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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】送電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20220822BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20220822BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220822BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20220822BHJP
   B60L 53/124 20190101ALN20220822BHJP
   B60M 7/00 20060101ALN20220822BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/12
H02J7/00 301D
H01F38/14
B60L53/124
B60M7/00 X
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018138868
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020018073
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】深江 唯正
(72)【発明者】
【氏名】巳波 敏生
(72)【発明者】
【氏名】田渕 功
(72)【発明者】
【氏名】内野 昭
(72)【発明者】
【氏名】谷口 道夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 良平
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 義範
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-059236(JP,A)
【文献】特開2016-059141(JP,A)
【文献】特開2015-006056(JP,A)
【文献】特開2013-121209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
H02J 7/00
H01F 38/14
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
B60M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電コイルと、
該送電コイルの軸方向に直交する方向に沿って延びる送電面を有し、前記送電コイルを収納するケースと、
前記送電面上を移動する異物除去部と、
前記異物除去部の移動又は停止を判定する判定部と
該判定部にて前記異物除去部が停止していると判定した場合、前記異物除去部の停止を示す信号を出力する出力部と
を備え
前記送電コイル及び送電面は平面視矩形状をなし、
前記送電面の縁部における長手方向中央部分に、前記異物除去部の駆動を行う駆動部が設けられており、
前記異物除去部は、前記送電面上を移動しながら伸縮することが可能なブレードである
送電装置。
【請求項2】
前記異物除去部のトルクを検出するトルクセンサと、
該トルクセンサによって検出されたトルクが閾値以上であるか否かを判定する第2判定部と
を備え、
前記第2判定部にて、トルクが前記閾値以上であると判定された場合、前記送電面における異物の存在を報知する
請求項に記載の送電装置。
【請求項3】
前記異物除去部のトルクを検出するトルクセンサと、
該トルクセンサによって検出されたトルクが第2閾値以下であるか否かを判定する第3判定部と
を備え、
前記第3判定部にて、トルクが前記第2閾値以下であると判定された場合、前記異物除去部の故障を報知する
請求項1に記載の送電装置。
【請求項4】
送電コイルと、
該送電コイルの軸方向に直交する方向に沿って延びる送電面を有し、前記送電コイルを収納するケースと、
前記送電面上を移動する異物除去部と、
前記異物除去部の移動又は停止を判定する判定部と、
該判定部にて前記異物除去部が停止していると判定した場合、前記異物除去部の停止を示す信号を出力する出力部と、
前記異物除去部のトルクを検出するトルクセンサと、
該トルクセンサによって検出されたトルクが第2閾値以下であるか否かを判定する第3判定部と
を備え、
前記第3判定部にて、トルクが前記第2閾値以下であると判定された場合、前記異物除去部の故障を報知する
送電装置。
【請求項5】
前記送電コイルの軸心回りに前記異物除去部は回転する
請求項に記載の送電装置。
【請求項6】
前記送電コイル及び送電面は平面視矩形状をなし、
前記送電面の縁部における長手方向中央部分に、前記異物除去部の駆動を行う駆動部が設けられている
請求項に記載の送電装置。
【請求項7】
前記送電面は、前記送電面の縁に向けて下降するように傾斜している
請求項1から6のいずれか一つに記載の送電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電力を送る送電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両への充電中又は充電前に、光、風、超音波などを送電コイルに向けて発生させて、送電コイルから動物を排除する充電システムが提案されている。充電システムは、送電コイル付近を撮像し、撮像した画像に基づいて、動物又は人間などの排除対象物の存否を判定し、排除対象物が存在すると判定した場合、その旨、報知していた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5316558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記充電システムは、排除対象物を排除する手段(光、風、超音波などを発生させる手段)と、排除対象物の存否を判定する手段(撮像手段)とが別であり、装置構成が複雑化している。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、簡素な構成にて、排除対象物の存否を判定し、排除対象物を排除する送電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る送電装置は、送電コイルと、該送電コイルの軸方向に直交する方向に沿って延びる送電面を有し、前記送電コイルを収納するケースと、前記送電面上を移動する異物除去部と、前記異物除去部の移動又は停止を判定する判定部と該判定部にて前記異物除去部が停止していると判定した場合、前記異物除去部の停止を示す信号を出力する出力部とを備える。
【0007】
本開示においては、異物除去部によって、異物を除去する。また異物除去部が停止している場合、動物又は人間などの生体がケース付近に存在すると推察されるので、異物除去部の停止を示す信号を、例えば警告部に出力し、生体に警告を発する。異物除去部は、異物除去手段及び生体存否検出手段を兼用する。
【0008】
本開示に係る送電装置は、前記送電面は、前記送電面の縁に向けて下降するように傾斜している。
【0009】
本開示においては、異物が送電面に載った場合に、異物の下方への移動を促進させて、異物を送電面から離れさせることができる。
【0010】
本開示に係る送電装置は、前記送電コイルの軸心回りに前記異物除去部は回転する。
【0011】
本開示においては、送電コイルの軸心回りに回転することによって、異物除去部は、送電面における送電コイルの専有領域に存在する異物を効率的に除去することができる。
【0012】
本開示に係る送電装置は、前記送電コイル及び送電面は平面視矩形状をなし、前記送電面の縁部における長手方向中央部分に、前記異物除去部の駆動を行う駆動部が設けられている。
【0013】
本開示においては、送電コイル及び送電面を平面視矩形状に形成し、平面視円形状に形成する場合に比べて、送電コイルの設置時に発生するデッドスペースを減らし、送電装置の小型化を促進させることができる。
【0014】
本開示に係る送電装置は、前記異物除去部のトルクを検出するトルクセンサと、該トルクセンサによって検出されたトルクが閾値以上であるか否かを判定する第2判定部とを備え、前記第2判定部にて、トルクが前記閾値以上であると判定された場合、前記送電面における異物の存在を報知する。
【0015】
本開示においては、トルクセンサの検出値が閾値以上である場合、異物によって異物除去部に作用するトルクが大きくなっていると推察されるので、異物の存在を報知し、異物の除去を促す。
【0016】
本開示に係る送電装置は、前記異物除去部のトルクを検出するトルクセンサと、該トルクセンサによって検出されたトルクが第2閾値以下であるか否かを判定する第3判定部とを備え、前記第3判定部にて、トルクが前記第2閾値以下であると判定された場合、前記異物除去部の故障を報知する。
【0017】
本開示においては、トルクセンサの検出値が第2閾値以下である場合、異物除去部が破損していると推察されるので、異物除去部の故障を報知し、異物除去部の修理又は交換を促す。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係る送電装置にあっては、異物除去部によって、異物を除去する。また異物除去部が停止している場合、動物又は人間などの生体がケース付近に存在すると推察されるので、異物除去部の停止を示す信号を、例えば警告部に出力し、生体に警告を発する。異物除去部は、異物除去手段及び生体存否検出手段を兼用し、送電装置の構成は簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1に係る送電装置、ロック装置及び車両を示す模式図である。
図2】送電ユニット1を略示する平面図である。
図3図2のIII-III線を切断線とした断面図である。
図4】制御装置付近の構成を示すブロック図である。
図5】FPGAによる送電及び異物除去処理を説明するフローチャートである。
図6】FPGAによる異物及び故障検出処理を説明するフローチャートである。
図7】実施の形態2に係る制御装置付近の構成を示すブロック図である。
図8】FPGAによる送電及び異物除去処理を説明するフローチャートである。
図9】実施の形態3に係る送電ユニットを略示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る送電装置を示す図面に基づいて説明する。図1は、送電装置、ロック装置及び車両を示す模式図である。
【0021】
送電装置は、送電ユニット1及び送電制御ユニット10を備える。送電制御ユニット10が地上に設置されている。送電制御ユニット10は、例えば、直方体状の筐体11を備える。筐体11には、例えば、高周波電源装置及び制御装置12(図4参照)が収納されている。制御装置12の詳細は後述する。
【0022】
送電制御ユニット10には、配線9を介して送電ユニット1が接続されている。送電ユニット1は地上に設置されている。送電ユニット1は、後述する送電コイル3(図2図3参照)を備える。送電制御ユニット10は送電コイル3に電力を供給する。送電コイル3には電流が流れる。
【0023】
車両20には、受電コイル21、受電ユニット22及びバッテリ23が搭載されている。受電コイル21は、受電ユニット22を介してバッテリ23に接続されている。受電コイル21は、車両20の底面に配置されており、所定位置に車両20を停止させた場合、例えば、車止め(図示略)に接触させて車両20を停止させた場合、送電ユニット1に対向するように、車両20に設置されている。受電ユニット22は、整流回路、共振コンデンサなどを備える。受電コイル21は送電コイル3と磁気結合し、送電コイル3から受電コイル21に、非接触給電が行われ、バッテリ23は蓄電する。
【0024】
送電ユニット1及び送電制御ユニット10は、例えば有料の駐車場に設置される。送電ユニット1から離間した位置に、車両20の移動を規制するロック装置30が設置されている。車両20を前記所定位置に停止させた場合、車両20の前輪及び後輪の間の位置に、ロック装置30が配置される。ロック装置30は上下に移動するロック板31と、車両を検出する車両検出センサ32とを備える。ロック板31は、ロック板31が上昇を完了した位置(以下、上位置という)と、ロック板31が下降を完了した位置(以下、下位置という)との間を移動する。車両検出センサ32には、例えば近接センサが使用され、磁気センサを使用した近接センサ、発光素子及び受光素子を使用した近接センサ、又は超音波を使用した近接センサなどが使用される。ロック装置30はロック板31を駆動させる駆動機構(図示略)を備える。車両検出センサ32が車両20の存在を検出した場合、駆動機構はロック板31を上位置まで上昇させる。上昇したロック板31は、車両20の底面に近接し、車両20の移動を規制する。車両検出センサ32が車両20の不存在を検出した場合、駆動機構はロック板31を下位置まで下降させる。ロック板31の下降によって、車両20の移動規制が解除される。
【0025】
図2は、送電ユニット1を略示する平面図、図3は、図2のIII-III線を切断線とした断面図である。送電ユニット1は、送電コイル3を収納するケース2を備える。ケース2は、平面視円形の底面部2bと、底面が開口した円錐台状をなす送電面部2aとを有する。送電面部2aは、底面部2bに略平行且つ底面部2bよりも小径の平面視円形をなす頂部2fと、該頂部2fの外周全体から傘状に突出し、下向きに傾傾した傾斜部2gとを備える。送電面部2aは、開口を底面部2bに向けて配置され、送電面部2aと底面部2bとは、軸方向に離隔している。頂部2fは底面部2bに対して同軸的に配置されている。送電面部2aの直径と、底面部2bの直径とは略同じである。送電面部2aの外周部分と、底面部2bの外周部分とは、円筒状の周面部2cによって連結されている。周面部2cの外周に、円弧状をなす樋状の異物受け2hが取り外し可能に取り付けられている。なお異物受け2hに代えて、周面部2cの周囲の地面に、異物を受ける溝を形成するか又は溝状の部品を埋め込んでもよい。送電面部2aを露出させて、送電ユニット1は地上に設置される。
【0026】
ケース2には、送電面部2a及び底面部2bに略平行なシート状をなすシールド4と、該シールド4の一面に配置された平面視渦巻き状をなす送電コイル3とが収納されている。シールド4は、磁性体によって構成されており、例えばフェライト部材によって構成される。シールド4は、後述するモータ5への磁界の影響を抑制させ、送電効率を向上させる。送電コイル3は送電面部2aに対向し、シールド4は底面部2bに対向する。
【0027】
底面部2bの外面にモータ5が設けられている。モータ5には、軸回りに回転する回転軸6が接続されている。送電コイル3の径方向中央付近にコイルは存在せず、コイルに囲まれた空間が設けられている。回転軸6は、送電コイル3の径方向中央付近、即ちコイルに囲まれた空間に配置される。回転軸6は、送電コイル3の軸方向に延び、送電面部2a及び底面部2bを貫通している。なお回転軸6と送電面部2aとの隙間、及び回転軸6と底面部2bとの隙間には、シール部材2dがそれぞれ設けられており、液体がケース2内に侵入することを防止している。
【0028】
回転軸6の一端部は送電面部2aの頂部2fを貫通し、頂部2fよりも外側に突出する。回転軸6の一端部からブレード7が突出している。ブレード7は、傾斜部2gの外面、即ち傾斜面に沿って、送電コイル3の径方向に延びる。前記径方向において、ブレード7の先端部はケース2よりも外側に位置する。即ち、ブレード7の寸法は、送電面部2aの半径よりも長い。なおブレード7の寸法は送電面部2aの半径の半径と略同じでもよく、前記半径よりも若干短くてもよい。ブレード7は、送電面部2aの外面に接触する。ブレード7は、例えば、樹脂部材又はワイヤなどの柔軟性及び耐衝撃性の高い素材によって構成される。回転軸6の一端部から複数のブレード7が突出してもよい。回転軸6の他端部は底面部2bを貫通し、モータ5に接続されている。モータ5には、モータ5の速度を検出する速度センサ5aと、モータ5のトルクを検出するトルクセンサ5bとが設けられている。
【0029】
送電制御ユニット10は、例えば、送電コイル3による送電の実行前又は実行中にモータ5を駆動させる。モータ5の駆動によって、回転軸6は回転し、ブレード7は、送電面部2aの傾斜部2gに接触し、送電コイル3の軸心回りに回転する。傾斜部2gの外面にクリップ、葉、昆虫などの異物が付着している場合、ブレード7は異物を除去する。ブレード7によって、除去された異物は、異物受け2hに収納される。異物受け2hを周面部2cから取り外すことによって、異物受け2hから異物を容易に除去させることができる。送電面部2aに生体、例えば猫がいる場合、ブレード7の回転によって、生体を送電ユニット1から移動させることができる。
【0030】
図4は、制御装置12付近の構成を示すブロック図である。制御装置12は、FPGA(Field Programmable Gate Array)12a、記憶部12b、タイマ12c及びアンテナ12dを備える。FPGA12aはRAM(図示略)を有する。記憶部12bは、例えばEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの書き換え可能な不揮発性メモリを有し、FPGA12aのコンフィギュレーションデータを記憶する。記憶部12bからRAMにコンフィギュレーションデータが読み出され、FPGA12aは送電装置の制御、例えば送電処理又はモータ5の駆動処理などを実行する。記憶部12bに記憶されたコンフィギュレーションデータは必要に応じて書き換えられる。記憶部12bには、送電装置の制御に使用される各種情報、例えば閾値が予め記憶されている。車両20は、受電コイル21、受電ユニット22及びバッテリ23を制御する制御部(図示略)を備え、FPGA12aはアンテナ12dを介して車両20の制御部と通信することができる。なおFPGA12aに代えて、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサを使用してもよい。
【0031】
ロック板31に、ロック板31の位置を検出する位置センサ31aが設けられている。位置センサ31aは、例えばポテンショメータを有する。速度センサ5a、車両検出センサ32、トルクセンサ5b及び位置センサ31aの検出値は制御装置12に入力される。筐体11には、情報を表示する表示部11aが設けられている。音、光、超音波又は風などを発する警告部16が送電ユニット1の近傍に設けられている。制御装置12は、表示部11aに情報を表示する信号を出力し、モータ5及び警告部16に駆動又は停止信号を出力し、ロック装置30にロック板31の上昇又は下降信号を出力する。
【0032】
図5は、FPGA12aによる送電及び異物除去処理を説明するフローチャートである。ロック板31は下降位置に配されており、モータ5は停止しているとする。車両20は、送電ユニット1及びロック装置30に向けて接近しているとする。
【0033】
FPGA12aは、車両検出センサ32の出力を取り込み、車両20がロック板31の上側に存在すると判定されるまで待機する(S1:NO)。車両20がロック板31の上側に存在すると判定された場合(S1:YES)、FPGA12aは、ロック装置30に上昇信号を出力し、ロック板31の上昇を開始させ(S2)、モータ5に駆動信号を出力し、モータ5の回転を開始させる(S3)。モータ5の回転によって、ブレード7は送電面部2a上を移動する。
【0034】
FPGA12aは、速度センサ5aの出力を取り込み、モータ5の速度が予め定めた閾値以下であるか否か判定する(S4)。モータ5の速度が予め定めた閾値以下、例えば秒速1mm以下である場合(S4:YES)、送電面部2a上に、犬、猫又は人間などの生体が存在し、ブレード7の移動が妨げられ、ブレード7が停止しているおそれがあり、FPGA12aは表示部11aに生体の存在を示す情報を送信する(S5)。表示部11aは、生体の存在を示す情報を表示し、生体の存在を報知する。前記情報を表示することによって、車両20から降りた乗員に生体の存在を認知させることができる。FPGA12aは、警告部16に駆動信号を出力する(S6)。換言すれば、FPGA12aは、警告部16にブレード7の停止を示す信号を出力する。警告部16は、音、光、超音波又は風などを発し、送電面部2aから生体を移動させることができる。
【0035】
FPGA12aはタイマ12cを参照し、所定時間が経過するまで待機する(S7:NO)。警告部16の駆動から所定時間が経過した場合(S7:YES)、FPGA12aは、速度センサ5aの出力を取り込み、モータ5の速度が予め定めた閾値以下であるか否か判定する(S8)。モータ5の速度が予め定めた閾値以下である場合(S8:YES)、警告後も送電面部2a上に生体が存在し、ブレード7が停止しているおそれがあり、FPGA12aは、モータ5に停止信号を出力し(S9)、送電中であるのか否かを判定する(S10)。送電中である場合(S10:YES)、FPGA12aは送電を停止させ(S11)、処理を終了する。送電中でない場合(S10:NO)、FPGA12aは処理を終了する。
【0036】
S8において、モータ5の速度が予め定めた閾値以下でない場合(S8:NO)、即ち、モータ5の速度が予め定めた閾値を超過した場合、表示部11aにおける生体の存在の表示及び警告部16による警告動作を終了させる(S12)。FPGA12aは送電中であるのか否かを判定する(S13)。
【0037】
送電中でない場合(S13:NO)、及びS4において、モータ5の速度が予め定めた閾値以下でない場合(S4:NO)、即ち、モータ5の速度が予め定めた閾値を超過し、ブレード7が回転している場合、FPGA12aは、位置センサ31aの出力を取り込み、ロック板31が上位置に配されたか否かを判定する(S14)。ロック板31が上位置に配されていない場合(S14:NO)、FPGA12aはS4に処理を戻す。
【0038】
ロック板31が上位置に配されている場合(S14:YES)、FPGA12aは、モータ5に停止信号を出力する(S15)。S2~S4、並びにS14及びS15において、FPGA12aは、ロック板31の上昇が完了するまで、ブレード7を回転させる。
【0039】
FPGA12aは、送電コイル3に電流を流し、送電を開始し(S16)、送電を終了させるか否か判断する(S17)。例えば、車両20の制御部から送電中止要求があった場合、FPGA12aは送電を終了させる。ステップS13において、送電中であると判定した場合(S13:YES)、FPGA12aはS17に処理を進める。FPGA12aは送電を終了させないと判定した場合(S17:NO)、FPGA12aはモータ5に駆動信号を出力し、モータ5の回転を開始させ(S18)、タイマ12cを参照して所定時間が経過するまで待機する(S19:NO)。
【0040】
所定時間が経過した場合(S19:YES)、FPGA12aは、速度センサ5aの出力を取り込み、モータ5の速度が予め定めた閾値以下であるか否か判定する(S20)。モータ5の速度が予め定めた閾値以下でない場合(S20:NO)、即ち、モータ5の速度が予め定めた閾値を超過し、ブレード7が回転している場合、FPGA12aは、モータ5に停止信号を出力し(S21)、タイマ12cを参照し、所定時間経過するまで待機する(S22:NO)。所定時間経過後(S22:YES)、FPGA12aはS17に処理を戻す。S17~S22において、送電開始後、FPGA12aは、定期的にブレード7を回転させている。
【0041】
S17において、送電を終了させると判定した場合(S17:YES)、FPGA12aは、S11に処理を進め、送電を停止させて、処理を終了する。S20において、モータ5の速度が予め定めた閾値以下である場合(S20:YES)、例えば、ブレード7が停止している場合、FPGA12aはS5に処理を進める。
【0042】
なおS4、S8及びS20において、モータ5の速度が予め定めた閾値以下である場合、ブレード7の停止を検出しているが、モータ5の速度が予め定めた閾値以下である場合、モータ5を逆回転させて、逆回転におけるモータ5の速度が予め定めた閾値以下である場合、ブレード7の停止を検出してもよい。
【0043】
図6は、FPGA12aによる異物及び故障検出処理を説明するフローチャートである。FPGA12aは、モータ5の駆動中に、モータ5のトルクに基づいて、送電面部2aに異物が存在するか否か、及びブレード7が故障しているか否かを検出する。
【0044】
FPGA12aは、トルクセンサ5bの出力を取り込み、トルクセンサ5bにて検出されたトルクが予め定めた閾値A以上であるか否か判定する(S31)。トルクが閾値A以上である場合(S31:YES)、異物の存在による抵抗が発生し、モータ5のトルクが大きくなっていると推測される。FPGA12aは表示部11aに、異物存在を示す情報を送信する(S32)。表示部11aは、異物の存在を示す情報を表示する。表示部11aは、管理者又は車両20から降りた乗員に、送電面部2a上における異物の存在を認知させることができる。FPGA12aはS31に処理を戻す。
【0045】
S31において、トルクが予め定めた閾値A以上でない場合(S31:NO)、即ち、閾値A未満である場合、FPGA12aは、トルクセンサ5bにて検出されたトルクが予め定めた閾値B以下であるか否か判定する(S33)。なお閾値B<閾値Aである。トルクが閾値B以下である場合(S33:YES)、ブレード7が折れ、モータ5のトルクが小さくなっていると推測される。FPGA12aは表示部11aに、ブレード7の故障を示す情報を送信する(S34)。表示部11aは、ブレード7の故障を示す情報を表示する。表示部11aは、管理者又は車両20から降りた乗員に、ブレード7の故障を認知させることができる。FPGA12aはS31に処理を戻す。
【0046】
S33において、トルクが閾値B以下でない場合(S33:NO)、即ち、トルクが閾値Bより大きく、閾値Aよりも小さい場合、送電面部2a上に異物は存在せず、ブレード7は故障していないと推測され、FPGA12aは、表示部11aにおける表示をリセットし(ステップS35)、ステップS31に処理を戻す。異物の存在を示す情報又はブレード7の故障を示す情報が表示された後に、表示部11aの表示をリセットすることによって、前記各情報は表示部11aから削除される。なお前記各情報を表示しておらず、トルクが閾値A以上でなく、且つ閾値B以下でもない場合、リセットすることによって、表示は変更されない。
【0047】
S31において、トルクセンサ5bにて検出されたトルクが予め定めた閾値A以上である場合、異物の存在を検出しているが、トルクセンサ5bにて検出されたトルクが予め定めた閾値A以上である場合、モータ5を逆回転させて、再度トルクセンサ5bにてトルクを検出し、検出されたトルクが予め定めた閾値A以上である場合に、異物の存在を検出してもよい。
【0048】
S33において、トルクセンサ5bにて検出されたトルクが予め定めた閾値B以下である場合、ブレード7の故障を検出しているが、トルクセンサ5bにて検出されたトルクが予め定めた閾値B以下である場合、モータ5を逆回転させて、再度トルクセンサ5bにてトルクを検出し、検出されたトルクが予め定めた閾値B以下である場合に、異物の存在を検出してもよい。
【0049】
実施の形態1に係る送電装置にあっては、ブレード7によって、送電面部2a上の異物を除去する。またブレード7が停止している場合、動物又は人間などの生体がケース2付近に存在すると推察されるので、生体に向けて警告が発せられる。ブレード7は、異物除去手段及び生体存否検出手段を兼用し、送電装置の構成は簡素化される。
【0050】
また異物が送電面部2aの傾斜部2gに載った場合に、異物の下方への移動が促進され、異物を送電面部2aから離れさせることができる。
【0051】
また送電コイル3の軸心回りに回転することによって、ブレード7は、送電面部2aにおける送電コイル3の専有領域に存在する異物を効率的に除去することができる。
【0052】
またロック板31の上側に車両20が配置された時に、モータ5が回転し、ブレード7が回転するので(S1~S3参照)、即ち、充電開始前の適切な時期に、送電面部2aから異物を除去することができる。
【0053】
またトルクセンサ5bの検出値が閾値A以上である場合(S31参照)、異物によってブレード7に作用するトルクが大きくなっていると推察されるので、送電面部2a上における異物の存在を報知し、異物の除去を促す(S32参照)。
【0054】
またトルクセンサ5bの検出値が閾値B以下である場合(S33参照)、ブレード7が破損していると推察されるので、ブレード7の故障を報知し、ブレード7の修理又は交換を促す(S34参照)。
【0055】
また送電面部2aから除去された異物を異物受け2hに集めて、送電ユニット1の周囲に異物が飛散することを防止することができる。
【0056】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る送電装置を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2の構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図7は、制御装置12付近の構成を示すブロック図である。制御装置12には、ユーザの操作を受け付ける受付部40から信号が入力される。受付部40は、例えば、送電制御ユニット10に設けられたスイッチ、タッチパネル及びキーボード、又はスマートフォン、タブレット端末などの端末装置のタッチパネル及びキーボードである。受付部40以外の構成は、実施の形態1と同様な構成である。
【0057】
図8は、FPGA12aによる送電及び異物除去処理を説明するフローチャートである。FPGA12aは、車両検出センサ32の出力を取り込み、車両20がロック板31の上側に存在すると判定されるまで待機する(S41:NO)。車両20がロック板31の上側に存在すると判定された場合(S41:YES)、FPGA12aは、ロック装置30に上昇信号を出力し、ロック板31の上昇を開始させる(S42)。
【0058】
FPGA12aは、送電開始信号が入力されるまで待機する(S43:NO)。送電開始信号は、例えば、受付部40から入力される。車両20から降りた乗員が、受付部40にて、送電を開始する為の操作を行った場合、受付部40は操作開始信号を出力する。また送電開始信号は、例えば、車両20から入力される。車両20の乗員が、車内に設置された受付部(図示略)にて、送電を開始する為の操作を行った場合、車両20の制御部は操作開始信号を制御装置12に送信する。また車両20の制御部がバッテリ23の蓄電状態を検出し、バッテリ23の蓄電量が所定量よりも少ない場合に、車両20の制御部が操作開始信号を制御装置12に送信してもよい。
【0059】
送電開始信号が入力された場合(S43:YES)、FPGA12aはモータ5に駆動信号を出力し、モータ5の回転を開始させ(S44)、モータ5の速度が予め定めた閾値以下であるか否か判定する(S45)。モータ5の速度が予め定めた閾値以下、例えば秒速1mm以下である場合(S45:YES)、S46~S54を実行する。なおS46~S54は、図5に示すS5~S13と同様な処理であり、その詳細な説明は省略する。
【0060】
S54において、送電中でない場合(S54:NO)、又は、S45において、モータ5の速度が予め定めた閾値以下でない場合(S45:NO)、即ち、モータ5の速度が予め定めた閾値を超過し、ブレード7が回転している場合、FPGA12aは送電を開始する(S55)。
【0061】
FPGA12aは、送電を終了させるか否か判断する(S56)。例えば、車両20の制御部から送電中止要求があった場合、FPGA12aは送電を終了させる。送電を終了させないと判断した場合(S56:NO)、FPGA12aは、タイマ12cを参照して所定時間が経過するまで待機する(S57:NO)。所定時間が経過した場合(S57:YES)、FPGA12aは、速度センサ5aの出力を取り込み、モータ5の速度が予め定めた閾値以下であるか否か判定する(S58)。モータ5の速度が予め定めた閾値以下でない場合(S58:NO)、即ち、モータ5の速度が予め定めた閾値を超過し、ブレード7が回転している場合、FPGA12aは、モータ5に停止信号を出力し(S59)、タイマ12cを参照し、所定時間経過するまで待機する(S60:NO)。
【0062】
所定時間が経過した場合、FPGA12aはモータ5の回転を開始させ(S61)、S56に処理を戻す。S54において、送電中である場合(S54:YES)、FPGA12aはS56に処理を進める。S56において、送電を終了させると判断した場合(S56:YES)、FPGA12aはS50に処理を進めて、モータを停止させ(S50)、送電を停止させる(S51:YES、S52)。
【0063】
実施の形態2に係る送電装置にあっては、送電開始信号、例えば、ユーザの受付部40の操作による信号又は車両20からの信号が入力された場合に(S43:YES)、モータ5の回転を開始させ(S44)、ブレード7を回転させる。そのため、ユーザの充電意思又はバッテリの蓄電量に応じた適切な時期に、ブレード7を駆動させて異物を送電面部2aから除去し、送電することができる(S55)。
【0064】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る送電装置を示す図面に基づいて説明する。実施の形態3に係る構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図9は、送電ユニット1Aを略示する平面図である。送電ユニット1Aは、横長矩形状をなすケース120を備える。ケース120には、横長矩形状の送電コイル3Aが収納されている。送電ユニット1Aは駆動部5Aを備える。駆動部5Aは、ケース120の長手縁部の中央部分、換言すれば送電面部2Aの長手縁部における中央部分に配されている。駆動部5Aには、ブレード7Aの一端部が連結している。ケース120は送電面部2Aを有する。送電面部2Aは、縁に向かって下降するように、傾斜している。
【0065】
図9の一点鎖線にて示すように、駆動部5Aは、一端部を回転中心にして、送電面部2A上にてブレード7Aを回転させ、且つブレード7Aの長さを送電面部2Aの寸法に応じて変更させる。ブレード7Aは送電面部2Aを拭き取りながら伸縮する。送電面部2A全体がブレード7Aの移動領域となる。
【0066】
ブレード7Aは送電面部2A上を回転し、送電面部2A上の異物を除去し、生体の侵入を防ぐ。駆動部5Aは、例えばモータ及び伝動機構を備え、モータの回転によってブレード7を回転させつつ、モータの回転を、伝動機構を介して、ブレード7Aの長手方向に沿った直進移動に変換する。
【0067】
送電コイル3A及び送電面部2Aを平面視矩形状に形成し、平面視円形状に形成する場合に比べて、送電コイル3Aの設置時に発生するデッドスペースを減らし、送電装置の小型化を促進させることができる。
【0068】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1 送電ユニット
2、120 ケース
2a、2A 送電面部
3 送電コイル
5 モータ
5b トルクセンサ
5A 駆動部
7 ブレード(異物除去部)
10 送電制御ユニット
12 制御装置(判定部、出力部、第2判定部、第3判定部)
16 警告部
30 ロック装置
31 ロック板
32 車両検出センサ
50 リフト装置(移動機構)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9