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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20220822BHJP
   B60R 25/0215 20130101ALI20220822BHJP
【FI】
B62D5/04
B60R25/0215
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018118949
(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2019218010
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】多賀谷 直大
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-162983(JP,A)
【文献】特開2005-067284(JP,A)
【文献】特開2017-160994(JP,A)
【文献】特開平11-301491(JP,A)
【文献】特開2007-127207(JP,A)
【文献】特開2012-122316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/0215
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアバイワイヤ式のステアリング装置であって、ステアリングシャフトと、該ステアリングシャフトに装着される環状の主円筒部と該主円筒部の外周に形成された主凸条部とからなる回転規制部材と、該回転規制部材に近接及び離間する係止部材と、緩衝部材とを備え、前記係止部材と前記主凸条部とは、前記ステアリングシャフトの回転により前記緩衝部材を介して当接する構成とし、前記緩衝部材は、環状の副円筒部と該副円筒部の外周に形成された緩衝用凸条部とからなり、該緩衝用凸条部の幅方向寸法は、前記主凸条部の幅方向寸法よりも大きい構成としてなることを特徴とするステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のステアリング装置おいて、前記主円筒部には前記主凸条部は一つのみ形成され、該主凸条部は回転規制用凸条部としてなることを特徴とするステアリング装置。
【請求項3】
請求項1に記載のステアリング装置おいて、前記主凸条部は前記主円筒部に複数設けられ、その内の1つは回転規制用凸条部とし、他の複数はロック用凸条部としてなることを特徴とするステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアバイワイヤ式のステアリング装置において、ハンドル操作における回転規制時に受ける衝撃を緩和することができるステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアバイワイヤ式のステアリング装置では、ステアリングシャフトと、舵取り機構部分とが機械的に連結されていないためハンドルの回転範囲を規制する機能が必要となる。ハンドル操作時における回転規制の機構を備えたステアリング装置の主なるものとして特許文献1が存在する。また、特許文献1では、自動車の非稼動時におけるハンドルのロック機構も備わっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-162983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、回転規制機構及びロック機構としてステアリングシャフトに装着されたフランジと、係合ピンとを備えている。フランジには、自動車走行時におけるハンドル操作の回転を規制する凸部と、エンジン停止によるハンドルロックのための凹部が存在する。また、係合ピンは、軸方向に沿って、機械的に出入する。
【0005】
上記構成のものは、ハンドル操作時におけるハンドルの回転規制は、フランジの凸部と、係合ピンとの当接によって行われる。このとき、ハンドルが所定角度回転して、フランジの凸部が係合ピンと当接するときに、運転者はハンドルを持つ手に多少の衝撃を受けることになる。この衝撃は、運転者の操作感覚を不快にさせることがある。
【0006】
本発明の目的は、ステアバイワイヤ機構を有するステアリング装置において、ハンドル操作時における回転規制の際に受ける衝撃を緩和することができるステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく、鋭意、研究を重ねた結果、請求項1の発明を、ステアバイワイヤ(「ステアリング・バイ・ワイヤー」と言うこともある。)式のステアリング装置であって、ステアリングシャフトと、該ステアリングシャフトに装着される環状の主円筒部と該主円筒部の外周に形成された主凸条部とからなる回転規制部材と、該回転規制部材に近接及び離間する係止部材と、緩衝部材とを備え、前記係止部材と前記主凸条部とは、前記ステアリングシャフトの回転により前記緩衝部材を介して当接する構成とし、前記緩衝部材は、環状の副円筒部と該副円筒部の外周に形成された緩衝用凸条部とからなり、該緩衝用凸条部の幅方向寸法は、前記主凸条部の幅方向寸法よりも大きい構成としてなるステアリング装置としたことにより、上記課題を解決した。
【0008】
請求項2の発明を、請求項1に記載のステアリング装置おいて、前記主円筒部には前記主凸条部は一つのみ形成され、該主凸条部は回転規制用凸条部としてなるステアリング装置としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1に記載のステアリング装置おいて、前記主凸条部は前記主円筒部に複数設けられ、その内の1つは回転規制用凸条部とし、他の複数はロック用凸条部としてなるステアリング装置としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、ステアリングシャフトの回転により、係止部材と主凸条部とは、緩衝部材を介して当接する構成としたことにより、ハンドル操作の回転規制における操作エンド時の衝撃を緩和し、操作感覚を良好なものにできる。さらに、請求項1の発明では、本発明における構成を最も簡易なものにすることができ、組付けも簡単にできる。
【0013】
請求項2の発明では、主円筒部には主凸条部は一つのみ形成され、該主凸条部は回転規制用凸条部としたことにより、ハンドル操作時におけるハンドルの回転規制の構成を簡単なものとし、且つ操作エンド時の衝撃を緩和することができる。請求項3の発明では、主凸条部は主円筒部に複数設けられ、その内の1つは回転規制用凸条部とし、他はロック用凸条部としたことにより、ハンドル操作時におけるハンドルの回転規制の構成を従来のハンドルロック時の機構に容易に組み込むことができ、操作エンド時の衝撃を緩和することができる。
【0014】
なお、緩衝部材は、回転規制部材の主凸条部の軸方向の一部には所定範囲の樹脂被覆が形成されて被覆緩衝部材とすれば、部品点数を少なくし、且つ製造が簡単にできる。また、係止部材の先端箇所の一部又は全部に樹脂被覆が形成されて端被覆緩衝部材とすれば、回転規制部材と係止部材のみの簡単な構成にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)は本発明におけるステアリング装置の概略図、(B)は(A)の(α)部を具体化した拡大図、(C)はステアリングシャフト,回転規制部材,緩衝部材の組付け状態を示す要部側面図、(D)は(C)のY1-Y1矢視拡大断面図、(E)は(C)のY2-Y2矢視拡大断面図である。
図2】(A)は本発明の第1実施形態におけるステアリングシャフト,回転規制部材,緩衝部材の組付け状態及び係止部材を示す要部斜視図、(B)は回転規制部材の斜視図、(C)は緩衝部材の斜視図、(D)は回転規制部材,緩衝部材の組付け状態を示す要部縦断側面図である。
図3】(A)は本発明の第1実施形態におけるステアリングシャフト,回転規制部材,緩衝部材と係止部材との係止状態を示す要部縦断正面図、(B)はハンドルの回転規制における回転規制用凸条部と係止部材とによる緩衝行程を示す要部拡大図、(C)は(B)の(β)部拡大図、(D)は緩衝特性を示すグラフである。
図4】(A)はステアリングシャフト,回転規制部材,緩衝部材と係止部材との係止状態を示す縦断正面図、(B)はハンドル回転規制機構のみとしたステアリングシャフト,回転規制部材,緩衝部材と係止部材との係止状態を示す縦断正面図である。
図5】(A)は本発明における第2実施形態を示す縦断側面図、(B)は(A)のY3-Y3矢視拡大断面図である。
図6】(A)は本発明における第3実施形態の要部縦断正面図、(B)は(A)の(γ)部拡大図、(C)及び(D)は第3実施形態における係止部材と緩衝部材との要部斜視図、(E),(F)は第3実施形態における係止部材と緩衝部材との変形例を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ここで、本発明において方向を示す文言として、前方側と、後方側とが存在する。この前方側及び後方側とは、本発明のステアリング装置を自動車に装着した状態で、自動車の前後方向を基準としたものである。具体的には、ステアリング装置の各構成部材において、自動車の前輪側を前方側とし、ハンドル(ステアリングホィール)8側を後方側とする〔図1(A)参照〕。
【0017】
本発明は、主にステアバイワイヤ方式のステアリング装置に関する発明である。ステアバイワイヤ方式とは、ハンドル操舵を電気信号にて伝達するステアリング装置であり、ステアリングシャフトと操舵箇所は連結しておらず、電気信号を介して操舵部を操作する。本発明は、自動車の盗難を防止するために、ハンドルを回転不能とするハンドルロック機構に、ハンドル回転規制機構を設けハンドルの操作エンドにおける衝撃を緩和するものである。
【0018】
本発明は主に、図1に示すように、回転規制部材A,緩衝部材B,係止部材6,ステアリングシャフト7,ハンドル8,操舵部9等から構成される。本発明の構成には、種々の実施形態が存在する。まず、第1実施形態では、回転規制部材Aと、該回転規制部材Aとは別部材とした緩衝部材Bとを備えたものである〔図1(C)乃至(D),図2参照〕。
【0019】
回転規制部材Aは、主円筒部1と主凸条部2とから構成される。主円筒部1は、円筒形状をなし、その円形状の内周側の内径は、ステアリングシャフト7の外径に略等しい。そして、回転規制部材Aの内周側にステアリングシャフト7が貫通し相互に空転不能に固着され、ステアリングシャフト7の周方向の回動と共に回転規制部材Aも周方向に回動する。主円筒部1は、金属製であり、適正な強度を有するものである。主円筒部1の外周には、主凸条部2が形成されている。該主凸条部2は、主円筒部1の軸方向に沿って畝形状に形成されている。主凸条部2は、主円筒部1の外周に周方向に沿って等間隔に形成される〔図1(D)参照〕。
【0020】
主凸条部2の断面形状は、略方形状である。主円筒部1と複数の主凸条部2とからなる回転規制部材Aは、略スプライン形状をなしている〔図2(A),(B)参照〕。複数の主凸条部2のうち、1つは回転規制用凸条部21であり、他の複数は全てロック用凸条部22となる〔図1(C)乃至(D),図2参照〕。回転規制用凸条部21は、自動車走行時又はアイドリング時等のエンジンが稼動していながら停止状態にあるとき、ハンドル8の回転範囲つまり回転規制部材Aの回転範囲を規制する役目をなす。
【0021】
ロック用凸条部22は、主円筒部1の外周に周方向に沿って等間隔に配置されており、隣接するロック用凸条部22,22間は凹状となる〔図1(D)参照〕。ハンドルロック時では、係止部材6の係止ピン部6aの先端が隣接するロック用凸条部22,22間つまり凹状に挿入し、エンジン停止時におけるハンドル8の操作をロックする。主円筒部1の外周において回転規制用凸条部21は、ロック用凸条部22よりも大きな部分を占める〔図1(D)参照〕。
【0022】
図の実施例では、回転規制用凸条部21は、ロック用凸条部22に対して略2個分の幅と、略2個分の高さとを有する。係止部材6は、係止ピン部6aと出入機構部6bとからなり、出入機構部6bから、係止ピン部6aが出入方向に出入を行うものである。係止ピン部6aは、金属製であることが好ましい。通常では、係止ピン部6aは、ロック用凸条部22には当接せず、回転規制用凸条部21の側面に当接可能に突出している。また係止ピン部6aは、具体的には帯板形状に形成され、回転規制部材Aと主凸条部2と、緩衝部材Bの緩衝用凸条部4の両方に亘って当接可能な形状となっている〔図2(A)参照〕。
【0023】
ここで、回転規制用凸条部21用の側面とは、回転規制部材Aの周方向における回転方向に対して直交する面(略直交する面も含まれる)のことである。そして、ハンドル8のロックが行われる時には、係止ピン部6aが突出移動し、主凸条部2の隣接するロック用凸条部22,22間に挿入且つそれぞれの側面(回転方向に略直交する面)に当接可能となる。以上のような構成で、ハンドル8の回転範囲が規制される。
【0024】
第1実施形態において、緩衝部材Bは、前記回転規制部材Aとは別部材である〔図2(B)乃至(D)参照〕。緩衝部材Bは、回転規制部材Aと共に周方向に回転するように、該回転規制部材Aに固着されたり又はステアリングシャフト7に固着される。そして、緩衝部材Bは、回転規制部材A又は係止部材6の何れか一方に最初に当接するものであり、回転規制部材Aの主凸条部2と、係止部材6とが当接するよりも先に、緩衝部材Bと回転規制部材Aの主凸条部2又は係止部材6の何れか一方に当接するものである。本発明の第1実施形態では、係止部材6の係止ピン部6aが緩衝部材Bと最初に当接する〔図3(A),(B)参照〕。
【0025】
緩衝部材Bは、緩衝性を有する材質から構成される。具体的には合成樹脂、ゴム材等である。緩衝部材Bは、主に副円筒部3と緩衝用凸条部4から構成される〔図1(E),図2(C)参照〕。副円筒部3は、前記主円筒部1と同一内径を有し、且つ略同一肉厚を有する。また、緩衝用凸条部4は、回転規制部材Aの主凸条部2と同数である〔図1(D),(E),図2(A)乃至(C)参照〕。
【0026】
緩衝用凸条部4は、主凸条部2の回転規制用凸条部21に対応する回転規制緩衝用凸条部41を有し、またロック用凸条部22に対応するロック緩衝用凸条部42を有している〔図1(D),(E),図2(A)乃至(C)参照〕。そして、回転規制緩衝用凸条部41の幅方向寸法W1bは、回転規制用凸条部21の幅方向寸法W1aよりも大きく形成されている(図1参照)。
【0027】
すなわち、
である。
【0028】
なお、回転規制用凸条部21及び回転規制緩衝用凸条部41は、略扇逆台形状(貝殻形状)をなしているので、寸法基準線は略V字形状となるが、回転規制用凸条部21と回転規制緩衝用凸条部41とは対応する何れの位置でも、常に回転規制緩衝用凸条部41の幅方向寸法W1bが回転規制用凸条部21の幅方向寸法W1aよりも大きくなるものである。
ロック緩衝用凸条部42の幅方向寸法W2bについても、ロック用凸条部22の幅方向寸法W2aよりも大きく形成されている(図1参照)。
【0029】
すなわち、
である。
【0030】
緩衝部材Bの副円筒部3は、回転規制部材Aの軸方向に隣接し、且つ副円筒部3の内周側にステアリングシャフト7が貫通されて緩衝部材Bがステアリングシャフト7に装着されると共に、主凸条部2と前記緩衝用凸条部4は、軸方向に沿って直線状となるように配置される〔図1(C),図2(A)参照〕。具体的には、回転規制用凸条部21と回転規制緩衝用凸条部41とが軸方向に直線状に配置され、他の複数のロック用凸条部22と、他の複数のロック緩衝用凸条部42とがそれぞれ軸方向に直線状に配置される。
【0031】
また、前述したように、緩衝用凸条部4(回転規制緩衝用凸条部41,ロック緩衝用凸条部42)の幅方向寸法(W1b,W2b)は、主凸条部2(回転規制用凸条部21,ロック用凸条部22)の幅方向寸法(W1a,W2a)よりも大きく形成される。これにより、緩衝用凸条部4の幅方向両側は、前記主凸条部2の幅方向両側からはみ出すように突出する構成となる。つまり、回転規制緩衝用凸条部41の幅方向両側は、回転規制用凸条部21の幅方向両側からはみ出すように突出している。同様に、ロック緩衝用凸条部42の幅方向両側はロック用凸条部22の幅方向両側からはみ出すように突出している〔図1(D),図2(A),図3(A),(B)等参照〕。
【0032】
緩衝部材Bのステアリングシャフト7への固着構造の一例として、回転規制部材Aと緩衝部材Bの少なくとも何れか一方には、位置決め用の接続ピン51が設けられ、他方には該接続ピンが挿入されるピン孔52が形成されることもある〔図2(B)乃至(D)参照〕。この接続ピン51とピン孔52とは同数であり、回転規制部材Aの主凸条部2(回転規制用凸条部21,ロック用凸条部22)と、緩衝用凸条部4(回転規制緩衝用凸条部41,ロック緩衝用凸条部42)とが位置的に正確に一致するように接続できるようになっている。図示された実施形態では、接続ピン51は緩衝部材Bに設けられ、ピン孔52は回転規制部材Aに設けられている。また、接続ピン51及びピン孔52は、回転規制部材Aと緩衝部材Bの両方に設けられても構わない。
【0033】
係止部材6の係止ピン部6aは、機械的に出入するものであり、通常の走行時において、ハンドル8の回転規制状態では、係止部材6の係止ピン部6aは、ロック用凸条部22及びロック緩衝用凸条部42には当接せず、回転規制用凸条部21及び回転規制緩衝用凸条部41のそれぞれの側面(回転方向に略直交する面)にのみ当接可能となるように、係止ピン部6aの出入機構部6bに対する突出量が設定されている〔図4(A)参照〕。
【0034】
また、ハンドルロック時では、係止部材6の係止ピン部6aが突出移動し、ロック用凸条部22,22及びロック緩衝用凸条部42,42間の凹状に挿入する。本発明の第1実施形態では、ハンドル回転規制時には、係止部材6の係止ピン部6aは、回転規制用凸条部21及び回転規制緩衝用凸条部41のそれぞれの側面(回転方向に略直交する面)にのみ当接する。
【0035】
ハンドル回転規制時、係止部材6の係止ピン部6aは、緩衝部材Bの回転規制緩衝用凸条部41の側面(回転方向に略直交する面)に当接するものであり、回転規制部材Aの回転規制用凸条部21の側面(回転方向に略直交する面)には当接が行われず近接するのみであるか、或いは回転規制緩衝用凸条部41の側面と当接した後に、回転規制用凸条部21の側面と当接する〔図3(A)乃至(C)参照〕。つまり、係止部材6の係止ピン部6aは、最初に緩衝部材Bの回転規制緩衝用凸条部41の側面に当接し、衝撃を緩衝することになる。
【0036】
係止部材6の係止ピン部6aが最初に緩衝部材Bの回転規制緩衝用凸条部41の側面に当接する行程は図3(B)に示した。また、図3(D)は、係止部材6の係止ピン部6aが最初に緩衝部材Bの回転規制緩衝用凸条部41の側面に当接する行程におけるハンドル8の操作角度と、抵抗力との関係を示す緩衝特性のグラフである。また、ハンドルロック機構とハンドル回転規制機構とを別部材としても良い。この実施形態におけるハンドル回転規制機構は、ロック用凸条部22及びロック緩衝用凸条部42を設けず、回転規制用凸条部21及び回転規制緩衝用凸条部41のみとなる〔図4(B)参照〕。
【0037】
第2実施形態では、緩衝部材Bは、回転規制部材Aの主凸条部2の軸方向の一部に所定範囲の樹脂被覆が形成されて被覆緩衝部材B1としたものである。この実施形態では、主凸条部2を構成する回転規制用凸条部21とロック用凸条部22の軸方向の何れかの位置に所定範囲で樹脂が被覆され、被覆緩衝部材B1としたものである(図5参照)。
【0038】
該被覆緩衝部材B1は、回転規制用凸条部21とロック用凸条部22において、係止部材6の係止ピン部6aと当接する位置に対応して設けられる。該被覆緩衝部材B1は、主円筒部1の軸方向の一端側で且つ後方側に設けられることが好ましい。被覆緩衝部材B1において回転規制用凸条部21の樹脂被覆部分は前記回転規制緩衝用凸条部41となる。
【0039】
第2実施形態において、ハンドル回転規制時における係止部材6の係止ピン部6aは、回転規制用凸条部21の樹脂被覆部分である回転規制緩衝用凸条部41の側面(回転方向に略直交する面)に当接するものであり、樹脂被覆されない回転規制用凸条部21の側面(回転方向に略直交する面)には当接が行われず近接するのみであるか、或いは回転規制緩衝用凸条部41の側面と当接した後に、回転規制用凸条部21の側面と当接することになる。つまり、係止部材6の係止ピン部6aは、最初に緩衝部材Bの回転規制緩衝用凸条部41の側面に当接し、衝撃を緩衝することになる。
【0040】
次に、本発明の第3実施形態では、緩衝部材Bは、係止部材6の係止ピン部6aの先端箇所の一部又は全部に樹脂被覆が形成されて先端被覆緩衝部材B2としたものである(図6参照)。この第3実施形態では、前述した第1,第2実施形態のように、回転規制部材A側に緩衝部材Bが備えられるものではない。先端被覆緩衝部材B2は、前記係止部材6の係止ピン部6aの先端箇所の一部に貫通部61が形成され、該貫通部61に樹脂が充填されると共に、前記先端箇所両面に樹脂被覆が形成されたものである〔図6(A),(B)参照〕。
【0041】
前記貫通部61は、筋形状の溝孔としたり〔図6(C)参照〕、或いは複数の小径孔とすることがある〔図6(D)参照〕。そして、貫通部61に溶融した樹脂が流し込まれて充填されると共に、係止部材6の係止ピン部6aの先端箇所両面に樹脂被覆が形成されて先端被覆緩衝部材B2としたものである。さらに、第3実施形態の変形例として、係止部材6の係止ピン部6aの先端に単に樹脂被覆して先端被覆緩衝部材B2としたタイプも存在し、その第1変形例では係止ピン部6aの先端の一部に樹脂被覆したものである〔図6(E)参照〕。また、第3実施形態の第2変形例では、係止ピン部6aの先端の全体に樹脂被覆したものである〔図6(F)参照〕。
【0042】
この実施形態では、ハンドル操作時においては、係止部材6の係止ピン部6aが回転規制部材Aの回転規制用凸条部21の側面に当接しようとするときに、回転規制用凸条部21は、係止部材6の係止ピン部6aの先端被覆緩衝部材B2と当接し、衝撃を緩和することができる。上述した実施形態では、ハンドル回転規制時、係止部材6の係止ピン部6aと回転規制緩衝用凸条部41の側面とが当接する構成について説明したが、この構成のみに限定されない。係止部材6の係止ピン部6aの突出量を制御することで、回転規制緩衝用凸条部41が形成されず、ロック緩衝用凸条部42のみの構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0043】
A…回転規制部材、1…主円筒部、2…主凸条部、21…回転規制用凸条部、
22…ロック用凸条部、B…緩衝部材、B1…被覆緩衝部材、B2…先端被覆緩衝部材、
3…副円筒部、4…緩衝用凸条部、6…係止部材、61…貫通部、
7…ステアリングシャフト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6