(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】炭化ケイ素繊維上に湿度耐性コーティングを形成する方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/956 20170101AFI20220822BHJP
C04B 35/80 20060101ALI20220822BHJP
C04B 41/87 20060101ALI20220822BHJP
D06M 11/80 20060101ALI20220822BHJP
D06M 101/00 20060101ALN20220822BHJP
【FI】
C01B32/956
C04B35/80
C04B41/87 E
C04B41/87 M
D06M11/80
D06M101:00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018113388
(22)【出願日】2018-06-14
【審査請求日】2021-03-25
(32)【優先日】2017-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516257383
【氏名又は名称】ロールス-ロイス ハイ テンペラチャー コンポジッツ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ダブリュ.キッド
(72)【発明者】
【氏名】ロバート シナブスキー
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-183979(JP,A)
【文献】特開2006-225832(JP,A)
【文献】特開平01-188475(JP,A)
【文献】特表2015-533768(JP,A)
【文献】特開2013-021301(JP,A)
【文献】国際公開第2016/207534(WO,A1)
【文献】特開2011-140716(JP,A)
【文献】S L GALLET et al.,Microstructural and microtextural investigations of boron nitride deposited from BCl3-NH3-H2 gas mixtures,JOURNAL OF THE EUROPEAN CERAMIC SOCIETY,2004年,vol. 24, no. 1,pages 33 - 44,DOI: 10.1016/S0955-2219(03)00126-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/956
C04B 35/80
C04B 41/87
D06M 11/80
D06M 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ケイ素繊維上に湿度耐性コーティングを形成する方法であって、
輸送チャンバーにより連結された工程チャンバーを提供するステップであって、工程チャンバーの1つが窒素を含むガス状N前駆体により再充填され、工程チャンバーのもう1つがホウ素を含むガス状B前駆体により再充填されるステップ;
工程チャンバーを通して炭化ケイ素繊維を連続送達するステップ;
連続送達の間に、窒素を含むガス状N前駆体に炭化ケイ素繊維を
1200℃~1800℃の範囲内の高温で曝露し、これにより炭化ケイ素繊維の表面領域中に窒素を導入するステップ;及び
ホウ素を含むガス状B前駆体に炭化ケイ素繊維を
1200℃~1800℃の範囲内の高温で曝露し、これにより炭化ケイ素繊維の表面領域中にホウ素を導入するステップ
を含み、
ここで、ケイ素ドープされた窒化ホウ素は、Siを含むガス状Si前駆体に炭化ケイ素繊維を曝露することなく、炭化ケイ素繊維の表面領域に形成され、これによりケイ素ドープされた窒化ホウ素を含む湿度耐性コーティングを炭化ケイ素繊維上にin-situで成長させる、方法。
【請求項2】
ガス状N前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露を、ガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露の前に行
い、ガス状N前駆体により再充填されたその1つの工程チャンバーが、ガス状B前駆体により再充填されたそのもう1つの工程チャンバーの上流にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露を、ガス状N前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露の前に行
い、ガス状N前駆体により再充填されたその1つの工程チャンバーが、ガス状B前駆体により再充填されたそのもう1つの工程チャンバーの下流にある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ガス状N前駆体が、アンモニア、窒素ガス(N
2)、及びヒドラジンガスからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ガス状B前駆体が、ホウ素含有水素化物、ホウ素含有ハロゲン化物、又はホウ素含有酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ホウ素含有水素化物、ホウ素含有ハロゲン化物、又はホウ素含有酸化物が、三塩化ホウ素ガス、三フッ化ホウ素ガス、及び酸化ホウ素ガスからなる群から選択される、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
酸素を含むガス状O前駆体に炭化ケイ素繊維を
1200℃~1800℃の範囲内の高温で曝露するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ガス状O前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露を、ガス状N前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露の前、及び/又はガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露の前に行う、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
表面領域が
、0.01ミクロン
~0.5ミクロンの範囲内の深さを有し、これにより湿度耐性コーティングが
、0.01ミクロン
~0.5ミクロンの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ガス状N前駆体及
びガス状B前駆体を含
む工程チャンバー
が、大気圧又は低大気圧である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ガス状N前駆体及びガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露後に、制御環境中で炭化ケイ素繊維を熱処理し、表面領域におけるケイ素ドープされた窒化ホウ素の拡散及び形成を促進するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
制御環境が、大気圧又は低大気圧において真空環境又は不活性ガス環境を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
炭化ケイ素繊維が、麻くず
、テープ、組紐、及び/又は織布の形態に準備された繊維集合体の一部であり、
湿度耐性コーティングが、繊維集合体中の各炭化ケイ素繊維上に形成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
以下のステップ:
麻くず
、テープ、組紐、及び/又は織布を、それらにセラミックコーティングを適用することにより硬化させ、これにより多孔質繊維プリフォームを形成するステップ;
多孔質繊維プリフォームに、液体担体に分散させたセラミック粒子を含むスラリーを含浸させ、スラリーを乾燥させて液体担体を除去し、セラミック粒子を多孔質繊維プリフォーム中に残し、これにより含浸繊維プリフォームを形成するステップ;及び
含浸繊維プリフォームにケイ素を含む溶融物を含浸させ、これにより溶融物の固化の際に、湿度耐性コーティングを含む炭化ケイ素繊維を含有するセラミックマトリックス複合材料を形成するステップ、
をさらに含む、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許書類は、35 U.S.C. §119(e)の下で、2017年6月15日に出願された米国仮特許出願第62/520,110号の優先権の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般的に、セラミックマトリックス複合材料(CMC)の製造、またさらに特に、セラミック繊維のコーティング方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
セラミックマトリックス中に埋め込まれたセラミック繊維を含有するセラミックマトリックス複合材料(CMC)は、それらを低重量と共に優れた熱的及び機械的特性を要求する工業的利用(例えばガスタービンエンジン部品)のための有望な候補とする、特性の組み合わせを示す。
【0004】
窒化炭素又は窒化ホウ素を含む相間コーティング(interphase coating)は、CMC製造工程の一部として、セラミック繊維(例えば、炭化ケイ素繊維)に典型的に適用される。使用において、相間材料は、最終的に緻密化されたCMCにおいて靱性及び亀裂(クラック)偏向を増強する柔軟層として作用し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
炭化ケイ素繊維上に湿度耐性コーティングを形成する方法は、窒素を含むガス状N前駆体に炭化ケイ素繊維を高温で曝露し、これにより炭化ケイ素繊維の表面領域中に窒素を導入するステップ、及びホウ素を含むガス状B前駆体に炭化ケイ素繊維を高温で曝露し、これにより炭化ケイ素繊維の表面領域中にホウ素を導入するステップを包含する。ケイ素ドープされた窒化ホウ素は、Siを含むガス状Si前駆体に炭化ケイ素繊維を曝露することなく、炭化ケイ素繊維の表面領域に形成される。このようにして、ケイ素ドープされた窒化ホウ素を含む湿度耐性コーティングを、炭化ケイ素繊維上にin-situで成長させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】
図1Aは、第一の実施形態による方法のフローチャートを示す。
【
図1B】
図1Bは、第二の実施形態による方法のフローチャートを示す。
【
図1C】
図1Cは、第三の実施形態による方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
本明細書には、炭化ケイ素繊維上に湿度耐性コーティングを形成するための新たなアプローチが記載される。化学気相反応又はin-situ成長工程と呼び得る新たな方法は、湿度耐性コーティングを形成するための、高温での選択されたガス状前駆体の存在下に炭化ケイ素表面で起こる化学反応に依拠する。
【0008】
図1A~1Cに関して、上記方法は、窒素を含むガス状前駆体(「ガス状N前駆体」)に炭化ケイ素繊維を高温で曝露し、これにより炭化ケイ素繊維の表面領域中に窒素を導入するステップ(102)、及びホウ素を含むガス状前駆体(「ガス状B前駆体」)に炭化ケイ素繊維を高温で曝露し、これにより炭化ケイ素繊維の表面領域中にホウ素を導入するステップ(104)を伴う。先の研究とは対照的に、ケイ素ドープされた窒化ホウ素は、ケイ素を含むガス状前駆体(「ガス状Si前駆体」)に炭化ケイ素繊維を曝露することなく、炭化ケイ素繊維の表面領域に形成される(106)。このようにして、ガス状N前駆体及びガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の高温曝露により、ケイ素ドープされた窒化ホウ素を含む湿度耐性コーティングを炭化ケイ素繊維上にin-situで成長させる。上記炭化ケイ素繊維は、麻くず(tow)、一次元テープ、組紐(braid)、及び/又は織布(成形(tooled)及び/又は非成形(untooled))の形態に準備された(arranged)繊維集合体の一部であってよく、上記湿度耐性コーティングは、繊維集合体中の各炭化ケイ素繊維上に形成され得る。
【0009】
図1Aのフローチャートにおいて提示されるとおり、ガス状N前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露(102)は、ガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露(104)の前に行うことができる。あるいは、
図1Bのフローチャートに示されるとおり、ガス状N前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露(102)を、ガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露(104)の後に行ってもよい。
図1Cのフローチャートにより示されるとおり、ガス状N前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露(102)を、ガス状B前駆体に対する曝露(104)と同時に行い得ることも想定される。
【0010】
ガス状N前駆体としては、アンモニア、窒素ガス(N2)、及びヒドラジンガスの1つ以上を挙げることができる。アンモニアは、炭素とアンモニアの分解に由来する発生期水素との反応を介して、繊維から炭素を抽出しながら、炭化ケイ素繊維に窒素をドープすることができる。ガス状B前駆体(ホウ素含有水素化物、ホウ素含有ハロゲン化物、及び/又はホウ素含有酸化物を含み得る)は、ケイ素と交換で表面領域にホウ素を提供し、ケイ素ドープされた窒化ホウ素の形成をもたらす。ガス状B前駆体としては、例えば、三塩化ホウ素ガス、三フッ化ホウ素ガス、及び酸化ホウ素ガスの1つ以上を挙げることができる。
【0011】
ガス状N前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露を行う高温(「窒素曝露温度」)は、約1200℃~約1800℃の範囲内であり得る。ガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露を行う高温(「ホウ素曝露温度」)もまた、約1200℃~約1800℃の範囲内であり得る。窒素曝露温度及びホウ素曝露温度は、同じ温度であってもよく、又は異なる温度であってもよい。
【0012】
上記方法は、適切な圧力のガス状N前駆体及び/又はガス状B前駆体を含む1つ以上のチャンバー内で実施することができる。上記方法は、大気圧条件下又は低大気圧(sub-atmospheric)条件下で実施し得る。上記方法は、バッチ式工程であってもよく、又は連続式工程であってもよい。バッチ式工程においては、ガス状前駆体をチャンバー内に導入し、
図1A及び1Bに関しては上記のとおり別々の段階で、又は
図1Cについては上記のとおり同時に、炭化ケイ素繊維(1つ又は複数)と化学反応させることができる。連続式工程においては、複数のチャンバーを輸送チャンバーにより連結し、それらを通して炭化ケイ素繊維(1つ又は複数)を連続送達することができる。各チャンバーにガス状N前駆体又はガス状B前駆体のそれぞれを適切な圧力で再充填(backfill)し、バルブ又は他の密閉機構を利用してチャンバーを互いに分離した状態に保っておいてもよい。チャンバー(1つ又は複数)は、制御環境を維持するように構成された真空チャンバー(1つ又は複数)であり得る。上記方法は、真空環境又は不活性ガス環境中で実施することができる。
【0013】
上記方法は、ガス状N前駆体及びガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露後、制御環境中で炭化ケイ素繊維を熱処理して、表面領域におけるケイ素ドープされた窒化ホウ素の拡散及び形成を促進するステップをさらに包含し得る。上記制御環境は、大気圧又は低大気圧において真空環境又は不活性ガス(例えば、アルゴン又はヘリウム)環境であってよく、熱処理は、約1200℃~約1800℃の範囲内の熱処理温度で実施することができる。
【0014】
一部の場合、上記方法は、酸素を含むガス状前駆体(「ガス状O前駆体」)に炭化ケイ素繊維を高温で曝露し、これにより炭化ケイ素繊維の表面領域中に酸素を導入して、炭化ケイ素から酸化ケイ素の形成を誘導するステップを包含し得る。ガス状O前駆体に対する炭化ケイ素繊維の場合による曝露は、ガス状N前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露の前に行ってもよく、及び/又はガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露の前に行ってもよい。ガス状O前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露を行う高温は、約1200℃~約1800℃の範囲内であってよく、窒素曝露温度及びホウ素曝露温度と同じであっても、又は異なっていてもよい。
【0015】
化学気相反応中にホウ素及び窒素が導入される炭化ケイ素繊維の表面領域は、約0.01ミクロン~約0.5ミクロンの範囲内の深さを有し得る。従って、in-situで成長するケイ素ドープされた窒化ホウ素を含む湿度耐性コーティングは、約0.01ミクロン~約0.5ミクロンの範囲内の厚さを有し得る。湿度耐性コーティングの厚さは、好ましくは炭化ケイ素繊維の周囲について実質的に均一である。
【0016】
湿度耐性コーティングを含む炭化ケイ素繊維は、さらなる処理を受けて、セラミックマトリックス複合材料を形成し得る。上記に示されるとおり、炭化ケイ素繊維は、複数のセラミック繊維の積層によって形成される繊維集合体(例えば、麻くず、一次元テープ、組紐、及び/又は織布)の一部であり得る。当技術分野において知られているとおり、(個々の又は繊維集合体の一部としての)炭化ケイ素繊維に対する湿度耐性コーティングの適用の後に、繊維集合体を、それにセラミックコーティング(例えば炭化ケイ素コーティング)を適用することによって硬化させて、多孔質繊維プリフォームを形成することができる。上記方法は、多孔質繊維プリフォームに、液体担体(例えば水)中に分散させたセラミック粒子(例えば、炭化ケイ素粒子)を含むスラリーを含浸させ、その後乾燥させて液体担体を除去するステップをさらに伴い得る。セラミック粒子は、多孔質繊維プリフォーム中に残って、含浸繊維プリフォームを形成し、これにケイ素を含む溶融物を含浸させて緻密化することができる。セラミック粒子は、溶融物含浸後にセラミックマトリックスの一部となる。溶融物が固化するときに、湿度耐性コーティングを有する炭化ケイ素繊維を含有するセラミックマトリックス複合材料(CMC)が形成され得る。本明細書中に記載されるとおりに製造されるCMCは、ガスタービンエンジン用の部品の一部又は全てを形成することができる。
【0017】
上記のセラミック繊維は炭化ケイ素を含むが、セラミック繊維が、別のケイ素含有セラミック(例えば窒化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、又はオキシ窒化ケイ素)を含み得ることも想定される。同様に、セラミック粒子は、炭化ケイ素及び/又は別のセラミックを含み得る。一実施形態において、上記方法から形成されるセラミックマトリックス複合材料は、炭化ケイ素繊維/炭化ケイ素マトリックス複合材料、すなわちSiC/SiC複合材料である。本明細書中で使用される「炭化ケイ素」という用語は、広く化合物SiC、及び他のケイ素含有炭化物を指す。
【0018】
「<A>、<B>、...及び<N>の少なくとも1つ」又は「<A>、<B>、...<N>、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つ」あるいは「<A>、<B>、…及び/又は<N>」との語句は、その使用法を明らかにし、またこれにより一般公衆に知らせるため、本出願人により最も広義に定義され、本出願人により明確に反対の主張がなされない限り、本明細書中上記又は下記の任意の他の暗黙の定義に優先して、A、B、...及びNを含む群から選択される1つ以上の要素を意味する。言い換えれば、上記の語句は、上記の要素A、B、...又はNの1つ以上の任意の組み合わせ(いずれか1つの要素のみ、又は1つ以上の他の要素と組み合わせた前記1つの要素(列挙されていないさらなる要素との組み合わせも含み得る)を包含する)を意味する。
【0019】
特定の実施形態に関してかなり詳細に記載したが、他の実施形態は可能である。従って、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書中に含まれる好ましい実施形態の記載に限定されるべきではない。特許請求の範囲の意味の範囲に入る全ての実施形態は、文字通りに、又は均等に、その範囲内に包含されることが意図される。
【0020】
さらに、上記の利点は、必ずしも唯一の利点ではなく、また上記の利点の全てがあらゆる実施形態により達成されることは必ずしも予想されない。
いくつかの実施形態を以下に示す。
項1
炭化ケイ素繊維上に湿度耐性コーティングを形成する方法であって、
窒素を含むガス状N前駆体に炭化ケイ素繊維を高温で曝露し、これにより炭化ケイ素繊維の表面領域中に窒素を導入するステップ;及び
ホウ素を含むガス状B前駆体に炭化ケイ素繊維を高温で曝露し、これにより炭化ケイ素繊維の表面領域中にホウ素を導入するステップ
を含み、
ここで、ケイ素ドープされた窒化ホウ素は、Siを含むガス状Si前駆体に炭化ケイ素繊維を曝露することなく、炭化ケイ素繊維の表面領域に形成され、これによりケイ素ドープされた窒化ホウ素を含む湿度耐性コーティングを炭化ケイ素繊維上にin-situで成長させる、方法。
項2
ガス状N前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露を、ガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露の前に行う、項1に記載の方法。
項3
ガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露を、ガス状N前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露の前に行う、項1に記載の方法。
項4
ガス状N前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露を、ガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露と同時に行う、項1に記載の方法。
項5
ガス状N前駆体が、アンモニア、窒素ガス(N
2
)、及びヒドラジンガスからなる群から選択される、項1に記載の方法。
項6
ガス状B前駆体が、ホウ素含有水素化物、ホウ素含有ハロゲン化物、又はホウ素含有酸化物を含む、項1に記載の方法。
項7
ホウ素含有水素化物、ホウ素含有ハロゲン化物、又はホウ素含有酸化物が、三塩化ホウ素ガス、三フッ化ホウ素ガス、及び酸化ホウ素ガスからなる群から選択される、項6に記載の方法。
項8
ガス状N前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露を行う高温が、約1200℃~約1800℃の範囲内であり、
ガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露を行う高温が、約1200℃~約1800℃の範囲内である、項1に記載の方法。
項9
酸素を含むガス状O前駆体に炭化ケイ素繊維を高温で曝露するステップをさらに含む、項1に記載の方法。
項10
ガス状O前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露を、ガス状N前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露の前、及び/又はガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露の前に行う、項9に記載の方法。
項11
ガス状O前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露を行う高温が、約1200℃~約1800℃の範囲内である、項9に記載の方法。
項12
表面領域が、約0.01ミクロン~約0.5ミクロンの範囲内の深さを有し、これにより湿度耐性コーティングが、約0.01ミクロン~約0.5ミクロンの範囲内の厚さを有する、項1に記載の方法。
項13
大気圧又は低大気圧においてガス状N前駆体及び/又はガス状B前駆体を含む1つ以上のチャンバー内で実施される、項1に記載の方法。
項14
チャンバーが、不活性ガス又は真空環境を含む、項13に記載の方法。
項15
ガス状N前駆体及びガス状B前駆体に対する炭化ケイ素繊維の曝露後に、制御環境中で炭化ケイ素繊維を熱処理し、表面領域におけるケイ素ドープされた窒化ホウ素の拡散及び形成を促進するステップをさらに含む、項1に記載の方法。
項16
制御環境が、大気圧又は低大気圧において真空環境又は不活性ガス環境を含む、項15に記載の方法。
項17
連続式工程である、項1に記載の方法。
項18
バッチ式工程である、項1に記載の方法。
項19
炭化ケイ素繊維が、麻くず、一次元テープ、組紐、及び/又は織布の形態に準備された繊維集合体の一部であり、
湿度耐性コーティングが、繊維集合体中の各炭化ケイ素繊維上に形成される、
項1に記載の方法。
項20
以下のステップ:
麻くず、一次元テープ、組紐、及び/又は織布を、それらにセラミックコーティングを適用することにより硬化させ、これにより多孔質繊維プリフォームを形成するステップ; 多孔質繊維プリフォームに、液体担体に分散させたセラミック粒子を含むスラリーを含浸させ、スラリーを乾燥させて液体担体を除去し、セラミック粒子を多孔質繊維プリフォーム中に残し、これにより含浸繊維プリフォームを形成するステップ;及び
含浸繊維プリフォームにケイ素を含む溶融物を含浸させ、これにより溶融物の固化の際に、湿度耐性コーティングを含む炭化ケイ素繊維を含有するセラミックマトリックス複合材料を形成するステップ、
をさらに含む、項19に記載の方法。