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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】可撓性の電子ラベル装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/31 20060101AFI20220822BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20220822BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20220822BHJP
   A61M 5/20 20060101ALN20220822BHJP
【FI】
A61M5/31 520
A61M5/24 502
A61M5/315 550R
A61M5/31 530
A61M5/20 510
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019561787
(86)(22)【出願日】2018-05-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2018061535
(87)【国際公開番号】W WO2018206439
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】17170122.0
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラースン, アンドレ
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-540555(JP,A)
【文献】特開2005-037895(JP,A)
【文献】特開2012-081283(JP,A)
【文献】特表2014-501447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/31
A61M 5/24
A61M 5/315
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置(800)であって、
- 外部表面(351)を有するハウジング(350)と、
- 薬剤充填カートリッジまたは薬剤充填カートリッジを受けるための手段であって、
前記カートリッジが出口および軸方向に変位可能なピストンを含む、薬剤充填カートリッジまたは薬剤充填カートリッジを受けるための手段と、
- 薬剤放出手段であって、
- 前記ピストンを係合および軸方向に移動させて前記カートリッジから前記出口を通して薬剤の量を放出するように適合された駆動部材と、
- 前記薬剤送達装置上で、または前記薬剤送達装置によって実行されるアクションに対応して移動するように配置されたインジケータ部材と、を含む、薬剤放出手段と、
- 上部および向かい合った下部表面を備え、かついくつかの構成要素がその上に形成される、または取り付けられる、可撓性のキャリア箔(312)であって、前記いくつかの構成要素が、
- 導体(315)、
- エネルギー源(342)、
- 電子制御された通信手段(352)、および
- (i)インジケータ部材の移動を示す前記薬剤送達装置からの入力を受信し、(ii)前記通信手段を制御するように適合されたプロセッサ(332)のうちの一つまたは複数を含む、可撓性のキャリア箔と、を含み、
記構成要素の少なくとも一部分が、前記可撓性のキャリア箔の下部表面に形成または取り付けられ、
接着層が前記下部表面に塗布され、
記可撓性のキャリア箔(312)が、前記可撓性のキャリア箔の前記下部表面と前記ハウジングの前記外部表面の間に配置された前記接着層によって、前記ハウジングの外部表面(351)に取り付けられる、薬剤送達装置。
【請求項2】
前記可撓性のキャリア箔は、前記その上に形成されたまたは取り付けられた構成要素(332、342、352)を覆う密封箔(372)によって少なくとも部分的に覆われ、それによって、前記可撓性のキャリア箔(312)上に形成されたまたは取り付けられた前記構成要素(332、342、352)のための密封された内部空間が、前記ハウジング外部表面(351)と前記密封箔(372)との間に形成される、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
前記電子制御された通信手段が、(i)時間パラメータを表示するよう適合された表示器(352)の形態であり、前記プロセッサが時間パラメータを表示するために前記表示器を制御するように適合され、および/または(ii)無線通信手段の形態である、請求項1または2に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
前記表示器(352)および/または前記エネルギー源(342)が前記キャリア箔上にプリントされる、請求項に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
前記密封箔が、前記ハウジング外部表面上に密封して取り付けられる縁部(373)を有する、請求項に記載の薬剤送達装置。
【請求項6】
導体(355)が、前記ハウジング内に形成され、前記ハウジングの内部と前記プロセッサ(332)とを接続する、請求項1~5のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項7】
前記ハウジング外部表面と前記密封箔との間に形成された前記密封された内部空間が、実質的に水に対して不透過性である、請求項に記載の薬剤送達装置。
【請求項8】
前記密封箔および前記ハウジングの水密封特性により密封された記構成要素の機能に影響を与えずに、前記薬剤送達装置を20℃で24時間の間、90%の相対湿度を持つ環境に配置すること可能となる、請求項7に記載の薬剤送達装置。
【請求項9】
その上に前記キャリア箔(312)が取り付けられる前記ハウジング外部表面(351)の部分が、少なくとも部分的に湾曲している、請求項1~8のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項10】
前記ハウジングおよび前記キャリア箔が、相互に動作可能に接続されて配置される対応するガルバニック接触端子(355、315)を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項11】
電子ラベル(302)であって、
- 上部および向かい合った下部表面を備え、かついくつかの構成要素がその上に形成される、または取り付けられる、可撓性のキャリア箔(312)であって、前記いくつかの構成要素が、
- 導体(315)と、
- エネルギー源(342)と、
- 電子制御された通信手段(352)と、
- (i)インジケータ部材移動を示す薬剤送達装置からの入力を受信し、(ii)前記通信手段を制御するように適合されたプロセッサ(332)との一つまたは複数を含む、可撓性のキャリア箔(312)を備え、
前記構成要素の少なくとも一部分が、前記可撓性のキャリア箔の下部表面に形成されるか、または取り付けられ、
接着層が前記下部表面に塗布され、前記電子ラベルを薬剤送達装置の外部表面上に取り付けること可能となる、
電子ラベル。
【請求項12】
前記構成要素が、前記可撓性のキャリア箔の下部表面に形成されるか、または取り付けられた導体(315)を含み、前記接着が前記導体の少なくとも一部分を覆わない、請求項11に記載の電子ラベル。
【請求項13】
前記可撓性のキャリア箔の上部表面に結合され、前記可撓性のキャリア箔の上に形成されるか、または取り付けられる構成要素(332、342、352)を覆う密封箔(372)をさらに含む、請求項11または12に記載の電子ラベル。
【請求項14】
前記密封箔(372)が、前記可撓性のキャリア箔(312)から延在する縁部(373)を有し、前記縁部が、前記キャリア箔を少なくとも部分的に周方向に囲み、前記接着層が前記縁部に塗布され、前記電子ラベルの縁部薬剤送達装置の外部表面上に取り付けること可能となる、請求項13に記載の電子ラベル。
【請求項15】
薬剤送達装置を組み立てる方法であって、
(i)
(a) 薬剤送達装置(800)であって、
- 外部表面(351)を有するハウジング(350)と、
- 前記ハウジングの内部に配置され、前記薬剤送達装置上または前記薬剤送達装置によって実施されるアクションに対応して移動するように配置されたインジケータ部材を備える、薬剤放出手段と、を含む、薬剤送達装置(800)と、
(b) ラベル装置(302、805)であって、
- 上部表面および反対側の下部表面を備え、かついくつかの構成要素がその上に形成される、または取り付けられる、可撓性のキャリア箔(312)であって、前記いくつかの構成要素が、
- 導体(315)、
- エネルギー源(342)、
- 電子制御された通信手段(352)、および
- (i)インジケータ部材の移動を示す前記薬剤送達装置からの入力を受信し、(ii)前記通信手段を制御するように適合されたプロセッサ(332)のうちの一つまたは複数を含む、可撓性のキャリア箔(312)と、
- 前記下部表面に塗布された接着であって、前記ラベル装置が前記薬剤送達装置の外部表面上に取り付けられることを可能にする接着と、を含む、ラベル装置(302、805)とを提供するステップであって、
- 前記構成要素の少なくとも一部分が、前記可撓性のキャリア箔の下部表面に形成または取り付けられるように、提供するステップと、
- 前記可撓性のキャリア箔の下部表面が前記ハウジングの外部表面と係合するように、前記ラベル装置を前記ハウジングの外部表面に取り付けるステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、薬剤の放出用量に関連する情報を捕捉するように構成されたモニタリング手段を含む医療装置に関する。特定の態様では、本発明は、コスト効果の高い方法で薬剤送達装置に適用できる電子ラベル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、主にねじピストンロッドを備える薬剤送達装置を参照するが、このような装置は、例えば、インシュリンの皮下送達による糖尿病の治療で使用されるが、これは、対応する有利さをもって、その他の薬剤および他のタイプの薬剤送達装置のために使用されうる本発明の例示的な使用のみである。
【0003】
皮下注射のための薬剤送達装置は、薬剤および生物学的薬を自己投与する必要がある患者の生命を大幅に改善した。こうした薬剤送達装置は、長期間、例えば、何年もの間、予め充填されたカートリッジとともに使用されるように適合された「耐久性」装置および、空になった時に廃棄されるように適合された事前に充填された「使い捨て式」装置を含む、多くの形態をとりうる。それらの形態およびタイプに関わらず、それらは、患者が注射可能な薬剤および生物学的薬剤を自己投与するのを支援するに際して大きな助けとなることが実証されている。また、それらは、自己注射を実施することができない人々に注射可能な薬を投与する際、介護者に大きな助けとなる。
【0004】
必要量のインシュリン注射を適切な時点および適切なサイズで実施することは、糖尿病を管理するために必要不可欠であり、すなわち指定されたインシュリンレジメンを遵守することが重要である。医療従事者が、処方された用量パターンの有効性を決定することを可能にするために、糖尿病患者は、注射ごとのサイズおよび時間のログを記録するよう奨励される。しかしながら、こうしたログは通常手書きのノートに記録され、ログされた情報から、データ処理のためにコンピュータに容易にアップロードされない場合がある。さらに、患者によって記載されるイベントのみがログされるため、ノートシステムは、ログされた情報が患者の糖尿病の治療における何らかの価値を有する場合に、患者が各注射をログすることを覚えておく必要がある。ログ中の欠如した記録または誤った記録は、注射履歴の実態が誤ったものとなり、ひいては、将来の薬物治療に関する医療従事者の意思決定の土台が誤ったものとなる。したがって、薬品送達システムからの注入情報のログを自動化することが望ましい場合がある。
【0005】
一部の注射装置は、例えば、米国特許出願公開第2009/0318865号および国際出願公開第2010/052275号に開示されているように、このモニタリング/取得機構を装置自体に統合するが、現在ほとんどの装置はそれがない。最も広く使用されている装置は、純粋に機械装置であり、耐久性があるものかまたは事前充填されている。後者の装置は、空にした後に廃棄されるため、安価であり、装置自身に内蔵電子データ取得機能を構築することはコスト的に見合わない。この問題に対処するため、国際出願公開第2015/071354号は、ペン式装置の外側表面に取り付けられ、投薬イベントを検出し、例えば、時間および/または用量などの対応するパラメータを表示するよう適合された、「電子ラベル」を備えた、ペンタイプの事前充填薬剤送達装置を開示している。コスト効果のある「ラベルのような」電子アセンブリを提供するために、検出手段、表示、プロセッサ、およびエネルギー源のうちの一つまたは複数またはすべては、可撓性のキャリアシートに設けられたプリント電子機器の形態であってもよい。アンテナはまた、プリントによって可撓性シート上に形成されてもよく、プロセッサは、アンテナを介して外部受信機にデータを送信するよう適合される。
【0006】
上記に関して、本発明の目的は、投与関連データを捕捉し、ユーザーにデータを通信する能力を有し、さらに事前充填された使い捨て装置にコスト効果が高く内蔵された機能を可能にする薬剤送達装置およびその構成要素を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の開示では、上記の物体のうちの一つまたは複数に対処する実施形態および態様が記載されるか、または以下の開示および典型的実施形態の説明から明らかな物体に対処する実施形態および態様が記載される。
【0008】
従って、本発明の第一の態様では、外部表面を有するハウジングと、薬剤充填カートリッジまたは薬剤充填カートリッジを受けるための手段であって、出口および軸方向に変位可能なピストンを含む、カートリッジと、薬剤放出手段とを含む、薬剤送達装置が提供される。薬剤放出手段は、ピストンを係合および軸方向に移動させてカートリッジから出口を通して薬剤の量を放出するように適合された駆動部材と、薬剤送達装置上または薬剤送達装置によって実行されるアクションに対応して移動するように配置されたインジケータ部材とを含む。薬剤送達装置は、上部および向かい合った下部表面を含む可撓性のキャリア箔をさらに備え、その上にはいくつかの構成要素が形成または取り付けられ、いくつかの構成要素は、導体、エネルギー源、電子制御された通信手段、および(i)インジケータ部材移動を示す薬剤送達装置からの入力を受信し、(ii)通信手段を制御するように適合されたプロセッサのうちの一つまたは複数を含む。構成要素の少なくとも一部分は、可撓性のキャリア箔の下部表面上に形成されるか、または取り付けられており、また可撓性のキャリア箔は、ハウジングの下部表面と外部表面の間に配置された接着剤の手段によってハウジングの外部に取り付けられている。接着剤は、ハウジングの下部表面および外部表面上に取り付けられているか、または形成された構成要素間に完全にまたは部分的に配置されてもよい。
【0009】
可撓性のキャリア箔がハウジングの外部に取り付けられていると定義される時、キャリア箔の下部表面は、ハウジング外部表面上に取り付けられた実際の表面であることを示す。実際に、構成要素がその上に取り付けられるまたは形成される下部表面の部分は、ハウジング外部表面と直接接触しない。ハウジング外部表面自体、例えば、ハウジング材料、ハウジング材料表面上に提供される被覆、またはキャリア箔の取り付け前にハウジング材料表面に取り付けられた箔シートによって形成されうる。ラベル装置は、取付け前にラベル装置の下部表面に適用される接着層を使用して取り付けられてもよい。
【0010】
この配置により、薬剤送達装置に取り付けられたラベルアセンブリ(またはラベル装置)内の箔層の数を減少させることができる。このようにして、層の省略により、より薄いおよびより可撓性のある、したがって、ペン形成された薬剤送達装置の外部などの曲面への取り付けにより適したラベル装置を提供するので、ラベル装置はコスト効率良く製造できる。したがって、削除された下部密封箔の機能は、その上にラベル装置が取り付けられる構造、すなわち、その上にラベル装置が取り付けられる薬剤送達装置ハウジングの部分によって提供される。単純な設計で、キャリア箔は、物理的保護ならびにその下部表面上に取り付けられた構成要素の密封特性を提供するように適合される。
【0011】
可撓性のキャリア箔は、その上に形成されたまたは取り付けられた構成要素を覆う密封箔によって少なくとも部分的に覆われてもよく、それにより可撓性のキャリア箔に形成されたまたは取り付けられた構成要素の密封された内部空間は、ハウジング外部表面と密封箔との間に形成される。
【0012】
一部の構成要素は、密封箔に面するキャリア箔の側面上に配置されてもよく、すなわち、構成要素は、残りの構成要素が、密封箔から遠ざかって面するキャリア箔の側に配置される状態で、二つの箔層の間に積層されて配置される。これにより、構成要素がキャリア箔および密封箔の両方を備える複合ラミネート箔上に取り付けられるのを可能にする。
【0013】
別の方法として、キャリア箔は、密封箔に塗布されたキャリア被覆と置き換えられてもよく、キャリア被覆は、構成要素が被膜上に形成されるか、または取り付けられることを可能にする。こうした設計では、上述の用語「キャリア箔」はまた、密封箔上に提供されたキャリア被覆をカバーする。
【0014】
典型的実施形態では、電子制御された通信手段は、時間パラメータを表示するよう適合された表示器の形態であり、プロセッサは、時間パラメータを表示するために表示装置を制御するよう適合される。表示器および/またはエネルギー源は、キャリア箔上にプリントされてもよい。導体は、ハウジングの内部とプロセッサとを接続するハウジング内に形成されてもよい。別の方法としてまたは追加的に、電子制御された通信手段は、例えば、RFまたは音の、無線通信手段の形態であってもよく、その後の処理および/または表示のために、例えば、スマートフォンなどの外部装置にデータを通信できる。
【0015】
シールされた構成要素が水分に敏感である実施形態について、ハウジング外部表面と密封箔との間に形成された密封された内部空間は、水に対して実質的に不透過性であるように設計されうる。「水分不透過性」および「水密性」などの用語に関して、これらはほとんどの場合、ほとんどの材料は、一定の程度まで、例えば材料の厚さなどに応じて水に対して透過性であるので相対的な用語である。したがって、本文脈で水分不透過性という用語は、所与の構造が、例えば、所与の製品が日常的な設定で、かつ通常の水分条件に晒され、消費者によって使用され、取り扱われることを可能にするために、所定の目的で「十分に水密性」であることを示す。
【0016】
より具体的な用語では、密封箔およびハウジングの水密封特性が、薬剤送達装置が、シールされた構成要素および構造の機能に影響を及ぼすことなく、20℃で24時間、90%の相対湿度を持つ環境中に配置されることを可能にする、薬剤送達装置が提供される。「機能に影響を与えることなく」という定義は、シールされた構成要素および構造の機能および属性が、装置の仕様内に残ることを意味する。必要とみなされる場合、シーリング特性は、薬剤送達装置が、摂氏20度での相対湿度90%で、例えば7日以上長い時間、薬剤送達装置を環境中に配置できるようにしうる。
【0017】
ラベル装置の高い可撓性を利用するために、その上にキャリア箔が取り付けられるハウジング外部表面の部分は、少なくとも部分的に湾曲しうる。
【0018】
上述の実施形態では、密封箔は、ハウジング外部表面上に密封された縁部を備えうるが、これにより可撓性のキャリア箔のための密封された内部空間は、ハウジング外部表面と密封箔との間に形成される。この構成により、縁部の幅およびハウジング表面との係合は、キャリア箔の縁部を密封し、それに取り付けられたまたは形成された構造を水分から保護するが、これらの構造が、キャリア箔端部からある距離で配置される場合、密封箔の無い縁部は、完全にまたは部分的に不要とされ、取り付けられた構造または形成された構造が密封箔とキャリア箔との間に形成されたシールによって保護されるように配置される。
【0019】
薬剤送達装置は、装置に損傷を与えずに除去できない永久的に取り付けられた薬剤充填カートリッジを含んで、前充填されてもよい。
【0020】
本発明の第二の態様では、上部および向かい合った下部表面を含む可撓性のキャリア箔を備えるラベル装置が提供され、その上には、いくつかの構成要素がその上に形成されまたは取り付けられ、いくつかの構成要素は、導体、エネルギー源、電子制御された通信手段、および(i)インジケータ部材移動を示す薬剤送達装置からの入力を受信し、(ii)通信手段を制御するように適合されたプロセッサのうちの一つまたは複数を含む。ラベル装置は、下部表面に塗布された接着剤をさらに含み、ラベル装置は、薬剤送達装置の外部表面上に取り付けられることを可能にし、構成要素の少なくとも一部は可撓性のキャリア箔の下部表面に形成または取り付けられる。
【0021】
接着剤は、下部表面上に取り付けられているか、または形成された構成要素上に完全にまたは部分的に配置されてもよい。典型的実施形態では、構成要素は、可撓性のキャリア箔の下部表面上に形成されまたは取り付けられた導体を含み、接着剤は導体の少なくとも一部分を覆わない。
【0022】
構成要素が形成された後またはキャリア箔上に取り付けられた後で、密封箔は、キャリア箔に適用されてもよく、これにより、構成要素の少なくとも一部分が可撓性のキャリア箔の上部表面に形成または取り付けられる。別の方法として、箔は、キャリア箔上部表面に取り付けられた密封箔を持つ予め積層された箔として提供され、構成要素はキャリア箔の下部表面に形成される、または取り付けられる。
【0023】
典型的実施形態では、密封箔は、可撓性のキャリア箔から横方向に延在する縁部を持ち、縁部に塗布される接着剤は、ラベル装置縁部が薬剤送達装置の外部表面上に取り付けられることを可能にする。縁部は、キャリア箔を円周方向に囲んでもよく、それにより、可撓性のキャリア箔のための密封された内部空間が、電子ラベル装置がハウジング外部表面上に取り付けられた時に、ハウジング外部表面と密封箔との間に形成される。
【0024】
本発明のさらなる態様では、薬剤送達装置を組み立てる方法であって、(i)(a)薬剤送達装置であって、外部表面を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に配置され、前記薬剤送達装置上または前記薬剤送達装置によって実施されるアクションに対応して移動するように配置されたインジケータ部材を備える、薬剤放出手段とを含む、薬剤送達装置と、(b)ラベル装置であって、上部表面および反対側の下部表面を備え、かついくつかの構成要素がその上に形成される、または取り付けられる、可撓性のキャリア箔であって、いくつかの構成要素は、導体、エネルギー源、電子制御された通信手段、および(i)インジケータ部材の移動を示す前記薬剤送達装置からの入力を受信し、(ii)前記通信手段を制御するように適合されたプロセッサのうちの一つまたは複数を含む、可撓性のキャリア箔と、下部表面に塗布された接着剤であって、ラベル装置が薬剤送達装置の外部表面上に取り付けられることを可能にする接着剤とを含む、ラベル装置とを提供することであって、構成要素の少なくとも一部分が、可撓性のキャリア箔の下部表面に形成または取り付けられるように、提供することを含む、方法が提供される。方法はさらに、(ii)ハウジング外部表面と係合した、可撓性のキャリア箔の下部表面を有するハウジングの外部に、ラベル装置を取り付けることを含む。
【0025】
可撓性のキャリア箔は、そこに形成された構成要素または取り付けられた構成要素を覆う密封箔によって少なくとも部分的に覆われてもよく、それにより可撓性のキャリア箔に形成されたまたは取り付けられた構成要素の密封された内部空間は、ハウジング外部表面と密封箔との間に形成される。
【0026】
方法の典型的実施形態では、密封箔は、可撓性のキャリア箔から延びる縁部を備え、縁部は、ラベル装置がその上に取り付けられた時に、ハウジング外部表面と密封係合して取り付けられる。
【0027】
上述の構成要素に加えて、ラベル装置には、可撓性のキャリア箔に形成または取り付けされうる入力手段が提供されてもよく、入力手段は、インジケータ部材の動きによって作動するように直接的または間接的に適合される。入力手段は、例えば、誘導または音に基づいて、ガルバニック接触の形態および/または非接触性としうる。
【0028】
入力手段は、第一の状態と第二の状態の間で作動するように適合されたスイッチ構造の形態であってもよい。スイッチ構造は、例えば、可撓性シートの接触面積に形成または取り付けられたいくつかの固定接触面積を備えてもよく、薬剤送達装置はさらに、固定接触面積に係合するように適合された移動可能なスイッチ構造を備え、それにより、入力手段を作動させ、移動可能なスイッチ構造はインジケータ部材によって移動されるよう適合される。移動可能なスイッチ構造は可撓性シートと一体的に形成されてもよく、移動可能なスイッチ構造は、接触面積を含み、接触面積は可撓性シートの曲げによってその動作位置に配置される。本文脈では、「曲げる」という用語は、例えば、折り畳み、旋回、回転を含む、広く理解されるべきである。
【0029】
あるいは、薬剤送達装置は、ハウジング内に形成された開口部に対応する一つまたは複数のスイッチ部材を備えてもよく、少なくとも一つのスイッチ部材は、開口部内に突き出し、インジケータ部材によって移動されるよう適合される、移動可能なスイッチ部材であり、それにより一つまたは複数のスイッチ部材が第一の状態と第二の状態の間で作動するよう適合されたスイッチアセンブリを形成する。スイッチアセンブリは、プリセットされてもよく、または個別に取り付けられたスイッチ部材から形成されてもよい。可撓性シートは、開口部をカバーするように取り付けられ、かつスイッチアセンブリ上の対応する端子を係合させて入力手段を提供する接触手段(端子)を備える。
【0030】
典型的実施形態では、インジケータ部材は、設定用量に対応する設定位置から、設定用量が放出される投与終了位置まで回転するよう適合され、入力手段は、インジケータ部材が投与終了位置に達した時に作動する。インジケータ部材の回転の間、入力手段は複数回作動されうる。表示器が提供されている場合、プロセッサが、入力手段を(i)例えば、HH:MM形式を使って、動作させる時間を示す時間パラメータ、または、(ii)入力手段、例えば、HH:MM形式または例えばそれぞれのセグメントを使った単純なバージョンを使ったダイナミックタイマを、動作させて以来の時間を示す時間パラメータを表示する表示装置を制御するようにプロセッサを制御するよう適合されうる。
【0031】
インジケータ部材は、薬剤放出手段が用量設定状態にあるときに第一の軸方向位置を有してもよく、および薬剤放出手段が放出状態にある時に第二の軸方向位置を有してもよく、入力手段はインジケータ部材が第二の軸方向位置のみでインジケータ部材によって作動されるよう適合されている。
【0032】
さらなる典型的実施形態では、インジケータ部材は、投与が設定された時に、初期位置から設定位置へと移動するよう適合され、入力手段はインジケータ部材が初期位置から離れると作動する。上記のように、プロセッサは、入力手段が作動した時の時間を示す時間パラメータ、または入力手段が作動して以来の時間を示す時間パラメータを表示するための表示器を制御するように適合されうる。
【0033】
またさらなる典型的実施形態では、接触手段を備えた一つまたは複数の可撓性部材は、可撓性シートに結合されて、複合スイッチ構造を提供しうる。薬剤送達装置の設計およびアセンブリプロセスおよびスイッチ設計に応じて、複合スイッチ構造は最もコスト効果がありうる。例えば、スイッチ構造は、アセンブリ中に、装置内またはその外側に取り付けられてもよく、可撓性シートは、接触が二つの構造間に確立されるように、装置の外表面に取り付けられる。入力手段は、複数のスイッチを含んでもよく、スイッチは同一または異なる設計である。
【0034】
またさらなる典型的実施形態では、インジケータ手段の回転量は、放出手段によってリザーバから放出される薬剤の量に対応し、入力手段は、インジケータ手段の回転量に対応するように作動されるよう適合される。表示器が提供される場合、プロセッサは、(i)入力手段からの入力に基づいて、回転量に対応して放出される薬剤の量を計算し、および(ii)計算された量を表示するために表示器を制御するように適合される。さらに、計算された薬剤量に関連する時間情報が表示されうる。プロセッサは、用量および関連する時間値を含む投与ログを作成するよう適合される。表示機が提供されていない場合、プロセッサは、単純な「検出された」形態でデータを送信するように適合されてもよく、その後、受信装置(例えば、スマートフォン)で処理できる。
【0035】
別の方法として、インジケータ手段の回転量は、放出手段によってリザーバから放出される薬剤のユーザー設定量に対応するものであり、入力手段は、指標手段の回転量に対応して動作するように適合されており、プロセッサは、(i)入力手段からの入力に基づき、回転量に対応して放出される薬剤の設定量を計算し、提供される場合、(ii)計算された量を表示する表示器を制御するように適合される。このような設計では、例えば、従来の投与ドラム上のような、機械的表示器の代わりに、電子表示器を使用することが可能であり、これにより例えば、より大きな数字が使用されるのを許容する。
【0036】
用量を検出するために使用されるインジケータ部材は、イベントを検出するために上述したものと同じであってもよく、または異なる部材であってもよい。別の方法として、電子ラベルは、用量のみを検出するよう適合されうる。
【0037】
ハウジングは、湾曲した外部部分を有してもよく、また可撓性シートおよび表示器は、ハウジングの湾曲した外部部分および/または内部部分に少なくとも部分的に取り付けられてもよい。例えば、薬剤送達装置は、一般的な丸型または楕円形の形態でペン構成を有してもよく、可撓性シートは、例えば、接着剤によって、外部の「ラベル」としてハウジングに塗布される。入力手段の設計に応じて、ハウジングは、入力手段が内部機械要素によって動作するのを可能にする開口部で設計され、または入力手段を含む可撓性シートの一部分がそのような開口部を通して螺合され、ハウジングの内部表面に取り付けられうる。さらなる入力手段は、薬剤送達装置の内部に配置されてもよく、また可撓性シートの入力手段と協働するように適合されてもよい。
【0038】
コスト効果のある「ラベルのような」電子アセンブリを提供するために、検出手段、表示、プロセッサ、およびエネルギー源のうちの一つまたは複数またはすべては、プリント電子機器の形態であってもよい。
【0039】
本発明のさらなる態様において、上述の電子機器を備えた可撓性シートが提供されており、シートは上述のタイプの薬剤送達装置上に取り付けられるよう適合されている。
【0040】
本明細書で使用されるとき、用語「薬剤」は、液体、溶液、ゲルまたは微細懸濁液などの制御された方法で中空針などの送達手段を通過することができる任意の薬剤含有流動性医薬品を包含することを意味する。代表的な薬剤としては、ペプチド、タンパク質、ならびにホルモンなどの医薬品、生物由来または活性物質、ホルモンおよび遺伝子に基づく物質、栄養処方および固体(調剤)または液体形態の他の物質が挙げられる。典型的実施形態の説明において、インシュリンの使用に対する言及が行われる。その他の特定の薬剤は、成長ホルモンおよび血友病および炎症の治療のための薬剤でありうる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「インシュリン」という用語は、液体、溶液、ゲルまたは微細懸濁液などの制御された様式でカニューレまたは中空針などの送達手段を通過することができる任意の薬剤含有流動性医薬品を包含することを意味する。例えば、人間のインシュリン、その類似物、およびGLP-1およびその類似物のような非インシュリンである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下において、本発明を、図面を参照しながらさらに説明する。
図1図1Aは、薬剤送達ペン式装置を示す。図1Bは、ペンキャップが取り外された図1Aのペン式装置を示す。
図2図2は、図1Aのペン式装置の構成要素の分解図である。
図3図3Aおよび3Bは、二つの状態における放出機構の断面図である。
図4図4は、「電子ラベル」の概略図を示す。
図5図5A~5Dは、圧電音声エミッタの概念を示す。
図6図6A~6Dは、電子ラベルの断面図を示す。
図7図7Aおよび7Bは、薬剤送達装置ハウジング部分上に取り付けられた圧電音声エミッタの実施形態を示す。
図8図8Aは、さらなる薬剤送達装置を示す。図8Bは、電子回路を備えた可撓性シートの形態の電子ラベルを示す。
図9図9は、電子ラベルおよび外部表示装置を備えたペン式装置を備えるアセンブリを示し、二つの装置は音声伝達を使用して通信する。
【0043】
図面において、同様の構造物は、主として同様の参照番号で識別される。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下の用語で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」、または同様の相対表現が使用されている場合、これらは単に添付図を参照するだけであり、必ずしも実際の使用状況を示さない。図示された図は、概略表現であり、その理由は、異なる構造の構成と相対的寸法が例示的な目的のみを果たすことを目的としている。部材または要素という用語が所与の構成要素に対して使用される場合、それは一般的に、記載の実施形態において該構成要素が単一の構成要素であることを示すが、代替的に、記載の構成要素の二つ以上が単一の構成要素として提供される、例えば、単一の射出成形部品として製造されうるように、同一の部材または要素がいくつかのサブ構成要素を備えてもよい。「アセンブリ」という用語は、記載された構成要素が、所与のアセンブリ手順中に単一または機能的アセンブリを提供するために必ず組み立てられることを暗示していないが、機能的により密接に関連しているとして一緒に分類された構成要素を説明するために使用される。
【0045】
本発明それ自体の実施形態へ戻る前に、本発明の典型的実施形態の基礎を提供する装置から充填された薬剤送達の一例が説明される。図1に示されるペン形成された薬剤送達装置200は、「汎用」薬剤送達装置を提示してもよいが、実際に示された装置は、Novo Nordisk A/S、Bagsverd、デンマークによって製造および販売される、FlexTouch(登録商標)の充填された薬剤送達ペンである。
【0046】
ペン式装置200は、キャップ部品207と、薬剤放出機構がその中に配置または統合されるハウジング201を持つ近位本体または駆動アセンブリ部分を有する主要部分と、遠位針貫通可能隔壁を有する薬剤充填透明カートリッジ213が、近位部分に取り付けられる取り外し不可能なカートリッジホルダによって定位置に配置され保持される遠位カートリッジホルダ部分であって、カートリッジホルダはカートリッジの部分が検査されるのを可能にする開口部を有し、遠位カップリング手段215が針アセンブリが取り外し可能に取り付けられるのを可能にする、遠位カートリッジホルダ部分と、を含む。カートリッジには、放出機構の一部を形成するピストンロッドによって駆動されるピストンが設けられており、例えば、インシュリン、GLP-1または成長ホルモン製剤を含みうる。最も近位の回転可能な用量設定部材280は、表示ウィンドウ202に示される望ましい用量の薬剤を手動で設定するのに機能し、薬剤はその後、ボタン290が作動した時に放出されうる。薬剤送達装置内に具体化される放出機構のタイプに応じて、放出機構は、用量設定の間に変形され、その後、放出ボタンが作動した時にピストンロッドを駆動するように解放される図示の実施形態におけるばねを備えてもよい。別の方法として、放出機構は完全にマニュアルであってもよく、その場合、用量部材および作動ボタンは、設定用量サイズに対応する用量設定の間、遠位に移動し、次にNovo Nordisk A/Sによって製造および販売されるFlExpen(登録商標)などの設定用量を放出するためにユーザーによって遠位に移動する。
【0047】
図1は、予め充填されたタイプの薬剤送達装置を示すが、すなわち、代替的な実施形態において、予め取り付けられたカートリッジを供給し、カートリッジが空になったとき捨てられる、薬剤送達装置は、ロードされたカートリッジに交換されるのを可能にするように調整されても良い。例えば、カートリッジホルダが装置の本体部分から取り外されるように調整される、「後ろにロードされる」薬剤送達装置の形態となる。または別の方法として、カートリッジが装置の主要部分に取り外し不可能に取り付けられるカートリッジホルダ内の遠位の開口部に挿入される、「前にロードされる」装置の形態となる。
【0048】
本発明は、薬剤送達装置に組み込まれてそれと相互作用するよう適合された電子回路に関連するものであり、このような装置の典型的実施形態は、本発明をより良く理解するために説明される。
【0049】
図2は、図1に示すペン形成された薬剤送達装置200の分解図を示す。より具体的には、ペンは、ウィンドウ開口部202を有する管状ハウジング201を備え、その上にカートリッジホルダ210が固定的に取り付けられ、薬剤充填カートリッジ213がカートリッジホルダ内に配置される。カートリッジホルダには、針アセンブリ216が取り外し可能なように取り付けられるようにする遠位カップリング手段215と、キャップ207が、カートリッジホルダおよび取り付けられた針アセンブリ、ならびにペンが例えばテーブルトップでロールオンするのを防止する突起部212を覆い、取り外し可能に取り付けられるのを可能にする、二つの対向する突起部211の形態の近位カップリング手段とを設ける。ハウジング遠位端において、ナット要素225が固定的に取り付けられ、ナット要素は中央ねじ孔226を含み、ハウジング近位端には中央の開口部を有するばねベース部材208が固定的に取り付けられる。駆動システムは、対向する二つの長軸方向の溝を有し、ナット要素のねじ孔内に受けられる、ねじピストンロッド220と、ハウジング内に回転するように配置されたリング形成ピストンロッド駆動要素230と、駆動要素(下記参照)と回転係合し、その係合がクラッチ要素の軸方向移動を許容する、リング形成されたクラッチ要素240とを備える。クラッチ要素には、ハウジング内側表面の対応するスプライン204(図4Bを参照)と係合するよう適合された外側スプライン要素241が設けられており、これにより、スプラインが係合する回転方向にロックされ近位位置とスプラインが係合から外れた回転方向に自由な遠位位置との間でクラッチ要素が移動できるようになる。上述したように、両方の位置では、クラッチ要素は駆動要素に回転方向にロックされる。駆動要素は、ピストンロッドの溝と係合する二つの対向する突起部231を有する中央の孔を備え、それによって駆動要素の回転を生じ、結果としてピストンロッドとナット要素との間のねじ係合によってピストンロッドの遠位軸移動となる。駆動要素は、ハウジング内側表面上に配置された対応するラチェット歯205を係合するように適合された、一対の対向する周方向に延びる可撓性のラチェットアーム235をさらに含む。駆動要素およびクラッチ要素は、それらを回転方向にロックする互いに協力的に係合する構造を備えるが、クラッチ要素を軸方向に動かすことを可能にし、これによってクラッチ要素が遠位位置に軸方向に移動するのを可能にし、その位置において、回転することが可能であり、それによってダイヤルシステム(下記参照)から駆動システムへの回転運動を伝達する。クラッチ要素、駆動要素、およびハウジング間の相互作用は、図4Aおよび4Bを参照しながらより詳細に示され説明される。
【0050】
ピストンロッド上では、内容物終了(EOC)部材228が螺合され、遠位端上にワッシャ227が回転方向に取り付けられる。EOC部材は、リセットチューブと係合するための一対の対向する半径方向突出部229を備える(下記参照)。
【0051】
ダイヤルシステムは、ラチェットチューブ250、リセットチューブ260、外側のらせん状に配置された投与数値の列を持つスケールドラム270、放出される薬剤の用量を設定するためのユーザー操作ダイヤル部材280、放出ボタン290およびトルクばね255(図3参照)を備える。リセットチューブはラチェットチューブの内側に軸方向にロックされているが、数度回転することができる(下記参照)。リセットチューブは、その内側表面に、EOC部材の半径方向突出部229と係合するように適合された二つの対向する長軸方向の溝269を含み、これによりEOCはリセットチューブによって回転することができるが、軸方向に移動することはできる。クラッチ要素は、ラチェットチューブ250の外側遠位端部分に軸方向にロックされて取り付けられており、これにより、ラチェットチューブは、クラッチ要素を介してハウジングと回転係合に入り、回転係合から外れ、軸方向に移動することができる。ダイヤル部材280は軸方向にロックされているが、ハウジング近位端に回転方向に自由であり、ダイヤルリングは通常動作のもとで、リセットチューブに回転方向にロックされており(下記参照)、ダイヤルリングの回転によってリセットチューブの対応する回転がもたらされ、それによってラチェットチューブが回転する。放出ボタン290は、リセットチューブに軸方向にロックされるが、回転することが自由である。戻りばね295は、ボタンおよびそこに取り付けられたリセットチューブの近位に向いた力を提供する。スケールドラム270は、ラチェットチューブとハウジングとの間の周状空間内に配置され、ドラムは協働する長軸方向のスプライン251、271を介してラチェットチューブに回転方向にロックされ、また協働するねじ構造203、273を介してハウジングの内側表面と回転のねじ係合となっており、ドラムがラチェットチューブによってハウジングに対して回転するときに数値の列がハウジングのウィンドウ開口部202を過ぎる。トルクばねは、ラチェットチューブとリセットチューブとの間の周状空間に配置され、またその近位端において、ばねベース部材208に固定され、その遠位端において、ラチェットチューブに固定され、ラチェットチューブがダイヤル部材の回転によってハウジングに対して回転するときにばねが変形される。ラチェットチューブとクラッチ要素との間に可撓性のラチェットアーム252を備えたラチェット機構が設けられ、後者は内周の歯部構造242を設け、それぞれの歯は、用量が設定された時にリセットチューブを介してユーザーによって回転される位置にラチェットチューブが保持されるように、ラチェットストップを提供する。設定用量が減少するのを可能にするため、ラチェット解放機構262がリセットチューブ上に設けられ、ラチェットチューブに作用し、このことにより、ダイヤル部材を反対方向に回転することにより、一つまたは複数のラチェット増分によって設定用量が減少するのを可能にし、解放機構は、リセットチューブがラチェットチューブに対して上記の数度だけ回転するときに、駆動される。
【0052】
放出機構およびそれらの機能的関係の異なる構成要素について説明したが、機構の動作について、主に図3Aおよび3Bを参照しながら次に説明する。
【0053】
ペン機構は、上述の通り、二つの相互作用システム、用量システム、およびダイヤルシステムとして考慮することができる。用量設定の間、ダイヤル機構は回転し、ねじればねがロードされる。用量機構はハウジングにロックされ、移動できない。押しボタンが押された時、用量機構はハウジングから解放され、ダイヤルシステムへの係合によって、ねじればねはスタート地点にダイヤルシステムを後ろに回転させ、用量システムをそれと共に回転させる。
【0054】
用量機構の中央部分は、ピストンロッド220であり、プランジャーの実際の変位はピストンロッドによって実施される。用量送達中、ピストンロッドは、駆動要素230によって回転し、ハウジングに固定されたナット要素225とのねじの相互作用によって、ピストンロッドが遠位方向に前方に移動する。ゴムピストンとピストンロッドとの間に、回転ピストンロッドの軸方向軸受として機能し、ゴムピストンの圧力を均一にするピストンワッシャ227が、配置される。ピストンロッドが、ピストンロッド駆動要素がピストンロッドと係合する非円形断面を持つので、駆動要素はピストンロッドに回転方向にロックされているが、ピストンロッド軸に沿って自由に移動する。結果として、駆動要素の回転は、ピストンの直線的な前進の動きをもたらす。駆動要素には、駆動要素が時計回りに(押しボタンの端から見た)回転することを防止する小さなラチェットアーム234が設けられている。駆動要素との係合によって、ピストンロッドは前方にのみ移動することができる。用量送達中、駆動要素は反時計回りに回転し、ラチェットアーム235は、ラチェット歯205と係合することによってユーザーに小さなクリックを提供する。例えば、単位インシュリン放出に対し1クリックである。
【0055】
ダイヤルシステムに回転すると、用量が設定され、ダイヤル部材280を回転することによってリセットされる。ダイヤルをターンすると、リセットチューブ260、EOC部材228、ラチェットチューブ250およびスケールドラム270はすべてそれと共に回転する。ラチェットチューブがトルクばね255の遠位端に接続されるので、ばねがロードされる。用量設定の間、ラチェットのアーム252は、クラッチ要素の内側歯部構造242との相互作用に起因してダイヤルされるそれぞれのユニットに対してダイヤルクリックを実施する。示された実施形態では、クラッチ要素には、ハウジングに対して全体で360度回転するために24回のクリック(増分)を提供する24回のラチェットストップが設けられている。ばねはアセンブリ時に予めロードされており、これによって機構は小さい用量および大きな用量の両方を許容速度間隔で送達できるようになる。スケールドラムがラチェットチューブと回転係合するが、軸方向で移動可能であり、スケールドラムはハウジングとねじ係合しているため、ダイヤルシステムが回転した時に、スケールドラムはヘリカルパターンで移動するが、設定用量に対応する数字はハウジングウィンドウ202に示される。
【0056】
ラチェットチューブとクラッチ要素240との間のラチェット252、242は、ばねが部品の回転を戻すことを防止する。リセットの間、リセットチューブはラチェットアーム252を移動し、それによってクリックごとにラチェットを解放し、一つのクリックは、説明した実施形態ではインシュリンの一つのユニットIUに対応する。より具体的には、ダイヤル部材が時計回りに回転すると、リセットチューブは単にラチェットチューブを回転させ、ラチェットのアームがクラッチ要素の歯部構造242と自由に相互作用することを可能にする。ダイヤル部材が反時計回りに回転すると、リセットチューブはラチェットクリックアームと直接相互作用し、クラッチ内の歯部からペンの中心に向かってクリックアームを押し、ラチェットのクリックアームがロードされたばねによって引き起こされるトルクによって「1クリック」後方に移動することを可能にする。
【0057】
設定用量を送達するために、図3Bに示すように、押しボタン290はユーザーによって遠位方向に押される。リセットチューブ260はダイヤル部材から分離し、その後クラッチ要素240はハウジングスプライン204と係合が外れる。ここで、ダイヤル機構は、駆動要素230とともに「ゼロ」に戻り、これが放出される薬剤の用量につながる。薬剤送達中いつでも押しボタンを解放または押すことにより、いつでも用量を停止し開始することが可能である。ゴムピストンが非常に迅速に圧縮されてゴムピストンを圧縮し、その後、ピストンが元の寸法に戻る時にインシュリンの送達が行われるので、通常、5IU未満の用量は一時停止できない。
【0058】
EOC機能は、ユーザーがカートリッジ内に残されたより大きな用量を設定することを防止する。EOC部材228は、リセットチューブに回転方向にロックされており、これは用量設定の間、リセットの間および用量送達中にEOC部材を回転させ、それらの期間中、ピストンロッドのスレッドのねじに従い、前後に軸方向に移動することができる。ピストンロッドの近位端に達すると、停止し、これはダイヤル部材を含むすべての接続された部品が用量設定方向にさらに回転するのを防ぐ。すなわち、ここで設定用量はカートリッジ内の残りの薬剤含有量に対応する。
【0059】
スケールドラム270には、ハウジング内側表面上の対応する停止表面と係合するように適合された遠位停止表面274が設けられており、これにより、スケールドラムに対する最大用量での停止を提供し、ダイヤル部材を含むすべての接続された部品を用量設定方向にさらに回転させることを防ぐ。示された実施形態では、最大用量は80IUに設定される。したがって、スケールドラムには、ばねベース部材上の対応する停止表面と係合するように適合された近位停止表面が設けられ、これにより、ダイヤル部材を含むすべての接続された部品が、用量放出方向にさらに回転するのを防ぎ、それによって放出機構全体の「ゼロ」停止を提供する。
【0060】
ダイヤル機構になにか障害があり、スケールドラムがゼロ位置を超えて移動することを可能にする場合、偶発的な過剰投薬を防止するために、EOC部材はセキュリティシステムを提供するように機能する。より具体的には、フルカートリッジを有する初期状態では、EOC部材は、駆動要素と接触する最も遠位の軸方向位置に配置される。所与の用量が放出された後、再びEOC部材が駆動要素と接触して配置される。したがって、機構がゼロ位置を超えて用量を送達しようとする場合、EOC部材は駆動要素に対してロックする。機構の異なる部分の許容範囲および柔軟性によって、EOCは短距離を移動するが、例えば3~5IUのインシュリンなどの放出される薬剤の少量の「過剰用量」が許容される。
【0061】
放出機構はさらに、薬剤の全量が放出されたことをユーザーに知らせる放出用量の最後に、明確なフィードバックを提供する用量終了(EOD)クリック機能をさらに含む。より具体的には、EOD機能は、ばねベースとスケールドラムとの間の相互作用によって作られる。スケールドラムがゼロに戻ると、ばねベース上の小さなクリックアーム206は、前進するスケールドラムによって強制的に後方に戻る。「ゼロ」の直前に、アームが解放され、アームはスケールドラム上の座ぐられている表面を打つ。
【0062】
示された機構には、ダイヤル部材を介してユーザーによってかけられる過負荷から機構を保護するために、トルクリミッターがさらに設けられている。この機能は、ダイヤル部材とリセットチューブとの間のインターフェイスによって設けられ、これは前述したように、互いに回転方向にロックされている。より具体的には、ダイヤル部材には、リセットチューブの可撓性のキャリア部分261上に配置されたいくつかの対応する歯数と係合する周方向内側歯部構造281が設けられている。リセットチューブ歯は、所与の指定された最大サイズのトルク例えば、150~300Nmmを伝達し、それを超えると、可撓性のキャリア部分および歯が内向きに曲がり、ダイヤル機構の残りの部分を回転させることなく、ダイヤル部材を回転させるように設計されている。従って、ペンの内側の機構は、トルクリミッターが歯を介して伝達するよりも高い負荷でストレスを受けることはできない。
【0063】
機械式薬剤送達装置の作動原理を説明したが、本発明の実施形態について説明する。
【0064】
図4は、その上にいくつかの構造が取り付けられている、または形成される、可撓性シートの形態の「電子ラベル装置」300の概略図を示す。示された典型的実施形態は、上述のペン形成された薬剤送達装置の改変バージョンと併用されるように適合され、変更は、ラベル装置の回路によって捕捉され得る投与関連出力を提供する。
【0065】
より具体的には、ラベルは、ポリマー可撓性シート基材310から形成され、関連付けられたメモリを有するプロセッサ、プリントされた論理ユニットまたは取り付けられたチップ330(または2の組み合わせ)のいずれかと、基材上にプリントされるか、またはそれに積層されているか、または取り付けられる少なくとも一つの電池340と、ラベルが取り付けられた薬剤送達装置からデータを補足するための入力手段350と、ラベルが、補足されたデータを送信するために、外部装置との通信を可能にする無線通信手段360とを含む。示される実施形態では、ラベルは、用量サイズおよび/または時間関連情報をユーザーに表示するように適合されうるプリントされた表示機器320を含むが、これは任意の機能である。
【0066】
入力手段は、薬剤送達装置の表面部分上に配置された対応する出力端子と協働するよう適合された一対の電気端子の形態であってもよい。出力端子は、装置の使用中に作動する内部スイッチ配置と関連付けられる。スイッチ配置は、例えば、投与終了状態などの単一のイベントを検出するよう適合された単純な配置であってもよく、または放出量および/または設定用量のサイズ示す出力を提供するより高度な配置であってもよい。別の方法として、入力手段はそれ自体センサー手段の形態であってもよい。例えば、入力手段は、薬剤送達装置内の磁性部材の動きを検出するように適合された磁気センサーであってもよく、またはセンサーは、投与設定および/または投与放出時に生成される特定の音声パターンを検出するよう適合された音響センサーであってもよい。別の方法として、センサーは、薬剤送達装置内またはその上の構造の移動によって作動するスイッチ構造の形態であってもよい。いくつかのセンサー/入力配置が、参照により本明細書に援用される国際出願公開第2015/071354号でより詳細に記載されている。
【0067】
薬剤送達装置用の電子ラベルのサイズ、複雑さおよびコストを最小限に抑えるために、可能な限り多くの構造を外部装置に移動させることが望ましい。実際に、構造を排除し、外部構造およびリソースに依存することで、所定の装置のサイズ、複雑さおよびコストを削減することが常に可能である。
【0068】
現在は多くの人が事実上常時いわゆる「スマートフォン」を携帯しているため、処理能力および表示器を提供するという課題に対する明白なソリューションは、監視したデータをスマートフォンに送信してスマートフォンの処理能力および表示器を使用することである。しかし、従来的な無線通信手段を使用すること、例えばBluetooth(登録商標)および類似の技術を使用することは、比較的多くの電力および空間を消費する電子機器を必要とし、すべては電子ラベルの体積およびコストに付加することになる。
【0069】
この問題に対処することで、本発明者らは、この問題に対する技術的な解決策が、通信手段として音声または超音波を使用することになることを実現した。データを送信する音声信号の使用は周知であり、例えば、TVセットのための無線リモートコントローラは、70年代に超音波を利用したが、制限されたデータ転送速度により、音声は最近のデータ転送技術ではほとんど使用されない。しかしながら、推奨される使用については、非常に少量のデータのみを転送する必要があり、これは音または超音波を使用可能にする。
【0070】
したがって、本発明の態様では、通信手段は、近超音波/超音波周波数の範囲、例えば、15~25Khzで作業する音声変換器の形態である(従来的な超音波は、20Khzを超える周波数と定義される)。
【0071】
この通信手段の選択の背景は、典型的スマートフォン、例えば、iOSまたはAndroidオペレーティングシステムのいずれかを実行する電話装置が、本発明のラベル装置と通信するアプリを通して使用できる内蔵のスピーカーおよびマイクロフォンを備えていることを認識したことに基づく。このようにして、ラベル装置からスマートフォンおよびスマートフォンアプリに転送されたデータは、スマートフォン上で処理、保存、および表示できる。このようにして、ラベル装置に表示器を提供する必要はない。スマートフォンに保存されたデータは、必要に応じてスマートフォンインターネット接続によってデータベースに送信することができる。
【0072】
超音波は、ヒトの耳(例えば、上述のように20Khz)によって聞こえることができる周波数を超える周波数での音声として定義される。スマートフォンのスピーカーおよびマイクロフォンは超音波との使用に特に設計されていないが、最も一般的なスマートフォンのスピーカーおよびマイクロフォンは、近超音波または低超音波周波数、すなわち18~21Khzで、スピーカーおよびマイクを通してデータを送受信できることが経験上示されている。18~20Khzの周波数では、特に若い人々は、通信中に非常に高いピッチ音を聞き出すことができるが、20Khzを超える通信は非常にわずかの人だけに対してのみ可能である。
【0073】
図5A~5Dを参照すると、圧電スピーカーの基本原理が説明される。より具体的には、図5Aは、フッ化ビニリデン(PVDF)箔410の形態の圧電式音声エミッタ400を示し、これには各側面上に導電層を設け、二つの締付部材420の間の定位置に保持され、これによって制御された方法で移動するように適合された膜411が提供される。電圧が箔の両側にかかると、箔は引き伸ばされ、かつ歪み、図5Bに示したように箔の前に空気を押し出す。電圧が箔に逆にかかると、箔は、縮み、図5Cに示したように箔の前方で空気を引く。交互の信号が箔にかかると、箔は振動を誘導し、従って図5Dに図示した通り空気中に音声を与える。PVDF圧電スピーカーが適切に動作するためには、フィルムの移動部分が自由に移動することができ、または箔によってそれにかけられる張力によって振動することを引き起こせるメンバーに取り付けることができることが必要である。延伸された時に箔をたわませるために、箔が箔の移動部分の端に沿ってしっかりと固定されることも必要である。
【0074】
図4では、その上にいくつかの構成要素および構造が取り付けられているまたは形成されるキャリア箔を含む電子ラベル装置の概略代表図が示されている。例えば、電流生成セル(「電池」)を含むラベルおよび表示器をつくる時、特にプリント電子機器を使用して製造された場合、これらの構成要素は、ある程度、空気湿度での変化に敏感になる。例えば、乾燥しすぎた空気は、プリントされた表示器内の電子インクを乾燥させる。これにより、表示された値またはシンボルを変更できない意味で表示器が動作を停止する影響がある。空気湿度が高すぎる場合、ラベルおよび組み込まれた構成要素、例えば、電池や表示器などのプリントされた特徴が水分を吸収する。例えば、表示器が湿りすぎると、表示器に必要な更新間隔が減少し、表示の外観を変化させまたは維持するために必要な電力が大幅に増加する。これにより、電池が予想より早く切れるか、または予想される電池(および装置)の寿命が著しく減少する影響を持ちうる。したがって、高すぎる空気湿度は、電池電解質が湿気を吸収し、自己放出の増加および消耗の加速をもたらしうる。
【0075】
この問題に対処するために、問題に対する解決策は、防水箔材料のラベルを密封することである。「防水性」という用語に関しては、例えば、材料の厚さに応じて水に対して一定程度、ほとんどの材料が水に対して浸透性であるので、これはほとんどの場合、相対的用語である。したがって、本文脈における防水性の用語は、例えば、所与の構造が意図された目的、例えば、所与の製品が日々の設定において、通常の湿気状態に曝されて、消費者によって使用され、扱われることを可能にするという目的に対し、「略防水性をもつ」ことを示す。
【0076】
より具体的には、図6Aは、図4に示す一般的なタイプの電子ラベル301の断面を概略的に示し、ラベルは、その上にいくつかの構成要素、例えばプリントされた電池341、取り付けられたプロセッサ331およびプリントされた表示器351が形成されるまたは取り付けられたキャリア箔311を含む。キャリア箔は、構成要素のプリントおよび取付けを許容するために選択および最適化され、上述のようなPVDFの形態でありうる。音声変換器構造は示されていない(図7Aおよび7Bを参照)。ラベル装置301は、上部密封箔371と、下部密封箔381とを備え、相互に、および、キャリア箔の上部のそれぞれの下部表面に円周方向に接着される。示された実施形態では、接触構造385は、その上にラベル装置が取り付けられている装置内に収容されたスイッチ構造と電気的に通信できるように、下部箔層に埋め込まれる。保護箔部材の層間に積層されたラベル装置の例は、例えば、米国特許第8,384,517号および米国特許出願公開第2016/0263327号に示されている。
【0077】
図6Bは、図4に示す一般的なタイプの電子ラベル302の代替設計の断面を概略的に示し、ラベルは、いくつかの構成要素、例えばプリントされた電池342、取り付けられたプロセッサ332およびプリントされた表示器352がその上に形成されるまたは取り付けられたキャリア箔312を含む。音声変換器構造は示されていない(図7Aおよび7Bを参照)。キャリア箔は、構成要素のプリントおよび取付けを許容するために選択および最適化され、上述のような圧電PVDFの形態でありうる。ラベル装置302は、キャリア箔の上部表面に結合され、周の自由縁部373を提供する上部密封箔372を備える。示された実施形態では、接触構造386は、その上にラベル装置が取り付けられている装置内に収容されたスイッチ構造と電気的に通信できるように、キャリア箔の下部表面上に提供される。従って、図6Aを参照して説明したラベル装置301とは対照的に、図6Bのラベル装置302は、下部密封箔を含まない。このようにして、層の省略により、より薄いおよびより可撓性のある、したがって、ペン形成された薬剤送達装置の外部などの曲面への取り付けにより適したラベル装置を提供するので、ラベル装置はスト効率良く製造できる。ラベル装置の下部表面は、接着層と、薬剤送達装置にラベル装置を取り付ける直前に取り外すことができる(図示したように)、それに取り付けられ剥離可能な一時的な裏打ち箔392とを備えうる。こうした一時的な裏打ち箔はまた、ラベル装置の保管中に水分バリアとして機能しうる。
【0078】
下部密封箔を無くしたことは、ラベル装置自体が独立して作動する装置ではなく、より正しくは、装置アセンブリの構成要素とみなすことができ、この二つの構成要素は組み合わせで所望の機能を提供するということを認識したことに基づく。したがって、削除された下部密封箔の機能は、その上にラベル装置が取り付けられる構造、例えば、ラベル装置が取り付けられることが意図されている薬剤送達装置ハウジングの部分によって提供されうる。上述のように、ほとんどの材料は100%水分不透過性であるわけではない。したがって、その上にラベル装置が取り付けられるべきハウジング部分は、ポリマー材料から製造されるべきであり、望ましい低レベルの水浸透性を確保する厚さを有するべきである。別の方法として、ハウジング部分は、望ましいレベルの水浸透性を提供する材料の層で被覆されうる。
【0079】
ラベルの両側を密封するのと比較して、ラベルの低製造コストおよび増大する可撓性の利益に加えて、ラベルの接着剤/接着側に水分バリアとしての装置ハウジング材料を使用することで、任意の接触が簡略化される。装置とラベル間の接触が必要な場合、ラベルが両側でシールされる場合には困難を提示する。次に、密封箔は貫通され、接続がラベルラミネートの内側と装置の表面との間に確率されるようにする必要がある。装置ハウジングをシールとして使用する時、接続ポイントは装置ハウジング内に成形されることができ、シールされ、ラベルと装置間の接触接続すべてがシールされた容積内でなされ、密封インターフェイス内でない。
【0080】
図6Cは、ペン形成された薬剤送達装置の外側表面351に取り付けられた図6Bのラベル装置302を概略的に示し(図8も参照)、ハウジング壁350はラベル装置のための下部/内側の湿気密封を提供する。この設計は、ラベル接触構造315が、ペン式装置上の対応する接触構造355と直接接触するように配置されることも可能にする。例えば、ハウジングおよびキャリア箔は、相互に動作可能に接続された対応するガルバニック接触端子355、315を備えうる。代替的な実施形態では、接触構造は、例えば、図8Aおよび8Bを参照しながら下記に説明するように、圧電センサー315および撓み可能なハウジング部分355の形態であってもよい。
【0081】
図6Bおよび6Cを参照して説明する通り、いくつかの構成要素は、可撓性のキャリア箔の上部表面上に形成されるか、取り付けられ、その後、密封箔が構成要素を覆い密閉するように適用され、それによって構成要素は二つの層間に積層される。
【0082】
図6Dは、いくつかの構成要素333、343、353が、下部キャリア箔313および上部密封箔373を備える可撓性のラミネート箔370の下部表面に形成される、または取り付けられる電子ラベル303の代替的な設計を示す。図示した通り、構成要素が、ラミネート箔の下部表面上に、形成され、または取り付けられた後、図6Bおよび6Cの上述の実施形態に示したように、それらはラミネート内で保護されない。しかし、図6Bに示すように、除去可能な保護シートと共に、ラベル装置の下部表面に適用された、接着層は、ラベルがハウジング353上に取り付けられるまで構成要素を保護するために使用されうる。構成要素をラミネート箔上に直接形成または取り付けることが、より効率的に見えるが、上部密封箔は別の方法として、その後のプロセス工程でキャリア箔に取り付けられうる。
【0083】
図6Dでは、構成要素は、例示的な目的のため比較的厚い構造として示されるが、少なくともプリントされた構成要素は比較的薄い構造であることが期待されうる。図6Bの実施形態では、比較的厚い構成要素は外向きに膨張するが、図6Dの実施形態では、こうした構成要素は内向きに膨張することになる。したがって、その上にラベルが取り付けられる外側ハウジング表面に、かかる膨張構成要素を収容する(浅い)くぼみが提供されてもよい。構成要素のうちの一つが表示器の場合、ラミネート層の両方の層は透明な特性を持つ必要がある。
【0084】
上述の実施形態では、ハウジング表面に取り付けるための電子ラベル装置が提供されており、ラベル装置は、下部キャリア箔および上部密封箔を有するラミネートを備え、構成要素はキャリア箔の上部または下部表面上に配置されている。別の方法として、いくつかの構成要素は、ハウジング表面上に取り付けることができる可撓性のキャリア箔の上部または下部表面上に形成または取り付けることができ、上部密封箔はその後適用される。
【0085】
さらなる代替的な実施形態において、キャリア箔は、密封箔に塗布されたキャリア被覆と置き換えられてもよく、キャリア被覆は、構成要素が単一層密封箔の被覆された表面上に形成されるか、または取り付けられることを可能にする。
【0086】
電子ラベル装置(二つの密封層を含む)の製造および取付けプロセスの一例は、国際出願公開第2015/071354号でより詳細に記述される。
【0087】
第一のアプリケーション実施形態では、箔は、装置ハウジング内のくぼみの上に懸架されて、音声または超音波を使用したデータの伝送に対するPVDFベースのラベルの音声放射部分の自由な動きを可能にする。より具体的には、図7Aは、ラベル装置(図示せず)の上述の構成要素を形成または取り付けるための基板として機能する可撓性の圧電箔510を備える電子ラベル装置500の一部分を図示したものであり、その上部には保護層515が積層され、保護層は開口部を備え、それによって音波データ送信のための一体型のスピーカー/マイクロフォン511、すなわち双方向性音声変換器を形成する。示された実施形態では、ラベルは接着剤を用いて装置ハウジング601に固定されるが、箔の移動変換器部分は自由に移動でき、縁部は保護層と装置ハウジングの間にクランプ留めされる。音声を発し受け入れることを意図したラベルのセクションは、装置ハウジング内にくぼみ602を導入することによって、装置ハウジングに接着することを防止する。
【0088】
第二のアプリケーション実施形態では、装置ハウジングのセクションは、ハウジングの残りの部分から部分的に切り離されて、いくつかの弱化された可撓性の接続のみを通してのみハウジング構造701に接続された膜702を形成する。これにより、ハウジングのセクションがハウジングに対して小さな動きを実行できるようになり、スピーカー/マイクロフォンの膜として作用する。この実施形態では、箔は、ハウジング構造の移動可能なセクションを作動させるドライバとして機能する。図7Bは、音波データ送信用の内蔵スピーカー/マイクロフォンを有する、ラベル装置500の一部分を示す。このアプリケーション実施形態では、ラベルは、ハウジングの主要部分およびハウジングの可動膜部分の両方で、接着剤を用いて装置ハウジングに固定される。制限された動きを実施するために許容されるハウジングのセクションは、膜/膜補強材として作用し、箔を穿刺または損傷に対して脆弱にさせない。しかしながら、これは移動質量も著しく増加するほか、ダンピングも増加し、両方の周波数生成および応答を制限することになる。示されるアプリケーション実施形態では、ラベル装置は同じであるが、代替的に、ラベルは特定の用途のために最適化されうる。
【0089】
上述の通り、電子ラベルは、プロセッサおよび関連付けられたメモリと、電池と、ラベルが取り付けられる薬剤送達装置からデータを取り込むための入力手段と、取り込まれたデータを送信するために、ラベルが、外部装置と通信することを可能にする無線通信手段と、ならびに異なる構成要素が通信することを可能にする導電構造とを設けたポリマー可撓性シート基材から形成できる。随意に、表示器が提供されてもよい。言及された構造のうちの一つまたは複数は、プリント電子機器(箔上にプリントされた導電インクの層によって作製された電子回路)の形態で提供されてもよいが、その他の方法では、可撓性シート上に直接取り付けられた表面であってもよい。
【0090】
こうしたラベル装置については、上述のように組み合わされたスピーカー/マイクロフォンを作成するために使用される圧電箔は、絶縁層で被覆された場合、可撓性シート基材を形成しうる。このことにより、追加的な構成要素および構造が圧電箔上に形成または取り付けられることを可能にする。実際に、音声変換器を提供する箔の部分は被覆される必要はない。圧電箔の各側面の導電層への接続は、接続ポイントを絶縁層によって被覆されていないままにすることによって確立されうる。このようにして、組み合わされたスピーカーおよびマイクロフォンを、非常に少ない追加コストで電子ラベル装置に追加することができる。
【0091】
上記の例では、組み合わされたスピーカー/マイクロフォン変換器が説明されているが、代替的な実施形態では、二つの個々の圧電変換器を使用することができ、これは各変換器が特定の目的のために最適化されることを可能にする。さらに、入力手段は、用量設定の間および/または投与放出時に生成される特定の音声パターンを検出するように適合された圧電音響センサーの形態であってもよい。さらに、例えば、音声が異なる方向に放射されるのを許容するために、二つ以上の変換器が所与の目的のために提供されうる。
【0092】
スピーカー/マイクロフォン変換器システムの実際の設計に関わらず、ラベル装置およびスマートフォンは、通信できるように互いの存在を認識する必要がある。通信手段として音声を使用する理由の一つがラベル装置の電力への制限のあるアクセスであるため、システムは装置の電力消費量を最小限に抑えるよう設計する必要がある。
【0093】
一つのオプションは、音声の伝送が問題の装置での聴取よりも著しく大きな電力を必要とする場合に、スマートフォンからの通信要求を装置に聞かせることである。ただし、新しいデータが利用可能であるかどうかを、装置は「まず、知る」ため、装置がスマートフォンとの通信要求を送信するように低電力消費の結果となりうる。そうやって、データ交換を実行することができ、データが送信されない時通信を要求することを停止することができ、装置が再び使用されるまで新しい要求を送信しない。したがって、要求とデータ転送の数は、必要な数だけに減らすことができる。スマートフォンによってデータ転送が要求される場合、同じ最近のデータの多数の転送または転送されるべき新しいデータがないという、装置からの多数のメッセージで、装置内の電池の電力を浪費するリスクがある。
【0094】
本発明の典型的実施形態について説明した後、上記に設定した本発明の態様に従って電子ラベル装置が設計された薬剤送達装置が記述される。
【0095】
図8Aのペン式装置100は、薬剤放出機構が配置または組み込まれるハウジング101を持つ近位本体または駆動アセンブリ部分と、遠位針貫通可能隔壁を持つ薬剤充填透明カートリッジ113と、近位部分に取り付けられた取り外し不可能なカートリッジホルダによって所定位置に保持される遠位カートリッジホルダ部分とを備える。カートリッジホルダは、カートリッジの一部分を点検することを可能にする開口部と、針アセンブリ116が取り外し可能に取り付けられるのを可能にする遠位カップリング手段と、ならびにキャップ(図示しない)がカートリッジホルダをカバーして取り外し可能に取り付けられるのを可能にする二つの対向する突起部114の形態での近位カップリング手段とを含む。示された実施形態では、ハウジングは、近位ハウジング部分102と、ペン式装置の完全に組み立てられた状態で、示された可撓性アーム150を覆う中間の管状ハウジング部分(図示せず)を介してお互いに固定接続された遠位ハウジング部分103とを含み、それによって単一のハウジングを形成する。カートリッジには、放出機構の一部を形成するピストンロッドによって駆動されるピストンが設けられており、例えば、インシュリン、GLP-1または成長ホルモン製剤を含みうる。最も近位の回転可能な用量設定部材180は、望ましい用量の薬剤を手動で設定するのに機能し、薬剤はその後、ボタン190が作動した時に放出されうる。放出機構は、その上にプリントされる用量サイズの形態の複数の印を有するらせん状回転可能なスケールドラム部材を備え、用量サイズ番号は表示器開口部に示される現在の設定用量サイズに対応する(図8Aでは図示しない)。薬剤送達装置内に具体化される放出機構のタイプに応じて、放出機構は、用量設定の間に変形され、その後、放出ボタンが作動した時にピストンロッドを駆動するように解放される図示の実施形態におけるばねを備えてもよい。別の方法として、放出機構は完全にマニュアルであってもよく、その場合、用量部材および作動ボタンは、設定用量サイズに対応する用量設定の間、遠位に移動し、次にNovo Nordisk A/Sによって製造および販売されるFlExpen(登録商標)などの設定用量を放出するためにユーザーによって遠位に移動するように配置されてもよい。
【0096】
図8Aは、予め充填されたタイプの薬剤送達装置を示すが、すなわち、代替的な実施形態において、予め取り付けられたカートリッジを供給し、カートリッジが空になったとき捨てられる、薬剤送達装置は、ロードされたカートリッジに交換されるのを可能にするように調整されても良い。例えば、カートリッジホルダが装置の本体部分から取り外されるように調整される、「後ろにロードされる」薬剤送達装置の形態となる。または別の方法として、カートリッジが装置の主要部分に取り外し不可能に取り付けられるカートリッジホルダ内の遠位の開口部に挿入される、「前にロードされる」装置の形態となる。
【0097】
ペン式装置100に組み込まれた放出機構は、リング形成ピストンロッド駆動要素および、薬剤の投与の放出中に、ピストンロッド駆動要素と共に回転する回転可能な構成要素の形態のアクチュエータ部材140を備え、アクチュエータ部材140はそれによってハウジング101内に固定して配置されたインジケータ構造に対する一方向回転運動を経験する。示される実施形態では、インジケータ構造は、それぞれがアクチュエータ部材と係合する一対の向かい合った円周方向に配置された撓み可能な可撓性アーム151の形態である。
【0098】
アクチュエータ部材140は、一対の軸方向に方向付けられ、半径方向外側に突出し、円周方向および等距離で離間している複数の隆起部を持つ歯車の形態である。各隆起部は、徐々に立ち上がった先頭側および急激に落ちる後尾側をもって形成される。示された実施形態では、24個の隆起部は15度の角度ステップで間隙を介している。任意の二つの隣接する隆起部の間に溝が形成される。
【0099】
撓み可能なアーム151のそれぞれは、半径方向内向きの第一の表面を有する先端部をその自由端に含み、これは隆起部の徐々に立ち上がる側と略平行であるように角度付けられている。それぞれの先端部はさらに、隆起部の急激に落ち込む側と略平行になるように角度付けられた第二の対向する表面を持つ。先端部の半径方向内向きの第一の表面は、第一および第二の撓み可能なアームの先端部が、後者が回転するとき、アクチュエータ部材140の外部輪郭と密着したままであるように、アクチュエータ部材140が、撓み可能なアームに対して回転するとき、連続する隆起部上に乗るように構成される。先端部が溝内に位置する時、可撓性アーム151の自由端は、わずかに内向きに付勢され、付勢力はアクチュエータ部材が回転するときにアームの自由端が隆起形成物によって外側に持ち上げられた時に、増加する。
【0100】
示される実施形態では、撓み可能なアームの先端部は、アクチュエータ部材140が回転するにつれて、第二の撓み可能なアームが第一の突出部から直径方向に反対に配置された隆起部との連携を経験する前に、第一の撓み可能なアームが特定の第一の突起部とわずかに連携を経験するように、約178度離れて位置する。この配置は、参照により本明細書に援用される欧州特許出願公開第17205309号でより詳細に記述される。別の方法として、単一アーム設計を使用しうる。
【0101】
電子手段による装置の動作を監視するために、対応する電子回路160は、装置によって実行される動作に関連するイベントを登録するために、すなわち設定用量の薬剤の放出を登録するために、装置100上に配置されるように適合される。図9では、円周方向に配置された電子ラベルを有する対応するペン式装置が示されている。図8Bの示した実施形態では、電子回路160は、インジケータ構造の移動によって直接的または間接的に作動するように適合された入力手段、プロセッサおよびメモリ165,音声変換器167の形態の無線通信手段、およびエネルギー源168がその上に形成されおよび取り付けられる可撓性シートの形態であり、それによってプロセッサは、入力手段からの計測された値を基準にして、アクチュエータ部材140の回転位置および/または回転運動を決定し、それによって、薬剤の放出量のサイズを計算するように適合される。可撓性シートは、例えば、接着手段によってペン式装置のハウジング部分上に取り付けられるように適合されており、可撓性シートの性質は曲面にも取り付けられることを可能にする。代替的な実施形態では、無線通信手段は、回路およびアンテナ手段を含んでもよく、例えば、Bluetooth(登録商標)低エネルギー(BLE)を使用してRF通信を可能にする。
【0102】
示される実施形態では、入力手段は、可撓性アーム151上に取り付けられるように適合された圧電センサー161、162の形態のアクティブ変換器であり、それによって可撓性アームが回転アクチュエータ部材140によって移動するときに出力を生成する。示された実施形態には組み込まれていないが、電子回路が、その他の実施形態において、登録イベントに関連する情報の目に見える読み出しを提供するように、表示器をさらに含んでもよい。示された実施形態では、エネルギーは二つの電気セル168によって提供される。
【0103】
例えば、圧電センサー、音声変換器、表示器、アンテナ、およびエネルギー源などの上述の構成要素のうちの一つまたは複数は、可撓性シート上にプリントされてもよい。その他の構成要素(例えば、プロセッサおよび関連付けられたメモリ)は、可撓性シート表面上に取り付けられてもよい。
【0104】
図9は、その上に電子ラベル装置805が取り付けられる薬剤送達装置800を示し、示された実施形態では、表示器を含まず、二つの装置は、薬剤送達装置からの薬剤の量を放出することに関連するイベントを生成し登録するように適合された組み合わせの薬剤送達装置を形成する。各放出イベントについて示された実施形態では、相対的な時間スタンプと組み合わせて放出される薬剤の量を示すデータを含むデータセットが生成され、生成されたデータセットは、スマートフォン900の形態で外部装置に通信される。従って、双方向通信を実施する典型的な使用シナリオは、次の手順を含むことができる。
【0105】
投与イベント、例えば、投与終了時の信号、に関連したデータがラベル装置によって捕捉された後、ラベル装置は、所定の時間または予め決められた回数、スピーカーを介して要求信号を放射する、データ転送のために以前ペアリングされたスマートフォンへの接続を要求することを開始する。スマートフォンとの接続が確立されていない場合、ラベル装置は転送を終了し、次のデータセットと共にその後の送信のためにメモリにデータを保存する。
【0106】
スマートフォンが範囲内であり、「ラベルアプリケーション」がデータ転送要求を聴いているスマートフォンにバックグラウンドで開いている場合、または実行している場合、スマートフォンは、スマートフォンのマイクロフォンを介して、ラベル装置からの通信要求を登録して、ID立証コードを送信し、ラベル装置にデータを送信するように依頼する。
【0107】
ラベル装置が、ラベル装置マイクロフォンを介してスマートフォンIDの認証およびデータ転送要求を受信すると、ラベル装置は、スマートフォンマイクロフォンへのラベル装置スピーカーを介してスマートフォンにデータを送信し始める。データ転送中、アプリは、データ転送が進行中であることをスマートフォンの表示で示すことができる。
【0108】
データ転送が完了すると、スマートフォンはラベル装置への通信の完了を確認し、新しい投与イベントデータが取り込まれるまで通信要求を送信しない。スマートフォンでは、データが受信され処理されると、アプリによって表示および保存が可能である。その後、データは、統計データを生成するために、またはユーザーのPCなどの他のプラットフォーム上のユーザー履歴のグラフィックプレゼンテーションを作成するために、例えば、ユーザーのGPと共有するためにクラウドストレージにリレーすることもできる。
【0109】
代替として、簡易化されたセットアップデータが、送信専用プロトコルを使用して送信され、各投与イベントの終了時に完全ログまたは部分ログが送信される。
【0110】
典型的実施形態の上記の説明では、異なる構成要素に対して説明された機能を提供する異なる構造および手段は、本発明の概念が同業者に明らかとなる程度まで説明されてきた。異なる構成要素の詳細な構造および仕様は、本明細書に記載されるラインに沿って当業者によって実施される通常の設計手順の対象とみなされる。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図9