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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】貨物を拘束するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B64D 9/00 20060101AFI20220822BHJP
   B64C 1/20 20060101ALI20220822BHJP
   B64C 1/22 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
B64D9/00
B64C1/20
B64C1/22
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018133101
(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2019043540
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】15/692,009
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル・エー・キサノ・メンデス
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エム・ワイルド
(72)【発明者】
【氏名】アナンスラム・コタ・シャシドハル
(72)【発明者】
【氏名】ハイサン・ケー・トリン
【審査官】岩本 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0209209(US,A1)
【文献】米国特許第03312181(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0259593(US,A1)
【文献】米国特許第06039519(US,A)
【文献】米国特許第05000635(US,A)
【文献】特表2015-525173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0016839(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 9/00
B64C 1/20
B64C 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(110)の胴体(108)の貨物貯蔵室(106)内の2つの第1の取付け箇所(104)に固定された軽減部材(102)と、
前記2つの第1の取付け箇所の間に位置する前記軽減部材の第2の取付け箇所(122)で前記軽減部材に結合される貨物拘束具(116)と、
を備えた、航空機貨物拘束システムであって、
前記貨物拘束具は、前記貨物貯蔵室の貨物デッキ(112)に積載された貨物(124)を拘束するように構成され、
前記軽減部材は、前記貨物拘束具によって前記軽減部材に加えられる荷重に応じて撓むように構成され、
前記軽減部材(102)が、前記2つの第1の取付け箇所(104)で前記胴体(108)の2つのフレーム部分(126)に結合され、
前記軽減部材は、前記2つのフレーム部分の間に延在している、
航空機貨物拘束システム。
【請求項2】
前記軽減部材(102)が、前記胴体(108)の長手方向軸線(114)に略平行な第1の方向に向けられ、
前記貨物拘束具(116)は、前記貨物(124)を横方向に拘束するために、前記胴体の前記長手方向軸線に対して略垂直な第2の方向に向けられる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記軽減部材(102)が、前記貨物拘束具(116)によって前記軽減部材に加えられる横方向荷重(186)に応じて横方向(188)に撓むように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記軽減部材(102)が、前記貨物貯蔵室(106)の前記貨物デッキ(112)に隣接して配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記2つのフレーム部分(126)が、前記航空機(110)の翼(150)が結合されている前記胴体(108)の翼中央部分(128)の一部である、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記軽減部材(102)が、前記2つの第1の取付け箇所(104)の間に位置する取付けゾーン(130)を備え、
前記貨物拘束具(116)が前記軽減部材に結合されている前記第2の取付け箇所(122)は、前記取付けゾーン内にあるように選択される、
請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記取付けゾーン(130)が、前記貨物拘束具(116)によって前記軽減部材に加えられる前記荷重に応じて最小長さ変位寸法(134)を可能とする前記軽減部材(102)の領域(132)によって画定される、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記軽減部材(102)の前記最小長さ変位寸法(134)が、前記貨物拘束具(116)の最大長さ変位寸法(136)と前記貨物拘束具と前記貨物(124)との間の隙間(140)の長さ寸法(138)との差以上である、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記軽減部材(102)が、基部構造(144)及び接続構造(146)を含む細長い一体構造(142)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記軽減部材(102)がシートトラック(148)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
航空機(110)の胴体(108)の貨物貯蔵室(106)内に貨物(124)を拘束するための方法であって、前記方法は、
軽減部材(102)を2つの第1の取付け箇所(104)で前記胴体(108)の2つのフレーム部分(126)に固定するステップと、
前記2つの第1の取付け箇所の間に位置する前記軽減部材の第2の取付け箇所(122)で、貨物拘束具(116)を前記軽減部材に選択的に結合するステップと、
前記貨物を前記貨物拘束具で拘束するステップと、
前記貨物貯蔵室の歪みに応じて前記貨物拘束具を移動させるステップと、
前記貨物拘束具を介して前記軽減部材に加えられる荷重に応じて前記軽減部材を撓ませるステップと
を含
前記軽減部材は、前記2つのフレーム部分の間に延在している、方法。
【請求項12】
前記貨物拘束具(116)の変位が、前記航空機(110)の翼(150)の上方への撓みに応じる、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、航空機の貨物拘束具に関し、より詳細には、航空機の構造の歪みを補償する貨物を拘束するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機は、通常、パレット又はユニットロードデバイス(ULD)と呼ばれる大きなコンテナに貨物を運ぶ。ULD及びパレットは、いくつかの異なる標準化された長さ及び幅で利用可能である。飛行中、航空機及び/又は貨物の損傷を防ぎ、航空機の安定性とバランスを維持するために、すべてのULD及び/又はパレットをしっかりと保持する必要がある。したがって、貨物拘束具は、航空機の貨物室内の格納位置にあるULD及び/又はパレットを拘束するために使用される。このような貨物拘束具は、通常、格納されたULD及び/又はパレットの下縁部に対応する固定点で、航空機の貨物デッキに取り付けられる。
【0003】
いくつかの航空機では、飛行中の航空機の翼の撓みは、航空機の貨物デッキに、特に航空機の翼ボックスの領域で一時的な変化を引き起こす可能性がある。例えば、典型的な飛行荷重は航空機の翼端の上方への撓みを引き起こし、上部翼表面全体を圧縮し、これにより貨物デッキに影響を与え、左右の貨物拘束具を互いに近づける可能性がある。貨物拘束具は屈曲のない固定構造として設計されているため、航空機の貨物デッキの横方向の圧縮は、格納されたULD及び/又はパレットがそれらの貨物拘束具の間で圧迫され、貨物拘束具及び航空機の構造に相当な荷重をもたらす可能性がある。極端な場合には、貨物拘束具にかかる荷重が航空機の支持構造に過荷重をかける可能性がある。
【0004】
航空機の翼の撓みに因り格納されたULD及び/又はパレットを圧迫する固定された貨物拘束具の結果として、航空機の支持構造に伝達される有害な荷重を軽減するために貨物拘束具を設計する試みがなされている。しかしながら、そのような試みは、貨物拘束具に望ましくない複雑さ及びコストを加える。
【0005】
したがって、当業者は航空機貨物拘束具の分野における研究開発努力を継続している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一例では、開示された航空機貨物拘束システムは、航空機の胴体の貨物貯蔵室内の2つの第1の取付け箇所に固定された軽減部材を含む。貨物拘束システムはまた、2つの第1の取付け箇所の間に位置する軽減部材の第2の取付け箇所で軽減部材に結合される貨物拘束具を含む。貨物拘束具は、貨物貯蔵室の貨物デッキに積載された貨物を拘束するように構成される。軽減部材は、貨物拘束具によって軽減部材に加えられる荷重に応じて撓むように構成される。
【0007】
一例では、開示された航空機は、貨物貯蔵室を含む胴体と、貨物貯蔵室内の貨物を拘束する航空機貨物拘束システムとを含む。貨物拘束システムは、貨物貯蔵室内の2つの第1の取付け箇所に固定された軽減部材を含む。貨物拘束システムはまた、2つの第1の取付け箇所の間に位置する軽減部材の第2の取付け箇所で軽減部材に結合される貨物拘束具を含む。貨物拘束具は、貨物デッキに積載された貨物を拘束するように構成される。軽減部材は、貨物拘束具によって軽減部材に加えられる荷重に応じて撓むように構成される。
【0008】
一例では、航空機の胴体の貨物貯蔵室内に貨物を拘束するための開示された方法は、(1)軽減部材を2つの第1の取付け箇所に固定するステップと、(2)2つの第1の取付け箇所の間に位置する軽減部材の第2の取付け箇所で、貨物拘束具を軽減部材に選択的に結合するステップと、(3)貨物を貨物拘束具で拘束するステップと、(4)貨物貯蔵室の歪みに応じて貨物拘束具を移動させるステップと、(5)貨物拘束具を介して軽減部材に加えられる荷重に応じて軽減部材を撓ませるステップと、を含む。
【0009】
開示されたシステム及び方法の他の例、実施形態、又は態様は、以下の詳細な説明、添付の図面、及び添付の特許請求の範囲から明らかとされよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】航空機の一例の概略側方斜視図である。
図2】航空機の翼の上方への撓みの結果としての例示的な航空機の歪みの概略図である。
図3】航空機の貨物貯蔵室の構成例の概略上面図である。
図4】開示された貨物拘束システムの一例の概略部分端斜視図である。
図5】開示された貨物拘束システムの別の例の概略部分端面図である。
図6】開示された貨物拘束システムの別の例の既定位置における概略平面図である。
図7】開示された貨物拘束システムの一例の撓んだ位置における概略平面図である。
図8】開示された貨物拘束システムの別の例の概略部分端面図である。
図9】開示された貨物拘束システムの別の例の概略端面図である。
図10】開示された貨物拘束システムの別の例の概略部分端面図である。
図11】開示された貨物拘束システムの軽減部材の一例の概略側面図である。
図12】貨物を拘束するための開示された方法の一例を示す流れ図である。
図13】例示的な航空機製造及びサービス方法論の流れ図である。
図14】航空機の別の例の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、本開示によって記述される特定の例及び/又は実施形態を示す添付の図面を参照する。異なる構造及び/又は動作を有する他の例及び/又は実施形態は、本開示の範囲から逸脱するものではない。同様の参照符号は、異なる図面において同じ特徴、要素、又は構成要素を指すことができる。
【0012】
本開示による主題の、特許請求されていてもいなくてもよい例示的で非網羅的な例が、以下に提供される。
【0013】
図1は、航空機110の貨物貯蔵室106内に格納された様々な種類の貨物124を示す航空機110の一例を概略的に示している。図1において、航空機110の胴体108の翼中央部分128の一部は、貨物貯蔵室106の内部の一部を示すように切り取られている。貨物拘束具(図1には図示せず)は、貨物124を輸送中に移動させないように、貨物貯蔵室106の貨物デッキ112に貨物124を固定する。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「貨物」は、一般に、航空機110で運ばれる物品、特に物品が内部に固定されるか、物品が内部に格納される構造物を指す。一例として、貨物124は、本明細書ではユニットロードデバイス(ULD)152と呼ばれる大きなコンテナを含み、航空機110による輸送のために物品が保管される。別の例として、貨物124は、本明細書ではパレット154と呼ばれる平坦構造を含み、その上に航空機110による輸送のために物品が安定して固定される。
【0015】
図2は、飛行中又は他の移動中(例えば、滑走路への滑走や、着陸)の間に航空機110の翼150の撓み(例えば、屈曲)の結果としての航空機110の歪みの一例を概略的に示している。歪みは、航空機110の貨物貯蔵室106の構造部品を変える可能性がある。この歪みは、主に、航空機110の翼中央部分128内で生じる。本明細書で使用されるように、航空機110の翼中央部分128は、翼ボックス170(図4及び図5)を含む航空機110の胴体108の一部を含む。
【0016】
一般に、翼150の撓みは、航空機110の横方向の歪みを引き起こす可能性がある。一例では、図2に示すように、翼150の上方への撓みは、航空機110の機体172の内側横方向の歪みを引き起こす可能性があり、貨物124(図1)が積載される貨物デッキ112の凹状歪み又は下方への湾曲を引き起こす可能性がある。別の例(図示せず)では、翼150の下方への撓みは、機体172の外側横方向の歪みを引き起こし、貨物デッキ112の凸状歪み又は上方への湾曲を引き起こす可能性がある。歪みの量は、少なくとも部分的には、船体設計、構造材料、及びより大きな翼の撓み及び歪みを生成するために翼150に大きな力を及ぼし得る乱流のような外力に基づいて変化し得る。
【0017】
図3図11を全体的に参照すると、本明細書で開示される貨物拘束システム100は、貨物貯蔵室106の歪みに適応し、航空機110の貨物貯蔵室106に伝達される有害な荷重を軽減するように構成される。
【0018】
本開示を通して、貨物貯蔵室106には、貨物貯蔵室106を形成する機体172の構造部品、貨物貯蔵室106の貨物デッキ112の構造部品、及び/又は貨物貯蔵室106の貨物デッキ112の下に位置して結合された翼ボックス170の構造部品が含まれる。同様に、貨物貯蔵室106の歪みには、貨物貯蔵室106を形成する機体172の構造部品の歪み、貨物貯蔵室106の貨物デッキ112の構造部品の歪み、及び/又は翼150の撓みから生じる貨物貯蔵室106の貨物デッキ112の下に位置して結合された翼ボックス170の構造部品の歪みが含まれる。
【0019】
一例では、貨物拘束システム100は、軽減部材102と、少なくとも1つの貨物拘束具116とを含む。軽減部材102は、航空機110の胴体108の貨物貯蔵室106内の2つの第1の取付け箇所104(図4図6図7、及び図11)に固定されている。貨物拘束具116は、軽減部材102の第2の取付け箇所122(図4図6、及び図7)で軽減部材102に結合されるように構成される。第2の取付け箇所122は、2つの第1の取付け箇所104の間に位置する。いくつかの例では、貨物拘束具116は、貨物貯蔵室106(図4)の貨物デッキ112にも結合される。貨物拘束具116は、貨物デッキ112に積載された貨物124(図3図8、及び図9)を拘束するように構成される。軽減部材102は、貨物拘束具116(図6及び図7)によって軽減部材102に加えられる荷重に応じて撓むように構成される。
【0020】
各貨物拘束具116は、輸送中に貨物124が移動するのを防止するために、貨物124(例えば、ULD152又はパレット154)と係合するように構成される。軽減部材102の撓みは、航空機110の翼150の撓みによって引き起こされる歪みに応じて、貨物124によって航空機110の貨物貯蔵室106に伝達される荷重を、貨物拘束具116を介して軽減するか、又は低減する。軽減部材102の撓みにより、軽減部材102に結合された貨物拘束具116は、貨物貯蔵室106の歪みに応じて移動し、貨物貯蔵室106の歪みを吸収することができる。
【0021】
図3は、航空機110の貨物貯蔵室106の例示的な構成を概略的に示している。一例では、複数の貨物拘束具116が、様々なタイプ及びサイズの貨物124に対応する地点に設置される。一例として、本明細書では中央拘束具116-1とも呼ばれる、1つ又は複数の貨物拘束具116を、貨物貯蔵室106の長手方向中心160に沿って配置することができる。本明細書では側部拘束具116-2とも呼ばれる、1つ又は複数の貨物拘束具116を、中心線と平行であり、中心線から様々な距離にある長手方向の列に配置することができる。一例として、側部拘束具116-2を、貨物貯蔵室106の側壁168に近接して(例えば、その付近に)又は側壁168に沿って配置することができる。
【0022】
一例では、貨物貯蔵室106の貨物デッキ112はまた、トラック158を含む。図3の例示的な例では、1つ又は複数のトラック158を、貨物貯蔵室106の貨物デッキ112の長手方向中心160に近接して(例えば、その付近に)配置することができる。1つ又は複数の貨物拘束具116を、所望の箇所でトラック158に結合することができる。この例では、トラック158に結合された貨物拘束具116が中央貨物拘束具116-1である。他の例では、1つ又は複数の他のトラック158(図示せず)を中心トラック158と平行に、中心トラック158から様々な距離に配置することができる。
【0023】
一例では、1つ又は複数の軽減部材102を、トラック158と平行に、トラック158から様々な距離に配置することができる。図3の例示的な実施例では、軽減部材102を、例えば貨物貯蔵室106の側壁168に沿って、貨物貯蔵室106の横方向外側面162の近くに配置することができる。1つ又は複数の貨物拘束具116を、所望の箇所で軽減部材102に結合することができる。この例では、軽減部材102に結合された貨物拘束具116が側部貨物拘束具116-2である。
【0024】
一例では、貨物貯蔵室106の貨物デッキ112はまた、ローラー156を含む。ローラー156は、横向きのローラー及び/又は縦向きのローラーを含むことができる。あるいは、ローラー156は、必要に応じて横方向又は縦方向のいずれかに向けることができる旋回ローラーを含んでもよい。ローラー156は、貨物124の底部と貨物貯蔵室106の貨物デッキ112との間の摩擦の大部分を排除するように構成され、それにより、貨物124がより少ない力で再配置されることを可能にする。
【0025】
貨物貯蔵室106の約半分の幅を有する貨物124の場合、貨物124は、貨物124の内側の下縁部が1つ又は複数の中央貨物拘束具116-1によって垂直方向及び横方向に拘束されるように積載及び格納され得、貨物124の対向する外側の下縁部は、1つ又は複数の側部貨物拘束具116-2によって垂直方向及び横方向に拘束される。貨物貯蔵室106と略同じ幅の貨物124の場合、貨物124は航空機の中心線に沿って積載及び格納され得、対向する貨物124の外側下縁部が対向する貨物拘束具116-2のセットによって垂直方向及び横方向に拘束されるようにする。
【0026】
一例では、歪み現象は、貨物貯蔵室106の貨物デッキ112の幅(例えば、横方向寸法)を変えることがある。例えば、貨物デッキ112(図2)の凸状歪み又は下方への湾曲は、貨物デッキ112の幅を減少させる可能性がある。貨物拘束具116が航空機110の構造体に固定されているので、翼150(図2)の上方への撓みに起因する貨物デッキ112の歪みは、貨物貯蔵室106の長手方向中心160に向かって、方向矢印174によって示された内側方向の側部貨物拘束具116-2の横方向変位(例えば、移動)を引き起こす傾向がある。この歪みは、貨物デッキ112の挟み込みを引き起こし、その結果、対向する貨物拘束具116間で貨物124が圧迫されるか、又は挟まれることになる。
【0027】
貨物貯蔵室106の歪みがこの挟み込み効果を生成すると、貨物124の荷重は、貨物貯蔵室106の長手方向中心160又は貨物貯蔵室106の横方向外側面162に不均等に分配されることがある。これは、貨物貯蔵室106を形成する機体172の構造に過荷重を与え、及び/又は貨物貯蔵室106の貨物デッキ112に破損若しくは他の損傷を引き起こす可能性がある。貨物貯蔵室106の歪みはまた、貨物拘束具116が貨物124に貫入力を及ぼすことを引き起こす可能性がある。十分な貫入力は、ULD152又はパレット154(図1)の外壁を破断したり曲げたり、ULD152内に含まれる物品又はパレット154に固定された物品に損傷を与えたりすることによって貨物124を損傷させることがある。
【0028】
図4及び図5を参照すると、一例では、軽減部材102は第1の方向に向けられている。一例として、軽減部材102の向きの第1の方向は、胴体108の長手方向軸線114(図4)に実質的に平行である。貨物拘束具116は、第2の方向に向けられている。一例として、貨物拘束具116の向きの第2の方向は、貨物124を横方向に拘束するために、胴体108の長手方向軸線114に対して実質的に垂直である。別の例として、貨物拘束具116の向きの第2の方向は、軽減部材102の向きの第1の方向に対して実質的に垂直である。
【0029】
一例では、軽減部材102は、2つの軽減支持構造184に結合される。2つの軽減支持構造184は、互いに離間されている。軽減部材102は、2つの軽減支持構造184の間に延在している。軽減部材102は、2つの第1の取付け箇所104で2つの軽減支持構造184に固定される。軽減部材102を2つの軽減支持構造184の間に延在させることにより、2つの第1の取付け箇所の間に位置する軽減部材102の一部が、貨物拘束具116によって2つの第1の取付け箇所の間にある軽減部材102に加えられる荷重に応じて、2つの軽減支持構造184に対して撓む、又は曲がることができる。
【0030】
貨物拘束システム100の例示的な例は、2つの軽減支持構造184に結合された軽減部材102を示しているが、他の例では、軽減部材102は、3つ以上の軽減支持構造184に結合されてもよい。一例として、図11に最もよく示されているように、軽減部材102は、3つ以上の第1の取付け箇所104において、3つ以上の長手方向に離間した軽減支持構造184に結合され、それらの間に延在することができる。この例では、直接的に隣接する一対の第1の取付け箇所の間に位置する軽減部材102の各部分は、貨物拘束具116によって直接的に隣接する第1の取付け箇所104の対の間で、軽減部材102に加えられる荷重に応じて、直接的に隣接する軽減支持構造184の対に対して撓む、又は曲がることができる。
【0031】
一例では、軽減支持構造184は、貨物貯蔵室106を形成する胴体108の機体172のフレーム部分126である。一例として、軽減部材102は、2つの第1の取付け箇所104において2つのフレーム部分126に結合され、軽減部材102は、2つのフレーム部分126の間に延在する。例えば、フレーム部分126は、航空機110の翼150が結合される胴体108の翼中央部分128の一部である。
【0032】
別の例では、軽減支持構造184は、胴体108の機体172から分離した独立した構造である。言い換えれば、軽減支持構造184は、機体172の主要構造の一部を形成しない。一例として、軽減支持構造184は、貨物貯蔵室106の貨物デッキ112に結合されてもよい。別の例として、軽減支持構造184は、貨物貯蔵室106の側壁168(図3)に結合されてもよい。
【0033】
一例では、軽減部材102は、貨物貯蔵室106の貨物デッキ112に隣接して配置される。軽減部材102は、貨物デッキ112に直接結合されていない。一例として、軽減部材102は、軽減支持構造184に結合され、貨物デッキ112の上方に間隔を置いて配置される。貨物デッキ112に対する軽減部材102の箇所は、貨物124の下縁部との係合に適した位置で貨物拘束具116が軽減部材102に結合することを可能にし、軽減部材102を軽減支持構造184及び貨物デッキ112に対して撓ませる、又は曲げることを可能にする。
【0034】
図6及び図7を参照すると、軽減部材102は、貨物拘束具116によって軽減部材102に加えられる横方向荷重186(図7)に応じて、方向矢印188(図7)によって表される横方向に撓むように構成される。貨物拘束具116の相対的な向きは、貨物拘束具116が貨物デッキ112に積載された貨物124(図3)を垂直方向及び横方向に拘束することを可能にする。軽減部材102の相対的な向きは、軽減部材102が貨物拘束具116によって軽減部材102に加えられる横方向荷重186に応じて横方向に撓むことを可能にする。軽減部材102の横方向の撓みは、貨物拘束具116が横方向188に移動することを可能にする。
【0035】
図6は、既定(例えば、無荷重)の位置で軽減部材102と共に貨物貯蔵室106が歪む前の開示された貨物拘束システム100の一例を示している。翼150(図2)が撓む際に、貨物貯蔵室106の歪みは、軽減部材102及び貨物拘束具116を方向矢印190によって表される横方向に、例えば貨物拘束具116が拘束している貨物124に向かって移動させることができる。
【0036】
一例として、翼150(図2)の上方への撓みは、軽減部材102及び貨物拘束具116を横内側方向に動かす貨物貯蔵室106の歪みをもたらす可能性がある。別の例として、翼150の下方への撓みは、軽減部材102及び貨物拘束具116を横内側方向に動かす貨物貯蔵室106の歪みをもたらす可能性がある。
【0037】
軽減部材102は、貨物貯蔵室106の構造の一部に結合されるか、又は構造の一部を形成する軽減支持構造184に結合され、貨物拘束具116は、軽減部材102に結合され、軽減部材102、貨物拘束具116、及び貨物貯蔵室106の構造は剛体として作用し、貨物貯蔵室106の歪みに応じて一緒に移動する。
【0038】
図7は、撓んだ(例えば、荷重をかけられた)位置にある軽減部材102を有する貨物貯蔵室106の歪み中の開示された貨物拘束システム100の一例を示している。翼150(図2)の撓みの間、貨物貯蔵室106の歪みは、貨物拘束具116が貨物124と接触するまで、軽減部材102及び貨物拘束具116を横方向190(図6)に移動させることができる。貨物拘束具116と貨物124との間の接触は、貨物拘束具116を押し戻す横方向荷重186を生成する。軽減部材102及び貨物拘束具116の継続的な横方向変位は、横方向荷重186が軽減部材102によってもたらされる固有の反力に打ち勝つのに十分な力を生成するまで、貨物拘束具116に作用する横方向荷重186を増加させ、結果として、対向する横方向188に軽減部材102が撓む。軽減部材102は、貨物拘束具116の横方向変位によって生じる横方向荷重186の力が低下すると、軽減部材102が減圧し、軽減部材102及び貨物拘束具116を既定位置(図6)に戻す。
【0039】
一例として、翼150(図2)の上方への撓みは、軽減部材102を横外側方向に撓ませるのに十分な外側横方向荷重を引き起こす貨物貯蔵室106の歪みをもたらすことがある。別の例として、翼150の下方への撓みは、軽減部材102を横内側方向に撓ませるのに十分な内側横方向荷重を引き起こす貨物貯蔵室106の歪みをもたらすことがある。
【0040】
図8は、貨物貯蔵室106の幅の約半分である貨物124と共に使用される開示された貨物拘束システム100の一例を示している。この例では、側部貨物拘束具116-2が軽減部材102に結合され、貨物124の外側下端に係合する。中央貨物拘束具116-1は、側部貨物拘束具116-2に対向する貨物デッキ112(例えば、トラック158)に結合され、貨物124の内側下端部と係合する。
【0041】
一例として、翼150(図3)の上方への撓みに応じた貨物貯蔵室106の歪みは、側部貨物拘束具116-2を横内側方向に動かすことがある。側部貨物拘束具116-2の横方向内側変位は、側部貨物拘束具116-2と中央貨物拘束具116-1との間で貨物124を挟むことがあり、これにより、望ましくない横方向荷重186(図7)を貨物貯蔵室106に伝達することがある。この例では、横方向荷重186が軽減部材102によって与えられる固有の反力に打ち勝つのに十分な力を発生するとき、軽減部材102は横外側方向に撓み、貨物貯蔵室106の歪みと横方向荷重186によって発生する力が低下するまで横方向荷重186を軽減する。
【0042】
図9は、貨物貯蔵室106と略同じ幅の貨物124と共に使用される開示された貨物拘束システム100の一例を示している。この例では、第1の(例えば、機体左側)側部貨物拘束具116-2が第1の(例えば、機体左側)軽減部材102に結合され、貨物124の第1の(例えば、機体左側)外側下端に係合する。第2の(例えば、機体右側)側部貨物拘束具116-2は、第1の側部貨物拘束具116-2に対向する第2の(例えば、機体右側)軽減部材102に結合され、貨物124の第2の(例えば、機体右側)外側下端に係合する。
【0043】
一例として、翼150(図3)の上方への撓みに応じた貨物貯蔵室106の歪みは、両側の貨物拘束具116-2を横内側方向に動かすことができる。側部貨物拘束具116-2の横方向内側変位は、側部貨物拘束具116-2間で貨物124を挟むことができ、これにより、望ましくない横方向荷重186(図7)を貨物貯蔵室106に送ることができる。この例では、横方向荷重186が軽減部材102によって与えられる固有の反力に打ち勝つのに十分な力を発生するとき、各軽減部材102は横外側方向に撓み、貨物貯蔵室106の歪みと横方向荷重186によって発生する力が低下するまで横方向荷重186を軽減する。
【0044】
図10を参照すると、一例では、貨物拘束具116は、貨物デッキ112に積載された貨物124と係合するように構成され、貨物デッキ112に対して貨物124を垂直方向及び横方向に拘束するように構成される。貨物拘束具116は、例えば、貨物124の特定のタイプ又は設計(例えば、ULD152又はパレット154)(図1)に基づいて、様々な構造的特徴及び/又は構成を有することができる。一例として、図8及び図9に最もよく示されているように、貨物拘束具116は、貨物124の下縁部に係合するように構成される。
【0045】
一例では、貨物拘束具116は、基部176と、基部176に結合された頭部178とを含む。基部176は、軽減部材102に結合されるように構成される。頭部178は、貨物124と係合するように構成される。頭部178と貨物124との間の係合は、貨物デッキ112に対して貨物124を垂直方向及び横方向に拘束する。
【0046】
特定の例では、図5に最もよく示されているように、基部176はまた、貨物デッキ112(例えば、トラック158)に結合されるように構成されている。一例では、基部176は、内側端部180と、対向する外側端部182とを含む。頭部178は、外側端部182に配置されている。基部176の外側端部182は、軽減部材102に結合されている。基部176の内側端部180は、貨物デッキ112(例えば、トラック158)に結合されている。
【0047】
図11を参照すると、一例では、軽減部材102は、2つの第1の取付け箇所104の間に位置する取付けゾーン130を含む。貨物拘束具116が軽減部材102に結合される第2の取付け箇所122(図4図6、及び図7)は、取付けゾーン130内にあるように選択される。一例では、取付けゾーン130は、貨物拘束具116によって軽減部材102に適用される横方向荷重186(図7)に応じて最小長さ変位寸法134(図7)を可能にする軽減部材102の領域132によって画定される。
【0048】
図10及び図11を参照すると、一例では、軽減部材102の最小長さ変位寸法134(図7)は、貨物拘束具116の最大長さ変位寸法136(図10)と、貨物拘束具116と貨物124との間の隙間140の長さ寸法138(図10)との間の差以上である。貨物拘束具116の最大長さ変位寸法136は、翼150の最大撓みに起因する貨物貯蔵室106の歪みに対応する貨物拘束具116の最大横方向変位である。
【0049】
図11を参照すると、一例では、軽減部材102は、基部構造144と接続構造146とを含む細長い一体構造142を含む。軽減部材102の基部構造144は、十分な横方向荷重186(図7)に応じて変形する(例えば、曲げる)能力と、変形後に元の形状に戻る能力とを有する剛性で弾力性のある材料から形成される。基部構造144は、横方向荷重186の変位力に抗して作用する反力を生成するように構成される。軽減部材102の固有の反力は、軽減部材102の剛性によって画定される。例えば、軽減部材102の剛性を、基部構造144の断面形状と、取付けゾーン130内の第2の取付け箇所122(図5)の選択された位置のうちの少なくとも1つによって制御することができる。
【0050】
軽減部材102の接続構造146は、貨物拘束具116を軽減部材102に取外し可能かつ調節可能に結合できるように構成される。一例では、軽減部材102の接続構造146は、開いた取付具164と閉じた取付具166とを交互に含む。開いた取付具164は、貨物拘束具116のスタッド又は他の取付け用ハードウェア192(図10)を受け入れるように構成される(例えば、成形及び/又は寸法決めされる)。貨物拘束具116の取付け用ハードウェア192は、軽減部材102に沿った所望の長手方向の箇所で開いた取付具164に挿入される。貨物拘束具116の位置は、貨物拘束具116を軽減部材102に沿ってスライドさせることによって固定され、その結果、取付け用ハードウェア192は、開いた取付具164の代わりに閉じた取付具166内に整列される。
【0051】
一例として、軽減部材102は標準化されたトラックである。特定の例として、軽減部材はシートトラック148である。この例では、シートトラック148は、貨物拘束具116(例えば、図3の中央貨物拘束具116-1)の取付けのために貨物デッキ112に結合されたトラック158(図3)と同じであってもよい。
【0052】
図12を参照すると、航空機110の胴体108の貨物貯蔵室106内に貨物124を拘束する方法500も開示されている。方法500は、開示された貨物拘束システム100を利用して達成される。
【0053】
概して図4及び図5、特に図12を一例として参照すると、方法500は、ブロック502に示すように、軽減部材102を2つの第1の取付け箇所104に固定するステップを含む。一例として、軽減部材102は、2つ以上の第1の取付け箇所104で2つ以上の軽減支持構造184に結合される。軽減部材102の各第1の取付け箇所104は、軽減支持構造184の1つに関連付けられている。
【0054】
概して図5図11、特に図12を参照すると、一例では、方法500は、ブロック504に示すように、軽減部材102の取付けゾーン130(図11)を決定するステップを含む。取付けゾーン130は、軽減部材102の中心に近接し、2つの第1の取付け箇所104に向かって両方向に外側に延在し、2つの第1の取付け箇所104から離間した位置で終わる軽減部材102の一部を含む。取付けゾーン130の決定及び取付けゾーン130内の第2の取付け箇所122(図5)の選択は、反復プロセスであってもよい。
【0055】
一例では、取付けゾーン130を決定するステップは、貨物拘束具116と貨物124との間の横方向隙間140(図10)の長さ寸法138を特定する(例えば、測定する)ステップを含む。例えば、図8及び図9に最もよく示されているように、貨物124と貨物124の両側の貨物拘束具116との間に横方向隙間140がある場合、長さ寸法138は、両方の横方向隙間140の合計の長さ寸法であり、これは、第1の貨物拘束具116と貨物124の第1の側面との間での第1の横方向隙間140の第1の長さ寸法138と、第1の貨物拘束具116に対向する第2の貨物拘束具116と、貨物124の第2の側面との間での第2の横方向隙間140の第2の長さ寸法138とを加算することによって決定される。長さ寸法138は、貨物124と接触する前に貨物拘束具116の自由な横方向運動のために利用可能な横方向変位を表す。
【0056】
一例では、取付けゾーン130を決定するステップはまた、翼150(図2)の最大撓みの下での貨物貯蔵室106の歪みによって引き起こされる貨物拘束具116の最大長さ変位寸法136(図10)を計算するステップを含む。
【0057】
一例では、取付けゾーン130を決定するステップはまた、長さ寸法138(図10)を最大長さ変位寸法136(図10)と比較することによって挟み込みが生じるかどうかを決定するステップを含む。長さ寸法138が最大長さ変位寸法136よりも小さいとき、貨物拘束具116による貨物124の挟み込みが生じる。長さ寸法138が最大長さ変位寸法136より大きいとき、貨物拘束具116による貨物124の挟み込みは生じない。
【0058】
一例では、取付けゾーン130を決定するステップはまた、最大長さ変位寸法136より大きい長さ寸法138を差し引くことにより合計の挟み込み寸法を計算するステップを含む。
【0059】
一例では、取付けゾーン130を決定するステップはまた、2つの第1の取付け箇所104(図4)において2つの軽減支持構造184の間に延在し固定される連続ビームとして軽減部材102をモデル化することによって軽減部材102を設計するステップと、2つの第1の取付け箇所104の間の軽減部材102に沿った様々な位置での合計の挟み込み寸法に等しい変位を軽減部材102に加えるステップとを含む。
【0060】
一例では、取付けゾーン130を決定するステップはまた、2つの第1の取付け箇所104の間の軽減部材102の長さに沿った、2つの軽減支持構造184での変位に応じて軽減部材102の反応(例えば、軽減部材102によって提供される固有の反力)を計算するステップを含む。このステップは、軽減部材102の変位の箇所を軽減部材102の略中心から軽減支持構造184に向かって移動させることによって反復的に繰り返されてもよい。取付けゾーン130は、軽減部材102の反応が軽減部材102に加えられる最終的な横方向荷重186(図7)よりも小さい箇所を含む軽減部材102の領域132(図11)に限定される。したがって、取付けゾーン130は、合計の挟み込み寸法以上である横方向荷重186(図7)の適用に応じて軽減部材102の撓み時に横方向変位の最小長さ変位寸法134(図7)を可能とする軽減部材102上の箇所を含む。
【0061】
概して図4及び図11、特に図12を参照すると、方法500はまた、ブロック506に示すように、2つの第1の取付け箇所104の間に位置する軽減部材102の第2の取付け箇所122で軽減部材102に貨物拘束具116を選択的に結合するステップを含む。一例として、第2の取付け箇所122は、軽減部材102の取付けゾーン130内で選択される。
【0062】
概して図8図10及び特に図12を参照すると、方法500はまた、ブロック508に示すように、貨物124を貨物拘束具116で拘束するステップを含む。一例では、少なくとも一対の対向する貨物拘束具116が、貨物デッキ112に対して貨物124を垂直方向に拘束し横方向に拘束する。
【0063】
概して図6及び図7、特に図12を参照すると、方法500はまた、ブロック510に示すように、貨物貯蔵室106の歪みに応じて貨物拘束具116を移動させるステップを含む。貨物貯蔵室106の歪み、ひいては貨物拘束具116の横方向の変位は、航空機110の翼150の撓みに応じる(起因する)。一例では、貨物貯蔵室106の歪み、ひいては貨物拘束具116の横方向内側の変位は、航空機110(図2)の翼150の上方への撓みに応じる。別の例では、貨物貯蔵室106の歪み、ひいては貨物拘束具116の横方向外側の変位は、航空機110の翼150の下方への撓みに応じる。
【0064】
概して図6及び図7、特に図12を参照すると、方法500はまた、ブロック512に示すように、軽減部材102に貨物拘束具116を介して加えられる横方向荷重186(図7)に応じて軽減部材102を撓ませるステップを含む。横方向荷重186は、貨物拘束具116と貨物124との接触及び貨物拘束具116の横方向の継続的な変位のために生成される。
【0065】
本明細書に開示されたシステム100及び方法500の例は、様々な潜在的な用途、特に航空宇宙用途を含む輸送業での用途を見出すことができる。ここで図12及び図13を参照すると、システム100及び方法500の例を、図13の流れ図及び図14の航空機110に示すように、航空機の製造及び保守点検方法1100のコンテキストで使用することができる。開示された例の航空機用途は、航空機110の胴体108の貨物貯蔵室106内に貨物124を拘束することを含むことができる。
【0066】
図13に示すように、製造前に、例示的な方法1100は、ブロック1102に示す航空機110の仕様及び設計と、ブロック1104に示す材料調達とを含むことができる。航空機110の製造中に、ブロック1106に示す構成要素及び部分組立品の製造と、ブロック1108に示す航空機110のシステム統合を行うことができる。その後、航空機110は、ブロック1110に示す認証及び搬送を経由して、ブロック1112に示す就航中となるができる。開示された貨物拘束システム100を、構成要素及び部分組立品の製造(ブロック1106)及び/又はシステム統合(ブロック1108)の一部として設計及び設置することができる。就航中に、開示された方法500を、貨物拘束システム100を利用して、航空機110の胴体108の貨物貯蔵室106内で貨物124を拘束することによって達成することができる。定期的な整備及び保守点検は、航空機110の1つ又は複数のシステムの修正、再構成、改装などを含むことができる。
【0067】
例示的な方法の各プロセスを、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)が実行することができる。この説明の目的のために、システムインテグレータは、非限定的に、任意の数の航空機製造業者及び主要システムの下請業者を含んでもよく、第三者は、非限定的に、任意の数のベンダ、下請業者、及びサプライヤを含んでもよく、オペレータは、航空会社、リース会社、軍部、サービス組織等であってもよい。
【0068】
図14に示すように、例示的な方法によって製造された航空機110は、機体172と、複数の高レベルのシステム1204と、例えば貨物拘束システム100を有する貨物貯蔵室106を含む内部1206とを含むことができる。高レベルのシステム1204の例には、推進システム1208、電気システム1210、油圧システム1212、及び環境システム1214の1つ又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙の例が示されているが、本明細書に開示される原理は、自動車産業や海洋産業などの他の産業にも適用され得る。
【0069】
本明細書に示され説明されたシステム及び方法の例は、流れ図に示される航空機の製造及び保守点検方法1100の任意の1つ又は複数の段階の間に利用されてもよい。例えば、構成要素及び部分組立品の製造(ブロック1106)に対応する構成要素又は部分組立品は、航空機110が就航中(ブロック1112)に生産された構成要素又は部分組立品と同様の方法で製造されてもよい。また、システム、方法、又はそれらの組合せの1つ又は複数の例は、製造段階で利用されてもよい(ブロック1108及び1110)。同様に、航空機110が就航中(ブロック1112)並びに整備及び保守点検段階(ブロック1114)に、システム、方法、又はそれらの組合せの1つ又は複数の例が、例えば限定なしに利用されてもよい。
【0070】
さらに、本開示は、以下の条項に係る実施形態を含む。
【0071】
1.航空機の胴体の貨物貯蔵室内の2つの第1の取付け箇所に固定された軽減部材と、
前記2つの第1の取付け箇所の間に位置する前記軽減部材の第2の取付け箇所で前記軽減部材に結合される貨物拘束具と、
を備えた、航空機貨物拘束システムであって、
前記貨物拘束具は、前記貨物貯蔵室の貨物デッキに積載された貨物を拘束するように構成され、
前記軽減部材は、前記貨物拘束具によって前記軽減部材に加えられる荷重に応じて撓むように構成されている、
航空機貨物拘束システム。
【0072】
2.前記軽減部材が、前記胴体の長手方向軸線に実質的に平行な第1の方向に向けられ、
前記貨物拘束具は、前記貨物を横方向に拘束するために、前記胴体の前記長手方向軸線に対して実質的に垂直な第2の方向に向けられる、
条項1に記載のシステム。
【0073】
3.前記軽減部材が、前記貨物拘束具によって前記軽減部材に加えられる横方向荷重に応じて横方向に撓むように構成されている、条項2に記載のシステム。
【0074】
4.前記軽減部材が、前記貨物貯蔵室の前記貨物デッキに隣接して配置されている、条項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【0075】
5.前記軽減部材が、前記2つの第1の取付け箇所で前記胴体の2つのフレーム部分に結合され、
前記軽減部材は、前記2つのフレーム部分の間に延在している、
条項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【0076】
6.前記2つのフレーム部分が、前記航空機の翼が結合されている前記胴体の翼中央部分の一部である、条項5に記載のシステム。
【0077】
7.前記軽減部材が、前記2つの第1の取付け箇所の間に位置する取付けゾーンを備え、
前記貨物拘束具が前記軽減部材に結合されている前記第2の取付け箇所は、前記取付けゾーン内にあるように選択される、
条項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【0078】
8.前記取付けゾーンが、前記貨物拘束具によって前記軽減部材に加えられる前記荷重に応じて最小長さ変位寸法を可能とする前記軽減部材の領域によって画定される、条項7に記載のシステム。
【0079】
9.前記軽減部材の前記最小長さ変位寸法が、前記貨物拘束具の最大長さ変位寸法と前記貨物拘束具と前記貨物との間の隙間の長さ寸法との差以上である、条項8に記載のシステム。
【0080】
10.前記軽減部材が、基部構造及び接続構造を含む細長い一体構造を備える、条項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【0081】
11.前記軽減部材がシートトラックを備える、条項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【0082】
12.貨物貯蔵室を含む胴体と、
前記貨物貯蔵室内の貨物を拘束する航空機貨物拘束システムと、
を備えた航空機であって、前記航空機貨物拘束システムは、
前記貨物貯蔵室内の2つの第1の取付け箇所に固定された軽減部材と、
前記2つの第1の取付け箇所の間に位置する前記軽減部材の第2の取付け箇所で前記軽減部材に結合される貨物拘束具と、
を備え、
前記貨物拘束具は、前記貨物貯蔵室の貨物デッキに積載された前記貨物を拘束するように構成され、
前記軽減部材は、前記貨物拘束具によって前記軽減部材に加えられる荷重に応じて撓むように構成されている、
航空機。
【0083】
13.前記軽減部材が、前記貨物貯蔵室の前記貨物デッキに隣接して配置され、
前記軽減部材は、前記胴体の長手方向軸線に実質的に平行な第1の方向に向けられ、
前記貨物拘束具は、前記胴体の前記長手方向軸線に対して実質的に垂直な第2の方向に向けられる、
条項12に記載の航空機。
【0084】
14.前記胴体が複数のフレーム部分をさらに含み、
前記軽減部材は、前記2つの第1の取付け箇所で前記複数のフレーム部分のうちの2つに結合され、
前記軽減部材は、前記複数のフレーム部分のうちの前記2つの間に延在している、
条項13に記載の航空機。
【0085】
15.前記複数のフレーム部分のうちの前記2つが、前記航空機の翼が結合されている前記胴体の翼中央部分を部分的に形成する、条項14に記載の航空機。
【0086】
16.前記軽減部材が、前記2つの第1の取付け箇所の間に位置する取付けゾーンを備え、
前記貨物拘束具が前記軽減部材に結合されている前記第2の取付け箇所は、前記取付けゾーン内にあるように選択される、
条項12から15のいずれか一項に記載の航空機。
【0087】
17.前記取付けゾーンが、前記貨物拘束具によって前記軽減部材に加えられる前記荷重に応じて最小長さ変位寸法を可能とする前記軽減部材の領域によって画定される、条項16に記載の航空機。
【0088】
18.前記軽減部材の前記最小長さ変位寸法が、前記貨物拘束具の最大長さ変位寸法と前記貨物拘束具と前記貨物との間の隙間の長さ寸法との差以上である、条項17に記載の航空機。
【0089】
19.航空機の胴体の貨物貯蔵室内に貨物を拘束するための方法であって、前記方法は、
軽減部材を2つの第1の取付け箇所に固定するステップと、
前記2つの第1の取付け箇所の間に位置する前記軽減部材の第2の取付け箇所で、貨物拘束具を前記軽減部材に選択的に結合するステップと、
前記貨物を前記貨物拘束具で拘束するステップと、
前記貨物貯蔵室の歪みに応じて前記貨物拘束具を移動させるステップと、
前記貨物拘束具を介して前記軽減部材に加えられる荷重に応じて前記軽減部材を撓ませるステップと
を含む、方法。
【0090】
20.前記貨物拘束具の前記変位が、前記航空機の翼の上方への撓みに応じる、条項19に記載の方法。
【0091】
本明細書での「例」への言及は、例に関連して記載された1つ又は複数の形態、構造、要素、構成要素、特徴及び/又は動作ステップが、本開示による主題の少なくとも1つの実施形態及び又は実装形態に含まれることを意味する。したがって、本開示を通じて、「一例」、「別の例」の語句、及び類似の用語は、必ずしもそうではないが、同じ例を参照することができる。さらに、任意の一例を特徴付ける主題は、必ずしもそうではないが、他の例を特徴付ける主題を含むことができる。
【0092】
ここでの「構成された(configured)」への言及は、「~するように構成される(configured to)」という語句に先行する要素又は形態の物理的な特徴に要素又は形態を基本的に結びつける構成の実際の状態を示す。
【0093】
他に言及がない限り、「第1の」、「第2の」などの用語は単にラベルとして使用され、これらの用語が参照する項目に順序、位置、又は階層の要件を課すことを意図しない。さらに、例えば「第2の」項目への言及は、より小さい番号の項目(例えば「第1の」項目)及び/又はより大きい番号の項目(例えば「第3の」項目)の存在を必要としないか排除するものではない。
【0094】
本明細書で使用する「およそ(approximately)」及び「約(about)」という用語は、依然として所望の機能を果たすか、又は所望の結果を達成する記載量に近い量を表す。例えば、「およそ(approximately)」及び「約(about)」という用語は、記載量の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、及び0.01%未満の範囲内の量を意味し得る。
【0095】
本明細書で使用される場合、「実質的に(substantially)」という用語は、正確であると認識される程度に正確であること、及び類似していることを含み得る。例示のみを目的とし、限定的な例としてではなく、「実質的に」という用語は、正確な又は実際の値から+/-5%の分散として定量化され得る。例えば、「AはBと実質的に同じである」という語句は、AがBと全く同じである実施形態、又はAが例えばBの値+/-5%の分散の範囲内、又はその逆であり得る実施形態を含むことがある。
【0096】
上記で言及した図12及び図13において、ブロックは、動作及び/又はその一部を表してもよく、様々なブロックを接続する線は、動作又はその一部の特定の順序又は依存関係を意味するものではない。様々な開示された動作間のすべての依存関係が必然的に表されるわけではないことが理解されよう。図12及び図13並びに本明細書に記載の方法の動作を説明する付随する開示は、動作が実行されるシーケンスを必ず決定するものと解釈されるべきではない。むしろ、1つの例示的な順序が示されているが、動作のシーケンスは、適切なときに変更されてもよいことが理解されるべきである。したがって、図示された動作に対して修正、追加及び/又は省略が行われてもよく、ある動作は異なる順序で実行されても、同時に実行されてもよい。さらに、当業者であれば、説明されたすべての動作が実行される必要はないことを理解されよう。
【0097】
開示されたシステム及び方法の様々な例が示され、説明されてきたが、当業者であれば本明細書を読めば修正が可能である。本出願は、このような修正を含み、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0098】
100 貨物拘束システム
102 軽減部材
104 取り付け箇所
106 貨物貯蔵室
108 胴体
110 航空機
112 貨物デッキ
114 長手方向軸線
116 貨物拘束具
122 取り付け箇所
124 貨物
126 フレーム部分
128 翼中央部分
130 取り付けゾーン
132 領域
134 最小長さ変位寸法
136 最大長さ変位寸法
138 長さ寸法
140 隙間
142 一体構造
144 基部構造
146 接続構造
148 シートトラック
150 翼
154 パレット
156 ローラー
158 トラック
160 長手方向中心
162 横方向外側面
164 開いた取付具
166 閉じた取付具
168 側壁
170 翼ボックス
172 機体
174 方向矢印
176 基部
178 頭部
180 内側端部
182 外側端部
184 軽減支持構造
186 横方向荷重
188 横方向
190 横方向
192 取り付け用ハードウェア
1100 航空機の製造及び保守点検方法
1204 システム
1206 内部
1208 推進システム
1210 電気システム
1212 油圧システム
1214 環境システム
図1
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