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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】構造化表面を作製するコーティング材料
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/06 20060101AFI20220822BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20220822BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20220822BHJP
   C09D 7/42 20180101ALI20220822BHJP
【FI】
C09D201/06
C09D7/65
C09D175/04
C09D7/42
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019555756
(86)(22)【出願日】2018-04-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2018059141
(87)【国際公開番号】W WO2018189166
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】17165903.0
(32)【優先日】2017-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ヴェゲナー,エルケ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】マグアリノス、マリア デル ロサリオ
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-219188(JP,A)
【文献】特開2006-219731(JP,A)
【文献】特開昭63-235387(JP,A)
【文献】特開平08-319439(JP,A)
【文献】特開2002-327150(JP,A)
【文献】特表2002-542367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1つのポリオール成分(A)、
(ii)成分(A)の水酸基に対して反応性である基を有する少なくとも1つの架橋剤成分(B)、
(iii)少なくとも1つのポリアミド成分(P1)であって、酸アミド基が、6~10個の炭素原子を有する飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルによって結合されており、前記成分が、粒子形態で使用されており、レーザ光回折によって測定される一次粒子のサイズ分布が、20~100μmのメジアン粒径(D50)を有する、ポリアミド成分(P1)、及び
(iv)少なくとも1つのポリカルボキサミド成分(P2)
を含むコーティング材料組成物であって、
前記ポリアミド成分(P1)が、以下の式(I)
【化2】
[式中、n=6~10である]
のラクタムの開環重合による化合物、又は
式(I’)
HOOC-R-NH (I’)
[式中、R=C 9-13 アルキレンである]のα,ω-アミノカルボン酸の重縮合による化合物であり、
ポリカルボキサミド成分(P2)が、以下の構造式を有し、
【化1】
式中、sは、1、2又は3であり、
tは、0又は1であり、
s+tは、2又は3であり、
Rは、
(a)2~60個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、
(b)2~8個のカルボキサミド基及び追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の6~150個の炭素原子を含む脂肪族又は脂肪族-芳香族ラジカル、並びに
(c)2~75個のエーテル基及び追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の4~150個の炭素原子を含む脂肪族ラジカル、
(d)6~20個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基
から成る群から選択される(s+t)価の有機ラジカルであり、
は、水素又はC2nであり、nは2~6であり、Rは、水素又は構造(X)-Rのラジカルであり、pは0又は1であり、pが0である場合、ラジカルRは、OHであり、pが1の場合、ラジカルXは酸素原子又はカルボン酸エステル基であり、
は、
i.1~3個の水酸基を含み、2~80個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、又は
ii.1~3個の水酸基を含み、エーテル基及びカルボン酸エステル基の群から選択される0~39個の基を含み、追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の2~80個の炭素原子を含む脂肪族ラジカルであり、
は、ラジカルC2n-(X)-Rであり、
-R’-NH-R’’は、
ラジカル-C2n-NH-C2n-(X)-R
ラジカル-R4’-X-C2n-NH-R又は
ラジカル-R4’-X-C2n-NH-C2n-(X)-Rであり、
4’は、0~2個の水酸基を含み、2~80個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、又は
4’は、0~2個の水酸基を含み、エーテル基及びカルボン酸エステル基の群から選択される0~39個の基を含み、追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の2~80個の炭素原子を含む脂肪族ラジカルであり、
前記ポリアミド成分(P1)の画分は、コーティング材料組成物の総質量に対して1~20質量%であり、
前記ポリカルボキサミド成分(P2)の画分は、コーティング材料組成物の総質量に対して0.01~1.0質量%である、
コーティング材料組成物
【請求項2】
が、
(a)6~44個、より好ましくは34~42個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、
(b)2個のカルボキサミド基及び追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の70~90個の炭素原子を含む脂肪族ラジカル、並びに
(c)3~13個のエーテル基(-O-)及び追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の6~26個の炭素原子を含む脂肪族ラジカル
から成る群から選択される(s+t)価の有機ラジカルである、請求項1に記載のコーティング材料組成物。
【請求項3】
及びRの両方のラジカルが、互いに独立して構造C2n-(X)-Rである、請求項1または2に記載のコーティング材料組成物。
【請求項4】
ポリカルボキサミド成分(P2)が、
(A)ポリカルボン酸(III)又はポリカルボン酸エステル(III)
【化3】
[式中、R、s及びtは請求項1から4で規定され、
は、水素又は1~6個の炭素原子を有するアルキルラジカルである]、又は
式(III’)の無水物
【化4】
[式中、R、R、s及びtは上記で規定される]と、
(B)式HNRの第一級又は第二級アミン[式中、R及びRは、請求項1~4で規定される]との反応によって得ることができる、請求項1~のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
【請求項5】
前記アミンNHRがジアルカノールアミンであるか、又はジアルカノールアミンとラクトン若しくはオキシランとの反応生成物である、請求項に記載のコーティング材料組成物。
【請求項6】
DIN EN ISO3146:2002-06に従った前記ポリアミド成分(P1)の融点が160℃~350℃の範囲である、請求項1からのいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
【請求項7】
前記ポリオール成分(A)が80~250mgKOH/gの水酸基価を有し、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリシロキサンポリオール、及びポリ(メタ)アクリル酸ポリオールの群から選択される、請求項1からのいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
【請求項8】
前記ポリオール成分(A)がポリ(メタ)アクリル酸ポリオールである、請求項に記載のコーティング材料組成物。
【請求項9】
前記架橋剤成分(B)が、遊離イソシアネート基を有する架橋剤、ブロックされたイソシアネート基を有する架橋剤、アミノ樹脂及びトリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンの群から選択される1つ以上の架橋剤を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
【請求項10】
前記架橋剤成分(B)が、遊離イソシアネート基を有する架橋剤の群から選択される1つ以上の架橋剤を含む又はそれから成る、請求項に記載のコーティング材料組成物。
【請求項11】
前記架橋剤が、1,6-ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸イソホロン、及び4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、そのウレトジオン二量体、ビウレット二量体及び/又はイソシアヌレート三量体から成る群から選択される、請求項10に記載のコーティング材料組成物。
【請求項12】
シリカを含まない、請求項1から11のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
【請求項13】
艶消し剤(M)としてシリカを含み、一次粒子のサイズ分布が、コーティング材料に使用されるポリアミド成分(P1)の粒子のメジアン粒径未満のメジアン粒径(D50)を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。

【請求項14】
25℃で液体である成分および25℃で固体である成分が用いられ前記25℃で液体である成分の全体又は部分を最初に導入し、次に、前記25℃で固体である成分を、前記25℃で液体である成分と一緒に撹拌して導入する、請求項1から13に記載のコーティング材料組成物を作製する方法。
【請求項15】
最も外側のクリアコートとして、請求項1から13のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物から得られるコートを含む、マルチコートペイントシステム。
【請求項16】
前記クリアコートが20~60μmの範囲の乾燥膜厚を有する、請求項15に記載のマルチコートペイントシステム。
【請求項17】
請求項1から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリアミド成分(P1)、及び請求項1から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリカルボキサミド成分(P2)を含む配合物を、コーティング材料組成物における添加剤として使用する方法であって、構造化コーティングを作製するための、使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造化表面を作製するためのコーティング材料、より詳細には構造化クリアコートシステムを作製するためのコーティング材料、及びコーティング材料を作製する方法に関する。本発明は、さらに、本発明のコーティング材料から得られるコーティング膜を含むマルチコートペイントシステムに関する。本発明のさらなる主題は、コーティング材料組成物の添加剤として、2つの異なるアミドの組み合わせを使用する方法である。
【背景技術】
【0002】
長い間、例えばシリカ等の通例の艶消し添加剤を添加しなくとも安定したコーティング材料組成物を形成し、特に、ざらざらした、好ましくはそれでも光沢のあるクリアコートシステムを得ることが可能な、構造化表面を作製するためのコーティング材料が望まれてきた。
【0003】
コーティング材料組成物、より詳細には、ペースト形態の艶消し及び/又は構造化剤調製物を使用して得られる自動車塗料は、EP-A-1088037により公知である。ここでのペーストは、長期保存しても沈降を示さないことを意図する。艶消しペーストは、ヒュームドシリカに基づく艶消し剤を含み、構造化ペーストは、艶消し剤としてヒュームドシリカを含むだけでなく、ポリアミドペレットに基づく構造化剤も含む。構造化ペーストは、プラスチック基板の塗料のための、ベースワニス及び硬化剤としての遊離イソシアネート基を有するポリイソシアネートからの2成分塗料を作製する役割を担う。
【0004】
コーティング材料を作製するための、アセトブイル酸セルロースを組み合わせたヒュームドシリカ及びポリアミド粉末に基づく同様の構造化ペーストもまたDE19810900C2に既に記載されている。
【0005】
しかし、前述のコーティング材料組成物に関しては、いわゆる構造化ペースト及び艶消しペーストの使用が必須条件である。いずれの場合においても、これらの組成物の焦点は、艶消し効果である。沈降について安定しており、艶消し剤部分を含まないコーティング材料組成物は、記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】EP-A-1088037
【文献】DE19810900C2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、沈降について安定しており、構造化コーティング膜、より詳細にはクリアコート膜を形成し、有意な部分のヒュームドシリカを有さず、又は構造化ペーストを使用せずに対処するコーティング材料を提供することであった。本発明のコーティング材料組成物から得られるペイントシステムは、高品質のペイントシステムの必要条件の全て、特に、自動車OEM仕上げ又は自動車再仕上げにおける必要条件を満足するはずである。本発明のコーティング材料組成物は、特に、高い循環ラインの安定性を示し、特に規則的な表面構造、高い耐擦傷性及び耐薬品性を有するペイントシステムになるはずである。本発明は、また、一定凝縮条件試験(constant condensation conditions test)(CCC test)後のブラッシングを最小にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、前述の目的は、
(i)少なくとも1つのポリオール成分(A)、
(ii)成分(A)の水酸基に対して反応性である基を有する少なくとも1つの架橋剤成分(B)、
(iii)少なくとも1つのポリアミド成分(P1)であって、酸アミド基が、6~10個の炭素原子を有する飽和脂肪族ヒドロカルビルラジカルによって接続されており、前記成分が、粒子形態で使用されており、レーザ光回折によって測定される一次粒子のサイズ分布が、20~100μmのメジアン粒径(D50)を有する、ポリアミド成分、及び
(iv)少なくとも1つのポリカルボキサミド成分(P2)
を含むコーティング材料組成物であって、
ポリカルボキサミド成分(P2)が、以下の構造式を有し、
【化1】
式中、sは、1、2又は3であり、
tは、0又は1であり、
s+tは、2又は3であり、
Rは、
(a)2~60個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、
(b)2~8個のカルボキサミド基及び追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の6~150個の炭素原子を含む脂肪族又は脂肪族-芳香族ラジカル、並びに
(c)2~75個のエーテル基(-O-)及び追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の4~150個の炭素原子を含む脂肪族ラジカル、
(d)6~20個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基
から成る群から選択される(s+t)価の有機ラジカルであり、
は、水素又はC2nであり、nは2~6であり、Rは、水素又は構造(X)-Rのラジカルであり、pは0又は1であり、pが0である場合、ラジカルRは、OHであり、pが1の場合、ラジカルXは酸素原子又はカルボン酸エステル基であり、
は、
i.1~3個の水酸基を含み、2~80個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、又は
ii.1~3個の水酸基を含み、エーテル基(-O-)及びカルボン酸エステル基の群から選択される0~39個の基を含み、追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の2~80個の炭素原子を含む脂肪族ラジカルであり、
は、ラジカルC2n-(X)-Rであり、
-R’-NH-R’’は、
ラジカル-C2n-NH-C2n-(X)-R
ラジカル-R4’-X-C2n-NH-R又は
ラジカル-R4’-X-C2n-NH-C2n-(X)-Rであり、
4’は、0~2個の水酸基を含み、2~80個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、又は
4’は、0~2個の水酸基を含み、エーテル基及びカルボン酸エステル基の群から選択される0~39個の基を含み、追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の2~80個の炭素原子を含む脂肪族ラジカルである、
コーティング材料組成物によって達成されることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ポリオール成分(A)
使用されるポリオール成分(A)は、好ましくは、オリゴマー及び/又はポリマーポリオールである。低分子量のポリオールは、ポリオール成分(A)のオリゴマー及び/又はポリマーに対して少ない割合で混合され得る。
【0010】
低分子量のポリオールは、例えば、低分子量ジオール、例えば、好ましくは、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及び1,2-シクロヘキサンジメタノールであり、また、低分子量ポリオール、例えば、好ましくは、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールヘキサン、1,2,4-ブタントリオール、ペンタエリトリトール及びジペンタエリトリトールである。
【0011】
ポリオール成分(A)の好ましいオリゴマー及び/又はポリマーポリオールは、好ましくは、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、25℃)によって測定する場合に、M>500g/mol、好ましくは800~100,000g/mol、より詳細には1000~50,000g/molの質量平均分子量を有する。
【0012】
特に、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリシロキサンポリオールが好ましく、特にポリ(メタ)アクリル酸ポリオールが好ましい。本明細書の用語「(メタ)アクリル…」は、「アクリル…」と「メタクリル…」の両方を表す。したがって、ポリ(メタ)アクリル酸は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、又はアクリル酸及びメタクリル酸のコポリマーであり得る。さらに、ポリ(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の他に、コポリマー形態で、対応する遊離酸(アクリル酸及び/又はメタクリル酸)を含み得、また、さらにエチレン性不飽和モノマーを含み得る。
【0013】
ポリオール成分(A)は、好ましくは、80~250mgKOH/g、より好ましくは100~220KOH/g、非常に好ましくは150~200mgKOH/gの水酸基価を有する。水酸基価(OH価)は、1gの物質のアセチル化に結合される酢酸の量と等価な水酸化カリウムのmgの数を示す。水酸基価の測定に、サンプルを無水酢酸-ピリジンで沸騰し、得られた酸を水酸化カリウム溶液で滴定する(DIN53240-2:2007-11)。
【0014】
ポリオール成分(A)のポリオールのガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度で、DIN EN ISO11357-2:2014-07に記載のDSC(示差走査熱量測定)によって測定し、好ましくは、-150~100℃、より好ましくは-120℃~80℃、非常に好ましくは-50℃~40℃又は-40℃~35℃である。
【0015】
本明細書に適した一般的なポリエステルポリオールは、例えば、EP-A-0994117及びEP-A-1273640に記載されている。
【0016】
一般的な適したポリウレタンポリオールは、ポリエステルポリオールプレポリマーを適切なジ-又はポリイソシアネートに反応させることによって好ましくは製造し、例えば、EP-A-1273640に記載されている。
【0017】
一般的に適したポリシロキサンポリオールは、例えば、WO-A-01/09260に記載され、本明細書に記載のポリシロキサンポリオールは、好ましくは、特に、比較的高いガラス転移温度を有するさらなるポリオールと組み合わせて使用され得る。
【0018】
本明細書で特に好まれるポリ(メタ)アクリル酸ポリオールは、概して、コポリマーであり、前述のGPC方法によって測定したときに、好ましくは1000~20,000g/mol、より詳細には1500~10,000g/mol、より好ましくは3000~7000g/molの質量平均分子量Mを有する。
【0019】
ポリオール成分(A)の好ましいポリ(メタ)アクリル酸ポリオールのガラス転移温度Tgは、好ましくは-100~100℃、より好ましくは-50℃~50℃である。ガラス転移温度は、前述のDSC方法によって測定される。
【0020】
ポリ(メタ)アクリル酸ポリオールは、好ましくは、80~250mgKOH/g、より好ましくは100~220KOH/g、非常に好ましくは150~200mgKOH/gの水酸基価を有する。
【0021】
ポリ(メタ)アクリル酸ポリオール成分(A)は、好ましくは0~30mgKOH/g、より好ましくは3~10mgKOH/gの酸価を有する。本明細書での酸価は、1gのポリ(メタ)アクリル酸ポリオール成分(A)の中和で消費される水酸化カリウムのmgの数を示す(DIN EN ISO2114:2002-06)。
【0022】
使用する水酸基含有モノマー構築ブロックは、好ましくは、アクリル酸ヒドロキシアルキル及び/又はメタクリル酸ヒドロキシアルキル、例えば、特に、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3-ヒドロキシプロピル、アクリル酸3-ヒドロキシブチル、メタクリル酸3-ヒドロキシブチル、及び特にアクリル酸4-ヒドロキシブチル及び/又はメタクリル酸4-ヒドロキシブチルである。
【0023】
ポリアクリル酸ポリオールに使用されるさらなるモノマー構築ブロックは、好ましくは、アクリル酸アルキル及び/又はメタクリル酸アルキルであり、例えば、好ましくは、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、tert-ブチルアクリル酸、tert-ブチルメタクリル酸、アクリル酸アミル、メタクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸3,3,5-トリメチルヘキシル、メタクリル酸3,3,5-トリメチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル又はメタクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロアルキル及び/又はメタクリル酸シクロアルキル、例えば、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、又は特に、アクリル酸シクロヘキシル及び/又はメタクリル酸シクロヘキシルである。
【0024】
ポリアクリル酸ポリオールについて使用することができるその他のモノマー構築ブロックとして、ビニル芳香族炭化水素、例えば、ビニルトルエン、アルファ-メチルスチレン、又は、特に、スチレン、アクリル酸若しくはメタクリル酸のアミド若しくはニトリル、ビニルエステル又はビニルエーテル、また、少量の特にアクリル酸及び/又はメタクリル酸が挙げられる。
【0025】
架橋剤成分(B)
成分(B)として、本発明のコーティング材料は、水酸基に対して反応性である基を有する少なくとも1つの化合物を含む。ここで使用することができる架橋剤は、水酸基に対して反応性である基を有する、一般に使用される全ての架橋剤である。適切な架橋剤の例は、無水物官能性化合物、アミノ樹脂、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン及びその誘導体、遊離、すなわち、ブロックされていない及び/又はブロックされたイソシアネート基、及び/又はエポキシ官能性化合物である。異なる架橋剤の混合物もここで使用することができる。
【0026】
成分(B)として有用なものは、例えば、アミノ樹脂及び/又はエポキシ樹脂である。この場合好まれるのは、脂肪族エポキシ樹脂であり、高い耐候安定性を有する。このようなエポキシ樹脂は、例えば、B.Ellis monograph「Chemistry and Technology of Epoxy Resins」(Blackie Academic&Professional、1993、1~35頁)に記載されている。エポキシ樹脂の代わりに、又はエポキシ樹脂と一緒に、成分(B)として、メチロール及び/又はメトキシメチル基のいくつかが、カルバミン酸又はアロファネート基によって非機能化され得る通例の周知のアミノ樹脂である。この種類の架橋剤は、特許明細書US-A-4710542及びEP-B-0245700に記載され、また、B.Singh等の論文「Carbamylmethylated Melamines,Novel Crosslinkers for the Coatings Industry」、Advanced Organic Coatings Science and Technology Series、1991、13巻、193~207頁に記載されている。
【0027】
成分(B)として、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン及びその誘導体を使用することも可能である。適切なトリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンは、例えば、US-A-4939213、2列、33行~7列、63行、US-A-5084541、2列、51行~7列、63行、及びEP-A-0624577、3列、33行~16列、5行に記載されている。適切なトリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンは、また、BASF SEのLarotact(登録商標)LR9018として市販されている。
【0028】
本発明のコーティング材料は、好ましくは、架橋剤成分(B)に、遊離、すなわちブロックされていない及び/又はブロックされたイソシアネート基を有する架橋剤、及び/又はアミノ樹脂、及び/又はトリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンの1つ以上を含む。
【0029】
好ましくは、本発明のコーティング材料は、成分(B)に、任意に、さらなる架橋剤、特にアミノ樹脂及び/又はトリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンと共に遊離及び/又はブロックされたイソシアネート基を有する架橋剤を含む。ブロックされたイソシアネート基を有する架橋剤は、好ましくは、本発明のコーティング材料が1つの成分(1K)システムとして用いられる場合に、成分(B)に使用される。しかし、遊離イソシアネート基を含む架橋剤の使用が特に好ましい。
【0030】
イソシアネート基を含む成分(B)の好ましい化合物の例は、通常の置換又は非置換芳香族、脂肪族、脂環式、及び/又は複素環式ポリイソシアネートであり、脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートを使用して提供されることが好ましい。好ましい脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートの例として、1,4-ジイソシアン酸テトラメチレン、1,6-ジイソシアン酸ヘキサメチレン、1,6-ジイソシアン酸2,2,4-トリメチルヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、ジイソシアン酸エチレン、1,12-ジイソシアン酸ドデカン、1,3-ジイソシアン酸シクロブタン、1,3-ジイソシアン酸シクロヘキサン、1,4-ジイソシアン酸シクロヘキサン、ジイソシアン酸メチルシクロヘキシル、2,4-ジイソシアン酸ヘキサヒドロトルエン、2,6-ジイソシアン酸ヘキサヒドロトルエン、1,3-ジイソシアン酸ヘキサヒドロフェニレン、1,4-ジイソシアン酸ヘキサヒドロフェニレン、2,4’-ジイソシアン酸ペルヒドロジフェニルメタン、4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(例えば、Bayer AGのDesmodur(登録商標))、テトラメチルキシリルジイソシアネート(例えば、American CyanamidのTMXDI(登録商標))及び前述のポリイソシアネートの混合物が挙げられる。
【0031】
さらに好ましい成分(B)の架橋剤は、前述のジイソシアネートの二量体及び三量体、より好ましくはウレトジオン二量体、ビウレット二量体、及びイソシアヌレート三量体である。
【0032】
特に、好ましい成分(B)の架橋剤は、1,6-ジイソシアン酸ヘキサメチレン(HDI)、ジイソシアン酸イソホロン(IPDI)、4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、そのウレトジオン二量体、ビウレット二量体及び/又はイソシアヌレート三量体である。1,6-ジイソシアン酸ヘキサメチレンのイソシアヌレート三量体が特に好ましい。
【0033】
本発明のさらなる実施形態において、ポリイソシアネートが、ウレタン構造単位を有するポリイソシアネートプレポリマーであり、ポリオールを化学量論超過の前述のポリイソシアネートと反応させることによって得られる。この種類のポリイソシアネートプレポリマーは、例えば、US-A-4598131に記載されている。
【0034】
成分(A)及び成分(B)の比
使用する水酸基含有化合物(A)の質量分率は、イソシアネート基含有化合物(B)の質量分率に対して、ポリオールの水酸基当量に依存し、化合物(B)の当量に依存し、言い換えれば、成分(B)として好ましく使用されるポリイソシアネートの場合は、ポリイソシアネート(B)の遊離イソシアネート基の当量に依存する。
【0035】
本発明のコーティング材料は、それぞれの場合、少なくとも1つの水酸基含有化合物(A)のコーティング材料の非揮発性成分に対して、好ましくは30~70質量%、好ましくは40~60質量%、より好ましくは45~55質量%であり、及び/又はそれぞれの場合、少なくとも1つの架橋剤(B)のコーティング材料の非揮発性成分に対して、好ましくは20~50質量%、好ましくは25~45質量%、より好ましくは30~40質量%含む。コーティング材料の非揮発性部分は、125℃で60分間、コーティング材料サンプル(1g)を乾燥させることによって決定される。
【0036】
ポリオール(A)の質量分率及び架橋剤(B)、好ましくはポリイソシアネート(B)の質量分率は、好ましくは、水酸基含有化合物(A)の水酸基に対する成分(B)の反応基(言い換えれば、化合物(B)のイソシアネート基のポリイソシアネートの場合)のモル当量比が、0.7:1~1:1.3、好ましくは0.8:1~1.2:1、より好ましくは0.9:1~1.1:1になるように選択される。
【0037】
コーティング材料が1成分コーティング材料である場合、選択されるイソシアネート基含有化合物(B)は、遊離イソシアネート基が、通例のブロック剤でブロックされるものである。遊離イソシアネート基は、例えば、置換ピラゾール、より詳細には、アルキル置換ピラゾール、例えば、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、4-ニトロ-3,5-ジメチルピラゾール、4-ブロモ-3,5-ジメチルピラゾール等でブロックされ得る。
【0038】
特に好ましくは、成分(B)のイソシアネート基は、3,5-ジメチルピラゾールでブロックされる。
【0039】
ポリアミド成分(P1)及びポリカルボキサミド成分(P2)
本発明のコーティング材料組成物は、2つの相互に異なるアミド成分を含み、ポリアミド成分(P1)は、それぞれ重縮合又は開環重合によって、モノアミノモノカルボン酸又はそのラクタムから得ることができ、ポリカルボキサミド成分(P2)は、ジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸、そのエステル又は無水物及び水酸基官能性アミンから得ることができる。
【0040】
ポリアミド成分(P1)
ポリアミド成分(P1)は、例えば、以下の式(I)
【化2】
[式中、nは6~10、好ましくは7~9、より好ましくは8である]のラクタムの開環重合によって製造することができる。開環重合は、高圧及び高温で水を加えることによって開始し得る。n=8(ラウロラクタム)についての対応するプロセスは、例えば、US-A-5362448に開示されている。
【0041】
開環は、本質的に、また、開始化合物として、モノアルコール又はモノアミンを使用して行われる。
【0042】
式(I’)
HOOC-R-NH (I’)
[式中、R=C9-13アルキレンである]のα,ω-アミノカルボン酸の重縮合によっても、ポリアミド成分(P1)を製造することができる。
【0043】
ポリアミド成分(P1)は、粒子の形態で、より詳細には粉末として使用される。粉末の一次粒子のサイズ分布は、レーザ光回折(ISO13320-1:1999)によって決定される。特に、例えば、MalvernのMastersizer2000がこの目的に適している。メジアン粒径(D50)は、20~100μm、好ましくは30~90μm、より好ましくは40~70μm、非常に好ましくは50~60μmである。
【0044】
メジアン粒径(D50)が20μm未満である場合、艶消し剤(M)において、同一の、より詳細には化学的に同一の粒子が含まれる。
【0045】
DIN EN ISO3146:2002-06に従ったポリアミド成分(P1)の粒子の融点は、好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃~350℃である。
【0046】
これらの種類のポリアミドは、例えば、Evonik Industries AG、Essen、GermanyのVestosint(登録商標)ブランドを使用することができる。
【0047】
コーティング材料組成物の総質量の割合として、ポリアミド成分(P1)の画分は、好ましくは1~20質量%、より好ましくは5~15質量%、非常に好ましくは8~12質量%である。
【0048】
概して、本発明のコーティング材料から得られるコーティング膜の得られる表面の粗さは、コーティング材料に使用されるポリアミド成分(P1)の量によって制御することができる。コーティング材料の総質量の割合としてポリアミド成分(P1)の画分が高いほど、コーティング材料から得られる硬化したコーティング膜の表面は粗くなる。
【0049】
ポリカルボキサミド成分(P2)
ポリカルボキサミドは、アミド化ポリカルボン酸である。本発明のポリカルボキサミド成分(P2)は、構造式(II)によって示され得、
【化3】
sは、1、2又は3であり、
tは、0又は1であり、
s+tは、2又は3であり、
Rは、
(a)2~60個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、
(b)2~8個のカルボキサミド基及び追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の6~150個の炭素原子を含む脂肪族又は脂肪族-芳香族ラジカル、並びに
(c)2~75個のエーテル基(-O-)及び追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の4~150個の炭素原子を含む脂肪族ラジカル、
(d)6~20個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基
から成る群から選択される(s+t)価の有機ラジカルであり、
は、水素又はC2nであり、nは2~6であり、Rは、水素又は構造(X)-Rのラジカルであり、pは0又は1であり、pが0である場合、ラジカルRは、OHであり、pが1の場合、ラジカルXは酸素原子又はカルボン酸エステル基であり、
は、
i.1~3個の水酸基を含み、2~80個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、又は
ii.1~3個の水酸基を含み、エーテル基(-O-)及びカルボン酸エステル基の群から選択される0~39個の基を含み、追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の2~80個の炭素原子を含む脂肪族ラジカルであり、
は、ラジカルC2n-(X)-Rであり、
-R’-NH-R’’は、
ラジカル-C2n-NH-C2n-(X)-R
ラジカル-R4’-X-C2n-NH-R又は
ラジカル-R4’-X-C2n-NH-C2n-(X)-Rであり、
4’は、0~2個の水酸基を含み、2~80個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカルであり、又は
4’は、0~2個の水酸基を含み、エーテル基及びカルボン酸エステル基の群から選択される0~39個の基を含み、追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の2~80個の炭素原子を含む脂肪族ラジカルである。
【0050】
ポリカルボキサミド成分(P2)は、したがって、ポリヒドロキシポリカルボキサミド成分(P2)である。
【0051】
Rに関する「原子価」の概念は、s[RN-CO]及びt[CO-O-R’-NHR’’]ラジカルに対するラジカルRの結合数に関係する。
【0052】
Rは、好ましくは、
(a)6~44個、より好ましくは34~42の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、
(b)2個のカルボキサミド基を及び追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の70~90個の炭素原子を含む脂肪族ラジカル、並びに
(c)3~13個のエーテル基(-O-)及び追加で、ヒドロカルビルラジカルの形態の6~26個の炭素原子を含む脂肪族ラジカル
から成る群から選択される(s+t)価の有機ラジカルである。
【0053】
好ましくは、互いに独立して、ラジカルR及びRは、構造C2n-(X)-Rを有する。
【0054】
ポリカルボキサミド成分(P2)は、例えば、
(A)ポリカルボン酸(III)又はポリカルボン酸エステル(III)
【化4】
[式中、R、s及びtは上記で規定され、
は、水素又は1~6個の炭素原子を有するアルキルラジカルである]、又は
式(III’)の対応する無水物
【化5】
と、
(B)式HNRの第一級又は第二級アミン[式中、R及びRは、上記で規定される]との反応によって得ることができる。
【0055】
式NHRのアミンは、NH基だけでなく、さらにラジカルR及び/又はラジカルRにおいて、少なくとも1つの水酸基を含むため、アミンは、式(III)又は(III’)の成分を有するそのアミノ基を介して反応するだけでなく、水酸基を介して反応することができる。これは、指数s及びtによって一般式(II)に示される。sアミド単位は、成分(III)又は(III’)がアミンNHRのNH基と反応することによって形成され、tエステル単位は、成分(III)又は(III’)がアミンNHRのラジカルR又はRの1つの水酸基と反応することによって形成される。
【0056】
式(III)の一般的なポリカルボン酸は、例えば、2~60個の炭素原子の脂肪族ヒドロカルビルラジカルRを有するものである。最も短い鎖の代表はコハク酸である。式(III)の一般的なポリカルボン酸は、式(III’)の記載の無水物としても使用され得る。しかしながら、二量体脂肪酸又は三量体脂肪酸とも呼ばれるものを使用することができ、特に長鎖の脂肪酸ヒドロカルビルラジカルRの代表例である。
【0057】
酸アミド基を含むラジカルRは、例えば、2つのジカルボン酸分子を1つのジアミン分子に結合することによって得ることができ、次にジカルボン酸を形成し、ラジカルRに2つのカルボキサミド基を含む。例えば、ジアミンよりポリエーテルジオールを結合に選択する場合、エーテル基をこのようにラジカルRに導入することができる。
【0058】
芳香族Rを有するカルボン酸の一般的な代表例は、例えば、フタル酸及びその無水物、テレフタル酸及びその無水物又はそのメチルエステルである。
【0059】
特に好まれるアミンNHRは、例えば、ジアルカノールアミンである。好ましいジアルカノールアミンは、2~6個の炭素原子、好ましくは2~4個、より好ましくは2~3個の炭素原子を有するアルカノールラジカルを含む。特に好まれるアミンNHRは、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミンである。
【0060】
ジアルカノールアミンは、また、ラクトンを、カルボン酸エステル基を含むラジカルに反応させることによって変換され得る。好まれるラクトンは、例えば、ε-カプロラクトン及びδ-バレロラクトンである。
【0061】
ジアルカノールアミンは、また、例えば、グリシドール等のオキシラン基(オキシラン)を含む化合物と反応させることによって、変換することができる。例えば、グリシドールと反応する場合、2つの水酸基を有するラジカルが形成される。
【0062】
指数s及びtの定義から明らかなように、平均して少なくとも50%の基COORが反応して、アミドを形成する。
【0063】
この種類のポリカルボキサミド(P2)は、例えば、DE3706860A1に従って製造される。
【0064】
コーティング材料組成物の総質量の割合として、ポリカルボキサミド成分(P2)の画分は、好ましくは0.01~1.0質量%、より好ましくは0.02~0.50質量%、非常に好ましくは0.05~0.20質量%である。
【0065】
コーティング材料のポリアミド成分(P1)の画分に対するポリカルボキサミド成分(P2)の画分は、好ましくは0.2~5.0質量%、より好ましくは0.3~2.5質量%、非常に好ましくは0.5~1.0質量%である。
【0066】
コーティング材料のさらなる成分
本発明のコーティング材料は、さらなる成分を含み得る。その成分として、特に、有機溶媒又は添加剤、例えば、UV吸収剤、光安定剤、フロー制御剤、架橋反応を触媒する触媒、消泡剤、ラジカルスカベンジャー、接着促進剤、レオロジー助剤、膜形成助剤、スリップ剤、難燃剤又は染料が挙げられる。
【0067】
本発明のコーティング材料組成物は、慣例上実質的に水を含まず、水分量が、コーティング材料組成物の総質量に対して、好ましくは1.0質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、非常に好ましくは0.2質量%未満であることを意味する。
【0068】
本発明のコーティング材料の適した溶媒は、特に、コーティング材料において、化合物(A)及び(B)に対して化学的に不活性であり、また、コーティング材料が硬化している場合、(A)及び(B)に反応しない溶媒である。このような溶媒の例は、非プロトン溶媒、例えば、脂肪酸及び/又は芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、Solventnaphtha(登録商標)、Solvesso100又はHydrosol(登録商標)(ARAL製)、アセトン、メチルエチルケトン又はメチルアミルケトン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル又はエトキシプロピオン酸エチル等のエステル、エーテル又は前述の溶媒の混合物である。n-ブタノール等のプロトン溶媒は、例えば、コーティング材料組成物に対して、好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.2質量%の少量であれば、使用されるはずである。
【0069】
本発明のコーティング材料組成物は、追加の艶消し剤(M)を含む必要がないが、このような薬剤は、成分(P1)による構造化の他に特定の艶消しが望まれる場合、本発明において使用され得る。艶消し剤(M)を使用する場合、慣例上、先行技術で周知のコーティング材料組成物の艶消し剤の量以下の量で行われる。使用することのできる艶消し剤(M)は、例えば、シリカ、好ましくは、例えば、Acematt(登録商標)3300等のヒュームドシリカである。艶消し剤(M)の一次粒子のサイズ分布は、ポリアミド成分(P1)のサイズ分布で測定した場合と同じように、決定することができる。
【0070】
しかし、使用することのできるその他の艶消し剤は、20μm未満、好ましくは3~19μm、より好ましくは5~15μmのメジアン粒径(D50)を有するポリアミドである。
【0071】
艶消し剤粒子のメジアン粒径(D50)は、コーティング材料に使用されるポリアミド成分(P1)の粒子のメジアン粒径未満である。このメジアン粒径は、通常、同じ方法で決定される。艶消し剤粒子のメジアン粒径(D50)は、好ましくは3~19μm、より好ましくは5~15μmである。
【0072】
艶消し剤(M)を使用する場合、そのメジアン粒径(D50)は、ポリアミド成分(P1)のメジアン粒径よりも、好ましくは少なくとも10μm、より好ましくは少なくとも25μm、非常に好ましくは少なくとも30μm、又はさらに40μmより小さい。
【0073】
艶消し剤(M)を使用する場合、コーティング材料組成物の総質量に対して、好ましくは0.5~4.0質量%、より好ましくは1.0~2.0質量%、非常に好ましくは1.5~2.5質量%の量で使用される。
【0074】
ポリアミド成分(P1)に対する艶消し剤成分(M)の質量比は、好ましくは1:10~8:10、より好ましくは1:10~6:10、非常に好ましくは1:10~3:10である。ポリアミド成分(P1)に対する艶消し剤(M)の比が増加すると、通常、構造化効果が減少し、艶消しが増加する。
【0075】
1つの特定の好ましい実施形態において、コーティング材料組成物は、艶消し剤(M)、より詳細にはシリカを含まない。
【0076】
本発明のコーティング材料組成物の作製方法
本発明のコーティング材料組成物の作製は、ポリアミド成分(P1)又は任意にペースト形態で使用される艶消し剤(M)の特別な製造を必要としない。
【0077】
代わりに、室温(25℃)で液体である成分を全体又は部分的に導入することができ、室温で固体である成分を撹拌することができ、続いて標準的な市販の調色器具を使用して撹拌する。
【0078】
マルチコートペイントシステムの作製
本発明のコーティング材料組成物は、慣例上、最後のコーティング膜、言い換えれば、基材から最も遠くにある最も外側のコーティング膜として使用される。
【0079】
慣例上、特定の好みで、このコーティング膜は、クリアコート膜であり、言い換えれば、無色素であり、任意に可溶性染料で着色されるコーティング膜である。
【0080】
コーティングは、例えば、基本的なコーティング膜で、ウェットオンウェットで行われ、最上のコーティング膜が一緒に硬化する。
【0081】
本発明のコーティング材料から作製される本発明のコーティング剤は、電着塗料システム、サーフェーサーシステム、ベースコートシステム又は既に硬化したクリアコートシステムにも顕著な接着を示すため、自動車OEM仕上げの使用だけでなく、自動車再仕上げ又はプラスチックのコーティングについて、その後の対応する触媒の添加にも顕著に適している。
【0082】
本発明のコーティング材料の適用は、通例の適用方法、例えば、噴霧、ナイフ塗布、ブラッシング、注入、浸漬、含浸、トリックリング又はローリングによって行うことができる。適用時に、コーティングされる基材そのものは静止し、適用器具又はユニットを動かし得る。あるいは、コーティングされる基材、より詳細にはコイルを動かしてもよく、適用ユニットは基材に対して静止し、又は適切に動かす。
【0083】
噴霧による適用方法、例えば、圧縮空気噴霧、エアレス噴霧、高速回転、静電気噴霧適用(ESTA)の使用が好まれ、任意に、例えば、ホット空気噴霧等のホット噴霧用途と共に使用される。
【0084】
本発明のコーティング材料組成物で作製された膜、好ましくはクリアコート膜の乾燥膜厚は、均一な膜を確実に構築するために、好ましくは少なくとも15μm、より好ましくは少なくとも20μmであるべきである。乾燥膜厚は、好ましくは15μm~80μmの範囲で、より好ましくは20μm~70μmの範囲で、非常に好ましくは25μm~60μm、又は30μm~50μmの範囲であるべきである。乾燥膜厚は、顕微鏡で測定される。この測定の詳細は、本発明の実験の節で見ることができる。如何なる場合も、選択した乾燥膜厚は、好ましくは、ポリアミド成分(P1)の粒径によって導きだされる。したがって、構造化効果の品質、特に構造化の規則性の観点によって、乾燥膜厚がポリアミド成分(P1)の一次粒子のメジアン粒径(D50)より薄い場合、有利である。乾燥膜厚は、前述のD50よりかなり厚い場合、構造化効果がますます失われ、又は不規則になり過ぎてしまう。
【0085】
本発明の適用されるコーティング材料の硬化は、特定の静止時間の後に行われ得る。例えば、コーティング膜の流れ及び脱揮発、又は溶媒等の揮発性構成要素の蒸発のために、この静止時間は使用される。静止時間は、コーティング膜に対する損傷又は変化、例えば、未成熟な完全架橋が伴わない場合、高温の適用、及び/又は大気湿度の低下によって、補助され及び/又は短く成り得る。
【0086】
コーティング材料の熱硬化は、方法に関して特性を有しなく、その代わりに、強制空気オーブンの加熱又はIRランプの照射等の通例の周知の方法に従って行う。熱硬化は、また、段階的に行われ得る。
【0087】
加熱硬化は、30~200℃、より好ましくは40~190℃、より好ましくは50~180℃の温度で、1分から最大10時間、より好ましくは2分から最大5時間、より好ましくは3分から3時間、有利に行い、自動車再仕上げ及び付属する部品の仕上げには30~90℃で使用され、より長い硬化時間を適用してもよい。
【0088】
概して、適切な触媒を添加した後、最大90℃の低温で硬化しても、例えば、自動車付属部品についてのプラスチック部分のコーティングのセクターにおいて、又は自動車再仕上げにおいて、コーティング材料は、非常に優れた光学品質を有するコーティング材になる。同時に、本発明のコーティング材料は、優れた循環ラインの安定性を示す。
【0089】
コーティング材料は、さらに優れた沈降安定性を有し、これは、例えば、数か月の長期の保管の後であっても、コーティング材料が雰囲気温度において、通例の実験室のミキサー(特にVollrath370W、モデル、EWTHV0.5”、Paul Vollrath GmbH&Co.KG,Huerth製、1分間に800回転の回転速度、Lenart disk=90mm)を1分間に800回転の速度で使用して、最大1時間以内に、苦労して再撹拌する又は全く撹拌することができない沈降形成を示さないことを意味する。
【0090】
本発明のコーティング材料は、さらに、新しい硬化コーティング材、より詳細にはペイントシステム、特にクリアコートシステム、成形、特に光学成形、及び粗い表面を有する自己支持膜を作製する。
【0091】
本発明のコーティング材料は、したがって、輸送手段の本体(特にバイク、バス、トラック又は自動車等の動力車両)又はその部品、建物の内部及び外部、家具、窓及びドア、形状プラスチック部品、特にCD及び窓、小型部品、コイル、容器及び包装、電気機器、膜、光学的、電気的及び機械的部品、並びに中空ガラスウェア及び日用品に、装飾的、保護的及び/又は効果の付与、高い耐スクラッチコーティング、及び仕上げを行うのに顕著に適している。
【0092】
本発明のコーティング材料及び仕上げ、特にクリアコートシステムは、より詳細には、自動車OEM仕上げ及び自動車再仕上げの、技術的に、審美的に特に要求される分野で使用される。特定の好みで、本発明のコーティング材料は、多段階コーティングプロセス、特に、最初に、着色ベースコート膜の任意にプレコートされた基材に適用され、その後、本発明のコーティング材料を有する膜が適用されるプロセスで使用される。
【0093】
水希釈性ベースコート材料だけでなく、有機溶媒に基づくベースコート材料も使用することができる。適切なベースコート材料は、例えば、EP-A-0 692 007、3列、50ff行に記載されている。適用されるベースコート材料は、最初に乾燥されることが好ましく、蒸発相において、有機溶媒及び/又は水の少なくとも一部がベースコート膜から取り除かれることを意味する。室温~80℃の温度で乾燥することが好ましい。乾燥後、本発明のコーティング材料を適用する。好ましくは、30~200℃、より好ましくは40~190℃、より好ましくは50~180℃の温度で、1分から最大10時間、より好ましくは2分から最大5時間、より詳細には3分から3時間、自動車OEM仕上げに使用される条件下で2コート仕上げを次にベークし、自動車再仕上げ、及び自動車に設置する部品の仕上げには好ましくは30~90℃で使用され、より長い硬化時間を適用してもよい。
【0094】
本発明のさらなる主題は、構造化された、好ましくは光沢のあるペイントシステム、好ましくはクリアコートシステムを作製するために、コーティング材料組成物の添加剤として、少なくとも1つのポリアミド成分(P1)及び少なくとも1つのポリカルボキサミド成分(P2)を含む製剤の使用である。配合の2つの成分(P1)及び(P2)の比は、好ましくは、仕上げコーティング材料システムの2つの成分の比に既に対応している。
【0095】
前述の成分(A)及び(B)を含むコーティング材料組成物で本発明に記載の使用が行われることが好ましい。
【0096】
例によって本発明を以下に詳細に明らかにする。
【実施例
【0097】
他に断りの無い限り、全ての数値は質量部である。
【0098】
本発明のクリアコート材料B1及びB2を作製する。本発明のクリアコートB1は、ベースワニスS1(表1を参照)の100質量部及び硬化剤H(表2を参照)の33質量部から得る。本発明のクリアコートB2は、ベースワニスS2(表1を参照)の106.7質量部及び硬化剤H(表2を参照)の33質量部から得る。したがって、両方の本発明のクリアコートについて、硬化剤のイソシアネート成分に対するポリオール成分(A)の比は同一である。
【0099】
【表1】
【0100】
液体のベースワニス成分は事前に混合する。次に、固形物を加え、Lenartディスクを使用して撹拌する。混合物を約20分間撹拌する。混合は実験室のミキサーで約800~1000rpmで行われる(Vollrath370W、モデル“EWTHV0,5”、Paul Vollrath GmbH&Co.KG製、回転速度1200rpm、歯付きディスクd=90mm)。
【0101】
【表2】
【0102】
異なる構造化剤の比較
本発明の例として、例B1のクリアコートを使用した(ポリアミド成分(P1);ポリアミド12、D50=57μm)。発明ではないクリアコートを作製するために、ベースワニスS1の成分P1を表3に示される構造化剤1~3の等量に置き換えた。これにより、比較例のクリアコートVB1(構造化剤1)、VB2(構造化剤2)及びVB3(構造化剤3)を得る。
【0103】
【表3】
【0104】
例B1の本発明のクリアコート及び発明ではないクリアコートVB1、VB2及びVB3を空気圧適用によって、陰極電着塗装(Cathoguard500)、水性サーフェーサー(FU48-9000;25~30μmの乾燥膜厚;フラッシュオフ時間:10分、23℃;乾燥8分、70℃;ベーキング:17分、155℃)BASF Coatings GmbH製、及びブラック水性ベースコート(WB040;乾燥膜厚10~15μm;フラッシュオフ時間:5分、23℃)BASF Coatings GmbH製で既にコーティングされた金属基材に適用した(乾燥膜厚:40μm;フラッシュオフ時間:7分、23℃;乾燥:20分、140℃)。
【0105】
例B1、VB1、VB2及びVB3のコーティング材料から形成されたクリアコート膜の乾燥膜厚は、40μmであった。
【0106】
乾燥膜厚の測定
乾燥膜厚は、研摩標本法の500倍の拡大率で顕微鏡的に測定した。このために、約2cm×2cmの大きさのコーティングした基材の片に切り出した。サンプルを垂直に固定し、埋設型枠(直径約40mm)に置いた。硬化可能な2成分のエポキシ埋設化合物をEpofix樹脂の21質量部及びEpofix硬化剤の2.7質量部(両方ともStruers GmbH、Willich、Germany製)から混合し、化合物を埋設型枠に注入した。埋設化合物は18時間、埋設型枠で硬化した。本明細書に含まれるサンプルを有する硬化した埋設化合物を次に取り除き、研磨し、磨いた。膜厚の測定は、顕微鏡(Olympus BX51;反射明暗領域及び透過光)によって行った。構造化クリアコートの乾燥膜厚は、構造化剤の粒子が明らかになっていない場所で測定した。
【0107】
Constant condensation conditions test
接着力を検証するために、サンプルをDIN EN ISO6270-1:2002-02に記載のconstant condensation conditions testに240時間曝露し、1時間のリコンディショニング後にブラッシングについて検討した。結果を表4に記す。
【0108】
表面の特徴付け(構造の規則性)
表面の特徴付けは、表面の触感品質によって、及び白色干渉法(NanoFocus AG、Oberhausen、Germanyのμsurf mobile機器)によって行い、表面の構造を確認した。用語「規則性」は、クリアコート表面の粒子の均一な分布を示し、本質的に、視覚的に評価することもできる。しかしμsurf mobile機器によって、クリアコートから突出している粒子部分の高さを追加的に測定することが可能であり、規則性において、非常に小さな変化を示すはずである。結果を表4に記す。
【0109】
Daimler gradient oven test
Daimler勾配オーブン試験(Daimler gradient oven test)(Daimler試験法PBODC371)において、特に、完全脱塩水及びパンクレアチンに対する抵抗性を調査した。ポリアミド成分(P1)の場合のみ、81℃以上の温度であっても、両方の基材に対する抵抗性を見つけることができる。結果を表4に記す。
【0110】
耐擦傷性(AMTEC)
耐擦傷性は、DIN EN ISO20566(2007-01)に対するAMTEC実験車洗浄試験に従って測定した。結果を表4に記す。
【0111】
【表4】
【0112】
沈降動作
100gのベースワニスを200mlのワイドネックガラス容器に導入し、室温で7日間保管した。
【0113】
【表5】
【0114】
ベースワニス(比較例のベースワニスVS1)から本発明の成分P2が不在の場合、不必要な沈降が形成される。本発明のベースワニスの場合、沈降はない。
【0115】
相分離の測定
定規を使用して相分離を測定した。異なる濃度の成分P2のベースワニスS4~S7及びS8~S11の結果を表6に報告する。
【0116】
【表6】
【0117】
循環ラインの安定性
循環ラインの安定性の試験は、せん断荷重に暴露しながら、循環ラインの周囲にベースワニスS1及びS2(表1を参照)を汲み出すことによって行い、優勢な状態は以下である。
【0118】
リターンフローモニタリングバルブの圧力:10bar
1分あたりの前後ストローク数:18
容量(前後ストローク)0.6l
【0119】
循環ラインにおいて、循環ラインのせん断荷重前(ターンオーバー=TO=0)及びそれぞれ、100、500、720、1500及び2000回転の後に、60°でのコーティング剤の光沢を測定する。60°の角度の光沢が循環ラインの内部の汲み出された循環によるせん断の後、10以下の光沢単位まで増加する場合、コーティング剤の循環ラインの安定性は充分である。60°における光沢はそれぞれ、市販されているByk Gardner光沢装置micro-TRI-gloss、cat.No.4520(Byk Gardner製)を使用して測定した。結果を表7に記す。
【0120】
【表7】