(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】プログラム、方法、および電子チケットシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/04 20120101AFI20220822BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20220822BHJP
G07B 11/00 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
G06Q20/04 310
G06F3/0481
G07B11/00
(21)【出願番号】P 2018546375
(86)(22)【出願日】2017-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2017037646
(87)【国際公開番号】W WO2018074504
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2016207360
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517201127
【氏名又は名称】playground株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭史
(72)【発明者】
【氏名】河野 貴裕
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-288428(JP,A)
【文献】特開2016-071544(JP,A)
【文献】特開2004-239820(JP,A)
【文献】特開2015-201156(JP,A)
【文献】特開2006-065405(JP,A)
【文献】特開2002-352279(JP,A)
【文献】特開2002-197223(JP,A)
【文献】特開2014-096131(JP,A)
【文献】国際公開第2015/008636(WO,A1)
【文献】特開2015-133567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 3/0481
G07B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子チケットの券面を表示する表示手段を備える利用者端末と、
前記利用者端末にて選択された前記電子チケットを消し込む消し込み手段と
を備える電子チケットシステムにおいて、
前記利用者端末に、
前記表示手段に表示可能であって、かつ特定の情報を含む前記電子チケットの第1券面を、前記電子チケットが消し込まれたときに、前記第1券面に比べて前記特定の情報が視認しやすい第2券面へ変化させる機能を実現させるためのプログラムであって、
前記特定の情報は、座席の情報、販売促進のための情報、または案内の情報の少なくとも1つを含む、
プログラム。
【請求項2】
電子チケットの券面を表示する表示手段を備える利用者端末と、
前記利用者端末にて選択された前記電子チケットを消し込む消し込み手段と
を備える電子チケットシステムにおいて、
前記利用者端末に、
前記表示手段に表示可能であって、かつ特定の情報を含む前記電子チケットの第1券面を、所定の時刻に、前記第1券面に比べて前記特定の情報が視認しやすい第2券面へ変化させる機能を実現させるためのプログラムであって、
前記特定の情報は、座席の情報、販売促進のための情報、または案内の情報の少なくとも1つを含む、
プログラム。
【請求項3】
前記電子チケットは指定席が紐づけられる指定席の電子チケットであり、
前記第2券面では、前記第1券面と比較して視認しやすく前記指定席の情報を表示することを特徴とする請求項1
または請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記販売促進に関する情報は、広告の情報、またはクーポンの情報を含む、
請求項1乃至
請求項3のいずれかに記載のプログラム。
【請求項5】
電子チケットの券面を表示する表示手段を備える利用者端末と、
前記利用者端末にて選択された前記電子チケットを消し込む消し込み手段と
を備える電子チケットシステムにおいて、
前記利用者端末に、
前記表示手段に表示する前記電子チケットの第1券面を、当該電子チケットの購入後から当該電子チケットが消し込まれるよりも前の間に、動画を含む第2券面へ変化させる機能を実現させるためのプログラム。
【請求項6】
電子チケットの券面を表示する表示手段を備える利用者端末と、
前記利用者端末にて選択された前記電子チケットを消し込む消し込み手段と
を備える電子チケットシステムにおいて、
前記利用者端末が、
前記表示手段に表示可能であって、かつ特定の情報を含む前記電子チケットの第1券面を、前記電子チケットが消し込まれたときに、前記第1券面に比べて前記特定の情報が視認しやすい第2券面へ変化させる工程を具備する方法であって、
前記特定の情報は、座席の情報、販売促進のための情報、または案内の情報の少なくとも1つを含む、
方法。
【請求項7】
電子チケットの券面を表示する表示手段を備える利用者端末と、
前記利用者端末にて選択された前記電子チケットを消し込む消し込み手段と
を備える電子チケットシステムにおいて、
前記利用者端末が、
前記表示手段に表示可能であって、かつ特定の情報を含む前記電子チケットの第1券面を、前記電子チケットが消し込まれたときに、前記第1券面に比べて前記特定の情報が視認しやすい第2券面へ変化させる手段を具備する電子チケットシステムであって、
前記特定の情報は、座席の情報、販売促進のための情報、または案内の情報の少なくとも1つを含む、
電子チケットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子チケットシステムにて利用されるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の携帯端末が普及したことに伴い、入場券を電子データ化した電子チケットを携帯端末に配布し、入場口において入場者の端末に格納されている電子チケットを確認することにより入場可否を判断する電子チケットシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、スマートフォンの画面に同時多点接触が可能なスタンプを用いて、電子チケットと当該電子チケットに対応したスタンプとによって電子チケットを使用済みとする消込処理を行う電子チケットシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、電子チケットシステムが実用化されつつあるが、従来の紙のチケットを単に携帯端末に置き換えたに過ぎないシステムも多く、電子化のメリットを十分に活用できているとは言えない。また、携帯端末を利用することに伴う不都合も顕在化している。本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、利便性の高い電子チケットシステムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決すべく、本発明に係るプログラムは、電子チケットの券面を表示する表示手段を備える利用者端末と、利用者端末にて選択された電子チケットを消し込む消し込み手段とを備える電子チケットシステムにおいて用いられるプログラムであり、利用者端末に、表示手段に表示する電子チケットの券面を変化させる機能を実現させることを特徴とする。
【0007】
本発明では、電子チケットが消し込まれたときに、表示手段に表示する電子チケットの券面を変化させるとよい。
【0008】
本発明では、電子チケットは指定席が紐づけられる電子チケットとするとよく、電子チケットが消し込まれる前は表示手段に表示する電子チケットの券面に指定席の情報を含ませず、電子チケットが消し込まれた後は電子チケットの券面に指定席の情報を含ませるとよい。
【0009】
本発明では、電子チケットが消し込まれたことを条件に、消し込まれる電子チケットに紐づけられる指定席を抽選して決定し、抽選により決定した指定席を、電子チケットが消し込まれた後に表示手段に表示する電子チケットの券面に含ませると特によい。
【0010】
本発明では、電子チケットは指定席が紐づけられる指定席の電子チケットとするとよく、電子チケットを消し込んだ後に表示手段に表示する電子チケットの券面では、電子チケットを消し込む前に表示手段に表示する電子チケットの券面と比較して視認しやすく指定席の情報を表示するとよい。
【0011】
本発明では、所定の時刻に、表示手段に表示する電子チケットの券面を変化させるとよい。
【0012】
本発明では、利用者端末は、現在位置を取得する位置情報取得手段を備え、現在位置が所定の位置の条件に合致したことを条件に、表示手段に表示する電子チケットの券面を変化させるとよい。
【0013】
本発明では、利用者端末は、外部から電子チケットの券面を変化させる指示を受け取る受信手段をさらに備え、利用者端末が、当該指示を受け取ったことを条件に、表示手段に表示する電子チケットの券面を変化させるとよい。
【0014】
本発明では、消し込み手段により消し込みが行われるときに表示手段に表示する券面に動画を表示するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】電子チケットシステム1の構成を示す模式図である。
【
図3】利用者端末3の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4(a)はスタンプ4の側面図であり、
図4(b)はスタンプ4の底面図である。
【
図5】電子チケット購入時の電子チケットシステム1の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】電子チケットを使用するときの電子チケットシステム1の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8(a)は消し込み前の券面の表示例を示しており、
図8(b)は消し込み後の券面の表示例を示している。
【
図9】
図9(a)は消し込み前の券面の表示例を示しており、
図9(b)は消し込み後の券面の表示例を示している。
【
図10】
図10(a)~(e)は複数人で同時入場するための電子チケットの券面表示の例を示している。
【
図11】検札場所におけるシステム構成を示す模式図である。
【
図12】券種の変更をする際の電子チケットシステム1の処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】
図13(a)及び(b)は券種の変更をする際の電子チケットの券面表示の例を示している。
【
図14】キャンセル待ちを受け付ける際の電子チケットシステム1の処理手順を示すフローチャートである。
【
図15】購入した電子チケットのキャンセルを受け付ける際の電子チケットシステム1の処理手順を示すフローチャートである。
【
図16】購入した電子チケットのキャンセルをする際の電子チケットの券面表示の例を示している。
【
図17】購入した電子チケットのスワップの希望を受け付ける際の電子チケットシステム1の処理手順を示すフローチャートである。
【
図18】購入した電子チケットをスワップする際の電子チケットの券面表示の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
〔電子チケットシステムの基本構成〕
図1に示すように、電子チケットシステム1は、サーバ2と、利用者端末3と、スタンプ4とを備える。サーバ2と利用者端末3とは、インターネット等のネットワークNWを介して接続される。これらの他、電子チケットシステム1は、必要に応じて、ビーコン等の発信機6、検札端末7、半券発行装置等を備えてもよい。
【0018】
〔サーバの構成〕
サーバ2は、例えば、コンピュータシステムであり、キーボード、マウス、タッチパネル等の入出力装置、CPU(Central Processing Unit)等の演算部及びRAM(Random Access Memory)、ROM(read only memory)等の記憶装置を備えた本体、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置等から構成される。
【0019】
図2に示すように、サーバ2は、少なくとも、記憶部201、制御部202及び通信部203を備える。サーバ2の記憶部201には、制御部202にて実行されるプログラムや、当該プログラムで用いられるデータ等が記憶されている。例えば、記憶部201は、電子チケットシステム1におけるサーバ2の機能を実現するためのプログラム、電子チケットシステム1にて管理する電子チケットに関するデータベースDB、決済処理を行うプログラム等を記憶する。サーバ2は、上記の各構成が物理的に一体として構成されていなくてもよい。例えば、上記構成要素の一部または全部が遠隔地に分散して配置されていてもよく、それらが協働してサーバ2として機能するようにすればよい。
【0020】
データベースDBは、電子チケットに関する情報として、チケットに関する情報(例えば、一意のチケットID、興行ID、券種(座席の種類)、座席番号(指定席の場合)、消込キー、購入者の利用者ID、ステータス(使用済/未使用等)、券面画像(画像データ自体でもよいし画像を識別する情報でもよい)、消印情報(文字列や画像のデータ自体でもよいし画像を示すIDでもよい)等)、利用者の個人に関する情報(例えば、一意の利用者ID、氏名、年齢、住所、性別、その他の属性、連絡先(メールアドレス、SNS)等)、興行に関する情報(例えば、興行ID、興行名、開催日時、開催場所等)を格納する。1枚のチケットに対応する1つのチケットIDに対し、1つの利用者ID、及び1つの興行IDが紐づけられ、チケットIDを特定すれば、そのチケットを購入した利用者に関する情報やそのチケットで入場できる興行の情報を特定することができる。チケットIDに対して購入者の利用者IDが紐づけられていない(空欄である)場合、そのチケットは売れ残っており、そのチケットに対応付けられた券種及び座席は空席であることがわかる。
【0021】
その他、後述する各種の機能を実現するために、記憶部201は、キャンセル待ちリスト、キャンセル希望リスト、スワップ希望リスト等を必要に応じて記憶する。
【0022】
サーバ2の制御部202は、利用者端末3から送信されるリクエスト等に基づき、記憶部201に記憶されたプログラムに従った処理を実行する。例えば、制御部202は、記憶部201に記憶されているデータベースDBに対するデータの検索、新規登録、削除、更新といった処理を実行したり、通信部203やネットワークNWを介して、利用者端末3との通信を行ったりする。
【0023】
〔端末装置の構成〕
利用者端末3は、例えば、タブレット型端末やスマートフォンであり、タッチパネル、CPU等の演算部及びRAM、ROM等の記憶装置、LCD等の表示装置、音声を出力するスピーカ、音声を集音するマイク等から構成される。
【0024】
図3に示すように、利用者端末3は、少なくとも、操作部301、記憶部302、制御部303、通信部304、表示部305、及び位置情報取得部306を備える。
【0025】
操作部301は、ユーザUによる操作を受け付ける。操作部301は、表示部305に重ねて配置されたタッチパネル301aと、その他のボタン301bとを備える。記憶部302は、制御部303で実行するプログラムや、当該プログラムで用いるデータ等を記憶する。記憶部302には、例えば、オペレーションシステム(OS)、電子チケットシステム1のためのアプリケーションプログラム(以下では単に、電子チケットアプリケーションという)や、電子チケットアプリケーションで用いる購入した電子チケットのデータ、利用者の情報等が記憶されている。購入した電子チケットのデータは、チケットIDの他、例えば、サーバ2の記憶部201のデータベースDBにおいてチケットIDに紐づけられた各種の情報のうち利用者に関する者以外の情報(例えば、興行ID、興行名、開催日時、開催場所、券種、座席番号、消込のキー、購入者の利用者ID、ステータス、券面画像等)を記憶するとよい。
【0026】
電子チケットアプリケーションは、電子チケットシステム1を利用するための専用のアプリケーションソフトでもよいが、ブラウザやメッセンジャーアプリケーションであってもよい。ブラウザやメッセンジャーアプリケーションを電子チケットアプリケーションとする場合には、利用者端末3により電子チケットアプリケーションを利用してサーバ2にアクセスし、サーバ2のデータベースDBから、随時、購入した電子チケットに関するデータ等を取得して表示するように構成するとよい。このような構成を採用する場合、利用者端末3では必要最小限の情報(例えば、電子チケットシステム1を利用するためのアカウント情報等)のみを記憶部302に格納し、例えば購入した電子チケットの情報等はサーバ2から適宜取得するようにしてもよい。
【0027】
制御部303は、記憶部302に記憶されている電子チケットアプリケーションをはじめとする各種のプログラムを実行する。電子チケットアプリケーションでは、後に詳述するように、記憶部302に記憶されている各種データや、操作部301の操作に基づいた処理が行われる。
【0028】
通信部304は、ネットワークNWを介して、サーバ2との通信を行う。その他、通信部304は、近距無線通信(NFC)や、赤外線通信、可視光通信等が可能に構成されてもよい。
【0029】
表示部305は、液晶ディスプレイ等の表示素子であり、制御部303による制御の下、各種の情報(電子チケットの券面)を表示する。表示部305は、タッチパネル301aと協働して各種の入力インタフェースを実現する。
【0030】
位置情報取得部306は、利用者端末3の現在位置を取得する。位置情報取得部306として、例えばGPS(Global Positioning System)受信機を用いるとよい。位置情報取得部306は、GPS以外の任意の手法で取得してもよい。例えば、無線通信の基地局の位置情報や電波強度に基づいて位置情報を取得してもよいし、ビーコン等の発信機から位置情報を配信し、これを発信機の近傍で利用者端末3が受信して、位置情報を取得してもよい。
【0031】
図4(a)は、スタンプ4の側面図であり、
図4(b)はスタンプ4の底面図である。スタンプ4は、電子チケットシステム1において、利用者端末3に記憶された電子チケットを使用済みとするいわゆる消し込みに用いられる消し込み手段として機能する。スタンプ4は、本体40の底面40aにタッチパネルに接触等させるための複数の接触部材41を配置したものであり、本体40の上部には本体40を把持するための持ち手42を備える。タッチパネル上の位置を検出するために導電物の接触が必要な場合には、接触部材41に導電部材を用いるとともに、検出エラーを防ぐため本体40に非導電部材を用いるのが望ましい。利用者端末3の電子チケットアプリケーションは、スタンプ4の接触部材41が押し当てられるとその配置パターンを検知し、配置パターンに対応する消込キーを特定する。
図4(b)に示したように、本例は接触部材41を5つ備えているが、接触部材41の個数や配置により、相互に異なる多数の配置パターンを実現することができ、各配置パターンに一意の消込キーが割り当てられる。
【0032】
利用者端末3に記憶された電子チケットを消し込む消し込み手段として、スタンプ4以外の構成を採用してもよい。例えば、近距離無線通信、赤外線通信、可視光通信、QRコード(登録商標)やバーコードの読み取りなどによって電子チケットに紐づけられた消込キー及び/又は消し込み手段が持つ消込キーを授受して突合できれば如何なる構成であっても構わない。ただし、上記のスタンプによる構成は、消し込み手段の構成が単純であり、消し込み手段に電源や通信手段を必要としない点、及び操作が簡単である点で優れている。
【0033】
〔電子チケットシステムの基本的な動作〕
上記のように構成される電子チケットシステム1を利用して、利用者が電子チケットを購入し、使用する基本的な流れを説明する。
【0034】
〔電子チケットの購入〕
利用者は、チケット販売者(例えば、チケット販売店舗、チケット販売端末、インターネットで提供されるチケットサイト等)から、所望のイベントのチケットを購入する。このとき、利用者は、イベント、席種、席数、チケットの受け取り方法等の諸条件を選択し、決済の手続きを行う。チケットの受け取り方法として電子チケットを選択した場合に、本発明の電子チケットシステムを利用することとなる。以下、受け取り方法として電子チケットを選択した場合の後段の流れを説明する。
図5は、電子チケット購入時の電子チケットシステム1の処理手順を示すフローチャートである。チケット代金の決済が完了すると、チケット販売者は、サーバ2に、購入した電子チケットのチケットIDと電子チケットを購入した利用者の利用者IDを送信し、サーバ2はこれを受信する(ステップS100)。そして、サーバ2において、販売者から受信したチケットIDに紐づけられる購入者の利用者IDとして、販売者から受信した利用者IDを記録する(ステップS120)。また、サーバ2は、購入された電子チケットの情報を、購入者の利用者端末3に送信する(ステップS140)。このときの送信先・送信方法は、購入者の利用者IDに紐づけられたメールアドレス、SNSアカウント等とするとよい。また、送信する電子チケットの情報は、購入した電子チケットに対応する、チケットID、興行ID、興行名、開催日時、開催場所、券種、座席番号、消込キー、券面画像等のデータとしてもよいし、これらのデータを取得するためのインターネット上での所在を特定するための情報(例えばURL(Uniform Resource Locator)等)としてもよい。なお、購入時点において利用者端末に送信されるデータは、上記のチケットID、興行ID、興行名、開催日時、券種、券面画像、座席、消込キーで必要十分とは限らない。いくつか(あるいは全て)のデータが購入時点で送信されないようにしてもよいし、上記以外のデータが購入時点で送信されてもよい。例えば、ブラウザやメッセンジャーアプリケーションを電子チケットアプリケーションとする場合には、利用者端末3では購入時に電子チケットの情報を受け取らず、電子チケットを利用するとき等に必要に応じてサーバ2から電子チケットの情報等を取得するようにしてもよい。購入者の利用者端末3は、ネットワークNW及び通信部304を介してサーバ2から電子チケットの情報を受け取り、記憶部302に記録する(ステップS160)。受け取った電子チケットの情報に基づいて、利用者端末3で実行する電子チケットアプリケーションにより、表示部305に電子チケットの券面を表示することができるようになる。以上で購入時の処理が完了となる。
【0035】
〔電子チケットの使用〕
電子チケットの購入者は、自らの利用者端末3でサーバ2から送信される電子チケットの情報を受け取り、電子チケットアプリケーションにてこれらの情報に基づいた処理を実行させる。
【0036】
利用者が利用者端末3の操作部301を操作して電子チケットアプリケーションを起動すると、制御部303は、表示部305に、受信した電子チケットを選択可能に表示する。利用者が操作部301を操作して所望の電子チケットを選択すると、制御部303は、当該選択した電子チケットの情報に基づいて、表示部305に、選択した電子チケットの券面を表示する。例えば、
図6に示したように、制御部303は、表示部305に、券面の画像に重畳して、興行名(TI1)、開催日時(TI2)、券種(TI3)、座席番号等(TI4)の情報を表示するとよい。
【0037】
図7は、電子チケットを使用するときの電子チケットシステム1の処理手順を示すフローチャートである。利用者は、イベントの当日、イベントの入場口にて上記の操作により電子チケットの券面を利用者端末3の表示部305に表示させ、入場口の係員に提示する(ステップS200)。係員は、当該イベントの電子チケットの券面が当該イベントのものであることを目視で確認しつつ、スタンプ4を利用者端末3のタッチパネル301aに押し当てることにより、電子チケットを使用済みとする「消し込み」を行う(ステップS210)。このとき、表示部305に券面が表示された状態でスタンプ4を押し当てるように構成してもよいし、消込用の画面を表示してからスタンプ4を押し当てるように構成してもよい。利用者端末3のタッチパネル301aは、スタンプ4の接触部材41による接触位置を検知する(ステップS220)。そして、利用者端末3の制御部303は、タッチパネル301aで検知した接触位置に対応する消込キーを特定し、当該特定した消込キーが券面を表示している電子チケットの消込キーに対応しているかを照合する(ステップS230)。対応したものである場合には(ステップS230;Yes)、使用済みであることを示す文字や画像(以下、「消印情報」という)を券面に重畳して表示するとともに、ステータスを「使用済」とする(ステップS240)。また、消込キーに対応したものである場合、利用者端末3は、当該電子チケットが使用済みとなったことを適切なタイミング(照合した直後でもよいし、暫く時間が経ってからでもよい)でサーバ2に通知し、サーバ2においても、当該電子チケットのステータスを「使用済」として(ステップS250)、処理を終了する。一方、消込キーに対応していない場合には(ステップS230;No)、その旨を示す情報(例えば文字や画像)を表示部305に表示する、所定期間ブザー音を鳴らす、フラッシュを発光する等により、その入場口の通過のために適切な電子チケットでないことを利用者及び/又は係員が認識できるように報知して(ステップS260)、処理を終了する。
【0038】
なお、上記の例では消し込みを行う際に、利用者端末3にて消込キーの照合を行ったが、利用者端末3のタッチパネル301aで検知した接触位置をサーバ2に送信し、サーバ2にて消込キーの照合を行って、照合結果をサーバ2から利用者端末3に送信するようにしてもよい。消込キーの照合を利用者端末3で行う場合、消し込み時にサーバ2との通信環境等の影響を受けずに消し込みを行うことができるが、利用者端末3の処理能力や記憶容量に対する要求が高くなる。一方、消込キーの照合をサーバ2で行う場合には、利用者端末3の処理能力等の要求は低くて済む、サーバ2に照合しにいくことで、複数端末で同じチケットが重複利用されていないかを確認することができるといった利点があるが、消し込み時にサーバ2との通信環境等の影響を受ける場合がある。
【0039】
本発明の電子チケットシステム1は、上記のような基本的な流れに、以下で説明する変更・修正を加えて、利便性の高い電子チケットシステムおよびプログラムを実現する。
【0040】
〔状況に応じた券面画像の変更〕
電子チケットを購入した利用者の利用者端末3で電子チケットシステム用のプログラムを起動して、購入した電子チケットを選択すると、上述のとおり表示部305に電子チケットの券面が表示される。本実施形態の電子チケットシステム1では、利用者端末3に表示する券面を様々な状況に応じて変化させることができるように構成される。
【0041】
券面を変化させるタイミングは種々考えられる。例えば、利用者端末3は、予め定められた時刻に券面を変化させてもよい。この場合、利用者端末3は、券面を変化させるスケジュールと、変化の内容に応じた情報を記憶部302に格納するとよい。また、利用者端末3が位置情報を取得可能な場合には、位置情報に応じて券面を変化させてもよい。また、無線信号を常時発信するビーコン、近距離無線通信、可視光通信、赤外線通信等の発信機などから所定の信号を受信したときに券面を変化させてもよい。所定の信号を比較的狭い領域内にのみ発信する構成とすれば、利用者端末3が位置情報を取得する手段を有さない場合や、位置情報を取得できない環境である場合においても、発信機からの信号を受信できる範囲に限定して券面の変化を生じさせることができる。また、電子チケットを使用済みとするいわゆる消し込み時に、券面を変化させてもよい。また、サーバ2等の外部から券面を変化させる旨の命令(および、必要に応じて変化の内容)を受け取ったときに、券面を変化させるようにしてもよい。この場合、サーバ2は、電子チケット毎に券面を変化させるスケジュールをあらかじめ対応付けて記憶し、当該スケジュールに従って券面を変化させる旨の命令を送信するようにしてもよいし、複数の電子チケット(例えば興行や席種が共通の電子チケット)について、一括で券面を変化させる旨の命令を送信するようにしてもよい。以上で説明した券面を変化させるタイミングを規定する方法は例示であり、上記の方法その他の方法を単独または任意に組み合わせて券面を変化させるタイミングを規定するとよい。
【0042】
変化後の券面に関するデータは、予め利用者端末3の記憶部302に格納しておいてもよい。この場合、券面を変化させるタイミングにおける通信環境等の影響を受けずに券面を変化させることができるが、変化の前後における券面に関するデータを格納するための記憶容量が必要となる。あるいは、変化後の券面に関するデータを、変化させるタイミングで利用者端末3が取得するようにしてもよい。この場合、変化後の券面に関するデータを予め記憶しておく必要がないので記憶容量を節約できる、各種トリガの発生や最新の情報に合わせて券面を変更することができるといった利点があるが、券面を変化させるタイミングにおける通信環境等の影響を受けてスムーズに券面を変化させることができない場合がある。変化後の券面のデータを利用者端末3に送信する方法としては、ネットワーク5を介してもよいし、ビーコン、近距離無線通信、可視光通信、赤外線通信等の発信機から配信するようにしてもよい。
【0043】
以下では、様々な状況において券面を変化させる例を説明する。
【0044】
〔電子チケット購入後、入場前における券面画像の変更〕
電子チケットシステム1では、電子チケットを購入後、入場までの間に、電子チケットの券面を変化させるとよい。例えば、券面にイベントの開始までのカウントダウンを券面に表示(券面画像自体を表示、あるいは券面画像に文字や図形等の情報を重畳して表示することを、以下では「券面に表示」という場合がある)したり、イベントに関する情報を更新しつつ券面に表示したりしてもよい。このようにすれば、イベント参加者のイベントに対する期待感を盛り上げることができる。また、開場時間が近づいてからは、入場受付状況(例えば、入場待機列の長さ、待ち人数等)などを券面に表示してもよい。
【0045】
〔入場直前における券面画像の変更〕
電子チケットシステム1では、入場の直前に、電子チケットの券面を変化させるとよい。例えば、入場の直前または電子チケットの消込キーを照合するタイミングで、券面を変化させるとよい。
【0046】
入場の直前であることは、時刻及び/又は利用者端末3の位置情報を利用して判定してもよい。例えば、開催日時の所定時間前から入場受付付け締め切り前までの間において、利用者端末の現在位置が会場から所定範囲内である場合や入場待機エリアに位置する場合に、入場直前であると判断してもよい。また、利用者端末3の位置情報の経時的変化により、利用者端末3が開場に向かっていると推定できた場合に、入場直前であると判断してもよい。
【0047】
入場の直前に券面画像が変更されるようにする場合、同様の公演が複数回繰り返される場合(例えば、1日に複数回の公演が行われる場合や、同一カードの試合が複数回連戦で行われる場合)等において、変更後の券面を各回異ならせるようにするとよい。このようにすれば、券面の表示画面の静止画や動画を記録しておき、入場のタイミングに合わせてこれらの画像を表示することによる不正を抑制することができる。変更後の券面画像はアニメーションや動画等、動きのある画像とすることが好ましい。このようにすれば、静止画の記録・再生による不正をより確実に防止できる。また、券面の画像が各回異なることにより、券面をコレクションする動機づけとなり、リピーターを増やすことができる。
【0048】
また、入場の直前に券面の画像が変更される構成において、変更後の券面画像が表示されなければ電子チケットの消し込みを受け付けないようにするとよい。
【0049】
〔消し込み時における券面画像の変更〕
電子チケットシステム1では、消し込み時に、電子チケットの券面を変化させてもよい。変化の内容の一例としては、例えば、消し込みを行うまでは券面に座席の情報を表示せず(例えば、
図8(a)の参照番号TI4に示すように、「未発券」等と表示するとよい)、消し込みをしたことに応じて(例えば、消込キーの照合完了の直後のタイミングで)、券面に座席の情報を表示する(例えば
図8(b)の参照番号TI4を参照)ようにするとよい。より良い座席のチケットを入手すべく複数の電子チケットを購入し、不要なチケットを転売するといった事例が存在するところ、消し込み時まで座席を表示しないことにより、このような転売を抑制することができる。消し込み時までは券面に座席の情報を表示しない構成を採用する場合、電子チケットに対応付けられる座席を予め決めて利用者端末3の記憶部302(およびサーバ2の記憶部201)に格納しておくようにするとよい。このようにすれば、消し込み時に座席情報を取得するための通信が不要であり、タイムラグなく券面を変更させることができる。
【0050】
一方、電子チケットに対応付けられる座席を利用者端末3の記憶部302に予め記録しない構成としてもよい。予め座席情報を利用者端末3の記憶部302に格納する構成では、不正な手段により電子チケットの情報を解析して座席情報を事前に知ることを排除しきれないが、利用者端末3の記憶部302に予め記録しない構成とすることでこれを排除できる。座席情報はサーバ2の記憶部201にのみ予め記憶しておくようにしてもよいが、消し込み時に抽選により決定するようにしてもよい。消し込み時に抽選とする構成によれば、サーバ2への不正なアクセスによって電子チケットに割り当てられている座席を事前に知るということも不可能となる。また、実際に入場者した人に対して席を割り当てることにより、興行主が優先的に入場させたい席(例えば前の方の席、テレビ中継で移りやすい席等)に空席が目立たないように席を割り当てることが可能となる。
【0051】
変化の内容の他のとしては、消し込み前から券面に座席の情報を表示する構成において、消し込み前(
図9(a)の参照番号TI4を参照)と比較して、消し込み後(例えば
図9(b)の参照番号TI4を参照)に座席の情報を視認し易く表示するようにするとよい。入場口を通過した後、利用者は、イベントの名称や開催日時等よりも自らに割り当てられた座席情報を確認する機会が多いことから、消し込み後に座席の情報を目につきやすいように表示するのが効果的である。視認し易く表示する具体的な方法としては、消し込み前と比べて大きく表示する、他の情報と比べて大きく表示する、他の情報よりも目につきやすい色(例えば彩度の高い色)で表示する、点滅表示する、表示位置が移動(例えば、スクロール等)する、座席に応じて券面の画像を異ならせる等とするとよい。
【0052】
〔入場後における券面画像の変更〕
電子チケットシステム1では、電子チケットの消し込みが済み、入場をした後で、電子チケットの券面を変化させてもよい。この場合、例えば、広告、クーポン等の販売促進のための情報や各種の案内を券面に表示するようにしてもよい。また、利用者端末3の位置情報取得部306により現在の位置情報を取得して、あるいは各所に配置されたビーコン等の発信機から利用者端末3に向けて位置情報を配信し、利用者端末にてこれを受信することによって現在の位置情報を取得して、現在位置から電子チケットに割り当てられた座席への経路案内を表示するようにしてもよい。
【0053】
〔消印情報の変更〕
上述したように、電子チケットシステム1にて、利用者端末3に券面を表示した電子チケットにスタンプ4を押し当てると、消込キーの照合が行われ、電子チケットが消込キーに対応したものである場合には、消印情報(例えば、印影の画像、文字等)を券面に重畳して表示する。電子チケットシステム1では、消印情報のデザインを、興行ごとに異ならせることができる。
【0054】
消印情報のデータは、予め利用者端末3の記憶部302に格納しておいてもよい。この場合、消し込み時における通信環境等の影響を受けずに消印情報を表示させることができる。あるいは、消印情報のデータを、消し込みのタイミングで利用者端末3が取得するようにしてもよい。この場合、消印情報のデータを予め記憶しておく必要がないので記憶容量を節約できるが、券面を変化させるタイミングにおける通信環境等の影響を受けて消印情報を表示させることができない場合がある。利用者端末3の記憶部302に、複数の消印情報を消印IDと対応付けて予め格納しておき、消し込みのタイミングで、消印IDを利用者端末3が取得するようにしてもよい。
【0055】
また、消印情報を消し込みのタイミングで表示する際のアクション(例えば、フェードイン、スライドイン、点滅等)を興行ごとに異ならせてもよい。この場合、複数のアクションをアクションIDに対応付けて、予め利用者端末3の記憶部302に格納しておくとよい。消し込み時に表示させる消印情報は、電子チケットに対応付けて予め記憶部302に記憶しておいてもよいし、消し込みのタイミングで、アクションIDを利用者端末3が取得するようにしてもよい。
【0056】
消印情報のデータ、消印ID、又はアクションIDを利用者端末3に送信する方法としては、ネットワーク5を介してもよいし、入場口の周辺においてビーコン、近距離無線通信、可視光通信、赤外線通信等の発信機から配信するようにしてもよい。
【0057】
消印情報のデザインを興行ごとに異ならせる具体的な運用としては、同様の公演が複数回繰り返される場合(例えば、1日に複数回の公演が行われる場合や、同一カードの試合が複数回連戦で行われる場合)等において、変更後の消印情報を各回異ならせるようにするとよい。このようにすれば、消印前後の変化を動画として記録しておき、入場のタイミングに合わせてこの動画を表示することによる不正を抑制することができる。画像の複製による不正を困難にすべく、消印情報は、アニメーションや動画等、動きのある画像とすることが好ましい。
【0058】
また、券面画像と消印情報とを、ともに興行ごとに異ならせると特によい。このようにすれば、両画像の組み合わせが増えて、不正をさらに困難にすることができる。
【0059】
〔電子チケットの適切な譲渡ための機能〕
電子チケットシステム1では、電子チケットが不正に譲渡されるのを防ぎつつ、利便性を損なわないよう友人・家族等への譲渡を許容することが望ましい。そこで、電子チケットシステム1では、以下で説明する不正転得抑止機能及び譲渡支援機能を備えるとよい。
【0060】
ここで不正転得は、電子チケットシステム1の運営者側(興行主等)が望まないルートでの電子チケットの譲渡・転売の他、二重譲渡、窃取等を含む。以下ではこのような不正転得を抑止するための不正転得抑止機能について説明する。また、不正転得抑止機能を譲渡支援機能としても活用する方法についても説明する。
【0061】
不正転得抑止機能の一例として、電子チケットシステム1は、利用者端末3にて受け取った電子チケットに、当該利用者端末3自体又は当該利用者端末3の利用者個人に密接に結びついた情報を紐づけてサーバ2に記憶し、この情報が確認できる利用者端末3においてのみ電子チケットを利用可能とする。
【0062】
具体的には、電子チケットシステム1では、利用者が利用者端末3にて電子チケットを入手し、最初に表示するときに、利用者端末3の個体識別番号やメッセンジャーアプリケーションのログインID等の利用者個人に密接に結びついた情報(以下ではこの情報を「同定情報」という)と、チケットIDとを紐づけてサーバ2に記録する。そして、電子チケットに紐づけられた同定情報が確認できなければ(例えば、個体識別番号を有する利用者端末3からでなければ、あるいは、電子チケットに紐づけられたログインIDでログインされたメッセンジャーアプリケーションからのアクセスでなければ)、その電子チケットを表示できないようにするとよい。このようにすれば、電子チケットを他者に譲渡することを抑止することができる。
【0063】
第三者への電子チケットの譲渡を容易とすべく、電子チケットの券面に譲渡制限解除ボタンを用意し、当該譲渡制限解除ボタンにタッチすると、当該電子チケットと利用者個人に密接に結びついた情報との紐づけを解除し、電子チケットの譲渡を許容する状態とすることができるように構成してもよい。譲渡制限解除の権限を持つ利用者IDを指定(例えば最初の購入者に限定)したり、譲渡制限解除の回数に制限(例えば1回のみ許容)したりしてもよい。譲渡制限解除に制限を加えることで、不正な転得・転売の仲介を抑止することができる。電子チケットを譲渡するときの手順としては、例えば、譲渡元の利用者端末3から譲渡先の利用者端末3に、電子チケットを受け取るための情報(例えばURL等)を送信する。そして、当該電子チケットを受け取るための情報に従い譲渡先の利用者端末3にて電子チケットを入手すると、入手した電子チケットを最初に表示するときに、電子チケットと譲渡先の同定情報との紐づけを行うようにするとよい。
【0064】
また、購入時に予め、譲渡先の同定情報を指定可能に構成し、購入者には、電子チケットを受け取るための情報(例えばURL等)が送られるようにするとよい。そして、購入者(譲渡元)は、譲渡先に電子チケットを受け取るための情報(例えばURL等)を所定の手段(例えば電子メール、メッセンジャーアプリケーション等)にて送り、これを受け取った譲渡先は電子チケットを受け取るための情報に従い電子チケットを受け取るようにするとよい。譲渡先が電子チケットを受け取るときに同定情報を照合し、指定された同定情報が確認された場合のみ、譲渡先が電子チケットを受け取れるようにすると特によい。
【0065】
不正転得抑止機能の他の例として、利用者端末3にて受け取った電子チケットを他者が別の利用者端末3で表示しているときに、そのことがわかるよう表示するとよい。例えば、ブラウザやメッセンジャーアプリケーションを電子チケットアプリケーションとし、券面の画像等の電子チケットの情報をサーバ2から適宜取得する構成においては、サーバ2にて電子チケットの情報を取得しようとする利用者端末3を特定可能であることから、複数の利用者端末3から電子チケットの情報を取得する要求があった場合に、他の利用者端末3でも電子チケットの情報が取得されていること(または取得されたこと)を各利用者端末3に表示するとよい。このようにすれば、電子チケットの窃取や二重譲渡を発見し易くすることができる。例えば、当該電子チケットの情報へのアクセス履歴を表示するようにしてもよい。また、当該電子チケットの情報に現在アクセスしている利用者を示す情報を表示するようにしてもよい。
【0066】
不正転得抑止機能のさらに他の例として、利用者端末3にて受け取った電子チケットに対し、利用者が任意のパスワードを掛けられるようにするとよい。パスワードは、例えば、購入時、最初に電子チケットを受け取ったときに設定し、また事後的に変更できるようにするとよい。設定したパスワードはサーバ2(及び必要な場合は利用者端末3)にて、チケットIDに対応付けて記録され、電子チケットの券面を利用者端末3で表示しようとすると、パスワードの入力を求めるインタフェースを表示し、正しいパスワードが入力された場合のみ、電子チケットの券面を表示するようにするとよい。任意のパスワードをチケットにかけられるようにすることで、電子チケットを簡易的に「自分以外アクセスできないもの」にすることができる。なお、パスワードは文字列としてもよいし、指紋認証、声紋認証、顔認証などの生体認証で代替してもよい。
【0067】
パスワードを掛ける機能は第三者への電子チケットの譲渡にも活用できる。例えば、譲渡元にて予め電子チケットにパスワードを掛けておき、譲渡元の利用者端末3から譲渡先の利用者端末3に、電子チケットを受け取るための情報(例えばURL等)を送信する。また、譲渡元から譲渡先には別途パスワードを伝達する。そして、当該電子チケットを受け取るための情報に従い譲渡先の利用者端末3にて電子チケットを入手する際に、そのパスワードにて認証するようにするとい。多数の電子チケットをまとめて購入し、複数の第三者に分配する場合に、効率よく複数の電子チケットにパスワードを掛けることができるよう、電子チケットアプリケーションにて複数の電子チケットを選択し、選択した電子チケットに対し一括して同じパスワードを掛けるインタフェースを備えることが好ましい。また、チケット購入時に予めパスワードを、一括で又は個別に、掛けることができるようにしてもよい。
【0068】
〔その他の譲渡支援機能〕
電子チケットを購入したときや購入した電子チケットを第三者に譲渡するときに、電子チケットを受け取るための情報として、URLが利用者端末3に送られることが考えられるが、当該URLを、アクセス可能な期間が限定されたいわゆるワンタイムURLとするとよい。チケット購入時には自動的にワンタイムURLが利用者端末3に送られるように構成するとよい。また、電子チケットを譲渡する時には、予め登録されたURL発行権者(例えば、電子チケットに紐づけられた利用者IDを有する利用者、譲渡先等)からのリクエストに応じて、予め指定された送付先にワンタイムURLが送られるように構成するとよい。このようにすれば、所定の期間内にこのワンタイムURLにアクセスすることで、電子チケットを受け取ることができるが、所定の期間が経過後は当該ワンタイムURLからは電子チケットを受け取れないので、電子チケットを不正に取得することが困難となる。
【0069】
ワンタイムURLの発行のリクエストが予め登録された者によるものであることを確認する方法としては、利用者ID、メッセンジャーアプリケーションのログインID、電話番号等の識別情報をあらかじめ登録しておき、リクエストを受け付けるときにリクエスト元の識別情報と照合するようにするとよい。電話番号にて確認する場合、ワンタイムURL発行の受付用電話番号を設けておき、URL発行権者が登録した電話番号の電話機から当該受付用電話番号に電話すると、発信元の電話機の電話番号を特定しサーバ2にて当該電話番号に対応する電子チケットを受け取るためのワンタイムURLを、登録された送付先に送付するようにするとよい。
【0070】
権限を有する者(例えば電子チケットの購入者、現在の所有者等)がワンタイムURLの送付先(及びURL発行権者)を変更できるように構成し、電子チケットを譲渡する場合には、ワンタイムURLの送付先(及びURL発行権者)を譲渡先に変更するようにするとよい。このようにすれば、譲渡先にてワンタイムURLを発行して電子チケットを受け取ることができる。ワンタイムURLの送付先(及びURL発行権者)を変更する権限について、電子チケットの譲渡先には権限を与えない、最初の購入者等の特定の者に限定して付与する、等としてもよい。また、送付先の変更回数に制限(例えば1回のみ許容)したりしてもよい。このようにすれば、不正な転得・転売の仲介を抑止することができる。
【0071】
その他、電子チケットを第三者に譲渡する際に、譲渡先と譲渡元との間でのチケット代金の決済が行われたことを条件に電子チケットが譲渡先にて受け取れるように構成してもよい。
【0072】
〔複数人数の同時入場〕
電子チケットシステム1では、1つ利用者端末3で同一の興行の電子チケットを複数受け取っている場合に、当該1つの利用者端末3への消し込みだけで、複数人の同時入場ができるように構成するとよい。例えば、利用者端末3で電子チケットアプリケーションを起動し、電子チケットを選択すると、当該電子チケットと同じ興行に紐づいた電子チケットが他にもある場合に、
図10(a)に示すように、同時に消し込みの対象とするチケットを選択できるように表示するとよい。そして、
図10(b)に示すように、消し込み対象とするチケットが選択された状態で、消し込みの操作(例えばスタンプ4をタッチパネル301aに押し当てる)をすることにより、選択された電子チケットについてまとめて消し込みが行われるようにするとよい。つまり、消し込み対象として選択された電子チケットを利用者端末3の表示部305に表示させたときに消印情報が重畳して表示される(
図10(c)を参照)ようにするとともに、消し込み対象として選択されたすべての電子チケットについて、使用済みである旨が利用者端末3の記憶部302(及び、必要に応じて、サーバ2の記憶部201)に記録される。なお、同時に消し込みの対象とするチケットを選択した状態で、
図10(d)に示すように券面に表示された消込ボタンB1を押すと、
図10(e)に示すようにスタンプ4を押し当てるべき消込領域R1を表示し、この消込領域R1にスタンプ4が押し当てることにより、選択された電子チケットについてまとめて消し込みが行われるようにしてもよい。
【0073】
1つの利用者端末3にて複数人が入場した場合、当該1つの利用者端末3を持つ者以外(以下では同行者という)が消し込み後の電子チケット(つまり半券)を持っておらず、座席の確認等で不都合がある場合がある。そこで、電子チケットシステム1では、複数の電子チケットの消し込みをした利用者端末3から、同行者半券を取得するための固有情報(例えば、チケットIDや固有のURL)を送信可能とするとよい。具体的には、同行者用半券を送りたい電子チケットを選択すると、固有情報が送信可能な状態となり、送信のための操作(例えば、送信先の入力および送信ボタンへのタッチ)をすると、固有情報を送信するとともに、利用者端末3において、当該電子チケットについて同行者用半券が発行済みであることを記録するようにするとよい。また、同行者用半券が発行済みである旨を、利用者端末3からサーバ2に送信し、サーバ2においても当該電子チケットについて同行者用半券が発行済みであることを記録するとよい。スマートフォン等の携帯端末を持っている同行者には、利用者端末3から同行者の携帯端末に同行者半券を取得するための固有の情報を送り、同行者の携帯端末を用いてサーバ2から同行者用半券を取得する。これにより、同行者の携帯端末には同行者用半券が表示される。同行者用半券は、イベント名、開催日時、座席番号、チケットID等の情報の他、不正を防止するべく、動画やアニメーションを含むとよい。
【0074】
サーバ2においては、同行者用半券を同行者の携帯端末に送る際に、当該同行者半券と同行者の固有の情報とを紐づける。そして、同行者の固有の情報に一致しない第三者が当該同行者半券をさらに取得しようとした場合に取得を拒否する。このようにすることで、不正を抑制することができる。なお、同行者の固有の情報は、例えば、同行者の携帯端末の端末ID、電話番号、SNSのIDなどの、他人に渡し難い情報とすることが好ましい。
【0075】
スマートフォン等の携帯端末を持っていない同行者には、入場口の直後に、利用者端末3との通信に応じて同行者用半券を印刷する半券発行装置を設置とよい。利用者端末3を操作して、当該半券発行装置により半券を発行する電子チケットを選択し、その状態で半券発行装置と通信をすることで、半券を発行するとよい。半券発行装置から同行者用半券を発行したときにも、利用者端末3において、当該電子チケットについて同行者用半券が発行済みであることを記録するようにするとよい。また、同行者用半券が発行済みである旨を、利用者端末3または半券発行装置からサーバ2に送信し、サーバ2においても当該電子チケットについて同行者用半券が発行済みであることを記録するとよい。
【0076】
複数の電子チケットについて消し込みをした利用者端末3から、同行者用半券を発行できる数は、消し込みをした電子チケットの数より1少ない数とするとよい。すなわち、利用者端末3の所有者の分の電子チケットは利用者端末3に残るようにするとよい。あるいは、利用者端末3の所有者の分も含め、消し込みをした全ての電子チケットについて同行者用半券を発行可能としてもよい。このようにすれば、利用者端末3のバッテリー残量が不足している場合などに利用者端末3の所有者用にも同行者用半券を発行することができる。なお、不正を防止すべく、消し込みをした全ての電子チケットについて同行者用半券を発行した場合には、利用者端末3では消し込み済みの電子チケットが表示できないように(あるいは、同行者用半券が発行済みであることが視認できるように)するとよい。
【0077】
〔場内での検札〕
イベント等の興行の会場では、座席種などに応じて会場を複数のエリアに区分けし、各エリアの出入口において当該エリアに入る資格があるか(つまり、適切なチケットを持っているか)を確認する検札が行われる。電子チケットシステム1では、検札を容易にすべく、下記のような機能を提供するとよい。
【0078】
電子チケットシステム1の検札を容易化する構成では、
図11に示すように、検札場所に、ビーコン等の発信機6と、検札をする係員Sが持つ検札端末7とを配置する。検札端末7は、制御部、表示部、通信部、記憶部、入力部等を備える端末であり、例えば、利用者端末3と同様の携帯端末、タブレット型のコンピュータ等とするとよい。発信機6からの信号を受信可能な範囲に利用者端末3が入ると、利用者端末3は発信機6から送信される信号に応じて、電子チケットアプリケーションにより、検札のための情報を自動的に検札端末7に送信する。検札のための情報は、例えば、当該利用者端末3において消し込まれている電子チケットの券種、座席の種類、座席番号等の当該エリアに入る資格の有無を示す情報と、利用者端末3の持ち主の顔写真等の本人確認が可能な情報とを含むとよい。
【0079】
検札端末7は、利用者端末3から検札のための情報を受け取ると、検札のための情報に含まれる資格の有無を示す情報に基づいて、当該エリアに入る資格があるか否かを判定し、資格がない場合には、資格がない旨の表示、ブザー音を鳴らす、フラッシュを光らせる等により、報知するとよい。また、検札のための情報に含まれる本人確認が可能な情報を検札端末7の表示部に表示して、利用者端末3の利用者自身が検札場所を通過しようとしていることを係員Sが確認できるようにするとよい。このような構成により、利用者端末3の所有者は、手がふさがっている状態でも検札を受けることができる。また、検札端末での判定と、係員Sの目視での判定とにより、券種のチェックと本人確認を含む二重のチェックができ、不正を防止しやすくなる。
【0080】
〔一時退場と再入場〕
イベント等の興行の会場では、入場口を通過した後、一時的に退場しその後再入場することを認める場合がある。電子チケットシステム1では、再入場を適切に管理にすべく、下記のような機能を提供するとよい。
【0081】
電子チケットシステム1の検札を容易化する構成では、消込キーに加え、一時退場キー及び再入場キーを電子チケットに対応付けてサーバ2の記憶部201及び/又は記憶部302に格納する。消込キー、一時退場キー、及び再入場キーは、全て異なっていてもよいし、一部または全てが共通であってもよい。共通である場合には、個別にキーの情報を記憶する必要はなく、同じ情報を共用・転用してもよい。また、電子チケットに対応付けられるステータスとして、「一時退場」を設ける。そして、一時退場用の出口では、一時退場キーに対応した接触部材41の配置のスタンプ4を、係員が持っている。また、再入場口では、再入場キーに対応した接触部材41の配置のスタンプ4を、係員が持っている。
【0082】
一時退場しようとする利用者は電子チケットアプリケーションで電子チケット(入場時と異なり消印情報が表示されている)を表示した利用者端末3を一時退場用出口の係員に提示し、スタンプ4を利用者端末3のタッチパネル301aに押し当てる操作を受ける。この操作に応じて、入場時に消込キーを照合するのと同様の手法により、接触部材41の配置パターン電子チケットの一時退場キーに対応しているかを照合する。対応したものである場合には、一時退場可能である旨を利用者端末3の表示部305に表示するとともに、ステータスを「一時退場」とする。一方、一時退場キーに対応していない場合には、その旨を表示部305に表示する、ブザー音を鳴らす、フラッシュを発光する等により、適切な電子チケットでないことを利用者及び/又は係員が認識できるようにする。
【0083】
一時退場している利用者が再入場する場合には、利用者は、電子チケットアプリケーションで電子チケットを表示した利用者端末3を再入場口の係員に提示し、スタンプ4を利用者端末3のタッチパネル301aに押し当てる操作を受ける。この操作に応じて、入場時に消込キーを照合するのと同様の手法により、接触部材41の配置パターン電子チケットの再入場キーに対応しているかを照合するとともに、スタンプ4を押し当てる前のステータスが「一時退場」であることを確認する。配置パターンが再入場キーに対応したものであり、且つ、ステータスが「一時退場」である場合には、再入場可能である旨を利用者端末3の表示部305に表示するとともに、ステータスを「使用済」とする。一方、再入場キーに対応していない場合、及びステータスが「一時退場」でない場合には、再入場不可である旨を表示部305に表示する、ブザー音を鳴らす、フラッシュを発光する等により、適切な電子チケットでないことを利用者及び/又は係員が認識できるようにする。
【0084】
以上のような構成により、一時退場した者のみが再入場できるようになり、再入場口から不正に入場するのを防ぐことができる。なお、場内での検札の場合と同様に、ビーコン等の発信機から送られる信号に応じて、利用者端末3から再入場口で係員用の端末に顔写真等の本人確認が可能な情報を送り、係員用の端末に表示して、利用者端末3の利用者自身が再入場口を通過しようとしていることを係員が確認できるようにするとよい。
【0085】
〔券種の変更、アップグレード〕
イベント等の興行の会場では、一部の種類の座席が満席である一方で、他の種類の座席に空席がある場合がある。電子チケットシステム1では、購入後に座席の種類の変更を可能とすべく、下記のような機能を提供するとよい。
【0086】
券種の変更を可能とする構成では、利用者端末3からサーバ2に変更可能な券種の照会を行うことを可能とするとよい。また、適切なタイミングで(例えば、電子チケットシステム用のアプリケーションを起動したとき、保有する電子チケットの開催日時の所定時間前、入場の直前、電子チケットの消し込み時等)サーバ2から利用者端末3に変更可能な券種の案内を送信し、利用者端末3は表示部305に受け取った案内を表示するようにしてもよい。購入者の利用者IDが記録されていない電子チケットは、売れ残っていることを意味するので、サーバ2は、売れ残っている電子チケットを検索し、検索結果として抽出された電子チケットの券種を照会結果又は案内として送信するとよい。
【0087】
図12は、券種の変更をする際の電子チケットシステム1の処理手順を示すフローチャートである。利用者が券種の変更を希望する場合、利用者端末3で電子チケットアプリケーションを用いて変更前の電子チケットを選択して表示する(ステップS300)。変更可能な券種がある場合、利用者端末3は、
図13(a)に示すように、電子チケットの券面とともに、券種変更ボタンB2を表示する。券種変更ボタンB2は、券面とともに常時表示されてもよいし、所定の操作をしたときのみ表示されてもよい。券種変更ボタンB2が押されたことを検知すると(ステップS310)、利用者端末3は、
図13(b)に示すように、変更可能な券種が選択可能に、申し込みボタンB3とともに表示する(ステップS320)。なお、券種のみならず、座席を特定して選択可能としてもよい。また、券種に応じて残席数を示す表示をしてもよい。変更を希望する券種を選択して、申し込みボタンB3を押すと(ステップS330)、利用者端末3からサーバ2に券種変更のリクエストが送信される(ステップS340)。サーバ2は、券種変更のリクエストを受信すると、利用者端末3との間で券種変更に係る料金の決済手続きを行う(ステップS350)。決済手続きが完了すると、サーバ2は、変更前の電子チケットに紐づけられていた購入者の利用者IDを、変更後の電子チケットの購入者の利用者IDに転記するとともに、変更前の電子チケットに紐づけられていた購入者の利用者IDを削除する(ステップS360)。また、サーバ2は、変更後の電子チケットの情報(チケットID、興行ID、興行名、開催日時、券種、座席番号、消込キー、券面画像等)を、利用者端末3に送信する(ステップS370)。利用者端末3は、サーバ2から受信した変更後の電子チケットの情報にて、変更前の電子チケットの情報を置換する(ステップS380)。電子チケットのステータスは、変更前のものを引き継ぐとよい。すなわち、消し込み後に券種を変更した場合には、ステータスとして「使用済み」(一時退場中である場合は「一時退場」)を引き継ぐようにするとよい。なお、上記の例において、購入済みの複数の電子チケットを選択可能な一覧画面に券種変更ボタンB2を表示し、当該一覧画面にていくつかの電子チケットが選択された状態で券種変更ボタンB2が押されると、選択された電子チケットについて一括して券種の変更をリクエストできるようにしてもよい。この場合、選択した電子チケットの数以上の残席がある券種のみが選択可能に、申し込みボタンB3とともに表示されるようにすると特によい。
【0088】
以上の手順により、電子チケットシステム1において券種の変更が完了となる。なお、券種の変更は、グレードの低い席から高い席への変更のみ、といったように変更の方法を限定してもよい。このように、変更の方法を限定して変更を可能とすることにより、良い席が埋まりやすくなり、空き席が少なく見える効果がえられる。また、券種の変更は、変更前の電子チケットを消し込む前のみ、又は消し込んだ後のみ可能としてもよいし、いずれも可能としてもよいが、消し込み後のみ可能とすれば、早めに入場することに対する動機付けとなり、開催日時の直前に入場者が集中する傾向のある興行においては、入場タイミングの平準化を図ることができる。
【0089】
〔キャンセル待ちとキャンセル〕
電子チケットシステム1では、電子チケットのキャンセル待ちのリクエストと購入済みの電子チケットのキャンセルのリクエストとを引き合わせる機能を提供するとよい。以下ではこのような機能を提供する具体的な構成例を説明する。
【0090】
上記機能を提供する電子チケットシステム1において、サーバ2は、記憶部201に、キャンセル待ちリストと、キャンセル要求リストとを格納するよう構成される。キャンセル待ちリストは、券種(興行IDと座席の種類)、キャンセル待ちを希望する利用者(以下、この利用者を購入希望者という)の利用者ID、及びキャンセル待ちリクエストを受信した日時を対応付けて記憶する。キャンセル希望リストは、チケットID(興行IDと座席の種類を含む)、電子チケットのキャンセルを希望する利用者(以下、この利用者をキャンセル希望者という)の利用者ID、及びキャンセルリクエストを受信した日時を対応付けて記憶する。
【0091】
〔キャンセル待ち受付時〕
図14は、キャンセル待ちを受け付ける際の電子チケットシステム1の処理手順を示すフローチャートである。チケット販売店舗、チケット販売端末、インターネットで提供されるチケットサイト等の販売窓口では、本システムによるキャンセル待ちを許容する興行について、完売した券種のキャンセル待ちを受け付ける(ステップS400)。キャンセル待ちを受け付ける際、少なくとも、イベントID、券種、キャンセル待ちを希望する利用者(以下、この利用者を購入希望者という)の利用者IDを取得し、キャンセル待ちリクエストとしてサーバ2に送信する。販売窓口からの他、キャンセル待ちリクエストは購入希望者の利用者端末3からサーバ2に直接送れるようにしてもよい。サーバ2は、キャンセル待ちリクエストを受信すると(ステップS405)、受信したキャンセル待ちリクエストに条件が合致するキャンセルリクエストがあるかをキャンセル希望リストに照会する(ステップS410)。
【0092】
条件が合致するキャンセルリクエストがある場合(ステップS410;Yes)、サーバ2は、合致キャンセルリクエストとして特定する(ステップS420)。条件が合致するキャンセルリクエストが複数ある場合には、キャンセルリクエストの受信日時が早いものを優先する等により優先度の高いキャンセルリクエストを合致キャンセルリクエストとするとよい。そして、サーバ2は、購入希望者の利用者端末3に、購入可能な旨の通知を行い(ステップS425)、購入希望者の購入意思を確認する(ステップS430)。なお、購入希望者の購入意思を確認する手順(ステップS425及びS430)は省略してもよい。購入希望者の利用者端末3では、電子チケットアプリケーションにより、サーバ2から購入可能な旨の通知を受信すると、購入決定(及び必要な場合には料金決済)のための表示および操作インタフェースを提供する。購入希望者により購入決定されなかった場合(ステップS430;No)、処理をステップS465に移す。一方、購入希望者により購入決定(および料金決済)の操作がなされると(ステップS430;Yes)、サーバ2にその旨を送信する。サーバ2は、購入決定(および料金決済)を確認すると、合致キャンセルリクエストに対応する電子チケットの利用者IDをキャンセル希望者の利用者IDから購入希望者の利用者IDに変更する(ステップS435)。また、サーバ2は、購入希望者の利用者端末3に購入完了の通知とともに通常の方法で電子チケットを購入したときに送信するのと同様の電子チケットの情報(チケットID、興行ID、興行名、開催日時、券種、座席番号、消込キー、券面画像等)を送信する(ステップS440)。これを受信した購入希望者の利用者端末3は、記憶部302に購入した電子チケットの情報をステータスを「未使用」として記録する(ステップS445)。また、サーバ2は、合致キャンセルリクエストに対応するキャンセル希望者の利用者端末3に、キャンセル完了の通知を送る(ステップS450)。キャンセル希望者の利用者端末3は、電子チケットのステータスを「キャンセル済」とする(ステップS455)。電子チケットアプリケーションでは、ステータスが「キャンセル済」となった電子チケットについては、例えば当該電子チケットを以後表示しない等により、キャンセルリクエストのキャンセルができないようにする。また、サーバ2では、キャンセル待ちリストとキャンセル希望リストから、転売にて消化されたキャンセル待ちリクエスト及びキャンセルリクエストを削除して(ステップ460)、処理を終了する。なお、キャンセル希望者に対し、当初購入した電子チケットの代金を払い戻すか否か、及びキャッセル希望者及び/又は購入希望者から手数料を徴収するかは任意である。
【0093】
条件が合致するキャンセルリクエストがない場合(ステップS410;No)、サーバ2は、受信したキャンセル待ちリクエストについて、イベントID、券種、購入希望者の利用者ID、キャンセル待ちリクエストを受信した日時を対応付けてキャンセル待ちリストに記録する(ステップS465)。また、サーバ2は、購入希望者の利用者端末3に、受け付けたキャンセル待ちリクエストがキャンセル待ちリストに登録された旨及び受け付けたキャンセル待ちリクエストの内容を送信する(ステップS470)。
【0094】
購入希望者の利用者端末3は、電子チケットアプリケーションにてキャンセル待ち申し込み済みリストを表示させる機能を備える。購入希望者の利用者端末3は、サーバ2からキャンセル待ちリストに登録された旨等を受信すると、受信した情報を記憶部302に記憶し(ステップS475)、申し込み済みのキャンセル待ちリクエストの内容を確認できるように表示部305に表示して(ステップS480)、処理を終了する。購入希望者の利用者端末3では、キャンセル待ちリクエストの内容とともに、キャンセル待ちリクエストを取り消すためのインタフェースを表示するとよい。当該インタフェースに対しキャンセル待ちリクエストを取り消す操作が行われると、利用者端末3は、このサーバ2に当該キャンセル待ちリクエストの取り消しを要求し、サーバ2は、キャンセル待ちリクエストに対し未だキャンセルリクエストが引き当てられていないことを条件に、キャンセル待ちリストから当該キャンセル待ちリクエストを削除する。そして、サーバ2はキャンセル待ちリクエストの削除を完了すると、その旨を購入希望者の利用者端末3に通知し、利用者端末3は、当該通知を受信すると、取り消したキャンセル待ちリクエストを表示しないようにする。
【0095】
〔キャンセル受付時〕
図15は、購入した電子チケットのキャンセルを受け付ける際の電子チケットシステム1の処理手順を示すフローチャートである。本システムによるキャンセルを許容する興行の電子チケットは、電子チケットアプリケーションで当該チケットの券面を表示させると、
図16に示すように、キャンセルを申し込むためのキャンセルボタンB4が表示されるように構成される。キャンセルボタンB4は、券面とともに常時表示されてもよいし、所定の操作をしたときのみ表示されてもよい。そして、利用者がその電子チケットのキャンセルを希望する場合(以下、この利用者をキャンセル希望者という)、キャンセル希望者は、利用者端末3で電子チケットアプリケーションによりキャンセルを希望する電子チケットを表示させ、キャンセルボタンB4を押すことにより、キャンセル希望者の利用者端末3からサーバ2にキャンセルリクエストを送信する(ステップS500)。なお、キャンセルボタンB4への意図せぬタッチによりキャンセルリクエストが送信されないよう、キャンセルボタンB4を押した後、本当にキャンセルを希望するか否かを確認するインタフェースを表示し、利用者が希望する旨を選択した場合のみ、キャンセルリクエストをサーバ2に送信するようにすることが好ましい。なお、券面とともにキャンセルボタンB4を表示するのではなく、購入済みの複数の電子チケットを選択可能な一覧画面にキャンセルボタンB4を表示するようにしてもよい。この場合、当該一覧画面にていくつかの電子チケットが選択された状態でキャンセルボタンB4が押されると、選択された電子チケットについて一括してキャンセルの申し込みができるようにするとよい。
【0096】
キャンセルリクエストを送信すると、利用者端末3は、その電子チケットのステータスを「キャンセル希望」とする(ステップS505)。ステータスが「キャンセル希望」の電子チケットは、電子チケットアプリケーションで表示しても消し込みができないように構成される。ステータスが「キャンセル希望」の電子チケットを電子チケットアプリケーションで表示したときには、キャンセルリクエスト中である旨が表示されるとともに、キャンセルリクエストを取り消すためのインタフェースを表示するとよい。当該インタフェースに対しキャンセルリクエストを取り消す操作が行われると、利用者端末3は、この電子チケットについてサーバ2にキャンセルリクエストの取り消しを要求し、サーバ2は、キャンセルリクエストに対し未だキャンセル待ちリクエストが引き当てられていないことを条件に、キャンセル希望リストから当該電子チケットについてのキャンセルリクエストを削除する。そして、サーバ2はキャンセルリクエストの削除を完了すると、その旨をキャンセル希望者の利用者端末3に通知し、利用者端末3は、当該通知を受信すると、この電子チケットのステータスを「未使用」に戻して、電子チケットアプリケーションにより消し込みが可能な状態とする。
【0097】
サーバ2は、キャンセルリクエストを受信すると、受信したキャンセルリクエストに条件が合致するキャンセル待ちリクエストがあるかをキャンセル待ちリストに照会する(ステップS510)。条件が合致するキャンセル待ちリクエストがある場合(ステップS510;Yes)、サーバ2は、条件が合致するキャンセル待ちリクエストを合致キャンセル待ちリクエストとして特定する(ステップS515)。条件が合致するキャンセルリクエストが複数ある場合には、キャンセル待ちリクエストの受信日時が早いものを優先する、抽選を行う等により、合致キャンセル待ちリクエストを特定とするとよい。そして、サーバ2は、合致キャンセル待ちリクエストについて、購入希望者の利用者端末3に、購入可能な旨の通知を行い(ステップS520)、購入希望者の購入意思を確認する(ステップS525)。なお、購入希望者の購入意思を確認する手順(ステップS520及びS525)は省略してもよい。購入希望者の利用者端末3では、電子チケットアプリケーションにより、サーバ2から購入可能な旨の通知を受信すると、購入決定(及び必要な場合には料金決済)のための表示および操作インタフェースを提供する。購入希望者により購入決定されなかった場合(ステップS525;No)、処理をステップS560に移す。一方、購入希望者により購入決定(および料金決済)の操作がなされると(ステップS525;Yes)、サーバ2にその旨を送信する。サーバ2は、購入決定(および料金決済)を確認すると、キャンセルリクエストに対応する電子チケットの利用者IDをキャンセル希望者の利用者IDから購入希望者の利用者IDに変更する(ステップS530)。また、サーバ2は、購入希望者の利用者端末3に購入完了の通知とともに、通常の方法で電子チケットを購入したときに送信するのと同様の電子チケットの情報(チケットID、興行ID、興行名、開催日時、券種、座席番号、消込キー、券面画像等)を送信する(ステップS535)。これを受信した購入希望者の利用者端末3は、記憶部302に購入した電子チケットの情報をステータスを「未使用」として記録する(ステップS540)。また、サーバ2は、キャンセル希望者の利用者端末3に、キャンセル完了の通知を送る(ステップS545)。キャンセル希望者の利用者端末3は、電子チケットのステータスを「キャンセル済」とする(ステップS550)。電子チケットアプリケーションでは、ステータスが「キャンセル済」となった電子チケットについては、例えば当該電子チケットを以後表示しない等により、キャンセルリクエストのキャンセルができないようにする。また、サーバ2では、キャンセル待ちリストとキャンセル希望リストから、転売にて消化されたキャンセル待ちリクエスト及びキャンセルリクエストを削除し(ステップS555)、処理を終了する。なお、キャンセル希望者に対し、当初購入した電子チケットの代金を払い戻すか否かは任意である。
【0098】
一方、条件が合致するキャンセル待ちリクエストがない場合(ステップS510;No)、サーバ2は、受信したキャンセルリクエストについて、チケットID、キャンセル希望者の利用者ID、及びキャンセルリクエストを受信した日時を対応付けてキャンセル希望リストに記録し(ステップS560)、処理を終了する。
【0099】
以上で説明した構成により、電子チケットシステム1により、電子チケットのキャンセルを希望する利用者から、キャンセル待ちを希望する利用者に、電子チケットを円滑に譲り渡すことが可能となる。また、キャンセルを希望する利用者とキャンセル待ちを希望する利用者とが互いに相手を知ることなく譲り渡すことができるので、不正な譲渡(例えば、譲渡の見返りに不当な料金を要求する等)を防止することができる。すなわち、通常の受渡をできないようにすることで転売は抑制しつつ、本当に行けなくなった人の救済措置を提供することができる。また、紙や会員証と異なり、電子チケットシステム1を利用することによりリアルタイムでキャンセル待ちやキャンセルを受け付けることができる。
【0100】
なお、上述の例において、キャンセル希望者が、購入希望者がいるときだけキャンセルリクエストを送れるようにしてもよい。この場合、キャンセル希望者がキャンセルボタンB4を押したときに、利用者端末3の電子チケットアプリケーションがサーバ2にキャンセル待ちリストへの登録の有無を照会し、キャンセル待ちリクエストがあった場合のみ、キャンセルの意思を確認するためのインタフェースを表示部305に表示するようにするとよい。あるいは、利用者端末3の電子チケットアプリケーションがサーバ2にキャンセル待ちリストへの登録の有無を照会し、キャンセル待ちリクエストがある場合のみキャンセルボタンを操作可能な(有効な)状態とするとよい。
【0101】
また、上述の例では、キャンセルリクエストに対しキャンセル待ちリクエストが引き当てられた場合のみキャンセルができたが、キャンセル待ちリクエストが引き当てられなくてもキャンセルを認めるようにしてもよい。例えばキャンセル利用者が、キャンセル料の支払いに同意した場合等に、キャンセルを認めることとし、このようにキャンセル待ちリクエストが引き当てられずにキャンセルされた電子チケットについては、サーバ2は、利用者IDを空欄としてもよい。
【0102】
また、興行の中止などの場合に、主催者側が強制的に電子チケットを使用不能することができるように構成してもよい。主催者側により強制的に使用不能とされた電子チケットを、利用者端末3の電子チケットアプリケーションで表示すると、払い戻し、代替チケットの受け取り、といった事後の扱いを決定するためのインタフェースが表示部305に表示されるようにすると特によい。例えば、払い戻し、代替チケット等を選択するためのボタンを表示し、このボタンが押されると、利用者端末3からサーバ2に、個人情報、チケット情報等とともに払い戻しや代替チケットのリクエストを送付することができるように構成するとよい。払い戻しをリクエストする場合には、払戻金の払い戻し方法(例えば、銀行振込、窓口受取、クレジットカードへの返金等)の情報を指定できるようにすると特によい。
【0103】
〔スワップ〕
電子チケットシステム1では、異なる券種の電子チケットを購入した利用者間で、電子チケットを交換(スワップ)可能とする機能を提供するとよい。以下ではこのような機能を提供する具体的な構成例を説明する。
【0104】
上記機能を提供する電子チケットシステム1において、サーバ2は、記憶部201に、スワップ希望リストを格納する。スワップ希望リストは、チケットの交換を希望する利用者(以下、この利用者をスワップ希望者という)の利用者ID、スワップ希望者が持つ電子チケットの情報、交換を希望する電子チケットの条件、及びスワップリクエストを受信した日時を対応付けて記憶する。
【0105】
〔スワップ希望受付時〕
図17は、購入した電子チケットのスワップの希望を受け付ける際の電子チケットシステム1の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここで説明する例においては、消し込み前の電子チケットのみスワップが可能であるものとする。本システムによるスワップを許容する興行の電子チケットは、電子チケットアプリケーションで当該チケットの券面を表示させると、
図18(a)に示すように、スワップを申し込むためのスワップボタンB5が表示される。そして、利用者がその電子チケットと他の電子チケットとのスワップを希望する場合、スワップ希望者は、利用者端末3で電子チケットアプリケーションによりスワップを希望する電子チケットを表示させ、スワップボタンB5を押す(ステップS600)。この操作に応じて、利用者端末3は、交換を希望する電子チケットの条件を入力する画面を表示する。具体的には、例えば、
図18(b)に示すように、当該電子チケットとの交換相手となり得る電子チケットの一覧を、表示部305に選択可能に表示する(ステップS610)。
【0106】
スワップ希望者が、一覧の中から入手を希望する電子チケットを選択し、リクエスト送信B6ボタンを押すと、スワップ希望者の利用者端末3はサーバ2にスワップリクエストを送信する(ステップS620)。スワップリクエストを送信すると、利用者端末3は、その電子チケットのステータスを「スワップ希望」とする。ステータスが「スワップ希望」の電子チケットは、電子チケットアプリケーションで表示しても消し込みができないように構成される。ステータスが「スワップ希望」の電子チケットを電子チケットアプリケーションで表示したときには、スワップリクエスト中である旨が表示されるとともに、スワップリクエストを取り消すためのインタフェース(例えばキャンセルボタン)を表示するとよい。当該インタフェースに対しスワップリクエストを取り消す操作が行われると、利用者端末3は、この電子チケットについてサーバ2にスワップリクエストの取り消しを要求し、サーバ2は、スワップリクエストに対し未だ他のスワップリクエストが引き当てられていないことを条件に、スワップ希望リストから当該電子チケットについてのスワップリクエストを削除する。そして、サーバ2はスワップリクエストの削除を完了すると、その旨をスワップ希望者の利用者端末3に通知し、利用者端末3は、当該通知を受信すると、この電子チケットのステータスを「未使用」に戻して、電子チケットアプリケーションにより消し込みが可能な状態とする。
【0107】
サーバ2は、スワップリクエストを受信すると、受信したスワップリクエストに条件が合致する他のスワップリクエストがあるかをスワップ希望リストに照会する(ステップS630)。条件が合致するスワップリクエストがない場合(ステップS630;No)、サーバ2は、受信したスワップリクエストについて、チケットID、スワップ希望者の利用者ID、及びスワップリクエストを受信した日時を対応付けてスワップ希望リストに記録する。
【0108】
一方、条件が合致する他のスワップリクエストがある場合(ステップS630;Yes)、サーバ2は、当該他のスワップリクエストを交換相手のスワップリクエストとして特定する(ステップS640)。条件が合致する他のスワップリクエストが複数ある場合には、スワップリクエストの受信日時が早いものを優先する、抽選を行う等により、交換相手のスワップリクエストを特定とするとよい。そして、サーバ2は、受信したスワップリクエスト及び交換相手のスワップリクエストについて、それぞれのスワップ希望者の利用者端末3に、交換相手が見つかった旨(及び交換相手のチケットの情報)を通知し(ステップS650)、両方のスワップ希望者に交換承諾の意思確認をする(ステップS660)。各スワップ希望者の利用者端末3では、電子チケットアプリケーションにより、サーバ2から交換相手が見つかった旨の通知を受信すると、交換承諾の意思確認(及び必要な場合には料金決済)のための表示および操作インタフェースを提供する。
【0109】
各利用者端末3は、それぞれスワップ希望者により交換承諾(及び料金決済)の操作がなされると、サーバ2にその旨を送信する。サーバ2は、両方のスワップ希望者による交換承諾の意思を確認すると(ステップS660;Yes)、受信したスワップリクエストに対応する電子チケットの利用者IDと交換相手のスワップリクエストに対応する電子チケットの利用者IDとを入れ替えるとともに、交換相手のスワップリクエストをスワップ希望リストから削除する(ステップS670)。なお、交換承諾の意思確認の手順(ステップS660)は省略してもよい。また、サーバ2は、両スワップ希望者の利用者端末3にスワップ完了の通知とともにスワップ後のチケットの情報(例えばチケットID、興行ID、興行名、開催日時、券種、座席番号、消込キー、券面画像等)を送信する(ステップS675)。これを受信した各スワップ希望者の利用者端末3は、記憶部302にスワップ後の電子チケットの情報を、ステータスを「未使用」として記録して(ステップS680)、処理が終了となる。
【0110】
少なくとも一方のスワップ希望者が、交換を承諾しなかった場合(ステップS660;No)には、サーバ2は、スワップが不成立であった旨を両スワップ希望者の利用者端末3に通知する(ステップS685)とともに、受信したスワップリクエストをスワップ希望リストに追加して(ステップS690)、処理を終了する。なお、各スワップ希望者の利用者端末3は、スワップが不成立であった旨の通知を受信すると、その表示部305にその旨を表示するとよい。
【0111】
なお、上記の例において、購入済みの複数の電子チケットを選択可能な一覧画面にスワップボタンB5を表示し、当該一覧画面にていくつかの電子チケットが選択された状態でスワップボタンB5が押されると、選択された電子チケットについて一括してスワップをリクエストできるようにしてもよい。
【0112】
以上で説明した構成により、電子チケットシステム1により、電子チケットのスワップを希望する利用者のリクエストをマッチングして、電子チケットを円滑に交換させることが可能となる。また、スワップを希望する利用者同士が互いに相手を知ることなく譲り渡すことができるので、不正な譲渡(例えば、交換の見返りに不当な料金を要求する等)を防止することができる。
【0113】
上記の例では、スワップボタンを押したときに、交換相手となり得る電子チケットの一覧として、スワップ希望者が持つチケットとは異なる券種のチケットの一覧を表示したが、同種のチケットも交換相手となり得る電子チケットに含めてもよい。また、既にスワップ希望リストにスワップリクエストが記録されている券種を識別可能に表示してもよい。また、異なる興行(例えば日付違いの興行など)の電子チケットを交換相手となり得る電子チケットに含めてもよい。
【0114】
また、上記の例では、消し込み前の電子チケットのみスワップ可能としたが、消し込み後の電子チケットをスワップ可能としてもよい。この場合、同じ興行についての消し込み後の電子チケットのみを交換相手として選択できるようにするとよい。
【0115】
〔歩留まり分析、実績集計〕
電子チケットシステム1では、電子チケットを購入した利用者の行動や入場状況を取得したり、その推移を予測したりして、有用な情報を提供するとよい。以下ではこのような機能を提供する具体的な構成例を説明する。
【0116】
上述のような行動取得・分析機能を提供する電子チケットシステム1の一例では、利用者端末3は、定期的に自らが備える位置情報取得部306により位置情報を取得してサーバ2に送信する。サーバ2は、各利用者端末3の現在位置、興行会場の位置、現在時刻、及び開演時間に基づいて、各利用者が開演時間までに会場に到達できる可能性を推定するとよい。さらに、電子チケットのキャンセルが可能な構成の電子チケットシステム1においては、サーバ2は、開演時間までに会場に到達できる可能性が低いと判断された利用者の利用者端末3に対し、キャンセルを促す通知(例えば、SNS、電子メール等を利用したメッセージ等)を送信するとよい。また、サーバ2は、複数の時刻における利用者端末3の位置情報に基づき、利用者の移動状況を推定するとよい。そして、所定のタイミング(例えば開演時間の所定時間前)において利用者が会場に向かって移動していないと推定した場合には、その利用者の利用者端末3に対し、キャンセルを促す通知(例えば、SNS、電子メール等を利用したメッセージ等)を送信するとよい。
【0117】
行動取得・分析機能を提供する電子チケットシステム1の他の例では、サーバ2において、入場者数を座席数で除算して得られる歩留まり率を計算して表示するとともに、入場待機エリアで入場待ちをしている利用者の数、会場に向かって移動している利用者の位置や数、入場口における入場処理スピード、等に基づいて、歩留まり率の推移を予測して表示するとよい。歩留まり率の推移予測をして表示することにより、歩留まり率が十分高まるまで開演時間を遅らせるか否かの判断材料を開催者に提供することができる。その他、来場者の属性、入場処理のスピード、入場口毎の入場者数や処理スピード、同時来場者(同行者)の有無や属性等を、リアルタイムで、あるいは事後的に分析して表示してもよい。たとえば入場処理スピードに応じて、例えば処理スピードが遅い入場口に対し係員を増員するか否かの判断材料を提供することができる。
【0118】
行動取得・分析機能を提供する電子チケットシステム1の他の例では、各利用者について、電子チケットの購入履歴、利用履歴、購入した電子チケットの使用率(購入した電子チケットに対する自ら使用した電子チケットの割合)等に基づき、利用者を評価してもよい。また、評価の高低に応じて、特典やペナルティが与えられるようにしてもよい。また、利用履歴と位置情報の履歴とに基づき、不正行為の可能性を推定するようにしてもよい。例えば、電子チケットを購入した興行の会場周辺に入場可能な時間帯に到達しているにもかかわらず、入場せずに電子チケットのキャンセルやスワップを行った利用者や、複数の電子チケットを購入し同行者分を他人に高額で譲渡して当該他人ととともに入場する利用者(あるいは、これらの行動を繰り返す利用者)について、不正の可能性がある利用者としての評価を付すとよい。そして、評価に応じて、入場口での本人確認をする、チケットの販売禁止、出入り禁止等のペナルティを課すようにするとよい。
【0119】
〔チケット購入者への情報提供〕
電子チケットシステム1では、電子チケットを購入した利用者に、購入後の様々なタイミングで広告、案内、クーポン、整理券等の各種の情報を提供できる機能を備えるとよい。各種の情報は、サーバ2から電子チケットの購入の利用者端末3に送信されるとよい。また、各種情報は、電子チケットアプリケーションで電子チケットの券面を表示したときに表示されるようにしてもよいし、券面表示とは無関係に、購入済みの電子チケットに関する各種情報を表示するようにしてもよい。また、電子チケットアプリケーションを介さずに、電子メールやSNSにて購入済みの電子チケットに関する各種情報が送られるようにしてもよい。
【0120】
例えば、電子チケットアプリケーションで表示する電子チケットの券面に関連商品、チケット、飲み物等の購入ボタンを表示し、当該購入ボタンをタップすることで商品等を購入できるようにするとよい。また、興行の情報等をシェアする等の特定の条件を満たすと、種々のリワード(割引券、商品無償提供、抽選権等)が得られるように構成するとよい。
【0121】
電子チケットの券面から商品を購入する際、購入ボタンを押すと、販売ブースや売り子の端末に発注内容とともに座席情報が送信されるように構成してもよい。このようにすれば、販売ブースの店員や売り子が座席情報を参照して座席まで商品を配送することが可能となる。また、電子チケットの券面から商品を購入する際、商品代金を、例えばクレジットカードやプリペイド機能等により、決済可能に構成するとよい。このようにすれば、座席での現金の授受が不要となり、混雑した興行会場における商品の授受が容易となる。また、チケット券面から商品を購入する際、商品だけでなく売り子を指定できるようにしてもよい。このようにすれば、購入者は好みの売り子から商品を受け取ることが可能となる。また、売り子には自己の売り上げを高めるべくサービス向上を促すことができる。
【0122】
また、チケット券面から商品の購入ボタンを押して商品を購入できる構成において、商品の受領確認ボタンを設け、購入した商品を受け取るときに受領確認ができるように構成するとよい。さらに、受領確認ボタンが押されたことに応じてレシート(又は領収書)が発行されるように構成するとよい。
〔実施形態の変形〕
【0123】
なお、上記に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、電子チケットの適用対象として、イベント等の興行の入場券を想定したが、本発明は興行の以外のチケットにも適用可能である。例えば、本発明の電子チケットシステムを鉄道の乗車券、特急券、指定席券当の各種チケット、飛行機の搭乗券等に代表される交通機関でのチケットに適用してもよい。交通機関でのチケットに適用する場合、上記実施形態における興行には列車名(例えば、のぞみ123号等)や飛行機の便名(例えばJAL123便等が相当し、券種には列車や航空機の席種(グリーン車、指定席、ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラス等)が相当するとして理解するとよい。また、前述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0124】
1 電子チケットシステム
2 サーバ
3 利用者端末
4 スタンプ
NW ネットワーク