(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】人材育成支援システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220822BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2018125950
(22)【出願日】2018-07-02
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(72)【発明者】
【氏名】宗 陽一郎
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-072910(JP,A)
【文献】特開2008-257541(JP,A)
【文献】特開2012-058848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用機械のサービスマンのエリア別の人数情報に基づき、1のエリアに属するサービスマンの人数を取得する取得手段と、
前記1のエリアに属するサービスマンの人数を、エリア別に定められた補正係数で正規化する補正手段と、
前記補正係数で正規化された前記1のエリアに属するサービスマンの人数を出力する出力手段と、
を備え
、
前記取得手段は、前記サービスマンのエリア別かつグレード別の人数情報に基づき、1のエリアに属する各グレードのサービスマンの人数を取得し、
前記補正手段は、前記1のエリアに属する各グレードのサービスマンの人数を、エリア別かつグレード別に定められた補正係数で補正し、
前記出力手段は、前記補正係数で正規化された前記1のエリアに属する各グレードのサービスマンの人数を出力する、
人材育成支援システム。
【請求項2】
前記補正係数は、エリア別の経済成長度に応じて定められる、
請求項
1に記載の人材育成支援システム。
【請求項3】
前記補正係数は、エリア別の市場参入度に応じて定められる、
請求項1
または2の何れかに記載の人材育成支援システム。
【請求項4】
前記出力手段は、前記補正係数で正規化された前記1のエリアに属するサービスマンの人数を、前記補正係数で正規化された各エリアに属するサービスマンの人数の代表値とともに出力する、
請求項1ないし
3の何れかに記載の人材育成支援システム。
【請求項5】
前記出力手段は、前記補正係数で正規化された前記1のエリアに属するサービスマンの人数と、前記補正係数で正規化された各エリアに属するサービスマンの人数の代表値との差が閾値以上である場合に、所定のメッセージを出力する、
請求項1ないし
4の何れかに記載の人材育成支援システム。
【請求項6】
産業用機械のサービスマンのエリア別かつグレード別のグレード滞在期間情報に基づき、1のエリアに属するサービスマンが1のグレードに滞在したグレード滞在期間の代表値を取得する取得手段と、
前記グレード滞在期間の代表値をエリア別に定められた補正係数で正規化する補正手段と、
前記補正係数で正規化された前記グレード滞在期間の代表値を出力する出力手段と、
を備え、
前記補正係数は、エリア別の教育水準に応じて定められる、
人材育成支援システム。
【請求項7】
産業用機械のサービスマンのエリア別かつグレード別のグレード滞在期間情報に基づき、1のエリアに属するサービスマンが1のグレードに滞在したグレード滞在期間の代表値を取得する取得手段と、
前記グレード滞在期間の代表値をエリア別に定められた補正係数で正規化する補正手段と、
前記補正係数で正規化された前記グレード滞在期間の代表値を出力する出力手段と、
を備え、
前記補正係数は、前記サービスマンが受講する研修に含まれる教材数に応じて定められる、
人材育成支援システム。
【請求項8】
産業用機械のサービスマンのエリア別かつグレード別のグレード滞在期間情報に基づき、1のエリアに属するサービスマンが1のグレードに滞在したグレード滞在期間の代表値を取得する取得手段と、
前記グレード滞在期間の代表値をエリア別に定められた補正係数で正規化する補正手段と、
前記補正係数で正規化された前記グレード滞在期間の代表値を出力する出力手段と、
を備え、
前記補正係数は、エリア別の社会インフラ整備水準に応じて定められる、
人材育成支援システム。
【請求項9】
産業用機械のサービスマンのエリア別かつグレード別のグレード滞在期間情報に基づき、1のエリアに属するサービスマンが1のグレードに滞在したグレード滞在期間の代表値を取得する取得手段と、
前記グレード滞在期間の代表値をエリア別に定められた補正係数で正規化する補正手段と、
前記補正係数で正規化された前記グレード滞在期間の代表値を出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、前記補正係数で正規化された前記グレード滞在期間の代表値を、前記補正係数で正規化された各エリアの前記グレード滞在期間の代表値とともに出力する、
人材育成支援システム。
【請求項10】
産業用機械のサービスマンのエリア別かつグレード別のグレード滞在期間情報に基づき、1のエリアに属するサービスマンが1のグレードに滞在したグレード滞在期間の代表値を取得する取得手段と、
前記グレード滞在期間の代表値をエリア別に定められた補正係数で正規化する補正手段と、
前記補正係数で正規化された前記グレード滞在期間の代表値を出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、前記補正係数で正規化された前記グレード滞在期間の代表値と、前記補正係数で正規化された各エリアの前記グレード滞在期間の代表値との差が閾値以上である場合に、所定のメッセージを出力する、
人材育成支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人材育成支援システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建設機械の営業活動を支援するために、適切な顧客を選定することができる営業支援システムが開示されている。この営業支援システムでは、顧客情報を記憶するデータベースが設けられており、情報受給者によって入力された顧客検索条件に合致する顧客情報が当該データベースから抽出される。その後に、情報受給者によって図象化表示に関する評価項目が少なくとも2つ入力された場合、それらの組み合わせに基づいて、抽出された顧客情報の分析評価が実行される。この分析評価の結果を参照することによって、情報受給者は、営業対象先として適切な顧客を選定することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の営業支援システムの場合、営業対象先として適切な顧客を容易に選定することができるため、営業活動の効率化を図ることはできる。しかしながら、その選定した顧客が満足するレベルのサービスを提供することができなければ、受注に至ることは困難である。そのため、サービス提供力の強化を行うことが必要となる。特に、産業用機械の場合、顧客が製品を購入した後も保守点検、修理、技術情報の提供等の保守サービスが実施されることが多く、各代理店は、このような保守サービスとして質が高いものを提供することが可能になるような体制を築くべきである。
【0005】
特に、世界中の各エリアでサービスマンを育成する場合には、その国の経済成長度や教育水準、自社の市場参入度などの種々の事情によってサービスマンの適正人数や技術習得レベル等が異なるため、エリア毎の事情を考慮しつつもサービスマンを一元的に管理することが重要である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、エリア毎の事情を考慮しつつもサービスマンを一元的に管理することが可能な人材育成支援システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様の人材育成支援システムは、産業用機械のサービスマンのエリア別の人数情報に基づき、1のエリアに属するサービスマンの人数を取得する取得手段と、前記1のエリアに属するサービスマンの人数を、エリア別に定められた補正係数で正規化する補正手段と、前記補正係数で正規化された前記1のエリアに属するサービスマンの人数を出力する出力手段と、を備える。
【0008】
また、本発明の他の態様のプログラムは、産業用機械のサービスマンのエリア別の人数情報に基づき、1のエリアに属するサービスマンの人数を取得する取得手段、前記1のエリアに属するサービスマンの人数を、エリア別に定められた補正係数で正規化する補正手段、及び、前記補正係数で正規化された前記1のエリアに属するサービスマンの人数を出力する出力手段、としてコンピュータを機能させる。
【0009】
また、本発明の他の態様の人材育成支援システムは、産業用機械のサービスマンのエリア別かつグレード別のグレード滞在期間情報に基づき、1のエリアに属するサービスマンが1のグレードに滞在したグレード滞在期間の代表値を取得する取得手段と、前記グレード滞在期間の代表値をエリア別に定められた補正係数で正規化する補正手段と、前記補正係数で正規化された前記グレード滞在期間の代表値を出力する出力手段と、を備える。
【0010】
また、本発明の他の態様のプログラムは、産業用機械のサービスマンのエリア別かつグレード別のグレード滞在期間情報に基づき、1のエリアに属するサービスマンが1のグレードに滞在したグレード滞在期間の代表値を取得する取得手段、前記グレード滞在期間の代表値をエリア別に定められた補正係数で正規化する補正手段、及び、前記補正係数で正規化された前記グレード滞在期間の代表値を出力する出力手段、としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エリア毎の事情を考慮しつつもサービスマンを一元的に管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】人材育成支援システムの構成例を示す図である。
【
図4】エリア別代理店情報管理DBの例を示す図である。
【
図5】代理店別サービスマン情報管理DBの例を示す図である。
【
図7】チャプター教材情報管理DBの例を示す図である。
【
図9】グレード別カリキュラム情報管理DBの例を示す図である。
【
図10】サービスマン別研修受講情報管理DBの例を示す図である。
【
図11】サービスマン別教材学習履歴情報管理DBの例を示す図である。
【
図12】サービスマン別グレード滞留期間情報管理DBの例を示す図である。
【
図13】トレーナー情報管理DBの構成例を示す図である。
【
図17】グレード昇級運営処理の手順例を示すフロー図である。
【
図19】グレード昇級運営処理の手順例を示すフロー図である。
【
図20】補正係数(経済成長度)テーブルの例を示す図である。
【
図21】補正係数(市場参入度)テーブルの例を示す図である。
【
図22】サービスマン人数比率パターンの例を示す図である。
【
図23】サービスマン人数比率算出処理の手順例を示すフロー図である。
【
図25】補正係数(教育水準係数)テーブルの例を示す図である。
【
図26】補正係数(チャプター教材総数係数)テーブルの例を示す図である。
【
図27】補正係数(社会インフラ整備係数)テーブルの例を示す図である。
【
図28】昇級スピード算出処理の手順例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0014】
[システム概要]
図1は、実施形態に係る人材育成支援システム1の構成例を示す図である。人材育成支援システム1は、管理サーバ10と端末3,4とを備えている。管理サーバ10と端末3,4とは、インターネット(ワイドエリアネットワーク)に接続されており、相互に通信が可能である。端末3は、グローバル研修本部に配置された端末であり、端末4は、各エリアの代理店や教育センター等に配置された端末である。端末3,4は、例えばラップトップ型コンピュータ又はデスクトップ型コンピュータ等のパーソナルコンピュータである。
【0015】
管理サーバ10は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリ及び入出力インターフェース等を含むサーバコンピュータである。CPUは、ROM又は不揮発性メモリからRAMにロードされたプログラムに従って情報処理を実行する。プログラムは、例えば光ディスク又はメモリカード等の情報記憶媒体を介して供給されてもよいし、例えばインターネット等の通信ネットワークを介して供給されてもよい。
【0016】
管理サーバ10は、データベース2にアクセス可能である。データベース2は、管理サーバ10の内部に設けられてもよいし、管理サーバ10の外部に設けられてもよい。
【0017】
管理サーバ10は、例えばHTTPデーモンを起動しており、端末3,4からブラウザを介して送信された処理要求(HTTPリクエスト)を受け付けると、処理要求に応じた処理結果(HTTPレスポンス)を端末3,4に返答する。例えば、管理サーバ10は、ウェブページ記述言語で記述されたページデータを処理結果として端末3,4に送信し、端末3,4は、管理サーバ10から受信したページデータを表すページ画像を自機の表示部に出力する。
【0018】
人材育成支援システム1は、産業用機械の保守サービスに携わるサービスマンを育成するためのオンライン研修(所謂、eラーニング)を提供するシステムである。ここで、産業用機械としては、各種の建設機械、並びに、レシプロ圧縮機、スクリュー圧縮機、ターボ圧縮機、真空成膜装置、タイヤ試験機、連続混練機、及びゴム混練機等のように工場等の生産施設に設置されるもの等、様々なものが想定される。産業用機械は、長期間に亘って使用されるため、修理、点検、部品の交換、技術指導等の保守サービスが必須である。かかる保守サービスは、産業用機械の製造メーカーが提携する各エリアの代理店によって提供される。各エリアの代理店に所属するサービスマンは、顧客に対して営業活動を行い、顧客が保守サービスを適切に受けるように促す役割を有している。
【0019】
人材育成支援システム1では、自社の産業用機械の整備技術等に関する研修の教材を各国の言語で作成した上で、全世界規模で教育展開する。併せて、サービスマン1人1人の過去の学習記録(履修した教育内容・受講研修やその時のテスト結果等)から、個々人の履修進捗状況や習熟度合に応じた個別の教育展開も可能である。
【0020】
人材育成支援システム1による研修は、オンライン研修だけでなく、各エリアのトレーニング施設での実機を用いた集合形式の対面研修(Face-to-Face研修)と組み合わせながら実施される。全世界共通の教育内容やカリキュラムを開発・供給するグローバル研修本部と、その教育内容を使って各エリアのサービスマンに対して実際に教育を行うエリア別教育センターとが設けられ、エリア別教育センターのトレーナーは、オンライン研修と対面研修とを組み合わせて、サービスマン1人1人が研修内容を理解し、実務にて実行できるようになるための指導を行う。
【0021】
ところで、グローバル研修本部が作成・供給する教育内容を用いた各エリアでの教育実施の進め方/教育手法(教え方等)については、その国の経済発展レベルや風土・文化的特性、さらにはビジネス環境(例えばメーカーとアフターサービス業務を委託する代理店との力関係等)により調整する必要があり、その結果、エリア別教育センターのトレーナーの経験・力量に依存する又は制約を受けることなる。全世界共通教材とeラーニング等のIT教育ツールの導入により、サービスマン個々の技術レベルを効率的に高めることは可能となったが、全世界規模での一斉教育を実施・展開する場合、グローバル研修本部が期待する技術習得レベルや、そのレベルまで到達するのに要する時間において、エリア毎にバラツキが発生するという課題がある。
【0022】
そこで、人材育成支援システム1では、グローバル研修本部が全世界共通教材を作成し、エリア別教育センターに供給する形でグローバルに一定教育を展開するに際し、各エリアにおいて、エリアの特性に応じた教育手法にて教育展開可能とし、それにより、サービスマンの保全技術力をグローバルに平準化可能とする。
【0023】
ここでは、教育用の教材(テキスト及び習熟度評価テスト)は、グローバル研修本部にて作成し供給するものとする。また、教育対象のサービスマンを、業務経験年数や業務遂行能力レベルにより複数のグレードに分けた上で、グレード別に教育内容・カリキュラムが準備され、教育が行われるものとする。また、エリア別教育センターでは、トレーナーの裁量により、グローバル研修本部から供給された教材を使っての教育が企画・実施されるものとする。例えば、上位グレードについては、全世界教育のグレード昇級条件・基準を設け、それ以外のグレード(下位グレード)については、サービスマンのグレード昇級条件や判断基準は各エリアで設定可能とする。
【0024】
具体的には、人材育成支援システム1では、各エリアでグローバル研修本部から供給された教材を使って、各エリアの実態に応じたオンライン研修及び対面研修を企画し、教育展開することを可能としている。また、グレード毎に1つ以上の対面研修(実技訓練設備等を備えた研修センター施設にて行われる、トレーナーによる対面形式研修)又はオンライン研修(eラーニング形式研修で、トレーナーによる対面形式研修がない研修)を、当該グレードのサービスマンが学ぶべき教育内容として定義し、それをグレード別教育カリキュラムとしてデータ管理することを可能としている。
【0025】
また、オンライン研修で習熟度確認テストを課した場合のテスト結果や、対面研修でのトレーナーによる受講者1人1人に対する評価結果を、研修受講結果としてデータ管理でき、かつそのデータにより各研修の受講修了有無を判断可能としている。また、グレード別教育カリキュラムに沿って、サービスマンに対してグレード別の教育を実行でき、かつグレード別教育カリキュラムで定義された全研修を受講修了した場合に、自動または手動にてサービスマンのグレード昇級を管理可能としている。なお、上位グレードの教育実施の場合には、全世界共通の実技及びペーパー試験を課して評価し、その評価結果から自動または手動にてサービスマンのグレード昇級を管理可能としている。
【0026】
このような人材育成支援システム1を利用することにより、エリア別教育センターのトレーナーの指導経験や力量の差により発生する、エリア間での、世界共通教育内容に関する技術習得レベルや、そのレベルに到達するのに要する時間のバラツキを補正しながら、全世界のサービスマンの力量底上げと平準化を実現する。
【0027】
[データベース]
図2は、データベース2の例を示す図である。データベース2は、エリア情報管理DB21、エリア別代理店情報管理DB22、代理店別サービスマン情報管理DB23、教材情報管理DB24、チャプター教材情報管理DB25、研修情報管理DB26、グレード別カリキュラム情報管理DB27、サービスマン別研修受講情報管理DB28、サービスマン別教材学習履歴情報管理DB29、サービスマン別グレード滞留期間情報管理DB30、及びトレーナー情報管理DB31を含んでいる。
【0028】
図3に示すように、エリア情報管理DB21は、エリアに関する情報を管理するためのデータベースであり、エリアを特定するための「エリアID」、エリアの名称を表す「エリア名称」、及びエリアの特性に応じたタイプを表す「エリア特性タイプ」等を含んでいる。
【0029】
図4に示すように、エリア別代理店情報管理DB22は、代理店に関する情報をエリア別に管理するためのデータベースであり、「エリアID」、代理店を特定するための「代理店ID」、及び代理店の名称を表す「代理店名称」等を含んでいる。
【0030】
図5に示すように、代理店別サービスマン情報管理DB23は、代理店別にサービスマンに関する情報を管理するためのデータベースであり、「エリアID」、「代理店ID」、サービスマンを特定するための「サービスマンID」、サービスマンがシステムにログインするためのパスワード情報を表す「ログインパスワード」、サービスマンの氏名等の個人情報を表す「サービスマン個人情報」、サービスマンの業務経験年数や業務遂行能力レベルに応じたランク(グレード)を表す「現在サービスマンランク」等を含んでいる。
【0031】
図6に示すように、教材情報管理DB24は、研修に用いられる教材に関する情報を管理するためのデータベースであり、テキスト教材であるかテスト教材であるかを表す「教材タイプ」、「エリアID」、教材を特定するための「教材ID」、教材のタイトルを表す「教材タイトル」、教材内容の概要を表す「教材概要情報」、教材データの格納先をURL等で表す「教材データ格納先情報」、テキスト教材の総ページ数を表す「テキスト教材・総ページ数」、「テキスト教材学習修了条件」、「テキスト教材学習修了条件・詳細条件」、及び「テスト教材学習修了条件」等を含んでいる。
【0032】
「テキスト教材学習修了条件」は、「教材タイプ」が「テキスト教材」である場合に、学習修了条件を「最低閲覧時間」とするか「全ページ閲覧」とするかを表す。「テキスト教材学習修了条件・詳細条件」は、「テキスト教材学習修了条件」が「最低閲覧時間」である場合に、テキスト教材の最低閲覧時間(例えば分)が正数値で指定される。「テスト教材学習修了条件」は、「教材タイプ」が「テスト教材」である場合に、学習修了条件として合格最低点が百分率換算正答率(0~100%)の正数値で指定される。
【0033】
図7に示すように、チャプター教材情報管理DB25は、チャプター教材に関する情報を管理するためのデータベースである。チャプター教材は教材(テキスト教材又はテスト教材)の上位に相当し、1又は複数の教材で構成される。チャプター教材情報管理DB25は、「エリアID」、チャプター教材を特定するための「チャプター教材ID」、チャプター教材のタイトルを表す「チャプター教材タイトル」、チャプター教材内容の概要を表す「チャプター教材概要情報」、チャプター教材を構成する学習項目(教材)の総数を表す「学習項目数(N)」、各学習項目の名称等を表す「学習項目nの基本情報」、各学習項目に対応する教材の教材IDを表す「学習項目nの学習教材ID」等を含んでいる。
【0034】
図8に示すように、研修情報管理DB26は、研修に関する情報を管理するためのデータベースである。研修はチャプター教材の上位に相当し、1又は複数のチャプター教材で構成される。研修情報管理DB26は、「エリアID」、研修を特定するための「研修ID」、研修の名称を表す「研修名称」、研修のタイプ(オンライン研修又は対面研修)を表す「研修タイプ」、研修内容の概要を表す「研修概要情報」、「研修修了条件」、研修を構成するチャプター教材の総数を表す「チャプター数(N)」、チャプターnとして設定されたチャプター教材のIDを表す「チャプターnのチャプター教材ID」等を含んでいる。なお、「エリアID」が0の場合は、全世界共通の研修であることを表す。
【0035】
「研修修了条件」は、「研修タイプ」が「オンライン研修」である場合には、当該研修のチャプター教材を全て学習したら修了するものとし、「研修タイプ」が「オンライン研修」である場合、かつ当該研修のチャプター教材にテスト教材が含まれる場合には、全テスト教材の学習結果がテスト教材履修修了条件を満たしたら修了するものとし、「研修タイプ」が「対面研修」である場合には、トレーナーによる評価結果が合格判定であったら修了するものとする。
【0036】
図9に示すように、グレード別カリキュラム情報管理DB27は、グレード別にカリキュラムに関する情報を管理するためのデータベースであり、「エリアID」、グレードを特定するための「グレードID」、グレードの名称等の基本情報を表す「グレード基本情報」、グレードに対応するサービスマンランクを表す「サービスマングレード」、「グレード昇級モード」、「グレード更新有無」、「グレード昇級条件」、「グレード更新間隔」、「グレード更新回数」、当該グレードのサービスマンが履修すべき研修の総数を表す「研修数(N)」、及び研修nとして設定された研修のIDを表す「研修nのID」等を含んでいる。
【0037】
「グレード昇級モード」には、「自動」、「手動」及び「昇級条件有」の何れかが指定される。「自動」は、当該グレードで履修すべき研修群を全て修了した場合に自動的にグレードアップするモードである。「手動」は、当該グレードで履修すべき研修群を全て修了し、かつトレーナーが昇級判定を行った場合にグレードアップするモードである。「昇級条件有」は、当該グレードで履修すべき研修群を全て修了した後、所定のグレード別昇級条件を満たした場合にグレードアップするモードである。
【0038】
「グレード更新有無」には、「グレード更新なし」又は「グレード更新あり」が指定される。
【0039】
「グレード昇級条件」には、例えばグレード最低滞留期間が例えば年数で指定される。すなわち、業務経験を積ませる等の観点から、当該グレードにて一定期間業務遂行させるために、当該グレードに昇級した後の最低滞留年数が指定される。なお、「グレード昇級条件」が0の場合は、指定なしとなる。
【0040】
「グレード更新間隔」には、「グレード更新有無」が「グレード更新あり」である場合において、次回のグレード更新までの期間が例えば年数で指定される。「グレード更新回数」は、「グレード更新有無」が「グレード更新あり」である場合において、グレード昇級条件としての最低グレード更新回数が指定される。
【0041】
図10に示すように、サービスマン別研修受講情報管理DB28は、サービスマンの研修受講に関する情報を管理するためのデータベースであり、「エリアID」、「サービスマンID」、サービスマンが受講申込した研修を特定するための「研修ID」、研修受講開始した年月日を表す「研修受講開始年月日」、研修受講終了した年月日を表す「研修受講終了年月日」、及び「研修修了判定」等を含んでいる。「研修修了判定」は、サービスマンが受講申込した研修の修了判定を表し、「受講中」、「修了」、「未修了」及び「再受講中」の何れかが指定される。
【0042】
図11に示すように、サービスマン別教材学習履歴情報管理DB29は、サービスマンの教材学習履歴に関する情報を管理するためのデータベースであり、「サービスマンID」、サービスマンが受講申込した教材を特定するための「教材ID」、教材学習を開始した年月日を表す「教材学習開始年月日」、教材学習を終了した年月日を表す「教材学習修了年月日」、テスト教材学習が修了であるか未修了であるかを表す「テスト教材学習修了判定」、テスト教材のテスト結果を百分率換算正答率で表す「テスト教材得点」、テキスト教材学習の学習中であるか修了済であるかを表す「テキスト教材学習修了判定」、テキスト教材の閲覧時間積算値(例えば分)を表す「テキスト教材閲覧時間」、テキスト教材の総ページ数を表す「テキスト教材の総ページ数」、テキスト教材の頁nが閲覧済であるか未閲覧であるかを表す「テキスト教材・頁n閲覧有無」等を含んでいる。
【0043】
サービスマン別研修受講情報管理DB28及びサービスマン別教材学習履歴情報管理DB29に格納された情報は、研修受講履歴情報の一例である。
【0044】
図12に示すように、サービスマン別グレード滞留期間情報管理DB30は、サービスマン別にグレード滞留期間に関する情報を管理するためのデータベースであり、「エリアID」、「代理店ID」、「サービスマンID」、「グレードID」、グレードIDのグレードに昇級した年月日を表す「グレード昇級年月日」、及びグレードIDのグレードを更新した回数を表す「グレード更新回数」等を含んでいる。「グレード昇級年月日」はグレード滞在期間情報の一例であり、「グレード更新回数」はグレード更新回数情報の一例である。
【0045】
図13に示すように、トレーナー情報管理DB31は、トレーナーに関する情報を管理するためのデータベースであり、「エリアID」、トレーナーを特定するための「トレーナーID」、トレーナーがシステムにログインするためのパスワード情報を表す「パスワード」、及びトレーナーの氏名等の個人情報を表す「トレーナー個人情報等」を含んでいる。
【0046】
[画面表示例]
図14~
図16は、研修を受講するサービスマンが使用する端末4の表示部に表示される画面の表示例を示す図である。
図14は研修リスト画面41の表示例を示す図であり、
図15は研修画面43の表示例を示す図であり、
図16はチャプター画面45の表示例を示す図である。
【0047】
オンライン研修及び対面研修は1つ以上のチャプター教材により構成され、チャプター教材は1つ以上の学習項目により構成される。チャプター教材は研修内容の最小単位であり、各学習項目には学習用教材が1つ紐付けられる。学習教材には、テキスト教材とテスト教材の2種類のタイプが設けられ、学習教材毎に学習修了条件が設定される。研修にも、研修毎に研修修了条件が設定される。グローバル研修本部は、各エリアの現地語で翻訳したテキスト教材及びテスト教材を作成し、チャプター教材の形式で供給する。
【0048】
図14に示すように、研修リスト画面41には、複数の研修項目412が含まれている。これらの研修項目412は、研修情報管理DB26(
図8参照)に格納された情報に基づいて作成される。具体的には、研修情報管理DB26で管理される研修のうち、サービスマンが属するエリアと同じ「エリアID」を持つものが抽出され、研修項目412として表示される。図示の例では、全研修項目412がオンライン研修(eラーニング)である場合を示している。各研修項目412には受講申込ボタン414が設けられており、受講申込ボタン414が選択されると、研修リスト画面41から
図15に示す研修画面43に遷移する。
【0049】
図15に示すように、研修画面43には、複数のチャプターアイコン432が含まれている。これらのチャプターアイコン432は、研修情報管理DB26(
図8参照)及びチャプター教材情報管理DB25(
図7参照)に格納された情報に基づいて作成される。具体的には、
図14に示す研修リスト画面41で選択された研修項目412に対応する「研修ID」に属するチャプター1~Nの「チャプター教材ID」を持つチャプター教材がチャプター教材情報管理DB25から抽出され、チャプターアイコン432として表示される。チャプターアイコン432が選択されると、研修画面43から
図16に示すチャプター画面45に遷移する。
【0050】
図16に示すように、チャプター画面45には、テキストアイコン452及びテストアイコン454が含まれている。これらのテキストアイコン452及びテストアイコン454は、チャプター教材情報管理DB25(
図7参照)及び教材情報管理DB24(
図6参照)に格納された情報に基づいて作成される。具体的には、
図15に示す研修画面43で選択されたチャプターアイコン432に対応する「チャプター教材ID」を持つ教材が教材情報管理DB24から抽出され、テキストアイコン452及びテストアイコン454として表示される。テキストアイコン452又はテストアイコン454が選択されると、それぞれに対応する教材データが読み出され、教材画面(不図示)に遷移して受講が可能となる。
【0051】
[研修運営]
人材育成支援システム1を利用した各エリアでの研修運営は、例えば次のように行われる。
【0052】
各エリアのトレーナーは、グローバル研修本部から供給されたチャプター教材に基づいて、自エリア用のオンライン研修及び対面研修をグレード毎に定義・作成し、それを当該グレードのサービスマンが学ぶべきグレード別教育カリキュラムとして研修単位でシステムに登録する。全エリアにおいて、サービスマンのランクは、5段階のグレードで定義されるものとする。
【0053】
各エリアのトレーナーは、自エリアのサービスマンに関する情報を代理店別にシステムに登録する。その際、サービスマンには、現在のサービスマンランク(グレード)が設定される。そして、各エリアのトレーナーは、システムに登録したログイン情報(ID及びパスワード)をサービスマンに連絡する。
【0054】
サービスマンは、トレーナーから連絡されたログイン情報(ID及びパスワード)を利用してシステムにログインする。サービスマンが使用する端末4には、サービスマンに設定されているサービスマンランク(グレード)に対応したグレード別カリキュラムが、受講すべき研修一覧として表示される。サービスマンは、本研修一覧にて受講したい研修の受講申込を行い、受講を開始する。
【0055】
サービスマンが受講申込した研修がオンライン研修の場合には、受講申込後直ちに、当該研修に紐付けられているチャプター教材の閲覧・学習を可能とする。具体的には、サービスマンは、研修リスト画面41(
図14参照)で研修の受講申込を行い、研修の受講を開始する。そして、当該研修に含まれる全チャプター教材の学習が終了すると、研修の受講が終了となる。
【0056】
サービスマンが受講申込した研修が対面研修の場合も、受講申込後直ちに、当該研修に紐付けられているチャプター教材の閲覧・学習を可能とするとともに、サービスマンは、チャプター教材による事前学習後、実技訓練設備等を備えた研修センター施設で行われるトレーナーによる対面研修に参加する。対面研修終了後、トレーナーが受講結果をシステムに登録する。
【0057】
具体的には、サービスマンが研修リスト画面41(
図14参照)で対面研修の受講申込を行うと、サービスマンが属するエリアのトレーナーが対面研修の受講申込を確認し、許可可能な場合に受講申込を承認する。トレーナーが受講申込を許可した研修では、サービスマンはチャプター教材による事前学習が可能となる。サービスマンは、研修センターでの対面研修開催日となったら、研修センターに赴き、対面研修に参加する。トレーナーは、対面研修の受講申込者が研修に参加しているか否かを確認した上で、参加している場合は研修修了判定結果をシステムに登録する。
【0058】
[グレード昇級運営処理]
以下、人材育成支援システム1を利用した、サービスマンのグレードの昇級の管理について説明する。グレードの昇級とは、各グレードで設定された研修群を全て修了した場合に、現在のグレードから上位のグレードに、サービスマンのランクをランクアップさせるか否かを判断することである。本実施形態では、そのタイミングを例えば年に1回とする。また、本実施形態では、グレード別カリキュラム情報管理DB27(
図9参照)の「グレード昇級モード」がエリア毎かつグレード毎に設定されるものとする。
【0059】
図17~
図19は、管理サーバ10が実行するグレード昇級運営処理の手順例を示すフロー図である。管理サーバ10のCPUは、これらの図に示す処理を実行することにより、第1判定手段、第2判定手段、グレード管理手段、及びリセット手段として機能する。ここで、
図17は、非更新制グレードの場合(「グレード更新有無」が「グレード更新なし」の場合)の処理を示し、
図19は、更新制グレードの場合(「グレード更新有無」が「グレード更新あり」の場合)の処理を示している。
【0060】
図17に示すように、まず、CPUは、サービスマンのグレードに応じたグレード別カリキュラムに沿った研修受講のための処理を実行する(S11)。サービスマンのグレードは、代理店別サービスマン情報管理DB23(
図5参照)の「現在サービスマンランク」から取得される。受講の対象となる研修は、グレード別カリキュラム情報管理DB27(
図9参照)においてサービスマンのグレードと同じグレードに対応付けられた研修1~Nである。本処理では、例えば
図14~
図16に示した各画面41~43や、テキスト教材又はテスト教材の教材画面などの生成、及び端末4への送信などが行われる。
【0061】
次に、CPUは、受講開始した研修について、教材情報管理DB24(
図6参照)に記述された修了条件に基づき、当該研修の受講終了を判断する(S12)。具体的には、CPUは、サービスマンが研修の受講を開始すると、研修に含まれる各教材について、サービスマン別教材学習履歴情報管理DB29(
図11参照)のテキスト教材の閲覧時間や閲覧頁数、テスト教材の正答率などの受講に係る情報を更新していき、これらの受講に係る情報が教材情報管理DB24(
図6参照)に記述された修了条件を満たした場合に、「修了判定」を未終了から修了に更新する。
【0062】
次に、CPUは、当該グレードの研修群を全て受講終了したか否かを判定する(S13、第1判定手段としての処理)。具体的には、CPUは、グレード別カリキュラム情報管理DB27(
図9参照)においてサービスマンのグレードと同じグレードに対応付けられた全ての研修1~Nの受講を完了したか否かを、サービスマン別研修受講情報管理DB28(
図10参照)及びサービスマン別教材学習履歴情報管理DB29(
図11参照)を参照することにより判定する。
【0063】
当該グレードの研修群を全て受講終了した場合(S13:YES)、CPUは、グレード別カリキュラム情報管理DB27(
図9参照)を参照して、当該グレードのグレード昇給モードが「自動」であるか否かを判定する(S14)。
【0064】
当該グレードのグレード昇給モードが「自動」である場合(S14:YES)、CPUは、サービスマンのグレードを昇級させ(S15)、処理を終了する。CPUは、代理店別サービスマン情報管理DB23(
図5参照)の「現在サービスマンランク」を昇級後のグレードに更新する。
【0065】
一方、当該グレードのグレード昇給モードが「自動」でない場合(S14:NO)、CPUは、当該グレードのグレード昇給モードが「手動」であるか否かを判定する(
図18のS16)。
【0066】
当該グレードのグレード昇給モードが「手動」である場合(S16:YES)、CPUは、当該エリアのトレーナーにてサービスマンのグレードを昇級させるか否かを判断した判断結果を取得する(S17、第2判定手段としての処理の一例)。具体的には、CPUは、トレーナーが使用する端末4から、トレーナーにより入力されたサービスマンの昇格を認めるか否かを表す昇格可否情報を判断結果として取得する。ここでは、トレーナーにより昇格が認められることが、「所定の昇級条件」の一例となる。
【0067】
トレーナーにてサービスマンのグレードを昇級させると判断された場合(S18:YES)、CPUは、サービスマンのグレードを昇級させ(S15)、処理を終了する。
【0068】
一方、トレーナーにてサービスマンのグレードを昇級させると判断されなかった場合(S18:NO)、CPUは、サービスマン別教材学習履歴情報管理DB29(
図11参照)における、当該サービスマンの当該グレードの研修受講履歴をクリアし(S19)、処理を終了する。これにより、サービスマンには再受講が課される。
【0069】
上記S16において、当該グレードのグレード昇給モードが「手動」でない場合、すなわち当該グレードのグレード昇給モードが「昇級条件有」である場合(S16:NO)、CPUは、グレード昇級条件を満たしているか否かを判定する(S20、第2判定手段としての処理の一例)。本実施形態では、サービスマンがグレードに滞在しているグレード滞在期間が閾値を超えたか否かが、「所定の昇級条件」の一例として判定される。ここで、グレード滞在期間は、サービスマン別研修受講情報管理DB28(
図10参照)の「研修受講開始年月日」からの経過期間である。閾値は、グレード別カリキュラム情報管理DB27(
図9参照)の「グレード昇級条件」に記憶されたグレード最低滞留期間である。
【0070】
グレード昇級条件を満たしている場合(S20:YES)、CPUは、サービスマンのグレードを昇級させ(S15)、処理を終了する。
【0071】
一方、グレード昇級条件を満たしていない場合(S20:NO)、サービスマンのグレードを昇級させずに、そのまま処理を終了する。
【0072】
図19は、更新制グレードの場合(「グレード更新有無」が「グレード更新あり」の場合)の処理を示している。
図17及び
図18と重複するステップについては、同ステップ番号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0073】
S13において、当該グレードの研修群を全て受講終了したと判定された場合(S13:YES)、CPUは、当該グレードの更新タイミングであるか否かを判定する(S21)。更新タイミングであるか否かは、グレード別カリキュラム情報管理DB27(
図9参照)の「グレード更新間隔」に基づいて判定される。すなわち、直近の昇級又は更新から「グレード更新間隔」の期間が経過したか否かが判定される。
【0074】
当該グレードの更新タイミングである場合(S21:YES)、CPUは、今回の更新が当該グレードのグレード更新回数未満か否かを判定する(S22)。今回の更新回数は、サービスマン別グレード滞留期間情報管理DB30(
図12参照)の「グレード更新回数」から取得される。閾値としてのグレード更新回数は、グレード別カリキュラム情報管理DB27(
図9参照)の「グレード更新回数」から取得される。
【0075】
今回の更新が当該グレードのグレード更新回数未満である場合(S22:YES)、CPUは、サービスマン別教材学習履歴情報管理DB29(
図11参照)における、当該サービスマンの当該グレードの研修受講履歴をクリアないしリセットし(S19、リセット手段としての処理)、処理を終了する。これにより、サービスマンには再受講が課される。
【0076】
一方、今回の更新が当該グレードのグレード更新回数未満でない場合(S22:NO)、CPUは、上記S14~S20に係るグレード昇給モードに応じた昇級可否判定に移行する。
【0077】
以上に説明した実施形態によれば、グレード別カリキュラム情報管理DB27(
図9参照)の「グレード昇級モード」、「グレード更新有無」、「グレード昇級条件」、「グレード更新間隔」及び「グレード更新回数」等を適宜設定することにより、サービスマンのグレードの昇級を調整することが可能となる。
【0078】
特に、これらのパラメータはエリア毎に定めることができるので、エリア別教育センターのトレーナーの指導経験や力量の差により発生する、エリア間での、世界共通教育内容に関する技術習得レベルや、そのレベルに到達するのに要する時間のバラツキを補正しながら、全世界のサービスマンの力量底上げと平準化を実現することが可能となる。
【0079】
[サービスマン管理]
以下、人材育成支援システム1を利用した、グローバル研修本部におけるサービスマンの一元的な管理について説明する。グローバル研修本部の端末3では、各エリアの、グレード別サービスマン人材・人数構成比率や、グレード別グレード昇級スピード(上位グレード昇級に要する日数)を確認でき、これらのデータを基に人材育成上のアドバイスを必要とするエリアを抽出・可視化し、エリア別トレーナーに対する研修運営支援を可能としている。
【0080】
本実施形態では、下記2つの指標を、サービスマンの保全技術力をグローバルに平準化させていく上での共通指標として管理する。第1の指標は、グレード別のサービスマン人数比率である。第2の指標は、グレード別のグレード昇級スピード(上位グレードに昇級するまでに要した日数、すなわちグレード滞在期間)である。
【0081】
グローバルに教育展開するに当たり、エリア毎の経済成長度による差異、自社の当該エリアへの市場参入度による差異、当該エリアの教育水準による差異、当該エリアの社会インフラの整備状況による差異等を考慮して、上記2つの指標を補正(正規化)し、エリア間比較を行う。
【0082】
第1の指標である「グレード別のサービスマン人数比率」について説明する。第1の指標については、エリア毎の経済成長度による差異を補正するための「経済成長係数」と、自社の当該エリアへの市場参入度による差異を補正するための「市場参入係数」との2種類を補正係数とする。
【0083】
図20は、経済成長係数(経済成長度に係る補正係数)のテーブルを示す図である。同図に示すように、「経済成長係数」は、自社が市場参入するエリア群を、GNP(Gross National Product)等の経済指標を参考に、低/中/高の3段階程度の経済成長度に区分けした上で、各区分においてグレード毎に設定される。
【0084】
一般に、経済成長度が高いエリアは先進国等の国であり、顧客の満足度を高める上で通常の建設機械・点検検整備作業に加え高付加価値な価値提案・提供(例えば予防保全)が求められる場合が多く、故に、グレード別サービスマン人数構成比率は、
図22のパターンAのようになり易い。一方、経済成長度が低いエリアは経済発展途上国等の国であり、通常の建設機械・点検検整備作業をできるだけ安価にかつ一定品質にて価値提供することが求められる場合が多く、故に、グレード別サービスマン人数構成比率は、
図22のパターンCのようになり易い。なお、経済成長度が中間的ポジションにあるエリアでは、「低」と「高」ポジションの中間的価値提供が顧客から求められ、よってグレード別サービスマン人数構成比率は、
図22のパターンBのようになり易い。
【0085】
そこで、経済成長度が互いに異なるエリアであってもサービスマンの人数を比較可能とするため、「経済成長係数」は、比較的低いグレード(例えばグレード1及び2)のサービスマンの人数に対しては経済成長度が高くなるに従って大きくなり、比較的高いグレード(例えばグレード4及び5)のサービスマンの人数に対しては経済成長度が高くなるに従って小さくなるように設定される。言い換えると、「経済成長係数」は、比較的低い経済成長度(例えば低)のサービスマンの人数に対してはグレードが高くなるに従って大きくなり、比較的高い経済成長度(例えば高)のサービスマンの人数に対しては経済成長度が高くなるに従って小さくなるように設定される。
【0086】
図21は、市場参入係数(市場参入度に係る補正係数)のテーブルを示す図である。同図に示すように「市場参入係数」は、自社が市場参入するエリア群を低/中/高の3段階程度の市場参入度に区分けした上で、各区分において設定される。一般に、当該エリアへの市場参入時期が早い場合には、当該エリアでのサービス業務を委託するパートナー獲得で競合より有利に市場参入でき、よってパートナー数/サービスマン数も多くなる。逆に、当該エリアへの市場参入時期が遅い場合には、パートナー獲得が難しくなり、よってパートナー数/サービスマン数も少なくなる。そこで、市場参入度が互いに異なるエリアであってもサービスマンの人数を比較可能とするため、「市場参入係数」は、市場参入度が高くなるに従って小さくなるように、言い換えると、市場参入度が低くなるに従って大きくなるように設定される。
【0087】
図23及び
図24は、管理サーバ10が実行するサービスマン人数比率算出処理の手順例を示すフロー図である。管理サーバ10のCPUは、これらの図に示す処理を実行することにより、取得手段、補正手段及び出力手段として機能する。
【0088】
まず、CPUは、エリア別代理店情報管理DB22(
図4参照)及び代理店別サービスマン情報管理DB23(
図5参照)に基づき、エリア別かつグレード別のサービスマン人数を取得する(S31、取得手段としての処理)。代理店別サービスマン情報管理DB23では、各サービスマンのサービスマンIDにエリアIDと現在ザービスマンランク(グレード)とが対応付けられており、CPUは、これらを参照することによりエリア別かつグレード別の人数情報を生成する。
【0089】
次に、CPUは、当該エリアのグレード別サービスマン人数を算出する(S32、取得手段としての処理)。すなわち、CPUは、複数のエリアから選択される1のエリアに属する各グレードのサービスマン人数を取得する。
【0090】
次に、CPUは、全エリアの全グレードのエリア間補正後サービスマン人数を算出する(S33~S38、補正手段としての処理)。
【0091】
具体的には、CPUは、代理店別サービスマン情報管理DB23(
図5参照)に基づいて、当該エリアのグレードn(n=1→5)のサービスマン人数を算出し(S34)、算出したサービスマン人数に当該エリア及びグレードnに応じた経済成長係数を乗算し(S35、
図20参照)、さらに当該エリアに応じた市場参入係数を乗算して(S36、
図21参照)、エリア間補正後サービスマン人数を得る(S37)。
【0092】
CPUは、当該エリアの全5グレードのエリア間補正後サービスマン人数を算出するまで、S34~S37の処理を繰り返すとともに(S33)、さらに、全エリアのエリア間補正後サービスマン人数を算出するまで、S32~S37の処理を繰り返す(
図24のS38)。
【0093】
全エリアのエリア間補正後サービスマン人数を算出すると(S38:YES)、CPUは、全エリアのグレード別エリア間補正後サービスマン人数に基づき、グレード別エリア間補正後サービスマン人数平均値を代表値として算出するとともに(S39)、エリア別に「グレード別エリア間補正後サービスマン人数」と「グレード別サービスマン人数平均値」とのギャップ値を算出する(S40)。代表値は、平均値に限らず中央値等であってもよい。
【0094】
次に、CPUは、エリア別に「グレード別エリア間補正後サービスマン人数」と「グレード別サービスマン人数平均値」に基づき可視化グラフを作成するとともに(S41)、前記ギャップ値が閾値以上の場合、該当グレードのサービス人材の研修内容・構成、現状受講状況を確認・検討するようガイダンスする(S42)。可視化グラフ及びガイダンスを含む可視化画面は、グローバル研修本部の端末3に出力される(詳細は後述)。
【0095】
第2の指標である「グレード別のグレード昇級スピード」について説明する。グレード別のグレード昇級スピードは、上位グレードに昇級するまでに要した日数、すなわちグレード滞在期間である。第2の指標については、エリア毎の教育水準による差異を補正するための「教育水準係数」と、エリア毎のチャプター教材総数による差異を補正するための「チャプター教材総数係数」と、エリア毎の社会インフラの整備状況による差異を補正するための「社会インフラ整備係数」との3種類を補正係数とする。
【0096】
図25は、教育水準係数(教育水準に係る補正係数)のテーブルを示す図である。同図に示すように、「教育水準係数」は、自社が市場参入するエリア群を、大学進学率等の教育指標を参考に、低/中/高の3段階程度の教育水準度に区分けした上で、各区分において設定される。一般に、教育水準が低いエリアほど、同じ教育内容を学習するのに要する時間が多く掛かる。そこで、教育水準が互いに異なるエリアであってもグレード昇級スピードを比較可能とするため、「教育水準係数」は、教育水準が低くなるに従って小さくなるように、言い換えると、教育水準が高くなるに従って大きくなるように設定される。
【0097】
図26は、チャプター教材総数係数(チャプター教材総数に係る補正係数)のテーブルの例を示す図である。本実施形態では、研修構成(チャプター教材の構成)を各エリアのトレーナーにて各エリアの特性・実情に合わせて設計する運用となるため、グレード毎の研修構成内容(構成チャプター教材総数)にも、バラツキが発生する。そこで、チャプター教材総数が互いに異なるエリアであってもグレード昇級スピードを比較可能とするため、エリア別・グレード別のチャプター教材総数の平均値と標準偏差(σ)とで規定される「チャプター教材総数係数」を利用する。
【0098】
「チャプター教材総数係数」は、チャプター教材総数が高くなるに従って小さくなるように、言い換えると、チャプター教材総数が低くなるに従って大きくなるように設定される。具体的には、「チャプター教材総数係数」は、チャプター教材総数が「平均値-σ」未満の場合に「平均値-σ~平均値+σ」の場合よりも高く、チャプター教材総数が「平均値+σ」超過の場合に「平均値-σ~平均値+σ」の場合よりも低く設定される。
【0099】
図27は、社会インフラ整備係数(社会インフラ整備水準に係る補正係数)のテーブルの例を示す図である。同図に示すように、「社会インフラ整備係数」は、自社が市場参入するエリア群を、通信インフラや交通インフラ等のインフラ整備状況指標等を参考に、低/中/高の3段階程度の社会インフラ整備水準に区分けした上で、各区分において設定される。一般に、社会インフラ整備水準が低いエリアほど、研修センターへの移動に要する時間等による影響や、電力・通信インフラの不安定動作に伴う影響等により、研修受講に多く時間を要する。
【0100】
そこで、社会インフラ整備水準が互いに異なるエリアであってもグレード昇給スピードを比較可能とするため、「社会インフラ整備係数」は、社会インフラ整備水準が高くなるに従って大きくなるように、言い換えると、社会インフラ整備水準が低くなるに従って小さくなるように設定される。
【0101】
図28及び
図29は、管理サーバ10が実行する昇級スピード算出処理の手順例を示すフロー図である。管理サーバ10のCPUは、これらの図に示す処理を実行することにより、取得手段、補正手段及び出力手段として機能する。
【0102】
まず、CPUは、エリア別代理店情報管理DB22(
図4参照)、代理店別サービスマン情報管理DB23(
図5参照)及びサービスマン別グレード滞留期間情報管理DB30(
図12参照)に基づき、エリア別かつグレード別のグレード滞留日数(すなわち、グレード昇級スピード)を取得する(S51)。
【0103】
次に、CPUは、当該エリアのグレード別グレード滞留日数を算出する(S52)。すなわち、CPUは、複数のエリアから選択される1のエリアに属する各グレードのグレード滞留日数を取得する。
【0104】
次に、CPUは、全エリアの全グレードのエリア間補正後グレード滞留日数を算出する(S53~S56、補正手段としての処理)。
【0105】
具体的には、CPUは、サービスマン別グレード滞留期間情報管理DB30(
図12参照)に基づいて、当該エリアの全サービスマンのグレード別のグレード滞留日数を算出する(S54)。グレード滞留日数は、上位グレード昇級年月日と対象グレード昇級年月日との差として算出される。最上位グレードの場合、グレード滞留日数は、現在年月日と対象グレード昇級年月日との差として算出される。
【0106】
次に、CPUは、対象グレードの全サービスマンのグレード滞留日数の平均値を代表値として算出し(S55)、算出したグレード滞留日数平均値に教育水準係数(
図25参照)、チャプター教材総数係数(
図26参照)及び社会インフラ整備係数(
図27参照)を乗算して、エリア間補正後グレード滞留日数とする(S56)。代表値は、平均値に限らず中央値等であってもよい。
【0107】
CPUは、当該エリアの全5グレードのエリア間補正後グレード滞留日数を算出するまで、S54~S56の処理を繰り返すとともに(S53)、さらに、全エリアのエリア間補正後グレード滞留日数を算出するまで、S52~S56の処理を繰り返す(
図29のS57)。
【0108】
全エリアのエリア間補正後グレード滞留日数を算出すると(S57:YES)、CPUは、全エリアのグレード別エリア間補正後グレード滞留日数に基づき、グレード別エリア間補正後グレード滞留日数平均値を代表値として算出するとともに(S58)、エリア別に「グレード別エリア間補正後グレード滞留日数」と「グレード別グレード滞留日数平均値」とのギャップ値を算出する(S59)。
【0109】
次に、CPUは、エリア別に「グレード別エリア間補正後グレード滞留日数」と「グレード別グレード滞留日数平均値」に基づき可視化グラフを作成するとともに(S60)、前記ギャップ値が閾値以上の場合、該当グレードのサービス人材の研修内容・構成、現状受講状況を確認・検討するようガイダンスする(S61)。可視化グラフ及びガイダンスを含む可視化画面は、グローバル研修本部の端末3に出力される。
【0110】
図30は、グローバル研修本部の端末3に出力される可視化画面51の表示例を示す図である。可視化画面51の上部には、エリアを選択するためのエリア選択ボタン512が設けられている。
【0111】
可視化画面51の左半分は、グレード別・サービス人数構成比較のための領域であり、サービスマン人数グラフ521と平均値グラフ523とガイダンス文字列525とを含んでいる。サービスマン人数グラフ521は、選択されたエリアの「グレード別エリア間補正後サービスマン人数」を表し、平均値グラフ523は「グレード別サービスマン人数平均値」を表している(
図24のS41を参照)。
【0112】
ガイダンス文字列525は、「グレード別エリア間補正後サービスマン人数」と「グレード別サービスマン人数平均値」とのギャップ値が閾値以上の場合に、予め用意されたメッセージの中から選択され、表示される(
図24のS42を参照)。ガイダンス文字列525のメッセージは、対象エリアのトレーナーに送信されてもよい。
【0113】
可視化画面51の右半分は、グレード別・グレード昇級スピード比較のための領域であり、グレード昇級スピードグラフ531と平均値グラフ533とガイダンス文字列535とを含んでいる。グレード昇級スピードグラフ531は、選択されたエリアの「グレード別エリア間補正後グレード滞留日数」を表し、平均値グラフ533は「グレード別グレード滞留日数平均値」を表している(
図29のS60を参照)。
【0114】
ガイダンス文字列535は、「グレード別エリア間補正後グレード滞留日数」と「グレード別グレード滞留日数平均値」とのギャップ値が閾値以上の場合に、予め用意されたメッセージの中から選択され、表示される(
図29のS61を参照)。ガイダンス文字列525のメッセージは、対象エリアのトレーナーに送信されてもよい。
【0115】
以上に説明した実施形態によれば、エリア毎の経済成長度や教育水準、自社の市場参入度などの種々の事情を考慮しつつも、サービスマンの人数構成比やグレード昇級スピードを一元的に管理することが可能となる。
【0116】
これにより、エリア別教育センターのトレーナーの指導経験や力量の差により発生する、エリア間での、世界共通教育内容に関する技術習得レベルや、そのレベルに到達するのに要する時間のバラツキを補正しながら、全世界のサービスマンの力量底上げと平準化を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0117】
1 人材育成支援システム、2 データベース、3,4 端末、10 管理サーバ、21 エリア情報管理DB、22 エリア別代理店情報管理DB、23 代理店別サービスマン情報管理DB、24 教材情報管理DB、25 チャプター教材情報管理DB、26 研修情報管理DB、27 グレード別カリキュラム情報管理DB、28 サービスマン別研修受講情報管理DB、29 サービスマン別教材学習履歴情報管理DB、30 サービスマン別グレード滞留期間情報管理DB、31 トレーナー情報管理DB、41 研修リスト画面、412 研修項目、414 受講申込ボタン、43 研修画面、432 チャプターアイコン、45 チャプター画面、452 テキストアイコン、454 テストアイコン、51 可視化画面、512 エリア選択ボタン、521 サービスマン人数グラフ、523 平均値グラフ、525 ガイダンス文字列、531 グレード昇級スピードグラフ、533 平均値グラフ、535 ガイダンス文字列