溶加材金属と構成部品の一部分とを溶接溶加材層で被覆するための第1の被覆ステップ。溶接溶加材層は、構成部品を構成する材料および/または溶加材金属を構成する材料よりも延性が大きい。溶接溶加材層をろう付け材で被覆するための第2の被覆ステップ。ろう付けステップ/作業もまた実施される。熱間等方加圧熱処理で構成部品を熱処理し、次いで、これに続いて、溶体化熱処理するための熱処理ステップ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】構成部品の接面に形成された溶接用ノッチを有する高ガンマプライム超合金構成部品の断面図である。
図2】溶接後の構成部品の断面図である。
図3】延性溶接溶加材層を溶着させた後の構成部品の断面図である。
図4】ろう付け材を溶着させた後の構成部品の断面図である
図5】超合金を溶接する方法のフロー図である。
図6】熱処理サイクルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の1つまたは複数の具体的な態様/実施形態を以下に説明する。これらの態様/実施形態を簡潔に説明するために、実際の実施態様のすべての特徴を本明細書で説明しないことがある。いかなるこうした実際の実施態様の開発に際しても、あらゆるエンジニアリングプロジェクトまたは設計プロジェクトと同様に、機械関連、システム関連、およびビジネス関連の制約を遵守することなど、実施態様ごとに変わり得る開発者の特定の目標を達成するために、実施態様特有の多くの決定を行われなければならないことを認識すべきである。さらに、このような開発の取り組みは、複雑であり時間を要することがあるが、それにもかかわらず、この開示の恩恵を受ける当業者にとっては、設計、製作、および製造の定常作業であることを認識すべきである。
【0010】
本発明の様々な実施形態の要素を導入するときに、冠詞「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「その(the)」は、それらの要素のうちの1つまたは複数があることを意味することを意図する。用語「備える、含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」は、包括的であり、列挙した要素以外に追加の要素があり得ることを意味することを意図する。動作パラメータおよび/または環境条件のいかなる例も、本開示の実施形態の他のパラメータ/条件を除外するものではない。さらに、本発明の「一実施形態」、「一態様」、または「実施形態」、または「態様」について言及することは、列挙した特徴をも組み込む追加の実施形態また態様が存在することを除外するものとして解釈されるように意図するものではないことを理解すべきである。
【0011】
図1は、構成部品の接面に形成されたV形溶接用ノッチ12を有する高ガンマプライム超合金構成部品10を示す。ノッチ12はまた、溝または凹部と呼ぶことができる。高ガンマプライム超合金の例としては、Rene108(0.07%C、8%Cr、9%Co、0.5%Mo、3.2%Ta、0.7%Ti、5.6%Al、0.015%B、0.01%Zr、1.4%Hf、残りNi)、CM247(これはRene108としても知られている)、MarM247(0.15%C、15.5%Cr、9.5%Co、2%Mo、3.8%W、2%Nb、1.8%Ti、4.3%Al、0.015%B、0.05%Zr、残りNi)、Udimet700(0.07%C、15%Cr、18.5%Co、5%Mo、3.5%Ti、4.4%Al、0.025%B、残りNi)、Inconel939(0.15%C、22.4%Cr、19%Co、1.6%W、1%Nb、1.4%Ta、3.7%Ti、1.9%Al、0.01%B、0.1%Zr、残りNi)、Inconel738(0.09~0.17%C、16%Cr、8.5%Co、1.7%Mo、2.5%W、0.8%Nb、1.7%Ta、3.5%Ti、3.5%Al、0.01%B、0.05~0.1%Zr、残りNi)、Rene80(0.16%C、14%Cr、9.5%Co、4%Mo、4%W、5%Ti、3%Al、0.015%B、0.03%Zr、残りNi)、GTD444(0.1%C、0.75%Cr、7.5%Co、1.5%Mo、6%W、4.8%Ta、3.6%Ti、4.23%Al、残りNi)、B-1900、GTD-111、Inconel100、Inconel713、Inconel738、Inconel792、Mar-M-246、Mar-M-509、Rene77、Rene125、U-500、およびCMSX単結晶合金がある。すべてのパーセント(%)値は重量パーセントである。他の形状のくぼみが、修理すべき亀裂などの欠陥を有する構成部品に形成されることがあり、この亀裂を切削して(すなわち、掘り返してまたは機械加工して)、ノッチ12の効果と同様のV形、矩形、長円形、または他の適切な形状の溝が形成されることは認識されよう。
【0012】
次に図2を参照すると、構成部品10は溶加材14で溶接され、溝12は埋められて、構成部品10と溶加材14とは一緒に溶融されている。溶接は、ガスタングステンアーク溶接、プラズムアーク溶接などを含む任意の適切な従来の溶接法で実行することができる。溶接プロセスは、不活性雰囲気中、周囲温度すなわち、60°F超で実施され、他の強制加熱はない。しかしながら、溶接は、所望により、温度を上げて行うことができる。高ガンマプライム含有量の溶加材を含む任意の適切な高強度溶接溶加材14を使用することができる。適切な溶加材の非限定的な例として、GTD-262、Rene41(0.09%C、19%Cr、11%Co、9.75%Mo、3.15%Ti、1.65%Al、0.005%B、残りNi)、GTD-111、Rene108LC、Rene108、MarM247、Inconel738、Inconel738LC、およびGTD-222がある。用語「不活性雰囲気」とは、酸素が少ししかない、または全くなく、1つまたは複数の非反応性の気体または反応するには高い閾を有する1つまたは複数の気体より主としてなる気体状の混合物を指す。このような気体の非限定的な例として、アルゴン、窒素、ヘリウム、または二酸化炭素がある。溶接は、酸化の危険性を除去する/減少させるために不活性雰囲気中で実施される。溶接ステップの後には、溶加材14、および構成部品10の母材の熱影響部の両方に亀裂16が形成されることは避けられない。
【0013】
続いて、次に、図3を参照すると、溶融部の表面、すなわち、溶接溶加材の露出面と構成部品の隣接面とが、延性溶接溶加材18で被覆(または封止)される。Rene-108などの超合金は本質的に延性がゼロである。延性溶接溶加材18は、ゼロより大きな(かつ、構成部品10または溶加材14を構成する材料の延性より大きな)延性を有する。延性溶接溶加材18の材料のいくつかの非限定的な合金例としては、Inconel625(20~23%Cr、8~10%Mo、3.15~4.15%Nb+Ta、0~0.1%C、0~5%Fe、0~0.5%Si、0~0.5%Mn、0~0.015%S、0~0.015%P、0~0.4%Ti、0~1%Co、0~0.4%Al、残りNi)、HastelloyX(8~10%Mo、20.5~23%Cr、17~20%Fe、0.2~1%W、0.5~2.5%Co、0.05~0.015%C、0~1%Si、0~1%Mn、0~0.01%B、0~0.04%P、0~0.03%S、残りNi)、純ニッケル(~100%Ni)、Inconel718(50~55%Ni+Co、17~21%Cr、2.8~3.3%Mo、0.65~1.15%Ti、0.35~0.8%Al、0.001~0.006%B、4.75~5.5%Nb+Ta、0~0.08%C、0~0.35%Mn、0~0.35%Si、0~0.015%P、0~0.015%S、0~1%Co、0~0.15%Cu、残りFe)、Inconel600(14~17%Cr、6~10%Fe、0~0.1%C、0~0.5%Si、0~1%Mn、0~0.015%S、0~0.5%Cu、最少72%Ni)、H-230、Inconel617、またはYanalloyがある。層18は、溶加材14を被覆するのに十分な厚さとすべきであり、約0.025インチから約0.150インチの間の範囲とするか、または特定の用途で望まれるような任意の適切な厚さとすることができる。このステップもまた、不活性雰囲気中で実施される。このステップの後、小さな亀裂または微小亀裂がまだ、構成部品10および/または溶加材14に存在する。
【0014】
続いて、次に、図4を参照すると、溶融部の表面が、ろう付け材、ろう付けペースト、またはろう付けペースト混合物20で被覆される。ろう付け材20は、純粋なろう付け合金、例えば、D-15(15%Cr、10.25%Co、3.5%Ta、3.5%Al、2.3%B、残りNi)、AMS4782(71%Ni、19%Cr、10%Si)、DF-4B(14%Cr、10%Co、3.5%Al、2.75%B、2.5%Ta、0.05%Y、残りNi)、Amdry788(22%Cr、21%Ni、14%W、2%B、2%Si、0.03%La、残りCo)、あるいは、混合物、例えば、AMS4782と、超合金Inconel738、Inconel625、Inconel718、Haynes230(22%Cr、14%W、2%Mo、最大3%Fe、最大5%Co、最少0.5%Mn、最少0.4%Si、最大0.5%Nb、0.3%Al、最大0.1%Ti、0.1%C、0.02%La、最大0.015%B、57%~残りNi)、MM509B、Amdry775、高融点/低融点のろう付け合金の混合物、50%Ni/50%D15、60%IN625/40%Amdry788、または50%MarM247/50%DF-4Bの粉体との混合物とすることができる。ろう付けステップは、不活性雰囲気中で実施する必要はない。ろう付けステップは、約2100Fから約2300Fの温度でろう付けすることを含む。ろう付けステップは、その前の延性溶接溶加材のステップの後に残っている小さな亀裂または微小亀裂を埋める。ろう付けステップの後、構成部品は、熱間等方加圧熱処理を受けて、残っている亀裂16を圧縮してつぶし、この熱処理の後、溶体化熱処理が実施される。次いで、構成部品は、所望により、すべての望ましくない溶接材またはろう付け材を除去するために機械加工してもよい。
【0015】
図5は、超合金構成部品10を溶接する方法100のフロー図である。次のステップは、順番に実施される。方法100は、超合金構成部品10の凹部、ノッチ、または溝12内に溶加材金属14を溶接する溶接ステップ110を含む。単なる一例として、構成部品10がRene-108よりなる場合、溶加材金属14はGTD-262または他の超合金溶接溶加材とすることができる。溶接は、窒素ガスまたはアルゴンガスなどの不活性雰囲気の下で実施される。溶接ステップ後に亀裂16が存在することは避けられない。
【0016】
ステップ120において、溶加材金属14は延性溶接溶加材層18で被覆される。溶接溶加材層の延性は、構成部品10の材料および溶加材金属14の延性より大きい。単なる非限定的な一例として、溶接溶加材層18の延性は、溶加材金属14の延性より10%以上大きい。ステップ130において、延性溶接溶加材層18は、ろう付け材20で被覆される。ろう付け材は、D15、DF-4B、Amdry788、または高融点/低融点金属の混合物、例えば、50%Amdry625/50%Amdry788とすることができる。ステップ140において、構成部品は、亀裂16を押しつぶす熱間等方加圧(HIP:hot isostatic pressing)熱処理を受ける。単なる非限定的な一例として、HIP温度は、クラッディング温度より少なくとも約25F低く、HIP熱処理は、約2,200Fの温度、約15,000ポンド/平方インチの圧力で実施することができる。ステップ140に続いて溶体化熱処理および/または時効熱処理が行われる。延性溶接溶加材およびろう付け材は、構成部品の熱影響部または溶接溶加材14の表面亀裂16、およびいかなる小さな亀裂または微小亀裂の中にも流れてそれらを埋める。延性溶接材とろう付け材を組み合わせることは、次の技術的利点を有する。すなわち、延性溶接材は、主溶接溶加材を封止し、主溶接溶加材の亀裂とろう付け材とが接触しないようにし、その結果、ろう付け材はこれらの亀裂内には流れず、したがって、この溶接溶加材の延性を効かす。その結果、溶接された超合金構成部品には亀裂がない、すなわち本質的に亀裂がない。
【0017】
図6は、熱処理のサイクルのグラフである。ステップ130の後、溶接された構成部品は、応力除去サイクル、ろう付けサイクル、およびろう付け拡散サイクルを含むプロセスにおいて真空熱処理される。これに関して、図6は適切な熱処理プロセスを示し、応力除去サイクルの後、構成部品は冷却されてから、温度をより高いろう付け温度に上昇させ、それに続いてろう付け拡散サイクルとなり、次いで、周囲温度に冷却されることを表している。当業者には、これらのサイクルに対する具体的な温度範囲は知られている。ろう付け温度は、約2,050Fから約2,250Fの範囲であり、溶体化温度は約1,975Fから約2,200Fである。このプロセスの重要な態様は、溶接中または溶接直後には、溶接部には最初、亀裂が許されるが、いかなるこれらの亀裂もHIP熱処理で「治癒」または修理されるということである。その結果、亀裂のない超合金構成部品の溶融部が得られ、したがって、ガンマプライムの含有量が高い超合金の溶接の上記の問題が解決される。
【0018】
明細書および特許請求の範囲を通じてここで用いる近似表現は、関連する基本的機能に変化を生じさせることなく変化することが許容される任意の量的表示を修飾するために適用することができる。したがって、「約(about)」、「ほぼ(approximately)」、および「実質的に(substantially)」などの用語で修飾された値は、その特定された正確な値には限定されない。少なくともいくつかの場合には、近似表現はその値を測定するための機器の精度に対応することがある。ここで、ならびに明細書および特許請求の範囲を通して、範囲の限定は、組み合せることができ、かつ/または交換することができ、このような範囲は、文脈または表現がそうでないことを示さない限り、そこに含まれるすべての部分範囲として特定され、かつすべての部分範囲を含む。用語「約(about)」および「ほぼ(approximately)」は、ある範囲の特定の値に適用されるとき、両方の値に適用され、その値を測定する機器の精度に依存しない限り、述べられた値の±10%または±20%を示すことができる。
【0019】
本明細書では、最良の態様を含む例を用いて本発明を開示し、また、任意の装置またはシステムの作製および使用、ならびに任意の組み入れられた方法の実施を含め、当業者が本発明を実施できるようにしている。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想到する他の例を含むことができる。このような他の例は、特許請求の範囲の文言と相違ない構成要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的に相違ない等価の構成要素を含む場合、特許請求の範囲内であることを意図されている。
【0020】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
超合金構成部品(10)を溶接する方法(100)であって、
(a)不活性雰囲気中で溶加材金属(14)を使用して前記構成部品にある凹部(12)を溶接するステップ(110)と、
(b)前記不活性雰囲気中で前記溶加材金属と前記構成部品の一部分とを溶接溶加材層(18)で被覆するステップ(120)であって、前記溶接溶加材層が、前記構成部品を構成する材料および前記溶加材金属を構成する材料よりも延性が大きい、ステップ(120)と、
(c)前記溶接溶加材層をろう付け材(20)で被覆するステップ(130)、およびろう付け作業を実施するステップと、
(d)前記構成部品を熱処理するステップ(140)と
を順番に含む方法(100)。
[実施態様2]
前記超合金構成部品(10)が高ガンマプライム超合金よりなる、実施態様1記載の方法。
[実施態様3]
前記高ガンマプライム超合金が、
B-1900、GTD-111、Inconel100、Inconel713、Inconel738、Inconel792、Inconel939、Mar-M-246、Mar-M-509、Rene77、Rene108、Rene125、またはU-500、CM247、MarM247
のうちの少なくとも1つを含む、実施態様2記載の方法。
[実施態様4]
前記溶加材金属(14)が、
GTD-262、GTD-111、R-108LC、R-108、MarM247、IN738、GTD-222
のうちの少なくとも1つを含む、実施態様1記載の方法。
[実施態様5]
前記不活性雰囲気が、
アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス、または二酸化炭素ガス
を含む、実施態様1記載の方法。
[実施態様6]
前記溶接溶加材層(18)が、
ニッケル、H-230、Inconel600、Inconel617、Inconel625、またはYanalloy
のうちの少なくとも1つを含む、実施態様1記載の方法。
[実施態様7]
前記ろう付け材(20)が、
D15、DF-4B、Amdry788、MM509B、Amdry775、高融点/低融点のろう付け合金の混合物、50%Ni/50%D15、60%IN625/40%Amdry788、50%MarM247/50%DF-4B
のうちの少なくとも1つを含む、実施態様1記載の方法。
[実施態様8]
前記熱処理ステップ(140)が、
熱間等方加圧熱処理
をさらに含む、実施態様1記載の方法。
[実施態様9]
前記熱間等方加圧熱処理が、前記ろう付け作業で使用されたろう付け温度より低い温度で実施される、実施態様8記載の方法。
[実施態様10]
前記熱処理ステップ(140)が、
前記熱間等方加圧熱処理ステップの後に実施される溶体化熱処理ステップ
をさらに含む、実施態様8記載の方法。
[実施態様11]
超合金構成部品(10)を溶接する方法(100)であって、
(a)不活性雰囲気中で溶加材金属(14)を使用して前記構成部品にある凹部(12)を溶接するステップ(110)と、
(b)前記不活性雰囲気中で前記溶加材金属と前記構成部品の一部分とを溶接溶加材層(18)で被覆するステップ(120)であって、前記溶接溶加材層が、前記構成部品を構成する材料および前記溶加材金属を構成する材料よりも延性が大きい、ステップ(120)と、
(c)前記溶接溶加材層をろう付け材(20)で被覆するステップ(130)、およびろう付け作業を実施するステップと、
(d)熱間等方加圧熱処理で前記構成部品を熱処理するステップ(140)と
を順番に含む方法(100)。
[実施態様12]
前記熱処理ステップ(140)が、
前記熱間等方加圧熱処理ステップの後に実施される溶体化熱処理ステップ
をさらに含む、実施態様11記載の方法。
[実施態様13]
前記超合金構成部品(10)が高ガンマプライム超合金よりなる、実施態様11記載の方法。
[実施態様14]
前記高ガンマプライム超合金が、
B-1900、GTD-111、Inconel100、Inconel713、Inconel738、Inconel792、Inconel939、Mar-M-246、Mar-M-509、Rene77、Rene108、Rene125、またはU-500、CM247、MarM247
のうちの少なくとも1つを含む、実施態様13記載の方法。
[実施態様15]
前記溶加材金属(14)が、
GTD-262、GTD-111、R-108LC、R-108、MarM247、IN738、GTD-222
のうちの少なくとも1つを含む、実施態様11記載の方法。
[実施態様16]
前記不活性雰囲気が、
アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス、または二酸化炭素ガス
を含む、実施態様11記載の方法。
[実施態様17]
前記溶接溶加材層(18)が、
ニッケル、H-230、Inconel600、Inconel617、Inconel625、またはYanalloy
のうちの少なくとも1つを含む、実施態様11記載の方法。
[実施態様18]
前記ろう付け材(20)が、
D15、DF-4B、Amdry788、MM509B、Amdry775、高融点/低融点のろう付け合金の混合物、50%Ni/50%D15、60%IN625/40%Amdry788、50%MarM247/50%DF-4B
のうちの少なくとも1つを含む、実施態様11記載の方法。
[実施態様19]
高ガンマプライム超合金構成部品(10)を溶接する方法(100)であって、
(a)アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス、または二酸化炭素ガスのうちの少なくとも1つを含む不活性雰囲気中で溶加材金属(14)を使用して前記構成部品にある凹部(12)を溶接するステップ(110)と、
(b)前記不活性雰囲気中で前記溶加材金属と前記構成部品の一部分とを溶接溶加材層(18)で被覆するステップ(120)であって、前記溶接溶加材層が、前記構成部品を構成する材料および前記溶加材金属を構成する材料よりも延性が大きい、ステップ(120)と、
(c)前記溶接溶加材層をろう付け材(20)で被覆するステップ(130)、およびろう付け作業を実施するステップと、
(d)熱間等方加圧熱処理で前記構成部品を熱処理するステップ(140)と、次いで、これに続いて、溶体化熱処理を実施するステップと
を順番に含む方法(100)。
[実施態様20]
前記高ガンマプライム超合金が、B-1900、GTD-111、Inconel100、Inconel713、Inconel738、Inconel792、Inconel939、Mar-M-246、Mar-M-509、Rene77、Rene108、Rene125、またはU-500、CM247、MarM247のうちの少なくとも1つを含むことと、
前記溶加材金属(14)が、GTD-262、GTD-111、R-108LC、R-108、MarM247、IN738、GTD-222のうちの1つを含むことと、
前記溶接溶加材層(18)が、ニッケル、H-230、Inconel600、Inconel617、Inconel625、またはYanalloyのうちの少なくとも1つを含むことと、
前記ろう付け材(20)が、D15、DF-4B、Amdry788、MM509B、Amdry775、高融点/低融点のろう付け合金の混合物、50%Ni/50%D15、60%IN625/40%Amdry788、50%MarM247/50%DF-4Bのうちの少なくとも1つを含むことと
をさらに含む実施態様19記載の方法。
【符号の説明】
【0021】
10 構成部品
12 ノッチ
14 溶加材
16 亀裂
18 溶接溶加材
20 ろう付け材
100 方法
110 溶接ステップ
120 被覆ステップ
130 被覆ステップ
140 熱処理ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6