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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】乗物用音響カーペット
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/04 20060101AFI20220822BHJP
   B60R 13/08 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
B60N3/04 C
B60R13/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019540604
(86)(22)【出願日】2018-01-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2018051355
(87)【国際公開番号】W WO2018138019
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】17153360.7
(32)【優先日】2017-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512099884
【氏名又は名称】オートニアム マネジメント アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Autoneum Management AG
【住所又は居所原語表記】Schlosstalstrasse 43, CH-8406 Winterthur, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラント デルマス
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202016100525(DE,U1)
【文献】国際公開第2016/166217(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/04
B60R 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一繊維層(1)である不織カーペット表面層、第二繊維層(2)である背面層、及び、前記第一繊維層と前記第二繊維層との間の空気流抵抗層の少なくとも3つの連続層を含む吸音性多層であって、
前記空気流抵抗層は、編布(4)と熱可塑性樹脂材料(3)との組合せであり、前記熱可塑性樹脂材料は前記編布中に少なくとも部分的に浸透し、少なくとも前記編布の孔の一部を閉塞し、かつ前記熱可塑性樹脂材料は、前記第一の繊維層及び前記第二の繊維層に少なくとも部分的に浸透し、これらの層を前記空気流抵抗層に接合又はラミネート化させていることを特徴とする、吸音性多層。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂材料は、前記第一及び第二の繊維層に少なくとも部分的に浸透し、これらを前記編布にラミネート化させている、請求項1に記載の多層。
【請求項3】
前記編布は、たて編、丸編、レース編又はジャカード編のいずれかである、請求項1又は2に記載の多層。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂材料は、ポリエステルのコポリマー、好ましくはポリエチレンテレフタレートのコポリマー(Co-PET)若しくはポリブチレンテレフタレートのコポリマー(Co-PBT)、又はポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン若しくはポリオレフィンのコポリマーのいずれかである、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂材料は、110℃~240℃の融点範囲を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層。
【請求項6】
製造される部品の全体としての空気流抵抗(AFR)は、750~7000Ns/mである、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層。
【請求項7】
前記編布は、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系、又は好ましくはポリアミド6若しくはポリアミド6,6などのナイロン系、又はそのような材料の混合物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層。
【請求項8】
前記第一又は第二の繊維層は、ステープルファイバ、好ましくはポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン、好ましくはポリプロピレン(PP)若しくはポリエチレン(PE)、ポリ(乳酸)(PLA)、又はポリアミド、例えばポリアミド6若しくはポリアミド6,6、又はそれらの混合物を含むことができる、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層。
【請求項9】
前記第二の繊維層は、リサイクル再生繊維、例えば再生綿、再生ポリエステル若しくは他の合成再生繊維又はそれらの混合物を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層。
【請求項10】
前記空気流抵抗層と接触していない前記第二の繊維層の表面上に、フィルム層、連続気泡フォーム層、追加のフェルト層、不織スクリム層又はプラスチックシェルのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層。
【請求項11】
少なくとも以下の連続する工程を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の多層の製造方法であって、
(a)第一の繊維層、第二の繊維層、熱可塑性樹脂層、及び編布を含む材料を提供し、かつ少なくとも前記第二の繊維層、前記熱可塑性樹脂層及び前記編布を、前記熱可塑性樹脂層が、前記第二の繊維層と前記編布との間にそれらと表面接触して配置されるように積み重ねること、
(b)少なくとも前記熱可塑性樹脂層が、少なくとも所望の粘度に対応する温度に加熱されるように、前記積み重ねた層を加熱すること、好ましくは前記編布の側から前記積み重ねた層を加熱すること、
(c)好ましくは別個の工程において、不織カーペット表面層である前記第一の繊維層の少なくとも1つの表面を加熱すること、
(d)工程(c)の前記第一の繊維層の加熱表面と工程(b)の前記編布の加熱表面とを互いに表面接触させて、前記第一の繊維層、前記編布、前記熱可塑性樹脂層、及び前記第二の繊維層を含む加熱された材料を組み合わせること、及びこうして積み重ね層をその表面に垂直な圧力にさらすこと、それによって、前記熱可塑性樹脂層の樹脂材料を、前記編布の空隙の少なくとも一部を通って、そして部分的に前記第一及び第二の繊維層中に移行させ、それにより空気流抵抗層を形成し、かつすべての層を一緒にラミネートすること、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の吸音性多層の、自動車フローリングとしての又は自動車インナーダッシュとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音性フローリングシステム、自動車内でのそのようなシステムの使用及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不織カーペット表面層及び背面層などの2つの繊維層を結合するためにフィルムを使用することが知られている。これらのフィルムは空気に対して不透過性のままであるので、二次背面層(単数又は複数)は吸音性に寄与することができない。それゆえ、透過性バインダ層を得てそして部品の全体として吸収性を高めるためにフィルムをスリットするか又は穿孔することが知られている。
【0003】
これは理論的にも実用的にも平坦なサンプルではうまく機能するが、3D成形された自動車部品ではあまり有効でない。これらのトリム部品を形成するための材料はモールド中でプレスされ、そしてある領域はフィルムの最大延伸能力を超えて延伸し、当初形成された穿孔若しくはスリットのさらなる開口、又はさらにはフィルムの引き裂きをも引き起こす。これにより、吸音性の向上に必要最小限のレベルを下回るように空気流抵抗を低下させ、それによって音響性能が局所的に低下する。さらに、製造プロセスが全体的な性能において予測不可能な要因となるので、全体としての空気流抵抗を微調整すること、又はそれを一定に保つことが困難になる。
【0004】
薄膜と不織布の組合せもまた、3D成形工程後にトリム部品にわたって均一な音響性能を得ることができなかった。不織布は成形工程中に延伸されるときに予測不可能である。不織布はまた、裂ける傾向があり、そして不織布を閉じる接着剤によって不透過性にさえなることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、所望されない局所的差異なしに成形トリム部品の全表面にわたって空気流抵抗を調整する可能性が高められた吸音性多層を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の吸音性多層システム及び請求項8に記載のそのようなフローリングシステムの製造方法によって達成される。
【0007】
特に、第一の繊維層(1)である不織カーペット表面層、第二の繊維層(2)である背面層、前記第一の繊維層と前記第二の繊維層との間にある空気流抵抗層の少なくとも3つの連続層を含む吸音性多層であって、前記空気流抵抗層は編布(4)と熱可塑性樹脂材料(3)との組合せであり、ここで、該熱可塑性樹脂材料は少なくとも部分的に編布中に浸透して、少なくとも編布の孔の一部を閉塞することを特徴とする吸音性多層による。
【0008】
好ましい解決法において、熱可塑性樹脂材料はまた、第一の繊維層及び第二の繊維層に少なくとも部分的に浸透してこれらの層を空気流抵抗層に接合又はラミネート化する。
【0009】
ラミネート化は少なくとも接触面上で層を互いに結合するという意味で定義される。
【0010】
驚くべきことに、特許請求されるとおりの編布の開口部を通して部分的に浸透した樹脂材料を含む編布の使用は、その性能がより予測可能で均一である空気流抵抗層を形成する。延伸された編布はそのパターンを維持しそしてそれを容易に引き裂かないので、より均一な空気流抵抗を得ることができる。さらに、編布のパターンは製造中の樹脂材料の分配をガイドし、製造された部品にわたって均一かつ予測可能な空気流抵抗を生み出す。
【0011】
編布のタイプ、樹脂材料ならびに両方の繊維層の材料は、最終製品で得られる空気流抵抗に影響を与える。
【0012】
好ましくは、樹脂材料は、隣接する繊維層に吸い込む前にまず編布に浸透するのに十分な製造温度セットでの粘度(メルトフローインデックス(MFI)によって定義される)を有するので、主材料は隣接する繊維層中に消え去るよりはむしろ編布に向かって編布を通って移行する。
【0013】
このことは、編布パターン、ならびに、樹脂材料の融解温度と組み合わせてMFIを最適化することによって、又は、使用されるプロセスパラメータを最適化することによって達成することができる。
【0014】
大きな開口部と、小さな開口部を形成する隙間なく又は緻密に編まれた領域との組合せを有する編布パターンは有利に使用される。そのような編布パターンは、樹脂材料が編布を通ってより容易に流れ、編布の反対側で繊維層に結合することができる大きな開口部によって画定される領域を生じさせるであろう。より小さな開口部又はより緻密な編布パターンによって画定される他の領域では、樹脂材料はその流れがより制限され、より局所的にとどまり、第二の繊維層に結合する。樹脂材料が編布の周囲に留まっているが、編布の表面に対して垂直な方向に移行しているときに、通気構造は、実質的に規則的なパターンで空気流抵抗層を形成する編布と樹脂材料との組合せによって作り出される。
【0015】
これは、製造中に、好ましくは樹脂材料の基礎としてフィルムを使用して、編布の少なくとも1つの表面上に樹脂材料を均一に分布させることによってさらに高められる。好ましくは、フィルムは編布と第二の繊維層との間に配置される。製造プロセス中に、樹脂材料は少なくともその融解温度近くまで加熱され、流動することができる。この溶融段階では、熱可塑性材料は、編布開口部中に少なくとも部分的に浸透しそして編布開口部を通って第一の繊維層中に浸透し、また、第二の繊維層中に浸透する。熱可塑性樹脂の浸透は、使用中の最終製品の目に見える表面を視覚的に汚染するなど、第一の繊維層及び第二の繊維層の厚さを超えて広がっていないことが好ましい。
【0016】
好ましくは、編布及び一方又は両方の繊維層は、樹脂材料又は第一及び/又は第二の繊維層のバインダの融解温度より高い融解温度、好ましくは軟化温度を有する。編布と繊維材料の融解温度はほぼ同じであることができる。
【0017】
好ましくは、バインダの融解温度は熱可塑性樹脂材料の融解温度よりも低い。
【0018】
好ましくは、この空気流抵抗層は、成形後に750~7000Ns/mの製造された部品の全体空気流抵抗(AFR)を得るように調整される。好ましくは、AFRは、空気流抵抗層と両方の繊維層との組合せについて、2500~6000Ns/m、より好ましくは4500Ns/m以下である。AFRは、直接空気流法(方法A)を使用して、現在のISO 9053に従って測定することができる。
【0019】
多層ラミネート及び3D成形品を成形した後の多層ラミネートについて得られたAFRの間には差があることができる。しかしながら、製品の表面にわたって均一な測定値を達成することができる。成形後のAFRはより低くなる可能性がある。この効果は、使用される熱可塑性樹脂のMFI及び温度の選択によってさらに最適化されうる。
【0020】
本発明による多層システムを使用することによって、中間の空気流抵抗層の空気流抵抗を調節又は調整することができる能力により、乗物に使用されるトリム部品に必要な吸音性に対して最適化することができる多層吸音性システムを作成することができる。本発明による3層は多孔性でありそして所与の空気流抵抗範囲内で空気に対して透過性である。
【0021】
《第一及び第二の繊維層》
本発明による吸音性多層は少なくとも3つの連続層を含み、不織カーペット表面層は第一の繊維層であり、背面層は第二の繊維層である。
【0022】
このような不織カーペット表面層は、例えばカードで作られた繊維ウェブから製造され、面積質量を増すために交差ラップされたニードルパンチ装飾表面層を含むことができる。
【0023】
このようにして形成されたウェブは、材料が艶消しされそして厚さが減少するように、ウェブを繰り返し貫通するとげ付き針の往復運動によって強化されそして団結される。形成されたウェブはよりロフティーな外観のために希薄化されうる。
【0024】
乗物において標準として使用されるそのような不織カーペット表面層の面積質量は、使用領域及び自動車の高級さに依存し、通常180~800g/mの範囲内であり、例えば、高級車部門においては、これを最大700g/mにすることができ、低級車部門においては、これを200g/mまで低くすることができる。
【0025】
審美的又は装飾的表面層として使用される不織布カーペットに関して、ニードルパンチ繊維マットをプレーンニードルパンチカーペットとして維持するか、又はプレーンニードルパンチカーペット層をさらにニードリングすることによってさらに向上させて、さらに構造化された表面を得ることができる。
【0026】
これはリブ付き、ベロア又はランダムベロア(ディロア(dilour)としても知られる)の形態でありうる。摩耗性能を損なうことなく外観を向上させるための他の表面処理も可能であり、本開示の範囲内に含まれる。表面はクロップされていても又はクロップされていなくてもよい。
【0027】
第二の繊維層である背面層は、好ましくはカーディングされ、クロスラップされそして最終的にはニードリングされる。
【0028】
空気流抵抗層とは反対側の表面上でこの層に隣接して、追加の層、例えばスラブフォーム又は反応注入フォームのいずれかのフォーム層、別の繊維層、スクリム又は閉鎖若しくは開放フィルムなどの薄い不織布を使用することができる。
【0029】
第一又は第二の繊維層は、ステープルファイバ、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリオレフィン、好ましくはポリプロピレン(PP)若しくはポリエチレン(PE)、又は、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリアミド6若しくはポリアミド6,6などのポリアミド、又は、それらの混合物を含むことができる。
【0030】
第二の繊維層はまた、再生綿、再生PET若しくは他の合成再生繊維又はそれらの混合物などのリサイクル再生繊維を含むことができる。
【0031】
使用される繊維は中実断面を有することができるが、中空断面を有する繊維も好ましく、それにより、例えば、カーペットトップ層を感触及び耐久性の点でさらに向上させ、又は、第二の繊維層をより軽量及び/又はよりロフティーにすることができる。
【0032】
第一及び/又は第二の繊維層がニードリングされる場合に、カーペットの成形後にその耐久性をさらに向上させるために、少量の追加のバインダ、好ましくは熱可塑性物質を繊維ブレンドに添加することができる。
【0033】
好ましくは少なくとも0~50%のバインダ、例えばバインダステープルファイバの形態のバインダは使用される。バインダとして、直前に論じたステープルファイバよりも低い融点を有する低融点ポリエステル又はポリオレフィンを使用することができる。好ましくは、ポリエステルバイコンポーネント繊維、例えばPETコアとコポリエステルシースとを有する繊維は使用され、ここで、ステープルファイバの結合を達成するためにシースのみが溶融する。
【0034】
第一及び/又は第二の繊維層が機械的にニードリングされていない場合には、成形中に互いに繊維を結合させ、それによって結合フェルト材料を形成することができるために、より多量のバインダを当初の繊維中に混合することができる。
【0035】
この場合に、バインダは50%以下のバインダ、好ましくは10~40%のバインダ、さらにより好ましくは20~30%のバインダである。
【0036】
同じタイプのバインダを全ての繊維層について同様の条件で使用することができる。
【0037】
第一及び/又は第二の繊維層は縮れた中空の複合繊維と、二成分バインダ繊維及び再生材料、例えば綿再生繊維若しくはポリエステル再生繊維との組合せであることができる。
【0038】
最終的にフォームチップは背面層を形成する第二の繊維層に、好ましくは層の総面積質量の30%以下、より好ましくは25%以下で混合されうる。
【0039】
例えば、背面層を形成する第二の繊維層は10~40%のバインダ、10~70%のフィラー、好ましくは中実の繊維、及び、10~70%の縮れた、好ましくは中空の繊維からなり、それらの合計量は100質量%となる。
【0040】
例えば、背面層を形成する第二の繊維層は10~40%のバインダ、10~40%のフィラー、好ましくは中実の繊維、10~60%の縮れた、好ましくは中空の繊維、及び、10~50%の細断フォーム片からなり、それらの合計量は100質量%になる。
【0041】
フィラー繊維は繊維層のバルクを形成し、トリム部品の製造中に溶融しない、あらゆるタイプの繊維として定義される。
【0042】
好ましくは、フィラー繊維は、綿再生繊維、合成再生繊維、ポリエステル再生繊維、天然再生繊維及び混合合成繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料からなる再生繊維を含むことができる。
【0043】
背面層を形成する繊維層は様々な厚さで一定の密度を有することができ、好ましくは、他の層と組み合わせる前に繊維材料の全体的な分布を維持するために予備圧密化する。
【0044】
第一及び第二の層は同じ材料組成であることができる。しかしながら、第一及び第二の繊維層は、全体の層形成におけるそれらの最終機能に基づいて差別化されうる。
【0045】
好ましくは、第一の繊維層である不織布カーペット表面層は、100~1700g/m、好ましくは300~1500g/m、好ましくは400~1300g/mの面積質量を有する。
【0046】
好ましくは、第二の繊維層である背面層は200~1700g/m、好ましくは300~1500g/m、好ましくは400~1300g/mの面積質量を有する。
【0047】
《編布》
本発明による空気流抵抗層を得るために、編布、パターン及び糸の粗さは最終の空気流抵抗に影響を及ぼすことができ、最終製品に必要な空気流抵抗を微調整するために使用することができる。
【0048】
不織布又は穿孔ホイル層ではなく編布を使用する利点は、布帛の開口部が編布の製造中に製造され、編布パターン及び糸の粗さならびに選ばれるプロセスパラメータに基づくことである。これにより、開口部の量及び分布が制御可能になり、不織布の場合のようにランダムにならなくなる。さらに、開口部は編成プロセス中に形成され、したがって材料自体は開口部を形成するためにさらに損傷されない。
【0049】
編布材料は、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系又は好ましくはポリアミド6若しくはポリアミド6,6などのナイロン系であり、又は、そのような材料の混合物である。
【0050】
編布のパターンは規則的であることができ、好ましくは平編又はインターロック編などのたて編、又は丸編は使用されうる。より好ましくは、異なるサイズの開口部のパターンを有するか、又は大きな開口部と密に編まれた領域との組合せを有する編布、例えば、規則的なパターンの大小の開口部の組合せを有するアジョータイプ編布(ajour type knit)は用いられる。アジョー編布は、編布に開口部のパターンを作り出すステッチトランスファー技術に基づく。布帛に配置された安定した開口部を形成するフィレット編布などの他のレース編布も同様に使用することができる。
【0051】
パターンは必要とされる空気流抵抗をさらに最適化するように選択することができる。例えば、より低い空気流抵抗が必要とされる場合には、より開口された編布を選択することができ、又は、より高い空気流抵抗が必要とされる場合には反対であることができる。しかしながら、同じことは、大きな開口部を有するパターン及び緻密に編まれた領域を組み合わせることによって達成することができる。好ましくは、規則的なパターンでの大きな開口部と小さな開口部との組合せを選択して基本空気流抵抗を得て、それは樹脂材料の選択によってさらに調整することができる。
【0052】
また、カスタムメードの編布を使用することもでき、ここで、異なるパターンの組合せを使用して最終製品内で異なる空気流抵抗の領域を得るようにパターンが適合される。
【0053】
異なるタイプの編布、パターン又はテクスチャ、例えば、ワープ、ピケ、インターロック又はジャカード、ならびに三次元タイプの編布は使用されうる。また、編布用の糸及び糸のタイプ(なめらかな又はテキスチャード)の選択も、布帛の見かけの開放性に影響を与える。
【0054】
全体的な伸張性能を向上させるために、布帛は弾性糸又は弾性繊維製の糸を含むことができる。編布は、布帛が平面の全ての方向にほぼ等量で延伸可能であるように弾性糸を含むことができる。
【0055】
使用される編布は、例えば編布の熱固定処理及び/又は洗浄処理によって、収縮及び変形を防ぐように処理されうる。洗浄工程はまた、後のプロセス工程、特に樹脂移行工程及び/又は層自体のラミネート化を妨げる可能性がある編成プロセスの所望されない残留物を除去することもできる。
【0056】
好ましくは、編布は10~150g/mの面積質量、好ましくは20~100g/mの面積質量を有する。より好ましくは、編布は25~80g/mの範囲の面積質量を有する。
【0057】
好ましくは、編布は15~150dtex、好ましくは20~100dtexの糸で作られる。好ましくは、編布は、3~80、好ましくは10~50のニッティングゲージで作られる。
【0058】
《熱可塑性材料》
使用される熱可塑性樹脂は少なくとも編布のより大きな孔を通って均一に流れ、編布の他方の側に到達しそして第一の繊維上層に結合するのを可能にするために規定の粘度を必要とする。これは、吸音性多層及び/又はそのような多層を含む部品の製造に使用されるプロセス温度において必要な粘度を有するように調整された樹脂材料を選択することによって達成されうる。
【0059】
熱可塑性樹脂材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PTB)又はコポリエステル(コPES)などのポリエステル、ポリアミド6又はポリアミド6,6などのポリアミド、ポリエチレン(PE)又は低密度ポリエチレン(LDPE)又は線状低密度ポリエチレン(LLDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などの熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン及びエチレンビニルアセテート(EVA)などのコポリマー、又は、ポリ乳酸などのバイオポリマーからなる群より選ばれるポリマー又はコポリマーの少なくとも1種を含むことができる。
【0060】
熱可塑性樹脂材料は、好ましくは、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、低密度ポリエチレンLDPE又は線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ナイロン、例えばポリアミド-6又はポリアミド-6-6などのポリアミド、又は、ポリエステルのコポリマーのうちの少なくとも1種をベース樹脂として又は主樹脂成分として含むことができる。
【0061】
使用される熱可塑性樹脂は、一般に、単一の熱可塑性樹脂又は複数のそして時には重複する機能を有する幾つかの異なる成分を含むことができる。一般に、ベース樹脂又はバックボーン樹脂は樹脂の凝集力及び接着性の靭性を制御する。改質又は粘着付与樹脂は、第一又は第二の繊維層又は編布の特定の濡れ性又は接着特性に寄与し、そして他の成分を相溶化するために含まれることができる。他の添加剤は、例えば溶融粘度を低下させるため又は樹脂材料を安定化させるために使用されうる。フィラーはコストを下げるために及び/又は粘度を上げるために加えることができる。
【0062】
熱可塑性樹脂材料のMFIは、樹脂が多層構造の製造温度で完全に溶融し流動するように選択されるべきである。さらに、MFIは編布用に選択されるパターンによって異なる。大きな開口部を有するパターンを有する編布は、実質的に小さな開口部のパターンを有する編布よりも、製造温度でのより低いMFIを必要とする。MFIが3層構造の製造温度において低すぎる場合には、樹脂は編布を通って移行しない及び/又は第一及び/又は第二の層に部分的に移行しない。MFIが高すぎると、樹脂が第一の層及び第二の層に完全に入り込み、編布パターンの内側にとどまらない。これは、審美的観点から望ましくない部品の表面へのブリードスルーさえも引き起こしうる。
【0063】
さらに、MFIは目標AFRに依存する。所与の編布パターンでは、高いAFRに対してはより高い粘度又はより低いMFIが選択され、低いAFRに対してはその逆が選択されるであろう。
【0064】
例えば、大きな開口部及び小さな開口部のパターンと230℃~240℃のプロセス温度との組合せで、200℃~220℃の融点範囲を有し、230℃で測定されたMFIが約35である樹脂を使用することができる。
【0065】
しかしながら、210℃で測定されたMFIが約35である樹脂が使用される場合には、プロセス温度は200~210℃に設定されうる。
【0066】
例えば、小さな開口部のパターンと230℃~240℃のプロセス温度との組合せで、210℃で測定されたMFIが約35である熱可塑性樹脂を使用することができる。
【0067】
熱可塑性樹脂材料は、好ましくは、第一及び第二の繊維層に使用されるバインダの融点よりも少なくとも20℃、好ましくは40℃高い融点を有する。
【0068】
熱可塑性樹脂材料は、好ましくは、フィルム、プレーンロールホットメルトコーティングなどのホットメルトコーティング又は結合層の形態で提供され、それにより、樹脂材料の均一な分布が与えられる。
【0069】
フィルムの厚さは、樹脂材料が繊維層及編布上に分布し、編布と共に空気流抵抗層を形成するように開放されるように調整することができる。
【0070】
フィルムが厚すぎる場合には、利用可能な材料は閉塞した層を維持するのに十分であり、フィルムが薄すぎる場合には、本発明によるラミネートを形成するのに十分な樹脂が編布を通って繊維層中に浸透しない。
【0071】
編布と一方又は両方の繊維層との間の結合が不十分な場合には、二層又は多層フィルムを使用することができる。
【0072】
メルトフローレートは、ISO規格1133-1に従って測定される。MFIを決定するための手順は以下のとおりである:少量のポリマーサンプルを特別に設計されたMFI装置に入れる。
【0073】
典型的には直径約2mmの開口部を有するダイを装置に挿入する。溶融ポリマーの押出を引き起こす媒体として作用するピストンは導入される。示された温度で示された時間サンプルを予熱する。予熱後に、指定された錘をピストンに導入する。錘は溶融ポリマーに対して力を及ぼし、それは直ちにダイを通って流れ始める。溶融物のサンプルを所望の時間後に採取しそして正確に秤量する。MFIは、試験時間10分当たりのポリマーのグラム数で表される。メルトフローインデックスの同義語はメルトフローレート及びメルトインデックスである。より一般的に使用されているのはそれらの略語である:MFI、MFR及びMI。
【0074】
好ましくは、樹脂層と編布の質量は同程度の大きさである。
【0075】
好ましくは、樹脂層の質量は25~200g/m、最も好ましくは40~120g/mである。
【0076】
《本発明による不織カーペットの例》
一般に、製品は以下のような好ましい層を有することができる。
1.第一の繊維層として、400g/mのポリエステル不織布希薄カーペット層、
2.本発明による空気流抵抗層を一緒に形成する、好ましくは30~80g/mの編布及び約50μmの約50g/mのCo-PETフィルム、
3.70%ポリエステル繊維及び30%のPETのコア及びCo-PETのシースを有するバイコンポーネント繊維を有する、少なくとも300g/mのニードルパンチ不織布層である第二の繊維層。シースは繊維層のためのバインダとして機能する。
【0077】
成形後の製品は、好ましくは、2500~4500Nsm-3の空気流抵抗を有する。
【0078】
《例1》
以下の材料を使用して、本発明による自動車用フローリングを形成した。
1.不織カーペット層を形成する第一の繊維層として、100%ポリエステル繊維から製造された不織布希薄繊維層を使用した。
2.第二の繊維層として、繊維の総質量を基準にして70質量%のポリエステル繊維及び30質量%のポリエステルバイコンポーネント繊維から作られた450g/mの不織繊維マットを使用した。
3.空気流抵抗層は、図3aに示すように70g/mの100%ポリエステルジャカード編布によって形成した。熱可塑性樹脂としては、密度1.21kg/m及び融点範囲200~210℃のコポリエステルフィルムを使用した。
【0079】
全ての層を一緒にラミネート化しそして自動車用の3Dフロア部品に成形した。
【0080】
結果は、乗物用の成形フローリング部品上で測定して3700Ns/m±15%の全体平均空気流抵抗を示す。特に、均一な空気流抵抗が全部品にわたって測定され、編布の引き裂き又は過剰延伸によって引き起こされる空気流抵抗の減少の主な領域はなかった。空気流抵抗の基礎として編布を使用することで、製造される部品にわたって均一な空気流抵抗をもたらすことを示している。
【0081】
《例2》
例1と同じ繊維層を使用したが、ここで図3bに示すようなパターンを有する編布を使用して空気流抵抗層を形成し、空気流抵抗測定値は825Ns/mとなった。
【0082】
製造工程
上記目的は、特に少なくとも以下の連続した工程により、請求項8に記載の製造方法によってさらに達成される。
1.材料、特に、少なくとも、背面層を形成する第二の繊維層、熱可塑性樹脂層及び編布を積み重ねる。ここで、熱可塑性樹脂層は、第二の繊維層と編布との間にそれらと表面接触して配置される。
2.少なくとも樹脂フィルム層が少なくとも所望の粘度に対応する温度に加熱されるように、好ましくは編布の側から積み重ね層を加熱する。
3.好ましくは別個の工程において、不織カーペット表面層である第一の繊維層の少なくとも1つの表面を加熱する。
4.第一の繊維層の加熱表面と編布の加熱面とが互いに表面接触し、そのような積み重ね層をその表面に対して垂直な圧力にさらすように工程1及び工程3の加熱された材料を組合せ、それにより、樹脂材料は、編布の空隙の少なくとも一部を通って、そして部分的に第一及び第二の繊維層中を移行し、それによって空気流抵抗層を形成し、すべての層を一緒にラミネート化する。
【0083】
好ましくは、工程4は、例えば一組のローラを通したプレス手段を用いて行われ、ここで、ローラ間の空隙は積み重ね材料の高さよりも小さい。
【0084】
工程4から来る材料は、半完成材料としても知られるロール商品材料として製造することができる。
【0085】
このロール製品材料は、追加の工程で自動車のトリム部品を形成するために切断及び成形され、最終的には、例えば第二の繊維層の側で追加の層と組み合わされる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1図1は本発明による構造の概略レイアウトを示す。
【0087】
図2図2は単純な編布構造を示す。
【0088】
図3図3は好ましい編布パターンの例を示す。
【0089】
図4図4は本発明による多層材料の可能な製造方法の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
図1は、第一の繊維層(1)である不織カーペット表面層と、第二の繊維層(2)である背面層と、該第一の繊維層と第二の繊維層の間の空気流抵抗層である少なくとも3つの連続層を含む吸音性多層であって、該空気流抵抗層は、編布(4)と熱可塑性樹脂材料(3)との組合せであり、該熱可塑性樹脂材料は少なくとも部分的に編布中に浸透し、編布の孔の一部を閉塞している、吸音性多層を示す。
【0091】
ブロックされる開口部の量に応じて、空気流抵抗を微調整することができる。開口部は完全にブロックされても又は部分的にブロックされてもよい。
【0092】
好ましくは、樹脂材料はまた、第一及び/又は第二の繊維層中に部分的に浸透して、図示されるように3層すべてを一緒にラミネート化(結合)している。
【0093】
図2及び3に、編布の例は示されている。編布パターンは樹脂の移行、したがって得られる空気流抵抗に影響を与えることができる。編布の開放性は、編機ゲージ及び糸のサイズによって影響されうる。例えば、84dtex糸を使用する32ゲージ編布は、平均で20~45%の開口面積を有することができる。図2は、布帛に開口部(5,6)を有する単純な編布パターンを示す。
【0094】
図3A及びBは、使用され得る編布パターンの例を示す。図3Aは、小さな開口部(6)を有するタイトニットを有する領域と組み合わされた大きな開口部(5)を有するトリコットメッシュニットを示す。
【0095】
樹脂材料は大きな開口部を通って移行することができるが、移行は大部分がタイトニット領域によって阻害される。図3Bは、規則的な分布で大きな開口部(7)と小さな開口部(8)との組合せを有するネット構造ニットの例を示す。
【0096】
図4は、本発明による多層材料を製造するために可能な方法及び機械設備を示す。
【0097】
最終製品(2)において背面層を形成することができる第二の繊維層、熱可塑性樹脂フィルム(3)及び編布(4)は、ロール(6)上で、予備設定温度に加熱されたホットドラム(7)にガイドされ、好ましくは3つ全ての層であるが、少なくとも編布及び樹脂層を、好ましくは層に圧力を加えることなく加熱する。編布の一方の面はホットドラムと直接接触し、他方の面又は表面は熱可塑性樹脂フィルムと直接接触している。フィルムの他方の面は第二の繊維層に直接接触している。全厚さにわたる第二の繊維層の加熱は必要ではないので、加熱時間は主にドラム温度ならびに編布及びフィルム層の厚さに依存する。
【0098】
この層の上面への流れを可能にし、この層が他の2つの層へ少なくとも予備接着を達成するために、薄い厚さのみの第二の繊維層を加熱する必要がある。層は、熱可塑性樹脂材料の移行を防ぐために層の表面の平面に垂直な方向に最小限の圧力で加熱される。
【0099】
ホットドラム温度は、少なくとも熱可塑性樹脂材料が加熱されて所望の粘度に対応する温度が得られるように選択されるべきである。粘度は、到達温度と組み合わせて熱可塑性樹脂のメルトフローインデックスに依存する。
【0100】
最終的に第二のガイドローラを介して、不織カーペット表面層(1)である第一の繊維層は導入される。第一の繊維層は、好ましくは、例えば赤外線ヒータ(9)又は別のホットドラムを用いて、編布に面する表面で加熱される。第二の繊維層と同様に、この層も材料の厚さ全体にわたって加熱される必要はないが、特に樹脂材料の積み重ね層の瞬間的な冷却を防ぐために編布と直接接触する領域においてのみ加熱される必要がある。
【0101】
第一の繊維層及び少なくとも3つの層は、編布が第一の繊維層の加熱された面に面するように直接接触させられ、ニップローラ10及び11を通ってガイドされる。ニップローラの間の空隙は所与の圧力が層の表面に対して垂直に4層にかけられるようなものである。層に圧力をかけることによって、フィルム層の溶融樹脂は流動させられる。樹脂に対する抵抗が最も少ない経路は、編布を通した、主にパターンのより大きな開口部を通した経路である。それゆえ、樹脂材料は編布を通して主として移行しそして第一の繊維層中にブリードする。しかしながら、少量が第二の繊維層にもブリードするであろう。編布の開口部は樹脂材料によって少なくとも部分的に閉塞されるが、同時に樹脂の移行のために、当初に閉塞されたフィルムは崩壊する。そのため、組み合わせた樹脂と編布とにより空気流抵抗層を形成する。樹脂材料の幾らかは、提示された本発明の全体的な思想を損なうことなく、編布の糸材料に浸透することができる。ニップローラを通過している間又は通過した後に加熱が続けられないので、材料は冷却され、樹脂材料のさらなる移行は、それが第一及び/又は第二の繊維層に完全にブリードすることができる前に停止する。そのため、熱可塑性樹脂材料の一部は編布の内部に残留するであろう。
【0102】
第二の方法において、得られた多層材料を少なくとも一方の側、好ましくは第二の繊維層の表面で加熱されることができそして、3次元形状に冷間成形され、例えば乗物用カーペットフローリングシステム又はインナーダッシュパネルを形成することができる。あるいは、カーペットフローリングシステムは、本発明による多層材料を熱成形することによって形成することができる。空気流抵抗層と接触していない第二の繊維層の表面上に追加の層を使用して、トリム部品の全体的な性能をさらに向上させることができる。例えば、フィルム層、連続気泡フォーム層、追加のフェルト層、不織スクリム層のうちの少なくとも1つを使用することができる。衝撃などの他の目的のための材料、例えばブロックフォームの形態のクラッシュパッドなどをフローリングシステムに組み込んでもよい。多層システムは、例えば、揚床システム用のスペーサを形成する硬質プラスチックシェルと組み合わせて使用することもできる。
【0103】
編布の使用により、形成された空気流抵抗層は弾力性及び可撓性であり、さらにより極端な形態での3D形状への成形も可能である。驚くべきことに、これは高延伸領域において局所的に空気流抵抗を損なわず、その結果、部品の実質的に全面にわたって一定の吸音性を有するトリム部品又はクラッディング、例えば乗物用フローリングシステムとなる。
【0104】
不織布吸音材は、ルーズマットとして、フットウェルのインナーダッシュ領域のカバーとして、乗物のメインフローリングに使用することができる。しかしながら、パーセルシェルフ上の吸音性カーペット表面層として、トランク又は不織カーペット表面層と吸音層の組合せが使用されうる他の領域においても使用される。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む:
[1]第一繊維層(1)である不織カーペット表面層、第二繊維層(2)である背面層、及び、前記第一繊維層と前記第二繊維層との間の空気流抵抗層の少なくとも3つの連続層を含む吸音性多層であって、
前記空気流抵抗層は、編布(4)と熱可塑性樹脂材料(3)との組合せであり、前記熱可塑性樹脂材料は前記編布中に少なくとも部分的に浸透し、少なくとも前記編布の孔の一部を閉塞することを特徴とする、吸音性多層
[2]前記熱可塑性樹脂材料は、第一及び第二の繊維層に少なくとも部分的に浸透し、これらを前記編布にラミネート化させる、上記[1]に記載の多層。
[3]前記編布は、たて編、丸編、レース編又はジャカード編のいずれかである、上記[1]又は[2]に記載の多層。
[4]前記熱可塑性樹脂材料は、ポリエステルのコポリマー、好ましくはポリエチレンテレフタレートのコポリマー(Co-PET)若しくはポリブチレンテレフタレートのコポリマー(Co-PBT)、又はポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン若しくはポリオレフィンのコポリマーのいずれかである、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の多層。
[5]前記熱可塑性樹脂材料は、110℃~240℃の融点範囲を有する、上記[1]~[4]のいずれか一つに記載の多層。
[6]製造される部品の全体としての空気流抵抗(AFR)は、750~7000Ns/m である、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の多層。
[7]前記編布は、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系、又は好ましくはポリアミド6若しくはポリアミド6,6などのナイロン系、又はそのような材料の混合物である、上記[1]~[6]のいずれか一つに記載の多層。
[8]前記第一又は第二の繊維層は、ステープルファイバ、好ましくはポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン、好ましくはポリプロピレン(PP)若しくはポリエチレン(PE)、ポリ(乳酸)(PLA)、又はポリアミド、例えばポリアミド6若しくはポリアミド6,6、又はそれらの混合物を含むことができる、上記[1]~[7]のいずれか一つに記載の多層。
[9]前記第二の繊維層は、リサイクル再生繊維、例えば再生綿、再生ポリエステル若しくは他の合成再生繊維又はそれらの混合物を含む、上記[1]~[8]のいずれか一つに記載の多層。
[10]前記空気流抵抗層と接触していない前記第二の繊維層の表面上に、フィルム層、連続気泡フォーム層、追加のフェルト層、不織スクリム層又はプラスチックシェルのうちの少なくとも1つをさらに含む、上記[1]~[9]のいずれか一つに記載の多層。
[11]少なくとも以下の連続する工程を含む、上記[1]~[10]のいずれか一つに記載の多層の製造方法であって、
- 前記材料を積み重ねること、特に少なくとも第二の繊維層、熱可塑性樹脂層及び編布を、前記熱可塑性樹脂層が、前記第二の繊維層と前記編布との間にそれらと表面接触して配置されるように積み重ねること、
- 少なくとも前記樹脂フィルム層が、少なくとも所望の粘度に対応する温度に加熱されるように、前記積み重ねた層を加熱すること、好ましくは前記編布の側から前記積み重ねた層を加熱すること
- 好ましくは別個の工程において、不織カーペット表面層である第一の繊維層の少なくとも1つの表面を加熱すること、
- 第一の繊維層の加熱表面と前記編布の加熱表面とを互いに表面接触させて、工程1及び工程3の加熱された材料を組み合わせること、そして前記樹脂材料を、前記編布の空隙の少なくとも一部を通って、そして部分的に第一及び第二の繊維層中に移行するように、積み重ね層をその表面に垂直な圧力にさらすこと、それにより空気流抵抗層を形成しそしてすべての層を一緒にラミネートすること、
を含む、方法。
[12]上記[1]~[10]のいずれか一つに記載の吸音性多層の、自動車フローリングとしての又は自動車インナーダッシュとしての使用。
図1
図2
図3A
図3B
図4